JP2009134836A - ディスク・ドライブ装置及びそのクリアランス調整のデフォルト設定を変更する方法 - Google Patents

ディスク・ドライブ装置及びそのクリアランス調整のデフォルト設定を変更する方法 Download PDF

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彰浩 世良
Seiichi Araki
誠一 荒木
Hidetsugu Tanaka
秀継 田中
Kenichi Kuramoto
健一 蔵本
Toru Aida
亨 相田
Yoshihiko Maeda
義彦 前田
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Abstract

【課題】ユーザ・データの通常のリード処理あるいはライト処理において、より適切なクリアランスを実現する。
【解決手段】本発明の一実施形態において、本形態のHDC/MPU23は、ヘッド・スライダ12上にヒータにより、クリアランスを調整する。ERPテーブル241における所定ERPステップの実行結果が、クリアランスを変更することでエラーから回復することを所定複数回にわたって示す場合に、HDC/MPU23は、ユーザ・データの通常のリード/ライト処理におけるクリアランス調整のデフォルト設定を変更する。これにより、より信頼性の高いクリアランス調整を実現することができる。デフォルト設定変更の条件となるERPステップの一つは、クリアランスを変更するステップである。他の一つは、サーマルアスペリティの測定である。
【選択図】図3

Description

本発明はディスク・ドライブ装置及びそのクリアランス調整のデフォルト設定を変更する方法に関し、特に、クリアランス調整機能を有するディスク・ドライブ装置におけるエラー回復処理に関する。
ディスク・ドライブ装置として、光ディスク、光磁気ディスク、あるいはフレキシブル磁気ディスクなどの様々な態様のディスクを使用する装置が知られているが、その中で、ハードディスク・ドライブ(HDD)は、コンピュータの記憶装置として広く普及し、現在のコンピュータ・システムにおいて欠かすことができない記憶装置の一つとなっている。さらに、コンピュータにとどまらず、動画像記録再生装置、カーナビゲーション・システムあるいは携帯電話など、HDDの用途はその優れた特性により益々拡大している。
HDDで使用される磁気ディスクは、同心円状に形成された複数のデータ・トラックとサーボ・トラックとを有している。各サーボ・トラックはアドレス情報を有する複数のサーボ・データから構成される。また、各データ・トラックには、ユーザ・データを含む複数のデータ・セクタが記録されている。円周方向に離間するサーボ・データの間に、データ・セクタが記録されている。揺動するアクチュエータに支持されたヘッド・スライダのヘッド素子部が、サーボ・データのアドレス情報に従って所望のデータ・セクタにアクセスすることによって、データ・セクタへのデータ書き込み及びデータ・セクタからのデータ読み出しを行うことができる。
磁気ディスクの記録密度を向上には、磁気ディスク上を浮上するヘッド素子部と磁気ディスクとの間のクリアランス(浮上高)及びその変化を小さくすることが重要である。このため、クリアランスを調整するいくつかの機構が提案されている。そのうちの一つは、ヘッド・スライダにヒータを備え、そのヒータでヘッド素子部を加熱することよってクリアランスを調整する。本明細書において、これをTFC(Thermal Flyheight Control)と呼ぶ。TFCは、ヒータに電流を供給して発熱させ、熱膨張によってヘッド素子部を突出させる。これによって、磁気ディスクとヘッド素子部との間のクリアランスを小さくする。この他、ピエゾ素子を使用してヘッド素子部と磁気ディスクとの間のクリアランスを調整する機構などが知られている。
HDDにおいてエラーが発生した場合、HDDはそのエラーに対応したエラー回復処理(Error Recovery Procedure:ERP)を行う。ERPは、ERPテーブルに登録されている複数のERPステップを順次実行することで、エラー回復を図る。磁気ディスクからユーザ・データを読み出すリード処理のERP及び、磁気ディスクにユーザ・データを書き込むライト処理のERP、磁気ディスクからマイクロ・コードを読み出す処理のERPなど、典型的なHDDは、複数種類のERPを有している。
クリアランスの調整により、リード・エラーあるいはライト・エラーから回復することがある。このため、例えば、特許文献1は、ERPテーブルに、クリアランスを変化させるステップを登録することを提案している。この文献はさらに、クリアランスを高くするERPステップにおいてエラーから回復した場合、その後の通常処理におけるクリアランスの規定値を、ERPステップでの上昇分だけ高くすることを提案している。これにより、HDDの製造で特定されたクリアランス規定値からのシフト量を修正し、通常動作における適切なクリアランスを達成することができる。
特開2007−200467号公報
記録密度を高くするためには、クリアランスを小さくしてエラー・レートを小さくすることが有効である。このため、HDDにおける設定クリアランスは減少を続けており、現在のクリアランス設計値(リード/ライトにおいて予定されている平均クリアランス)は、3nm程度まで減少している。クリアランスが小さくなるほど正常な動作を保証するクリアランス・マージンも小さくなる。このため、わずかなクリアランスの違いにより、正確なリードあるいはライトを行うことができなくなる。従って、ユーザ・データの通常のリード処理あるいはライト処理(通常リード/ライト処理)において、クリアランスを正確に設計値に維持することが重要である。
ERPにおいてクリアランスを変更することによりエラーから回復した場合、変更後のクリアランスが最適なクリアランスであることが確実であれば、上記特許文献1の技術のように、その後の通常のリード/ライト処理におけるクリアランス調整量を、デフォルト設定から変更することが好ましい。しかし、ERPにおいては、変更前のクリアランスが適切であるにもかかわらず、クリアランスを変更するERPステップにおいてエラーから回復することがある。
このような場合、ERP後の通常リード/ライト処理において、クリアランス調整量をデフォルト設定から変更すると、本来適切であったクリアランスが適切な範囲から外れ、リード・エラーあるいはライト・エラーが起きる。特に、クリアランスが小さいHDDにおいて、この問題は顕著なものとなる。従って、通常リード/ライト処理において適切なクリアランスを実現するために、クリアランス調整のデフォルト設定を変更するための、より信頼性の高い手法が必要である。
