JP2009150410A - 流体動圧軸受装置、スピンドルモータ、及びディスク駆動装置 - Google Patents

流体動圧軸受装置、スピンドルモータ、及びディスク駆動装置 Download PDF

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卓郎 井口
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剛至 森田
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Abstract

【課題】潤滑オイル中に混在する気泡が動圧軸受部まで流入しにくくて流体動圧軸受装置の外部に排出されやすい構成をし、気泡による不具合を防止することができる流体動圧軸受装置、スピンドルモータ、及びディスク駆動装置を提供することを目的とする。
【解決手段】スリーブ41の下面の外縁部分に、スリーブスラスト軸受面から下方に突出するスリーブ突状部6を形成する。これが防波堤としての効果を奏し、シャフト34側への気泡52の流入を防止することができる。また、毛細管力の差異を利用して潤滑オイルと気泡とを選別するために、第2微小間隙Qの下方側開口部7と、第4微小間隙Sの径方向外側の開口部11aと、第5微小間隙Tの上方の開口部8とのそれぞれの幅に差異を設けた。
【選択図】図8

Description

本発明は、流体動圧軸受装置、当該流体動圧軸受装置を備えるスピンドルモータ、及び当該スピンドルモータを備えるディスク駆動装置に関する。
近年、パーソナルコンピュータやカーナビゲーション等に使用される磁気ディスクや光ディスク等の記録ディスク駆動装置では、小型化、薄型化、および軽量化に加えて、高密度化への要求が強いことから、ディスク回転に使用されるスピンドルモータの回転数の高速化や回転動作の高精度化が要請されている。このような要請に応えるために、スピンドルモータ用の軸受装置として、従来のボールベアリングに代わって、シャフトとスリーブとの間に潤滑オイルを充填させた流体動圧軸受装置が多く使用されている。
従来の流体動圧軸受装置は、シャフト又はスリーブを径方向に支持するラジアル動圧軸受部と、シャフト又はスリーブを軸方向に支持するスラスト動圧軸受部とを有している。そのため、シャフトとスリーブとが相対回転すると、ラジアル動圧軸受部及びスラスト動圧軸受部それぞれの動圧溝列によるポンピング作用により、微小間隙に充填された潤滑オイルに流体動圧を誘起して、シャフト又はスリーブを径方向及び軸方向に支持する。
このような従来の流体動圧軸受装置を備えたスピンドルモータについては、例えば、特許文献1に開示されている。
特開2005−48890号公報
しかしながら、特許文献1記載の発明では、微小間隙内で発生した気泡が動圧軸受部に流入してしまい、気泡が流体動圧軸受装置の外部に排出されにくい。潤滑オイル中に気泡が混在することによって生じる問題としては次のようことが挙げられる。
従来の流体動圧軸受装置では、組み立て工程時に混入した若しくは脱泡しきれなかった等の要因で存在する空気が、モータの回転によって気泡として成長することがある。潤滑オイル中に気泡が混在すると、ラジアル動圧軸受部及びスラスト動圧軸受部において、気泡が滞留している箇所(油膜切れしている箇所)では荷重支持能力が低下し、回転精度の低下や潤滑能力の低下ひいては寿命の短縮を引き起こすことがある。また、シャフトやスリーブが直接摺動し、動圧軸受部が焼き付く等の種々の悪影響が生じる。
また、従来の流体動圧軸受装置では、航空機による輸送時等の低圧環境や周囲の温度上昇により気泡の体積が膨張したとき、部材間に充填された潤滑オイルが流体動圧軸受装置の外部に押し出され、漏出する恐れがある。このため、流体動圧軸受装置には潤滑オイル量の減少及び他の部品への付着による汚染という問題が発生する恐れがある。
そこで本発明は、上記問題を解決すべく、潤滑オイル中に混在する気泡が動圧軸受部まで流入しにくくて流体動圧軸受装置の外部に排出されやすい構成をし、気泡による不具合を防止することができる流体動圧軸受装置、スピンドルモータ、及びディスク駆動装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、流体動圧軸受装置に用いられ、前記スリーブの軸方向一方側の端面の外縁部分には、前記スリーブスラスト軸受面から軸方向一方側に突出するスリーブ突状部が形成され、前記スリーブ突状部の頂部と前記ハブ内周面とが成す開口部が、前記第2微小間隙の軸方向一方側の開口部であり、前記スラストワッシャの軸方向他方側の端面の外縁部分と前記スリーブ突状部との間には、前記第2微小間隙の軸方向一方側の開口部と前記第3微小間隙とに連通する第4微小間隙が形成されていることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の流体動圧軸受装置において、前記スリーブ突状部は、径方向内側に突状部傾斜面を有し、前記突状部傾斜面に対向するように前記スラストワッシャの軸方向他方側の端面の外縁部分にスラストワッシャ傾斜面が形成され、前記突状部傾斜面と前記スラストワッシャの傾斜面との間に前記第4微小間隙が形成されていることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の流体動圧軸受装置において、前記中心軸を含む断面における前記第3微小間隙の幅をA、前記中心軸を含む断面における前記第4微小間隙の径方向外側開口部の幅をB、としたとき、前記幅Bは前記幅Aよりも大きいことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の流体動圧軸受装置において、前記中心軸を含む断面における前記第2微小間隙の軸方向一方側開口部の幅をC、としたとき、前記幅Bは前記幅Cよりも小さいことを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の流体動圧軸受装置において、前記中心軸を含む断面における前記スラストワッシャの最も径方向外側に位置する部位と前記ハブ内周面との幅をD、としたとき、前記幅Bは前記幅Dよりも小さいことを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の流体動圧軸受装置において、前記幅Cは前記幅Dよりも小さいことを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の流体動圧軸受装置において、前記第4微小間隙が、径方向外側開口部から径方向内側開口部へ向かうにつれて漸次に狭くなっていることを特徴とする。
請求項8に係る発明は、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の流体動圧軸受装置において、前記スリーブ突状部の頂部が、鋭角を成すことを特徴とする。
請求項9に係る発明は、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の流体動圧軸受装置において、軸方向他方側から軸方向一方側へ向かう前記スリーブ外周面の延長面上に、前記スリーブ突状部の外周面が位置することを特徴とする。
請求項10に係る発明は、請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の流体動圧軸受装置において、前記シャフトの径方向外側に位置するシャフトラジアル軸受面と、それに対向する前記スリーブのスリーブラジアル軸受面との前記第1微小間隙に形成されたラジアル動圧軸受部を更に備え、前記シャフトラジアル軸受面又は前記スリーブラジアル軸受面の少なくとも一方に、相対回転時に前記潤滑オイルに流体動圧を誘起するラジアル動圧溝列が形成され、前記ワッシャスラスト軸受面又は前記スリーブスラスト軸受面の少なくとも一方に、前記相対回転時に前記潤滑オイルに流体動圧を誘起するスラスト動圧溝列が形成されていることを特徴とする。
請求項11に係る発明は、請求項10に記載の流体動圧軸受装置において、前記スラスト動圧溝列は、相対回転時に前記スリーブと前記スラストワッシャとの間に保持された前記潤滑オイルを径方向内方に圧送するポンプイン形状を有することを特徴とする。
請求項12に係る発明は、請求項10乃至請求項11のいずれかに記載の流体動圧軸受装置において、前記ラジアル動圧溝列は、相対回転時に、軸方向一方側から軸方向他方側へ前記潤滑オイルを圧送する第1動圧発生溝と、軸方向他方側から軸方向一方側へ前記潤滑オイルを圧送する第2動圧発生溝とが、前記シャフト外周面の周方向に沿って間隔をおいてそれぞれ複数並べられて軸方向に向き合ったヘリングボーン形状を有し、前記相対回転時、前記第1動圧発生溝により発生する圧力は、前記第2動圧発生溝により発生する圧力より高いことを特徴とする。
