JP2009147488A - 車両用樹脂成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の見栄えに悪影響を及ぼすことなく、特別な固定具を用いずにアンテナ部材を安定して配設できるようにする。
【解決手段】アウタパネル5及びインナパネル7とは、各々の周縁を一体に接合して構成されている。この接合部のパネル5,7間には、電波を送受するアンテナ部材10が、リフトゲート1の上縁と、この上縁よりも上方のリフトゲート1の外周縁とに沿ってループ状に介在されている。このアンテナ部材10介在領域では、アンテナ部材10の通電による発熱で両パネル5,7が互いに溶着してアンテナ部材10が溶融樹脂34に埋設された状態となっている。
【選択図】図3
【解決手段】アウタパネル5及びインナパネル7とは、各々の周縁を一体に接合して構成されている。この接合部のパネル5,7間には、電波を送受するアンテナ部材10が、リフトゲート1の上縁と、この上縁よりも上方のリフトゲート1の外周縁とに沿ってループ状に介在されている。このアンテナ部材10介在領域では、アンテナ部材10の通電による発熱で両パネル5,7が互いに溶着してアンテナ部材10が溶融樹脂34に埋設された状態となっている。
【選択図】図3
Description
本発明は、インナパネルとアウタパネルとを一体に接合してなる車両用樹脂成形品に関するものである。
特許文献1には、インナパネルとアウタパネルとの間に線状のアンテナ部材を固定フックにより配設した車両の樹脂製リヤゲートが開示されている。
一方、特許文献2には、アンテナ部材が埋設された車両の樹脂製エアスポイラが開示されている。
特開2006−295712号公報
特開昭61−60509号公報
ところで、上記特許文献1では、アンテナ部材を固定フックで止めているだけなので、ドアの開閉による衝撃等でアンテナ部材が固定フックから外れるおそれがあり、アンテナ部材が外れた状態で車両が走行すると、走行による振動でアンテナ部材がばたついて異音が発生するおそれがある。また、アンテナ部材を固定するために専用の固定フックが必要である。
また、上記特許文献2では、エアスポイラをアンテナ部材が表面に露出しないようにインサート成形する際、細長くて撓み易いアンテナ部材を、成形型の成形面に接触しないようにセットすることは困難であり、厚みの薄いエアスポイラでは、いくら注意を払っても、成形されたエアスポイラの表面にアンテナ部材が露出することがあり、また、アンテナ部材の露出がなくても成形収縮の差によりヒケが発生し、車両の外観見栄えに悪影響を及ぼすこととなる。
本発明は、この点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両の見栄えに悪影響を及ぼすことなく、特別な固定具を用いずにアンテナ部材を安定して配設できるようにすることである。
上記の目的を達成するため、本発明は、樹脂製インナパネルと樹脂製アウタパネルとの接合部のパネル間にアンテナ部材を介在させたことを特徴とする。
具体的には、この発明は、樹脂製インナパネルと樹脂製アウタパネルとの各々の周縁を一体に接合してなる車両用樹脂成形品を対象とし、次のような解決手段を講じた。
すなわち、請求項1に記載の発明は、上記接合部のパネル間に、電波を送受するアンテナ部材が所定領域に亘って介在されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の車両用樹脂成形品において、上記アンテナ部材は、金属製の導電線によって構成され、上記接合部のアンテナ部材介在領域では、該アンテナ部材の通電による発熱で上記両パネルが互いに溶着してアンテナ部材が溶融樹脂に埋設されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2の車両用樹脂成形品において、上記樹脂成形品は、ウィンドガラス装着用の開口を有するリフトゲートであり、上記アンテナ部材は、上記開口の上縁と、該上縁よりも上方のリフトゲートの外周縁とに沿ってループ状に介在されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2の車両用樹脂成形品において、上記樹脂成形品は、ウィンドガラス装着用の開口を有するリフトゲートであり、上記アンテナ部材は、上記開口の外周縁に沿って介在されていることを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、アンテナ部材が両パネル間の周縁に挟持状態で介在されているので、アンテナ部材が両パネルから外れることなく安定して取り付けられる。したがって、アンテナ部材が車両走行時の振動でばたついて異音を発生させることがない。
また、アンテナ部材が両パネルで挟まれることにより固定されているので、アンテナ部材を固定するための専用の固定具が必要とされない。
また、アンテナ部材を両パネルで挟むようにしているので、特許文献2の如きインサート成形する場合においてアンテナ部材を成形型に注意深くセットしなくても、アンテナ部材がパネル表面に露出せず、また、成形収縮差によるヒケの発生がなく車両の外観見栄えに悪影響を及ぼさない。
さらに、アンテナ部材介在領域において、アンテナ部材により両パネルが補強され、両パネルの剛性が高まっている。
請求項2に係る発明によれば、アンテナ部材介在領域において、接着材を使用することなく両パネルを接合することができるので、その分だけ両パネルの接合に必要なコストを低減できる。
請求項3に係る発明によれば、高い位置にアンテナ部材が設けられているので、アンテナ部材が電波を受信し易く、その分だけアンテナ部材の受信性能が高まっている。
