JP5268048B2 - 遺伝子導入剤及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、遺伝子導入剤及びその製造方法に関する。
安全性、品質安定性、製造コストに問題があるウイルスベクターに代わる遺伝子導入技術として、合成高分子ベクター、カチオン性脂質ベクターが研究開発されている。
本出願人らは、合成高分子ベクターとしてベンゼンなど芳香族環を核としてカチオン性ポリマー鎖が放射状に伸延する分岐構造のベクターがDNAを高密度で凝縮させて小さな核酸複合体微粒子を形成させ、効率良く細胞へ遺伝子導入できることを発明した(下記特許文献1)。この複合体微粒子が細胞膜を透過するメカニズムとしては、カチオン性ポリマー鎖による陽電荷が細胞膜表面の陰電荷と静電的に結合しエンドサイトーシスにより細胞内へ取り込まれる作用に大きく依存していると考えられる。
WO2004/092388
本発明は、遺伝子導入効率がさらに向上した遺伝子導入剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の遺伝子導入剤は、芳香族環を核とし、それから放射状に伸延したカチオン性の複数の分岐鎖を有する分岐型重合体を有する遺伝子導入剤であって、複数の該分岐型重合体同士が架橋した架橋体であって、該分岐型重合体は、ベンゼン環を核とし、この核に分岐鎖として3個以上のN,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル分子団が結合した化合物をイニファターとし、これに3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、及び/又は、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートであるビニル系モノマーを光照射リビング重合させた分岐型重合体であり、該分岐型重合体の分岐鎖同士が架橋している架橋体よりなることを特徴とするものである。
前記分岐型重合体同士は、このN,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル分子団を架橋することにより架橋体を構成するようになる。
のN,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル分子団は、分岐鎖の末端に位置しており、光照射又は加熱により、分岐型重合体同士を架橋させるものと考えられる。この場合、架橋点は分岐鎖の中間でも末端でも良く、また、ポリマーの主鎖、側鎖、主鎖末端のいずれでも良い。
本発明では、分岐鎖は、ビニル系モノマーのホモポリマーであってもよく、2種以上のモノマーのランダム又はブロック共重合体であってもよい。共重合する場合のモノマーは、3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアクリルアミド、メトキシエチル(メタ)アクリレート、N−イソプロピルアクリルアミド及びN−イソプロピルアクリルアミドの誘導体からなる群から選択することが好ましい。
なお、このN−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体のブロックは、温度感応性を有しており、所定温度よりも低い温度では親水性であり、水溶性であるため、遺伝子導入剤を水に溶解させて核酸と複合させることができ、この遺伝子導入剤は、所定温度よりも高い温度になると疎水性となる。
本発明の遺伝子導入剤の製造方法は、本発明の遺伝子導入剤を製造する方法であって、固体状態の該分岐型重合体を液状エーテルに浸漬させた状態で光照射することにより分岐型重合体同士を架橋させることを特徴とするものである。
この液状エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジエチルエーテル、ジオクチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ビス(メチルベンジル)エーテル、メチルブチルエーテル、ブチルヘキシルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、及びクラウンエーテルよりなる群から選択される1種以上が好ましい。
本発明の遺伝子導入剤は、ベンゼン環を核としてカチオン性分岐鎖が放射状に伸延する分岐型重合体同士を架橋させた架橋体よりなる合成高分子ベクターである。この遺伝子導入剤は、その構造上の利点により、DNAなどの核酸を高密度に凝縮することができる。この遺伝子導入剤は、分岐型重合体が複数個架橋したものであるため、1個の分岐型重合体よりなる遺伝子導入剤に比べてDNAなどの核酸をより広いネットワークで包蔵することができ、優れた遺伝子導入活性を示すようになる。なお、架橋に際し、1つの分岐型重合体の複数の分岐鎖同士も架橋することも考えられる。
本発明の遺伝子導入剤の製造方法は、固体状態の前記分岐型重合体を液状エーテルに浸漬させた状態で光照射することにより分岐型重合体同士を架橋させるものである。
この製造方法によれば、架橋反応の際に生成するジスルフェイド化合物を固相からエーテル中へ抽出除去することができるため、精度高く均質に架橋を行うことが可能となると考えられる。使用する液状エーテルは窒素ガスのバブリングで溶存酸素を追い出すことで、酸素分子によるラジカル捕捉反応を抑制し、さらに効率良く均質なポリマー架橋を行うことが可能となる。
本発明の遺伝子導入剤は、芳香族環から放射状に伸延した複数のカチオン性分岐鎖を有したスター形分岐型重合体を架橋した架橋体よりなる。
このスター形分岐型重合体としては、N,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル分子団を同一分子内に3個以上有する化合物をイニファターとし、これにビニル系モノマーを光照射リビング重合させた分岐型重合体が好適である。このN,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル分子団同士が結合することにより、スター形分岐型重合体同士が架橋する。この架橋に際し、同一のスター形分岐型重合体内の一部の分岐鎖同士も架橋することがある。
なお、本明細書において、イニファターとは、光照射によりラジカルを発生させる重合開始剤、連鎖移動剤としての機能と共に、成長末端と結合して成長を停止する機能、さらに光照射が停止すると重合を停止させる重合開始・重合停止剤として機能する分子のことである。
