JP2009162651A - Fm信号の周波数偏移量測定方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 基準FM復調器を不要とする簡単な構成で、測定対象の変調周波数が1GHzを超えるFM信号の周波数偏移量を正確に求める。
【解決手段】 FM信号の搬送波周波数fcおよび変調周波数fmの情報を入力し、搬送波周波数fcの電力P0 、上側の第1側帯波周波数(fc+fm)の電力P+1、下側の第1側帯波周波数(fc−fm)の電力P-1を測定する第1のステップと、第1のステップで測定された各周波数成分の電力レベルから実効的なFM変調指数β2 を
β2 =(√P+1+√P-1)/√P0
の計算式により算出し、さらに周波数偏移量Δfmを
Δfm=β2 ×fm=(√P+1+√P-1)/√P0 ×fm
の計算式により算出する第2のステップとを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】 FM信号の搬送波周波数fcおよび変調周波数fmの情報を入力し、搬送波周波数fcの電力P0 、上側の第1側帯波周波数(fc+fm)の電力P+1、下側の第1側帯波周波数(fc−fm)の電力P-1を測定する第1のステップと、第1のステップで測定された各周波数成分の電力レベルから実効的なFM変調指数β2 を
β2 =(√P+1+√P-1)/√P0
の計算式により算出し、さらに周波数偏移量Δfmを
Δfm=β2 ×fm=(√P+1+√P-1)/√P0 ×fm
の計算式により算出する第2のステップとを有する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、FM変調指数βfmが 0<βfm≦0.1 の範囲で周波数変調されたFM信号の周波数偏移量を測定するFM信号の周波数偏移量測定方法および装置に関する。
まず、FM信号について説明する。
周波数fcの搬送波を周波数fmの変調信号で周波数変調したFM信号の瞬時周波数fFMは
fFM=fc+Δfm cos(2πfmt)
で表されることから、FM信号の時間波形EFMは
EFM=cos(∫2πfFMdt) …(1-0)
=cos(2πfct+βfmsin(2πfmt)) …(1-1)
で表され、さらにベッセル関数を用いて
EFM=ΣJn(βfm) cos(2πfc+2πnfm)t …(1-2)
で表される(nは−∞から+∞)。
周波数fcの搬送波を周波数fmの変調信号で周波数変調したFM信号の瞬時周波数fFMは
fFM=fc+Δfm cos(2πfmt)
で表されることから、FM信号の時間波形EFMは
EFM=cos(∫2πfFMdt) …(1-0)
=cos(2πfct+βfmsin(2πfmt)) …(1-1)
で表され、さらにベッセル関数を用いて
EFM=ΣJn(βfm) cos(2πfc+2πnfm)t …(1-2)
で表される(nは−∞から+∞)。
ここで、βfmはFM変調指数であり、変調周波数fmおよび周波数偏移量Δfmを用いて
βfm=Δfm/fm …(2)
で表される。ここで、周波数偏移量ΔfmはFM変調による搬送波周波数からの周波数振れ幅の最大値を表し、一般的に
Δfm=mfm・V(t) …(3)
で表される。ここで、V(t) は変調信号の入力電圧の時間変動、mfmは周波数偏移量Δfmの入力信号電圧依存性を表す比例係数である。
βfm=Δfm/fm …(2)
で表される。ここで、周波数偏移量ΔfmはFM変調による搬送波周波数からの周波数振れ幅の最大値を表し、一般的に
Δfm=mfm・V(t) …(3)
で表される。ここで、V(t) は変調信号の入力電圧の時間変動、mfmは周波数偏移量Δfmの入力信号電圧依存性を表す比例係数である。
式(3) よりFM変調器への変調信号の入力電圧が高いほど、周波数偏移量Δfmも大きくなり、逆に入力電圧が低くなれば周波数偏移量Δfmも小さくなる。また、式(2) および式(3) より、
βfm=mfm・V(t)/fm …(4)
となり、所定のFM変調指数βfmを得るために必要となるFM変調器への入力電圧は、変調周波数fmが高いほど大きくなる。
βfm=mfm・V(t)/fm …(4)
となり、所定のFM変調指数βfmを得るために必要となるFM変調器への入力電圧は、変調周波数fmが高いほど大きくなる。
