JP2009168074A - フライホイール装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低回転速度域でも確実に共振点を回避することができるフライホイール装置を提供するとともに、入力回転の急変動に対しても適切な捩り剛性を発揮することのできるフライホイール装置を提供する。
【解決手段】クランク軸に連結される第1フライホイール12と、クランク軸に対し回転可能な第2フライホイール14との間に、これらを互いに回転伝動可能に係合させる係合機構13を介在させたフライホイール装置において、第2フライホイール14の慣性力を制御する慣性力制御部31と、両フライホイール12、14の間の捩り特性を制御する捩り特性制御部32と、慣性力制御部31および捩り特性制御部32の作動を制御し、設定回転速度に達しない低回転速度域では、第2フライホイール14の慣性力を設定慣性力以下に低減させるとともに、両フライホイール12、14の間の捩り剛性を設定捩り剛性以上に高める特性制御部33と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、フライホイール装置、特に回転軸に支持された第1の慣性質量体とそれに対し相対回転可能な第2の慣性質量体とを備えた所謂デュアルマスタイプのフライホイール装置に関する。
車両用エンジンの出力部等に装着されるフライホイール装置においては、単一の慣性質量では解消できない中・高回転速度域におけるトランスミッションやタイヤ(車輪)の共振を抑えるべく、クランク軸に支持された第1フライホイールとそれに対し相対回転可能な第2フライホイールとを選択的に一体接続するようにしてフライホイール全体としての慣性質量を変化させることができるようにしたデュアルマスタイプのものが知られている。このようなフライホイール装置、特に車両用のフライホイール装置では、こもり音や駆動系の異音等に対する対策の必要から、アイドル回転数を超える回転速度域に共振点を設定することができず、アイドル回転数以下の低回転速度域に共振点が設定されるのが一般的である。
従来のこの種のフライホイール装置としては、例えば低回転速度域の共振点通過時に大きくなる第1フライホイールと第2フライホイールの相対回転を利用してレバー式の摩擦ロック機構を作動させ、第1フライホイールと第2フライホイールとを一体にロックするものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、第2フライホイールを磁力により第1フライホイールに追従回転させる非接触式とし、その磁力をクランク回転速度に応じてON・OFF切替えするようにして、アイドル回転領域のクランク軸の捩り共振周波数以下の低周波帯域では第2フライホイールを第1フライホイールに追従回転させないようにして振動伝達率を低減させるようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
さらに、フライホイールの一部を構成する環状の慣性質量体を周方向に隣り合う複数の弧状の分割体によって構成し、フライホイール本体に内外に離間して装着された環状の永久磁石および電磁石のうちいずれか一方に複数の弧状の分割体を吸着させるよう電磁石の磁力を変化させて、フライホイールの慣性モーメントを切り替えるようにしたもの(例えば、特許文献3参照)や、フライホイールを構成する環状の慣性質量体を周方向に隣り合う複数の弧状の分割体によって構成するとともにこれらの分割体をばねにより回転軸側に付勢して、低回転速度域で小径のフライホイールを高回転速度域では分割体の遠心力に伴うばねの伸張によって大径のフライホイールに変化させ、慣性を大きくするようにしたもの(例えば、特許文献4参照)がある。
なお、車両用のフライホイール装置ではないが、回転軸に支持された軸取付体と慣性体とに回転方向に同一極性の磁極を対向させるよう磁石を支持させ、これら軸取付体と慣性体との軸方向の取付間隔を調節することで、これら軸取付体と慣性体の間の捩り剛性を調整し、共振周波数を可変設定するようにしたものが知られている(例えば、特許文献5参照)。
特開平10−26186号公報 特開平06−117489号公報 特開平11−50856号公報 特開平08−177981号公報 特開2007−240726号公報
しかしながら、低回転速度域の共振点通過時に摩擦ロック機構により第1フライホイールと第2フライホイールとを一体にロックする従来のフライホイール装置や、フライホイールを構成する複数の弧状の分割体をばねにより回転軸側に付勢する従来のフライホイール装置にあっては、機械的な構成で特性切替を行うことから、製造誤差によるばらつきを抑える管理が不可欠であるばかりか、共振周波数のずれに対応できないという問題がある。そのため、アイドル回転数以下にある共振点を回避できない場合に、エンジン始動時やエンジンストール直前に所謂引き込み共振が発生してしまう。
また、電磁石のON・OFF切り替えによって低回転速度域で慣性を増大させたり捩り剛性を低下させたりする従来のフライホイール装置にあっても、例えばチップイン操作時のような急な加減速に対して十分な捩り剛性が得られず、その過渡応答入力によるいわゆるシャクリ・ショック(駆動系の捩り共振に伴う車両の前後方向への揺り返し)が生じ易いという問題があった。
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、低回転速度域でも確実に共振点を回避することができるフライホイール装置を提供するとともに、入力回転の急変動に対しても適切な捩り剛性を発揮することのできるフライホイール装置を提供することを目的とする。
