JP2009144139A - 接着剤組成物、それを用いた接着剤フィルム、カバーレイ、補強フィルム、フレキシブル銅張積層板、及び、フレキシブルプリント配線板 - Google Patents

接着剤組成物、それを用いた接着剤フィルム、カバーレイ、補強フィルム、フレキシブル銅張積層板、及び、フレキシブルプリント配線板 Download PDF

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Abstract

【課題】金属面との接着性及び接着耐久性に優れた接着剤層を形成しうる接着剤組成物、及び、該接着剤組成物を用いてなる基板配線などの金属層との密着性に優れるカバーレイ、補強フィルム、フレキシブル銅張積層板、及び、フレキシブルプリント配線板を提供する。
【解決手段】下記(A)〜(C)に示す各成分を含有することを特徴とする接着剤組成物、それを用いてなる接着剤フィルム、カバーレイ、補強フィルム、フレキシブル銅張積層板、及び、フレキシブルプリント配線板。
(A)金属と相互作用を形成しうる官能基を有する硬化性化合物
(B)フェノキシ樹脂及びエラストマーから選択される少なくとも1種
(C)硬化剤
【選択図】なし

Description

本発明は、接着剤組成物、それを用いた接着剤フィルム、カバーレイ、補強フィルム、フレキシブル銅張積層板、及び、プリント配線板に関し、特にフレキシブルプリント配線板の作製に有用な接着剤組成物に関する。
に関する。
近年、電子機器の小型・軽量化、高機能化に伴い、それらの機器に使用されるプリント配線板においてファインピッチパターン化、小型化が進み、同一面積内の導体回路パターン数が増大するとともに、回路パターンのライン/スペース(L/S)と称される導体回路幅と絶縁空間幅の減少が著しい。また、モバイルの普及によりこのような高密度配線を有するフレキシブルプリント配線への性能的な要求は厳しいものとなっている。
一般に、フレキシブルプリント配線板(以下、適宜、FPCと称する)は、絶縁性や耐屈曲性を向上させるためにカバーレイと称される接着剤層付きポリマーフィルムを回路パターン面に熱プレス接着して製造されている。ここで、FPCのL/Sは、前記の通り減少傾向にあるため銅箔回路パターンとカバーレイの接着面積も減少傾向にあり、低L/S化で絶縁信頼性を保つためには、接着剤の銅箔に対する単位接着面積当たりの接着力を向上させる必要に迫られている。
銅配線と絶縁樹脂銅として機能するカバーレイや補強樹脂フィルムとの間の密着性を向上させる方法として、銅と樹脂中の構成成分との間の化学的密着性を利用する方法が検討され、チオール基を2個以上有する複素環状化合物の銅に対する密着性向上に着目し、1,3,5−トリメルカプトピリジン、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール等の化合物を樹脂層に導入する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、この化合物は銅との密着性は優れてるものの、基材である絶縁樹脂との親和性が低いため、実用上十分なレベルの密着性を達成し得ない。
また、銅張積層板とカバーレイとの接着力向上のため、6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−フェニルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール等の化合物を表面処理剤として、銅張積層板の銅表面に塗布する方法が提案されている。しかしながら、これらの化合物もまた、マトリックスである樹脂との密着性が低く、また、該化合物の有するチオール基が、樹脂中のエポキシ基と反応して架橋密度が低下する、或いは、合成ゴムがチオールに起因して酸化劣化されるなどの問題が生じ、リフロー後の銅配線と絶縁樹脂膜との密着性向上効果は不十分なものである。
このように、従来、通常のフレキシブルプリント基板では、エポキシ系の接着剤を主成分として用いることが多く、銅箔の表面を粗面化し、接着剤を食い込ませると同時に、フイルム表面に存在する活性基と銅とを反応させることで、銅箔とフイルムとの密着を向上することが一般的であった。しかしながら、近年、より薄く、より軟らかく、より微細な配線を形成したい要請が強まり、より少ない接着剤で銅配線表面の平滑性を損なうことなく、密着を向上することが望まれている。
このため、トリアジンチオール誘導体を接着剤層に添加する方法も提案されている(例えば、特許文献3参照。)しかしながら、この化合物もチオール基を有しているため、樹脂中のエポキシ基との反応による接着剤の塗布液の安定性の低下が懸念される。
特開平5−158240号公報 特開平5−198123号公報 特開2007−2170公報
本発明は、金属層との密着性及びその耐久性に優れ、薄層で可撓性に優れたフレキシブルプリント配線のカバーレイや保護フィルムの形成に有用な接着剤組成物を提供することを目的とする。
また、本発明のさらなる目的は、金属層との密着性に優れた接着剤層を有する接着剤フィルム、それを応用してフレキシブルプリント配線用カバーレイ、並びに、保護フィルムを提供すること、及び、これら配線の保護性と可撓性に優れたカバーレイ或いは保護フィルムを有するフレキシブルプリント配線板を提供することにある。
本願発明者は鋭意検討の結果、金属と相互作用を形成しうる官能基を導入した硬化性化合物を用いることで前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。即ち、本発明の構成は以下の通りである。
<1> (A)金属と相互作用を形成しうる官能基を有する硬化性化合物と、(B)フェノキシ樹脂及びエラストマーから選択される少なくとも1種と、(C)硬化剤と、を含有し、カバーレイの作製に用いられる接着剤組成物。
<2> 更に、(D)前記(A)金属と相互作用を形成しうる官能基を有する硬化性化合物とは異なる分子構造を有する他の硬化性化合物を含有することを特徴とする<1>に記載の接着剤組成物。
<3> 前記(A)金属と相互作用を形成しうる官能基を有する硬化性化合物が、前記金属と相互作用を形成しうる官能基とは異なる官能基であって、エネルギー付与により、当該硬化性化合物同士を反応させうる官能基、又は、該硬化性化合物と前記(D)成分として含有される他の硬化性化合物とを反応させうる官能基、を更に有することを特徴とする<2>に記載の接着剤組成物。
<4> 前記(D)成分として含有される他の硬化性化合物が、アクリレート化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、及び、これらの化合物と反応しうる官能基を有する化合物からなる群から選択される高分子化合物であることを特徴とする<2>又は<3>に記載の接着剤組成物。
<5> 更に、(E)無機フィラーを含有することを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
<6> 前記(A)金属と相互作用を形成しうる官能基を有する硬化性化合物が有する金属と相互作用を形成しうる官能基が、金属を吸着しうる官能基であり、正の荷電を有する官能基、正の荷電に解離しうる構造を有する官能基、負の荷電を有する官能基、負の荷電に解離しうる構造を有する官能基、金属と相互作用しうる非イオン性の極性基、金属とキレーション又は多座配位構造をとりうる官能基、金属を包接可能な官能基、及び、結晶水として金属が保持される溶剤と相互作用する官能基からなる群から選択されることを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
<7> 前記(A)金属と相互作用を形成しうる官能基を有する硬化性化合物が、下記式(1)で表されるユニット、及び、下記式(2)で表されるユニットを含む共重合体であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
Figure 2009144139
[式(1)及び式(2)中、R〜Rは、夫々独立して、水素原子、又は置換若しくは無置換のアルキル基を表し、X、Y及びZは、夫々独立して、単結合、又は置換若しく無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、L及びLは、夫々独立して、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。]
<8> 前記(A)金属と相互作用を形成しうる官能基を有する硬化性化合物の重量平均分子量が、2000以上50万以下であることを特徴とする<1>〜<7>のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
<9> エネルギー付与により硬化しうることを特徴とする<1>〜<8>のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
<10> フィルム基材の片面もしくは両面に<1>〜<9>いずれか1項に記載の接着剤組成物からなる接着剤層を形成してなる接着剤フィルム。
<11> 前記接着剤層の表面に、さらに保護層を有する<10>記載の接着剤フィルム。
<12> <10>又は<11>記載の接着剤フィルムを用いてなるフレキシブルプリント配線板用カバーレイ。
<13> <10>又は<11>記載の接着剤フィルムを用いてなるフレキシブルプリント配線板用補強フィルム。
<14> フィルム基材の片面もしくは両面に<1>〜<9>のいずれか1項に記載の接着剤組成物からなる接着剤層と銅箔とを順次積層してなるフレキシブル銅張積層板。
<15> <1>〜<9>のいずれか1項に記載の接着剤からなる接着剤層、<10>、又は、<11>記載の接着剤フィルム、<12>記載のフレキシブルプリント配線板用カバーレイ、及び、<13>記載のフレキシブルプリント配線板用保護フィルムの少なくとも1つを備えるフレキシブルプリント配線板。
本発明によれば、金属層との密着性及びその耐久性に優れ、薄層で可撓性に優れたフレキシブルプリント配線のカバーレイや保護フィルムの形成に有用な接着剤組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、金属層との密着性に優れた接着剤層を有する接着剤フィルム、それを応用してなるフレキシブルプリント配線用カバーレイ、並びに、保護フィルムを提供することができる、さらに、配線の保護性と可撓性に優れた接着剤フィルム、カバーレイ或いは保護フィルムのいずれかを備えたフレキシブルプリント配線板を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[接着剤組成物]
本発明の接着剤組成物は、下記(A)〜(C)に示す各成分を含有することを特徴とする。
(A)金属と相互作用を形成しうる官能基を有する硬化性化合物
(B)フェノキシ樹脂及びエラストマーから選択される少なくとも1種
(C)硬化剤
なお、以下においては、前記(A)成分として含有される硬化性化合物を、適宜「特定硬化性化合物」と、(B)成分として含有される化合物を、適宜、「エラストマー類」と、それぞれ称する。
本発明の接着剤組成物は、前記構成を有することにより、金属との密着性に優れたものとなる。このため、本発明の接着剤組成物は、接着剤組成物からなる接着剤層が薄層であっても、また、被着体である金属層の表面が平滑であっても、両者の間に優れた密着性を発現し、その効果が長期間に亘って持続するため、曲げ伸ばし後も剥離し難く、薄層で高密度配線を有するフレキシブルプリント配線板のカバーレイや補強樹脂フィルムなどに有用である。
本発明の接着剤組成物を用いて形成される接着剤層は、隣接する金属表面と相互作用により密着するため、フィルム基材に本発明の接着剤組成物を用いて形成された接着剤層を有する接着剤フィルムは、カバーレイや補強樹脂フィルムなどに有用である。フィルム基材表面に設けた接着剤層は、その表面をさらに保護フィルムで被覆することも可能である。このような接着剤層を有する接着剤フィルムは、接着剤層面を金属表面に適用して使用するが、金属表面に接着剤層を密着させた後フィルム基材を剥離する転写法により用いることもでき、その場合には、金属箔や金属配線表面に接着剤層のみを有する態様となり、その表面にさらに任意の配線板や金属箔を堰奏することも可能である。
本発明の接着剤組成物は、更に、(D)前記(A)成分とは異なる分子構造を有する他の硬化性化合物(以下、単に「他の硬化性化合物」と称する場合がある。)を含有することが好ましい。
ここで、本明細書において「硬化性化合物」とは、硬化反応に寄与しうる、モノマー、マクロモノマー、オリゴマー、ポリマー等の化合物を意味し、具体的には、当該硬化性化合物同士、或いは、当該硬化性化合物と他の化合物との間の、重合反応、架橋反応等により、接着剤組成物を硬化しうるものをいう。
さらに、本発明の接着剤組成物は、所望により、前記(A)成分乃至(C)成分、好ましい添加成分である(D)成分以外の他の成分(例えば、(E)無機フィラー、重合開始剤、硬化促進剤、等)を更に含有してもよい。以下、本発明の接着剤組成物の構成要素について順次説明する。
<(A)特定硬化性化合物>
本発明の接着剤組成物は、(A)成分として、金属と相互作用を形成しうる官能基を有する硬化性化合物(特定硬化性化合物)を含有する。
特定硬化性化合物は、その分子内に金属と相互作用を形成しうる官能基(以下、適宜、「相互作用性基」と称する。)を有することを特徴とし、本発明の接着剤組成物において分散剤としての機能を奏する。
即ち、本発明の接着剤組成物においては、特定硬化性化合物が有する相互作用性基が、金属との間に相互作用を形成することにより、金属表面に当該相互作用性基が吸着し、その結果、金属表面に特定硬化性化合物が吸着することにより、接着剤組成物と隣接する金属表面との優れた密着性が発揮されると考えられる。
