JP2009153482A - Cyp2c9遺伝子上の1塩基多型を検出する方法およびプライマーセット - Google Patents
Cyp2c9遺伝子上の1塩基多型を検出する方法およびプライマーセット Download PDFInfo
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Abstract
【課題】CYP2C9遺伝子上の第1075番目の1塩基多型を検出するための方法およびプライマーセットの提供。
【解決手段】CYP2C9遺伝子上の第1075番目の1塩基多型を識別するとともに、CYP2C9遺伝子とそのファミリー遺伝子を識別するプライマーセット。該プライマーセットを用いたCYP2C9遺伝子上の第1075番目の一塩基多型を検出する方法。該プライマーセットを含むCYP2C9遺伝子の一塩基多型検出用キット。
【選択図】なし
【解決手段】CYP2C9遺伝子上の第1075番目の1塩基多型を識別するとともに、CYP2C9遺伝子とそのファミリー遺伝子を識別するプライマーセット。該プライマーセットを用いたCYP2C9遺伝子上の第1075番目の一塩基多型を検出する方法。該プライマーセットを含むCYP2C9遺伝子の一塩基多型検出用キット。
【選択図】なし
Description
本発明は、CYP2C9遺伝子上の1塩基多型を検出する方法およびプライマーセットに関する。
遺伝情報を担っているDNA配列は、個体毎に多くの部位が異なっていることが知られている。同じ生物種のDNA配列のうちの、異なる遺伝子・DNA配列のことを遺伝子多型という。このような遺伝子多型として、1塩基の置換によって生じる1塩基多型、2〜数塩基からなる配列の繰り返し回数の違いであるマイクロサテライト、1から数十塩基が欠失や挿入されたものなどが知られている。
遺伝子多型の中でも特に1塩基多型は、原因遺伝子のわかっている遺伝病について将来的な危険率を診断するための有用なツールとなる。また、薬剤応答性、および副作用の有無について非常に有用な情報を提供することもできる。このような1塩基多型を有する遺伝子として、多くの薬剤代謝に関与する酵素チトクロームP450(CYP)のファミリーおよび抗結核薬イソニアジドの代謝に関与するN−acetyltransferase 2(NAT−2)、並びに経口抗凝固剤ワーファリンの効果の強さに大きく影響するCYP2C9遺伝子およびVKORC1遺伝子などが挙げられる。従って、1塩基多型の検出をより正確に行うことが求められている。
また、いくつかの遺伝子には相互に類似する塩基配列からなる遺伝子群が存在するものがある。CYP2C9遺伝子はこのような遺伝子群の一つであり、CYP2C19遺伝子、CYP2C8遺伝子およびCYP2C18遺伝子と類似する塩基配列を持っている。これらの遺伝子はファミリー遺伝子と呼ばれている。
1塩基多型の検出方法として、核酸の等温増幅法であるSMAPTM法(非特許文献1、特許文献1)を利用する方法がある。SMAPTM法では、プライマーセットに含まれるプライマーの少なくとも一つが、1塩基多型部位を認識するように設計されたプライマーセットを用いる。
SMAPTM法では、次のようにして、1塩基多型を検出する。検体となる核酸試料中にプライマーの標的核酸配列が含まれている場合には、核酸増幅反応においてプライマーが当該標的核酸配列にアニーリングするため増幅産物が得られる。逆に検体となる核酸試料中にプライマーの標的核酸配列とは異なる配列が含まれている場合には、核酸増幅反応においてプライマーが当該標的核酸配列にアニーリングしにくくなるため増幅産物が得られないか、あるいはその増幅速度が著しく低下する。このようにして生じる核酸増幅速度の差によって1塩基多型を検出することができる。
Nature Methods (2007), Vol.4, No.3, p.257-262
特許第3942627号公報
しかし、前記のCYP2C9遺伝子のように、ファミリー遺伝子を持つ遺伝子配列中の1塩基多型を検出するためには、ファミリー遺伝子の識別も同時に行う必要がある。そのため、上記SMAPTM法を利用した1塩基多型検出方法に用いられるプライマーのように、1塩基多型だけを認識するように設計されたプライマーを用いると、多型の種類にかかわらずファミリー遺伝子からの誤増幅が起こり、1塩基多型の検出ができないという問題点がある。そのため、従来のプライマーおよび方法ではファミリー遺伝子を持つCYP2C9遺伝子配列中の1塩基多型を検出することは困難である。
本発明の目的は、CYP2C9遺伝子上の第1075番目の1塩基多型を検出するための方法およびプライマーセットを提供することである。
上記課題を解決するため、CYP2C9遺伝子上の第1075番目の1塩基多型を識別するとともに、CYP2C9遺伝子とそのファミリー遺伝子とを識別するプライマーセットを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下よりなる。
1.以下の工程(1)〜(3)を含むCYP2C9遺伝子上の第1075番目の一塩基多型を検出する方法。
(1)以下の(a)〜(c)のオリゴヌクレオチドを含み、該遺伝子上の第1075番目〜第1120番目の塩基配列を含む領域を等温下で増幅しうる、CYP2C9遺伝子上の第1075番目の一塩基多型を検出するプライマーセットを用意する工程
(a)配列表の配列番号1に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド
(b)配列表の配列番号2に示される塩基配列のうち連続する少なくとも15塩基を含み、かつCYP2C9遺伝子上の第1120番目、第1121番目、第1125番目、第1137番目の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド
(c)配列表の配列番号3に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド
(2)前記プライマーセットによる核酸増幅反応を等温下で行う工程
(3)前記核酸増幅反応で得られた核酸増幅産物を検出する工程
2.鎖置換能を有するポリメラーゼを使用する、前項1に記載の方法。
3.融解温度調整剤の存在下で核酸増幅反応を行う、前項1または2に記載の方法。
4.酵素安定化剤の存在下で核酸増幅反応を行う、前項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
5.前記一塩基多型がCYP2C9遺伝子上の第1075番目の塩基アデニン(A)がシトシン(C)に変異しているものである前項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
6.前記(a)または(c)のオリゴヌクレオチドがCYP2C9遺伝子の第1075番目の塩基配列を含む、前項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
7.前記(a)および(b)の少なくとも一方のオリゴヌクレオチドが、CYP2C9遺伝子とCYP2C9のファミリー遺伝子とを識別する塩基配列を含む、前項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
8.前記ファミリー遺伝子は、CYP2C19遺伝子、CYP2C8遺伝子およびCYP2C18遺伝子のいずれか1つである前項7に記載の方法。
9.さらに以下の工程(4)を含むことを特徴とする前項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
(4)工程(3)で検出した核酸増幅産物の量から核酸増幅反応速度を検出する工程
10.さらに以下の工程(5)を含むことを特徴とする前項9に記載の方法。
(5)CYP2C9遺伝子の第1075番目において、前記(a)または(c)のオリゴヌクレオチドに含まれる塩基配列と、鋳型の塩基配列とが相補的である場合と相補的でない場合とに生じる核酸増幅反応の速度差により、CYP2C9遺伝子上の第1075番目の一塩基多型を検出する工程
11.さらに以下の工程(6)〜(8)を含むことを特徴とする前項10に記載の方法。
(6)CYP2C9遺伝子の第1075番目において、前記(a)または(c)のオリゴヌクレオチドに含まれる塩基配列と鋳型の塩基配列とが相補的である場合の核酸増幅反応速度を基準速度とし、工程(4)で検出した核酸増幅反応速度と基準速度とを比較する工程
(7)工程(4)で検出した核酸増幅反応速度が基準速度以下となる場合、CYP2C9遺伝子の第1075番目において、前記(a)または(c)のオリゴヌクレオチドに含まれる塩基配列と鋳型の塩基配列とは相補的でないと判定する工程
(8)工程(4)で検出した核酸増幅反応速度が基準速度以下とならない場合、CYP2C9遺伝子の第1075番目において、前記(a)または(c)のオリゴヌクレオチドに含まれる塩基配列と鋳型の塩基配列とは相補的であると判定する工程
