JP2009161253A - プリフォ−ムの殺菌方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】容器メーカでプリフォームを供給し、食品メーカでプリフォームをボトルに成形し、そのボトルの内外面を殺菌して無菌充填を行うPETボトルの無菌充填方法において、ボトルの殺菌工程を小型化し、生産コストを低減する。
【解決手段】容器メーカでプリフォーム1を作製し、そのプリフォーム1の内面に、過酸化水素水溶液を揮発性溶剤で希釈したH22溶液11を滴下し、これをコンテナ3に入れて蓋4で密閉して食品メーカに搬入する。プリフォーム1に滴下したH22溶液11は、輸送、保管中にコンテナ内で揮発性溶剤と共に気化し、気化したH22蒸気11aがプリフォーム1内外面を殺菌する。このプリフォームから成形されたボトルは微生物汚染が非常に少ないので、PETボトルの殺菌負荷が少なくなり、殺菌工程が小型化し生産コストが低減する。
【選択図】図3

Description

本発明は、果汁飲料、コーヒー飲料、その他の清涼飲料水等をポリエチレンテレフタレート製ボトル(以下PETボトルという)や紙容器に無菌充填する際、PETボトル、PETボトル用プリフォーム、又は紙容器等の容器を殺菌するための殺菌方法に関するものである。
従来、果汁飲料、コーヒー飲料等を無菌充填する場合、それに使用する容器又は蓋材等の包装材料は、内容物を充填する前に、予め殺菌する必要がある。
そのため、従来は、PETボトル等のプラスチック容器等の成形容器の殺菌方法として、以下のような方法が使用されている。
成形したPETボトルを無菌充填機に供給して、無菌充填機内で、殺菌剤として過酸化水素水溶液を容器にスプレーし、その後乾燥して容器を殺菌し、内容物を無菌充填する方法がある。
また、PETボトル成形時にボトルの内面に少量の殺菌剤を滴下し、口部を密封して気化した殺菌剤(過酸化水素)の蒸気によってボトルの内面を殺菌し、この殺菌ボトルを無菌充填機に供給して、無菌充填機内でボトルの外面を殺菌した後、口部を開封して内容物を無菌充填する方法が開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4等参照。)。
PETボトルは、射出成形によりプリフォームを製造し、そのプリフォームをブロー成形機で延伸ブローして作製されるが、プリフォームは260〜280℃で射出成形されるので、加熱殺菌された状態にある。
その加熱殺菌されたプリフォームを利用して、プリフォームの射出成形、ボトルのブロー成形、内容物の無菌充填を一体化してこれらの装置を無菌チャンバーで囲うことにより、PETボトルの殺菌を実施しない方法も開示されている(例えば、特許文献5参照。)。
プリフォームを殺菌、洗浄し、その後無菌環境下でブロー成形して無菌のPETボトルを作製し、このPETボトルに無菌充填する方法も開示されている(例えば、特許文献6参照。)。
また、過酸化水素水溶液を沸点以上に加熱して気化し、この気体状の過酸化水素を空気中に噴霧し、過酸化水素を凝縮させて微細なミストにして容器に付着させ、これを乾燥させることで容器を殺菌する方法が使用されている。
特開昭63−281937号公報 特開平1−167031号公報報 特開平1−254523号公報 特開平8−244729号公報 特開平8−164925号公報 特開平8−282789号公報
しかし、特許文献1に係る方法は、最終形態のPETボトルを無菌充填機内で殺菌するために、PETボトルの無菌性については一番信頼性が高かったが、ボトル成形メーカーから嵩張るボトルを梱包し、輸送する必要がある。
そのため、輸送コスト、倉庫スペース等の物流に関連する問題があり、製品コストの低減が大きな課題となっていた。
また、PETボトルを輸送する際に、微生物による汚染、特にPETボトルの口部天面への微生物汚染が避けられず、微生物汚染が多い場合は、無菌充填機内での殺菌に負荷がかかり、殺菌条件を厳しくする必要があった。
次に、特許文献2〜4に係る場合は、PETボトルの成形直後に、ボトルが未だ清浄な状態で殺菌剤を滴下して密封し、ボトル内面を殺菌するので、殺菌効率のよい殺菌方法であるが、輸送コスト、倉庫スペース等の物流では、上記の特許文献1に係る方法の場合と同じ問題を抱えている。
上記物流対策として開発されたのが、PETボトルは供給せずに、容器製造メーカーからはブロー成形前のプリフォームと呼ばれるボトルの前駆体を供給し、飲料メーカ(ユーザ)が、工場内でボトルを成形し、そのボトルをインラインで無菌充填機に供給して、内容物を無菌充填する方法で、前述の特許文献5および特許文献6に係る方法である。
しかし、特許文献5に係る方法は、プリフォームを成形する射出成形から内容物の無菌充填までを無菌チャンバー内に入れて一体化しているために、プリフォームを成形する射出成形機、プリフォームをブロー成形するブロー成形機、内容物を充填、密封する無菌充填機が全て順調に稼動する必要があり、一旦どれかの機械にトラブルが発生すると、システム全体が停止するので、システム全体の稼働率の低下につながると共に、再稼動時に、システム全体の滅菌に多大の時間と労力を必要として、運用面で非常に困難であった。