特定硬化性化合物が有する相互作用性基としては、金属を吸着しうる官能基であることが好ましい。このような相互作用性基としては、それが有する機能の観点からは、正の荷電を有する官能基、正の荷電に解離しうる構造を有する官能基、負の荷電を有する官能基、負の荷電に解離しうる構造を有する官能基、金属と相互作用しうる非イオン性の極性基、金属とキレーション又は多座配位構造をとりうる官能基、金属を包接可能な官能基、及び、結晶水として金属が保持される溶剤と相互作用する官能基からなる群から選択される官能基が挙げられ、より具体的には以下に示す官能基が挙げられる。
正の荷電を有するか若しくは正の荷電に解離しうる構造を有する官能基としては、例えば、アンモニウム基、ホスホニウム基、イミノ基、含窒素へテロ環、等が挙げられる。
負の荷電を有するか若しくは負の荷電に解離しうる構造を有する官能基としては、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、りん酸基、ホスホン酸基、等が挙げられる
金属と相互作用しうる非イオン性の極性基としては、例えば、水酸基、アミド基、スルホンアミド基、アルコキシ基、シアノ基、ウレタン基、チオール基、等が挙げられ。
金属とキレーション又は多座配位構造をとりうる官能基としては、官能基が解離によりプロトンを生成せず、且つ、金属を構成する金属と分子間力による相互作用による配位が可能な官能基が挙げられる。このような官能基として具体的には、例えば、エーテル基、チオエーテル基、シアノ基、トリアルキルアミン基、ピロール、ピロリドン、イミダゾール、ピリジンなどの含窒素ヘテロ環、フラン、ピランなどの含酸素ヘテロ環、チオフェン・チオピランなどの含硫黄ヘテロ環等を含むものが挙げられ、その中でも、含窒素官能基、含酸素官能基、含硫黄官能基であることが好ましく、具体的には、ピリジル基、シアノ基、エーテル基、チオエーテル基を含むものが特に好ましい。
本発明における特定硬化性化合物が有する相互作用性基のより好ましいものとしては、既述のものを含め、例えば、金属と配位形成可能な基、含窒素官能基、含硫黄官能基、含酸素官能基、含リン官能基、ハロゲン原子を含む基;不飽和エチレン基などが挙げられる。より具体的には、イミド基、ピリジン基、3級のアミノ基、アンモニウム基、ピロリドン基、アミジノ基、トリアジン環、トリアゾール環、ベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、キノリン基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、ナゾリン基、キノキサリン基、プリン基、トリアジン基、ピペリジン基、ピペラジン基、ピロリジン基、ピロール基、ピラゾール基、アニリン基、トリアルキルアミン基等のアルキルアミン基構造を含む基、イソシアヌル構造を含む基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、ジアゾ基、アジド基、シアノ基、シアネート基(R−O−CN)などの含窒素官能基;フェノール性水酸基、水酸基、カーボネート基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、フラン基、ピラン基、N−オキシド構造を含む基、S−オキシド構造を含む基、N−ヒドロキシ構造を含む基などの含酸素官能基;チオフェン基、チオピラン基、チオール基、チオシアヌール酸基、ベンズチアゾール基、メルカプトトリアジン基、チオエーテル基、チオキシ基、スルホキシド基、スルホン基、サルファイト基、スルホキシイミン構造を含む基、スルホキシニウム塩構造を含む基、スルホン酸エステル構造を含む基などの含硫黄官能基;ホスフォート基、ホスフォロアミド基、ホスフィン基などの含リン官能基;塩素、臭素などのハロゲン原子を含む基;及び不飽和エチレン基などが挙げられる。また、隣接する原子又は原子団との関係により非解離性を示す態様であれば、イミダゾール基、ウレア基、チオウレア基などであってもよい。さらに、相互作用性基としては、例えば、包接化合物、シクロデキストリンやクラウンエーテルなどの錯形成能を有する構造を有する官能基であってもよい。
なかでも、極性が高く、金属との相互作用性が高いことから、含窒素官能基、含酸素官能基、含硫黄官能基であることが好ましく、ピリジル基、シアノ基、及びエーテル基、チオエーテル基がより好ましく、エーテル基〔より具体的には、−O−(CH−O−(nは1〜5の整数)で表される構造〕、及びシアノ基が更に好ましく、シアノ基が特に好ましい。
また、上記に列挙した官能基に包含される解離基又は非イオン性の極性基等は、これらが複数個配列することで、金属を包接可能な形態をとってもよい。本発明においては、かかる形態をとりうる官能基を、金属を包接可能な官能基と称する。
結晶水として金属が保持される溶剤と相互作用する官能基としては、例えば、上記に列挙した官能基に包含される解離基又は非イオン性の極性基により、金属に配位した水と相互作用するものが含まれる。
特定硬化性化合物は、相互作用性基として上記に列挙したような官能基を有することにより、金属との塩形成、金属粒子に対する多座配位、金属塩分散、金属の包接、イオン注入、又はイオン交換、等により、金属表面と優れた密着性を達成する性質を発揮することができる。
特定硬化性化合物は、前述の相互作用性基とは異なる官能基であって、エネルギー付与により、該硬化性化合物同士を反応させうる官能基、又は、該硬化性化合物と後述する(D)成分として含有される他の硬化性化合物とを反応させうる官能基、を更に有することが好ましい。
上記のごとき官能基を有することにより、特定硬化性化合物は、当該化合物同士、或いは、(D)成分として含有される他の硬化性化合物との間で反応して導電性の硬化物を形成しうる。上述のごとく、本発明の接着剤組成物は金属表面との密着性に優れ、且つ、弾性を有する柔軟な接着剤層を形成しうる組成物である。従って、本発明の接着剤組成物を硬化させた場合には、組成物中における導電性粒子の均一な分散状態が保持されたままで硬化物が形成されることから、導電性が高く且つ均質な硬化物を形成しうる。
エネルギー付与により、特定硬化性化合物同士を反応させうる官能基、及び、特定硬化性化合物と(D)成分として含有される他の硬化性化合物とを反応させうる官能基としては、例えば、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基(重合性基)、エポキシ基、イソシアネート基、フェノール性水酸基、アミノ基、酸無水物、メルカプト基、等の官能基が挙げられる。
特定硬化性化合物は、モノマー、オリゴマー、マクロモノマー、ポリマーのいずれの形態あってもよく、中でも、密着性、耐久性の観点から、ポリマーを用いることが好ましい。
特定硬化性化合物であるポリマーとしては、例えば、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーが挙げられる。このようなポリマーは、相互作用性基を有するモノマーを用いて得られるホモポリマーやコポリマーに、重合性基として、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基(重合性基)を導入したポリマーであることが好ましく、この重合性基及び相互作用性基を有するポリマーは、少なくとも主鎖末端又は側鎖に重合性基を有するものでることが好ましく、側鎖に重合性基を有するものがより好ましい。
重合性基及び相互作用性基を有するポリマーにおいて、相互作用性基を有するモノマーに由来するユニットは、金属との相互作用形成性の観点から、重合性基及び相互作用性基を有するポリマー中に、50〜95モル%の範囲で含有されることが好ましく、40〜80モル%の範囲で含有されることがより好ましい。
また、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーを得る際には、上記相互作用性基を有するモノマー以外に、他のモノマーを用いて合成されていてもよい。他のモノマーとしては、一般的な重合性モノマーを用いてよく、ジエン系モノマー、アクリル系モノマー等が挙げられる。
そのような重合性モノマーとしては、例えば、ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、4−(メタ)アクリロイルブタンビニルエーテル、2−(メタ)アクリロイルエタンビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルプロパンビニルエーテル、(メタ)アクリロイロキシジエチレングリコールビニルエーテル、(メタ)アクリロイロキシトリエチレングリコールビニルエーテル、(メタ)アクリロイル1stテルピオネール、1−(メタ)アクリロイロキシ−2−メチル−2−プロペン、1−(メタ)アクリロイロキシ−3−メチル−3−ブテン、3−メチレン−2−(メタ)アクリロイロキシ−ノルボルナン、4,4’−エチリデンジフェノールジ(メタ)アクリレート、メタクロレインジ(メタ)アクリロイルアセタール、p−((メタ)アクリロイルメチル)スチレン、アリル(メタ)アクリレート、2−(ブロモメチル)アクリル酸ビニル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸アリル等が挙げられる。
このような重合性基及び相互作用性基を有するポリマーは、以下のように合成できる。
合成方法としては、i)相互作用性基を有するモノマーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)方法が挙げられる。好ましいのは、合成適性の観点から、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
重合性基及び相互作用性基を有するポリマーの合成に用いられる、相互作用性基を有するモノマーとしては、上記の相互作用性基を有するモノマーと同様のモノマーを用いることができる。モノマーは、一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
相互作用性基を有するモノマーと共重合させる重合性基を有するモノマーとしては、アリル(メタ)アクリレート、2−アリルオキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
また、二重結合前駆体を有するモノマーとしては2−(3−クロロ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレー卜、2−(3−ブロモ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレート、などが挙げられる。
更に、相互作用性基を有するポリマー中の、カルボキシル基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基、及びエポキシ基などの官能基との反応を利用して不飽和基を導入するために用いられる重合性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートなどがある。
特定硬化性化合物として用いられる相互作用性基を有するポリマーの重量平均分子量としては、2000以上50万以下が好ましく、更に好ましく10000以上30万以下である。
特定硬化性化合物として適用されるポリマーとしては、例えば、下記式(1)で表されるユニット、及び、下記式(2)で表されるユニットを含む共重合体(以下、適宜、「特定重合性ポリマー」と称する。)を、その好適な例として挙げることができる。
Figure 2009144139
上記式(1)及び式(2)中、R〜Rは、夫々独立して、水素原子、又は置換若しくは無置換のアルキル基を表し、X、Y及びZは、夫々独立して、単結合、置換若しく無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、L及びLは、夫々独立して、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
〜Rが、置換若しくは無置換のアルキル基である場合、無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、また、置換アルキル基としては、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換された、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
なお、Rとしては、水素原子、メチル基、ヒドロキシ基、又は、臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
としては、水素原子、メチル基、ヒドロキシ基、又は、臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
としては、水素原子が好ましい。
としては、水素原子が好ましい。
としては、水素原子、又は、メチル基、或いは、ヒドロキシ基又は臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
X、Y及びZが、置換若しくは無置換の二価の有機基の場合、該二価の有機基としては、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基が挙げられる。
置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、又はこれらの基が、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたものが好ましい。
