JP2009141814A - 到来信号の受信方法及びアダプティブアレーアンテナ装置 - Google Patents

到来信号の受信方法及びアダプティブアレーアンテナ装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2009141814A
JP2009141814A JP2007317640A JP2007317640A JP2009141814A JP 2009141814 A JP2009141814 A JP 2009141814A JP 2007317640 A JP2007317640 A JP 2007317640A JP 2007317640 A JP2007317640 A JP 2007317640A JP 2009141814 A JP2009141814 A JP 2009141814A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
signal
incoming
weight
arrival
eigenvector
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007317640A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4846701B2 (ja
Inventor
Kisho Odate
紀章 大舘
Shizuo Akiyama
鎮男 秋山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2007317640A priority Critical patent/JP4846701B2/ja
Publication of JP2009141814A publication Critical patent/JP2009141814A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4846701B2 publication Critical patent/JP4846701B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Radio Transmission System (AREA)

Abstract

【課題】任意の複数の到来信号に対して所望の到来信号の分離ができる受信方法を提供する。
【解決手段】複数到来受信信号より相関行列を算出し(S102)、相関行列から第1及び第2固有ベクトルを算出し(S103)、第1及び第2固有ベクトルをウエイトにて第1及び第2アレー出力信号を生成し(S104〜S105)、第1アレー出力信号と絶対値が1以下の第1ウエイトが乗じられた後の第2アレー出力信号を合成して第1合成信号を生成し(S106)、第1アレー出力信号と絶対値が1以上の第2ウエイトが乗じられた後の第2アレー出力信号を合成して第2合成信号を生成し(S107)、第1合成信号に含まれる第1到来信号成分と第2到来信号成分との第1電力比が最大化されるように第1ウエイトを算出し(S108)、第2合成信号に含まれる第1到来信号成分と第2到来信号成分との第2電力比が最大化するように第2ウエイトを算出する(S110)。
【選択図】図5