また、特許文献6に係る場合は、プリフォームを殺菌装置で殺菌後、ブロー成形機で無菌的にブロー成形し、その無菌ボトルに無菌充填する方法を採用しているので、プリフォームの殺菌装置が必要であると共に、ブロー成形機を無菌仕様にする必要がある。
そのため、装置全体が大形化して設備費が増大するとと共に、安定して無菌性を維持することは非常に困難である。
本発明は、プリフォームを供給してボトルをブロー成形し、該ボトルの内外面を殺菌して内容物を無菌充填するPETボトルのインライン無菌充填方式において、プリフォームの付着菌数を極力減少することにより、成形ボトルの殺菌負荷を低減して殺菌効率を高め、それによって無菌充填製品の不良率を低減することを目的にして、プリフォームを納入前に、予備的に殺菌処理する方法を提供するものである。
即ち、プリフォームを食品メーカ(ユーザ)に納入する前に殺菌し、殺菌したプリフォームを供給することにより、成形ボトルの微生物汚染度を極端に少なくし、PETボトルの殺菌効率を高めたものである。
また、プリフォームの予備殺菌を行う際に、殺菌剤として過酸化水素をエチルアルコール等の揮発性溶剤で希釈したものを使用することにより、過酸化水素溶液がプリフォーム内面に速やかに拡がり、内面に薄い被膜を形成するので、過酸化水素の蒸発速度が促進されて、従来の過酸化水素水溶液に比較して、殺菌時間が短縮され、また、プリフォームを完全に密封する必要がなくなり、作業工程が簡略化され、作業能率を向上させることができた。
上記問題を解決するため、容器の殺菌方法を以下のようした。
即ち、プラスチック製成形容器、紙容器等の容器の内面に過酸化水素水溶液を滴下し、該過酸化水素水溶液が気化して容器内面を殺菌する容器の殺菌方法において、前記過酸化水素水溶液をエチルアルコール、メチルアルコール、アセトン、イソプロピルアルコール等の揮発性の溶剤、又はこれらの混合溶剤で希釈して調製した過酸化水素溶液を容器内面に滴下したことを特徴とする容器の殺菌方法とした。
また、前記殺菌する容器が、射出成形法でプリフォームを製造し、該プリフォームをブロー成形機でブローボトルに成形し、該ブローボトルに滅菌した内容物を無菌的に充填、密封するボトルの無菌充填システムに用いられるプリフォームであることを特徴とする容器の殺菌方法とした。
そして、前記射出成形法で製造したプリフォームの内面に、前記揮発性溶剤で希釈した過酸化水素溶液を滴下し、該プリフォームをコンテナに収納し、該コンテナを輸送中、又は保管中に、プリフォームの内面に滴下した過酸化水素溶液が気化し、気化した過酸化水素蒸気によりプリフォームの内面を殺菌することを特徴とする容器の殺菌方法とした。
更に、前記殺菌に用いられる過酸化水素濃度が、0.1〜10重量%であり、更にまた、前記容器内面に滴下する過酸化水素の量が0.05〜100μlであることを特徴とする容器の殺菌方法とした。
即ち、本発明においては、プラスチック製成形容器、紙容器等の容器の内面を殺菌する方法として、殺菌剤として過酸化水素水溶液をエチルアルコール、メチルアルコール、アセトン、イソプロピルアルコール等の揮発性の溶剤、又はこれらの混合溶剤で希釈した溶液を用い、この過酸化水素の希釈溶液を容器内面に滴下し、この容器を、プラスチック製の袋、段ボール、コンテナー等の外装材で包装して、蒸発した過酸化水素が揮散しない程度の密閉形態に維持し、容器内面に滴下した過酸化水素が希釈溶剤と共に気化し、その過酸化水素蒸気で容器内面を殺菌させる方法とした。
そして、過酸化水素水溶液を揮発性の溶剤で希釈することにより、過酸化水素溶液がプリフォーム内面に速やかに拡がり、内面に薄い被膜が形成されるので、過酸化水素の蒸発速度が促進されて、過酸化水素水溶液に比較して、容器内面の殺菌時間を短縮することができた。
また、過酸化水素水溶液を用いて紙カップ等の紙容器の内面を殺菌する場合、紙容器の胴部と底部のヒートシール部や胴貼り部の間隙には過酸化水素蒸気が浸透しにくく、その部分の完全殺菌は非常に困難であったが、過酸化水素を揮発性の溶剤で希釈した場合は、過酸化水素溶液の浸透が非常に良好で、紙容器の胴部と底部のヒートシール部や胴貼り部の殺菌も容易にできるようになった。
また、本発明の殺菌方法は、殺菌対象容器として無菌充填用ブローボトルに用いられるプリフォームに利用したものである。
即ち、無菌充填用に用いられるPETボトル用のプリフォームをコンテナー等に入れて食品メーカ等のユーザに輸送し、ユーザでプリフォームをブロー成形機でボトルに成形し、そのボトルを無菌充填機に供給し、無菌チャンバー内でボトルの内面及び外面を殺菌し、その殺菌ボトルに滅菌内容物を無菌充填する際に、プリフォームに揮発性の溶剤で希釈した過酸化水素を滴下して、コンテナーに入れてユーザに輸送し、輸送中、又はユーザでの保管中にプリフォームに滴下した過酸化水素が揮発性の溶剤と共に気化し、その過酸化水素蒸気によって容器内面を殺菌することを特徴にしている。