本発明に係るフライホイール装置は、上記目的達成のため、(1)回転軸に連結される第1の慣性質量体と、前記回転軸に対し回転可能な第2の慣性質量体との間に、両慣性質量体を互いに回転伝動可能に係合させる係合機構を介在させたフライホイール装置において、前記第2の慣性質量体の慣性力を制御する慣性力制御手段と、前記第1の慣性質量体および前記第2の慣性質量体の間の前記係合機構を介した捩り特性を制御する捩り特性制御手段と、前記慣性力制御手段および前記捩り特性制御手段の作動を制御して、予め設定された設定回転速度に達しない低回転速度域では、前記第2の慣性質量体の慣性力を予め設定された設定慣性力以下に低減させるとともに、前記第1の慣性質量体および前記第2の慣性質量体の間の捩り剛性を予め設定された設定捩り剛性以上に高める特性制御手段と、を備えたことを特徴とする。
この構成により、低回転速度域での回転時には、第2の慣性質量体の慣性力を予め設定された設定慣性力以下に低減させるとともに、第1の慣性質量体および第2の慣性質量体の間の捩り剛性を予め設定された設定捩り剛性以上に高める特性制御がなされ、低回転速度域から高回転速度側に共振点が回避される。一方、中・高回転速度領域での回転時には、第2の慣性質量体の慣性力が設定慣性力以下に低減されるとともに第1の慣性質量体および第2の慣性質量体の間の捩り剛性が設定捩り剛性以上に高められる、ということがなく、低回転速度域側に共振点が回避されることになる。したがって、低回転速度域でも確実に共振点を回避することができるフライホイール装置となる。
また、本発明に係るフライホイール装置は、上記目的達成のため、(2)回転軸に連結される第1の慣性質量体と、前記回転軸に対し回転可能な第2の慣性質量体との間に、両慣性質量体を互いに回転伝動可能に係合させる係合機構を介在させたフライホイール装置において、前記第1の慣性質量体への入力回転について予め設定された変化率以上の急な回転速度変化を検出する急変動検出手段と、前記第2の慣性質量体の慣性力を制御する慣性力制御手段と、前記第1の慣性質量体および前記第2の慣性質量体の間の前記係合機構を介した捩り特性を制御する捩り特性制御手段と、前記急変動検出手段によって前記第1の慣性質量体への入力回転に前記予め設定された変化率以上の急な回転速度変化が検出されたとき、前記慣性力制御手段および前記捩り特性制御手段の作動を制御して、前記第2の慣性質量体の慣性力を予め設定された設定慣性力以下に低減させるとともに、前記第1の慣性質量体および前記第2の慣性質量体の間の捩り剛性を予め設定された設定捩り剛性以上に高める特性制御手段と、を備えたことを特徴とする。
この構成により、入力回転に予め設定された変化率以上の急な回転速度変化が検出されると、第2の慣性質量体の慣性力を予め設定された設定慣性力以下に低減させるとともに、第1の慣性質量体および第2の慣性質量体の間の捩り剛性を予め設定された設定捩り剛性以上に高める特性制御がなされ、捩り共振による過大な振動伝達が回避される。したがって、入力回転の急変動に対しても適切な捩り剛性を発揮することのできるフライホイール装置を提供することができる。
上記(1)または(2)の構成を有するフライホイール装置においては、(3)前記回転軸がエンジンの出力軸であり、前記設定回転速度が前記エンジンのアイドル回転数であるのがよい。
この構成により、機構的にはアイドル回転数以下の低回転速度域に共振点を持つデュアルマスタイプのフライホイール装置と類似しながらも、アイドル回転数以下の低回転速度域で運転される場合や急な加減速の場合に、特性制御によって第2の慣性質量体の慣性力を予め設定された設定慣性力以下に低減させるとともに、第1の慣性質量体および第2の慣性質量体の間の捩り剛性を予め設定された設定捩り剛性以上に高められ、捩り共振が回避される。
上記(1)〜(3)の構成を有するフライホイール装置においては、(4)前記慣性力制御手段が、前記回転軸を支持する支持体側から前記第2の慣性質量体の回転を選択的に抑制するとともに、該抑制の程度を変化させて前記第2の慣性質量体の慣性力を制御するのが好ましい。
この構成により、適切なタイミングで、第2の慣性質量体の回転を選択的に抑制して、第2の慣性質量体の慣性力を制御できる。
上記(4)の構成を有するフライホイール装置は、好ましくは、(5)前記慣性力制御手段が、前記回転軸を支持する支持体側に支持され、回転する前記第2の慣性質量体にうず電流を発生させて前記第2の慣性質量体の回転を抑制するものである。
この構成により、第2の慣性質量体の外周部から容易に慣性力が制御でき、慣性力制御手段の作動音や振動も生じない。
上記(1)〜(5)の構成を有するフライホイール装置においては、(6)前記捩り特性制御手段が、前記係合機構を介した前記第1の慣性質量体および前記第2の慣性質量体の間の前記捩り剛性と、前記係合機構を介した前記第1の慣性質量体および前記第2の慣性質量体の間の捩り減衰特性と、を制御するのが好ましい。
この構成により、低回転速度域でも急な加減速の場合でも、捩り共振を回避できる。
上記(6)の構成を有するフライホイール装置においては、(7)前記捩り特性制御手段が、前記第1の慣性質量体に支持された一方の磁石部および該一方の磁石部の近傍で前記第2の慣性質量体に支持された他方の磁石部を有し、該一方および他方の磁石部の間の磁力を可変制御することにより、前記捩り剛性と前記捩り減衰特性とを制御するのが好ましい。
この構成により、急な加減速の場合にも、確実に捩り共振を回避できる。
上記(1)〜(7)の構成を有するフライホイール装置においては、(8)前記特性制御手段によって前記第1の慣性質量体および前記第2の慣性質量体の間の捩り剛性が前記設定捩り剛性以上に高められるとき、前記第1の慣性質量体および前記第2の慣性質量体が前記係合機構を介して回転方向一体に係合するようにしても好ましい。
この構成により、例えばアイドル回転数以下では共振点のない従来のクラッチディスクのように、低回転速度域での特性が安定したものとなる。