N,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル分子団を同一分子内に3個以上有する化合物は、ベンゼン環に該N,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル分子団が3個以上分岐鎖として結合しているものであり、具体的には次が例示される。即ち、3分岐鎖としては、1,3,5−トリ(ブロモメチル)ベンゼンとN,N−ジチオカルバミル酸ナトリウム(ナトリウムN,N−ジチオカルバメート)とをエタノール中で付加反応させて得られる1,3,5−トリ(N,N−ジチオカルバミルメチル)ベンゼンであり、4分岐鎖としては、1,2,4,5−テトラキス(ブロモメチル)ベンゼンとN,N−ジチオカルバミル酸ナトリウム(ナトリウムN,N−ジチオカルバメート)とをエタノール中で付加反応させて得られる1,2,4,5−テトラキス(N,N−ジチオカルバミルメチル)ベンゼンであり、6分岐鎖としては、ヘキサキス(ブロモメチル)ベンゼンとナトリウムN,N−ジチオカルバメートとをエタノール中で付加反応させて得られるヘキサキス(N,N−ジチオカルバミルメチル)ベンゼンである。
上記のイニファターは、アルコール等の極性溶媒に対しては殆ど不溶であるが、非極性溶媒には易溶である。この非極性溶媒としては炭化水素、ハロゲン化アルキル又はハロゲン化アルキレンが好適であり、特に、ベンゼン、トルエン、クロロホルム又は塩化メチレン特にトルエンが好適である。
このイニファターに重合させるモノマーとしては、ビニル系モノマー、アクリル酸誘導体、スチレン誘導体等、とりわけビニル系モノマーが好適であり、具体的には3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドCH=CHCONHCN(CH、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアクリルアミド、メトキシエチル(メタ)アクリレート、N−イソプロピルアクリルアミド及びN−イソプロピルアクリルアミドの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
イニファターと上記モノマーとを反応させるには、イニファター及びモノマーを含んでなる原料溶液を調製し、これに光照射することによって、イニファターに対しモノマーが結合した反応生成物を生成させる。
このモノマーの該原料溶液中の濃度は0.5M以上、例えば0.5M〜2.5Mが好適である。
イニファターの濃度は0.1〜100mM程度が好適である。
照射する光の波長は300〜400nmが好適である。光の照射時間は照射強度にも依存するが、1〜60分程度が好適であり、1μW/cm〜10mW/cm程度の低い照射強度で1分〜30分程度が特に好適である。
なお、この光照射工程(第1の光照射工程)の後にさらに第2の光照射工程を行ってもよい。すなわち、この反応生成物を含む溶液をアルコール、好ましくは上記モノマーのアルコール溶液で希釈する。このアルコールとしてはメタノール又はエタノール、特にメタノールが好適である。アルコール溶液中のモノマー濃度としては、終濃度として、100mM〜5M程度が好適である。
上記第1の光照射工程からの反応生成物含有液1体積部に対し、このアルコール溶液5〜500体積部を添加するのが好ましい。
このようにアルコール溶液で希釈した希釈液を、第2の光照射工程に供し、上記反応生成物に対しさらに上記モノマーを重合させる。この際の照射光源としては240〜400nmの波長の光を含むものであればよく、例えば低圧水銀灯や高圧水銀灯などを用いることができる。光照射時間は10分〜120分程度が好適である。
この光照射により、反応液中に目的とする分岐型重合体が生成するので、必要に応じ精製して分岐型重合体よりなるカチオン性ホモポリマーを得る。
この分岐型重合体の分子量は分岐鎖の鎖数によるが、2,000〜500,000、特に2,000〜150,000、とりわけ2,000〜100,000程度が好ましい。
本発明では、この分岐鎖は、上記ホモポリマーであってもよく、さらに異なる重合体とのブロック共重合体又はランダム共重合体であってもよい。例えば、上記ホモポリマーに対し、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレートなどを導入してもよい。また、N−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体をブロック共重合させて温度感応性ポリマーブロックを導入してもよい。なお、先にN,N−ジメチルアクリルアミド又はN−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体のポリマーよりなる分岐鎖を有した分岐型重合体を形成し、その後、各分岐鎖の先端側にカチオン性ポリマーブロックを導入するようにしてもよい。
このN−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体のポリマー鎖は、低温度では親水性、高温では疎水性となる温度依存性を有する。なお、これにより遺伝子導入剤が上記温度応答性を具備するようになる。
カチオン性ポリマーブロックにN,N−ジメチルアクリルアミドあるいはN−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体をブロック共重合させるには、上記のようにして合成したスター形分岐型重合体を好ましくはアルコール例えばメタノール等の溶媒に溶解させ、これにN,N−ジメチルアクリルアミド又はN−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体を混合し、光を照射して重合させればよい。この重合反応を開始する際の溶液中における分岐型ポリマーの濃度は0.01〜10重量%程度が好適であり、N,N−ジメチルアクリルアミド又はN−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体の濃度は0.3〜30重量%程度が好適である。光の照射条件は、光波長250〜400nm、照射時間1〜150分、照射強度100〜10,000μW/cm程度が好適である。
このスター形分岐型重合体の分子量は3,000〜600,000、特に3,000〜150,000であることが好ましい。
