JP2009132731A - ケトチフェン及びイミダゾリン化合物含有組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ケトチフェン類とイミダゾリン誘導体とを含む組成物の光安定性を改善する。
【解決手段】 ケトチフェン又はその塩と、下記式(1)のイミダゾリン化合物又はその塩とを含有する組成物に、下記式(2)で表されるアミノ酸を配合することにより、組成物の光安定性を向上する。
【化4】
Figure 2009132731

2N−(CH2t−COOH (2)
[式中、Zは炭化水素環又は複素環を示し、R1は二価基を示し、R2は置換基を示す。mは0又は1を示し、nは0〜6の整数を示し、tは1〜5の整数を示す]
【選択図】 なし

Description

本発明は、光に対して不安定なケトチフェン又はその塩を含有しても、長期間に亘り光に対する安定性が改善された組成物(例えば、水性組成物、粘膜適用組成物など)に関する。特に、特定のイミダゾリン化合物又はその塩を含有しても、ケトチフェン又はその塩の光安定性を改善できる組成物に関する。
ケトチフェン又はその塩は抗アレルギー剤として経口剤、点眼剤、点鼻剤として広く利用されている。しかし、ケトチフェン又はその塩は光に対して不安定である。特に、水溶液中では光に極めて不安定となるため、特に水性組成物では、製造工程、市場流通工程での安定性、開封後の長期安定性を担保することが課題である。
一般に、光に対して不安定な薬理活性物質を含有する製剤を安定に保持する手段としては、製剤を収容する包装材料による遮光手段、例えば、製剤を収容する容器を遮光するための補助的な遮光袋を付随的に使用する方法、製剤を収容する容器を、褐色容器やアルミニウム容器にする方法などの遮光手段が採用されている。しかし、補助的遮光袋を使用者が使用しない場合も多く、また、容器や包材を使用できない製造過程では、光により物質が分解する危険性が高い。さらに、水性組成物の製造工程において、アルミニウム容器や濃い褐色の容器などの不透明又は透明性の低い容器を用いると、製剤を容器に充填した後、異物混入を容器の外側から検査するのが困難となる。
さらに、製剤の適用に際しても、遮光下で製剤を使用することは殆ど不可能である。特に局所投与剤を、容器から薬物を取り出して皮膚や粘膜に適用すると、通常、薬物が光に曝露されることとなり、適用部位で薬物が光分解するのを免れることは困難である。そこで、これまでにケトチフェン又はその塩の光安定性を改善する方法が知られている。
例えば、特開平10−152439号公報には、フマル酸ケトチフェン及びグリチルリチン酸又はその塩を含有する医薬組成物、並びにフマル酸ケトチフェン、製剤化助剤及びグリチルリチン酸又はその塩を含有する医薬組成物において、フマル酸ケトチフェンの光安定性が改善されることが開示されている。
特表2002−510627号公報には、ケトチフェン、レチノイン酸、レチノール、レチノールアセテートやこれらの塩などの薬学的に活性な成分を含む水性眼科用組成物を、Irganox1330などの抗酸化剤を含む高分子材料の容器に収容することなどにより接触させ、組成物を安定化(熱、光、及び/又は酸素暴露などに対して安定化)させることが開示されている。
ところで、ケトチフェン又はその塩は、抗ヒスタミン作用に加えて、ケミカルメディエーターの遊離抑制、好酸球の活性化抑制などの薬理作用を有しており、点眼剤、点鼻剤として抗アレルギー症状に有効な薬物である。また、さらに作用を向上させるために、イミダゾリン化合物であるナファゾリンやテトラヒドロゾリン等との配合剤も知られている。
例えば、特開平11−5750号公報には、血管収縮剤(ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、フェニレフリンなど)及びケトチフェン又はその塩を配合した点眼剤が、眼粘膜の充血症状の軽減除去効果に優れることが開示されている。また、特開平9−328437号公報には、血管収縮薬(ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、又はその塩など)及びフマル酸ケトチフェンを配合した鼻炎用点鼻薬が、鼻粘膜の炎症症状の除去又は軽減効果を改善することが開示されている。
また、特開2001−187728号公報には、抗アレルギー剤(クロモグリク酸、トラニスト、ケトチフェンなど)、抗ヒスタミン剤、血管収縮剤、及びテルペノイド化合物を含有する眼科用組成物が開示され、この組成物が、点眼時に不快な刺激感がなく、投与直後に速効かつ強力な鎮痒効果及び抗充血効果を有することが記載されている。この文献の実施例では、抗アレルギー剤(フマル酸ケトチフェン)、抗ヒスタミン剤(マレイン酸クロルフェニラミン又は塩酸ジフェンヒドラミン)、血管収縮剤(塩酸テトラヒドロゾリン又は塩酸ナファゾリン)、テルペノイド化合物(dl−カンフル、ウイキョウ油、及びローズ油又はゲラニオール)を必須成分として含む眼科用組成物が開示されている。また、上記の必須成分に加えて、薬効的有効成分としてアミノ酸類(L−アスパラギン酸ナトリウム又はアミノエチルスルホン酸)や消炎・収斂剤(ε−アミノカプロン酸)などを含んでもよいことが開示されている。
特開平11−189533号公報では、ケトチフェン又はその塩とビタミンとを配合した点眼薬が、眼粘膜の充血症状を除去又は軽減できることが開示されている。この文献の実施例では、フマル酸ケトチフェン、ビタミン(B1、B2、B6、B12、E)とともに、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン又は塩酸オキシメタゾリンなどの血管収縮薬、及び他の薬効成分(抗アレルギー薬、抗コリン薬、消炎薬など)などを含む点眼薬が開示されている。
このように、作用効果が向上し、有用性が高まることに鑑みて、ケトチフェン又はその塩とイミダゾリン化合物とともにケトチフェンを含有する組成物が知られているが、イミダゾリン化合物と組み合わせた系でのケトチフェンの光安定性に関する問題点については知られていなかった。
特開平10−152439号公報 特表2002−510627号公報 特開平11−5750号公報 特開2001−187728号公報 特開平11−189533号公報
本発明の発明者らは、ケトチフェン又はその塩と、特定のイミダゾリン化合物を組み合わせたところ、ケトチフェン類の光安定性が悪くなり、分解が促進されることを見出した。
従って、本発明の目的は、ケトチフェン又はその塩と特定のイミダゾリン化合物と組み合わせても、ケトチフェン又はその塩の光安定性が低下するのを防止できる組成物(水性組成物又は粘膜適用組成物)を提供することにある。
本発明の他の目的は、イミダゾリン誘導体によってケトチフェン又はその塩の光安定性が低下するのを防止できるのみならず、ケトチフェン又はその塩の光安定性を改善でき、特に、ケトチフェン又はその塩を含有する水性組成物であっても光に対する安定性が改善され、長期間に亘り安定な組成物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、光に対する安定性が改善されているだけでなく、粘膜に適用しても刺激のない安全な粘膜適用組成物を提供することにある。
本発明の別の目的は、ケトチフェン又はその塩の光安定性を向上できる方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ケトチフェン又はその塩(以下、単にケトチフェン類と称する場合がある)を特定のイミダゾリン化合物又はその塩(以下、単にイミダゾリン誘導体と称する場合がある)と組み合わせると、ケトチフェン類単独に比べ、ケトチフェン類の光安定性が著しく低下すること、このような系において、特定のアミノ酸をさらに配合すると、イミダゾリン誘導体によるケトチフェン類の光安定性の著しい低下を防止できること、さらにはケトチフェン類の光安定性を改善して、長期間に亘り安定な組成物を提供できることを見いだし、本発明を完成した。
従って、本発明は以下を提供する。
項1.ケトチフェン又はその塩と、下記式(1)
Figure 2009132731
[式中、Zは炭化水素環又は複素環を示し、R1は、下記式(1a)、(1b)又は(1c)
−R1a− (1a)
−(R1bs−N(R2b)− (1b)
−R1c−O− (1c)
(式中、R1a、R1b及びR1cは、アルキレン基を示し、R2bは、水素原子又はアルキル基を示し、sは0又は1を示す)
で表される二価基を示し、R2は置換基を示す。mは0又は1を示し、nは0〜6の整数を示す]
で表されるイミダゾリン化合物又はその塩と、下記式(2)