以下、FM信号の周波数偏移量Δfmを測定する従来の測定方法について、図4〜図8を参照して説明する。
[1] 図4は、従来の周波数偏移量測定系の構成を示し、FM変調器12は、変調信号源11から周波数fm0 の変調信号を入力し、周波数fcの搬送波を周波数変調する。
[2] FM変調器12から出力されるFM信号をスイッチ13を介してスペクトラムアナライザ14に入力し、FM信号の周波数スペクトルをモニタする。観測されるFM信号の周波数スペクトル例を図5に示す。
[1] 図4は、従来の周波数偏移量測定系の構成を示し、FM変調器12は、変調信号源11から周波数fm0 の変調信号を入力し、周波数fcの搬送波を周波数変調する。
[2] FM変調器12から出力されるFM信号をスイッチ13を介してスペクトラムアナライザ14に入力し、FM信号の周波数スペクトルをモニタする。観測されるFM信号の周波数スペクトル例を図5に示す。
[3] 変調信号源11から出力する変調信号電圧を徐々に上げていき、FM変調器12から出力されるFM信号の搬送波周波数成分がなくなる変調信号電圧を設定する。このとき、FM変調指数βfmは理論的にβfm=2.405 であるので、式(2) より周波数偏移量Δfm0 は
Δfm0 =2.405×fm0 …(5)
として算出される(非特許文献1)。
Δfm0 =2.405×fm0 …(5)
として算出される(非特許文献1)。
[4] [3] の状態で、スイッチ13を切り替えてFM変調器12から出力されるFM信号を基準FM復調器15に入力し、基準FM復調器15から出力されるFM復調信号をスペクトラムアナライザ16に入力し、周波数fm0 のFM復調信号電力P0 を測定する。
[5] 変調信号源11から出力する変調信号電圧を任意に設定し、そのときの基準FM復調器15の出力信号電力P1 を測定する。
[6] 設定した変調信号電圧に対する周波数偏移量Δfm1 は、
Δfm1 =Δfm0 ×√(P1/P0) [MHz/ch0-p] …(6)
として算出される。
[5] 変調信号源11から出力する変調信号電圧を任意に設定し、そのときの基準FM復調器15の出力信号電力P1 を測定する。
[6] 設定した変調信号電圧に対する周波数偏移量Δfm1 は、
Δfm1 =Δfm0 ×√(P1/P0) [MHz/ch0-p] …(6)
として算出される。
なお、図4の構成では測定する周波数領域が異なることから2つのスペクトラムアナライザ14,16を用いたが、測定対象周波数がFM信号およびFM復調信号ともにカバーしていれば同じスペクトラムアナライザを用いてもよい。
また、[3] において、FM信号の搬送波周波数成分と上下の第1側帯波周波数成分が等しくなる変調信号電圧を設定した場合はβfm=1.435 であるので、それを用いても同様に変調信号源11に設定した変調信号電圧に対する周波数偏移量Δfm1 を算出することができる(非特許文献1)。
ところで、図4に示す周波数偏移測定系はFM変調器12の出力が電気信号の場合であるが、FM変調器の出力が光強度信号の場合もある。FM変調器出力が光信号となる具体例としては、光ファイバを伝送路に使用するアクセス系通信システムであるFTTH(Fiber To The Home) ネットワークを介して、CATVのような多チャネルの映像信号を配信するFM一括変換型光映像配信システムの光送信機がある。この光送信機の構成例を図6に示す。
図6において、図外の変調信号源から光送信機100に入力する変調信号は、CATV信号のような周波数多重された多チャネル映像信号であり、例えば最大周波数は 770MHzである。光送信機100のFM変調器12は、この変調信号で周波数が約3GHzの搬送波を周波数変調する。FM変調器12から出力されるFM信号(電気信号)は、電気/光変換器17で光強度信号に変換して出力される。このような光送信機100に対して、FM信号の周波数偏移量を測定するには、図4に示す周波数偏移量測定系のFM変調器12を光送信機100に置き換え、図7に示すように光送信機100の出力段に光/電気変換器18を挿入することにより、上記の [1]〜[6] と同様の測定方法により設定した変調信号電圧に対する周波数偏移量を測定することができる。