Description

この発明は、混信して受信される複数の到来信号を分離して出力する機能を有する受信方法及びアダプティブアレーアンテナ装置に関する。
電波監視や無線通信の分野では、混信して受信される複数の到来信号を分離する技術が望まれている。混信された受信信号を分離する技術として、アダプティブアレーアンテナがある。アダプティブアレーアンテナでは、到来信号を受信する複数のアンテナを介して得られる受信信号にそれぞれウエイトを乗じ、ウエイトが乗じられた信号を加算することによってアンテナ出力を得る。
この場合、ウエイトを適切に設定すると、特定の到来信号は同位相で合成され、残りの到来信号は打ち消し合うように合成される。その結果、混信している到来信号の中から、特定の到来信号のみが抽出される。このようにアダプティブアレーアンテナは、複数到来信号から目的の信号を分離して受信するための信号分離手段として用いることができる。
アダプティブアレーアンテナでの信号分離度を高くするためには、ウエイトの設定が重要である。ウエイトを計算する方法の一つに、固有ベクトルビームスペース法が知られている。固有ベクトルビームスペース法は、混信している到来信号間の電力比が十分大きいとき、信号分離のためのウエイトの計算を行う。この場合、到来信号間の電力比は大きければよく、所望信号と非所望信号(干渉信号)のどちらの信号の電力が大きくてもかまわない。一方、到来信号間の電力比が小さいとき、固有ベクトルビームスペース法で算出されるウエイトは、信号分離を行うのに必要なウエイトにならない。
この問題の解決方法として、無線基地局のアダプティブアレーアンテナで受信される各無線端末からの信号の電力に差が生じるように、各無線端末の送信機の送信電力を制御する技術が知られている(特許文献1)。この技術では、無線基地局側(アダプティブアレーアンテナ側)から無線端末側の送信機を制御しなければならず、このために送信機とアダプティブアレーアンテナとの間で通信を行う必要がある。従って、アダプティブアレーアンテナと通信ができる送信機からの到来信号に対してのみしか信号分離を行うことができず、例えば電波監視の分野には適用ができない。
一方、送信電力制御ができない場合であっても、例えば方向拘束付き出力電力最小化(Directionally Constrained Minimization of Power: DCMP)アルゴリズムや最小二乗平均誤差(Minimum Mean Square Error: MMSE)アルゴリズムを用いて信号分離を行うことが可能である。しかし、DCMPでは到来方向を利用するので、到来方向推定誤差の大きな場合には、到来信号の信号分離に適用ができない。MMSEは参照信号を利用するので、電波監視のように到来信号が未知である場合に対しては、適用できない。
特開2002−64323号公報
このように従来のアダプティブアレーアンテナ装置においては、通信可能な送信機からの到来信号に対してのみしか信号分離を行うことができず、適用範囲が狭いという問題があり、また通信を行うための送信機を必要とするため、コストが増大するという問題がある。
一方、DCMPアルゴリズムやMMSEアルゴリズムを用いて信号分離を行う手法は、到来方向推定誤差の大きな場合や到来信号が未知である場合に対しては、適用できないという問題があった。
この発明は、任意の複数の到来信号に対して所望の到来信号の分離ができる到来信号の受信方法及びアダプティブアレーアンテナ装置を提供することを目的とする。
より具体的には、到来信号間の電力比に依存せず、また到来方向推定誤差が大きくても、あるいは参照信号が利用できなくても、到来信号の分離を可能とすることにある。
本発明の一観点によると、複数のアンテナを含み、該アンテナを介して第1到来信号と第2到来信号を含む複数の到来信号を受信して受信信号を得るステップと、前記受信信号から相関行列を算出するステップと、前記相関行列中の1番大きな第1固有値に対応する第1固有ベクトルを算出するステップと、前記相関行列中の2番目に大きな第2固有値に対応する第2固有ベクトルを算出するステップと、前記第1固有ベクトルをウエイトに用いて第1アレー出力信号を生成するステップと、前記第2固有ベクトルをウエイトに用いて第2アレー出力信号を生成するステップと、前記第1アレー出力信号と絶対値が1以下の第1ウエイトが乗じられた後の第2アレー出力信号を合成して第1合成信号を生成するステップと、前記第1アレー出力信号と絶対値が1以上の第2ウエイトが乗じられた後の第2アレー出力信号を合成して第2合成信号を生成するステップと、前記第1合成信号に含まれる第1到来信号成分と第2到来信号成分との第1電力比が最大化されるように前記第1ウエイトを算出するステップと、前記第2合成信号に含まれる第1到来信号成分と第2到来信号成分との第2電力比が最大化されるように前記第2ウエイトを算出するステップと、を具備する到来信号の受信方法を提供する。
本発明の他の観点によると、複数のアンテナを含み、該アンテナを介して第1到来信号と第2到来信号を含む複数の到来信号を受信して受信信号を得る受信部と、前記受信信号から相関行列を算出する相関行列算出部と、前記相関行列中の1番大きな第1固有値に対応する第1固有ベクトルを算出する第1の固有ベクトル算出部と、前記相関行列中の2番目に大きな第2固有値に対応する第2固有ベクトルを算出する第2の固有ベクトル算出部と、前記第1固有ベクトルをウエイトに用いて第1アレー出力信号を生成する第1のアダプティブアレーと、前記第2固有ベクトルをウエイトに用いて第2アレー出力信号を生成する第2のアダプティブアレーと、前記第1アレー出力信号と絶対値が1以下の第1ウエイトが乗じられた後の第2アレー出力信号を合成して第1合成信号を生成する第1の合成部と、前記第1アレー出力信号と絶対値が1以上の第2ウエイトが乗じられた後の第2アレー出力信号を合成して第2合成信号を生成する第2の合成部と、前記第1合成信号に含まれる第1到来信号成分と第2到来信号成分との第1電力比が最大化されるように前記第1ウエイトを算出する第1のウエイト算出部と、前記第2合成信号に含まれる第1到来信号成分と第2到来信号成分との第2電力比が最大化されるように前記第2ウエイトを算出する第2のウエイト算出部と、を具備するアダプティブアレーアンテナ装置を提供する。
この発明によれば、通信可能な送信機からの到来信号に限定されない任意の複数の到来信号から所望の到来信号を分離できる。また、到来信号間の電力比に依存せず、さらに到来方向推定誤差が大きくても、あるいは参照信号が利用できなくても、到来信号の分離を可能とすることができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1に示されるように、本発明の第1の実施形態に係るアダプティブアレーアンテナ装置では、アレーアンテナを形成する複数(k)のアンテナ101〜10kによって複数の到来信号が受信される。アレーアンテナ101〜10kから出力される受信信号は、受信アナログ部111〜11kによって処理された後、アナログ−デジタル変換器(ADC)121〜12kによってベースバンドのデジタル信号に変換される。ADC121〜12kから出力されるデジタル信号を受信信号データという。アンテナ101〜10k、受信アナログ部111〜11k及びADC121〜12kによって、受信部が構成される。受信部からの受信信号データは、デジタル信号処理部131によって四則演算を主体とする信号処理が施され、アダプティブアレーアンテナ装置の最終出力であるアンテナ出力信号132が生成される。
アンテナ101〜10kは、所定の到来信号を受信可能なものであればその種類等についての制限はなく、既存のアンテナを利用することができる。例えば、広い角度範囲からの到来信号を受信したいときには、マイクロストリップアンテナやモノポールアンテナのようなビーム幅の広いアンテナを用いればよい。逆に、狭い角度範囲からの到来信号のみを受信したいときには、ホーンアンテナや八木宇田アンテナのようなビーム幅の狭いアンテナを用いればよい。このように要求に応じて、用いるアンテナを使い分ければよい。
受信アナログ部111〜11kは、例えば図2に一つの受信アナログ部11iを示すように、特定の周波数帯の受信信号の抑圧を行うフィルタ201、フィルタ201を通過した受信信号を増幅する低雑音増幅器(LNA)202、及び増幅された受信信号の周波数変換を行ってベースバンドアナログ信号を得る周波数変換器203を含む。ADC121〜12kは、受信アナログ部111〜11kからのベースバンドアナログ出力信号をデジタル信号に変換することができれば、基本的にどのような形式のものでもよい。
