JP2009150216A - 作業車両のエンジンの負荷制御装置 - Google Patents

作業車両のエンジンの負荷制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ホイールローダ等の作業車両において、車体性能のダウンや、エネルギーの無駄等の問題を生じさせることなく、高い走行負荷がかかった場合に、十分な牽引力を得られるようにし、短時間で車速を上昇させることができるようにする。
【解決手段】可変容量型油圧ポンプに、吸収トルクを変化させる吸収トルク変化手段が設けられる。走行負荷計測手段では、走行負荷が所定のしきい値以上である場合に走行負荷が高いと判断し、油圧ポンプの吸収トルクを低下させる制御を実行する。この制御は、例えば、パワーモードスイッチによって「パワーモード」が選択されていることを条件に、実行される。
【選択図】図2

Description

本発明は、作業車両のエンジンの負荷制御装置に関する。
ホイールローダは、エンジンを駆動源としてトルクコンバータを介して駆動輪(車輪)が駆動され、走行される。つまりエンジン出力は、走行負荷に使用される。また、エンジンは、ステアリング機構やローダ等の作業機の駆動源となっている。すなわち、エンジンによってステアリング用油圧ポンプが駆動され、ステアリング用油圧ポンプから吐出された圧油が、ステアリング用油圧シリンダに供給され、これに応じてステアリング機構が作動される。また、エンジンによってローダ用油圧ポンプが駆動され、ローダ用油圧ポンプから吐出された圧油が、ローダ用油圧シリンダに供給され、これに応じてローダが作動される。ステアリング用油圧ポンプ、ローダ用油圧ポンプには、容量が一定の固定容量型油圧ポンプが使用されている。このようにエンジン出力は、走行負荷のみならず作業油圧負荷にも使用される。
ホイールローダの走行速度は、アクセルペダルの踏み込み量に応じて変化する。すなわち、アクセルペダルの踏み込み量に応じて、エンジンの回転数が変化され、それに応じて車速が変化する。
そして、ホイールローダは、走行負荷と作業油圧負荷の双方がかかる状況下、たとえば走行しながら、ローダを上下動させたりする状況下、で作業を行う機会が、他の油圧ショベル等の作業車両に比べて多い。
ここで、油圧ショベルに関しては、各種作業モードに応じて、可変容量型油圧ポンプの最大吸収トルクや容量を変化させるという発明が、下記に例示する各特許文献により既に公知となっている。
特開昭62−58033号公報 特許第2711833号公報
このようにホイールローダでは、1つのエンジンの出力が、走行負荷、作業油圧負荷の双方に用いられる。このため作業油圧負荷の大きさ如何によって走行に使用することができるエンジン出力が左右される。
図3は、エンジン回転数NとエンジントルクTeとの関係を示している。図3において、トルコンマッチングカーブLtは、トルクコンバータの吸収トルク線であり、走行負荷を示している。矢印Aに示すように、アクセルペダルを踏み込むにつれて、エンジン回転数NとエンジントルクTeが上昇する。ローダやステアリング機構が作動していない状況、つまり作業油圧負荷がない状態では、最大トルク線R1上のマッチング点V1でトルコン吸収馬力とエンジン出力がマッチングし、エンジン出力のすべてを走行負荷に使用することができる。このため、大きな牽引力が必要なときや、坂道で加速が必要なときに、十分な牽引力を得ることができ、車速を短時間で上昇させることができる。
しかし、走行しながら、ローダやステアリング機構を作動させる状況、つまり作業油圧負荷が生じている状況下では、同図3に斜線で示すエンジン出力が作業油圧負荷として消費されるため、それを差し引いたエンジン出力分しか走行負荷に使用することができなくなる。
このためトルコン吸収馬力とエンジン出力とのマッチング点は、V2に下降し、走行に使用することができるエンジン出力が低下してしまい、作業を行いながら、しかも高い走行負荷にも対処しなければならない状況下では、高い走行負荷に必要なエンジン出力が得られず、このため十分な牽引力が得られなかったり、長時間を要しても車速を上昇させることができなくなることがある。
そこで、このような問題を解決するために、作業機用油圧ポンプで吸収されるトルク自体を減らすこと、つまり、ステアリング用油圧ポンプなどの固定容量型油圧ポンプの容量を小さく設定することが考えられる。しかし、ステアリング用油圧ポンプの容量を小さく設定すると、エンジン回転数が低いローアイドル時にステアリングが十分に切れなくなるという問題が発生する。ホイールローダでは、エンジンがアイドリング状態(ローアイドル回転時)にあっても、十分にステアリングが切れることが要求される。エンジン回転数が低いローアイドル回転時であっても、ステアリング用油圧シリンダに多くの流量の圧油が流れるようにするためには、ポンプの容量は一定レベル以上確保することが必要となる。仮にポンプ容量を小さくすれば、エンジン回転数が低いローアイドル回転時に油圧シリンダに供給され得る最大流量が減り、ステアリングを切る速度が遅くなるという問題が生じる。また、ローダ用油圧ポンプの容量を小さく設定すれば、同じく流量が減り、ローダを上げ下げする速度が遅くなり、作業効率が損なわれる。このように固定容量型油圧ポンプの容量を減らすことは、車体性能のダウンにつながる。
当然、エンジンを大型化してエンジントルクに余裕を持たせることで、高い走行負荷に対処することも考えられるが、「作業を行いながら、しかも大きな牽引力や坂道で加速が必要な状況」となるのは、実際の作業時間のうち僅かな時間であり、そのためだけに、エンジンを大型化することは、コスト上昇を招くとともに、燃費が悪化しエネルギーの無駄となる。
また、走行と作業を同時に操作しているときに、ローダ用操作レバーの操作を加減して、エンジン出力のうち走行負荷に回せる分を大きくするように調整することも考えられるが、そのような複雑な操作はオペレータに大きな負担を課すことになるとともに、実際にそのような調整を行うことは難しい。
本発明はこうした実状に鑑みてなされたものであり、ホイールローダ等の作業車両において、車体性能のダウンや、エネルギーの無駄等の問題を生じさせることなく、高い走行負荷がかかった場合に、十分な牽引力を得られるようにし、短時間で車速を上昇させることができるようにすることを解決課題とするものである。
