本発明の実施の一形態を図1ないし図12に基づいて説明する。本実施の形態は、スーパーマーケットへの適用に適した陳列棚システム11について紹介する。
図1は、陳列棚システム11の全体の模式図である。本実施の形態の陳列棚システム11は、店舗内に設置される陳列棚101と、陳列棚101の背面に設置されるプロジェクタ201(図2参照)と、コンピュータ301(プロジェクタ画像送信装置)とから構成されている。プロジェクタ201とコンピュータ301とは、ネットワーク401を介して接続されている。コンピュータ301は、一例としてバックヤードに配置されるデスクトップ型のコンピュータ301aが用いられ、別の一例として陳列棚101の直前で使用されたりするノート型のコンピュータ301bが用いられる。ネットワーク401は、一例として構内ネットワーク401a(LAN)が用いられ、別の一例としてUSBケーブル401bが用いられる。バックヤードに配置されるデスクトップ型のコンピュータ301aは、構内ネットワーク401aを介してプロジェクタ201に接続されるのが好適であり、コンピュータ301bは、USBケーブル401bを介してプロジェクタ201に接続されているのが好適である。もっとも、構内ネットワーク401a及びUSBケーブル401bというのは、ネットワーク401の一例を例示しているに過ぎず、実施に際しては、別の種類のネットワーク401を用いても良い。
陳列棚101は、品物である商品Aを載置して陳列可能な載置台102を有している。載置台102は、三段設けられている。ここでは便宜上、下から載置台102a、102b、102cと呼ぶ。これらの載置台102(載置台102a、102b、102c)は、背が高く内部が空洞となった直方体形状の基体103の前面に、内部が空洞である直方体形状をした三つの載置台基部104が固定されることにより、それらの載置台基部104の上面に形成されている。つまり、載置台基部104の上面は、商品Aを載置することができる載置台102として機能するように平板面形状に形成されている。そして、載置台基部104のうち、一番下方に位置付けられている載置台基部104aは最も高さ寸法が大きく形成され、その上方に位置する二段の載置台基部104b、104cは略同一の高さ寸法で形成されている。基体103には、更に、最も高い位置に位置する載置台102cよりも上方に位置させて、天板部105が固定されている。この天板部105も、載置台102と同様に、内部が空洞となった直方体形状の部材によって形成されている。陳列棚101を形成する基体103、載置台基部104及び天板部105は、一例として、金属製のフレーム(図示せず)を骨格としてこのフレームに板金部材が取り付けられて形成されている。
次いで、載置台基部104及び天板部105の正面には、スクリーン106が取り付けられている。ここでは便宜上、スクリーン106うち、載置台基部104aに設けられているものをスクリーン106a、載置台基部104bに設けられているものをスクリーン106b、載置台基部104cに設けられているものをスクリーン106c、天板部105に設けられているものをスクリーン106dと呼ぶ。これらのスクリーン106(スクリーン106a、106b、106c、106d)は、いずれも、載置台基部104(載置台基部104a、104b、104c)及び天板部105の横幅一杯に切れ目なく形成された横長形状に形成されている。そして、それらのスクリーン106(スクリーン106a、106b、106c、106d)は、例えば磨りガラス様の構造を備え、裏面から投影されるプロジェクタ画像を表面側に透過投影可能な透過型のものである。
図2は、陳列棚101の縦断側面図である。図2より明らかなように、基体103と個々の載置台基部104(載置台基部104a、104b、104c)及び天板部105とは、その内部で空間が連通している。陳列棚101は、そのような内部空間を利用し、プロジェクタ201がそのレンズ202から投射するプロジェクタ投影画像を個々のスクリーン106(スクリーン106a、106b、106c、106d)に向けて導く。つまり、プロジェクタ201は、一例として液晶プロジェクタであり、コンピュータ301から送信されたプロジェクタ画像の画像データを受信し、受信した画像データに基づくプロジェクタ投影画像を生成してレンズ202から投射する。このようなプロジェクタ201は、最も下方に位置する載置台基部104aの内部に設けられたプロジェクタ設置部107に設置され、陳列棚101の内部でその後方に向けてプロジェクタ投影画像を投射可能に配置されている。陳列棚101の内部には、こうしてプロジェクタ201から投射されたプロジェクタ投影画像を個々のスクリーン106(スクリーン106a、106b、106c、106d)の背面に向けて導くための光学系108が設けられている。
