JP2009154307A - スタンプ台 - Google Patents

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格 若木
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Abstract

【課題】 簡単な構造で、表布からのインキ溶媒蒸発による乾燥を防ぎ、再使用時にも初期と同等な鮮明な印影が押印できるスタンプ台を提供すること。
【解決手段】 少なくとも1つの蝶板により直接または間接的に連結された2枚の外装材と、少なくともその一つの外装材に収納されたインキ含浸体とその上に位置する表布とを備え、非使用時において、表布面がインキを含む構造体により覆われていることを特徴とするスタンプ台。
【選択図】 図1

Description

本発明はスタンプや印鑑にインキを付着させるためのスタンプ台(朱肉台)に関するものであり、さらに詳細には、常に鮮明な印影が得られるスタンプ台に関するものである。
スタンプや印鑑にインキを付着させるためのスタンプ台としては、良好な印影を得るために的確にスタンプにインキを付着させることが求められる。また、常に鮮明な印影を得るということも求められる。インキの付着量は多過ぎてもいけないし、少な過ぎても良好な印影を得ることはできない。
従来のスタンプ台は、図2に示したように、外装材に、インキ含浸体とその上に位置する表布とを備えるいわゆるスタンプパッドを収納し、その上に蓋をする構造となっている。この蓋構造は密閉構造ではないものが多く、そのような構造のものである場合、非使用時、すなわち保存状態において、スタンプパッドの表面が大気と接することになる。しかしながら、このような構造であると、再びスタンプ台を使用するときに表面のインキが乾くことにより印影がかすれる等の不都合がある。特に乾きの速い水性インキや速乾性インキを用いたスタンプ台にはその傾向が強く出る。
一方、特許文献1のように蓋構造に密閉構造を採用したものも存在するが、構造が複雑で部品点数も多く、高価になってしまうほか、開閉時の物理的負荷が大きく、スムーズな開閉性に難があり、片手で簡単に開閉できないなどの不具合があるものであった。
また、インキに特殊なものを採用したものもあるが、該解決手段では外装材としての汎用性は得られるものではなかった。
また、スタンプパッドの代わりにインキを保持し供給する部材としてスポンジなどの単純構造を採用し、多量のインキを含浸し供給することで、その表面のインキ乾燥によるかすれなどの不具合を除去する方策もあるが、スタンプ印面へのインキ供給量が需要者によるスタンプに付着するインク量の調整に依存するものであるため、インク供給が過多になりすぎる傾向があり、鮮明な印影が得られにくいものであった。
特開2001−88416号公報
本発明は、簡単な構造で、表布からのインキ溶媒蒸発による乾燥を防ぎ、再使用時にも初期と同様の鮮明な印影が押印できるスタンプ台を提供することなどを本発明の目的とし、そのような課題の解決手段を提案するものである。
本発明は、上記課題を解決するために、保存状態において、表布をインキを含む構造体により覆うことなどで、表布からのインキ溶媒蒸発による乾燥を防ぎ、再使用時にも初期と同様の鮮明な印影が押印できることを見いだし、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、
「1.少なくとも1つの蝶板により直接または間接的に連結された2枚の外装材と、少なくともその一つの外装材に収納されたインキ含浸体とその上に位置する表布とを備え、保存状態において、表布面がインキを含む構造体により覆われていることを特徴とするスタンプ台。
2.インキを含む構造体が、インキ含浸体とその上に位置する表布とを備えるスタンプパットである、第1項に記載のスタンプ台。」に関する。
上記構造によれば、表布面が外気と接していないため、簡単な構造で、表布からのインキ溶媒蒸発による乾燥を防ぎ、再使用時にもフレッシュなインキがすぐ供給でき、初期と同様の鮮明な印影が押印できる優れた効果を有するスタンプ台を提供することができる。
また、乾燥防止をインキ組成や密閉性の高い構造体に求めていたが、表布面から乾燥しにくい構造にする事で、インキや構造体の設計の幅が広がる。つまり、乾燥防止のための特別な構造やインキ組成にしなくとも、速乾性インキ等を用いたスタンプ台を得ることができる優れた効果を奏する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のスタンプ台は、少なくとも1つの蝶板により直接または間接的に連結された2枚の外装材と、少なくともその一つの外装材に収納されたインキ含浸体とその上に位置する表布とを備え、保存状態において、表布面がインキを含む構造体により覆われていることを特徴とする。