請求項13に係る発明は、請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の流体動圧軸受装置において、前記スラストワッシャ外周面と前記ハブ内周面との間の第5微小間隙が、軸方向他方側から軸方向一方側へ漸次に広くなり、前記潤滑オイルが毛細管力の作用によって前記第5微小間隙にメニスカスを形成して保持され、表面張力と外気圧とが均衡する位置に前記潤滑オイルの境界面を形成するテーパシール部が構成されていることを特徴とする。
請求項14に係る発明は、スピンドルモータであって、ベース部材と、前記ベース部材に固定された磁束発生部と、請求項1乃至請求項13のいずれか記載の流体動圧軸受装置によって前記ベースに対して回転自在に支持されたロータ部と、前記磁束発生部に対向して前記ロータ部に取り付けられたロータマグネットと、を備えることを特徴とする。
請求項15に係る発明は、ディスクを回転させるディスク駆動装置であって、装置ハウジングと、前記装置ハウジングの内部に固定された請求項14記載のスピンドルモータと、前記ディスクに対して情報の読み出し及び/又は書き込みを行うアクセス部と、を備えることを特徴とする。
請求項1〜15に記載の発明によれば、スリーブの軸方向一方側の端面の外縁部分には、スリーブスラスト軸受面から軸方向一方側に突出するスリーブ突状部が形成され、スリーブ突状部の頂部とハブ内周面とが成す開口部が、第2微小間隙の軸方向一方側の開口部であり、前記スラストワッシャの軸方向他方側の端面の外縁部分と前記スリーブ突状部との間には、第2微小間隙の軸方向一方側の開口部と第3微小間隙とに連通する第4微小間隙が形成されている。このため、第2微小間隙を流れてきた潤滑オイルが、スリーブ突状部を迂回して第4微小間隙に通過してから、シャフト側への流路である第3微小間隙へ流入するようになったので、気泡が第3微小間隙へ流入しにくくなり、動圧軸受部への気泡の流入を防止することができる。また、第3微小間隙への入り口を従来より軸方向一方側へ遠ざけて、気泡の排出口であるテーパシール部に近づけたことで、気泡の排出効果を促進することができる。
特に、請求項2に記載の発明によれば、スリーブ突状部は、径方向内側に突状部傾斜面を有し、突状部傾斜面に対向するようにスラストワッシャの軸方向他方側の端面の外縁部分にスラストワッシャ傾斜面が形成され、突状部傾斜面と前記スラストワッシャの傾斜面との間に第4微小間隙が形成されている。このため、スリーブ突状部の傾斜面とスラストワッシャの傾斜面とがなす第4微小間隙が、第2微小間隙内から流れてきた潤滑オイルを第3微小間隙に流れるよう案内する効果を奏することができる。
特に、請求項3に記載の発明によれば、中心軸を含む断面における第3微小間隙の幅をA、中心軸を含む断面における第4微小間隙の径方向外側開口部の幅をB、としたとき、幅Bは幅Aよりも大きい。流体動圧軸受装置内の潤滑オイルに気泡が存在する場合、潤滑オイル及びその中に混在する気泡の挙動は毛細管力が大きく影響し、潤滑オイルは毛細管力が小さい(間隙の幅が広い)領域から大きい(間隙の幅が狭い)領域へ流れようとし、その反作用として気泡は毛細管力が大きい(間隙の幅が狭い)領域から小さい(間隙の幅が広い)領域へ移動しやすくなる。このことから、上記構成にしたことにより、第2微小間隙からスリーブ突状部を迂回して第4微小間隙の径方向外側開口部に流入した潤滑オイルが、軸方向一方側から軸方向他方側へ重力に逆らって第4微小間隙を通過して第3微小間隙へ流入するのを促進することができる。
特に、請求項4に記載の発明によれば、中心軸を含む断面における第2微小間隙の軸方向一方側開口部の幅をC、としたとき、幅Bは幅Cよりも小さい。このような構成にしたことにより、毛細管力が小さい(間隙の幅が広い)領域から大きい(間隙の幅が狭い)領域へ潤滑オイルは流れようとするので、第2微小間隙を流れてきた潤滑オイルは、第4微小間隙へ流入しやすくすることができる。一方、潤滑オイル中に混在する気泡は、流入しにくくすることができる。
特に、請求項5に記載の発明によれば、中心軸を含む断面におけるスラストワッシャの最も径方向外側に位置する部位とハブ内周面との幅をD、としたとき、幅Bは幅Dよりも小さい。このような構成にしたことにより、第2微小間隙を流れてきた潤滑オイルは、分岐路で第4微小間隙と第5微小間隙のいずれかに流れることになるが、幅Bの方が幅Dより狭いので、毛細管力により潤滑オイルは第4微小間隙へ流れる。一方、潤滑オイルに混在して第2微小間隙を流れてきた気泡は、同じく分岐路で第4微小間隙と第5微小間隙のいずれかに流れることになるが、幅Dの方が幅Bより広いので、毛細管力により気泡は第5微小間隙へ流れる。以上より、潤滑オイルは循環流路である第4微小間隙へ、気泡は排出口であるテーパシール部を有した第5微小間隙へそれぞれ流すことができる。
特に、請求項6に記載の発明によれば、幅Cは幅Dよりも小さい。このような構成にしたことにより、第2微小間隙を流れてきた潤滑オイルに混在する気泡が第5微小間隙へ流入するのを促進し、気泡を排出する効果を高めることができる。また、潤滑オイルが第5微小間隙へ流入するのを防止することができる。
特に、請求項7に記載の発明によれば、第4微小間隙が、径方向外側開口部から径方向内側開口部へ向かうにつれて漸次に狭くなっている。このように構成することにより、潤滑オイルは毛細管力が低い(間隙の幅が広い)方から高い方(間隙の幅が狭い)へ流れることから、第4微小間隙の径方向外側開口部から径方向内側開口部への、上記の毛細管力の差異を利用して潤滑オイルの流入を促進することができ、潤滑オイルの第5微小間隙への流入防止を促進することができる。
特に、請求項8に記載の発明によれば、スリーブ突状部の頂部が鋭角を成している。このため、従来のようにスリーブの軸方向一方側の端面の外縁部分が直角だった場合に比べて、シャフト側への流路である第3微小間隙へ気泡が流入するには、鋭角なスリーブ突状部を迂回して巻き込まれていかねばならず、鋭角なスリーブ突状部は気泡が直接第3微小間隙へ流入するのを防ぐ防波堤としての機能も奏することができる。スリーブ突状部の頂部の角度が鋭ければ鋭いほど、気泡が流入する恐れがなくなる。
特に、請求項9に記載の発明によれば、軸方向他方側から軸方向一方側へ向かうスリーブ外周面の延長面上に、スリーブ突状部の外周面が位置する。このため、スリーブ外周面の延長面上にスリーブ突状部の外周面がない場合、例えば、スリーブ突状部の外周面が径方向内方に傾斜している場合では、スリーブ外周面とハブ内周面との第2微小間隙を流れてきた潤滑オイルだけでなく気泡も、スリーブ突状部の内方への傾斜面に沿って第3微小間隙に流入してしまう恐れがあったが、軸方向他方側から軸方向一方側へ向かう前記スリーブ外周面の延長面上に、スリーブ突状部の外周面が位置するようにしたことで、そういった問題も解消される。
特に、請求項10に記載の発明によれば、シャフトの径方向外側に位置するシャフトラジアル軸受面と、それに対向するスリーブのスリーブラジアル軸受面との第1微小間隙に形成されたラジアル動圧軸受部を更に備え、シャフトラジアル軸受面又はスリーブラジアル軸受面の少なくとも一方に、相対回転時に潤滑オイルに流体動圧を誘起するラジアル動圧溝列が形成され、ワッシャスラスト軸受面又は前記スリーブスラスト軸受面の少なくとも一方に、相対回転時に潤滑オイルに流体動圧を誘起するスラスト動圧溝列が形成されている。このため、モータによりシャフトに対してハブとスリーブとが一体的に回転駆動すると、ラジアル動圧溝列又はスラスト動圧溝列のポンピング作用により、微小間隙に充填された潤滑オイルに流体動圧を誘起して、ハブと固定又は一体加工されたスリーブは、シャフト又はスラストワッシャと非接触となりつつも、径方向又は軸方向に支持され、それらに対して回転自在に支承される。
特に、請求項11に記載の発明によれば、スラスト動圧溝列は、相対回転時にスリーブとスラストワッシャとの間に保持された潤滑オイルを径方向内方に圧送するポンプイン形状を有する。このため、モータによりシャフトに対してスリーブが相対回転駆動すると、スラスト動圧溝列のポンピング作用により、スラスト動圧溝列のスラスト動圧発生溝と、そこを流れる潤滑オイルの粘性とにより誘起される軸方向の流体動圧によって、スリーブスラスト軸受面とワッシャスラスト軸受面とが非接触状態に支持される。そして、スラスト動圧溝列はポンプイン形状を有しているため、シャフト側に潤滑オイルを圧送する流体動圧を誘起し、シャフト側に潤滑オイルを圧送することができる。
