JP2009127879A - ロータリ気化バーナ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】バーナの逆火発生時において、燃焼中断の後に燃焼を再開して安定した燃焼を継続することができるロータリ気化バーナ装置を提供する。
【解決手段】ロータリ気化バーナ装置(31)は、燃焼室内に設けられたモータ懸架の回転気化筒(52)と、その燃焼火炎が燃焼室から気化筒(52)内に逆火し異常燃焼したことで気化筒(52)内部もしくはそれによる燃焼部材の異常高温を検出する逆火検出手段(61)を備えて構成され、上記回転気化筒(52)を懸架したモータ(49)の回転数を変更するモータ制御手段(C)を設け、上記逆火検出手段の作動により燃焼を中断すべく燃料供給手段(P)を瞬時に停止し、所定時間後に再度、燃焼開始するとともに、上記モータ制御手段(C)により、回転気化筒(52)の回転数を変更して所定回転数低減制御する制御処理を構成したものである。
【選択図】図7

Description

本発明は、穀粒等の乾燥装置に搭載するロータリ気化バーナ装置に関するものである。
特許文献1に示されるように、逆火検出手段を設けたロータリ気化バーナ装置が知られている。ロータリ気化バーナ装置は、温水生成装置や暖房機あるいは穀粒等の乾燥装置に搭載され、燃焼出力が容易に変更でき、3倍ないし5倍の燃焼量制御がなされ、更なる燃焼出力の可変幅の拡大化が進められているが、その場合において、燃焼量出力低減により、気化ガス流速低下による気化筒内部への逆火異常燃焼の危険性が生じるが、逆火検出手段により、逆火時は燃焼を停止することによって安全を確保することができる。
特開2000−274614号公報
しかしながら、上記ロータリ気化バーナ装置は、逆火発生による中断後は、運転停止の影響を考慮して目的の乾燥運転に速やかに復帰するべく、再開後の運転方法を調整する必要があり、特に、乾燥経過によって品質の変動を受ける穀粒の乾燥の場合は煩雑な取扱いを強いられるという問題があった。
解決しようとする問題点は、バーナの逆火発生時において、燃焼中断の後に燃焼を再開して安定した燃焼を継続することができるロータリ気化バーナ装置を提供することにある。
請求項1に係る発明は、燃焼室内に設けられたモータ懸架の回転気化筒と、その燃焼火炎が燃焼室から気化筒内に逆火し異常燃焼したことで気化筒内部もしくはそれによる燃焼部材の異常高温を検出する逆火検出手段を備えるロータリ気化バーナ装置において、上記回転気化筒を懸架したモータの回転数を変更するモータ制御手段を設け、上記逆火検出手段の作動により燃焼を中断すべく燃料供給手段を瞬時に停止し、所定時間後に再度、燃焼開始するとともに、上記モータ制御手段により、回転気化筒の回転数を変更して所定回転数低減制御することを特徴とする。
上記ロータリ気化バーナ装置は、逆火発生時に、燃焼中断後、回転気化筒を低回転数で運転することで気化ガスの攪拌による燃焼速度が低減されて逆火発生が抑制される。
請求項2に係る発明は、燃焼室内に設けられたモータ懸架の回転気化筒と、その燃焼火炎が燃焼室から気化筒内に逆火し異常燃焼したことで気化筒内部もしくはそれによる燃焼部材の異常高温を検出する逆火検出手段を備えるロータリ気化バーナ装置において、上記回転気化筒内に供給する液体燃料供給量に応じて燃焼用空気供給量を変更制御するファンの回転数を変更するファンモータ制御手段を設け、上記逆火検出手段の作動により燃焼を中断すべく燃料供給手段を瞬時に停止し、所定時間後に再度、燃焼開始するとともに、上記ファンモータ回転数制御手段により、ファンの回転数を変更して所定回転数増加制御することを特徴とする。