2N−(CH2t−COOH (2)
(式中、tは1〜5の整数を示す)
で表されるアミノ酸とを含有する安定化された組成物。
項2.ケトチフェン又はその塩と、項1記載の式(1)で表されるイミダゾリン化合物又はその塩と、項1記載の式(2)で表されるアミノ酸とを含有する水性組成物。
項3.ケトチフェン又はその塩と、項1記載の式(1)で表されるイミダゾリン化合物又はその塩と、項1記載の式(2)で表されるアミノ酸とを含有する粘膜適用組成物。
項4.光安定性が改善されている項1〜3のいずれかの項に記載の組成物。
項5.式(1)において、R1a、R1b及びR1cが、C1-6アルキレン基を示し、R2bが水素原子又はC1-6アルキル基を示し、置換基R2がアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基及びエステル基から選択された少なくとも一種を示す項1〜3のいずれかの項に記載の組成物。
項6.式(1)において、R1が直接結合、アルキレン基、イミノ基、アルキルイミノ基、又はオキシアルキレン基である項1〜3のいずれかの項に記載の組成物。
項7.イミダゾリン化合物が、交感神経作用薬である項1〜3のいずれかの項に記載の組成物。
項8.イミダゾリン化合物が、テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、トラマゾリン、チマゾリン及びメチゾリンから選択された少なくとも一種である項1〜3のいずれかの項に記載の組成物。
項9.イミダゾリン化合物が、テトラヒドロゾリン及びナファゾリンから選択された少なくとも一種である項1〜3のいずれかの項に記載の組成物。
項10.アミノ酸の割合が、ケトチフェン又はその塩1重量部に対して、0.01〜10,000重量部である項1〜3のいずれかの項に記載の組成物。
項11.さらに非イオン性界面活性剤、キレート剤及びソルビン酸又はその塩から選択された少なくとも一種を含有する項1〜3のいずれかの項に記載の組成物。
項12.光透過性の容器に収容されている項1〜3のいずれかの項に記載の組成物。
項13.点眼剤、洗眼剤、点鼻剤又はコンタクトレンズ用剤である項1〜3のいずれかの項に記載の組成物。
項14.ケトチフェン又はその塩と項1記載の式(1)で表されるイミダゾリン化合物又はその塩とを含有する組成物に、項1記載の式(2)で表されるアミノ酸を配合し、ケトチフェン又はその塩の光安定性を向上する方法。
すなわち、本発明のケトチフェン及びイミダゾリン化合物含有組成物は、ケトチフェン又はその塩と、下記式(1)
Figure 2009132731
[式中、Zは炭化水素環又は複素環を示し、R1は、下記式(1a)、(1b)又は(1c)
−R1a− (1a)
−(R1bs−N(R2b)− (1b)
−R1c−O− (1c)
(式中、R1a、R1b及びR1cは、アルキレン基を示し、R2bは、水素原子又はアルキル基を示し、sは0又は1を示す)
で表される二価基を示し、R2は置換基を示す。mは0又は1を示し、nは1〜6の整数を示す]
で表されるイミダゾリン化合物又はその塩と、下記式(2)
2N−(CH2t−COOH (2)
(式中、tは1〜10の整数を示す)
で表されるアミノ酸とを含有する安定化された組成物である。なお、ケトチフェン、イミダゾリン化合物の塩には、それぞれ、生理学的に許容される塩及び薬学上許容される塩(特に薬学上許容される塩)が含まれる。
前記式(1)において、R1a、R1b及びR1cが、C1-6アルキレン基を示し、R2bが水素原子又はC1-6アルキル基を示し、置換基R2がアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基及びエステル基から選択された少なくとも一種を示してもよい。また、R1は直接結合、アルキレン基、イミノ基、アルキルイミノ基、又はオキシアルキレン基などであってもよい。このようなイミダゾリン化合物は、交感神経作用薬であってもよい。前記イミダゾリン化合物(1)としては、テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、トラマゾリン、チマゾリン及びメチゾリンから選択された少なくとも一種などが挙げられる。
前記組成物において、前記アミノ酸の割合は、ケトチフェン類1重量部に対して、0.01〜10,000重量部程度であってもよい。前記組成物は、さらに非イオン性界面活性剤、キレート剤及びソルビン酸又はその塩から選択された少なくとも一種を含有してもよい。
本発明の組成物は、ケトチフェン類及びイミダゾリン誘導体の薬理作用に基づいて種々の組成物として使用でき、水性組成物及び粘膜適用組成物、例えば、点眼剤、洗眼剤、点鼻剤、コンタクトレンズ用剤などであってもよい。なお、コンタクトレンズには、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ、酸素透過性ハードコンタクトレンズなどのあらゆるタイプのコンタクトレンズが含まれる。
また、本発明の組成物は、光安定性が改善されているので、光透過性の容器(例えば、ガラス又はプラスチック製の容器など)に収容するのに適している。
本発明には、ケトチフェン類と前記イミダゾリン誘導体とを含有する組成物に、前記アミノ酸を配合し、ケトチフェン類の光安定性を向上する方法も含まれる。
なお、本明細書中、「塩」とは薬理学的に又は生理学的に許容される塩を意味する。そして、ケトチフェン又はその塩、及び前記イミダゾリン化合物又はその塩は、水和物の形態で使用することができる。
(ケトチフェン類)
ケトチフェン、すなわち、4,9−ジヒドロ−4−(1−メチル−4−ピペリジリデン)−10H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]チオフェン−10−オンは、公知化合物であり、公知の方法により合成してもよく市販品として入手することもできる。
ケトチフェンの塩としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される塩が使用できる。このような塩としては、有機酸塩[例えば、モノカルボン酸塩(酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酪酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩など)、多価カルボン酸塩(フマル酸塩、マレイン酸塩など)、オキシカルボン酸塩(乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩など)、有機スルホン酸塩(メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩など)など]、無機酸塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩など)、有機塩基との塩(例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、トリピリジン、ピコリンなどの有機アミンとの塩など)、無機塩基との塩[例えば、アンモニウム塩;アルカリ金属(ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウムなど)、アルミニウムなどの金属との塩など]などが例示できる。
ケトチフェン類のうち、有機酸塩、特にフマル酸ケトチフェンなどが好ましい。
ケトチフェン類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(イミダゾリン誘導体)
前記式(1)において、環Zで表される炭化水素環としては、脂環族炭化水素環[シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環などのシクロアルカン環(C5-8シクロアルカン環、好ましくはC5-6シクロアルカン環など);シクロペンテン環、シクロヘキセン環などのシクロアルケン環(C5-8シクロアルケン環、好ましくはC5-6シクロアルケン環など);テトラリン環、ジヒドロナフタレン環などの架橋環式炭化水素環(炭素数8〜16程度のビシクロアルカン又はビシクロアルケン環、トリシクロアルカン又はトリシクロアルケン環など)など];ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などの芳香族環(C6-14芳香族環、好ましくはC6-10芳香族環など)などが挙げられる。また、炭化水素環には、縮合炭化水素環も含まれる。縮合炭化水素環としては、インダン環、インデン環、テトラリン環、ジヒドロナフタレン環、ナフタレン環、アセナフテン環、アントラセン環、フェナントレン環などの炭素数8〜20(好ましくは炭素数8〜14)程度の縮合炭化水素環などが挙げられる。
