JP2009152299A - 光学デバイス及び光学デバイスの製造方法 - Google Patents

光学デバイス及び光学デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡単かつ低コストな方法にて作製できる、光学機能領域が露出した、小型の光学デバイスを提供する。
【解決手段】光学デバイス1は、所定の配線パターンが形成された配線基板2の電極部と接続された光学素子4と、光学素子4上に搭載された受光素子を有する光学機能領域6とを有し、光学機能領域6を包含しない部分で樹脂封止され、光学機能領域6を露出させている開口凹部8は、垂直断面においてテーパー形状の第1側面10a、およびその先端かつ光学機能領域6の上面近傍にて第1側面10aと180度以上の角θ1をなす第2側面10bを備えている。
【選択図】図2

Description

本発明は、光学デバイスおよび光学デバイスの製造方法に関し、特に光学素子とそれを搭載する配線基板とを備え、光学素子と配線基板との電気的接続部分を樹脂封止した光学デバイスおよびその製造方法に関するものである。
従来、固体撮像素子やLEDなどの光学半導体素子を配線基板に搭載した光学デバイスは、受光機能あるいは発光機能を備えた光学機能面を保護するために、光学機能面の上方に透光性基板を配置した中空のパッケージ構造(例えば、特許文献2参照)や光学機能面上に透明樹脂を塗布した構造のデバイス(例えば、特許文献1参照)であった。
けれども、このような構造の光学デバイスにおいて、例えば波長405nmという短波長の青紫レーザ光を受光あるいは発光させようとすると、透明樹脂は経時的に変色していき透過率が変化してしまうため使用することができず、また透光性基板として特殊なコーティングを施したガラス板を用いれば透過率の変化は生じないが、このようなガラス板は非常に高価であるためコストが大きくなってしまう。
上記の問題に対して、例えば特許文献3では、光学半導体素子の樹脂封止時に、凹部の先端形状が円錐台または角錐台状に設定された機能ピンを、封止金型のピン挿入孔を介して光学機能面の上方向近傍にて接触しないように位置決めし、機能ピンの凹部に設けられた貫通孔を通じて不活性ガスの噴射と吸引を循環することにより、封止樹脂が光学半導体素子の光学機能面に到達するより前に硬化させて、光学機能面上側に樹脂が塗布されない開口部を形成する光機能素子モジュール、或いは、機能ピンの凹部に設けられた貫通孔を通じて光学機能面上側の封止樹脂を真空吸着することにより、光学機能面上側の樹脂を剥離して開口部を形成する光機能素子モジュールが提案されている。
特開平9−298249号公報 特開2003−332542号公報 特開2003−273371号公報
上記特許文献3に記載の光機能素子モジュールの作製方法によれば、短波長の青紫レーザ光の受光あるいは発光の際に課題となる光学機能面上の樹脂の経時劣化は、機能ピンの凹部孔から噴射される不活性ガスによって封止樹脂の進入を防止、或いは機能ピンの凹部孔から真空吸着によって光学機能面上の封止樹脂を除去することで、封止後に全く樹脂に覆われない開口部を形成することにより、解消することが可能になる。しかしながら、特許文献3に記載された光機能素子モジュールの作製においては、受発光部である光学機能面上の樹脂除去に対して、不活性ガスの噴射や真空吸着といった付帯処理が発生するため、付帯処理用の膨大な装置が必要になり製造方法が複雑になってしまうという問題がある。
また、例えば小型の受光素子であるフォトセンサーにおいては、配線基板上に光機能素子を複数個搭載して一括封止成型した後に、ダイシングにて個片に裁断する工法が一般的であるが、特許文献3に記載の光機能素子モジュールの作製においては、個片ごとに不活性ガスの噴射、或いは真空吸引の機構を設ける必要があり、コストやタクトの面でも問題がある。同時に、配線基板の厚みバラつきや反りによって樹脂封止の信頼性が低下してしまう問題がある。
本発明は、上記の課題を解決するためのものであり、簡単かつ低コストな工法にて作製できる、光学機能領域が露出した小型の光学デバイスを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の光学デバイスは、一方の面に光学機能領域を有する光学素子と、前記光学素子を搭載し、該光学素子と電気的に接続されている配線基板と、前記光学素子と前記配線基板とが電気的に接続されている部分を少なくとも封止する封止樹脂とを備え、前記光学機能領域を底面とし、少なくとも一部が前記封止樹脂から形成された側面を有する凹部をさらに備え、前記側面は、前記底面から前記凹部の深さの途中まで立ち上がっている第2側面と、該第2側面よりも上方に位置する第1側面とを有し、前記第1側面の上端によって囲まれた領域の面積よりも、前記第1側面の下端によって囲まれた領域の面積の方が小さく、前記第1側面と前記第2側面とは、両者の接続部において直接接続されており、180度を越える角度をなしている構成とした。