本発明の一態様に係るディスク・ドライブ装置は、ディスクにアクセスするヘッドと、前記ヘッドを支持し前記ヘッドを移動する移動機構と、前記ディスクと前記ヘッドとの間のクリアランスを調整する調整機構と、コントローラとを有する。前記コントローラは、デフォルト設定に応じたクリアランス調整を行う。前記調整されたクリアランスにおいて、ユーザ・データの通常アクセスを行う。前記コントローラは、前記通常アクセスおけるエラーに対応したエラー回復処理において、テーブルに登録されているエラー回復ステップを順次実行する。前記コントローラは、2以上の所定回数の前記エラー回復処理において、予め定められたエラー回復ステップの実行結果がクリアランスを変更することでエラーから回復することを示す場合に、前記実行結果に応じて前記デフォルト設定を変更する。これにより、デフォルト設定の変更の信頼性を高めることができる。
好ましい例において、前記エラー回復ステップの実行結果は、クリアランスを変更するエラー回復ステップAにおいてエラー回復が達成されたことである。これにより、クリアランスの変化に応じてデフォルト設定を変更することができる。さらに、前記コントローラは、連続した前記所定回数のエラー回復処理において、前記エラー回復ステップAにおけるエラー回復が達成された場合に、前記エラー回復ステップAに応じて前記デフォルト設定を変更することが好ましい。あるいは、クリアランスを変更する複数のエラー回復ステップが前記テーブルに登録されており、前記コントローラは、前記クリアランスを変更する複数のエラー回復ステップのいずれかにおいて連続してエラー回復が達成され、かつ、前記連続して達成された中で前記エラー回復ステップAにおけるエラー回復が前記所定回数に達成した場合に、前記エラー回復ステップAに応じて前記デフォルト設定を変更することが好ましい。これらにより、デフォルト設定の変更の信頼性をより高めることができる。
前記コントローラは、ライト処理のエラー回復処理において、クリアランスを変更するエラー回復ステップを、ライト・ベリファイを行うことなく終了し、前記ライト処理のエラー回復ステップ間のクリアランス変更量の相違の平均値は、リード処理のエラー回復ステップ間のクリアランス変更量の相違の平均値よりも小さいことが好ましい。ライト・ベリファイを行わないことでパフォーマンスの低下を防ぐとともに、クリアランス変更によるプアライトの可能性を小さくすることができる。
好ましい例において、前記エラー回復ステップの実行結果は、サーマルアスペリティの検出である。好ましい例において、前記コントローラは、検出した前記サーマルアスペリティを避けるように、前記サーマルアスペリティを含む記録面の一部領域において、前記デフォルト設定を変更する。これらにより、サーマルアスペリティに応じて適切なデフォルト設定の変更を行うことができる。
好ましい例において、クリアランスを増加するエラー回復ステップとクリアランスを減少するエラー回復ステップの2種類のエラー回復ステップが、前記テーブルにおいて交互の実行順序で登録されており、前記コントローラは、クリアランスを変更するエラー回復ステップでエラー回復に成功した場合、次のエラー回復処理において、前記成功したエラー回復ステップと同一種類のエラー回復ステップを先に行う。これにより、より早いタイミングでのエラー回復を図ることができる。
前記コントローラは、前記デフォルト設定を変更する場合、リード処理とライト処理に双方のデフォルト設定を変更する。あるいは、前記コントローラは、前記デフォルト設定を変更する場合、リード処理とライト処理のうち、前記エラー回復処理が対応する処理においてのみデフォルト設定を変更する。これらの内、設計により適切なものを選択することで、より信頼性とパフォーマンスを高めるデフォルト設定の変更を行うことができる。
本発明の他の態様は、クリアランス調整機能を有するディスク・ドライブ装置において、ユーザ・データのアクセスにおけるクリアランス調整のデフォルト設定を変更する方法である。この方法は、デフォルト設定に応じたクリアランス調整を行う。前記調整されたクリアランスにおいて、ユーザ・データの通常アクセスを行う。前記通常アクセスおけるエラーに対応したエラー回復処理において、テーブルに登録されているエラー回復ステップを順次実行する。2以上の所定回数の前記エラー回復処理において、予め定められたエラー回復ステップの実行結果がクリアランスを変更することでエラーから回復することを示すことを条件として、前記実行結果に応じて前記デフォルト設定を変更する。れにより、デフォルト設定の変更の信頼性を高めることができる。
本発明によれば、ユーザ・データの通常のリード処理あるいはライト処理において、より適切なクリアランスを実現することができる。
以下に、本発明を適用した実施の形態を説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略及び簡略化がなされている。又、各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略されている。以下においては、ディスク・ドライブ装置の一例であるハードディスク・ドライブ(HDD)を例として、本発明の実施形態を説明する。
本形態のHDDは、クリアランス調整機構の一例であるTFC(Thermal Fly height Control)により、ヘッドの一例であるヘッド素子部とディスクの一例である磁気ディスクとの間のクリアランスを調整する。TFCは、スライダ上のヒータからの熱によるヘッド素子部の熱膨張によってクリアランスを調整する。リード処理あるいはライト処理においてエラーが発生すると、HDDはエラー回復処理(Error Recovery Procedure:ERP)を開始する。HDDにはERPテーブルが保存されており、そのERPテーブルには、複数のERPステップが登録されている。HDDはERPテーブルの各ERPステップを順次実行する。
本形態のHDDは、予め設定されている所定ERPステップの実行結果が、クリアランスを変更することでエラーから回復することを、所定複数回にわたって示す場合に、ユーザ・データの通常のリード処理あるいはライト処理(リード/ライト処理)におけるTFCのデフォルト設定を変更する。2〜3nmという非常に低いクリアランスにおいては、わずかクリアランスのずれにより、リード/ライト処理においてエラーが発生する。
