JP2009144456A - 緩衝装置、開閉扉付箱体、手押し走行体、及び引き戸 - Google Patents

緩衝装置、開閉扉付箱体、手押し走行体、及び引き戸 Download PDF

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英弘 若月
Takuji Mayuzumi
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Abstract

【課題】対象物の運動が直線運動に限定されず、また、直線運動であってもストローク(移動長さ)に限定されない緩衝装置を提供する。
【解決手段】ハウジングケース3の内部に、ハウジングケース側に一端を止着した長尺摺動摩擦部材23と、長尺摺動摩擦部材を巻き付けたブレーキ回転体24と、長尺摺動摩擦部材の他端を止着し、長尺摺動摩擦部材の締め付けを制御する締め付け制御部材25と、回転ダンパー28とを備え、回転ダンパーの軸またはダンパー本体の一方を締め付け制御部材に接続し、当該回転ダンパーの軸またはダンパー本体の他方を前記ブレーキ回転体に接続し、外部入力側の部材を前記ブレーキ回転体に対して接続可能とし、外部入力側の部材からの入力に応じて回転ダンパーの軸とダンパー本体とが共回りする力を生じさせ、この力に応じて締め付け制御部材を回動して長尺摺動摩擦部材のブレーキ回転体に対する締め付けを制御する。
【選択図】図3

Description

本発明は、入力側の力の大きさに応じて緩衝効果を発揮する緩衝装置、この緩衝装置を開閉扉に連携させて扉が急激に閉じることを防止した電子レンジなどの扉付箱体、緩衝装置を車輪の軸に連携させて車輪が所定の速度を超えた時に速度に応じた制動を行う赤ん坊用のバギーや台車などの手押し走行体、閉じる時の衝撃を緩めることができる引き戸に関する。
緩衝装置、例えば、引き出しの緩衝装置としては、引き出しと共に移動する部材に、3つのロールを千鳥配置で設け、これらロールの間に摺動テープを通し、引き出しの勢いを回転ダンパーにより取り出し、勢いが強い場合には摺動テープの張力を強めて前記3つのロールに対する摺動抵抗を増大して引き出しの閉じ速度を制御する緩衝装置およびスライド制御方法が提案されている(特許文献1)。
特開2005−204790号公報
しかしながら、前記した従来の緩衝装置は、直線運動する対象物にのみ有効に作用させることができ、回転運動するものには使用することができない。また、直線運動であっても、ストロークに限界がある。このため、従来の緩衝装置は使用範囲に大きな制限があり、適用範囲が狭かった。
本発明は、上記した不都合に鑑み提案されたものであり、その目的は、対象物の運動が直線運動に限定されず、また、直線運動であってもストローク(移動長さ)に限定されない緩衝装置を提供することである。また、この緩衝装置を組み込んで、電子レンジやオーブンレンジ、家具などのヒンジ式の開閉扉を急激に閉じようとした時にその動きを緩やかに制御できる開閉扉付箱体、ベビーカーや車椅子などの車輪に緩衝装置を取り付けて暴走を防止できる手押し式のバギー、緩衝装置を戸に接続して戸を急激に閉じても緩やかに閉まるようにした引き戸を提供することを目的とする。
本発明は、前記した目的を達成するために提案されたもので、請求項1に記載の緩衝装置は、ハウジングケースの内部に、該ハウジングケース側に一端を止着した長尺摺動摩擦部材と、該長尺摺動摩擦部材の途中を外周面に巻き付けたブレーキ回転体と、前記長尺摺動摩擦部材の他端を止着し、該長尺摺動摩擦部材のブレーキ回転体に対する締め付けを制御する締め付け制御部材と、回転ダンパーと、を備え、
前記締め付け制御部材を回動し得る状態で回転ダンパーの軸またはダンパー本体の一方を締め付け制御部材に接続し、当該回転ダンパーの軸またはダンパー本体の他方を前記ブレーキ回転体に接続し、外部入力側の部材を前記ブレーキ回転体に対して接続可能とし、
前記外部入力側の部材からの入力に応じて回転ダンパーの軸とダンパー本体とが共回りする力を生じさせ、この力に応じて前記締め付け制御部材を回動して長尺摺動摩擦部材のブレーキ回転体に対する締め付けを制御することを特徴とする緩衝装置である。
請求項2に記載のものは、長尺摺動摩擦部材のブレーキ回転体に対する締め付けを緩める方向に付勢力を付与する付勢手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の緩衝装置である。
請求項3に記載のものは、前面に開口部を有する筐体と、該筐体の開口部の一側にヒンジ機構を介して取り付けられて開口部を開閉する扉と、を備えた開閉扉付箱体において、
請求項1または2に記載の緩衝装置を筐体に取り付けると共に、外部入力側の部材としてリールを設け、該リールとブレーキ回転体との間を機械的伝達手段および一方向クラッチを介して接続し、前記リールに一端を止着した状態で伝達ワイヤーをリールに巻き付けると共に、該リールには伝達ワイヤーを巻き取る方向に付勢する付勢手段を備え、前記伝達ワイヤーの他端を、前記扉の開閉動作に連動して移動する連動部材に接続し、
扉を開く際に、連動部材の移動により緩められる伝達ワイヤーを付勢手段により付勢された回転するリールに巻き取り、
扉を閉じる際に、連動部材の移動により引っ張られる伝達ワイヤーがリールから巻き戻され、この巻き戻しに伴ってブレーキ回転体を回転して回転ダンパーの軸とダンパー本体とが共回りする力を生じさせ、この力に応じて前記締め付け制御部材を回動して長尺摺動摩擦部材のブレーキ回転体に対する締め付けを制御することを特徴とする開閉扉付箱体である。
請求項4に記載のものは、車輪と手押し操作部を車体に備え、前記車輪の車軸に請求項1または2に記載の緩衝装置を連携した手押し走行体であって、
前記車軸に、一方向クラッチを介して外部入力側の部材としてローターを接続し、該ローターと共に回転するブレーキ回転体を設け、