上記(1)〜(8)の構成を有するフライホイール装置においては、(9)前記特性制御手段が、前記エンジンの爆発周期に対応する周期で、前記第1の慣性質量体の回転変動に対する前記第2の慣性質量体の回転変動の比を最小化する制御を実行するのがよい。
この構成により、回転変動を惹起するエンジンの爆発燃焼行程毎に振動伝達特性をきめ細かに制御でき、低回転速度域でも急な加減速の場合でも、捩り共振を回避できる有効なダンパ効果を発揮させることができる。
本発明のフライホイール装置によれば、低回転速度域での回転時には、第2の慣性質量体の慣性力を予め設定された設定慣性力以下に低減させるとともに、第1の慣性質量体および第2の慣性質量体の間の捩り剛性を予め設定された設定捩り剛性以上に高めるように特性を制御するので、低回転速度域でも確実に共振点を回避することができるフライホイール装置を提供することができる。
また、本発明のフライホイール装置によれば、入力回転に予め設定された変化率以上の急な回転速度変化が検出されると、第2の慣性質量体の慣性力を予め設定された設定慣性力以下に低減させるとともに、第1の慣性質量体および第2の慣性質量体の間の捩り剛性を予め設定された設定捩り剛性以上に高めるように特性を制御するので、入力回転の急変動に対しても適切な捩り剛性を発揮し、捩り共振を回避することのできるフライホイール装置を提供することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るフライホイール装置とそれを搭載した車両の振動系をモデル化して示す概略ブロック構成図であり、図2は、一実施形態に係るフライホイール装置の要部断面構成図であり、図3は、図2のA方向矢視図である。
まず、構成について説明する。
図1および図2に模式的に示すように、本実施形態のフライホイール装置は、クランク軸・補機系回転要素11と、第1の質量慣性体である第1フライホイール12と、後述する係合機構13と、クランク軸11aの軸端部に軸受11cを介して回転自在に支持された第2フライホイール14(第2の慣性質量体である)とを備えており、第2フライホイール14は係合機構13を介して第1フライホイール12に対し相対回転可能に係合している。
クランク軸・補機系回転要素11は、詳細は図示しないが、多気筒内燃エンジンの出力軸であるクランク軸11aと、クランク軸11aに駆動連結される回転負荷であるオルタネータやエアコンディショナ用コンプレッサ等の補機系(詳細図示せず)からなる。
第1フライホイール12は、回転軸であるクランク軸11aの出力端部側に一体に接続されており、その外周部に図示しないスタータモータのピニオンに噛合する始動用のリングギヤ12aが形成されている。
第2フライホイール14は、クランク軸11aの出力端部に軸受11cを介して回転可能に支持されており、その外周部に回転計測用の歯状の凹凸14bを有する環状板部14aを有している。
係合機構13は、機能的には、捩り剛性を生じる捩り弾性要素K1と、捩り系の減衰要素C1と、捩り特性にヒステリシスを生じさせる摩擦要素F1とで表わされる機構を有しており、第1フライホイール12と第2フライホイール14の相対回転を弾性的に抑制するように回転方向の付勢力を発生するとともに、第1フライホイール12と第2フライホイール14の間で相対回転(捩り)を許容しつつトルク伝達をなすようになっている。
また、第2フライホイール14には、クラッチカバー15、クラッチディスク16および変速機構17(ドライブシャフト慣性を含む)の慣性質量が接続されており、変速機構17には捩り剛性K2およびジョイント部の減衰要素C2を含むドライブシャフト18を介してタイヤ19(車輪)の慣性質量が接続され、さらにタイヤ19の捩り剛性K3および減衰機能C3を介して車両系慣性質量20が接続されている。
係合機構13は、捩り弾性要素K1としてのスプリングや、摩擦要素Fとしての摩擦面を併用するものであってもよいが、図2および図3に示すように、少なくとも1組の一方および他方の磁石部35、36を含んでいる。
これら一方および他方の磁石部35、36は、第1フライホイール12と第2フライホイール14の間で回転方向に対向するよう同一円周上に配置されており、一方の磁石部35は、第1フライホイール12に支持された電磁石によって構成されている。また、他方の磁石部36は、一方の磁石部35の近傍で第2フライホイール14に支持された電磁石によって構成されている。この場合、一方の磁石部35と他方の磁石部36のうち少なくとも一方が励磁されることで一方の磁石部35と他方の磁石部36を互いに吸引させることができ、一方の磁石部35と他方の磁石部36の双方が励磁されることで、その極性(電磁石コイルへの通電方向)に応じて一方の磁石部35と他方の磁石部36をより強く吸引させたり、一方の磁石部35と他方の磁石部36を互いに反発させたりすることができる。
なお、他方の磁石部36は、一方の磁石部35の近傍で第2フライホイール14に支持された永久磁石であってもよいし、永久磁石の両磁極側に軟磁性の磁性体を装着したものであってもよい。
一方の磁石部35は、第1フライホイール12に絶縁状態で装着された電気配線37aおよびクランク軸11aに絶縁状態で装着された導体リング37bを通して、電子制御ユニット30から給電・励磁されるようになっている。
また、他方の磁石部36は、第2フライホイール14に絶縁状態で装着された電気配線38a、第1フライホイール12と第2フライホイール14の間(あるいはクランク軸11aと第2フライホイール14の間)に介在する公知のスリップリング38b、第1フライホイール12に絶縁状態で装着された電気配線38cおよびクランク軸11aに絶縁状態で装着された導体リング38dを通して、電子制御ユニット30から給電・励磁されるようになっている。なお、一方および他方の磁石部35、36は、図2中に示すグランド側の導体リング39にもそれぞれ配線接続されている。
