JP2009137192A - マーブル調成形品の成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】特殊な装置を設置した射出成形機を用いず、マーブル調の成形品を簡便に得ることを目的とする。
【解決手段】本発明のマーブル調成形品の成形方法は、ガラス転移温度及び色調が異なる2種類以上の熱可塑性樹脂(A)並びに滑剤(B)を射出成形機に投入し、該射出成形機のシリンダー温度を、(Tg1+50)℃〜(Tg1+90)℃(但し、Tg1は熱可塑性樹脂(A)の中でガラス転移温度が一番低い熱可塑性樹脂(A−1)のガラス転移温度である)として射出成形することを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】本発明のマーブル調成形品の成形方法は、ガラス転移温度及び色調が異なる2種類以上の熱可塑性樹脂(A)並びに滑剤(B)を射出成形機に投入し、該射出成形機のシリンダー温度を、(Tg1+50)℃〜(Tg1+90)℃(但し、Tg1は熱可塑性樹脂(A)の中でガラス転移温度が一番低い熱可塑性樹脂(A−1)のガラス転移温度である)として射出成形することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、マーブル調成形品の成形方法に関する。
射出成形機を用いた熱可塑性樹脂の成形において、色調が異なる2種類以上の熱可塑性樹脂を混合して、一般のスクリュー式射出成形機で、マーブル調の成形品を製造することは困難であった。何故なら、色調が異なる2種類以上の熱可塑性樹脂を混合して、射出成形機のホッパー口より投入して可塑化を行うと混練されてしまうためである。
そこで従来から、射出成形機に特殊な工夫を凝らし、マーブル調の成形品を製造する方法が提案されている。
そこで従来から、射出成形機に特殊な工夫を凝らし、マーブル調の成形品を製造する方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、特殊なスクリューにて色調の異なる複数の樹脂を半溶融状態でシリンダー内に充填し、シリンダー内に設けたトーピードの隙間を通過する間に溶融させ、マーブル調の成形品を製造する方法が開示されている。
また、特許文献2では、ノズル内に螺旋状板羽根によるトーピードを設け、色調の異なる複数の溶融樹脂を混合してマーブル調の成形品を製造する方法が開示されている。
また、特許文献3では、シリンダーに複数のホッパーを取り付け、混練を抑えてマーブル調の成形品を製造する方法が開示されている。
また、特許文献4では、加熱筒に成形した第1の樹脂路に第2の樹脂路を形成したロッドを差込み、第1の樹脂と第2の樹脂を混練してマーブル調の成形品を製造する方法が開示されている。
更に最近では、色の異なる複数の樹脂材料を連続して順次加熱筒へ送り込み、加熱筒で溶融状態にされた前記色の異なる複数の樹脂材料をスクリューの回転により混練しつつ金型内に射出してマーブル調の成形品を製造する方法が提案されており、特許文献5に開示されている。
特開昭48−42060号公報
特開昭57−72836号公報
特開平2−265722号公報
特開平9−169043号公報
特開2002−36291号公報
また、特許文献2では、ノズル内に螺旋状板羽根によるトーピードを設け、色調の異なる複数の溶融樹脂を混合してマーブル調の成形品を製造する方法が開示されている。
また、特許文献3では、シリンダーに複数のホッパーを取り付け、混練を抑えてマーブル調の成形品を製造する方法が開示されている。
また、特許文献4では、加熱筒に成形した第1の樹脂路に第2の樹脂路を形成したロッドを差込み、第1の樹脂と第2の樹脂を混練してマーブル調の成形品を製造する方法が開示されている。
更に最近では、色の異なる複数の樹脂材料を連続して順次加熱筒へ送り込み、加熱筒で溶融状態にされた前記色の異なる複数の樹脂材料をスクリューの回転により混練しつつ金型内に射出してマーブル調の成形品を製造する方法が提案されており、特許文献5に開示されている。
