JP2006349719A - 映像表示装置およびヘッドマウントディスプレイ - Google Patents

映像表示装置およびヘッドマウントディスプレイ Download PDF

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靖 谷尻
Ichiro Kasai
一郎 笠井
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哲也 野田
Takeshi Endo
毅 遠藤
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Abstract

【課題】 カラーフィルタを有する表示素子を用いても、RGBの色純度を高めて色再現領域を広くする。
【解決手段】 表示素子のカラーフィルタは、RGBの光をそれぞれ透過させる3つのフィルタで構成される。ホログラム光学素子におけるRGBの回折効率半値の波長幅をそれぞれΔλ1(Δλ1R、Δλ1G、Δλ1B)とし、カラーフィルタにおけるRGBの透過率半値の波長幅をそれぞれΔλ2(Δλ2R、Δλ2G、Δλ2B)とすると、各色について、Δλ1<Δλ2とする。つまり、Δλ1R<Δλ2R、Δλ1G<Δλ2G、Δλ1B<Δλ2Bとする。これにより、RGBのそれぞれについて、表示素子のカラーフィルタを透過した光のうち、さらに波長域を絞った光のみをホログラム光学素子にて回折させて観察者の瞳に導くことができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、表示素子にて表示されたカラー映像を虚像として観察者に提供する映像表示装置と、その映像表示装置を備えたヘッドマウントディスプレイ(以下、HMDと略称する)とに関するものである。
従来から、液晶表示素子などの表示素子にて表示されたカラー映像を虚像として観察可能とする映像表示装置が種々提案されている。例えば、特許文献1の装置では、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色の光を出射する光源(例えばLED)で透過型液晶表示素子を照明し、透過型液晶表示素子から出射される映像光をプリズムで全反射させ、ホログラム光学素子を介して観察者の瞳に導くようにしている。
また、特許文献2の装置では、RGBの各色光を出射する光源(例えばLED)で透過型液晶表示素子を照明し、透過型液晶表示素子から出射される映像光を2つのホログラム光学素子で順に回折させて観察者の瞳に導くようにしている。
特開2001−83455号公報(図1参照) 特開2001−157228号公報(図8参照)
ところで、映像表示装置における表示素子には2種類のタイプがある。一つは、時分割で供給されるRGB光を変調してカラー表示を行うタイプである。そして、もう一つは、光の透過を波長に応じて制限するカラーフィルタなどの透過波長制限フィルタを各画素に配置してカラー表示を行うタイプである。しかし、前者のタイプでは、RGB光を時分割で供給する際の周波数を上げないと、表示映像の色が分離して見える、いわゆるカラーブレイクを起こす。したがって、映像の表示品位をより高めるために、後者のタイプの表示素子が映像表示装置に用いられることが多い。
ところが、カラーフィルタを有する表示素子は、一般的に、カラーフィルタの波長制限性があまりよくなく、カラーフィルタを透過させるだけでRGBの色純度を高めることは困難である。したがって、そのようなカラーフィルタを有する表示素子を用いた映像表示装置では、色再現領域が狭いという問題が生じていた。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、カラーフィルタを有する表示素子を用いても、RGBの色純度を高めて色再現領域を広げることができる映像表示装置と、その映像表示装置を備えたヘッドマウントディスプレイとを提供することにある。
本発明の映像表示装置は、光を出射する光源と、上記光源からの出射光を変調してカラー映像を表示する表示素子と、上記表示素子からの映像光を観察者の瞳に導く接眼光学系とを有する映像表示装置であって、上記表示素子は、上記光源からの出射光のうちで3原色(RGB)に対応した波長のいずれかの光を透過させる一方、残りの光の透過を制限する透過波長制限フィルタを、3原色の透過波長のそれぞれに対応して有しており、上記接眼光学系は、上記表示素子から出射される3原色に対応した波長の光を回折するホログラム光学素子を有しており、上記ホログラム光学素子における各色についての回折効率半値の波長幅をそれぞれΔλ1とし、上記透過波長制限フィルタにおける各色についての透過率半値の波長幅をそれぞれΔλ2とすると、各色について、
Δλ1<Δλ2
であることを特徴としている。
ここで、上記透過波長制限フィルタとしては、例えば、赤色光を透過させる一方、緑色光および青色光の透過を制限するRフィルタと、緑色光を透過させる一方、青色光および赤色光の透過を制限するGフィルタと、青色光を透過させる一方、赤色光および緑色光の透過を制限するBフィルタとを考えることができる。
上記の構成によれば、光源からの出射光は表示素子にて変調され、透過波長制限フィルタ(各RGBフィルタのいずれか)を透過する。そして、表示素子から出射される3原色に対応した波長の光は、接眼光学系のホログラム光学素子にて各色ごとに回折されて観察者の瞳に導かれる。これにより、観察者は、表示素子にて表示されたカラー映像を虚像として観察することができる。
このとき、Δλ1とΔλ2との関係が、各色(RGB)について、Δλ1<Δλ2となっているので、各色について、表示素子の透過波長制限フィルタを透過した光のうち、さらに波長域を絞った光のみをホログラム光学素子にて回折させて観察者の瞳に導くことができる。これにより、透過波長制限フィルタを有する表示素子を用いても、RGBの各色純度を高めて観察映像(虚像)の色再現領域を広げることができる。
特に、各色について、Δλ1<20nmの条件をさらに満たせば、RGBの各色純度をさらに高めることができ、虚像の色再現領域を確実に広げることができる。
また、赤色光を透過させる一方、それ以外の光の透過を制限する上記透過波長制限フィルタをRフィルタとすると、上記Rフィルタにおける緑色光の透過率をTrGとし、上記Rフィルタにおける赤色光のピーク透過率をTrPとすると、上記ホログラム光学素子での緑の回折波長域の入射光について、
TrG≦TrP/10
であることが望ましい。この場合、視感度の高い緑色光のRフィルタの透過が確実に抑えられるので、Rの色純度を確実に高めることができる。
また、青色光を透過させる一方、それ以外の光の透過を制限する上記透過波長制限フィルタをBフィルタとすると、上記Bフィルタにおける緑色光の透過率をTbGとし、上記Bフィルタにおける青色光のピーク透過率をTbPとすると、上記ホログラム光学素子での緑の回折波長域の入射光について、
TbG≦TbP/10
であることが望ましい。この場合、視感度の高い緑色光のBフィルタの透過が確実に抑えられるので、Bの色純度を確実に高めることができる。
また、上記光源の出射光は、3原色に対応した光を含んでおり、上記ホログラム光学素子における各色についての回折効率のピーク波長をそれぞれλ1とし、上記透過波長制限フィルタにおける各色についての透過率のピーク波長をそれぞれλ2とし、上記光源における3原色の各色についての光強度のピーク波長をそれぞれλ3とすると、各色について、λ1は、λ2±20nmの範囲内であり、かつ、λ3±10nmの範囲内であることが望ましい。
この場合、RGBの各色について、λ1はλ2に近い範囲内でλ3にさらに近いので、光源から出射される光強度の高い光については、透過波長制限フィルタを効率よく透過させてホログラム光学素子にて回折させることができる。したがって、光源からの光の利用効率が高く、明るいカラー映像を虚像として提供することができる。
また、上記光源における3原色の各色についての光強度半値の波長幅をそれぞれΔλ3とすると、各色について、
1/10<Δλ1/Δλ3≦1
であることが望ましい。
Δλ1/Δλ3の値が下限値以下であると、色再現性の高い(色再現領域の広い)映像を提供することが可能となるが、明るい映像を提供することが困難となる。逆に、Δλ1/Δλ3の値が上限値を超えると、明るい映像を提供することが可能となるが、色再現性の高い映像を提供することが困難となる。したがって、Δλ1/Δλ3の範囲を上記のように規定することにより、高い色再現性と明るさとを両方満足させる映像を提供することができる。
また、上記ホログラム光学素子は、軸非対称な正の光学パワーを有していることが望ましい。このようなホログラム光学素子を用いることにより、装置を構成する各光学部材の配置の自由度を高めることができ、装置を小型化することが容易となる。
