JP2009157026A - 映像表示装置およびヘッドマウントディスプレイ - Google Patents
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Abstract
【課題】反射型のHOE23を用いた構成において、光学瞳Eの位置調整を容易に行う。
【解決手段】映像観察状態で発光する光における、少なくともいずれかの波長領域において規格化された発光強度ピークの半値波長全幅をΔλViewとし、位置調整状態でのみ発光する光における、上記波長領域において規格化された発光強度ピークの半値波長全幅をΔλAli とすると、少なくともいずれかの波長領域について、ΔλView<ΔλAli を満足する。例えば、映像観察状態では第1の光源11aを点灯し、位置調整状態では発光波長幅のより広い第2の光源11bを追加点灯することで、上記の条件を満足することができる。これにより、HOE23で回折されて光学瞳Eに到達する上記波長領域の光の瞳位置での到達面積を、映像観察状態よりも位置調整状態で大きくすることができる。
【選択図】図1
【解決手段】映像観察状態で発光する光における、少なくともいずれかの波長領域において規格化された発光強度ピークの半値波長全幅をΔλViewとし、位置調整状態でのみ発光する光における、上記波長領域において規格化された発光強度ピークの半値波長全幅をΔλAli とすると、少なくともいずれかの波長領域について、ΔλView<ΔλAli を満足する。例えば、映像観察状態では第1の光源11aを点灯し、位置調整状態では発光波長幅のより広い第2の光源11bを追加点灯することで、上記の条件を満足することができる。これにより、HOE23で回折されて光学瞳Eに到達する上記波長領域の光の瞳位置での到達面積を、映像観察状態よりも位置調整状態で大きくすることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、表示素子にて表示された映像を虚像として観察者に提供する映像表示装置と、その映像表示装置を備えたヘッドマウントディスプレイ(以下、HMDとも称する)とに関するものである。
従来から、表示素子からの映像光をホログラム光学素子(以下、HOEとも称する)を介して観察者の瞳に導く映像表示装置が種々提案されている。上記のHOEは、可干渉性を有する2光束でホログラム感光材料を露光することにより作製されるが、例えば特許文献1では、一方の露光光源(点光源)を再生時の光学瞳の位置から離してホログラム感光材料を露光することにより、HOEを作製している。この手法でHOEを作製した場合、再生時に観察者の瞳が光学瞳の面内でずれたとしても、画角が狭い範囲では、観察方向と露光方向とが一致しているか、または近いため、HOEにて比較的高い回折効率で回折される映像光を観察者の瞳に入射させることができ、観察者は明るい映像を観察することが可能となる。
しかし、広い画角の両端の観察方向については、露光方向と大きくずれるため、映像光をHOEにて高い回折効率で回折させて観察者の瞳に入射させることができない。その結果、観察者の瞳が光学瞳の面内でどの位置にあっても、観察映像には、画面中心から周辺に向かうに従って暗くなる輝度ムラが発生する。よって、このような観察映像の輝度ムラを低減するためには(画面全体にわたって明るい映像を観察するためには)、どの観察方向についても露光方向と一致させること、つまり、一方の露光光源を再生時の光学瞳の位置(瞳中心)に配置してホログラム感光材料を露光し、HOEを作製することが必要となる。
ところが、露光光源の位置と光学瞳の中心とを一致させて反射型のHOEを作製した場合、反射型のHOEは角度選択性および波長選択性が高いので、観察者の瞳が光学瞳の中心からずれると、観察映像は急激に暗くなる。このため、観察者は最初に光学瞳を探しにくく、観察者の瞳位置と光学瞳の位置とを合わせることが難しい。以下、この点についてより詳細に説明する。
図15は、露光光源を光学瞳の中心に配置し、製造波長532nmの光で露光し、作製した反射型HOEの回折効率の波長特性を示している。なお、同図中のyの値(mm)は、光学瞳の瞳面とHOEの光軸入射面との交線上での瞳中心(y=0)からのずれを示している。なお、上記の光軸入射面とは、HOEにおける入射光の光軸と反射光の光軸とを含む平面を指す。
同図より、露光光源の配置位置(すなわちy=0)に到達する光線のHOEでの回折効率は、再生波長が製造波長と同じ532nmのときに最大である。製造波長からずれた波長で再生したときには、ブラッグの条件式に従って、光学瞳面上での光の到達位置が変化する。
また、図16は、532nmを発光主波長とする照明光源(LED)の発光特性を示しており、図17は、光学瞳面での照度分布を示している。再生時における光学瞳面での照度は、照明光源の発光特性(発光強度)と、HOEの回折効率との積で決まる。つまり、例えば、図16に示す発光特性を有する照明光源を再生時に用いた場合、光学瞳面での照度は、図17に示すように、露光光源が置かれた位置(すなわちy=0)において照度が最大となり、瞳中心からずれるに従って、照度が小さくなっていく。このことから、映像観察時に観察者の瞳が光学瞳の中心からずれると、観察映像が急激に暗くなることがわかる。したがって、観察者は最初に光学瞳を探しにくく、観察者の瞳位置と光学瞳の位置とを合わせることが困難となる。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、反射型のHOEを用いた構成において、光学瞳の位置調整を容易に行うことができる映像表示装置と、その映像表示装置を備えたHMDとを提供することにある。
本発明の映像表示装置は、光源と、光源からの光を変調して映像を表示する表示素子と、表示素子からの映像光を回折反射して光学瞳に導く体積位相型の反射型ホログラム光学素子を有する接眼光学系とを備えた映像表示装置であって、光源は、少なくとも1つの波長領域に発光強度のピークを有しており、観察者が光学瞳の位置で映像を観察する映像観察状態で発光する光における、少なくともいずれかの波長領域において規格化された発光強度ピークの半値波長全幅をΔλViewとし、光学瞳の位置と観察者の瞳位置とを合わせる位置調整状態でのみ発光する光における、上記波長領域において規格化された発光強度ピークの半値波長全幅をΔλAli とすると、少なくともいずれかの波長領域について、