デジタル信号処理部131は、受信アナログ部111〜11kからの受信信号データに対して信号処理を行うことによって、複数の到来信号のうちから2つの到来信号を分離してアンテナ出力信号132を生成する。デジタル信号処理部131は、大きく分けて固有ベクトルビームスペース処理部と到来信号分離部とからなり、受信信号データに対して固有ベクトルビームスペース法に基づく処理を施した後、到来信号を分離するための処理を行う。
図3は、デジタル信号処理部131に含まれる固有ベクトルビームスペース処理部の具体例を示している。
受信部のADC111〜11kからの受信信号データx1(t)〜xk(t)は、相関行列算出部300と、乗算器である重み付け器311〜31k及び重み付け器321〜32kに入力される。相関行列算出部300では、受信信号データx1(t)〜xk(t)から相関行列Rxxが算出される。相関行列Rxxは、第1固有ベクトル算出部331及び第2固有ベクトル算出部332に与えられる。第1固有ベクトル算出部331では、相関行列Rxx中の1番大きな第1固有値に対応する第1固有ベクトルが算出される。第2固有ベクトル算出部332では、相関行列Rxx中の2番目に大きな第2固有値に対応する第2固有ベクトルが算出される。
重み付け器311〜31kは、加算器341と共に第1のアダプティブアレーを形成している。重み付け器321〜32kは、加算器342と共に第2のアダプティブアレーを形成している。加算器341は、重み付け器311〜31kの出力を加算して第1アレー出力信号y1(t)を生成する。加算器342は、重み付け器321〜32kの出力を加算して第2アレー出力信号y2(t)を生成する。
第1固有ベクトルは、第1のアダプティブアレーの重み付け器311〜31kにウエイトw11〜w1kとして与えられる。第2固有ベクトルは、第2のアダプティブアレーの重み付け器321〜32kにウエイトw21〜w2kとして与えられる。
すなわち、第1のアダプティブアレーは第1固有ベクトルをウエイトw11〜w1kに用いて第1アレー出力信号y1(t)を生成し、第2のアダプティブアレーは第2固有ベクトルをウエイトw21〜w2kに用いて第2アレー出力信号y2(t)を生成する。第1アレー出力信号y1(t)及び第2アレー出力信号y2(t)は、固有ベクトルビームスペース処理部の出力である。
次に、図4を用いてデジタル信号処理部131に含まれる到来信号分離部の具体例について説明する。
図4の到来信号分離部には、図3に示した固有ベクトルビームスペース処理部からの第1アレー出力信号y1(t)及び第2アレー出力信号y2(t)が入力される。第1アレー出力信号y1(t)は合成器、すなわち加算器401及び403に入力される。第2アレー出力信号y2(t)は、乗算器402及び404に入力される。
乗算器402では、第2アレー出力信号y2(t)に対して、ウエイト算出部407により算出される絶対値が1以下の第1ウエイトc1が乗じられる。乗算器404では、第2アレー出力信号y2(t)に対して、ウエイト算出部408により算出される絶対値が1以上の第2ウエイトc2が乗じられる。
加算器401では、第1アレー出力信号y1(t)と第1ウエイトc1が乗じられた後の第2アレー出力信号c1・y2(t)とが加算され、第1合成信号z1(t)が生成される。加算器403では、第1アレー出力信号y1(t)と第2ウエイトc2が乗じられた後の第2アレー出力信号c2・y2(t)とが加算され、第2合成信号z2(t)が生成される。こうして得られる第1合成信号z1(t)及び第2合成信号z2(t)は、アンテナ出力信号132としてデジタル信号処理部131から取り出される。
次に、図5を用いてデジタル信号処理部104の処理手順を説明する。
まず、アンテナ101〜10k、受信アナログ部111〜11k及びADC121〜12kからなる受信部によって複数の到来信号を受信し、k個の受信信号を並べた受信信号データベクトルを生成する(ステップS101)。i(i=1,2,...,k)番目のアンテナを介して得られる受信信号データをxi(t)とし、アンテナ数をkとしたときの受信信号データベクトルX(t)を次式(1)で表す。
Figure 2009141814
ここで、Tは転置を表し、tは時間を表す。
このような受信信号データベクトルX(t)に対し、デジタル信号処理部131において固有ベクトルビームスペース法を適用することで、第1固有ベクトルをウエイトに用いた第1アレー出力信号y1(t)と第2固有ベクトルをウエイトに用いた第2アレー出力信号y2(t)を生成する。この固有ベクトルビームスペース信号処理は、ステップS102〜S105で示される。
まず、ステップS102では、受信データベクトルX(t)から次式(2)により相関行列Rxxを算出する。
Figure 2009141814
ここで、Hは共役転置を表す。
次に、ステップS103では相関行列Rxxから第1固有ベクトルW1及び第2固有ベクトルW2を算出する。すなわち、相関行列Rxxの各固有値を算出すると共に、各固有値に対応する固有ベクトルを算出し、それらの固有ベクトルのうち1番大きな固有値に対応する固有ベクトルを第1固有ベクトルW1、2番目に大きな固有値に対応する固有ベクトルを第2固有ベクトルW2とする。
次に、第1固有ベクトルW1を第1のアダプティブアレー(第1のアレイアンテナ)のウエイトに用いたときの第1アレー出力信号y1(t)を式(3)の計算により生成し(ステップS104)、また第2固有ベクトルW2を第2のアダプティブアレー(第2のアレーアンテナ)のウエイトに用いたときの第2アレー出力信号y2(t)を式(4)の計算により生成する(ステップS105)。
Figure 2009141814
Figure 2009141814
ここで、Hは共役転置を表す。
固有ベクトルビームスペース法では、上述のステップS102〜S105の処理が行われる。ここで、混信している第1到来信号と第2到来信号の電力比が十分大きくない場合、第1アレー出力信号y1(t)及び第2アレー出力信号y2(t)は、共に第1到来信号と第2到来信号の両方を含む。そこで、デジタル信号処理部131では以下の到来信号分離処理を後処理として行う。なお、以降の説明では第1到来信号の電力が第2到来信号の電力に比べて大きいとする。
到来信号分離処理では、まず次式(5)により第1アレー出力信号y1(t)と、絶対値が1以下の第1ウエイトc1が乗じられた第2アレー出力信号c1・y2(t)とを足し合わせた第1合成信号z1(t)を生成する(ステップS106)。なお、ウエイトc1は複素数、すなわち振幅と位相の両方の値を持つ。
Figure 2009141814
また、次式(6)により第1アレー出力信号y1(t)と、絶対値が1以上の第2ウエイトc2が乗じられた第2アレー出力信号c2・y2(t)とを足し合わせて第2合成信号z2(t)を生成する(ステップS107)。なお、第2ウエイトc2も複素数、すなわち振幅と位相の両方の値を持つ。
Figure 2009141814
ここで、第1ウエイトc1は第1合成信号z1(t)に含まれる第1到来信号成分と第2到来信号成分との電力比(第1電力比)が最大化されるように算出され、重み付け器402に対して設定される(ステップS108)。ここでは、例えば電力の小さい方の第2到来信号を式(5)の計算でキャンセルするように、ウエイトc1を算出する。
同様に、第2ウエイトc2は第2合成信号z2(t)に含まれる第1到来信号成分と第2到来信号成分との電力比(第2電力比)が最大化されるように算出され、重み付け器404に対して設定される(ステップS110)。ここでは、電力の大きい方の第1到来信号を式(6)の計算でキャンセルするように、ウエイトc2を算出する。
このようにしてステップS108及びS110により算出された第1ウエイトc1及び第2ウエイトc2を用いてステップS106及びS107で生成された第1合成信号z1(t)及び第2合成信号z2(t)をアンテナ出力信号132、すなわちアダプティブアレーアンテナ装置の出力信号として取り出す(ステップS109及びS111)。このようにアンテナ出力信号132として、混信している第1到来信号と第2到来信号が分離された信号である第1合成信号z1(t)及び第2合成信号z2(t)を得ることができる。すなわち、第1合成信号z1(t)から第1到来信号が得られ、第2合成信号z2(t)から第2到来信号が得られる。