特に、請求項12に記載の発明によれば、ラジアル動圧溝列は、相対回転時に、軸方向一方側から軸方向他方側へ潤滑オイルを圧送する第1動圧発生溝と、軸方向他方側から軸方向一方側へ潤滑オイルを圧送する第2動圧発生溝とが、シャフト外周面の周方向に沿って間隔をおいてそれぞれ複数並べられて軸方向に向き合ったヘリングボーン形状を有し、相対回転時、第1動圧発生溝により発生する圧力は、第2動圧発生溝により発生する圧力より高い。このような構成にしたことにより、第1動圧発生溝によって誘起された潤滑オイルを軸方向一方側から軸方向他方側に圧送する圧力が、第2動圧発生溝によって誘起された潤滑オイルを軸方向一方側に圧送する圧力に比べて大きく打ち勝って、第1微小間隙中を軸方向一方側から軸方向他方側に向かって潤滑オイルが圧送することができる。また、相対回転時に、第1微小間隙中で潤滑オイルを軸方向一方側から軸方向他方側へ圧送するのと同時に、第2微小間隙に混在する潤滑オイルを軸方向他方側から軸方向一方側へと圧送することができる。つまり、オイル循環作用を働かせることができる。
特に、請求項13に記載の発明によれば、スラストワッシャ外周面とハブ内周面との間の第5微小間隙が、軸方向他方側から軸方向一方側へ漸次に広くなり、潤滑オイルが毛細管力の作用によって第5微小間隙にメニスカスを形成して保持され、表面張力と外気圧とが均衡する位置に潤滑オイルの境界面を形成するテーパシール部が構成されている。そのため、潤滑オイルが第5微小間隙の軸方向他方側の開口部を通過し第5微小間隙内に漏洩したとしても、第5微小間隙は軸方向一方側に向かうにつれて内径が広くなっていることにより、潤滑オイルが毛細管力の作用によって第5微小間隙内にメニスカスを形成して潤滑オイルが保持される。よって、表面張力と外気圧とが均衡する位置に潤滑オイルの境界面が形成されるテーパシール部が構成されることになる。このため、気泡は毛細管力が高い(間隙の幅が狭い)方から低い方(間隙の幅が広い)へ流れることから、上記の毛細管力の差異を利用した気泡の排出効果を得ることができ、テーパシール部からの気泡の排出が促進される。また、テーパシール部を構成することにより、潤滑オイルが漏洩しようとしても、このテーパシール部により軸方向他方側に潤滑オイルを引きつける作用を発揮する。これにより、潤滑オイルの軸方向一方側への漏洩を防ぐことができ、モータ外部に潤滑オイルを漏洩させることを防ぐことができる。また、遠心力や温度上昇等により潤滑オイルの体積が増加したり、あるいはその他の何らかの作用により、テーパシール部のメニスカスが軸方向一方側に移動することがあるが、潤滑オイルの表面張力と外気圧とが均衡して、潤滑オイルのモータ外部への流出が防止される。したがって、信頼性の高いモータを提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、説明の便宜上、中心軸Lに沿ってロータ部4側を「上」とし、ステータ部3側を「下」とする。しかしながら、これにより本発明に係る流体動圧軸受装置、スピンドルモータ、及びディスク駆動装置の設置姿勢が限定されるものではない。
<1.ディスク駆動装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るスピンドルモータ1を備えたディスク駆動装置2の縦断面図である。ディスク駆動装置2は、4枚の磁気ディスク22を回転させつつ、磁気ディスク22からの情報の読み出し及び磁気ディスク22への情報の書き込みを行うハードディスク装置である。図1に示したように、ディスク駆動装置2は、主として、装置ハウジング21、4枚の磁気ディスクや光ディスク等の記録ディスク(以下、単に「ディスク」という)22、アクセス部23、及びスピンドルモータ1を備えている。
装置ハウジング21は、カップ状の第1ハウジング部材211と、板状の第2ハウジング部材212とを有している。第1ハウジング部材211は、上部に開口を有し、第1ハウジング部材211の内側の底面には、スピンドルモータ1とアクセス部23とが設置されている。第2ハウジング部材212は、第1ハウジング部材211の上部の開口を覆うように第1ハウジング部材211に接合され、第1ハウジング部材211と第2ハウジング部材212とに囲まれた装置ハウジング21の内部空間213に、4枚のディスク22、アクセス部23、及びスピンドルモータ1が収容されている。装置ハウジング21の内部空間213は、塵や埃が少ない清浄な空間とされている。
4枚のディスク22は、いずれも中央部に孔を有する円板状の情報記録媒体である。各ディスク22は、スピンドルモータ1のハブ42に装着され、スペーサ425を介して互いに平行かつ等間隔に積層配置されている。一方、アクセス部23は、4枚のディスクの上面及び下面に対向する8つのヘッド231と、各ヘッド231を支持するアーム232と、アーム232を揺動させる揺動機構233とを有している。アクセス部23は、揺動機構233により8本のアーム232をディスク22に沿って揺動させ、8つのヘッド231をディスク22の必要な位置にアクセスさせることにより、回転する各ディスク22の記録面に対して情報の読み出し及び書き込みを行う。なお、ヘッド231は、ディスク22の記録面に対して情報の読み出し及び書き込みのいずれか一方のみを行うものであってもよい。
<2.スピンドルモータの構成>
続いて、上記のスピンドルモータ1の詳細な構成について説明する。図2は、スピンドルモータ1の縦断面図である。図2に示したように、スピンドルモータ1は、主として、ディスク駆動装置2の装置ハウジング21に固定されるステータ部3と、ディスク22を装着して所定の中心軸Lを中心として回転するロータ部4とを備えている。
<2−1.ステータ部の構成>
ステータ部3は、ベース部材31、ステータコア32、コイル33、及びシャフト34を有している。
ベース部材31は、アルミニウム等の金属材料により形成され、ディスク駆動装置2の装置ハウジング21にねじ止め固定されている。ベース部材31の中央部には、中心軸に沿ってベース部材31を貫通する貫通孔311が形成されている。また、ベース部材31の貫通孔311よりも外周側(中心軸Lに対する外周側。以下同じ。)には、軸方向(中心軸Lに沿った方向。以下同じ。)に突出した略円筒形状のホルダ部312が形成されている。なお、本実施形態では、ベース部材31と第1ハウジング部材211とが別体となっているが、ベース部材31と第1ハウジング部材211とが単一の部材により構成されていてもよい。
ステータコア32は、ベース部材31のホルダ部312の外周面に嵌着された円環状のコアバック321と、コアバック321から径方向(中心軸Lに直交する方向。以下同じ。)の外周側に突出した複数本のティース部322とを有している。ステータコア32は、例えば、電磁鋼板を軸方向に積層させた積層鋼板により形成されている。
コイル33は、ステータコア32の各ティース部322の周囲に巻回された導線により構成されている。コイル33は、コネクタ331を介して所定の電源装置(図示省略)と接続されている。電源装置からコネクタ331を介してコイル33に駆動電流を与えると、ティース部322には径方向の磁束が発生する。ティース部322に発生した磁束は、後述するロータマグネット43の磁束と互いに作用し、中心軸Lを中心としてロータ部4を回転させるためのトルクを発生させる。
シャフト34は、中心軸Lに沿って配置された略円柱形状の部材である。シャフト34は、ベース部材31の貫通孔311に下端部を嵌入させた状態でベース部材31に固定されている。
図6に示すように、シャフト34の外周面34aには、径方向外方に突出する円環状の上部スラストワッシャ341及び下部スラストワッシャ342が接着剤や圧入等により固定又は一体加工されている。上部及び下部スラストワッシャ341・342は、後述するスリーブ41を上下から挟むように、シャフト34の外周面に軸方向に間隔をおいて上下一対に配置される。詳しくは、上部スラストワッシャ341は、スリーブ41の上方に第6微小間隙Uを介して配置され、下部スラストワッシャ342は、スリーブ41の下方に第3微小間隙隙Rを介して配置されている。上部スラストワッシャ341及び下部スラストワッシャ342は、後述するハブ42と線膨張係数が近い金属材料(例えば、アルミニウムを主成分とする合金や、銅を主成分とする合金)又は樹脂材料により形成されている。
<2−2.ロータ部の構成>
図2に戻る。ロータ部4は、スリーブ41、ハブ42、及びロータマグネット43を有している。