前記ローターと回転ダンパーの軸とを機械的伝達手段により接続し、
回転ダンパーのダンパー本体を、車軸とは独立して回動可能に設けた締め付け制御部材に固定し、
前記ブレーキ回転体とローターと回転ダンパーと締め付け制御部材とをハウジングケースの内部に収容し、該ハウジングケース側に一端を止着した長尺摺動摩擦部材の途中をブレーキ回転体に巻き付けて他端を締め付け制御部材に止着し、
一方向クラッチを介して回転するローターの回転を回転ダンパーの軸に伝達して当該軸を回転し、この軸が予め設定した回転速度を超えた場合に、該軸の回転により回転ダンパーのダンパー本体に共回りの力を発生させ、この共回りの力で前記締め付け制御部材を回動して長尺摺動摩擦部材のブレーキ回転体に対する締め付けを制御して車輪を制動するようにしたことを特徴とする手押し走行体である。
請求項5に記載のものは、レールと、該レールに沿って移動する戸を備え、該戸に連携した状態で請求項1または2に記載の緩衝装置を設けた引き戸であって、
外部入力側の部材としてリールを設け、該リールとブレーキ回転体との間を機械的伝達手段および一方向クラッチを介して接続し、前記リールに一端を止着した状態で伝達ワイヤーの途中部分をリールに巻き付けると共に、該リールには伝達ワイヤーを巻き取る方向に付勢する付勢手段を備え、前記伝達ワイヤーの他端を前記戸に接続し、
戸を開く際には、緩められる伝達ワイヤーを付勢手段により付勢されて回転するリールに巻き取り、
戸を閉じる際には、戸の移動により引っ張られる伝達ワイヤーがリールから巻き戻され、この巻き戻しに伴ってブレーキ回転体を回転して回転ダンパーの軸とダンパー本体とが共回りする力を生じさせ、この力に応じて前記締め付け制御部材を回動して長尺摺動摩擦部材のブレーキ回転体に対する締め付けを制御することを特徴とする引き戸である。
請求項1に記載の緩衝装置によれば、ハウジングケースの内部に、長尺摺動摩擦部材の途中を外周面に巻き付けたブレーキ回転体と、前記長尺摺動摩擦部材の他端を止着し、該長尺摺動摩擦部材のブレーキ回転体に対する締め付けを制御する締め付け制御部材と、回転ダンパーと、を備え、前記締め付け制御部材を回動し得る状態で回転ダンパーの軸またはダンパー本体の一方を締め付け制御部材に接続し、当該回転ダンパーの軸またはダンパー本体の他方を前記ブレーキ回転体に接続し、外部入力側の部材を前記ブレーキ回転体に対して接続可能とし、前記外部入力側の部材からの入力に応じて回転ダンパーの軸とダンパー本体とが共回りする力を生じさせ、この力に応じて前記締め付け制御部材を回動して長尺摺動摩擦部材のブレーキ回転体に対する締め付けを制御するので、外部入力側の部材に対象物を接続できれば、対象物の運動が直線運動であっても回転運動であっても対応することができる。また、回転ダンパーに入力される単位時間当たりの力の強さに応じて長尺摺動摩擦部材のブレーキ回転体に対する締め付けを制御するので、対象物の運動状態に応じて過不足のない緩衝機能を奏することができる。
請求項2の発明によれば、長尺摺動摩擦部材のブレーキ回転体に対する締め付けを緩める方向に付勢力を付与する付勢手段を備えるので、外部入力側の部材に対象物からの入力が減少あるいは消滅した時に、付勢手段により長尺摺動摩擦部材のブレーキ回転体に対する締め付けを緩めたり、初期状態に戻すことができる。したがって、次の入力があった場合には緩やかな緩衝から入力の大きさに応じて緩衝力を制御でき、動作の円滑化を確保することができる。
請求項3の発明によれば、前面に開口部を有する筐体と、該筐体の開口部の一側にヒンジ機構を介して取り付けられて開口部を開閉する扉と、を備えた開閉扉付箱体において、
外部入力側の部材としてリールを設け、該リールとブレーキ回転体との間を機械的伝達手段および一方向クラッチを介して接続し、前記リールに一端を止着した状態で伝達ワイヤーをリールに巻き付けると共に、該リールには伝達ワイヤーを巻き取る方向に付勢する付勢手段を備え、前記伝達ワイヤーの他端を、前記扉の開閉動作に連動して移動する連動部材に接続し、扉を開く際に、連動部材の移動により緩められる伝達ワイヤーを付勢手段により付勢された回転するリールに巻き取り、扉を閉じる際に、連動部材の移動により引っ張られる伝達ワイヤーがリールから巻き戻され、この巻き戻しに伴ってブレーキ回転体を回転して回転ダンパーの軸とダンパー本体とが共回りする力を生じさせ、この力に応じて前記締め付け制御部材を回動して長尺摺動摩擦部材のブレーキ回転体に対する締め付けを制御するので、扉を開く場合には一方向クラッチの作用により緩衝装置の緩衝を受けることなく開くことができる。そして、扉を閉じる場合に、誤って、或いは悪戯で乱暴に操作しても、扉の閉動作に応じた強さで長尺摺動摩擦部材のブレーキ回転体に対する締め付けを調整することができる。したがって、好適な速さで扉が閉じられ、手や指を挟むトラブルを未然に防止できる。また、扉の閉じ方が落ち着いて、高級感を感じさせることができ、商品価値を高めることができる。
請求項4に記載の手押し走行体によれば、車軸に、一方向クラッチを介して外部入力側の部材としてローターを接続し、該ローターと共に回転するブレーキ回転体を設け、前記ローターと回転ダンパーの軸とを機械的伝達手段により接続し、回転ダンパーのダンパー本体を、車軸とは独立して回動可能に設けた締め付け制御部材に固定し、前記ブレーキ回転体とローターと回転ダンパーと締め付け制御部材とをハウジングケースの内部に収容し、該ハウジングケース側に一端を止着した長尺摺動摩擦部材の途中をブレーキ回転体に巻き付けて他端を締め付け制御部材に止着し、一方向クラッチを介して回転するローターの回転を回転ダンパーの軸に伝達して当該軸を回転し、この軸が予め設定した回転速度を超えた場合に、該軸の回転により回転ダンパーのダンパー本体に共回りの力を発生させ、この共回りの力で前記締め付け制御部材を回動して長尺摺動摩擦部材のブレーキ回転体に対する締め付けを制御して車輪を制動するので、車輪が予め設定した回転速度を超えた場合には自動的に制動することができ、しかも速度に応じた強さで制動力を作用することができる。したがって、バギーが暴走したとしても、走行速度を安全な範囲に収めて危険な速度に達することを未然に防止することができる。したがって、高い安全性を確保することができる。