ΔλView<ΔλAli
を満足することを特徴としている。
ΔλView<ΔλAli
を満足することを特徴としている。
上記の構成によれば、光源からの光は、表示素子にて変調され、映像光として射出された後、接眼光学系のホログラム光学素子(HOE)で回折反射され、光学瞳に導かれる。したがって、光学瞳の位置では、観察者は表示素子の表示映像(虚像)を観察することができる。
ここで、少なくともいずれかの波長領域について(例えばRGBの少なくともいずれかの波長領域について)、ΔλView<ΔλAli を満足するので、HOEで回折されて光学瞳に到達する上記波長領域の光の瞳位置での到達面積(すなわち瞳サイズ)を、映像観察状態よりも位置調整状態で大きくすることができる。したがって、HOEとして角度選択性および波長選択性の高い反射型のものを用いた場合でも、観察者は位置調整状態において光学瞳を探しやすくなり、位置調整を容易に行うことが可能となる。
本発明の映像表示装置においては、少なくともいずれかの波長領域について、
2・ΔλView<ΔλAli
を満足することが望ましい。この場合、HOEで回折されて光学瞳に到達する光の瞳位置での到達面積を、映像観察状態よりも位置調整状態で十分に大きくすることができ、位置調整をさらに容易に行うことが可能となる。
2・ΔλView<ΔλAli
を満足することが望ましい。この場合、HOEで回折されて光学瞳に到達する光の瞳位置での到達面積を、映像観察状態よりも位置調整状態で十分に大きくすることができ、位置調整をさらに容易に行うことが可能となる。
本発明の映像表示装置においては、少なくともいずれかの波長領域について、ΔλViewの波長範囲は、ΔλAli の波長範囲に含まれていることが望ましい。この場合は、位置調整状態における光学瞳の瞳面での照度ピーク位置と、映像観察状態における光学瞳の瞳面での照度ピーク位置とのずれを小さく抑えることができる。これにより、位置調整状態において、光学瞳の位置を、映像観察状態で映像を明るく観察できるベストな位置に確実に近づけることができる。
本発明の映像表示装置において、光源は、少なくとも緑の波長領域に発光強度のピークを有しており、少なくとも緑の波長領域について条件を満足することが望ましい。Gは、BやRに比べて人間の視感度が高く、色として認識されやすいので、位置調整を容易にかつ確実に行うことができる。
本発明の映像表示装置において、nを2以上の整数とすると、光源は、n個の波長領域に発光強度のピークを有しており、n−1個以下の波長領域について条件を満足することが望ましい。
n個全部の波長領域ではなく、n−1個以下の波長領域について、上述した本発明のいずれかの条件を満足することにより、観察者の瞳が光学瞳の中心に位置するときとその周辺に位置するときとで、観察者に異なる色を認識させることができる。これにより、観察者は、位置調整状態において、自らの瞳と光学瞳とをその瞳面上で正確に位置合わせしやすくなる。
本発明の映像表示装置において、上記光源は、第1の光源と第2の光源とを有しており、映像観察状態では、第1の光源を発光させる一方、位置調整状態では、少なくとも第2の光源を発光させる構成であってもよい。この構成によれば、光源の発光波長領域を、映像観察状態と位置調整状態とで容易に切り替えることができ、また、このような切り替えにより、ΔλView<ΔλAli を容易に実現することができる。
本発明の映像表示装置において、位置調整状態では、第1の光源と第2の光源とを両方とも発光させてもよい。位置調整状態では、第2の光源のみを発光させる場合に比べて、光学瞳の瞳面の照度が高くなるので、観察者は光学瞳を見つけやすくなり、光学瞳の位置調整を容易に行うことができる。
本発明の映像表示装置において、位置調整状態では、第2の光源のみを発光させてもよい。位置調整状態では、第1の光源および第2の光源の両方を発光させる場合に比べて、消費電力を低減することができる。
本発明の映像表示装置において、第2の光源は、少なくともいずれかの波長領域について、第1の光源の発光強度ピークの波長を挟む2つの波長に発光強度のピークを有する光を発光してもよい。この場合は、発光強度ピーク1つあたりの半値波長全幅が元々狭い場合でも、第2の光源の発光特性として、少なくともいずれかの波長領域で広範囲にわたって高い発光強度を得ることができる。したがって、位置調整状態では、第2の光源の追加点灯、または切り替え点灯により、ΔλView<ΔλAli を容易に実現することができる。
本発明の映像表示装置は、光源が発光する波長領域の一部の光のみを表示素子に導く波長制限フィルタと、映像観察状態では波長制限フィルタを光源と表示素子との間の光路中に配置する一方、位置調整状態では波長制限フィルタを上記光路中から取り除く駆動部とをさらに備えている構成であってもよい。
上記構成においては、映像観察状態では、光源が発光する波長領域の一部の光のみが波長制限フィルタを介して表示素子に導かれる。一方、位置調整状態では、駆動部によって波長制限フィルタが光路中から取り除かれるので、光源が発光する波長領域全体の光が表示素子に導かれる。したがって、このような波長制限フィルタの光路中への挿抜によっても、光源の発光波長領域を、映像観察状態と位置調整状態とで容易に切り替えることができ、また、このような切り替えにより、ΔλView<ΔλAli を容易に実現することができる。
本発明の映像表示装置において、波長制限フィルタは、体積位相型の反射型ホログラム光学素子で構成されており、接眼光学系のホログラム光学素子と、波長制限フィルタを構成するホログラム光学素子とは、回折効率のピーク波長が一致していることが望ましい。
接眼光学系のHOEと波長制限フィルタを構成するHOEとで、回折主波長が一致していれば、光源が発光する光の利用効率を向上させることができ、映像観察状態において、明るく、高品位の映像を観察することが可能となる。
本発明の映像表示装置において、接眼光学系のホログラム光学素子は、表示素子からの映像光を回折反射させて光学瞳に導くと同時に、外光を透過させて光学瞳に導く構成であってもよい。体積位相型の反射型ホログラム光学素子は、反射波長域が狭く、外光の透過率が高い。したがって、映像観察状態において、観察者は、表示映像(虚像)を観察しながら、外界像をシースルーで観察することが可能となる。