電子制御ユニット30は、詳細なハードウェア構成を図示しないが、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性のバックアップ用メモリに加えて、A/D変換器等を有する入力インターフェース回路と、ドライバ回路を有する出力インターフェース回路とを含み、さらに定電圧電源を含んで構成されている。
また、この電子制御ユニット30の入力インターフェース回路には、エンジン1に装着された各種のセンサ、例えば図1に示すように、吸入空気量を検出するエアフローメータ41、クランク軸の所定回転角度毎の回転(エンジン回転数)を検出するクランク角センサ42、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ43、車速を検出する車速センサ44、第1フライホイール12の所定角度毎の回転を検出する第1ホイール回転センサ45、第2フライホイール14の所定角度毎の回転を検出する第2ホイール回転センサ46、クラッチのON・OFFを検出するクラッチセンサ47、および、シフトレバーの操作位置を検出するシフト位置センサ48がそれぞれ接続されており、これらセンサ群からのセンサ情報が電子制御ユニット30に取り込まれるようになっている。また、図示しないが、この電子制御ユニット30の出力インターフェース回路には、インジェクタの他に、ディストリビュータを介して各点火プラグを駆動するイグナイタと、燃料ポンプをON・OFFさせるリレースイッチ回路等が接続されている。
電子制御ユニット30のCPUは、主としてROMに格納された制御プログラムに従って、RAMおよびバックアップメモリとの間でデータを授受しながら、入力インターフェース回路から取り込んだセンサ情報や予め設定された設定値情報、マップデータ等に基づいて演算処理を実行し、その結果に応じて出力インターフェース回路からの制御信号出力を行うことで、エンジンの電子制御を実行するようになっている。
すなわち、電子制御ユニット30は、通常、例えばエアフローメータ41及びクランク角センサ42のセンサ情報から得られるエンジン1回転当りの吸入空気量に基づいて、所定の目標空燃比となる燃料噴射量に相当するインジェクタの基本燃料噴射時間を演算し、この基本燃料噴射時間に最適空燃比となるよう各センサ信号に基づく補正処理を加え、適正な燃料噴射量で特定のクランク角に達する時点でインジェクタからの燃料噴射を実行するために、複数の制御値を算出する。また、電子制御ユニット30は、エンジンの運転状態に応じて、適正な点火時期やスロットル開度の制御等を実行するための複数の制御値をそれぞれ算出する。そして、電子制御ユニット30の出力インターフェース回路からインジェクタを駆動し、エンジン内での燃料噴射量を目標噴射量に制御するための燃料噴射信号や、イグナイタを介して点火プラグの点火を制御する点火信号、あるいは燃料ポンプをON・OFFさせるリレースイッチの切替信号等をそれぞれ出力する。
電子制御ユニット30は、上述の処理に加えて、以下に述べるように、本実施形態のフライホイール装置の特性制御を実行する機能を併有している。
すなわち、電子制御ユニット30は、第2フライホイール14の慣性力を制御する慣性力制御部31(慣性力制御手段)と、第1フライホイール12および第2フライホイール14の間の係合機構13を介した捩り特性を制御する捩り特性制御部32(捩り特性制御手段)と、これら慣性力制御部31および捩り特性制御部32の作動を制御してフライホイール特性を制御する特性制御部33(特性制御手段)と、の各機能を具備している。
慣性力制御部31は、クランク軸11aを支持する支持体51(例えば、シリンダブロック、またはこれと一体に結合されたトランスミッションケース)側から第2フライホイール14の回転を選択的に抑制するとともに、その抑制の程度を変化させて第2フライホイール14の慣性力を制御するようになっている。
具体的には、慣性力制御部31は、支持体51側に支持された電磁石52を励磁駆動する励磁駆動回路を含んでおり、電磁石52は、第2フライホイール14の環状板部14aを両面側から挟む略コの字型のヨーク52aおよびそれに巻回されたコイル52bを有している。また、電磁石52は、コイル52bに界磁発生電流が供給されるとき、回転する第2フライホイール14中にうず電流を発生させて第2フライホイール14の回転を抑制するもので、公知のうず電流式減速装置と同様な機能を有している。この場合、第2フライホイール14の回転速度を増加または減少させる回転変動入力に対し、第2フライホイール14の回転が抑制されることで、第2フライホイール14の慣性力が増加したのと同様な状態となり、第2フライホイール14の回転抑制が解除されるかその抑制力が低下することで、第2フライホイール14の慣性力が減少したのと同様な状態となる。これら慣性力制御部31、電磁石52および第2フライホイール14の環状板部14aは、全体として第2フライホイール14の慣性力を制御する慣性力制御手段を構成している。
捩り特性制御部32は、係合機構13を介した第1フライホイール12および第2フライホイール14の間の捩り剛性と、係合機構13を介した第1フライホイール12および第2フライホイール14の間の捩り減衰特性とを制御するようになっている。
具体的には、捩り特性制御部32は、一方の磁石部35と他方の磁石部36とを励磁駆動するとともにその駆動電流(界磁発生電流)の電流値および周波数を変化させて、これら一方および他方の磁石部35、36の間に作用する磁力を可変制御する励磁制御回路を含んでおり、一方および他方の磁石部35、36の間の磁力を可変制御することで第1フライホイール12および第2フライホイール14の間の捩り剛性および捩り減衰特性を制御できるようになっている。これら捩り特性制御部32、一方の磁石部35および他方の磁石部36は、全体として第1フライホイール12および第2フライホイール14の間の捩り特性を制御する捩り特性制御手段を構成している。
