JP2009133041A - 吸水性軽量材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 産業廃棄物として処理されていた低質パルプと高分子吸収ポリマーと樹皮を組み合わせ、ガーデニング用品等として使用できるようにした吸水性軽量材を提供する。
【解決手段】 繊維状パルプと高分子吸収ポリマーは、使用済み紙おむつを水溶化し、塩化カルシウム等のモノマー化剤を用いて高分子吸収ポリマーが吸水した屎尿等を脱水させ、繊維状パルプと高分子吸収ポリマーとビニール類に分類して回収する。繊維状パルプは2〜4mmの大きさに形成する。樹皮は、木材の製材又は乾燥時で剥がれたものを20〜30mmの大きさに粉砕する。この繊維状パルプと高分子吸収ポリマーと粉砕した樹皮を水とともに容器に投入して攪拌機で攪拌し、繊維状パルプと高分子吸収ポリマーを樹皮に交絡させるように混合し、水分を多量に含んだ状態で型枠に入れてプレス機で圧縮成形する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、使用済み紙おむつから回収した素材と木材の製材及び乾燥時に剥がれた樹皮を用い、ガーデニング用品・バイオマス燃料・建築資材・梱包資材として使用できるようにした吸水性軽量材に関する。
従来、使用済み紙おむつは焼却処理するか、又は埋め立て処分されていた。近年ではこれらに代わる処理方法として、使用済み紙おむつを水溶化して使用材料を分離回収し、回収素材を再利用するリサイクルシステムが確立されている(特許文献1参照)。回収したパルプのうち純度の高い上質パルプは紙おむつや紙製品のパルプとして再利用されている。
ところで、前記回収素材のうち高分子吸収ポリマーや不純物を含む低質パルプはコンポスト(堆肥)等に利用されることもあるが、通常は処理費用を必要とする産業廃棄物として処理されるなど、単体での付加価値商品への転用が困難であった。また、林業の分野では木材の製材及び乾燥時に剥がれた樹皮を牛舎等の敷き藁の代用品やバイオマス燃料等に利用する研究が進められているが、現状では処理費用を必要とする産業廃棄物として取り扱われ、これも単体での付加価値商品への転用は困難であった。
特開2006−289154号公報
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、従来では産業廃棄物として処理されていた低質パルプと高分子吸収ポリマーと樹皮を組み合わせ、ガーデニング用品等として使用できるようにした吸水性軽量材を提供することにある。
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 繊維状パルプを水に混合して攪拌し、攪拌により繊維同士を交絡させた状態にして型枠に入れ、所定の形状に圧縮成形した、吸水性軽量材
2) 粉砕した樹皮を繊維状パルプとともに水に混合して攪拌し、攪拌により樹皮を繊維状パルプで包皮するように交絡させた状態にして型枠に入れ、所定の形状に圧縮成形した、吸水性軽量材
3) 繊維状パルプと樹皮の混合割合が20:80〜80:20の範囲である、前記2)記載の吸水性軽量材
4) 繊維状パルプが、使用済み紙おむつから分離したものである、前記1)〜3)いずれか記載の吸水性軽量材
5) 圧縮成形後に炭化処理した、前記1)〜4)いずれか記載の吸水性軽量材
6) 前記1)〜5)いずれか記載の吸水性軽量材を主要素材とした、植物栽培器
7) 繊維状パルプに高分子吸収ポリマーを混合して強い保水性を付与した、前記6)記載の植物栽培器
8) 高分子吸収ポリマーが、使用済み紙おむつから分離して屎尿を脱水したものである、前記7)記載の植物栽培器
9) 木材を75℃以下の温度の乾燥室内で加熱した後に乾燥室内を減圧除湿して採取した樹液、又は液肥、あるいはそれらの組み合わせを繊維状パルプに吸収させた、前記6)〜8)いずれか記載の植物栽培器
10) 前記1)〜5)いずれか記載の吸水性軽量材を主要素材とした、固形燃料
11) 複数の貫通孔を形成して内外が均等に燃焼しやすくした、前記10)記載の固形燃料
12) 前記1)〜5)いずれか記載の吸水性軽量材を主要素材とした、建築用断熱材。
13) 前記1)〜5)いずれか記載の吸水性軽量材を主要素材とした、建築用吸湿材
14) 前記1)〜5)いずれか記載の吸水性軽量材を主要素材とした、建築用調湿材
15) 前記1)〜5)いずれか記載の吸水性軽量材を主要素材とした、建築用保温材
16) 前記1)〜5)いずれか記載の吸水性軽量材を主要素材とした、梱包材
にある。
本発明によれば、従来では産業廃棄物として処理されていた低質パルプと高分子吸収ポリマーと樹皮を有効活用できる。また、繊維状パルプに水分を含んだ状態で圧縮するから、加熱を要することなく1t程度の低い圧縮力で常温成形でき、しかも攪拌で繊維同士が複雑に交絡して分離し難くなっているから、強く圧縮しなくても強固な成形品が得られる。