従って、ERPにおいてクリアランスを変更することでエラーから回復した場合であっても、それが1回のみの事象である場合、その結果が、実際のクリアランスを反映していない場合が考えられる。そのため、本形態においては、HDDは、リード/ライト処理のための適切な範囲からクリアランスが外れていることを、ERPにおいて複数回確認した後に、通常リード/ライト処理におけるTFC(ヒータ・パワー)のデフォルト設定を変更する。これにより、ERPの結果に対して誤った判断を行う可能性を低減し、より信頼性の高いTFCを実現することができる。
本形態において、クリアランスを変更することでエラーから回復することを示すERPステップとして、二つの好ましい例を示す。一つとは、TFCのヒータ・パワーを変更するERPステップである。実際にヒータ・パワーを変更してクリアランスを変更し、データの読み出しあるいは書き込みを正常に行うことができた場合、その結果は通常リード/ライト処理におけるTFCのデフォルト設定を変更する条件となる。他の一つは、サーマルアスペリティ(TA)の測定である。TAが存在する場合、クリアランスを大きくすることで、ヘッド・スライダがTAを避けることができる。従って、ERPステップにおいてTAが検出された場合には、記録面上の全体において、あるいは、TAが存在する位置においてクリアランス調整のデフォルト設定を変更する条件となる。
本形態におけるTFCのデフォルト設定の変更の詳細を説明する前に、HDDの全体構成を説明する。図1はHDD1の全体構成を模式的に示すブロック図である。HDD1は、エンクロージャ10内に、データを記憶するディスクである磁気ディスク11を有している。スピンドル・モータ(SPM)14は、磁気ディスク11を所定の角速度で回転する。磁気ディスク11の各記録面に対応して、磁気ディスク11にアクセス(リードあるいはライト)するヘッド・スライダ12が設けられている。アクセスは、リード及びライトの上位概念である。各ヘッド・スライダ12は、磁気ディスク上を浮上するスライダと、スライダに固定され磁気信号と電気信号との間の変換を行うヘッド素子部とを備えている。
本形態のヘッド・スライダ12は、熱によってヘッド素子部を膨張・突出させ、磁気ディスク11との間のクリアランス(浮上高)を調整するTFCのためのヒータを備えている。ヘッド・スライダ12の構造については、後に図2を参照して詳述する。各ヘッド・スライダ12はアクチュエータ16の先端部に固定されている。アクチュエータ16はボイス・コイル・モータ(VCM)15に連結され、回動軸を中心に回動することによって、ヘッド・スライダ12を回転する磁気ディスク11上においてその半径方向に移動する。アクチュエータ16とVCM15とは、ヘッド・スライダ12の移動機構である。
エンクロージャ10の外側に固定された回路基板20上には、回路素子が実装されている。モータ・ドライバ・ユニット22は、HDC/MPU23からの制御データに従って、SPM14及びVCM15を駆動する。RAM24は、リード・データ及びライト・データを一時的に格納するバッファとして機能する。エンクロージャ10内のアーム電子回路(AE:Arm Electronics)13は、複数のヘッド・スライダ12の中から磁気ディスク11へのアクセスを行うヘッド・スライダ12を選択し、その再生信号を増幅してリード・ライト・チャネル(RWチャネル)21に送る。また、RWチャネル21からの記録信号を選択したヘッド・スライダ12に送る。AE13は、さらに、選択したヘッド・スライダ12のヒータへ電力を供給し、その電力量を調節する調節回路として機能する。
RWチャネル21は、リード処理において、AE13から供給されたリード信号を一定の振幅となるように増幅し、取得したリード信号からデータを抽出し、デコード処理を行う。読み出されるデータは、ユーザ・データとサーボ・データとを含む。デコード処理されたリード・ユーザ・データ及びサーボ・データは、HDC/MPU23に供給される。また、RWチャネル21は、ライト処理において、HDC/MPU23から供給されたライト・データをコード変調し、更にコード変調されたライト・データをライト信号に変換してAE13に供給する。
コントローラの一例であるHDC/MPU23は、リード/ライト処理制御、コマンド実行順序の管理、サーボ信号を使用したヘッド・スライダ12のポジショニング制御(サーボ制御)、ホスト51との間のインターフェース制御、ディフェクト管理、エラーが発生した場合のエラー対応処理など、データ処理に関する必要な処理及びHDD1の全体制御を実行する。特に、本形態のHDC/MPU23は、温度及び気圧に応じてTFCを行う。また、HDC/MPU23は、TFCのデフォルト設定を、ERPの結果に応じて変更する。これらについては、後に詳述する。
図2は、ヘッド・スライダ12の空気流出端面(トレーリング側端面)121近傍の構成を示す断面図である。スライダ123はヘッド素子部122を支持する。ヘッド素子部122は、リード素子32とライト素子31とを有している。ライト素子31は、ライト・コイル311を流れる電流で磁極312間に磁界を生成し、磁気データを磁気ディスク11に書き込む。リード素子32は磁気異方性を有する磁気抵抗素子32aを備え、磁気ディスク11からの磁界によって変化する抵抗値によって磁気データを読み出す。
ヘッド素子部122は、スライダ123を構成するアルチック(AlTiC)基板に薄膜形成プロセスにより形成される。磁気抵抗素子32aは磁気シールド33a、33bによって挟まれており、ライト・コイル311は絶縁膜313で囲まれている。ライト素子31とリード素子32の周囲にアルミナなどの保護膜34が形成されている。ライト素子31及びリード素子32の近傍にはヒータ124が存在する。パーマロイなどを使用した薄膜抵抗体を蛇行させ、間隙をアルミナで埋めてヒータ124を形成することができる。
AE13がヒータ124に電流を流すと、スライダ123とヘッド素子部122の熱膨張率の違いにより、ヒータ124の熱によってヘッド素子部122の近傍が突出変形する。例えば、非加熱時においてヘッド・スライダ12のABS面35はS1で示される形状であり、ヘッド素子部122と磁気ディスクとの間の距離であるクリアランスはC1で示されている。ヒータ124加熱時における突出形状S2を、破線で示す。ヘッド素子部122が磁気ディスク11に近づき、このときのクリアランスC2はクリアランスC1よりも小さい。なお、図2は概念図であり、寸法関係は正確ではない。ヘッド素子部122の突出量やクリアランスは、ヒータ124に供給するヒータ・パワー値に従って変化する。