ハブ42は、スリーブ41の外周面41bに第2微小間隙Q(図6参照)を介して固定又は一体成形されてスリーブ41とともに回転する部材である。ハブ42は、中心軸Lの周囲において径方向に広がる形状を有する。より詳細に説明すると、ハブ42は、スリーブ41の外周面に焼きばめにより固定される第1円筒部421と、第1円筒部421の上端部から径方向外側へ向けて広がる平面部422と、平面部422の外周縁から垂下する第2円筒部423とを有している。第2円筒部423の外周面42aは、ディスク22の内周部(内周面又は内周縁)に当接する当接面となる。また、第2円筒部423の下端部付近には、径方向外側へ向けて突出し、その上面がディスク22を載置するフランジ面42bとなる台部424が形成されている。
4枚のディスク22は、ハブ42のフランジ面42b上に水平姿勢で、かつ等間隔に積層配置される。すなわち、最下層のディスク22がフランジ面42b上に載置され、その上部に、他の3枚のディスク22がそれぞれスペーサ425を介して順に載置される。そして、最上層のディスク22の上面は、ハブ42の平面部422に取り付けられた押さえ部材426により押圧固定される。また、各ディスク22の内周部は第2円筒部423の外周面42aに接触し、これにより各ディスク22の径方向の移動が規制される。本実施形態では、ディスク22及びハブ42は、いずれもアルミニウムを主たる材料としている。このため、ディスク22及びハブ42の線膨張係数は同一又は近似しており、温度が変化した場合にもディスク22とハブ42との間に過度の応力が発生することはない。
台部424の下方の第2円筒部423の外周面には、ロータ部4の質量分布の偏りを補正するためのバランスリング44が取り付けられている。
ハブ42の第1円筒部421の上部の内周面は、上部スラストワッシャ341の外周面と微小な隙間を隔てて対向し、上部スラストワッシャ341の外周面との間で潤滑オイル51の漏れを防止するためのポンピングシール部を構成するポンピングシール面となっている。ハブ42のポンピングシール面には、上部スラストワッシャ341の外周面とハブ42のポンピングシール面との間に混在する潤滑オイル51に下方へ向かう動圧を発生させるポンピング溝列が刻設されている(図示省略)。上部スラストワッシャ341に対してハブ42が回転するときには、ポンピング溝列により潤滑オイル51が加圧され、潤滑オイル51に発生する下方向の流体動圧により潤滑オイル51の漏れが防止される。
既述した通り、上部スラストワッシャ341及び下部スラストワッシャ342は、ハブ42と線膨張係数が近い金属材料(例えば、アルミニウムを主成分とする合金や、銅を主成分とする合金)又は樹脂材料により形成されている。このため、温度が変化した場合にも、上部スラストワッシャ341の外周面とハブ42のポンピングシール面との間隙が極端に大きくなったり、あるいは、上部スラストワッシャ341の外周面とハブ42のポンピングシール面とが接触してしまったりすることはない。したがって、上部スラストワッシャ341の外周面とハブ42のポンピングシール面との間において潤滑オイル51の漏れを良好に防止することができる。
ハブ42の第1円筒部421の上面には、中央にシャフト孔を有するキャップ427が取り付けられている。キャップ427は、上部スラストワッシャ341の上方を覆い、キャップ427の外周部に塗布された接着剤によりハブ42に固定されている。
ロータマグネット43は、ハブ42の平面部422の下面に、ヨーク431を介して取り付けられている。ロータマグネット43は、中心軸Lを取り囲むように円環状に配置されている。ロータマグネット43の内周面は磁極面となっており、ステータコア32の複数のティース部322の外周面に対向する。
このようなスピンドルモータ1において、ステータ部3のコイル33に駆動電流を与えると、ステータコア32の複数のティース部322に径方向の磁束が発生する。そして、ティース部322とロータマグネット43との間の磁束の作用によりトルクが発生し、ステータ部3に対してロータ部4が中心軸Lを中心として回転する。ハブ42上に支持された4枚のディスク22は、スリーブ41及びハブ42とともに中心軸Lを中心として回転する。
図6に示すように、スリーブ41は、シャフト34の外周面34aに配置されてその内周面41aがシャフト34を取り囲む略円筒形状の部材である。シャフト34の軸方向略中央部には、シャフト34が第1微小間隙Pを介して挿通される軸受孔を有したスリーブ41が、上部スラストワッシャ341と下部スラストワッシャ342との間に配置されて、シャフト34に対して相対回転可能に支承される。
また、シャフト34の径方向外側に位置するシャフトラジアル軸受面と、それに対向するスリーブ41のスリーブラジアル軸受面との第1微小間隙Pに形成されたラジアル動圧軸受部を備えており、シャフトラジアル軸受面又はスリーブラジアル軸受面の少なくとも一方に、相対回転時に潤滑オイル51に流体動圧を誘起するラジアル動圧溝列411が形成されている。
本実施形態では、シャフト34の外周面34aには、軸方向に間隔をおいて上下に「く」字状のヘリングボーン形状のラジアル動圧溝列411d・411eが形成されている。図7に示すように、ラジアル動圧溝列411d・411eはそれぞれ、相対回転時に、下方から上方へ潤滑オイル51を圧送する第1動圧発生溝411aと、上方から下方へ潤滑オイル51を圧送する第2動圧発生溝411bとが、シャフト34外周面の周方向に沿って間隔をおいてそれぞれ複数並べられて軸方向に向き合ったヘリングボーン形状を成し、径方向の荷重を支持するラジアル動圧軸受部を構成している。なお、ラジアル動圧溝列411は、ヘリングボーン状やスパイラル状やテーパードランド状に限らず、流体動圧軸受として機能すれば、どのような溝パターンでもよい。また、該溝の加工方法は、材質や必要精度に応じて、エッチング、電解エッチング、塑性加工、切削加工、レーザ加工、イオンビーム加工、ショットブラスト等を適用することができる。なお、本実施形態では、ラジアル動圧溝列411d・411eをシャフトラジアル軸受面に形成したが、スリーブラジアル軸受面であるスリーブ41の内周面41aに形成する構成にしてもよい。
モータ1によりシャフト34に対してハブ42とスリーブ41とが一体的に回転駆動すると、ラジアル動圧溝列411d・411eのポンピング作用により、第1微小間隙Pに充填された潤滑オイル51に流体動圧を誘起して、ハブ42と固定又は一体加工されたスリーブ41は、シャフト34と非接触となりつつも径方向に支持され、シャフト34に対して回転自在に支承される。
また、スリーブ41の上方若しくは下方に位置するスリーブスラスト軸受面と、それに対向する上部スラストワッシャ341若しくは下部スラストワッシャ342のワッシャスラスト軸受面との第3微小間隙R若しくは第6微小間隙Uには、スラスト動圧軸受部を備えており、ワッシャスラスト軸受面又はスリーブスラスト軸受面の少なくとも一方に、相対回転時に潤滑オイル51に流体動圧を誘起するスラスト動圧溝列412若しくは413が形成されている。
本実施形態では、図3に示したように、スリーブ41の上面41cには、上部スラストワッシャ341の下面とスリーブ41の上面41cとの間に充填される潤滑オイル51に流体動圧を発生させるためのスラスト動圧溝列412が中心軸側から径方向外方へ放射状に刻設されている。また、図4に示したように、スリーブ41の下面41dにも、下部スラストワッシャ342の上面とスリーブ41の下面41dとの間に充填される潤滑オイル51に流体動圧を発生させるためのスラスト動圧溝列413が中心軸側から径方向外方へ放射状に刻設されている。なお、本実施形態では、スラスト動圧溝列412若しくは413をスリーブスラスト軸受面に形成したが、ワッシャスラスト軸受面である上部スラストワッシャ341の下面若しくは下部スラストワッシャ342の上面に形成する構成にしてもよい。また、スリーブ41の外周面には、図2に示したように、上方から下方へ潤滑オイル51を流す流路として、軸方向に沿って1つ又は複数のオイル溝41eが形成されている(図3、4中ではオイル溝41eは3本)。なお、本実施形態では、オイル溝41eを第2微小間隙Qとする。本実施形態では、1つ又は複数のオイル溝41eをスリーブ41の外周面に形成したが、ハブ42の内周面や、スリーブ41の外周面及びハブ42の内周面の両方に形成する構成にしてもよい。
モータ1によりシャフト34に対してハブ42とスリーブ41とが一体的に回転駆動すると、スラスト動圧軸受部のスラスト動圧溝列412・413のポンピング作用により、微小間隙に充填された潤滑オイル51に流体動圧を誘起して、ハブ42と固定又は一体加工されたスリーブ41は、上部及び下部スラストワッシャ341・342と非接触となりつつも軸方向に支持され、それらに対して回転自在に支承される。