本発明の繊維状パルプは使用済み紙おむつを水溶化してビニール類を除去したもの、又はこれらから更に上質パルプを除いた低質パルプを使用し、ケナフパルプや古綿等の繊維状の素材も代用できる。高分子吸収ポリマーはこれらに含まれていたものに塩化カルシウム等のモノマー化剤を混合して屎尿等を脱水処理したものを使用する。樹皮を混合するものは繊維状パルプと樹皮の混合割合が20:80〜80:20の範囲が実用的であり、強度を必要とする場合は繊維状パルプの割合を多くして高い圧縮力で成形する。
吸水性軽量材をガーデニングポット等の植物栽培器に用いる場合は、プレス材料に窒素・リン酸・カリウム等を含有する液肥を混合するか、その液肥を予め繊維状パルプと樹皮に含浸させた後に圧縮成形し、植栽や播種後に必要な養分を供給できるようにしてもよい。また、植物の樹液を混合するとその樹液に含まれる各種成分で抗菌・防虫・防カビ性能を付与でき、芳香成分が含まれるものは芳香を付与できる。抗菌・防虫・防カビ成分を有する樹液としては、杉・桧・赤松・ヒバ・ケヤキ・クス・米松・メイプル・ラジアータパインなどから抽出したものが使用でき、芳香成分を有する樹液としては、桧・モミなどから抽出したものが使用できる。樹液は、木材を75℃以下(望ましくは65℃以下)の温度の乾燥室内で加熱した後に乾燥室内を減圧除湿して採取したものを用いる。75℃以上では樹液の成分が分解されて効果が低下する。この樹液の採取に用いる乾燥機は、特許第3881643号公報記載の技術や特許第3906313号公報記載の技術を利用する。既存の木材乾燥機では100℃以上の高熱が加えられるため利用できない。以下、本発明の各実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
図1〜8に示す実施例1は、本発明の吸水性軽量材を植物栽培器に使用した例である。図1は実施例の繊維状パルプと高分子吸収ポリマーの回収を示すフロー、図2,3は実施例1の植物栽培器の製造工程を示す説明図、図4は実施例1の植物栽培器の一部切欠き斜視図、図5〜8は実施例1の植物栽培器の使用状態を示す説明図である。
図中、1はプレス材料、2は繊維状パルプ、3は高分子吸収ポリマー、4は樹皮、5は水、6は攪拌機、6aは容器、7は型枠、7aは上型、7bは下型、7cは水抜き孔、7dは下受型、7eは台盤、8はプレス機、10は植物栽培器、11は凹部、12は土壌、13は受皿、14はプラスチックカバー、15は枠部材、Pは植物、Wは水である。
実施例1では、図1に示すように使用済み紙おむつを破砕してビニール類を分断し、貯水した分離槽に塩化カルシウム等のモノマー化剤とともに投入して高分子吸収ポリマー3が吸水した屎尿等を脱水させ、繊維状パルプ2と高分子吸収ポリマー3を回収する。繊維状パルプ2は更に上質パルプと低質パルプに分離し、低質パルプを使用する。繊維状パルプ2は2〜4mmの大きさに形成する。樹皮4は、木材の製材又は乾燥時で剥がれたものを20〜30mmの大きさに粉砕する。型枠7は、プレス機8で押下される上型7aと、外周に多数の水抜き孔7cを備えた下型7bと、上下動できる下受型7dと、台盤7eとで構成されている。
図2(a)に示すように、繊維状パルプ2を15%と高分子吸収ポリマー3を5%と粉砕した樹皮4を80%とを水5とともに容器6aに投入して攪拌機6で混合攪拌し、樹皮4を繊維状パルプ2と高分子吸収ポリマー3で包皮するように交絡させる。この状態で樹皮4同士は連接され、容易に分離できない状態となっている。
この液状のプレス材料1を図2(b)に示すように水分を多量に含んだ状態で型枠7に流し込み、図3(a)に示すようにプレス機8で上型7aを押下して圧縮成形する。水抜き孔7cからは含んでいた水5が脱水する。成形後は図3(b)に示すように下受型7dを台盤7eより降下させて解圧し、成形品を脱型する。プレス機8の圧縮力は1tで、外径18cm、高さ9cmの円筒状に成形した。
得られた植物栽培器10には図4に示すように圧縮により成形された凹部11を有している。図5に示すように、この凹部11に土壌12を充填して植物P(観葉植物)を植え付け、これを受皿13に載せて水Wを与えると、水Wが植物栽培器10に吸水されて土壌12に行き渡る。水Wは高分子吸収ポリマー3で常に保水されて土壌12に適量給水され、頻繁に水やりすることなく植物Pを容易に管理できる。受皿13の水Wには液肥を混合してもよい。また、液肥は前記攪拌時の水5に混合し、成形前に繊維状パルプ2と樹皮4に浸透させておいてもよい。