請求項4に係る発明によれば、金属製の車体から離れたウィンドガラス装着用の開口の外周縁に沿ってアンテナ部材が設けられているので、金属製の車体がアンテナ部材による電波の受信に悪影響を及ぼしにくく、その分だけアンテナ部材の受信性能が高まっている。
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
図1は、自動車の車体後部の開口を上下方向に開閉するリフトゲート(バックドア)1を示す。該リフトゲート1は、車両外側に位置する樹脂製アウタパネル5と車両内側に位置する樹脂製インナパネル7とを備えている。上記アウタパネル5の上端には、図2にも示すように、車両後方へ向けて突出して車幅方向に延びるリヤスポイラ部13が一体に形成され、アウタパネル5の下部には、ナンバープレート(図示せず)を取り付けるためのナンバープレート取付部21が車体内側に向かって窪むように形成されている。また、上記リヤスポイラ部13とナンバープレート取付部21との間には、ウィンドガラス9装着用のガラス取付口15が形成され、該ガラス取付口15の周縁には、ウィンドガラス9が接着材35(図3参照)を介して装着されている。一方、上記インナパネル7の上半部分には、上記アウタパネル5のガラス取付口15に対応して開口部25が形成され、インナパネル7の下部には、上記アウタパネル5のナンバープレート取付部21に対応して車体内側へ窪む凹部29が形成されている。また、インナパネル7の上端縁部を除く外周縁には、図6に示すように、該外周縁に沿って延びる接着材載置用の凹溝部19が形成されている。上記アウタパネル5のガラス取付口15と上記インナパネル7の開口部25とが重なって、ウィンドガラス9装着用の開口8が形成されている。
図1は、自動車の車体後部の開口を上下方向に開閉するリフトゲート(バックドア)1を示す。該リフトゲート1は、車両外側に位置する樹脂製アウタパネル5と車両内側に位置する樹脂製インナパネル7とを備えている。上記アウタパネル5の上端には、図2にも示すように、車両後方へ向けて突出して車幅方向に延びるリヤスポイラ部13が一体に形成され、アウタパネル5の下部には、ナンバープレート(図示せず)を取り付けるためのナンバープレート取付部21が車体内側に向かって窪むように形成されている。また、上記リヤスポイラ部13とナンバープレート取付部21との間には、ウィンドガラス9装着用のガラス取付口15が形成され、該ガラス取付口15の周縁には、ウィンドガラス9が接着材35(図3参照)を介して装着されている。一方、上記インナパネル7の上半部分には、上記アウタパネル5のガラス取付口15に対応して開口部25が形成され、インナパネル7の下部には、上記アウタパネル5のナンバープレート取付部21に対応して車体内側へ窪む凹部29が形成されている。また、インナパネル7の上端縁部を除く外周縁には、図6に示すように、該外周縁に沿って延びる接着材載置用の凹溝部19が形成されている。上記アウタパネル5のガラス取付口15と上記インナパネル7の開口部25とが重なって、ウィンドガラス9装着用の開口8が形成されている。
また、上記両パネル5,7間には、図3〜5にも示すように、上記リフトゲート1の開口8の上縁と、該上縁よりも上方のリフトゲート1の外周縁、すなわちリヤスポイラ部13の外周縁とに沿って、電波を送受するアンテナ部材10が略矩形ループ状に介在されている。該アンテナ部材10は、針金状のステンレス鋼、軟鋼からなり、該アンテナ部材10の両端10aは、上記リフトゲート1の車幅方向中央部に配置され、図外の電源及び受信装置にソケット12を介して接続されるようになっている。上記アンテナ部材10介在領域においては、アンテナ部材10に所定の電流を流した際のアンテナ部材10の通電による発熱で両パネル5,7が互いに溶着し、アンテナ部材10が溶融樹脂34に埋設されている(図4,5参照)。一方、アンテナ部材10介在領域を除く両パネル5.7の周縁は、上記インナパネル7の凹溝部19に載置された接着材33を介して一体に接合されている(図6参照)。また、アンテナ部材10の車両前側でかつ後方から見て左端寄りの位置には、アンテナ部材10の長さを調整するための屈曲部10bが設けられている。一方、インナパネル7における上記屈曲部10bに対応する位置には、該屈曲部10bを車内側に露出させる露出孔31が形成されている。この露出孔31から露出する屈曲部10bは、アンテナ部材10の長さが所望の適応周波数に対応する長さとなるように所定位置に設けられて両パネル5,7の溶着後にインナパネル7の車内側から所定量切断されている。
以上説明したように、本実施形態1では、アンテナ部材10が両パネル5,7間の周縁に挟持状態で介在されているので、アンテナ部材10は両パネル5,7から外れることなく安定して取り付けられる。したがって、アンテナ部材10が車両走行時の振動でばたついて異音を発生させることがない。
また、アンテナ部材10が両パネル5,7で挟まれることにより固定されているので、アンテナ部材10を固定するための専用の固定具が必要とならない。
また、アンテナ部材10を両パネル5,7で挟むようにしているので、アンテナ部材10がアウタパネル5表面に露出せず、車両の外観見栄えがよい。また、例えばアウタパネル5にアンテナ部材10を内蔵する場合、アンテナ部材10をキャビティ内に設置してインサート成形を行う必要があるが、本実施形態1では、アウタパネル5をアンテナ部材10とは別に成形するので、アンテナ部材の成形型への配置に注意を払わずに済み、成形が容易である。
また、アンテナ部材10介在領域において接着材33を使用することなく両パネル5,7を接合することができるので、その分だけ両パネル5,7の接合に必要なコストを低減できる。
さらに、アンテナ部材10介在領域においては、アンテナ部材10により両パネル5,7が補強され、両パネル5,7の剛性が高まっている。