ここで、光学機能領域とは、固体撮像素子の撮像領域やLEDの発光領域などの受光あるいは発光領域のことであり、本願発明においては配線基板にはリードフレームも含まれる。また凹部においては底面が下側であり、開口が上側である。第1側面と第2側面とのなす角度は、凹部の中に視点をおいたときの角度である。
本発明の第1の光学デバイスの製造方法は、一方の面に光学機能領域を有する光学素子を搭載し、該光学素子と電気的に接続されている配線基板を備えた光学デバイスの製造方法であって、前記光学素子の他方の面を配線基板に搭載する工程と、前記光学素子と前記配線基板とを電気的に接続する工程と、少なくとも前記光学素子と前記配線基板とを電気的に接続した部分を、金型を用いて樹脂封止する工程とを含み、前記金型は、前記配線基板の前記光学素子搭載面とは反対側の面に配置される下型と、該下型とともに前記光学素子を搭載した前記配線基板を挟み込む上型とからなり、前記上型は、前記光学機能領域に接触する凸部を有しており、前記凸部は頂部において前記光学機能領域と接触し、前記頂部は弾性体により形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明の第2の光学デバイスの製造方法は、一方の面に光学機能領域を有する光学素子を搭載し、該光学素子と電気的に接続されている配線基板を備えた光学デバイスの製造方法であって、前記光学素子の他方の面を配線基板に搭載する工程と、前記光学素子と前記配線基板とを電気的に接続する工程と、少なくとも前記光学素子と前記配線基板とを電気的に接続した部分を、金型を用いて樹脂封止する工程とを含み、前記金型は、前記配線基板の前記光学素子搭載面とは反対側の面に配置される下型と、該下型とともに前記光学素子を搭載した前記配線基板を挟み込む上型とからなり、前記上型は、前記光学機能領域に向かって突出している凸部を有しており、前記凸部は頂部において前記光学機能領域の周縁部全周と接触するとともに該光学機能領域とは非接触であり、前記頂部は弾性体により形成されている構成としている。
なお、本発明の第1または第2の光学デバイスの製造方法において、弾性体の外径は、集積回路素子の受光素子ないし発光素子の対角よりも微かに大きく、高さ方向の形状が円柱型であってもよく、弾性体の外径が高さ方向の先端から中央部にかけて小さくなった鼓型であっても構わない。
更に、本発明の第1または第2の光学デバイスの製造方法において、弾性体の形状は、光学機能部領域で、受光素子ないし発光素子の対角よりも微かに大きい直径寸法にて中空としても良い。
加えて、本発明の第1または第2の光学デバイスの製造方法において、弾性体は、封止樹脂の成型温度で溶融することなく、かつ成型後の樹脂の冷却、固着前に弾性変形が緩和することのない物性特性を有する、或いは弾性体の側面に、成型前に封止樹脂との離型添加剤が塗布もしくは付着されているとしても構わない。これにより、本発明の光学デバイスにおける第1側面と第2側面との接続部分の形状が、より明確に形成可能となる。
本発明の光学デバイスの製造方法では、金型の凸部先端に設けられた弾性体が光学機能領域自体あるいはその周縁部に接触して樹脂封止が行われるので、封止段階で光学デバイスの上面に開口部を設けて光学機能領域を露出させることが可能になる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。
(実施形態1)
−光学デバイスの構造−
本実施形態に係る光学デバイス1の構造を図1及び図2(a)(b)を用いて説明する。
図1に、実施形態1に係る光学デバイス1の構成を示す上斜視概念図を示す。また、図2(a)は実施形態1に係る光学デバイス1の断面図であり、図2(b)は開口部の断面図である。光学デバイス1は、配線基板2に搭載された光学素子(受光素子)4を、光学機能領域(受光部)6が露出するように封止樹脂7によって樹脂封止して形成されている。
半導体素子である光学素子4は矩形平板状であり、一方の面の中央部分に光学機能領域6が形成されており、その面の周縁部には電極パッド(図示せず)が設けられている。配線基板2へは、光学素子4の光学機能領域6が形成されていない他方の面が載せられて固定される。即ち配線基板2の上に光学素子4が搭載されて、光学機能領域6は上方を向いている。
