JP2009128235A - 光ポンピング磁力計 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エネルギ遷移が異なる2種類のレーザであるD1レーザ130と、D2レーザ131との混合レーザであるD1+D2レーザ132をガスセル118内のアルカリ金属に照射し、D1+D2レーザ132から、D1レーザ130およびD2レーザ131のうち、どちらか一方のレーザを磁気測定のための信号として、光検出器122で検出することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
セシウムガスセルを内蔵した吸収ガスセルにセシウムランプを照射することで、ガスセル内のセシウム原子を励起させる技術が提示されている(例えば、特許文献1、特許文献2および非特許文献1参照)。
図1に示す光ポンピング磁力計1a(1)は、位相安定タイプである。
光ポンピング磁力計1aのガスセル118は、耐熱ガラス製または石英ガラス製であり、かつ高真空引きされており、中にアルカリ金属ガスが封入されて封じきられている。アルカリ金属ガスにはD1線とD2線と呼ばれる2本の特定の波長の吸収線が存在する。図1に示す例では、光源の波長として、D1線とD2線の両方を利用する。図1に示すように、光ポンピング磁力計1aは、ガスセル118の光源としてD1線およびD2線のそれぞれ波長を持つレーザ(D1レーザ130(第1レーザ)およびD2レーザ131(第2レーザ))を発振する第1レーザ発振器111と第2レーザ発振器117の2台を有する。ここで、D1レーザ130の発光スペクトルとD2レーザ131の発光スペクトルが重なることがないよう、どちらのレーザとも線幅の狭いシングルモードのレーザとして第1レーザ発振器111および第2レーザ発振器117を設定しておく。また、D1レーザ130およびD2レーザ131は、波長の調整が容易な外部共振器型半導体レーザやDFBレーザなどの波長可変レーザであることが好ましい。
ガスセル118は、印加されている静磁場B0と直交する方向に、振動磁場BRFをRFコイル120によって印加される。振動磁場BRF強度は、静磁場B0強度よりも十分弱く、振動磁場BRFの周波数は静磁場B0強度に比例するように設定する。ガスセル118を通過したD1+D2レーザ132は、抽出部である回折格子121によって、D1レーザ130(円偏光)と、D2レーザ131(円偏光)とに分離される。
図2に示す光ポンピング磁力計1b(1)は、図1に示す光ポンピング磁力計1aを自己振動型にしたものであり、図1と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略する。
アンプゲイン調整回路125は、光検出器122からの出力(レーザパワーの変化)を最適な大きさに増幅してから位相シフト回路126(位相シフト部)へ出力する。位相シフト回路126では光検出器122で検出された信号の位相(すなわち、アンプゲイン調整回路125から入力されたレーザパワー値)を90度シフトさせた後、RFコイル120へ出力する。光ポンピング磁力計1bでは、位相シフト回路126の出力をRFコイル120に直接入力し、振動磁場BRFの大きさとすることで振動磁場BRFを生成する自己振動型の計測制御を行う。
図3に示す光ポンピング磁力計1c(1)は、位相安定型タイプであり、図1と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略する。
D1レーザ130は、偏光部である偏光子112aを介して直線偏光に変換され(偏光面を矢印201で示す)、NDフィルタ114aを介してレーザパワーが微調整される。また、同様に、D2レーザ131は、偏光部である偏光子112bを介して、直線偏光に変換されたD1レーザ130の偏光面に対して直交する直線偏光(偏光面を矢印202で示す)に変換され、NDフィルタ114bを介してレーザパワーが微調整される。D1レーザ130(直線偏光)と、D2レーザ131(直線偏光)は、混合部である偏光ビームスプリッタ127aを介して、偏光面が互いに直交した直線偏光の混合したレーザ(D1+D2レーザ132:偏光面を矢印203で示す)となる。D1+D2レーザは、λ/4波長板113aに入射され、右回り円偏光と左回り円偏光の混合したD1+D2レーザ132(円偏光の方向を矢印204で示す)となる。
また、測定磁場Bの計測方法も図1と同様であるため、説明を省略する。
