JP2009135261A - 試験装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ウエハプローバと称される様な半導体ウエハの性能試験等に使用される試験装置で使用される恒温機器用配管を改良するものであり、放熱が少なく、且つ装置内で動かし易い恒温機器用配管の開発を課題とする。
【解決手段】恒温機器用配管20は、ワイヤー(長尺状可撓性部材)25を中心とし、配管保持部材26を介してワイヤー25の両端に往き側配管21と戻り側配管22が平行に固定された構造となっている。往き側配管21の外径dは戻り側配管22の外径Dよりも小さい。往き側配管21にも戻り側配管22にも断熱材は無い。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えばウエハプローバと称される様な半導体ウエハの性能試験等に使用される試験装置に関するものである。本発明は、前記した試験装置内において恒温機器に対して熱媒体を供給する恒温機器用配管に特徴を有するものである。
携帯電話やパソコン等に代表される電子機器が広く普及している。これらの電子機器は、近年、多様な用途や多様な環境で使用される。そのため電子機器そのものや、これらの部品たる集積回路等が環境から受ける影響を試験する必要がある。
これらの電子機器等を高温環境や低温環境に晒す試験装置としては、特許文献1に開示された構造のものが知られている。
特許文献1に開示された試験装置は、ウエハプローバと称される装置であり、サーマルプレートや高低温チャックと称される恒温機器を備え、当該恒温機器に半導体ウエハを載置または固定して試験を行うものである。
サーマルプレートや高低温チャックと称される恒温機器は、被試験物を載置又は固定する物品載置面を持つ。多くの場合、恒温機器の一部には電気ヒータが取り付けられている。また恒温機器の内部にはキャビティが形成されている。試験装置の内部には、キャビティに熱媒体を供給するための恒温機器用配管が施されている。そしてキャビティには前記した恒温機器用配管を介して所定の温度の熱媒体が流される。また恒温機器用配管からの放熱や吸熱を防止するために配管には断熱材が取り付けられている。
そして電気ヒータの制御と、キャビティ内へ熱媒体を流す動作を併用し、物品載置面の温度を所望の温度に維持する。例えば物品載置面の温度を低温にしたい場合は、恒温機器用配管を介してキャビティに低温の熱媒体を流す。
またウエハプローバと称される装置では、恒温機器がXYテーブルに載置されており、恒温機器を所定の位置に移動する構成となっている。
そのため恒温機器用配管は恒温機器の移動に追従する必要があり、フレキシブル性を備えたチューブや管が使用されている。
DE 195 40 103
前記した様に、恒温機器用配管からの放熱や吸熱を防止するために、配管には断熱材が取り付けられている。
しかしながら、従来技術の恒温機器用配管は、断熱効果が十分であるとは言えない。
すなわちウエハプローバ等の試験装置では、電子回路が構成された半導体ウエハに、マイナス65度(摂氏)近辺の冷熱負荷を掛ける。そのため恒温機器のキャビティには、それ以下、例えばマイナス80度(摂氏)程度の温度の冷媒(熱媒体)が供給される。
この様に、恒温機器のキャビティに供給される冷媒の温度は、大気の温度と相当にかけ離れている。そのため従来技術の恒温機器用配管を使用すると、熱媒体が恒温機器のキャビティに至るまでの間に昇温してしまい、恒温機器を所望の極低温にすることができなかったり、温度の安定性を欠くものとなっていた。
ここで恒温機器用配管に巻かれた断熱材の厚さを厚くすれば恒温機器用配管からの冷熱の放出を防ぐことができ、極低温状態を維持したままで恒温機器に熱媒体を供給することができる。しかしながら断熱材の厚さを厚くすると、恒温機器用配管が曲げにくくなってしまうという別の不具合が生じる。
