JP2009168755A - 湿度インジケーター - Google Patents

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彰夫 岡本
Kenji Nabeta
健司 鍋田
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Abstract

【課題】湿度及び経過時間を変色によって指示し、且つ指示にメモリー性があり、吸湿後のヒビなどの発生が低減された湿度インジケーターを提供する。
【解決手段】湿度インジケーターは、基材11と、前記基材の表面に形成された変色層12と、前記変色層の上に形成された感湿層13とを備え、前記変色層は、pHの酸性域で変色するpH指示薬と親水性樹脂とを含み、前記感湿層は、親水性樹脂と、(A)カルボキシル基及び/又はフェノール性水酸基を含み、非水溶媒可溶性且つ水溶性の有機化合物、または(B)水と反応して前記有機化合物を生成する酸無水物、エステル或いはラクトンを含む。感湿層13の上には、変色までの時間を調整する調整層14を設けることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、湿度の上昇を変色によって指示する湿度インジケーターに関する。
湿度インジケーターは、環境中の水分を吸収することによって変色し、色の変化から湿度の上昇を知らせるものであり、従来下記(a)〜(d)のようなものが提案されている。
(a)シリカゲルに塩化コバルトを含浸して乾燥させたもの(特許文献1)、(b)塩化カルシウムを担持した吸湿性シートと、色素やpH指示薬を担持したシートとを積層したもの、(c)(b)の色素を担持したシートの上に吸液性の不透明シートを積層したもの、(d)潮解性物質と、潮解液によって顕色化する顕色材との混合物(特許文献2)など。
しかしながら、(a)の湿度インジケーターは、人体に有害な塩化コバルトを含む上に、一時的に顕色性を示すが、共存するシリカゲルに残存する吸湿性により、吸湿したシリカゲルが脱水されて再びもとの色に戻る現象が生じ、表示のメモリー性を有しない。(b)および(c)の湿度インジケーターは、一旦変色した色は不可逆性があり、表示のメモリー性はあるが、形状がシート状に限られ、シートの裏面からは表示を確認できない、など表示を確認できる方向に制限がある、即ち表示に方向性があるという問題がある。(d)の湿度インジケーターでは、(a)〜(c)のものの問題は解決されるが、製造に際し、成型助剤と共に乾式で混合を行い加圧成型または加圧加熱成型する方法などの製法に制限があり、さらに吸湿後のヒビ、割れ及び崩壊など強度上の問題点を有する。
特開2005−61850号公報 特開平7−174704号公報
本発明は、湿度及び経過時間を変色によって指示し、且つ指示にメモリー性があり、吸湿後のヒビなどの発生が低減された湿度インジケーターを提供することを目的とする。
本発明の湿度インジケーターは、吸湿材料及び吸湿によって酸性を呈する物質(感湿物質)と、pHの酸性領域で変色するpH指示薬との組み合わせを基本とし、吸湿材料として、潮解物質ではなく親水性樹脂を用いることにより、積層技術によって製造することが可能であり、吸湿後のひび割れなどの問題を解決したものである。
すなわち本発明の湿度インジケーターは、基材と、前記基材の表面に形成された変色層と、前記変色層の上に形成された感湿層とを備え、前記変色層は、pHの酸性域で変色するpH指示薬と親水性樹脂とを含み、前記感湿層は、親水性樹脂と、(A)カルボキシル基及び/又はフェノール性水酸基を含み、非水溶媒可溶性且つ水溶性の有機化合物、または(B)水と反応して前記有機化合物を生成する酸無水物、エステル或いはラクトンを含むことを特徴とする。
本発明の湿度インジケーターは、好適には、感湿層の表面に、親水性樹脂および乾燥剤を含む調整層を備えることができる。
本発明の湿度インジケーターは、好適には、感湿層あるいは/および調整層はシリカゲル微粉砕物を含む。
本発明の湿度インジケーターによれば、水分を吸収する感湿材料として潮解性の材料を用いないので、容易に製造することができ、且つ製造後の割れやひびの発生が低減される。また基材の形状を任意に選択できるので、形状の自由度が増し、表示の方向性の制限がなく、視認性に優れたインジケーターが得られる。
また本発明の湿度インジケーターによれば、層の厚さを調整することにより、変色までの時間を調整することができ、用いる環境に応じて適切な耐用時間の湿度インジケーターが得られる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図3は、本発明の湿度インジケーターの実施の形態を示す図である。本発明の湿度インジケーター10は、基本的な構成として、基材11と、基材11の上に積層された変色層12と、変色層12の上に積層された感湿層13とからなる。図1に示す湿度インジケーターは、基材がシート状であり、図2に示す湿度インジケーターは、基材が粒子状である。また図3に示す湿度インジケーターは、感湿層13の上に調整層14が形成されている。以下、各層を構成する材料について説明する。
