JP2009155807A - 場所打ち杭における鉄筋籠の建て込み工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉄筋籠に杭頭処理用キャップを装着し、それを打設穴に建て込むまでの一連の作業をスピードアップして、早期にコンクリート打設に着手できるようにした場所打ち杭における鉄筋籠の建て込み工法を提供する。
【解決手段】打設穴掘削予定地点の一つに、打設穴3bとなる前の段階の穴をキャップ装着作業穴3aとして掘削する。内部に取り込んだコンクリートを杭頭から除去する杭頭処理用キャップ35をキャップ装着作業穴3aで延伸鉄筋籠31の主筋上端部に被せる処置を施す。当該処置後の延伸鉄筋籠31を打設穴3bに運んで建て込み、それから打設穴3bに生コンクリート43を打設する。コンクリートの養生が済んだ後、杭頭処理用キャップ35を取り外し、その中に入り込んだコンクリートの品質低下部分を除去する。
【選択図】図9

Description

本発明は工作物の基礎杭が場所打ち杭である場合の鉄筋籠の建て込み工法に関する。
大型工作物の場合、基礎杭設置場所に打設穴を掘削して鉄筋籠を建て込み、この打設穴にコンクリートを打設して基礎杭を形成する場所打ち(現場打ち)の工法が採用されることが多い。
垂直な主筋に水平なフープ筋を組み合わせてなる鉄筋籠を建て込んだ打設穴にコンクリートを打設すると、生コンクリートが穴の底の方から上昇してくるとき、上層部に泥水や土砂を巻き込んでしまい、杭上部のコンクリートの品質が低下する。そのため従来は、杭の設計高さ以上に生コンクリートを打設する「余盛り」を行い、コンクリートの養生が済んだ後、余盛りの部分をはつって品質低下部分を除去し、同時に鉄筋籠の主筋を露出させるという手法が採用されていた。しかしながら、はつり作業は手間がかかる上、作業者の健康管理に問題が生じる。さらに、誤って主筋を損傷するおそれがあり、産業廃棄物が発生するという問題もある。
上記の問題を解決するため、杭頭処理用キャップを用いる手法が開発された。これは、トレミー管を通す穴が中心に設けられた円筒形の中空キャップを杭頭、すなわち鉄筋籠の主筋の上端の部分に被せ、泥水や土砂を巻き込んだコンクリートの品質低下部分をこのキャップの中に取り込んでしまい、養生後にキャップを外すとキャップと共に杭頭のコンクリート品質低下部分が取り除かれるという仕組みにしたものである。特許文献1、2にこのような杭頭処理用キャップの例を見ることができる。
特開2006−183339 特開2006−299535
鉄筋籠の素材として用いられる棒鋼には、コンクリートを強固に結合するため、表面に凹凸が形成されており、物が引っかかりやすく滑りにくい形態となっている。このことは番線による結束作業には非常に便利であるが、反面、杭頭処理用キャップを被せる上では不利に働く。つまり、杭頭処理用キャップの穴に主筋を通そうとすると、あちこちで引っかかりが生じ、その都度キャップを叩いたり揺すったりしながら挿入を進めねばならず、
被せ終わるまでにかなりの時間がかかる。打設穴で杭頭処理用キャップを被せる作業を行っていると、コンクリート打設可能となるまでの時間が延びてしまう。打設開始前に打設穴が土圧で圧潰するおそれすら生じる。
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、鉄筋籠に杭頭処理用キャップを装着し、それを打設穴に建て込むまでの一連の作業をスピードアップして、早期にコンクリート打設に着手できるようにした場所打ち杭における鉄筋籠の建て込み工法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、地盤に掘削した打設穴に、垂直な主筋にフープ筋を組み合わせてなる鉄筋籠を建て込んだ後、この打設穴にコンクリートを打設して場所打ち杭を形成するに際し、内部に入り込んだコンクリートを杭頭から除去する杭頭処理用キャップを、前記打設穴とは別の箇所に掘削したキャップ装着作業穴で前記鉄筋籠の主筋上端部分に被せる処置を施し、当該処置後の鉄筋籠を前記打設穴に運んで建て込むことを特徴としている。