上記のように、プリフォームを予め殺菌しておくことにより、ブロー成形機で成形したボトルは微生物による汚染度が非常に少なくなり、その後の無菌充填機でのボトルの内面殺菌及び外面殺菌の殺菌工程において、殺菌効率が向上すると共に、場合によっては殺菌条件をゆるくすることもできるので、殺菌工程時間の短縮など作業能率を向上させることができる。
また、紙容器を無菌充填機に供給してその内面に過酸化水素水溶液を噴霧して殺菌する場合、胴部と底部のヒートシール部や胴貼り部はその部分の間隙に過酸化水素蒸気が浸透しにくいため、過酸化水素水溶液の温度を高くするか、殺菌時間を長くするなど殺菌条件を高める必要があったが、本発明の殺菌方法で、紙容器を予備殺菌しておけば、胴部と底部のヒートシール部や胴貼り部は既に殺菌されているので、無菌充填機での殺菌条件をゆるくしても、紙容器は完全に殺菌されることになる。
従って、殺菌時間を短縮しても紙容器は殺菌可能となるので、無菌充填機の生産能力が向上することになり、製品コストの低減を図ることができる。
本発明によれば、無菌充填用に用いられるPETボトル用のプリフォームをコンテナ等に入れて食品メーカ(ユーザ)に輸送する際に、プリフォームに揮発性の溶剤で希釈した過酸化水素溶液を滴下して、輸送中、又はユーザでの保管中に、プリフォームを予め殺菌することを特徴にしている。
上記のように、プリフォームを予め殺菌しておくことにより、ブロー成形機で成形したボトルは微生物による汚染度が非常に少なくなり、その後の無菌充填機でのボトルの内面殺菌及び外面殺菌の殺菌工程において、殺菌効率が向上すると共に、場合によっては殺菌条件をゆるくすることもできるので、殺菌工程時間の短縮など作業能率を向上させることができる。
また、紙カップ等の紙容器を無菌充填機に供給してその内面に過酸化水素水溶液を噴霧して殺菌する場合、胴部と底部のヒートシール部及び胴貼り部はその部分の間隙に過酸化水素蒸気が浸透しにくいため、過酸化水素水溶液の温度を高くするか、殺菌時間を長くするなど殺菌条件を高める必要があったが、本発明の殺菌方法で、紙容器を予備殺菌しておけば、胴部と底部のヒートシール部及び胴貼り部の間隙は既に殺菌されているので、無菌充填機での殺菌条件をゆるくしても、紙容器は完全に殺菌されることになる。
従って、殺菌時間を短縮しても紙容器は殺菌可能となるので、無菌充填機の生産能力が向上することになり、製品コストの低減を図ることができる。
また、果汁等の酸性食品やミネラルウォータのように、内容物によっては、プリフォームを予め殺菌することにより、ブロー成形したボトルの口部だけを殺菌し、ボトルの内面を殺菌しなくても無菌充填が可能になるので、無菌充填機におけるボトルの内面殺菌工程が省略できるため、無菌充填機を小型化することができると共に、無菌充填機の生産能力を大幅に向上させることができる。
更に、無菌充填機に過酸化水素のような殺菌剤を使用しなくなるため、作業環境が大幅に改善されると共に、過酸化水素の排気設備や排気した過酸化水素の処理設備が不要になるので、設備コストを低減することができる。
以下、図面を参照にしながら本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の容器の殺菌方法を示した模式図である。
図2は、本発明の殺菌方法の対象となるプリフォーム以外の容器の代表例を示した図である。
図3は、本発明の殺菌方法をプリフォームに利用したときの説明図である。
図4は、本発明の殺菌方法をプリフォームに利用して、そのプリフォームからボトルを成形し、そのボトルに無菌充填する際の工程を示した図である。
図5は、予備殺菌したプリフォームを用いてボトルを成形し、そのボトルの口部を紫外線殺菌して無菌充填するときの説明図である。
図6は、紙カップにおける胴部と底部のヒートシール部及び胴貼り部の構造を示した図である。
図7は、本発明の殺菌方法を紙カップに利用するときの説明図である。
図8は、実施例1によりプリフォームを殺菌するときの説明図である。
図9は、実施例4により紙カップを殺菌するときの説明図である。
本発明の容器の殺菌方法は、基本的には、図1(a)に示すように、過酸化水素をエチルアルコール等の揮発性の溶剤で希釈した過酸化水素溶液11(以下H2 2 溶液11と記載する)をプラスチック製容器、紙容器等の容器20の内面に滴下し、このH2 2 溶液11を滴下した容器20を、図1(b)に示すように、コンテナ3(又は段ボール、プラスチック製袋等)に入れて蓋4で密封することによって、容器20の内面に滴下したH2 2 溶液11をコンテナ3の中で蒸発させ、揮発性溶剤と共に蒸発したH2 2 蒸気11aによって容器内面を殺菌する方法である。
即ち、無菌充填に供する容器を製造してユーザに搬入する際に、揮発性溶剤で希釈したH2 2 溶液11を滴下した容器20をコンテナ3に入れて密封し、このコンテナを食品メーカ(ユーザ)に輸送中、及びこのコンテナを保管している間に、コンテナ3の中で、容器20に滴下したH2 2 溶液11が気化し、気化したH2 2 蒸気11aによって容器20の内面を殺菌しようとするものである。
