JP2009143876A - 遺伝子導入剤及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】遺伝子導入活性が高く、また細胞外へ排出され易い遺伝子導入剤を提供する。
【解決手段】鎖状部を有するポリマー材料よりなる遺伝子導入剤の製造方法において、該鎖状部は、カチオン性ポリマーブロックとアニオン性ポリマーブロックとを有しており、カチオン性モノマーと、アニオン性モノマーの低級アルキルエステルをブロック共重合する重合工程と、得られたブロック共重合体の低級アルキルエステル部分を電解質不含の水溶液中で加水分解することにより低級アルキルエステルのポリマーブロックをアニオン性ポリマーブロックとする工程と、を有することを特徴とする遺伝子導入剤の製造方法。この方法で製造された遺伝子導入剤。
【選択図】図1

Description

本発明は、遺伝子導入剤の製造方法と、この方法で製造された遺伝子導入剤とに関する。
近年、ヒト疾患の分子遺伝学的要因が明らかになるにつれ、遺伝子治療研究がますます重要視されている。遺伝子治療法は標的とする部位でのDNAの発現を目的としており、いかにDNAを標的部位に到達させるか、いかにDNAを標的部位に効率的に導入し、当該部位で機能的に発現させるかということが重要となる。外来DNAの導入のためのベクターとして、レトロウイルス、アデノウイルス又はヘルペスウイルスを含む多くのウイルスが、治療用遺伝子を運搬するように改変されて、遺伝子治療のヒトの臨床試験に使用されている。しかし感染及び免疫反応の危険性は依然として残されている。
DNAを細胞中に運搬するための非ウイルス系ベクター(遺伝子導入剤)として、カチオン性のスター型ポリマーがWO2004/092388及び特開2007−70579に記載されている。
蓄積したベクターは補体C3aを活性化させ、免疫活性化、毒性、発ガンなどの要因になる可能性がある。また、In Vitroでも細胞内への残留は細胞機能に変化をきたす可能性がある。このため、遺伝子治療を目指す場合には、生体内へのベクターの蓄積を防ぐ必要があるが、上記のスター型ポリマーは、分子量が大きいため、細胞内への蓄積や、代謝性が低いことが懸念される。
本出願人らは特願2007−114339号に、スター型ポリマーを光架橋することで遺伝子導入効率を非架橋体の数倍に向上させることができることを記載している。ただし、光架橋されたスター型ポリマーは高分子量化され、かつ、この架橋結合は不可逆的なものであり、遺伝子導入効率の向上と同時に細胞内、生体内への蓄積の可能性を合わせ持つものであった。
WO2004/092388 特開2007−70579 特願2007−114339
本発明は、遺伝子導入活性が高く、また細胞外へ排除され易い遺伝子導入剤と、その製造方法を提供することを目的とする。
本発明(請求項1)の遺伝子導入剤の製造方法は、鎖状部を有するポリマー材料よりなる遺伝子導入剤の製造方法において、該鎖状部は、カチオン性ポリマーブロックとアニオン性ポリマーブロックとを有しており、カチオン性モノマーと、アニオン性モノマーの低級アルキルエステルをブロック共重合する重合工程と、得られたブロック共重合体の低級アルキルエステル部分を電解質不含の水溶液中で加水分解することにより低級アルキルエステルのポリマーブロックをアニオン性ポリマーブロックとする工程と、を有することを特徴とする。
請求項2の遺伝子導入剤の製造方法は、請求項1において、前記アニオン性モノマーの低級アルキルエステルが、芳香族カルボン酸の低級アルキルエステルであることを特徴とする。
請求項3の遺伝子導入剤の製造方法は、請求項2において、前記芳香族カルボン酸の低級アルキルエステルが4−ビニル安息香酸の低級アルキルエステルであることを特徴とする。
請求項4の遺伝子導入剤の製造方法は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記低級アルキルエステルのアルキル基が炭素数1〜8のアルキル基であることを特徴とする。
請求項5の遺伝子導入剤の製造方法は、請求項1ないし4のいずれか1項において、カチオン性モノマーがアクリル系モノマーであることを特徴とする。
請求項6の遺伝子導入剤の製造方法は、請求項5において、アクリル系モノマーが3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドであることを特徴とする。
請求項7の遺伝子導入剤の製造方法は、請求項1ないし6のいずれか1項において、前記重合工程において、N,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物をイニファターとし、該イニファターに前記カチオン性モノマーとアニオン性モノマーの低級アルキルエステルとを光照射リビング重合させることを特徴とする。
請求項8の遺伝子導入剤の製造方法は、請求項7において、N,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物は、ベンゼン環を核とし、この核に分岐鎖として3個以上の該N,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル基が結合していることを特徴とする。