基材11としては、変色層12を担持できるものであれば、限定されず、プラスチックシート、紙、不織布など任意のシート状の材料や、有機或いは無機の粒状物を用いることができる。特にシリカゲルの微粉砕物を用いることが好ましい。シリカゲル微粉砕物を用いることにより乾燥剤としての機能を付与することができる。基材が粒状物の場合には、シリカゲル微粉砕物をそのまま用いることができる。また基材がシート状の場合には、シリカゲル微粉砕物をバインダーに分散させたものを紙またはプラスチックシートに塗布してもよい。
基材の大きさは特に限定されず、用途や扱いやすさ等を考慮し適宜選択される。
変色層12は、その上に設けられる感湿層13に含まれる物質が水分によって酸性を呈したときに変色する層で、pH指示薬と親水性樹脂からなる。pH指示薬としては、pH8以上のアルカリ性で青系色を呈し、pH6以下の酸性で赤系色を呈するもの、pH8以上のアルカリ性で無色であり、pH6以下の酸性で赤系色を呈するものなど、公知のpH指示薬を用いることができる。具体的には、リトマス、チモールブルー、メチルレッド、ブロモフェノールなどを用いることができる。
親水性樹脂としては、ポリアクリル酸ナトリウム、酸変性ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリブチルビニラールなどを用いることができる。
変色層12は、pH指示薬と親水性樹脂のほか、ホウ酸ナトリウムなどのpH緩衝剤、色素、増粘樹脂を含むことができる。pH緩衝剤は、空気中の炭酸ガスなど少量の酸性物質の影響で変色するのを防止し、色調を安定させるために添加される。pH緩衝剤としては、アルカリ性で安定なものであれば特に限定されず、例えばトリス・HCl(pH=8.0)、モノエタノールアミン・HCl(pH=9.5)などを用いることができる。色素は色調を調整するために加えられ、pH指示薬による変色および視認性を妨げたげないものであればよい。増粘樹脂を添加することにより、塗布溶液の粘度を調整し、塗布工程で厚みの制御などを容易にすることができる。
感湿層13は、環境中の水分を吸湿するとともに、吸湿した水分によって酸性を呈する層であり、(A)カルボキシル基及び/又はフェノール性水酸基を含み、非水溶媒可能性且つ水溶性の有機化合物(以下、単に水溶性有機化合物Aという)または(B)水と反応して水溶性有機化合物Aを生成する酸無水物、エステル或いはラクトン(化合物Bという)を必須成分とし、必要に応じて親水性樹脂、増粘樹脂及び乾燥剤を含む。
水溶性有機化合物Aおよび化合物Bは、乾湿層13が吸収した水分に溶解し酸性を呈する物質であり、具体的には、水溶性有機化合物Aとしてリンゴ酸、シュウ酸、マロン酸、クエン酸、サリチル酸、安息香酸、p−トルエンスルホン酸などを用いることができる。また化合物Bとして無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などを用いることができる。
感湿層13における化合物Aまたは化合物Bの含有量は、単位面積当たりの含有量が、変色層中の総アルカリ性化合物の化学当量以上であることが必要である。
感湿層13は、感湿層13は、更に、吸湿能を高めるために、微粉砕シリカゲル等の乾燥剤を含んでいることが好ましい。また変色層12と同様の親水性樹脂や増粘樹脂をバインダーとして用いることができる。このようなバインダーを用いることにより、塗布溶液の粘度を調節し、塗布工程で厚みなどの調整を容易に行なうことができる。感湿層13用バインダーとしては、特に、ポリオキシエチレンと高分子量ポリオキシエチレンの組み合わせが好ましい。
調整層14は、乾燥剤と親水性樹脂とからなる。調整層14を設けることにより、感湿層13の感度を調整して湿度インジケーターの耐用期間を長くすることができる。従って湿度の高い環境に用いる場合には、調整層14を設けることが好ましい。調整層用の親水性樹脂としては、変色層と同様のものを用いることができるが、特に、感湿層および変色層に用いた溶媒と異なる溶媒であって、感湿層および変色層に用いた親水性樹脂が難溶性である溶媒に溶解される樹脂、例えばポリビニルアルコールが好ましい。