しかしながら、特許文献1〜4に記載の製造方法はいずれも、マーブル調の成形品を成形するために射出成形機に特殊な装置を設置して成形品を製造する方法であり、一般の射出成形機をそのまま用いることはできないという問題があった。
また特許文献5記載の製造方法は、色の異なる複数の樹脂材料を連続して順次加熱筒へ送り込み、連続的にマーブル調が変化してしまうものであった。
また特許文献5記載の製造方法は、色の異なる複数の樹脂材料を連続して順次加熱筒へ送り込み、連続的にマーブル調が変化してしまうものであった。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、特殊な装置を設置した射出成形機を用いず、マーブル調の成形品を簡便に得ることを目的とする。
本発明のマーブル調成形品の成形方法は、ガラス転移温度及び色調が異なる2種類以上の熱可塑性樹脂(A)並びに滑剤(B)を射出成形機に投入し、該射出成形機のシリンダー温度を、(Tg1+50)℃〜(Tg1+90)℃(但し、Tg1は熱可塑性樹脂(A)の中でガラス転移温度が一番低い熱可塑性樹脂(A−1)のガラス転移温度である)として射出成形することを特徴とする。
熱可塑性樹脂(A)の中で熱可塑性樹脂(A−1)以外の熱可塑性樹脂(A−2)のガラス転移温度Tg2が、(Tg1+10)℃〜(Tg1+30)℃であると好ましい。
また、熱可塑性樹脂(A)はメタクリル樹脂であると好ましい。
また、熱可塑性樹脂(A)はメタクリル樹脂であると好ましい。
本発明によれば、一般の射出成形機で、ガラス転移温度及び色調が異なる2種類以上の熱可塑性樹脂並びに滑剤を混合することにより、マーブル調成形品を容易に製造できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のマーブル調成形品の成形方法は、ガラス転移温度及び色調が異なる2種類以上の熱可塑性樹脂(A)並びに滑剤(B)を射出成形機に投入し、該射出成形機のシリンダー温度を、(Tg1+50)℃〜(Tg1+90)℃(但し、Tg1は熱可塑性樹脂(A)の中でガラス転移温度が一番低い熱可塑性樹脂(A−1)のガラス転移温度である)として射出成形することを特徴とする。
ここで「ガラス転移温度が異なる」とは、熱可塑性樹脂のガラス転移温度の差が1℃以上であることをいう。
また「色調が異なる」とは、熱可塑性樹脂の試験片について、JIS K7105に記載の方法により算出されるL*の値の差が3以上であることをいう。
本発明のマーブル調成形品の成形方法は、ガラス転移温度及び色調が異なる2種類以上の熱可塑性樹脂(A)並びに滑剤(B)を射出成形機に投入し、該射出成形機のシリンダー温度を、(Tg1+50)℃〜(Tg1+90)℃(但し、Tg1は熱可塑性樹脂(A)の中でガラス転移温度が一番低い熱可塑性樹脂(A−1)のガラス転移温度である)として射出成形することを特徴とする。
ここで「ガラス転移温度が異なる」とは、熱可塑性樹脂のガラス転移温度の差が1℃以上であることをいう。
また「色調が異なる」とは、熱可塑性樹脂の試験片について、JIS K7105に記載の方法により算出されるL*の値の差が3以上であることをいう。
〔熱可塑性樹脂〕
本発明のマーブル調成形方法で用いる2種以上の熱可塑性樹脂(A)は、非結晶性樹脂及び結晶性樹脂のいずれでも良いが、溶融粘度の樹脂温度依存性が大きい樹脂である非結晶性樹脂であると好ましい。
本発明のマーブル調成形方法で用いる2種以上の熱可塑性樹脂(A)は、非結晶性樹脂及び結晶性樹脂のいずれでも良いが、溶融粘度の樹脂温度依存性が大きい樹脂である非結晶性樹脂であると好ましい。
非結晶性樹脂としては特に限定されないが、例えばポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、AAS樹脂、AES樹脂、塩化ビニル樹脂、メタクリル樹脂、MS樹脂、ポリカーボネート等が挙げられる。中でも、得られるマーブル調成形品の鮮明さの観点から、メタクリル樹脂がより好ましい。