特性制御部33は、少なくともクランク角センサ42、アクセル開度センサ43、車速センサ44、第1ホイール回転センサ45および第2ホイール回転センサ46からのセンサ情報、すなわち、エンジン回転数、アクセル開度、車速、第1フライホイール12および第2フライホイール14の相対回転速度Δθ(=θ1−θ2;捩れ角)および回転変動ΔJ1、ΔJ2、並びに、点火信号に対応するエンジン爆発信号に基づいて、慣性力制御部31および捩り特性制御部32の作動を制御し、エンジン回転数が予め設定された設定回転速度、例えばアイドル回転数に達しない低回転速度域では、第2フライホイール14の慣性力を予め設定された設定慣性力以下に低減させるとともに、第1フライホイール12および第2フライホイール14の間の捩り剛性を予め設定された設定捩り剛性以上に高めるようになっている。なお、ここでの設定回転速度や設定捩り剛性は、例えば電子制御ユニット30のバックアップメモリ内に予め記憶されている。
また、特性制御部33は、第1フライホイール12および第2フライホイール14の間の捩り剛性を予め設定された設定捩り剛性以上に高めるときには、捩り特性制御部32により、一方の磁石部35と他方の磁石部36の駆動電流を予め設定された駆動電流値に変化させ、第1フライホイール12および第2フライホイール14が係合機構13を介して回転方向一体に係合するよう、一方の磁石部35と他方の磁石部36を作動させることができるようになっている。
また、電子制御ユニット30は、クランク角センサ42およびアクセル開度センサ43の検出情報に基づき、クランク軸11aから第1フライホイール12への入力回転について予め設定された変化率(すなわち、加速度または減速度)以上の急な回転速度変化を検出する急変動検出部34(急変動検出手段)を有しており、例えばチップイン入力のような急激なアクセルワーク時には、この急変動検出部34によって第1フライホイール12への入力回転の急な回転速度変化が検出されるようになっている。具体的には、急変動検出部34は、図5に示すように、アクセル開度の一定時間毎の変化率が予め設定したしきい値の変化率Sa以上になると、急加速・急減速領域のアクセルワークであると判定する。
そして、電子制御ユニット30の特性制御部33は、この急変動検出部34によって第1フライホイール12への入力回転に予め設定された変化率以上の急な回転速度変化が検出されると、例えば、クランク角センサ42、アクセル開度センサ43、車速センサ44、第1ホイール回転センサ45、第2ホイール回転センサ46、クラッチセンサ47およびシフト位置センサ48からのセンサ情報、すなわち、エンジン回転数、アクセル開度、車速、第1フライホイール12および第2フライホイール14の相対回転速度、すなわち一定時間毎の相対回転角Δθ(=θ1−θ2)、回転変動ΔJ1、ΔJ2、クラッチON・OFF信号、シフト位置信号、並びに、点火信号に対応するエンジン爆発信号に基づいて、慣性力制御部31および捩り特性制御部32の作動を制御し、第2フライホイール14の慣性力を予め設定された設定慣性力以下に低減させるとともに、第1フライホイール12および第2フライホイール14の間の捩り剛性を予め設定された設定捩り剛性以上に高めるようになっている。なお、ここでの設定慣性力および設定捩り剛性は、上述した低回転速度域における慣性力の低減および捩り剛性の増加のために用いる設定慣性力および設定捩り剛性(ここでは第1の設定慣性力および第1の設定捩り剛性という)と異なる設定範囲内で設定されており、第1の設定慣性力および第1の設定捩り剛性と同一または異なる値をとり得る第2の設定慣性力および第2の設定捩り剛性として、バックアップメモリ内に予め記憶格納されている。
特性制御部33は、また、エンジンの爆発周期に対応する制御周期で、第1ホイール回転センサ45および第2ホイール回転センサ46からの回転情報を入力して第1フライホイール12および第2フライホイール14の間の回転位相差である相対回転角Δθと回転変動ΔJ1、ΔJ2を検出し、これら相対回転角Δθ、回転変動ΔJ1、ΔJ2、点火信号(エンジン爆発信号)、車速、アクセル開度等に応じて、一方の磁石部35と他方の磁石部36に供給する界磁発生電流の電流値と周波数をそれぞれ制御するように、慣性力制御部31および捩り特性制御部32の作動を制御し、第1フライホイール12と第2フライホイール14の間のトルク変動の比、すなわち第1フライホイール12の回転変動に対する第2フライホイール14の回転変動の比ΔJ2/ΔJ1を最小化する制御をきめ細かに実行することで、捩り剛性および捩り減衰特性をそれぞれ制御することができるようになっている。
次に、動作について説明する。
(共振点の回避制御)
上述のように構成された本実施形態のフライホイール装置では、図4に示す設定回転速度NEth、例えばアイドル回転数に満たない低回転速度域でのエンジン回転状態においては、電子制御ユニット30の特性制御部33が、電磁石52による第2フライホイール14の回転抑制を解除させるかその抑制力を低下させるように慣性力制御部31を作動させることで、第2フライホイール14の慣性力が予め設定された設定慣性力(第1の設定慣性力)以下に低減される。また、これと並行して、特性制御部33が捩り特性制御部32を作動させ、例えば一方の磁石部35と他方の磁石部36の駆動電流を増加させて両者間の反発力を増大させることで、第1フライホイール12および第2フライホイール14の間の捩り剛性を予め設定された設定捩り剛性(第1の設定捩り剛性)以上に高めるという特性制御がなされる。