ここで、第1合成信号z1(t)に含まれる第1到来信号成分と第2到来信号成分との電力比、及び第2合成信号z2(t)に含まれる第1到来信号成分と第2到来信号成分との電力比は、任意の方法で算出できる。例えば、第1到来信号と第2到来信号の周波数が少しでも異なっている場合には、合成信号をフーリエ変換して得られる周波数スペクトラムから電力比を評価すればよい。このようにして求められる電力比が最大となるように、ウエイトc1及びc2の最適値を繰り返し演算で求める。
ここで、固有ベクトルビームスペース法の特徴から、第1アレー出力信号y1(t)に含まれる第1到来信号と第2到来信号との第1電力比と、第2アレー出力信号y2(t)に含まれる第1到来信号と第2到来信号との第2電力比とは、互いに反転の関係にある(第1電力比=1/第2電力比)。例えば、第1アレー出力信号y1(t)に含まれる第1到来信号及び第2到来信号の電力をP11及びP12とし、第2アレー出力信号y2(t)に含まれる第1到来信号及び第2到来信号の電力をP21及びP22とすると、式(7)の関係が成立する。
Figure 2009141814
そこで、この電力比反転の原理からウエイトc1及びc2の振幅の範囲を限定して、ウエイトの最適値の繰り返し演算量を削減する。具体的には、ウエイトc1の振幅の絶対値を1以下とし、またウエイトc2の振幅の絶対値を1以上とする。このように限定することで、ウエイトの最適値を求めるための繰り返し演算量が削減される。例えば、ウエイトc1については絶対値の範囲を0から1、位相の範囲を0°〜360°に設定して、2次元のサーチを行って最適値を求める。一方、ウエイトc2については絶対値の範囲を1以上、位相の範囲を0°〜360°に設定して、絶対値の値を1から徐々に大きくしながら2次元のサーチを行って最適値を求める。
図6は、本実施形態の手法に従って混信している第1到来信号と第2到来信号との分離の有効性を確認するためにシミュレーションを行った結果を示している。図6の横軸は、受信信号に含まれる第1到来信号と第2到来信号との電力比に相当するSIR(所望信号対干渉信号電力比)である。ここでは、第1到来信号を所望信号として取り扱い、第2到来信号を干渉信号として取り扱っている。図6の縦軸は、デジタル信号処理部131で処理した後のアンテナ出力信号132に含まれる第1到来信号と第2到来信号との電力比に相当するSINR(所望信号対干渉信号及び雑音電力比)を表している。
そして、実線500はアンテナ出力信号132である第1合成信号z1(t)または第2合成信号z2(t)を表し、破線501は第1アレー出力信号y1(t)を表し、点線502は第2アレー出力信号y2(t)を表している。
図6に示されるように、本実施形態によると受信信号では第1到来信号と第2到来信号との電力比が小さい場合であっても、アンテナ出力信号132においては高い電力比が得られることが分かる。すなわち、固有ベクトルビームスペース法では達成できない高い信号分離性能を得ることができている。
このように本実施形態によれば、混信している到来信号間の電力比の大小に依存することなく、到来信号の分離を行うことができる。
また、本実施形態による到来信号分離機能は、DCMPアルゴリズムやMMSEアルゴリズムのように、到来信号の到来方向や到来信号に含まれる参照信号を用いることなく実現されるので、到来方向推定誤差の大きな場合や、参照信号を含まない任意の到来信号に対して適用することが可能である。
さらに、到来信号分離部で用いるウエイトc1及びc2の振幅の絶対値の範囲が限定されているので、最適なウエイトを計算するための演算量が削減されるという利点がある。
(ウエイト算出の具体例)
ウエイト算出部407及び408においてはウエイトc1及びc2を個々に算出してもよいが、好ましい例によればウエイト算出部408においてウエイトc2の位相がウエイトc1の位相に180°を加えた値に限定された条件下でウエイトc2を算出するとよい。
このようにウエイトc2の位相をウエイトc1から自動的に求めるようにすれば、最適なウエイトを算出するための繰り返し演算量が削減される。例えば、ウエイトc1の最適化を第1の実施形態と同様に行い、次にウエイトc2を求めるときには、ウエイトc2の絶対値のみを変えながら最適値を求めればよい。以下、ウエイトc1及びc2がこのようなウエイトの位相関係になる理由について説明する。
固有ベクトルビームスペース法によって得られる第1アレー出力信号y1(t)と第2アレー出力信号y2(t)は、互いに無相関になる関係がある。このように無相関になる関係をビームパターンの関係に置き換えて考えると、図7(a)及び(b)のように説明される。
第1アレー出力信号y1(t)に対応する第1固有ベクトルビームパターンは、第1到来信号と第2到来信号の両者を受信するパターンである。ここで、第1固有ビームビームパターンでは第1到来信号と第2到来信号は図7(a)に示されるように同位相で受信されると仮定して説明を進める。
第2アレー出力信号y2(t)に対応する第2固有ベクトルビームパターンも、第1到来信号と第2到来信号の両者を受信するパターンである。ところが、第2固有ベクトルビームパターンでは、図7(b)に示されるように第1到来信号と第2到来信号は逆位相で受信される。これは第1到来信号と第2到来信号が同位相で受信された場合には、第1アレー出力信号y1(t)と第2アレー出力信号y2(t)とは、類似度が高くなり、無相関にならないためである。
逆に、第1アレー出力信号y1(t)に対応する第1固有ベクトルビームパターンで第1到来信号と第2到来信号が逆位相で受信される場合には、第2アレー出力信号y2(t)に対応する第2固有ベクトルビームパターンでは第1到来信号と第2到来信号が同位相で受信される。
このような位相関係にあるので、式(5)において第2到来信号を打ち消すために用いるウエイトc1の位相と、式(6)において第1到来信号を打ち消すために用いるウエイトc2の位相との差は、180°となる。
このようにウエイトc2の位相をウエイトc1の位相から求めることにより、最適なウエイトc1及びc2を求めるための繰り返し演算量を削減することが可能になる。演算量が削減されると、消費電力の削減に貢献でき、またリアルタイムにアンテナ出力信号132が得られるようになる。
(電力比算出の具体例)
次に、電力比算出部405及び406における電力比の算出方法の好ましい具体例について説明する。
電力比算出部405においては、例えば第1合成信号z1(t)に含まれる第1到来信号成分と第2到来信号成分との電力比(第1電力比)を第1合成信号から算出される第1の相関行列の第1固有値と第2固有値との比として求める。同様に電力比算出部406においては、例えば第2合成信号z2(t)に含まれる第1到来信号成分と第2到来信号成分との電力比(第2電力比)を第2合成信号から算出される第2の相関行列の第1固有値と第2固有値との比として求める。ここで、第1固有値は第1の相関行列または第2の相関行列中の1番大きな固有値であり、第2固有値は第1の相関行列または第2の相関行列中の2番目に大きな固有値である。
はじめに、相関行列の第1固有値と第2固有値との比を用いることで電力比が求められる理由について説明を行う。相関行列の固有値は、到来信号の電力との関係が強い。従って、相関行列の2つの固有値の比を求めることができれば、近似的に電力比を求めることが可能になる。そこで、相関行列の第1固有値と第2固有値との比を求め、これを電力比の推定に利用する。
このように相関行列の第1固有値と第2固有値との比を第1合成信号z1(t)に含まれる第1到来信号成分と第2到来信号成分との電力比及び第2合成信号z1(t)に含まれる第1到来信号成分と第2到来信号成分との電力比として求める手法は、第1到来信号と第2到来信号の周波数スペクトラムが重なるような場合であっても適用することが可能である。また、この手法によれば、相関行列の固有値以外の情報を利用することなく、簡易に電力比を求めることができる。
次に、ここで利用する相関行列の求め方の例について図8を用いて説明する。第1合成信号z1(t)の時間サンプル数をMとする。ここで、第1合成信号z1(t)のM個のデータを以下のようにN個のグループに分割する。N個のグループは、それぞれ、M/N個のデータから構成される。
第1合成信号のデータ番号1は、第1グループに割り当てる。
第1合成信号のデータ番号2は、第2グループに割り当てる。
第1合成信号のデータ番号Nは、第Nグループに割り当てる。