また、上記接眼光学系によって形成される光学瞳は、上記ホログラム光学素子への光軸の入射面に平行な方向よりも上記入射面に垂直な方向に大きいことが望ましい。なお、ホログラム光学素子への光軸の入射面とは、ホログラム光学素子における入射光の光軸と反射光の光軸とを含む平面のことである。
ホログラム光学素子が軸非対称である場合、ホログラム光学素子への光軸の入射面に平行な方向では、ホログラム光学素子の波長特性(波長選択性)が大きく、入射光の入射角がずれると回折波長がずれやすい。したがって、上記入射面に垂直な方向に光学瞳を大きくする、つまり、波長特性が小さい方向に光学瞳を大きくすることにより、色ムラが少なく、かつ、観察しやすい映像を観察者に提供することができる。また、光学瞳の大きさは、上記入射面に垂直な方向よりも上記入射面に平行な方向で相対的に小さいので、光源からの光を無駄なく集光して明るい映像を観察者に提供することができる。
また、上記光源は、3原色に対応した光を発光する3つの発光部を(少なくとも1組)有しており、各発光部は、上記入射面に対して垂直な方向に並んで配置されていることが望ましい。上述したように、上記入射面に対して垂直な方向は、ホログラム光学素子における波長特性が小さい方向である。したがって、各色光を出射する3つの発光部を、ホログラム光学素子における波長特性が小さい方向に並べて配置することにより、光学瞳を拡大できる方向に色を混ぜることができ、3つの発光部を有する光源を用いた場合でも、色ムラの少ない高画質の映像を観察者に提供することができる。
また、上記光源は、3原色に対応した光を発光する3つの発光部を偶数組有しており、上記入射面に対して垂直な方向における各発光部の配列順序が、隣接する各組間で逆であることが望ましい。この場合、各発光部からの出射光の各色の光強度(各組間で足し合わせたもの)の重心が一致する(例えば上記入射面上に位置する)ので、光学瞳の中心またはその近傍で色ムラの少ない映像を観察者に提供することができる。なお、この構成は、軸非対称な正の光学パワーを有していないホログラム光学素子を用いる場合でも、適用することができる。
また、上記光源は、上記3つの発光部を偶数組有しており、各発光部は、上記入射面に対して面対称に配置されているとともに、上記入射面に対して垂直方向の両側で上記入射面から同じ距離に位置する発光部が同じ色の光を発光するように配置されていることが望ましい。この場合、各発光部からの出射光の各色の光強度(各組間で足し合わせたもの)の重心が上記入射面上で一致するので、光学瞳の中心で色ムラの少ない映像を観察者に提供することができる。
また、上記光源は、上記3つの発光部を2組有しており、各組の各発光部は、上記入射面側から上記入射面に対して垂直方向外側に向かうにつれて出射光の波長が短くなるような順序で配置されていることが望ましい。この場合、波長が長い光について、瞳位置による強度差を小さくすることができ、光学瞳の全体で色ムラの少ない映像を観察者に提供することができる。
また、上記光源は、青色光または紫外光で蛍光体を励起して白色を発光する白色光源からなり、上記白色光源は、上記ホログラム光学素子への光軸の入射面に対して垂直な方向を長辺方向とするスリット状に白色を発光する構成であってもよい。上記入射面に対して垂直な方向は、ホログラム光学素子における波長特性が小さい方向であるので、この方向に長いスリット状に白色光源が白色を発光することで、色ムラの少ない高画質の映像を観察者に提供することができる。また、白色光源を用いることで色混ぜが不要であり、装置を安価に構成することができる。また、上記方向に光学瞳を大きく形成することができ、観察者は映像を観察しやすくなる。
また、上記ホログラム光学素子は、上記表示素子からの映像光と外光とを同時に観察者の瞳に導くコンバイナであることが望ましい。この場合、観察者は、ホログラム光学素子を介して、表示素子から提供される映像と外界像とを同時に観察することができる。
また、上記接眼光学系は、上記表示素子からの映像光を内部で全反射させて上記ホログラム光学素子を介して観察者の瞳に導く一方、外光を透過させて観察者の瞳に導く第1の透明基板を有していてもよい。このような第1の透明基板を用いることにより、表示素子からの映像を観察可能としながらも、外光の透過率が高くなるので、明るい外界像を観察することができる。
また、上記接眼光学系は、上記第1の透明基板での外光の屈折をキャンセルするための第2の透明基板を有していることが望ましい。この場合、観察者が接眼光学系を介して観察する外界像に歪みが生じるのを防止することができる。
本発明のヘッドマウントディスプレイは、上述した映像表示装置と、上記映像表示装置を観察者の眼前で支持する支持手段とを有していることを特徴としている。この構成によれば、映像表示装置が支持手段にて支持されるので、観察者は映像表示装置から提供される映像をハンズフリーで観察することができる。
本発明によれば、RGBの各色について、Δλ1<Δλ2となっているので、各色について、表示素子の透過波長制限フィルタを透過した光のうち、さらに波長域を絞った光のみをホログラム光学素子にて回折させて観察者の瞳に導くことができる。これにより、透過波長制限フィルタを有する表示素子を用いても、RGBの各色純度を高めて観察映像(虚像)の色再現領域を広げることができ、表示品位を向上させることができる。また、シースルー表示において、背景輝度が高い場合でも明るい映像を表示することができ、その映像を確実に視認することができる。
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。
(1.HMDの構成)
図2(a)は、本実施形態に係るヘッドマウントディスプレイ(以下、HMDと略称する)の概略の構成を示す平面図であり、図2(b)は、HMDの側面図であり、図2(c)は、HMDの正面図である。HMDは、映像表示装置1と、それを支持する支持手段2とを有しており、全体として、一般の眼鏡から一方(例えば左目用)のレンズを取り除いたような外観となっている。
映像表示装置1は、観察者に外界像をシースルーで観察させるとともに、映像を表示して観察者にそれを虚像として提供するものである。図2(c)で示す映像表示装置1において、眼鏡の右目用レンズに相当する部分は、後述する接眼プリズム16と偏向プリズム17との貼り合わせによって構成されている。なお、映像表示装置1の詳細な構成については後述する。
支持手段2は、映像表示装置1を観察者の眼前(例えば右目の前)で支持するものであり、ブリッジ3と、フレーム4と、テンプル5と、鼻当て6と、ケーブル7と、外光透過率制御手段8とを有している。なお、フレーム4、テンプル5および鼻当て6は、左右一対設けられているが、これらを左右で区別する場合は、右フレーム4R、左フレーム4L、右テンプル5R、左テンプル5L、右鼻当て6R、左鼻当て6Lのように表現するものとする。
映像表示装置1の一端は、ブリッジ3に支持されている。このブリッジ3は、映像表示装置1のほかにも、左フレーム4L、鼻当て6および外光透過率制御手段8を支持している。左フレーム4Lは、左テンプル5Lを回動可能に支持している。一方、映像表示装置1の他端は、右フレーム4Rに支持されている。右フレーム4Rにおいて映像表示装置1の支持側とは反対側端部は、右テンプル5Rを回動可能に支持している。ケーブル7は、外部信号(例えば映像信号、制御信号)や電力を映像表示装置1に供給するための配線であり、右フレーム4Rおよび右テンプル5Rに沿って設けられている。外光透過率制御手段8は、外光(外界像の光)の透過率を制御するためにブリッジ3に設けられており、映像表示装置1よりも前方(観察者とは反対側)に位置している。
観察者がHMDを使用するときは、右テンプル5Rおよび左テンプル5Lを観察者の右側頭部および左側頭部に接触させるとともに、鼻当て6を観察者の鼻に当て、一般の眼鏡をかけるようにHMDを観察者の頭部に装着する。この状態で、映像表示装置1にて映像を表示すると、観察者は、映像表示装置1の映像を虚像として観察することができるとともに、この映像表示装置1を介して外界像をシースルーで観察することができる。
このとき、外光透過率制御手段8において、外光透過率を例えば50%以下に低く設定しておけば、観察者は映像表示装置1の映像を観察しやすくなり、逆に、外光透過率を例えば50%以上に高く設定しておけば、観察者は、外界像を観察しやすくなる。したがって、外光透過率制御手段8における外光透過率は、映像表示装置1の映像および外界像の観察のしやすさを考慮して適宜設定されればよい。