請求項5に記載の引き戸は、外部入力側の部材としてリールを設け、該リールとブレーキ回転体との間を機械的伝達手段および一方向クラッチを介して接続し、前記リールに一端を止着した状態で伝達ワイヤーの途中部分をリールに巻き付けると共に、該リールには伝達ワイヤーを巻き取る方向に付勢する付勢手段を備え、前記伝達ワイヤーの他端を前記戸に接続し、戸を開く際には、緩められる伝達ワイヤーを付勢手段により付勢されて回転するリールに巻き取り、戸を閉じる際には、戸の移動により引っ張られる伝達ワイヤーがリールから巻き戻され、この巻き戻しに伴ってブレーキ回転体を回転して回転ダンパーの軸とダンパー本体とが共回りする力を生じさせ、この力に応じて前記締め付け制御部材を回動して長尺摺動摩擦部材のブレーキ回転体に対する締め付けを制御するので、誤って、或いは悪戯で戸を勢い良く閉じた場合であっても、戸の速度に応じた制動力を付与して適切な速さで閉じるように制御することができる。したがって、誤って手や指を挟んで怪我するなどのトラブルを未然に防止することができる。また、戸の移動長さに制約がないので、広範囲に適用することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、開閉扉付箱体の一例である電子レンジ1の実施形態の斜視図、図2はこの電子レンジ1に設けた緩衝装置2のハウジングケース3を開いた状態における斜視図、図3は緩衝装置2の主要部品を分解した状態における斜視図である。
電子レンジ1は、図1に示すように、前面に開口部を有する筐体4と、該筐体4の開口部の一側、具体的には開口部の下縁に、軸5を水平方向に配置したヒンジ機構(図示せず)を設け、このヒンジ機構を介して取り付けられた扉6とにより開閉扉付箱体が概略構成されており、筐体4の内部奥に設けられたエレクトロン(図示せず)と、筐体4の内部の底面部分に設けられて被加熱物を載せて回転するターンテーブル(図示せず)と、を備えている。そして、前面に位置する扉6の上端部分に設けられた把持部7を手で持って手前(図1中では右側)に引いて開動作を行うと、扉6の下端のヒンジ機構の軸5を中心にして上端に位置する扉6の自由端側が手前に倒れる方向(図1中矢印OP方向)に回動し、この回動により筐体4の開口部を開放状態に変換することができる。一方、開いた扉6を閉じるには、扉6の自由端側を上昇させながら図1中矢印CL方向に戻り回動すると、扉6が起立して開口部を閉じた状態に戻すことができ、本実施形態においては、扉6を激しく、或いは急激に上昇させて多少乱暴に閉動作を行ったとしても、扉6と連携して設けたユニット状の緩衝装置2の緩衝機能により、扉6の戻り回動が緩められて静かに閉じられる。
次に、緩衝装置2について説明する。
緩衝装置2は、筐体4の左側壁の内部、具体的には筐体4内部の調理室の内壁面を構成している内面パネル4aと筐体4の外面を構成している外面パネル(図面では外されているので図示せず)との間のスペース8の後方下部に取り付けられ、扉6とはレバー及びワイヤーなどの機械的伝達手段により接続されている。
扉6と緩衝装置2とを接続する機械的伝達手段は、扉6の裏側一側から扉6の面に対してほぼ直交する角度で後方に向けて突設されて扉6の開閉動作により前後方向に移動するレバー9と、該レバー9の後端に下端を軸着されて長手方向の途中を筐体4側に軸着した縦長な反転レバー10と、反転レバー10の上端に一端を接続して途中を前記スペース8の後方上部と後方下部に配設されたプーリー11に掛けて方向を変えた伝達ワイヤー12とからなり、この伝達ワイヤー12の他端が緩衝装置2に接続されている。なお、伝達ワイヤー12は、金属製或いは合成樹脂製のワイヤー、紐など引っ張り力を伝達できる長尺な部材であればよい。
緩衝装置2は、2つに分割可能な箱状のハウジングケース3の内部に、前記した伝達ワイヤー12を巻き取ったり巻き戻したりして外部入力側の部材として機能するリール20と、該リール20の伝達ワイヤー巻取り太径部21の内部に設けられて伝達ワイヤー12を巻き取る方向にリール20を付勢する付勢部材としてのゼンマイバネ22と、ハウジングケース3側に一端を止着した金属ワイヤー23などの長尺摺動摩擦部材と、該長尺摺動摩擦部材の途中を外周面に巻き付けたブレーキ回転体24と、前記長尺摺動摩擦部材(金属ワイヤー23)の他端を止着し、該長尺摺動摩擦部材のブレーキ回転体24に対する締め付けを制御する締め付け制御部材25と、ダンパー本体26内の抵抗力発生機構(緩衝機構)によりダンパー本体26と該ダンパー本体26から突出した軸27との相対的回転に回転入力に応じた緩衝機能を有する回転ダンパー28と、前記した伝達ワイヤー12が引っ張られてリール20が回転したときにのみリール20からの回転を回転ダンパー28に伝達する一方向クラッチ29とを備えている。
ハウジングケース3は、図3に示すように、筐体4側に固定するケース本体3aと、ケース本体3aに被せる蓋3bとから構成されており、ケース本体3aの内部に、リール20を収納する円形の凹部31とブレーキ回転体24を収納する凹部32とが形成され、リール用凹部31の中心に軸33が突設され、この軸33にリール20の中心の軸孔が遊嵌される。また、このリール用凹部31の軸33にゼンマイバネ22の内側の端部が止着されて外側の端部がリール本体20aの太径部21のスリット34に止着され、リール20が一方(伝達ワイヤー12を巻き戻す方向)に回転することによりゼンマイバネ22が絞られて力を溜め込み、この溜め込んだ力の復元力でリール20が他方(伝達ワイヤー12を巻き取る方向)に付勢されて回転する。なお、伝達ワイヤー12は一端がリール20に止着されて巻き付けられている。そして、リール20の回転は、リール本体20aに被せるフランジ部付カバー20bのフランジ部に形成したギア35を介して、このギア35に噛合するブレーキ回転体24のギア36に伝達され、これによりブレーキ回転体24がリール20の回転に伴って回転する。また、ケース本体3aには、伝達ワイヤー12の出入りを円滑に行えるよう、ガイド孔37を有するワイヤーガイド部材38を取り付けてある。