この構成によると、打設穴とは別の場所で杭頭処理用キャップを被せた鉄筋籠を打設穴に運んで建て込むので、打設穴のところで杭頭処理用キャップを被せるのに手間取ることがなく、コンクリートの打設を早期に開始することができる。このため、打設作業全体の工期を短縮してコストを削減することができる。打設開始前に打設穴が圧潰する危険も軽減される。
また本発明は、上記構成の場所打ち杭における鉄筋籠の建て込み工法において、打設穴掘削予定地点の一つに、打設穴となる前の段階の穴をキャップ装着作業穴として掘削し、当該地点における杭頭処理作業終了後、前記キャップ装着作業穴をさらに掘り下げて打設穴とすることを特徴としている。
この構成によると、打設穴掘削予定地点に、最終的にはさらに掘り下げて打設穴とするキャップ装着作業穴を掘削するから、打設穴掘削予定地点外に仮穴としてキャップ装着作業穴を掘削する手間が不要となる。現場が狭隘で仮穴を掘削するゆとりがないときなど、特にこの工法は有益である。またキャップ装着作業穴はキャップ装着処理作業に必要な深さだけ掘削すればよいから、掘削を速やかに終わらせることができる上、最初から基礎杭打設に必要な深さまで掘削したときのように、穴の底の方で壁面が圧潰するおそれが少ない。打設に必要な深さまで掘削した穴が圧潰すれば、排除した土砂量が多い分地面が大きく陥没し、周囲の建設機械が倒れるという危険が発生するが、本発明の工法であればそのような深刻な事態に陥る懸念が小さくて済む。
また本発明は、上記構成の場所打ち杭における鉄筋籠の建て込み工法において、前記キャップ装着作業穴に壁面補強処理を施すことを特徴としている。
この構成によると、壁面の圧潰を心配することなく、同一のキャップ装着作業穴を繰り返し杭頭処理作業に使用することができる。
また本発明は、上記構成の場所打ち杭における鉄筋籠の建て込み工法において、鋼管により前記壁面補強処理を行うことを特徴としている。
この構成によると、簡便に壁面補強処理を行うことができる。
また本発明は、上記構成の場所打ち杭における鉄筋籠の建て込み工法において、土壌凝結剤により前記壁面補強処理を行うことを特徴としている。
この構成によると、簡便に壁面補強処理を行うことができる。
また本発明は、上記構成の場所打ち杭における鉄筋籠の建て込み工法において、前記キャップ装着作業穴が、鉄筋籠を継ぎ足して延伸鉄筋籠を形成する鉄筋籠継ぎ足し作業穴に兼用されることを特徴としている。
この構成によると、キャップ装着作業穴と鉄筋籠継ぎ足し作業穴を別々に設ける必要がなく、スペースを節約できる上、鉄筋籠を鉄筋籠継ぎ足し作業穴からキャップ装着作業穴へと移動させる手間も省ける。
本発明によると、打設穴のところで鉄筋籠の主筋に杭頭処理用キャップを被せるのに手間取ることがないから、打設穴まで鉄筋籠を運んだ後、速やかにコンクリートの打設に取りかかることができる。これにより、打設作業の工期を短縮してコストを削減することができるとともに、打設開始前に打設穴が圧潰する危険も軽減される。
本発明の第1実施形態を図1〜図18に示す。図1〜図18は基礎杭打設工程を順を追って示す説明図である。
図1において、1は地盤、2は地中深くの支持層である。地盤1の上にアースドリル機10を配置し、複数存在する打設穴掘削予定地点(図では一点鎖線Aで表示する)の一つにケリーバ(Kelly-bar)11を位置合わせする。そしてケリーバ11を降下させてその下端により地表に圧痕を残し、掘削の目印とする。
目印を付けた後、図2に示すように、ケリーバ11にドリリングバケット12を取り付けて所定直径の穴を掘削する。