光学系108は、プロジェクタ201から投射されたプロジェクタ投影画像を最初に受光して上方に向けて反射する反射ミラー109と、反射ミラー109によって反射されたプロジェクタ投影画像を個々のスクリーン106(106a、106b、106c、106d)に向けて反射する四つの投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)とを基本として構成されている。個々の投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)は、プロジェクタ201からの光路長を略一致させ得るような位置にそれぞれ配置されている。もっとも、プロジェクタ201から最下方に位置するスクリーン106までは十分な光路長がとれないので、反射ミラー109と反射投影ミラー110aとの間には、一枚の折返しミラー111を配置し、その光路長を確保している。
ここで重要なことは、プロジェクタ201がそのレンズ202から投射するプロジェクタ投影画像は、一画面構成の画像であるということである。このような一画面構成のプロジェクタ投影画像は、四つの投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)によって分割されて個々のスクリーン106(106a、106b、106c、106d)に導かれる。
図3は、プロジェクタ201に画像データを送信するコンピュータ301のハードウェア構成を示すブロック図である。コンピュータ301は、その外観態様として、本体部302、ディスプレイ303、キーボード304、及び、マウスやタッチパッド等のポインティングデバイス305を備えて構成されている(図1参照)。このようなコンピュータ301は、制御部としてのマイクロコンピュータ306を有している。マイクロコンピュータ306は、各種演算処理を実行するCPU307を主体に構成され、このCPU307にBIOS等の固定データを固定的に記憶するROM308と各種可変データを書き替え自在に記憶してワークエリアとして使用されるRAM309とがバスライン310を介して接続されて構成されている。このようなマイクロコンピュータ306には、HDD311とCD−ROMドライブ312とが接続され、一例として、OS(オペレーティングシステム、図4参照)や各種のアプリケーションプログラムを記憶するCD−ROM313からCD−ROMドライブ312が情報を読み取り、これをHDD311にイントールすることができるように構成されている。
また、図1に外観態様を示す前述のディスプレイ303、キーボード304及びポインティングデバイス305もマイクロコンピュータ306に接続されている。ディスプレイ303は、マイクロコンピュータ306に対する出力機器となり、キーボード304及びポインティングデバイス305は、マイクロコンピュータ306への入力機器となる。
更に、マイクロコンピュータ306にはデータ送信部としての通信インターフェース314も接続されている。この通信インターフェース314は、ネットワーク401を介してプロジェクタ201との間の通信を可能とするプロトコルをサポートしている。
図4は、プロジェクタ201が投射するプロジェクタ投影画像の基礎となるプロジェクタ画像の画像データを編集生成してプロジェクタ201に投影させるためのコンピュータ301上での仕組みを例示する模式図である。コンピュータ301は、そのような画像データの編集及び生成を可能とする。そのための仕組みとして、コンピュータ301は、HDD311にインストールされているアプリケーションプログラムとして、画像形成投影ソフトウェア351をインストールしている。また、この画像形成投影ソフトウェア351と共に利用される画像ライブラリー352もHDD311にインストールされており、更には、プロジェクタ画像中での後述する表示領域IMGA(図5、図7等参照)の表示位置を特定する表示位置定義を設定する表示基準ファイル353及び表示補正ファイル354もHDD311にインストールされている。
本実施の形態の画像形成投影ソフトウェア351は、コンピュータ301上で画像データを編集生成することが可能であり、生成した画像データ上に文字を重畳させることも可能にプログラミングされている。また、画像形成投影ソフトウェア351は、画像データの編集生成に際して、画像ライブラリー352に含まれている各種のモデル画像を利用し、これを編集生成した画像上に貼り付けることができるようにもプログラミングされている。画像ライブラリー352は、各種の食品等の写真データや絵柄データをモデル画像として記憶している。