ブレーキ回転体24は、中心空部を有して外周面の対向する2箇所に切除部を形成した略円筒形のブレーキ筒体39と、中心空部を有して一端のフランジ部にギア36が形成されてフランジ部の下方の筒部に下方から前記ブレーキ筒体39が組み込まれるブレーキロータ40と、から概略構成されており、ケース本体3aに形成した凹部32から立設した軸41をブレーキ筒体39とブレーキロータ40の中心の孔に挿通して回転自在に支持されている。また、前記ブレーキロータ40の中空部内に円筒形の一方向クラッチ29を収納し、該一方向クラッチ29の外筒をブレーキロータ40の中空部内に強固に嵌合してスリップしない状態とし、一方向クラッチ29の中心孔内を通して回転ダンパー28の軸27を前記した軸41の上端凹部41´に嵌合し、該回転ダンパー28の本体26側を締め付け制御部材25に固定する。なお、一方向クラッチ29は、リール20に巻かれた伝達ワイヤー12が巻き戻され(リリースされ)てリール20が回転し、この回転によりブレーキ回転体24が回転した時にエンゲージ(ロック)して回転を回転ダンパー28の軸27に伝達し、逆に、伝達ワイヤー12を巻き取る際にリール20が回転してブレーキ回転体24が回転した時にはフリーとなり、回転ダンパー28の軸27に回転力を伝えることはしない。
回転ダンパー28は、内部に抵抗力発生機構を設けたダンパー本体26と、この本体26から突出した軸27とからなり、軸27または本体26の一方から入力したエネルギーを抵抗力発生機構(緩衝機構)により消散させることにより急激な回転を緩やかな回転にする部品であり、相対的に回転する本体26と軸27のいずれか一方を回転する。例えば、軸27を回転すると、この入力側である軸27の回転速度に応じて緩衝機構が回転運動のエネルギーを消散させ、消散容量以内であれば本体26を共回りさせることがなく軸27だけが回転し、消散容量以上であればその超えた分のエネルギー(力)が本体26を共回りさせることとなる。したがって、単位時間当たりの入力が大きい場合、すなわち、急激な入力があった場合には本体26側が入力の大きさに応じて大きく回動し、反対に単位時間当たりの入力が小さい場合、すなわち、ゆっくりとした入力があった場合、消散容量以内であれば本体26は停止したままであり、消散容量を超えた場合にその分の力で本体26が回動する。なお、抵抗力発生機構(緩衝機構)は、シリコンオイルなどの高い粘性を有する液体を本体26の内部に充填し、この液体の内部で軸27に接続した羽根車(図示せず)を回転させて流動抵抗を生じさせてこの抵抗を利用したり、または永久磁石の磁場を切るときの抵抗を利用したり、或いは、摩擦抵抗力を利用したり、様々な構成が提案されているが、容量に応じて適宜選択して使用することができる。
次に、締め付け制御部材25について説明する。この締め付け制御部材25は、回転ダンパー28と協働して長尺摺動摩擦部材のブレーキ回転体24に対する締め付けを制御するものであり、図3に示す実施形態においては、リール20のフランジ部と同様の大きさの円板25aから腕部25bを外向きに延設してなり、円板25aの中心に回転ダンパー28の本体26をネジで止着し、間に回転ダンパー28を介してリール20に取り付けられた状態となっている。そして、締め付け制御部材25の腕部25bの先端に、後述する長尺摺動摩擦部材の端を止着し、回転ダンパー28を介してリール20の回転状態に応じて回動し、この回動により長尺摺動摩擦部材の端を引っ張って長尺摺動摩擦部材のブレーキ回転体24に対する締め付けを制御するように構成されている。
長尺摺動摩擦部材は、金属ワイヤー23、紐、テープなどの長尺材であって、ブレーキ回転体24に巻き付いて摺動摩擦力を発生し、この摩擦でも磨耗し難く、また、外力を加えない自然状態では直線状態に復元する特性、具体的にはブレーキ回転体24への巻き締めを緩める特性を備えた素材であることが望ましく、図面の実施形態では、細い金属線を編んだ金属ワイヤー23により構成されている。そして、一端を本体ケース3aに止着し、途中をブレーキ回転体24の外周面に巻き付け、他端を前記した締め付け制御部材25の腕部25bに止着してある。なお、ブレーキ回転体24に巻く方向は、回転ダンパー28が締め付け制御部材25を回動すると長尺摺動摩擦部材がブレーキ回転体24に強く巻き付く方向、すなわち、巻き締める方向に巻く。また、長尺摺動摩擦部材(金属ワイヤー23)の一端を本体ケース3aに止着する部分は、図3に示すように、軸41を中心とする円弧上に沿って移動可能とし、この止着位置調整機能によりブレーキ回転体24に対する巻き締め初期状態を設定できるように構成されている。
次に、前記した構成からなる緩衝装置2の作用について説明する。
まず、扉6を閉じた状態においては、図1に示すように、扉6の裏側のレバー9が後退し、これにより反転レバー10の下端が後退して上端が前進し、この上端に接続した伝達ワイヤー12がリール20から引き出された状態で停止し、リール20のゼンマイバネ22に復元力が溜まった状態になっている。この扉6閉状態では、伝達ワイヤー12にゼンマイバネ22による張力が作用している。また、リール20は停止しているので、ブレーキ回転体24も停止しており、金属ワイヤー23は弾性復元力によりブレーキ回転体24に弛緩状態で巻かれている。