なお、HMDは、映像表示装置1を1個だけ備えたものには限られない。例えば、図3(a)は、HMDの他の構成を示す平面図であり、図3(b)は、上記HMDの側面図であり、図3(c)は、上記HMDの正面図である。このように、HMDは、観察者の両目の前に配置される2個の映像表示装置1を備えた構成であってもよい。この場合、左目の前に配置される映像表示装置1は、ブリッジ3と左フレーム4Lとによってその間で支持される。また、ケーブル7は、両方の映像表示装置1と接続され、外部信号等がケーブル7を介して両方の映像表示装置1に供給される。
(2.映像表示装置の詳細について)
次に、映像表示装置1の詳細な構成について説明する。
図4は、映像表示装置1の概略の構成を示す断面図であり、図5は、映像表示装置1における光路を光学的に一方向に展開して示す説明図である。映像表示装置1は、光源11と、一方向拡散板12と、集光レンズ13と、表示素子14と、接眼光学系15とを有している。
ここで、以下での説明の便宜上、方向を以下のように定義しておく。まず、表示素子14の表示領域の中心と、接眼光学系15によって形成される光学瞳Eの中心とを光学的に結ぶ軸を光軸とする。そして、光源11から光学瞳Eまでの光路を展開したときの光軸方向をZ方向とする。また、接眼光学系15の後述するホログラム光学素子18への光軸の入射面に垂直な方向をX方向とし、ZX平面に垂直な方向をY方向とする。なお、ホログラム光学素子18への光軸の入射面とは、ホログラム光学素子18における入射光の光軸と反射光の光軸とを含む平面、すなわち、YZ平面を指す。以下、上記入射面を単に入射面または光軸入射面と称する。
光源11は、本実施形態では、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色に対応する波長の光を出射する3つの発光部11R・11G・11B(図5参照)を有するRGB一体型のLEDで構成されている。発光部11R・11G・11Bは、一方向拡散板12による拡散の大きい方向であるX方向に並んでいる。これにより、光学瞳E上での各色の強度ムラが小さくなり、色ムラを低減することができる。
一方向拡散板12は、光源11からの出射光を拡散させるものであるが、その拡散度は、方向によって異なっている。より詳細には、一方向拡散板12は、X方向には入射光を約40゜拡散させ、Y方向には入射光を約0.5゜拡散させる。また、一方向拡散板12は光源11側の面を光学的に平坦な面とし、集光レンズ13側の面を凹凸により拡散する凹凸面としている。それゆえ、光源11からの発散光が一方向拡散板12の平坦な面で屈折されてやや集光された状態で拡散されるので、集光状態が少し保存される。したがって、一方向拡散板12は凸レンズの機能を若干有しており、一方向拡散板12への入射光は光学瞳Eの形成に必要な方向に若干屈折する。
集光レンズ13は、一方向拡散板12にて拡散された光をY方向に集光するシリンダレンズで構成されており、その拡散光が効率よく光学瞳Eを形成するように配置されている。本実施形態では、光学瞳Eは、X方向の大きさが6mmであり、Y方向の大きさが2mmとなっている。このように、光学瞳Eは、一方向(X方向)には人間の瞳(3mm程度)よりも大きい6mmの大きさなので、観察者は映像を観察しやすい。一方、光学瞳Eは、他の方向(Y方向)には人間の瞳よりも小さい2mmの大きさなので、光源11からの光は上記方向においては光学瞳Eに無駄なく集光する。これにより、観察者は、明るい映像を観察することができる。
表示素子14は、光源11からの出射光を画像データに応じて変調してカラー映像を表示するものであり、光が透過する領域となる各画素をマトリクス状に有する透過型の液晶表示素子で構成されている。ここで、図6は、表示素子14の概略の構成を簡単に示す断面図である。表示素子14は、2つのガラス基板21・22で液晶層23を挟持してなっている。液晶層23は、例えばTN(Twisted Nematic)液晶で構成されている。
一方のガラス基板21には、各画素をON/OFF駆動するためのスイッチング素子であるTFT(Thin Film Transistor)が各画素に対応してマトリクス状に配置されている。また、他方のガラス基板22には、カラーフィルタ24が形成されている。なお、同図では、透明電極(画素電極や対向電極)、偏光板、配向膜等の図示を省略している。
カラーフィルタ24は、光源11からの出射光のうちでRGBの3原色に対応した波長のいずれかの光を透過させる一方、残りの光の透過を制限する透過波長制限フィルタであり、3原色の透過波長のそれぞれに対応して設けられている。より具体的には、カラーフィルタ24は、フィルタ24R(Rフィルタ)と、フィルタ24G(Gフィルタ)と、フィルタ24B(Bフィルタ)とで構成されており、これらの各フィルタが各画素に対応して設けられている。フィルタ24Rは、赤色光を透過させる一方、それ以外の光(緑色光および青色光)の透過を制限するフィルタである。フィルタ24Gは、緑色光を透過させる一方、それ以外の光(青色光および赤色光)の透過を制限するフィルタである。フィルタ24Bは、青色光を透過させる一方、それ以外の光(赤色光および緑色光)の透過を制限するフィルタである。
このように表示素子14がカラーフィルタ24を有しており、光源11からの光を画像データに応じて変調してカラーフィルタ24を介して出射させることにより、表示素子14は、カラー映像を表示することが可能となる。表示素子14は、矩形の表示領域の長辺方向がX方向となり、短辺方向がY方向となるように配置されている。
図4に示した接眼光学系15は、表示素子14からの映像光、すなわち、表示素子14にて表示されたカラー映像に対応する光を観察者の瞳に導くものであり、接眼プリズム16(第1の透明基板)と、偏向プリズム17(第2の透明基板)と、ホログラム光学素子18とを有して構成されている。
接眼プリズム16は、表示素子14からの映像光を内部で全反射させてホログラム光学素子18を介して観察者の瞳に導く一方、外光を透過させて観察者の瞳に導くものであり、偏向プリズム17とともに、例えばアクリル系樹脂で構成されている。この接眼プリズム16は、平行平板の下端部を下端に近くなるほど薄くして楔状にし、その上端部を上端に近くなるほど厚くした形状で構成されている。また、接眼プリズム16は、その下端部に配置されるホログラム光学素子18を挟むように、偏向プリズム17と接着剤で接合されている。
偏向プリズム17は、平面視で略U字型の平行平板で構成されており(図2(c)参照)、接眼プリズム16の下端部および両側面部(左右の各端面)と貼り合わされたときに、接眼プリズム16と一体となって略平行平板となるものである。この偏向プリズム17を接眼プリズム16に接合することにより、観察者が接眼光学系15を介して観察する外界像に歪みが生じるのを防止することができる。
つまり、例えば、接眼プリズム16に偏向プリズム17を接合させない場合、外光は接眼プリズム16の楔状の下端部を透過するときに屈折するので、接眼プリズム16を介して観察される外界像に歪みが生じる。しかし、接眼プリズム16に偏向プリズム17を接合させて一体的な略平行平板を形成することで、外光が接眼プリズム16の楔状の下端部を透過するときの屈折を偏向プリズム17でキャンセルすることができる。その結果、シースルーで観察される外界像に歪みが生じるのを防止することができる。
ホログラム光学素子18は、表示素子14からの映像光(3原色に対応した波長の光)を回折し、表示素子14にて表示される映像を拡大して観察者の瞳に虚像として導く体積位相型の反射型ホログラムであり、軸非対称な正の光学パワーを有している。つまり、ホログラム光学素子18は、正のパワーを持つ非球面凹面ミラーと同様の機能を持っている。これにより、装置を構成する各光学部材の配置の自由度を高めて装置を容易に小型化することができるとともに、良好に収差補正された映像を観察者に提供することができる。また、ホログラム光学素子18は、表示素子14からの映像光と外光とを同時に観察者の瞳に導くコンバイナとして機能しており、観察者は、ホログラム光学素子18を介して、表示素子14から提供される映像と外界像とを同時に観察することができる。
(3.映像表示装置の動作について)
次に、上記構成の映像表示装置1の動作について説明する。光源11から出射された光は、一方向拡散板12にて拡散され、集光レンズ13にて集光されて表示素子14に入射する。表示素子14に入射した光は、画像データに基づいて各画素ごとに変調され、カラーフィルタ24を介して映像光として出射される。つまり、表示素子14には、カラー映像が表示される。
表示素子14からの映像光は、接眼光学系15の接眼プリズム16の内部にその上端面から入射し、対向する2つの面で複数回全反射されて、ホログラム光学素子18に入射する。ホログラム光学素子18に入射した光は、反射されて光学瞳Eに達する。光学瞳Eの位置では、観察者は、表示素子14に表示された映像の拡大虚像を観察することができる。