図5は、プロジェクタ201が投射するプロジェクタ投影画像の基礎となるコンピュータ301上で編集生成されたプロジェクタ画像の一例を示す模式図である。図2に基づいて前述したように、プロジェクタ201がそのレンズ202から投射する一画面構成のプロジェクタ投影画像は、四つの投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)によって分割されて個々のスクリーン106(106a、106b、106c、106d)に導かれるように画像構成されている。そこで、画像形成投影ソフトウェア351によって編集生成することができるプロジェクタ投影画像の基礎となる一画面のプロジェクタ画像は、個々のスクリーン106(106a、106b、106c、106d)に位置合わせされて帯状に形成された表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)に、所望の画像が編集されて生成されている。プロジェクタ画像は、それらの表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)以外の領域がブラックアウトされている。
ここで、本実施の形態においては、コンピュータ301によって編集生成可能なプロジェクタ画像中、個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)は、個々独立に表示位置及び表示サイズが設定されている。個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示位置及び表示サイズを決定するためのデータが、図4に示すHDD311にインストールされている表示基準ファイル353及び表示補正ファイル354である。
画像形成投影ソフトウェア351は、その起動時、そのプログラムコードの全部又は一部が表示基準ファイル353及び表示補正ファイル354と共にRAM309にコピーされ、画像形成投影ソフトウェア351に基づく処理速度の高速化が図られる。また、このような画像形成投影ソフトウェア351のRAM309へのコピーに付随して、画像ライブラリー352の全部又は一部もRAM309にコピーされ、処理速度の高速化が図られる。そして、マイクロコンピュータ306は、画像形成投影ソフトウェア351によって編集生成した画像データを、通信インターフェース314からネットワーク401を介してプロジェクタ201に送信することができる。
図6は、コンピュータ301が画像形成投影ソフトウェア351に記述されているプログラムに従い実行する編集モードと投影モードと補正モードとの切り換え処理を説明するためのフローチャートである。画像形成投影ソフトウェア351は、その起動時、投影モードと編集モードと補正モードとに切り換え自在である。モード切り換えは、例えばキーボード304及びポインティングデバイス305によって操作指示する。
編集モードが選択指定された場合には(ステップS101のY)、編集処理が可能となる(ステップS102)。CPU307は、ステップS102の編集処理に際して、図5に示すプロジェクタ画像をディスプレイ303に表示し、個々のスクリーン106(106a、106b、106c、106d)に対応する個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)に所望の画像を重畳させる処理を許容する。
投影モードが選択指定された場合には(ステップS103のY)、投影が可能となる(ステップS104)。CPU307は、ステップS104の投影処理に際して、ステップS102の編集処理によって編集生成した画像データを通信インターフェース314によってプロジェクタ201に送信するデータ送信処理を実行する。これにより、プロジェクタ201は、図5に例示するようなプロジェクタ投影画像の画像データを受信し、これに基づくプロジェクタ投影画像を投射する。その結果、個々のスクリーン106(106a、106b、106c、106d)の裏面に、プロジェクタ画像の画像データ中の個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)に編集生成された画像が光学系108に導かれて投射され、個々のスクリーン106(106a、106b、106c、106d)の表面側にその画像が表示される。
補正モードが選択指定された場合には(ステップS105のY)、補正処理が可能となる(ステップS106)。この補正処理では、図4示す表示基準ファイル353と共にプロジェクタ画像の画像データ中の個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示位置及び表示サイズを規定する表示補正ファイル354の数値が書き換えられる。以下、このような補正処理について詳述する。