なお、上記特許文献1、2には、各種作業モードに応じて、可変容量型油圧ポンプの最大吸収トルクや容量を変化させるということは記載されてはいるが、各種モードに応じて、走行負荷と作業負荷へのエンジン出力の配分を変えるという技術思想、つまり複数の可変容量型油圧ポンプを、走行用の油圧ポンプと作業用の油圧ポンプに分けて、各種モードに応じて、走行用油圧ポンプと作業用油圧ポンプとで、最大吸収トルクの大きさや容量の大きさを異ならせるという技術思想は何ら記載されていない。
発明は、
エンジン(1)の出力が駆動輪(5)に伝達されるとともに、エンジン(1)の出力が可変容量型油圧ポンプ(7、8、9)を介して作業機に伝達される作業車両のエンジンの負荷制御装置であって、
可変容量型油圧ポンプ(7、8、9)の吸収トルクを変化させる吸収トルク変化手段(19、22)と、
駆動輪(5)に伝達される走行負荷を計測する走行負荷計測手段(18)と、
走行負荷計測手段によって計測された走行負荷が所定のしきい値以上である場合に、走行負荷が高いと判断して、可変容量型油圧ポンプ(7、8、9)の吸収トルクを低下させる制御手段(18)と
を備えた作業エンジンの負荷制御装置であることを特徴とする。
発明は、第発明において、
エンジン(1)の出力がトルクコンバータ(2)、トランスミッション(3)を介して駆動輪(5)に伝達される作業車両のエンジンの負荷制御装置であって、
走行負荷計測手段(18)
トルクコンバータ(2)の入力軸回転数と、トランスミッション(3)の出力軸回転数と、トランスミッション(3)で現在選択されている速度段とに基づいて走行負荷を演算するものであること
を特徴とする。
発明は、
第1発明又は第2発明に記載の作業車両のエンジンの負荷制御装置において、
高い走行負荷で走行するパワーモードを選択する選択手段(31)をさらに備え、
前記走行負荷計測手段(18)によって、走行負荷が高いと判断された場合、前記選択手段(31)によってパワーモードが選択されていることを、可変容量型油圧ポンプ(7、8、9)の吸収トルクを低下させる制御を実行する条件とすること
を特徴とする。
発明は、第2発明において、
複数の走行モードを選択する選択手段(31)をさらに備え、
走行モード選択手段(31)で選択された走行モードの種類に応じて、前記しきい値を、選択された作業モードに対応づけられた大きさに変化させること
を特徴とする。
発明は、第1発明ないし第6発明のいずれかにおいて、
エンジン(1)の出力が走行用油圧ポンプを介して駆動輪(5)に伝達されることを特徴とする。
発明は、第1発明ないし第5発明のいずれかにおいて、
走行負荷が高いと判断され、可変容量型油圧ポンプ(7、8、9)の吸収トルクを低下させているとき、ブレーキが操作された場合に、可変容量型油圧ポンプの吸収トルクを低下させる制御を解除することを特徴とする。
第7発明は、第6発明において、
ブレーキが操作された場合、ブレーキの操作量が所定のしきい値を超えた場合に可変容量型油圧ポンプ(7、8、9)の吸収トルクを低下させる制御を解除することを特徴とする。
本発明の作用、効果について、図面を参照しながら説明する。
すなわち、図6または図7に示すように、可変容量型油圧ポンプ7、8、9に、吸収トルクを変化させる吸収トルク変化手段19または22が設けられる。コントローラ18では、走行負荷が高い状態であるか否かが判断され、走行負荷が高い状態であると判断された場合に、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを低下させる制御を実行する。この制御は、例えば、パワーモードスイッチ31によって「パワーモード」が選択されていることを条件に、実行される(第発明)。
図2において、トルコンマッチングカーブLtは、トルクコンバータ2の吸収トルク線であり、走行負荷を示している。矢印Aに示すように、アクセルペダル17を踏み込むにつれて、エンジン回転数NとエンジントルクTeが上昇し、トルコン吸収馬力が上昇する。
トルコン吸収馬力は、エンジン出力から可変容量型油圧ポンプ7、8、9のポンプ吸収馬力を差し引いたものとなる。作業油圧負荷が高くなると、走行負荷は相対的に少なくなり、牽引力、加速が小さくなる。
走行負荷が低い状態であると判断された場合には、同図2の最大トルク線R1から、作業油圧負荷を差し引いたトルク線R2上のトルクが走行負荷に使用される。トルコン吸収馬力とエンジン出力とのマッチング点は、トルク線R2上のV2点となる。
走行負荷が高い状態であると判断された場合には、可変容量型油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクが小さな値に変化される。これにより作業油圧負荷が小さくなり、同図2の最大トルク線R1から、小さな作業油圧負荷を差し引いたトルク線R3上のトルクが走行負荷に使用される。トルコン吸収馬力とエンジン出力とのマッチング点は、トルク線R3上のV3点となる。
このように走行負荷が高い状態であると判断された場合には、そうでない場合と較べて、マッチング点が、V2から、よりトルコン吸収馬力の大きな点V3に移動するため、作業を行いながら、走行中に高負荷となった場合、例えば大きな牽引力や、坂道で加速が必要になったときに、大きな牽引力を得ることができ、車速を短時間で上昇させることができる。
いいかえれば、従来は、図3に示すように、走行負荷が高いときでも走行負荷が低いときと同様に一律に、同図3に斜線で示すエンジン出力が作業油圧負荷が配分されており、走行負荷に回せるエンジン出力は小さかったため(マッチング点V2)、作業を行いながら、走行中に高負荷となった場合、例えば大きな牽引力や、坂道で加速が必要になったときに、十分な牽引力を得られなかったり、長時間かけても車速を上昇させることができなかったが、本実施例によれば、図2に示すように、走行負荷が高いときには、同図2に斜線で示す、より小さいエンジン出力を作業油圧負荷に配分するようにして、走行負荷に回せるエンジン出力を相対的に大きくしたので(マッチング点V3)、従来と比較して、作業を行いながら、走行中に高負荷となった場合、例えば大きな牽引力や、坂道で加速が必要になったときに、より大きな牽引力を得ることができ、車速をより短時間で上昇させることができるようになる。
なお、ローダやステアリング機構が作動していない状態、つまり作業油圧負荷がなく、走行負荷が高い状態では、最大トルク線R1上のマッチング点V1でトルコン吸収馬力とエンジン出力がマッチングし、エンジン出力のすべてを走行負荷に使用することができる。このため、大きな牽引力が必要なときや、坂道で加速が必要なときに、十分な牽引力を得ることができ、車速を短時間で上昇させることができる。