本発明の映像表示装置において、接眼光学系のホログラム光学素子は、光源の発光強度のピーク波長に対応して、少なくとも1つの波長領域に回折効率のピークを有していることが望ましい。
例えば、光源がGの波長領域のみに発光強度のピークを有しており、HOEもこれに対応してGの波長領域のみに回折効率のピークを有していれば、観察者は光学瞳の位置でGの映像を観察することができる。また、例えば、光源がRGBの各波長領域に発光強度のピークを有しており、HOEもこれに対応してRGBの各波長領域に回折効率のピークを有していれば、観察者は光学瞳の位置でカラー映像を観察することができる。
本発明のHMDは、上述した本発明の映像表示装置と、上記映像表示装置を観察者の眼前で支持する支持手段とを有していることを特徴としている。この構成では、映像表示装置が支持手段にて支持されるので、観察者は映像表示装置から提供される映像をハンズフリーで長時間安定して観察することができる。
本発明のHMDにおいて、上記支持手段は、接眼光学系の光学瞳の位置を観察者の瞳位置に合わせる位置調整を行った後に、観察者の頭部に対する接眼光学系の相対位置を固定する固定手段を有していることが望ましい。この構成では、固定手段により、光学瞳の位置調整後に、観察者の頭部に対する接眼光学系の相対位置が固定されるので、観察者は、光学瞳の位置にて、良好な映像を確実に観察することができる。
本発明によれば、少なくともいずれかの波長領域について、ΔλView<ΔλAli を満足することにより、HOEで回折されて光学瞳に到達する上記波長領域の光の瞳位置での到達面積を、映像観察状態よりも位置調整状態で大きくすることができる。したがって、HOEとして反射型のものを用いた場合でも、観察者は位置調整状態において光学瞳を探しやすくなり、位置調整を容易に行うことが可能となる。
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。
(1.HMDの構成)
図2は、本実施形態に係るHMDの概略の構成を示す斜視図である。HMDは、映像表示装置1と、支持手段2とで構成されている。
図2は、本実施形態に係るHMDの概略の構成を示す斜視図である。HMDは、映像表示装置1と、支持手段2とで構成されている。
映像表示装置1は、観察者に外界像をシースルーで観察させるとともに、映像を表示して観察者にそれを虚像として提供するものである。この映像表示装置1は、後述する光源11や表示素子13(ともに図1(a)(b)参照)などを収容する筐体3に接眼光学系4を一体化させて構成されている。光源11や表示素子13を制御するための信号や各部の駆動電力は、筐体3を貫通するケーブル5を介して各部に供給される。接眼光学系4は、全体として眼鏡の一方のレンズ(図2では右眼用レンズ)のような形状をなしている。なお、眼鏡の左眼用レンズに相当するレンズ6は、ダミーレンズである。
支持手段2は、映像表示装置1を観察者の眼前で支持する支持部材である。本実施形態では、支持手段2は、観察者の右眼に対応して1個の映像表示装置1を支持しているが、観察者の両眼に対応して2個の映像表示装置1を支持してもよい。この支持手段2は、眼鏡のフレームおよびテンプルに相当する部材と、固定機構7とを含んで構成されている。
固定機構7は、接眼光学系4の光学瞳(射出瞳)の位置を観察者の瞳(瞳孔、虹彩)の位置に合わせる位置調整を行った後に、観察者の頭部に対する接眼光学系4の相対位置を固定する固定手段であり、観察者の鼻と当接して移動可能な右鼻当て7Rおよび左鼻当て7Lと、これらをロックするロック部とを有して構成されている。支持手段2が固定機構7を有していることにより、光学瞳の位置調整後、観察者は、光学瞳の位置にて、良好な映像を確実にかつ安定して観察することができる。
(2.映像表示装置の構成について)
次に、上述した映像表示装置1の構成について説明する。なお、以下での説明の便宜上、観察者が光学瞳Eの位置に自分の瞳Pを合わせて映像を観察する状態を映像観察状態と称し、映像観察前に光学瞳Eの位置と観察者の瞳Pの位置とを合わせる位置調整を行う状態を位置調整状態と称することとする。
次に、上述した映像表示装置1の構成について説明する。なお、以下での説明の便宜上、観察者が光学瞳Eの位置に自分の瞳Pを合わせて映像を観察する状態を映像観察状態と称し、映像観察前に光学瞳Eの位置と観察者の瞳Pの位置とを合わせる位置調整を行う状態を位置調整状態と称することとする。
図1(a)は、本実施形態の映像表示装置1の位置調整状態での構成および光路を示す断面図であり、図1(b)は、映像表示装置1の映像観察状態での構成および光路を示す断面図である。このように、映像表示装置1は、光源11と、照明光学系12と、表示素子13と、接眼光学系4とを有している。
なお、説明の便宜上、方向を以下のように定義しておく。まず、表示素子13の表示領域の中心と、接眼光学系4によって形成される光学瞳Eの中心とを光学的に結ぶ軸を光軸とする。そして、光源11から光学瞳Eまでの光路を展開したときの光軸方向をZ方向とする。また、接眼光学系4の後述するHOE23の光軸入射面に垂直な方向をX方向とし、ZX平面に垂直な方向をY方向とする。なお、HOE23の光軸入射面とは、HOE23における入射光の光軸と反射光の光軸とを含む平面、すなわち、YZ平面を指す。なお、X、Y、Zの各方向の正負は問わないものとする。
光源11は、第1の光源11aと、第2の光源11bと、それぞれの前面に配置される絞りとを有して構成されている。第1の光源11aおよび第2の光源11bは、光学瞳Eとほぼ共役な位置に配置されている。第1の光源11aは、映像観察状態で発光し、位置調整状態では必要に応じて発光する光源である。一方、第2の光源11bは、位置調整状態でのみ発光する光源である。本実施形態では、映像観察状態では、第1の光源11aのみを発光させ、位置調整状態では、第1の光源11aと第2の光源11bとを両方とも発光させている。
図3は、第1の光源11aの発光特性を示しており、図4は、第2の光源11bの発光特性を示している。第1の光源11aは、赤(R)、緑(G)、青(B)の波長領域に発光強度のピークを有する光を出射するものであり、RGB一体型のLEDで構成されている。第1の光源11aにおいて、発光強度がピークとなるときの波長は、例えば462nm、525nm、635nmとなっている。一方、第2の光源11bは、発光波長の広い白色LEDで構成されており、450nm付近と550nm付近、すなわち、BとGの各波長領域に発光強度のピークを有する光を出射する。