本形態のHDC/MPU23は、温度及び気圧に応じたTFCを行う。ヒータ124に加えられるヒータ・パワーPは、温度に依存するヒータ・パワーP(t)と、気圧に依存するヒータ・パワーP(p)の和(P(t)+P(p))で表される。なお、定数項はいずれかの数式内に組み込まれ、また、各数式の係数は、温度や気圧などの環境条件、ヘッド・スライダ12あるいはその半径位置に応じて変化しうる。具体的には、ヒータ・パワーPは、以下の数式で表される。
P=(TDP×eff[BASE]−Target
−dt×t_comp−dp×p_comp)/eff
effはヒータ・パワー効率であり、気圧及び半径位置に応じて変化する。eff[BASE]は基準状態におけるヒータ・パワー効率である。TDPは基準状態においてヘッド・スライダ12と磁気ディスク11とが接触するヒータ・パワー、Targetはターゲット・クリアランス、dtは基準状態からの温度変化量、t_compは温度に対するクリアランス変化率、dpは基準状態からの気圧変化、p_compは気圧に対するクリアランス変化率である。t_compとp_compの符号は逆である。TDP、t_compと及びp_compは、典型的には、半径位置により変化する。基準状態は、典型的には、30℃(室温)、1気圧(高度0m)の環境条件である。
HDC/MPU23は、温度センサ17の検出温度に応じてヒータ・パワーPを制御する。具体的には、HDD1には検出温度とヒータ・パワーとの間の関係を示すデータが設定されており、HDC/MPU23は、そのデータと検出温度に従って温度に依存するヒータ・パワーを決定する。温度とヒータ・パワーとの関係は、ヘッド・スライダ12、磁気ディスク11の半径位置(あるいはゾーン)、気圧に依存する。
HDD1は、気圧センサを使用して気圧を測定してもよいが、好ましくは、HDD1は、リード信号の変化により気圧変化を測定する。具体的には、HDC/MPU23は、リード信号のレゾリューション(周波数成分の分解能)からクリアランス変化を特定し、そのクリアランス変化から気圧変化を特定する。クリアランスは温度に応じて変化するため、HDC/MPU23は、レゾリューションの温度補正を行うことで、気圧変動分を算出することができる。なお、クリアランスは湿度に応じても変化するが、気圧及び温度に比較して小さいため、本明細書では、湿度の影響をないものと仮定する。
レゾリューションは、リード信号における高周波成分と低周波成分の振幅比で表すことができる。クリアランスが小さくなると、レゾリューションが高くなる。HDC/MPU23は、リード信号の振幅からレゾリューションを算出することができるが、より好ましくは、RWチャネル21の機能を利用する。フィルタ係数を設定するためにレゾリューションに相当する値を算出する機能を有するRWチャネル21が知られている(例えば、特開平5−81807、米国特許5168413)。HDC/MPU23は、RWチャネル21からレゾリューションの値を取得して温度変化に対する補正を行うことで、気圧を特定することができる。
なお、HDD1には、基準状態(例えば、1気圧、30℃)における、クリアランス、レゾリューションが登録されている。また、クリアランス、レゾリューション及び気圧の関係に加え、温度変化及び気圧変化のそれぞれに対するヒータ・パワー効率が登録されている。HDC/MPU23は、基準状態における各値と、動作中に測定した各値との差及び上記ヒータ・パワー効率から、TFCのためのヒータ・パワーを決定する。
以下において、本形態のERPの詳細を説明する。HDD1は、リード処理のERP、ライト処理のERP、磁気ディスク11からマイクロ・コードを読み出す処理のERPなど、複数種類のERPを実行する。その中で、本形態は、リードERP及びライトERPにおける処理に特徴を有している。図3のブロック図を参照して、ERPの処理の流れを説明する。全体的な処理は、リードERPとライトERPとで同様である。
HDC/MPU23は、ホスト51からのコマンド(リード・コマンドあるいはライト・コマンド)が指定するターゲット・トラックに、ヘッド・スライダ12を移動する。HDC/MPU23は、モータ・ドライバ・ユニット22を介してVCM15を制御することで、ヘッド・スライダ12をターゲット・トラックに移動することができる。ターゲット・トラックにおいて、正常にデータ・リードあるいはデータ・ライトすることができない場合、HDC/MPU23は、ERPを開始する。典型的なエラーとしては、リード処理あるいはライト処理において、ヘッド・スライダ12をターゲット・トラック上に維持することができない、あるいは、リード処理において正確にデータを読み出すことができない場合などがある。
リード処理あるいはライト処理においてエラーが発生すると、HDC/MPU23は、ERPテーブル241を参照し、ERPテーブルに登録されているERPステップを順次実行する。ERPテーブル241は磁気ディスク11やROMに保存されており、HDD1の動作中は、RAM24に展開されている。いずれかのERPステップにおいてエラーから回復すると、HDC/MPU23は通常動作に戻る。
リードERPにおけるエラー回復において、ヘッド・スライダ12が読み出したリード信号からRWチャネル21がリード・データを抽出する。HDC/MPU23は、取得したリード・データをバッファ242に一旦格納した後、ホスト51へ転送する。ライトERPにおけるエラー回復において、HDC/MPU23は、ホスト51から取得したライト・データをバッファ242に一旦格納した後、RWチャネル21に転送する。RWチャネル21がライト・データをライト信号に変え、AE13を介してライト信号を受け取ったヘッド・スライダ12が、ターゲット・アドレスにデータを書き込む。
本形態のHDD1は複数のERPテーブルを有しており、リード処理においてエラーが発生した場合はリードERPテーブルを参照し、ライト処理においてエラーが発生した場合はライトERPテーブルを参照する。図4は、リードERPテーブルの好ましい例を示している。リードERPテーブルは複数のERPステップを有しており、HDC/MPU23は、最上位にあるERPステップ1から下位の方向へ、エラー回復するまで各ERPステップを順次実行していく。
典型的なERPステップの一つは、ERPステップ1のように、ERPを開始する前の通常リード処理と同一の条件において、データ・リードをリトライする。他の典型的なERPステップは、例えば、RWチャネル21のチャネル・パラメータを変更して、データ・リードを試みる。本形態のリードERPテーブルは、TFCによりクリアランスを変化させるステップを有している。HDC/MPU23は、ERP前の通常のリード処理において、測定温度及び気圧に応じてデフォルト設定に従って決定したヒータ・パワーをヒータ124に与える。いくつかのERPステップにおいて、HDC/MPU23は、このデフォルト設定のヒータ・パワーよりも大きいヒータ・パワー、あるいは小さいヒータ・パワーをヒータ124に与える。