より具体的には、図6に示すように、点火信号の周期とほぼ同様の周期で生じる第1フライホイール12の回転変動(図6中ではJ1回転変動)に対応して第2フライホイール14の回転変動(図6中ではJ2回転変動)が生じるとき、特性制御部33では、第1フライホイール12と第2フライホイール14の回転速度差(一定時間毎の回転角度の差)から両フライホイール12、14間の一定時間毎の捩れ角である相対回転角Δθを算出し、その算出値が必要な慣性力に対応する適正な捩れ角値となるように、慣性力制御部31から電磁石52への供給電流値が操作されて電磁石52による第2フライホイール14の回転抑制力が制御されるとともに、一方の磁石部35と他方の磁石部36の駆動電流の電流値および周波数を操作するフィードバック制御が実行される。
この状態においては、図4中に点線DMFで示す従来のデュアルマスフライホイールのような低回転速度域での共振点は生じなくなり、図4中に点線C/Dで示す従来のクラッチディスクの低回転速度域での特性とほぼ同様に、低回転速度域での共振点が回避されることになる。しかも、第1フライホイール12および第2フライホイール14の共振現象を防止することで、低回転速度時の異音を防止するとともに耐久性を向上させることができ、両フライホイール12、14間の必要以上の捩れを抑制することで、車両のドライバビリティを向上させることができる。さらに、点火信号に基づき、エンジンの爆発燃焼に同期して特性制御することになるので、有効なダンパ効果を発揮させることができる。
一方、設定回転速度NEthを超える中・高回転速度領域でのエンジン回転状態になると、低回転速度域のように第2フライホイール14の慣性力が設定慣性力以下に低減されるとともに第1フライホイール12および第2フライホイール14の間の捩り剛性が設定捩り剛性以上に高められる、ということがなくなり、アイドル回転数を超える回転領域における従来のデュアルマスフライホイールと同様な制御状態となる。
この状態においては、従来のデュアルマスフライホイールと同様に低回転速度域側に共振点が存在することになり、中・高回転速度領域での共振点が回避されることになる。したがって、低回転速度域でも中・高回転速度領域でも確実に共振点を回避することができるフライホイール装置となる。
(加減速時のシャクリ・ショックの回避制御)
また、本実施形態においては、急変動検出部34によって入力回転に予め設定された変化率以上の急な回転速度変化、すなわち、図5に示す急加速・急減速領域となるような急なアクセルワークが検出されると、電子制御ユニット30の特性制御部33が、電磁石52による第2フライホイール14の回転抑制を解除させるかその抑制力を低下させるように慣性力制御部31を作動させることで、第2フライホイール14の慣性力が予め設定された設定慣性力(第2の設定慣性力)以下に低減される。また、これと並行して、特性制御部33が捩り特性制御部32を作動させ、一方の磁石部35と他方の磁石部36の駆動電流の電流値および周波数を変化させて、第1フライホイール12および第2フライホイール14の間の捩り剛性を予め設定された設定捩り剛性(第2の設定捩り剛性)以上に高めるという特性制御がなされる。
より具体的には、図6に示すように、点火信号の周期とほぼ同様の周期で生じる第1フライホイール12の回転変動(図6中ではJ1回転変動)に対応して第2フライホイール14の回転変動(図6中ではJ2回転変動)が生じるとき、特性制御部33では、第1フライホイール12と第2フライホイール14の回転速度差から両フライホイール12、14間の一定時間毎の捩れ角である相対回転角Δθを算出し、その算出値が必要な慣性力に対応する適正な捩れ角値となるように、慣性力制御部31から電磁石52への供給電流値が操作されて電磁石52による第2フライホイール14の回転抑制力が制御されるとともに、一方の磁石部35と他方の磁石部36の駆動電流の電流値および周波数を操作するフィードバック制御が実行される。
この状態においては、急な加減速による第1フライホイール12への過渡応答入力の変動領域からフライホイール装置の共振点が外れている状態となり、駆動系の捩り共振による過大な振動伝達が回避され、その捩り共振による車両前後方向へのシャクリ・ショックが防止できることになる。したがって、入力回転の急変動に対しても適切な捩り剛性を発揮することのできるフライホイール装置を提供することができる。しかも、第1フライホイール12および第2フライホイール14の共振現象を防止することで耐久性を向上させることができ、両フライホイール12、14間の必要以上の捩れを抑制することで、車両のドライバビリティを向上させることができる。さらに、点火信号に基づき、エンジンの爆発燃焼に同期して特性制御することになるので、回転変動入力に対し直接的に有効なダンパ効果を発揮させることができる。
このように、本実施形態では、機構的にはアイドル回転数以下の低回転速度域に共振点を持つデュアルマスタイプのフライホイール装置と類似しながらも、アイドル回転数以下の低回転速度域で運転される場合や急な加減速の場合に、それぞれ捩り特性制御部32および慣性力制御部31を用いる特性制御によって、第2フライホイール14の慣性力が予め設定された設定慣性力以下に低減されるとともに、第1フライホイール12および第2フライホイール14の間の捩り剛性が予め設定された設定捩り剛性以上に高められ、捩り共振が回避される。
また、本実施形態においては、慣性力制御部31が、クランク軸11aを支持する支持体51側から第2フライホイール14の回転を選択的に抑制するとともに、抑制の程度を変化させて第2フライホイール14の慣性力を制御するので、適切なタイミングで第2フライホイール14の回転を選択的に抑制し、適切なタイミングで第2フライホイール14の慣性力を制御できる。
さらに、慣性力制御部31が、クランク軸11aを支持する支持体51側に支持され、回転する第2フライホイール14にうず電流を発生させて第2フライホイール14の回転を抑制することから、第2フライホイール14の外周部側から容易に慣性力が制御でき、慣性力制御のために余計な作動音や振動が生じることもない。