請求項9の遺伝子導入剤の製造方法は、請求項7又は8において、前記重合工程において、イニファターにカチオン性モノマーを反応させた後、アニオン性モノマーの低級アルキルエステルを反応させることを特徴とする。
本発明(請求項10)の遺伝子導入剤は、請求項1ないし9のいずれか1項の方法により製造されたものである。
請求項11の遺伝子導入剤は、請求項10において、カチオン性ポリマーブロックの重合度が50〜1,000であり、アニオン性ポリマーブロックの重合度が5〜500であり、カチオン性ポリマーブロックの重合度がアニオン性ポリマーブロックの重合度の2〜100倍であることを特徴とする。
なお、本発明でいうポリマーとは、モノマーの2量体などのオリゴマーも包含するものとする。
本発明によって提供される遺伝子導入剤は、カチオン性ポリマーブロックとアニオン性ポリマーブロックとを有するため、これらのブロックがイオン結合することによって分子間架橋されたものとなって高分子量化する。
しかし、この高分子量の架橋体により、高い遺伝子導入効率で遺伝子を導入することができる。しかも、この高分子量の架橋体は、強酸性のエンドソーム内でイオン結合が解離することによって、導入した遺伝子の拡散を促進できる上に、それ自体が低分子量化し、細胞外へ容易に排除されるものとなる。
すなわち、本発明の遺伝子導入剤は、DNAとの混合時、細胞への作用時である生理的pHにおいては、イオン結合による分子間架橋を維持しているが、細胞内へ取り込まれた後、強酸性のエンドソーム内ではこの分子間結合は容易に解離し、架橋前の低分子量体に戻ることができる。しかして、この分子間架橋とその解離は可逆的に起こる。
特に、アニオン性モノマーの低級アルキルエステルとして、4−ビニル安息香酸等の芳香族カルボン酸の低級アルキルエステルを用いると、製造された遺伝子導入剤のアニオン性ポリマーブロック鎖がpKa=1〜6程度の酸性官能基(カルボキシル基)を側鎖に有するものとなり、強酸性のエンドソーム内で疎水変性し、エンドソームからの脱出効率の向上をも期待することができる。
なお、本発明者らは、カチオン性モノマーのポリマーブロックに対しアニオン性モノマーを直接的に重合させてアニオン性ポリマーブロックを生成させること、及びアニオン性モノマーのポリマーブロックに対しカチオン性モノマーを直接的に重合させてアニオン性ポリマーブロックを生成させることをそれぞれ試みたが、この方法では、モノマーがカウンターイオン性ポリマーブロックに結合してしまい、反応の制御が難しいことを知見した。
本発明では、低級アルキルエステル化したアニオン性モノマーを用いて重合を行い、その後、このブロック共重合体のエステル部分を電解質不含有の水溶液中で加水分解することにより、この問題を解決した。即ち、加水分解で生成するカルボキシル基等の酸性官能基のカウンターイオンがない状態で加水分解する。この加水分解により生成するカチオン性ポリマーブロック/アニオン性ポリマーブロック共重合体は前述の如く、イオン結合性に分子間架橋する。
本発明においては、カチオン性ポリマーとしては3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドが好適である。これを重合させたカチオン性ポリマーブロックの側鎖はpKaが高く、この共重合体を含む溶液自体が強アルカリになる。そのため、上記のようにして重合させたカチオン性ポリマーブロックとアニオン性ポリマーブロックとの共重合体を無触媒で加水分解することが可能となる。
以下に本発明の遺伝子導入剤及びその製造方法の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の遺伝子導入剤の製造方法は、鎖状部を有するポリマー材料よりなる遺伝子導入剤の製造方法において、該鎖状部は、カチオン性ポリマーブロックとアニオン性ポリマーブロックとを有しており、カチオン性モノマーと、アニオン性モノマーの低級アルキルエステルをブロック共重合する重合工程と、得られたブロック共重合体の低級アルキルエステル部分を電解質不含の水溶液中で加水分解することにより低級アルキルエステルのポリマーブロックをアニオン性ポリマーブロックとする工程と、を有するものである。
このポリマー材料は、分岐鎖を有したものが好適であり、特に、N,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物をイニファターとし、これにカチオン性モノマーとアニオン性モノマーの低級アルキルエステルとを光照射リビング重合させることが好ましい。
なお、本明細書において、イニファターとは、光照射によりラジカルを発生させる重合開始剤、連鎖移動剤としての機能と共に、成長末端と結合して成長を停止する機能、さらに光照射が停止すると重合を停止させる重合開始・重合停止剤として機能する分子のことである。