置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基としては、無置換のフェニル基、若しくは、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたフェニル基が好ましい。
中でも、−(CH−(nは1〜3の整数)が好ましく、更に好ましくは−CH−である。
は、ウレタン結合又はウレア結合を有する二価の有機基が好ましく、ウレタン結合を有する二価の有機基がより好ましく、中でも、総炭素数1〜9であるものが好ましい。なお、ここで、Lの総炭素数とは、Lで表される置換若しくは無置換の二価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
の構造として、より具体的には、下記式(1−1)、又は、式(1−2)で表される構造であることが好ましい。
Figure 2009144139
上記式(1−1)及び式(1−2)中、R及びRは、夫々独立して、置換若しくは無置換の、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、又はブチレン基を表す。
また、Lは、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基、芳香族基、又はこれらを組み合わせた基であることが好ましい。該アルキレン基と芳香族基とを組み合わせた基は、更に、エーテル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基を介していてもよい。中でも、Lは総炭素数が1〜15であることが好ましく、特に無置換であることが好ましい。なお、ここで、Lの総炭素数とは、Lで表される置換若しくは無置換の二価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、フェニレン基、及びこれらの基が、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたもの、更には、これらを組み合わせた基が挙げられる。
特定重合性ポリマーとしては、前記式(1)で表されるユニットが、下記式(3)で表されるユニットであることが好ましい。
Figure 2009144139
上記式(3)中、R及びRは、夫々独立して、水素原子、又は置換若しく無置換のアルキル基を表し、Zは、単結合、置換若しくは無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、Wは、酸素原子、又はNR(Rは、水素原子、又はアルキル基を表し、好ましくは、水素原子、又は炭素数1〜5の無置換のアルキル基である。)を表し、Lは、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
式(3)におけるR及びRは、前記式(1)におけるR及びRと同義であり、好ましい例も同様である。
式(3)におけるZは、前記式(1)におけるZと同義であり、好ましい例も同様である。
また、式(3)におけるLも、前記式(1)におけるLと同義であり、好ましい例も同様である。
特定重合性ポリマーとしては、前記式(3)で表されるユニットが、下記式(4)で表されるユニットであることが好ましい。
Figure 2009144139
式(4)中、R及びRは、夫々独立して、水素原子、又は置換若しく無置換のアルキル基を表し、V及びWは、夫々独立して、酸素原子、又はNR(Rは、水素原子、又はアルキル基を表し、好ましくは、水素原子、又は炭素数1〜5の無置換のアルキル基である。)を表し、Lは、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
式(4)におけるR及びRは、前記式(1)におけるR及びRと同義であり、好ましい例も同様である。
式(4)におけるLは、前記式(1)におけるLと同義であり、好ましい例も同様である。
前記式(3)及び式(4)において、Wは、酸素原子であることが好ましい。
また、前記式(3)及び式(4)において、Lは、無置換のアルキレン基、或いは、ウレタン結合又はウレア結合を有する二価の有機基が好ましく、ウレタン結合を有する二価の有機基がより好ましく、これら中でも、総炭素数1〜9であるものが特に好ましい。
また、特定重合性ポリマーとしては、前記式(2)で表されるユニットが、下記式(5)で表されるユニットであることが好ましい。
Figure 2009144139
上記式(5)中、Rは、水素原子、又は置換若しく無置換のアルキル基を表し、Uは、酸素原子、又はNR’(R’は、水素原子、又はアルキル基を表し、好ましくは、水素原子、又は炭素数1〜5の無置換のアルキル基である。)を表し、Lは、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
式(5)におけるRは、前記式(1)におけるRと同義であり、水素原子であることが好ましい。
また、式(5)におけるLは、前記式(1)におけるLと同義であり、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基、芳香族基、又はこれらを組み合わせた基であることが好ましい。
特に、式(5)においては、Lが、シアノ基との連結部位に、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基を有する二価の有機基であることが好ましく、中でも、この二価の有機基が総炭素数1〜10であることが好ましい。
また、別の好ましい態様としては、式(5)におけるLが、シアノ基との連結部位に、芳香族基を有する二価の有機基であることが好ましく、中でも、該二価の有機基が、総炭素数6〜15であることが好ましい。
特定重合性ポリマーは、前記式(1)、或いは、その好ましい態様である式(3)、式(4)で表されるユニット及び式(2)或いは、その好ましい態様である式(5)で表されるユニットを含んで構成されるものであり、重合性基とシアノ基とを側鎖に有するポリマーである。
この特定重合性ポリマーは、例えば、以下のように合成することができる。
特定重合性ポリマーを合成する際の重合反応の種類としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合が挙げられる。反応制御の観点から、ラジカル重合、カチオン重合を用いることが好ましい。
特定重合性ポリマーは、1)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが異なる場合と、2)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同一の場合と、でその合成方法が異なる。
1)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態が異なる場合
ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態が異なる場合は、1−1)ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がラジカル重合である態様と、1−2)ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がカチオン重合である態様と、がある。
1−1)ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がラジカル重合である態様
本発明において、ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がラジカル重合である態様で用いられるモノマーとしては、以下の化合物が挙げられる。
・重合性基含有ユニットを形成するために用いられるモノマー
本態様に用いられる重合性基含有ユニットを形成するために用いられるモノマーとしては、ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、4−(メタ)アクリロイルブタンビニルエーテル、2−(メタ)アクリロイルエタンビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルプロパンビニルエーテル、(メタ)アクリロイロキシジエチレングリコールビニルエーテル、(メタ)アクリロイロキシトリエチレングリコールビニルエーテル、(メタ)アクリロイル1stテルピオネール、1−(メタ)アクリロイロキシ−2−メチル−2−プロペン、1−(メタ)アクリロイロキシ−3−メチル−3−ブテン、3−メチレン−2−(メタ)アクリロイロキシ−ノルボルナン、4,4’−エチリデンジフェノールジ(メタ)アクリレート、メタクロレインジ(メタ)アクリロイルアセタール、p−((メタ)アクリロイルメチル)スチレン、アリル(メタ)アクリレート、2−(ブロモメチル)アクリル酸ビニル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸アリル等が挙げられる。
・シアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマー
本態様に用いられるシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーとしては、2−シアノエチルビニルエーテル、シアノメチルビニルエーテル、3−シアノプロピルビニルエーテル、4−シアノブチルビニルエーテル、1−(p−シアノフェノキシ)−2−ビニロキシ−エタン、1−(o−シアノフェノキシ)−2−ビニロキシ−エタン、1−(m−シアノフェノキシ)−2−ビニロキシ−エタン、1−(p−シアノフェノキシ)−3−ビニロキシ−プロパン、1−(p−シアノフェノキシ)−4−ビニロキシ−ブタン、o−シアノベンジルビニルエーテル、m―シアノベンジルビニルエーテル、p―シアノベンジルビニルエーテル、アリルシアニド、アリルシアノ酢酸や、以下の化合物等が挙げられる。
Figure 2009144139
重合方法は、実験化学講座「高分子化学」2章−4(p74)に記載の方法や、「高分子合成の実験方法」大津隆行著 7章(p195)に記載の一般的なカチオン重合法が使用できる。なお、カチオン重合には、プロトン酸、ハロゲン化金属、有機金属化合物、有機塩、金属酸化物及び固体酸、ハロゲンが開始剤として用いることができるが、この中で、活性が大きく高分子量が合成可能な開始剤として、ハロゲン化金属と有機金属化合物の使用が好ましい。
具体的には、3フッ化ホウ素、3塩化ホウ素、塩化アルミ、臭化アルミ、四塩化チタン、四塩化スズ、臭化スズ、5フッ化リン、塩化アンチモン、塩化モリブデン、塩化タングステン、塩化鉄、ジクロロエチルアルミニウム、クロロジエチルアルミニウム、ジクロロメチルアルミニウム、クロロジメチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリメチル亜鉛、メチルグリニアが挙げられる。
1−2)ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がカチオン重合である態様
本発明において、ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がカチオン重合である態様用いられるモノマーとしては、以下の化合物が挙げられる。
・重合性基含有ユニット形成するために用いられるモノマー
上記1−1)の態様で挙げた重合性基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと同じものを用いることができる。
・シアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマー
本態様に用いられるシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーとしては、シアノメチル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、3−シアノプロピル(メタ)アクリレート、2−シアノプロピル(メタ)アクリレート、1−シアノエチル(メタ)アクリレート、4−シアノブチル(メタ)アクリレート、5−シアノペンチル(メタ)アクリレート、6−シアノヘキシル(メタ)アクリレート、7−シアノヘキシル(メタ)アクリレート、8−シアノヘキシル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル−(3−(ブロモメチル)アクリルレート)、2−シアノエチル−(3−(ヒドロキシメチル)アクリルレート)、p−シアノフェニル(メタ)アクリレート、o−シアノフェニル(メタ)アクリレート、m−シアノフェニル(メタ)アクリレート、5−(メタ)アクリロイル−2−カルボニトリロ−ノルボルネン、6−(メタ)アクリロイル−2−カルボニトリロ−ノルボルネン、1−シアノ−1−(メタ)アクリロイル−シクロヘキサン、1,1−ジメチル−1−シアノ−(メタ)アクリレート、1−ジメチル−1−エチル−1−シアノ−(メタ)アクリレート、o−シアノベンジル(メタ)アクリレート、m−シアノベンジル(メタ)アクリレート、p−シアノベンジル(メタ)アクリレート、1―シアノシクロヘプチルアクリレート、2―シアノフェニルアクリレート、3―シアノフェニルアクリレート、シアノ酢酸ビニル、1―シアノ−1―シクロプロパンカルボン酸ビニル、シアノ酢酸アリル、1―シアノ−1―シクロプロパンカルボン酸アリル、N,N―ジシアノメチル(メタ)アクリルアミド、N−シアノフェニル(メタ)アクリルアミド、アリルシアノメチルエーテル、アリル−o―シアノエチルエーテル、アリル−m―シアノベンジルエーテル、アリル−p―シアノベンジルエーテルなどが挙げられる。
また、上記モノマーの水素の一部を、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン、シアノ基などで置換した構造を持つモノマーも使用可能である。