一方、接眼プリズム16および偏向プリズム17は、外光をほとんど全て透過させるので、観察者は外界像を観察することができる。したがって、表示素子14に表示された映像の虚像は、外界像の一部に重なって観察されることになる。
以上のように、映像表示装置1では、表示素子14から出射される映像光を、接眼プリズム16内での全反射によってホログラム光学素子18に導く構成としているので、通常の眼鏡レンズと同様に、接眼プリズム16および偏向プリズム17の厚さを3mm程度にすることができ、映像表示装置1を小型化、軽量化することができる。また、表示素子14からの映像光を内部で全反射させる接眼プリズム16を用いることにより、高い外光の透過率を確保して、明るい外界像を観察者に提供することができる。
(4.ホログラム光学素子、カラーフィルタおよび光源の特性について)
次に、本発明の最も特徴的な部分であるホログラム18、カラーフィルタ24および光源11の各特性について説明する。
(4−1.ホログラム光学素子の特性)
図1は、ホログラム光学素子18における回折効率の波長依存性を示す説明図である。同図に示すように、ホログラム光学素子18は、例えば、回折効率のピーク波長および回折効率半値の波長幅で465±5nm(B光)、521±5nm(G光)、634±5nm(R光)の3つの波長域の光を回折(反射)させるように作製されている。ここで、回折効率のピーク波長とは、回折効率がピークとなるときの波長のことであり、回折効率半値の波長幅とは、回折効率が回折効率ピークの半値となるときの波長幅のことである。なお、図1の回折効率は、B光の最大回折効率を100としたときの相対値で示している。
すなわち、本実施形態のホログラム光学素子18では、B光の回折効率のピーク波長λ1Bは465nmであり、G光の回折効率のピーク波長λ1Gは521nmであり、R光の回折効率のピーク波長λ1Rは634nmである。また、ホログラム光学素子18では、B光の回折効率半値の波長幅Δλ1Bは10nmであり、G光の回折効率半値の波長幅Δλ1Gは10nmであり、R光の回折効率半値の波長幅Δλ1Rは10nmである。
上記のように、ホログラム光学素子18は特定入射角の特定波長の光のみを回折するように作製されているので、外光の透過にはほとんど影響しない。したがって、観察者は、接眼プリズム16、ホログラム光学素子18および偏向プリズム17を介して外界像を通常通り見ることができる。
(4−2.カラーフィルタの特性)
図7は、表示素子14のカラーフィルタ24における透過率の波長依存性を示す説明図である。なお、同図中の一点鎖線A1は、フィルタ24Bにおける透過率の波長依存性を示し、実線A2は、フィルタ24Gにおける透過率の波長依存性を示し、二点鎖線A3は、フィルタ24Rにおける透過率の波長依存性を示している。
同図に示すように、カラーフィルタ24のフィルタ24Bにおける透過率のピーク波長(透過率がピークとなるときの波長)λ2Bは450nmであり、フィルタ24Gにおける透過率のピーク波長λ2Gは520nmであり、フィルタ24Bにおける透過率のピーク波長λ2Rは630nmである。
また、フィルタ24Bは透過率半値で510nm以上の波長の光を吸収し、フィルタ24Gは透過率半値で490nm以下および565nm以上の波長の光を吸収し、フィルタ24Rは透過率半値で590nm以下の光を吸収する。そして、各フィルタ24B・24G・24Rは、各画素に対応してBGRの波長域の光をそれぞれ透過させる。
つまり、可視光の波長域を400nmから700nmまでとして考えると、フィルタ24Bにおける透過率半値の波長幅(透過率がピーク透過率の半値となるときの波長幅)Δλ2Bは400nmから510nmまでの110nmであり、フィルタ24Gにおける透過率半値の波長幅Δλ2Gは75nmであり、フィルタ24Rにおける透過率半値の波長幅Δλ2Rは590nmから700nmまでの110nmである。
なお、400nm以下の波長域の光(紫外光)は不可視なので、フィルタ24Bは400nm以下の波長域の光を吸収せずに透過させるように設定されてもよい。同様に、700nm以上の波長域の光(赤外光)は不可視なので、フィルタ24Rは700nm以上の波長域の光を吸収せずに透過させるように設定されてもよい。このようにフィルタ24B・24Rが設定されていても、色再現には影響しない。したがって、以上のことを考慮すると、Δλ2BおよびΔλ2Rは、少なくとも110nmであると考えることができる。
(4−3.光源の特性)
図8は、光源11の分光強度特性、すなわち、出射光の波長と光強度との関係を示す説明図である。光源11は、例えば、光強度のピーク波長および光強度半値の波長幅で462±12nm、525±17nm、635±11nmとなる3つの波長帯域の光を発するRGB一体型のLED(例えば日亜化学製)である。ここで、光強度のピーク波長とは、光強度がピークとなるときの波長のことであり、光強度半値の波長幅とは、光強度が光強度ピークの半値となるときの波長幅のことである。なお、図8の光強度は、B光の最大光強度を100としたときの相対値で示している。
つまり、本実施形態では、光源11におけるBGRの光強度のピーク波長をそれぞれλ3B、λ3G、λ3Rとすると、λ3B=462nmであり、λ3G=525nmであり、λ3R=635nmである。また、光源11におけるBGRの光強度半値の波長幅をそれぞれΔλ3B、Δλ3G、Δλ3Rとすると、Δλ3B=24nmであり、Δλ3G=34nmであり、Δλ3R=22nmである。
光源11のRGBの光強度は、ホログラム光学素子18の回折効率や、表示素子14のカラーフィルタ24における光透過率を考慮して調整され、これによって白色表示を行うことが可能となる。
(4−4.各パラメータの関係について)
表1は、ホログラム光学素子18、カラーフィルタ24および光源11についての上述した各パラメータをまとめたものである。以下、この表を参考にしながら、各パラメータの関係について説明する。
Figure 2006349719
まず、本実施形態では、ホログラム光学素子18におけるBGRの各色についての回折効率半値の波長幅Δλ1(Δλ1B、Δλ1G、Δλ1R)と、カラーフィルタ24におけるBGRの各色についての透過率半値の波長幅Δλ2(Δλ2B、Δλ2G、Δλ2R)との関係が、BGRの各色について、
Δλ1<Δλ2
となるように設定されている。つまり、
Δλ1B<Δλ2B、Δλ1G<Δλ2G、Δλ1R<Δλ2R
を同時に満たすものとなっている。
このように、BGRの各色についてΔλ1<Δλ2であることにより、例えば本実施形態のように、ホログラム光学素子18のおける回折効率のピーク波長λ1と、カラーフィルタ24における透過率のピーク波長λ2とをBGRごとに近づけておけば、フィルタ24B・24G・24Rをそれぞれ透過した光の波長域よりもさらに狭い波長域の光をホログラム光学素子18にて回折させて観察者の瞳に導くことができる。これにより、カラーフィルタ24を有する表示素子14を用いても、BGRの各色純度を高めることができ、観察される映像(虚像)の色再現領域を広げることができる。
特に、Δλ1<20nmであれば、Δλ1がLEDの半値幅(光源11におけるBGRの光強度半値の波長幅Δλ3)よりも狭いので、LEDよりも色純度が高く、BGRの各色純度を確実に高めることができ、観察映像の色再現領域を確実に広げることができる。この点、本実施形態では、Δλ1B=Δλ1G=Δλ1R=10nmとなっており、Δλ1<20nmの条件を十分に満たしている。
ここで、図9は、XYZ表色系におけるXY色度座標を用いて表される虚像の色再現領域を示している。同図中、実線B1は、本実施形態の映像表示装置1、すなわち、カラーフィルタ24を有する表示素子14と、ホログラム光学素子18と、RGB一体型の3-in-1LEDで構成される光源11とを有する映像表示装置における色再現領域を示している。また、一点鎖線B2は、カラーフィルタ24を有する表示素子14と、ホログラム光学素子18と、後述する実施の形態3の光源31(白色光源)とを有する映像表示装置における色再現領域を示している。
一方、破線B3は、カラーフィルタ24を有する表示素子14と、ホログラム光学素子18を用いない接眼光学系と、RGB一体型の3-in-1LEDで構成される光源11とを有する映像表示装置における色再現領域を示している。また、二点鎖線B4は、カラーフィルタ24を有する表示素子14と、ホログラム光学素子18を用いない接眼光学系と、白色光源とを有する映像表示装置における色再現領域を示している。なお、ホログラム光学素子18を用いない接眼光学系としては、例えば自由曲面プリズムがある。