以上のように本発明によれば、高い走行負荷がかかった場合に、十分な牽引力が得られ、短時間で車速を上昇させることができるようになる。しかも、固定容量型油圧ポンプの容量を一律に低く設定しているわけではなく、可変容量型油圧ポンプの容量あるいは最大吸収トルクを、走行負荷が高い状態のときに一時的に低下させているだけであるので、車体性能のダウンを招くことがない。しかも、エンジン出力を増大させるためにエンジンを大型化する必要もないので、燃費悪化、エネルギーの無駄という問題を生じさせることもない。
走行負荷が高い状態であるとの判断は、ホイールローダ100が加速状態にあることを判断することによって、行うことができ
具体的には、コントローラ18で、車体の加速度が所定のしきい値以上であるか否かを判断し、車体の加速度が所定のしきい値以上であると判断された場合に、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを小さくして、相対的に、トルコン吸収トルクを大きくす
また、コントローラ18で、アクセルペダル17の踏み込み量が所定のしきい値以上であるか否かを判断し、アクセルペダル17の踏み込み量が所定のしきい値以上であると判断された場合に、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを小さくして、相対的に、トルコン吸収トルクを大きくしてもよ
また、コントローラ18で、エンジン1の目標回転数と実際のエンジン回転数Nrとの差を演算し、この回転数差が所定のしきい値以上であるか否かを判断し、回転数差が所定のしきい値以上である判断された場合に、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを小さくして、相対的に、トルコン吸収トルクを大きくしてもよ
走行負荷が高い状態であるとの判断は、駆動輪5に伝達される走行負荷を実際に計測し、計測された走行負荷が所定のしきい値以上であることを判断することによって、行うことができる(第発明)。
具体的には、コントローラ18で、トルコン入力軸回転数N1と、トランスミッション出力軸回転数N2と、トランスミッション3で現在選択されている速度段とに基づいて走行負荷を演算し、この演算した走行負荷が所定のしきい値以上であるか否かを判断し、演算した走行負荷が所定のしきい値以上であると判断された場合に、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを小さくして、相対的に、トルコン吸収トルクを大きくすればよい(第発明)。
また、車体が減速状態であるか否かを判断し、車体が減速状態にあると判断された場合に、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを小さくする制御を解除してもよい。すなわち、車体が減速状態にあると判断されると、図4において、油圧ポンプの最大吸収トルクを矢印D方向に低下させる制御を解除するか、図5において、油圧ポンプの容量を矢印E方向に低下させる制御を解除して、図2に示すように、作業油圧負荷が小さくなる(走行負荷が大きくなる)マッチング点V3から、作業油圧負荷が大きくなる(走行負荷が小さくなる)マッチング点V2に戻すようにする(第発明)。
上述した各しきい値は、選択した走行モードによって変更してもよい。すなわち、「パワーモード」が選択された場合は、オペレータが高い走行負荷で走行しようとする意思をもっている場合であるので、しきい値を低い値に設定する。たとえばアクセルペダル17の踏み込み量のしきい値を低い値に設定して、アクセルペダル踏み込み量が少ない状態でも、即座に、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを小さくして、相対的に、トルコン吸収トルクを大きくする制御を実行する。これにより、高い走行負荷に早めに対応することができる。逆に、「通常モード」が選択された場合は、オペレータはそれほど高い走行負荷で走行しようとする意思はもっていない場合であるので、しきい値を高い値に設定する。たとえばアクセルペダル17の踏み込み量のしきい値を高い値に設定して、アクセルペダル踏み込み量が大きく踏み込まれたときをもって、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを小さくして、相対的に、トルコン吸収トルクを大きくする制御を実行する。これにより、作業油圧負荷を優先しながら、高い走行負荷にも対応することができる(第発明)。
また、操作盤30上のスイッチ操作のみで、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを小さくする制御を実行してもよい。すなわち、「パワーモード」が選択されると、図4において、油圧ポンプの最大吸収トルクを矢印D方向に低下させる制御を実行するか、図5において、油圧ポンプの容量を矢印E方向に低下させる制御を実行して、図2に示すように、作業油圧負荷が小さくなる(走行負荷が大きくなる)マッチング点V3に、移行させる。
一方、「通常モード」が選択されると、図4において、油圧ポンプの最大吸収トルクを矢印D方向に低下させる制御を解除するか、図5において、油圧ポンプの容量を矢印E方向に低下させる制御を解除して、図2に示すように、作業油圧負荷が小さくなる(走行負荷が大きくなる)マッチング点V3から、作業油圧負荷が大きくなる(走行負荷が小さくなる)マッチング点V2に戻すようにす
ところで、作業車両の種類によっては、エンジン1の出力がトルクコンバータ2、トランスミッション3を介して駆動輪5に伝達される構成ではなく、エンジン1の出力が走行用油圧ポンプ、走行用油圧モータを介して駆動輪5に伝達される構成のものもある。このような構成の作業車両に対しても、本発明を適用することができる(第発明)。
図1は、実施形態の作業車両の構成を示す図である。 図2はエンジン回転数とエンジントルクとの関係を示す図である。 図3は従来技術を説明する図で、図2に対応する図である。 図4は油圧ポンプの最大吸収トルクを変更する制御を説明する図である。 図5は油圧ポンプの容量を変更する制御を説明する図である。 図6はPC制御を行うための構成例を示した図である。 図7はLS制御を行うための構成例を示した図である。
以下図面を参照して本発明に係る作業車両のエンジン負荷制御装置の実施の形態について説明する。