図4の例において、ERPステップx、ERPステップx+1は、ヒータ・パワーをデフォルト設定値よりも小さくする。一方、ERPステップy、ERPステップy+1は、ヒータ・パワーをデフォルト設定値よりも小さくする。x及びyはそれぞれ自然数であり、xがyよりも小さい。つまり、HDC/MPU23は、ERPステップx、ERPステップx+1を、ERPステップy、ERPステップy+1より先に実行する。通常のリード/ライト処理におけるクリアランスが小さい場合、さらにクリアランスを小さくすることは、ヘッド・スライダ12と磁気ディスク11の接触の危険性が非常に高くなる。そのため、HDC/MPU23は、クリアランスを高くするERPステップを、低くするステップよりも先に実行することが好ましい。
ERPステップxは、高度1.5kmに相当するヒータ・パワー量を、ERPを開始する前のデフォルト設定値から減じて、データのリードを試みる。ERPステップx+1は、高度3.0kmに相当するヒータ・パワー量をデフォルト設定値から減じて、データのリードを試みる。ERPステップyは、高度1.5kmに相当するヒータ・パワー量をデフォルト設定値に足して、データのリードを試みる。ERPステップx+1は、高度3.0kmに相当するヒータ・パワー量をデフォルト設定値に加えて、データのリードを試みる。
HDC/MPU23は、ヒータ・パワーをデフォルト設定から変更するERPステップにおいてエラーから回復すると、その回数をカウントする。HDC/MPU23は、ヒータ・パワーを変更するERPステップx、x+1、y、y+1のそれぞれに対応したカウンタを有しており、いずれかのERPステップにおいてエラー回復した場合に、そのERPステップのカウンタをインクリメント(あるいはディクリメント)する。そして、いずれかのERPステップのカウンタが予め設定されている所定数に達すると、HDC/MPU23は、ヒータ・パワーのデフォルト設定を変更する。つまり、その後の通常リード/ライト処理におけるヒータ・パワーのTFC設定を変更する。
TFCデフォルト設定を変更する基準となる上記カウント数は、2以上の数である。つまり、いずれかのERPステップにおいて所定複数回のエラー回復があった場合に、初めてHDC/MPU23は、TFCのデフォルト設定を変更する。例えば、HDC/MPU23は、ヒータ・パワーを変更するいずれかのERPステップにおいて、3回のエラー回復がなされた場合に、デフォルト設定を変更する。これにより、誤ってフォルト設定を変更する可能性を低減し、通常リード/ライト処理においてより適切なクリアランスを実現することができる。
HDC/MPU23は、デフォルト設定の起因となったERPステップに応じて、デフォルト設定の変更方法を変える。具体的には、HDC/MPU23は、ヒータ・パワーを減少するERPステップx、x+1に応じてデフォルト設定を変更する場合、デフォルト設定のヒータ・パワーを小さくする。反対に、ヒータ・パワーを増加するERPステップy、y+1に応じてデフォルト設定を変更する場合、HDC/MPU23は、デフォルト設定のヒータ・パワーを大きくする。また、HDC/MPU23は、各ERPステップにおけるヒータ・パワー変更量に応じて、デフォルト設定のヒータ・パワーの変更量を決定することが好ましい。これにより、より適切なクリアランスにおいて通常リード/ライト処理を行うことができる。具体的には、ヒータ・パワー変更量の小さいERPステップに対応してデフォルト設定を変更する場合、デフォルト設定の変更量も小さくする。
HDC/MPU23は、通常リード/ライト処理におけるヒータ・パワーを決定する数式(P(t)+P(p))内のいずれの要素を変更してもよいが、典型的には、ヒータ・パワーのオフセットを変更する。つまり、いずれの温度及び気圧においても、一定量のクリアランスが変更される。例えば、ERPステップxに対応してデフォルト設定を変更する場合、HDC/MPU23は、変更前のデフォルト設定に従って決定されるヒータ・パワーから高度1.5kmに相当するヒータ・パワーを減ずる。あるいは、ERPステップx+1に対応してデフォルト設定を変更する場合、HDC/MPU23は、変更前のデフォルト設定に従って決定されるヒータ・パワーから高度3.0kmに相当するヒータ・パワーを減ずる。
同様に、ERPステップyに対応してデフォルト設定を変更する場合、HDC/MPU23は、変更前のデフォルト設定に従って決定されるヒータ・パワーから高度1.5kmに相当するヒータ・パワーを増加する。あるいは、ERPステップy+1に対応してデフォルト設定を変更する場合、HDC/MPU23は、変更前のデフォルト設定に従って決定されるヒータ・パワーから高度3.0kmに相当するヒータ・パワーを増加する。
HDC/MPU23は、デフォルト設定において、ERPステップにおけるヒータ・パワーの増減量と異なる量の変更を行ってもよい。また、ヒータ・パワーを増加する場合と、減少する場合との間に、増減量の差異があってもよい。あるいは、ヒータ・パワーを増加する場合には、いずれのERPステップを起因としてデフォルト設定を変更する場合にも同一量のヒータ・パワーを増加させ、ヒータ・パワーを減少させる場合にも、いずれのERPステップを起因としてデフォルト設定を変更する場合にも同一量のヒータ・パワーを減少させるようにしてもよい。
リードERPにおいてTFCデフォルト設定の変更を行う場合、通常のリード処理のみの設定を変更する、あるいは、ライト処理の設定も合わせて変更することができる。これは、ライトERPにおいてデフォルト設定の変更を行う場合も同様である。ライト処理においては、ライト電流によるクリアランスの低下があり、リード処理とライト処理におけるヘッド・スライダ12の状態が異なる。このため、ライト処理とリード処理とでは、デフォルト設定の変更を個別に行うことが好ましいHDD1においては、HDC/MPU23は、リードERPにおいてTFCのデフォルト設定を変更しても、ライト処理におけるデフォルト設定を変更することはない。
あるいは、後のライト処理におけるエラーの発生を未然に防止することが好ましい設計においては、HDC/MPU23は、リードERPにおいてTFCのデフォルト設定を変更すると、ライト処理における設定も変更する。例えば、リード処理において増減したヒータ・パワー値と同様のヒータ・パワー値をライト処理においても増減する。図4の例において、HDC/MPU23がリード処理のデフォルト設定を、高度1.5km分減少させた場合、ライト処理のデフォルト設定においても高度1.5km分減少させる。