また、コンテナ3内に気化したH2 2 蒸気11aは、時間の経過と伴に、揮発性溶剤と一緒に容器20の外に出てコンテナ内に充満し、容器20の外側も殺菌するようになる。
本発明に用いられる過酸化水素としては、通常、市販の過酸化水素濃度が30〜35重量%の過酸化水素水溶液が用いられる。
また、オキシドールとして市販されている3重量%の過酸化水素水溶液も使用できる。 30〜35%の過酸化水素水溶液(以下過酸化水素濃度の重量%は単に%と記載する)としては、工業用と食品添加物用があり、本発明においてはいずれも使用可能であるが、工業用は過酸化水素の分解を防止するために安定剤等が添加されているので、添加物の少ない食品添加物用の過酸化水素水溶液が好適である。
本発明においては食品添加物用の30〜35%過酸化水素水溶液を用い、下記の揮発性溶剤で希釈して、0.1〜10%溶液として使用する。
2 2 溶液の濃度及び滴下量は、殺菌する容器の大きさによって異なるが、通常は0.5〜5%溶液を使用し、その滴下量は、H2 2 溶液として0.05〜100μlの範囲で使用され、好ましくは1〜30μl程度である。
本発明に用いられる揮発性の溶剤としては、過酸化水素又は過酸化水素水溶液が可溶であり、且つ揮発性のある溶剤であれば使用可能であるが、エチルアルコール、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトンが好適である。
特に、エチルアルコールは過酸化水素水溶液との相溶性、プラスチック材料への濡れ性、浸透性、蒸発速度等取扱上の点で優れており、より好適である。
過酸化水素水溶液の希釈溶剤として揮発性溶剤を用いることにより、容器に滴下した過酸化水素溶液は容器内面に薄い被膜を形成して濡れ広がると共に、蒸発速度が促進されるので、過酸化水素の蒸気圧が高まり、殺菌効率が向上するとと共に、容器の殺菌時間を短縮することができる。
即ち、過酸化水素の沸点が151.4℃であるため、過酸化水素水溶液を滴下した容器を15℃以下の室温に保管された場合、過酸化水素水溶液の蒸発速度が遅くなり、殺菌にかなりの時間を要すると共に、殺菌に必要な十分な過酸化水素蒸気圧が得られず、容器内面の殺菌が不十分になることがある。
そのため、本発明においては、35%の過酸化水素水溶液をエチルアルコール等の揮発性溶剤で希釈し、この希釈溶剤を容器の内面に滴下することにより、過容器内面に過酸化水素溶液の薄い被膜を形成して濡れ広がると共に、容器内における過酸化水素の蒸発速度が促進されてH2 2 蒸気圧を高め、容器の殺菌をより効率よく行うとともに、殺菌時間の短縮を図ったものである。
本発明の容器の殺菌方法は、前述のプリフォームの他に、プラスチック製の成形容器、紙カップ、紙容器等に利用できる。
例えば、図2(a)〜(f)に示すように、プラスチックシートから成形されるプラスチック成形容器21、射出成形法で作製するプラスチック成形容器21a、紙カップ22、筒状紙容器23、テーパのついた角形紙容器23a等が殺菌の対象となる。
更に、PETボトル等のプラスチックボトルにも利用できる。
次に、本発明の容器の殺菌方法をプリフォームに利用し、殺菌したプリフォームをブロー成形機によりボトルに成形し、そのボトルを無菌充填に供する方法について説明する。 先ず、射出成形機を用いて、図3(a)に示すように、プリフォーム1を作製する。
PETボトルの場合、プリフォーム1は、ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下PET樹脂とする)を用いて成形するが、PET樹脂に限らずナイロンやその他の熱可塑性樹脂を用いて作製することがある。
次いで、プリフォーム1の中に、図3(b)に示すように、35%過酸化水素水溶液を前述のエチルアルコール等の揮発性溶剤を用いて希釈した溶液、即ちH2 2 溶液11を滴下し、このH2 2 溶液11を滴下したプリフォーム1を、図3(c)に示すように、コンテナ3に入れて蓋4をして密閉する。
プリフォーム1を入れたコンテナ3はユーザ(食品メーカ等)に輸送される。揮発性溶剤で希釈したH2 2 溶液は、過酸化水素(H2 2 )濃度として、0.1〜10%のものが使用されるが、エチルアルコールで希釈した場合はH2 2 濃度が0.5〜5%程度が好ましい。
また、プリフォーム1に滴下するH2 2 溶液は、希釈溶剤によって異なり、0.1〜100μlの範囲で滴下されるが、エチルアルコールで希釈した場合は1〜30μlが好ましい。
2 2 溶液を滴下したプリフォーム1は、図3(c)に示すように、コンテナ3に入れられて密閉された状態で、一時保管された後ユーザに輸送され、ユーザでまた保管された後にブロー成形機でボトルに成形される。
プリフォーム1に滴下したH2 2 溶液は、保管中又は輸送中に、コンテナの中で気化し、気化したH2 2 蒸気11aがプリフォーム内面を殺菌する。
即ち、プリフォーム1に滴下したH2 2 溶液11は、希釈溶剤が揮発性の溶剤であるため、プリフォーム1に滴下した後速やかに蒸発し、プリフォーム1の内側に充満するようになる。