図1は、実施形態のホイールローダの構成を、本発明に係る部分について示している。
同図1に示すように、ホイールローダ100のエンジン1の出力軸は、PTO軸6に連結されている。PTO軸6は、トルクコンバータ2に連結されているとともに、ステアリング用油圧ポンプ7、ローダ用油圧ポンプ8、ファン用油圧ポンプ9、トルコン潤滑用油圧ポンプ10に連結されている。
ステアリング用油圧ポンプ7、ローダ用油圧ポンプ8、ファン用油圧ポンプ9は、可変容量型油圧ポンプであり、それぞれ斜板7a、8a、9aの傾転角が変化されることにより、ポンプ容量q(cc/rev)が変化される。
エンジン1の出力は、トルクコンバータ2、トランスミッション3、ディファレンシャルギア4を介して駆動輪5に伝達される。トランスミッション3は、前進用油圧クラッチ、後進用油圧クラッチ、速度段クラッチ、つまり1速用油圧クラッチ、2速用油圧クラッチ、3速用油圧クラッチ、4速用油圧クラッチからなり、車速等に応じて、前進用油圧クラッチ、後進用油圧クラッチのいずれかが選択されるとともに、速度段クラッチのいずれかのクラッチが選択されて、変速が行われる。
また、エンジン1の出力は、ステアリング用油圧ポンプ7、ローダ用油圧ポンプ8、ファン用油圧ポンプ9、トルコン潤滑用油圧ポンプ10に伝達される。
ステアリング用油圧ポンプ7が駆動されると、吐出圧油がステアリング用制御弁11を介してステアリング用油圧シリンダ13に供給される。
ステアリング用油圧シリンダ13はステアリング機構に接続されている。ステアリング用油圧シリンダ13に圧油が供給されると、ステアリング機構が作動し、車体が旋回される。ステアリング用制御弁11のスプールは、図示しないステアリングハンドルの操作に応じて、移動され、それに応じて制御弁11の開口面積が変化し、ステアリング用油圧シリンダ13に供給される流量が変化される。
ローダ用油圧ポンプ8が駆動されると、吐出圧油がローダ用制御弁12を介してローダ用油圧シリンダ14に供給される。
ローダ用油圧シリンダ14は、車体前部のローダに接続されている。ローダ用油圧シリンダ14に圧油が供給されると、ローダが作動される。つまり、ローダを構成するブームが上昇ないしは下降し、バケットがチルトする。ローダ用制御弁12のスプールは、図示しないローダ用操作レバーの操作に応じて、移動され、それに応じて制御弁12の開口面積が変化し、ローダ用油圧シリンダ14に供給される流量が変化される。
ファン用油圧ポンプ9が駆動されると、吐出圧油がファン用油圧モータ15に供給され、冷却用ファン16が作動される。
トルコン潤滑用油圧ポンプ10が駆動されると、吐出圧油がトルクコンバータ2に供給され、トルクコンバータ2が潤滑される。
エンジン1の出力軸には、エンジン1の実際の回転数Nrを検出するエンジン回転数検出センサ1aが設けられている。エンジン回転数検出センサ1aで検出されたエンジン回転数Nrは、コントローラ18に入力される。
トルクコンバータ2の入力軸(エンジン1の出力軸)には、トルクコンバータ2の入力軸の回転数N1を検出するトルコン入力軸回転数検出センサ2aが設けられている。トルコン入力軸回転数検出センサ2aで検出された回転数N1は、コントローラ18に入力される。
トランスミッション3の出力軸には、トランスミッション3の出力軸の回転数N2を検出するトランスミッション出力軸回転数検出センサ3aが設けられている。トランスミッション出力軸回転数検出センサ3aで検出された回転数N2は、コントローラ18に入力される。
アクセルペダル17は、オペレータによって操作され、アクセルペダル17に設けられたストロークセンサ17aによって操作量(踏み込み量)が検出され、操作量を示す信号がコントローラ18に入力される。
駆動輪5には、駆動輪5を制動する油圧ブレーキが設けられている。ブレーキペダル29は、オペレータによって操作され、ブレーキペダル29に設けられたストロークセンサ29aによって操作量(踏み込み量)が検出され、操作量を示す信号がコントローラ18に入力される。コントローラ18は、ブレーキペダル29の踏み込み量に応じたブレーキ圧となるように、油圧ブレーキを制御する。
コントローラ18は、アクセルペダル17の操作量に応じた目標回転数となるようにエンジン1を制御する。
操作盤30には、パワーモードスイッチ31、変速モードスイッチ32、前後進スイッチ33、速度段スイッチ34が設けられている。
変速モードスイッチ32は、トランスミッション3の自動変速のタイミングを選択するスイッチであり、前後進スイッチ33は、トランスミッション3の前進用油圧クラッチ、後進用油圧クラッチを選択するスイッチであり、速度段スイッチ34は、速度段クラッチ(1速用油圧クラッチ、2速用油圧クラッチ、3速用油圧クラッチ、4速用油圧クラッチ)を選択するスイッチである。
コントローラ18は、変速モードスイッチ32で選択された変速タイミングで速度段が変化するように、トランスミッション3を制御する。また、コントローラ18は、前後進スイッチ33で選択された前進方向または後進方向に、速度段スイッチ34で選択された速度段の範囲で自動変速するように、トランスミッション3を制御する。
パワーモードスイッチ31は、走行負荷が高く、走行に対して大きなエンジン出力を必要とする走行状態(パワーモード)を選択するスイッチである。パワーモードスイッチ31で「パワーモード」が選択されていない場合(スイッチオフ時)には、走行負荷が低く、走行にそれほど大きなエンジン出力を必要としない走行状態(通常モード)が選択される。
エンジン1はディーゼルエンジンであり、その出力の制御は、シリンダ内に噴射する燃料量を調整することで行われる。この調整はエンジン1の燃料噴射ポンプに付設したガバナを制御することで行われる。ガバナとしては、一般的にオールスピード制御方式のガバナが用いられ、アクセルペダル踏み込み量に応じた目標回転数となるように、負荷に応じてエンジン回転数と燃料噴射量とを調整する。すなわちガバナは目標回転数と実際のエンジン回転数との差がなくなるよう燃料噴射量を増減する。エンジン1の出力特性は、図2で表される。図2の横軸は、エンジン回転数Nであり、縦軸がエンジントルクTeである。
図2において最大トルク線R1で規定される領域がエンジン1が出し得る性能を示す。ガバナはトルクが最大トルク線R1を超えて排気煙限界とならないように、またエンジン回転数Nがハイアイドル回転数NHを超えて過回転とならないようにエンジン1を制御する。
(第1実施例)