上端に位置している把持部7を手で手前に引いて扉6を下端のヒンジ機構の軸5を中心にして手前に開くと、扉6の裏側のレバー9が前進し、これにより反転レバー10の上端が後退し、伝達ワイヤー12を緩めようとする。するとゼンマイバネ22により付勢されているリール20が伝達ワイヤー12を巻き取る方向(図3中の矢印A方向)に回転し、この回転によりブレーキ回転体24が図3中の矢印F方向に回転する。ブレーキ回転体24が矢印F方向に回転した場合、一方向クラッチ29が空転するだけなので、回転ダンパー28への入力はなく、したがって、締め付け制御部材25も停止した状態を維持して金属ワイヤー23をそのままの状態にするので、ブレーキ回転体24に制動力が作用することもない。このため、扉6を操作する者は、緩衝装置2による抵抗を受けることなく扉6を開くことができる。
一方、開いた扉6を閉じる場合、把持部7を設けた自由端側を上昇するに伴って裏側のレバー9が後退し、これにより反転レバー10の上端が前進して伝達ワイヤー12を引っ張る。すると、リール20が図3中矢印B方向に回転して巻かれた伝達ワイヤー12が巻き戻され(リリースされ)、このリール20の回転によりブレーキ回転体24が矢印R方向に回転する、
ブレーキ回転体24が矢印R方向に回転すると、一方向クラッチ29がロックしてブレーキ回転体24の回転を回転ダンパー28の軸27に伝達する。この時、扉6が手動により極めて緩やかに閉じられた場合には、リール20及びブレーキ回転体24の回転が遅くなって回転ダンパー28の軸27が低速で回転するので、内部の羽根車がシリコンオイルを流動させ、この時に消費されるエネルギーで軸27の回転エネルギーを消散して本体26側に回転力を与えない。このため、回転ダンパー28の本体26側は、軸27が回転しても停止した状態を維持しており、これにより締め付け制御部材25も停止した状態を維持して金属ワイヤー23をそのままの状態にする。したがって、ブレーキ回転体24に制動力が作用することもない。このため、扉6を普通の速さで操作した場合には、緩衝装置2による抵抗を受けることなく扉6を閉じることができる。
一方、扉6を水平から30度位の角度で手を放し、扉6の引き込みばね(図示せず)の引き込み力により閉じた場合には、伝達ワイヤー12の移動速度が速くなってリール20が速く回転するので、ブレーキ回転体24及び回転ダンパー28の軸27の回転も速くなる。回転ダンパー28の軸27の回転エネルギーを本体26内部で消散し切れない場合には、残ったエネルギーが本体26を軸27と共回りする力として作用する。したがって、伝達ワイヤー12の移動速度が回転ダンパー28の消散エネルギーを少し超した場合には、残ったエネルギーの量も少なく、回転ダンパー28の本体26が軸27と共回りする力も弱い。このため、回転ダンパー28の本体が少し回動して締め付け制御部材25も少し回動し、金属ワイヤー23の端を少しだけ引っ張り、この張力によって金属ワイヤー23をブレーキ回転体24に対して少し巻き締める。
この場合、ブレーキ回転体24に巻かれた金属ワイヤー23は、それ自体の弾性力でまっすぐに戻ろうとする復元力があるので、その一部がブレーキ回転体24の外周面に接触しているが残余の部分はブレーキ回転体24の外周面から少し離間した部分が多く、ブレーキが利いていない状態(非制動状態)であり、回転ダンパー28の本体が少し回動して締め付け制御部材25も少し回動して金属ワイヤー23の端を少しだけ引っ張ったとしても、この張力よりも金属ワイヤー23の弾性復元力が勝っている状態ではブレーキ回転体24に対する巻き径を縮小するだけで非制動状態を維持している。したがって、回転ダンパー28の共回りしようとするトルクが金属ワイヤー23の弾性復元力で吸収し得るトルクを超えない間においては、扉6の閉回動速度に影響を与えることはない。
ところが、扉6の閉回動速度が速まって回転ダンパー28の共回りしようとするトルクが金属ワイヤー23の弾性復元力で吸収し得るトルクを超えると、締め付け制御部材25が前記したよりも回動し、金属ワイヤー23の端を引っ張り、この張力によって金属ワイヤー23がブレーキ回転体24に対して少し巻き締めることとなり、ブレーキ回転体24に制動力を作用させる。その結果、ブレーキ回転体24の回転速度が低下し、ギア36,35を介して接続されているリール20の回転が低下し、伝達ワイヤー12の巻き戻し(リリース)にも制動が加えられて扉6の閉動作(戻り回動)が緩められる。
そして、締め付け制御部材25の回動する角度は、金属ワイヤー23の弾性復元力は不変なので、扉6の閉回動速度が増大すればするほどに大きくなり、これに伴って金属ワイヤー23による制動力も増大することとなり、扉6の速度の高まりに応じて制動力が強く作用することとなる。すなわち、扉6の速度に感応して制動力が作用することとなる。このため、回転ダンパー28の容量、扉6の引き込みばねの強さ、金属ワイヤー23の制動力と初期位置調整を適宜設定すると。扉6の閉動作の速さを適宜設定することが可能となる。
したがって、本実施形態における電子レンジ1の扉6は、引き込みばねの引き込み力と前記制動力とが調和した速さで緩やかに閉じられる。なお、扉6が閉じて停止すると、金属ワイヤー23が自己の弾性復元力によりブレーキ回転体24に対する締め付けを緩める。したがって、扉6が閉じた状態でロックされることもないし、次の緩衝動作を行う際にも円滑な動作が可能である。また、図面には示していないが、金属ワイヤー23の締め付けを戻す手段、例えば、付勢手段としてのスプリングにより、締め付け制御部材25を締め付け方向とは逆方向に付勢してもよい。なお、前記した金属ワイヤー23は、それ自体でまっすぐになろうとする弾性復元力を備えているので、締め付け制御部材25を締め付け方向とは逆方向に付勢する付勢手段の機能を兼ね備えているとも言える。