これらの炭化水素環のうち、少なくとも芳香族炭化水素環を含む炭化水素環、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環などの芳香族炭化水素環;シクロアルカン又はシクロアルケン環と芳香族環(特にベンゼン環)とが縮合した縮合炭化水素環(インダン環、インデン環、テトラリン環、ジヒドロナフタレン環など)などが好ましい。
前記式(1)において、環Zで表される複素環としては、ヘテロ原子として酸素、イオウ及び窒素原子から選択された少なくとも一種を含む複素環が挙げられる。このような複素環としては、5〜8員(好ましくは5又は6員)複素環、例えば、ジヒドロフラン、ジヒドロピラン、ピランなどの酸素原子含有複素環;テトラヒドロチオフェン、ジヒドロチオフェン、チオフェン、チアピラン、ジチオラン、チアゾリンなどのイオウ原子含有複素環;ピロール、ピペリジン、ピリジンなどの窒素原子含有複素環などが挙げられる。また、複素環には、前記例示の複素環(5〜8員複素環など)と芳香族環(特に、ベンゼン環)とが縮合した縮合複素環、例えば、ベンゾチオフェン(チオナフテン)環、2,3−ジヒドロベンゾチオフェン環なども含まれる。
これらの複素環のうち、少なくとも芳香族環を含む複素環、すなわち、縮合複素環、特に、イオウ原子含有5〜8員複素環とベンゼン環との縮合環などが好ましい。
式(1)において、R2で表される置換基としては、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、及びエステル基から選択された少なくとも一種が挙げられる。前記アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル基などのC1-6アルキル基(特にC1-4アルキル基)が例示できる。アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ基などのC1-6アルコキシ基(特にC1-4アルコキシ基)などが例示でき、エステル基としては、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ブチルカルボニルオキシ(バレリルオキシ)、t−ブチルカルボニルオキシ(ピバロイルオキシ)基などのC1-6アルキル−カルボニルオキシ基(特にC1-4アルキル−カルボニルオキシ基)などが例示できる。
nは、好ましくは0〜5、さらに好ましくは0〜4の整数である。
置換基R2は、環Zの2級炭素原子に置換していてもよく、3級炭素原子に置換していてもよい。また、R2は、窒素原子含有複素環Zの窒素原子に置換していていもよい。特に、環Zは、3級炭素原子に置換基R2を有するのが好ましい。
式(1)において、R1a、R1b及びR1cで表されるアルキレン基としては、
メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン基などのC1-6アルキレン基(好ましくはC1-4アルキレン基、特にC1-2アルキレン基など)が挙げられる。
2bで表されるアルキル基としては、前記置換基R2の項で例示のアルキル基、特にC1-4アルキル基(C1-2アルキル基など)が挙げられる。好ましくはR2bは水素原子である。
sは0又は1であればよく、好ましくは0である。
式(1)において、二価基R1は、直接結合(すなわち、mが0である場合)、アルキレン基(すなわち、mが1で、二価基(1a)である場合)、イミノ基又はアルキルイミノ基(すなわち、mが1で、二価基(1b)である場合)、オキシアルキレン基(すなわち、mが1で、二価基(1c)である場合)が好ましく、特に、二価基R1は直接結合又はアルキレン基であるのが好ましい。
1は、環Zの2級炭素原子、3級炭素原子又は複素環の窒素原子において、環Zと結合していてもよい。R1は、特に、環Zの炭素原子において、環Zと結合しているのが好ましい。
このようなイミダゾリン化合物(1)としては、環Zが芳香族炭化水素環である化合物(オキシメタゾリン、キシロメタゾリンなどのR1がアルキレン基である化合物;チマゾリンなどのR1がオキシアルキレン基である化合物など)、環Zが縮合炭化水素環である化合物(テトラヒドロゾリンなどのR1が直接結合である化合物;ナファゾリンなどのR1がアルキレン基である化合物;トラマゾリンなどのR1が二価基(1b)(特にイミノ基又は置換イミノ基など)である化合物など)、環Zが縮合複素環である化合物(メチゾリンなどのR1がアルキレン基である化合物など)などが挙げられる。
イミダゾリン化合物(1)は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される塩として使用できる。薬理学的又は生理学的に許容できる塩としては、例えば、ケトチフェンの塩の項で例示した各種塩が挙げられ、特に無機酸塩などが好ましい。
これらのイミダゾリン誘導体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。イミダゾリン誘導体のうち、特に、交感神経作用薬として機能する化合物又は塩を利用すると、本発明の効果を好適に発揮できる。なお、交感神経作用薬は、ケトチフェン又はその塩とともに配合すると有用な薬物である。このようなイミダゾリン誘導体としては、例えば、テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、トラマゾリン、チマゾリン及びメチゾリンなど(好ましくは、テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン及びメチゾリンなど)、並びにこれらの塩(塩酸ナファゾリン、硝酸ナファゾリン、塩酸テトラヒドロゾリンなどの無機酸塩など)が挙げられる。イミダゾリン誘導体のうち、特に、テトラヒドロゾリン、ナファゾリン及びこれらの塩が好ましい。
(式(2)で表されるアミノ酸)
ケトチフェン類を含む組成物(水性組成物、粘膜適用組成物)は、光安定性が低く、イミダゾリン誘導体を含む組成物(水性組成物、粘膜適用組成物)では、光安定性が高い。それに対し、イミダゾリン誘導体とケトチフェン類とを組み合わせると、ケトチフェン類の光安定性は、大きく低下する。このような系において、式(2)で表されるアミノ酸を添加すると、ケトチフェン類の光安定性を大きく向上させることができる。
前記式(2)において、係数tは1〜10の整数であればよい。このようなアミノ酸としては、グリシン(t=1)、β−アラニン(t=2)、γ−アミノ酪酸(γ−アミノ−n−ブタン酸)(t=3)、γ−アミノ吉草酸(5−アミノ−n−ペンタン酸)(t=4)、ε−アミノカプロン酸(t=5)、7−アミノ−n−ヘプタン酸(t=6)、8−アミノカプリル酸(t=7)、9−アミノペラルゴン酸(t=8)、10−アミノカプリン酸(t=9)及び11−アミノ−n−ウンデカン酸(t=10)などが挙げられる。
前記係数tは、通常、1〜8、好ましくは1〜5(例えば、1〜4)の整数である。前記アミノ酸のうち、特に、係数tが1〜5であるアミノ酸が好ましい。
前記アミノ酸は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(各成分の割合)
ケトチフェン類の組成物中の割合は、剤型等に応じて、例えば、一日適用量(成人)として0.01〜15mg程度となるように適宜選択できる。例えば、ケトチフェン類の割合(濃度)は、安定化組成物全体に対して、0.0001〜10重量%(W/W%)、好ましくは0.0001〜5W/W%、さらに好ましくは0.0001〜1W/W%程度である。また、例えば、水性組成物又は粘膜適用組成物として用いる場合には、組成物全体に対して、0.0001〜1W/V%(以下、特に言及しない限り「W/V%」を単に「%」で示す)、好ましくは0.001〜1%、さらに好ましくは0.001〜0.1%、特に0.01〜0.1%程度である。
イミダゾリン誘導体の組成物中の割合は、イミダゾリン誘導体の種類や剤形等に応じて、一日の適用量(成人)として0.0001〜10mg程度となるように適宜選択できる。例えば、安定化組成物中のイミダゾリン誘導体の割合(濃度)は、組成物全体に対して、0.00001〜10W/W%程度の範囲から選択でき、好ましくは0.00001〜5W/W%、さらに好ましくは0.0001〜1W/W%程度である。例えば、水性組成物又は粘膜適用組成物では、組成物中のイミダゾリン誘導体の割合は、0.0001〜1%程度の範囲から選択でき、通常、0.0001〜0.5%、好ましくは0.0001〜0.1%、特に0.001〜0.1%程度である。