打設穴掘削予定地点の一つには、打設穴となる前の段階の穴をキャップ装着作業穴3aとして掘削する。キャップ装着作業穴3aは鉄筋籠を継ぎ足して延伸鉄筋籠を形成する鉄筋籠継ぎ足し作業穴としても使用するものであり、2個の鉄筋籠の継ぎ足し作業を支障なく行える深さに掘削する。打設穴掘削予定地点の他の一つには、キャップ装着作業穴3aの深さ以上に掘り下げて支持層2に到達させた、打設穴として本来備えるべき深さを備える打設穴3bを掘削する。
キャップ装着作業穴3aも打設穴3bも、上端部は直径を広げる。ドリリングバケット12に、バケット外径よりも外側にはみ出す工具(リーマナイフ)を装着して土をかき取ることにより、穴を広げることができる。このように直径を大きくしたキャップ装着作業穴3aと打設穴3bの各上端部に、表層ケーシング4を建て込む。表層ケーシング4は、ドリリングバケット12及び、後述する鉄筋籠と杭頭処理用キャップを受け入れられる内径を有する鋼管からなる。表層ケーシング4の建て込み後、さらに地盤深くへと掘削が継続される。
表層ケーシング4は、穴の壁面を補強するものであると同時に、後述する鉄筋籠の継ぎ足し作業を容易にするためにも用いられるものであり、作業しやすい高さまで上端部が地盤1から突き出している。
鉄筋籠継ぎ足し作業穴3aと打設穴3bを掘り下げて行く間、穴には安定液5が注入される。安定液5は、一例としてベントナイトと水の混合液からなるものであり、ドリリングバケット2の回転をスムーズにする他、穴が土圧で圧潰するのを防ぐ役割も果たす。安定液5は図示しない安定液プラントよりホース6で供給される。地盤にしみ込むなどの理由で安定液5の液位が低下したら、ホース6を通じ適宜に安定液を補充する。
打設穴3bにあっては、生コンクリートの打設を開始する段階でホース6に回収ポンプ7を接続する。回収ポンプ7は表層ケーシング4に吊り下げ支持されて安定液5を吸い込み、吸い込んだ安定液5をホース6を通じて安定液プラントに戻す。コンクリートの体積が増えるに従い安定液5の液位が上昇するので、その上昇分を吸い込んで安定液プラントに戻し、液位が所定レベルに保たれるようにするのである。なおホース6及び回収ポンプ7は、図3以降の図では図示を省略する。
キャップ装着作業穴3aを所定の深さまで掘削したら、図3に示すように、自走式クレーン20のブーム21にワイヤーロープ22と天秤状のトラバーサー23で鉄筋籠30を吊るす。鉄筋籠30は、垂直な主筋に対し、水平なフープ筋と、同じく水平であって、フープ筋よりも太く頑丈な帯筋を組み合わせてなるものであり、トラックやトレーラーに積載可能な長さにされている。吊した鉄筋籠30をキャップ装着作業穴3aに挿入する。そして、帯筋の中で最も上に位置するものが表層ケーシング4の上端から少し上に来るまで鉄筋籠30を下げる。
上記のようにしておいて前記帯筋の下端と表層ケーシング4の上端の間に横から角形断面の鋼管24を通し、鉄筋籠30をさらに下げる。すると表層ケーシング4の上端に載った鋼管24が鉄筋籠30を最上位の帯筋のところで支える。これにより、鉄筋籠30は鋼管24で上部を支持されて表層ケーシング4の内部に吊り下げられた形になる。この形になったらトラバーサー23を鉄筋籠30から外す。
続いて図4に示すように、表層ケーシング4の内部に吊り下げた鉄筋籠30の上にもう1個の鉄筋籠30を運ぶ。そして下方の鉄筋籠30との間に所定の重なりが生じるように上方の鉄筋籠30を下ろす。この状態で溶接、継手による結合、番線による結束などの手段を用いて上方の鉄筋籠30と下方の鉄筋籠30を継ぎ合わせる。これが図5に示す状態であり、2個の鉄筋籠30を継ぎ合わせたものが延伸鉄筋籠31となる。
完成した延伸鉄筋籠31を自走式クレーン20で吊り上げ、打設穴3bに挿入する。この延伸鉄筋籠31を、鋼管24で表層ケーシング4に吊り下げ支持する。これが図6に示す状態である。キャップ装着作業穴3aでは再度鉄筋籠30の継ぎ足し作業を行ってもう1個の延伸鉄筋籠31を製作する。