菅原鼎山、「FM無線工学」、日刊工業新聞社、昭和34年10月10日、pp.377-378
菅原鼎山、「FM無線工学」、日刊工業新聞社、昭和34年10月10日、pp.377-378
従来のFM信号の周波数偏移量測定方法では、一度、変調信号電圧を徐々に上げて電力スペクトルにおける搬送波周波数成分がなくなる点、または搬送波周波数成分と上下の第1側帯波周波数成分が等しくなる点で測定を行う必要がある。このときに必要となる変調信号電圧は、式(4) に示すように変調周波数に比例することから、測定対象の変調周波数が高くなると、必要な変調信号レベルも高くなってしまう課題があった。特に、実際にはFM変調指数βfmが小さい領域(<<1)で動作させるFM変調器について周波数偏移量を測定する場合でも、一度、βfm=2.405 またはβfm=1.435 の場合を測定する必要があった。
また別な課題として、FM変調器からスペクトラムアナライザまでの間の伝送路で、FM信号が受ける周波数特性の影響がある。本課題について、現在実用化されているFM一括変換型の光映像配信システムの光送信機を例に以下に説明する。
図6に示す光送信機100は、周波数3GHzの搬送波をCATV信号のような多チャネル映像信号で周波数変調して送信する構成であり、本装置で周波数1〜2GHzを有するBS/CS−IF帯を伝送する場合、下側の第1側帯波周波数は1〜2GHz、上側の第1側帯波周波数は4〜5GHzに存在する。このような上下側帯波周波数成分が数GHzに拡散した信号の周波数スペクトルを測定する場合、FM信号がスペクトラムアナライザに入力するまでの間の伝送路で、伝送路の周波数特性の影響を受ける。また、光送信機100ではFM信号を生成し、電気/光変換して出力するが、内蔵する電気/光変換器での周波数特性の影響も受ける。これらの影響により、FM信号の周波数スペクトルを測定する際に、FM信号の各側帯波成分のレベルにアンバランスが生じる。
周波数3GHzの搬送波を2GHzの変調信号で周波数変調した場合の周波数特性の影響を図8に示す。図8(1) はFM信号に対する伝送路の周波数特性(減衰特性の周波数依存性)を示し、図8(2) はFM信号の周波数スペクトルを示す。図8に示すように、1GHzに現れる下側の第1側帯波成分と、5GHzに現れる上側の第1側帯波成分とでは、一般にFM変調器からスペクトラムアナライザまでの間の損失は5GHz成分の方が大きくなることから、上下の側帯波レベルは等しくならない。
ところで、従来のFM信号の周波数偏移量測定方法において、FM信号の搬送波周波数成分と上下の第1側帯波周波数成分が等しくなる場合で、必要な変調信号電力も小さくてすむFM変調指数がβfm=1.435 の場合を紹介したが、この方法は上下側帯波のレベルが等しいことを前提としている。したがって、伝送路の周波数特性によって上下側帯波のレベルが異なる場合は、正確に周波数偏移量を求めることが難しい。
また、従来のFM信号の周波数偏移量測定装置は、基準FM復調器が不可欠であり、測定対象周波数がFM信号およびFM復調信号の各周波数領域に対応するスペクトラムアナライザが必要になっていた。
本発明は、基準FM復調器を不要とする簡単な構成で、測定対象の変調周波数が1GHzを超えても必要な変調信号電圧を低く抑え、さらに各側帯波成分にアンバランスが生じるような伝送路の周波数特性の影響を受けるた場合でも、正確に周波数偏移量を求めることが可能なFM信号の周波数偏移量測定方法および装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、周波数fcの搬送波を周波数fmの変調信号により、FM変調指数βfmが、 0<βfm≦0.1 の範囲で周波数変調するFM変調器が出力するFM信号の周波数偏移量Δfmを測定する周波数偏移量測定方法において、FM信号の搬送波周波数fcおよび変調周波数fmの情報を入力し、搬送波周波数fcの電力P0 、上側の第1側帯波周波数(fc+fm)の電力P+1、下側の第1側帯波周波数(fc−fm)の電力P-1を測定する第1のステップと、第1のステップで測定された各周波数成分の電力レベルから実効的なFM変調指数β2 を
β2 =(√P+1+√P-1)/√P0
の計算式により算出し、さらに周波数偏移量Δfmを
Δfm=β2 ×fm=(√P+1+√P-1)/√P0 ×fm