それと同時に、希釈溶剤と共にH2 2 も蒸発し、H2 2 蒸気11aとなってプリフォーム1の内面に接し、プリフォーム1の内面を殺菌する。
2 2 の希釈溶剤が揮発性の溶剤であるため、H2 2 の蒸発速度が促進されて、短時間でH2 2 蒸気11aとなり、プリフォーム内のH2 2 蒸気11aの密度が高まるので、プリフォーム1内面の殺菌効果が高まる。
また、コンテナ3に収納したプリフォーム1の開口部は開放状態のままであるので、プリフォーム1内に蒸発したH2 2 蒸気11aは、時間の経過に伴なってプリフォーム1の外に出て行くが、コンテナ3は蓋4を被せて密閉状態になっているため、H2 2 蒸気11aはコンテナ内にこもり、プリフォームの外側も殺菌することになる。
PET樹脂を用いてプリフォームを射出成形するとき、成形温度は260〜280℃であるので、プリフォームの成形時は完全に無菌状態となっているので、その後の操作で微生物汚染されても、プリフォームの外側はかなり清潔で、微生物汚染が少ないので、H2 2 蒸気11aにより殺菌されて、殆ど生菌数が残らない状態となる。
しかし、コンテナ3内のH2 2 蒸気11aの密度はプリフォーム1の内側に比較してかなり低くなるので、プリフォームの外側の微生物汚染が多い場合は完全殺菌は期待できない。
次に、内面及び外面を殺菌したプリフォーム1はコンテナに入れられてユーザに搬入され、ブロー成形機に供給されてブローボトルに成形される。
即ち、図4(a)に示すように、殺菌されたプリフォーム1はブロー成形機(図示せず)でブロー成形されて、図4(b)に示すようなボトル2となる。
次いで、ボトル2は無菌充填機に供給されて、図4(c)に示すように、無菌チャンバー内で、過酸化水素水溶液の噴霧によりボトルの内面にH2 2 ミスト11bを付着させ、これを熱風で乾燥させることによりボトル内面を殺菌し、更に、図4(d)に示すように、内面と同様に、ボトルの外面にもH2 2 ミスト11bを付着、乾燥してボトル外面を殺菌する。
上記工程において、殺菌したプリフォーム1を用いてブロー成形機でボトルを成形した場合、高価な無菌仕様のブロー成形機を使用しなくとも、通常のブロー成形機を用いて清浄な状態で運転すれば、成形されたボトルは微生物汚染が非常に少なくなるので、次の殺菌工程において、殺菌の負荷を少なくすることができ、殺菌効率を向上させることができる。
即ち、ボトルの微生物汚染が非常に少ないので、ボトルの殺菌工程において、ボトルへのH2 2 ミストの付着量を少なくすることができる。
そのため、乾燥時間が短縮されると伴に、殺菌工程時間も短縮されるので、無菌充填機の殺菌能力が増大し、生産能力が向上する。
また、ボトルの微生物汚染が非常に少なくなると、ボトルの殺菌不良がなくなりボトルの殺菌効果が高まるので、無菌充填製品の不良率が低減され、無菌充填機の生産効率が向上することになる。
殺菌したボトル2は、図4(e)に示すように、無菌チャンバー内で倒立し、ボトルの内部に洗浄水用ノズル12から無菌水13を噴射して、ボトル内部を洗浄する。
この洗浄工程によって、ボトル内部に付着していた塵埃や僅かに残留していたH2 2 を洗い流し、ボトル内部を清浄にする。
次に、洗浄したボトルを口部が上になるようにして充填工程に移動して充填ノズル14の下にボトルを配置し、図4(f)に示すように、滅菌した内容物15を充填し、次いで、キャッピング工程に移動して、図4(g)に示すように、別工程で殺菌したキャップ5をして無菌充填製品6を作製する。
また、本発明の殺菌方法により殺菌したプリフォームを用いて、ボトルの無菌充填を行う場合、内容物によっては、ボトルの内外面の殺菌を省略して無菌充填ができるため、無菌充填機を小型化することができると共に、生産能力を向上させることができるので、製品のコストダウンを図ることができる。
即ち、オレンジジュース等の酸性食品やミネラルウォータの場合は、図5(a)に示すように、プリフォーム1を射出成形した後、前述と同様にして殺菌したプリフォーム1をブロー成形機でボトルに成形して、図5(b)に示すように、ボトル2を作製する。
次に、前記ボトル2を無菌充填機に供給して、無菌チャンバー内で、図5(c)に示すように、ボトルの口部に殺菌灯を装備した紫外線照射装置17から紫外線(殺菌線)を照射して、ボトルの口部を殺菌する。
殺菌灯としては、一般的には、波長253.7nmの殺菌線を放射する低圧水銀灯が使用されるが、高出力の殺菌灯として高圧水銀灯を使用する場合がある。
殺菌したプリフォーム1をブロー成形機でボトルに成形し、無菌充填機に供給する工程において、ボトルの口部は外部からの微生物汚染の可能性が高く、且つ内容物に直接触れるので、ボトルの口部を殺菌することにより、無菌充填製品の不良率を低下させることができる。
口部を殺菌したボトル2は、前述と同様に、図5(d)に示すように、倒立した状態で無菌水で洗浄した後、図5(e)及び(f)に示すように、充填工程において内容物15が充填され、キャッピング工程においてキャップ5をして無菌充填方製品6となる。