イニファターとなるN,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物としては、ベンゼン環に該N,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル基が3個以上分岐鎖として結合しているものが好適であり、具体的には次が例示される。即ち、3分岐鎖化合物としては、1,3,5−トリ(ブロモメチル)ベンゼンとN,N−ジアルキルジチオカルバミン酸ナトリウム(ナトリウムN,N−ジアルキルジチオカルバメート)とをエタノール中で付加反応させて得られる1,3,5−トリ(N,N−ジアルキルジチオカルバミルメチル)ベンゼンであり、4分岐鎖化合物としては、1,2,4,5−テトラキス(ブロモメチル)ベンゼンとN,N−ジアルキルジチオカルバミン酸ナトリウム(ナトリウムN,N−ジアルキルジチオカルバメート)とをエタノール中で付加反応させて得られる1,2,4,5−テトラキス(N,N−ジアルキルジチオカルバミルメチル)ベンゼンであり、6分岐鎖化合物としては、ヘキサキス(ブロモメチル)ベンゼンとN,N−ジアルキルジチオカルバミン酸ナトリウム(ナトリウムN,N−ジアルキルジチオカルバメート)とをエタノール中で付加反応させて得られるヘキサキス(N,N−ジアルキルジチオカルバミルメチル)ベンゼンが挙げられる。なお、ここで、N,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル基に含まれるジアルキル部分のアルキル基としては、エチル基等の炭素数2〜18個のアルキル基が好ましいが、フェニル基など芳香族系の炭化水素基であっても構わない。
なお、以下においては、イニファターとして上述のような分岐鎖を有するものを用いて光照射リビング重合を行う場合を例示して、本発明の遺伝子導入剤の製造方法を説明するが、本発明は何らこの方法に限定されるものではない。
上記のイニファターは、アルコール等の極性溶媒に対しては殆ど不溶であるが、非極性溶媒には易溶である。この非極性溶媒としては炭化水素、ハロゲン化炭化水素が好適であり、特に、ベンゼン、トルエン、クロロホルム又は塩化メチレン、中でも特にトルエンが好適である。
このイニファターに重合させるカチオン性モノマーとしては、アクリル酸誘導体、スチレン誘導体等のビニル系モノマーが好適であり、特に、耐加水分解性に優れることから、3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドCH=CHCONHCN(CHが好ましい。
アニオン性モノマーの低級アルキルエステルとしては、芳香族カルボン酸の低級アルキルエステルが好適であり、特に4−ビニル安息香酸(4−メトキシカルボニルスチレン)又は3,4−ジメトキシカルボニルスチレンなどのビニルベンゼンカルボン酸と低級アルキルとのエステルが好適である。なお、ビニルベンゼンカルボン酸はその他の置換基を有していてもよい。また、低級アルキルエステルのアルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基、特にメチル基及びエチル基が好適である。
本発明の一態様では、前述のイニファターに対し、まずカチオン性モノマーを重合させてカチオン性ポリマーブロックを有するポリマー材料を得、これにアニオン性モノマーの低級アルキルエステルをブロック共重合させる。
イニファターと上記カチオン性モノマーとを反応させるには、イニファター及びカチオン性モノマーを含んでなる原料溶液を調製し、これに光照射することによって、イニファターに対しカチオン性モノマーが結合した反応生成物を生成させる。この溶液の溶媒としては、アルカン、アルケン、アロマチック、ハロゲン化炭化水素が好適であり、具体的にはベンゼン、トルエン、クロロホルム、四塩化炭素又は塩化メチレンが挙げられ、中でもトルエン又はクロロホルムが好適である。
カチオン性モノマーの該原料溶液中の濃度は0.5M以上、例えば0.5〜2.5Mが好適である。イニファターの濃度は0.1〜100mM程度が好適である。
照射する光の波長は300〜400nmが好適であり、例えば低圧水銀灯や高圧水銀灯などを用いることができる。光の照射時間は照射強度にも依存するが、1〜60分程度が好適であり、1μW/cm〜10mW/cm程度の低い照射強度で1分〜30分程度が特に好適である。
なお、この光照射工程(第1の光照射工程)の後にさらに第2の光照射工程を行ってもよい。すなわち、この反応生成物を含む溶液をアルコール、好ましくは上記カチオン性モノマーのアルコール溶液で希釈する。このアルコールとしてはメタノール又はエタノール、特にメタノールが好適である。アルコール溶液中のカチオン性モノマー濃度としては、終濃度として、100mM〜5M程度が好適である。
上記第1の光照射工程からの反応生成物含有液1体積部に対し、このアルコール溶液5〜500体積部を添加するのが好ましい。
このようにアルコール溶液で希釈した希釈液を、第2の光照射工程に供し、上記反応生成物に対しさらに上記カチオン性モノマーを重合させる。この際の照射光源としては240〜400nmの波長の光を含むものであればよく、例えば低圧水銀灯や高圧水銀灯などを用いることができる。光照射時間は10分〜120分程度が好適である。
この光照射により、反応液中に分岐型重合体が生成するので、必要に応じ精製して分岐型重合体よりなるカチオン性分岐型重合体(ホモポリマー)を得る。