上記ロータリ気化バーナ装置は、逆火発生時に、燃焼中断後、燃焼用空気量を所定量増加運転し、燃焼速度に優れる予混合気化ガス流速を増加することにより、気化ガスの攪拌による燃焼速度が低減されて逆火発生が抑制される。
請求項1のロータリ気化バーナ装置は、回転気化筒を低回転数とすることによって気化ガスの攪拌による燃焼速度が低減されることから、逆火発生を抑制した状態で燃焼を自動的に再開、継続燃焼することができるので、長期にわたり安定した燃焼への信頼性向上を図った燃焼量制御が実現できる。
請求項2のロータリ気化バーナ装置は、燃焼用空気量を所定量増加することによって気化ガスの攪拌による燃焼速度が低減されることから、逆火発生を抑制した状態で燃焼を自動的に再開、継続燃焼することができるので、長期にわたり安定した燃焼への信頼性向上を図った燃焼量制御が実現できる。
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
ロータリ気化バーナ装置は、その部分縦断を伴う側面図を図1に示すように、送風筒体47の正面側に燃焼筒48を接続し、該送風筒体47にはバーナモータ49を設け、前方に突出するモータ軸50には逆円錐形状の拡散体51を設け、かつこの拡散体51前面には気化筒52を逆向きに配設している。なおこの気化筒52の解放側端部周面には微粒化燃料案内用のガイド体53を延長状に設けている。
上記送風筒体47の背面側には空気導入ガイド47aから燃焼用空気を導入すべきファン54を軸支するファン胴47bを接続し、このファン胴47bに電気集塵手段47cを備えている。燃焼筒48の中心部側には送風ガイド筒55を固定して設け、燃焼筒48に嵌合されて内部を混合室Mとする燃焼盤56は同心状に複数のガス噴出孔57,57…を有する。燃焼筒48は正面視において一部に膨出部を形成し、当該膨出部に一対の電極部からなる点火手段としてのイグナイタ(不図示)を設ける。このイグナイタは供給される灯油の微粒化燃料に着火できる構成としている。炎の有無を検知できるフレームロッド60は、燃焼中の炎電流を検出し制御部に検出出力するもので着火の有無判定手段の検出部を構成するものである。その他に、送風筒体47にバーナ温度センサ61、燃焼筒48に炉体温度検出手段62を設け、燃焼筒48に臨んで予混合ガス温度検出手段63を設ける。
バーナ装置の運転制御システムは、その制御ブロック図を図2に示すように、制御部Cに入力する操作スイッチ類およびセンサ類として、フレームロッド60、バーナ温度センサ61、炉体温度検出手段62、予混合ガス温度検出手段63等を接続し、制御側は、燃焼空気供給ファン54、燃料ポンプP、バーナモータ49、点火栓、電気集塵手段47c等を接続することにより、燃焼制御可能に構成する。
上記構成のバーナ装置の基本的な燃焼動作は、次のとおりである。
点火信号に基づいて気化筒52、風調ファン54を回転し、イグナイタ通電を行い、その2秒後に燃料供給を開始する。この燃料は遠心力によりオイル拡散体51から気化筒52に送られ、さらに気化筒52の隙間から微粒子となって燃焼筒48へ放出されてイグナイタにより着火する。この着火によって気化筒52の外面が熱せられるので燃料は同気化筒52の内面でガス化され、この気化筒52の内面と混合室Mで空気と完全混合されて予混合ガスが生成される。この予混合ガスが燃焼盤56の噴出孔57から出たところで燃焼する。
(逆火対応制御)