また、本発明の容器の殺菌方法は、紙を素材とする紙カップや紙容器に利用することができる。
以下に、紙、プラスチックフィルム、アルミニウム箔からなる積層材を用いた紙カップの殺菌方法について説明する。
図6(a)は紙カップの一部を切り欠いた斜視図であり、図6(b)は紙カップの縦断面図であり、図6(c)は紙カップの胴貼り部の横断面図である。
無菌充填に用いられる紙カップは、図6(a)及び(b)に示すように、積層材の内面及び外面にポリエチレン等のヒートシール性のあるフィルムをラミネートした積層材を用いて胴部24作製し、これに同じ積層材を用いて作製した底部25を胴部24の内側にヒートシールして紙カップ22としたものである。
また、紙カップ22の胴部の胴貼り部26は、図6(c)に示すように、積層材の内側になる一方の端を外側に折り曲げて、積層材の内側の端面が内容物に接触しない構造にしている。
紙カップ22は上記のような構造をしているため、胴部24と底部25のヒートシール部、及び胴貼り部26のヒートシール部(胴部と胴部のヒートシール部)には僅かの間隙が生じて、従来の殺菌方法では、この部分の間隙に殺菌剤を浸透させるのが難しく、殺菌が非常に困難であった。
しかし、本発明においては、殺菌剤のH2 2 は揮発性の溶剤で希釈されて紙カップ22の内部に滴下されるので、希釈溶剤は浸透性が高いため、滴下されたH2 2 溶液はヒートシール部の間隙にに浸透すると共に、H2 2 は揮発性溶剤と一緒に気化し、H2 2 蒸気は揮発性溶剤の蒸気と一緒に混合ガスとして紙カップの中に存在するので、H2 2 蒸気は浸透性がよくなり、胴部24と底部25のヒートシール部、及び胴部と胴部のヒートシール部の間隙にも浸透して、この部分の殺菌を行なうことができる。
次に、紙カップの殺菌方法について説明する。先ず、紙カップ用成形機を用いて公知の方法により、図7(a)に示すように、紙カップ22を作製する。
次いで、紙カップ22の中に、図7(b)に示すように、プリフォームのときと同様に、35%過酸化水素水溶液をエチルアルコール等の揮発性溶剤を用いて希釈した溶液、即ちH2 2 溶液11を滴下し、このH2 2 溶液11を滴下した紙カップ22を、図7(c)に示すように、積み重ねて段ボール又はコンテナに入れて蓋をして密閉し、これをユーザに輸送するようにする。
紙カップ22に滴下したH2 2 溶液11は、図7(c)に示すように、保管中又は輸送中に、揮発性溶剤と一緒に気化し、H2 2 蒸気11aとなって紙カップ22の内面を殺菌する。
2 2 の希釈溶剤が揮発性溶剤であるため、過酸化水素(H2 2 )は揮発性溶剤と一緒に蒸発するので、H2 2 の蒸発が促進されて紙カップ22内のH2 2 蒸気11aの密度が高まる。
また、H2 2 蒸気11aは揮発性溶剤の蒸気と一緒に混合ガスとして紙カップ22内に存在するので、浸透性のよい揮発性溶剤の蒸気と一緒に、胴部24と底部25のヒートシール部の間隙、及び胴部と胴部のヒートシール部の間隙にも浸透して、この部分の殺菌が速やかに行われる。
そのため、従来の過酸化水素水溶液を用いた紙カップの殺菌方法に比較して、殺菌時間を短縮することができる。
従来の過酸化水素水溶液を用いた紙カップの殺菌方法の場合、殺菌に数日を要する場合があったが、本発明の殺菌方法では1〜2日で殺菌が完了する。
また、室温が10〜15℃と低い場合でも、H2 2 の蒸気密度が高まり、浸透性がよくなるので、1〜2日で十分殺菌することができる。
従って、本発明の殺菌方法は、紙カップの殺菌方法としては、非常に優れた殺菌方法である。
また、紙カップの胴貼り部において紙の断面が内容物に接するような構造の場合でも、本発明の殺菌方法を利用すれば、紙カップの断面にもH2 2 蒸気が浸透して殺菌するので、紙の断面からの微生物汚染を防止することができる。
以下、実施例に基づいて、本発明を更に詳細に説明する。
ポリエチレンテレフタレート樹脂(帝人(株)製)を用いて射出成形機にて、図8(a)に示すように、PETボトル(容積2l)用のプリフォーム1(内径21mmφ、高さ155mm)を作製した。
次いで、過酸化水素に対して耐性のある枯草菌(Bacillus subtilus)の芽胞の懸濁液を上記プリフォームの内面にスプレーし、室温で乾燥して、図8(b)に示すように、プリフォーム1の内面に1 本当たり103 個と104 個の枯草菌の芽胞7を付着させ、これを各々200本作成した。
次に、35%過酸化水素水溶液を99.5%エチルアルコールで希釈して、H2 2 濃度として1%と2.5%の溶液を作り、このH2 2 の希釈溶液を、図8(c)に示すように、上記枯草菌の芽胞7を付着させたプリフォーム1の内面に20μl滴下し、枯草菌の芽胞7が103 個付着したプリフォーム1に1%H2 2 溶液を滴下したものを100本、2.5%H2 2 溶液を滴下したものを100本作成した。
また、同様に枯草菌の芽胞7が104 個付着したプリフォーム1についても、1%H2 2 溶液を滴下したものを100本、2.5%H2 2 溶液を滴下したものを100本作成した。