12.以下の(a)〜(c)のオリゴヌクレオチドを含み、該遺伝子上の第1075番目〜第1120番目の塩基配列を含む領域を等温下で増幅しうる、CYP2C9遺伝子上の第1075番目の一塩基多型を検出するプライマーセット。
(a)配列表の配列番号1に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド
(b)配列表の配列番号2に示される塩基配列のうち連続する少なくとも15塩基を含み、かつCYP2C9遺伝子上の第1120番目、1121番目、1125番目、1137番目の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド
(c)配列表の配列番号3に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド
13.前記一塩基多型がCYP2C9遺伝子上の第1075番目の塩基アデニン(A)がシトシン(C)に変異しているものである前項12に記載のプライマーセット。
14.前記(a)または(c)のオリゴヌクレオチドがCYP2C9遺伝子の第1075番目の塩基配列を含む、前項12または13に記載のプライマーセット。
15.前記(a)および(b)の少なくとも一方のオリゴヌクレオチドが、CYP2C9遺伝子とCYP2C9のファミリー遺伝子とを識別する塩基配列を含む、前項14に記載のプライマーセット。
16.前記ファミリー遺伝子は、CYP2C19遺伝子、CYP2C8遺伝子およびCYP2C18遺伝子のいずれか1つである前項15に記載のプライマーセット。
17.前項12〜16のいずれか1項に記載のプライマーセットを含むCYP2C9遺伝子の一塩基多型検出用キット。
1.以下の工程(1)〜(3)を含むCYP2C9遺伝子上の第1075番目の一塩基多型を検出する方法。
(1)以下の(a)〜(c)のオリゴヌクレオチドを含み、該遺伝子上の第1075番目〜第1120番目の塩基配列を含む領域を等温下で増幅しうる、CYP2C9遺伝子上の第1075番目の一塩基多型を検出するプライマーセットを用意する工程
(a)配列表の配列番号1に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド
(b)配列表の配列番号2に示される塩基配列のうち連続する少なくとも15塩基を含み、かつCYP2C9遺伝子上の第1120番目、第1121番目、第1125番目、第1137番目の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド
(c)配列表の配列番号3に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド
(2)前記プライマーセットによる核酸増幅反応を等温下で行う工程
(3)前記核酸増幅反応で得られた核酸増幅産物を検出する工程
2.鎖置換能を有するポリメラーゼを使用する、前項1に記載の方法。
3.融解温度調整剤の存在下で核酸増幅反応を行う、前項1または2に記載の方法。
4.酵素安定化剤の存在下で核酸増幅反応を行う、前項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
5.前記一塩基多型がCYP2C9遺伝子上の第1075番目の塩基アデニン(A)がシトシン(C)に変異しているものである前項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
6.前記(a)または(c)のオリゴヌクレオチドがCYP2C9遺伝子の第1075番目の塩基配列を含む、前項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
7.前記(a)および(b)の少なくとも一方のオリゴヌクレオチドが、CYP2C9遺伝子とCYP2C9のファミリー遺伝子とを識別する塩基配列を含む、前項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
8.前記ファミリー遺伝子は、CYP2C19遺伝子、CYP2C8遺伝子およびCYP2C18遺伝子のいずれか1つである前項7に記載の方法。
9.さらに以下の工程(4)を含むことを特徴とする前項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
(4)工程(3)で検出した核酸増幅産物の量から核酸増幅反応速度を検出する工程
10.さらに以下の工程(5)を含むことを特徴とする前項9に記載の方法。
(5)CYP2C9遺伝子の第1075番目において、前記(a)または(c)のオリゴヌクレオチドに含まれる塩基配列と、鋳型の塩基配列とが相補的である場合と相補的でない場合とに生じる核酸増幅反応の速度差により、CYP2C9遺伝子上の第1075番目の一塩基多型を検出する工程
11.さらに以下の工程(6)〜(8)を含むことを特徴とする前項10に記載の方法。
(6)CYP2C9遺伝子の第1075番目において、前記(a)または(c)のオリゴヌクレオチドに含まれる塩基配列と鋳型の塩基配列とが相補的である場合の核酸増幅反応速度を基準速度とし、工程(4)で検出した核酸増幅反応速度と基準速度とを比較する工程
(7)工程(4)で検出した核酸増幅反応速度が基準速度以下となる場合、CYP2C9遺伝子の第1075番目において、前記(a)または(c)のオリゴヌクレオチドに含まれる塩基配列と鋳型の塩基配列とは相補的でないと判定する工程
(8)工程(4)で検出した核酸増幅反応速度が基準速度以下とならない場合、CYP2C9遺伝子の第1075番目において、前記(a)または(c)のオリゴヌクレオチドに含まれる塩基配列と鋳型の塩基配列とは相補的であると判定する工程
12.以下の(a)〜(c)のオリゴヌクレオチドを含み、該遺伝子上の第1075番目〜第1120番目の塩基配列を含む領域を等温下で増幅しうる、CYP2C9遺伝子上の第1075番目の一塩基多型を検出するプライマーセット。
(a)配列表の配列番号1に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド
(b)配列表の配列番号2に示される塩基配列のうち連続する少なくとも15塩基を含み、かつCYP2C9遺伝子上の第1120番目、1121番目、1125番目、1137番目の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド
(c)配列表の配列番号3に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド
13.前記一塩基多型がCYP2C9遺伝子上の第1075番目の塩基アデニン(A)がシトシン(C)に変異しているものである前項12に記載のプライマーセット。
14.前記(a)または(c)のオリゴヌクレオチドがCYP2C9遺伝子の第1075番目の塩基配列を含む、前項12または13に記載のプライマーセット。
15.前記(a)および(b)の少なくとも一方のオリゴヌクレオチドが、CYP2C9遺伝子とCYP2C9のファミリー遺伝子とを識別する塩基配列を含む、前項14に記載のプライマーセット。
16.前記ファミリー遺伝子は、CYP2C19遺伝子、CYP2C8遺伝子およびCYP2C18遺伝子のいずれか1つである前項15に記載のプライマーセット。
17.前項12〜16のいずれか1項に記載のプライマーセットを含むCYP2C9遺伝子の一塩基多型検出用キット。
本発明の方法により、CYP2C9遺伝子上の第1075番目の1塩基多型を識別するとともに、CYP2C9遺伝子とそのファミリー遺伝子を識別することができる。更に本発明の方法により、従来不十分であったCYP2C9遺伝子上の第1075番目の1塩基多型の同定を速やかに行うことができ、CYP2C9遺伝子の関与する薬剤応答性をより迅速に解析することができる。このことにより、個体差の著しい薬剤応答性を簡易かつ迅速に解析し、適切な治療方法を提供することができる。
本発明において、CYP2C9遺伝子は、GenBank Accession No.NM_000771に示す塩基配列に表される。また、CYP2C9遺伝子上の第1075番目の一塩基多型は、CYP2C9遺伝子上の第1075番目の塩基アデニン(A)がシトシン(C)に変異しているものである。
本発明の方法は、以下の工程(1)〜(3)を含むCYP2C9遺伝子上の第1075番目の一塩基多型を検出する方法である。本発明の方法には、SMAPTM法(Nature Methods (2007), Vol.4, No.3, p.257-262および特公3942627号公報参照)を用いることが好ましい。
(1)以下の(a)〜(c)のオリゴヌクレオチドを含み、該遺伝子上の第1075番目〜第1120番目の塩基配列を含む領域を等温下で増幅しうる、CYP2C9遺伝子上の第1075番目の一塩基多型を検出するプライマーセットを用意する工程