図4に示す光ポンピング磁力計1d(1)は、図3に示す光ポンピング磁力計1cを自己振動型にしたものであり、図2および図3と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略する。
偏光ビームスプリッタ127bで分離された縦偏光もしくは横偏光のレーザのうち、いずれかは光検出器122で検出するところまでは、図3に示す光ポンピング磁力計1cと同様である。また、光検出器122で検出された後の処理は、図2に示す光ポンピング磁力計1bと同様である。
また、測定磁場Bの計測方法も図2と同様であるため、説明を省略する。
また、図1〜図4に示す光ポンピング磁力計1a〜1dにおいて、ガスセル118内のアルカリ金属の候補として、133Cs、85Rb、87Rb、39Kが挙げられる。また、レーザによる光ポンピングされるアルカリ金属ガスの偏極効率を高めるために、ガスセル118内にHe、Ne、Ar、Xe、Krなどの希ガスを緩衝ガスとして同封してもよい。その他、非磁性気体であるN2を使用してもよい。また、ガスセル118の内壁をパラフィンなどの非磁性物質でコーティングしてもよい。
次に、図1から図4を適宜参照しつつ、図5〜図8に沿って、ガスセル118に封入するアルカリ金属として、133Csを用いた場合のエネルギ遷移のふるまいおよび効果について説明する。
図5は、133Csのエネルギ遷移図である。
一般に、基底状態(6S1/2)にある133CsにD1レーザ130を照射すると励起状態(6P1/2)となる(D1線301)。また、基底状態(6S1/2)にある133CsにD2レーザ131を照射すると励起状態(6P3/2)となる(D2線302)。
図6(a)に示すように、133CsのD1線(基底状態(6S1/2)→励起状態(6P1/2):矢印301)には各4本のエネルギ遷移(F3→F’3(矢印311)、F3→F’4(矢印312)、F4→F’3(矢印313)、F4→F’4(矢印314))が存在する。そして、図6(b)に示すように、D2線(基底状態(6S1/2)→励起状態(6P3/2):矢印302)には6本のエネルギ遷移(F3→F’2(矢印321)、F3→F’3(矢印322)、F3→F’4(矢印323)、F4→F’3(矢印324)、F4→F’4(矢印325)、F4→F’5(矢印326))が存在する。
図7において、図5および図6と同様の要素には、同一の符号を付して説明を省略する。
図1〜図4に示すように、ガスセル118を通過したD1+D2レーザ132を分離して、一方のレーザのみを磁場計測のための信号として光検出器122で検出する。光検出器122で検出するレーザはD1レーザ130とD2レーザ131のどちらを検出してもよいが、アルカリ金属ガス密度を高めるためにガスセル118を保温する場合、特にドップラー効果の影響を考えると、各エネルギ遷移の間隔が比較的広いD1線(つまり、D1レーザ130)がより適している。その際に、磁気量子数と核スピン数と電子スピン数から得られるD1線の各エネルギ遷移において吸光強度が強く、励起準位の磁気量子数が基底準位の磁気量子数と同等か少ないエネルギ遷移の条件に当てはまるF4→F’3のエネルギ遷移を生じる波長(以降、D1線(F4→F’3)と記載)が最適である。すなわち、磁気量子数が多いエネルギ準位から、磁気量子数の少ないエネルギ準位へアルカリ金属原子(133Cs)を遷移させるD1線(F4→F’3)が最適である。
以上の内容を図7によって説明すると、以下のようになる。
一般に、D1線(F4→F’3:矢印313)を照射すると、例えば、超微細エネルギ遷移の状態「−4」(mF(−4)と記載する)にある原子は、6P1/2のF’3のmF’(−3)に励起される(矢印331)。しかし、6P1/2のF’3に励起された原子は、再び基底状態へと失活する。失活の際には、基底状態のF4(矢印332)またはF3(矢印333)へ失活するが、F4およびF3への失活する確率は、50%ずつである。ここで、F3へ失活した原子は、D1線により再び6P1/2のF’3に励起される。このように、励起と、失活とを繰り返すことにより、原子が暗領域337へ到達すると、これより大きい値を有する状態がないため、原子は、基底状態のF4のmF(+3)、mF(+4)と、励起状態6P1/2のF’3のmF(+3)との間を循環する。この循環が、ガスセル118を通過するレーザの振動となり、光検出器122によって検出されることとなる。すなわち、光ポンピング磁力計1のS/N(Signal to Noise)比のS(Signal)値をあげるためには、原子を暗領域337により多くためることが望ましい。