一例を挙げると、図1に示したようにインキ収納部を有する外装材11(12)のインキ収納部に、インキ含浸体とその上に位置する表布とを備えたスタンプパッド2を配置し、該外装材11、12は蝶板3により開閉自在に連結した構造が挙げられる。該スタンプパッド2の配置構造は、保存状態において、両スタンプパッドの表面が接するようになっている。つまり、一方のスタンプパッドの表布面が他方のスタンプパッドの表布面すなわちインキを含む構造体により覆われた構造のスタンプ台となっている。
このような構造とすることで、表布からのインキ溶媒蒸発による乾燥を防ぎ、再使用時にも常に鮮明な印影が押印できる優れた効果が得られるのである。
図1に示したスタンプ台は同一のスタンプパッドを使用しそれらを収納する同様の外装材をお互いに対向するように配置したものであるが、その場合、スタンプ台を開いた際にどちらの面もすぐに使用できる利便性を有するほか、表布面が従来比約2倍の面積になるので、コンパクトな設計が可能となる。また、どちらのスタンプパッドも同じ条件でインキを保持することができるので、スタンプ面へのインキ供給が均一になりやすいので好ましい。
一方、スタンプパッドの表布面を覆うインキを含む構造体にインキ供給を調節する部材を使用すれば、スタンプ台の開閉、すなわちスタンプ台を使用し、使用後に収納するという行為だけで次に使用する際に使用した分のインキ補充ができるという効果もあり、そのような構造体のセットも効果的に採用できる。
スタンプパッドの構造は、上記のように、少なくともインキ含浸体とその上に位置する表布とを備えた構造とすることが好ましいが、さらに、インキ保持部材やインキ供給調節部材などを設けるなど多層構成にしてもかまわない。
表布としては、綿、絹等の天然繊維やポリエステル、アクリル等の合成繊維の繊編物、極細繊維を主体とする不織布などが使用でき、インキや用途に合わせて任意に選択することが可能である。表布の厚み、密度などを操作し、インキの吐出量や保持力などを用途に合わせてコントロールすることもできる。
表布の下層には、インキ含浸体が設けられる。インキ含浸体は、単一層でも良いが、機能分離した多層構成であればなお良い。
例えば、インキ含浸体として、種類の異なるフェルト材を多層構成で設けるものなどが使用できる。多層フェルトを構成するフェルト材としては、羊毛などの天然繊維またはポリエステル、アクリル、ポリアミドなどの合成繊維により単独または混合して形成されたフェルト材などが挙げられる。多層フェルトの各層間においてインキをより表面方向に導くために、その繊維密度やインキとの濡れ性などによりインキ保持力を制御したフェルト材を積層し多層フェルトを形成するのがよい。このような構成にすると、インキが多層フェルトの表面側に引っ張られ、インキが残り少なくなっても追従するので、インキの使用効率等を向上させることができる。
多層フェルトは最上層のフェルトが他の層よりも薄くなっていると、インキ保持および、過剰な浸みだしなどを効率的に防止でき、好ましい。下層と最上層の厚みの関係は2:1〜5:1程度が好ましい。
さらに、大容量のインキを保持するために、フェルト材の下にインキ含浸体として、いわゆるスポンジなどの連続気泡を有するフォーム材などを設けたり、スタンプ台押印時の感触をよくするためのクッション材等を用いても良い。また、フェルトと表布の間に不織布を配置した構成としても良い。
本発明のスタンプ台に含浸されるインキ組成物は、色材や樹脂などを水や有機溶剤などの溶剤に溶解、分散させたものが使用されるが、水性インキ組成物でも有機溶剤系いわゆる油性インキ組成物でもどちらでも採用することができる。本発明において、特に乾燥の速い水性インキや速乾性インキを用いたスタンプ台において好適に使用しうる。
該インキに使用される溶剤は、インキ組成物の主要成分となるもので、水のほか、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ジプロピレングリコール等のジオール類、グリセリン等のトリオール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリアルキレングリコール類やポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル類などの蒸気圧0.01mmHg(25℃)以下の低蒸気圧溶剤などが挙げられる。もちろん、諸性能のバランスに影響を与えない範囲でその他の有機溶剤を使用することも可能である。