(a)配列表の配列番号1に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド
(b)配列表の配列番号2に示される塩基配列のうち連続する少なくとも15塩基を含み、かつCYP2C9遺伝子上の第1120番目、第1121番目、第1125番目、第1137番目の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド
(c)配列表の配列番号3に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド
(2)前記プライマーセットによる核酸増幅反応を等温下で行う工程
(3)前記核酸増幅反応で得られた核酸増幅産物を検出する工程
(1)以下の(a)〜(c)のオリゴヌクレオチドを含み、該遺伝子上の第1075番目〜第1120番目の塩基配列を含む領域を等温下で増幅しうる、CYP2C9遺伝子上の第1075番目の一塩基多型を検出するプライマーセットを用意する工程
(a)配列表の配列番号1に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド
(b)配列表の配列番号2に示される塩基配列のうち連続する少なくとも15塩基を含み、かつCYP2C9遺伝子上の第1120番目、第1121番目、第1125番目、第1137番目の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド
(c)配列表の配列番号3に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド
(2)前記プライマーセットによる核酸増幅反応を等温下で行う工程
(3)前記核酸増幅反応で得られた核酸増幅産物を検出する工程
以下、各工程について説明する。
工程(1):以下の(a)〜(c)のオリゴヌクレオチドを含み、該遺伝子上の第1075番目〜第1120番目の塩基配列を含む領域を等温下で増幅しうる、CYP2C9遺伝子上の第1075番目の一塩基多型を検出するプライマーセットを用意する工程
以下、(a)〜(c)のオリゴヌクレオチドについて説明する。
以下、(a)〜(c)のオリゴヌクレオチドについて説明する。
(a)配列表の配列番号1に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド
(a)のオリゴヌクレオチドは、SMAPTM法において増幅用プライマーとして用いるプライマーである。(a)のオリゴヌクレオチドは、配列(Xc')を含んでなり、さらにその5’側に配列(Y')を含んでなる。配列(Xc')は、配列(X)にハイブリダイズするものであり、配列(Y')は、配列(Y)の相補配列(Yc)にハイブリダイズするものである。
(a)のオリゴヌクレオチドは、SMAPTM法において増幅用プライマーとして用いるプライマーである。(a)のオリゴヌクレオチドは、配列(Xc')を含んでなり、さらにその5’側に配列(Y')を含んでなる。配列(Xc')は、配列(X)にハイブリダイズするものであり、配列(Y')は、配列(Y)の相補配列(Yc)にハイブリダイズするものである。
ここで、(a)のオリゴヌクレオチドは、前記配列(Xc')と前記配列(Y')の間に、反応に影響を与えない介在配列を含んでいてもよい。このようなプライマーを鋳型核酸にアニーリングさせると、プライマー中の配列(Xc')が標的核酸配列の配列(X)にハイブリダイズした状態となる。この状態でプライマー伸長反応が起こると、標的核酸配列の相補配列を含む核酸が合成される。そして、合成された核酸の5’末端側に存在する配列(Y')が、同核酸中に存在する配列(Yc)にハイブリダイズし、これにより、合成された核酸の5’末端部分においてステム−ループ構造が形成される。
その結果、鋳型核酸上の配列(X)が一本鎖となり、この部分に先の(a)のオリゴヌクレオチドと同一の配列を有する他のプライマーがハイブリダイズする。その後、鎖置換反応により、新たにハイブリダイズした(a)のオリゴヌクレオチドからの伸長反応が起こると同時に、先に合成された核酸が鋳型核酸から分離される。
(a)のオリゴヌクレオチドの鎖長は、与えられた条件下で必要な特異性を維持しながら標的核酸との塩基対結合を行うことができる程度の鎖長とする。当該鎖長は、好ましくは15〜100ヌクレオチド、より好ましくは20〜60ヌクレオチドとする。また、(a)のオリゴヌクレオチドを構成する配列(Xc')と配列(Y')の長さは、それぞれ、好ましくは5〜50ヌクレオチド、より好ましくは7〜30ヌクレオチドとする。また、必要に応じて、配列(Xc')と配列(Y')の間に、反応に影響を与えない介在配列を挿入してもよい。
配列番号1:5’-GTCCAGAGAT-3’
配列番号1:5’-GTCCAGAGAT-3’
(b)配列表の配列番号2に示される塩基配列のうち連続する少なくとも15塩基を含み、かつCYP2C9遺伝子上の第1120番目、第1121番目、第1125番目、第1137番目の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド
(b)のオリゴヌクレオチドは、SMAPTM法において増幅用プライマーとして用いるプライマーである。(b)のオリゴヌクレオチドは、前記標的核酸配列の相補配列[(a)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする鎖に対して反対側の鎖]の3’末端部分の配列(Z)にハイブリダイズする配列(Zc')を3’末端部分に含んでなり、かつ相互にハイブリダイズする2つの核酸配列を同一鎖上に含む折返し配列(W-Wc')を前記配列(Zc')の5’側に含んでなるものである。
(b)のオリゴヌクレオチドは、SMAPTM法において増幅用プライマーとして用いるプライマーである。(b)のオリゴヌクレオチドは、前記標的核酸配列の相補配列[(a)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする鎖に対して反対側の鎖]の3’末端部分の配列(Z)にハイブリダイズする配列(Zc')を3’末端部分に含んでなり、かつ相互にハイブリダイズする2つの核酸配列を同一鎖上に含む折返し配列(W-Wc')を前記配列(Zc')の5’側に含んでなるものである。
(b)のオリゴヌクレオチドを構成する配列(Zc')の長さは、好ましくは5〜50ヌクレオチド、より好ましくは10〜30ヌクレオチドとする。また、前記折返し配列(W-Wc')の長さは、好ましくは2〜1000ヌクレオチド、より好ましくは2〜100ヌクレオチド、さらに好ましくは4〜60ヌクレオチド、さらに好ましくは6〜40ヌクレオチドとする。
前記折返し配列(W-Wc')の内部におけるハイブリダイゼーションによって形成される塩基対のヌクレオチド数は、好ましくは2〜500bp、より好ましくは2〜50bp、さらに好ましくは2〜30bp、さらに好ましくは3〜20bpとする。折返し配列(W-Wc')のヌクレオチド配列はいかなる配列であってもよく、特に限定されるものではないが、好ましくは標的核酸配列にハイブリダイズしない配列とされる。また、必要に応じて、配列(Zc')と折返し配列(W-Wc')の間に、反応に影響を与えない介在配列を挿入してもよい。
配列番号2:5’-AACTTACCTTGGGAATGAGATAGTTTCTGAATTTAAT-3’
配列番号2:5’-AACTTACCTTGGGAATGAGATAGTTTCTGAATTTAAT-3’
(c)配列表の配列番号3に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド
(c)のオリゴヌクレオチドは、SMAPTM法において増幅促進用プライマーとして用いるプライマーである。(c)のオリゴヌクレオチドは、前記標的核酸配列またはその相補配列にハイブリダイズするものであって、標的核酸配列またはその相補配列へのハイブリダイゼーションについて他のプライマーと競合しないものとされる。ここで、「競合しない」とは、そのプライマーが標的核酸にハイブリダイズすることによって他のプライマーによる相補鎖合成起点の付与が妨げられないことを意味する。
(c)のオリゴヌクレオチドは、SMAPTM法において増幅促進用プライマーとして用いるプライマーである。(c)のオリゴヌクレオチドは、前記標的核酸配列またはその相補配列にハイブリダイズするものであって、標的核酸配列またはその相補配列へのハイブリダイゼーションについて他のプライマーと競合しないものとされる。ここで、「競合しない」とは、そのプライマーが標的核酸にハイブリダイズすることによって他のプライマーによる相補鎖合成起点の付与が妨げられないことを意味する。