図7は、補正モード(図6中のステップS106参照)時にコンピュータ301のディスプレイ303に表示される補正画面の一例を示す模式図である。補正画面では、個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)が例えばホワイト表示され、その他の領域がブラックアウトされる。ホワイト表示及びブラックアウトは、一例であり、表示領域IMGAとその他の領域とが視覚的に区別可能であれば、別の色や別の態様での表示であっても良い。ディスプレイ303に表示した個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)は、独立してその表示位置及び表示サイズを変更することができる。本実施の形態では、図10に示すフローチャートに基づいて、キーボード304の操作による表示領域IMGAの表示位置及び表示サイズの変更処理について説明する。その前に、個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示位置及び表示サイズを決定する表示基準ファイル353及び表示補正ファイル354について図8及び図9を参照して詳細に述べる。
図8は、表示基準ファイル353の一例を示す模式図である。表示基準ファイル353中、「ID」、「X」、「Y」、「Width」、「Height」、「HorizontalFlip」及び「VerticalFlip」の定義は、表1に示す通りである。
表1に示すように、「ID」、「X」、「Y」、「Width」及び「Height」の定義はint(整数)型、「HorizontalFlip」及び「VerticalFlip」の定義はbool(真偽)型である。
図8に示す表示基準ファイル353中、<ID>と<ID>とで囲まれた数値が棚段を意味する。したがって、この棚段は、表示領域IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4のうちのいずれかを特定する。そして、その下に続く<X>と<X>とで囲まれた数値はその表示領域IMGAのX座標を、<Y>と<Y>とで囲まれた数値はその表示領域IMGAのY座標を、<Width>と<Width>とで囲まれた数値はその表示領域IMGAの幅を、<Height>と<Height>とで囲まれた数値はその表示領域IMGAの高さを、それぞれ定義する。よって、<X>と<X>とで囲まれた数値及び<Y>と<Y>とで囲まれた数値は、プロジェクタ画像中での個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示位置を特定する表示位置定義となる。また、<Width>と<Width>とで囲まれた数値及び<Height>と<Height>とで囲まれた数値は、プロジェクタ画像中での個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示サイズを特定する表示サイズ定義となる。そして、<HorizontalFlip>と<HorizontalFlip>との間のtrueは水平方向の反転表示を定義し、falseは水平方向の非反転表示を定義する。同様に、<VerticalFlip>と<VerticalFlip>との間のtrueは垂直方向の反転表示を定義し、falseは垂直方向の非反転表示を定義する。
図9は、表示補正ファイル354の一例を示す模式図である。表示補正ファイル354中、「ShelfBoardID」、「DiffX」、「DiffY」、「DiffHeight」及び「DiffWidth」の定義は、表2に示す通りである。
表2に示すように、「ShelfBoardID」、「DiffX」、「DiffY」、「DiffHeight」及び「DiffWidth」の定義は、全てint(整数)型である。
図9に示す表示補正ファイル354中、<ShelfBoardID>と<ShelfBoardID>とで囲まれた数値が調整対象となる棚段を意味する。したがって、この調整対象となる棚段は、表示領域IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4のうちのいずれかを特定する。そして、その下に続く<DiffX>と<DiffX>とで囲まれた数値はその表示領域IMGAのX座標のオフセット値を、<DiffY>と<DiffY>とで囲まれた数値はその表示領域IMGAのY座標のオフセット値を、<DiffHeight>と<DiffHeight>とで囲まれた数値はその表示領域IMGAの高さのオフセット値を、<DiffWidth>と<DiffWidth>とで囲まれた数値はその表示領域IMGAの幅のオフセット値を、それぞれ定義する。よって、<DiffX>と<DiffX>とで囲まれた数値及び<DiffY>と<DiffY>とで囲まれた数値は、プロジェクタ画像中での個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示位置を特定する表示位置定義となる。また、<DiffHeight>と<DiffHeight>とで囲まれた数値及び<DiffWidth>と<DiffWidth>とで囲まれた数値は、プロジェクタ画像中での個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示サイズを特定する表示サイズ定義となる。