重合方法は、実験化学講座「高分子化学」2章−2(p34)に記載の方法や、「高分子合成の実験方法」大津隆行著 5章(p125)に記載の一般的なラジカル重合法が使用できる。なお、ラジカル重合の開始剤には、100℃以上の加熱が必要な高温開始剤、40〜100℃の加熱で開始する通常開始剤、極低温で開始するレドックス開始剤などが知られているが、開始剤の安定性、重合反応のハンドリングのし易さから、通常開始剤が好ましい。
通常開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ペルオキソ2硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビル−2,4−ジメチルバレロニトリルが挙げられる。
2)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同一の場合
ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同一の場合は、2−1)両者がカチオン重合の態様と、2−2)両者がラジカル重合である態様と、がある。
2−1)両者がカチオン重合の態様
両者がカチオン重合の態様には、シアノ基を有するモノマーとして、前記1−1)の態様で挙げたシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと同じものを用いることができる。
なお、重合中のゲル化を防止する観点から、シアノ基を有するポリマーを予め合成した後、該ポリマーと、カチオン重合性の重合性基を有する化合物(以下、適宜、「反応性化合物」と称する。)と、を反応させ、側鎖にカチオン重合性の重合性基を導入する方法を用いることが好ましい。
なお、シアノ基を有するポリマーは、反応性化合物との反応のために、下記に示すような反応性基を有することが好ましい。
また、シアノ基を有するポリマーと反応性化合物とは、以下のような官能基の組み合わせとなるように、適宜、選択されることが好ましい。
具体的な組み合わせとしては、(ポリマーの反応性基、反応性化合物の官能基)=(カルボキシル基、カルボキシル基)、(カルボキシル基、エポキシ基)、(カルボキシル基、イソシアネート基)、(カルボキシル基、ハロゲン化ベンジル)、(水酸基、カルボキシル基)、(水酸基、エポキシ基)、(水酸基、イソシアネート基)、(水酸基、ハロゲン化ベンジル)(イソシアネート基、水酸基)、(イソシアネート基、カルキシル基)等を挙げることができる。
ここで、反応性化合物として、具体的には、以下に示す化合物を用いることができる。
即ち、アリルアルコール、4−ヒドロキシブタンビニルエーテル、2−ヒドロキシエタンビニルエーテル、3−ヒドロキシプロパンビニルエーテル、ヒドロキシトリエチレングリコールビニルエーテル、1stテルピオネール、2−メチル−2−プロペノール、3−メチル−3−ブテノール、3−メチレン−2−ヒドロキシ−ノルボルナン、p−(クロロメチル)スチレンである。
2−2)両者がラジカル重合である態様
両者がラジカル重合である態様では、合成方法としては、i)シアノ基を有するモノマーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、ii)シアノ基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)シアノ基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)方法が挙げられる。好ましいのは、合成適性の観点から、ii)シアノ基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)シアノ基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
前記i)の合成方法で用いられる重合性基を有するモノマーとしては、アリル(メタ)アクリレートや、以下の化合物などが挙げられる。
Figure 2009144139
前記ii)の合成方法で用いられる二重結合前駆体を有するモノマーとしては、下記式(a)で表される化合物などが挙げられる。
Figure 2009144139
上記式(a)中、Aは重合性基を有する有機原子団、R〜Rは、夫々独立して、水素原子又は1価の有機基、B及びCは脱離反応により除去される脱離基であり、ここでいう脱離反応とは、塩基の作用によりCが引き抜かれ、Bが脱離するものである。Bはアニオンとして、Cはカチオンとして脱離するものが好ましい。
式(a)で表される化合物としては、具体的には以下の化合物を挙げることができる。
Figure 2009144139
Figure 2009144139
また、前記ii)の合成方法において、二重結合前駆体を二重結合に変換するには、下記に示すように、B、Cで表される脱離基を脱離反応により除去する方法、つまり、塩基の作用によりCを引き抜き、Bが脱離する反応を使用する。
Figure 2009144139
上記の脱離反応において用いられる塩基としては、アルカリ金属類の水素化物、水酸化物又は炭酸塩、有機アミ化合物、金属アルコキシド化合物が好ましい例として挙げられる。アルカリ金属類の水素化物、水酸化物、又は炭酸塩の好ましい例としては、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。有機アミン化合物の好ましい例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、N−エチルジシクロヘキシルアミン、ピロリジン、1−メチルピロリジン、2,5−ジメチルピロリジン、ピペリジン、1−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン、ヘキサメチレンテトラミン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピリジン、ピコリン、4−ジメチルアミノピリジン、ルチジン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン(DBU)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルエチルアミン、Schiff塩基などが挙げられる。金属アルコキシド化合物の好ましい例としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドなどが挙げられる。これらの塩基は、1種或いは2種以上の混合であってもよい。
また、前記脱離反応において、塩基を付与(添加)する際に用いられる溶媒としては、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、水などが挙げられる。これらの溶媒は単独或いは2種以上混合してもよい。
使用される塩基の量は、化合物中の特定官能基(B、Cで表される脱離基)の量に対して、当量以下であってもよく、また、当量以上であってもよい。また、過剰の塩基を使用した場合、脱離反応後、余剰の塩基を除去する目的で酸などを添加することも好ましい形態である。
前記iii)の合成方法において用いられるシアノ基を有するポリマーは、上記1−2)の態様で挙げたシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと、二重結合導入のための反応性基を有するモノマーと、をラジカル重合することにより合成される。
二重結合導入のための反応性基を有するモノマーとしては、反応性基としてカルボキシル基、水酸基、エポキシ基、又はイソシアネート基を有するモノマーが挙げられる。
カルボキシル基含有のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、安息香酸ビニル、東亞合成製のアロニクスM−5300、M−5400、M−5600、三菱レーション製のアクリルエステルPA、HH、共栄社化学製のライトアクリレート HOA−HH、中村化学製のNKエステルSA、A−SAなどが挙げられる。
水酸基含有のモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1−(メタ)アクリロイル−3−ヒドロキシ−アダマンタン、ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、2−(ヒドロキシメチル)−(メタ)アクリレート、2−(ヒドロキシメチル)−(メタ)アクリレートのメチルエステル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,5−ジヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシメチル−4−(メタ)アクリロイルメチル−シクロヘキサン、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、1−メチル−2−アクリロイロキシプロピルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、1−メチル−2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルフタル酸、東亞合成(株)製のアロニクスM−554、M−154、M−555、M−155、M−158、日本油脂(株)製のブレンマーPE−200、PE−350、PP−500、PP−800、PP−1000、70PEP−350B、55PET800、以下の構造を有するラクトン変性アクリレートが使用できる。
CH=CRCOOCHCH[OC(=O)C10OH
(R=H又はMe、n=1〜5)
エポキシ基を有するモノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、ダイセル化学製のサイクロマーA、Mなどが使用できる。
イソシアネート基を有するモノマーとしては、昭和電工製のカレンズAOI、MOIが使用できる。
なお、iii)の合成方法において用いられるシアノ基を有するポリマーは、更に第3の共重合成分を含んでいてもよい。
前記iii)の合成方法において、シアノ基を有するポリマーと反応させる重合性基を有するモノマーとしては、シアノ基を有するポリマー中の反応性基の種類によって異なるが、以下の組合せの官能基を有するモノマーを使用することができる。
即ち、(ポリマーの反応性基、モノマーの官能基)=(カルボキシル基、カルボキシル基)、(カルボキシル基、エポキシ基)、(カルボキシル基、イソシアネート基)、(カルボキシル基、ハロゲン化ベンジル)、(水酸基、カルボキシル基)、(水酸基、エポキシ基)、(水酸基、イソシアネート基)、(水酸基、ハロゲン化ベンジル)(イソシアネート基、水酸基)、(イソシアネート基、カルボキシル基)、(エポキシ基、カルボキシル基)等を挙げることができる。
具体的には以下のモノマーを使用することができる。
Figure 2009144139
特定重合性ポリマーにおいて、前記式(1)、式(3)、又は式(4)におけるLがウレタン結合を有する二価の有機基である構造の場合には、下記の合成方法(以下、合成方法Aと称する。)で合成することが好ましい。
即ち、合成方法Aは、少なくとも溶媒中で、側鎖にヒドロキシル基を有するポリマー、及び、イソシアネート基と重合性基とを有する化合物を用い、該ヒドロキシル基に該イソシアネート基を付加させることによりL中のウレタン結合を形成することを特徴とする。
ここで、合成方法Aに用いられる側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーとしては、上記1−2)の態様で挙げたシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと、以下に示す挙げるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと、の共重合体が好ましい。 ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1−(メタ)アクリロイル−3−ヒドロキシ−アダマンタン、ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、2−(ヒドロキシメチル)−(メタ)アクリレート、2−(ヒドロキシメチル)−(メタ)アクリレートのメチルエステル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,5−ジヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシメチル−4−(メタ)アクリロイルメチル−シクロヘキサン、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、1−メチル−2−アクリロイロキシプロピルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、1−メチル−2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルフタル酸、東亞合成(株)製のアロニクスM−554、M−154、M−555、M−155、M−158、日本油脂(株)製のブレンマーPE−200、PE−350、PP−500、PP−800、PP−1000、70PEP−350B、55PET800、以下の構造を有するラクトン変性アクリレートが使用できる。
CH=CRCOOCHCH[OC(=O)C10OH
ここで、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは1〜5のいずれかである。
なお、合成方法Aに用いられる側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーは、更に第3の共重合成分を含んでいてもよい。