そして、扉6の閉動作が更に速い場合には、例えば、扉6を手で押して無理やり乱暴に閉じようとした場合には、回転ダンパー28の軸27の回転もそれだけ速くなり、回転ダンパー28と金属ワイヤー23自体の弾性力で消散し切れないエネルギーの量も多くなり、回転ダンパー28の本体26が軸27と共回りする力も強くなり、これにより締め付け制御部材25の回動量が増えて金属ワイヤー23の端を引っ張る力が高まり引っ張り長さがさらに増大する。したがって、金属ワイヤー23のブレーキ回転体24に対する巻き締めがさらに強まり、これによりブレーキ回転体24の制動力がさらに増大する。したがって、扉6を無理に急激に閉回動しようとしても、その速さに応じた制動力が作用し、これにより扉6の速度を調整することができ、扉6で手を挟むなどの不都合を未然に防止できる。
この様に、リール20の回転速度に応じて回転ダンパー28の軸27とダンパー本体26とが共回りする力が変化し、この力に応じて前記締め付け制御部材25を回動して金属ワイヤー23のブレーキ回転体24に対する締め付けを制御することができる。その結果、扉6の閉動作の速さに応じてブレーキ回転体24の制動力の強さを制御し、扉6の閉動作(戻り回動)に常に適正な速度調整を加えることができ、扉6が過度に速く閉じられることを未然に防止できる。すなわち、扉6を急激に閉じようとして操作した場合には、その操作速度に応じた制動力を発生させることができる。したがって、高級感を付加することができ、電子レンジ1の商品価値を高めることができる。
なお、前記した実施形態においては、回転ダンパー28の軸27を入力側として本体側を締め付け制御部材25に固定したが、本体26側を入力側として軸27を締め付け制御部材25に固定してもよい。
前記した実施形態では電子レンジ1を例に挙げて説明したが、ヒンジ機構の軸を中心にして往復回動する部材の動作、特に扉6の閉動作を緩衝することができ、これは前記電子レンジ1に限らない。例えば、オーブンレンジ、食器洗浄器、戸棚などの家具などに適用することができる。また、前記した緩衝装置2は、ヒンジ機構により開閉する扉6を備えたものに限定されるものではなく、引き戸などの建具にも適用することができる。
引き戸45は、図4に示すように、鴨居のレール46a及び敷居のレール46bと、該レール46に沿って移動する戸47を備え、該戸47に連携した状態で緩衝装置2を設ける。具体的には、前記実施形態と同様に、外部入力側の部材としてリール20を設け、該リール20とブレーキ回転体24との間をギア等の機械的伝達手段および一方向クラッチ29を介して接続し、前記リール20に一端を止着した状態で伝達ワイヤー12の途中部分をリール20に巻き付けると共に、該リール20には伝達ワイヤー12を巻き取る方向に付勢するゼンマイバネ22等の付勢手段を備え、前記伝達ワイヤー12の他端を前記戸47に接続して構成する。
斯かる構成を採ると、戸47を開く際には、緩められる伝達ワイヤー12を付勢手段により付勢されて回転するリール20に巻き取り、戸47を閉じる際には、戸47の移動により引っ張られる伝達ワイヤー12がリール20から巻き戻され、この巻き戻しに伴ってブレーキ回転体24を回転して回転ダンパー28の軸27とダンパー本体26とが共回りする力を生じさせ、この力に応じて前記締め付け制御部材25を回動して金属ワイヤー(長尺摺動摩擦部材)23のブレーキ回転体24に対する締め付けを制御することができる。したがって、戸47を急激に閉めようとしても自然に緩やかに閉まることとなり、手を挟むなどのトラブルを未然に防止することができる。
この様に、前記した緩衝装置2は、対象物(例えば、扉)がヒンジ機構の軸を中心に回動する部材であっても、あるいは直線運動する部材(例えば、戸)であっても適用することができ、汎用性に優れる。直線運動する部材としては、前記した引き戸のほかに、自動車のスライドドア、机やファイルキャビネットなどの引き出しを挙げることができ、これらにも同様にして適用できる。
次に、緩衝装置2をバギーに取り付けて車輪の回転速度規制に適用した実施形態について説明する。
図5に示すバギー50は、赤ん坊を乗せて人が押して走行するベビーカーとも呼ばれるものであり、折り畳み可能なフレーム51と、フレーム51の下端の四隅に配置した車輪52と、フレーム51で支持した状態で設けられて赤ん坊を乗せための座席53と、座席53の上部を覆う幌式日除け部54と、を備え、フレーム51の上端に設けた手押し操作部55を手で掴んで押し進む構成を採っており、車輪52に緩衝装置2を連携して設け、所定の速度を超えると制動力が作用するように構成してある。
緩衝装置2は、図6に示すように、フレーム51の後部に取り付けられた車輪52(後輪)に連携して設けてある。具体的に説明すると、フレーム51の後部を構成しているパイプの下端にハウジングケース3を設け、このハウジングケース3の左右方向に車軸60を貫通させてベアリング61を介して支持し、ハウジングケース3から突出した車軸60の左右端部にそれぞれ車輪52をナット62とピン(車軸止め)63とにより固定し、ハウジングケース3の内部に緩衝装置2の主要部材を収納した状態で設けてある。
緩衝装置2は、図7および図8に示すように、車軸60に、同軸上に設けた一方向クラッチ29を介して外部入力側の部材として、ブレーキ回転体24を一体化したローター64を同軸上に接続し、該ローター64と並んだ車軸60上に、車軸60とは独立して回動可能な円盤状のホルダ65をベアリング66を介して設け、該ホルダ65の軸貫通孔から偏心した位置に回転ダンパー28の本体26を固定し、該回転ダンパー28の軸27に取り付けたギア67を、前記したローター64の小径部分の外周に形成したギア68に噛合し、このギア68と一体となって回転するローター64の大径部をブレーキ回転体24とし、このブレーキ回転体24の外周面に長尺摺動摩擦部材としての金属ワイヤー23を巻き付け、その一端の係止球69をハウジングケース3の内側に形成した係止溝70に係止して止め、金属ワイヤー23の他端のリング71を、前記したホルダ65にネジ等で止着する。
