JP2009149440A - 滑り防止効果のある搬送用ベルト - Google Patents

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Tatsutoshi Nakajima
辰年 中島
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Abstract

【課題】
網目構造のベルト表面にゴム弾性のある樹脂によって滑り防止機能を付与することで、搬送物の滑りを防止する。
【解決手段】
本発明は、樹脂製の縦糸、横糸から構成された通気性を有する網目構造のベルト表面の少なくとも一部にゴム弾性のある樹脂による滑り防止加工を施すことで、搬送物に網目を転写することなく、通気性があり、搬送物の滑りを防止することのできる搬送用ベルトである。
【選択図】なし

Description

本発明は、縦糸、横糸から構成された通気性を有する網目構造の樹脂製ベルト表面に滑り防止加工が施された搬送用ベルトに関する。
従来、各産業において様々な樹脂製ベルトが使用されており、特に物を搬送するコンベアベルトや、ベルト自体に機能性を持たせたものがある。その代表として網目構造のベルトがあり、その網目を利用し固液分離や熱風乾燥、洗浄、吸引搬送等に広く利用されている。
一例を挙げると、従来より紙の加工工程で使用されているカッターマシンでは、リールに巻き取られた原紙を規定サイズに裁断し搬送しつつ整然と積み重ねていき、その搬送装置部分には直径10〜20mm程度の穴が規則的に空けられたゴム製コンベヤベルトが取り付けられていた。そして、そのベルトの裏面から吸引装置で吸引することで、ベルトに載置した裁断済みの紙が浮き上がったり、位置がずれないようにして搬送していた。
しかしながら、このゴム製コンベヤベルトで薄い紙を搬送する際、吸引時の吸引跡が紙に付いてしまうため紙品質上問題となっていた。特に近年では設備の高速化に伴い薄い紙でなくてもその吸引跡が問題視されていた。
また、ゴム製コンベヤベルトの場合、取り付け、取り外しが容易ではなく、交換時には専門の加工業者によって無端状に加工しながら取り付けなければならないため、ベルトに異常が発生し交換を余儀なくされた場合には交換作業を業者に依頼し、設備を数日間停止しなければならなかった。
カッターマシン用のベルトとして、静電気を防止する目的(ベルトへの紙の張り付きを防止)のベルトは特許文献1に開示されているが、滑り防止加工を施したベルトに関する先行技術は開示されていない。
他の用途ではインクジェットプリンタやラベルプリンタ等の記録装置において、シート状の記録媒体を搬送する開口を有するベルトが特許文献2に開示されている。これは、基板となる平板状部材に接着剤によって弾性部材を張り合わせたものであり、基板には複数の孔が開けられている。しかし、この孔は張り合わせによって生じる層間の気泡を逃がすための役目であり、弾性部材までは貫通してなく、使用時に網目を利用した網状ベルトではなかった。ベルト材には金属ローラーとの滑りを防止する目的でポリイミドやウレタンが使用されていたが、高速で走行するカッターマシン等の用途には剛性面から不向きであった。
特開9−49186号公報 特開2006−44918号公報
本発明は、網目構造のベルト表面に滑り防止機能を付与することで、搬送物の滑り防止効果を奏する搬送用ベルトであり、特に紙加工工程で使用されるカッターマシンにおいて、規格サイズに裁断した紙を整頓し積層して搬送することができる搬送用ベルトを提供することを目的とする。
(1)樹脂製の縦糸、横糸から構成された通気性を有する網目構造のベルトにおいて、該ベルト表面の少なくとも一部にゴム弾性のある樹脂が配された、滑り防止効果のある搬送用ベルト。
(2)前記搬送用ベルトにおいて、少なくとも表面がゴム弾性のある樹脂で構成された糸を、縦糸又は横糸の少なくとも一部に配して織成したことを特徴とする、上記(1)に記載された滑り防止効果のある搬送用ベルトである。
(3)前記搬送用ベルトにおいて、縦糸、横糸から構成された通気性を有する網目構造の樹脂製ベルトの表面に、ゴム弾性のある樹脂を塗布して構成したことを特徴とする、上記(1)に記載された滑り防止効果のある搬送用ベルトである。