(a)および(b)のオリゴヌクレオチドにより標的核酸が増幅された場合には、上述のように、増幅産物は標的核酸配列とその相補配列とを交互に有するものとなる。その増幅産物の3’末端には折返し配列またはループ構造が存在し、これにより提供される相補鎖合成起点から次々に伸長反応が起こっている。(c)のオリゴヌクレオチドは、このような増幅産物が部分的に一本鎖の状態になった時に、その一本鎖部分に存在する標的配列にアニ−リングすることができる。これにより、増幅産物中の標的核酸配列内に新たな相補鎖合成起点が提供され、そこからの伸長反応が起こるため、核酸増幅反応がより迅速に行われるようになる。
ここで、本発明の方法において、増幅促進用プライマーは必ずしも1種類に限定されるわけではなく、核酸増幅反応の迅速性および特異性を向上させるためには2種類以上のプライマーを同時に用いてもよい。これら増幅促進用プライマーは、典型的には(a)および(b)のオリゴヌクレオチドとは異なる配列からなるが、これらのプライマーと競合しない限りにおいて、部分的に重なる領域にハイブリダイズするものとしてもよい。(c)のオリゴヌクレオチドを含む増幅促進用プライマーの鎖長は、好ましくは2〜100ヌクレオチド、より好ましくは5〜50ヌクレオチド、さらに好ましくは7〜30ヌクレオチドとする。
配列番号3:5’-TGGGGAGAA-3’
配列番号3:5’-TGGGGAGAA-3’
本発明のプライマーセットに含まれるオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの合成に用いることのできる自体公知の方法、例えば、リン酸トリエステル法、H−ホスホネート法およびチオホスホネート法等により合成できる。前記プライマーは、例えば、ABI社(Applied Biosystem Inc.)のDNAシンセサイザー394型を用いてホスホアミダイト法により合成すれば、容易に取得することができる。
前記(a)または(c)のオリゴヌクレオチドは、CYP2C9遺伝子の第1075番目の塩基配列を含むことが好ましい。(a)のオリゴヌクレオチドにCYP2C9遺伝子の第1075番目の塩基配列を含を含む場合、当該塩基配列は(a)のオリゴヌクレオチドの3´末端から少なくとも3塩基以内に含まれることが好ましい。また、(c)のオリゴヌクレオチドにCYP2C9遺伝子の第1075番目の塩基配列を含を含む場合、当該塩基配列は(c)のオリゴヌクレオチドの3’末端から少なくとも3塩基以内に含まれることが好ましい。
また、前記(a)および(b)の少なくとも一方のオリゴヌクレオチドは、CYP2C9遺伝子とCYP2C9のファミリー遺伝子とを識別する塩基配列を含むことが好ましい。ここで、CYP2C9のファミリー遺伝子は、CYP2C19、CYP2C8およびCYP2C18のいずれか1つであることが好ましい。
工程(2):前記プライマーセットによる核酸増幅反応を等温下で行う工程
工程(2)は工程(1)で調製したプライマーセットを用いて等温下で核酸増幅反応を行う工程である。工程(2)の核酸増幅反応はSMAPTM法により行うことが好ましい。
工程(2)は工程(1)で調製したプライマーセットを用いて等温下で核酸増幅反応を行う工程である。工程(2)の核酸増幅反応はSMAPTM法により行うことが好ましい。
以下のア)〜オ)に、これら(a)および(b)のオリゴヌクレオチドによる核酸増幅反応について考えられる作用機序を説明する(図1aおよびb)。
ア)まず、(a)のオリゴヌクレオチドが標的核酸のセンス鎖にハイブリダイズし、該プライマーの伸長反応が起きる[図1(a)]。次いで、伸長鎖(−)上においてステム−ループ構造が形成され、これにより一本鎖となった標的核酸センス鎖上の配列(X)に新たな(a)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズし[図1(b)]、該プライマーの伸長反応が起きて、先に合成された伸長鎖(−)が脱離する。
イ)次に、脱離した伸長鎖(−)上の配列(Z)に(b)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズし[図1(c)]、該プライマーの伸長反応が起き、伸長鎖(+)が合成される[図1(d)]。生成した伸長鎖(+)の3’末端と伸長鎖(−)の5’末端ではステム−ループ構造が形成され[図1(e)]、遊離型の3’末端である伸長鎖(+)のループ先端から伸長反応が起こると同時に、前記伸長鎖(−)が脱離する[図1(f)]。
ウ)ループ先端からの前記伸長反応により、伸長鎖(+)の3’側に配列(X)および配列(Yc)を介して伸長鎖(−)が結合したヘアピン型の二本鎖核酸が生成し、その配列(X)および配列(Yc)に(a)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズし[図1(g)]、その伸長反応により伸長鎖(−)が生成する[図1(h)および(i)]。
エ)また、前記ヘアピン型二本鎖核酸の3’末端に存在する折返し配列によって遊離型の3’末端が提供され[図1(h)]、そこからの伸長反応により[図1(i)]、両端に折返し配列を有し、(a)および(b)のオリゴヌクレオチドに由来する配列を介して伸長鎖(+)と伸長鎖(−)とを交互に含む一本鎖核酸が生成する[図1(j)]。この一本鎖核酸では、その3’末端に存在する折返し配列により遊離型の3’末端(相補鎖合成起点)が提供されるため[図1(k)]、同様の伸長反応が繰り返され、1回の伸長反応あたり2倍の鎖長となる[図1(l)および(m)]。
オ)また、イ)[図1(i)]において脱離した(a)のオリゴヌクレオチドからの伸長鎖(−)では、その3’末端に存在する折返し配列により遊離型の3’末端(相補鎖合成起点)が提供されるため[図1(n)]、そこからの伸長反応により、両端にステム−ループ構造が形成され、プライマーに由来する配列を介して伸長鎖(+)と伸長鎖(−)とを交互に含む一本鎖核酸が生成する[図1(o)]。この一本鎖核酸においても、3’末端におけるループ形成によって相補鎖合成起点が順次提供されるため、そこからの伸長反応が次々に起こる。
ア)まず、(a)のオリゴヌクレオチドが標的核酸のセンス鎖にハイブリダイズし、該プライマーの伸長反応が起きる[図1(a)]。次いで、伸長鎖(−)上においてステム−ループ構造が形成され、これにより一本鎖となった標的核酸センス鎖上の配列(X)に新たな(a)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズし[図1(b)]、該プライマーの伸長反応が起きて、先に合成された伸長鎖(−)が脱離する。
イ)次に、脱離した伸長鎖(−)上の配列(Z)に(b)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズし[図1(c)]、該プライマーの伸長反応が起き、伸長鎖(+)が合成される[図1(d)]。生成した伸長鎖(+)の3’末端と伸長鎖(−)の5’末端ではステム−ループ構造が形成され[図1(e)]、遊離型の3’末端である伸長鎖(+)のループ先端から伸長反応が起こると同時に、前記伸長鎖(−)が脱離する[図1(f)]。
ウ)ループ先端からの前記伸長反応により、伸長鎖(+)の3’側に配列(X)および配列(Yc)を介して伸長鎖(−)が結合したヘアピン型の二本鎖核酸が生成し、その配列(X)および配列(Yc)に(a)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズし[図1(g)]、その伸長反応により伸長鎖(−)が生成する[図1(h)および(i)]。
エ)また、前記ヘアピン型二本鎖核酸の3’末端に存在する折返し配列によって遊離型の3’末端が提供され[図1(h)]、そこからの伸長反応により[図1(i)]、両端に折返し配列を有し、(a)および(b)のオリゴヌクレオチドに由来する配列を介して伸長鎖(+)と伸長鎖(−)とを交互に含む一本鎖核酸が生成する[図1(j)]。この一本鎖核酸では、その3’末端に存在する折返し配列により遊離型の3’末端(相補鎖合成起点)が提供されるため[図1(k)]、同様の伸長反応が繰り返され、1回の伸長反応あたり2倍の鎖長となる[図1(l)および(m)]。
オ)また、イ)[図1(i)]において脱離した(a)のオリゴヌクレオチドからの伸長鎖(−)では、その3’末端に存在する折返し配列により遊離型の3’末端(相補鎖合成起点)が提供されるため[図1(n)]、そこからの伸長反応により、両端にステム−ループ構造が形成され、プライマーに由来する配列を介して伸長鎖(+)と伸長鎖(−)とを交互に含む一本鎖核酸が生成する[図1(o)]。この一本鎖核酸においても、3’末端におけるループ形成によって相補鎖合成起点が順次提供されるため、そこからの伸長反応が次々に起こる。
上記のようにして自動的に延長される一本鎖核酸には、(a)のオリゴヌクレオチドおよび(b)のオリゴヌクレオチドに由来する配列が伸長鎖(+)と伸長鎖(−)との間に含まれているため、各オリゴヌクレオチドがハイブリダイズして伸長反応を起こすことが可能であり、これにより標的核酸のセンス鎖およびアンチセンス鎖が顕著に増幅される。