このカチオン性分岐型重合体の分子量は分岐鎖の鎖数にもよるが、2,000〜500,000、特に2,000〜150,000、とりわけ2,000〜100,000程度が好ましい。
次いで、このようにして生成した分岐型重合体よりなるカチオン性分岐型重合体に対し、アニオン性モノマーの低級アルキルエステルをブロック共重合させてカチオン性ポリマーブロック及びアニオン性モノマーの低級アルキルエステルポリマーブロックを有した分岐型重合体とする。
アニオン性モノマーの低級アルキルエステルをブロック共重合させるには、上記のようにして合成したカチオン性分岐型重合体(ホモポリマー)をメタノール等の溶媒に溶解させ、これにアニオン性モノマーの低級アルキルを混合し、光を照射して重合させればよい。この重合反応を開始する際の溶液中におけるカチオン性分岐型重合体の濃度は0.01〜10重量%程度が好適であり、アニオン性モノマーの低級アルキルエステルの濃度は0.3〜30重量%程度が好適である。光の照射条件は、光波長250〜400nm、照射時間1〜150分、照射強度100〜10,000μW/cm程度が好適である。
本発明の別の一態様では、上記イニファターに対し、まずアニオン性モノマーの低級アルキルエステルを重合させて低級アルキルエステルの分岐型重合体を形成し、その後、この分岐型重合体に上記カチオン性モノマーをブロック共重合させてもよい。
このようにして合成した、カチオン性ポリマーブロック及びアニオン性モノマーの低級アルキルエステルのポリマーブロックを有した分岐型重合体のエステル部分を電解質不含の水溶液中で加水分解することにより、低級アルキルエステルのポリマーブロックをアニオン性ポリマーブロックとする。
ここで、電解質不含の水溶液とは、この分岐型重合体のみを水に溶解させたものをいう。ただし、この水溶液はメタノールなど非イオン性の溶媒を含有しても構わない。
この加水分解で、エステルが分解して生成したアルコールは、低級アルキルアルコールであるため、得られた分岐型重合体の凍結乾燥時に蒸発して除去される。
このようにして得られる遺伝子導入剤としての分岐型重合体の分子量は分岐鎖の鎖数にもよるが、3,000〜600,000、特に3,000〜150,000程度であることが好ましい。
また、この分岐型重合体は、カチオン性ポリマーブロックの重合度が50〜1,000であり、アニオン性ポリマーブロックの重合度が5〜500であり、カチオン性ポリマーブロックの重合度がアニオン性ポリマーブロックの重合度の2〜100倍であることが好ましい。このように、カチオン性ポリマーブロックの重合度がアニオン性ポリマーブロックの重合度よりも大きいことによって、核酸保持部としてのカチオン性ポリマーブロックと、アニオン性ポリマーブロックとのイオン結合による分子間架橋に使われるカチオン性ポリマーブロックとを機能させることができるようになる。
本発明によって製造される遺伝子導入剤は、カチオン性ポリマーブロックと、低級アルキルエステルの加水分解によって生成した酸性官能基を側鎖に有するアニオン性ポリマーブロックとを有する。このカチオン性ポリマーブロックとアニオン性ポリマーブロックはイオン結合によって可逆的に架橋・解離する。
このようにして生成したカチオン性ポリマーブロック及びアニオン性ポリマーブロックを有した遺伝子導入剤(ベクター)が核酸を核酸含有複合体として包囲することによって、生体内の酵素による核酸の失活、分解を抑制することができる。
この遺伝子導入剤は、強酸性のエンドソーム内でカチオン性ポリマーブロックとアニオン性ポリマーブロックとのイオン結合の破壊によって解離して、イオン複合体からの遺伝子を拡散を促進できるほか、それ自体の低分子量化が進み、細胞外への排除が容易に行われる。すなわち、DNAとの混合時、細胞への作用時である生理的pHにおいては、イオン結合による分子間架橋を維持しているが、細胞内へ取り込まれた後、強酸性のエンドソーム内ではこのイオン結合による分子間結合は容易に解離し、架橋前の分岐型重合体へ可逆的に戻ることができる。
なお、アニオン性ポリマーブロック鎖がpKa=1〜6程度のカルボキシル基などの酸性官能基を側鎖に有するものである場合、強酸性のエンドソーム内で疎水変性し、エンドソームからの脱出効率の向上をも期待することができる。
本発明のベクター(遺伝子導入剤)と核酸とを複合させるには、このベクターの濃度1〜1000μg/mL程度の分散液に対し、常温にて核酸を添加し、混合すればよい。核酸に対してベクターを過剰量添加し、ベクターを核酸に対し飽和状態に核酸含有複合体として複合化させるのが好ましい。
核酸の好ましい例としては、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子(HSV1−TK遺伝子),p53癌抑制遺伝子及びBRCA1癌抑制遺伝子やサイトカイン遺伝子としてTNF−α遺伝子,IL−2遺伝子,IL−4遺伝子,HLA−B7/IL−2遺伝子,HLA−B7/B2M遺伝子,IL−7遺伝子,GM−CSF遺伝子,IFN−γ遺伝子及びIL−12遺伝子などのサイトカイン遺伝子並びにgp−100,MART−1及びMAGE−1などの癌抗原ペプチド遺伝子が癌治療に利用できる。