上記のように合成したスター形分岐型重合体を架橋させることにより、目的とする遺伝子導入剤が合成される。この分岐型重合体の架橋を行うには、次のi),ii),iii),iv)の方法を採用することができるが、架橋効率及び架橋精度の点においてiv)の方法を採用することが好ましい。
i)分岐型重合体をメタノールなど適宜の溶媒に溶解させ、加熱するか、光を照射することにより、分岐型重合体同士を架橋する。この架橋反応を開始させる際の溶液中の分岐型重合体の濃度は0.01〜10重量%程度が好適である。加熱条件は、30〜300℃、1分〜30,000時間程度が好適である。
ii)分岐型重合体へ直接光照射や加熱処理を行うことによって分岐型重合体を架橋させる。この場合、i)の溶媒へ溶解した溶液への処理と相違して、分岐型重合体の主鎖及び又は側鎖へ発生したラジカルが溶媒によって捕捉され、分岐型重合体の架橋反応が阻害されることを抑制することが可能となる。直接光照射を行う場合は、凍結乾燥粉末を霧状に攪拌して、ここへ光を照射することで均質な処理が可能となる。なお、フィルム状に加工し、このフォルムへ処理を行うことも均質な架橋体を得る方法として好ましい。具体的には、ガラス板、金属板などの上へ分岐型重合体の溶液、例えば、クロロホルム溶液を流延させ、ドクターナイフなどで液切りして均一な厚みとし、これを乾燥させることで均質なフィルムを形成させることが可能である。この場合の溶媒としては揮発性が高いメタノール、クロロホルムが好適である。
iii)常温又は冷却下に長期間保持することによって分岐型重合体を架橋させる。4℃、−20℃などの冷却下においても15,000時間程度の時間を経過すれば十分に架橋の効果が現れる。この場合、分岐型重合体は凍結乾燥フィルムまたはフィルム状態で経時変化させることが好ましく、遮光状態でも蛍光灯程度の光が迷光として暴露されていても良い。凍結乾燥状態で経時変化をさせるのであれば、高分子量成分の乾燥重量で1.5グラム/50mL程度の密度とすることで均質な架橋体を得ることが可能である。
iv)固体状態の前記分岐型重合体を液状エーテルに浸漬させた状態で光照射することにより、分岐型重合体同士を架橋させる。
この場合の液状エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジエチルエーテル、ジオクチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ビス(メチルベンジル)エーテル、メチルブチルエーテル、ブチルヘキシルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、クラウンエーテル等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
液状エーテルに浸漬させる際の前記分岐型重合体の形状としては、フィルム状、粉末状、塊状、フレーク上、ゲル状等が挙げられる。
分岐型重合体の形状としてフィルム状を採用した場合、フィルムの厚さは10μm〜2000μm程度、特に50μm〜1000μm程度が好ましい。極端にフィルムが薄いと遺伝子導入剤の製造効率が悪く、また極端にフィルムが厚いと光照射の効果及び光架橋反応において脱離性に生成する硫黄化合物のエーテル中への拡散・抽出除去の効果が十分に得られない。
また、分岐型重合体の形状を粉末状にした場合、粉末の粒径は0.1〜1000μm程度特に100〜500μm程度が好ましい。粒径を極端に小さくすることは困難であるが、逆に粒径を大きくした場合は光照射の効果及び光架橋反応において脱離性に生成する硫黄化合物のエーテル中への拡散・抽出除去の効果が十分に得られない。
さらに、分岐型重合体の形状を塊状、フレーク状やフレーク状にした場合は、光暴露量の均質性や光架橋反応において脱離性に生成する硫黄化合物のエーテル中への拡散性を十分に考慮して行う必要ある。
光の照射条件は、光波長300〜400nm、照射時間1〜300分、照射強度0.1〜10mW/cm程度が好適である。
この架橋方法によれば、架橋反応の際に生成すると考えられるジスルフェイド化合物を固層からエーテル中へ抽出除去することにより、効率的に架橋反応を行うことができる。従って、反応を行う際に液状エーテルを撹拌することが好ましい。これにより生成したジスルフェイド化合物をより効率的に液状エーテル中へ抽出除去することができる。
さらに効率的に架橋反応を行うには、分岐型重合体の浸漬時間を1〜300分程度、液状エーテルの液温を20〜60℃程度にすることが好ましい。
この架橋反応により、分岐型重合体が2〜10個、特に2〜5個程度架橋して架橋体を構成する。この架橋反応では、分岐型重合体の分岐鎖のN,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル分子団のチオ基が開いて分岐鎖同士が架橋するものと推察される。
加熱の代わりに、又は加熱と共に、光照射することによっても架橋させることができる。光の照射条件は、光波長180〜700nm、照射時間1分〜30,000時間、照射強度0.001〜10,000μW/cm程度が好適である。
上記の通り、N−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体をブロック共重合させた遺伝子導入剤は、約30℃よりも高い温度で疎水性であり、約30℃よりも低い温度で親水性である。従って、30℃よりも低い温度で核酸と遺伝子導入剤の水溶液とを混合して遺伝子導入剤に核酸を複合させることができる。
約30℃よりも高い温度では、核酸を複合した遺伝子導入剤は、温度感応性核酸よりなる疎水性部分を有し、水不溶性となる。
このようにして生成した遺伝子導入剤(ベクター)が核酸を核酸含有複合体として包囲することによって、生体内の酵素による核酸の失活、分解を抑制することができる。
上記遺伝子導入剤と核酸とを複合させるには、遺伝子導入剤の濃度1〜1000μg/mL程度の溶液に対し、核酸を添加し、混合すればよい。核酸に対して遺伝子導入剤を過剰量添加し、遺伝子導入剤中のカチオン性ポリマーを核酸に対し飽和状態に核酸含有複合体として複合化させるのが好ましい。
核酸の好ましい例としては、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子(HSV1−TK遺伝子),p53癌抑制遺伝子及びBRCA1癌抑制遺伝子やサイトカイン遺伝子としてTNF−α遺伝子,IL−2遺伝子,IL−4遺伝子,HLA−B7/IL−2遺伝子,HLA−B7/B2M遺伝子,IL−7遺伝子,GM−CSF遺伝子,IFN−γ遺伝子及びIL−12遺伝子などのサイトカイン遺伝子並びにgp−100,MART−1及びMAGE−1などの癌抗原ペプチド遺伝子が癌治療に利用できる。