つまり、基底状態のF4に失活した原子は、D2線により、励起状態(6P3/2)のF’3に励起される(矢印334)。しかしながら、励起状態6P3/2のF’3に励起された原子も、基底状態へと失活する。このとき、当該原子が、基底状態のF3(矢印336)およびF4(矢印335)へ失活する確率は、それぞれ50%である。
ここで、基底状態のF3へ失活した原子は、D1線により利用できるため、一般に使用されている方法よりも、基底状態のF4および励起状態6P1/2のF’3に存在する原子を多くすることができ、結果として暗領域337に存在する原子数を多くすることができる。
図8では、グラフ横軸は振動磁場BRFの周波数を、グラフ縦軸はロックインアンプ123の出力電圧を表す。
D1レーザ130の波長をF4→F’3に、D2の波長をF3→F’3にそれぞれ設定してD1レーザ130とD2レーザ131とを組み合わせて使用した場合と、D1レーザ130のみを使用した場合における光磁気共鳴信号強度を比較した結果である。ここで、曲線351は、D1レーザ130(66μW)のみを使用した結果であり、曲線352は、D1レーザ130(66μW)に加えて、D2レーザ131(5μW)を使用した結果であり、曲線353は、D1レーザ130(66μW)に加えて、D2レーザ131(20μW)を使用した結果であり、曲線354は、D1レーザ130(66μW)に加えて、D2レーザ131(70μW)を使用した結果である。
図8より、D1線(F4→F’3)とD2線(F3→F’3)の組み合わせによって顕著に光磁気共鳴信号強度(ロックインアンプ123の出力電圧)が増加することが分かる。すなわち、S/N比のS(Signal)値が上がることになり、S/N比が向上する。この結果、磁場検出感度を向上させることが可能となる。
次に、図1〜図4を適宜参照しつつ、図9〜図10に沿って、ガスセル118に封入するアルカリ金属として、85Rbを用いた場合のエネルギ遷移について説明する。
図9は、85Rbのエネルギ遷移図である。
一般に、基底状態(5S1/2)にある85RbにD1レーザ130を照射すると励起状態(5P1/2)となる(D1線401)。また、基底状態(5S1/2)にある85RbにD2レーザ131を照射すると励起状態(5P3/2)となる(D2線402)。
図10(a)に示すように、85RbのD1線(基底状態(5S1/2)→励起状態(5P1/2):矢印401)には各4本のエネルギ遷移(F2→F’2(矢印411)、F2→F’3(矢印412)、F3→F’2(矢印413)、F3→F’3(矢印414))が存在する。また、図10(b)に示すように、D2線(基底状態(5S1/2)→励起状態(5P3/2):矢印402)には6本のエネルギ遷移(F2→F’1(矢印421)、F2→F’2(矢印422)、F2→F’3(矢印423)、F3→F’2(矢印424)、F3→F’3(矢印425)、F3→F’4(矢印426))が存在する。
次に、図1〜図4を適宜参照しつつ、図11〜図12に沿って、ガスセル118に封入するアルカリ金属として、87Rbを用いた場合のエネルギ遷移について説明する。
図11は、87Rbのエネルギ遷移図である。
一般に、基底状態(5S1/2)にある87RbにD1レーザ130を照射すると励起状態(5P1/2)となる(D1線501)。また、基底状態(5S1/2)にある87RbにD2レーザ131を照射すると励起状態(5P3/2)となる(D2線502)。
図12(a)に示すように、87RbのD1線(基底状態(5S1/2)→ 励起状態(5P1/2):矢印501)には各4本のエネルギ遷移(F1→F’1(矢印511)、F1→F’2(矢印512)、F2→F’1(矢印513)、F2→F’2(矢印514))が存在する。
また、図12(b)に示すように、D2線(基底状態(5S1/2)→ 励起状態(5P3/2):矢印502)には6本のエネルギ遷移(F1→F’0(矢印521)、F1→F’1(矢印522)、F1→F’2(矢印523)、F2→F’1(矢印524)、F2→F’2(矢印525)、F2→F’3(矢印526))が存在する。
次に、図1〜図4を適宜参照しつつ、図13〜図14に沿って、ガスセル118に封入するアルカリ金属として、39Kを用いた場合のエネルギ遷移について説明する。
図13は、39Kのエネルギ遷移図である。
一般に、基底状態(4S1/2)にある39KにD1レーザ130を照射すると励起状態(4P1/2)となる(D1線601)。また、基底状態(4S1/2)にある39KにD2レーザ131を照射すると励起状態(4P3/2)となる(D2線602)。
図14は、39Kのエネルギ遷移の詳細を示す図であり、(a)は、D1線のエネルギ遷移を示す図であり、(b)は、D2線のエネルギ遷移を示す図である。