ここで、映像観察状態で発光する光、すなわち、第1の光源11aが発光する光におけるGの波長領域において規格化された発光強度ピークの半値波長全幅をΔλViewとし、位置調整状態でのみ発光する光、すなわち、第2の光源11bが発光する光における、上記と同じGの波長領域において規格化された発光強度ピークの半値波長全幅をΔλAli とすると、本実施形態では、例えば、ΔλView=40nm、ΔλAli =115nmとなっている。つまり、Gの波長領域について、ΔλView<ΔλAli となっており、発光強度ピークを規格化した状態での半値波長全幅が、映像観察状態よりも位置調整状態で広くなっている。
図1(a)(b)に戻って説明を続ける。照明光学系12は、光源11から射出された光を表示素子13に導くものであり、光路コンバイナ12aと、ミラー12bとで構成されている。光路コンバイナ12aは、第1の光源11aおよび第2の光源11bが発光した光を合成して出射するものであり、第1の光源11aからの光を透過させる一方、第2の光源11bからの光を反射させて、両者の光を合成する。ミラー12bは、入射光(光路コンバイナ12aを介して入射する光)を反射してYZ平面でのみ集光するシリンドリカル凹面ミラーで構成されている。なお、ミラー12bの代わりに、平面の反射ミラーと、集光レンズとを用いてもよく、集光レンズのみを用いてもよい。
表示素子13は、光源11から照明光学系12を介して入射する光を画像データに応じて変調して映像を表示するものであり、例えば複数の画素をマトリクス状に有する透過型のLCDで構成されている。表示素子13は、矩形の表示画面の長辺方向がX方向となり、短辺方向がY方向となるように配置されている。なお、表示素子13は、反射型の光変調素子で構成されてもよい。
接眼光学系4は、表示素子13からの映像光を光学瞳Eに導くとともに、外界像の光(外光)を光学瞳Eに導く光学系であり、接眼プリズム21と、偏向プリズム22と、HOE23とを有して構成されている。
接眼プリズム21は、表示素子13からの映像光を内部で全反射させてHOE23に導くものであり、偏向プリズム22とともに、例えばアクリル系樹脂で構成されている。この接眼プリズム21は、平行平板の下端部を楔状にした形状で構成されている。接眼プリズム21の上端面は、映像光の入射面としての面21aとなっており、前後方向に位置する2面は、互いに平行な面21b・21cとなっている。
偏向プリズム22は、平面視で略U字型の平行平板で構成されており(図2参照)、接眼プリズム21の下端部および両側面部(左右の各端面)と貼り合わされたときに、接眼プリズム21と一体となって略平行平板となるものである。偏向プリズム22は、HOE23を挟むように接眼プリズム21と接着して設けられている。これにより、接眼プリズム21の楔状の下端部を外光が透過するときの屈折を偏向プリズム22でキャンセルすることができ、シースルーで観察される外界像に歪みが生じるのを防止することができる。
HOE23は、表示素子13からの映像光を回折反射させて光学瞳Eに導くと同時に、外光を透過させて光学瞳Eに導く体積位相型の反射型ホログラム光学素子であり、接眼プリズム21において偏向プリズム22との接合面に設けられている。HOE23は、特定の入射角で入射する光であって、回折主波長および半値波長全幅で例えば465±5nm(B光)、521±5nm(G光)、634±5nm(R光)の3つの波長域の光を回折反射させる角度選択性および波長選択性を有している。なお、回折主波長とは、回折効率がピークとなるときの波長を指し、半値波長全幅とは、回折効率がピークの半値となるときの波長幅を指す。
体積位相型の反射型ホログラム光学素子は、反射波長域が狭く、外光の透過率が高いので、これをHOE23として用いることにより、観察者は、表示映像(虚像)を観察しながら、外界像をシースルーで観察することが可能となる。また、HOE23は、軸非対称な正の光学的パワーを有しており、正の光学的パワーを持つ非球面凹面ミラーと同様の機能を持っている。これにより、装置を構成する各光学部材の配置の自由度を高めて装置を容易に小型化することができるとともに、良好に収差補正された映像を観察者に提供することができる。
また、HOE23が、光源11(少なくとも光源11a)の発光強度のピーク波長に対応する波長領域(ここではRGBの各領域)に回折効率のピークを有していることにより、HOE23でRGBの光を効率よく回折させて光学瞳Eに導くことができ、観察者は光学瞳Eの位置でカラー映像を観察することが可能となる。
(3.映像表示装置の動作について)
次に、上記構成の映像表示装置1の動作について説明する。
まず、映像観察状態では、図1(b)に示すように、第1の光源11aのみを点灯する。第1の光源11aから射出された光は、対応する絞りを通過した後、照明光学系12の光路コンバイナ12aを透過し、ミラー12bで反射されて表示素子13に入射し、そこで変調されて映像光として出射される。
次に、上記構成の映像表示装置1の動作について説明する。
まず、映像観察状態では、図1(b)に示すように、第1の光源11aのみを点灯する。第1の光源11aから射出された光は、対応する絞りを通過した後、照明光学系12の光路コンバイナ12aを透過し、ミラー12bで反射されて表示素子13に入射し、そこで変調されて映像光として出射される。
表示素子13からの映像光は、接眼光学系4の接眼プリズム21の内部に面21aから入射し、互いに対向する2つの面21b・21cで複数回全反射されて、HOE23に入射する。HOE23に入射した光は、そこで回折反射されて光学瞳Eに達する。したがって、光学瞳Eの位置では、観察者は表示素子13に表示された映像の拡大虚像を観察することができる。
一方、接眼プリズム21、偏向プリズム22およびHOE23は、外光をほとんど全て透過させるので、観察者は外界像を観察することができる。したがって、表示素子13に表示された映像の虚像は、外界像の一部に重なって観察されることになる。
上記の映像観察状態では、HOE23での回折波長の周辺の波長を有する光しか第1の光源11aから射出されないので、接眼光学系4の光学瞳Eの瞳面における実際の瞳サイズ(光の到達するサイズ)は、Y方向で例えば3mm程度であり、かつ、瞳中心からY方向に遠ざかるに従って照度が急激に低下している。