杭頭作業穴3aでもう1個の延伸鉄筋籠31を製作したら、その帯筋の中で最も上に位置するものの下に鋼管24を通して、図7に示すように延伸鉄筋籠31を表層ケーシング4の内部に吊り下げ支持する。そしてその上に自走式クレーン20で杭頭処理用キャップ35を運ぶ。杭頭処理用キャップ35は特許文献1、2の記載例と同様の構造を備えるものであり、中空円筒体の中心にトレミー管挿通穴36が設けられ、トレミー管挿通穴36を取り囲むように、延伸鉄筋籠31の主筋を通す穴、泥水や土砂を巻き込んだコンクリートの品質低下部分を侵入させる開口部、コンクリートの侵入に伴って内部の空気を逃がす空気抜き穴などが形成されている。
杭頭処理用キャップ35を延伸鉄筋籠31の上に運んだら、図8に示すように杭頭処理用キャップ35を下ろして延伸鉄筋籠31の主筋上端部分に被せる。そして延伸鉄筋籠31と杭頭処理用キャップ35を溶接する。この溶接は安定液5の中に杭頭処理用キャップ35を沈めたとき、杭頭処理用キャップ35が浮き上がってこないようにするためのものであり、軽く溶接すれば足りる。
杭頭処理用キャップ35を被せ終わった延伸鉄筋籠31を図9に示すように吊り上げ、図10に示すように打設穴3bの表層ケーシング4に吊り下げ支持した延伸鉄筋籠31の上へと運ぶ。そして下方の延伸鉄筋籠31との間に所定の重なりが生じるように上方の延伸鉄筋籠31を下ろす。この状態で溶接、継手による結合、番線による結束などの手段を用いて上方の延伸鉄筋籠31と下方の延伸鉄筋籠31を継ぎ合わせる。これが図11に示す状態であり、2個の延伸鉄筋籠31を継ぎ合わせたものが延伸鉄筋籠32となる。延伸鉄筋籠32は打設穴3aの底に届く長さを有している。
延伸鉄筋籠32が完成したら、それを図12に示すように打設穴3bに建て込む。杭頭処理用キャップ35の下端は表層ケーシング4の下端にほぼ一致する高さまで下がる。杭頭処理用キャップ35の上端は安定液5の中に没する。
延伸鉄筋籠32を建て込んだ打設穴3bに対し、生コンクリート打設のための準備を行う。図13に示すように、杭頭処理用キャップ35のトレミー管挿通穴36の中に上方からトレミー管40を挿入する。トレミー管40は支持フレーム41により表層ケーシング4Bの上端に支持される。トレミー管40は打設穴3bの底部近くにまで達する長さを備え、上端には投入される生コンクリートを受けるホッパー42が設けられている。
上記のようにコンクリート打設準備を進める間、キャップ装着作業穴3aでは他の打設穴3bで用いる延伸鉄筋籠31の製作を同時進行的に遂行することができる。
トレミー管40の準備が整ったら、図14に示すように、生コン車50より生コンクリート43を投入する。
生コンクリート43は打設穴3bの底の方から堆積し、堆積分だけ安定液5を押し上げる。押し上げられた分の安定液5は前記回収ポンプ7が汲み上げ、表層ケーシング4から安定液5が溢れ出さないようにする。このように生コンクリート43を打設している間、トレミー管40は生コンクリート43の堆積に歩調を合わせる形で順次引き上げられる。ただしトレミー管40の下端が生コンクリート43の堆積層から浮き上がらないよう、常時所定長さ(例えば2m)以上の根入れ(トレミー管40の下端が生コンクリート43の中に入り込んでいること)が保たれる。
生コンクリート43は、その上層部に泥水や土砂を巻き込みつつ上昇する。この泥水や土砂を巻き込んだ生コンクリート43が杭頭処理用キャップ35の内部に入るよう、生コンクリート43を余盛りする。
杭頭処理用キャップ35の内部が所定高さまで生コンクリート43で満たされたら打設を終える。そしてトレミー管40を抜き、供給管6A、回収管6B、及び回収ポンプ7を取り外し、表層ケーシング4も引き抜いて、コンクリートの養生に入る。養生により、場所打ち杭8が完成する。養生期間中、図15に示すように、打設穴3bの上部は土砂で埋め戻される。