上述のような側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーの中でも、高分子量体のポリマーを合成する観点から、原料として、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートを合成する際に副生する2官能アクリレートを除去した原料を用いて合成したポリマーを使用することが好ましい。精製の方法としては、蒸留、カラム精製が好ましい。更に好ましくは、下記(1)〜(4)の工程を順次経ることで得られたヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを用いて合成されたものであることが好ましい。
(1)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと、該ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを合成する際に副生する2官能アクリレートと、を含む混合物を、水に溶解する工程
(2)得られた水溶液に、水と分離する第1の有機溶剤を加えた後、該第1の有機溶剤と前記2官能アクリレートとを含む層を水層から分離する工程
(3)前記水層に、前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートよりも水溶解性の高い化合物を溶解する工程
(4)前記水層に第2の有機溶剤を加えて、前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを抽出した後、濃縮する工程
前記(1)の工程において用いられる混合物は、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと、該ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを合成する際に副生する不純物である2官能アクリレートと、を含んでおり、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの一般的な市販品に相当する。
前記(1)の工程では、この市販品(混合物)を水に溶解して、水溶液を得る。
前記(2)の工程では、(1)の工程で得られた水溶液に対し、水と分離する第1の有機溶剤を加える。ここで用いられる、第1の有機溶剤としては、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。
その後、水溶液(水層)から、この第1の有機溶剤と2官能アクリレートとを含む層(油層)を分離する。
前記(3)の工程では、(2)の工程で油層と分離された水層に、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートよりも水溶解性の高い化合物を溶解する。
ここで用いられるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートよりも水溶解性の高い化合物としては、塩化ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどのアルカリ金属塩、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムなどのアルカリ土類金属塩などの無機塩等が用いられる。
前記(4)の工程では、水層に第2の有機溶剤を加えて、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを抽出した後、濃縮及び単離する。
ここで用いられる第2の有機溶剤としては、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。この第2の有機溶剤は、前述の第1の有機溶剤と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
(4)の工程における濃縮には、無水硫酸マグネシウムによる乾燥や、減圧留去等が用いられる。
前記(1)〜(4)の工程を順次経ることで得られたヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを含む単離物は、その全質量中に2官能アクリレートを0.1質量%以下の範囲で含むことが好ましい。つまり、前記(1)〜(4)の工程を経ることで、混合物から不純物である2官能アクリレートが除去され、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートが精製される。
2官能アクリレートの含有量のより好ましい範囲は、単離物の全質量中に0.05質量%以下であり、少なければ少ないほどよい。
このように精製されたヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを用いることで、不純物である2官能アクリレートが重合反応に影響を及ぼし難くなるため、重量平均分子量が20000以上のニトリル基含有重合性ポリマーを合成することができる。
前記(1)の工程において用いられるヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、前述の合成方法Aに用いられる側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーを合成する際に用いられるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとして挙げられたものを用いることができる。中でも、イソシアネートへの反応性の観点から、第1級水酸基を有するモノマーが好ましく、更には、ポリマーの単位重量当たりの重合性基比率を高める観点から、分子量が100〜250のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートが好ましい。
また、合成方法Aに用いられるイソシアネート基と重合性基とを有する化合物としては、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズAOI、昭和電工(株)製)、2−メタクリルオキシイソシアネート(カレンズMOI、昭和電工(株)製)等が挙げられる。
また、合成方法Aに用いられる溶媒としては、SP値(沖津法により算出)が20〜23であるものが好ましく、具体的には、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、アセチル酢酸エチル、1,2,3−トリアセトキシ−プロパン、シクロヘキサノン、プロピオニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
中でも、高分子量体を合成する観点から、エステル系溶媒であることがより好ましく、特に、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート等のジアセテート系溶媒であることが更に好ましい。
ここで、溶媒のSP値は、沖津法(沖津俊直著「日本接着学会誌」29(3)(1993))によって算出したものである。
以上のようにして合成された特定重合性ポリマーは、共重合成分全体に対し、重合性基含有ユニット、シアノ基含有ユニットの割合が以下の範囲であることが好ましい。
即ち、重合性基含有ユニットが、共重合成分全体に対し5〜50mol%で含まれることが好ましく、更に好ましくは5〜40mol%である。5mol%以下では反応性(硬化性、重合性)が落ち、50mol%以上では合成の際にゲル化しやすく合成しにくい。
また、シアノ基含有ユニットは、金属に対する吸着性の観点から、共重合成分全体に対し1〜95mol%で含まれることが好ましく、更に好ましくは10〜95mol%である。
なお、特定重合性ポリマーは、シアノ基含有ユニット、重合性基含有ユニット以外に、他のユニットを含んでいてもよい。この他のユニットを形成するために用いられるモノマーとしては、本発明の効果を損なわないものであれば、いかなるモノマーも使用することができる。
他のユニットを形成するために用いられるモノマーとしては、具体的には、アクリル樹脂骨格、スチレン樹脂骨格、フェノール樹脂(フェノール−ホルムアルデヒド樹脂)骨格、メラミン樹脂(メラミンとホルムアルデヒドの重縮合体)骨格、ユリア樹脂(尿素とホルムアルデヒドの重縮合体)骨格、ポリエステル樹脂骨格、ポリウレタン骨格、ポリイミド骨格、ポリオレフィン骨格、ポリシクロオレフィン骨格、ポリスチレン骨格、ポリアクリル骨格、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンの重合体)骨格、ポリアミド骨格、ポリアセタール骨格、ポリカーボネート骨格、ポリフェニレンエーテル骨格、ポリフェニレンスルファイド骨格、ポリスルホン骨格、ポリエーテールスルホン骨格、ポリアリレート骨格、ポリエーテルエーテルケトン骨格、ポリアミドイミド骨格などの主鎖骨格を形成しうるモノマーが挙げられる。
また、これらの主鎖骨格は、シアノ基含有ユニットや、重合性基含有ユニットの主鎖骨格であってもよい。
ただし、前述のように重合性基をポリマーに反応させて導入する場合は、100%導入することが困難な際には少量の反応性部分が残ってしまうことから、これが第3のユニットとなる可能性もある。
具体的には、ラジカル重合でポリマー主鎖を形成する場合は、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどの無置換(メタ)アクリル酸エステル類、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、3,3,3−トリフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレートなどのハロゲン置換(メタ)アクリル酸エステル類、2−(メタ)アクリルロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアンモニウム基置換(メタ)アクリル酸エステル類、ブチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、スチレン、ビニル安息香酸、p−ビニルベンジルアンモニウムクロライドなどのスチレン類、N−ビニルカルバゾール、酢酸ビニル、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル化合物類や、その他にジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−エチルチオ−エチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが使用できる。
また、上記記載のモノマーを用いて得られたマクロモノマーも使用できる。
カチオン重合でポリマー主鎖を形成する場合は、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、エチレングリコールビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、酢酸ビニル、2−ビニルオキシテトラヒドロピラン、ビニルベンゾエート、ビニルブチレートなどのビニルエーテル類、スチレン、p−クロロスチレン、p−メトキシスチレンなどのスチレン類、アリルアルコール、4−ヒドロキシ−1−ブテンなどの末端エチレン類を使用することができる。
特定重合性ポリマーの重量平均分子量は、2000以上50万以下が好ましく、更に好ましくは10000以上30万以下である。
特に、重合感度の観点からは、特定重合性ポリマーの重量平均分子量は、20000以上であることが好ましい。
また、特定重合性ポリマーの重合度としては、10量体以上のものを使用することが好ましく、更に好ましくは20量体以上のものである。また、7000量体以下が好ましく、3000量体以下がより好ましく、2000量体以下が更に好ましく、1000量体以下が特に好ましい。
ここに記載されている分子量及び重合度の好ましい範囲は、本発明において用いられる特定重合性ポリマー以外の重合性基及び相互作用性基を有するポリマーに関しても好適な範囲である。
特定重合性ポリマーの具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
なお、これらの具体例の重量平均分子量は、いずれも、3000〜100000の範囲である。
Figure 2009144139
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ここで、例えば、前記した具体例の化合物2−2−11は、アクリル酸と2−シアノエチルアクリレートを、例えば、N−メチルピロリドンに溶解させ、重合開始剤として、例えば、アゾイソブチロニトリル(AIBN)を用いてラジカル重合を行い、その後、グリシジルメタクリレートをベンジルトリエチルアンモニウムクロライドのような触媒を用い、ターシャリーブチルハイドロキノンのような重合禁止剤を添加した状態で付加反応することで合成することができる。
また、例えば、前記した具体例の化合物2−2−19は、以下のモノマーと、p−シアノベンジルアクリレートを、N、N−ジメチルアクリルアミドのような溶媒に溶解させ、アゾイソ酪酸ジメチルのような重合開始剤を用いてラジカル重合を行い、その後、トリエチルアミンのような塩基を用いて脱塩酸を行うことで合成することができる。
Figure 2009144139
特定重合性ポリマー等の重合性基及び相互作用性基を有する化合物は、重合性基と相互作用性基の他に、極性基を有していてもよい。