そこで、位置調整状態では、図1(a)に示すように、第1の光源11aの点灯に加えて、発光波長が十分に広い第2の光源11bを追加点灯する。第2の光源11bから射出された光は、対応する絞りを通過した後、照明光学系12の光路コンバイナ12aで反射されて、光路コンバイナ12aを透過する第1の光源11aからの光と合成され、その後、ミラー12bで反射されて表示素子13に入射する。以降については、映像観察状態と同様の光路を辿って光学瞳Eまで導かれる。
第2の光源11bは、上述したように、ΔλView<ΔλAli となるような光を発光するので、位置調整状態において、HOE23で回折されて光学瞳Eに到達する光の瞳位置での到達面積、すなわち、光学瞳Eの実際の瞳サイズを映像観察状態の3mmよりも大きくすることができる。これにより、HOE23として角度選択性および波長選択性の高い反射型のものを用いた場合でも、位置調整状態で観察者は光が到達している場所(光学瞳Eの位置)を容易に探し出すことができ、光学瞳Eの位置と自分の瞳Pの位置とを合わせる位置調整を容易に行うことが可能となる。
特に、本実施形態では、ΔλView=40nm、ΔλAli =115nmであり、2・ΔλView<ΔλAli ともなっているので、HOE23で回折されて光学瞳Eに到達する光の瞳位置での到達面積を、映像観察状態よりも位置調整状態で十分に大きくすることができ、位置調整をさらに容易に行うことが可能となる。
また、図3および図4より、ΔλViewの波長範囲は510nm〜550nm(幅は40nm)であり、ΔλAli の波長範囲は510nm〜625nm(幅は115nm)である。つまり、ΔλViewの波長範囲は、ΔλAli の波長範囲に含まれている。これにより、位置調整状態と映像観察状態とにおける、光学瞳Eの瞳面での照度ピーク位置のずれを小さく抑えることができる。その結果、位置調整状態において、光学瞳Eの位置を、映像観察状態で映像を明るく観察できるベストな位置に確実に近づけることができる。
ところで、本実施形態では、1つの波長領域(ここではGの波長領域)について、ΔλView<ΔλAli や2・ΔλView<ΔλAli の関係を満たし、また、ΔλViewの波長範囲がΔλAli の波長範囲に含まれていることを示したが、BやRの波長領域についても同様の条件を満足すれば、各波長領域の光について瞳サイズを大きくしたり、照度ピークの位置ずれを小さくすることができる。したがって、以上のことをまとめると、発光強度ピークを有する少なくともいずれかの波長領域について、ΔλView<ΔλAli や2・ΔλView<ΔλAli の関係を満たし、ΔλViewの波長範囲がΔλAli の波長範囲に含まれていればよいと言える。
また、本実施形態では、映像観察状態で第1の光源11aを発光させる一方、位置調整状態で少なくとも第2の光源11bを発光させているので、光源11の発光波長領域を、映像観察状態と位置調整状態とで容易に切り替えて、ΔλView<ΔλAli を容易に実現することができる。特に、位置調整状態では、第1の光源11aと第2の光源11bとを両方とも発光させているので、第2の光源11bのみを発光させる場合に比べて、光学瞳Eの瞳面の照度が高くなる。これにより、位置調整状態において、観察者は光学瞳Eを見つけやすくなり、光学瞳Eの位置調整を容易に行うことができる。
なお、位置調整状態で光源11の発光領域を広げることで、回折素子であるHOE23を用いた接眼光学系4の結像性能は著しく劣化するが、位置調整状態では、接眼光学系4の光学瞳Eがどこにあるかをよりわかりやすくすることが重要であり、結像性能の劣化は問題にはならない。一方、映像観察状態では、第1の光源11aの点灯によって性能の良好な発光領域のみを使用するので、観察者は光学瞳Eの位置にて良好な映像を観察することができる。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、以下での説明の便宜上、実施の形態1と同一の構成には同一の部材番号を付記し、その説明を省略する。
本発明の他の実施の形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、以下での説明の便宜上、実施の形態1と同一の構成には同一の部材番号を付記し、その説明を省略する。
図5(a)は、本実施形態の映像表示装置1の位置調整状態での構成および光路を示す断面図であり、図5(b)は、映像表示装置1の映像観察状態での構成および光路を示す断面図である。本実施形態では、映像観察状態では第1の光源11aを発光させ、位置調整状態では第2の光源11bのみを発光させる点で、実施の形態1とは異なっている。つまり、本実施形態の映像表示装置1は、映像観察状態と位置調整状態とで、点灯する光源を切り替える構成である。このような構成により、位置調整状態では、第1の光源11aおよび第2の光源11bの両方を発光させる場合に比べて、消費電力を低減することができる。
ここで、図6は、本実施形態の第1の光源11aの発光特性を示しており、図7は、本実施形態の第2の光源11bの発光特性を示している。第1の光源11aは、RGBの各波長領域に発光強度のピークを有する光を出射する。第1の光源11aにおいて、発光強度がピークとなるときの波長は、例えば460nm、520nm、620nmとなっている。一方、第2の光源11bは、Gの波長領域にのみ発光強度のピークを有する光を出射する単色光源で構成されており、例えば525nmに発光強度のピークを有している。なお、HOE23は、第1の光源11aおよび第2の光源11bの発光強度のピーク波長に対応する波長領域(ここではRGBの各領域)に回折効率のピークを有しているものとする。
本実施形態では、例えば、Gの波長領域において、ΔλView=28nm、ΔλAli =42nmとなっている。つまり、Gの波長領域について、ΔλView<ΔλAli となっている。また、ΔλViewの波長範囲は505nm〜533nm(幅は28nm)であり、ΔλAli の波長範囲は500nm〜542nm(幅は42nm)である。つまり、ΔλViewの波長範囲は、ΔλAli の波長範囲に含まれている。