上記のようにしてH2 2 溶液11を滴下した100本のプリフォームを、図8(d)に示すように、ポリエチレン製の袋(以下PE袋とする)に入れ、これを段ボール8に入れて梱包し、室温(15〜20℃)で2日間保管して、プリフォーム1を殺菌した。
保管後プリフォームを開封して取り出し、前記100本の中から10本のプリフォーム1にトリプトソイブイヨン培地を20mlづつ無菌的に分注し、滅菌したキャップで密封し、35℃で5日間培養した。
比較例として、枯草菌の芽胞を103 個と104 個付着させた各10本のプリフォームにトリプトソイブイヨン培地を、前記と同様に分注して35℃で5日間培養した。
培養後プリフォーム中の培地の濁りの状態を観察して、濁りのないものは完全に殺菌されており、濁りのあるものは殺菌が不完全あると判定した。
表1の0/10はプリフォーム10本中濁りがあるものが0本であることを示し、10/10は濁りがあるものが10本中10本であることを示す。
結果は表1に示すとおりで、枯草菌芽胞を103 個と104 個付着したプリフォームは、H2 2 溶液(1%及び2.5%)を滴下することによりいずれも完全に殺菌されていた。
即ち、本発明の殺菌方法は、枯草菌(Bacillus subtilus)の芽胞に対して、104 個までは完全に殺菌することができるので、その殺菌効果は4以上であるといえる。
一般に、プリフォームに付着する菌数は、数個から多くても数十個であるので、本発明の殺菌方法を用いれば、通常のプリフォームは完全に殺菌することが予測できる。
(表1)
┌───────┬────────────┬───────┐ │プリフォ−ムの│殺菌に用いたH2 2 濃度│ 比較例 │ │付着菌数 ├─────┬──────┼───────┤ │ │ 1% │ 2.5% │ 殺菌なし │ ├───────┼─────┼──────┼───────┤ │ 103 個 │ 0/10│ 0/10 │ 10/10 │ ├───────┼─────┼──────┼───────┤ │ 104 個 │ 0/10│ 0/10 │ 10/10 │ └───────┴─────┴──────┴───────┘
実施例1と同様に、PETボトル(容積2l)用のプリフォームを作製した。
実施例1と同様に、エチルアルコールの1%H2 2 溶液を作成し、その1%H2 2 溶液20μlを上記200本のプリフォームに滴下し、実施例1と同様に、ポリエチレン袋に入れて段ボールで梱包し、室温で2日間保管した。
比較例として、H2 2 溶液を滴下しない200本のプリフォームを同様に段ボールで梱包し、室温で2日間保管した。
室温で2日間保管したプリフォーム全てに、実施例1と同様に、トリプトソイブイヨン培地を入れて、キャップし、35℃で2間培養した。
2日間培養後、実施例1と同様に、培地の濁りの状態を観察して、プリフォームの殺菌の有無を判定した。
その結果、H2 2 溶液を滴下した200本のプリフォームはいずれも濁りが生じなかったが、比較例の場合は200本中3本のプリフォームに濁りが生じた。
即ち、射出成形によって成形したプリフォームは、200本中3本のプリフォームに微生物汚染が見られたが、1%H2 2 溶液を滴下することにより、汚染されたプリフォームは完全に殺菌することができた。
実施例1と同様に、PETボトル(容積2l)用のプリフォームを作製し、そのプリフォームをコンテナに入れる直前に、1000本のプリフォームに1%H2 2 のエチルアルコール溶液を20μl滴下し、図3(c)に示すように、コンテナに入れて食品メーカ(ユーザ)に輸送した。
食品メーカでブロー成形機にて上記プリフォームを2lのボトルに成形し、そのボトルを無菌充填機に供給して、ボトルの内面は殺菌せずに、ボトルの口部だけを紫外線照射により殺菌して、常法に従って、滅菌した液体培地(トリプトソイブイヨン培地)を2l充填して、1000本の無菌充填ボトルを製造した。
比較例として、H2 2 溶液を添加しないプリフォームを用いて、ブロー成形機にてボトルに成形し、前記と同様に無菌充填機で滅菌した液体培地を充填して、液体培地を充填した1000本の培地充填ボトルを製造した。
上記のようにして作成した培地充填ボトルを、実施例1と同様に、35℃で5日間培養後、実施例1と同様に、培地の濁りを観察して、ボトルの殺菌の有無を判定した。
その結果、H2 2 溶液を滴下したプリフォームを用いたボトルは全て濁りを生じなかったが、H2 2 溶液を滴下しないプリフォームを用いたボトルの場合は、1000本中30本に濁りが生じ、微生物汚染が見られた。
即ち、1%H2 2 溶液をプリフォームに滴下してプリフォームを殺菌することにより、それを用いて成形したボトルは口部だけを殺菌し、ボトルの内面は殺菌しなくとも、微生物的に汚染されていないことが判明した。
また、H2 2 溶液を滴下したプリフォームを用いてボトルを成形し、そのボトルに蒸留水を充填して、その中の過酸化水素濃度を測定した結果、検出限界(0.01ppm)以下で、プリフォームに滴下したH2 2 はボトルに残留していないことが判明した。