イミダゾリン誘導体のケトチフェン類に対する割合は、通常、ケトチフェン類1重量部に対して、イミダゾリン誘導体0.0001〜1,000重量部(例えば、0.0005〜500重量部)、好ましくは0.001〜100重量部、さらに好ましくは0.01〜100重量部程度である。
アミノ酸の割合は、安定化組成物全体に対して、0.001〜20W/W%、好ましくは0.001〜10W/W%、さらに好ましくは0.001〜5W/W%程度である。また、例えば、水性組成物又は粘膜適用組成物として用いる場合には、組成物全体に対して、0.001〜10%、好ましくは0.01〜5%、さらに好ましくは0.1〜5%(例えば、2〜5%)程度である。
ケトチフェン類に対するアミノ酸の割合は、通常、ケトチフェン類1重量部に対して、アミノ酸0.01〜10,000重量部(例えば、0.05〜10,000重量部)、好ましくは0.1〜3,500重量部(例えば、0.5〜1,000重量部)、さらに好ましくは0.1〜1,000重量部程度の範囲から選択できる。また、前記割合は、ケトチフェン類1重量部に対して、1〜200重量部、好ましくは5〜100重量部(例えば、10〜80重量部)、さらに好ましくは15〜80重量部程度であってもよい。
また、イミダゾリン誘導体に対するアミノ酸の割合は、通常、イミダゾリン誘導体1重量部に対して、アミノ酸0.01〜100,000重量部(例えば、0.1〜50,000重量部)、好ましくは0.1〜5,000重量部(例えば、10〜5,000、例えば、50〜3,000)程度の範囲から選択できる。
本発明の組成物は、さらに非イオン性界面活性剤、キレート剤、及びソルビン酸又はその塩から選択された少なくとも一種を含有してもよい。このような成分を組み合わせることにより、ケトチフェン類の光安定性をさらに改善することができる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン(POE)−ポリオキシプロピレン(POP)ブロックコポリマー(例えば、ポロクサマー407、ポロクサマー235、ポロクサマー188、ポロキサミンなど);モノラウリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート80)などのPOEソルビタン脂肪酸エステル類;POE(60)ヒマシ油、POE(60)硬化ヒマシ油などのPOEヒマシ油又は硬化ヒマシ油;POE(9)ラウリルエーテルなどのPOEアルキルエーテル類;POE(20)POP(4)セチルエーテルなどのPOE・POPアルキルエーテル類;POE(10)ノニルフェニルエーテルなどのPOEアルキルフェニルエーテル類などが使用できる。なお、括弧内の数字は付加モル数(平均付加モル数)を示す。これらの非イオン性界面活性剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。前記非イオン性界面活性剤のうち、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油又は硬化ヒマシ油、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルなどが好ましい。
非イオン性界面活性剤の割合(濃度)は、安定化組成物中、通常、0.001〜10W/W%、好ましくは0.001〜5W/W%程度である。また、水性組成物又は粘膜適用組成物では、前記割合は、組成物中、0.001〜1%、好ましくは0.01〜1%、さらに好ましくは0.05〜1%程度である。
前記キレート剤としては、例えば、エデト酸(エチレンジアミン四酢酸,EDTA)、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(HIDA)、クエン酸、酒石酸、コハク酸、トリヒドロキシメチルアミノメタン、ニトリロトリ酢酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸などが例示できる。これらのキレート剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
なお、キレート剤は、薬理学的又は生理学的に許容される塩(例えば、前記ケトチフェン類の項で例示の塩など)としても使用できる。
前記キレート剤のうち、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸及びこれらの塩[エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水和物(エデト酸ナトリウム)など]が好ましい。
キレート剤の割合(濃度)は、安定化組成物中、通常、0.0001〜10W/W%、好ましくは0.001〜5W/W%程度である。また、水性組成物又は粘膜適用組成物では、前記割合は、組成物中、0.0001〜1%、好ましくは0.001〜0.5%、さらに好ましくは0.005〜0.3%程度である。
前記ソルビン酸の塩としては、前記ケトチフェン類の項で例示の塩などが挙げられる。特に、無機塩基との塩、例えば、ソルビン酸カリウムなどのソルビン酸アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩などが好ましい。ソルビン酸又はその塩は、単独で又は二種以上組合せて使用できる。
ソルビン酸又はその塩の割合(濃度)は、安定化組成物中、通常0.00005〜10W/W%、好ましくは0.0001〜10W/W%程度である。また、水性組成物又は粘膜適用組成物では、前記割合は、組成物中、0.00005〜10%(例えば、0.0001〜10%)、好ましくは0.0005〜5%、さらに好ましくは0.001〜5%程度である。
本発明では、特定のアミノ酸を添加することにより、特定のイミダゾリン誘導体を含有する場合であっても、イミダゾリン誘導体により、ケトチフェン類を含む組成物の光安定性が低下するのを防止できるだけでなく、ケトチフェン類の光安定性を大きく改善でき、しかも粘膜に適用しても刺激がほとんどない。そのため、本発明の組成物は、種々の担体(水性担体、親水性担体、油性担体や、液状担体、粉粒状担体など)と組み合わせて製剤化でき、非水性組成物であってもよい。特に、本発明の組成物は水性媒体中でも高い光安定性が得られるため、水性組成物として有用である。
本発明の組成物は、目的に応じて種々の形態、例えば、固形剤、半固形剤、液剤などの様々な剤形で提供することができる。例えば、固形剤(錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤など)、半固形剤[軟膏剤(硬軟膏剤、軟軟膏剤など)、クリーム剤など]、液剤[点眼剤、ローション剤、エキス剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、注射剤(用時調製型の注射剤を含む)、エアゾール剤、軟カプセル剤、ドリンク剤など]などの形態で利用できる。水性組成物であれば、例えば、液剤、軟膏剤、クリーム剤などの水性半固形剤であってもよい。さらに、本発明の組成物は、医薬組成物に限らず、洗浄液、コンタクトレンズ用剤、食品、化粧料などの非医薬組成物としても利用できる。
本発明の組成物は、水性組成物として有用である。このような水性組成物としては、例えば、外皮用軟膏、外皮用クリーム、外皮用液剤、点眼薬(点眼剤)、洗眼薬(洗眼剤)、眼軟膏薬、コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズ用剤(洗浄液、保存液、殺菌液、マルチパーパスソリューション)、点鼻薬(点鼻剤)、鼻洗浄液、口腔咽頭薬、含嗽薬、点耳薬、化粧料などが挙げられる。
さらに、本発明の組成物は、刺激が全く又は殆どなく安全であることから、刺激を感じやすい口唇や粘膜(角膜及び結膜などの眼粘膜、口腔粘膜、鼻腔粘膜、咽頭部粘膜など)への適用に有用である。このような粘膜適用組成物としては、例えば、眼科用組成物[点眼薬(コンタクトレンズ装用中に使用できる点眼薬も含む)、コンタクトレンズ装着液、洗眼薬(コンタクトレンズ装用中にも使用できる洗眼薬を含む)、コンタクトレンズ用剤(洗浄液、保存液、殺菌液、マルチパーパスソリューション)など]、耳鼻科用組成物(点鼻薬、点耳薬、鼻洗浄液など)、口腔用組成物(口腔咽頭薬、含嗽薬など)などが例示できる。なお、本明細書において、コンタクトレンズとは、ハードコンタクトレンズ(酸素透過性ハードコンタクトレンズも含む)、ソフトコンタクトレンズなどのあらゆるタイプのコンタクトレンズを包含する。