配線基板2には、光学素子4搭載領域の周囲に複数の貫通孔が設けられ、その孔にめっきおよび導電部材埋め込みが施されて貫通電極3aが形成されている。貫通電極3aは配線基板2の光学素子4搭載面側において、光学素子4の電極パッドとワイヤ5によって電気的に接続される接続配線に電気的に接続している。また、搭載面とは反対側の面において貫通電極3aは、その面に設けられた外部接続電極3bと電気的に接続している。外部接続電極3bは外部回路と接続されて、電力の供給を受けたり信号の入出力を行ったりする。
封止樹脂7は、光学機能領域6を除いた光学素子4の表面と配線基板2の光学素子4搭載面、および光学素子4と配線基板2とを電気的に接続しているワイヤ5を封止している。光学機能領域6は封止樹脂7に設けられた貫通孔によって露出している。換言すると、光学デバイス1には光学機能領域6を底面とする開口凹部8が設けられており、開口凹部8の側面10は封止樹脂7により形成されている。
開口凹部8の側面10は、凹部深さ方向において2つの部分に分かれている。開口凹部8の最上面から下方へ行くに従って均一に先細になっていくテーパー形状の第1側面10aと、光学素子4の光学機能領域6上面近傍まで延びていて、第1側面10aと連続的に直接接続される第2側面10bとより構成されている。第1側面10aの上端によって囲まれた領域の面積よりも第1側面10aの下端によって囲まれた領域の面積の方が小さい。第1側面10aと第2側面10bとが接続部分でなす角θ1は約190〜260度である。
また、第2側面10bは、第1側面10aとの接続部、ならびに開口凹部8の最下面である光学素子4と接触する部分の近傍で横断面半径が最小となり、中央部が膨らんだ太鼓型の円柱の側面形状となっており、その最大径と最小径の差は第1側面10aの最大径(上端部分径)と最小径(下端部分径)の差に対して非常に微々たるものである。ただし図では寸法差を誇張して示している。
更に、第2側面10bの下部にて、高さ方向に非常に小さな寸法で第2側面10bの段差部10cが形成されている。この段差部10cは、後述する製造方法にて、第2側面10bを作製する弾性体(図示せず)の端部面取り形状が転写されることによって形成されるものである。
上述のように光学機能領域6を底面とする開口凹部8が形成されているので、波長405nmのような短波長の光9を光学機能領域6がそのまま受光することができ、上部を樹脂やガラス板で保護されている光学デバイスに比べて減衰や反射、光強度の経時変化がなく好ましい。また上述の開口凹部8の形状により、開口凹部8に斜めに入射する外乱光は光学機能領域4に入射することなく外部に反射されて出て行きやすい。
−光学デバイスの製造方法−
図3(a)に、実施形態1に係る光学デバイス1の製造金型を示す断面図を示す。また、図3(b)〜(d)は実施形態1に係る光学デバイス1の製造方法のメカニズムの一部を示す概略断面図である。更に、図4(a)、(b)は実施形態1に係るスリーブ(凸部)20先端の弾性体の概略平面図および概略側面図であり、図5は実施形態1に係る光学デバイス1の製造方法においてスリーブ20内の摺動ピン21,23の加圧と弾性体24の変形状態を示す概略断面図である。
図示は省略しているが、まず連続した配線基板11に光学素子4を一定寸法間隔で搭載する。連続した配線基板11は、個々の配線基板が複数繋がっているものであり、後ほど切断されることにより個々の配線基板2となる。それから、光学素子4の電極パッドと、連続した配線基板11の接続配線3aとをワイヤボンディングによって電気的に接続する。
その後、図3(a)に示すように光学素子4を搭載した連続した配線基板11を金型12内に設置する。金型は下型13と上側固定型14、ならびにストリッパー型15とからなる。ストリッパー型15は規制バネ16を介して上側固定型14と一体化されており、本実施形態ではこの両者を上型と呼ぶことにする。
下型13、上側固定型14、ストリッパー型15は、平面方向(図に対して垂直な面の方向)の同一座標にて孔部がそれぞれ形成されており(図3(a)の左側)、下型13とストリッパー型15の孔部にそれぞれ嵌合されたガイドブッシュ17a、17bの内径に上側固定型14に固定されたガイドポスト18が摺動するように設置されており、これらによって上型と下型13とは連結されている。このように連結された下型13ならびにストリッパー型15で、連続した配線基板11を挟み込む。