<3.スリーブ突状部の構成>
次に、本実施形態に係るスリーブ突状部6について、図5に基づいて説明する。
スリーブ41の下面41dの外縁部分に、スリーブスラスト軸受面から下方に突出する突状部6が形成されている。このとき、スリーブ突状部6の頂部(下方先端部)6aと、ハブ内周面42cとが成す開口部7は、第2微小間隙Q(オイル溝41e)の下方の開口部に相当する。このとき、スリーブスラスト軸受面から下方に突出したスリーブ突状部6の長さは、シャフト34側への流路である第3微小間隙Rへの入り口を従来より遠ざけるのに十分な長さに設定する。なお、スリーブスラスト軸受面は、スリーブ41の下面41dの一部位である。
なお、スリーブ突状部6の外周面6bは、上方から下方へ向かうスリーブ外周面41bの延長面上に位置している。このため、スリーブ外周面41bの延長面上にスリーブ突状部6の外周面6bがない場合、例えば、スリーブ突状部6の外周面6bが径方向内方に傾斜している場合では、スリーブ外周面41bとハブ内周面42cとの第2微小間隙Qを流れてきた潤滑オイル51だけでなく気泡52も、スリーブ突状部6の内方への傾斜面に沿って第3微小間隙Rに入ってしまう恐れがあったが、上方から下方へ向かうスリーブ外周面41bの延長面上に、スリーブ突状部6の外周面6bが位置するようにしたことで、そういった問題も解消される。
また、スリーブ突状部6は、径方向内側に突状部6の傾斜面6cを有し、そのスリーブ突状部6の傾斜面6cに対向するように、下部スラストワッシャ342の上面342aの外縁部分に、スラストワッシャ傾斜面342bが形成され、スリーブ突状部傾斜面6cとスラストワッシャ傾斜面342bとの間には、第2微小間隙Qの下方の開口部7と第3微小間隙Rとに連通する第4微小間隙Sが形成されている。
また、従来の流体動圧軸受装置では、スリーブ下面41dとスリーブ外周面41bとからなる角度が直角をなしており、また、スラスト動圧溝列413がスリーブ下面41dの外縁部分にまで刻設されていた。スリーブ下面41dの外縁部分にまで刻設されていたスラスト動圧溝列413の引き込み力は強く、第2微小間隙Qを流れてきた潤滑オイル51だけでなく、潤滑オイル51の中に混在する気泡52までもシャフト34側への流路である第3微小間隙Rに流入してしまう可能性があった。そこで、スリーブ突状部6の頂部6aの角度、つまり、スリーブ突状部6の外周面6bとスリーブ突状部傾斜面6cとが成す角度を鋭角にしたことにより、従来のようにスリーブ下面41dの外縁部分が直角だった場合に比べて、シャフト34側への流路である第3微小間隙Rへ気泡52が流入するには、鋭角なスリーブ突状部6を迂回して巻き込まれていかねばならず、鋭角なスリーブ突状部6は気泡52が直接第3微小間隙Rへ流入するのを防ぐ防波堤としての機能も奏することができる。スリーブ突状部6の頂部6aの角度が鋭ければ鋭いほど、気泡52が流入する恐れがなくなる。
以上では、スリーブ41とスリーブ突状部6が同一の部材から構成したものを記載したが、これに限定されるものではなく、スリーブ41とスリーブ突状部6を別個に製造しておき、その後に固定又は一体加工する構成でもよい。
中心軸を含む断面における下部スラストワッシャ342の最も径方向外側に位置する部位342cと、ハブ内周面42cとが成す開口部8は、気泡52を排出させる流路となる第5微小間隙Tの上方の開口部に相当する。中心軸を含む断面における下部スラストワッシャ342の最も径方向外側に位置する部位342dから下部スラストワッシャ342の外周面342dは内方に傾斜しており、そのため、第5微小間隙Tの幅(内径)は、上方から下方へ漸次に広くなっており、第5微小間隙Tはテーパ状に形成されている。つまり、中心軸を含む断面における下部スラストワッシャ342の最も径方向外側に位置する部位342cとハブ内周面42cとが成す開口部8の幅が最も狭く、下部スラストワッシャ342の下面342eの外縁部分とハブ内周面42cとが成す開口部9の幅が最も広い構成となっている。
そのため、潤滑オイル51が第5微小間隙Tの上方の開口部8を通過し第5微小間隙T内に漏洩したとしても、第5微小間隙Tは下方に向かうにつれて内径が広くなっていることにより、潤滑オイル51が毛細管力の作用によって第5微小間隙T内にメニスカスを形成して潤滑オイル51が保持される。よって、表面張力と外気圧とが均衡する位置に潤滑オイル51の境界面が形成されるテーパシール部10が構成されることになる。
このため、気泡52は毛細管力が高い(間隙の幅が狭い)方から低い方(間隙の幅が広い)へ流れることから、上記の毛細管力の差異を利用した気泡52の排出効果を得ることができ、テーパシール部10からの気泡の排出が促進される。
また、テーパシール部10を構成することにより、潤滑オイル51が漏洩しようとしても、このテーパシール部10により上方に潤滑オイル51を引きつける作用を発揮する。これにより、潤滑オイル51の下方への漏洩を防ぐことができ、モータ1外部に潤滑オイル51を漏洩させることを防ぐことができる。
また、遠心力や温度上昇等により潤滑オイル51の体積が増加したり、あるいはその他の何らかの作用により、テーパシール部10のメニスカスが下方に移動することがあるが、潤滑オイル51の表面張力と外気圧とが均衡して、潤滑オイル51のモータ1外部への流出が防止される。したがって、信頼性の高いモータ1を提供することができる。
流体動圧軸受装置5は、シャフト34、スリーブ41、上部・下部スラストワッシャ341・342、ハブ42から構成されている。
<4.潤滑オイルの循環について>
続いて、流体動圧軸受装置5内を循環する潤滑オイル51の挙動について、図6に基づいて説明する。図6は、潤滑オイル51の循環駆動力の発生源及び循環の向きと、ラジアル動圧溝列411及びスラスト動圧溝列412・413との関係を表した図である。なお、図中の矢印は、動圧溝列がその方向に潤滑オイル51を圧送し、圧力を高めるように作用することを示す。
上述したように、シャフト外周面34aとスリーブ内周面41aとの間を第1微小間隙P、スリーブ外周面41bとハブ内周面42cとの間を第2微小間隙Q、スリーブスラスト軸受面と下部ワッシャスラスト軸受面との間を第3微小間隙R、スリーブ突状部傾斜面6cとスラストワッシャ傾斜面342bとの間を第4微小間隙S、スリーブスラスト軸受面と上部ワッシャスラスト軸受面との間を第6微小間隙U、とすると、流体動圧軸受装置内では、前記第1、第2、第3、第4、第6微小間隙Uが互いに連通して空間を形成し、その空間中に作動流体として連続的に潤滑オイルが充填されている。なお、本実施形態では、オイル溝41eを第2微小間隙Qとする。
潤滑オイル51としては、例えば、ポリオールエステル系オイルやジエステル系オイル等のエステルを主成分とするオイルが使用される。エステルを主成分とするオイルは、耐摩耗性、熱安定性、及び流動性に優れているため、流体動圧軸受装置5の潤滑オイル51として好適である。
<4−1.微小間隙P、R、Uの定義>
ここで、本明細書における「微小間隙P、R、U」という語句の意味について注釈を加える。本発明での「微小間隙P、R、U」とは、モータ1によりシャフト34に対してハブ42とスリーブ41とが一体的に回転駆動したとき、スラスト動圧軸受部及びラジアル動圧軸受部が、シャフト34、スリーブ41、上部及び下部スラストワッシャ341・342に対して支持力を発生させ、軸受面が非接触状態を維持した状態における軸受面間の微小な(例えば、数μm程度の)隙間のことを指す。静止状態の流体動圧軸受装置5をみても、例えばスラスト動圧軸受部には微小間隙が存在していないように見える場合がある。しかし、そのような場合でも、軸受部にはスリーブ41が非接触状態で維持できるように「遊び」が設けられており、モータ1によりシャフト34に対してハブ42とスリーブ41とが一体的に回転駆動したとき、その遊びに潤滑オイル51が流入し、軸受面に刻設された動圧発生溝を流れる際に発生する流体動圧によってスリーブ41を軸受面から浮上させている。
<4−2.第3微小間隙R>
まず、第3微小間隙Rにおける潤滑オイルの挙動について説明する。