上述のように、本形態のHDC/MPU23は、ヒータ・パワーを変更するERPステップにおいて、所定の複数回に渡りエラー回復が達成された場合に、TFCのデフォルト設定を変更する。エラー回復のカウント方法は、いくつかの好ましい方法が存在する。図4の好ましい例において、HDC/MPU23は、ヒータ・パワーを変更するERPステップ以外のERPステップにおいてエラーから回復した場合、全てのカウンタをクリアする。つまり、デフォルト設定変更の条件は、連続する複数回のリードERPにおいてヒータ・パワーの変更によりエラーから回復し、さらに、その連続する複数回において、いずれかのERPステップによるエラー回復が所定数(例えば3回)に達することである。
ヒータ・パワーを変更するERPステップ以外のERPステップでエラーから回復した場合、エラーの原因はクリアランス以外にあり、クリアランスは適切な範囲にあると予想される。そのため、HDC/MPU23は、ヒータ・パワーを変更するERPステップと異なるERPステップにおいてエラーから回復した場合に、全てのカウンタをクリアする。その後、HDC/MPU23は、最初から、各ERPステップにおけるエラー回復の回数をカウントする。
他の好ましい方法は、ヒータ・パワーを変更するERPステップと異なるERPステップにおけるエラー回復が2以上の所定数に達した場合に、カウンタをクリアする。具体例を説明する。HDC/MPU23は、ヒータ・パワーを変更するいずれかのERPステップにおいて、N回(N>1)のエラー回復が達成された場合に、デフォルト設定を変更する。また、ヒータ・パワーを変更するERPステップ以外のERPステップにおいて、M回(M>1)のエラー回復が達成された場合に、全てのカウンタをクリアする。クリアランスが適切な範囲にないことをより確実に特定するため、好ましくは、M<Nである。
これにより、クリアランスが適切な範囲にない場合に、適切であると誤って判定する可能性を低減することができる。クリアランスが適正でないにも係らず、ヒータ・パワーを変更することなくエラーから回復可能性が存在する。そのような場合にカウンタをクリアすることは、適切なクリアランスが実現されるタイミングを遅延させ、エラー発生の原因となる。従って、ヒータ・パワーを変更することなくエラーから回復した場合であっても、その回数が少ない場合は、カウンタの値を維持することが好ましい。
HDC/MPU23は、ヒータ・パワーを変更するいずれかのERPステップにおいて、連続して所定回数に渡りエラー回復が達成された場合に、デフォルト設定を変更することもできる。例えば、最初のERPにおいてERPステップxがエラー回復を達成し、次のERPにおいて異なるERPステップ、例えば、ERPステップx+1がエラー回復を達成した場合、HDC/MPU23はカウンタをクリアする。この手法においても、上述のように、HDC/MPU23は、他のERPステップにおいて所定の複数回のエラー回復が達成された場合に、カウンタをクリアするようにしてもよい。
ヒータ・パワーの増減の種類を考慮して、カウンタをクリアする条件を決定してもよい。HDC/MPU23は、ヒータ・パワーを変更するERPステップのカウンタを、そのERPステップと同一極性(増加もしくは減少)のヒータ・パワー変更でエラー回復が達成された場合はクリアしないが、他のERPステップにおいてエラー回復が達成された場合に、カウンタをクリアする。
例えば、HDC/MPU23は、ERPステップx+1においてエラー回復があると、ERPステップy、y+1のカウンタをクリアするが、ERPステップxのカウンタをクリアしない。同様に、HDC/MPU23は、ERPステップy+1においてエラー回復があると、ERPステップx、x+1のカウンタをクリアするが、ERPステップyのカウンタをクリアしない。ヒータ・パワーを変更しないERPステップでエラー回復が達成された場合、HDC/MPU23は、全てのカウンタをクリアする。この例においても、カウンタをクリアする条件に相当するERPステップにおいて、複数回のエラー回復が達成された場合に、カウンタをクリアするようにすることができる。
次に、図5を参照して、ライトERPテーブルの好ましい例を説明する。図5のライトERPテーブルと、上記リードERPテーブルとの間の最も大きな違いは、ライトERPにおけるヒータ・パワーの変更量が、リードERPよりも細かいことである。図5に示すように、ライトERPテーブルは、ヒータ・パワーを減少する3つのERPステップx〜x+2、そして、ヒータ・パワーを増加する3つのERPステップy〜y+2を有している。各ERPステップのヒータ・パワーの増減量は、高度0.6km、高度1.2kmそして高度1.8kmのそれぞれに相当する量である。なお、ライトERPテーブルにおけるx、yは、リードERPテーブルにおけるx、yと同一もしくは異なる値である。
本例におけるライトERPにおいて、HDC/MPU23は、書き込んだデータのベリファイを行わない。ベリファイは、書き込んだデータを読み出し、正確にデータが書き込まれていることを検証する処理である。ベリファイ処理を省略することで、パフォーマンスを向上することができる。しかし、ベリファイ処理を行わない場合、データが正確に磁気ディスク11に書き込まれている保証は存在しない。
そのため、クリアランスが高すぎると、プアライトが起きる可能性がある。プアライトの場合、書き込み強度が小さく、その後のリード処理において正確にデータを読み出すことができない可能性が高い。そのため、本例においては、ライトERPにおいてヒータ・パワーを段階的に減少するときの減少量の平均値(本例において高度0.6km相当分)を、リードERP(図4の例において高度1.5km相当分)よりも小さくしている。また、ライトERPにおいて最も小さいヒータ・パワー(本例において高度1.8km相当分の減少)が、リードERPにおいて最も小さいヒータ・パワー(図4の例において高度3.0km相当分の減少)よりも大きい。これによって、プアライトをより確実に防ぐ。なお、減少量は一定でなくてもよい。
設計を容易にするため、図5に示すように、ヒータ・パワーを増加するERPステップのヒータ・パワー変更量は、ヒータ・パワーを減少するERPステップと同様とすることができる。あるいは、これらを異なる値としてもよい。ライトERPの信頼性を高めるため、HDC/MPU23は、クリアランスを変更するERPステップにおいてデータを書き込むことができた場合、そのデータのベリファイを行ってもよい。ベリファイを行う場合、ヒータ・パワーの増減量は、リードERPと同様に設定することが好ましい。ライトERPにおけるカウンタ制御及びデフォルト設定の変更方法は、上記リードERPにおけるそれらと同様に行うことができる。