核酸増幅反応に用いる核酸試料は、検体、例えばヒトから取得することができる。その場合には、該検体からの所望の組織、臓器および細胞などのサンプルから当技術分野において自体公知の方法により核酸を抽出することができ、必要に応じて、抽出の後に核酸断片の大きさおよび精製純度などの条件を適度な状態に調整することもできる。その後、さらに、一般的なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などによる増幅反応を行うことにより、核酸試料中の被検核酸を増幅してもよい。
標的核酸配列を含む核酸試料は、DNAまたはRNAのどちらでもよい。DNAには、cDNA、ゲノムDNAおよび合成DNAのいずれもが含まれる。RNAには、全RNA、mRNA、rRNA、siRNA、hnRNAおよび合成RNAのいずれもが含まれる。
核酸試料の単離は任意の方法で行うことができ、例えば、界面活性剤による溶解処理、音波処理、ガラスビーズを用いた振盪撹拌およびフレンチプレス等を用いる方法が挙げられる。また、内在性ヌクレアーゼが存在する場合には、単離された核酸を精製することが好ましい。核酸の精製は、例えば、フェノール抽出、クロマトグラフィー、イオン交換、ゲル電気泳動および密度に依存した遠心分離などにより実施することが可能である。
より具体的には、前記核酸試料としては、上記方法により単離したゲノムDNAやPCRフラグメントのような二本鎖核酸および全RNAまたはmRNAから逆転写反応で調製されたcDNAのような一本鎖核酸のいずれも使用可能である。上記二本鎖核酸の場合は、変性工程(denaturing)を行なって一本鎖とすることにより、より最適に利用することができる。
前記逆転写反応に用いられる酵素は、RNAを鋳型としたcDNA合成活性を有するものであれば特に限定されず、例えば、トリ骨髄芽球症ウイルス由来逆転写酵素(AMV RTase)、ラウス関連ウイルス2逆転写酵素(RAV−2 RTase)、モロニーネズミ白血病ウイルス由来逆転写酵素(MMLV RTase)等、種々の起源の逆転写酵素が挙げられる。このほか、逆転写活性を併せ持つDNAポリメラーゼを使用することも可能である。
標的核酸は、一本鎖であっても二本鎖であってもよい。二本鎖核酸は、そのまま核酸試料として用いてもよいし、ファージおよびプラスミドなどのベクターで増幅されたものを用いてもよい。
標的核酸が二本鎖核酸の場合でも、これをそのまま核酸増幅反応に用いることができるが、必要に応じてそれらを変性して一本鎖にすることにより、標的核酸へのプライマーのアニーリングを効率よく行なうこともできる。温度を約95℃に上昇させることは、好ましい核酸変性法である。他の方法として、pHを上昇させることにより変性させることも可能であるが、この場合には、プライマーを標的核酸にハイブリダイズさせるためにpHを低下させる必要がある。
本明細書において「標的核酸」または「標的核酸配列」とは、増幅しようとする核酸またはその配列そのものだけでなく、これに相補的な配列または該配列を有する核酸をも意味する。
また、本明細書において「二本鎖核酸」とは、二本鎖DNA、二本鎖RNA、およびDNA/RNAのいずれをも意味する。
核酸増幅反応に用いるポリメラーゼは、鎖置換(strand displacement)活性(鎖置換能)を有するものであればよく、常温性、中温性および耐熱性のいずれのものも好適に使用できる。また、このポリメラーゼは、天然体もしくは人工的に変異を加えた変異体のいずれであってもよい。このようなポリメラーゼとしては、DNAポリメラーゼが挙げられる。さらに、このDNAポリメラーゼは、実質的に5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有しないものであることが好ましい。
前記DNAポリメラーゼとしては、例えば、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus、以下「B.st」という)、バチルス・カルドテナックス(Bacillus caldotenax、以下「B.ca」という)等の好熱性バチルス属細菌由来DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠失した変異体および大腸菌(E.coli)由来DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメント等が挙げられる。
DNAポリメラーゼとしては、さらに、例えば、Vent DNAポリメラーゼ、Vent(Exo−)DNAポリメラーゼ、DeepVent DNAポリメラーゼ、DeepVent(Exo−)DNAポリメラーゼ、Φ29ファージDNAポリメラーゼ、MS−2ファージDNAポリメラーゼ、Z−Taq DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、Pfu turbo DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ、9°Nm DNAポリメラーゼおよびTherminater DNAポリメラーゼ等が挙げられる。
また、上記核酸増幅反応において、逆転写活性を併せ持つDNAポリメラーゼ、例えば、BcaBEST DNAポリメラーゼおよびBca(exo−)DNAポリメラーゼ等を使うことにより、全RNAまたはmRNAからの逆転写反応とcDNAを鋳型にしたDNAポリメラーゼ反応を1種類のポリメラーゼで行なうことが可能である。また、DNAポリメラーゼと、MMLV逆転写酵素などの上述の逆転写酵素とを組み合わせて用いてもよい。
核酸増幅反応において使用するその他の試薬としては、例えば、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム等の触媒、dNTPミックス等の基質、トリス塩酸バッファー、トライシンバッファー、リン酸ナトリウムバッファー、リン酸カリウムバッファー等の緩衝液を使用することができる。さらに、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)やベタイン(N,N,N−trimethylglycine)等の添加物、国際公開第99/54455号パンフレットに記載の酸性物質、陽イオン錯体等を使用してもよい。
核酸増幅反応において、核酸の増幅効率を高めるために、融解温度調整剤を反応溶液中に添加することができる。核酸の融解温度(Tm)は、一般的に、核酸中の二本鎖形成部分の具体的なヌクレオチド配列によって決定される。反応溶液中に融解温度調整剤を添加することにより、変化させることができる。したがって、一定の温度下では、核酸における二本鎖形成の強度を調整することが可能となる。融解温度調整剤は特に制限されるものではないが、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ベタイン、ホルムアミドもしくはグリセロールが挙げられる。融解温度調整剤は、一種を単独で用いてもよいし、複数種を組合わせて用いてもよい。
さらに、核酸増幅反応において、酵素安定化剤を反応溶液中に添加することもできる。これにより、反応液中の酵素が安定化されるため、核酸の増幅効率を高めることが可能となる。本発明において用いられる酵素安定化剤は、グリセロール、ウシ血清アルブミンおよび糖類などの、当該技術分野において知られているいかなるものであってもよく、特に制限されない。
さらに、核酸増幅反応において、DNAポリメラーゼおよび逆転写酵素などの酵素の耐熱性を増強するための試薬を、酵素安定化剤として反応溶液中に添加することもできる。これにより、反応液中の酵素が安定化されるため、核酸の合成効率および増幅効率を高めることが可能となる。このような試薬は当技術分野において知られているいかなるものであってもよく、特に制限されないが、好ましくは糖類、より好ましくは単糖またはオリゴ糖、さらに好ましくはトレハロース、ソルビトールもしくはマンニトール、またはこれらの複数種の混合物とする。
また、核酸増幅反応において、ミスマッチ結合タンパク質を反応溶液中に添加することにより、より正確に変異を検出することが可能となる。ミスマッチ結合タンパク質としては、MutS、MutH、MutL、HexA、MSH1〜6、Rep3、RNaseA、ウラシル−DNAグリコシダーゼ、T4エンドヌクレアーゼVIIおよびレゾルバーゼなどが挙げられる。
本発明の方法における核酸増幅反応は、等温で実施する。ここで、「等温」とは、酵素およびプライマーが実質的に機能しうるような、ほぼ一定の温度条件下に保つことをいう。また、「ほぼ一定の温度条件」とは、設定された温度を正確に保持することのみならず、酵素およびプライマーの実質的な機能を損なわない程度の温度変化であれば許容されることを意味する。