また、これらの熱可塑性樹脂は射出成形機に用いるに当たって、平均粒子径が0.5〜6mmである粒状樹脂であると好ましい。熱可塑性樹脂の平均粒子径が0.5mm以上であると可塑化が安定し、また本発明のマーブル調成形品の成形方法によるガラス転移温度及び色調が異なる2種類以上の熱可塑性樹脂(A)が混練されにくくなるためであり、6mm以下であると可塑化が安定になりスクリュー回転トルクが低くなるためである。
また、これらの熱可塑性樹脂は射出成形機に用いるに当たって、平均粒子径が0.5〜6mmである粒状樹脂であると好ましい。熱可塑性樹脂の平均粒子径が0.5mm以上であると可塑化が安定し、また本発明のマーブル調成形品の成形方法によるガラス転移温度及び色調が異なる2種類以上の熱可塑性樹脂(A)が混練されにくくなるためであり、6mm以下であると可塑化が安定になりスクリュー回転トルクが低くなるためである。
〔滑剤〕
本発明に使用される滑剤(B)としては、脂肪酸石鹸、金属石鹸、パラフィンワックス、炭化水素油、脂肪族アルコール、脂肪酸エステル、低分子量ポリエチレン、合成ワックス、シリコーン等が挙げられる。
特に、本発明に使用される熱可塑性樹脂(A)がメタクリル樹脂である場合、使用される滑剤(B)はメタクリル樹脂の特性である透明性、耐候性、耐擦傷性等の特性を損なわないものが良い。従って、メタクリル樹脂の表面に付着させる滑剤は、前記滑剤の中でも脂肪族アルコール、脂肪酸エステルがより好ましい。
本発明に使用される滑剤(B)としては、脂肪酸石鹸、金属石鹸、パラフィンワックス、炭化水素油、脂肪族アルコール、脂肪酸エステル、低分子量ポリエチレン、合成ワックス、シリコーン等が挙げられる。
特に、本発明に使用される熱可塑性樹脂(A)がメタクリル樹脂である場合、使用される滑剤(B)はメタクリル樹脂の特性である透明性、耐候性、耐擦傷性等の特性を損なわないものが良い。従って、メタクリル樹脂の表面に付着させる滑剤は、前記滑剤の中でも脂肪族アルコール、脂肪酸エステルがより好ましい。
〔マーブル調成形品の成形方法〕
本発明のマーブル調成形品の成形方法では、射出成形機を用いてマーブル調成形品の成形を行う。
射出成形機は成形材料である熱可塑性樹脂等をシリンダー内で加熱溶融し、金型内に射出する装置である。熱可塑性樹脂等はシリンダー内のスクリュー根本部から供給され、スクリューの回転による剪断発熱とシリンダー外周に配設されたヒーターの熱によって溶融する。溶融した樹脂はスクリュー先端部に貯留した後、スクリューの前進作動により金型内に流入、固化して成形品となる。
本発明のマーブル調成形品の成形方法では、射出成形機を用いてマーブル調成形品の成形を行う。
射出成形機は成形材料である熱可塑性樹脂等をシリンダー内で加熱溶融し、金型内に射出する装置である。熱可塑性樹脂等はシリンダー内のスクリュー根本部から供給され、スクリューの回転による剪断発熱とシリンダー外周に配設されたヒーターの熱によって溶融する。溶融した樹脂はスクリュー先端部に貯留した後、スクリューの前進作動により金型内に流入、固化して成形品となる。
まず、本発明の射出成形機を用いたマーブル調成形品の成形においては、ガラス転移温度と色調が異なる2種類以上の熱可塑性樹脂(A)並びに滑剤(B)を射出成形機に投入する。
ガラス転移温度及び色調が異なる2種類以上の熱可塑性樹脂(A)は、その中で、ガラス転移温度が一番低い熱可塑性樹脂(A−1)と、ガラス転移温度が一番低い熱可塑性樹脂以外の熱可塑性樹脂(A−2)に大別される。
ガラス転移温度が一番低い熱可塑性樹脂(A−1)以外の熱可塑性樹脂(A−2)、すなわち熱可塑性樹脂(A−1)と色調が異なりマーブル調を成形する他の1種類以上の熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg2は、(Tg1+10)℃〜(Tg1+30)℃であることが好ましい。熱可塑性樹脂(A−2)のガラス転移温度Tg2を前記温度範囲内で高くすると、これらの熱可塑性樹脂の溶融粘度も相対的に高くなるため、シリンダー内で半溶融状態となる。従って、ガラス転移温度が一番低い熱可塑性樹脂と均一に混練されにくくなり、マーブル調が成形される。このとき、ガラス転移温度の差が小さすぎると、マーブル調が不鮮明となり、ガラス転移温度の差が大きすぎると、樹脂が半溶融状態とならず粒状のままであり、マーブル調を形成することができない。またスクリュー回転トルクが高くなり可塑化が不安定になりやすい。