第3微小間隙Rにおけるスラスト軸受面には、相対回転時にスリーブ41と下部スラストワッシャ342との間に保持された潤滑オイル51を、スラスト軸受面の径方向外方から径方向内方に圧送するポンプイン形状のスラスト動圧溝列413が形成されている。このため、モータ1によりシャフト34に対してスリーブ41が相対回転駆動すると、スラスト動圧溝列413のポンピング作用により、スラスト動圧溝列413のスラスト動圧発生溝413aと、そこを流れる潤滑オイル51の粘性とにより誘起される軸方向の流体動圧によって、スリーブスラスト軸受面と下部ワッシャスラスト軸受面とが非接触状態に支持される。そして、スラスト動圧溝列413はポンプイン形状を有しているため、シャフト34側に潤滑オイル51を圧送する流体動圧を誘起し、シャフト34側(ラジアル動圧軸受部側)に潤滑オイル51を圧送することができる。
<4−3.第1微小間隙P>
次に、第1微小間隙Pにおける潤滑オイル51の挙動について説明する。
シャフト34の外周面では、上下ラジアル動圧溝列411d・411eそれぞれにおいて、第1動圧発生溝411aによって誘起される潤滑オイル51を下方から上方に圧送する力と、第2動圧発生溝411bによって誘起される潤滑オイル51を上方から下方に圧送する力とが、その隣接点411c(「く」字状ラジアル動圧溝列の屈曲部411c)においてぶつかり合い重畳して局所的に圧力が上昇し、径方向に対して強い支持力を発生させる。このため、例えば、外的要因によりシャフト34若しくはスリーブ41を傾ける外力が径方向から加わったとしても、シャフト34の上下端部に近い箇所で、それぞれ上下のラジアル動圧軸受部411d・411eが径方向に支持力を発生させているため、径方向に対して剛性が強く、そのような外力により傾く恐れはない。そのため、シャフト外周面34aとスリーブ内周面41aとを非接触の状態で、シャフト34の外周を安定してスリーブ41を回転させることができる。
また、下側のラジアル動圧溝列411eの軸方向の溝スパンは、上側のラジアル動圧溝列411dの軸方向の溝スパンに比べて広い構成になっている。これは以下の問題を解決するために構成されたものである。例えばサーバ用等のディスク駆動装置2では大容量が求められるので、これに搭載するモータ1には、その大容量のデータを保存・記録するために複数枚のディスク22を積む必要がある。複数枚のディスク22をハブ42のフランジ面(ディスク載置面)42bに載せているので、その複数枚のディスク22の自重がモータ1全体にかかり、モータ1全体としての重心Gは中心軸の軸方向中心部分ではなく軸方向下方部分に位置することになる。そのため、このモータ1を傾けることなく回転させるためには、その重心G部分に対し径方向から強く支持する必要がある。ラジアル動圧溝列411の軸方向の溝スパンが広いほど、つまり、それを構成している第1動圧発生溝411aと第2動圧発生溝411bの溝スパンが広いほど、ラジアル動圧溝列411は径方向に対して強い支持力を発生させるので、モータ1全体の重心Gに近い箇所で剛性が最も強くなるように、下側のラジアル動圧溝列411eの軸方向の溝スパンを広く設定した。また、このように構成することにより、スリーブ41の回転に伴って、溝スパンの広い下側のラジアル動圧溝列411eから溝スパンの狭い上側のラジアル動圧溝列411dに向かって潤滑オイル51を圧送する圧力が働く。
次に、第1微小間隙Pにおいて、潤滑オイル51が下方から上方に流れる挙動について説明する。
ラジアル動圧溝列411は、相対回転時に、第1動圧発生溝411aにより発生する圧力は、第2動圧発生溝411bにより発生する圧力より高くなるように構成されている。このため、第1動圧発生溝411aによって誘起された潤滑オイル51を下方から上方に圧送する圧力が、第2動圧発生溝411bによって誘起された潤滑オイル51を下方に圧送する圧力に比べて大きく打ち勝って、第1微小間隙P中を下方から上方に向かって潤滑オイル51が圧送することができる。また、相対回転時に、第1微小間隙P中で潤滑オイル51を下方から上方へ圧送するのと同時に、第2微小間隙Qに混在する潤滑オイル51を上方から下方へと圧送することができる。つまり、オイル循環作用を働かせることができる。このような効果を得るための構成として、以下の構成例が挙げられる。
シャフト34外周面の周方向に沿って間隔をおいてそれぞれ複数並べられて軸方向に向き合った第1動圧発生溝411aの数と第2動圧発生溝411bの数とが同数である場合、図7(a)に示すように、第1動圧発生溝411aの軸方向の溝スパンaを、第2動圧発生溝411bの軸方向の溝スパンbよりも大きく設定する。
また、図7(b)に示すように、シャフト外周面34aの周方向に沿って間隔をおいて並べられた第1動圧発生溝411aの数を、第2動圧発生溝411bの数よりも多くする。この場合、第1動圧発生溝411aの軸方向の溝スパンcと、第2動圧発生溝411bの軸方向の溝スパンdとが同じであっても、上記のような効果を得ることができる。
<4−4.第6微小間隙U>
まず、第6微小間隙Uにおける潤滑オイル51の挙動について説明する。
第6微小間隙Uにおけるスラスト軸受面には、相対回転時にスリーブ41と上部スラストワッシャ341との間に保持された潤滑オイル51を、スラスト軸受面の径方向外方から径方向内方に圧送するポンプイン形状のスラスト動圧溝列413が形成されている。しかし、第1微小間隙Pで下方から上方へ圧送された潤滑オイル51の循環駆動力の方が、第6微小間隙Uで径方向外方から径方向内方に圧送しようとする循環駆動力よりも大きいため、第6微小間隙U中の潤滑オイル51は、径方向内方から径方向外方へと流れ、第2微小間隙Qに流入する。
また、第6微小間隙Uにおけるスラスト軸受面には、相対回転時にスリーブ41と上部スラストワッシャ341との間に保持された潤滑オイル51を、スラスト軸受面の径方向外方から径方向内方に圧送するポンプアウト形状のスラスト動圧溝列412に形成することもできる。このため、モータ1によりシャフト34に対してスリーブ41が相対回転駆動すると、スラスト動圧溝列412のポンピング作用により、スラスト動圧溝列412のスラスト動圧発生溝412aと、そこを流れる潤滑オイル51の粘性とにより発生する軸方向の流体動圧によって、スリーブスラスト軸受面と上部ワッシャスラスト軸受面とが非接触状態に支持される。そして、スラスト動圧溝列412はポンプアウト形状を有しているため、ハブ42側に潤滑オイル51を圧送する圧力を誘起し、第2微小間隙Qに潤滑オイル51を圧送することができる。
なお、本実施形態では、スリーブ41の上方に位置するスリーブスラスト軸受面と、それに対向する上部スラストワッシャ341の上部ワッシャスラスト軸受面との間の第6微小間隙Uを備えた流体動圧軸受装置5について記載したが、図9に示すように、第6微小間隙Uを設けずに、第1微小間隙Pから第2微小間隙Qに直接連通する構成にした流体動圧軸受装置にすることもできる。
<4−5.第2微小間隙Q>
次に、第2微小間隙Q(オイル溝41e)における潤滑オイル51の挙動について説明する。
第2微小間隙Qを構成しているスリーブ外周面41b上及びハブ内周面42c上には、他の微小間隙に構成されている軸受面のように動圧溝列が形成されておらず、潤滑オイル51を圧送する駆動力を発生させない。しかし、スラスト動圧軸受部及びラジアル動圧軸受部により駆動力を得た潤滑オイル51が、第2微小間隙Qへ流入してくるので、そのまま第2微小間隙Qを通過し、後述する第4微小間隙Sへと流入する。
<4−6.第4微小間隙S>
第2微小間隙Qを流れてきた潤滑オイル51が、スリーブ突状部6を迂回して第4微小間隙Sに流入し、シャフト34側への流路である第3微小間隙Rへ流入する。第3微小間隙Rへ流入するのにわざわざスリーブ突状部6を迂回せねばならず、気泡52が第3微小間隙Rへ流入しにくくなり、動圧軸受部への気泡52の流入を防止することができる。第3微小間隙Rへの入り口を従来より下方へ遠ざけて、第5微小間隙T内の気泡52の排出口であるテーパシール部10に近づけたことで、気泡52の排出効果を促進することができる。
以上の説明は、第3微小間隙R、第1微小間隙P、第6微小間隙U、第2微小間隙Q、第4微小間隙S、第3微小間隙R、の順に循環する潤滑オイル51の挙動について説明したものであるが、循環の向きについては特に限定しない。
<5.潤滑オイルと気泡の選別について>
次に、潤滑オイル51と、潤滑オイル51中に混在する気泡52とを選別し、気泡52をシャフト外周面34aまで入り込むことなく排出し、気泡52による不具合を防止する本発明について、図8に基づいて説明する。同時に、潤滑オイル51が第5微小間隙Tに漏洩しない構成についても説明する。
<5−1.潤滑オイルと気泡の関係について>