前記一定の温度条件下での核酸増幅反応は、使用する酵素の活性を維持できる温度に保つことにより実施することができる。また、当該核酸増幅反応において、プライマーが標的核酸にアニーリングするためには、例えば、反応温度を、そのプライマーの融解温度(Tm)付近の温度、もしくはそれ以下に設定することが好ましく、さらには、プライマーの融解温度(Tm)を考慮し、ストリンジェンシーのレベルを設定することが好ましい。従って、この温度は、好ましくは、約20℃〜約75℃であり、さらに好ましくは、約35℃〜約65℃とする。
上記の核酸増幅反応においては、酵素が失活するか、またはプライマーをはじめとする試薬のうちの一つが使い尽くされるかのいずれかまで増幅反応が繰り返される。
工程(3):核酸増幅反応で得られた核酸増幅産物を検出する工程
工程(3)は、工程(2)の核酸増幅反応で得られた核酸増幅産物を検出する工程である。当該核酸増幅産物の存在は、自体公知の核酸検出方法により検出が可能である。例えば、工程(2)において標識ヌクレオチドを使用することにより、増幅産物に標識ヌクレオチドを取り込ませて検出を容易にすることや該標識を利用した検出用シグナルの増強を行うことができ、さらに蛍光偏光法、蛍光エネルギー転移等を利用した検出を行うことも可能である。さらに、適切な検出系を構築することにより、標的核酸を自動的に検出することや、あるいは標的核酸の定量を行うことが可能である。
工程(3)は、工程(2)の核酸増幅反応で得られた核酸増幅産物を検出する工程である。当該核酸増幅産物の存在は、自体公知の核酸検出方法により検出が可能である。例えば、工程(2)において標識ヌクレオチドを使用することにより、増幅産物に標識ヌクレオチドを取り込ませて検出を容易にすることや該標識を利用した検出用シグナルの増強を行うことができ、さらに蛍光偏光法、蛍光エネルギー転移等を利用した検出を行うことも可能である。さらに、適切な検出系を構築することにより、標的核酸を自動的に検出することや、あるいは標的核酸の定量を行うことが可能である。
また、ハイブリッドクロマト法による肉眼検出法も好適に挙げられる。例えば、電気泳動により特定のサイズの反応産物を検出する方法や、プローブとのハイブリダイゼーションによる検出等が挙げられる。さらに、磁気ビーズ等を組み合わせた検出方法も好適に挙げられる。電気泳動による検出には、通常、エチジウムブロマイド等の蛍光物質が使用されるが、プローブとのハイブリダイゼーションを組み合わせてもよい。また、プローブは放射性同位元素による標識の他、ビオチンや蛍光物質のような非放射性の標識を施したものが使用できる。
本発明の方法は、さらに以下の工程(4)を含むことができる。
工程(4):工程(3)で検出した核酸増幅産物の量から核酸増幅反応速度を検出する工程
工程(4)は、工程(3)で検出した核酸増幅産物の量を定量し、核酸増幅反応速度を検出する工程である。核酸増幅反応速度は、例えば、リアルタイム蛍光検出装置(Mx3000p・Stratagene社製およびLightCycler・ロシュ社製)等により検出する。
工程(4):工程(3)で検出した核酸増幅産物の量から核酸増幅反応速度を検出する工程
工程(4)は、工程(3)で検出した核酸増幅産物の量を定量し、核酸増幅反応速度を検出する工程である。核酸増幅反応速度は、例えば、リアルタイム蛍光検出装置(Mx3000p・Stratagene社製およびLightCycler・ロシュ社製)等により検出する。
本発明の方法では、プライマーの配列と標的塩基配列中の対応する配列とが相補的である場合と、相補的でない場合との間に生じる核酸増幅反応の速度差により1塩基多型を検出することができる。例えば、目的とする変異(CYP2C9遺伝子上の第1075番目のアデニンがシトシンになっている変異)を有する核酸配列を標的核酸配列として設計したプライマーセットを用いた場合、当該変異が核酸試料中に存在しない場合(CYP2C9遺伝子上の第1075番目がアデニンである場合)は、当該変異が核酸試料中に存在する場合(CYP2C9遺伝子上の第1075番目がシトシンである場合)と比較して、核酸増幅反応速度が低下することとなる。
また、例えば、目的とする変異(CYP2C9遺伝子上の第1075番目のアデニンがシトシンになっている変異)を有しない核酸配列を標的核酸配列として設計したプライマーセットを用いた場合、当該変異が核酸試料中に存在する場合は(CYP2C9遺伝子上の第1075番目がシトシンである場合)、当該変異が核酸試料中に存在しない場合(CYP2C9遺伝子上の第1075番目がアデニンである場合)と比較して、核酸増幅反応速度が低下することとなる。
本発明の方法は、さらに以下の工程(5)を含むことができる。
工程(5):CYP2C9遺伝子の第1075番目において、プライマーセットに含まれる塩基配列と、鋳型の塩基配列とが相補的である場合と相補的でない場合とに生じる核酸増幅反応の速度差により、CYP2C9遺伝子の一塩基多型を検出する工程
工程(5):CYP2C9遺伝子の第1075番目において、プライマーセットに含まれる塩基配列と、鋳型の塩基配列とが相補的である場合と相補的でない場合とに生じる核酸増幅反応の速度差により、CYP2C9遺伝子の一塩基多型を検出する工程
ここで、核酸増幅反応速度の速度差は、例えば、核酸増幅産物が得られるまでの時間が、好ましくは30分以上、より好ましくは10分以上遅れる場合に、核酸増幅反応速度の速度差があり、核酸増幅反応速度が低下したとする。
具体的には、例えば、同一の検体からの核酸試料を鋳型とした場合に、目的とする変異(CYP2C9遺伝子上の第1075番目のアデニンがシトシンになっている変異)を有する核酸配列を標的核酸配列として設計したプライマーセットを用いた核酸増幅反応の速度と比較して、当該変異を有しない核酸配列を標的核酸配列として設計したプライマーセットを用いた核酸増幅反応の速度が低下している場合、検体からの核酸試料には当該変異が存在すると判定することができる。
また、例えば、同一の検体からの核酸試料を鋳型とした場合に、目的とする変異(例えば、CYP2C9遺伝子上の第1075番目のアデニンがシトシンになっている変異)を有しない核酸配列を標的核酸配列として設計したプライマーセットを用いた核酸増幅反応の速度と比較して、当該変異を有する核酸配列を標的核酸配列として設計したプライマーセットを用いた核酸増幅反応の速度が低下している場合、検体からの核酸試料には当該変異が存在しないと判定することができる。
本発明の方法はさらに以下の工程(6)〜(8)を含むことができる。
工程(6):CYP2C9遺伝子の第1075番目において、前記(a)または(c)のオリゴヌクレオチドに含まれる塩基配列と鋳型の塩基配列とが相補的である場合の核酸増幅反応速度を基準速度とし、工程(4)で検出した核酸増幅反応速度と基準速度とを比較する工程
工程(7):工程(4)で検出した核酸増幅反応速度が基準速度以下となる場合、CYP2C9遺伝子の第1075番目において、前記(a)または(c)のオリゴヌクレオチドに含まれる塩基配列と鋳型の塩基配列とは相補的でないと判定する工程
工程(8):工程(4)で検出した核酸増幅反応速度が基準速度以下とならない場合、CYP2C9遺伝子の第1075番目において、前記(a)または(c)のオリゴヌクレオチドに含まれる塩基配列と鋳型の塩基配列とは相補的であると判定する工程
工程(6):CYP2C9遺伝子の第1075番目において、前記(a)または(c)のオリゴヌクレオチドに含まれる塩基配列と鋳型の塩基配列とが相補的である場合の核酸増幅反応速度を基準速度とし、工程(4)で検出した核酸増幅反応速度と基準速度とを比較する工程
工程(7):工程(4)で検出した核酸増幅反応速度が基準速度以下となる場合、CYP2C9遺伝子の第1075番目において、前記(a)または(c)のオリゴヌクレオチドに含まれる塩基配列と鋳型の塩基配列とは相補的でないと判定する工程
工程(8):工程(4)で検出した核酸増幅反応速度が基準速度以下とならない場合、CYP2C9遺伝子の第1075番目において、前記(a)または(c)のオリゴヌクレオチドに含まれる塩基配列と鋳型の塩基配列とは相補的であると判定する工程
ここで、基準速度以下とは、例えば、CYP2C9遺伝子の第1075番目において、(a)または(c)のオリゴヌクレオチドに含まれる塩基配列と鋳型の塩基配列とが相補的である場合の核酸増幅反応速度と比較して、核酸増幅産物が得られるまでの時間が、好ましくは30分以上、より好ましくは10分以上遅れる場合に、基準速度以下とする。
具体的には、例えば、目的とする変異(例えば、CYP2C9遺伝子上の第1075番目のアデニンがシトシンになっている変異)を有しない核酸配列を標的核酸配列として設計したプライマーセットを用いた場合、あらかじめ塩基配列を同定した当該変異を有しない核酸試料を鋳型とした場合の核酸増幅反応速度を基準速度とする。そして、工程(4)で検出した検体からの核酸試料を鋳型とした場合の核酸増幅反応速度と基準速度を比較する[工程(6)]。
そして、工程(4)で検出した検体からの核酸試料を鋳型とした場合の核酸増幅反応速度と基準速度を比較した結果、当該核酸増幅反応速度が基準速度以下となる場合、検体からの核酸試料には当該変異が存在すると判定することができる[工程(7)]。