すなわち前記した様に、ウエハプローバには恒温機器が移動するタイプのものがあり、恒温機器用配管は恒温機器に追従して移動しなければならない。しかしながら、恒温機器用配管の断熱材を厚くすると、恒温機器用配管を動かしにくくなってしまい、恒温機器の移動速度が低下するといった新たな問題が生じる。
また恒温機器用配管の断熱材を厚くすると、恒温機器の位置制度が低下したり、微細な塵が発生するという問題もある。
すなわちウエハプローバと称される装置では、恒温機器がXYテーブルに載置されて移動されるものがあるが、恒温機器用配管に断熱材が設けられていると、恒温機器の位置によって、ある場所では断熱材が引っ張り状態となり、ある場所では断熱材が圧縮状態となる。そのため恒温機器の位置によってXYテーブルに掛かる負荷が変化する。そして断熱材を厚くすると、恒温機器の位置による負荷の違いが大きくなり、XYテーブルの停止精度が低下して位置決め精度が悪くなる。
また断熱材を厚くすると、恒温機器を移動する際に断熱層同士が接触して擦れ、微細な破砕物を発生させる。
そこで本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、極低温状態を維持したままで恒温機器に熱媒体を供給することができ、恒温機器用配管を動かしやすく恒温機器の移動速度についても所望の速度を維持することができる試験装置の開発を課題とするものである。
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、低温の気体を導入して特定の温度調節面の温度を所定の温度にする恒温機器と、前記恒温機器が設置された装置内に配されて恒温機器に対して前記気体の供給及び排出を行う恒温機器用配管を備えた試験装置において、恒温機器用配管は恒温機器に対して前記気体を供給する一本の往き側配管と、前記恒温機器から排出された前記気体の全量が流れる一本の戻り側配管とが結束されたものであり、前記往き側配管及び戻り側配管は可撓性を有し、往き側配管の外径の平均値は戻り側配管の外径の平均値よりも小さいことを特徴とする試験装置である。
ここで配管の外径は、外気と接触する部位の径を指す。したがって配管に補強や断熱材その他の被覆が施されている場合には、補強や被覆の径が配管の外径である。
当業者の常識として、低温の熱媒体を輸送する場合には配管に断熱材を厚く巻き付ける設計がなされるので、当業者の常識として、低温の熱媒体が輸送される往き側配管は、戻り側配管よりも厚く断熱材が巻かれるべきであるが、本発明では、当業者の常識に反して往き側配管を戻り側よりも細くしている。
本発明の試験装置では、恒温機器に対して一本の往き側配管を使用して熱媒体を供給し、さらに一本の戻り側配管によって熱媒体を排出するが、往き側配管の外径は戻り側配管の外径よりも小さい。そのため往き側配管は戻り側配管に比べて単位長さあたりの表面積が小さく、配管表面から受ける熱量が少ない。そのため気体は、吸熱を受けて温まる前に恒温機器に到着する。したがって恒温機器に到着した気体は低温状態が保たれている。
また本発明の試験装置では、熱媒体たる気体の流路抵抗は、往き側配管における抵抗と、戻り側配管における抵抗の合計となるが、本発明では、戻り側配管の外径が大きく、従ってその内径も大きくて流路断面積が大きいので、全体としての流路抵抗は過度に高くはならない。
同様に、配管を曲げる際の抵抗についても過度に高いものではない。
すなわち本発明で採用する恒温機器用配管では、往き側配管と戻り側配管がばらけない様に結束されているから、恒温機器用配管全体としての曲げ易さは往き側配管の固さと戻り側配管の固さの合計となる。ここで戻り側配管については断面積が大きいので比較的曲げにくいといえるが、往き側配管は細いので曲げやすい。そのため前記したように曲げる際の抵抗についても過度に高いものではない。
往き側配管の外径の平均値は戻り側配管の外径の平均値の70%以下であることが望ましい(請求項2)。
さらに往き側配管の外径の平均値は戻り側配管の外径の平均値の41%以上、65%以下であることが望ましい(請求項3)。