ここで、潤滑オイル51と気泡52の関係について説明する。気泡52の挙動は毛細管力が大きく影響し、毛細管力とは、互いに解け合わない2種類の流体が固体の表面に接触した場合に、両流体の固体表面をぬらそうとする性質(ぬれ特性)の差により両流体の間に生じる圧力差のことをいう。毛細管力は、主に、流体の表面張力や接触角、そして流体が保持されている部分の形状や材質、そして表面荒さ等により決定される。流体動圧軸受装置5において、2つの流体とは潤滑オイル51及びその中に混在する気泡52のことであり、固体とはスリーブ41、スリーブ突状部6、シャフト34、ハブ42、及び上部及び下部スラストワッシャ341・342のことである。この流体動圧軸受装置5内に潤滑オイル51に気泡52が存在する場合、毛細管力が小さい(間隙の幅が広い)領域から大きい(間隙の幅が狭い)領域へ潤滑オイル51は流れようとし、その反作用として気泡52が毛細管力が大きい(間隙の幅が狭い)領域から小さい(間隙の幅が広い)領域へ移動しやすくなる。この現象は、毛細管力が小さい領域から大きい領域へ潤滑オイル51に力(毛管力)が作用するとともに、潤滑オイル51が毛管力の作用する方向へ流れようとすることで、気泡52に毛管力とは反対方向に力が作用するため起こる。
<5−2.各微小間隙での幅を示すための記号振り分けについて>
第2微小間隙Qの下方側開口部7と、第4微小間隙Sの径方向外側の開口部11aと、第5微小間隙Tの上方の開口部8とが囲む箇所を分岐路12とすると、第2微小間隙Qを上方から下方へ流れてきた潤滑オイル51及びその中に混在する気泡52は、分岐路12で第4微小間隙Sか第5微小間隙Tのいずれかに流れることになる。上述したように、潤滑オイル51と気泡52とは、それまで流れてきた微小間隙の幅と、それから流入する微小間隙の幅との大小関係によって、どの微小間隙に流入するかどうかが決まる。そこで、潤滑オイル51及びその中に混在する気泡52がどの微小間隙に流入するか説明するために、各微小間隙の幅を以下のように記号を振り分ける。中心軸を含む断面における第3微小間隙Rの幅をA、中心軸を含む断面における第4微小間隙Sの径方向外側開口部の幅をB、中心軸を含む断面における第2微小間隙Qの下方側開口部の幅をC、中心軸を含む断面における下部スラストワッシャの最も径方向外側に位置する部位とハブ内周面との幅をD、とする。
<5−3.潤滑オイルの流れ:第2微小間隙Qから第4微小間隙Sへ:B<C>
潤滑オイル51がどの微小間隙を流れるか説明する。
第2微小間隙Q中を上方から下方へ流れてきた潤滑オイル51が、第4微小間隙Sに流入し、シャフト34側への流路である第3微小間隙Rへ流れるように、それぞれ微小間隙の幅の大小関係を設定する。詳しくは、第4微小間隙Sの径方向外側開口部の幅Bが、第2微小間隙Qの下方側開口部の幅Cよりも小さくなるように設定する。上述したように、毛細管力が小さい(間隙の幅が広い)領域から大きい(間隙の幅が狭い)領域へ潤滑オイル51は流れようとするので、第2微小間隙Qを流れてきた潤滑オイル51は、第4微小間隙Sへ流入しやすくすることができる。一方、潤滑オイル51中に混在する気泡52は、流入しにくくすることができる。
ここで、第4微小間隙Sに流入してきた潤滑オイル51を円滑に第3微小間隙Rへ流すために、次のように第4微小間隙Sを構成することも可能である。詳しくは、第4微小間隙Sを、径方向外側開口部11aから径方向内側開口部11bへ向かうにつれて漸次に狭くなるように設定する。なお、第4微小間隙Sの径方向内側開口部11bの幅は、幅Aと同等か、それより広くてもよい。このように構成することにより、潤滑オイル51は毛細管力が低い(間隙の幅が広い)方から高い方(間隙の幅が狭い)へ流れることから、第4微小間隙Sの径方向外側開口部11aから径方向内側開口部11bへの、上記の毛細管力の差異を利用して潤滑オイル51の流入を促進することができ、潤滑オイル51の第5微小間隙Tへの流入防止を促進することができる。
<5−4.潤滑オイルの流れ:第4微小間隙Sから第3微小間隙Rへ:B>A>
そして、第4微小間隙Sの径方向外側開口部11aの幅Bが、第3微小間隙Rの幅Aよりも大きくなるように設定する。このような構成にすることにより、第2微小間隙Qからスリーブ突状部6を迂回して第4微小間隙Sの径方向外側開口部11aに流入した潤滑オイル51が、下方から上方へ重力に逆らって第4微小間隙Sを通過して第3微小間隙Rへ流入するのを促進することができる。
<5−5.潤滑オイルと気泡の選別:B<D>
次に、潤滑オイル51が、第5微小間隙Tに流れないように微小間隙の幅を設定する。そのために、第4微小間隙Sの径方向外側開口部11aの幅Bが、中心軸を含む断面における下部スラストワッシャ342の最も径方向外側に位置する部位342cとハブ内周面42c(つまり、第5微小間隙Tの上方の開口部8)との幅Dよりも小さくなるように設定する。このような構成にしたことにより、第2微小間隙Qを流れてきた潤滑オイル51は、分岐路12で第4微小間隙Sと第5微小間隙Tのいずれかに流れることになるが、第4微小間隙Sの径方向外側開口部11aの幅Bの方が中心軸を含む断面における下部スラストワッシャ342の最も径方向外側に位置する部位342cとハブ内周面42cとの幅Dより狭いので、毛細管力により潤滑オイル51は第4微小間隙Sへ流れる。一方、潤滑オイル51に混在して第2微小間隙Qを流れてきた気泡52は、同じく分岐路12で第4微小間隙Sと第5微小間隙Tのいずれかに流れることになるが、中心軸を含む断面における下部スラストワッシャ342の最も径方向外側に位置する部位342cとハブ内周面42cとの幅Dの方が第4微小間隙Sの径方向外側開口部11aの幅Bより広いので、毛細管力により気泡52は第5微小間隙Tへ流れる。以上より、潤滑オイル51は循環流路である第4微小間隙Sへ、気泡52は排出口であるテーパシール部10を有した第5微小間隙Tへそれぞれ流すことができる。
<5−6.気泡の排出:第2微小間隙Qから第5微小間隙Tへ>
次に、潤滑オイル51中に混在する気泡52の流れについて説明する。第2微小間隙Qを流れてきた気泡52が効率よく第5微小間隙Tへ流入し、第5微小間隙Tの下方の開口部9(排出口)から排出されるように、微小間隙の幅を設定する。そのために、第2微小間隙Qの下方側開口部7の幅Cは、中心軸を含む断面における下部スラストワッシャ342の最も径方向外側に位置する部位342cとハブ内周面42cとの幅Dよりも小さいなるように設定する。このような構成にしたことにより、第2微小間隙Qを流れてきた潤滑オイル51に混在する気泡52が第5微小間隙Tへ流入するのを促進し、気泡52を排出する効果を高めることができる。また、潤滑オイル51が第5微小間隙Tへ流入するのを防止することができる。
<6.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態では、シャフト34と下部スラストワッシャ342とが別個の部材として構成されていたが、図10に示したように、シャフト34が、シャフト34と下部スラストワッシャ342との1部材から構成されていてもよい。
また、上記の実施形態では、スリーブ41とハブ42とが別個の部材として構成されていたが、図11に示したように、スリーブ41が、スリーブ41とハブ42との1部材から構成されていてもよい。
<7.その他>
上記の実施形態では、軸固定型のアウターロータモータについて説明したが、本発明は、軸回転型のモータや、インナーロータモータにも適用することができる。なお、軸回転型のモータの場合、スリーブ41とハブ42との間にスリーブハウジングを挟持した構成のものがあるが、その場合、スリーブ、ハブ、スリーブハウジングは同一の部材から構成されたものでも、また、それぞれ別個に製造しておき、その後に固定又は一体加工する構成でもよい。
ディスク駆動装置の縦断面図である。 スピンドルモータの縦断面図である。 スリーブ突状部及びその周囲の構成を示した拡大縦断面図である。 スリーブの上面図である。 スリーブの下面図である。 潤滑オイルの循環の説明図である。 ラジアル動圧溝列における、第1動圧発生溝と第2動圧発生溝の関係図である。 各微小間隙の幅の大小関係を示す図である。 第1微小間隙から第2微小間隙に直接連通する構成にした拡大縦断面図である。 シャフトと下部スラストワッシャとが一体となった場合のスピンドルモータの縦断面図である。 スリーブとハブとが一体となった場合のスピンドルモータの縦断面図である。
符号の説明
1 スピンドルモータ
2 ディスク駆動装置
3 ステータ部
4 ロータ部
5 流体動圧軸受装置
6 突状部
6a 頂部
6b 外周面
6c 傾斜面
10 テーパシール部
12 分岐路
21 装置ハウジング
22 ディスク
23 アクセス部
31 ベース部材
32 ステータコア
33 コイル
34 シャフト
34a 外周面
41 スリーブ
41a 内周面
41b 外周面
41c 上面
41d 下面
41e オイル溝
42 ハブ