また、VEGF遺伝子,HGF遺伝子及びFGF遺伝子などのサイトカイン遺伝子並びにc−mycアンチセンス,c−mybアンチセンス,cdc2キナーゼアンチセンス,PCNAアンチセンス,E2Fデコイやp21(sdi−1)遺伝子が血管治療に利用できる。かかる一連の遺伝子は当業者には良く知られたものである。
核酸複合体の粒径は50〜400nm程度が好適である。この粒径は、例えばレーザを用いた動的光散乱法によって測定される。粒径がこれよりも小さいと、核酸複合体内部の核酸にまで酵素の作用が及ぶおそれ、あるいは腎臓にて濾過排出されるおそれがある。また、これよりも大きいと、細胞に導入されにくくなるおそれがある。
核酸は、細胞に導入されることによりその細胞内で機能を発現することができるような形態で用いる。例えばDNAの場合、導入された細胞内で当該DNAが転写され、それにコードされるポリペプチドの産生を経て機能発現されるように当該DNAが配置されたプラスミドとして用いる。好ましくは、プロモーター領域、開始コドン、所望の機能を有する蛋白質をコードするDNA、終止コドンおよびターミネーター領域が連続的に配列されている。
所望により2種以上の核酸をひとつのプラスミドに含めることも可能である。
本発明において、核酸を導入する対象として望ましい「細胞」としては、当該核酸の機能発現が求められるものであり、このような細胞としては、例えば使用する核酸(すなわちその機能)に応じて種々選択され、例えば心筋細胞、平滑筋細胞、繊維芽細胞、骨格筋細胞、血管内皮細胞、骨髄細胞、骨細胞、血球幹細胞、血球細胞等が挙げられる。また、単球、樹状細胞、マクロファージ、組織球、クッパー細胞、破骨細胞、滑膜A細胞、小膠細胞、ランゲルハンス細胞、類上皮細胞、多核巨細胞等、消化管上皮細胞・尿細管上皮細胞などである。
本発明の核酸複合体は培養試験に用いるほか、任意の方法で生体に投与することができる。
生体への投与方法としては静脈内又は動脈内への注入が特に好ましいが、筋肉内、脂肪組織内、皮下、皮内、リンパ管内、リンパ節内、体腔(心膜腔、胸腔、腹腔、脳脊髄腔等)内、骨髄内への投与の他に病変組織内に直接投与することも可能である。
この核酸複合体を有効成分とする医薬は、更に必要に応じて製剤上許容し得る担体(浸透圧調整剤,安定化剤、保存剤、可溶化剤、pH調整剤、増粘剤等)と混合することが可能である。これら担体は公知のものが使用できる。
また、この核酸複合体を有効成分とする医薬は、含まれる核酸の種類が異なる2種以上の核酸含有複合体を含めたものも包含される。このような複数の治療目的を併せ持つ医薬は、多様化する遺伝子治療の分野で特に有用である。
投与量としては、動物、特にヒトに投与される用量は目的の核酸、投与方法および治療される特定部位等、種々の要因によって変化する。しかしながら、その投与量は治療的応答をもたらすに十分であるべきである。
この核酸複合体は、好ましくは遺伝子治療に適用される。適用可能な疾患としては、当該複合体に含められる核酸の種類によって異なるが、末梢動脈疾患、冠動脈疾患、動脈拡張術後再狭窄等の病変を生じる循環器領域での疾患に加え、癌(悪性黒色腫、脳腫瘍、転移性悪性腫瘍、乳癌等)、感染症(HIV等)、単一遺伝病(嚢胞性線維症、慢性肉芽腫、α1−アンチトリプシン欠損症、Gaucher病等)等が挙げられる。
実施例1
[4分岐型遺伝子導入剤の合成]
i)イニファターの合成
下記反応式に従って、1,2,4,5−テトラキス(N−Nジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼンを次のようにして合成した。
1,2,4,5−テトラキス(ブロモメチルベンゼン)1.0gとN,N−ジエチルジチオカルバミル酸ナトリウム4.0gをエタノール100mL中へ加え、遮光下で室温で4日間攪拌した。沈殿物を濾過し、減圧乾燥後、クロロホルム200mLへ溶解し、150mLの水を加えて抽出分離し、臭化ナトリウムを除去した。この操作を3回繰り返した後、クロロホルム層を硫酸マグネシウムで24時間乾燥させて、濾過後、n−ヘキサンを加え、再結晶を行って精製し、白色の1,2,4,5−テトラサキス(N,N−ジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼンの針状結晶を得た(収率90%)。高速液体クロマトグラフィーにより、原料ピークが消失し、精製物が単一物質であることを確認した。
H NMR(in CDCl)の測定結果はδ1.26−1.31ppm(t,24H,CHCH),δ3.69−3.77ppm(q,8H,N(CHCH),δ3.99−4.07ppm(q,8H,N(CHCH),δ4.57ppm(s,8H,Ar−CH),δ7.49ppm(s,2H,Ar−H)となった。
Figure 0005268048
ii)光重合によるスター形4分岐型重合体よりなるカチオン性ホモポリマーの合成
下記反応式に従い、次のようにして、1,2,4,5−テトラキス[(N,N−ジエチルジチオカルバミル)ポリ(3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)−メチル]ベンゼン(以下、pDMAPAAmと記載することがある。)よりなるカチオン性ホモポリマーの合成を行った。
即ち、上記i)により合成した1,2,4,5−テトラサキス(N,N−ジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼン45.6mgを20mLのクロロホルムへ溶解し、3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(以下、3−N,N−DMAPAAmと記載することがある。)19.0gを加えて混合し、全量をクロロホルムで50mLに調整した。石英セル中で激しく攪拌しながら高純度窒素ガスで5分間パージした後に、200W高圧水銀灯で紫外光を35分間照射した。照射強度は照度計(UVR−1,TOPCON,Tokyo,Japan)を使用して1mW/cm(250nm)に調整した。重合溶液をエバポレーターで濃縮し、ジエチルエーテルで重合物を再沈殿させて精製し、少量の水へ溶解し、0.2μmフィルターで濾過してから凍結乾燥させて4分岐型スター型ホモポリマー(pDMAPAAm)よりなるカチオン性ポリマーを得た(重合率40%)。分子量はGPCにより50,000と測定された。