(4)前記縦糸、横糸から構成された通気性を有する網目構造のベルトが織物であって、該織物の両端部に織物自体の縦糸によってループを形成し、両端部のループを付き合わせて形成した共通孔に連結線を挿通することによって無端状とした、上記(1)ないし(3)に記載された滑り防止効果のある搬送用ベルトである。
載置搬送物の滑りを防止するための本発明のベルトとしては、縦糸と横糸から構成した通気性を有する網目構造の樹脂製ベルトを使用し、該ベルト表面の少なくとも一部にゴム弾性のある樹脂を配したことにある。網目構造とすることで従来からあるベルト下部から吸引して搬送物をとめる役目はそのままに、摩擦抵抗の大きいゴム弾性のある樹脂を使用することによって今までにない滑り防止効果が得られ、吸引跡の発生も防止できる。
縦糸、横糸によって構成された網目構造のベルトとは剛性面から織物とするのが最も適しているが、縦糸と横糸を重ね合わせ交差部を接着や融着等により結合させた構造体等であってもよい。本発明の搬送ベルトとして、網目が4mm以下、さらに好ましくは2mm以下となるようにすればよい。
このような構造とすることで、従来使用されていた開口のあるゴム製コンベヤベルトで問題とされていた吸引跡が改善される。これは、ベルトが経糸、緯糸によって構成されており、尚かつその網目構造体の網目が細かく全面に均一に空いているためである。
また、網目構造とすることの他の利点として、縦糸、横糸から構成されたベルトが織物の場合、該織物の両端部に織物自体の縦糸によってループを形成し、両端部のループを付き合わせて形成した共通孔に連結線を挿通することによって容易に無端状のベルトとすることができる点である。これは専門の加工業者でなくても短時間で容易にベルトの交換ができるため、操業時間が大幅に短縮でき、作業性も非常によくなり、設備停止時間も短縮できる。
ベルトは、予め表面がゴム弾性のある糸を用い網目構造ベルトに構成してもよく、また構成したベルトにゴム弾性のある樹脂を塗布してもよい。
具体的には、合成樹脂を主体とした基層の表面にゴム弾性のある樹脂を全周若しくは部分的に被覆してモノフィラメント状に形成した糸や、ゴム弾性のある樹脂単体から構成されている糸等がある。二層構造の糸の場合、基層には剛性のあるポリエステルモノフィラメントやマルチフィラメント、またその他の合成樹脂も使用できる。これを縦糸、横糸の一部やどちらか一方、あるいは全てに使用しても良い。例えば、縦糸にポリエステルモノフィラメント、そして横糸にゴム弾性を有する糸を使用してもよい。また、縦糸にゴム弾性を有する糸と、ポリエステルモノフィラメントの両方を用い、横糸にポリアミドモノフィラメントを用いる等、混合配置しても構わない。更には、導電糸を混合配置することで従来からある静電気を防止する技術もそのまま利用することができる。
該ベルトの構造は限定されないが、特に搬送物との接触面に防滑加工を施した糸が現れる構造とするのが効果的である。つまり、搬送物と接する面に、防滑加工した糸全体が陥没あるいは埋没しているのではなく、少なくともその糸の一部は同面を構成する他の糸と同等以上の突出とするのが効果的である。
ここでは基層と表層からなる2層構造のモノフィラメントやゴム弾性のある樹脂のみからなる単層構造のモノフィラメントをあげたが、剛性のあるモノフィラメントとゴム弾性を有する繊維とを撚り合わせたマルチフィラメントであっても構わない。ベルト剛性や生産性(製織性)を考慮して選択すればよい。
また、縦糸、横糸で織り合わせた織物の表面にゴム弾性のある樹脂を塗布する場合にも、ロールや刷毛、スプレー塗布、あるいは浸漬等様々な加工方法があり、限定はされない。加工後にも網目が残るようにすればよい。基布が網状であるため、使用する樹脂の粘度や特性、そして網の構造や搬送物等を考慮し樹脂の種類や塗布量を適宜選択すればよい。
ここで使用するゴム弾性のある樹脂としては、スチレン・ブタジェンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム等があり、他にもポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン系共重合体樹脂、合成高分子化合物やハードセグメント(ポリブチレン)とソフトセグメント(ポリエーテル)とのブロック共重合体からなる樹脂等も効果的である。しかし、高弾性材であっても搬送物によっては滑ってしまうものもあり、搬送物によって樹脂を選択する必要がある。