同図より、色再現領域は、破線B3や二点鎖線B4に比べて、実線B1および一点鎖線B2のほうが広い。このことから、カラーフィルタ24を有する表示素子14を用いる場合は、ホログラム光学素子18を有する接眼光学系15と組み合わせて用い、しかも上述のようにΔλ1とΔλ2との関係を規定しておくことで、色再現性を高くして色再現領域を広げることができると言える。特に、実線B1で示すように、光源11としてRGB一体型のものを用いることで、光源11を白色光源で構成する場合よりも色純度を高くして、色再現領域を広げることができる。
また、図7で示したように、本実施形態では、フィルタ24RにおけるR光のピーク透過率は2%であるが、フィルタ24RにおけるG光(特に、回折効率半値の波長幅Δλ1Gの波長域におけるG光)の透過率は0.2%となっている。このように、フィルタ24Rにおいて、視感度の高いG光の透過率を、R光のピーク透過率の10分の1となる低い透過率に設定することにより、Rの色純度をより高めることができ、映像の表示品位を向上させることができる。特に、フィルタ24Rにおいて、G光の透過率がR光のピーク透過率の10分の1よりも小さければ、その効果を確実に得ることができる。
したがって、Rの色純度をより高めるためには、以下の条件を満足していればよいと言える。すなわち、フィルタ24RにおけるG光の透過率をTrGとし、フィルタ24RにおけるR光のピーク透過率をTrPとすると、ホログラム光学素子18での緑の回折波長域(521±5nm)の入射光について、
TrG≦TrP/10
の関係を満たせばよい。
また、本実施形態では、フィルタ24Bについても上記したフィルタ24Rと同様の設定となっている。すなわち、フィルタ24BにおけるB光のピーク透過率は2%であるが、フィルタ24BにおけるG光(特に、回折効率半値の波長幅Δλ1Gの波長域におけるG光)の透過率は0.2%となっている。このように、フィルタ24Bにおいても、視感度の高いG光の透過率をB光のピーク透過率の10分の1となる低い透過率に設定することにより、Bの色純度をより高めることができ、映像の表示品位を向上させることができる。特に、フィルタ24Bにおいて、G光の透過率がB光のピーク透過率の10分の1よりも小さければ、その効果を確実に得ることができる。
したがって、Bの色純度をより高めるためには、以下の条件を満足していればよいと言える。すなわち、フィルタ24BにおけるG光の透過率をTbGとし、フィルタ24BにおけるB光のピーク透過率をTbPとすると、ホログラム光学素子18での緑の回折波長域(521±5nm)の入射光について、
TbG≦TbP/10
の関係を満たせばよい。
また、本実施形態では、ホログラム光学素子18におけるBGRの回折効率のピーク波長λ1は、カラーフィルタ24におけるBGRの光の透過率のピーク波長λ2とのずれが最大で20nmとなる範囲内となっており、かつ、光源11におけるBGRの光強度のピーク波長λ3とのずれが最大で10nmとなる範囲内となっている。すなわち、λ1Bはλ2B±20nmの範囲内で、かつ、λ3B±10nmの範囲内であり、λ1Gはλ2G±20nmの範囲内で、かつ、λ3G±10nmの範囲内であり、λ1Rはλ2R±20nmの範囲内であり、かつ、λ3R±10nmの範囲内である。
このように、λ1がλ2±20nmの範囲内で、かつ、λ3±10nmの範囲内であれば、RGBの各色について、λ1はλ2に近い範囲内でλ3にさらに近いので、光源11から出射される光強度の高い光については、カラーフィルタ24の各フィルタ24B・24G・24Rを効率よく透過してホログラム光学素子18にて回折させることができる。したがって、光源11からの光の利用効率が高く、明るいカラー映像を虚像として観察者に提供することができる。
また、本実施形態では、ホログラム光学素子18におけるBGRの回折効率半値の波長幅Δλ1と、光源11におけるBGRの光強度半値の波長幅Δλ3との比であるΔλ1/Δλ3が、BGRのそれぞれについて、
1/10<Δλ1/Δλ3≦1
を満たすものとなっている。つまり、
1/10<Δλ1B/Δλ3B≦1、
1/10<Δλ1G/Δλ3G≦1、
1/10<Δλ1R/Δλ3R≦1
を同時に満たすものとなっている。
Δλ1/Δλ3の値が1/10以下であると、BGRのそれぞれについて、ホログラム光学素子18での回折波長幅がかなり狭くなるので、色再現性の高い(色再現領域の広い)映像を提供することはできるが、光源11からの光の利用効率が低下し、明るい映像を提供することが困難となる。逆に、Δλ1/Δλ3の値が1を超えると、光源11からの光の利用効率が高く、明るい映像を提供することができるが、ホログラム光学素子18でのBGRの回折波長幅が広く、色再現性の高い映像を提供することが困難となる。したがって、Δλ1/Δλ3の範囲を上記のように規定することにより、高い色再現性と明るさとを両方満足させる映像を観察者に提供することができる。
(5.色ムラの低減効果について)
ところで、本実施形態では、光学瞳Eは、上述したように、強度半値でX方向に6mm、Y方向に2mmの大きさとなるように設定されている。つまり、光学瞳Eは、Y方向、すなわち、ホログラム光学素子18への光軸の入射面(YZ平面)に平行な方向よりも、X方向、すなわち、上記入射面に垂直な方向に大きい。このように光学瞳Eの大きさを設定することにより、ホログラム光学素子18の波長特性(波長選択性)の影響をあまり受けずに、観察者は色ムラの少ない高画質の映像を観察することができる。その理由は以下の通りである。
まず、ホログラム光学素子18における入射角と波長選択性との関係について説明する。0度より大きい入射角を持つ光を回折させる干渉縞を持つホログラム光学素子18では、入射面に平行な方向よりも入射面に垂直な方向において、波長選択性が小さい(入射角のずれによる回折波長のずれが小さい)。言い換えると、入射面に平行な方向よりも入射面に垂直な方向のほうが、干渉縞への入射角のずれに対する角度選択性が低い。これは、ホログラム光学素子18の干渉縞に光が入射角を有して入射する場合、入射面(YZ平面)内での入射角の角度ずれは、そのまま入射角の角度ずれとなるため、回折波長に対する影響が大きいが、入射面に垂直な方向の角度ずれは、入射角のずれとしては小さく、回折波長に対する影響は小さいからである。
したがって、ホログラム光学素子18の干渉縞に所定の入射角からずれた角度の光が入射すると、同じ角度ずれでも、入射面に平行な方向での角度ずれのほうが、入射面に垂直な方向の角度ずれよりも、大きく回折波長がずれる(すなわち、入射面に平行な方向は、波長選択性が大きい)。
ここで、図10は、本実施形態において、光学瞳Eにおける瞳位置と主たる回折波長(例えばR光)との関係を示す説明図である。同図中、破線C1は、光学瞳EのX方向における回折波長の変化を示しており、実線C2は、光学瞳EのY方向の瞳における回折波長の変化を示している。このように、回折波長の変化は、入射面に平行なY方向のほうが、入射面に垂直なX方向よりも大きい。
したがって、回折波長の変化が大きいY方向に光学瞳Eを小さく形成することにより、回折波長の変化の範囲が狭くなるので、光学瞳E上での色ムラを低減することができる。また、入射面に垂直な方向に光学瞳Eを大きく形成しても、色純度の高い映像を観察者に提供することができる。
なお、光軸入射面外の光は入射面が光軸入射面と若干平行ではないが、前述の通り、入射面に垂直な方向の角度ずれは回折波長に対する影響が小さいので、光軸入射面を基準にしても色ムラが大きくなることはない。
また、上述したように、光源11の3つの発光部11R・11G・11Bは、一方向拡散板12による拡散の大きい方向であるX方向に並んでいるが、このことは取りも直さず、3つの発光部11R・11G・11Bが光軸の入射面に対して垂直な方向に並んで配置されていることを意味する。入射面に対して垂直な方向は、ホログラム光学素子18における波長選択性が小さい方向であるので、3つの発光部11R・11G・11BをX方向に配置することで、光学瞳Eを拡大できる方向に色を混ぜることができ、RGBの3色を発光する光源11を用いた場合でも、色ムラの少ない高画質の映像を観察者に提供することができる。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、実施の形態1と同一の構成には同一の部材番号を付記し、その説明を省略する。
図11は、本実施形態の映像表示装置1における光路を光学的に一方向に展開して示す説明図である。本実施形態では、光源11が2つの光源群11P・11Qで構成されている点以外は、実施の形態1と同様の構成である。
