JP2009161869A - ポリエステル糸条 - Google Patents

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Abstract

【課題】 織編物に優れた滑り性を付与することができ、織編物をアルカリ減量してもその優れた滑り性を維持することができると共に繊維内での剥離現象が生じ難い、新規なポリエステル糸条を提供する。
【解決手段】 球状微粒子を均一に0.1〜10.0質量%含有する成分が少なくとも横断面外側部分に配される共に、当該成分の複合比率が55.0%以上である繊維から構成されるポリエステル糸条。本発明では、特に、前記繊維が球状微粒子を含有する成分のみからなる態様が好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、優れた機能を有する新規なポリエステル糸条に関するものである。さらに詳しくは、織編物に優れた滑り性を付与できると共に、織編物をアルカリ減量しても繊維内での剥離現象が生じ難いポリエステル糸条に関するものである。
従来から、ナイロン、ポリエステルといった合成繊維を用いた織編物が衣服用途に幅広く用いられている。中でもポリエステルは改質加工が比較的容易であるため、様々な機能を付与する試みがなされている。
一例として、衣服を着用した際の快適性を向上させるために、織編物の滑り性を改良する試みがある。
具体的には、繊維表面にポリスルフォン系化合物からなる半球状や半楕円状の凸部を有する熱可塑性繊維を用いて、織編物の滑り性を改良する提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、この繊維では、凸部の頂上近傍が平坦であるため、繊維と身体との接触面積が増え、ひいては織編物の滑り性が低減するという問題があり、さらに、凸部の一部が半楕円状であるため、織編物の全方向ではなく特定方向にしか滑り性が付与されないという問題があった。
これらの問題を解決するため、鞘成分に球状粒子を含有させることで繊維表面に凸部を形成させてなる芯鞘型複合繊維を用いて、織編物の滑り性を改良する提案がなされている(例えば、特許文献2参照)。
特公昭63−3048号公報 特開平8−188923号公報
上記の芯鞘型複合繊維では、繊維表面における凸部が球状粒子から形成されているため、この繊維を用いれば、織編物の滑り性をある程度改良することは理論上可能である。
しかしながら、織編物には、一般に相応の風合いも必要とされるため、通常、製造過程でアルカリ減量加工などの風合い向上手段を採用する。この点、上記の芯鞘型複合繊維では、繊維中に占める鞘成分の割合が元来低いことに加え、織編物をアルカリ減量することでさらに繊維中の鞘成分が溶出除去される結果、当該鞘成分の厚みが非常に薄くなってしまう。そうすると、織編物に加わった外力により、鞘成分が繊維から剥離することがある。そればかりか、織編物の風合いをより柔らかくする目的でアルカリ減量を幾分進め過ぎた場合、繊維中に占める鞘成分の割合が極端に低下する、もしくは鞘成分自体が完全に除去されてしまい、織編物の滑り性を向上させるという、本来の目的が達成され難くなるという問題がある。
本発明は、このような現状に鑑みて行われたものであり、織編物に優れた滑り性を付与することができ、織編物をアルカリ減量してもその優れた滑り性を維持することができると共に繊維内での剥離現象が生じ難い、新規なポリエステル糸条を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、球状微粒子を含有する成分を繊維中の少なくとも横断面外側部分に所定量配置させることにより、織編物に優れた滑り性を付与でき、さらに、織編物をアルカリ減量しても繊維内での剥離現象が生じ難い、新規なポリエステル糸条が提供できることを知見し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の構成を要旨とするものである。
(1)球状微粒子を均一に0.1〜10.0質量%含有する成分が少なくとも横断面外側部分に配される共に、当該成分の複合比率が55.0%以上である繊維から構成されることを特徴とするポリエステル糸条。