また、高い位置にアンテナ部材10が設けられているので、アンテナ部材10が電波を受信し易く、その分アンテナ部材10の受信性能が高まっている。
なお、本実施形態1では、アンテナ部材10に電流を流すことによりアンテナ部材10を溶融樹脂34に埋設させていたが、アンテナ部材10に電流を流さず、両パネル5,7が、図9及び図10に示すように、パネル用接着材33の接着力のみによって接着されるようにしてもよい。
なお、本実施形態1では、リヤゲート1に一体のリヤスポイラ部13にアンテナ部材10を設けたが、リヤゲート1とは別体のルーフスポイラにアンテナ部材10を設けてもよい。
(実施形態2)
図11は、本発明の実施形態2に係るリフトゲート1を示す。この実施形態2では、アンテナ部材10が、リフトゲート1の開口8の外周縁に沿って両パネル5,7間に介在されている。その介在箇所の構造は実施形態1と同じく、アンテナ部材10に電流を流すことによりアンテナ部材10を溶融樹脂34に埋設したり、あるいは接着材33を用いてもよい。そのほかの構成も実施形態1と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図11は、本発明の実施形態2に係るリフトゲート1を示す。この実施形態2では、アンテナ部材10が、リフトゲート1の開口8の外周縁に沿って両パネル5,7間に介在されている。その介在箇所の構造は実施形態1と同じく、アンテナ部材10に電流を流すことによりアンテナ部材10を溶融樹脂34に埋設したり、あるいは接着材33を用いてもよい。そのほかの構成も実施形態1と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
本実施形態2においては、金属製の車体から離れた開口8に沿ってアンテナ部材10が設けられているので、アンテナ部材10による電波の受信に、金属製の車体が影響を及ぼしにくく、その分アンテナ部材10の受信性能が高まっている。そのほかに実施形態1と同じ構成を採ることによる効果をも当然に有している。
本発明は、車両用のインナパネルとアウタパネルとを一体に接合してなる車両用樹脂成形品として有用である。
1 リフトゲート(樹脂成形品)
5 アウタパネル
7 インナパネル
8 開口
10 アンテナ部材
34 溶融樹脂
5 アウタパネル
7 インナパネル
8 開口
10 アンテナ部材
34 溶融樹脂
Claims (4)
- 樹脂製インナパネルと樹脂製アウタパネルとの各々の周縁を一体に接合してなり、
当該接合部のパネル間には、電波を送受するアンテナ部材が所定領域に亘って介在されていることを特徴とする車両用樹脂成形品。 - 請求項1の車両用樹脂成形品において、
上記アンテナ部材は、金属製の導電線によって構成され、
上記接合部のアンテナ部材介在領域では、該アンテナ部材の通電による発熱で上記両パネルが互いに溶着してアンテナ部材が溶融樹脂に埋設されていることを特徴とする車両用樹脂成形品。 - 請求項1又は請求項2の車両用樹脂成形品において、
上記樹脂成形品は、ウィンドガラス装着用の開口を有するリフトゲートであり、
上記アンテナ部材は、上記開口の上縁と、該上縁よりも上方のリフトゲートの外周縁とに沿ってループ状に介在されていることを特徴とする車両用樹脂成形品。 - 請求項1又は請求項2の車両用樹脂成形品において、
上記樹脂成形品は、ウィンドガラス装着用の開口を有するリフトゲートであり、
上記アンテナ部材は、上記開口の外周縁に沿って介在されていることを特徴とする車両用樹脂成形品。
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JP2007320434A JP2009147488A (ja) | 2007-12-12 | 2007-12-12 | 車両用樹脂成形品 |
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Cited By (2)
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US20160137143A1 (en) * | 2014-11-13 | 2016-05-19 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Vehicular resin panel structure |
JP2016113012A (ja) * | 2014-12-15 | 2016-06-23 | トヨタ自動車株式会社 | 車両用樹脂バックドア |
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2007
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US20160137143A1 (en) * | 2014-11-13 | 2016-05-19 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Vehicular resin panel structure |
CN105599571A (zh) * | 2014-11-13 | 2016-05-25 | 丰田自动车株式会社 | 车辆树脂面板结构 |
US9889804B2 (en) * | 2014-11-13 | 2018-02-13 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Vehicular resin panel structure |
JP2016113012A (ja) * | 2014-12-15 | 2016-06-23 | トヨタ自動車株式会社 | 車両用樹脂バックドア |
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