また、工程(4)で検出した検体からの核酸試料を鋳型とした場合の核酸増幅反応速度と基準速度を比較した結果、当該核酸増幅反応速度が基準速度以下とならず、同程度の反応速度である場合、検体からの核酸試料には当該変異が存在しないと判定することができる[工程(8)]。
本発明の方法を実施するために、必要な試薬をまとめてキットとすることができる。該キットは、本発明のプライマーセットを含む。また、該キットは、好ましくは少なくとも一種のデオキシヌクレオシド3リン酸、少なくとも一種の鎖置換型のDNAポリメラーゼを含む。さらに、該キットは、融解温度調整剤、上述の酵素安定化剤、緩衝液、ミスマッチ結合タンパク質などの試薬類、反応容器、説明書等を含んでいてもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。また、以下、実施例において、CYP2C9(1075A→C)とは、CYP2C9遺伝子上の1075番目のアデニンがシトシンに変化した1塩基多型を示す。CYP2C9(1075A)とは、1075番目の塩基配列がアデニンであることを示す。CYP2C9(1075C)とは、1075番目の塩基配列がシトシンであることを示す。
<実施例1>
CYP2C9(1075A→C)の1塩基多型の検出
(1)核酸試料液の調製
すでに遺伝子配列がCYP2C9(1075A)、またはCYP2C9(1075C)であると同定されているヒトの血液より抽出したゲノムDNA30ngを1μlの精製水に溶解し、98℃にて3分間加熱して1本鎖にした後、核酸試料液として用いた。
CYP2C9(1075A→C)の1塩基多型の検出
(1)核酸試料液の調製
すでに遺伝子配列がCYP2C9(1075A)、またはCYP2C9(1075C)であると同定されているヒトの血液より抽出したゲノムDNA30ngを1μlの精製水に溶解し、98℃にて3分間加熱して1本鎖にした後、核酸試料液として用いた。
(2)核酸増幅反応
上記(1)で調製した核酸試料液を用いて、以下の条件で核酸増幅反応を行った。
<プライマー>
プライマーは、CYP2C9遺伝子を標的に設計を行った。各プライマーの配列を以下に示す。
上記(1)で調製した核酸試料液を用いて、以下の条件で核酸増幅反応を行った。
<プライマー>
プライマーは、CYP2C9遺伝子を標的に設計を行った。各プライマーの配列を以下に示す。
(プライマーセット1)
〔P1〕
5’−TGGGGCAGGCCACGAGGTCCAGAGATAC−3’(配列番号4)
〔P2〕
5’−GGTATATATATATACCAACTTACCTTGGGAATGAGA−3’(配列番号5)
〔P3〕[検出用プライマー:CYP2C9(1075A)検出用]
5’−TGGGGAGAAGGTCAAT−3’(配列番号6)
〔P4〕[検出用プライマー:CYP2C9(1075C)検出用]
5’−TGGGGAGAAGGTCAAG−3’(配列番号7)
〔P1〕
5’−TGGGGCAGGCCACGAGGTCCAGAGATAC−3’(配列番号4)
〔P2〕
5’−GGTATATATATATACCAACTTACCTTGGGAATGAGA−3’(配列番号5)
〔P3〕[検出用プライマー:CYP2C9(1075A)検出用]
5’−TGGGGAGAAGGTCAAT−3’(配列番号6)
〔P4〕[検出用プライマー:CYP2C9(1075C)検出用]
5’−TGGGGAGAAGGTCAAG−3’(配列番号7)
(プライマーセット2)
〔P5〕[検出用プライマー:CYP2C9(1075A)検出用]
5’−TGGGGCAGGCACGAAGTCCAGAGATTCA−3’(配列番号8)
〔P6〕[検出用プライマー:CYP2C9(1075C)検出用]
5’−TGGGGCAGGCACGAAGTCCAGAGATTCC−3’(配列番号9)
〔P2〕
5’−GGTATATATATATACCAACTTACCTTGGGAATGAGA−3’(配列番号5)
〔P7〕
5’−CAGGCTGGTGGGGAGA−3’(配列番号10)
〔P8〕
5’−TGCCCTACACAGATGCTG−3’(配列番号11)
〔P9〕
5’−GGAGTTGCAGTGTAGGAG−3’(配列番号12)
〔P5〕[検出用プライマー:CYP2C9(1075A)検出用]
5’−TGGGGCAGGCACGAAGTCCAGAGATTCA−3’(配列番号8)
〔P6〕[検出用プライマー:CYP2C9(1075C)検出用]
5’−TGGGGCAGGCACGAAGTCCAGAGATTCC−3’(配列番号9)
〔P2〕
5’−GGTATATATATATACCAACTTACCTTGGGAATGAGA−3’(配列番号5)
〔P7〕
5’−CAGGCTGGTGGGGAGA−3’(配列番号10)
〔P8〕
5’−TGCCCTACACAGATGCTG−3’(配列番号11)
〔P9〕
5’−GGAGTTGCAGTGTAGGAG−3’(配列番号12)
表1に示す組み合わせの各プライマーと検体で核酸増幅反応を行った。
以下に示す反応液の組成で、60℃にて50分間反応させて増幅反応を実施した。核酸試料液として、CYP2C9(1075A)のゲノムDNAまたはCYP2C9(1075C)のゲノムDNAを用いた。また、酵素は、NEB社のBst.DNA polymeraseを使用した。
<反応液の組成>
(プライマーセット1)
10×Bst Buffer(DF) 2.5μL
100mM MgSO4 1.5μL
10%(v/v) Tween20 0.25μL
100% DMSO 1.25μL
25mM 各dNTP 1.4μL
SYBR GreenI(2000倍) 0.5μL
100μM〔P1〕 0.88μL
100μM〔P2〕 0.88μL
100μM〔P3〕または〔P4〕 0.44μL
Bst.Polymerase 1.0μL
1)で得た核酸試料液(30ng) 1.0μL
精製水 12.4μL
合計 25.0μL
(プライマーセット1)
10×Bst Buffer(DF) 2.5μL
100mM MgSO4 1.5μL
10%(v/v) Tween20 0.25μL
100% DMSO 1.25μL
25mM 各dNTP 1.4μL
SYBR GreenI(2000倍) 0.5μL
100μM〔P1〕 0.88μL
100μM〔P2〕 0.88μL
100μM〔P3〕または〔P4〕 0.44μL
Bst.Polymerase 1.0μL
1)で得た核酸試料液(30ng) 1.0μL
精製水 12.4μL
合計 25.0μL
(プライマーセット2)
10×Bst Buffer(DF) 2.5μL
100mM MgSO4 1.5μL
10%(v/v) Tween20 0.25μL
100% DMSO 1.25μL
25mM 各dNTP 1.4μL
SYBR GreenI(2000倍) 0.5μL
100μM〔P5〕または〔P6〕 0.8μL
100μM〔P2〕 0.8μL
100μM〔P7〕 0.4μL
100μM〔P8〕 0.1μL
100μM〔P9〕 0.1μL
Bst.Polymerase 1.0μL
1)で得た核酸試料液(30ng) 1.0μL
精製水 12.4μL
合計 25.0μL
10×Bst Buffer(DF) 2.5μL
100mM MgSO4 1.5μL
10%(v/v) Tween20 0.25μL
100% DMSO 1.25μL
25mM 各dNTP 1.4μL
SYBR GreenI(2000倍) 0.5μL
100μM〔P5〕または〔P6〕 0.8μL
100μM〔P2〕 0.8μL
100μM〔P7〕 0.4μL
100μM〔P8〕 0.1μL
100μM〔P9〕 0.1μL
Bst.Polymerase 1.0μL
1)で得た核酸試料液(30ng) 1.0μL
精製水 12.4μL
合計 25.0μL
(3)CYP2C9(1075A→C)の1塩基多型の検出
前記(2)における核酸増幅反応を、リアルタイム蛍光検出装置(Mx3000p、Stratagene社製)を用いて検出した。その結果を図2〜5に示す。
前記(2)における核酸増幅反応を、リアルタイム蛍光検出装置(Mx3000p、Stratagene社製)を用いて検出した。その結果を図2〜5に示す。
図1〜4から分かるように、蛍光値の増幅より核酸増幅反応が起きていることが分かった。また、核酸試料の配列と検出用プライマーの配列が相補的でない場合[増幅サンプル2)、3)、6)、7)]は相補的である場合[増幅サンプル1)、4)、5)、8)]と比較して核酸増幅反応速度が低下していることが分かった。すなわち、より核酸増幅反応速度が早い検出用プライマーの種類から、検体からの核酸試料におけるのCYP2C9遺伝子上の第1075番目の1塩基多型が判別できることが分かった。
<実施例2>
CYP2C9遺伝子およびCYP2C19遺伝子の識別
(1)核酸試料液の調製