の計算式により算出する第2のステップとを有する。
β2 =(√P+1+√P-1)/√P0
の計算式により算出し、さらに周波数偏移量Δfmを
Δfm=β2 ×fm=(√P+1+√P-1)/√P0 ×fm
の計算式により算出する第2のステップとを有する。
また、第1のステップで、FM信号の搬送波周波数fcの電力P0 と、下側の第1側帯波周波数(fc−fm)の電力P-1の電力比が26dB以上であれば、FM変調器のFM変調指数 βfmが 0<βfm≦0.1 の範囲にあることを確認し、第2のステップに入るようにしてもよい。
第2の発明は、周波数fcの搬送波を周波数fmの変調信号により、FM変調指数βfmが、 0<βfm≦0.1 の範囲で周波数変調するFM変調器が出力するFM信号の周波数偏移量Δfmを測定する周波数偏移量測定装置において、FM信号の搬送波周波数fcおよび変調周波数fmの情報を入力し、搬送波周波数fcの電力P0 、上側の第1側帯波周波数(fc+fm)の電力P+1、下側の第1側帯波周波数(fc−fm)の電力P-1を測定する測定手段と、測定手段で測定された各周波数成分の電力レベルから実効的なFM変調指数β2 を
β2 =(√P+1+√P-1)/√P0
の計算式により算出し、さらに周波数偏移量Δfmを
Δfm=β2 ×fm=(√P+1+√P-1)/√P0 ×fm
の計算式により算出する演算手段とを備える。
β2 =(√P+1+√P-1)/√P0
の計算式により算出し、さらに周波数偏移量Δfmを
Δfm=β2 ×fm=(√P+1+√P-1)/√P0 ×fm
の計算式により算出する演算手段とを備える。
また、演算手段は、測定手段で測定されるFM信号の搬送波周波数fcの電力P0 と、下側の第1側帯波周波数(fc−fm)の電力P-1の電力比が26dB以上であれば、FM変調器のFM変調指数βfmが 0<βfm≦0.1 の範囲にあることを確認し、計算式に基づいてFM信号の周波数偏移量Δfmを算出する構成としてもよい。
本発明の周波数偏移量測定方法および装置を用いることにより、FM変調器に入力する変調信号の周波数が1GHzを超えるような場合でも、変調信号電圧を低く抑えながらFM信号の周波数偏移量を測定することができる。
また、本発明の周波数偏移量測定方法および装置を用いることにより、FM信号の伝送路に周波数特性があり、各側帯波成分に非対象が生じた場合でも、正確にFM信号の周波数偏移量を測定することができる。
また、本発明の周波数偏移量測定方法および装置を用いることにより、FM一括変換型光映像配信システムなどにおいて、従来の周波数偏移量測定方法では必要であった基準となるFM復調器が不要となり、光送信機(FM変調器)単体での周波数偏移量の測定が可能である。すなわち、従来方法はFM信号スペクトル測定およびFM復調信号スペクトル測定が必要であったが、本発明によりFM信号スペクトル測定のみで周波数偏移量を測定することができる。
(本発明の周波数偏移量測定装置の実施形態)
図1は、本発明の周波数偏移量測定装置の実施形態を示す。
図において、FM変調器12は、変調信号源11から周波数fmの変調信号を入力し、周波数fcの搬送波を周波数変調する。FM変調器12から出力されるFM信号は、スペクトラムアナライザ機能部21および演算処理部22で構成される本発明の周波数偏移量測定装置20に入力される。
図1は、本発明の周波数偏移量測定装置の実施形態を示す。
図において、FM変調器12は、変調信号源11から周波数fmの変調信号を入力し、周波数fcの搬送波を周波数変調する。FM変調器12から出力されるFM信号は、スペクトラムアナライザ機能部21および演算処理部22で構成される本発明の周波数偏移量測定装置20に入力される。
周波数偏移量測定装置20には、入力するFM信号の搬送波周波数fcと変調周波数fmの情報が与えられる。スペクトラムアナライザ機能部21は、入力するFM信号の搬送波周波数fcの電力P0 、上側の第1側帯波周波数(fc+fm)の電力P+1、下側の第1側帯波周波数(fc−fm)の電力P-1を測定する。ここで、FM信号の搬送波周波数fcの電力P0 と、下側の第1側帯波周波数(fc−fm)の電力P-1の電力比が26dB以上であり、FM変調器12のFM変調指数βfmが 0<βfm≦0.1 の範囲にあることが確認できれば、演算処理部22での演算処理に移行する。