特定硬化性化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の接着剤組成物中における特定硬化性化合物の含有量としては、接着剤組成物に含有される不揮発成分の全質量を基準として、1〜70質量%であることが好ましく、3〜60質量%であることが更に好ましく、最も好ましくは5〜50質量%の範囲である。
<(B)フェノキシ樹脂及びエラストマーから選択される少なくとも1種>
本発明の接着剤組成物には、フェノキシ樹脂及びエラストマーから選択される少なくとも1種を含有する。これらの化合物を含むことで、接着剤組成物のより形成される接着層の膜性が向上し、弾力性、可撓性に優れ、配線などの凹凸に応じて可逆的に変形しうる接着剤層が形成され、隣接する金属表面との密着性向上にも有利である。
フェノキシ樹脂としては、ビスフェノール類とエピクロルヒドリンをモル比約1で重縮合することにより得られる平均分子量が40,000〜100,000程度の熱可塑性フェノキシ樹脂を好適に挙げることができる。また、所望により、原料として臭素化ビスフェノールを用いて調製した臭素化フェノキシ樹脂を用いることで、接着剤に対して臭素による難燃性を付与する、或いは、熱プレス接着時の流動性を抑制するといった付加的な利点をも有するようになる。
フェノキシ樹脂の原料としては、一般的なビスフェノールA型のものから、高可撓性を付与するためのビスフェノールA−ビスフェノールF共重合型、ビスフェノールA−ビスフェノールS共重合型等の種々のものを用いることができ、目的に応じて適宜選択される。
本発明に使用しうるフェノキシ樹脂の具体例としては、例えば、市販品として入手可能な、東都化成(株)製、フェノトートYP−50が挙げられ、その他にも、フェノトートYP−55、同YP−70、同YP−40AM40、同ERF−001M30などがある。さらに、InChem社製、PKHB、PKHC、PKCP−67、PKCP−80、PKHM−30、PKHH、PKHJなども用いることができる。
本発明に用いうるエラストマーとしては、分子内に架橋構造を有し、弾性を有するものであれば、特に制限なく用いることができるが、例えば、合成ゴムとして公知の、アクリルゴム、アクリロニトリル/ブタジエンゴム、スチレン/ブタジエンゴム、ブタジエン/メチルアクリレート/アクリロニトリルゴム、ブタジエンゴム、カルボキシル基含有アクリロニトリル/ブタジエンゴム、ビニル基含有アクリロニトリル/ブタジエンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ポリビニルブチラール等が挙げられる。
フェノキシ樹脂及びエラストマーから選択される化合物は単独で使用されてもよく、異なる種類のフェノキシ樹脂同士、エラストマー同士を2種以上組み合わせてもよく、フェノキシ樹脂とエラストマーをと組み合わせて用いることもできる。
フェノキシ樹脂及びエラストマーから選択される化合物の添加量は、目的に応じて適宜選択されるが、一般には(A)特定硬化性化合物100重量部に対して、フェノキシ樹脂を用いる場合には、20〜150重量部であることが好ましく、エラストマーであれば、(A)特定硬化性化合物100質量部に対して10〜900質量部であることが好ましく、20〜150質量部であることがより好ましい。これらの配合量は、2種以上を組み合わせる場合には、その総量を指す。前記添加量で、得られる接着剤層は、適度な弾性と可撓性を有し、耐熱性及び金属表面への優れた密着性を達成しうる。
<(C)硬化剤>
本発明の接着剤組成物には、該組成物の硬化を進めるために、硬化剤を添加する。また、硬化性向上のため、さらに硬化促進剤を添加することもできる。
硬化剤は、併用される(A)特定硬化性化合物の硬化反応を促進する観点から、特定硬化性化合物の硬化に寄与する部分構造に応じて選択される。
例えば、(A)特定硬化性化合物における硬化性部分構造としてエポキシ基が含まれる場合の硬化剤としては、重付加型では、脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ポリアミド、酸無水物、フェノール、フェノールノボラック、ポリメルカプタン、活性水素を2個以上持つ化合物等、触媒型としては、脂肪族第三アミン、芳香族第三アミン、イミダゾール化合物、ルイス酸錯体などが挙げられる。より具体的には、エポキシ樹脂硬化剤として知られているノボラック型フェノール樹脂、フェノール−パラキシリレングリコールジメチルエーテル重縮合樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン及びジアミノジフェニルスルフォン等のポリアミン系化合物を挙げることができる。
また、硬化性部分構造がラジカル重合性の官能基である場合には、熱、光、湿気、圧力、酸、塩基などによりラジカルを発生するラジカル重合開始剤を用いることができる。具体的には、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ポリアミドアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキシスピロ(5,5)ウンデカンアダクト、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、アジピン酸ジヒラジド、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ドデシル無水コハク酸、無水クロレンディック酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメート)、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、ポリアゼライン酸無水物、フェノールノボラック、キシリレンノボラック、ビスAノボラック、トリフェニルメタンノボラック、ビフェニルノボラック、ジシクロペンタジエンフェノールノボラック、テルペンフェノールノボラック、ポリメルカプタン、ポリサルファイド、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール−トリ−2−エチルヘキシル酸塩、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−(2−メチルイミダゾリル−(1))−エチルS−トリアジン、BFモノエチルアミン錯体、ルイス酸錯体、有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリル、メラミン誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアミン塩、アミンイミド化合物、芳香族ジアゾニウム塩、ジアリルヨードニウム塩、トリアリルスルホニウム塩、トリアリルセレニウム塩、ケチミン化合物などが挙げられる。
これらの硬化剤は、接着剤組成物の塗布性、当該組成物が適用される基板との密着性などの観点から、溶剤を除去した残りの不揮発成分の0.01〜50質量%程度まで添加することができる。なお、(A)特定硬化性化合物や以下に詳述する(D)他の硬化性化合物が、分子内にエポキシ基などの自己架橋性の部分構造を有する場合には、例えば、空気中の水分や加熱により硬化反応が生起する。即ち、当該部分構造を有する硬化性化合物は(C)硬化剤としての機能をも有するため、このような硬化性化合物を用いるときには、別途(C)架橋剤を添加することなく本発明の効果を奏し、必ずしも(C)架橋剤を添加を必要としない。
また、硬化促進剤を用いる場合、トリフェニルホスフィン等の有機燐系化合物や2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−イミダゾール等のイミダゾール類が挙げられる。添加量は、求められる硬化時間に応じて適宜選定されるが、一般的には、接着剤組成物の全固形分に対して、0.01〜0.3重量%の範囲で用いられる。
<(D)他の硬化性化合物>
本発明の接着剤組成物は、前記(A)成分とは異なる分子構造を有する他の硬化性化合物を含有することが好ましい。
本発明の接着剤組成物が(D)成分として含有しうる他の硬化性化合物としては、アクリレート化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、及び、これらの化合物と反応しうる官能基を有する化合物からなる群から選択される化合物であることが好ましい。他の硬化性化合物は、モノマー、オリゴマー、マクロモノマー、ポリマーのいずれの形態あってもよい
他の硬化性化合物として用いうるアクリレート化合物とは、分子内に少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物を意味し、例えば、ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、4−(メタ)アクリロイルブタンビニルエーテル、2−(メタ)アクリロイルエタンビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルプロパンビニルエーテル、(メタ)アクリロイロキシジエチレングリコールビニルエーテル、(メタ)アクリロイロキシトリエチレングリコールビニルエーテル、(メタ)アクリロイル1stテルピオネール、1−(メタ)アクリロイロキシ−2−メチル−2−プロペン、1−(メタ)アクリロイロキシ−3−メチル−3−ブテン、3−メチレン−2−(メタ)アクリロイロキシ−ノルボルナン、4,4’−エチリデンジフェノールジ(メタ)アクリレート、メタクロレインジ(メタ)アクリロイルアセタール、p−((メタ)アクリロイルメチル)スチレン、アリル(メタ)アクリレート、2−(ブロモメチル)アクリル酸ビニル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸アリル、等が挙げられる。
他の硬化性化合物として用いうるエポキシ化合物とは、分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物を意味し、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。このようなエポキシ化合物としては、市販品を用いることもでき、例えば、エピコート806(jER806)、エピコート828、エピコート807、エピコート4004P、エピコート152、エピコート154、エピコートYX4000(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製);エピクロン840、エピクロン857、エピクロン830(以上、大日本インキ化学工業(株)製);アデカレジンEP4100、アデカレジンEP4530、アデカレジンEP4901(以上、旭電化工業(株)製);等が挙げられる。
他の硬化性化合物として、上記のエポキシ化合物及びアクリレート化合物の双方の機能を兼ねた化合物、即ち、分子内に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基とエポキシ基を有する化合物(以下では、「エポキシアクリレート化合物」と総称する。)であってもよい。
本発明に用いうるエポキシアクリレート化合物としては、例えば、ビスフェノール型、レゾルシン型、フタル酸型、グリコール型、フェノール型、などの構造を主骨格とするモノ、ジ、ポリ、エポキシ化合物に(メタ)アクリル酸を付加させたもの等が挙げられる。このようなエポキシアクリレート化合物としては、市販品を用いることもでき、例えば、ネオポール8414、ネオポール8101、ネオポール8400、ネオポール8260(以上、日本ユピカ(株)製);デナコールDA−111、デナコールDA−141、デナコールDA−250(以上、ナガセケムテックス(株)社製);等が挙げられる。
他の硬化性化合物として用いうるイソシアネート化合物とは、分子内に少なくとも一つのイソシアネート基を有する化合物を意味し、例えば、TDIアダクトタイプ、TDI重合タイプ、XDI系、IPDI系、HDI系、ポリイソシアネート系等のイソシアネート化合物が挙げられる。このようなイソシアネート化合物としては、市販品を用いることもでき、例えば、タケネートD−101A、タケネート102、タケネート103、タケネート110、タケネート120、タケネート140(以上、三井化学ポリウレタン(株)製)、等が挙げられる。
上記した他の硬化性化合物と反応しうる官能基を有する化合物としては、分子内にカルボキシル基、アミノ基、水酸基などの求核性をもつ官能基を有する化合物を意味し、例えば、例えば、ポリアリルアミン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオールなどが挙げられる。このような化合物としては、市販品を用いることもでき、例えば、トーマイド、フジキュアー(以上、富士化成工業(株)製);タケラックシリーズ(三井化学ポリウレタン(株);等が挙げられる。
他の硬化性化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の接着剤組成物中における他の硬化性化合物の含有量としては、接着剤組成物に含有される不揮発成分の全質量を基準として、0〜60質量%であることが好ましく、0〜50質量%であることがより好ましく、0〜40質量%であることが更に好ましい。
<(E)無機フィラー>
本発明の接着剤組成物は、(E)成分として、無機フィラーを含有することが、接着剤組成物に難燃性を付与する、或いは、その線膨張係数を制御するといった観点から好ましい。
本発明に用いうる無機フィラーとしては、例えば、タルク、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
無機フィラーの平均粒子径は目的に応じて適宜選択されるが、形成される接着剤層の均一性、平滑性といった観点から、膜厚を考慮すれば、サイズが0.05μm〜5μmの範囲にあることが好ましい。タルクの如く平板状粒子の場合、投影面における長径が上記範囲にあることが好ましく、厚みは、0.01μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。