尚、マーブル調の発現性及び成形安定性の観点より、熱可塑性樹脂(A−2)のガラス転移温度Tg2は、(Tg1+20)℃〜(Tg1+30)℃であるとより好ましい。
ガラス転移温度が一番低い熱可塑性樹脂(A−1)以外の熱可塑性樹脂(A−2)、すなわち熱可塑性樹脂(A−1)と色調が異なりマーブル調を成形する他の1種類以上の熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg2は、(Tg1+10)℃〜(Tg1+30)℃であることが好ましい。熱可塑性樹脂(A−2)のガラス転移温度Tg2を前記温度範囲内で高くすると、これらの熱可塑性樹脂の溶融粘度も相対的に高くなるため、シリンダー内で半溶融状態となる。従って、ガラス転移温度が一番低い熱可塑性樹脂と均一に混練されにくくなり、マーブル調が成形される。このとき、ガラス転移温度の差が小さすぎると、マーブル調が不鮮明となり、ガラス転移温度の差が大きすぎると、樹脂が半溶融状態とならず粒状のままであり、マーブル調を形成することができない。またスクリュー回転トルクが高くなり可塑化が不安定になりやすい。
尚、マーブル調の発現性及び成形安定性の観点より、熱可塑性樹脂(A−2)のガラス転移温度Tg2は、(Tg1+20)℃〜(Tg1+30)℃であるとより好ましい。
また、熱可塑性樹脂(A−1)と、熱可塑性樹脂(A−2)との混合割合は、スクリュー回転トルクが高くなりすぎないように、熱可塑性樹脂(A−1)が80〜99質量%、熱可塑性樹脂(A−2)が20〜1質量%であると好ましい。更に、熱可塑性樹脂(A−1)が90〜95質量%、熱可塑性樹脂(A−2)が10〜5質量%であるとより好ましい。
一方、熱可塑性樹脂(A)と共に射出成形機に投入する滑剤(B)は、投入前に熱可塑性樹脂(A)に付着されていると好ましい。
熱可塑性樹脂に滑剤を付着させる方法としては、熱可塑性樹脂を前記粒状樹脂とする製造工程に滑剤付着工程を導入しても良いし、既に粒状樹脂として加工された熱可塑性樹脂に後から滑剤をブレンドしても良い。
例えば熱可塑性樹脂の粒状樹脂製造工程が、押出機より吐出されたストランド状の熱可塑性樹脂を冷却した後に粒状にカッティングする工程である場合、このカッティングする工程前のストランド状の熱可塑性樹脂に、滑剤を粉状、或いは液状にして付着させる方法がある。
また、滑剤を既に粒状樹脂として加工された熱可塑性樹脂にブレンドする場合は、ポリエチレン袋内に乾燥した熱可塑性樹脂と適量の滑剤を入れてハンドブレンドするか、或いはタンブラー等の混合機を使用してブレンドする方法がある。
熱可塑性樹脂に滑剤を付着させる方法としては、熱可塑性樹脂を前記粒状樹脂とする製造工程に滑剤付着工程を導入しても良いし、既に粒状樹脂として加工された熱可塑性樹脂に後から滑剤をブレンドしても良い。
例えば熱可塑性樹脂の粒状樹脂製造工程が、押出機より吐出されたストランド状の熱可塑性樹脂を冷却した後に粒状にカッティングする工程である場合、このカッティングする工程前のストランド状の熱可塑性樹脂に、滑剤を粉状、或いは液状にして付着させる方法がある。
また、滑剤を既に粒状樹脂として加工された熱可塑性樹脂にブレンドする場合は、ポリエチレン袋内に乾燥した熱可塑性樹脂と適量の滑剤を入れてハンドブレンドするか、或いはタンブラー等の混合機を使用してブレンドする方法がある。
滑剤(B)は熱可塑性樹脂(A)の表面に均一に付着されていることが好ましい。従って、滑剤を付着させる際は、滑剤が常温で固体の場合は、該滑剤が加熱され溶けた状態で熱可塑性樹脂表面に付着させることが好ましい。
滑剤(B)の融点としては、滑剤が溶けやすく均一に付着しやすいように、50〜90℃のものを選択することが好ましく、50〜70℃のものを選択することがより好ましい。滑剤の融点が50℃以上であれば加温することで容易に溶けやすく、熱可塑性樹脂の表面に均一に付着させることが容易であり、90℃以下であれば、熱可塑性樹脂のガラス転移温度より低く取り扱い易い。