H NMR(in DO)の測定結果は、δ1.5−1.8ppm(br,2H,−CHCHCH−),δ2.1−2.2ppm(br,6H,N−CH),δ2.2−2.4ppm(br,2H,CH−N),δ3.0−3.4ppm(br,2H,NH−CH),δ7.4−7.8ppm(br,1H,−NH−)となった。
Figure 0005268048
iii)スター形pDMAPAAmへのN,N−ジメチルアクリルアミドのブロック共重合によるポリマー材料(スター形4分岐型pDMAPAAm−b−pDMAA)の合成
下記反応式に従い、次のようにして、1,2,4,5−テトラキス[(N,N−ジエチルジチオカルバミル)−ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)−ブロック−ポリ(3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)−メチル]ベンゼン(以下、pDMAPAAm−b−pDMAAと記すことがある。)の合成を行った。
即ち、上記ii)の操作で合成した4分岐型pDMAPAAmホモポリマーの全量を1リットルフラスコへ移し、約800mLのジエチルエーテルを投入して再沈殿させ、デカンテーションによりジエチルエーテルを除去した。ここへ約50mLのトルエンを加えポリマー成分を溶解し、再度ジエチルエーテルを投入してポリマー成分を再沈殿した。この操作を3回繰り返した。ポリマー成分を約20mLのメタノールへ溶解し、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)7.44gを混合して全量をメタノールで50mLに調整した。ii)と同様の条件で光照射重合を行って、メタノール/ジエチルエーテル系で精製を行って4分岐型pDMAPAAmとポリN,N−ジメチルアクリルアミド(pDMAA)とのブロックポリマーよりなるスター形pDMAPAAm−b−pDMAAを得た。分子量はGPCにより83,000と測定された。
Figure 0005268048
iv)架橋型4分岐型pDMAPAAm−b−DMAAブロックポリマーの合成(加熱処理)
合成したスター形4分岐型pDMAPAAm−b−DMAAブロックポリマー約5グラムを200mLのメタノールへ溶解し、500mLナスフラスコへ入れた。エバポレーターを高速回転させながら溶媒を留去し、粘度が十分に上がったところで減圧を止めた。フラスコを回転させながら窒素ガスをパージして加温し、4分岐型pDMAPAAm−b−DMAAブロックポリマーをフラスコの内壁面に薄いフィルム状に形成させた。これを80℃オーブン中で72時間処理すると、フィルム成分はDMFへ難溶となった。フィルム成分のDMFへの浸漬の際には、まずフィルム成分全体が膨潤し、続いてその一部が徐々に溶解していく溶解挙動を示し、溶媒和しにくい架橋構造を持つポリマーとなったことが示唆された。
v)架橋型4分岐型pDMAPAAm−b−DMAAブロックポリマーの合成(光照射処理)
合成したスター形4分岐型pDMAPAAm−b−DMAAブロックポリマー凍結乾燥品を約0.2グラムとPTFEコーティング回転子を100mLガラス容器へ入れて密閉した。マグネットスターラーにて激しく攪拌すると綿状の塊は粉砕され、粉末が混合される環境となった。ここへ2.5mW/cm2の近紫外線を3.5時間照射した。照射後の数平均分子量は136,000、分散は2.5となり、分子量及び分子量分布の増大が確認された、ポリマーの分子内に架橋点が生成したことが示唆された(照射処理前は分子量83,000、分散は1.3であった。)。
モノマーはクロロホルム、トルエン、アルコール、エーテル、水、DMFなどに可溶であり、その重合体であるスター形ポリマーもクロロホルム、トルエン、アルコール、水、DMFなど広い種類の溶媒に可溶であったので、この架橋反応により、分岐鎖のリビング末端であるジチオカルバメート分子団が結合に寄与し、分子間あるいはさらに分子内で少なくとも1つの結合点が生じ、これにより、架橋体全体の溶媒和が制限され、一部の溶媒に不溶になったものを考えられる。
このメタノールに不溶となったフィルムを少量の水に溶解し、大量のメタノール中に投入することで、結合点を有するポリマー成分のみを沈殿させて精製した。精製後、再度少量の水に溶解し、0.2μmのフィルターで濾過し、凍結乾燥することで本発明の遺伝子ベクターを得た。
[遺伝子導入実験]
細胞としてCOS−1細胞を使用した。DNAとして、ホタルルシフェラーゼをコードするpGL3コントロールベクター(プロメガ社)を使用した。
24穴培養プレートへCOS−1細胞を6×10個播種し、培養24時間後にトランスフェクションを行った。遺伝子導入剤の溶液の調製は20〜25℃の環境下で行った。DNAは濃度0.033μg/μLのTEバッファー溶液とし、その90μLに1μg/μL濃度の架橋型4分岐型pDMAPAAM−b−DMAAブロックポリマー生理食塩水溶液を60μLタッピングして混合した後に150μLのOPTI−MEMを混合して室温で30分間インキュベートして遺伝子導入剤溶液とした。トランスフェクションは培養細胞から培地を除去し、PBSで2回洗浄後に遺伝子導入剤溶液を200μLずつ加えて3時間インキュベートし、PBSで洗浄後に完全培地を加えて48時間培養して行った。
[遺伝子導入活性の評価]
このトランスフェクション後の48時間の培養後に遺伝子導入活性の評価をルシフェラーゼアッセイで行った結果を図1に示す。ホタルルシフェラーゼ活性はプロメガ社のアッセイキットを使用し、補正はタンパク濃度で行った。タンパク定量はBioRad社のBradford試薬で行った。
<比較例1>
上記実施例1の合成プロセスiii)によって合成したスター形4分岐型pDMAPAAm−b−DMAAブロックポリマーを約5グラムを200mLのメタノールへ溶解し、500mLナスフラスコへ入れた。エバポレーターを高速回転させながら溶媒を留去し、粘度が十分に上がったところで減圧を止めた。フラスコを回転させながら窒素ガスをパージして加温し、4分岐型pDMAPAAm−b−DMAAブロックポリマーをフラスコの内壁面に薄いフィルム状に形成させた。これを4℃の遮光条件の下で72時間処理した。フィルム成分の溶媒への溶解性は処理前後で変化はなく、分子量及び分子量分布にも変化は認められなかった。
すなわち、このスター形4分岐型pDMAPAAm−b−DMAAブロックポリマー同士は、上記の条件下では架橋反応しないことが認められた。