ここで、図12は、本実施形態における光源11を表示素子14側から見たときの平面図を示している。光源11の光源群11Pは、RGBの各色光を出射する3つの発光部11R1・11G1・11B1を有するRGB一体型のLEDで構成されている。また、光源群11Qも同様に、RGBの各色光を出射する3つの発光部11R2・11G2・11B2を有するRGB一体型のLEDで構成されている。つまり、光源11は、RGBの光を出射する3つの発光部を2組有している。
各光源群11P・11Qの各発光部は、ホログラム光学素子18への光軸の入射面(YZ平面)に対して垂直な方向に並んで配置されているが、さらに、上記入射面に対して各色ごとに面対称となるように配置されている。より詳細には、発光部11R1・11R2が上記入射面に近い位置で面対称となるように配置され、そのX方向外側に発光部11G1・11G2が上記入射面に対して面対称となるように配置され、さらにそのX方向外側に発光部11B1・11B2が上記入射面に対して面対称となるように配置されている。つまり、各光源群11P・11Qでは、上記入射面側からX方向外側に向かうにつれて出射光の波長が短くなるような順序で、各発光部が配置されている。
このように、各発光部を各色ごとに上記入射面に対して面対称に配置することにより、同じ色についての2つの発光部(例えば11R1と11R2)からの出射光の光強度を足し合わせたトータルの光強度の重心を、RGBの各色ともに対称面内(上記入射面内)に位置させることができる。つまり、RGBの各色ともにその強度分布を、対称面を中心にしてX方向に対称にすることができる。これにより、光学瞳Eの中心において色ムラの少ない映像を観察者に提供することができる。
なお、各発光部の面対称の中心となる面は、上記入射面に平行な面であってもよい。つまり、各発光部の面対称の中心となる面は、上記入射面からX方向に多少ずれた面であっても構わない。この場合は、光学瞳Eの中心付近において色ムラの少ない映像を観察者に提供することができる。
ところで、光源11が光源群2個で構成され、各発光部が各色ごとに面対称に配置される場合には、上記入射面に垂直な方向における各発光部の配列順序は、隣接する各組間で逆になる。一方、光源11を構成する光源群の個数が4個以上の偶数個であっても、つまり、光源11がRGBの各発光部を4組以上の偶数組設けて構成される場合でも、上記入射面に対して垂直な方向における各発光部の配列順序を隣接する各組間で逆にすれば、各発光部からの出射光の光強度を足し合わせたトータルの光強度の重心を、RGBの各色ともに上記入射面に平行な同一面(上記入射面を含む)内に位置させることができ、光学瞳Eの中心またはその近傍において色ムラの少ない映像を観察者に提供することができる。
したがって、以上のことをまとめると、結局、光源11は、RGBの3つの発光部を2組以上の偶数組有しており、上記入射面に対して垂直な方向における各発光部の配列順序が隣接する各組間で逆であれば、光学瞳Eの中心またはその近傍において色ムラの少ない映像を観察者に提供することができると言える。
また、光源11を構成する光源群の個数が4個以上の偶数個であっても、各発光部が上記入射面に対して面対称に配置され、かつ、上記入射面に対して垂直方向の両側で上記入射面から同じ距離に位置する発光部が同じ色の光を発光するように配置されていれば、各発光部からの出射光の各色について、光強度の重心が上記入射面上で一致する。したがって、光源11を構成する光源群の個数が偶数個であれば、各発光部を上記のように配置することで、光学瞳の中心で色ムラの少ない映像を観察者に提供することができると言える。
また、ホログラム光学素子18は、上述したように、回折効率ピークおよびその半値波長幅で465±5nm、521±5nm、634±5nmの各波長の映像光を回折するように作製されている。このように各色で回折効率の半値波長幅Δλ1が同じなので、波長の長い光ほど角度選択性が大きい(波長の変化に対する入射角のずれ方が小さい)。したがって、各光源群11P・11Qにおいて、光軸入射面側からX方向外側に向かうにつれて出射光の波長が短くなるような順序で各発光部が配置されていることにより、光学瞳E内での各色の強度差を小さくすることができ、光学瞳E内で色ムラの少ない映像を観察者に提供することができる。以下、この点について詳細に説明する。
回折効率ピークの波長をλ、ホログラム光学素子18の媒質(干渉縞)の屈折率をn、媒質の厚さをh、入射角をθとすると、これらの間には、
λ=2nhcosθ
の関係が成り立つ。ここで、波長の短いB光および波長の長いR光において、それぞれの波長が例えば同じ5nmだけずれた場合、波長の変化の割合は、B光については465/470であり、R光については634/639である。つまり、波長の変化の割合は、波長の短いB光に比べて波長の長いR光のほうが小さい。したがって、波長の短いB光に比べて波長の長いR光のほうが、波長の変化に対する入射角θのずれ方は小さい(角度選択性が大きい)。よって、光源11からの出射光のRGBの波長幅が同じ場合には、ホログラム光学素子18によって回折されてできる光学瞳の大きさは、波長が長い光ほど小さい。なお、光学瞳Eは、各色の光学瞳の範囲を全て含むものとする。
一方、光源11のLED(各発光部)からの出射光の強度は、一般的に中心付近ほど強く、周囲ほど弱い。また、各発光部は、Y方向においては、光学瞳と略共役となるように配置されているが、X方向では、一方向拡散板12により拡散されるので、光学瞳とは共役ではない。しかし、光学瞳において最も強度の強い位置は、一方向拡散板12がないとした場合の各発光部と共役な位置にほぼ同じである。
したがって、光学瞳が小さい長波長(R光)の瞳中心を光学瞳Eの中心側に位置させ、光学瞳が大きい短波長(B光)の瞳中心を光学瞳Eの中心よりも外側に位置させることで、光学瞳E内での瞳位置による強度差を各色について小さくすることができる。この点について、もう少し詳細に説明する。
図13は、光学瞳EにおけるX方向の瞳位置と光強度との関係を示す説明図である。なお、光強度は、同じ色については相対値で示されている。また、同図中の11R1・11R2・11G1・11G2・11B1・11B2で示される曲線は、それぞれ発光部11R1・11R2・11G1・11G2・11B1・11B2から出射される光に対応している。
上述したように、ホログラム光学素子18の角度選択性により、波長が長い光ほど光学瞳は小さいので、同図に示すように、波長が長い光ほど瞳位置による強度差が大きくなっている(光学瞳Eの中心と端部とにおける強度差が大きくなっている)。逆に、波長が短い光ほど光学瞳Eは大きいので、波長が短い光ほど瞳位置による強度差が小さくなっている。
また、波長が長い光を発光する発光部ほど光軸入射面側に配置されているので、光強度の高い位置は、波長が長い光ほど光学瞳Eの中心に近くなっている。逆に、波長が短い光を発光する発光部ほど光軸入射面から離れた位置に配置されているので、光強度の高い位置は、光学瞳Eの周辺となっている。
つまり、波長が長い光ほど瞳位置による強度差が大きいが、光軸入射面側からX方向外側に向かうにつれて出射光の波長が短くなるような順序で各発光部を配置し、波長が長い光ほど光強度の高い位置を光学瞳Eの中心に近づけることで、波長が長い光について、瞳位置による強度差、すなわち、光学瞳Eの中心と端部とにおける強度差を小さくすることができる。これにより、光学瞳Eの全体(瞳中心および瞳周辺)で色ムラの少ない映像を観察者に提供することができる。
また、光源群11P・11Qの各発光部は、一方向拡散板12での拡散が大きい波長順(波長が短いほど拡散する)にX方向に配置されているので、光学瞳E上での各色の強度差がさらに小さくなり、色ムラをさらに低減することができる。つまり、色純度の高い映像を観察者に提供することができる。
ところで、以上では、RGBの各発光部を2組設け、各組を個々のパッケージにした光源群11P・11Qで光源11を構成した例について説明したが、各組は1つのパッケージになっていてもよい。図14は、光源11の他の構成例を示すものであって、光源11を表示素子14側から見たときの平面図を示している。
このように光源11は、RGBの光を出射する発光部11R1・11R2・11G1・11G2・11B1・11B2を1パッケージ化したもので構成されてもよい。この構成においても、上述した各発光部の配置方法を適用することにより、光学瞳E上での各色の強度差を小さくして、色ムラを低減することができる。また、発光点の距離が近いほどRGBの色が混ざりやすく、より明るい映像を提供することができるので、この点では、各発光部の距離を容易に小さくできる図14の構成のほうが望ましい。