図10は、コンピュータ301が画像形成投影ソフトウェア351に記述されているプログラムに従い補正モードで実行する補正処理の流れを示すフローチャートである。つまり、図10に示す処理は、図6のフローチャート中のステップS106の補正処理の処理内容をより詳細に示している。
補正モードが開始すると、CPU307は、まず、表示基準ファイル353のデータ読み込み処理を実行し(ステップS201)、続いて、表示補正ファイル354のデータ読み込み処理を実行する(ステップS202)。これらの読み込み処理では、表示基準ファイル353及び表示補正ファイル354をRAM309のワークエリアに一時記憶させる処理が実行される。
すると、CPU307は、図10のフローチャートに示すルーチンとは別ルーチンで、図7に例示した補正画面をディスプレイ303に表示する。この際に表示される補正画面には、RAM309のワークエリアに一時記憶させた表示基準ファイル353及び表示補正ファイル354のデータに従った表示位置及び表示サイズで、個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)をホワイト表示する。そして、CPU307は、図10のフローチャートに示すルーチンとは別ルーチンで、その補正画面の画像データをプロジェクタ201に送信するデータ送信処理を実行する。これにより、プロジェクタ201は補正画面の画像データに基づくプロジェクタ投影画像をレンズ202から投射する。その結果、陳列棚101の個々のスクリーン106(106a、106b、106c、106d)に補正画面中にホワイト表示される表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)が映し出される。したがって、陳列棚101の前にノートパソコン等のコンピュータ301bを持ち寄り、これをUSBケーブル401bでプロジェクタ201と接続して補正処理を実行することで、より確実な補正処理を実行することができる。この場合には、補正処理を実行するコンピュータ301bの操作者が補正画面上での補正結果を個々のスクリーン106(106a、106b、106c、106d)に映し出される表示結果として目で見て確認することができるからである。
もっとも、ここで述べていることは、陳列棚101の前にノートパソコン等のコンピュータ301bを持ち寄った場合には、個々のスクリーン106(106a、106b、106c、106d)に映し出される画像として補正作業の結果を目で見ることができるということである。これは、例えばバックヤードに設置されるコンピュータ301aによって補正処理を実行することを妨げるものではない。
図10に示すフローチャート中、ステップS202に続く処理として、shelf=−1とする処理が実行される(ステップS203)。ここでいうshelf=で特定される数値は、図9に示す表示補正ファイル354中の<ShelfBoardID>と<ShelfBoardID>とで囲まれた数値、つまり、調整対象となる棚段(調整対象表示パネル)を意味する。この数値が−1である場合、画像形成投影ソフトウェア351は、どの棚段(調整対象表示パネル)も選択されていない状態であると定義付けている。
CPU307は、ステップS203の後、キーボード304によるキー入力待ちとなる(ステップS204)。そこで、CPU307は、キーボード304からいずれかのキーが押下入力されると、押下されたキーのキーコードを取得し(ステップS205)、そのキーコードによって特定されるキーが数字キーだったのかその他のキーだったのかを判定する(ステップS206)。
CPU307は、ステップS206の判定の結果、押下されたキーが数字キーであったと判定した場合、そのキーコードによって特定される数値をRAM309のワークエリアにtempとして格納する(ステップS207)。そして、その格納した数値が有効か無効かを判定する(ステップS208)。つまり、CPU307は、陳列棚101が四段のスクリーン106(106a、106b、106c、106d)を有している構成上、それぞれのスクリーン106(106a、106b、106c、106d)を特定する1、2、3、4のいずれかの数値が格納されていると判定した場合のみ有効と判定し、その他の場合には無効と判定する。無効判定の場合にはステップS204のキー入力待ちにリターンする。これに対して、CPU307は、有効判定をすると、shelf=tempと設定する(ステップS209)。つまり、ステップS205で取得したキーコードによって特定されてRAM309にtempとして格納した数値を調整対象となる棚段(調整対象表示パネル)として設定する。そして、CPU307は、ディスプレイ303を駆動制御し、補正画面中にホワイト表示している個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)中、その棚段に対応する表示領域IMGAの表示を強調表示する。強調表示は、一例として、ホワイト表示の表示色を別の色に変更したり、あるいは点滅表示したりすることによってなされる。