また、捩り特性制御部32が、係合機構13を介した第1フライホイール12および第2フライホイール14の間の捩り剛性と、係合機構13を介した第1フライホイール12および第2フライホイール14の間の捩り減衰特性とをそれぞれ制御するので、低回転速度域でも急な加減速の場合でも、捩り共振を回避できる。しかも、捩り特性制御部32が、第1フライホイール12に支持された一方の磁石部35およびその近傍で第2フライホイール14に支持された他方の磁石部36を有し、一方および他方の磁石部35、36の発生磁力を可変制御することにより、捩り剛性と捩り減衰特性とを制御するので、急な加減速の場合にも、確実に捩り共振を回避できる。
また、第1フライホイール12および第2フライホイール14の間の捩り剛性が設定捩り剛性以上に高められるとき、第1フライホイール12および第2フライホイール14が係合機構13を介して回転方向一体に係合するように特性制御できるので、例えばアイドル回転数以下では共振点のない従来のクラッチディスクのように、低回転速度域での特性が安定したものにできる。
特性制御手段が、エンジンの爆発周期に対応する周期で、第1フライホイール12の回転変動に対する第2フライホイール14の回転変動の比を最小化する制御を実行するので、回転変動を惹起するエンジンの爆発燃焼行程毎に第1フライホイール12および第2フライホイール14の間の振動伝達特性をきめ細かに制御でき、低回転速度域でも急な加減速の場合でも、捩り共振を回避でき、ドライバビリティを向上させ得る有効なダンパ効果を発揮させることができる。
このように、本実施形態のフライホイール装置によれば、低回転速度域での回転時には、第2フライホイール14の慣性力を予め設定された設定慣性力以下に低減させるとともに、第1フライホイール12および第2フライホイール14の間の捩り剛性を予め設定された設定捩り剛性以上に高めるように特性を制御するので、低回転速度域でも確実に共振点を回避することができるフライホイール装置を提供することができる。また、入力回転に予め設定された変化率以上の急な回転速度変化が検出されると、第2フライホイール14の慣性力を予め設定された設定慣性力以下に低減させるとともに、第1フライホイール12および第2フライホイール14の間の捩り剛性を予め設定された設定捩り剛性以上に高めるように特性を制御するので、入力回転の急変動に対しても適切な捩り剛性を発揮し、捩り共振を回避することのできるフライホイール装置を提供することができる。
なお、上述の本実施形態においては、他方の磁石部36を電磁石としたが、他方の磁石部36は、既に述べたように、一方の磁石部35の近傍で第2フライホイール14に支持された永久磁石であってもよいし、永久磁石の両磁極側に軟磁性の磁性体を装着したものであってもよい。この場合、一方の磁石部35の非励磁状態で一方の磁石部35と他方の磁石部36を吸着させることもでき、一方の磁石部35の励磁状態で一方の磁石部35と他方の磁石部36の間の吸引力を弱めたり、一方の磁石部35と他方の磁石部36を反発させたりすることができる。すなわち、一方の磁石部35および他方の磁石部36が吸着し、第1フライホイール12と第2フライホイール14が一体的に回転する状態を、界磁発生電流の供給がされないでも達成し得る構成も考えられる。
また、上述の実施形態においては、電子制御ユニット30が、低回転速度域でのエンジン回転時にも、入力回転に予め設定された変化率以上の急な回転速度変化の検出時にも、第2フライホイール14の慣性力を設定慣性力以下に低減させるとともに、第1フライホイール12および第2フライホイール14の間の捩り剛性を設定捩り剛性以上に高めるように特性を制御するものとしたが、低回転速度域でのエンジン回転時のみ、あるいは、入力回転に予め設定された変化率以上の急な回転速度変化の検出時にのみ、そのような特性制御を実行するものであってもよい。さらに、上述の実施形態では、エンジンが火花点火式のものであったが、本発明のフライホイール装置は火花点火式でないエンジン(例えばディーゼルエンジン)にも適用可能であるとともに、内燃機関でない原動機の出力軸に装着されてもよい。また、ディーゼルエンジンの場合、インジェクタからのメイン噴射の周期(爆発燃焼の周期)に応じてフライホイール装置の特性制御を実行するようにすればよい。
以上説明したように、本発明に係るフライホイール装置は、低回転速度域での回転時には、第2の慣性質量体の慣性力を予め設定された設定慣性力以下に低減させるとともに、第1の慣性質量体および第2の慣性質量体の間の捩り剛性を予め設定された設定捩り剛性以上に高めるように特性を制御するので、低回転速度域でも確実に共振点を回避することができるフライホイール装置を提供することができ、あるいは、入力回転に予め設定された変化率以上の急な回転速度変化が検出されると、第2の慣性質量体の慣性力を予め設定された設定慣性力以下に低減させるとともに、第1の慣性質量体および第2の慣性質量体の間の捩り剛性を予め設定された設定捩り剛性以上に高めるように特性を制御するので、入力回転の急変動に対しても適切な捩り剛性を発揮し、捩り共振を回避することのできるフライホイール装置を提供することができるという効果を奏するものであり、フライホイール装置、特に回転軸に支持された第1の慣性質量体とそれに対し相対回転可能な第2の慣性質量体とを備えた所謂デュアルマスタイプのフライホイール装置全般に有用である。
本発明の一実施形態に係るフライホイール装置とそれを搭載した車両の振動系をモデル化して示す概略ブロック構成図である。 一実施形態に係るフライホイール装置の要部断面構成図である。 図2のA方向矢視図である。 本発明の一実施形態に係るフライホイール装置における特性制御の条件を示すグラフであり、縦軸がトルク変動伝達率を、横軸がエンジン回転数を示している。 本発明の一実施形態に係るフライホイール装置における捩り剛性の切り替え条件を示すグラフであり、縦軸が捩り剛性、横軸がアクセル開閉スピードを示している。 本発明の一実施形態に係るフライホイール装置における特性制御の内容を示すタイミングチャートであり、(a)は点火信号発生時期を、(b)は第1の慣性質量体の回転変動を、(c)は第2の慣性質量体の回転変動を、(d)はトルク変動伝達率の制御値をそれぞれ示している。