滑剤を、前記の方法で熱可塑性樹脂に付着させる場合は、熱可塑性樹脂の表面温度を80℃以上にすると滑剤が溶けやすく、かつ均一に付着しやすくなる。
滑剤(B)の融点としては、滑剤が溶けやすく均一に付着しやすいように、50〜90℃のものを選択することが好ましく、50〜70℃のものを選択することがより好ましい。滑剤の融点が50℃以上であれば加温することで容易に溶けやすく、熱可塑性樹脂の表面に均一に付着させることが容易であり、90℃以下であれば、熱可塑性樹脂のガラス転移温度より低く取り扱い易い。
滑剤を、前記の方法で熱可塑性樹脂に付着させる場合は、熱可塑性樹脂の表面温度を80℃以上にすると滑剤が溶けやすく、かつ均一に付着しやすくなる。
滑剤(B)を付着させる量は多すぎると熱可塑性樹脂(A)にべた付きが発生し、また滑剤(B)を付着させた熱可塑性樹脂(A)が冷えたときにはブロッキングを起こしやすくなる。一方、少なすぎると射出成形機におけるスクリュー回転トルクを低減させることができない。従って、滑剤(B)の付着量としては熱可塑性樹脂(A)の総量100質量部に対して0.01〜0.3質量部とするのが好ましく、0.02〜0.1質量部とするとより好ましい。
次に射出成形を行う。
本発明のマーブル調成形品の成形方法では、射出成形機のシリンダー温度を、(Tg1+50)℃〜(Tg1+90)℃として、射出成形する。
本発明のマーブル調成形品の成形方法では、射出成形機のシリンダー温度を、(Tg1+50)℃〜(Tg1+90)℃として、射出成形する。
一般的には、例えばメタクリル樹脂の射出成形では、射出成形機のシリンダー温度を、用いるメタクリル樹脂のガラス転移温度より90℃以上高くして成形する。この温度未満では、射出成形機のスクリュー回転トルクやスクリュー回転数のバラツキが大きくなり、結果として可塑化が不安定となりやすい。場合によってはスクリュー回転トルクが高くなり、スクリュー回転が停止する結果となる。なお、「シリンダー温度」とは、射出成形機のシリンダー(加熱筒)の設定温度のことをいう。
本発明の射出成形機を用いた熱可塑性樹脂の成形においては、熱可塑性樹脂表面に滑剤を付着させ、シリンダー温度を(Tg1+50)℃〜(Tg1+90)℃とすると、射出成形が安定し、連続成形が可能となる。これは熱可塑性樹脂の表面に滑剤を付着させることにより、シリンダー内でスリッピングを起こしスクリュー回転トルクが低減され、該樹脂の可塑化が安定するためである。
シリンダー温度が(Tg1+50)℃以上であると、ガラス転移温度が一番低い熱可塑性樹脂は、射出成形機内で成形時完全に溶融するため、成形品の基材とすることができる。一方、シリンダー温度が(Tg1+90)℃以下であると、成形品のマーブル調が鮮明となる。シリンダー温度を(Tg1+50)℃〜(Tg1+80)℃とすると好ましい。
シリンダー温度が(Tg1+50)℃以上であると、ガラス転移温度が一番低い熱可塑性樹脂は、射出成形機内で成形時完全に溶融するため、成形品の基材とすることができる。一方、シリンダー温度が(Tg1+90)℃以下であると、成形品のマーブル調が鮮明となる。シリンダー温度を(Tg1+50)℃〜(Tg1+80)℃とすると好ましい。
本発明におけるシリンダー温度は、前記の通り(Tg1+50)℃〜(Tg1+90)℃とするもので、通常のシリンダー温度より低い設定であるが熱可塑性樹脂の表面に滑剤が付着していることで、可塑化時にシリンダー内の樹脂がスリッピングを起こし安定した成形が可能となり、2種類以上のガラス転移温度及び色調が異なる樹脂が更に混練されにくくなるため、マーブル調が発現される。
シリンダー温度は、低く設定しすぎるとスクリュー回転トルクが高くなり、該樹脂の可塑化が不安定になりやすい。従って、シリンダー温度をスクリュー回転最大トルクが80%以下になるように設定すると好ましい。ここでスクリュー回転最大トルクとは、射出成形機の最大能力値のことである。油圧式射出成形機の場合、油圧モーターによりスクリューを回転させており、油圧の最大値は、通常14MPaである。この油圧最大値をスクリュー回転最大トルクとする。このとき、80%以下の設定とは、油圧モーターの油圧として14×0.8=11.2MPa以下にすることである。