本実施例では、可変容量型油圧ポンプ7、8、9に、吸収トルクを変化させる吸収トルク変化手段が設けられる。コントローラ18では、走行負荷が高い状態であるか否かが判断され、走行負荷が高い状態であると判断された場合に、可変容量型油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを低下させる制御を実行する。この制御は、パワーモードスイッチ31によって「パワーモード」が選択されていることを条件に、実行される。
図2において、トルコンマッチングカーブLtは、トルクコンバータ2の吸収トルク線であり、走行負荷を示している。矢印Aに示すように、アクセルペダル17を踏み込むにつれて、エンジン回転数NとエンジントルクTeが上昇し、トルコン吸収馬力が上昇する。
トルコン吸収馬力は、エンジン出力から、可変容量型油圧ポンプ7、8、9(更にはトルコン潤滑用油圧ポンプ10を含む)のポンプ吸収馬力を差し引いたものとなる。作業油圧負荷が高くなると、走行負荷は相対的に少なくなり、牽引力、加速が小さくなる。
走行負荷が低い状態であると判断された場合には、同図2の最大トルク線R1から、作業油圧負荷を差し引いたトルク線R2上のトルクが走行負荷に使用される。トルコン吸収馬力とエンジン出力とのマッチング点は、トルク線R2上のV2点となる。
走行負荷が高い状態であると判断された場合には、可変容量型油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクが小さな値に変化される。これにより作業油圧負荷が小さくなり、同図2の最大トルク線R1から、小さな作業油圧負荷を差し引いたトルク線R3上のトルクが走行負荷に使用される。トルコン吸収馬力とエンジン出力とのマッチング点は、トルク線R3上のV3点となる。
このように走行負荷が高い状態であると判断された場合には、そうでない場合と較べて、マッチング点が、V2から、よりトルコン吸収馬力の大きな点V3に移動するため、作業を行いながら、走行中に高負荷となった場合、例えば大きな牽引力や、坂道で加速が必要になったときに、大きな牽引力を得ることができ、車速を短時間で上昇させることができる。
いいかえれば、従来は、図3に示すように、走行負荷が高いときでも走行負荷が低いときと同様に一律に、同図3に斜線で示すエンジン出力が作業油圧負荷が配分されており、走行負荷に回せるエンジン出力は小さかったため(マッチング点V2)、作業を行いながら、走行中に高負荷となった場合、例えば大きな牽引力や、坂道で加速が必要になったときに、十分な牽引力を得られなかったり、長時間かけても車速を上昇させることができなかったが、本実施例によれば、図2に示すように、走行負荷が高いときには、同図2に斜線で示す、より小さいエンジン出力を作業油圧負荷に配分するようにして、走行負荷に回せるエンジン出力を相対的に大きくしたので(マッチング点V3)、従来と比較して、作業を行いながら、走行中に高負荷となった場合、例えば大きな牽引力や、坂道で加速が必要になったときに、より大きな牽引力を得ることができ、車速をより短時間で上昇させることができるようになる。
なお、ローダやステアリング機構が作動していない状態、つまり作業油圧負荷がなく、走行負荷が高い状態では、最大トルク線R1上のマッチング点V1でトルコン吸収馬力とエンジン出力がマッチングし、エンジン出力のすべてを走行負荷に使用することができる。このため、大きな牽引力が必要なときや、坂道で加速が必要なときに、十分な牽引力を得ることができ、車速を短時間で上昇させることができる。
つぎに、油圧ポンプの吸収トルクを変化させる手段の具体的な構成例について、説明する。
図6は、ローダ用油圧ポンプ8をPC制御するための構成を示している。図6では、ローダ用油圧ポンプ8を代表させて示しているが、他の可変容量型油圧ポンプ7、9をPC制御する場合も同様に構成される。
PC弁19は、油圧ポンプ8の吐出圧Pp(kg/cm2)と油圧ポンプ8の容量q(cc/rev)の積が一定トルクを超えないように、油圧ポンプ8の斜板7aの傾転角を制御する。エンジン1の回転数が一定であれば、油圧ポンプ8の吐出圧Pp(kg/cm2)と油圧ポンプ8の流量Q(l/min)の積が一定の馬力を超えないように、油圧ポンプ8の斜板8aを制御することになる。
また、油圧ポンプ7、8、9をまとめてPC制御する場合は、これらポンプ7、8、9の吐出圧の平均値がPC弁19に入力される。
PC弁19は、油圧ポンプ8の吐出圧Ppをパイロット圧として入力し、吐出圧Ppに応じた駆動圧油をサーボ弁20に供給することで、油圧ポンプ8の容量qを制御する。
PC制御の内容は、図4を用いて説明される。図4の横軸は油圧ポンプ8の吐出圧Pp(kg/cm2)であり、縦軸は油圧ポンプ8の容量q(cc/rev)、つまり斜板8aの傾転角である。
同図4に示すように、油圧ポンプ8の吐出圧Ppが一定圧以下であれば、油圧ポンプ8の斜板8aの傾転角が最大に設定され、最大容量qmaxとなっている。作業油圧負荷が大きくなり、ポンプ吐出圧Ppが一定圧を超えると、特性LN1にしたがいポンプ容量qを減少させて、斜板傾転角を最小、最小容量qminにする。
以上のようにして、油圧ポンプ8では、作業油圧負荷、つまり吸収トルクが、最大吸収トルクTp1を超えない範囲で、ポンプ吐出圧Ppに応じてポンプ容量qが制御される。
PC弁19には、コントローラ18から制御信号i1が加えられており、この制御信号i1に応じて、最大吸収トルクが変化される。
今、走行負荷が低い状態であると判断された場合には、油圧ポンプ8の最大吸収トルクがTp1という大きな値に設定され、油圧ポンプ8は、特性LN1にしたがい、制御される。また、走行負荷が高い状態にあると判断された場合には、矢印Dに示すように、特性LN1から特性LN2に変化して、ポンプ容量の減少を開始するポンプ吐出圧の値が小さくなり、最大吸収トルク値が小さな値Tp2に設定される。
図7(a)は、ローダ用油圧ポンプ8をLS制御するための構成を示している。図7(a)では、ローダ用油圧ポンプ8を代表させて示しているが、他の可変容量型油圧ポンプ7、9をLS制御する場合も同様に構成される。
LS弁22は、油圧ポンプ8の吐出圧Ppと、ローダ用油圧シリンダ14の負荷圧PLSとの差圧ΔPが一定差圧ΔPLSとなるように、油圧ポンプ8の斜板8aの傾転角を制御する。
LS弁22には、一定差圧ΔPLSを設定するバネが付与されている。LS弁22のバネ側と反対側のパイロットポートには、油圧ポンプ8の吐出圧Ppがパイロット圧として加えられ、バネ側のパイロットポートには、ローダ用油圧シリンダ14の負荷圧PLSがパイロット圧として加えられる。LS弁22から駆動圧油がサーボ弁20に供給されることで、油圧ポンプ8の容量qが制御される。