さらには、特に、光に対する安定性が高いので、複数回に亘り投与する形態で包装され、かつ使用者が継続的に使用する組成物(特に水性組成物)、例えば、外皮用軟膏、外皮用クリーム、外皮用液剤、点眼薬、洗眼薬、点鼻薬、含嗽薬、コンタクトレンズ用剤(洗浄液、保存液、殺菌液、マルチパーパスソリューション)などにも有用である。
本発明の組成物(水性組成物、粘膜適用組成物)は、光安定性などを損なわない限り、上記した成分のほかに、種々の成分(薬理活性成分や生理活性成分を含む)を組み合わせて含有してもよい。このような成分の種類は特に制限されず、例えば、充血除去成分、抗炎症薬成分、収斂薬成分、抗ヒスタミン薬成分又は抗アレルギー薬成分、解熱鎮痛薬成分、健胃薬成分、消化薬成分、潰瘍治療薬成分、抗菌薬又は殺菌薬成分、抗腫瘍薬成分、ホルモン類、タンパク質又はペプチド類、アミノ酸類、ビタミン類などが例示できる。本発明において好適な成分としては、例えば、次のような成分が例示できる。
充血除去成分:エピネフリン、エフェドリン、フェニレフリン、メチルエフェドリン及びそれらの塩など。例えば、α−アドレナリン作動薬、例えば、β−フェニルエチルアミン誘導体(フェニレフリン、エピネフリン、エフェドリン、メチルエフェドリンなど)、及びそれらの薬学的又は生理学的に許容される塩(例えば、塩酸フェニレフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸メチルエフェドリンなどの無機酸塩;酒石酸水素エピネフリンなどの有機酸塩など)。
眼筋調節薬成分:アセチルコリンと類似した活性中心を有するコリンエステラーゼ阻害剤、例えば、メチル硫酸ネオスチグミンなどの第4級アンモニウム化合物及びそれらの塩など。
抗炎症薬成分:セレコキシブ(celecoxib)、ロフェコキシブ(rofecoxib)、インドメタシン、ジクロフェナク、プラノプロフェン、ピロキシカム、メロキシカム(meloxicam)、ベルベリン、グリチルリチン酸、リゾチーム、サリチル酸メチル、アラントイン、アズレンスルホン酸およびこれらの薬理学的に許容される塩(例えば、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、ジクロフェナクナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸アンモニウム、塩化リゾチーム、アズレンスルホン酸ナトリウムなど)など。
収斂薬成分:亜鉛及びそれらの塩(例えば、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛)など。
抗ヒスタミン薬成分又は抗アレルギー薬成分:例えば、クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、イプロヘプチン、エメダスチン、クレマスチン、アゼラスチン、レボカバスチン、オロパタジン、クロモグリク酸、トラニラスト、アンレキサノクス、メキタジン、ロラタジン(loratadine)、フェキソフェナジン(fexofenadine)、セチリジン(cetirizine)、イブジラスト、スプラタスト、ペミロラスト、及び薬理学的に許容される塩(例えば、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸イプロヘプチン、フマル酸エメダスチン、フマル酸クレマスチン、塩酸アゼラスチン、塩酸レボカバスチン、塩酸オロパタジン、クロモグリク酸ナトリウムなど)など。
抗菌薬又は殺菌薬成分:例えば、スルホンアミド類(例えば、スルファメトキサゾール、スルフイソキサゾール、スルフイソミジン及び薬理学的に許容される塩(スルファメトキサゾールナトリウム、スルフイソミジンナトリウムなど)など)、アクリノール、第4級アンモニウム化合物(例えば、ベンザルコニウム、ベンゼトニウム、セチルピリジニウム)及び薬理学的に許容される塩(塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルピリジニウムなど)、アルキルポリアミノエチルグリシン、ニューキノロン剤(ロメフロキサシン、レボフロキサシン、シプロフロキサシン、オフロキサシン、ノルフロキサシン、塩酸シプロフロキサシンなど)、ビグアニド類(ポリヘキサメチレンビグアニド、クロルヘキシジン又はその塩など)、ベルベリン又はその塩、塩化ポリドロニウム、Glokill(商品名、ローディア社製、例えば、Glokill PQ)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリ[オキシエチレン(ジメチルイミニオ)エチレン−(ジメチルイミニオ)エチレンジクロリド]、パラベン類(アミノ安息香酸メチル、アミノ安息香酸エチルなど)など。
ビタミン類:例えば、ビタミンA類[例えば、レチナール、レチノール、レチノイン酸、カロチン、デヒドロレチナール、リコピン及びその薬理学的に許容される塩類(例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールなど)など]、ビタミンB類[例えば、チアミン、チアミンジスルフィド、ジセチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、フルスルチアミン、リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチド、ピリドキシン、ピリドキサール、ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン、メチルコバラミン、デオキシアデノコバラミン、葉酸、テトラヒドロ葉酸、ジヒドロ葉酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチニックアルコール、パントテン酸、パンテノール、ビオチン、コリン、イノシトール及びその薬理学的に許容される塩類(例えば、塩酸チアミン、硝酸チアミン、塩酸ジセチアミン、塩酸フルスルチアミン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサール、リン酸ピリドキサールカルシウム、塩酸ヒドロキソコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミン、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウムなど)など]、ビタミンC類[アスコルビン酸及びその誘導体、エリソルビン酸及びその誘導体及びその薬理学的に許容される塩類(例えば、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウムなど)など]、ビタミンD類[例えば、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロタキステロール及びその薬理学的に許容される塩類など]、ビタミンE類[例えば、トコフェロール及びその誘導体、ユビキノン誘導体及びその薬理学的に許容される塩類(酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールカルシウムなど)など]、その他のビタミン類[例えば、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、オロチン酸、ルチン、エリオシトリン、ヘスペリジン及びその薬理学的に許容される塩類(塩化カルニチンなど)など]。
アミノ酸類:例えば、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、トレオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、セリン、プロリン、ヒドロキシプロリン、チロシン、システイン、アミノエチルスルホン酸(タウリン)、ジアミノモノカルボン酸(リシン、ヒドロキシリシン、アスパラギン、グルタミン、オルニチンなど)、モノアミノジカルボン酸(アスパラギン酸、グルタミン酸)、ヒスチジン、グリシルグリシン、及びその薬理学的に許容される塩類(例えば、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、塩酸システインなど)など。