図11は、補正モード時にコンピュータ301(301a、301b)のディスプレイ303に表示される補正画面の画面遷移の一例を示す模式図である。図11では、表示領域IMGA3が強調表示されている様子を示している。
図10のフローチャートの説明に戻る。CPU307は、ステップS206の判定の結果、押下されたキーが数字キーではなかったと判定した場合、shelf=で特定される数値が−1かどうかを確認し(ステップS211)、shelf=−1である場合にはステップS204のキー入力待ちにリターンする。shelf=−1である場合には、調整対象となる棚段(調整対象表示パネル)が選択されていない状態なので、その選択を待つためである。
CPU307は、ステップS211でshelf=−1でないことを確認したならば、ステップS205で取得したキーコードによって特定されるキーの種別を判定する(ステップS212)。
CPU307は、ステップS212での判定により、矢印キーが押下されたと認識した場合、ステップS209でshelf=tempと設定することによって決められた調整対象となる棚段(調整対象表示パネル)に対応する表示領域IMGAを、矢印キーの方向に1ドット移動する(ステップS213)。この際、CPU307は、移動に伴う表示位置のオフセットデータをRAM309のワークエリアに一時記憶する。つまり、この場合のオフセット値は、図9に示す表示補正ファイル354中、ステップS209でshelf=tempと設定することによって決められた調整対象となる棚段(調整対象表示パネル)について、つまり、その数値が<ShelfBoardID>と<ShelfBoardID>との間に設定されている棚段について、<DiffX>と<DiffX>とで囲まれたX座標の数値及び<DiffY>と<DiffY>とで囲まれたY座標の数値として設定される。そして、ステップS204のキー入力待ちにリターンする。
CPU307は、ステップS212での判定により、shift+矢印キーが押下されたと認識した場合、ステップS209でshelf=tempと設定することによって決められた調整対象となる棚段(調整対象表示パネル)に対応する表示領域IMGAを、矢印キーの方向に拡大又は縮小する(ステップS214)。この際、CPU307は、拡大又は縮小である表示サイズのオフセットデータをRAM309のワークエリアに一時記憶する。つまり、この場合のオフセット値は、図9に示す表示補正ファイル354中、ステップS209でshelf=tempと設定することによって決められた調整対象となる棚段(調整対象表示パネル)について、つまり、その数値が<ShelfBoardID>と<ShelfBoardID>との間に設定されている棚段について、<DiffHeight>と<DiffHeight>とで囲まれた高さの数値及び<DiffWidth>と<DiffWidth>とで囲まれた幅の数値として設定される。そして、ステップS204のキー入力待ちにリターンする。
CPU307は、ステップS212での判定により、ctrl+Sキーが押下されたと認識した場合、ステップS213及びステップS214でRAM309のワークエリアに一時記憶されたオフセットデータを表示補正ファイル354に設定する(ステップS215)。そして、ステップS204のキー入力待ちにリターンする。
CPU307は、ステップS212での判定により、Enterキーが押下されたと認識した場合、ステップS209でshelf=tempと設定することによって決められた調整対象となる棚段(調整対象表示パネル)に対応する表示領域IMGAに対してステップS210でなされた強調表示を解除する(ステップS216)。そして、shelf=−1として、どの棚段(調整対象表示パネル)も選択されていない状態に戻す(ステップS217)。そして、ステップS204のキー入力待ちにリターンする。
CPU307は、ステップS212での判定により、ctrl+Qキーが押下されたと認識した場合、補正モードを終了する。