第1合成信号のデータ番号(N+1)は、第1グループに割り当てる。
このようにK番目のグループのデータは、第1合成信号z1(t)のデータ番号N(t−1)+Kのデータから構成される。ただし、t=1〜M/Nである。
第1、第2、・・・第NグループのデータをそれぞれD1(t),D2(t),...,DN(t)とする。これらN個のデータを要素に持つベクトルを次式(8)で定義する。
Figure 2009141814
ここで、Tは転置を意味する。
式(8)のベクトルD(t)を用いて相関行列Rを次式(9)で算出する。
Figure 2009141814
ここで、Hは共役転置を意味する。また、E[ ]は期待値演算を意味し、具体的には、M/N個の時間サンプルの平均で求められる。以上のようにして相関行列Rが求められる。
このように第1合成信号z1(t)に含まれる第1到来信号成分と第2到来信号成分との電力比を相関行列の第1固有値と第2固有値との比として求めることにより、他の情報を利用することなく受信信号のみから電力比を求めることができるようになる。第2合成信号z2(t)に含まれる第1到来信号成分と第2到来信号成分との電力比についても、上記と同様に求めることができる。
(電力比算出時の相関行列について)
上述のように電力比算出部405において第1合成信号z1(t)に含まれる第1到来信号成分と第2到来信号成分との電力比を第1合成信号から算出される第1の相関行列の第1固有値と第2固有値との比として求め、電力比算出部406において第2合成信号z2(t)に含まれる第1到来信号成分と第2到来信号成分との電力比を第2合成信号から算出される第2の相関行列の第1固有値と第2固有値との比として求める場合、利用する相関行列の行と列の数を「3」とすることが望ましい。このようにすることで、電力比を求めるための演算量を削減することが可能となる。この点について、以下に詳しく説明する。
相関行列の固有値を求めるために必要な演算量は、相関行列の行と列の数が大きくなるにつれて増えていく。従って、固有値を求めるための演算量を減らすためには、相関行列の行と列の数を少なくすればよい。
一方、相関行列の固有値は、固有値の大きさ順に次のような性質を持つ。1番大きな固有値(第1固有値)は、1番大きな到来信号の電力に比例する。2番目に大きな固有値(第2固有値)は、2番目に大きな到来信号の電力に比例する。3番目以降の固有値は、雑音電力に比例する。つまり、最低3つの固有値を求めることができれば、第1到来信号と第2到来信号との電力比を求めることができる。
以上のことより、相関行列の固有値を求めるための演算量を最小化して、電力比を求めるために必要な条件を満足するためには、相関行列の行と列の数を3とすればよい。
このように電力比を求めるための相関行列の行と列の数を3とすることで、電力比算出部405及び406において電力比を算出するのに用いる第1固有値及び第2固有値を求めるための演算量を最小化することが可能になる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態では、受信信号に含まれる第1到来信号と第2到来信号の電力比推定を行い、電力比が所定の値よりも大きい場合と小さい場合に場合分けを行ってアンテナ出力信号132のための演算を切り替えることで、全体の演算量を削減する。図9に示されるように、本実施形態に係るアダプティブアレーアンテナ装置ではデジタル信号処理部131内の図4に示した到来信号分離部に、電力比推定部411及び選択部412が追加されている。
電力比推定部411では、受信信号データベクトルX(t)から受信信号中の第1到来信号と第2到来信号との電力比を算出し、当該電力比の情報を選択部412に送る。選択部412では、電力比を予め定められた閾値と比較し、その比較結果に従って図3の固有ベクトルビームスペース処理部からの第1アレー出力信号y1(t)及び第2アレー出力信号y2(t)と、加算器401及び402からの第1合成信号z1(t)及び第2合成信号z2(t)のいずれかをアンテナ出力信号132として選択する。
図6に示したシミュレーション結果から、第1到来信号と第2到来信号との電力比(図6の横軸=SIR)がある程度大きければ、点線501及び破線502で示されるように第1アレー出力信号y1(t)及び第2アレー出力信号y2(t)において比較的高い電力比(図6の縦軸=SINR)が得られている。無線通信システムの中には、この電力比が所定の値であれば十分な性能が得られ、それ以上の電力比を得る必要のない場合がある。
そこで、本実施形態においては図10のフローチャートに示されるように、図5に示したフローチャートのステップS105の処理の後、電力比推定部411において受信信号データから第1到来信号と第2到来信号との電力比を推定し(ステップS201)、さらに選択部412において電力比を閾値と比較する(ステップS202)。
ステップS202において、ステップS201で推定された電力比が閾値に満たなければ、第1の実施形態と同様に到来信号分離部において第1合成信号z1(t)及び第2合成信号z2(t)を生成し、これらをアンテナ出力信号132として選択部412で選択する(ステップS106〜S111)。
一方、ステップS202において、ステップS201で推定された電力比が閾値より大きければ、固有ベクトルビームスペース処理部によって得られる、第1固有ベクトルをウエイトに用いた第1アレー出力信号y1(t)及び第2固有ベクトルをウエイトに用いた第2アレー出力信号y2(t)をアンテナ出力信号132として選択部412で選択する(ステップS203)。すなわち、ステップS106〜S111の処理を省略する。
電力比推定部411(ステップS201)においては、第1到来信号と第2到来信号の電力比を例えば相関行列の固有値比から推定することが可能であるが、これに限らず別の方法を用いて電力比を推定してもかまわない。
選択部412(ステップS202)において用いる閾値は、到来信号の変調方式などの性質(属性)に基づいて決定することができる。一方、到来信号の性質が予め分かっていない場合には、例えば以下のようにすればよい。はじめに、第1到来信号と第2到来信号との電力比に関係なく、第1合成信号z1(t)及び第2合成信号z2(t)をアンテナ出力信号132とする。そして、第1合成信号と第2合成信号から、第1到来信号と第2到来信号の性質を推定し、この推定結果から閾値を設定する。
このように第2の実施形態によれば、第1到来信号と第2到来信号との電力比がある所定の値(閾値)よりも大きい場合には、デジタル信号処理部131において到来信号分離部の処理を省略することができ、それによって演算量を削減できる。このように演算量を削減することで、デジタル信号処理部131での消費電力が削減され、低コストのアダプティブアレーアンテナ装置を提供することが可能となる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態では、到来信号が一つの場合には第1固有ベクトルをウエイトに用いた第1アレー出力信号y1(t)のみをアンテナ出力信号132とすることにより、余計な演算を省略することを可能とする。すなわち、到来信号の数が一つの場合は、到来信号の分離を行う必要がないので、一つの到来信号に対応するアレー出力信号、特に固有値が1番大きな第1固有ベクトルをウエイトに用いた第1アレー出力信号y1(t)をアンテナ出力信号132とする。
図11に示されるように、本実施形態に係るアダプティブアレーアンテナ装置ではデジタル信号処理部131内の図4に示した到来信号分離部に、到来信号判定部421及び選択部422が追加されている。到来信号判定部421では、図12のフローチャートに示されるように、図5に示したフローチャートのステップS105の処理の後、第1到来信号及び第2到来信号の有無が判定される(ステップS301)。
第1到来信号のみがあるとき、または第2到来信号のみがあるとき、第1固有ベクトルをウエイトに用いた第1アレー出力信号y1(t)は受信電力を最大化する出力である。従って、この場合y1(t)は到来信号と雑音との比を最大化することが可能であり、アンテナ出力信号132として最適である。そこで、ステップS301の処理の後、到来信号推定部421において第1到来信号及び第2到来信号の一方のみが存在するか否かを調べる(ステップS302)。