一般的にゴム弾性のある樹脂は摩擦係数が高いため搬送物の滑りを防止することができるが、硬いと摩擦係数が低くなるためJIS規格ゴム硬度で90°以下が望ましく、特にカッターマシン用ベルトとして考えると、ベルトと紙との摩擦係数が0.2以上となるように素材と硬度を設定するとよい。
本発明は、樹脂製の縦糸、横糸から構成された通気性を有する網目構造のベルト表面の少なくとも一部にゴム弾性のある樹脂による滑り防止加工を施すことで、搬送物に網目を転写することなく、尚かつ搬送物の滑りを防止することのできる搬送用ベルトを提供するという効果を奏する。
以下、比較例を挙げて本発明に係る実施形態について説明する。以下に示す実施形態は本発明を限定するものではない。
(比較例1)
縦糸に直径0.4mmのポリエステルモノフィラメントを30本/inch配置し、横糸に直径0.4mmのポリエステルモノフィラメントを30本/inch配置して製織した平織構造の縦糸一層横糸一層織物からなるベルトを比較例1とした。
(比較例2)
開口のない厚さ3mmのシリコーンゴム製のシート状ベルト。
(実施形態1)
比較例1の織物表面にポリブチレンとポリエーテルとのブロック共重合体からなるJIS規格ゴム硬度80°の樹脂をロールコーターにて塗布したものを実施形態1とした。
(実施形態2)
縦糸に直径0.4mmのポリエステルモノフィラメントを30本/inch配置し、横糸に直径0.4mmの防滑加工を施したモノフィラメントを30本/inch配置して製織した平織構造の縦糸一層横糸一層織物を作成した。防滑加工を施した糸とは、ポリエステルモノフィラメントを基体とし、その表面にポリブチレンとポリエーテルとのブロック共重合体からなるJIS規格ゴム硬度85°の樹脂を全周に被覆してモノフィラメント状に形成した糸を用いた。
実施形態1、2の防滑加工を施したベルトと、比較例1、2のベルトをカッターマシンにて使用し、作業性について比較した。カッターマシンのベルトの裏面には吸引装置が設置されている。また、各実施形態、引用例との摩擦抵抗も測定した。
まず、摩擦係数については、実施形態1は0.37であり、実施形態2は0.23であった。そして、比較例1は0.13であり、比較例2は0.40であった。特に、実施形態1は織物表面全体に防滑加工が施されているため非常に滑りにくいものである。実施形態2のベルトは糸自体に防滑加工が施されているため、樹脂剥がれの心配もなく好ましい。比較例1は摩擦係数が低く載置物が滑りやすいことがわかる。
また、実際に実機にて比較した結果、実施形態1、2のベルトでは、規格サイズに裁断された紙を滑ることなく整頓されて積層して搬送させることができた。カッターマシンが高速になっても、ベルト裏面から吸引されているため搬送物が滑ってしまうこともなかった。比較例1のベルトでは低速時の場合には吸引装置のバキューム圧を調整することで搬送物の滑りを防ぐことができるが、高速になると裁断された紙が滑ってしまい、きれいに整頓し積層させることは困難であった。また、比較例2のベルトでは低速時には滑らず搬送物を整頓して積層搬送できるものの、高速時には吸引装置を併用できないという難点から、紙が舞って乱雑になってしまった。さらに、ベルトはシリコーンゴムで構成されているため非常に高価でコスト高であることは否めない。

Claims (4)

  1. 樹脂製の縦糸、横糸から構成された通気性を有する網目構造のベルトにおいて、該ベルト表面の少なくとも一部にゴム弾性のある樹脂が配された、滑り防止効果のある搬送用ベルト。
  2. 前記搬送用ベルトにおいて、少なくとも表面がゴム弾性のある樹脂で構成された糸を、縦糸又は横糸の少なくとも一部に配して織成したことを特徴とする、請求項1に記載された滑り防止効果のある搬送用ベルト。
  3. 前記搬送用ベルトにおいて、縦糸、横糸から構成された通気性を有する網目構造の樹脂製ベルトの表面に、ゴム弾性のある樹脂を塗布して構成したことを特徴とする、請求項1に記載された滑り防止効果のある搬送用ベルト。
  4. 前記縦糸、横糸から構成された通気性を有する網目構造のベルトが織物であって、該織物の両端部に織物自体の縦糸によってループを形成し、両端部のループを付き合わせて形成した共通孔に連結線を挿通することによって無端状とした、請求項1ないし3に記載された滑り防止効果のある搬送用ベルト。
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