これらは単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(E)無機フィラーの配合量は、接着剤組成物に含有される不揮発成分の全質量を基準とした含有量が0〜50質量%であることが好ましい。この範囲において、目的とする難燃性向上効果が得られ、且つ、接着剤組成物の流動性などのハンドリング性に悪影響を与えることがない。
本明細書における無機フィラーの平均粒子径は、動的散乱法により測定した値である。
例えば、接着剤組成物を、その好適な態様であるカバーレイの形成に適用する場合であれば、無機フィラーの含有量は、不揮発成分の全質量を基準として、0〜50質量%の範囲にあることが好ましく、0〜30質量%の範囲がより好ましい。また、接着剤組成物を、他の好適な態様である補強フィルムに適用する場合であれば、含有量は、不揮発成分の全質量を基準として、0〜50質量%の範囲にあることが好ましく、0〜30質量%の範囲がより好ましい。
<(F)他の成分>
本発明の接着剤組成物には、前記(A)成分乃至(C)成分、及び、所望により併用される好ましい成分である(D)成分、(E)成分に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じて他の成分を併用することができる。このような成分としては、溶剤、重合開始剤、及び既述の硬化促進剤、界面活性剤などのその他の成分が挙げられる。
〔(F−1)溶剤〕
本発明の接着剤組成物は、組成物のハンドリング性向上などの観点から、溶剤を含有することができる。
使用しうる溶剤は、接着剤組成物に含有される必須成分である(A)特定硬化性化合物、任意成分として含有しうる(D)他の硬化性化合物を溶解可能なものであれば特に制限はない。
使用できる溶剤としては、具体的には、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、グリセリンなどのアルコール系溶媒、酢酸などの酸、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、アセトニトリル、プロピロニトリルなどのニトリル系溶媒が好ましい。
また、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、エチレングリコールモノメチルエーテル、ホルムアミド、などのアミド系溶剤、等も使用できる。
更に、通常溶剤、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン、ベンゼン、ナフタレン、ヘキサン、シクロヘキサン等の芳香族炭化水素、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートの如きカーボネート系溶剤などが挙げられる。
この中でも、特定重合性ポリマーを用いる場合には、アミド系、ケトン系、ニトリル系溶剤が好ましく、具体的には、アセトン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルカーボネートが好ましい。
また、特定重合性ポリマーを含有する接着剤組成物を、塗布等の使用態様に適用する場合であれば、取り扱い安さから沸点が50〜150℃の溶剤を用いることが好ましい。なお、これらの溶剤は単一で使用してもよいし、混合して使用してもよい。
本発明の接着剤組成物中における溶剤の含有量は、当該組成物の適用態様によって適宜設計しうるが、10〜90質量%程度が適切である。
〔(F−2)重合開始剤〕
本発明の接着剤組成物が、更に、重合開始剤を含有してもよい。
重合開始剤は、共存する(A)特定硬化性化合物や所望により併用される(D)他の硬化性化合物が有する官能基に応じて適宜選択されるが、例えば、以下に示す化合物が挙げられる。
重合開始剤としては、例えば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤などを用いることができるが、扱い易さ、反応性の観点からは、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤が好ましく、ラジカル重合開始剤が更に好ましい。
(F−2)成分として含有しうる重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。
本発明に用いうる熱重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル(BPO)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−t−ブチルパーオキシド(PBD)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PBI)、n−ブチル4,4,ビス(t−ブチルパーオキシ)バラレート(PHV)などのような過酸化物開始剤、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルヘキサン)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルヘキサン)、3,3’−アゾビス(3,4−ジメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−エチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジエチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジ−tert−ブチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系開始剤などを使用することができる。
また、光重合開始剤としては、低分子でもよく、高分子でもよく、一般に公知のものが使用される。
低分子の光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのケトン、ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン類、α−アシロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、トリクロロメチルトリアジン、及びチオキサントン等の公知のラジカル発生剤を使用できる。また、通常、光酸発生剤として用いられるスルホニウム塩やヨードニウム塩なども光照射によりラジカル発生剤として作用するため、本発明ではこれらを用いてもよい。
高分子の光重合開始剤としては特開平9−77891号、特開平10−45927号に記載の活性カルボニル基を側鎖に有する高分子化合物を使用することができる。
本発明の接着剤組成物中における重合開始剤の含有量としては、接着剤組成物に含有される不揮発成分の全質量を基準として、0〜10質量%であることが好ましく、0〜5質量%であることがより好ましい。
〔(F−3)界面活性剤〕
接着剤組成物には、必要に応じて界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、溶剤に溶解するものであればよく、そのような界面活性剤としては、例えば、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの如きアニオン性界面活性剤や、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドの如きカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル(市販品としては、例えば、エマルゲン910、花王(株)製など)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(市販品としては、例えば、商品名「ツイーン20」など)、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの如き非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
〔(F−4)可塑剤〕
接着剤組成物には、必要に応じて可塑剤を添加することもできる。使用できる可塑剤としては、一般的な可塑剤が使用でき、フタル酸エステル類(ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジブチルエステル、ジ−2−エチルヘキシルエステル、ジノルマルオクチルエステル、ジイソノニルエステル、ジノニルエステル、ジイソデシルエステル、ブチルベンジルエステル)、アジピン酸エステル類(ジオクチルエステル、ジイソノニルエステル)、アゼラインサンジオクチル、セバシンサンエステル類(ジブチルエステル、ジオクチルエステル)リン酸トリクレシル、アセチルクエン酸トリブチル、エポキシ化大豆油、トリメリット酸トリオクチル、塩素化パラフィンやジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンのような高沸点溶媒も使用することができる。
〔(F−5)重合禁止剤〕
接着剤組成物には、必要に応じて、重合禁止剤を添加することもできる。使用できる重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ジターシャリーブチルハイドロキノン、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ハイドロキノンなどのハイドロキノン類、p−メトキシフェノール、フェノールなどのフェノール類、ベンゾキノン類、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニロキシ フリーラジカル)、4−ヒドロキシTEMPOなどのフリーラジカル類、フェノチアジン類、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン、そのアルミニウム塩などのニトロソアミン類、カテコール類を使用することができる。
−他の成分−
また、更に、難燃化剤(例えば、りん系難燃化剤)、希釈剤やチキソトロピー化剤、顔料、消泡剤、レべリング剤、カップリング剤などを添加してもよい。
てもよい。
<接着剤組成物の製造方法>
本発明の接着剤組成物の製造方法は、既述した本発明の接着剤組成物の製造に好適な方法であり、前記(A)特定硬化性化合物、(B)エラストマー類に加え、任意成分である無機フィラーや溶剤を含む混合物を混練又は予備分散する工程と、前記及び(C)硬化剤及び(D)他の硬化性化合物を添加する第2の工程とを経ることで行うことが好ましい。
第2の工程においては、(C)硬化剤、及び、(D)他の硬化性化合物の他、重合開始剤、硬化促進剤、界面活性剤、可塑剤、重合禁止剤、その他上述したような他の成分を添加することができる。
(接着剤組成物の特性)
本発明の接着剤組成物は、エネルギー付与により硬化しうる組成物である。本発明の接着剤組成物に適用しうるエネルギー付与は、加熱、露光等の輻射線照射、及び、その両方の併用により実施することができる。
接着剤組成物に対するエネルギー付与方法としては、例えば、UVランプ、可視光線などによる光照射、ホットプレートなどでの加熱、等が可能である。
光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
一般的に用いられる具体的な態様としては、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
エネルギー付与に要する時間としては、接着剤組成物の用途により異なるが、通常、10秒〜5時間の間である。
なお、エネルギーの付与を露光にて行う場合、その露光パワーは、グラフト重合を容易に進行させるため、また、生成されたグラフトポリマーの分解を抑制するため、500mJ/cm〜5000mJ/cmの範囲であることが好ましい。
また、重合性基及び相互作用性基を有する化合物として、平均分子量2万以上、重合度200量体以上のポリマーを使用すると、低エネルギーの露光でグラフト重合が容易に進行するため、生成したグラフトポリマーの分解を更に抑制することができる。
(接着剤組成物の用途)
上記の特性を有する本発明の接着剤組成物は、そのまま、金属と樹脂などを接着する接着剤として用いてもよいが、これを適切なフィルム基材表面に塗布して接着剤層を形成してなる接着剤フィルム、FPC用カバーレイ、FPC用補強樹脂フィルム等の用途に好適である。
<接着剤フィルム>
本発明の接着剤組成物は、これを(F−1)溶剤に開示されたプロピレングリコールモノメチルエーテル等の適切な溶剤で希釈して、フィルム基材表面に塗布し、加熱するか或いは常温で乾燥して溶剤を除去することにより本発明の接着剤フィルムを得ることができる。
塗布膜厚は、用途に応じて異なるが、0.5μm〜50μmの範囲であることが接着性を保つ観点から好ましい。
本発明の接着剤フィルムは、フィルム基材表面に接着剤層を有する積層体であり、そのままロール状に巻き取って、ロールから適宜所定の長さを切断することにより使用することもできるが、接着剤層表面に保護フィルムを積層することも可能である。
該接着剤層は金属表面との密着性に優れることから、金属表面に接着剤層が接するように使用すればよい。また、接着後に基材フィルムを剥離して、金属表面に接着剤層を転写するといった方法で使用することも可能である。
ここで用いるフィルム基材は、キャリアフィルムとしての機能を有するものであれば、特に制限はなく、汎用の樹脂フィルム基材などを使用することができるが、剥離しやすさの観点からは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどが好ましい。