ベクターとして、この4分岐型pDMAPAAm−b−DMAAブロックポリマー(低温遮光処理物)を使用したこと以外は実施例1に準拠して遺伝子導入実験を行った。その結果を図1に示す。
<比較例2>
ベクターとして、実施例1の合成プロセスiii)で合成したスター形4分岐型pDMAPAAm−b−DMAAブロックポリマーを使用したこと以外は実施例1に準拠して遺伝子導入実験を行った。その結果を図1に示す。
[考察]
以上より、ベンゼンなど芳香族環を核としてカチオン性ポリマー鎖が放射状に伸延する分岐構造のベクターの分子間及び/又は分子内に結合点を作ることにより、遺伝子導入活性を向上させることができることが認められた。
実施例2
[6分岐型遺伝子導入剤の合成]
i)イニファターの合成
下記反応式に従って、ヘキサキス(N,N−ジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼンを次のようにして合成した。
ヘキサキス(ブロモメチル)ベンゼン5gとN,N−ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム31.8gをエタノール1L中へ加え、室温で4日間攪拌した。沈殿物を濾過し、減圧乾燥後、クロロホルム200mLへ溶解し、ここへ150mLの水を加えて液抽出を行って臭化ナトリウムを除去した。この操作を3回繰り返した後、クロロホルム層を硫酸マグネシウムで24時間乾燥させた。濾過後、n−ヘキサンを加えて再結晶を行って、微かに淡青色を帯びたヘキサキス(N,N−ジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼンの白色結晶を得た(収率90%)。
H NMR(in CDCl)の測定結果は、δ 1.26−1.31(t,36H,J=6.9 Hz,−CHSC(S)N(CHCH),3.71−4.01(wq,24H,J=6.9 Hz,−CHSC(S)N(CHCH),4.57(s,12H,−CHSC(S)NEt)であった。
Figure 0005268048
ii)6分岐型pDMAPAAmホモポリマーの合成
下記反応式に従い、次のようにして6分岐型pDMAPAAmホモポリマーの合成を行った。
モノマーの3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(以下、DMAPAAmと記載することがある。)は、減圧蒸留で精製した。ヘキサキス(N,N−ジエチルチオカルバミルメチル)ベンゼン0.0436gを20mLのクロロホルムへ溶解し、3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド7.9gを加えて混合し、全量をクロロホルムで希釈して50mLに調整した。石英セル中で激しく攪拌しながら高純度窒素ガスで5分間パージした。200W高圧水銀灯で20分間の紫外光照射を行った。照度は照度計(UVR−1,TOPCON,Tokyo,Japan)を使用して1mW/cm(250nm)に調整した。重合溶液をエバポレーターで濃縮し、ジエチルエーテルで再沈殿させて精製した。これを少量の水へ溶解し、0.2μmフィルターで濾過してから凍結乾燥させてヘキサキス{N,N−ジエチルジチオカルバミル−ポリ(3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)−メチル}ベンゼン(6分岐型pDMAPAAmホモポリマー)を得た(重合率40%)。
分子量はGPCにより28,000と測定され、H NMR(in DO)の測定結果は、δ 1.00−1.70(br,416H,−CHCH−and−CHCHCH−) ,1.90(br,104H,−CHCH−),2.09(s,624H,−N(CH),2.25(br,208H,−CHN(CH),2.98(br,208H,−CONHCH−)で、目的物であることを確認した。以上より、6分岐型pDMAPAAmが合成された。
Figure 0005268048
iii)6分岐型pDMAPAAmホモポリマーの架橋
−70℃に冷却した6分岐型pDMAPAAmホモポリマーの凍結乾燥粉末をドライボイックス内でメノウ乳鉢で粉砕した.肉厚3mm軟質ガラスからなる密閉容器中でPTFEコーティングされた回転子で激しく攪拌して霧状に分散させた。ここへ250nm−400nmの光を照射した。照射強度は、同じ材質の軟質ガラス板の透過直後の320〜400nmの範囲の光の積算光量で1.00mW/cmとなるように調整した(ウシオ電機社,UVD−C405)。3.5時間(210分)の光照射後、粉末をメタノールへ溶解し,PTFE切削屑などの異物を濾紙で濾過し、エバポレーターで濃縮後にジエチルエーテル中へ滴下して再沈殿させて精製した。溶媒を揮発させた後に水へ溶解して凍結乾燥を行って光照射体粉末を得た。GPCにより6分岐型pDMAPAAmホモポリマーはMn=28,000からMn=46,000まで分子量が増大したことが確認された。逆に、光照射体は単位重量当たりの278nmでのUV吸収が約50%量まで減少していた(図2)。278nmの吸収はリビング末端のジチオカルバメート分子団の特異吸収帯であり、光照射によりリビング末端のジチオカルバメート分子団が消費されたことがわかる。この事実より、分岐型重合体のリビング末端を介した架橋反応が起こっていると推測された。
[遺伝子導入活性の評価]
このようにして合成した架橋ホモポリマーよりなる遺伝子導入剤について、実施例1と同様の手法で遺伝子導入活性を評価した。活性は凍結乾燥粉末への光照射によって顕著に増大し,光照射の効果が確認された(図3)。なお、CA比は5及び15で行った。
比較例3,4
比較例3では、実施例2の工程ii)で製造した分子量28,000の6分岐型pDMAPAAmホモポリマーを用いた。
比較例4では、実施例2の工程ii)において光重合時間を20分から40分へ延長したこと以外は同様にして合成した。分子量46,000の6分岐型pDMAPAAmホモポリマーを用いた。
これらの分子量28,000及び分子量46,000のホモポリマー(未架橋体)と、実施例2の分子量46,000の架橋体ホモポリマーについて遺伝子導入活性を評価した。この結果を図4に示す。
[考察]
図4の通り、比較例4の未架橋体でも分子量の増加(ポリマー鎖長の延長)によって比較例3に比べて遺伝子導入活性の向上の傾向が確認されるが、この活性向上はごくわずかである。
これに対し、実施例2は比較例3,4に比べて顕著な活性の差が確認され、架橋処理による構造的な有意性が示唆された。