図14(a)に示すように、39KのD1線(基底状態(4S1/2)→ 励起状態(4P1/2):矢印601)には各4本のエネルギ遷移(F1→F’1(矢印611)、F1→F’2(矢印612)、F2→F’1(矢印613)、F2→F’2(矢印614))が存在し、D2線(基底状態(4S1/2)→ 励起状態(4P3/2):矢印602)には6本のエネルギ遷移(F1→F’0(矢印621)、F1→F’1(矢印622)、F1→F’2(矢印623)、F2→F’1(矢印624)、F2→F’2(矢印625)、F2→F’3(矢印626))が存在する。図1および図2のように、ガスセル118を通過したD1+D2レーザ132を回折格子121で分離して片方のレーザのみを磁場計測のための信号として光検出器122で検出する。光検出器122で検出するレーザはD1レーザ130およびD2レーザ131のどちらを検出してもよいが、アルカリ金属ガス密度を高めるためにガスセル118を保温する場合は、特にドップラー効果の影響を考えると、各エネルギ遷移の間隔が比較的広いD1線(つまり、D1レーザ130)がより適している。その際に、磁気量子数と核スピン数と電子スピン数から得られるD1線の各エネルギ遷移おいて吸光強度が強く、励起準位の磁気量子数が基底準位の磁気量子数と同等か少ないエネルギ遷移の条件に当てはまるD1線(F2→F’1)もしくはD1線(F2→F’2)が最適である。
以下に、本実施形態における光ポンピング磁力計1の他の実施形態を説明する。
図1〜図4に記載の本実施形態の光ポンピング磁力計1において、光源のレーザを2台ともD1レーザ130もしくはD2レーザ131に変更してもよい。ここでは、2台ともD1レーザ130を使用し、ガスセル118内に133Csが封入されている場合について述べる。第1レーザ発振器111および第2レーザ発振器117から発振される各レーザの波長をD1線(F4→F’3)とD1線(F3→F’4)に設定する。ガスセル118を通過したレーザ(D1線(F4→F’3)およびD1線(F3→F’4)の混合レーザ)を、回折格子121または偏光ビームスプリッタ127bが、D1線(F4→F’3)およびD1線(F3→F’4)の波長を有するレーザに分離する。そして分離したレーザのうち、D1線(F4→F’3)の波長を有するレーザを光検出器122で磁場計測に使用する信号として検出する。
また、第1レーザ発振器111および第2レーザ発振器117の2台ともD2レーザ131を発振してもよい。この場合において、ガスセル118内に133Csが封入されている場合についても述べる。各レーザの波長をD2線(F4→F’5)とD2線(F3→F’3)に設定する。ガスセル118を通過したレーザ(D2線(F4→F’5)およびD2線(F3→F’3)が混合したレーザ)を、回折格子121または偏光ビームスプリッタ127bが、D2線(F4→F’5)およびD2線(F3→F’3)の波長を有するレーザに分離する。そして分離したレーザのうち、D2線(F3→F’3)の波長を有するレーザを光検出器122で磁場計測に使用する信号として検出する。
また、光源のレーザを2台ともD1レーザ130もしくはD2レーザ131を発振するようにした上で、ガスセル118内に85Rbを封入してもよい。2台ともD1レーザ130を発振するようにした場合、各レーザの波長をD1線(F2→F’3)とD1線(F3→F’2)とに設定する。ガスセル118を通過したレーザ(D1線(F2→F’3)およびD1線(F3→F’2)が混合したレーザ)を、回折格子121または偏光ビームスプリッタ127bが、D1線(F2→F’3)およびD1線(F3→F’2)の波長を有するレーザに分離する。そして分離したレーザのうち、D1線(F3→F’2)の波長を有するレーザを光検出器122で磁場計測に使用する信号として検出する。
また、第1レーザ発振器111および第2レーザ発振器117の2台ともD2レーザ131を発振してもよい。この場合において、ガスセル118内に85Rbが封入されている場合についても述べる。各レーザの波長をD2線(F3→F’4)とD2線(F2→F’2)とに設定する。ガスセル118を通過したレーザ(D2線(F3→F’4)およびD2線(F2→F’2)が混合したレーザ)を、回折格子121または偏光ビームスプリッタ127bが、D2線(F3→F’4)およびD2線(F2→F’2)の波長を有するレーザに分離する。そして分離したレーザのうち、D2線(F2→F’2)の波長を有するレーザを光検出器122で磁場計測に使用する信号として検出する。