PE/紙/PE/Al/PE(内面)からなる積層材を用いて、図9(a)に示すように、公知の方法によって無菌充填に使用される250ml用の紙カップ22を作製した。 尚、上記PEはポリエチレンフィルムを、Alはアルミニウム箔を示すものである。紙カップ成形後に、図9(b)に示すように、胴貼り部26及び胴部24と底部25のヒートシール部に紙カップ1個あたり枯草菌の芽胞7を104 個付着させ、枯草菌の芽胞を付着させた200個の紙カップを作成した。
この枯草菌の芽胞7を付着させた紙カップ22に、図9(c)に示すように、エチルアルコールで希釈した2%H2 2 溶液11を20μl滴下し、図9(d)に示すように、この2%H2 2 溶液11を滴下した紙カップを、重ねた状態で段ボール8に入れて梱包し、室温に2日間保管した。
比較例として、2%H2 2 水溶液を20μl滴下した200個の紙カップを、前記と同様に段ボールに入れて室温に2日間保管した。
上記紙カップを段ボールの中で2日間保管後、段ボールより紙カップを取り出して、紙カップの胴貼り部26と胴部24と底部25のヒートシール部の部分にブイヨン寒天培地を流し、固化後蓋を被せて、35℃に5日間培養して生菌数を測定した。
その結果、2%H2 2 エチルアルコール溶液を滴下した紙カップは、いずれも生菌数は認められなかった。
しかし、2%H2 2 水溶液を滴下した紙カップは、水滴が付着した近辺は殺菌されていたが、その他の部分は殺菌が不十分で、200個中50個の紙カップに10〜50個の菌数が検出された。
即ち、紙カップにエチルアルコールで希釈した2%H2 2 エチルアルコール溶液を滴下した場合は、エチルアルコールは浸透性がよいので、紙カップの胴貼り部26及び胴部24と底部25のヒートシール部の間隙にエチルアルコールと一緒にH2 2 も浸透して、その部分の付着菌も殺菌できたものと考えられる。
これに対して、2%H2 2 水溶液の場合、紙カップの内面はPEで疎水性であるので、滴下したH2 2 水溶液は表面に留まり、間隙に浸透しないため、胴貼り部26及び胴部24と底部25のヒートシール部の間隙は殺菌不良になるものと考えられる。
従って、上記のように揮発性の溶剤で希釈したH2 2 溶液を用いる殺菌方法は、紙カップのように、内面に胴貼り部や胴部24と底部25のヒートシール部のように、小さな間隙部分がある場合には、非常に優れた殺菌方法である。
本発明は、果汁飲料、コーヒー飲料、その他の清涼飲料水等をポリエチレンテレフタレート製ボトル(以下PETボトルという)や紙容器に無菌充填する際、PETボトル、PETボトル用プリフォーム、又は紙容器等の容器を殺菌するための殺菌方法に利用可能なものである。
本発明の容器の殺菌方法を示した模式図である。 本発明の殺菌方法の対象となるプリフォーム以外の容器の代表例を示した図である。 本発明の殺菌方法をプリフォームに利用したときの説明図である。 本発明の殺菌方法をプリフォームに利用して、そのプリフォームからボトルを成形し、そのボトルに無菌充填する際の工程を示した図である。 予備殺菌したプリフォームを用いてボトルを成形し、そのボトルの口部を紫外線殺菌して無菌充填するときの説明図である。 紙カップにおける胴部と底部のヒートシール部及び胴貼り部の構造を示した図である。 本発明の殺菌方法を紙カップに利用するときの説明図である。 実施例1によりプリフォームを殺菌するときの説明図である。 実施例4により紙カップを殺菌するときの説明図である。
1 プリフォーム
2 ボトル
3 コンテナ
4 蓋
5 キャップ
6 無菌充填製品
7 枯草菌の芽胞
8 段ボール
9 PE袋
11 H2 2 溶液
11a H2 2 蒸気
11b H2 2 ミスト
12 洗浄水用ノズル
13 無菌水
14 充填ノズル
15 内容物
16 紫外線
17 紫外線照射装置
20 容器
21 プラスチック成形容器(深絞り容器)
21a プラスチック成形容器(射出成形容器)
22 紙カップ
23 筒状紙容器
23a 角形紙容器
24 胴部
25 底部
26 胴貼り部
27 トップカール部
28 積層材(紙カップ用)

Claims (2)

  1. 先ず、射出成形機を用いて、ポリエチレンテレフタレート樹脂を射出成形してプリフォームを作製し、
    次いで、上記で作成したプリフォームの中に、35%過酸化水素水溶液を揮発性溶剤を用いて希釈した0.1〜10%過酸化水素溶液を滴下し、
    しかる後、上記で過酸化水素溶液を滴下したプリフォームを、コンテナに入れて蓋をして密閉し、コンテナの中で気化した過酸化水素蒸気によりプリフォーム内面を殺菌すると共にプリフォームの外面も殺菌することを特徴とするプリフォ−ムの殺菌方法。
  2. 前記過酸化水素溶液のプリフォ−ム1個当たりの滴下量が、過酸化水素として0.05〜100μlであることを特徴とする請求項1に記載のプリフォ−ムの殺菌方法。
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