(2)前記繊維が、球状微粒子を均一に0.1〜10.0質量%含有する成分のみからなることを特徴とする上記(1)記載のポリエステル糸条。
(3)球状微粒子が、シリカ微粉末及び/又はフッ素化合物からなる微粉末であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載のポリエステル糸条。
(4)球状微粒子の平均一次粒径が、繊維直径に対し0.002〜0.300倍であることを特徴とする上記(1)〜(3)いずれかに記載のポリエステル糸条。
(5)球状微粒子の平均一次粒径が、1.0〜10.0μmであることを特徴とする上記(1)〜(4)いずれかに記載のポリエステル糸条。
本発明のポリエステル糸条は優れた機能を有する糸条であり、特に織編物に優れた滑り性を付与できる。そして、本発明によれば、織編物をアルカリ減量しても滑り性を良好に維持することができ、さらに、繊維内における剥離現象も抑えることができる。
また、本発明のポリエステル糸条は、繊維表面の形態を種々工夫することにより、織編物に対し滑り性以外の特性も付与することができる。例えば、繊維表面に陥没部を形成することにより、織編物の発色性を向上させることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、フィラメント糸条を対象とするものである。具体的には、ポリエステル繊維から構成される糸条を対象とし、ポリエステル繊維を形成する素材として、繊維形成性のポリエステルポリマーを用いる。
かかるポリエステルポリマーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリ乳酸及びこれらのポリマーを主体とするコポリマーなどがあげられる。特に、ポリ乳酸としては、D体、L体の他、両者を構成するそれぞれのモノマーを共重合して得られるポリDL乳酸や、両者を混合して得られるポリ乳酸ステレオコンプレックスも使用可能である。また、発明の効果を損なわない範囲であれば、上記ポリマー中に各種添加剤を含有させてもよい。例えば、かかる添加剤として、帯電防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、抗菌剤、消臭剤、導電性付与剤、艶消剤、顔料の他、酸化チタン、酸化ケイ素、炭化ジルコニウムなどの無機微粒子などがあげられる。
本発明のポリエステル糸条は、上記ポリマーからなるポリエステル繊維から構成される。本発明では、このポリエステル繊維が発明の効果に大きな影響を及ぼすため、特定の構成を具備するポリエステル繊維を使用する。理由は後述するが、当該ポリエステル繊維として、球状微粒子を含有するものを用いる。
球状微粒子としては、織編物の滑り性を向上させうるものであれば、特に限定されるものでないが、好ましくは球状シリカ微粉末及び/又はフッ素化合物からなる球状微粉末を採用する。
フッ素化合物としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体)、PVF(ポリフッ化ビニル)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)などがあげられ、特にPTFEが好ましく採用される。これらの微粒子は、摩擦係数が低く、織編物の滑り性をより向上させる点で好ましい。
球状微粒子の平均一次粒径としては、繊維直径に対し0.002〜0.300倍であることが好ましく、同時に1.0〜10.0μmであることがより好ましい。
この球状微粒子は、織編物の滑り性を向上させるために用いられるものである。つまり、織編物中に含まれるポリエステル繊維の表面に該微粒子からなる突出部を形成させ、これにより織編物の滑り性を向上させるのである。したがって、本発明においては、用いるポリエステル繊維として、該微粒子を少なくとも横断面外側部分に含む繊維を使用する。言い換えれば、本発明における繊維は、横断面外側部分に球状微粒子を含むものでさえあればよく、横断面内側部分は球状微粒子を含んでいても含んでいなくてもよく、ましてや内側と外側部分とに異種のポリエステルポリマーを適用してもよいのである。しかしながら、これらのような所謂芯鞘構造を採用した場合、製造過程の一つたる紡糸延伸の際に、芯を形成しうる成分と、鞘を形成しうる成分との間に分子配向差が生じることがあり、結果、繊維とした後に両者が剥離し易くなる場合がある。繊維内において両者が剥離した場合、織編物の滑り性の他、種々の力学的特性に支障をきたすこともさることながら、織編物の発色性についても白ボケ感が増す点で好ましくない。しかるに、本発明における繊維としては、コスト面を考慮し所謂芯鞘構造を採用してよいものの、上記の点を考慮し、好ましくは繊維内における所謂鞘部分を比較的肉厚なものとし、より好ましくは球状微粒子を均一に含有する単一種のポリマーのみを使用して繊維全体を形成させる。