このように、Gの波長領域について、発光強度ピークを規格化した状態での半値波長全幅が、映像観察状態よりも位置調整状態で広くなっているので、Gの色については、位置調整状態における光学瞳Eのサイズを映像観察状態よりも大きくすることができる。その結果、実施の形態1と同様に、反射型のHOE23を用いた構成でも、光学瞳Eの位置調整を容易に行うことが可能となる。
また、Gの波長領域について、ΔλViewの波長範囲は、ΔλAli の波長範囲に含まれているので、位置調整状態と映像観察状態とにおける、光学瞳Eの瞳面での照度ピーク位置のずれを小さく抑えることができる。その結果、位置調整状態において、光学瞳Eの位置を、映像観察状態で映像を明るく観察できるベストな位置に確実に近づけることができる。
また、第2の光源11bは、Gの波長領域にのみ発光強度のピークを有しており、このGの波長領域についてのみ、ΔλView<ΔλAli を満足している。Gは、BやRに比べて人間の視感度が高く、色として認識されやすい。よって、Gの色に基づいて位置調整を行うことにより、光学瞳Eの位置調整を容易にかつ確実に行うことができる。なお、この効果は、第2の光源11bが少なくともGの波長領域に発光強度のピークを有していれば得ることができ、例えばBの波長領域にも発光強度のピークを有し、かつ、そのBの波長領域でΔλView<ΔλAli を満足していても構わない。
ところで、本実施形態では、映像観察状態と位置調整状態とで、点灯する光源を切り替える例について説明したが、実施の形態1と同様に、位置調整状態において、第1の光源11aに加えて第2の光源12bを追加点灯する構成としてもよい。第1の光源11aおよび第2の光源11bが、それぞれ図6および図7の発光特性を有している場合に、位置調整状態で第2の光源11bを追加点灯することにより、観察者の瞳Pが光学瞳Eの中心に位置するときとその周辺に位置するときとで、観察者に異なる色を認識させることができ、正確な位置合わせが可能となる。
つまり、光学瞳Eの中心に観察者の瞳Pが位置している場合には、第1の光源11aの点灯による白色と第2の光源11bの点灯による緑色とを合成した色が観察者に認識される。これに対して、光学瞳Eの瞳面上で周辺位置に観察者の瞳Pが位置している場合には、第1の光源11aの点灯による白色光(RGBの各光)が、HOE23で高い回折効率で回折されて入射しないため、発光波長の広い第2の光源11bの点灯による緑色のみが観察者に認識される。
このように、光学瞳Eの瞳面上での観察者の瞳Pの位置に応じて、観察者に認識される色が異なるので、観察者は、位置調整状態において、自らの瞳Pと光学瞳Eとをその瞳面上で正確に位置合わせしやすくなる。
また、本実施形態のように、位置調整状態では、第2の光源11bとして単色を発光する光源を追加することで容易にΔλView<ΔλAli 等の条件を満足することができるので、安価な構成で位置調整を実現することが可能となる。
なお、位置調整状態で第2の光源11bを追加点灯する場合、nを2以上の整数とすると、n個全部の波長領域ではなく、n−1個以下の波長領域について、ΔλView<ΔλAli 等の条件を満足すれば、光学瞳Eの瞳面上での位置に応じて観察者に異なる色を認識させることができるので、正確な位置合わせが可能となる効果を得ることができる。
以上では、位置調整状態で発光する第2の光源11bが、1つの波長領域(例えばGの波長領域)において1つの発光強度ピークを有する例について説明したが、1つの波長領域において複数の発光強度ピークを有していてもよい。
例えば、図8は、第1の光源11aの発光特性を示しており、図9は、第2の光源11bの発光特性を示している。図8に示すように、第1の光源11aが例えばRの波長領域に発光強度のピークを有している場合には、図9に示すように、第2の光源11bは、Rの波長領域において、第1の光源11aの発光強度ピークの波長を挟む2つの波長に発光強度のピークを有する光を発光してもよい。
この場合は、発光強度ピーク1つあたりの半値波長全幅が元々狭い場合でも、第2の光源11bの発光特性として、Rの波長領域で広範囲にわたって高い発光強度を得ることができる。よって、位置調整状態では、第2の光源11bの追加点灯、または切り替え点灯により、ΔλView<ΔλAli を容易に実現することができる。なお、このときのΔλAli は、図9に示すように、Rの波長領域において発光強度をピークのより高いほうで規格化したときの半値波長全幅を考えればよい。ちなみに、図8のΔλViewは例えば18nmであり、図9のΔλAli は例えば40nmである。
なお、図8および図9では、Rの波長領域を例に挙げて説明したが、第1の光源11aの発光強度がピークとなる波長領域に対応さえしていれば、どの波長領域についても上記と同様に考えることができ、その結果、上記と同様の効果を得ることができる。つまり、少なくともいずれかの波長領域について、第2の光源11bは、第1の光源11aの発光強度ピークの波長を挟む2つの波長に発光強度のピークを有する光を発光すれば、上記と同様の効果を得ることができる。
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、以下での説明の便宜上、実施の形態1・2と同一の構成には同一の部材番号を付記し、その説明を省略する。
本発明のさらに他の実施の形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、以下での説明の便宜上、実施の形態1・2と同一の構成には同一の部材番号を付記し、その説明を省略する。
図10(a)は、本実施形態の映像表示装置1の位置調整状態での構成および光路を示す断面図であり、図10(b)は、映像表示装置1の映像観察状態での構成および光路を示す断面図である。本実施形態では、映像観察状態では第1の光源11aを発光させ、位置調整状態では第1の光源11aおよび第2の光源11bを両方発光させている。つまり、本実施形態の映像表示装置1は、位置調整状態において、第1の光源11aに加えて第2の光源11bを追加点灯する構成である。ただし、本実施形態の第2の光源11bは、実施の形態1の第2の光源11bと同じもの(すなわち白色光源)であり、図4と同じ発光特性を有している。
ここで、図11は、本実施形態の第1の光源11aの発光特性を示している。第1の光源11aは、Gの波長領域にのみ発光強度のピークを有する光を出射する単色光源である。第1の光源11aにおいて、発光強度がピークとなるときの波長は、例えば530nmとなっている。なお、HOE23は、第1の光源11aおよび第2の光源11bの発光強度のピーク波長に対応する波長領域(ここではRGBの各領域)に回折効率のピークを有しているものとする。