ローダ用制御弁12の開口面積をA、抵抗係数をcとすると、油圧ポンプ8の吐出流量Qは、
Q=c・A・√(ΔP)
で表される。差圧ΔPは、LS弁22により一定になるのでポンプ流量Qは制御弁12のスプールの開口面積Aによってのみ変化する。
ローダ用操作レバーを操作すると操作量に応じてローダ用制御弁12の開口面積Aが増加し、開口面積Aの増加に応じてポンプ流量Qが増加する。このときポンプ流量Qは作業油圧負荷の影響を受けずローダ用操作レバーの操作量のみによって定まる。このようにLS弁22を設けたことにより、ポンプ流量Qは作業油圧負荷によって増減することなくオペレータの意思通りに(ローダ用操作レバーの操作位置に応じて)変化しファインコントロール性つまり中間操作領域における操作性が向上する。
しかし、ファインコントロール時など、油圧ポンプ8の最大流量を超えない領域でも、常にローダ用油圧シリンダ14が要求する通りの流量を供給するために、エンジン1が低回転域でも高回転域と同じ吐出流量となってしまう。
このためコントローラ18では、エンジン1の回転数が低い場合には、差圧設定値ΔPLSを下げて、吐出流量を下げる制御が行われる。LS弁22には、バネの設定バネ力を変化させる差圧設定部23が付設され、コントローラ18から差圧設定部23に対して制御信号i2を出力すると、差圧設定部23は、LS弁22のバネの設定バネ力を変化させ、差圧設定値ΔPLSを変更する。
なお、図7(b)に示すように、LS弁22の電磁ソレノイドに制御信号i2を加えることで、LS弁22のバネの設定バネ力を変化させ、差圧設定値ΔPLSを変更してもよい。
このような差圧設定値変更制御の内容は、図5を用いて説明される。図5の横軸は油圧ポンプ8の吐出圧Pp(kg/cm2)であり、縦軸は油圧ポンプ8の容量q(cc/rev)、つまり斜板8aの傾転角である。
同図5に示すように、油圧ポンプ8の吐出圧Ppが、ある値Pp1になっており、ポンプ容量qが最大値qmaxとなっているときに、差圧設定値ΔPLSを小さい値に変更すると、上記式(Q=c・A・√(ΔP))の右辺が小さくなったことに相当し、これにより矢印Eに示すように、ポンプ容量qは、最大値qmaxから小さな値q1に変更される。ポンプ容量qが小さくなることで、油圧ポンプ8の吸収トルク、つまり作業油圧負荷が小さくなる。
コントローラ18は、走行負荷が低い状態であると判断した場合には、LS弁22に対して、差圧設定値ΔPLSを大きな値に設定し油圧ポンプ8の吸収トルクを大きくする制御信号i2を出力する。また、走行負荷が高い状態であると判断した場合には、LS弁22に対して、差圧設定値ΔPLSを小さな値に設定し油圧ポンプ8の吸収トルクを小さくする制御信号i2を出力する。
なお、図4に示す油圧ポンプの最大吸収トルクを変更する制御と、図5に示す油圧ポンプのポンプ容量を変更する制御を組み合わせて、作業油圧負荷が高い状態である場合に油圧ポンプの吸収トルクを低下させる制御を実施してもよい。
なお、全ての可変容量型油圧ポンプ7、8、9について、最大吸収トルクまたは容量を小さくしてもよく、可変容量形油圧ポンプ7、8、9のうちの1つまたは2つの可変容量型油圧ポンプについて、最大吸収トルクまたは容量を小さくしてもよい。
以上のように本実施例によれば、高い走行負荷がかかった場合に、十分な牽引力が得られ、短時間で車速を上昇させることができるようになる。しかも、固定容量型油圧ポンプの容量を一律に低く設定しているわけではなく、可変容量型油圧ポンプの容量あるいは最大吸収トルクを、走行負荷が高い状態のときに一時的に低下させているだけであるので、車体性能のダウンを招くことがない。しかも、エンジン出力を増大させるためにエンジンを大型化する必要もないので、燃費悪化、エネルギーの無駄という問題を生じさせることもない。
(第2実施例)
第1実施例では、走行負荷が高い状態であると判断された場合に、油圧ポンプの吸収トルクを小さくして、相対的にトルコン吸収トルクを大きくしているが、走行負荷が高い状態であるとの判断は、ホイールローダ100が加速状態にあることを判断することによって、行うことができる。
具体的には、コントローラ18で、車体の加速度が所定のしきい値以上であるか否かを判断し、車体の加速度が所定のしきい値以上であると判断された場合に、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを小さくして、相対的に、トルコン吸収トルクを大きくする。車体の加速度は、エンジン回転数検出センサ1aまたはトルコン入力軸回転数センサ2aまたはトランスミッション出力軸回転数センサ3aで検出される回転数の単位時間当たりの変化量として演算してもよく、車体に加速度センサを設け、その加速度センサの出力として得るようにしてもよい。
また、コントローラ18で、車体の加速度が所定のしきい値以上であるか否かを判断するとともに、車体が減速状態にないか否かを判断し、車体の加速度が所定のしきい値以上であり、かつ車体が減速状態にないと判断された場合に、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを小さくして、相対的に、トルコン吸収トルクを大きくしてもよい。車体が減速状態にないか否かは、ブレーキペダル29が踏み込まれていないか否かで、あるいはブレーキペダル29の踏み込み量が所定のしきい値以下であるか否かで判断すればよい。また、油圧ブレーキの作動油の圧力を検出して、油圧が所定のしきい値以下であることをもって、車体が減速状態にはないと判断してもよい。
また、コントローラ18で、アクセルペダル17の踏み込み量が所定のしきい値以上であるか否かを判断し、アクセルペダル17の踏み込み量が所定のしきい値以上であると判断された場合に、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを小さくして、相対的に、トルコン吸収トルクを大きくしてもよい。
また、コントローラ18で、アクセルペダル17の踏み込み量が所定のしきい値以上であるか否かを判断するとともに、車体が減速状態にないか否かを判断し、アクセルペダル17の踏み込み量が所定のしきい値以上であり、かつ車体が減速状態にないと判断された場合に、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを小さくして、相対的に、トルコン吸収トルクを大きくしてもよい。