ステップS302において、第1到来信号及び第2到来信号の両方が存在する場合には、第1の実施形態と同様に到来信号分離部において第1合成信号z1(t)及び第2合成信号z2(t)を生成し、これらをアンテナ出力信号132として選択部422で選択する(ステップS106〜S111)。
一方、ステップS302において、第1到来信号及び第2到来信号のいずれか一方のみが存在する場合には、固有ベクトルビームスペース処理部によって得られる、第1固有ベクトルをウエイトに用いた第1アレー出力信号y1(t)をアンテナ出力信号132として選択部422で選択する(ステップS303)。すなわち、ステップS106〜S111の処理を省略する。
ここで、到来信号判定部421において第1到来信号及び第2到来信号の有無を判定する方法として、電力比推定を利用する方法と、到来信号数推定を利用する方法の2通りある。
前者の電力比推定を利用する方法については、第1到来信号または第2到来信号と雑音との電力比の推定を行い、この電力比の大小から第1到来信号及び第2到来信号の有無を判定することができる。第1到来信号または第2到来信号と雑音の電力比は、例えば相関行列の第2固有値(2番目に大きな固有値)と第3固有値(3番目に大きな固有値)との比として求めることができる。
一方、後者の到来信号数推定を利用する方法については、例えば赤池情報量規準(Akaike Information Criteria:AIC)法、最小記述長(Minimum Description Length:MDL)法などの既存の到来信号数推定アルゴリズムを利用すればよい。推定される到来信号数が1の場合は、第1到来信号及び第2到来信号の一方のみが存在し、到来信号数が2の場合は、第1到来信号及び第2到来信号の両方が存在すると判定することになる。
以上説明したように、第3の実施形態によれば第1到来信号及び第2到来信号の一方のみが存在する場合、すなわち到来信号の数が1の場合には、第1固有ベクトルをウエイトに用いた第1アレー出力信号y1(t)をアンテナ出力信号132とすることにより、到来信号を分離するための余計な演算を省略することが可能となる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態におけるアダプティブアレーアンテナ装置では、アンテナ出力信号132の算出に用いたアレーアンテナのウエイトを用いてアレーアンテナのビームパターンを算出し、算出したビームパターンの最大方向を出力信号の到来方向とする機能を有する。このようにすることで、アンテナ出力信号132に含まれる到来信号の到来方向が推定される。以下、詳細に説明する。
本実施形態では、図13に示されるように上述したアダプティブアレーアンテナ装置に対して、ビームパターン算出部601及び到来方向推定部602が付加される。
第1〜第3の実施形態で述べたアダプティブアレーアンテナ装置において、アンテナ出力信号132の算出に用いるウエイトベクトルは、第1アレー出力信号y1(t)、第2アレー出力信号y2(t)、第1合成信号z1(t)及び第2合成信号z2(t)の4通りに対して、以下のように表せる。
第1アレー出力信号y1(t)に対するウエイトWB1は、第1固有ベクトルw1なので、次式(10)になる。
Figure 2009141814
第2アレー出力信号y2(t)に対するウエイトWB2は、第1固有ベクトルw2なので、次式(11)になる。
Figure 2009141814
第1合成信号z1(t)に対するウエイトWB3は、式(3)と式(5)から次式(12)になる。
Figure 2009141814
第2合成信号z2(t)に対するウエイトWB4は、式(4)と式(6)から、次式(13)になる。
Figure 2009141814
これらのウエイトWB1,WB2,WB3及びWB4(ウエイトベクトル)をアレーアンテナのウエイトとして用いることで、第1到来信号あるいは第2到来信号を受信することが可能になる。つまり、これらのウエイトWB1,WB2,WB3及びWB4をアレーアンテナに利用したときのビームパターンをビームパターン算出部601で算出すると、(a)ウエイトWB1を用いたときのビームパターンのピーク方向は第1アレー出力信号y1(t)に含まれる到来信号の到来方向を指し示し、(b)ウエイトWB2を用いたときのビームパターンのピーク方向は第2アレー出力信号y2(t)に含まれる到来信号の到来方向を指し示し、(c)ウエイトWB3を用いたときのビームパターンのピーク方向は第1合成信号z1(t)に含まれる到来信号の到来方向を指し示し、(d)ウエイトWB4を用いたときのビームパターンのピーク方向は第2合成信号Z2(t)に含まれる到来信号の到来方向を指し示すこととなる。従って、このように算出したビームパターンから、到来方向推定部602によって第1到来信号及び第2到来信号の到来方向を推定することが可能になる。
すなわち、第1アレー出力信号y1(t)及び第2アレー出力信号y2(t)の合成を行う場合、第1合成信号z1(t)及び第2合成信号Z2(t)にそれぞれ到来信号が含まれているので、2つの合成信号z1(t)及びZ2(t)に対してビームパターンを算出して到来信号の到来方向を推定する。一方、2つの到来信号の電力比の差が十分大きく、第1アレー出力信号y1(t)及び第2アレー出力信号y2(t)の合成を行わない場合、アレー出力信号y1(t)及びy2(t)にそれぞれ1つずつ到来信号が含まれているので、2つのアレー出力信号y1(t)及びy2(t)に対してビームパターンを算出して到来信号の到来方向を推定する。
一般的に、到来方向推定を行うと第1到来信号と第2到来信号の到来方向は算出されるが、到来方向と到来信号を対応させるためには、さらに演算を行わなければならない問題があった。これに対し、本実施形態のように到来方向推定を行うと、到来信号と到来方向との対応付けを容易に行うことが可能となる。
また、到来方向推定のための計算は、ウエイトをつかったビームパターンの計算だけなので、少ない演算量で到来方向を算出することが可能になっている。
上述したアダプティブアレーアンテナ装置は、無線通信や電波監視の分野に用いることが可能である。例えば、上述したアダプティブアレーアンテナ装置を無線通信の分野に用いる場合、2つの到来信号を分離することができるので、通信容量を増大することが可能になる。電波監視の分野に上述したアダプティブアレーアンテナを用いる場合には、混信してしまった複数の到来信号を分離できるようになる。さらに、コグニティブ無線のように電波の監視を行ってから通信を行う技術分野に対しても、上述したアダプティブアレーアンテナを適用することが可能となる。
その他、リアルタイム処理のための演算の高速化、到来信号数推定、到来方向推定、到来信号電力推定、装置の小形化、軽量化、低コスト化などにも上述したアダプティブアレーアンテナは有効である。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
第1の実施形態に係るアダプティブアレーアンテナ装置の概略を示すブロック図 受信アナログ部の具体例を示すブロック図 第1の実施形態における固有ベクトルビームスペース処理部の具体例を示すブロック図 第1の実施形態における到来信号分離部を示すブロック図 第1の実施形態におけるデジタル信号処理部の処理手順を示すフローチャート 第1の実施形態における信号分離性能を評価するためのシミュレーション結果を示す図 固有ベクトルビームスペース法における第1固有ベクトル及び第2固有ベクトルのビームパターンについての説明図 相関行列を求めるためのデータの分割方法を説明する図 第2の実施形態における到来信号分離部を示すブロック図 第2の実施形態におけるデジタル信号処理部の処理手順を示すフローチャート 第3の実施形態における到来信号分離部を示すブロック図 第3の実施形態におけるデジタル信号処理部の処理手順を示すフローチャート 第4の実施形態を説明するためのブロック図
符号の説明
101〜10k・・・アンテナ
111〜11k・・・受信アナログ部
121〜12k・・・アナログ−デジタル変換器
131・・・デジタル信号処理部
132・・・アンテナ出力信号
300・・・相関行列算出部
311〜31k,321〜32k・・・重み付け器
341,342・・・加算器(合成部)
401,403・・・加算器(合成部)
402,404・・・重み付け器
405,406・・・電力比算出部
407,408・・・ウエイト算出部
411・・・電力比推定部
412・・・選択部
421・・・到来信号判定部
422・・・選択部
601・・・ビームパターン算出部
602・・・到来方向推定部