また、光源のレーザを2台ともD1レーザ130もしくはD2レーザ131を発振するようにした上で、ガスセル内に87Rbを封入してもよい。2台ともD1レーザ130を発振するようにした場合、各レーザの波長をD1線(F1→F’2)とD1線(F2→F’1)とに設定する。ガスセル118を通過したレーザ(D1線(F1→F’2)およびD1線(F2→F’1)が混合したレーザ)を、回折格子121または偏光ビームスプリッタ127bが、D1線(F1→F’2)およびD1線(F2→F’1)の波長を有するレーザに分離する。そして分離したレーザのうち、D1線(F2→F’1)の波長を有するレーザを光検出器122で磁場計測に使用する信号として検出する。
また、第1レーザ発振器111および第2レーザ発振器117の2台ともD2レーザ131を発振してもよい。この場合において、ガスセル118内に87Rbが封入されている場合についても述べる。各レーザの波長をD2線(F2→F’3)とD2線(F1→F’1)とに設定する。ガスセル118を通過したレーザ(D2線(F2→F’3)およびD2線(F1→F’1)が混合したレーザ)を、回折格子121または偏光ビームスプリッタ127bが、D2線(F2→F’3)およびD2線(F1→F’1)の波長を有するレーザに分離する。そして分離したレーザのうち、D2線(F1→F’1)の波長を有するレーザを光検出器122で磁場計測に使用する信号として検出する。
また、光源のレーザを2台ともD1レーザ130もしくはD2レーザ131を発振するようにした上で、ガスセル118内に39Kを封入してもよい。2台ともD1レーザ130を発振するようにした場合、各レーザの波長をD1線(F1→F’2)とD1線(F2→F’1)とに設定する。ガスセル118を通過したレーザ(D1線(F1→F’2)およびD1線(F2→F’1)が混合したレーザ)を、回折格子121または偏光ビームスプリッタ127bが、D1線(F1→F’2)およびD1線(F2→F’1)の波長を有するレーザに分離する。そして分離したレーザのうち、(F2→F’1)の波長を有するレーザを光検出器122で磁場計測に使用する信号として検出する。
また、第1レーザ発振器111および第2レーザ発振器117の2台ともD2レーザ131を発振してもよい。この場合において、ガスセル118内に39Kが封入されている場合についても述べる。各レーザの波長をD2線(F2→F’3)とD2線(F1→F’1)とに設定する。ガスセル118を通過したレーザ(D2線(F2→F’3)およびD2線(F1→F’1)が混合したレーザ)を、回折格子121または偏光ビームスプリッタ127bが、D2線(F2→F’3)およびD2線(F1→F’1)の波長を有するレーザに分離する。そして分離したレーザのうち、D2線(F1→F’1)の波長を有するレーザを光検出器122で磁場計測に使用する信号として検出する。
本実施形態によると、光ポンピング磁力計1のガスセルの光源に波長安定化した半導体レーザを用いる。一般的に、光源として使用されているランプ光は、使用するガスセル内のアルカリ金属ガスにおけるD1線もしくはD2線のすべてのエネルギ遷移の波長が含んでいる。そのため、すべてのエネルギ遷移で光ポンピングが生じてしまい、ガスセル内のアルカリ金属ガスのスピンの向きが揃う偏極状態の効率が低下する。
そこで、本実施形態で使用する波長安定化させた半導体レーザを使用することで、ランプを使用したこれまでの手法に比べて、ガスセル118内のアルカリ金属ガスのD1線もしくはD2線における特定のエネルギ遷移の波長の光を選定できる。つまり、特定のエネルギ遷移のみで光ポンピングが生じるため、ガスセル118内のアルカリ金属ガスのスピンが効率良く偏極する。
また、本実施形態によれば、ガスセル118の温度を上げなくても、効率よくS/N比を上げることができる。
111 第1レーザ発振器
112a,112b 偏光子(偏光部)
113a,113b λ/4波長板
114a,114b NDフィルタ
115 ミラー
116 ハーフミラー(混合部)
117 第2レーザ発振器
118 ガスセル
119 静磁場印加用コイル
120 RFコイル
121 回折格子(抽出部)
122 光検出器(光検出部)
123 ロックインアンプ(ロックインアンプ部)
124 電圧制御発振回路(電圧制御発振部)
125 アンプゲイン調整回路
126 位相シフト回路(位相シフト部)
127a,127b 偏光ビームスプリッタ(混合部、抽出部)
128 測定対象
130 D1レーザ
131 D2レーザ
132 D1+D2レーザ
201 偏光子で直線偏光に変換されたD1レーザの偏光面を示す矢印
202 偏光子で直線偏光に変換されたD2レーザの偏光面を示す矢印