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、実施の形態1または2と同一の構成には同一の部材番号を付記し、その説明を省略する。
図15は、本実施形態の映像表示装置1の概略の構成を示す断面図であり、図16は、上記映像表示装置1における光路を光学的に一方向に展開して示す説明図である。本実施形態の映像表示装置1は、光源11の代わりに光源31を用い、接眼光学系15の代わりに接眼光学系32を用い、一方向拡散板12を削除した以外は、実施の形態1または2と同様の構成である。接眼光学系32は、透明基板33上にホログラム光学素子18を貼り付けて構成されている。
光源31は、青色光または紫外光で蛍光体を励起して白色を発光する白色光源(白色LED)である。ここで、図17は、光源31を表示素子14側から見たときの平面図である。光源31は、ホログラム光学素子18への光軸の入射面に対して垂直な方向(X方向)を長辺方向とするスリット状の発光領域31aを有している。発光領域31aの大きさは、X方向に例えば3mmであり、Y方向に例えば0.5mmである。光源31は、この発光領域31aからスリット状に白色(3原色に対応したRGBの波長域の光を含む)を発光する。
光源31の発光領域31aから出射された光は、集光レンズ13にてY方向に集光されて表示素子14を照明し、表示素子14にて変調される。表示素子14からの映像光は、接眼光学系32のホログラム光学素子18にて回折されて光学瞳Eに導かれる。このとき、光源31と光学瞳Eとはほぼ共役な関係となるように設定されているので、光学瞳Eは、光源31の発光領域31aの大きさ(x=3mm、y=0.5mm)が光学系の像倍率3倍に拡大され、さらに表示素子14で約1°の拡散により少し大きくなる結果、x=10mm、y=2.5mmの大きさとなっている。
このように、本実施形態では、光学瞳Eは、一方向(X方向)には人間の瞳(3mm程度)より大きい10mmの大きさであるので、観察者は映像を観察しやすい。一方、光学瞳Eは、他の方向(Y方向)には、人間の瞳とほぼ同じ程度の大きさであり、光がY方向に集光されているので、無駄なく明るい映像を観察者に提供することができる。
また、図18は、光学瞳Eにおける瞳位置と主たる回折波長(例えばR光)との関係を示す説明図である。同図中、破線D1は、光学瞳EのX方向における回折波長の変化を示しており、実線D2は、光学瞳EのY方向の瞳における回折波長の変化を示している。このように、回折波長の変化は、光軸入射面に平行なY方向よりも、光軸入射面に垂直なX方向のほうが小さい。
したがって、回折波長の変化が大きい(入射角の変化が大きい)Y方向で光学瞳Eを小さく形成することにより、回折波長の変化の範囲が狭くなるので、色純度の高い映像を表示することができる。
また、光源31は、レンズ付のもので構成されており、放射角は例えば90度と小さく設定されている。これにより、光学瞳Eの形成に利用されない無駄な光が少なく(光利用効率が高く)、この点からも明るい映像を観察者に提供することができる。
また、光源31を白色光源で構成することにより、RGBの色を混ぜる必要がないので、安価な構成で光源31と光学瞳Eとを共役にして明るい映像を観察者に提供することができる。
また、光源31を上記の白色光源で構成すると、X方向に発光面積が大きくなるので、実施の形態1および2で用いたような、入射光をX方向に拡散する一方向拡散板12を設ける必要がなくなる。したがって、一方向拡散板12を不要とする分、映像表示装置1を安価に構成することができる。
なお、上記の一方向拡散板12を設けるようにしても勿論構わない。この場合は、波長選択性が高くないX方向に光を拡散することによって、色純度を高く保ちながらさらに光学瞳EをX方向に広げることができる。したがって、一方向拡散板12は、必要に応じて設けられればよい。
なお、拡散板によってY方向にも光を拡散させて光学瞳EをY方向に大きくすることも可能である。この場合、Y方向には光学瞳Eを大きくするほど色ズレが大きくなるので、Y方向の光学瞳Eの大きさは、7mm程度までが望ましい。
また、本実施形態のホログラム光学素子18は、実施の形態1および2と同様に、回折効率ピークおよびその半値波長幅で465±5nm、521±5nm、634±5nmの波長域の映像光を回折するように作製されているが、このホログラム光学素子18を透明基板33上に貼り付けて接眼光学系32を構成する本実施形態では、表示素子14からの映像光を直接ホログラム光学素子18に入射させるので、ホログラム光学素子18に記録された干渉縞への光の入射角を、実施の形態1の構成よりも小さくすることができる。
より具体的には、実施の形態1の構成では、ホログラム光学素子18に入射する光の入射角は、媒質中で例えば25°〜35°くらいであるが、本実施形態の構成では、上記入射角を媒質中で例えば10°〜15°くらいにすることができる。これにより、実施の形態1に比べて、入射角の変化による波長選択性の影響が小さく、色ズレが少ない。つまり、図18と図10とを比較すればわかるように、本実施形態では実施の形態1に比べて上記入射角が小さいので、回折波長の変化がX方向およびY方向ともに実施の形態1よりも小さい。したがって、実施の形態1よりも大きい光学瞳Eで、なおかつ、色純度が高く、色再現領域の広い映像を表示することができる。
〔実施の形態4〕
本発明のさらに他の実施の形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、実施の形態1ないし3と同一の構成には同一の部材番号を付記し、その説明を省略する。
図19は、本実施形態の映像表示装置1の概略の構成を示す断面図である。この映像表示装置1は、実施の形態3の構成において、図15の接眼光学系32の代わりに接眼光学系41を用い、しかも、集光レンズ13を削除した構成となっている。つまり、白色光源で構成される光源31を用いている点では実施の形態3と共通している。
接眼光学系41は、接眼プリズム42(第1の透明基板)と偏向プリズム43(第2の透明基板)とでホログラム光学素子18を挟持して構成されている。接眼プリズム42および偏向プリズム43は、実施の形態1の接眼プリズム16および偏向プリズム17と同様の機能を有している。
ただし、接眼プリズム42は、表示素子14からの映像光の入射面である第1の面42aと、光を選択的に透過または反射させる選択透過反射面である第2の面42bと、第2の面42bにて反射された光を反射させる第3の面42cとを有しているが、これらの3つの面が全て自由曲面である点で、実施の形態1の接眼プリズム16とは異なっている。上記のホログラム光学素子18は、第3の面42c上に形成されている。
また、本実施形態では、表示素子14は、Y方向にのみ光を集光するシリンダレンズを各画素ごとに配置したシリンダレンズアレイを有している。この構成により、集光レンズ13を不要とすることができ、また、光学瞳EをY方向に小さくする一方、X方向に大きくすることができる。
図19の構成では、光源31から出射された光は、表示素子14にて変調され、映像光となって接眼光学系41に入射する。接眼光学系41では、上記の映像光は、接眼プリズム42の第1の面42aから入射し、第2の面42bで全反射されて、ホログラム光学素子18を設けた第3の面42cに入射する。第3の面42cでは、特定波長の映像光が反射され、第2の面42bを透過して光学瞳Eに射出される。観察者は光学瞳Eの位置で光を瞳に入射することにより、映像を虚像として観察することができる。
本実施形態では、実施の形態3と同様の光源31、すなわち、X方向に発光領域31aの長い光源31を用いているので、シリンダレンズアレイを有する表示素子14とも相まって、X方向に光学瞳Eを大きくする一方、Y方向に光学瞳Eを小さく形成することができる。これにより、観察者が映像を観察しやすくなる、無駄なく明るい映像を観察者に提供することができる、色純度の高い映像を表示することができるなど、実施の形態3と同様の効果を得ることができる。
また、観察者は、外界像を偏向プリズム43および接眼プリズム42を介して歪み無く見ることができる。また、接眼プリズム42の第3の面42cに体積位相型のホログラム光学素子18が形成されているので、外光の透過率が高くなり、外界像が明るく見やすい。さらに、第2の面42bでの反射を全反射としているので、外界像を見る際には、外光の透過率を特に落とすことなく明るい外界像を見ることができる。
なお、接眼プリズム41の3つの面は、それぞれ平面や球面で構成されても構わない。特に、接眼プリズム41の3つの面が曲面で構成されていれば、接眼光学系41に矯正眼鏡レンズとしての機能を持たせることもできる。
なお、以上では、HMDに好適な映像表示装置1について種々説明したが、各実施形態の映像表示装置1は、例えばヘッドアップディスプレイなどの他の装置にも適用することが可能である。