ホルダ65は、前記した様に車軸60とは独立して回動可能であって締め付け制御部材25として機能する円盤状の部材であり、中心部分に設けたボス72の両端部分に嵌合したベアリング66を介して車軸60と同軸上に設けられ、外周から軸方向に向けて突片73を複数個所延設し、該突片73の1つとハウジングケース3との間に戻しバネ74を張設してある。このバネ74は、ブレーキ回転体24の外周面に巻いた金属ワイヤー23が緩んで制動力をなくす方向にその張力により付勢する付勢手段として機能するものである。したがって、ホルダ65に外力が加えられない常態においては、バネ74の付勢力により金属ワイヤー23が緩められてブレーキ回転体24との摩擦力が殆ど発生しない非制動状態を維持することができる。一方、ホルダ65に外力が加えられ、例えば、後述する回転ダンパー28の本体26が軸と共回りしようとする力が作用してホルダ65にトルクが作用すると、ホルダ65がその発生トルクに応じて車軸60を中心にしてバネ74の付勢力に抗して回動し、金属ワイヤー23を引っ張ってブレーキ回転体24を巻き締める。したがって、金属ワイヤー23とブレーキ回転体24との摩擦抵抗が大きくなり、これによりブレーキ回転体24に制動力が作用してブレーキ回転体24の回転速度が低下することになる。
次に、緩衝装置2の作用について説明する。
バギー50が極めて緩やかな速度で前進走行している場合には、車輪52と車軸60の回転が一方向クラッチ29をロックさせるので、この一方向クラッチ29を介して車軸60の回転がローター64に伝達され、これによりローター64の回転がギアを介して回転ダンパー28の軸27に伝えられる。回転ダンパー28の軸27が回転しても、極めてゆっくりとした速度で走行している時には極めて低速で回転するので、内部のシリコンオイルの流動抵抗等が軸27の回転エネルギーを消散して本体26側に回転力を与えない。すなわち、空転する。このため、ホルダ65はバネ74に付勢された初期位置に停止したままである。したがって、制動力は発生することがなく、バギー50を押す力は通常通りであり、負荷の増加はない。
次に、もう少し速度が速くなった場合、例えば、大人が歩行する速度で走行した場合、回転ダンパー28の軸27の回転エネルギーを本体26内部で消散し切れない場合には、残ったエネルギーが本体26を軸27と共回りする力として作用し、この共回りの力がホルダ65を回動しようとする。ホルダ65にはバネ74の付勢力が作用しているので、前記した共回りしようとするエネルギーはバネ74を伸ばそうとすることで消散される。したがって、前記した共回りしようとする力がバネ74の力よりも弱い場合にはホルダ65が回動しないので制動力は発生しないが、バネ74の力よりも強い場合にはホルダ65がが回動し、強くなると金属ワイヤー23の端を少しだけ引っ張り、この張力によって金属ワイヤー23をブレーキ回転体24に対して少し巻き締める。この巻き締めが僅かであれば前記した実施形態と同様に制動力は発生しない(非制動状態)。したがって、通常の使用における走行状態では制動力は作用せず、抵抗の増大にはならない。しかし、それを超すと金属ワイヤー23がブレーキ回転体24に対して少し巻き締めることとなり、ブレーキ回転体24に制動力を作用させる。その結果、ブレーキ回転体24の回転速度が低下し、これに伴って車輪52の回転速度が抑制される。この様にしてホルダ65が回動して金属ワイヤー23が巻き締めて発生する制動力は、ホルダ65が回動しようとする力がバネ74の力を超えない領域においては殆ど作用しないが、バネ74の力を超えると、車輪52の回転速度が増大するにしたがってホルダ65の回動量が増えるので、走行速度の高まりに応じて高まることになる。すなわち、走行する速度に感応して制動力が増大することになる。
具体的に説明すると、バギー50が予定された速度を大きく超えて走行した場合、例えば、停めておいたバギー50が坂道の傾斜によって走りだして暴走した場合には、走行速度に比例して回転ダンパー28の軸27の回転速度が速くなる。この様に走行速度が所定の速度を超えて回転ダンパー28の軸27が予め設定した回転速度を超えているので、軸27の回転エネルギーを本体26内部の緩衝機構で消散し切れず、残ったエネルギーが本体26を軸27と共回りする力、すなわち本体26に共回りの力を発生させ、この共回りの力がバネ74の付勢力に抗してホルダ65を、車軸60を中心に回動して金属ワイヤー23のブレーキ回転体24に対する締め付けを強める。したがって、ブレーキ回転体24に制動力が作用し、これにより車輪52の回転速度が低下してバギー50の走行速度も低下する。この場合において、バギー50の速度に応じてホルダ65の回動量が増えるので、速ければ速いほど強く制動力が作用し、これにより暴走したバギー50が円滑な制動を受けて予め設定された安全速度まで低下することになる。
この様に、バギー50の速度が速くなればなるほどホルダ65の回動が大きくなって制動力が増大し、走行速度に応じて金属ワイヤー23による摺動摩擦力を制御して車輪52を制動することができる。したがって、バギー50の速度に感応した制動力が自動的に加えられ、これによりバギー50の速度をある設定速度以下に制御することができ、従来以上の安全性を確保できる。
前記した実施形態は、赤ん坊を乗せるバギー50(ベビーカー)であるが、本発明に係る手押し走行体はこれに限定されるものではなく、車輪52と手押し操作部55を車体に備えたものであれば、前記車輪52の車軸60に緩衝装置2を連携して回転体である車輪52の回転速度を予め設定した速度以下に制御することができる。例えば、台車や車椅子でもよい。大人が使用する車椅子の場合には、乗る人の体重がベビーカーに比較して重いので、前記したバギー50の場合よりも消散エネルギー容量の大きな回転ダンパー28を設ける必要があるが、基本的な構造は前記バギー50と同様であり、バギー50と同様に暴走を防止できる。また、台車の場合も大きな回転ダンパーを設ける。さらに、前記したバギー50における車輪52および緩衝装置2をベースの下部に回動可能な状態に取り付けてキャスタとしてもよい。