請求項4に記載の発明は、戻り側配管の一部又は全部は、金属によって補強されたものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の試験装置である。
本発明の試験装置では、恒温機器に熱媒体たる気体を供給する際において、配管の単位長さ当たりの表面積が小さく、外部と接する面積が小さいので、配管内を流れる低温の気体に外気の熱が伝わりにくい。そのため気体は吸熱を受けて温まる前に恒温機器に到着する。その結果、恒温機器に到着した気体は低温状態が保たれ、恒温機器を所望の温度に冷却することができる。したがって恒温機器をより低温にすることができる。
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態の試験装置の斜視図である。図2は、図1の試験装置で採用されている恒温機器用配管の断面斜視図である。図3は、図1の試験装置の平面図である。図4は、図1の試験装置の正面図である。
図1は、本発明の実施形態の試験装置1を示す。実施形態の試験装置1は、具体的にはウエハプローバと称される装置であり、筐体2内にサーマルプレートや高低温チャックと称される恒温機器3を備えている。
恒温機器3は、全体形状が円柱形をしている。そしてその頂面が被試験物を載置する物品載置面5であり、物品載置面5が所望の温度に調節される。即ち恒温機器3には図示しない電気ヒータが取り付けられており、さらに内部に図示しないキャビティが設けられている。そして電気ヒータを制御すると共にキャビティ内に冷却された空気(熱媒体)を循環させて物品載置面5を温度調節する。
また恒温機器3には図示しない真空配管が施されており、真空力によって被試験物を物品載置面5に保持する機能を備えている。
恒温機器3は、X−Yテーブル13に載置されており、図示しないモータによってX−Y方向に移動可能である。
また図3の破線で示す領域は、全体が二点鎖線の様にスライド可能であり、装置の外部に引出し可能である。
本実施形態の試験装置1は、外部に設けられた冷媒供給装置8から冷却空気の供給を受けて恒温機器3に冷却空気を導入するものである。試験装置1と冷媒供給装置8とは渡り配管10,11で配管接続されている。一方の渡り配管10は、冷媒供給装置8で作られた冷却空気を筐体2内に供給するものであり、他方の渡り配管11は、筐体2から冷媒供給装置8にキャビティから排出された空気を戻すものである。
また試験装置1の筐体2内には、恒温機器用配管20がある。恒温機器用配管20は、後記する様に往き側配管21と戻り側配管22が一体化されたものである。
前記した渡り配管10は筐体2内において恒温機器用配管20の往き側配管21に接続され、渡り配管11は筐体2内において恒温機器用配管20の戻り側配管22に接続されている。
そして冷媒供給装置8で作られた冷却空気は、渡り配管10を流れて筐体2内に入り、さらに恒温機器用配管20の往き側配管21を通って恒温機器3のキャビティに入る。またキャビティを出た空気は、恒温機器用配管20の戻り側配管22を通って筐体2の外に運ばれ、さらに渡り配管11を経て冷媒供給装置8に戻る。
以上、本実施形態の試験装置1の概略構成について説明したが、本試験装置1は特徴的な恒温機器用配管20を採用している。以下、恒温機器用配管20について説明する。
図2で示すように本実施形態で採用する恒温機器用配管20は、往き側配管21、戻り側配管22と、配管位置決め部材24とによって構成されている。また前記した配管位置決め部材24は、ワイヤー(長尺状可撓性部材)25と、配管保持部材26とによって構成されている。
上記した部材の中で、往き側配管21、戻り側配管22及びワイヤー25の個数はそれぞれ一本である。
往き側配管21は可撓性を有するチューブである。往き側配管21は低温の空気が流れるものであるから、相当の低温下においても弾性を失わない素材で作られたチューブが選定されている。
往き側配管21の素材としてはたとえばフッ素樹脂が適切である。往き側配管21の外径dは後記する戻り側配管22の外径Dよりも小さい。往き側配管21には断熱材は無い。