下型13には連続した配線基板11の光学素子4非搭載面が載せられ、その載せられる面は平らである。一方、ストリッパー型15の、連続した配線基板11の光学素子4に面している側には、光学素子4に向かって突出した凸部が設けられている。凸部はストリッパー型15に固定、嵌合され先端に向けてその外形が細くなるテーパー上のスリーブ20として形成されている。スリーブ20は中空な部材であって、規制ユニット19の一部である。
規制ユニット19は、スリーブ20と、スリーブ20内部を上下方向に移動可能な第1の摺動ピン21、上側固定型14の降下に応じた第1の摺動ピン21からの押圧を受けて上下方向に弾性変形可能な内部バネ22、ならびに内部バネ22の弾性力にてスリーブ20内を上下方向に移動可能な第2の摺動ピン23とから構成されている。第1の摺動ピン21の頭部は上側固定型14に固定されており、内部バネ22は上側が第1の摺動ピン21下端と接触し、下側が第2の摺動ピン23上端と接触する。
第2の摺動ピン23の内部バネ22と接触しない側の先端面、すなわち規制ユニット19の凸部形成先端面には円柱形の弾性体24が接着剤(図示せず)等によって固定されており、弾性体24の固定されていない側の面は、金型12に搭載された際に光学機能領域6と接触する。
図3(a)(b)に示すように、連続した配線基板11を挟み込んだ時点では、ストリッパー型15ならびに規制ユニット19先端の弾性体24は、配線基板11ならびに光学素子4の光学機能領域6と接触しているものの、規制バネ16あるいは規制ユニット19の内部バネ22はその自然長に対して全く変位していないため、これらのバネ16,22に弾性力は発生していない。なお、この時点では第1の摺動ピン21は内部バネ22には接触していない。
次に図3(c)に示すように、上側固定型14に力をかけて変位L1だけ下降させるとその変位量に応じた弾性荷重F1が、規制バネ16よりストリッパー型15を介して、連続した配線基板11の配線パターンが設置されていない領域に加えられる。ただしこの時、第1の摺動ピン21は変位L1だけ下降して規制ユニット19の内部バネ22の上端に接触するようになるが、内部バネ22はその自然長に対して全く変位していないため、弾性体24を弾性変形させることによって発生する光学素子4への弾性力は発生していない。
それから図3(d)に示すように、上側固定型14がさらに変位L2だけ下降して最下点(下死点)に達した際には、規制バネ16からは変位量(L1+L2)に応じた弾性荷重F2が、連続した配線基板11の配線パターンが設置されていない領域に加えられる。一方、規制ユニット19の第1の摺動ピン21は上側固定型14と連動して変位L2だけ下降するため、内部バネ22が自然長に対して変位L2だけ収縮することによって発生する弾性荷重F3が、第2の摺動ピン23と弾性体24を介して、光学素子4の光学機能領域6に加えられる。
第2の摺動ピン23の先端に固定された弾性体24は、直径が第2の摺動ピン23先端径よりわずかに大きく、かつスリーブ20の先端径以下であるような、長手方向に一定寸法の円柱型である。第1の摺動ピン21が上側固定型14の下降にあわせて変位L2だけ下降した際に、第2の摺動ピン23を介して内部バネ22からの弾性荷重F3を弾性体24が受けると、図4の点線部分に図示するように、高さ方向において両端の径は変化しないものの、高さ方向中央部ではその径が大きくなる円弧形状の太鼓型に弾性変形する。ここでの弾性変形の図示は誇張した図となっている。
なお、第2の摺動ピン23が内部バネ22によって弾性体24側に押し付けられることにより弾性体24は少し潰れるが、弾性体24が存在するため凸部を形成するスリーブ20および第2の摺動ピン23が直接光学機能領域6に接触することはなく、凸部が光学機能領域6を傷つけてしまうことはない。即ち、スリーブ20および第2の摺動ピン23は金属等の硬い物質により作製されているので光学機能領域6に接触するとこの領域を傷つけてしまうおそれがあるのであるが、弾性体24はフッ素ゴムやシリコーンゴム等からなっており、光学素子よりも柔らかいため接触しても傷つけるおそれはないのである。
次に、金型内に樹脂を導入して樹脂封止を行なう。樹脂封止により光学機能領域6以外の光学素子4表面およびワイヤ5、連続した配線基板11の光学素子4搭載面は、封止樹脂7によって封止される。この時、図5に示すように、弾性体24は第1の摺動ピン21及び第2の摺動ピン22の下降変位L2に応じた弾性荷重F3によって、図4に示すような太鼓型に弾性変形した状態で、光学機能領域6に押圧を加えながら樹脂封止されるため弾性体24と光学機能領域6との間に封止樹脂が入り込むことはない。ここで、凸部を形成する規制ユニット19のスリーブ20は先端に向かうに連れて径が細くなるテーパ形状となっている。このため、樹脂封止後に金型12を取り外す際に、凸部に封止樹脂7の一部が付着して取り去られることが防止される。図5に示すように、このテーパ形状の部分に樹脂が接触して封止が行われるのである。