203 互いに直交した直線偏光の混合したレーザの偏光面を示す矢印
204 右回り円偏光と左回り円偏光の混合したD1レーザとD2レーザの偏光面を示す矢印
301 133CsのD1線を示す矢印
302 133CsのD2線を示す矢印
311 133CsのD1線におけるエネルギ遷移(F3→F’3)を示す矢印
312 133CsのD1線におけるエネルギ遷移(F3→F’4)を示す矢印
313 133CsのD1線におけるエネルギ遷移(F4→F’3)を示す矢印
314 133CsのD1線におけるエネルギ遷移(F4→F’4)を示す矢印
321 133CsのD2線におけるエネルギ遷移(F3→F’2)を示す矢印
322 133CsのD2線におけるエネルギ遷移(F3→F’3)を示す矢印
323 133CsのD2線におけるエネルギ遷移(F3→F’4)を示す矢印
324 133CsのD2線におけるエネルギ遷移(F4→F’3)を示す矢印
325 133CsのD2線におけるエネルギ遷移(F4→F’4)を示す矢印
326 133CsのD2線におけるエネルギ遷移(F4→F’5)を示す矢印
331 エネルギ遷移(F4→F’3)における超微細エネルギ遷移(mF(−4)→mF’(−3))を示す矢印
332 超微細エネルギ遷移(mF(−4)→mF’(−3))の基底状態(F4)への失活を示す矢印
333 超微細エネルギ遷移(mF(−4)→mF’(−3))の基底状態(F3)への失活を示す矢印
334 エネルギ遷移(F3→F’3)における超微細エネルギ遷移(mF(−3)→mF’(−2))を示す矢印
335 超微細エネルギ遷移(mF(−3)→mF’(−2))の基底状態(F4)への失活を示す矢印
336 超微細エネルギ遷移(mF(−3)→mF’(−2))の基底状態(F3)への失活を示す矢印
337 暗領域
351 D1レーザ(66μW)のみを使用した場合の光磁気共鳴信号強度
352 D1レーザ(66μW)とD2レーザ(5μW)を組み合わせて使用した場合の光磁気共鳴信号強度
353 D1レーザ(66μW)とD2レーザ(20μW)を組み合わせて使用した場合の光磁気共鳴信号強度
354 D1レーザ(66μW)とD2レーザ(70μW)を組み合わせて使用した場合の光磁気共鳴信号強度
401 85RbのD1線を示す矢印
402 85RbのD2線を示す矢印
411 85RbのD1線におけるエネルギ遷移(F2→F’2)を示す矢印
412 85RbのD1線におけるエネルギ遷移(F2→F’3)を示す矢印
413 85RbのD1線におけるエネルギ遷移(F3→F’2)を示す矢印
414 85RbのD1線におけるエネルギ遷移(F3→F’3)を示す矢印
421 85RbのD2線におけるエネルギ遷移(F2→F’1)を示す矢印
422 85RbのD2線におけるエネルギ遷移(F2→F’2)を示す矢印
423 85RbのD2線におけるエネルギ遷移(F2→F’3)を示す矢印
424 85RbのD2線におけるエネルギ遷移(F3→F’2)を示す矢印
425 85RbのD2線におけるエネルギ遷移(F3→F’3)を示す矢印
426 85RbのD2線におけるエネルギ遷移(F3→F’4)を示す矢印
501 87RbのD1線を示す矢印
502 87RbのD2線を示す矢印
511 87RbのD1線におけるエネルギ遷移(F1→F’1)を示す矢印
512 87RbのD1線におけるエネルギ遷移(F1→F’2)を示す矢印
513 87RbのD1線におけるエネルギ遷移(F2→F’1)を示す矢印
514 87RbのD1線におけるエネルギ遷移(F2→F’2)を示す矢印
521 87RbのD2線におけるエネルギ遷移(F1→F’0)を示す矢印
522 87RbのD2線におけるエネルギ遷移(F1→F’1)を示す矢印
523 87RbのD2線におけるエネルギ遷移(F1→F’2)を示す矢印
524 87RbのD2線におけるエネルギ遷移(F2→F’1)を示す矢印
525 87RbのD2線におけるエネルギ遷移(F2→F’2)を示す矢印
526 87RbのD2線におけるエネルギ遷移(F2→F’3)を示す矢印
601 39KのD1線を示す矢印
602 39KのD2線を示す矢印
611 39KのD1線におけるエネルギ遷移(F1→F’1)を示す矢印
612 39KのD1線におけるエネルギ遷移(F1→F’2)を示す矢印
613 39KのD1線におけるエネルギ遷移(F2→F’1)を示す矢印
614 39KのD1線におけるエネルギ遷移(F2→F’2)を示す矢印
621 39KのD2線におけるエネルギ遷移(F1→F’0)を示す矢印