フイルムの厚みも目的に応じて選択できるが、一般的には3μm〜100μmの範囲であることが好ましい。
また、保護フィルムにも特に制限はなく、汎用の樹脂フイルム基材などを使用することができ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどが好ましい。
保護フイルムの厚みは一般的には、1μm〜50μmの範囲であることが好ましい。
<フレキシブルプリント配線板用カバーレイ・フレキシブルプリント配線板用補強フィルム>
前記本発明の接着剤フィルムにおいて、フィルム基材として、ポリイミドフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどから選択される、厚さ5μm〜50μmのフィルム基材を用い、接着剤層の乾燥後の厚みを1μm〜50μmの範囲とすることで、本発明のフレキシブルプリント配線板用カバーレイを得ることができる。
同様な作製方法をすることで本発明のフレキシブルプリント配線板用補強フイルムを得ることができる。
また、片面フレキシブル銅張り積層板における銅層を有しない側にこの接着剤層を設けることにより、本発明の積層用のフレキシブル銅張り積層板を作製することもできる。積層用のフレキシブル銅張り積層板は、接着剤層を介して任意の基剤や予め配線形成された基板に接着して用いる。
このように、本発明のフレキシブルプリント配線用のカバーレイ、或いは補強樹脂フィルムは、本発明の接着剤層の好ましい使用態様である。
本発明に係る接着剤層は適度の弾性と可撓性とを有し、且つ、金属表面との密着性に優れ、中でも、平滑性の高い金属表面に対しても優れた接着性を発現することから、フレキシブルプリント配線のごとく、繰り返し折り曲げが行われる用途に用いた場合、その効果が著しく、応用範囲は広い。
<フレキシブル銅張積層板>
前記接着剤フィルムにおいて、基材フィルムとしてフレキシブル基板を用い、その片面或いは両面に本発明に係る接着剤層と銅箔とを積層することにより、フレキシブル銅張積層板を得ることができる。
ここで用いられる銅箔は、一般に用いられる厚さ3μm〜36μmの範囲のものを用いることができる。接着剤層表面に銅箔を積層した後、接着剤層を硬化するため、加熱、露光などのエネルギー付与を行うが、加熱加圧するという通常の方法で銅箔と基板との密着性に優れたフレキシブル銅張積層板を製造することができる。このとき、加熱加圧は減圧環境で行うことも可能である。
本発明のフレキシ銅張積層板は、基板と銅箔との密着性、及び、可撓性に優れる。
<フレキシブルプリント配線板>
前記本発明の接着剤か組成物からなる接着剤層、本発明の接着剤フィルム、フレキシブルプリント配線板用カバーレイ、及び、フレキシブルプリント配線板用保護フィルムの少なくとも1つを備えることで、フレキシブルプリント配線板を得ることができる。
具体的には、例えば、また、本発明の前記フレキシブル銅張積層板を用い、銅箔をパターニングして回路を形成し、多層配線板の場合には、必要であればスルーホールを形成して電解めっき、或いは無電解めっきでスルーホール中に導電層を形成し、その後、所定箇所に穴をあけた前記本発明のカバーレイを重ねて加熱加圧成形するという工程を経ることで、本発明のフレキシブルプリント配線板を製造することができる。
また、本発明のプリント配線板は、例えば、特開2007−142147号、特開2007−142147号、特開2007−141648号、特開2006−202604号、等の各公報に記載されるプリント配線板において、当該プリント配線板の接着層やカバーレイ、補強板の接着のために、本発明の接着剤組成物を適用することによっても得ることができる。
さらに、得られたフレキシブルプリント配線板に接着剤層を形成してなる補強板を重ね合わせ、加熱加圧することで、補強板付きフレキシブルプリント配線板を製造することができる。これら、接着剤層の密着硬化に必要な加熱加圧工程は、所望により減圧条件下で行うことができる。減圧条件下で層間の接着を行うことで、層間への気泡の混入抑制や配線間への接着剤の埋め込み性の向上などの効果が期待できる。
本発明のフレキシブルプリント配線板を用いて、多層プリント配線板を作製することも可能である。即ち、本発明のフレキシブルプリント配線板であって、予め配線を形成した配線板の表面に、さらに、本発明の接着剤フィルムを接着して接着剤層を転写し、該接着剤層を介して、他のフレキシブル銅張積層板又はハロゲンを含まないガラスエポキシ銅張積層板等を重ね合わせ加熱・加圧成形して積層し、その後、所定の位置にスルーホールを形成し、前記したのと同様にめっき法などによりスルーホールに導電層を形成し、さらに、積層した銅箔をパターニングして所定の回路を形成する工程を行えばよい。
本発明の接着剤組成物を用いてなる接着剤層は、無機基板、層間絶縁層と金属層とを密着性と耐久性よく接着させることができ、接着剤層自体も柔軟性、弾力性、可撓性に優れることから、このようなフレキシブル配線板などの用途に好適である。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
以下のようにして、本発明の接着剤組成物である「導電性ペースト(1)」を得た。
<接着剤組成物(1)>
・硬化性化合物B 50質量部
(下記構造、重量平均分子量:6万、(A)特定硬化性化合物)
・フェールノボラック型硬化剤 40質量部
(フェノライトLA7052、大日本インキ化学(株)製、(C)硬化剤)
・フェノキシ樹脂 100質量部
(YP−50EK35、東都化成(株)製、(B)エラストマー類)
・ビスF型エポキシ化合物 100質量部
(エピコート806、ジャパンエポキシレジン(株)製、(D)他の硬化性化合物)
・エポキシアクリレート化合物 50質量部
(ネオポール8414、日本ユピカ(株)製、65%DEGDMA溶液、
(D)他の硬化性化合物)
・シリカ粉末 60質量部
(SO−C1、アドマテックス(株)製:平均粒子径:0.2μm、
(E)無機フィラー)
・カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンゴム 30重量部
(ニッポール 1072、日本ゼオン(株)製、(B)エラストマー類)
・シクロヘキサノン/アセトニトリル混合溶剤〔(F−1)溶剤〕 240重量部
Figure 2009144139
樹脂組成物(1)の各成分を上記の組成比にて配合するが、まず、硬化性化合物B、フェノキシ樹脂(エラストマー類)、シリカ粉末、及び、シクロヘキサノン/アセトニトリル混合溶剤の半量である120重量部を配合し、予め攪拌機により攪拌混合した後、更に、ビスF型エポキシ化合物、エポキシアクリレート化合物、フェールノボラック型硬化剤及び、溶剤の半量(120重量部)を配合し、攪拌後、3本ロールミルにて練練し実施例1の接着剤組成物(1)を得た。
この接着剤組成物(1)を厚さ25μmのポリイミドフイルム カプトン(東レデュポン社製)にロールコーターを用いて、乾燥後の厚さが10μmになるように塗布し、乾燥させて溶剤を除去し、カバーレイを得た。
[比較例1]
実施例1において、硬化性化合物B 50質量部及びエポキシアクリレート50重量部を用いるかわりに、エポキシアクリレート100重量部用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の接着剤組成物(2)を得た。
上記により得た接着剤組成物(1)、(2)を用いて以下の各評価を行った。各評価結果を下記表1に示す。
1.密着性の評価
松下電工社製フレキシブルプリント基板 FELLOS RF−770の表面を洗浄後、特別に粗化処理や研磨処理をおこなわずに上記カバーレイを、接着剤面を金属に接するように重ね合わせ、熱プレスにより170℃4MPaの条件で1時間加熱圧着したのち、180℃で2時間加熱して積層体を得て、JIS Z1522に規定されたセロハン粘着テープにより、JIS K5400に準じたクロスカットテープ剥離法により密着性評価を行い、以下の基準で評価した。(調製直後評価)
その後、同様にして作製した積層体を、125℃85%2気圧の条件下300時間経過し、同様にして、JIS K5400に準じたクロスカットテープ剥離法により密着性評価を行い、以下の基準で評価した。(経時後評価)
−評価基準−
○:完全に剥離がない
△:剥がれてはいないが、一部に浮きなどがみられた
×:剥がれが生じた
Figure 2009144139
表1に示されるように、実施例1にて得られたカバーレイは、フレキシブルプリント配線基板との密着性に優れ、高温高湿の過酷な環境下に長時間保存した後も密着性に低下が見られず、密着性を長期間維持しうることが確認された。一方、比較例1にて得られたカバーレイは、初期の密着性に優れるものの、高温高湿下での長期保存後は浮きが生じ、実用上十分な密着性の耐久性が得られないことがわかる。
以上の結果より、本発明の接着剤組成物で作製されたカバーレイは、金属配線との密着性及びその耐久性に優れたものであることがわかる。

Claims (15)

  1. (A)金属と相互作用を形成しうる官能基を有する硬化性化合物と、(B)フェノキシ樹脂及びエラストマーから選択される少なくとも1種と、(C)硬化剤と、を含有し、カバーレイの作製に用いられる接着剤組成物。
  2. 更に、(D)前記(A)金属と相互作用を形成しうる官能基を有する硬化性化合物とは異なる分子構造を有する他の硬化性化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
  3. 前記(A)金属と相互作用を形成しうる官能基を有する硬化性化合物が、前記金属と相互作用を形成しうる官能基とは異なる官能基であって、エネルギー付与により、当該硬化性化合物同士を反応させうる官能基、又は、該硬化性化合物と前記(D)成分として含有される他の硬化性化合物とを反応させうる官能基、を更に有することを特徴とする請求項2に記載の接着剤組成物。
  4. 前記(D)成分として含有される他の硬化性化合物が、アクリレート化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、及び、これらの化合物と反応しうる官能基を有する化合物からなる群から選択される高分子化合物であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の接着剤組成物。
  5. 更に、(E)無機フィラーを含有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
  6. 前記(A)金属と相互作用を形成しうる官能基を有する硬化性化合物が有する金属と相互作用を形成しうる官能基が、金属を吸着しうる官能基であり、正の荷電を有する官能基、正の荷電に解離しうる構造を有する官能基、負の荷電を有する官能基、負の荷電に解離しうる構造を有する官能基、金属と相互作用しうる非イオン性の極性基、金属とキレーション又は多座配位構造をとりうる官能基、金属を包接可能な官能基、及び、結晶水として金属が保持される溶剤と相互作用する官能基からなる群から選択されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
  7. 前記(A)金属と相互作用を形成しうる官能基を有する硬化性化合物が、下記式(1)で表されるユニット、及び、下記式(2)で表されるユニットを含む共重合体であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
    Figure 2009144139

    [式(1)及び式(2)中、R〜Rは、夫々独立して、水素原子、又は置換若しくは無置換のアルキル基を表し、X、Y及びZは、夫々独立して、単結合、又は置換若しく無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、L及びLは、夫々独立して、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。]
  8. 前記(A)金属と相互作用を形成しうる官能基を有する硬化性化合物の重量平均分子量が、2000以上50万以下であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
  9. エネルギー付与により硬化しうることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
  10. フィルム基材の片面もしくは両面に請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の接着剤組成物からなる接着剤層を形成してなる接着剤フィルム。
  11. 前記接着剤層の表面に、さらに保護層を有する請求項10記載の接着剤フィルム。
  12. 請求項10又は請求項11記載の接着剤フィルムを用いてなるフレキシブルプリント配線板用カバーレイ。
  13. 請求項10又は請求項11記載の接着剤フィルムを用いてなるフレキシブルプリント配線板用補強フィルム。
  14. フィルム基材の片面もしくは両面に請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の接着剤組成物からなる接着剤層と銅箔とを順次積層してなるフレキシブル銅張積層板。
  15. 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の接着剤からなる接着剤層、請求項10又は請求項11記載の接着剤フィルム、請求項12記載のフレキシブルプリント配線板用カバーレイ、及び、請求項13記載のフレキシブルプリント配線板用保護フィルムの少なくとも1つを備えるフレキシブルプリント配線板。
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