Claims (12)

  1. 複数のアンテナを含み、該アンテナを介して第1到来信号と第2到来信号を含む複数の到来信号を受信して受信信号を得るステップと、
    前記受信信号から相関行列を算出するステップと、
    前記相関行列中の1番大きな第1固有値に対応する第1固有ベクトルを算出するステップと、
    前記相関行列中の2番目に大きな第2固有値に対応する第2固有ベクトルを算出するステップと、
    前記第1固有ベクトルをウエイトに用いて第1アレー出力信号を生成するステップと、
    前記第2固有ベクトルをウエイトに用いて第2アレー出力信号を生成するステップと、
    前記第1アレー出力信号と絶対値が1以下の第1ウエイトが乗じられた後の第2アレー出力信号を合成して第1合成信号を生成するステップと、
    前記第1アレー出力信号と絶対値が1以上の第2ウエイトが乗じられた後の第2アレー出力信号を合成して第2合成信号を生成するステップと、
    前記第1合成信号に含まれる第1到来信号成分と第2到来信号成分との第1電力比が最大化されるように前記第1ウエイトを算出するステップと、
    前記第2合成信号に含まれる第1到来信号成分と第2到来信号成分との第2電力比が最大化されるように前記第2ウエイトを算出するステップと、
    を具備することを特徴とする到来信号の受信方法。
  2. 複数のアンテナを含み、該アンテナを介して第1到来信号と第2到来信号を含む複数の到来信号を受信して受信信号を得る受信部と、
    前記受信信号から相関行列を算出する相関行列算出部と、
    前記相関行列中の1番大きな第1固有値に対応する第1固有ベクトルを算出する第1の固有ベクトル算出部と、
    前記相関行列中の2番目に大きな第2固有値に対応する第2固有ベクトルを算出する第2の固有ベクトル算出部と、
    前記第1固有ベクトルをウエイトに用いて第1アレー出力信号を生成する第1のアダプティブアレーと、
    前記第2固有ベクトルをウエイトに用いて第2アレー出力信号を生成する第2のアダプティブアレーと、
    前記第1アレー出力信号と絶対値が1以下の第1ウエイトが乗じられた後の第2アレー出力信号を合成して第1合成信号を生成する第1の合成部と、
    前記第1アレー出力信号と絶対値が1以上の第2ウエイトが乗じられた後の第2アレー出力信号を合成して第2合成信号を生成する第2の合成部と、
    前記第1合成信号に含まれる第1到来信号成分と第2到来信号成分との第1電力比が最大化されるように前記第1ウエイトを算出する第1のウエイト算出部と、
    前記第2合成信号に含まれる第1到来信号成分と第2到来信号成分との第2電力比が最大化されるように前記第2ウエイトを算出する第2のウエイト算出部と、
    を具備することを特徴とするアダプティブアレーアンテナ装置。
  3. 前記第1ウエイト算出部は、前記第2ウエイトの位相が前記第1ウエイトの位相に180°を加えた値に限定された条件下で前記第1ウエイトを算出することを特徴とする請求項2に記載のアダプティブアレーアンテナ装置。
  4. 前記第1電力比は、前記第1合成信号から算出される第1の相関行列の第1固有値と第2固有値との比であることを特徴とする請求項2に記載のアダプティブアレーアンテナ装置。
  5. 前記第1の相関行列は、行と列の数がそれぞれ3であることを特徴とする請求項4に記載のアダプティブアレーアンテナ装置。
  6. 前記第2電力比は、前記第2合成信号から算出される第2の相関行列の第1固有値と第2固有値との比であることを特徴とする請求項2に記載のアダプティブアレーアンテナ装置。
  7. 前記第第2の相関行列は、行と列の数がそれぞれ3であることを特徴とする請求項6に記載のアダプティブアレーアンテナ装置。
  8. 前記受信信号データから前記受信信号中の第1到来信号と第2到来信号との電力比を推定する推定部と、
    前記第1到来信号と第2到来信号との電力比が閾値よりも大きい場合には、前記第1アレー出力信号及び第2アレー出力信号をアンテナ出力信号として選択し、前記第1到来信号と第2到来信号との電力比が前記閾値よりも小さい場合には、前記第1合成信号と第2合成信号をアンテナ出力信号として選択する選択部と、をさらに具備することを特徴とする請求項2に記載のアダプティブアレーアンテナ装置。
  9. 前記第1到来信号及び第2到来信号の有無を判定する判定部と、
    前記判定部の判定結果を受け、前記第1到来信号及び第2到来信号の一方のみが存在する場合には前記第1アレー出力信号をアンテナ出力信号として選択し、前記第1到来信号及び第2到来信号が共に存在する場合には、前記第1合成信号と第2合成信号をアンテナ出力信号として選択する選択部と、をさらに具備することを特徴とする請求項2に記載のアダプティブアレーアンテナ装置。
  10. 前記判定部は、前記第1到来信号または第2到来信号と雑音との電力比から前記第1到来信号及び第2到来信号の有無を判定することを特徴とする請求項9に記載のアダプティブアレーアンテナ装置。
  11. 前記判定部は、前記複数の到来信号の到来信号数から前記第1到来信号及び第2到来信号の有無を判定することを特徴とする請求項9に記載のアダプティブアレーアンテナ装置。
  12. (a)前記第1固有ベクトルと前記第2固有ベクトル×前記第1ウエイトとの和、及び(b)前記第1固有ベクトルと前記第2固有ベクトル×前記第2ウエイトとの和にそれぞれ対応するビームパターンを算出する算出部と、
    前記ビームパターンのピーク方向を検出して前記第1合成信号及び前記第2合成信号にそれぞれ含まれる到来信号の到来方向を推定する推定部と、をさらに具備することを特徴とする請求項2に記載のアダプティブアレーアンテナ装置。
JP2007317640A 2007-12-07 2007-12-07 到来信号の受信方法及びアダプティブアレーアンテナ装置 Active JP4846701B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007317640A JP4846701B2 (ja) 2007-12-07 2007-12-07 到来信号の受信方法及びアダプティブアレーアンテナ装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007317640A JP4846701B2 (ja) 2007-12-07 2007-12-07 到来信号の受信方法及びアダプティブアレーアンテナ装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009141814A true JP2009141814A (ja) 2009-06-25
JP4846701B2 JP4846701B2 (ja) 2011-12-28