戻り側配管22についても可撓性を有するチューブである。戻り側配管22についても相当の低温下においても弾性を失わない素材で作られたチューブを使用することが望ましい。また戻り側配管22には高温の空気が流れる場合もあるので、剛性が高いことが望ましい。本実施形態では、フッ素樹脂のフレキシブルホースであって、外周にステンレスの網状物27による補強がなされている。すなわち戻り側配管22は、フッ素樹脂のフレキシブルホースにステンレスのブレージングが施されたホースである。戻り側配管22にも断熱材は無い。
戻り側配管22の外径Dは前記した往き側配管21の外径dよりも大きい。
往き側配管21の外径dと戻り側配管22の外径Dとの比率については後記する。
ワイヤー25には一定間隔ごとに配管保持部材取付け孔が設けられている(図示せず)。
配管保持部材26は、二つの保持部材片31,32が一組となって構成されている。
一方の保持部材片31は、金属又は樹脂によって作られたものであり、二つの配管保持部35,36が設けられている。配管保持部35,36は、具体的には半円形の凹部である。
配管保持部35,36の間の位置には、ワイヤー保持部38が設けられている。
さらに保持部材片31には、両側面を貫通する孔40が設けられている。
他方の保持部材片32は、前記した保持部材片31と対称形であり、同様に配管保持部35,36とワイヤー保持部38が設けられている。
次に、恒温機器用配管20を構成する各部材同士の関係について説明する。
本実施形態の恒温機器用配管20は、ワイヤー(長尺状可撓性部材)25を中心とし、配管保持部材26を介してワイヤー25の両側(図では上下)に往き側配管21と戻り側配管22が平行に固定され、往き側配管21と戻り側配管22が結束された構造となっている。
即ちワイヤー25には図1に示すように、複数の配管保持部材26が所定の間隔で取り付けられている。配管保持部材26は、各保持部材片31,32のワイヤー保持部38同士の間でワイヤー25を挟み、さらにワイヤー保持部38に設けられた貫通孔40及びワイヤー25に設けられた配管保持部材取付け孔(図示せず)にネジ48を挿通してワイヤー25を固定している。
そして配管保持部材26の保持部材片31,32同士で形成される一方の円形の空隙で往き側配管21が挟まれている。さらに保持部材片31,32同士で形成される他方の円形の空隙で戻り側配管22が挟まれている。
恒温機器用配管20は、基端部及び図3のエリアAの範囲が筐体2に固定されており、図示しない連通配管を介して恒温機器用配管20の基端部に渡り配管10,11が接続されている。また恒温機器用配管20の先端側は恒温機器3のキャビティに接続されている。なお前記した様に恒温機器用配管20の基端部は筐体2に固定され、恒温機器用配管20の先端側は恒温機器3に取り付けられているが、その中間部(エリアBの範囲)はフリーである。
そして恒温機器用配管20の往き側配管21を低温の空気が通過して恒温機器3のキャビティに低温の空気が供給される。キャビティを出た空気は、恒温機器用配管20の戻り側配管22を経由して排出される。
ここで本発明の恒温機器用配管20では、往き側配管21の外径dが小さいから、往き側配管21の外面の表面積が小さい。より詳細には、配管が外気と接する単位長さ当たりの面積が小さい。
そのため冷媒供給装置8で作られた低温の空気と、外気との接触機会(配管の樹脂層を通しての間接的接触)が少なく、気体と外気との熱交換量が少ない。したがって気体は、さほど昇温することなく恒温機器3のキャビティに至る。そして前記した様に、キャビティを出た空気は、恒温機器用配管20の戻り側配管22を経由して排出されるが、戻り側配管22の外径Dが大きく、当然に流路面積が大きいので、排出の際の流路抵抗が小さい。
またX−Yテーブル13を動作させた際の状況を考えると、X−Yテーブル13に載置された恒温機器3の移動に伴い、恒温機器用配管20が移動するが、往き側配管21の外径dが小さいから恒温機器用配管20は全体として曲がり易い。そのためX−Yテーブル13の動作は円滑であり、所望の移動速度を確保することができる。