42a 外周面
42b フランジ面
42c 内周面
43 ロータマグネット
341 上部スラストワッシャ
341a 下面
342 下部スラストワッシャ
342a 上面
342b 傾斜面
342c 中心軸を含む断面における下部スラストワッシャの最も径方向外側に位置する部位
342d 外周面
342e 下面
411a 第1動圧発生溝
411b 第2動圧発生溝
411c 屈曲部
411d 下ラジアル動圧溝列
411e 上ラジアル動圧溝列
A 中心軸を含む断面における第3微小間隙の幅
B 中心軸を含む断面における第4微小間隙の径方向外側開口部の幅
C 中心軸を含む断面における第2微小間隙の下方側開口部の幅
D 中心軸を含む断面における下部スラストワッシャの最も径方向外側に位置する部位とハブ内周面との幅
G 重心
L 中心軸
P 第1微小間隙
Q 第2微小間隙
R 第3微小間隙
S 第4微小間隙
T 第5微小間隙
U 第6微小間隙

Claims (15)

  1. 流体動圧軸受装置であって、
    流体動圧軸受装置の中心軸として配置されるシャフトと、
    前記シャフトが第1微小間隙を介して挿通される軸受孔を有し、前記シャフトに対して相対回転可能に支持されるスリーブと、
    前記スリーブの外周面に第2微小間隙を介して固定又は一体成形され、ディスクが載置されるディスク載置面を有するハブと、
    前記シャフトと固定又は一体成形されて、前記シャフトの外周面から径方向外側に突出するスラストワッシャと、
    前記スリーブの軸方向一方側に位置するスリーブスラスト軸受面と、それに対向する前記スラストワッシャのワッシャスラスト軸受面との第3微小間隙に形成されたスラスト動圧軸受部と、
    互いに連通する第1、第2、第3微小間隙を含む空間中に作動流体として充填される潤滑オイルと、
    を備え、
    前記スリーブの軸方向一方側の端面の外縁部分には、前記スリーブスラスト軸受面から軸方向一方側に突出するスリーブ突状部が形成され、
    前記スリーブ突状部の頂部と前記ハブ内周面とが成す開口部が、前記第2微小間隙の軸方向一方側の開口部であり、
    前記スラストワッシャの軸方向他方側の端面の外縁部分と前記スリーブ突状部との間には、前記第2微小間隙の軸方向一方側の開口部と前記第3微小間隙とに連通する第4微小間隙が形成されていることを特徴とする流体動圧軸受装置。
  2. 請求項1に記載の流体動圧軸受装置において、
    前記スリーブ突状部は、径方向内側に突状部傾斜面を有し、
    前記突状部傾斜面に対向するように前記スラストワッシャの軸方向他方側の端面の外縁部分にスラストワッシャ傾斜面が形成され、
    前記突状部傾斜面と前記スラストワッシャの傾斜面との間に前記第4微小間隙が形成されていることを特徴とする流体動圧軸受装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の流体動圧軸受装置において、
    前記中心軸を含む断面における前記第3微小間隙の幅をA、
    前記中心軸を含む断面における前記第4微小間隙の径方向外側開口部の幅をB、
    としたとき、
    前記幅Bは前記幅Aよりも大きいことを特徴とする流体動圧軸受装置。
  4. 請求項3に記載の流体動圧軸受装置において、
    前記中心軸を含む断面における前記第2微小間隙の軸方向一方側開口部の幅をC、
    としたとき、
    前記幅Bは前記幅Cよりも小さいことを特徴とする流体動圧軸受装置。
  5. 請求項4に記載の流体動圧軸受装置において、
    前記中心軸を含む断面における前記スラストワッシャの最も径方向外側に位置する部位と前記ハブ内周面との幅をD、
    としたとき、
    前記幅Bは前記幅Dよりも小さいことを特徴とする流体動圧軸受装置。
  6. 請求項5に記載の流体動圧軸受装置において、
    前記幅Cは前記幅Dよりも小さいことを特徴とする流体動圧軸受装置。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の流体動圧軸受装置において、
    前記第4微小間隙が、径方向外側開口部から径方向内側開口部へ向かうにつれて漸次に狭くなっていることを特徴とする流体動圧軸受装置。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の流体動圧軸受装置において、
    前記スリーブ突状部の頂部が、鋭角を成すことを特徴とする流体動圧軸受装置。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の流体動圧軸受装置において、
    軸方向他方側から軸方向一方側へ向かう前記スリーブ外周面の延長面上に、前記スリーブ突状部の外周面が位置することを特徴とする流体動圧軸受装置。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の流体動圧軸受装置において、
    前記シャフトの径方向外側に位置するシャフトラジアル軸受面と、それに対向する前記スリーブのスリーブラジアル軸受面との前記第1微小間隙に形成されたラジアル動圧軸受部を更に備え、
    前記シャフトラジアル軸受面又は前記スリーブラジアル軸受面の少なくとも一方に、相対回転時に前記潤滑オイルに流体動圧を誘起するラジアル動圧溝列が形成され、
    前記ワッシャスラスト軸受面又は前記スリーブスラスト軸受面の少なくとも一方に、前記相対回転時に前記潤滑オイルに流体動圧を誘起するスラスト動圧溝列が形成されていることを特徴とする流体動圧軸受装置。
  11. 請求項10に記載の流体動圧軸受装置において、
    前記スラスト動圧溝列は、相対回転時に前記スリーブと前記スラストワッシャとの間に保持された前記潤滑オイルを径方向内方に圧送するポンプイン形状を有することを特徴とする流体動圧軸受装置。
  12. 請求項10乃至請求項11のいずれかに記載の流体動圧軸受装置において、
    前記ラジアル動圧溝列は、相対回転時に、軸方向一方側から軸方向他方側へ前記潤滑オイルを圧送する第1動圧発生溝と、軸方向他方側から軸方向一方側へ前記潤滑オイルを圧送する第2動圧発生溝とが、前記シャフト外周面の周方向に沿って間隔をおいてそれぞれ複数並べられて軸方向に向き合ったヘリングボーン形状を有し、
    前記相対回転時、前記第1動圧発生溝により発生する圧力は、前記第2動圧発生溝により発生する圧力より高いことを特徴とする流体動圧軸受装置。
  13. 請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の流体動圧軸受装置において、
    前記スラストワッシャ外周面と前記ハブ内周面との間の第5微小間隙が、軸方向他方側から軸方向一方側へ漸次に広くなり、前記潤滑オイルが毛細管力の作用によって前記第5微小間隙にメニスカスを形成して保持され、表面張力と外気圧とが均衡する位置に前記潤滑オイルの境界面を形成するテーパシール部が構成されていることを特徴とする流体動圧軸受装置。
  14. ベース部材と、
    前記ベース部材に固定された磁束発生部と、
    請求項1乃至請求項13のいずれか記載の流体動圧軸受装置によって前記ベースに対して回転自在に支持されたロータ部と、
    前記磁束発生部に対向して前記ロータ部に取り付けられたロータマグネットと、
    を備えることを特徴とするスピンドルモータ。
  15. ディスクを回転させるディスク駆動装置であって、
    装置ハウジングと、
    前記装置ハウジングの内部に固定された請求項14記載のスピンドルモータと、
    前記ディスクに対して情報の読み出し及び/又は書き込みを行うアクセス部と、
    を備えることを特徴とするディスク駆動装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101133376B1 (ko) * 2010-08-25 2012-04-06 삼성전기주식회사 스핀들 모터
WO2012172956A1 (ja) * 2011-06-15 2012-12-20 Ntn株式会社 流体動圧軸受装置
WO2013141622A1 (ko) * 2012-03-23 2013-09-26 주식회사 휴모테크 스핀들 모터
JP2016142290A (ja) * 2015-01-30 2016-08-08 日本電産株式会社 流体動圧軸受装置、スピンドルモータ、およびディスク駆動装置

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