622 39KのD2線におけるエネルギ遷移(F1→F’1)を示す矢印
623 39KのD2線におけるエネルギ遷移(F1→F’2)を示す矢印
624 39KのD2線におけるエネルギ遷移(F2→F’1)を示す矢印
625 39KのD2線におけるエネルギ遷移(F2→F’2)を示す矢印
626 39KのD2線におけるエネルギ遷移(F2→F’3)を示す矢印
Claims (19)
- アルカリ金属が封入された耐熱ガラス製または石英ガラス製のガスセルにレーザを照射するレーザ発振器と、ガスセルに静磁場を印加する静磁場印加用コイルと、前記ガスセルを通過したレーザから、測定対象の磁場を算出し、計測値として出力すると同時に前記ガスセルに印加する振動磁場を生成する振動磁場生成部と、前記ガスセルに前記振動磁場を印加する振動磁場印加コイルとを有する光ポンピング磁力計であって、
前記レーザ発振器は、
前記アルカリ金属の吸光波長のうち、第1の波長を有する第1レーザを発振する第1レーザ発振器と、
前記アルカリ金属の吸光波長のうち、第2の波長を有する第2レーザを発振する第2レーザ発振器と、を備え、
前記光ポンピング磁力計は、さらに、
前記第1レーザおよび前記第2レーザを混合し、前記混合したレーザを前記ガスセルに照射する混合部と、
前記ガスセルを通過したレーザから、前記第1レーザおよび前記第2レーザのいずれかを抽出し、前記抽出した第1レーザを前記振動磁場生成部へ入力する抽出部と、を有することを特徴とする光ポンピング磁力計。 - 前記混合部は、ハーフミラーであり、前記抽出部は、回折格子であることを特徴とする請求項1に記載の光ポンピング磁力計。
- 前記第1レーザ発振器および前記第2レーザ発振器と、前記混合部との間には、前記第1レーザおよび前記第2レーザを直線偏光する偏光部をそれぞれ有し、各偏光部によって、前記第1レーザと、前記第2レーザとの偏光面が互いに直交となるよう前記偏光部が配置され、
前記混合部および前記抽出部は、互いに偏光面が直交となるよう直線偏光している第1レーザと、第2レーザとを混合し、さらに前記混合しているレーザから、前記偏光面を基に、第1レーザおよび前記第2レーザとを分離する偏光ビームスプリッタであることを特徴とする請求項1に記載の光ポンピング磁力計。 - 前記振動磁場生成部は、
前記抽出部で抽出されたレーザを検出し、当該レーザのレーザ強度を出力する光検出部と、
前記レーザ強度が入力され、当該入力されたレーザ強度に対応する電圧値を出力するロックインアンプ部と、
前記電圧値が入力され、当該入力された電圧値に対応する周波数を算出し、当該算出された周波数を振動磁場印加コイルへ出力する電圧制御発振部と、を有してなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光ポンピング磁力計。 - 前記振動磁場生成部は、
前記抽出部で抽出されたレーザを検出し、当該レーザのレーザ強度を出力する光検出部と、
前記レーザ強度が入力され、当該入力されたレーザ強度の位相をシフトした後、前記シフトしたレーザ強度を、前記振動磁場印加コイルへ出力する位相シフト部と、を有してなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光ポンピング磁力計。 - 前記アルカリ金属とは、133Csであり、
前記第1レーザは、133CsのD1線の波長を有し、前記第2レーザは、133CsのD2線の波長を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光ポンピング磁力計。 - 前記アルカリ金属とは、133Csであり、
前記第1レーザは、133CsのD1線のうち、F3からF’4、F3からF’3、F4からF’4およびF4からF’3の遷移を生ずる波長のうち、いずれかの波長を有し、前記第2レーザは、当該4つの波長のうち、前記第1レーザとは基底準位の磁気量子数が異なる波長を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光ポンピング磁力計。 - 前記第1レーザとは、F4からF’3への遷移を生じるD1線の波長を有し、前記第2レーザとは、F3からF’4およびF3からF’3のうち、いずれかの遷移を生じるD1線の波長を有することを特徴とする請求項7に記載の光ポンピング磁力計。
- 前記アルカリ金属とは、133Csであり、