本発明のポリエステル糸条は、このように球状微粒子を少なくとも横断面外側部分に含む繊維からなるものである。つまり、球状微粒子を含有する成分が少なくとも鞘部分に配された繊維から構成されるポリエステル糸条が本発明の糸条である。
本発明の主たる作用効果は、織編物へ優れた滑り性を付与できる点にあり、これは、基本的に上記繊維中の特定部分に球状微粒子が含有されるという構成により奏されるものである。ここで、優れた滑り性とは、具体的に、織編物の全方向に渡って滑らかな感覚に富むことをいう。この点、本発明に用いる微粒子は球状であるため、滑り性が織編物方向によって変化し難くなる。同様に滑り性が織編物方向によって変化するのを抑える観点から、上記球状微粒子を含有する成分には、微粒子を均一に含ませる必要がある。さらに、織編物に滑らかな感覚を付与する観点から、当該成分中に球状微粒子を0.1〜10.0質量%含ませる必要がある。
また、本発明により奏される滑り性は、織編物に対しアルカリ減量を進行させた場合であっても良好さを保ちうる点で、従来のものとは異なる。アルカリ減量は、織編物の風合いを向上させるために行うものである。一般にアルカリ減量を進行させればさせるほど、織編物の風合いは、柔らかくなる傾向にある。したがって、本発明では、この点を考慮し、アルカリ減量を進行させることにより、相当量ポリエステルポリマーが溶出除去されると共に球状微粒子も相当量除去された場合であっても、良好な滑り性を維持させる点、並びに前述した織編物の発色性を良好なものにする点を考慮し、球状微粒子を含有する成分の繊維断面積中に占める面積比率(複合比率)として、55.0%以上であることが必要である。
本発明のポリエステル糸条は、このように織編物に優れた滑り性を付与できるものである。織編物へ滑り性を付与することは、繊維表面に球状微粒子からなる突出部を形成させることにより可能である。これは、繊維表面に突出部を形成させると、摩擦対象物との接触面積が減少するからである。繊維表面に突出部を形成することは、一般に、繊維内で球状微粒子を支持するポリエステルポリマーをアルカリ減量により所定量溶出除去することにより可能である。
本発明では、滑り性向上の観点から、該突出部の高さとして、繊維直径に対し2.0%以上が好ましく、5.0%以上がより好ましい。また、同突出部の密度としては、同様の観点から、10μm四方に1個以上であることが好ましい。
ここで付言すると、本発明は、織編物に優れた滑り性を付与しうる糸条を対象とするものであるから、当然、繊維表面に球状微粒子からなる突出部を予め形成させたものに限定されない。つまり、アルカリ減量やそれに代わる手段により、同突出部を形成させうるものであれば、どのような態様も包含されるのである。例えば、製織編前にあっては丸断面の繊維からなる糸条であっても、アルカリ減量もしくはその他の手段により繊維表面に同突出部を形成できるものであれば、この糸条も本発明の一態様に含まれるのである。
さらに、本発明のポリエステル糸条は、繊維表面の形態を種々工夫することにより、織編物に対し滑り性以外の特性も付与することができる。例えば、繊維表面に陥没部を形成することにより、織編物の発色性を向上させることができる。これは、かかる陥没部に入射した光が、乱反射や吸収反射などを繰り返すからである。なお、繊維表面に陥没部を形成させることは、織編物の吸水拡散性をも向上させる。
繊維表面に上記陥没部を形成させる手段としては、例えば、繊維内で球状微粒子を支持するポリエステルポリマーをアルカリ減量により所定量溶出除去することで、繊維表面から球状微粒子を剥落させ、もって繊維表面に半球状の陥没部を形成させることができる。
上記陥没部の深さとしては、繊維直径に対し1.0%以上が好ましく、3.0%以上がより好ましい。また、同陥没部の密度としては、30μm四方に1個以上であることが好ましい。