CYP2C9(1075A)の1塩基多型近傍の配列をPCRにより増幅した増幅産物を導入したプラスミドDNA、CYP2C9(1075C)の1塩基多型近傍の配列をPCRにより増幅した増幅産物を導入したプラスミドDNA、または前記配列と類似する塩基配列からなるCYP2C19遺伝子をPCRにより増幅した増幅産物を導入したプラスミドDNA10000コピーを1μlの精製水に溶解し、98℃にて3分間加熱して1本鎖にした後、核酸試料液として用いた。
CYP2C9遺伝子およびCYP2C19遺伝子の識別
(1)核酸試料液の調製
CYP2C9(1075A)の1塩基多型近傍の配列をPCRにより増幅した増幅産物を導入したプラスミドDNA、CYP2C9(1075C)の1塩基多型近傍の配列をPCRにより増幅した増幅産物を導入したプラスミドDNA、または前記配列と類似する塩基配列からなるCYP2C19遺伝子をPCRにより増幅した増幅産物を導入したプラスミドDNA10000コピーを1μlの精製水に溶解し、98℃にて3分間加熱して1本鎖にした後、核酸試料液として用いた。
(2)核酸増幅反応
上記(1)で調製した核酸試料液を用いて、核酸増幅反応を行った。鋳型として上記プラスミドを用いた以外は、実施例1と同じ条件で、表2に示す組み合わせの各プライマーと検体を用いて核酸増幅反応を行った。
上記(1)で調製した核酸試料液を用いて、核酸増幅反応を行った。鋳型として上記プラスミドを用いた以外は、実施例1と同じ条件で、表2に示す組み合わせの各プライマーと検体を用いて核酸増幅反応を行った。
(3)CYP2C9遺伝子およびCYP2C19遺伝子の識別
前記(2)における核酸増幅反応を、リアルタイム蛍光検出装置(Mx3000p、Stratagene社製)を用いて検出した。その結果を図6〜図9に示す。
前記(2)における核酸増幅反応を、リアルタイム蛍光検出装置(Mx3000p、Stratagene社製)を用いて検出した。その結果を図6〜図9に示す。
図5から分かるように、CYP2C9(1075A)の1塩基多型検出用のプライマーセットである〔P1〕/〔P2〕/〔P3〕の組み合わせでは、CYP2C9(1075A)プラスミドを鋳型として用いた場合には、25分間以内に核酸増幅反応が観察されたのに対し、CYP2C19プラスミドを鋳型として用いた場合には反応時間が50分間経過しても核酸増幅反応は観察されなかった。
同様に、図6から分かるように、CYP2C9(1075C)の1塩基多型検出用のプライマーセットである〔P1〕/〔P2〕/〔P4〕の組み合わせでも、CYP2C9(1075C)プラスミドを鋳型として用いた場合には、25分間以内に核酸増幅反応が観察されたのに対し、CYP2C19プラスミドを鋳型として用いた場合には反応時間が50分間経過しても核酸増幅反応は観察されなかった。
これらのことから、本発明の方法によれば、相互に類似する塩基配列からなる遺伝子群であるファミリー遺伝子が存在するCYP2C9遺伝子であっても、目的とする1塩基多型を識別することができることが分かった。
Claims (17)
- 以下の工程(1)〜(3)を含むCYP2C9遺伝子上の第1075番目の一塩基多型を検出する方法。
(1)以下の(a)〜(c)のオリゴヌクレオチドを含み、該遺伝子上の第1075番目〜第1120番目の塩基配列を含む領域を等温下で増幅しうる、CYP2C9遺伝子上の第1075番目の一塩基多型を検出するプライマーセットを用意する工程
(a)配列表の配列番号1に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド
(b)配列表の配列番号2に示される塩基配列のうち連続する少なくとも15塩基を含み、かつCYP2C9遺伝子上の第1120番目、第1121番目、第1125番目、第1137番目の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド
(c)配列表の配列番号3に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド
(2)前記プライマーセットによる核酸増幅反応を等温下で行う工程
(3)前記核酸増幅反応で得られた核酸増幅産物を検出する工程 - 鎖置換能を有するポリメラーゼを使用する、請求項1に記載の方法。
- 融解温度調整剤の存在下で核酸増幅反応を行う、請求項1または2に記載の方法。
- 酵素安定化剤の存在下で核酸増幅反応を行う、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記一塩基多型がCYP2C9遺伝子上の第1075番目の塩基アデニン(A)がシトシン(C)に変異しているものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記(a)または(c)のオリゴヌクレオチドがCYP2C9遺伝子の第1075番目の塩基配列を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 前記(a)および(b)の少なくとも一方のオリゴヌクレオチドが、CYP2C9遺伝子とCYP2C9のファミリー遺伝子とを識別する塩基配列を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 前記ファミリー遺伝子は、CYP2C19遺伝子、CYP2C8遺伝子およびCYP2C18遺伝子のいずれか1つである請求項7に記載の方法。
- さらに以下の工程(4)を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
(4)工程(3)で検出した核酸増幅産物の量から核酸増幅反応速度を検出する工程 - さらに以下の工程(5)を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
(5)CYP2C9遺伝子の第1075番目において、前記(a)または(c)のオリゴヌクレオチドに含まれる塩基配列と、鋳型の塩基配列とが相補的である場合と相補的でない場合とに生じる核酸増幅反応の速度差により、CYP2C9遺伝子上の第1075番目の一塩基多型を検出する工程 - さらに以下の工程(6)〜(8)を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
(6)CYP2C9遺伝子の第1075番目において、前記(a)または(c)のオリゴヌクレオチドに含まれる塩基配列と鋳型の塩基配列とが相補的である場合の核酸増幅反応速度を基準速度とし、工程(4)で検出した核酸増幅反応速度と基準速度とを比較する工程
(7)工程(4)で検出した核酸増幅反応速度が基準速度以下となる場合、CYP2C9遺伝子の第1075番目において、前記(a)または(c)のオリゴヌクレオチドに含まれる塩基配列と鋳型の塩基配列とは相補的でないと判定する工程
(8)工程(4)で検出した核酸増幅反応速度が基準速度以下とならない場合、CYP2C9遺伝子の第1075番目において、前記(a)または(c)のオリゴヌクレオチドに含まれる塩基配列と鋳型の塩基配列とは相補的であると判定する工程 - 以下の(a)〜(c)のオリゴヌクレオチドを含み、該遺伝子上の第1075番目〜第1120番目の塩基配列を含む領域を等温下で増幅しうる、CYP2C9遺伝子上の第1075番目の一塩基多型を検出するプライマーセット。
(a)配列表の配列番号1に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド
(b)配列表の配列番号2に示される塩基配列のうち連続する少なくとも15塩基を含み、かつCYP2C9遺伝子上の第1120番目、1121番目、1125番目、1137番目の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド
(c)配列表の配列番号3に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド - 前記一塩基多型がCYP2C9遺伝子上の第1075番目の塩基アデニン(A)がシトシン(C)に変異しているものである請求項12に記載のプライマーセット。
- 前記(a)または(c)のオリゴヌクレオチドがCYP2C9遺伝子の第1075番目の塩基配列を含む、請求項12または13に記載のプライマーセット。
- 前記(a)および(b)の少なくとも一方のオリゴヌクレオチドが、CYP2C9遺伝子とCYP2C9のファミリー遺伝子とを識別する塩基配列を含む、請求項14に記載のプライマーセット。
- 前記ファミリー遺伝子は、CYP2C19遺伝子、CYP2C8遺伝子およびCYP2C18遺伝子のいずれか1つである請求項15に記載のプライマーセット。
- 請求項12〜16のいずれか1項に記載のプライマーセットを含むCYP2C9遺伝子の一塩基多型検出用キット。
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