本実施形態では、前記した様に図3の破線部分を外部に引き出したり、逆に収納するといった場合があるが、この場合においても同様であり、移動部分の動作は円滑である。
また本実施形態の恒温機器用配管20では、往き側配管21と戻り側配管22が、ワイヤー25を介して一体に結束されているから、まとまりが良く、移動させやすい。
さらにワイヤー25は、ある程度の弾性を持つから、恒温機器用配管20が移動し、恒温機器用配管20の折れ曲がり具合が変化しても、恒温機器用配管20の曲げ部分は一定の曲率を維持し、恒温機器用配管20がキンクすることはない。
そのため恒温機器3が移動しても、恒温機器用配管20は円滑に追従する。
次に往き側配管21の外径dと戻り側配管22の外径Dとの好ましい比率について付言する。
すなわち本実施形態では、前記した様に往き側配管21の外径dが戻り側配管22の外径Dよりも小さい。
一例として往き側配管21に外形8mm(内径5mm)のフッ素樹脂チューブを採用し、戻り側配管22に内径3/8インチのフッ素樹脂性フレキシブルホース(ステンレスブレードによる補強付き)を採用する構成が考えられる。
戻り側配管22の内径3/8インチのフッ素樹脂性フレキシブルホースは、外径が14.5mmである。フッ素樹脂性フレキシブルホースの外径は、ステンレスブレードの外側を測る。即ち外径は外気と触れる部位の径であり、最外径である。
往き側配管21に外径8mmのフッ素樹脂チューブを採用し、戻り側配管22に内径3/8インチ(外径14.5mm)のフッ素樹脂性フレキシブルホースを採用した場合、の最小曲げ半径は、15mm以下となり、十分に曲げやすいものであった。
また全体としての圧力損失も過度に高いものとはならず、所望の流量を確保することができた。具体的には、マイナス80度(摂氏)の空気を350リットル/mm(摂氏0°大気圧換算)流すことができ、恒温機器3を所望の低温状態とすることができた。
上記した例では、往き側配管21の外径が8mmであり、戻り側配管22の外径が14.5mmであるから、往き側配管21の外径は、戻り側配管22の外径の55%(パーセント)である。
なお往き側配管21の断面積は50.2平方ミリメートルであり、戻り側配管22の断面積は165平方ミリメートルであるから、往き側配管の断面積は戻り側配管の断面積の30%である。
次に往き側配管21の内径dと戻り側配管22の外径Dの適正値を調べるために行った実験について説明する。
本発明者らは往き側配管21の外径dと戻り側配管22の外径Dの適正値を調べるために、内径の異なる配管を組み合わせて試験を行った。
評価項目は、放熱量(冷熱の放熱)、曲げた場合の最小半径、圧力損失の3点である。放熱量は、往き側配管21にマイナス80度(摂氏)の空気を通過させた場合の数値である。戻り側配管22はいずれも前記した実施形態のものと同じであり、具体的には内径3/8インチのフッ素樹脂性フレキシブルホース(ステンレスブレードによる補強付き)である。
実験結果は、次の表の通りである。
Figure 2009135261
上記した3点の評価項目を全て満足するのは、実験4で行った組み合わせである。実験4の組み合わせは、上記した実施例で採用するものである。
他の組み合わせは、いずれも何らかの問題点があった。すなわち実験1では、放熱量が大きすぎて恒温機器3に至った際の空気の温度が上昇し、恒温機器3に必要な冷熱を供給することができなかった。
実験1では、往き側配管21の外径が14.5mmであり、戻り側配管22の外径は14.5mであるから、往き側配管の外径は、戻り側配管の外径の100%である。
実験2では、恒温機器用配管20は、断熱材の厚さが影響して曲げにくいものであった。
実験2では、往き側配管21の外径が14.5mmであり、戻り側配管22の外径は14.5mmであるから、往き側配管の外径は、戻り側配管の外径の100%である。
実験3では、恒温機器用配管20の圧力損失が大きく、所定の流量(350リットル/mm)を流すことが困難であった。