弾性体24は、例えばフッ素樹脂系ゴムやシリコーンゴムのように、封止時の金型温度下で溶融しないガラス転位点が高く、冷却時に樹脂と固着しないような材料から構成されており、流動した封止樹脂の保圧ならび冷却完了後に、上側固定型14ならびにストリッパー型15の上昇による型圧の解放によって、弾性変形も解放されて太鼓型から元の円柱型に戻る。ただし弾性体24の先端面の角部は面取りが行われていて、この形状が転写することで段差部10cが形成される。一方、図1、図2に示す、樹脂封止された光学機能領域6上面の開口凹部8は、スリーブ20のテーパー面にて形成された第1側面10aと、太鼓型に変形した弾性体24にて形成された第2側面10bと、段差部10cを有する形状になる。
樹脂が固化したら、金型12を外して樹脂封止された連続した配線基板11を取り出す。
それから、図3(d)に示すように、連続した配線基板11の配線パターンが設置されていない領域をブレード25を用いて切断し、個々の配線基板2からなる光学デバイス1に切り離す。こうして、光学デバイス1が出来上がる。
本実施形態においては、連続した配線基板11上で電気的に接続された光学素子4の光学機能領域6は、テーパー形状のスリーブ20内を上下する摺動ピン23の先端に固定された弾性体24の弾性変形によって加圧されるため、特許文献3に記載されているような光学機能領域6上面の樹脂を除去する後工程あるいは別工程を有することなく、封止段階で光学機能領域6の上面に開口凹部8を設けることが可能になる。また、連続した配線基板11上の各光学素子4上の弾性体24をの弾性変形量を、各々の規制ユニット19内の内部バネ22の収縮量によって制御することが可能になるため、配線基板11の厚みバラつきや反りによって、受光素子もしくは発光素子が設けられた光学素子4上面において樹脂残りの問題のない開口凹部8を、非常に簡易かつ低コストで作製することが可能になる。このため、複数個取りで基板厚みのバラつきや反りが問題となる樹脂一括封止成型において、本実施形態の製法は非常に有効である。
また、特許文献3に記載された光機能素子モジュールは、パッケージ構成部材に設けられた孔部(凹部)周辺に存する封止樹脂の孔側端面の形状を制御することは非常に困難であるため、封止樹脂の孔側端面やパッケージ構成部材の孔部下縁において光が乱反射等して光学機能領域に入射してしまうという問題も有しているが、本実施形態の光学デバイス1にはこのような問題はない。
(実施形態2)
次に、本発明の第2の実施形態に係る光学デバイスの構造を図6(a)、(b)、(c)の断面図を用いて説明する。また、実施形態2に係る光学デバイス26の製造法を図7の断面図、図8(a)、(b)に示す弾性体の概略図、ならびに図9の断面図を用いて説明する。
図6(a)は実施形態2に係る光学デバイス26の断面図であり、図6(c)は開口部の断面図である。また、図6(b)は実施形態1に係る光学デバイス1の開口部の概要を示す断面図である。
図6(a)、(c)に示す実施形態2に係る光学デバイス26においては、光学素子上面の開口凹部28を構成する第1側面27a,第2側面27b,ならびに段差部27cのうち、第2側面27bの形状が実施形態1と違っているが、配線基板2や光学素子4、ワイヤ5等は実施形態1と同じであるので、実施形態1と異なっている部分を以下に説明し、同じ部分の説明は省略する。
加えて、図7に、実施形態2に係る光学デバイスの製造金型を示す断面図を示す。また、図8(a)、(b)は実施形態2に係る上型14’の凸部30先端の弾性体29の概略平面図および概略側面図であり、図9は実施形態2に係る光学デバイス26の製造方法において上型14’の凸部30先端の加圧と弾性体29の変形状態を示す概略断面図である。
実施形態2が実施形態1と異なる点は、配線基板2および光学素子4に弾性力による加圧を加えるストリッパー型15ならびに規制ユニット19を省き、その代りに、連続する配線基板11上の各光学機能領域6上に、上型14’の凸部30が設けられていることと、開口凹部28の側面の形状とである。この上型14’の凸部30先端に弾性体29が接着固定されている。