なお、本発明に係る緩衝装置2は、前記した実施形態に限定されるものではなく、開閉動作、回転運動、直線運動する対象物に連携して適宜使用することができる。
緩衝装置を備えた電子レンジの斜視図である。 緩衝装置のハウジングケースを上下に分解した状態における斜視図である。 緩衝装置の分解斜視図である。 緩衝装置を備えた引き戸の正面図である。 緩衝装置を備えたバギーの側面図である。 (a)はバギーの緩衝装置の断面図、(b)は緩衝装置を備えた車輪の斜視図である。 バギーの緩衝装置の分解斜視図である。 (a)はホルダを取り外した状態における緩衝装置の斜視図、(b)はホルダを取り付けた状態における緩衝装置の斜視図である。
符号の説明
1 電子レンジ、 2 緩衝装置、 3 ハウジングケース、 4 筐体、 5 軸、 6 扉、 7 把持部、 9 レバー、 10 反転レバー、 11 プーリー、 12 伝達ワイヤー、 20 リール、 22 ゼンマイバネ、 23 金属ワイヤー、 24 ブレーキ回転体、 25 締め付け制御部材、 26 ダンパー本体、 27 軸、 28 回転ダンパー、 29 一方向クラッチ、 39 ブレーキ筒体、 40 ブレーキロータ、 41 軸、 45 引き戸、 46 レール、 47 戸、 50 バギー、 51 フレーム、 52 車輪、 53 座席、 55 手押し操作部、 60 車軸

Claims (5)

  1. ハウジングケースの内部に、該ハウジングケース側に一端を止着した長尺摺動摩擦部材と、該長尺摺動摩擦部材の途中を外周面に巻き付けたブレーキ回転体と、前記長尺摺動摩擦部材の他端を止着し、該長尺摺動摩擦部材のブレーキ回転体に対する締め付けを制御する締め付け制御部材と、回転ダンパーと、を備え、
    前記締め付け制御部材を回動し得る状態で回転ダンパーの軸またはダンパー本体の一方を締め付け制御部材に接続し、当該回転ダンパーの軸またはダンパー本体の他方を前記ブレーキ回転体に接続し、外部入力側の部材を前記ブレーキ回転体に対して接続可能とし、
    前記外部入力側の部材からの入力に応じて回転ダンパーの軸とダンパー本体とが共回りする力を生じさせ、この力に応じて前記締め付け制御部材を回動して長尺摺動摩擦部材のブレーキ回転体に対する締め付けを制御することを特徴とする緩衝装置。
  2. 長尺摺動摩擦部材のブレーキ回転体に対する締め付けを緩める方向に付勢力を付与する付勢手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の緩衝装置。
  3. 前面に開口部を有する筐体と、該筐体の開口部の一側にヒンジ機構を介して取り付けられて開口部を開閉する扉と、を備えた開閉扉付箱体において、
    請求項1または2に記載の緩衝装置を筐体に取り付けると共に、外部入力側の部材としてリールを設け、該リールとブレーキ回転体との間を機械的伝達手段および一方向クラッチを介して接続し、前記リールに一端を止着した状態で伝達ワイヤーをリールに巻き付けると共に、該リールには伝達ワイヤーを巻き取る方向に付勢する付勢手段を備え、前記伝達ワイヤーの他端を、前記扉の開閉動作に連動して移動する連動部材に接続し、
    扉を開く際に、連動部材の移動により緩められる伝達ワイヤーを付勢手段により付勢された回転するリールに巻き取り、
    扉を閉じる際に、連動部材の移動により引っ張られる伝達ワイヤーがリールから巻き戻され、この巻き戻しに伴ってブレーキ回転体を回転して回転ダンパーの軸とダンパー本体とが共回りする力を生じさせ、この力に応じて前記締め付け制御部材を回動して長尺摺動摩擦部材のブレーキ回転体に対する締め付けを制御することを特徴とする開閉扉付箱体。
  4. 車輪と手押し操作部を車体に備え、前記車輪の車軸に請求項1または2に記載の緩衝装置を連携した手押し走行体であって、
    前記車軸に、一方向クラッチを介して外部入力側の部材としてローターを接続し、該ローターと共に回転するブレーキ回転体を設け、
    前記ローターと回転ダンパーの軸とを機械的伝達手段により接続し、
    回転ダンパーのダンパー本体を、車軸とは独立して回動可能に設けた締め付け制御部材に固定し、
    前記ブレーキ回転体とローターと回転ダンパーと締め付け制御部材とをハウジングケースの内部に収容し、該ハウジングケース側に一端を止着した長尺摺動摩擦部材の途中をブレーキ回転体に巻き付けて他端を締め付け制御部材に止着し、
    一方向クラッチを介して回転するローターの回転を回転ダンパーの軸に伝達して当該軸を回転し、この軸が予め設定した回転速度を超えた場合に、該軸の回転により回転ダンパーのダンパー本体に共回りの力を発生させ、この共回りの力で前記締め付け制御部材を回動して長尺摺動摩擦部材のブレーキ回転体に対する締め付けを制御して車輪を制動するようにしたことを特徴とする手押し走行体。
  5. レールと、該レールに沿って移動する戸を備え、該戸に連携した状態で請求項1または2に記載の緩衝装置を設けた引き戸であって、
    外部入力側の部材としてリールを設け、該リールとブレーキ回転体との間を機械的伝達手段および一方向クラッチを介して接続し、前記リールに一端を止着した状態で伝達ワイヤーの途中部分をリールに巻き付けると共に、該リールには伝達ワイヤーを巻き取る方向に付勢する付勢手段を備え、前記伝達ワイヤーの他端を前記戸に接続し、
    戸を開く際には、緩められる伝達ワイヤーを付勢手段により付勢されて回転するリールに巻き取り、
    戸を閉じる際には、戸の移動により引っ張られる伝達ワイヤーがリールから巻き戻され、この巻き戻しに伴ってブレーキ回転体を回転して回転ダンパーの軸とダンパー本体とが共回りする力を生じさせ、この力に応じて前記締め付け制御部材を回動して長尺摺動摩擦部材のブレーキ回転体に対する締め付けを制御することを特徴とする引き戸。
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