また、VEGF遺伝子,HGF遺伝子及びFGF遺伝子などのサイトカイン遺伝子並びにc−mycアンチセンス,c−mybアンチセンス,cdc2キナーゼアンチセンス,PCNAアンチセンス,E2Fデコイやp21(sdi−1)遺伝子が血管治療に利用できる。また、上記のようなDNAの導入、遺伝子発現のみならず、細胞内のmRNAを破壊するRNA干渉をsiRNAの導入で行うことも可能である。かかる一連の遺伝子は当業者には良く知られたものである。
核酸含有複合体の粒径は50〜400nm程度が好適である。これよりも小さいと、核酸含有複合体内部の核酸にまで酵素の作用が及ぶおそれ、あるいは腎臓にて濾過排出されるおそれがある。また、これよりも大きいと、細胞に導入されにくくなるおそれがある。
核酸は、細胞に導入されることによりその細胞内で機能を発現することができるような形態で用いる。例えばDNAの場合、導入された細胞内で当該DNAが転写され、それにコードされるポリペプチドの産生を経て機能発現されるように当該DNAが配置されたプラスミドとして用いる。好ましくは、プロモーター領域、開始コドン、所望の機能を有する蛋白質をコードするDNA、終止コドンおよびターミネーター領域が連続的に配列されている。
所望により2種以上の核酸をひとつのプラスミドに含めることも可能である。
本発明において、核酸を導入する対象として望ましい「細胞」としては、当該核酸の機能発現が求められるものであり、このような細胞としては、例えば使用する核酸(すなわちその機能)に応じて種々選択され、例えば心筋細胞、平滑筋細胞、繊維芽細胞、骨格筋細胞、血管内皮細胞、骨髄細胞、骨細胞、血球幹細胞、血球細胞等が挙げられる。また、単球、樹状細胞、マクロファージ、組織球、クッパー細胞、破骨細胞、滑膜A細胞、小膠細胞、ランゲルハンス細胞、類上皮細胞、多核巨細胞等、消化管上皮細胞・尿細管上皮細胞などである。
本発明のベクターを用いた核酸含有複合体は任意の方法で生体に投与することができる。
当該投与方法としては静脈内又は動脈内への注入が特に好ましいが、筋肉内、脂肪組織内、皮下、皮内、リンパ管内、リンパ節内、体腔(心膜腔、胸腔、腹腔、脳脊髄腔等)内、骨髄内への投与の他に病変組織内に直接投与することも可能である。
この核酸含有複合体を有効成分とする医薬は、更に必要に応じて製剤上許容し得る担体(浸透圧調整剤,安定化剤、保存剤、可溶化剤、pH調整剤、増粘剤等)と混合することが可能である。これら担体は公知のものが使用できる。
また、この核酸含有複合体を有効成分とする医薬は、含まれる核酸の種類が異なる2種以上の核酸含有複合体を含めたものも包含される。このような複数の治療目的を併せ持つ医薬は、多様化する遺伝子治療の分野で特に有用である。
投与量としては、動物、特にヒトに投与される用量は目的の核酸、投与方法および治療される特定部位等、種々の要因によって変化する。しかしながら、その投与量は治療的応答をもたらすに十分であるべきである。
この核酸含有複合体は、好ましくは遺伝子治療に適用される。適用可能な疾患としては、当該複合体に含められる核酸の種類によって異なるが、末梢動脈疾患、冠動脈疾患、動脈拡張術後再狭窄等の病変を生じる循環器領域での疾患に加え、癌(悪性黒色腫、脳腫瘍、転移性悪性腫瘍、乳癌等)、感染症(HIV等)、単一遺伝病(嚢胞性線維症、慢性肉芽腫、α1−アンチトリプシン欠損症、Gaucher病等)等が挙げられる。
また、この核酸を複合した遺伝子導入剤の水溶液を基材に塗布などにより付着させ、必要に応じ乾燥させることにより、核酸を担持したポリマーのコーティング等が形成される。
上記の核酸複合遺伝子導入剤を基材に付着させる場合、基材としてはシート状のものが好適である。このシート状基材の厚さは0.05〜10mm程度であることが好ましく、シート面の大きさは、方形の場合、一辺が1〜20mmであり他辺が1〜20mmであり、円形又は楕円形の場合、径は1〜20mm程度が好ましい。基材の材料としては、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、シリコン樹脂、フッ素樹脂などの合成樹脂が好適である。この基材は多孔質であってもよい。
この基材に対する核酸複合遺伝子導入剤の付着量は、基材表面1cm当り0.001〜10mg程度が好ましい。
核酸複合遺伝子導入剤を担持させた基材よりなる遺伝子導入材料は、皮下組織、心筋組織、病変組織、病変血管を包囲するようにシート状基材を配置したり、カバードステントのフィルムへ塗布することによって生体内に配置したり、生体外面に粘着テープを用いて貼り付けたりするようにして用いられる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
実施例1
i)イニファターの合成
下記反応式に従って、イニファターとしての1,2,4,5−テトラキス(N−Nジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼンを次のようにして合成した。