糖類:単糖類(例えば、グルコースなど)、二糖類(例えば、トレハロース、ラクトース、フルクトースなど)、オリゴ糖類(例えば、ラクツロース、ラフィノース、プルランなど)、セルロース又はその誘導体(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロースなど)、高分子糖類(例えば、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸など)およびその薬理学的に許容される塩類(例えば、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウムなど)、糖アルコール類(例えば、マンニトール、キシリトール、ソルビトールなど)など。
局所麻酔薬成分:リドカイン、オキシブプロカイン、ジブカイン、プロカイン、アミノ安息香酸エチル、メプリルカイン、及びそれらの塩(塩酸リドカイン、塩酸オキシブプロカインなど)など。
ステロイド成分:ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、及びそれらの塩など
その他の成分:ポリビニルアルコール(完全又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドンなど。
これらの成分の含有量は、製剤の種類、活性成分の種類などに応じて選択でき、例えば、製剤全体に対して0.0001〜30%、好ましくは、0.001〜10%程度の範囲から選択できる。
より具体的には,本発明において好ましい水性組成物において、各成分の含有量は、例えば、以下の通りである。
充血除去成分(血管収縮剤又は交感神経興奮剤):例えば、0.0001〜0.5%、好ましくは0.0005〜0.3%、さらに好ましくは0.001〜0.1%程度
眼筋調節薬成分:例えば、0.0001〜0.5%、好ましくは0.001〜0.1%程度
抗炎症薬成分又は収斂薬成分:例えば、0.0001〜10%、好ましくは0.0001〜5%程度
抗ヒスタミン薬成分:例えば、0.0001〜10%、好ましくは0.001〜5%程度
殺菌薬成分:例えば、0.001〜10%、好ましくは、0.01〜10%程度
ビタミン類:例えば、0.0001〜1%、好ましくは、0.0001〜0.5%程度
アミノ酸類:例えば、0.0001〜10%、好ましくは0.001〜3%程度
糖類:例えば、0.0001〜5%、好ましくは0.001〜5%、さらに好ましくは0.01〜2%程度
セルロース又はその誘導体又はそれらの塩:例えば、0.001〜5%、好ましくは0.01〜1%程度
高分子糖類又はその塩:例えば、0.0001〜2%、好ましくは0.001〜2%、さらに好ましくは0.01〜2%(例えば、0.01〜1%)程度
ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール:例えば、0.001〜10%、好ましくは0.001〜5%、さらに好ましくは0.01〜3%程度。
本発明の組成物は、必要に応じて、発明の効果を損なわない範囲で、製剤の形態に応じて、医薬品、医薬部外品などに使用される様々な成分や添加物を任意に選択し、併用して製剤化することが可能である。
例えば、固形製剤では、結合剤(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなど)、賦形剤(ショ糖、乳糖、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸など)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウムなど)、崩壊剤(クロスカルメロースナトリウムなど)などを使用できる。また、半固形剤では、製剤の種類に応じた基剤、例えば、軟膏基剤(例えば、ワセリン、流動パラフィン、ロウなどの炭化水素系基剤、セタノール、高級脂肪酸エステルなど)、ゲル基剤(例えば、カルボキシビニルポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ガム質など)、油性基剤(オリーブ油、大豆油、ゴマ油、綿実油などの植物油、プロピレングリコールなど)などが利用できる。さらに、液剤では、基剤としての溶剤又は水、油性基剤、溶解補助剤、懸濁化剤又は乳化剤、等張化剤、緩衝剤などが使用できる。
また、これらの組成物には、必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、甘味剤、酸味剤、着色剤、香料などを添加してもよい。
以下に、本発明の一態様である水性組成物に用いる代表的な成分を例示するが、これらの成分に限定されるものではない。
糖類:例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、リボース、リブロース、アラビノース、キシロース、リキソース、デオキシリボース、マルトース、トレハロース、スクロース、セロビオース、ラクトース、プルラン、ラクツロース、ラフィノース、マルチトールなど、及びその薬理学的に許容される塩類など。
増粘剤:例えば、多糖類又はその誘導体(アラビアゴム、カラヤガム、キサンタンガム、キャロブガム、グアーガム、グアヤク脂、クインスシード、ダルマンガム、トラガント、ベンゾインゴム、ローカストビーンガム、カゼイン、寒天、アルギン酸、デキストリン、デキストラン、カラギーナン、ゼラチン、コラーゲン、ペクチン、デンプン、ポリガラクツロン酸、キチン及びその誘導体、キトサン及びその誘導体、エラスチン、ヘパリン、ヘパリノイド、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸など)、セラミド、セルロース又はその誘導体(セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロースなど)、ポリビニルアルコール(完全、又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、ポリビニル(メタ)アクリレート、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンイミン、リボ核酸、デオキシリボ核酸など、及びその薬理学的に許容される塩類など。
界面活性剤:前記非イオン性界面活性剤以外の界面活性剤、例えば、アルキルジアミノエチルグリシンなどのグリシン型、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの酢酸ベタイン型、イミダゾリン型などの両性界面活性剤;POE(10)ラウリルエーテルリン酸ナトリウムなどのPOEアルキルエーテルリン酸及びその塩、ラウロイルメチルアラニンナトリウムなどのN−アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、N−ココイルメチルタウリンナトリウムなどのN−アシルタウリン塩、テトラデセンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩、POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのPOEアルキルエーテル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩などの陰イオン界面活性剤;アルキルアミン塩、アルキル4級アンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなど)、アルキルピリジニウム塩(塩化セチルピリジニウム、臭化セチルピリジニウムなど)などの陽イオン界面活性剤など。なお、括弧内の数字は付加モル数を示す。
防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤:例えば、パラオキシ安息香酸エステル(パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルなど)、アクリノール、塩化メチルロザニリン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、ポリヘキサメチレンビグアニド、アルキルポリアミノエチルグリシン、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、クロロブタノール、イソプロパノール、エタノール、フェノキシエタノール、イオウ、リン酸ジルコニウムの銀、亜鉛、酸化亜鉛などの担持体、銀亜鉛アルミノケイ酸塩、マーキュロクロム、チメロサール、ポビドンヨード、デヒドロ酢酸、クロルキシレノール、クレゾール、クロロフェン、フェノール、レゾルシン、オルトフェニルフェノール、イソプロピルメチルフェノール、チモール、ヒノキチオール、スルファミン、リゾチーム、ラクトフェリン、トリクロサン、8−ヒドロキシキノリン、ウンデシレン酸、カプリル酸、プロピオン酸、安息香酸、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸トリクロカルバン、ハロカルバン、チアベンダゾール、ポリミキシンB、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ポリリジン、過酸化水素、塩化ポリドロニウム、Glokill(商品名、ローディア社製、例えば、Glokill PQ)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリ[オキシエチレン(ジメチルイミニオ)エチレン−(ジメチルイミニオ)エチレンジクロリド]など、及びその薬理学的に許容される塩類など。