本発明の湿度インジケーターは、基材11がシート状の場合には、各層を構成する材料を適宜溶媒に溶解または分散させたものを順次塗工することにより形成することができる。例えば、変色層形成用材料を水に分散又は溶解した塗布液を基材上に塗布・乾燥後、感湿層用材料を、変色層に含まれる親水性樹脂を溶解しない非水溶媒、例えばクロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)などに分散又は溶解し、変色層12上に塗布・乾燥し、感湿層13を形成する。さらに調整層14を設ける場合には、調整用材料を、感湿層に含まれる親水性樹脂を溶解しない非水溶媒、例えばグリコール、ソルビトール、アセトアミドなどに分散又は溶解し、感湿層13上に塗布・乾燥する。
基材11が粒状物の場合には、ロータリーエバポレーター、真空撹拌混合機など公知の粉体表面コーティング法を採用することができる。
各層の厚さは、一般に各層の厚さが厚いほど変色までの時間が遅くなるので、湿度インジケーターを用いる環境に応じて適宜調整する。
本発明の湿度インジケーターは、使用前の保管の目的で、非透湿性且つ易剥離性のフィルムで保護することが好ましい。また必要に応じて、シート状基材の、変色層が形成される面とは反対側に粘着層や粘着層及び易剥離性フィルムを設けても良い。
本発明の湿度インジケーターは、粒状物の場合には、必要に応じて適宜透湿性の容器や開口部を透湿性フィルムで覆った容器などに充填して、湿度の監視が必要な場所に設置することができ、視認方向を制限されることなく湿気の状況を変色によって知ることができる。また基材にシリカゲルの微粉砕物を用いた場合には、乾燥剤としても機能する。
シート状の場合には、そのまま或いは粘着層を介して所定の場所に載置或いは貼着して使用することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、試験品の作成及び呈色反応の観測は、湿度50%RHに保たれた室内において行なった。
<実施例1>
変色層、感湿層および調整層作成のために、以下に示す組成の溶液A、B、Cを調整した。
変色層用溶液A:ポリアクリル酸ナトリウム(重合度30,000〜40,000)5g、リトマス0.5g、蒸留水100ml
感湿層用溶液B:ポリエチレングリコール(平均分子量300,000〜500,000)0.1g、無水マレイン酸2.0g、クロロホルム(脱水)50ml、塩化カルシウム(粒状)適量
調整層用溶液C:ポリエチレングリコール(平均分子量300,000〜500,000)0.05g、クロロホルム(脱水)25ml、塩化カルシウム(粒状)適量
短冊状(縦1cm、横5cm)の白色中性紙No.1〜3を溶液Aに浸漬した後、120℃で30分乾燥した。そのうち1枚を試作品No.1とした。残りの2枚は、乾燥デシケータ中で室温に戻し、溶液Bに浸漬した後、120℃で10分乾燥した。そのうち1枚を試作品No.2とした。残りの1枚は、乾燥デシケータ中で室温に戻し、溶液Cに浸漬した後、120℃で10分乾燥し、これを試作品No.3とした。作成した直後の試作品No.1〜3は、いずれもアルカリ性状態のリトマスの呈色である濃青紫色を示していた。
試作品No.1〜3を乾燥デシケータから室内に取り出し色の変化を観察した。一昼夜観察した結果、試作品No.1の色は変化しなかったが、まず試作品No.2が、次に試作品No.3が徐々に変色し、一昼夜後には共に酸性状態のリトマスの呈色である赤紫色に変化した。
これらの試験結果から、本発明の湿度インジケーターは環境の湿度に対しインジケーターとして十分機能すること、また調整層を設けることにより反応をコントロールし、インジケーターの指示速度を調整可能であることが確認された。
本発明の湿度インジケーターの一実施の形態を示す図 本発明の湿度インジケーターの他の実施の形態を示す図 本発明の湿度インジケーターの更に別の実施の形態を示す図
符号の説明
11・・・基材、12・・・変色層、13・・・感湿層、14・・・調整層

Claims (4)

  1. 基材と、前記基材の表面に形成された変色層と、前記変色層の上に形成された感湿層とを備え、前記変色層は、pHの酸性域で変色するpH指示薬と親水性樹脂とを含み、前記感湿層は、親水性樹脂と、(A)カルボキシル基及び/又はフェノール性水酸基を含み、非水溶媒可溶性且つ水溶性の有機化合物、または(B)水と反応して前記有機化合物を生成する酸無水物、エステル或いはラクトンを含むことを特徴とする湿度インジケーター。
  2. 請求項1に記載の湿度インジケーターであって、前記感湿層の表面に、親水性樹脂および乾燥剤を含む調整層を備えたことを特徴とする湿度インジケーター。
  3. 請求項1に記載の湿度インジケーターであって、感湿層あるいは/および調整層はシリカゲル微粉砕物を含むことを特徴とする湿度インジケーター。
  4. 請求項1、2、または3のいずれか1項に記載の湿度インジケーターであって、前記基材は粒状であることを特徴とする湿度インジケーター。
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