本実施形態に係る光学デバイス26の凹部側面27a、27b、27cのうち、第1側面27aおよび段差部27cは実施形態1と同じであるが、第2側面27bは実施形態1とは異なっている。実施形態1の第2側面10bは、第1側面10aとの接続部、ならびに開口凹部8の最下面である光学素子4と接触する部分の近傍で、寸法が最小となり中央部が膨らんだ太鼓型の円柱の側面形状となっているのに対して、本実施形態の第2側面27bはストレート形状の平面になっている。また、第1側面27aと第2側面27bとがなす角θ2は約190〜260度である。実施形態1における太鼓型の円柱形状の第2側面10bの場合は、入射光の一部が側面に反射して、図6(b)の光路a→b→c→d→eのように、光学機能領域6に達することなく光源側に戻ってしまうという乱反射が生じる。
これに対して、実施形態2の光学デバイス26では、第2側面27bが平面のため、入射光は光路a’ →b’ →c’あるいはa’’ →b’’ →c’’のように、全て確実に側面に反射して光学機能領域6に到達することが可能になる。なお、第2側面27bを形成するための弾性体29表面には、例えばシリコン系樹脂のような離型剤40が塗布されており、封止の際に、その一部が第2側面27bの表面に転写されて、潤滑面が生成される。
次に、本実施形態に係る光学デバイス26の製造方法において、実施形態1と異なる点を図7に示す金型を中心に以下に説明する。
上型14’には下型13と接触するように規制バネ(図示せず)が設けられており、上型14’が変位L2下降するとその変位量に応じた弾性荷重F2が、規制バネより連続した配線基板11の配線パターンが設置されていない領域に加えられる。更に、上型14’には光学機能領域6に対向して突出している凸部30が設けられており、この凸部30先端に固定された弾性体29を介して、光学素子4の光学機能領域6に加重F2が加えられる。
凸部30の先端に固定された弾性体29は、図8(b)に示すように、中央部が窪んだ円柱形であり、詳しく説明すると、長手方向において中央部分が最小径になっていくように窪んでいく曲率が一定である鼓型である。上型14’が変位L2だけ下降した際に、弾性体29が凸部30を介して弾性荷重F2を受けると、図8の点線部分に図示するように、高さ方向において両端の径は変化しないものの、中央部が膨らみ、鼓型から円柱型へと弾性変形する。
なお、上型14’の凸部30が光学機能領域6の方へ押し付けられることにより弾性体29は少し潰れるが、弾性体29があるため凸部30が直接光学機能領域6に接触することはなく、光学機能領域6を傷つけてしまうことはない。この効果は実施形態1と同じである。
また、凸部30は先端に向かうに連れて径が細くなるテーパ形状となっている。このため、樹脂封止後に金型12を取り外す際に、凸部30に封止樹脂7の一部が付着して取り去られることが防止される。この効果は実施形態1と同じである。
次に、金型内に樹脂を導入して樹脂封止を行なうが、この際、凸部30先端の弾性体29によって、図9に示すような高さ方向にストレートな円柱型に弾性変形した状態で、光学機能素子4に押圧を加えながら樹脂封止されるため、弾性体29と光学機能領域6との間に封止樹脂が入り込まない。なおこの際、弾性体29の円柱側面には、シリコーンなどの離型剤28が塗布されている。
実施形態2の光学デバイス26の製造方法においては、実施形態1に比べて、ストリッパー型や各光学素子上のテーパー形状の規制ユニットがないため、より簡単な構成で、実施形態1と同じ効果を奏することが可能である。また、弾性体29の弾性変形時に側面がストレートの円柱型に弾性変形するために、光学デバイス29側面での入射光の乱反射が防止されてより受光率の高い光学デバイスを実現可能になる。更に、弾性体29の円柱側面に離型剤28が塗布されていることにより、金型離型時の樹脂付着防止効果が上昇する。
上記以外の点では、本実施形態の光学デバイス26およびその製造方法は、実施形態1と同じ効果を奏する。
(実施形態3)
次に、本発明の第3の実施形態に係る光学デバイスの製造方法を、図10(a)、(b)ならびに図11を用いて説明する。なお、実施形態3に係る光学デバイスは、実施形態1に係る光学デバイス1と同一の構成であるため、その説明を省略する。
図10(a)、(b)は実施形態3に係るスリーブ20’先端の弾性体31の概略平面図および概略側面図であり、図11は実施形態3に係る光学デバイス1の製造方法においてスリーブ20’内の第2の摺動ピン23の加圧と弾性体31の変形状態を示す概略断面図である。
実施形態3に係る光学デバイス1の製造方法において、実施形態1と異なる点は、第2の規制ピン23の先端に接着固定されているのが円柱型の弾性体24ではなく、光学機能領域6よりも若干寸法の大きい非接触部(中空部)を備えた中空円筒型の弾性体31であることである。なお、配線基板2やワイヤ5等は実施形態1と同じであるので、実施形態1と異なっている部分を以下に説明し、同じ部分の説明は省略する。