ここで、念のため指摘するが、本発明は、予め繊維表面に陥没部を形成させた糸条に限定されるものでない。したがって、例えば、製織編前にあっては丸断面の繊維からなる糸条であっても、アルカリ減量もしくはその他の手段により繊維表面に同陥没部を形成できるものであれば、この糸条も本発明の一態様に含まれるのである。
本発明のポリエステル糸条は、以上のような構成を有することにより、織編物に優れた滑り性を付与できる。また、本発明によれば、織編物をアルカリ減量しても当該滑り性を良好に維持できるばかりか、繊維内における剥離現象も抑えることができる。さらに、繊維表面に陥没部を形成すれば織編物の発色性を向上させることもできる。
次に、本発明を実施例により説明する。なお、各特性値の測定は、下記手段に準じた。
1.球状微粒子を含有する成分の複合比率
まず、光学顕微鏡を用いて、染色加工後の織編物から抜き取ったポリエステル糸条の断面写真を撮影した。次に、糸条を構成する繊維20本につき、当該成分の繊維断面積中に占める面積比率を撮影写真から求め、これらの平均値を当該複合比率とした。
2.球状微粒子平均一次粒径の繊維直径に対する比
まず、光学顕微鏡を用いて、染色加工後の織編物から抜き取ったポリエステル糸条の断面写真を撮影し、糸条を構成する繊維20本につき直径を求め、その平均を繊維直径とした。これを基に、球状微粒子平均一次粒径の繊維直径に対する比R(R=平均一次粒径/繊維直径)を算出した。
3.繊維内における剥離現象の観察
まず、市販のマイクロスコープを用いて、染色加工後の織編物から抜き取ったポリエステル糸条の断面写真を撮影した。次に、繊維横断面において内側部分と外側部分とが剥離しているか撮影写真を観察し、その結果を下記3段階で評価した。
○:剥離が確認できなかった。
△:剥離がわずかに確認できた。
×:剥離が散見された。
4.繊維表面における突出部の高さとその密度
まず、走査型電子顕微鏡を用いて、染色加工後の織編物から抜き取った繊維の表面に形成された突出部30箇所を撮影した。次に、撮影された画像をコンピューターにより解析し、これらの平均値を当該突出部の高さとした。
一方、突出部の密度については、同様に走査型電子顕微鏡を用いて、同繊維表面の異なる10箇所につき10μm四方あたりの突出部の個数を数え、これらの平均値を当該突出部の密度とした。
5.繊維表面における陥没部の深さとその密度
撮影対象を突出部に代えて陥没部とする以外は、突出部の高さを測定する手段と同様に行い、当該陥没部の深さを求めた。
一方、陥没部の密度についても、撮影対象を突出部に代えて陥没部とする以外は、突出部の場合と同様に行い、当該陥没部の密度を求めた。
6.織編物の滑り性
まず、底面積が50cm、質量が1kgであるスライダーの底面に染色加工後の織編物を取り付けた後、擬似皮膚として予め準備した牛革シートの上に、織編物を取り付けた面が接するように載置した。次に、引張試験機を用いて、このスライダーを水平方向に500mm/分で移動させたときの負荷を測定し、得られた測定値をスライダーの質量で除して、当該織編物の滑り性とした。
7.織編物の発色性
染色加工後の織編物につき、鮮明性、白ボケ感の有無を目視で総合判定し、その結果を優(◎)から劣(×)の4段階で評価した。
(実施例1)
平均一次粒径2.60μmの球状シリカ微粉末を1.5質量%含有する、極限粘度0.58のPETを、通常の方法に準じて乾燥した後、押出機に供給し、紡糸温度292℃で溶融紡糸した。そして、紡糸された糸条束を空気流により冷却した後、オイリング装置を通過させることで糸条束に油剤を0.5質量%付着させた。その後、糸条束を集束ガイドに導いて集束させ、交絡処理の後、紡糸速度3250m/分で引取って、126dtex36fの未延伸糸を得た。
続いて、得られた未延伸糸を通常の手段で延伸し、84dtex36fたる本発明のポリエステル糸条を得た。なお、この糸条を構成する繊維の直径は、14.7μmであった。
次に、上記のポリエステル糸条を用いて平組織の織物を製織した後、通常の手段に準じて染色加工し、経糸密度105本/2.54cm、緯糸密度82本/2.54cmの織物を得た。ここで、上記染色加工はアルカリ減量加工を含むものであり、減量率を20%とした。