本発明において、シリンダー温度を低く設定するので樹脂にエアーを巻込みやすくなるため、スクリュー回転時の背圧は高めに設定するほうが好ましい。
本発明において、シリンダー温度を低く設定するので樹脂にエアーを巻込みやすくなるため、スクリュー回転時の背圧は高めに設定するほうが好ましい。
以上説明した本発明のマーブル調成形品の成形方法によれば、ガラス転移温度及び色調が異なる2種類以上の熱可塑性樹脂並びに滑剤を、一般の射出成形機に投入するだけでマーブル調成形品を得ることが可能である。
本発明の方法により得られるマーブル調成形品としては、コップ、皿、茶たく等の日常品や、加飾銘板、装飾品等が挙げられる。
本発明の方法により得られるマーブル調成形品としては、コップ、皿、茶たく等の日常品や、加飾銘板、装飾品等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例及び比較例で用いた機材及び樹脂等を以下に示す。
(1)射出成形機
IS80FPA3(東芝機械(株)製)
スクリュー径φ32mm
スクリュー回転最大トルク(油圧14MPa)
IS80FPA3(東芝機械(株)製)
スクリュー径φ32mm
スクリュー回転最大トルク(油圧14MPa)
(2)金型
100mm×100mm×3mm厚
サイドゲート27mm×3mm厚
100mm×100mm×3mm厚
サイドゲート27mm×3mm厚
(3)熱可塑性樹脂
アクリペットMF #001(透明/粒子径約2.5〜3.0mm)(三菱レイヨン(株)製)
アクリペットVH NW401(白色/粒子径約2.5〜3.0mm)(三菱レイヨン(株)製)
アクリペットMF #001(透明/粒子径約2.5〜3.0mm)(三菱レイヨン(株)製)
アクリペットVH NW401(白色/粒子径約2.5〜3.0mm)(三菱レイヨン(株)製)
(4)ガラス転移温度
測定方法:JIS K7121に準じる。
測定装置:示差走査熱量計DSC220(セイコーインスツルメンツ(株)製)
測定条件:試料 アクリペットMF #001
アクリペットVH NW401
前処理 上記試料(ペレット)を200℃で10分加熱した後、50℃まで急冷する。
温度 50〜200℃(加熱速度10℃/min)
雰囲気 窒素ガス(流量50ml/min)
以上の条件下の下、各試料についてガラス転移温度を測定した。測定結果は以下に示す値となった。
測定結果:アクリペットMF 94℃
アクリペットVH 115℃
測定方法:JIS K7121に準じる。
測定装置:示差走査熱量計DSC220(セイコーインスツルメンツ(株)製)
測定条件:試料 アクリペットMF #001
アクリペットVH NW401
前処理 上記試料(ペレット)を200℃で10分加熱した後、50℃まで急冷する。
温度 50〜200℃(加熱速度10℃/min)
雰囲気 窒素ガス(流量50ml/min)
以上の条件下の下、各試料についてガラス転移温度を測定した。測定結果は以下に示す値となった。
測定結果:アクリペットMF 94℃
アクリペットVH 115℃
(5)色調
測定方法:JIS K7105に準じる
測定装置:測色計MSC型(スガ試験機(株)製)
試料:アクリペットMF ♯001及びアクリペットVH NW401の厚さ1mm成形板について透過光で測定した。
測定結果:アクリペットMF L*値 97
アクリペットVH L*値 33
測定方法:JIS K7105に準じる
測定装置:測色計MSC型(スガ試験機(株)製)
試料:アクリペットMF ♯001及びアクリペットVH NW401の厚さ1mm成形板について透過光で測定した。
測定結果:アクリペットMF L*値 97
アクリペットVH L*値 33
(6)滑剤
ステアリルアルコール:常温時は粉末状(融点57〜58℃)
ステアリルアルコール:常温時は粉末状(融点57〜58℃)