前記第1レーザは、133CsのD2線のうち、F3からF’4、F3からF’3、F3からF’2、F4からF’5、F4からF4’およびF4からF’3の遷移を生じる波長のうち、いずれかの波長を有し、前記第2レーザは、当該6つの波長のうち、前記第1レーザとは基底準位の磁気量子数が異なる波長を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光ポンピング磁力計。 - 前記アルカリ金属とは、85Rbであり、
前記第1レーザは、85RbのD1線の波長を有し、前記第2レーザは、85RbのD2線の波長を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光ポンピング磁力計。 - 前記アルカリ金属とは、85Rbであり、
前記第1レーザは、85RbのD1線のうち、F2からF’2、F2からF’3、F3からF’2およびF3からF’3の遷移を生ずる波長のうち、いずれかの波長を有し、前記第2レーザは、当該4つの波長のうち、前記第1レーザとは基底準位の磁気量子数が異なる波長を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光ポンピング磁力計。 - 前記アルカリ金属とは、85Rbであり、
前記第1レーザは、85RbのD2線のうち、F2からF’1、F2からF’2、F2からF’3、F3からF’2、F3からF3’およびF3からF’4の遷移を生じる波長のうち、いずれかの波長を有し、前記第2レーザは、当該6つの波長のうち、前記第1レーザとは基底準位の磁気量子数が異なる波長を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光ポンピング磁力計。 - 前記アルカリ金属とは、87Rbであり、
前記第1レーザは、87RbのD1線の波長を有し、前記第2レーザは、87RbのD2線の波長を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光ポンピング磁力計。 - 前記アルカリ金属とは、87Rbであり、
前記第1レーザは、87RbのD1線のうち、F1からF’1、F1からF’2、F2からF’1およびF2からF’2の遷移を生ずる波長のうち、いずれかの波長を有し、前記第2レーザは、当該4つの波長のうち、前記第1レーザとは基底準位の磁気量子数が異なる波長を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光ポンピング磁力計。 - 前記アルカリ金属とは、87Rbであり、
前記第1レーザは、87RbのD2線のうち、F1からF’0、F1からF’1、F1からF’2、F2からF’1、F2からF’2およびF2からF’3の遷移を生じる波長のうち、いずれかの波長を有し、前記第2レーザは、当該6つの波長のうち、前記第1レーザとは基底準位の磁気量子数が異なる波長を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光ポンピング磁力計。 - 前記アルカリ金属とは、39Kであり、
前記第1レーザは、39KのD1線の波長を有し、前記第2レーザは、39KのD2線の波長を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光ポンピング磁力計。 - 前記アルカリ金属とは、39Kであり、
前記第1レーザは、39KのD1線のうち、F1からF’1、F1からF’2、F2からF’1およびF2からF’2の遷移を生ずる波長のうち、いずれかの波長を有し、前記第2レーザは、当該4つの波長のうち、前記第1レーザとは基底準位の磁気量子数が異なる波長を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光ポンピング磁力計。 - 前記アルカリ金属とは、39Kであり、
前記第1レーザは、39KのD2線のうち、F1からF’0、F1からF’1、F1からF’2、F2からF’1、F2からF’2およびF2からF’3の遷移を生じる波長のうち、いずれかの波長を有し、前記第2レーザは、当該6つの波長のうち、前記第1レーザとは基底準位の磁気量子数が異なる波長を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光ポンピング磁力計。 - 前記第1レーザは、磁気量子数が多いエネルギ準位から、磁気量子数の少ないエネルギ準位へアルカリ金属原子を遷移させる波長、もしくは基底準位と励起準位の磁気量子数が同じである遷移の波長を有することを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の光ポンピング磁力計。
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