(実施例2)
実施例1で用いた球状シリカ微粉末含有PETと、極限粘度0.58のPETとを複合紡糸型押出機に供給して、紡糸温度292℃で溶融し、前者が鞘に後者が芯に配されるように設定された紡糸口金を用いて溶融紡糸した。そして、紡糸された糸条束を空気流により冷却した後、オイリング装置を通過させることで糸条束に油剤を0.5質量%付着させた。その後、糸条束を集束ガイドに導いて集束させ、交絡処理の後、紡糸速度3250m/分で引取って、126dtex36fの未延伸糸を得た。
続いて、得られた未延伸糸を通常の手段で延伸し、84dtex36fたる本発明のポリエステル糸条を得た。ここで、得られた糸条を構成する繊維にあっては、球状シリカ微粉末を含有するPETが横断面外側部分に配されており、かかるPETの複合比率は、60.0%であった。
(実施例3)
染色加工におけるアルカリ減量加工を省く以外は、実施例1と同様にして織物を得た。
(比較例1)
球状シリカ微粉末を含有するPETの複合比率を60.0%に代えて50.0%とする以外は、実施例2と同様にして84dtex36fのポリエステル糸条、並びにこの糸条を用いた織物を得た。
(比較例2)
平均一次粒径2.60μmの球状シリカ微粉末に代えて平均一次粒径2.00μmの球状でないポリスルフォン微粉末を用いる以外は、実施例1と同様にして84dtex36fのポリエステル糸条、並びにこの糸条を用いた織物を得た。
以上の実施例、比較例及び参考例で得られた繊維、織物の評価測定結果を下記表1に示す。
表1から明らかなように、実施例における織物は、いずれも滑り性に優れるものであった。詳しくは、実施例1で得られた糸条は、繊維内における剥離現象が確認されず、また、当該糸条を用いてなる織物は、発色性にも優れるものであった。また、実施例2では、所謂芯鞘構造を呈する繊維を採用したため、ごく一部の繊維に剥離現象が認められ、それに伴い、織物表面に白ボケ感が幾分認められた。そして、実施例3にかかる織物は、アルカリ減量加工せずに得られたものである。しかし、ポリエステル繊維表面に、球状シリカ微粉末からなる突出部が予め形成されていたため、織物の滑り性は良好であった。ただ、織物をアルカリ減量加工していないため、繊維表面に形成される突出部や陥没部は、実施例1にかかる繊維ほど顕著ではなく、その結果、織物の滑り性や発色性は実施例1と比べやや劣るものであった。
一方、比較例1で得られた糸条は、繊維内において球状微粒子を含有する成分の複合比率が適正でないため、剥離現象が散見された。その結果、織物表面に白ボケ感がはっきりと認められた。
また、比較例2では、球状でない微粒子を用いたため、実施例1の場合と比べ、織物の滑り性が劣る結果となった。

Claims (5)

  1. 球状微粒子を均一に0.1〜10.0質量%含有する成分が少なくとも横断面外側部分に配される共に、当該成分の複合比率が55.0%以上である繊維から構成されることを特徴とするポリエステル糸条。
  2. 前記繊維が、球状微粒子を均一に0.1〜10.0質量%含有する成分のみからなることを特徴とする請求項1記載のポリエステル糸条。
  3. 球状微粒子が、シリカ微粉末及び/又はフッ素化合物からなる微粉末であることを特徴とする請求項1又は2記載のポリエステル糸条。
  4. 球状微粒子の平均一次粒径が、繊維直径に対し0.002〜0.300倍であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のポリエステル糸条。
  5. 球状微粒子の平均一次粒径が、1.0〜10.0μmであることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のポリエステル糸条。
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Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58180613A (ja) * 1982-04-09 1983-10-22 Kuraray Co Ltd 微粒子分散ポリエステル系繊維及びその製造法
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