実施例3,4,5,6
実施例2の工程iii)の光照射時間を30分(実施例3)、60分(実施例4)、120分(実施例5)又は420分(実施例6)としたこと以外は同様にして遺伝子導入剤を製造した。そして、各々の遺伝子導入活性を実施例1と同様にして評価した。結果を図5に示す。図5には、比較例3(未照射)及び実施例2(光照射210分)の結果も併せて示す。
[考察]
図5の通り、光照射時間が長くなるほど遺伝子導入活性が増大し、照射時間依存性に変化するパラメーターと考えられる架橋反応の進行度と遺伝子導入活性に正の相関が確認された。
実施例7
[4分岐型ホモポリマーの架橋体の合成]
I)実施例1の工程i),ii)とほぼ同様の手順により4分岐型pDMAPAAmホモポリマーを合成した。工程i)は全く同一であり、工程ii)のみ次のa),b)点において相違する。NMRの測定結果は実施例1と同一であった。
a)工程i)で合成した1,2,4,5−テトラキス(N,N−ジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼンをトルエンに溶解したこと、
b)この溶液に3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド9.9gを加えて混合し、全量をトルエンで50mLに調整したこと、
c)合成した4分岐型スター型ホモポリマー1,2,4,5−テトラキス[(N,N−ジエチルジチオカルバミル)−ポリ(3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)−メチル]ベンゼン(pDMAPAAm)の分子量は58,000であること。
II)このようにして合成した4分岐型pDMAPAAmホモポリマーを次の通り架橋した。
即ち、I)で合成した4分岐型pDMAPAAmホモポリマー300mgをクロロホルム10mLへ溶解し、3mm厚の軟質ガラス板上へ流延させ、0.3mmクリアランスのドクターナイフで液切りして60℃オーブン中で3時間乾燥させ、4分岐型pDMAPAAmホモポリマーのフィルムを得た。ガラス板を垂直に立て、キセノン光源光照射装置(朝日分光社、MAX−301)からの光をガラス板透過直後の320nm〜400nmの範囲の光の積算光量で0.50mW/cmまたは1.00mW/cmとなるように調整して(ウシオ電機社,UVD−C405)3.5時間の照射を行った。
分子量は未照射で58,000(分散1.40)、0.50mW/cm照射物で60,000(分散1.56)、1.00mW/cm照射物で59,000(分散1.65)と変化し、高分子量側のリーディングが強くなり、架橋反応が起こっていることが示唆された。
[遺伝子導入活性]
この架橋体よりなる遺伝子導入剤の遺伝子導入活性を実施例1と同様にして評価した。その結果を図6に示す。なお、図6の比較例5は、実施例7の工程Iで製造した4分岐型pDMAPAAmホモポリマーについての評価結果である。図6の通り、光照射強度が強くなるほど遺伝子導入活性が増大し、光強度依存性に変化するパラメーターと考えられる架橋反応の進行度と遺伝子導入活性に正の相関が確認された。
実施例8
[4分岐型pDMAPAAmホモポリマーの光架橋]
i)イニファターの合成
イニファターである1,2,4,5−テトラキス(N,N−ジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼンを次のようにして合成した。
1,2,4,5−テトラキス(ブロモメチルベンゼン)1.0gとN,N−ジエチルジチオカルバミル酸ナトリウム34.0gをエタノール300mL中へ加え、遮光下で室温で4日間攪拌した。沈殿物を濾過し、3リットルのメタノールへ分散させて30分間攪拌した後に濾過した。この操作を3回繰り返し、臭化ナトリウムと余剰のN,N−ジエチルジチオカルバミル酸ナトリウムを除去した。減圧あ下でメタノールを揮発させた後に200mLのトルエンへ溶解して濾過し、約100mLのメタノールを混合して再結晶を行って精製した。白色の1,2,4,5−テトラキス(N,N−ジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼンの針状結晶を得た(収率90%)。高速液体クロマトグラフィーにより、原料ピークが消失し、精製物が単一物質であることを確認した。
H−NMR(in CDCl)の測定結果はδ1.26−1.31ppm(t,24H,CHCH),δ3.69−3.77ppm(q,8H,N(CHCH),δ3.99−4.07ppm(q,8H,N(CHCH),δ4.57ppm(s,8H,Ar−CH),δ7.49ppm(s,2H,Ar−H)となった。
ii)光重合によるスター形4分岐型重合体よりなるカチオン性ホモポリマーの合成
1,2,4,5−テトラキス[(N,N−ジエチルジチオカルバミル)ポリ(3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)−メチル]ベンゼン(以下、pDMAPAAmと記載することがある。)よりなるカチオン性ホモポリマーの合成を行った。
即ち、上記i)により合成した1,2,4,5−テトラサキス(N,N−ジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼン45.6mgを20mLのクロロホルムへ溶解し、3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(以下、3−N,N−DMAPAAmと記載することがある。)9.0gを加えて混合し、全量をクロロホルムで50mLに調整した。2mm厚の軟質ガラスセル中で激しく攪拌しながら高純度窒素ガスで5分間パージした後に、300Wキセノン光源光照射装置(朝日分光、MAX−301)で紫外光を40分間照射した。照射強度は照度計(ウシオ電機、UIT−150、UVD−405)を使用して2.5mW/cmに調整した。重合溶液をエバポレーターで濃縮し、ジエチルエーテルで重合物を再沈殿させて精製し、少量の水へ溶解し、0.2μmフィルターで濾過してから凍結乾燥させて4分岐型スター型ホモポリマー(pDMAPAAm)よりなるカチオン性ポリマーを得た(重合率30%)。分子量はGPCにより50,000(分散=1.3)と測定された。
H NMR(in DO)の測定結果は、δ1.5−1.8ppm(br,2H,−CHCHCH−),δ2.1−2.2ppm(br,6H,N−CH),δ2.2−2.4ppm(br,2H,CH−N),δ3.0−3.4ppm(br,2H,NH−CH),δ7.4−7.8ppm(br,1H,−NH−)となった。