1,2,4,5−テトラキス(ブロモメチルベンゼン)5.0gとN,N−ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム34.0gをエタノール100mL中へ加え、遮光下で室温で4日間攪拌した。沈殿物を濾過し、3リットルのメタノールへ投入して30分間攪拌して濾過した。この操作を繰り返して合計4回行った。沈殿物をトルエン200mLへ溶解した後、100mLのメタノールを加えて50℃に加温し、冷蔵庫中で15時間保管して再結晶させ、結晶を濾別後に大量のメタノールで洗浄した。結晶を室温で減圧乾燥して、白色の1,2,4,5−テトラキス(N,N−ジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼンの針状結晶を得た(収率90%)。高速液体クロマトグラフィーにより、原料ピークが消失し、精製物が単一物質であることを確認した。
H NMR(in CDCl)の測定結果はδ1.26−1.31ppm(t,24H,CHCH),δ3.69−3.77ppm(q,8H,N(CHCH),δ3.99−4.07ppm(q,8H,N(CHCH),δ4.57ppm(s,8H,Ar−CH),δ7.49ppm(s,2H,Ar−H)となった。
Figure 2009143876
ii)カチオン性モノマーのブロック共重合
下記反応式に従い、高い耐加水分解性を有するポリマー(モノマー)として周知の3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドをカチオン性モノマーとして用い、1,2,4,5−テトラキス[(N,N−ジエチルジチオカルバミル)ポリ(3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)−メチル]ベンゼン(以下、pDMAPAAmと記載することがある。)よりなるカチオン性ホモポリマーの合成を行った。
即ち、上記i)により合成した1,2,4,5−テトラキス(N,N−ジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼン45.6mgを20mLのトルエンへ溶解し、3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(以下、3−N,N−DMAPAAmと記載することがある。)3.9gを加えて混合し、全量をトルエンで50mLに調整した。3mm厚軟質ガラスセル中で激しく攪拌しながら高純度窒素ガスで5分間パージした後に、300Wショートアークキセノンランプ(朝日分光社製、MAX−301)で250nm〜400nmの混合紫外線を30分間照射した。照射強度はウシオ電機社のUIT−150にUVD−C405(検出波長範囲320nm〜470nm)を装着して2.5mW/cmに調整した。重合溶液をエバポレーターで濃縮し、ジエチルエーテルで重合物を再沈殿させ、クロロホルム/ジエチルエーテル系で3回再沈殿を繰り返して精製し、エーテルを蒸散させた後に少量の水へ溶解し、0.2μmフィルターで濾過してから凍結乾燥させて4分岐型スター型ホモポリマーpDMAPAAmよりなるカチオン性ホモポリマーを得た(重合率40%)。このものの分子量はGPCにより32,000(Mw/Mn=1.3)と測定された。
H NMR(in DO)の測定結果は、δ1.5−1.8ppm(br,2H,−CHCHCH−),δ2.1−2.2ppm(br,6H,N−CH),δ2.2−2.4ppm(br,2H,CH−N),δ3.0−3.4ppm(br,2H,NH−CH),δ7.4−7.8ppm(br,1H,−NH−)となった。
Figure 2009143876
iii)4−ビニル安息香酸のメチルエステル化
非水系にて4−ビニル安息香酸5.0gをガスクロマトグラフィー用エステル化剤(関東化学、10%塩酸メタノール溶液)50mLへ溶解し、6時間攪拌した。ピリジンで中和後、エボポレーターで濃縮して得られたワックスをジエチルエーテル100mLへ溶解した。このエーテル溶液を50mLの水で5回洗浄し、硫酸マグネシウムで24時間乾燥させた。エーテルを留去して白色の非晶性固体よりなる4−ビニル安息香酸メチルエステル(4−メトキシカルボニルスチレン)を得た。
H−NMR(in CDCl)の測定結果はδ3.6ppm(s,3H,CH),δ5.10−5.15ppm(d,1H,CH=CH),δ5.62−5.69ppm(d,1H,CH=CH),δ6.48−6.58ppm(dd,1H,CH=CH),δ7.24−7.28ppm(d,2H,Ar−H)、δ7.68−7.72ppm(d,2H,Ar−H)となった。
iv)4−ビニル安息香酸メチルエステルのブロック共重合