pH調整剤:例えば、無機酸(塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸など)、有機酸(酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、グルコン酸、フマル酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸など)、グルコノラクトン、酢酸アンモニウム、無機塩基(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなど)、有機塩基(モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなど)、ホウ砂、及びその薬理学的に許容される塩類など。
等張化剤:例えば、グリセリン、プロピレングリコールなどの多価アルコール、糖類(ブトウ糖,マンニトール,ソルビトールなど)など。
無機塩類:例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、チオ硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなど。
さらに、必要に応じて香料又は清涼化剤(例えば、メントール、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、ユーカリ油、ベルガモット油、ウイキョウ油、ハッカ油、ケイヒ油、ローズ油、ペパーミント油など)などを加えることができる。
水性組成物(又は水性液剤)は、必要に応じて、生体に許容される範囲内のpH及び/又は浸透圧に調節する必要がある。許容されるpHは、内服用ドリンクでは、通常、酸性〜中性(例えば、pH3.0〜7.5程度)であることが好ましい。外皮用組成物では、通常、pH2.0〜7.5程度の範囲から選択でき、皮膚に対する低刺激性、及び皮膚使用感のよさという観点から、好ましくはpH3.0〜7.5、より好ましくは弱酸性〜中性(例えばpH3.0〜6.5程度)であるのが好ましい。粘膜適用組成物では、例えば、点眼薬、洗眼薬の場合、通常、pH4.0〜7.5,好ましくはpH4.5〜7.5,さらに好ましくはpH4.5〜6.5程度であり、点鼻薬の場合、通常、pH3.0〜7.5、好ましくはpH3.5〜7.5、さらに好ましくはpH3.5〜6.5程度である。
浸透圧は、100〜1200mOsm、好ましくは100〜600mOsm、特に好ましくは150〜400mOsm程度であり、生理食塩液に対する浸透圧比は、通常、0.3〜4.1、好ましくは0.3〜2.1、特に好ましくは0.5〜1.4程度である。pHや浸透圧の調節は、緩衝剤、前記pH調整剤、等張化剤、塩類などを用いて行うことができる。
緩衝剤としては、公知のホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、グッド緩衝剤などが挙げられる。好ましい緩衝剤は、グッド緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤及びクエン酸緩衝剤である。特に好ましい緩衝剤は、グッド緩衝剤、ホウ酸緩衝剤またはリン酸緩衝剤である。「グッド緩衝剤」とは、緩衝能を有する双性イオン構造のアミノエタンスルホン酸誘導体及びアミノプロパンスルホン酸誘導体の総称であり、グッドらにより考案された緩衝剤である。このグッド緩衝剤としては、MES、MOPS、PIPES、HEPES、BES、TESなどが挙げられる。前記ホウ酸緩衝剤としては、ホウ酸、ホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸アルカリ土類金属塩などのホウ酸塩、ホウ酸及びホウ酸塩の組み合わせなどが挙げられる。リン酸緩衝剤としては、リン酸、リン酸アルカリ金属塩、リン酸アルカリ土類金属塩などのリン酸塩、リン酸及びリン酸塩の組み合わせなどが挙げられる。また、ホウ酸緩衝剤又はリン酸緩衝剤として、ホウ酸塩又はリン酸塩の水和物を用いてもよい。より具体的には、ホウ酸又はその塩(ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウムなど)、リン酸又はその塩(リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムなど)、炭酸又はその塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなど)などが挙げられる。緩衝剤として、ホウ酸緩衝剤又はリン酸緩衝剤を用いる場合、本発明の水性組成物中におけるこれらの緩衝剤の濃度は、例えば、0.0001〜10.0%程度である。
本発明の組成物は、公知の方法により製造できる。固形製剤は、例えば、各成分を練合又は造粒し、必要により添加剤を添加して打錠することにより調製できる。半固形剤、液剤は、基剤と各成分とを混合し、必要により、ろ過滅菌処理し、容器に充填することにより調製できる。より具体的には、水性組成物の点眼剤であれば、例えば、蒸留水又は精製水及び添加剤を用いてケトチフェン類とイミダゾリン誘導体とアミノ酸とを溶解させ、所定の浸透圧及びpHに調整し、無菌環境下、ろ過滅菌処理し、洗浄滅菌済みの容器に無菌充填することにより製造できる。
本発明の組成物は、光に対する安定性が高いとともに、長期間に亘り高い光安定性を維持できるので、光透過性の容器、ガラス又はプラスチック製の容器、特に、スクイズ性及び携帯性に優れるプラスチック製容器などに、繰り返し使用可能な形態で、包装又は収容できる。さらに、本発明の組成物では、プラスチック製容器などの光に対する透過性の高い容器に包装又は収容することができるので、容器の外部から異物混入を確実に判別でき、異物確認試験を容易に行うことができると共に、水性組成物(点眼薬、洗眼薬、注射剤、輸液、飲料、食品、化粧料などの水性製剤など)の工程管理及び品質管理を確実に行うことができる。
前記組成物を収容できるプラスチック容器の樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂、硬質塩化ビニル樹脂、スチレン系樹脂(ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)など)、セルロースアセテート類などが例示できる。好ましい樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂であり、特に好ましい樹脂は、ポリエステル系樹脂である。
ポリエステル系樹脂としては、ジカルボン酸成分(フタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸成分など)とジオール成分とで構成された樹脂が使用できる。具体的には、芳香族ポリエステル系樹脂、例えば、ポリアルキレンテレフタレート[ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリC2-4アルキレンテレフタレートなど]、ポリアルキレンナフタレート[ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレートなどのポリC2-4アルキレンナフタレートなど]、ポリシクロアルキレンテレフタレート[ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)(PCT)など]、ポリアリレート類(ビスフェノール類(ビスフェノール−Aなど)とフタル酸類(フタル酸、テレフタル酸)とで構成された樹脂など)などのホモポリエステルが挙げられる。また、ポリエステル系樹脂には、前記ホモポリエステル単位を主成分(例えば、50重量%以上)として含むコポリエステル、前記ホモポリエステルの共重合体(PETとPCTとの共重合体など)なども含まれる。なかでも、オレフィン系樹脂(ポリエチレンなど)、芳香族ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレートなど)、ポリカーボネート系樹脂が好ましい。