本実施形態に係る光学デバイス1の製造方法においては、第2の摺動ピン23の先端に固定された弾性体31は、直径が第2の摺動ピン23の先端径よりわずかに大きく、かつスリーブ20の先端径以下であるような、長手方向に一定寸法の中空円筒型である。また、弾性体31の下端おいて内径は光学機能領域6の最大径(矩形の場合は対角線長さ)よりも大きく設定されており、弾性体31は光学機能領域6の周りの全周に接触するが、光学機能領域6そのものには非接触となる。
弾性体31は、第1の摺動ピン21が上側固定型14の下降にあわせて変位L2だけ下降した際に、第2の摺動ピン23を介して内部バネ22からの弾性荷重F3を受けると、図11の点線部分に図示するように、高さ方向において両端の径は変化しないものの、中央部に向けてその外径が大きくなる円弧形状の太鼓型に弾性変形する。なお、この図は弾性変形の度合いを極端に誇張して描いている。
この際に、内径方向にも中央部に向けて円弧形状の太鼓型に弾性変形するため、中空部は中央部にて最小径となるが、光学機能領域6は弾性体31には常に非接触である。そのため、弾性体31からの負荷が全く発生しないため、光学機能領域6は全くダメージの心配がない。加えて、実施形態1の光学デバイス1の製造方法と同量の弾性荷重F3が光学素子4に加えられるものの、弾性体31の接触面積が実施形態1の弾性体24に比較して小さいため、(荷重)÷(接触面積)にて算出される光学素子4への面圧は大きくなる。従って、封止時の流動樹脂の光学機能領域6への進入に対する機密性がより向上するため、開口凹部8での樹脂付着のない光学デバイス1をより確実に提供可能になる。
上記以外の点では、本実施形態の光学デバイス1およびその製造方法は、実施形態1と同じ効果を奏する。
(その他の実施形態)
上述の実施形態は本願発明の例示であって、本願発明はこれらの例に限定されない。例えば、金型の上型の凸部は、先細のテーパ形状である必要はなく、一定の径で突出していても良い。凸部あるいは規制ユニットと光学機能領域との接触を防止するものはフッ素系樹脂ゴムやシリコーンゴムに限定されず、例えばレジストなどのように、凸部に対するクッションの役割を果たし後工程で容易に除去できるものであればどのようなものであっても構わない。
光学素子の素材は、Siであってもよいし、SiCやGaN等の化合物半導体など、光学機能を発揮できる素材であればどのようなものでもよい。光学機能領域は発光領域であってもよい。
配線基板の素材は、ポリイミド等の樹脂、セラミック等、配線基板素材として使用できるものであればどのようなものでもよい。またリードフレームであってもよい。
実施形態2において離型剤は弾性体に付着あるいは練り込まれたものであってもよい。
実施形態3において弾性体31の形状は円筒形に限定されず、先端がリング状となるように先端面に窪みを設けた形状であってもよい。また、弾性体31の先端が光学機能領域6に接触しても構わない。
以上説明したように、本発明に係る光学デバイスは、小型で光学機能領域が露出しており、短波長の光を受発光する光学デバイス等として有用である。加えて、本発明に係る光学デバイスの製造方法は、光学機能領域の露出を、後工程や付帯工程ではなく光学デバイスの樹脂封止工程にて作製でき、非常に簡易かつ低コストな製造方法として有用である。
実施形態1に係る光学デバイスの構成を示す上斜視概念図である。 (a)実施形態1に係る光学デバイスの構成を示す断面図であり、(b)実施形態1に係る光学デバイスの開口部を示す断面図である。 (a)実施形態1に係る光学デバイスの製造金型を示す断面図であり、(b)実施形態1に係る光学デバイスの製造金型による、製造方法のメカニズムを示す概略断面図である。 (a)実施形態1に係る上型のスリーブ先端の弾性体の平面図であり、(b)実施形態1に係るスリーブ先端の弾性体の側面図である。 実施形態1に係る光学デバイスの製造方法において、スリーブ内の摺動ピンの加圧と弾性体の変形状態を示す概略断面図である。 (a)実施形態2に係る光学デバイスの構成を示す断面図であり、(b)実施形態1に係る光学デバイスの開口部における課題の概要を示す断面図であり、(c)実施形態2に係る光学デバイスの開口部を示す断面図である。 実施形態2に係る光学デバイスの製造金型を示す断面図である。 (a)実施形態2に係る上型の凸部先端の弾性体の平面図であり、(b)実施形態2に係る上型の凸部先端の弾性体の側面図である。 実施形態2に係る光学デバイスの製造方法において、上型の凸部先端の加圧と弾性体の変形状態を示す概略断面図である。 (a)実施形態3に係るスリーブ先端の弾性体の平面図であり、(b)実施形態3に係るスリーブ先端の弾性体の側面図である。 実施形態3に係る光学デバイスの製造方法において、スリーブ内の摺動ピンの加圧と弾性体の変形状態を示す概略断面図である。