次に、TA検出によるTFCデフォルト設定の変更について説明する。本形態のHDC/MPU23は、ERPにおいてTAの検出処理を行い、その検出結果に応じてTFCデフォルト設定の変更を行う。典型的には、RWチャネル21がTA検出機能を有しており、HDC/MPU23は、RWチャネル21のレジスタにアクセスすることで、TA検出の有無を知ることができる。リードERPテーブル及びライトERPテーブルは、TA検出処理を行うERPステップを有しており、HDC/MPU23は、そのERPステップにおいてTAの有無を確認する。TAが検出された場合、HDC/MPU23はカウンタをインクリメント(あるいはディクリメント)する。
HDC/MPU23は、複数回のERPにおいて、同一エリアにおいてTAを検出した場合、検出したTAに対応してTFCのデフォルト設定を変更する。例えば、通常リード/ライト処理におけるヒータ・パワーを減少させる、あるいは、TAを登録するマップを更新し、TAを含む一部の領域においてのみヒータ・パワーを小さくして、検出したTAが存在する位置においてTAを避ける。デフォルト設定を変更する条件となるTA検出の回数は、上記ヒータ・パワーを変更するERPステップに対応したデフォルト設定の変更と同様である。例えば、HDC/MPU23は、連続する所定回数のTA検出、あるいは、過去M回のERPにおいてN回のTAが検出された場合にTFCのデフォルト設定を変更する。
次に、ヒータ・パワーを増減するERPステップの実行順序について、他の好ましい例を説明する。図6(a)、(b)は、ヒータ・パワーを増減する2種類のERPステップの順序と、各ERPステップにおけるヒータ・パワーの極性及び量を示している。ERPにおいて、HDC/MPU23は、ヒータ・パワーの増減を交互に繰り返す。また、ヒータ・パワー量を徐々に増加させる。
具体的には、図6(a)において、ERPステップaはヒータ・パワーを増加させ、その次のERPステップa+1はヒータ・パワーを減少させる。これらのヒータ・パワー量(絶対値)は同じである。ERPステップa+2はヒータ・パワーを増加させ、ERPステップa+3はヒータ・パワーを減少させる。これらのヒータ・パワー量は同じであり、その前の2つのERPステップよりも大きい。同様に、ERPステップa+4はヒータ・パワーを増加させ、ERPステップa+5はヒータ・パワーを減少させる。
ヒータ・パワーを増減するERPステップにおいてエラーから回復した場合、HDC/MPU23は、次のERPにおいて、前のERPでエラー回復に成功したERPステップと同一種類のERPステップを、先に実行する。図6(b)は、図6(a)のERPにおいて、ヒータ・パワーを減少するERPステップ(例えば、ERPステップa+5)においてエラーから回復した場合に相当する。図6(b)のERPはヒータ・パワーを増減するERPステップを交互に実行するが、ヒータ・パワーを減少するERPステップが増加するERPステップより先に実行される。
前のERPにおいて、HDD1がヒータ・パワーを増加もしくは減少するERPステップによりエラー回復した場合、HDD1は、次のERPにおいても同様のヒータ・パワー調整によりエラーから回復する可能性が高い。そのため、前のERPの結果に応じてヒータ・パワーを増減するERPステップの実行順序を決定することで、より効率的な処理を行うことができる。
HDC/MPU23は、ERPステップの実行順序を変更するために、ERPテーブルを変更する、あるいは、HDC/MPU23は極性変更フラグを有しており、その極性フラグとERPステップの指示するヒータ・パワーの極性(増減)とから、各ERPステップにおけるヒータ・パワーの増減を決定する。つまり、フラグが反転を示す場合、HDC/MPU23は、ERPステップが示す増減と逆の処理を行う。ERPの結果に応じてこのフラグを設定することで、次のERPにおけるヒータ・パワーの増減順序を設定することができる。なお、ヘッド・ディスク接触を避けるため、デフォルト設定のヒータ・パワー増減順序において、ヒータ・パワーを減少するERPステップが先であることが好ましい。また、ヒータ・パワーを増減するERPステップの間に、他のERPステップが存在してもよい。
以上、本発明を好ましい実施形態を例として説明したが、本発明が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。デフォルト設定の変更の条件となるERPステップは、上記の例以外のものでもよい。本発明は、ピエゾ素子などのTFC以外のクリアランス調整機構を有するディスク・ドライブ装置に適用することができる。本発明は、リード素子のみを備えるヘッド・スライダを実装するHDDに、あるいは、HDD以外のディスク・ドライブ装置に適用してもよい。
本実施形態において、HDDの全体構成を模式的に示すブロック図である。 本実施形態において、TFCのためのヒータを備えたヘッド・スライダの構成を模式的示す断面図である。 本実施形態のERPに関連する機能構成要素を模式的に示すブロック図である。 本実施形態のリードERPテーブルの好ましい例を示す図である。 本実施形態のライトERPテーブルの好ましい例を示す図である。 本実施形態において、ヒータ・パワーを増減するERPステップの実行順序について、他の好ましい例を模式的に示す図である。
符号の説明
1 ハードディスク・ドライブ、10 エンクロージャ、11 磁気ディスク
12 ヘッド・スライダ、14 スピンドル・モータ、15 ボイス・コイル・モータ
16 アクチュエータ、20 回路基板、21 リード・ライト・チャネル
22 モータ・ドライバ・ユニット、23 ハードディスク・コントローラ/MPU
24 RAM、31 ライト素子、32 リード素子、32a 磁気抵抗素子
33a、b シールド、34 保護膜、51 ホスト、121 トレーリング側端面
122 ヘッド素子部、123 スライダ、124 ヒータ、241 ERPテーブル
242 バッファ、311 ライト・コイル、312 磁極、313 絶縁膜

Claims (20)

  1. ディスクにアクセスするヘッドと、
    前記ヘッドを支持し、前記ディスク上において前記ヘッドを移動する移動機構と、
    前記ディスクと前記ヘッドとの間のクリアランスを調整する調整機構と、
    コントローラと、を有し
    前記コントローラは、