実験3では、往き側配管21の外径が6mmであり、戻り側配管22の外径は14.5mmであるから、往き側配管の外径は、戻り側配管の外径の41%である。
この様に、往き側配管の外径は、戻り側配管の外径の55%前後(±10%)が最適である。往き側配管の外径は、戻り側配管の外径よりも小さいことが必要であり、70%以下であることが望ましく、より推奨される上限は65%である。また往き側配管の外径の下限は、圧力損失を考慮すると戻り側配管の外径の41%である。
以上説明した実施形態では、戻り側配管22にステンレスブレードによる補強を備えたチューブを使用した。この理由は、戻り側配管22を流れる空気の温度範囲が往き側配管よりも広いためである。
上記した実施形態では、恒温機器3に図示しない電気ヒータが取り付けられており、この電気ヒータによって恒温機器3が昇温される。すなわち恒温機器3は、試験の内容に応じて温度を変化させることができ、恒温機器3を昇温させる場合には電気ヒータに通電する。高温状態の恒温機器3を温度降下させる場合には、往き側配管21から低温の空気を供給して恒温機器3内の高温の空気を押し出すが、この際に戻り側配管22に恒温機器3内の高温の空気が流れる。そのため戻り側配管22は低温のみならず高温にもさらされる。そこで本実施形態では、戻り側配管22の剛性を高めるためにステンレスブレードによる補強を備えたチューブを使用した。
なお往き側配管21には高温の空気が流れることは無いので、金属による補強は不要である。
また上記した実施形態では、往き側配管21と戻り側配管22は共に裸チューブであり、断熱材は巻かれていない。この理由は、恒温機器3がX−Yテーブル13に載置されており、X−Y方向に移動するものであるから、断熱材が巻かれていると断熱材が擦れて塵が生じ、実験に悪影響を与える懸念があるからである。この様に往き側配管21と戻り側配管22は共に断熱材を巻かないことが推奨されるが、過度に厚くならない程度に断熱材を取り付けてもよい。
上記した実施形態では、往き側配管21と戻り側配管22は共に継ぎ目のない一体のチューブであって、どの部位についても断面形状は同一であるが、必要に応じて部分的に断面形状を変更してもよい。例えば、恒温機器3の移動軌跡や、必要な流量を考慮して、恒温機器3に近い部位だけ往き側配管21の径を小さくしてもよい。例えば前記した図3のAエリアとBエリアの境界たるC点にレデューサを設けて配管径を絞ってもよい。
本発明の実施形態の試験装置の斜視図である。 図1の試験装置で採用されている恒温機器用配管の断面斜視図である。 図1の試験装置の平面図である。 図1の試験装置の正面図である。
符号の説明
1 試験装置
2 筺体
3 恒温機器
20 恒温機器用配管
21 往き側配管
22 戻り側配管
24 配管位置決め部材
25 ワイヤー(長尺状可撓性部材)
26 配管保持部材

Claims (4)

  1. 低温の気体を導入して特定の温度調節面の温度を所定の温度にする恒温機器と、前記恒温機器が設置された装置内に配されて恒温機器に対して前記気体の供給及び排出を行う恒温機器用配管を備えた試験装置において、恒温機器用配管は恒温機器に対して前記気体を供給する一本の往き側配管と、前記恒温機器から排出された前記気体の全量が流れる一本の戻り側配管とが結束されたものであり、前記往き側配管及び戻り側配管は可撓性を有し、往き側配管の外径の平均値は戻り側配管の外径の平均値よりも小さいことを特徴とする試験装置。
  2. 往き側配管の外径の平均値は戻り側配管の外径の平均値の70%以下であることを特徴とする請求項1に記載の試験装置。
  3. 往き側配管の外径の平均値は戻り側配管の外径の平均値の41%以上、65%以下であることを特徴とする請求項1に記載の試験装置。
  4. 戻り側配管の一部又は全部は、金属によって補強されたものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の試験装置。
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