演算処理部22は、スペクトラムアナライザ機能部21で測定された各周波数成分の電力レベルP0 、P+1、P-1から実効的なFM変調指数β2 を
β2 =(√P+1+√P-1)/√P0 …(7)
の計算式により算出し、さらに周波数偏移量Δfmを
Δfm=β2 ×fm=(√P+1+√P-1)/√P0 ×fm …(8)
の計算式により算出する。
β2 =(√P+1+√P-1)/√P0 …(7)
の計算式により算出し、さらに周波数偏移量Δfmを
Δfm=β2 ×fm=(√P+1+√P-1)/√P0 ×fm …(8)
の計算式により算出する。
なお、スペクトラムアナライザ機能部21からFM信号の各周波数成分の電力測定値を入力する演算処理部22の機能は、ハードウェアまたはソフトウェアのいずれによっても実現することができる。
以下、本発明の周波数偏移量測定方法および装置において、FM信号の搬送波周波数fcの電力P0 と、下側の第1側帯波周波数(fc−fm)の電力P-1の電力比が26dB以上であり、FM変調器12のFM変調指数βfmが 0<βfm≦0.1 の範囲にあるときに、実効的なFM変調指数β2 および周波数偏移量Δfmが式(7),(8) で近似算出できる理由について説明する。
周波数fcの搬送波を周波数fmの変調信号で周波数変調したFM信号の時間波形EFMは上記の式(1-2) で表される。式(1-2) における各周波数成分のエネルギーの総和は1であるので、全周波数成分まで伝送した場合の信号エネルギーに対する上下第1側帯波成分までを伝送した場合の信号エネルギーの比αは、
α=[(J0(βfm))2+(J1(βfm))2 +(J-1(βfm))2]/1×100 〔%〕 …(9)
で表され、FM変調指数βfmを変化させた場合のαの変化は図2のようになる。
α=[(J0(βfm))2+(J1(βfm))2 +(J-1(βfm))2]/1×100 〔%〕 …(9)
で表され、FM変調指数βfmを変化させた場合のαの変化は図2のようになる。
図2から、搬送波成分および上下第1側帯波成分まで伝送した場合に、βfm≦0.3 で全信号エネルギーの99.9%以上を伝送でき、βfm≦0.1 で全信号エネルギーの99.999%以上を伝送できることがわかる。したがって、FM変調指数βfmが 0<βfm≦0.1 の範囲にあれば、式(1-2) で表されるFM信号は、搬送波成分および上下第1側帯波成分のみで近似し、
EFM=J0(βfm) cos(2πfct)+J1(βfm) cos(2π(fc+fm)t)
+J-1(βfm) cos(2π(fc−fm)t) …(10)
で表すことができる。ここで、βfm=0.1 のとき、搬送波成分に対応するJ0(βfm) と、下側の第1側帯波成分に対応するJ-1(βfm) の電力比は、
10log(J0(βfm)/J-1(βfm))2=10log(0.9975/-0.0499)2 =26(dB) …(11)
であることから、搬送波性成分と下側の第1側帯波成分の電力比が26(dB)以上であれば、本近似を行ってもその影響はほとんどないとみなすことができる。
EFM=J0(βfm) cos(2πfct)+J1(βfm) cos(2π(fc+fm)t)
+J-1(βfm) cos(2π(fc−fm)t) …(10)
で表すことができる。ここで、βfm=0.1 のとき、搬送波成分に対応するJ0(βfm) と、下側の第1側帯波成分に対応するJ-1(βfm) の電力比は、
10log(J0(βfm)/J-1(βfm))2=10log(0.9975/-0.0499)2 =26(dB) …(11)
であることから、搬送波性成分と下側の第1側帯波成分の電力比が26(dB)以上であれば、本近似を行ってもその影響はほとんどないとみなすことができる。
次に、FM変調指数βfmが 0<βfm≦0.1 の範囲における搬送波成分および上下第1側帯波成分のエネルギー分布について示す。
式(10)で表されるFM信号は、FM変調器12からスペクトラムアナライザ機能部21までの間の伝送路の周波数特性によって各スペクトル成分のレベルに変動が生じた場合、周波数fc、fc−fm、fc+fmにおける電圧変動をそれぞれk0、k1- 、k1+ とすると、スペクトラムアナライザ機能部21で測定される時間波形は、