養生期間後、図16に示すように油圧ショベル60で杭頭処理用キャップ35を掘り起こす。そして図17に示すように杭頭処理用キャップ35を引き上げる。杭頭処理用キャップ35と延伸鉄筋籠の間の仮溶接は、このとき断ち切られてしまう。コンクリートの中で、泥水や土砂を巻き込んだ品質の悪い部分は杭頭処理用キャップ35と共に引き上げられ、後には鉄筋と良質のコンクリートからなる場所打ち杭8が残される。なお図17では自走式クレーン20で杭頭処理用キャップ35を引き上げるものとしたが、油圧ショベル60が十分に大型であれば、油圧ショベル60を使って杭頭処理用キャップ35を引き上げることも可能である。
キャップ装着作業穴3aは時間が経過すると圧潰するおそれがあるので、適当なタイミングで用済みとする。用済みとなったキャップ装着作業穴3aはさらに掘り下げてもう1本の打設穴3bとする。図18には、別の打設穴掘削予定地点に新たなキャップ装着作業穴3aが掘削されたところまでが描かれている。
このように、キャップ装着作業穴3aの状態を注視しつつ杭頭処理用キャップ35の装着作業を行い、キャップ装着作業穴3aとしては用済みと判断した穴はさらに掘り下げて打設穴3bとするという手順を繰り返して、場所打ち杭8の打設作業を遂行する。最後に1本だけ残った打設穴3bについては、別の場所で杭頭処理用キャップ35を装着することができないので、打設穴3bで杭頭処理用キャップ35を鉄筋籠に被せるという伝統的手法を採用する。
次に、本発明の第2実施形態を図19に基づき説明する。図19は第1実施形態の図4に相当する説明図である。
第1実施形態ではキャップ装着作業穴3aに鋼管からなる表層ケーシング4を建て込んで壁面補強を行ったが、第2実施形態では土壌凝結剤を用いてキャップ装着作業穴3aの周囲に補強層9を形成した。補強層9の上端は地盤1から突き出さないので、その上に表層ケーシング4と同じ直径で、表層ケーシング4の地盤1からの突き出しと同程度の高さの支持リング25を置き、鋼管24を載せやすく、また鉄筋籠継ぎ合わせ作業をしやすくした。
土壌凝結剤としてはセメントミルク等を用いる。土壌凝結剤は、キャップ装着作業穴3aを掘削した後、穴の周囲に浸透させることができる。土壌凝結剤がセメントミルクであれば、穴を掘削しつつ掘削土にセメントミルクを注入し、掘削土とセメントミルクを混練してソイルセメントを形成し、そのソイルセメントが固まってソイルセメント柱と化してからソイルセメント柱の中心を掘削してキャップ装着作業穴3aを形成するという手順も可能である。
上記のようにして補強層9を形成したキャップ装着作業穴3aは、同一のキャップ装着作業穴3aを壁面の圧潰を心配することなく繰り返し杭頭処理用キャップ35の装着作業に使用することができる。このキャップ装着作業穴3aを打設穴3bとして掘り下げるときは、補強層9を突き抜く形で掘削を進める。
以上本発明の各実施形態につき説明したが、発明の主旨を逸脱しない範囲でさらに種々の変更を加えて実施することができる。
本発明は場所打ち杭工法(アースドリル工法、リバース工法、オールケーシング工法等)全般に広く利用可能である。
第1実施形態に係る基礎杭建て込み工程の第1の説明図 第1実施形態に係る基礎杭建て込み工程の第2の説明図 第1実施形態に係る基礎杭建て込み工程の第3の説明図 第1実施形態に係る基礎杭建て込み工程の第4の説明図 第1実施形態に係る基礎杭建て込み工程の第5の説明図 第1実施形態に係る基礎杭建て込み工程の第6の説明図 第1実施形態に係る基礎杭建て込み工程の第7の説明図 第1実施形態に係る基礎杭建て込み工程の第8の説明図 第1実施形態に係る基礎杭建て込み工程の第9の説明図 第1実施形態に係る基礎杭建て込み工程の第10の説明図 第1実施形態に係る基礎杭建て込み工程の第11の説明図 第1実施形態に係る基礎杭建て込み工程の第12の説明図 第1実施形態に係る基礎杭建て込み工程の第13の説明図 第1実施形態に係る基礎杭建て込み工程の第14の説明図 第1実施形態に係る基礎杭建て込み工程の第15の説明図 第1実施形態に係る基礎杭建て込み工程の第16の説明図 第1実施形態に係る基礎杭建て込み工程の第17の説明図 第1実施形態に係る基礎杭建て込み工程の第18の説明図 第2実施形態に係る基礎杭建て込み工程の説明図