なお、以上で説明した各実施の形態の構成を適宜組み合わせて映像表示装置1を実現することも勿論可能である。
本発明の実施の一形態に係るヘッドマウントディスプレイに用いられる映像表示装置のホログラム光学素子における回折効率の波長依存性を示す説明図である。 (a)は、上記ヘッドマウントディスプレイの概略の構成を示す平面図であり、(b)は、上記ヘッドマウントディスプレイの側面図であり、(c)は、上記ヘッドマウントディスプレイの正面図である。 (a)は、他のヘッドマウントディスプレイの概略の構成を示す平面図であり、(b)は、上記ヘッドマウントディスプレイの側面図であり、(c)は、上記ヘッドマウントディスプレイの正面図である。 上記映像表示装置の概略の構成を示す断面図である。 上記映像表示装置における光路を光学的に一方向に展開して示す説明図である。 上記映像表示装置の表示素子の概略の構成を簡単に示す断面図である。 上記表示素子のカラーフィルタにおける透過率の波長依存性を示す説明図である。 上記映像表示装置の光源の分光強度特性を示す説明図である。 XYZ表色系におけるXY色度座標を用いて表される虚像の色再現領域を示す説明図である。 光学瞳Eおける瞳位置と主たる回折波長との関係を示す説明図である。 本発明の他の実施の形態に係る映像表示装置における光路を光学的に一方向に展開して示す説明図である。 上記映像表示装置の光源を表示素子側から見たときの平面図である。 光学瞳におけるX方向の瞳位置と光強度との関係を示す説明図である。 上記光源の他の構成例を示すものであって、上記光源を表示素子側から見たときの平面図である。 本発明のさらに他の実施の形態に係る上記映像表示装置の概略の構成を示す断面図である。 上記映像表示装置における光路を光学的に一方向に展開して示す説明図である。 上記映像表示装置の光源を表示素子側から見たときの平面図である。 光学瞳における瞳位置と主たる回折波長との関係を示す説明図である。 本発明のさらに他の実施の形態に係る上記映像表示装置の概略の構成を示す断面図である。
符号の説明
1 映像表示装置
2 支持手段
11 光源
11R、11R1、11R2 発光部
11G、11G1、11G2 発光部
11B、11B1、11B2 発光部
14 表示素子
15 接眼光学系
16 接眼プリズム(第1の透明基板)
17 偏向プリズム(第2の透明基板)
18 ホログラム光学素子
24 カラーフィルタ(透過波長制限フィルタ)
24R フィルタ(Rフィルタ)
24B フィルタ(Bフィルタ)
31 光源(白色光源)
32 接眼光学系
41 接眼光学系
42 接眼プリズム(第1の透明基板)
43 偏向プリズム(第2の透明基板)
E 光学瞳

Claims (17)

  1. 光を出射する光源と、
    上記光源からの出射光を変調してカラー映像を表示する表示素子と、
    上記表示素子からの映像光を観察者の瞳に導く接眼光学系とを有する映像表示装置であって、
    上記表示素子は、上記光源からの出射光のうちで3原色に対応した波長のいずれかの光を透過させる一方、残りの光の透過を制限する透過波長制限フィルタを、3原色の透過波長のそれぞれに対応して有しており、
    上記接眼光学系は、上記表示素子から出射される3原色に対応した波長の光を回折するホログラム光学素子を有しており、
    上記ホログラム光学素子における各色についての回折効率半値の波長幅をそれぞれΔλ1とし、上記透過波長制限フィルタにおける各色についての透過率半値の波長幅をそれぞれΔλ2とすると、各色について、
    Δλ1<Δλ2
    であることを特徴とする映像表示装置。
  2. 各色について、
    Δλ1<20nm
    であることを特徴とする請求項1に記載の映像表示装置。
  3. 赤色光を透過させる一方、それ以外の光の透過を制限する上記透過波長制限フィルタをRフィルタとすると、
    上記Rフィルタにおける緑色光の透過率をTrGとし、上記Rフィルタにおける赤色光のピーク透過率をTrPとすると、上記ホログラム光学素子での緑の回折波長域の入射光について、
    TrG≦TrP/10
    であることを特徴とする請求項1または2に記載の映像表示装置。
  4. 青色光を透過させる一方、それ以外の光の透過を制限する上記透過波長制限フィルタをBフィルタとすると、
    上記Bフィルタにおける緑色光の透過率をTbGとし、上記Bフィルタにおける青色光のピーク透過率をTbPとすると、上記ホログラム光学素子での緑の回折波長域の入射光について、
    TbG≦TbP/10
    であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の映像表示装置。
  5. 上記光源の出射光は、3原色に対応した光を含んでおり、
    上記ホログラム光学素子における各色についての回折効率のピーク波長をそれぞれλ1とし、上記透過波長制限フィルタにおける各色についての透過率のピーク波長をそれぞれλ2とし、上記光源における3原色の各色についての光強度のピーク波長をそれぞれλ3とすると、各色について、
    λ1は、λ2±20nmの範囲内であり、かつ、λ3±10nmの範囲内であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の映像表示装置。
  6. 上記光源における3原色の各色についての光強度半値の波長幅をそれぞれΔλ3とすると、各色について、
    1/10<Δλ1/Δλ3≦1
    であることを特徴とする請求項5に記載の映像表示装置。
  7. 上記ホログラム光学素子は、軸非対称な正の光学パワーを有していることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の映像表示装置。
  8. 上記接眼光学系によって形成される光学瞳は、上記ホログラム光学素子への光軸の入射面に平行な方向よりも上記入射面に垂直な方向に大きいことを特徴とする請求項7に記載の映像表示装置。
  9. 上記光源は、3原色に対応した光を発光する3つの発光部を有しており、
    各発光部は、上記入射面に対して垂直な方向に並んで配置されていることを特徴とする請求項8に記載の映像表示装置。
  10. 上記光源は、3原色に対応した光を発光する3つの発光部を偶数組有しており、
    上記入射面に対して垂直な方向における各発光部の配列順序が、隣接する各組間で逆であることを特徴とする請求項1から6、9のいずれかに記載の映像表示装置。
  11. 上記光源は、上記3つの発光部を偶数組有しており、
    各発光部は、上記入射面に対して面対称に配置されているとともに、上記入射面に対して垂直方向の両側で上記入射面から同じ距離に位置する発光部が同じ色の光を発光するように配置されていることを特徴とする請求項9または10に記載の映像表示装置。
  12. 上記光源は、上記3つの発光部を2組有しており、
    各組の各発光部は、上記入射面側から上記入射面に対して垂直方向外側に向かうにつれて出射光の波長が短くなるような順序で配置されていることを特徴とする請求項11に記載の映像表示装置。
  13. 上記光源は、青色光または紫外光で蛍光体を励起して白色を発光する白色光源からなり、
    上記白色光源は、上記ホログラム光学素子への光軸の入射面に対して垂直な方向を長辺方向とするスリット状に白色を発光することを特徴とする請求項8に記載の映像表示装置。
  14. 上記ホログラム光学素子は、上記表示素子からの映像光と外光とを同時に観察者の瞳に導くコンバイナであることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の映像表示装置。
  15. 上記接眼光学系は、上記表示素子からの映像光を内部で全反射させて上記ホログラム光学素子を介して観察者の瞳に導く一方、外光を透過させて観察者の瞳に導く第1の透明基板を有していることを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の映像表示装置。
  16. 上記接眼光学系は、上記第1の透明基板での外光の屈折をキャンセルするための第2の透明基板を有していることを特徴とする請求項15に記載の映像表示装置。
  17. 請求項1から16のいずれかに記載の映像表示装置と、
    上記映像表示装置を観察者の眼前で支持する支持手段とを有していることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
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