図6に示すのは植物Pとして稲を植え付けた例であり、生長は良好であった。図7に示すのは植物栽培器10の側面をプラスチックカバー14で被覆した例で、植物栽培器10の形状保持と保水性を高めている。図8に示すのは植物栽培器10を25cm角、厚さ7cm程の板状に圧縮成形して表面全面に芝を植生し、建物の屋上やバルコニーなどに複数枚敷き詰めて緑化するための緑化シートとして使用できるようにしている。また、ブロック状に成形して緑化ブロックとしてもよい。
図9に示す実施例2は、本発明の吸水性軽量材を固形燃料に使用した例である。図9は実施例2の固形燃料の一部切欠き斜視図である。図中、20は固形燃料、21は孔である。実施例2の固形燃料20は、図9に示すように外径19cm、高さ10cmの円筒状に成形し、10mm程の孔21を複数箇所貫通している。燃焼時は孔21を通じて内部まで空気が行き渡り、均等に燃焼しやすくなる。孔21は圧縮成形後に加工するか、複数の凸部を備えた型枠を使用して圧縮と同時に成形してもよい。また、固形燃料20は成形後に炭化処理して利用してもよい。
図10に示す実施例3は、本発明の吸水性軽量材を建築用断熱材に使用した例である。図10は実施例3の建築用断熱材の斜視図である。図中、30は建築用断熱材である。実施例2の建築用断熱材30は、図10に示すように10t以上の圧縮力で板状に成形しており、これを建物の床・壁・天井を構成する構造材に取り付ける。その他、実施例3の建築用断熱材30は建築用吸湿材・建築用調湿材・建築用保温材・梱包材(緩衝材)としても好適に利用できる。また、建築用吸湿材・建築用調湿材・建築用保温材として用いる場合は、さらに炭化処理することで商品の付加価値を高めることでき、特に建築用調湿材は炭化処理により調湿作用がより向上する。
本発明の吸水性軽量材は、ガーデニングポット・緑化シート・緑化ブロック・バイオマス燃料・建築用断熱材・建築用吸湿材・建築用調湿材・建築用保温材・梱包材として利用される。
実施例1の繊維状パルプと高分子吸収ポリマーの回収を示すフローである。 実施例1の植物栽培器の製造工程を示す説明図である。 実施例1の植物栽培器の製造工程を示す説明図である。 実施例1の植物栽培器の一部切欠き斜視図である。 実施例1の植物栽培器の使用状態を示す説明図である。 実施例1の植物栽培器の使用状態を示す説明図である。 実施例1の植物栽培器の使用状態を示す説明図である。 実施例1の植物栽培器の使用状態を示す説明図である。 実施例2の固形燃料の一部切欠き斜視図である。 実施例3の建築用断熱材の斜視図である。
符号の説明
1 プレス材料
2 繊維状パルプ
3 高分子吸収ポリマー
4 樹皮
5 水
6 攪拌機
6a 容器
7 型枠
7a 上型
7b 下型
7c 水抜き孔
7d 下受型
7e 台盤
8 プレス機
10 植物栽培器
11 凹部
12 土壌
13 受皿
14 プラスチックカバー
15 枠部材
20 固形燃料
21 孔
30 建築用断熱材
P 植物
W 水

Claims (16)

  1. 繊維状パルプを水に混合して攪拌し、攪拌により繊維同士を交絡させた状態にして型枠に入れ、所定の形状に圧縮成形した、吸水性軽量材。
  2. 粉砕した樹皮を繊維状パルプとともに水に混合して攪拌し、攪拌により樹皮を繊維状パルプで包皮するように交絡させた状態にして型枠に入れ、所定の形状に圧縮成形した、吸水性軽量材。
  3. 繊維状パルプと樹皮の混合割合が20:80〜80:20の範囲である、請求項2記載の吸水性軽量材。
  4. 繊維状パルプが、使用済み紙おむつから分離したものである、請求項1〜3いずれか記載の吸水性軽量材。
  5. 圧縮成形後に炭化処理した、請求項1〜4いずれか記載の吸水性軽量材。
  6. 請求項1〜5いずれか記載の吸水性軽量材を主要素材とした、植物栽培器。
  7. 繊維状パルプに高分子吸収ポリマーを混合して強い保水性を付与した、請求項6記載の植物栽培器。
  8. 高分子吸収ポリマーが、使用済み紙おむつから分離して屎尿を脱水したものである、請求項7記載の植物栽培器。
  9. 木材を75℃以下の温度の乾燥室内で加熱した後に乾燥室内を減圧除湿して採取した樹液、又は液肥、あるいはそれらの組み合わせを繊維状パルプに吸収させた、請求項6〜8いずれか記載の植物栽培器。
  10. 請求項1〜5いずれか記載の吸水性軽量材を主要素材とした、固形燃料。
  11. 複数の貫通孔を形成して内外が均等に燃焼しやすくした、請求項10記載の固形燃料。
  12. 請求項1〜5いずれか記載の吸水性軽量材を主要素材とした、建築用断熱材。
  13. 請求項1〜5いずれか記載の吸水性軽量材を主要素材とした、建築用吸湿材。
  14. 請求項1〜5いずれか記載の吸水性軽量材を主要素材とした、建築用調湿材。
  15. 請求項1〜5いずれか記載の吸水性軽量材を主要素材とした、建築用保温材。
  16. 請求項1〜5いずれか記載の吸水性軽量材を主要素材とした、梱包材。
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