EFM=k0・J0(βfm) cos(2πfct)+k1+・J1(βfm) cos(2π(fc+fm)t)
+k1-・J-1(βfm) cos(2π(fc−fm)t)
=k0・J0(βfm) cos(2πfct)+k1+・J1(βfm) cos(2π(fc+fm)t)
−k1-・J1(βfm) cos(2π(fc−fm)t) …(12)
と表される。
EFM=k0・J0(βfm) cos(2πfct)+k1+・J1(βfm) cos(2π(fc+fm)t)
+k1-・J-1(βfm) cos(2π(fc−fm)t)
=k0・J0(βfm) cos(2πfct)+k1+・J1(βfm) cos(2π(fc+fm)t)
−k1-・J1(βfm) cos(2π(fc−fm)t) …(12)
と表される。
式(12)を三角関数を用いて合成すると、
EFM=A(t)cos(2πfct+θ(t)) …(13)
となる。ただし、
A(t) = [{k0・J0(βfm)+(k1-−k1+)・J1(βfm)cos(2πfmt)}2
+{(k1-+k1+)・J1(βfm)sin(2πfmt)}2]1/2 …(14)
θ(t) =tan-1[{(k1-+k1+)・J1(βfm)sin(2πfmt)}/{k0・J0(βfm)
+(k1-−k1+)・J1(βfm)cos(2πfmt)}] …(15)
である。
EFM=A(t)cos(2πfct+θ(t)) …(13)
となる。ただし、
A(t) = [{k0・J0(βfm)+(k1-−k1+)・J1(βfm)cos(2πfmt)}2
+{(k1-+k1+)・J1(βfm)sin(2πfmt)}2]1/2 …(14)
θ(t) =tan-1[{(k1-+k1+)・J1(βfm)sin(2πfmt)}/{k0・J0(βfm)
+(k1-−k1+)・J1(βfm)cos(2πfmt)}] …(15)
である。
ここで、
x(t) ={(k1-+k1+)・J1(βfm)sin(2πfmt)}/{k0・J0(βfm)
+(k1-−k1+)・J1(βfm)cos(2πfmt)} …(16)
とおくと、k0・J0(βfm) >>(k1-±k1+)・J1(βfm) の場合には、
tan-1(x(t))≒x(t)
の近似が成り立つことから、式(14)で示す位相項θ(t) は、
θ(t) ={(k1-+k1+)・J1(βfm)sin(2πfmt)}/{k0・J0(βfm)} …(17)
のように近似することができる。
x(t) ={(k1-+k1+)・J1(βfm)sin(2πfmt)}/{k0・J0(βfm)
+(k1-−k1+)・J1(βfm)cos(2πfmt)} …(16)
とおくと、k0・J0(βfm) >>(k1-±k1+)・J1(βfm) の場合には、
tan-1(x(t))≒x(t)
の近似が成り立つことから、式(14)で示す位相項θ(t) は、
θ(t) ={(k1-+k1+)・J1(βfm)sin(2πfmt)}/{k0・J0(βfm)} …(17)
のように近似することができる。
式(1-1) で与えられたFM信号の位相項と式(17)を比較すると、上下第1側帯波成分まで伝送した場合の実効的なFM変調指数β2 は、
β2 =(k1-+k1+)・J1(βfm)/{k0・J0(βfm)} …(18)
となる。
β2 =(k1-+k1+)・J1(βfm)/{k0・J0(βfm)} …(18)
となる。
この式(18)で示される実効的なFM変調指数β2 は次のように説明することができる。分母のk0・J0(βfm) は、スペクトラムアナライザ機能部21で測定される搬送波の電圧レベル、分子の(k1-+k1+)・J1(βfm) は、上下第1側帯波の電圧レベルの和を表しており、図1に示すように、搬送波および上下第1側帯波の電力レベルをそれぞれP0 、P+1、P-1とすると、式(7) に示すβ2 の関係式が得られることになる。
ここで、以上の搬送波および上下第1側帯波の電力レベルP0 、P+1、P-1から実効的なFM変調指数β2 を求め、さらに式(8) に示す周波数偏移量Δfmを求めた場合について検証する。