下記反応式に従い、1,2,4,5−テトラキス[(N,N−ジエチルジチオカルバミル)−ポリ(4−メトキシカルボニルスチレン)−ブロック−ポリ(3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)−メチル]ベンゼン(以下、pDMAPAAm−b−pMCSと記載することがある。)の合成を行った。即ち、上記ii)で合成した4分岐型pDMAPAAmホモポリマー1.0g及び上記iii)で合成した4−ビニル安息香酸メチル0.8gを約30mLのメタノールへ溶解した。ガラス容器中で激しく攪拌しながら高純度窒素ガスで5分間パージした後に、ii)と同様の手法で光照射重合を行い、クロロホルム/ジエチルエーテル系で3回再沈殿処理を行い、テトラキス{N,N−ジエチルジチオカルバミル−ポリ(4−メトキシカルボニルスチレン)−ブロック−ポリ(3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)−メチル}ベンゼン(4分岐型pDMAPAAm−pMCSブロックポリマー)を得た(重合率38%)。このものの分子量はGPCにより44,000(Mw/Mn=1.3)と測定された。以上より、4分岐型ポリマーのポリマー鎖に50個モノマー単位からなる3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのポリマーブロックと、19個モノマー単位からなる4−ビニル安息香酸メチルのポリマーブロックが導入された4分岐型pDMAPAAm−pMCSブロックポリマーが合成されたことが確認された。
Figure 2009143876
v)4分岐型pDMAPAAm−b−pMCSの加水分解処理による4分岐型ポリカチオン/ポリアニオンブロック共重合体の合成
iv)で合成した4分岐型pDMAPAAm−pMCSブロックポリマーを水に溶解した。溶液のpHは約9を呈し、カチオン性ポリマーブロックの側鎖の3−N,N−ジメチルアミノ基に由来するアルカリ性雰囲気となっていることが分かった。従って、常法で用いられる水酸化ナトリウムや塩酸などの加水分解触媒を使用しなくともポリマー自体がアルカリ触媒として機能することが分かる。前記ポリマー溶液を滅菌瓶に移して121℃で40分間高圧蒸気滅菌処理を行った。放冷後、滅菌瓶中には不溶性のゲルが生成し、溶液のpHは約8まで低下した。これは、ポリエステルポリマー鎖ブロックから生成したカルボキシル基による酸塩基中和反応によるpH低下と考えられる。また、不溶性のゲルは強く攪拌することで再溶解したため、4−メトキシカルボニルスチレン側鎖の加水分解により生成したポリアニオン鎖とポリカチオン鎖とのイオン結合による可逆性な架橋によって高分子量化されて水への溶解性を失った結果生じるゲルであると推測される。加水分解物のNMRからはδ3.6ppmのメチルエステルのメチル基に由来するピークが消滅し、かつ、カチオン性ブロック鎖の主鎖及び側鎖に由来するピークには積分比に変化はなく、高圧蒸気滅菌処理によって、エステルブロック鎖の安息香酸メチルが選択的に加水分解されたことが分かる。
前述の如く、本発明者は、特願2007−114339号において、ベンゼン環から放射状にポリマー鎖が伸延する分岐型ポリマーの不可逆的架橋体を遺伝子導入剤として使用することで高活性な遺伝子発現が達成できることを発明している。本発明の可逆的な架橋体はこの効果を発現しつつ、かつ、可逆性に分解することで細胞からの代謝・排泄に有利なものである。また、本発明に係るアニオン性ポリマーブロック鎖の側鎖である安息香酸部分は酸性雰囲気であるエンドソーム内でH型となり、疎水性となることで、細胞膜透過に有利に機能するものである。
vi)遺伝子導入実験
細胞にはアフリカミドリサル腎細胞の由来のCOS-1を使用し、DNAにはpGL3コントロールベクターを使用した。COS-1細胞は細胞数を4万個/mLに調整して24Well培養皿へ播種し、培養24時間後に遺伝子導入を行った。
上記v)にて合成した4分岐型ポリカチオン/ポリアニオンブロック共重合体の加水分解物の架橋体を遺伝子導入剤として使用した。遺伝子導入剤中の単位重量あたりの陽電荷数は共重合体中のアニオン性ブロック鎖とカチオン性ブロック鎖の各ブロックユニット数から計算して求めた。DNA中の単位重量あたりの陰電荷数は配列マップによる塩基対数と核酸塩基の平均的分子量660とから計算した。
この遺伝子導入剤をDNAと150μLのOPTI−MEM中で30分間インキュベートした。混合比は電荷数の関係が陽電荷数が陰電荷数の5倍となるように調整し、0.5μgのDNAが各Wellへ投与されるように溶液を調整し、培養細胞へ加えた。トランスフェクションの48時間後にルシフェラーゼアッセにより遺伝子導入活性の評価を行った(プロメガ社、アッセイキット試薬)。補正はタンパク濃度で行い、タンパク定量はBioRad社のBradford試薬で行った。結果を図1に示す。
比較例1
実施例1のii)で合成した4分岐型スター型カチオン性ホモポリマーを遺伝子導入剤として使用する以外はすべて実施例1に準拠して遺伝子導入活性を評価した。結果を図1に示す。
比較例2
下記のように合成したカチオン性ホモポリマーへの4−アセチルアミノスチレンのブロック共重合によるポリマー材料(4分岐型pDMAPAAm−b−pAASt)を遺伝子導入剤として使用する以外はすべて実施例1に準拠して遺伝子導入活性を評価した。側鎖の分子サイズとしてほぼ同一の化合物であるアセチルアミノスチレンをブロック導入し、実施例1のブロック共重合体加水分解物の架橋体と遺伝子導入剤としての機能を比較した。結果を図1に示す。
ここで用いたアセチルアミノスチレンは加水分解後にカチオン性のポリマーブロックを形成するため、ポリマーブロック間のイオン結合による可逆性架橋を形成し得ないことが、本発明に係る遺伝子導入剤と相違する。