符号の説明
11 クランク軸・補機系回転要素
11a クランク軸(回転軸)
12 第1フライホイール(第1の慣性質量体)
13 係合機構
14 第2フライホイール(第2の慣性質量体)
14a 環状板部
30 電子制御ユニット
31 慣性力制御部(慣性力制御手段)
32 捩り特性制御部(捩り特性制御手段)
33 特性制御部(特性制御手段)
34 急変動検出部(急変動検出手段)
35 一方の磁石部(捩り特性制御手段)
36 他方の磁石部(捩り特性制御手段)
41 エアフローメータ
42 クランク角センサ(機関回転数検出手段)
43 アクセル開度センサ
44 車速センサ
45 第1ホイール回転センサ
46 第2ホイール回転センサ
47 クラッチセンサ
48 シフト位置センサ
51 支持体
52 電磁石(慣性力制御手段)
C1 減衰要素
F1 摩擦要素
K1 捩り弾性要素
ΔJ1 第1フライホイールの回転変動
ΔJ2 第2フライホイールの回転変動
Δθ 相対回転角(捩れ角)

Claims (9)

  1. 回転軸に連結される第1の慣性質量体と、前記回転軸に対し回転可能な第2の慣性質量体との間に、両慣性質量体を互いに回転伝動可能に係合させる係合機構を介在させたフライホイール装置において、
    前記第2の慣性質量体の慣性力を制御する慣性力制御手段と、
    前記第1の慣性質量体および前記第2の慣性質量体の間の前記係合機構を介した捩り特性を制御する捩り特性制御手段と、
    前記慣性力制御手段および前記捩り特性制御手段の作動を制御して、予め設定された設定回転速度に達しない低回転速度域では、前記第2の慣性質量体の慣性力を予め設定された設定慣性力以下に低減させるとともに、前記第1の慣性質量体および前記第2の慣性質量体の間の捩り剛性を予め設定された設定捩り剛性以上に高める特性制御手段と、を備えたことを特徴とするフライホイール装置。
  2. 回転軸に連結される第1の慣性質量体と、前記回転軸に対し回転可能な第2の慣性質量体との間に、両慣性質量体を互いに回転伝動可能に係合させる係合機構を介在させたフライホイール装置において、
    前記第1の慣性質量体への入力回転について予め設定された変化率以上の急な回転速度変化を検出する急変動検出手段と、
    前記第2の慣性質量体の慣性力を制御する慣性力制御手段と、
    前記第1の慣性質量体および前記第2の慣性質量体の間の前記係合機構を介した捩り特性を制御する捩り特性制御手段と、
    前記急変動検出手段によって前記第1の慣性質量体への入力回転に前記予め設定された変化率以上の急な回転速度変化が検出されたとき、前記慣性力制御手段および前記捩り特性制御手段の作動を制御して、前記第2の慣性質量体の慣性力を予め設定された設定慣性力以下に低減させるとともに、前記第1の慣性質量体および前記第2の慣性質量体の間の捩り剛性を予め設定された設定捩り剛性以上に高める特性制御手段と、を備えたことを特徴とするフライホイール装置。
  3. 前記回転軸がエンジンの出力軸であり、前記設定回転速度が前記エンジンのアイドル回転数であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフライホイール装置。
  4. 前記慣性力制御手段が、前記回転軸を支持する支持体側から前記第2の慣性質量体の回転を選択的に抑制するとともに、該抑制の程度を変化させて前記第2の慣性質量体の慣性力を制御することを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか1の請求項に記載のフライホイール装置。
  5. 前記慣性力制御手段が、前記回転軸を支持する支持体側に支持され、回転する前記第2の慣性質量体にうず電流を発生させて前記第2の慣性質量体の回転を抑制することを特徴とする請求項4に記載のフライホイール装置。
  6. 前記捩り特性制御手段が、前記係合機構を介した前記第1の慣性質量体および前記第2の慣性質量体の間の前記捩り剛性と、前記係合機構を介した前記第1の慣性質量体および前記第2の慣性質量体の間の捩り減衰特性と、を制御することを特徴とする請求項1ないし請求項5のうちいずれか1の請求項に記載のフライホイール装置。
  7. 前記捩り特性制御手段が、前記第1の慣性質量体に支持された一方の磁石部および該一方の磁石部の近傍で前記第2の慣性質量体に支持された他方の磁石部を有し、該一方および他方の磁石部の間の磁力を可変制御することにより、前記捩り剛性と前記捩り減衰特性とを制御することを特徴とする請求項6に記載のフライホイール装置。
  8. 前記特性制御手段によって前記第1の慣性質量体および前記第2の慣性質量体の間の捩り剛性が前記設定捩り剛性以上に高められるとき、前記第1の慣性質量体および前記第2の慣性質量体が前記係合機構を介して回転方向一体に係合することを特徴とする請求項1ないし請求項7のうちいずれか1の請求項に記載のフライホイール装置。
  9. 前記特性制御手段が、前記エンジンの爆発周期に対応する周期で、前記第1の慣性質量体の回転変動に対する前記第2の慣性質量体の回転変動の比を最小化する制御を実行することを特徴とする請求項1ないし請求項8のうちいずれか1の請求項に記載のフライホイール装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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