    デフォルト設定に応じたクリアランス調整を行い、
    前記調整されたクリアランスにおいて、ユーザ・データの通常アクセスを行い、
    前記通常アクセスおけるエラーに対応したエラー回復処理において、テーブルに登録されているエラー回復ステップを順次実行し、
    2以上の所定回数の前記エラー回復処理において、予め定められたエラー回復ステップの実行結果がクリアランスを変更することでエラーから回復することを示す場合に、前記実行結果に応じて前記デフォルト設定を変更する、
    ディスク・ドライブ装置。
  2. 前記エラー回復ステップの実行結果は、クリアランスを変更するエラー回復ステップAにおいてエラー回復が達成されたことである、
    請求項1に記載のディスク・ドライブ装置。
  3. 前記コントローラは、連続した前記所定回数のエラー回復処理において、前記エラー回復ステップAにおけるエラー回復が達成された場合に、前記エラー回復ステップAに応じて前記デフォルト設定を変更する、
    請求項2に記載のディスク・ドライブ装置。
  4. クリアランスを変更する複数のエラー回復ステップが前記テーブルに登録されており、
    前記コントローラは、前記クリアランスを変更する複数のエラー回復ステップのいずれかにおいて連続してエラー回復が達成され、かつ、前記連続して達成された中で前記エラー回復ステップAにおけるエラー回復が前記所定回数に達成した場合に、前記エラー回復ステップAに応じて前記デフォルト設定を変更する、
    請求項2に記載のディスク・ドライブ装置。
  5. 前記コントローラは、ライト処理のエラー回復処理において、クリアランスを変更するエラー回復ステップを、ライト・ベリファイを行うことなく終了し、
    前記ライト処理のエラー回復ステップ間のクリアランス変更量の相違の平均値は、リード処理のエラー回復ステップ間のクリアランス変更量の相違の平均値よりも小さい、
    請求項2に記載のディスク・ドライブ装置。
  6. 前記エラー回復ステップの実行結果は、サーマルアスペリティの検出である、
    請求項1に記載の方法。
  7. 前記コントローラは、検出した前記サーマルアスペリティを避けるように、前記サーマルアスペリティを含む記録面の一部領域において、前記デフォルト設定を変更する、
    請求項6に記載のディスク・ドライブ装置。
  8. クリアランスを増加するエラー回復ステップとクリアランスを減少するエラー回復ステップの2種類のエラー回復ステップが、前記テーブルにおいて交互の実行順序で登録されており、
    前記コントローラは、クリアランスを変更するエラー回復ステップでエラー回復に成功した場合、次のエラー回復処理において、前記成功したエラー回復ステップと同一種類のエラー回復ステップを先に行う、
    請求項1に記載のディスク・ドライブ装置。
  9. 前記コントローラは、前記デフォルト設定を変更する場合、リード処理とライト処理に双方のデフォルト設定を変更する
    請求項1に記載のディスク・ドライブ装置。
  10. 前記コントローラは、前記デフォルト設定を変更する場合、リード処理とライト処理のうち、前記エラー回復処理が対応する処理においてのみデフォルト設定を変更する、
    請求項1に記載のディスク・ドライブ装置。
  11. クリアランス調整機能を有するディスク・ドライブ装置において、ユーザ・データのアクセスにおけるクリアランス調整のデフォルト設定を変更する方法であって、
    デフォルト設定に応じたクリアランス調整を行い、
    前記調整されたクリアランスにおいて、ユーザ・データの通常アクセスを行い、
    前記通常アクセスおけるエラーに対応したエラー回復処理において、テーブルに登録されているエラー回復ステップを順次実行し、
    2以上の所定回数の前記エラー回復処理において、予め定められたエラー回復ステップの実行結果がクリアランスを変更することでエラーから回復することを示すことを条件として、前記実行結果に応じて前記デフォルト設定を変更する、
    方法。
  12. 前記エラー回復ステップの実行結果は、クリアランスを変更するエラー回復ステップAにおいてエラー回復が達成されたことである、
    請求項11に記載の方法。
  13. 連続した前記所定回数のエラー回復処理において、前記エラー回復ステップAにおけるエラー回復が達成された場合に、前記エラー回復ステップAに応じて前記デフォルト設定を変更する、
    請求項12に記載の方法。
  14. クリアランスを変更する複数のエラー回復ステップが前記テーブルに登録されており、
    前記クリアランスを変更する複数のエラー回復ステップのいずれかにおいて連続してエラー回復が達成され、
    前記連続して達成された中で前記エラー回復ステップAにおけるエラー回復が前記所定回数に達成した場合に、前記エラー回復ステップAに応じて前記デフォルト設定を変更する、
    請求項12に記載の方法。
  15. ライト処理のエラー回復処理において、クリアランスを変更するエラー回復ステップを、ライト・ベリファイを行うことなく終了し、
    前記ライト処理のエラー回復ステップ間のクリアランス変更量の相違の平均値は、リード処理のエラー回復ステップ間のクリアランス変更量の相違の平均値よりも小さい
    請求項11に記載の方法。
  16. 前記エラー回復ステップの実行結果は、サーマルアスペリティの検出である、
    請求項11に記載の方法。
  17. 検出した前記サーマルアスペリティを避けるように、前記サーマルアスペリティを含む記録面の一部領域において、前記デフォルト設定を変更する、
    請求項16に記載の方法。
  18. クリアランスを増加するエラー回復ステップとクリアランスを減少するエラー回復ステップの2種類のエラー回復ステップが、前記テーブルにおいて交互の実行順序で登録されており、
    クリアランスを変更するエラー回復ステップでエラー回復に成功した場合、次のエラー回復処理において、前記成功したエラー回復ステップと同一種類のエラー回復ステップを先に行う、
    請求項11に記載の方法。
  19. 前記デフォルト設定を変更する場合、リード処理とライト処理に双方のデフォルト設定を変更する
    請求項11に記載の方法。
  20. 前記デフォルト設定を変更する場合、リード処理とライト処理のうち、前記エラー回復処理が対応する処理においてのみデフォルト設定を変更する、
    請求項11に記載の方法。
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