また、水性インキ組成物はともかく、油性インキ組成物の場合の主溶剤としての有機溶剤は、各種スタンプ・印の基材となる天然ゴムや感光性樹脂などを溶かしたり、変質させたりしないものが選ばれる。
使用される色材は、溶剤に溶解あるいは分散するものであればよく、従来公知の染料や顔料を使用することができる。染料としては、塩基性染料、酸性染料、直接染料、などの油溶性染料および水溶性染料が用いられる。顔料としては、カーボンブラック、群青、紺青、弁柄、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、インダスロンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、レーキレッド、リソールレッド、ハンザイエロー、酸化チタン、蛍光顔料などの有機顔料や無機顔料が使用できる。また、顔料の分散性などを改善するため合成樹脂、ワックス等で処理した加工顔料を用いることもできる。色材は1種または2種以上混合して用いられ、その使用量はインキ組成物全量に対して3〜20質量%が適当である。
インキ組成物としては、インキ充填性に優れ、印影の乾燥性が良好な、紙面などでのインキの浸透性がよいインキ組成物であればより好ましい。
その他、使用するインキ組成物には必要に応じて、界面活性剤や防腐剤などの添加剤も適宜配合することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
実施例
まず、インキ含浸体として、羊毛/アクリルの混合繊維を用いた厚さ6.0mmのフェルトを最下層に設けた。その上に、綿布を表布として設け、盤面サイズ44mm×66mmのインキパッドを構成した。
次に、下記の組成のスタンプ台用インキ組成物を1時間撹拌混合して、スタンプ台用蛍光インキ組成物を得た。
(スタンプ台用インキ組成物)
蛍光顔料分散体(不揮発分53質量%) 25.0質量%
尿素(保湿剤) 8.6質量%
浸透剤(ノニオン系界面活性剤) 0.3質量%
防腐剤(1,2ベンゾイソチアゾリン3オン) 0.2質量%
グリセリン(有機溶剤) 50.0質量%
水 15.9質量%
その後、上記インキ組成物を8g充填した上記インキパッドを2個用意し、図1に示したような各々インキパッド収容部を有する蝶板により開閉可能なABS樹脂製の外装材に収納し、本発明のスタンプ台を完成し、各種試験を行った。
該スタンプ台は保存状態、すなわちスタンプ台を閉じた非使用時においてインキパッド同士が接するような折りたたみ式のスタンプ台である。
非使用時、すなわち保存状態において上側になっている面をA面、下側になっている面をB面とした。
比較例
図2に示したような一般的なスタンプ台のようにABS樹脂で作成した蓋を有する外装材に実施例で用いたインキ組成物を8g充填したインキパッドを収納し、スタンプ台を作成した。該スタンプ台は密閉構造のものとしなかった。
上記の実施例、比較例により得られたスタンプ台について、50℃乾燥機中に2日間放置し、放置後のインキの減量と印影について評価を行った。
・インキ減量
実施例・・・21.1%
比較例・・・21.5%
・印影
実施例・・・A面B面とも初期と変化なかった。
比較例・・・薄くなってしまった。
上記のように、実施例と比較例は、それぞれインキの減量は同等であるが、実施例のものは上記構造により表布面からのインキ溶媒の蒸発が抑制されているので、表布面が常にインキで満たされており、印影が初期状態と変わらない良好な物を得ることができた。
本発明は、各種スタンプ台および朱肉台などとして利用可能である。
本発明で得られるスタンプ台の一例を表した斜視図並びに断面図 従来のスタンプ台の一例を表した斜視図並びに断面図
符号の説明
1・・・外装材(11、12)
2・・・スタンプパッド
21・・・インキ含浸体
22・・・表布
3・・・蝶板
4・・・蓋体

Claims (2)

  1. 少なくとも1つの蝶板により直接または間接的に連結された2枚の外装材と、少なくともその一つの外装材に収納されたインキ含浸体とその上に位置する表布とを備え、保存状態において、表布面がインキを含む構造体により覆われていることを特徴とするスタンプ台。
  2. インキを含む構造体が、インキ含浸体とその上に位置する表布とを備えるスタンプパットである、請求項1に記載のスタンプ台。
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