また、コントローラ18で、エンジン1の目標回転数と実際のエンジン回転数Nrとの差を演算し、この回転数差が所定のしきい値以上であるか否かを判断し、回転数差が所定のしきい値以上である判断された場合に、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを小さくして、相対的に、トルコン吸収トルクを大きくしてもよい。
また、コントローラ18で、エンジン1の目標回転数と実際のエンジン回転数Nrとの差を演算し、この回転数差が所定のしきい値以上であるか否かを判断するとともに、車体が減速状態にないか否かを判断し、回転数差が所定のしきい値以上であり、かつ車体が減速状態にないと判断された場合に、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを小さくして、相対的に、トルコン吸収トルクを大きくしてもよい。
(第3実施例)
第1実施例では、走行負荷が高い状態であると判断された場合に、油圧ポンプの吸収トルクを小さくして、相対的にトルコン吸収トルクを大きくしているが、走行負荷が高い状態であるとの判断は、駆動輪5に伝達される走行負荷を実際に計測し、計測された走行負荷が所定のしきい値以上であることを判断することによって、行うことができる。
具体的には、コントローラ18で、トルコン入力軸回転数N1と、トランスミッション出力軸回転数N2と、トランスミッション3で現在選択されている速度段とに基づいて走行負荷を演算し、この演算した走行負荷が所定のしきい値以上であるか否かを判断し、演算した走行負荷が所定のしきい値以上であると判断された場合に、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを小さくして、相対的に、トルコン吸収トルクを大きくすればよい。
また、コントローラ18で、トルコン入力軸回転数N1と、トランスミッション出力軸回転数N2と、トランスミッション3で現在選択されている速度段とに基づいて走行負荷を演算し、この演算した走行負荷が所定のしきい値以上であるか否かを判断するとともに、車体が減速状態にないか否かを判断し、演算した走行負荷が所定のしきい値以上であり、かつ車体が減速状態にないと判断された場合に、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを小さくして、相対的に、トルコン吸収トルクを大きくしてもよい。
なお、走行負荷を上述したように演算によって求めてもよく、トルクコンバータ2の出力軸、トランスミッション3の出力軸等に、応力ゲージ等を取り付けて、直接、走行負荷を検出してもよい。
(第4実施例)
以上の実施例では、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを小さくする制御を実行する条件について説明したが、逆に、車体が減速状態であるか否かを判断し、車体が減速状態にあると判断された場合に、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを小さくする制御を解除してもよい。すなわち、車体が減速状態にあると判断されると、図4において、油圧ポンプの最大吸収トルクを矢印D方向に低下させる制御を解除するか、図5において、油圧ポンプの容量を矢印E方向に低下させる制御を解除して、図2に示すように、作業油圧負荷が小さくなる(走行負荷が大きくなる)マッチング点V3から、作業油圧負荷が大きくなる(走行負荷が小さくなる)マッチング点V2に戻すようにする。
(第5実施例)
上述した第1実施例〜第4実施例では、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを小さくする制御を、パワーモードスイッチ31によって「パワーモード」が選択されていることを条件に、実行するものとして説明した。しかし、パワーモードスイッチ31によって「パワーモード」が選択されていない場合であっても(「通常モード」が選択されている場合であっても)、走行負荷が高い状態であると判断されれば(車体が加速状態にあると判断されるか、あるいは計測した走行負荷が高いと判断されれば)、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを低下させるようにしてもよい。
(第6実施例)
上述した第2実施例、第3実施例では、しきい値以上になったことをもって、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを小さくする制御を実行するようにしているが、しきい値の大きさは、選択した走行モードの種類に応じて変更してもよい。
この実施例では、「パワーモード」が選択された場合、「通常モード」が選択された場合のいずれの場合でも、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを小さくする制御を実行するものとする。ただし、「パワーモード」が選択された場合と、「通常モード」が選択された場合とで、しきい値の大きさを、変化させるようにする。「パワーモード」が選択された場合は、オペレータが高い走行負荷で走行しようとする意思をもっている場合であるので、しきい値を低い値に設定する。たとえばアクセルペダル17の踏み込み量のしきい値を低い値に設定して、アクセルペダル踏み込み量が少ない状態でも、即座に、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを小さくして、相対的に、トルコン吸収トルクを大きくする制御を実行する。これにより、高い走行負荷に早めに対応することができる。逆に、「通常モード」が選択された場合は、オペレータはそれほど高い走行負荷で走行しようとする意思はもっていない場合であるので、しきい値を高い値に設定する。たとえばアクセルペダル17の踏み込み量のしきい値を高い値に設定して、アクセルペダル踏み込み量が大きく踏み込まれたときをもって、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを小さくして、相対的にトルコン吸収トルクを大きくする制御を実行する。これにより、作業油圧負荷を優先しながら、走行負荷にも対応することができる。
(第7実施例)