符号の説明
1 地盤
2 支持層
3a キャップ装着作業穴
3b 打設穴
4 表層ケーシング
5 安定液
6A 供給管
6B 回収管
7 回収ポンプ
8 場所打ち杭
9 補強層
10 アースドリル機
12 ドリリングバケット
20 自走式クレーン
30 鉄筋籠
31、32 延伸鉄筋籠
35 杭頭処理用キャップ
40 トレミー管
43 生コンクリート
50 生コン車
60 油圧ショベル
上記目的を達成するために本発明は、地盤に掘削した打設穴に、垂直な主筋にフープ筋を組み合わせてなる鉄筋籠を建て込んだ後、この打設穴にコンクリートを打設して場所打ち杭を形成するに際し、打設穴掘削予定地点の一つに、打設穴となる前の段階の穴をキャップ装着作業穴として掘削し、内部に入り込んだコンクリートを杭頭から除去する杭頭処理用キャップを、前記キャップ装着作業穴で前記鉄筋籠の主筋上端部分に被せる処置を施し、当該処置後の鉄筋籠を前記打設穴に運んで建て込むとともに、当該地点における杭頭処理作業終了後、前記キャップ装着作業穴をさらに掘り下げて打設穴とすることを特徴としている。
この構成によると、打設穴となる前の段階のキャップ装着作業穴で杭頭処理用キャップを被せた鉄筋籠を打設穴に運んで建て込むので、打設穴のところで杭頭処理用キャップを被せるのに手間取ることがなく、コンクリートの打設を早期に開始することができる。このため、打設作業全体の工期を短縮してコストを削減することができる。打設開始前に打設穴が圧潰する危険も軽減される。
打設穴掘削予定地点に、最終的にはさらに掘り下げて打設穴とするキャップ装着作業穴を掘削するから、打設穴掘削予定地点外に仮穴としてキャップ装着作業穴を掘削する手間が不要となる。現場が狭隘で仮穴を掘削するゆとりがないときなど、特にこの工法は有益である
また、キャップ装着作業穴はキャップ装着処理作業に必要な深さだけ掘削すればよいから、掘削を速やかに終わらせることができる上、最初から基礎杭打設に必要な深さまで掘削したときのように、穴の底の方で壁面が圧潰するおそれが少ない。打設に必要な深さまで掘削した穴が圧潰すれば、排除した土砂量が多い分地面が大きく陥没し、周囲の建設機械が倒れるという危険が発生するが、本発明の工法であればそのような深刻な事態に陥る懸念が小さくて済む。

Claims (6)

  1. 地盤に掘削した打設穴に、垂直な主筋にフープ筋を組み合わせてなる鉄筋籠を建て込んだ後、この打設穴にコンクリートを打設して場所打ち杭を形成するに際し、
    内部に入り込んだコンクリートを杭頭から除去する杭頭処理用キャップを、前記打設穴とは別の箇所に掘削したキャップ装着作業穴で前記鉄筋籠の主筋上端部分に被せる処置を施し、当該処置後の鉄筋籠を前記打設穴に運んで建て込むことを特徴とする場所打ち杭における鉄筋籠の建て込み工法。
  2. 打設穴掘削予定地点の一つに、打設穴となる前の段階の穴をキャップ装着作業穴として掘削し、当該地点における杭頭処理作業終了後、前記キャップ装着作業穴をさらに掘り下げて打設穴とすることを特徴とする請求項1に記載の場所打ち杭における鉄筋籠の建て込み工法。
  3. 前記キャップ装着作業穴に壁面補強処理を施すことを特徴とする請求項1または2に記載の場所打ち杭における鉄筋籠の建て込み工法。
  4. 鋼管により前記壁面補強処理を行うことを特徴とする請求項3に記載の場所打ち杭における鉄筋籠の建て込み工法。
  5. 土壌凝結剤により前記壁面補強処理を行うことを特徴とする請求項3に記載の場所打ち杭における鉄筋籠の建て込み工法。
  6. 前記キャップ装着作業穴が、鉄筋籠を継ぎ足して延伸鉄筋籠を形成する鉄筋籠継ぎ足し作業穴に兼用されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の場所打ち杭における鉄筋籠の建て込み工法。
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