〔実施例1〜3〕
80℃で乾燥させたアクリペットMF(基材用)95質量部に対し、80℃で乾燥させたアクリペットVH(マーブル調成形用)5質量部の割合で混合した。その後、滑剤であるステアリルアルコールを、80℃に保ったままの熱可塑性樹脂総量100質量部に対して0.05質量部添加し、ポリエチレン袋内でハンドブレンドを行った。尚、ポリエチレン袋内のステアリルアルコールは、溶けて熱可塑性樹脂表面に斑無く付着していることを目視確認した。
以上のようにして滑剤が付着した熱可塑性樹脂を用い、以下の条件で射出成形し、マーブル調成形品を得た。
射出成形条件: シリンダー温度 :150℃(実施例1)
160℃(実施例2)
170℃(実施例3)
ノズル先端温度 :190℃
金型温度 :60℃
射出速度 :20%
スクリュー回転数 :50rpm
背圧 :1.5MPa
保圧 :適宜
成形サイクル :55sec
80℃で乾燥させたアクリペットMF(基材用)95質量部に対し、80℃で乾燥させたアクリペットVH(マーブル調成形用)5質量部の割合で混合した。その後、滑剤であるステアリルアルコールを、80℃に保ったままの熱可塑性樹脂総量100質量部に対して0.05質量部添加し、ポリエチレン袋内でハンドブレンドを行った。尚、ポリエチレン袋内のステアリルアルコールは、溶けて熱可塑性樹脂表面に斑無く付着していることを目視確認した。
以上のようにして滑剤が付着した熱可塑性樹脂を用い、以下の条件で射出成形し、マーブル調成形品を得た。
射出成形条件: シリンダー温度 :150℃(実施例1)
160℃(実施例2)
170℃(実施例3)
ノズル先端温度 :190℃
金型温度 :60℃
射出速度 :20%
スクリュー回転数 :50rpm
背圧 :1.5MPa
保圧 :適宜
成形サイクル :55sec
〔マーブル調の評価〕
以下の基準で、実施例及び比較例で成形されたマーブル調の樹脂成形品を評価した。結果を表1及び表2に示す。
○:マーブル調が鮮明
△:マーブル調がやや不鮮明
×:マーブル調成形不可
以下の基準で、実施例及び比較例で成形されたマーブル調の樹脂成形品を評価した。結果を表1及び表2に示す。
○:マーブル調が鮮明
△:マーブル調がやや不鮮明
×:マーブル調成形不可
〔比較例1〕
シリンダー温度を140℃に設定したこと以外は実施例1と同様にしてマーブル調成形品を得た。
シリンダー温度を140℃に設定したこと以外は実施例1と同様にしてマーブル調成形品を得た。
〔比較例2〕
シリンダー温度を190℃に設定したこと以外は実施例1と同様にしてマーブル調成形品を得た。
シリンダー温度を190℃に設定したこと以外は実施例1と同様にしてマーブル調成形品を得た。
〔比較例3〕
滑剤を使用しないこと以外は、実施例2と同様にしてマーブル調成形品を得た。
滑剤を使用しないこと以外は、実施例2と同様にしてマーブル調成形品を得た。
〔比較例4〕
滑剤を使用しないこと以外は、実施例3と同様にしてマーブル調成形品を得た。
滑剤を使用しないこと以外は、実施例3と同様にしてマーブル調成形品を得た。
表1で示されるように、実施例1〜3で得られたマーブル調成形品は、滑剤を使用し、シリンダー温度とガラス転移温度が一番低い樹脂のガラス転移温度との差を50〜90℃の範囲としたので、鮮明なマーブル調を有したマーブル調成形品となった。
表2で示されるように、比較例1では、シリンダー温度を低くしたので、スクリュー回転トルクが高くなり、安定して連続成形ができなかった。また、比較例2で得られたマーブル調成形品は、シリンダー温度を高くしたので、ガラス転移温度の高い熱可塑性樹脂も溶融状態となり混練され、マーブル調がやや不鮮明となった。
比較例3では、滑剤を使用せず、温度を低めにしたので、スクリュー回転トルクが高くなり、スクリューが止まってしまい、連続成形ができなかった。また、比較例4では、滑剤を使用しなかったが、温度を高めにしたので、スクリュー回転トルクが高くなったが連続成形を行うことができた。しかし、滑剤を使用しなかったためにガラス転移温度の高い熱可塑性樹脂はシリンダー内でスリッピングせず、スクリュー回転トルクが高くなり、スクリュー回転による剪断発熱によって溶融状態となり混練されたために成形品のマーブル調はやや不鮮明であった。