一般的な伝送路として50Ωの同軸ケーブル1mを想定し、搬送波周波数fc=3GHz、変調周波数fm=2GHz、搬送波成分と下側の第1側帯波成分の電力比が26dB(FM変調指数βfm=0.1 )のFM信号の周波数偏移量を測定するものとする。この場合、FM信号の下側の第1側帯波周波数は1GHz、上側の第1側帯波周波数は5GHzである。50Ωの同軸ケーブルとして、Fujikura社製の同軸ケーブル(型番8D-2V )を用いると、搬送波および上下第1側帯波の各周波数における損失は、k0=0.97、k1-≒0.98、k1+≒0.95程度になる。
このとき、
k0・J0(βfm) =0.97×0.9975=0.9676
(k1-+k1+)・J1(βfm) =(0.98+0.95)×0.0499=0.0963
(k1-−k1+)・J1(βfm) =(0.98−0.95)×0.0499=0.0015
となるので、式(17)の近似に用いたk0・J0(βfm) >>(k1-±k1+)・J1(βfm) の条件を満たし、上記の計算方法の適用範囲となり、実効的なFM変調指数β2 は、
β2 =(k1-+k1+)・J1(βfm)/(k0・J0(βfm))
=0.0963/0.9676
=0.0995(≒0.1 )
と求めることができる。したがって、上記の計算方法によってほとんど誤差なくFM変調指数を求めることができることがわかる。
k0・J0(βfm) =0.97×0.9975=0.9676
(k1-+k1+)・J1(βfm) =(0.98+0.95)×0.0499=0.0963
(k1-−k1+)・J1(βfm) =(0.98−0.95)×0.0499=0.0015
となるので、式(17)の近似に用いたk0・J0(βfm) >>(k1-±k1+)・J1(βfm) の条件を満たし、上記の計算方法の適用範囲となり、実効的なFM変調指数β2 は、
β2 =(k1-+k1+)・J1(βfm)/(k0・J0(βfm))
=0.0963/0.9676
=0.0995(≒0.1 )
と求めることができる。したがって、上記の計算方法によってほとんど誤差なくFM変調指数を求めることができることがわかる。
ところで、図1に示す周波数偏移測定系はFM変調器12の出力が電気信号の場合であるが、FM変調器を内蔵する光送信機の出力が光信号の場合もある。この光送信機は、FM変調器から出力されるFM信号(電気信号)を電気/光変換器で光強度信号に変換して出力する。このようなFM信号の周波数偏移量を測定するには、図3に示すように、光変調器と電気/光変換器からなる光送信機100の出力段に光/電気変換器18を挿入することにより、上記の測定方法によりFM信号の周波数偏移量を測定することができる。
11 変調信号源
12 FM変調器
13 スイッチ
14,16 スペクトラムアナライザ
15 基準FM復調器
17 電気/光変換器
18 光/電気変換器
20 周波数偏移量測定装置
21 スペクトラムアナライザ機能部
22 演算処理部
100 光送信機
12 FM変調器
13 スイッチ
14,16 スペクトラムアナライザ
15 基準FM復調器
17 電気/光変換器
18 光/電気変換器
20 周波数偏移量測定装置
21 スペクトラムアナライザ機能部
22 演算処理部
100 光送信機
Claims (4)
- 周波数fcの搬送波を周波数fmの変調信号により、FM変調指数βfmが 0<βfm≦0.1 の範囲で周波数変調するFM変調器が出力するFM信号の周波数偏移量Δfmを測定する周波数偏移量測定方法において、
前記FM信号の搬送波周波数fcおよび変調周波数fmの情報を入力し、搬送波周波数fcの電力P0 、上側の第1側帯波周波数(fc+fm)の電力P+1、下側の第1側帯波周波数(fc−fm)の電力P-1を測定する第1のステップと、
前記第1のステップで測定された各周波数成分の電力レベルから実効的なFM変調指数β2 を
β2 =(√P+1+√P-1)/√P0
の計算式により算出し、さらに前記周波数偏移量Δfmを
Δfm=β2 ×fm=(√P+1+√P-1)/√P0 ×fm
の計算式により算出する第2のステップと
を有することを特徴とするFM信号の周波数偏移量測定方法。 - 請求項1に記載のFM信号の周波数偏移量測定方法において、
前記第1のステップで、前記FM信号の搬送波周波数fcの電力P0 と、前記下側の第1側帯波周波数(fc−fm)の電力P-1の電力比が26dB以上であれば、前記FM変調器のFM変調指数βfmが 0<βfm≦0.1 の範囲にあることを確認し、前記第2のステップに入る