1,2,4,5−テトラキス[(N,N−ジエチルジチオカルバミル)−ポリ(4−アセチルアミノスチレン)−ブロック−ポリ(3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)−メチル]ベンゼン(以下、pDMAPAAm−b−pAAStと記すことがある。)の合成を行った。
即ち、実施例1のii)で合成した4分岐型pDMAPAAmホモポリマー1.0g及び4−アセチルアミノスチレン2.4グラムを約30mLのメタノールへ溶解した。ガラス容器中で激しく攪拌しながら高純度窒素ガスで5分間パージした後に、実施例1のiv)と同様の手法で光照射重合を行い、クロロホルム/ジエチルエーテル系で3回再沈殿処理を行い、テトラキス{N,N−ジエチルジチオカルバミル−ポリ(4−アセチルアミノスチレン)−ブロック−ポリ(3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)−メチル}ベンゼン(4分岐型pDMAPAAm−pAAStブロックポリマー)を得た(重合率38%)。分子量はGPCにより45,000(Mw/Mn=1.5)と測定された。以上より、4分岐型ポリマーのポリマー鎖に50個モノマー単位からなる3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのポリマーブロックと、20個モノマー単位からなる4−アセチルアミノスチレンのポリマーブロックが導入された4分岐型pDMAPAAm−pAAStブロックポリマーが合成されたことが確認された。
図1より、本発明の遺伝子導入剤であれば、著しく高い遺伝子導入活性が得られることが分かる。
実施例1及び比較例1,2の結果を示すグラフである。

Claims (11)

  1. 鎖状部を有するポリマー材料よりなる遺伝子導入剤の製造方法において、
    該鎖状部は、カチオン性ポリマーブロックとアニオン性ポリマーブロックとを有しており、
    カチオン性モノマーと、アニオン性モノマーの低級アルキルエステルをブロック共重合する重合工程と、
    得られたブロック共重合体の低級アルキルエステル部分を電解質不含の水溶液中で加水分解することにより低級アルキルエステルのポリマーブロックをアニオン性ポリマーブロックとする工程と、
    を有することを特徴とする遺伝子導入剤の製造方法。
  2. 請求項1において、前記アニオン性モノマーの低級アルキルエステルが、芳香族カルボン酸の低級アルキルエステルであることを特徴とする遺伝子導入剤の製造方法。
  3. 請求項2において、前記芳香族カルボン酸の低級アルキルエステルが4−ビニル安息香酸の低級アルキルエステルであることを特徴とする遺伝子導入剤の製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記低級アルキルエステルのアルキル基が炭素数1〜8のアルキル基であることを特徴とする遺伝子導入剤の製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、カチオン性モノマーがアクリル系モノマーであることを特徴とする遺伝子導入剤の製造方法。
  6. 請求項5において、アクリル系モノマーが3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドであることを特徴とする遺伝子導入剤の製造方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、前記重合工程において、N,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物をイニファターとし、該イニファターに前記カチオン性モノマーとアニオン性モノマーの低級アルキルエステルとを光照射リビング重合させることを特徴とする遺伝子導入剤の製造方法。
  8. 請求項7において、N,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物は、ベンゼン環を核とし、この核に分岐鎖として3個以上の該N,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル基が結合していることを特徴とする遺伝子導入剤の製造方法。
  9. 請求項7又は8において、前記重合工程において、イニファターにカチオン性モノマーを反応させた後、アニオン性モノマーの低級アルキルエステルを反応させることを特徴とする遺伝子導入剤の製造方法。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項の方法により製造された遺伝子導入剤。
  11. 請求項10において、カチオン性ポリマーブロックの重合度が50〜1,000であり、アニオン性ポリマーブロックの重合度が5〜500であり、カチオン性ポリマーブロックの重合度がアニオン性ポリマーブロックの重合度の2〜100倍であることを特徴とする遺伝子導入剤。
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