以上説明した実施例では、走行負荷が高い状態であると判断された場合(車体が加速状態にあると判断された場合あるいは計測した走行負荷が高いと判断された場合)に、はじめて、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを小さくして、相対的に、トルコン吸収トルクを大きくする制御を実行するものとして説明したが、このような判断自体を省略して、操作盤30上のスイッチ操作のみで、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを小さくする制御を実行してもよい。
この実施例では、「パワーモード」が選択されると、図4において、油圧ポンプの最大吸収トルクを矢印D方向に低下させる制御を実行するか、図5において、油圧ポンプの容量を矢印E方向に低下させる制御を実行して、図2に示すように、作業油圧負荷が小さくなる(走行負荷が大きくなる)マッチング点V3に、移行させる。
一方、「通常モード」が選択されると、図4において、油圧ポンプの最大吸収トルクを矢印D方向に低下させる制御を解除するか、図5において、油圧ポンプの容量を矢印E方向に低下させる制御を解除して、図2に示すように、作業油圧負荷が小さくなる(走行負荷が大きくなる)マッチング点V3から、作業油圧負荷が大きくなる(走行負荷が小さくなる)マッチング点V2に戻すようにする。
なお、上述した第2実施例、第3実施例で説明した各種判断手法は適宜組み合わせてよい。たとえば、アクセルペダル17の踏み込み量が所定のしきい値以上であることと、計測した走行負荷が所定のしきい値以上であることの2つの条件が揃ってはじめて、油圧ポンプ7、8、9の吸収トルクを小さくする制御を実行するようにしてもよい。
また、上述した実施例では、走行モードが「パワーモード」、「通常モード」の2種類の場合を例にとり説明したが、走行モードを3種類以上として、各走行モードに応じて制御内容、しきい値の大きさを変更するようにしてもよい。
ところで、作業車両の種類によっては、エンジン1の出力がトルクコンバータ2、トランスミッション3を介して駆動輪5に伝達される構成ではなく、エンジン1の出力が走行用油圧ポンプ、走行用油圧モータを介して駆動輪5に伝達される構成のものもある。このような構成の作業車両に対しても、本発明を適用することができる。この場合、各実施例の「走行負荷」を、走行油圧負荷に置き換えて、同様に、各実施例の制御を行えばよい。すなわち、走行油圧負荷が高い状態であると判断された場合(車体が加速状態にあると判断された場合あるいは計測した走行油圧負荷が高いと判断された場合)に、作業用油圧ポンプ7、8、9の吸収トルク(作業油圧負荷)を小さくして、相対的に、走行用油圧ポンプの吸収トルク(走行油圧負荷)を大きくする制御を実行すればよい。
本発明は、ホイールローダに限定されることなく、エンジン出力(エンジントルク)が、走行負荷と作業油圧負荷の双方に配分される作業車両であれば、同様に適用することができる。
1 エンジン 1a エンジン回転数検出センサ 2 トルクコンバータ 3 トランスミッション 2a トルコン入力軸回転数検出センサ 3a トランスミッション出力軸回転数センサ 5 駆動輪 7、8、9 可変容量型油圧ポンプ 17 アクセルペダル 18 コントローラ 19 PC弁 22 LS弁 29 ブレーキペダル

Claims (7)

  1. エンジン(1)の出力が駆動輪(5)に伝達されるとともに、エンジン(1)の出力が可変容量型油圧ポンプ(7、8、9)を介して作業機に伝達される作業車両のエンジンの負荷制御装置であって、
    可変容量型油圧ポンプ(7、8、9)の吸収トルクを変化させる吸収トルク変化手段(19、22)と、
    駆動輪(5)に伝達される走行負荷を計測する走行負荷計測手段(18)と、
    走行負荷計測手段によって計測された走行負荷が所定のしきい値以上である場合に、走行負荷が高いと判断して、可変容量型油圧ポンプ(7、8、9)の吸収トルクを低下させる制御手段(18)と
    を備えたことを特徴とする作業エンジンの負荷制御装置。
  2. エンジン(1)の出力がトルクコンバータ(2)、トランスミッション(3)を介して駆動輪(5)に伝達される請求項1に記載の作業車両のエンジンの負荷制御装置であって、
    走行負荷計測手段(18)
    トルクコンバータ(2)の入力軸回転数と、トランスミッション(3)の出力軸回転数と、トランスミッション(3)で現在選択されている速度段とに基づいて走行負荷を演算するものであること
    を特徴とする作業車両のエンジンの負荷制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載の作業車両のエンジンの負荷制御装置において、
    高い走行負荷で走行するパワーモードを選択する選択手段(31)をさらに備え、
    前記走行負荷計測手段(18)によって、走行負荷が高いと判断された場合、前記選択手段(31)によってパワーモードが選択されていることを、可変容量型油圧ポンプ(7、8、9)の吸収トルクを低下させる制御を実行する条件とすること
    を特徴とする作業車両のエンジンの負荷制御装置。
  4. 請求項2に記載の作業車両のエンジンの負荷制御装置において、
    複数の走行モードを選択する選択手段(31)をさらに備え、
    走行モード選択手段(31)で選択された走行モードの種類に応じて、前記しきい値を、選択された作業モードに対応づけられた大きさに変化させること
    特徴とする作業車両のエンジンの負荷制御装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の作業車両のエンジン負荷制御装置であって、
    エンジン(1)の出力が走行用油圧ポンプを介して駆動輪(5)に伝達されることを特徴とする作業車両のエンジンの負荷制御装置
  6. 走行負荷が高いと判断され、可変容量型油圧ポンプ(7、8、9)の吸収トルクを低下させているとき、ブレーキが操作された場合に、可変容量型油圧ポンプの吸収トルクを低下させる制御を解除することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の作業車両のエンジンの負荷制御装置。
  7. ブレーキが操作された場合、ブレーキの操作量が所定のしきい値を超えた場合に可変容量型油圧ポンプ(7、8、9)の吸収トルクを低下させる制御を解除することを特徴とする請求項6に記載の作業車両のエンジンの負荷制御装置。
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