本実施形態では、例えば、Gの波長領域において、ΔλView=42nm、ΔλAli =115nmとなっている。つまり、Gの波長領域について、ΔλView<ΔλAli となっている。また、ΔλViewの波長範囲は510nm〜552nm(幅は42nm)であり、ΔλAli の波長範囲は510nm〜625nm(幅は115nm)である。つまり、ΔλViewの波長範囲は、ΔλAli の波長範囲に含まれている。
このように、本実施形態では、Gの波長領域について、ΔλView<ΔλAli および2・ΔλView<ΔλAli を満足しているので、映像観察用の第1の光源11aが単色光源で構成されている場合でも、光学瞳Eの位置調整が容易となる実施の形態1または2と同様の効果を得ることができる。また、Gの波長領域について、ΔλViewの波長範囲がΔλAli の波長範囲に含まれているので、光学瞳Eの瞳面での照度ピーク位置のずれを小さく抑えて、位置調整状態において、光学瞳Eの位置をベストな位置に確実に近づけることができる。
なお、本実施形態では、第2の光源11bとして白色光源を用いているが、第1の光源11aがGの単色光源であるので、それに合わせてGの単色光源を用いてもよい。この場合、第1の光源11aと第2の光源11bとで、発光主波長(発光強度がピークとなる波長)を同じまたは近傍とし、ΔλView<ΔλAli を満足すれば、本実施形態と同様の効果を得ることができる。ただし、第2の光源11bを単色光源で構成した場合は、位置調整状態における光学瞳Eのサイズは、白色光源で構成した場合ほど大きくはならない。
〔実施の形態4〕
本発明のさらに他の実施の形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、以下での説明の便宜上、実施の形態1〜3と同一の構成には同一の部材番号を付記し、その説明を省略する。
本発明のさらに他の実施の形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、以下での説明の便宜上、実施の形態1〜3と同一の構成には同一の部材番号を付記し、その説明を省略する。
図12(a)は、本実施形態の映像表示装置1の位置調整状態での構成および光路を示す断面図であり、図12(b)は、映像表示装置1の映像観察状態での構成および光路を示す断面図である。本実施形態の映像表示装置1は、バンドパスフィルタ(以下、BPFとも称する)14と、駆動部15とをさらに有しており、光源11を第1の光源11aのみで構成し、照明光学系12の光路コンバイナ12aを省いた以外は、実施の形態1と同様の構成である。
BPF14は、光源11が発光する波長領域の一部の光のみを表示素子13に導く波長制限フィルタであり、例えば干渉フィルタや光学フィルタで構成され、光源11と絞りとの間に配置されている。駆動部15は、映像観察状態ではBPF14を光源11と表示素子13との間の光路中に配置する一方、位置調整状態ではBPF14を上記光路中から取り除くものであり、例えば上記光路を横切る方向にBPF14を回転させるモータや、BPF14をスライドさせる機構で構成されている。なお、図12(a)では、便宜上、BPF14および駆動部15の図示を省略している。
光源11は、実施の形態2の第2の光源11bと同じ発光特性(図7参照)を有するもので構成されている。つまり、光源11は、Gの波長領域にのみ発光強度のピークを有する光を出射する単色光源で構成されており、例えば525nmに発光強度のピークを有している。なお、HOE23は、光源11の発光強度のピーク波長に対応するGの波長領域に回折効率のピークを有しているものとする。
図12(b)に示す映像観察状態では、光源11が発光する波長領域の一部の光のみがBPF14を介して表示素子13に導かれる。この結果、図13に示すように、BPF14を透過した光(G光)について、ΔλViewは20nmとなっている。一方、図12(a)に示す位置調整状態では、駆動部15によってBPF14が光路中から取り除かれるので、光源11が発光する波長領域全体の光が表示素子13に導かれる。この結果、ΔλAli は、42nmとなっている(図7参照)。なお、BPF14は、光源11が発光する波長領域の一部(幅)を制限するので、ΔλViewの波長範囲がΔλAli の波長範囲に含まれることは明らかである。
本実施形態のように、BPF14の光路中への挿抜によっても、光源11の発光波長領域を、映像観察状態と位置調整状態とで容易に切り替えることができ、しかも、ΔλView<ΔλAli を容易に実現することができる。よって、本実施形態の構成によっても、位置調整を容易に行うことができる。
また、本実施形態では、光源11は、第1の光源11aの1個のみで構成されており、実施の形態1〜3のように、位置調整用の光源を別途配置する必要がなくなる。これにより、照明光学系12の光路コンバイナ12aも不要となり、装置の構成部品を大幅に減らすことができる。
ところで、図14(a)は、映像表示装置1の位置調整状態での他の構成および光路を示す断面図であり、図14(b)は、映像表示装置1の映像観察状態での他の構成および光路を示す断面図である。この映像表示装置1では、上記のBPF14を体積位相型の反射型ホログラム光学素子で構成している。BPF14を構成するHOEは、接眼光学系4のHOE23と回折主波長(回折効率のピーク波長)が一致している。また、駆動部15は、映像観察状態では、BPF14を光路中に配置する一方、位置調整状態では、BPF14の代わりに反射ミラー16を光路中に配置する。
つまり、映像観察状態では、光源11からの光をBPF14で回折反射させて表示素子13に導く一方、位置調整状態では、光源11からの光を反射ミラー16で反射させて表示素子13に導くように、駆動部15によって、光路中への反射ミラー16またはBPF14の配置およびその切り替えが行われる。
このように、BPF14をHOEで構成することによっても、位置調整状態での光学瞳Eのサイズが映像観察状態よりも大きくなるので(図14(a)(b)参照)、図12(a)(b)の構成と同様の効果を得ることができる。特に、BPF14のHOEと接眼光学系4のHOE23とで回折主波長が一致しているので、光源11が発光する光の利用効率を向上させることができ、映像観察状態において、明るく、高品位の映像を観察することが可能となる。