iii)4分岐型pDMAPAAmホモポリマーの光架橋
上記のようにして 合成したスター形4分岐型pDMAPAAmホモポリマー凍結乾燥品を、十分に窒素パージを行ったクロロホルムへ溶解し、濃度0.2g/mLの溶液を調製した。この溶液をガラス板上へ流延させ、窒素雰囲気で乾燥させて厚み約150μmのポリマーフィルムを形成させた。このガラス板を100mm×100mm×200mmの直方体形の2mm厚軟質ガラス容器中のほぼ中央位置にて垂直に、容器の直方体面と平行となるように立て、ここへ十分に窒素パージを行ったエーテルを入れてガラス板が完全に浸漬されるようにした。ポリマーフィルムを形成させた面を光源へ向け、マグネットスターラーで攪拌を行いながら2.5mW/cmの近紫外線を30分間照射した。光照射終了後、フィルムをクロロホルムへ溶解して回収し、0.2μmシリンジフィルターで濾過し、ジエチルエーテル中で再沈殿させて精製し光照射体を得た。この時、濾過には圧力がほとんど不要であり、不溶性の成分が生成していないことが示唆された。
278nmでのUV吸収は照射前の約70%量程度までに減少しており、GPCにより分子量を測定すると、光照射前の分散(1.30)がほぼ維持されたまま(1.42)分子量の増大(56,000)が確認された。ピーク形状も光照射の前後で差はなかった。フィルム全体的に均質に架橋が進行した結果と推測される。
引き続き、2.5mW/cmの近紫外線を240分間まで照射すると、得られた光照射体の278nmでのUV吸収は確認されなくなり、高分分子鎖のリビング末端のジチオカルバメート分子団のほぼ全量が架橋反応に消費されていることが分かった。
分子量はブロードに増大して高分子量側では約200万の分画まで到達したが、溶媒への溶解性は消失されなかった。
比較例6(気相中での光照射)
実施例8の工程iii)で得た150μm厚みのポリマーフィルムを形成させたガラス板を実施例と同様に100mm×100mm×200mmの直方体形の2mm厚軟質ガラス容器中のほぼ中央位置にて垂直に、容器の直方体面と平行となるように立て、そのまま、気相中で2.5mW/cmの近紫外線を30分間照射した。実施例と同様の方法で光照射体を回収したが、不溶分が多く回収率は低かった。分子量をGPCで測定すると、計算値としては実施例と同様に分子量の増大が確認されたが、分散が広く(2.54)なり、ピーク形状も低分子量側は光照射前とほぼ重なり、高分子量側にのみ小さな広い肩が形成されたものとなり、フィルム中の一部で架橋反応が進んでいることが示唆された。以上より、比較例6の気相中での光照射は、架橋が著しく進行して溶媒へ不溶性となるか、逆に、まったく架橋していない部分が存在するという結果となった。
[考察]
実施例8は、光照射前後の分散が維持されたのに対し、比較例6では分散が広くなった。実施例8では、光照射によりN,N−ジエチルジチオカルバメート分子団がラジカル解裂し、ポリマー主鎖又は側鎖へ付加的に結合する際に脱離するN,N−ジエチルジチオカルバメート分子団をエーテル中へ抽出拡散させてフィルム中から除去することで効率良く光架橋反応が進行するものと考えられる。
実施例及び比較例の結果を示すグラフである。 実施例及び比較例の結果を示すグラフである。 実施例及び比較例の結果を示すグラフである。 実施例及び比較例の結果を示すグラフである。 実施例及び比較例の結果を示すグラフである。 実施例及び比較例の結果を示すグラフである。

Claims (7)

  1. 芳香族環を核とし、それから放射状に伸延したカチオン性の複数の分岐鎖を有する分岐型重合体を有する遺伝子導入剤であって、
    複数の該分岐型重合体同士が架橋した架橋体であって、
    該分岐型重合体は、ベンゼン環を核とし、この核に分岐鎖として3個以上のN,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル分子団が結合した化合物をイニファターとし、これに3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、及び/又は、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートであるビニル系モノマーを光照射リビング重合させた分岐型重合体であり、
    該分岐型重合体の分岐鎖同士が架橋している架橋体よりなる遺伝子導入剤。
  2. 請求項において、分岐型重合体の分岐鎖のN,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル分子団が架橋点として寄与していることを特徴とする遺伝子導入剤。
  3. 請求項1又は2において、該分岐鎖はビニル系モノマーのホモポリマーよりなることを特徴とする遺伝子導入剤。
  4. 請求項1又は2において、前記分岐鎖は、前記ビニル系モノマーと、異なるモノマーとのランダム又はブロック共重合体であることを特徴とする遺伝子導入剤。
  5. 請求項において、前記異なるモノマーは、3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアクリルアミド、メトキシエチル(メタ)アクリレート、N−イソプロピルアクリルアミド、及びN−イソプロピルアクリルアミドの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする遺伝子導入剤。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の遺伝子導入剤を製造する方法であって、固体状態の該分岐型重合体を液状エーテルに浸漬させた状態で光照射することにより、分岐型重合体同士を架橋させることを特徴とする遺伝子導入剤の製造方法。
  7. 請求項において、該液状エーテルは、ジエチルエーテル、ジオクチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ビス(メチルベンジル)エーテル、メチルブチルエーテル、ブチルヘキシルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、及びクラウンエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする遺伝子導入剤の製造方法。
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