Family

ID=40871947

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007317640A Active JP4846701B2 (ja) 2007-12-07 2007-12-07 到来信号の受信方法及びアダプティブアレーアンテナ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4846701B2 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002064323A (ja) * 2000-08-18 2002-02-28 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 複数ビーム制御適応アンテナ装置及びそれを用いた通信方法
JP2006295736A (ja) * 2005-04-13 2006-10-26 Mitsubishi Electric Corp 無線通信装置および通信方法
JP2007006264A (ja) * 2005-06-24 2007-01-11 Toshiba Corp ダイバーシチ受信機
JP2007274250A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Kddi Corp 空間角度広がり推定方法および受信装置
JP2007309846A (ja) * 2006-05-19 2007-11-29 Mitsubishi Electric Corp 電波到来方向探知装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002064323A (ja) * 2000-08-18 2002-02-28 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 複数ビーム制御適応アンテナ装置及びそれを用いた通信方法
JP2006295736A (ja) * 2005-04-13 2006-10-26 Mitsubishi Electric Corp 無線通信装置および通信方法
JP2007006264A (ja) * 2005-06-24 2007-01-11 Toshiba Corp ダイバーシチ受信機
JP2007274250A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Kddi Corp 空間角度広がり推定方法および受信装置
JP2007309846A (ja) * 2006-05-19 2007-11-29 Mitsubishi Electric Corp 電波到来方向探知装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP4846701B2 (ja) 2011-12-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5230766B2 (ja) 到来方向推定装置及び到来方向推定方法
JP5230779B2 (ja) 無線通信装置及び無線通信方法
JP3888189B2 (ja) 適応アンテナ基地局装置
JP4086574B2 (ja) パスサーチ回路、無線受信装置及び無線送信装置
JP4309110B2 (ja) 適応アンテナ無線通信装置
JP4594881B2 (ja) 多入力多出力通信装置
JP2004032656A (ja) 無線通信装置および到来方向推定方法
JP5073809B2 (ja) チャネル情報予測システム及びチャネル情報予測方法
KR20050004605A (ko) 서브-어레이 그루핑된 적응 배열 안테나들을 이용하여빔형성 및 다이버시티 이득을 제공하는 무선 페이딩 채널복조기, 이를 구비한 이동 통신 수신 시스템 및 그 방법
WO2006131036A1 (fr) Procede de realisation d&#39;antenne intelligente basee sur une radio logicielle et systeme prevu a cet effet
JP2007159130A (ja) 分散型アンテナ移動通信システムにおける上り受信方法及び装置
JP2004112058A (ja) アレーアンテナシステム及びその指向性制御方法、移動端末
US6317611B1 (en) Communication device with adaptive antenna
JP4846701B2 (ja) 到来信号の受信方法及びアダプティブアレーアンテナ装置
JP4628985B2 (ja) アレーアンテナシステムおよびビーム制御方法
JP4820848B2 (ja) 適応アンテナ無線通信装置及び適応アンテナ無線通信方法
JP2008306662A (ja) 送受信装置及びその通信方法
JP6613802B2 (ja) アンテナ装置、アンテナ装置の制御方法、およびアンテナ装置の制御プログラム
JP4778982B2 (ja) 受信装置及び干渉抑圧方法
JP4901643B2 (ja) アダプティブアレーアンテナ装置およびプログラム
JP4959228B2 (ja) 到来波数推定装置
JP2006229536A (ja) 基地局装置およびアレーアンテナ制御方法
JP3740063B2 (ja) 基地局装置およびダイバーシチ制御方法
Singh et al. Beamforming Showing Effect on BER with Change in Antenna Configuration
JP4203529B2 (ja) 無線装置およびアンテナ指向性制御方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101015

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110623

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110628

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110829

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110920

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111012

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141021

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4846701

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141021

Year of fee payment: 3