符号の説明
1、26 光学デバイス
2 配線基板
3a 貫通電極(樹脂基板表側の電極端子)
3b 外部接続電極(樹脂基板裏側の電極端子)
4 光学素子
5 ワイヤ
6 光学機能領域
7 封止樹脂
8、28 開口凹部
9 短波長の入射光
10a、27a 第1側面
10b、27b 第2側面
10c、27c 段差部
11 連続した配線基板
12 金型
13 下型
14 上側固定型
14’ 上型
15 ストリッパー型
16 規制バネ
17a ストリッパー型15のガイドブッシュ
17b 下型13のガイドブッシュ
18 ガイドポスト
19 規制ユニット
20、20’ スリーブ
21 第1の摺動ピン
22 内部バネ
23 第2の摺動ピン
24、29、31 弾性体
30 上型の凸部
40 離型剤

Claims (9)

  1. 一方の面に光学機能領域を有する光学素子と、
    前記光学素子を搭載し、該光学素子と電気的に接続されている配線基板と、
    前記光学素子と前記配線基板とが電気的に接続されている部分を少なくとも封止する封止樹脂と
    を備え、
    前記光学機能領域を底面とし、少なくとも一部が前記封止樹脂から形成された側面を有する凹部をさらに備え、
    前記側面は、前記底面から前記凹部の深さの途中まで立ち上がっている第2側面と、該第2側面よりも上方に位置する第1側面とを有し、
    前記第1側面の上端によって囲まれた領域の面積よりも、前記第1側面の下端によって囲まれた領域の面積の方が小さく、
    前記第1側面と前記第2側面とは、両者の接続部において直接接続されており、180度を越える角度をなしている、光学デバイス。
  2. 一方の面に光学機能領域を有する光学素子を搭載し、該光学素子と電気的に接続されている配線基板を備えた光学デバイスの製造方法であって、
    前記光学素子の他方の面を配線基板に搭載する工程と、
    前記光学素子と前記配線基板とを電気的に接続する工程と、
    少なくとも前記光学素子と前記配線基板とを電気的に接続した部分を、金型を用いて樹脂封止する工程と
    を含み、
    前記金型は、前記配線基板の前記光学素子搭載面とは反対側の面に配置される下型と、該下型とともに前記光学素子を搭載した前記配線基板を挟み込む上型とからなり、
    前記上型は、前記光学機能領域に接触する凸部を有しており、
    前記凸部は頂部において前記光学機能領域と接触し、
    前記頂部は弾性体により形成されている、光学デバイスの製造方法。
  3. 前記凸部は、前記頂部を除いてテーパ状である、請求項2に記載されている光学デバイスの製造方法。
  4. 前記頂部の先端面は前記光学機能領域よりも広い面積を有しており、該光学機能領域に接触する際には該光学機能領域全体を覆い隠す、請求項2または3に記載されている光学デバイスの製造方法。
  5. 前記頂部は円柱形である、請求項2から4のいずれか一つに記載されている光学デバイスの製造方法。
  6. 前記頂部は、軸方向の中央部が窪んだ鼓形状の円柱形である、請求項5に記載されている光学デバイスの製造方法。
  7. 一方の面に光学機能領域を有する光学素子を搭載し、該光学素子と電気的に接続されている配線基板を備えた光学デバイスの製造方法であって、
    前記光学素子の他方の面を配線基板に搭載する工程と、
    前記光学素子と前記配線基板とを電気的に接続する工程と、
    少なくとも前記光学素子と前記配線基板とを電気的に接続した部分を、金型を用いて樹脂封止する工程と
    を含み、
    前記金型は、前記配線基板の前記光学素子搭載面とは反対側の面に配置される下型と、該下型とともに前記光学素子を搭載した前記配線基板を挟み込む上型とからなり、
    前記上型は、前記光学機能領域に向かって突出している凸部を有しており、
    前記凸部は頂部において前記光学機能領域の周縁部全周と接触するとともに該光学機能領域とは非接触であり、
    前記頂部は弾性体により形成されている、光学デバイスの製造方法。
  8. 前記頂部は円筒形である、請求項7に記載されている光学デバイスの製造方法。
  9. 前記頂部の側面には、封止樹脂に対する離型剤が存している、請求項4から8のいずれか一つに記載されている光学デバイスの製造方法。
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