ことを特徴とするFM信号の周波数偏移量測定方法。 - 周波数fcの搬送波を周波数fmの変調信号により、FM変調指数βfmが 0<βfm≦0.1 の範囲で周波数変調するFM変調器が出力するFM信号の周波数偏移量Δfmを測定する周波数偏移量測定装置において、
前記FM信号の搬送波周波数fcおよび変調周波数fmの情報を入力し、搬送波周波数fcの電力P0 、上側の第1側帯波周波数(fc+fm)の電力P+1、下側の第1側帯波周波数(fc−fm)の電力P-1を測定する測定手段と、
前記測定手段で測定された各周波数成分の電力レベルから実効的なFM変調指数β2 を
β2 =(√P+1+√P-1)/√P0
の計算式により算出し、さらに前記周波数偏移量Δfmを
Δfm=β2 ×fm=(√P+1+√P-1)/√P0 ×fm
の計算式により算出する演算手段と
を備えたことを特徴とするFM信号の周波数偏移量測定装置。 - 請求項3に記載のFM信号の周波数偏移量測定装置において、
前記演算手段は、前記測定手段で測定される前記FM信号の搬送波周波数fcの電力P0 と、前記下側の第1側帯波周波数(fc−fm)の電力P-1の電力比が26dB以上であれば、前記FM変調器のFM変調指数βfmが 0<βfm≦0.1 の範囲にあることを確認し、前記計算式に基づいて前記FM信号の周波数偏移量Δfmを算出する構成である
ことを特徴とするFM信号の周波数偏移量測定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008001348A JP2009162651A (ja) | 2008-01-08 | 2008-01-08 | Fm信号の周波数偏移量測定方法および装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|
JP2009162651A true JP2009162651A (ja) | 2009-07-23 |
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ID=40965430
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JP2008001348A Pending JP2009162651A (ja) | 2008-01-08 | 2008-01-08 | Fm信号の周波数偏移量測定方法および装置 |
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Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62186073U (ja) * | 1986-05-19 | 1987-11-26 | ||
JP2001119097A (ja) * | 1999-10-20 | 2001-04-27 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | Fmレーザ及びfm一括変換器並びにその歪み測定方法 |
JP2006287446A (ja) * | 2005-03-31 | 2006-10-19 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | Fm変調方法及び装置、並びに光送信方法及び装置 |
-
2008
- 2008-01-08 JP JP2008001348A patent/JP2009162651A/ja active Pending
Patent Citations (3)
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JP2006287446A (ja) * | 2005-03-31 | 2006-10-19 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | Fm変調方法及び装置、並びに光送信方法及び装置 |
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