なお、上述した各実施の形態の構成を適宜組み合わせて、映像表示装置1ひいてはHMDを構成したり、光学瞳Eの位置調整を行うことも勿論可能である。
本発明は、HMDに利用可能である。
1 映像表示装置
2 支持手段
4 接眼光学系
7 固定機構(固定手段)
11 光源
11a 第1の光源
11b 第2の光源
13 表示素子
14 BPF(波長制限フィルタ)
15 駆動部
23 HOE(ホログラム光学素子)
E 光学瞳
P 観察者の瞳
ΔλView 半値波長全幅
ΔλAli 半値波長全幅
2 支持手段
4 接眼光学系
7 固定機構(固定手段)
11 光源
11a 第1の光源
11b 第2の光源
13 表示素子
14 BPF(波長制限フィルタ)
15 駆動部
23 HOE(ホログラム光学素子)
E 光学瞳
P 観察者の瞳
ΔλView 半値波長全幅
ΔλAli 半値波長全幅
Claims (15)
- 光源と、
光源からの光を変調して映像を表示する表示素子と、
表示素子からの映像光を回折反射して光学瞳に導く体積位相型の反射型ホログラム光学素子を有する接眼光学系とを備えた映像表示装置であって、
光源は、少なくとも1つの波長領域に発光強度のピークを有しており、
観察者が光学瞳の位置で映像を観察する映像観察状態で発光する光における、少なくともいずれかの波長領域において規格化された発光強度ピークの半値波長全幅をΔλViewとし、光学瞳の位置と観察者の瞳位置とを合わせる位置調整状態でのみ発光する光における、上記波長領域において規格化された発光強度ピークの半値波長全幅をΔλAli とすると、少なくともいずれかの波長領域について、
ΔλView<ΔλAli
を満足することを特徴とする映像表示装置。 - 少なくともいずれかの波長領域について、
2・ΔλView<ΔλAli
を満足することを特徴とする請求項1に記載の映像表示装置。 - 少なくともいずれかの波長領域について、ΔλViewの波長範囲は、ΔλAli の波長範囲に含まれていることを特徴とする請求項1または2に記載の映像表示装置。
- 光源は、少なくとも緑の波長領域に発光強度のピークを有しており、
少なくとも緑の波長領域について条件を満足することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の映像表示装置。 - nを2以上の整数とすると、
光源は、n個の波長領域に発光強度のピークを有しており、
n−1個以下の波長領域について条件を満足することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の映像表示装置。 - 上記光源は、第1の光源と第2の光源とを有しており、
映像観察状態では、第1の光源を発光させる一方、位置調整状態では、少なくとも第2の光源を発光させることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の映像表示装置。 - 位置調整状態では、第1の光源と第2の光源とを両方とも発光させることを特徴とする請求項6に記載の映像表示装置。
- 位置調整状態では、第2の光源のみを発光させることを特徴とする請求項6に記載の映像表示装置。
- 第2の光源は、少なくともいずれかの波長領域について、第1の光源の発光強度ピークの波長を挟む2つの波長に発光強度のピークを有する光を発光することを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の映像表示装置。
- 光源が発光する波長領域の一部の光のみを表示素子に導く波長制限フィルタと、
映像観察状態では波長制限フィルタを光源と表示素子との間の光路中に配置する一方、位置調整状態では波長制限フィルタを上記光路中から取り除く駆動部とをさらに備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の映像表示装置。 - 波長制限フィルタは、体積位相型の反射型ホログラム光学素子で構成されており、
接眼光学系のホログラム光学素子と、波長制限フィルタを構成するホログラム光学素子とは、回折効率のピーク波長が一致していることを特徴とする請求項10に記載の映像表示装置。 - 接眼光学系のホログラム光学素子は、表示素子からの映像光を回折反射させて光学瞳に導くと同時に、外光を透過させて光学瞳に導くことを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の映像表示装置。
- 接眼光学系のホログラム光学素子は、光源の発光強度のピーク波長に対応して、少なくとも1つの波長領域に回折効率のピークを有していることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の映像表示装置。
- 請求項1から13のいずれかに記載の映像表示装置と、
上記映像表示装置を観察者の眼前で支持する支持手段とを有していることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。 - 上記支持手段は、接眼光学系の光学瞳の位置を観察者の瞳位置に合わせる位置調整を行った後に、観察者の頭部に対する接眼光学系の相対位置を固定する固定手段を有していることを特徴とする請求項14に記載のヘッドマウントディスプレイ。
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US11347057B2 (en) | 2018-09-05 | 2022-05-31 | Samsung Electronics Co.. Ltd. | Image display device and method of displaying image using multiplex holographic optical element |
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-
2007
- 2007-12-26 JP JP2007333837A patent/JP2009157026A/ja active Pending
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