ポリカーボネート系樹脂は、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノール−Aなど)をベースとする芳香族ポリカーボネートである。
なお、プラスチック製容器は、コストパフォーマンス、強度、光透過性、ガス又は水蒸気バリア性(透湿性)などに実害が無い限り、ポリマーアロイ(ポリマーブレンドなど)であってもよい。好ましいポリマーアロイには、複数の合成樹脂のポリマーブレンド(PETとPENとのポリマーブレンドなど)が含まれる。
また、樹脂は、スクイズ性が良好で、繰り返しの押圧に対して耐久性を有する樹脂、透明性または半透明性の樹脂であることが好ましく、必要に応じて着色してもよい。そして、光の透過を阻害できる成分(紫外線吸収剤、赤外線吸収剤など)を樹脂に含有させたり、前記成分を含むコーティング剤を樹脂表面に塗布したりすることにより、本発明の効果と協働させて、さらに光安定性を向上させてもよい。
本発明の方法では、ケトチフェン類とイミダゾリン誘導体とを含有する組成物(安定化組成物、水性組成物、粘膜適用組成物)に、特定のアミノ酸を配合し、ケトチフェン類の光安定性を向上する。すなわち、ケトチフェン類を含む組成物(特に、水性組成物)は、光安定性が低く、さらにケトチフェン類とイミダゾリン誘導体とを含有する組成物では、ケトチフェン類の光安定性が著しく低下する。従って、本発明の方法には、ケトチフェン類とイミダゾリン誘導体とを含有する組成物に、特定のアミノ酸を配合し、ケトチフェン類の光安定性を改善する方法、及びイミダゾリン誘導体に起因するケトチフェン類の光安定性の低下を防止する方法も含まれる。
本発明では、ケトチフェン類と特定のイミダゾリン誘導体とを含有する組成物にさらに特定のアミノ酸を配合するので、ケトチフェン類と特定のイミダゾリン誘導体とを組み合わせた場合であっても、イミダゾリン誘導体によってケトチフェン類の光安定性が低下するのを防止することができる。また、イミダゾリン誘導体によって光安定性が低下するのを防止できるのみならず、ケトチフェン類の光安定性も改善できる。すなわち、ケトチフェン類を含有する組成物(水性組成物、粘膜適用組成物)、特に水性組成物であっても光に対する安定性を改善でき、長期間に亘り安定な組成物を得ることができる。光に対する安定性が改善されているだけでなく、粘膜に適用しても刺激のない安全な粘膜適用組成物を得ることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
調製例1〜21
表1〜4に示す成分を、表に示す割合で精製水に溶解させて100mlとし、点眼剤、洗眼剤、点鼻剤及びコンタクトレンズ用剤をそれぞれ調製した。なお、表中、濃塩化ベンザルコニウム50とあるのは、日本薬局方に準拠したものを意味する。
Figure 2009132731
Figure 2009132731
Figure 2009132731
Figure 2009132731
実施例1〜28及び比較例1〜7
(1)試験液の調製
フマル酸ケトチフェン、塩酸ナファゾリン又は塩酸テトラヒドロゾリン及び表5及び6に示す特定のアミノ酸を、表に示す割合で精製水に溶解させて100mlとした各試験液を調製し、得られた試験液をそれぞれ無色透明のガラス瓶に充填し、密栓した。なお、用いたアミノ酸は、式NH2−(CH2t−COOHにおいて、t=1:グリシン、t=2:β−アラニン、t=3:γ−アミノ−n−ブタン酸、t=4:5−アミノ−n−ペンタン酸、及びt=5:ε−アミノカプロン酸であった。
比較例としてフマル酸ケトチフェンのみを含む試験液(コントロール、比較例1)、塩酸ナファゾリンのみを含む試験液(比較例2)又は塩酸テトラヒドロゾリンのみを含む試験液(比較例4)、及び特定アミノ酸を含まず、フマル酸ケトチフェンと塩酸ナファゾリン又は塩酸テトラヒドロゾリンとを含む試験液(比較例3及び5〜7)を実施例と同様にして調製した。
(2)光安定化試験
各試験液について、以下の手順により、光に対する安定性の試験を行った。
光安定性試験装置(「Light-Tron LT-120 D3CJ型」,ナガノ科学(株)製)を用い、得られた試験液に、D65蛍光ランプを光源として、室温25℃の下、5,000luxの光を照射し、試験液を積算照射量約20万lux・hrの光に曝光した。フマル酸ケトチフェンは光によって分解し、試験液が茶色に着色するため、光照射後の試験液を分光光度計(「U−3300」,(株)日立製作所製)を用いて、吸光度法により400nmの吸光度を測定し、着色度合いを評価した。結果を表5及び6に示す。
Figure 2009132731
Figure 2009132731
表において、フマル酸ケトチフェンのみを含有するコントロール(比較例1)は、光に対して不安定であり、光照射により強く着色した。そして、フマル酸ケトチフェンに、塩酸ナファゾリン又は塩酸テトラヒドロゾリンを添加すると、フマル酸ケトチフェンのみのコントロールと比較して、さらに強く着色し、光安定性が著しく低下することが見出された(比較例3及び5)。
これに対し、実施例では、フマル酸ケトチフェンと塩酸ナファゾリン(又は塩酸テトラヒドロゾリン)とを含有する試験液に、特定アミノ酸を配合することによって、塩酸ナファゾリン(又は塩酸テトラヒドロゾリン)の存在下において認められる着色の増加が抑制されて、光安定性の低下を防止できた。また、実施例では、塩酸ナファゾリン(又は塩酸テトラヒドロゾリン)の併用による光安定性の低下を防止するのみならず、フマル酸ケトチフェン単独の場合(比較例1)での着色よりも有意に着色の度合いが低下しており、フマル酸ケトチフェンの光安定性が改善されていることも確認された。また、このような効果はtの数が大きくなると高くなることが確認された。
また、表から明らかなように、塩酸ナファゾリン又は塩酸テトラヒドロゾリンの濃度が異なっても、特定のアミノ酸(ε−アミノカプロン酸)の添加により、フマル酸ケトチフェンの光分解が抑制された。さらにアミノ酸の濃度を変更しても、各濃度において、フマル酸ケトチフェンの光分解が抑制された。
実施例29〜36
フマル酸ケトチフェン、塩酸ナファゾリン、ε−アミノカプロン酸、及び表7に示す非イオン性界面活性剤又はソルビン酸カリウムを、表に示す割合で精製水に溶解させて100mlとした各試験液を調製し、得られた試験液をそれぞれ無色透明のガラス瓶に充填し、密栓した(実施例30〜33及び35〜36)。なお、表7中、S−1はポリソルベート80、S−2はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、S−3はポロクサマー407を示す。
得られた試験液を用いて、実施例1と同様に光安定性を評価した。なお、比較のため、非イオン性界面活性剤及びソルビン酸カリウムを含まず、フマル酸ケトチフェン、塩酸ナファゾリン及びε−アミノカプロン酸を前記実施例30〜33及び35〜36と同様の割合で含有する試験液を用いた結果も表7中に併記した(実施例29及び34)。
Figure 2009132731
表から明らかなように、ケトチフェン、イミダゾリン誘導体及び特定のアミノ酸を含有する試験液において、さらに非イオン性界面活性剤又はソルビン酸の塩を添加することにより、ケトチフェンの光分解がさらに抑制されることが明らかとなった。

Claims (1)

  1. ケトチフェン又はその塩と、下記式(1)
    Figure 2009132731
    [式中、Zは炭化水素環又は複素環を示し、R1は、下記式(1a)、(1b)又は(1c)
    −R1a− (1a)
    −(R1bs−N(R2b)− (1b)
    −R1c−O− (1c)
    (式中、R1a、R1b及びR1cは、アルキレン基を示し、R2bは、水素原子又はアルキル基を示し、sは0又は1を示す)
    で表される二価基を示し、R2は置換基を示す。mは0又は1を示し、nは0〜6の整数を示す]
    で表されるイミダゾリン化合物又はその塩と、下記式(2)
    2N−(CH2t−COOH (2)
    (式中、tは1〜5の整数を示す)
    で表されるアミノ酸とを含有する安定化された組成物(但し、該組成物が、継続的に複数回に亘り使用する形態で光透過性の容器に収容されている場合を除く)。
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