以上説明したように、ステップS213の処理とステップS215の処理とによって、プロジェクタ画像中における表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示位置を個々独立に変更するデータ補正処理が実行される。また、ステップS214の処理とステップS215の処理とによって、プロジェクタ画像中における表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示サイズを個々独立に変更するデータ補正処理が実行される。
なお、ステップS213〜ステップS216の処理の実行を指定するステップS212で判定されるキーの種別は、一つの例を例示しているに過ぎない。ステップS213〜ステップS216の処理の実行の指定は別の種類のキーによってなされてもよく、ポインティングデバイス305での操作指定によってなされてもよい。
図12は、ディスプレイ303上での表示座標の一例を示す模式図である。ここで、表示補正ファイル354にオフセット値を設定することが、何故にプロジェクタ画像中における表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示位置及び表示サイズを個々独立に変更することになるのかについて説明する。
図12に例示するように、ディスプレイ303の表示コントローラ(図示せず)は、X=0〜1024、Y=0〜768の座標系でディスプレイ303を表示制御するものとする。そして、CPU307は、ディスプレイ303に対する表示内容の基準座標及び基準サイズ(幅、高さ)を、表3に示すように仮定する。
この仮定中の「BaseX」、「BaseY」、「BaseWidth」及び「BaseHeight」には、図8に示す表示基準ファイル353中で「X」、「Y」、「Width」及び「Height」として定義されている数値が当て嵌められる。
また、CPU307は、表示位置のオフセット量及び表示サイズのオフセット量を表4に示すように仮定する。
この仮定中の「DiffX」、「DiffY」、「DiffWidth」及び「DiffHeight」には、図9に示す表示補正ファイル354中で「DiffX」、「DiffY」、「DiffHeight」及び「DiffWidth」として定義されている数値が当て嵌められる。
また、CPU307は、補正反映後の表示位置及び表示サイズを表5に示すように仮定する。
そして、CPU307は、上記仮定の下、補正反映後の個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示座標を表6に示すように設定し、表示コントローラ(図示せず)を制御する。
その結果、個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)は、図9に示す表示補正ファイル354中で「DiffX」、「DiffY」、「DiffHeight」及び「DiffWidth」として定義されたオフセット値が反映された表示位置及び表示サイズで表示されることになる。
以上説明したように、本実施の形態のコンピュータ301(301a、301b)によれば、個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示位置及び表示サイズを調整することが可能である。これは、一例として、陳列棚101の個体差やその経年変化によって、個々のスクリーン106(スクリーン106a、106b、106c、106d)に対する個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示位置及びサイズがずれるような場合、そのずれを解消する極めて有効な解決策となる。その結果、複数段の透過型のスクリーン106(スクリーン106a、106b、106c、106d)という構造物に対して、プロジェクタ201から投影する一画面のプロジェクタ投影画像を正しく位置合わせすることができ、個々のスクリーン106(スクリーン106a、106b、106c、106d)に位置ずれなくプロジェクタ投影画像を表示させることが可能となる。
101…陳列棚,102(102a、102b、102c)…載置台,106(106a、106b、106c、106d)…スクリーン,201…プロジェクタ,301(301a、301b)…コンピュータ(プロジェクタ画像送信装置),303…ディスプレイ(表示部),304…キーボード(入力部),305…ポインティングデバイス(入力部),306…マイクロコンピュータ(制御部),309…RAM(記憶部),311…HDD(記憶部),314…通信インターフェース(データ送信部),351…画像形成投影ソフトウェア(コンピュータプログラム),353…表示基準ファイル(表示ファイル),354…表示補正ファイル(表示ファイル),A…商品(品物),IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)…表示領域