比較例3では、滑剤を使用せず、温度を低めにしたので、スクリュー回転トルクが高くなり、スクリューが止まってしまい、連続成形ができなかった。また、比較例4では、滑剤を使用しなかったが、温度を高めにしたので、スクリュー回転トルクが高くなったが連続成形を行うことができた。しかし、滑剤を使用しなかったためにガラス転移温度の高い熱可塑性樹脂はシリンダー内でスリッピングせず、スクリュー回転トルクが高くなり、スクリュー回転による剪断発熱によって溶融状態となり混練されたために成形品のマーブル調はやや不鮮明であった。
Claims (3)
- ガラス転移温度及び色調が異なる2種類以上の熱可塑性樹脂(A)並びに滑剤(B)を射出成形機に投入し、
該射出成形機のシリンダー温度を、(Tg1+50)℃〜(Tg1+90)℃(但し、Tg1は熱可塑性樹脂(A)の中でガラス転移温度が一番低い熱可塑性樹脂(A−1)のガラス転移温度である)として射出成形する、マーブル調成形品の成形方法。 - 熱可塑性樹脂(A)の中で熱可塑性樹脂(A−1)以外の熱可塑性樹脂(A−2)のガラス転移温度Tg2が、(Tg1+10)℃〜(Tg1+30)℃である請求項1に記載のマーブル調成形品の成形方法。
- 熱可塑性樹脂(A)がメタクリル樹脂である、請求項1又は2に記載のマーブル調成形品の成形方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007317168A JP2009137192A (ja) | 2007-12-07 | 2007-12-07 | マーブル調成形品の成形方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009137192A true JP2009137192A (ja) | 2009-06-25 |
Family
ID=40868331
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2007317168A Pending JP2009137192A (ja) | 2007-12-07 | 2007-12-07 | マーブル調成形品の成形方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2009137192A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20100068295A1 (en) * | 2006-04-27 | 2010-03-18 | Centennial Ventures B.V. | Low foaming enhanced biocidal hydrogen peroxide composition |
JP2015196809A (ja) * | 2014-04-03 | 2015-11-09 | ダイセルポリマー株式会社 | Abs樹脂組成物 |
-
2007
- 2007-12-07 JP JP2007317168A patent/JP2009137192A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US20100068295A1 (en) * | 2006-04-27 | 2010-03-18 | Centennial Ventures B.V. | Low foaming enhanced biocidal hydrogen peroxide composition |
US8865226B2 (en) | 2006-04-27 | 2014-10-21 | Aseptix Research Bv | Low foaming enhanced biocidal hydrogen peroxide composition |
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