バーナ装置の運転制御システムは、燃焼室内に設けられたモータ懸架の回転気化筒52を有する気化バーナにおいて、回転気化筒52を懸架したモータの回転数を変更するモータ制御手段を設けるとともに、燃焼火炎が燃焼室から気化筒内に逆火し異常燃焼したことで気化筒内部もしくはそれによる燃焼部材の異常高温を検出する逆火検出手段としてバーナ温度センサ61を設けて、該検出手段の作動により、燃焼を中断すべく燃料供給手段としての燃料ポンプPを瞬時に停止し、所定時間後に再度、燃焼開始するとともに、前記気化筒回転数変更手段Cによって気化筒回転数を所定回転数低減すべく制御処理を構成することにより、逆火発生時にも、燃焼中断後、回転気化筒52を低回転数で運転することで気化ガスの攪拌による燃焼速度が低減されて逆火発生が抑制される。
具体的には、パルス幅変調方式による気化筒モータ制御手段の実施例を図3に示すように、モータ前段で商用電源を整流し、燃料供給量に対する気化筒回転数の実施例およびその気化筒回転数特性をそれぞれ図5、図6に示す例においては、直流にてインバータに印加し交流モータ駆動周波数を、従来、例えば、60Hzで毎分3500回転一定の気化筒回転によって燃焼させていたものを、逆火検出手段が作動した場合、バーナ内部損傷を抑えるため、燃料供給手段を一時的に停止してバーナ部を所定時間冷却し、その後、再び自動で点火させ燃焼を再開させるとともに、気化筒回転数を所定回転数低減させるべく気化筒駆動周波数を、たとえば、毎分3000回転にする。
このように、上記ロータリ気化バーナ装置は、回転気化筒52を低回転数とすることによって気化ガスの攪拌による燃焼速度が低減されることから、逆火発生を抑制した状態で燃焼を自動的に再開、継続燃焼することができるので、長期にわたり安定した燃焼への信頼性向上を図った燃焼量制御が実現できる。
また、別の制御構成として、回転気化筒52内に供給する液体燃料供給量に応じて燃焼用空気供給量を変更制御するファン54の回転数を変更するファンモータ制御手段Cを設け、上記逆火検出手段61の作動により燃焼を中断すべく燃料供給手段Pを瞬時に停止し、所定時間後に再度、燃焼開始するとともに、上記ファンモータ回転数制御手段Cにより、ファン54回転数を変更して所定回転数増加制御する制御部を構成する。
上記ロータリ気化バーナ装置は、逆火発生時に、燃焼中断後、燃焼用空気量を所定量増加運転し、燃焼速度に優れる予混合気化ガス流速を増加することにより、気化ガスの攪拌による燃焼速度が低減されて逆火発生が抑制される。
バーナ装置における逆火発生については、図4の液体燃料供給量制御特性線図(a)、空燃比制御特性線図(b)、燃焼用空気供給量制御特性線図(c)に示すように、適正な制御ラインで運転されていたものが、逆火発生の場合は、燃料供給量が設定値よりも増加し空気過小燃焼となり、また、バーナ通風抵抗が増加し燃焼用空気供給量が減少し空気過小燃焼となり、火炎が炉体に密着してバーナ異常高温になり逆火発生する。そこで、空燃比を標準に戻すべく空気供給量を所定量増加運転することで再度自動運転しても逆火発生しにくい状態で燃焼再開運転でき信頼性向上となる。
このように、上記ロータリ気化バーナ装置は、燃焼用空気量を所定量増加することによって気化ガスの攪拌による燃焼速度が低減されることから、逆火発生を抑制した状態で燃焼を自動的に再開、継続燃焼することができるので、長期にわたり安定した燃焼への信頼性向上を図った燃焼量制御が実現できる。
上記構成のロータリ気化バーナ装置の詳細な運転制御について説明すると、逆火回避手段を気化筒回転数低減とする場合について、その代表的なフローチャートを図7に示すように、逆火検出手段の作動によって燃焼を中断し(S1〜S2a、S2b)、所定時間経過(S4)後に再度燃焼を開始するとともに逆火回避手段を講じる(S6a〜S1)ことを所定回数許容し、逆火が所定回数を超えた場合は異常報知するとともに停止制御を行う(S7〜S8)ように制御処理を構成する。図8のフローチャートは、逆火回避手段を燃焼用空気供給量増加(S6b)とする場合の代表例であり、また、図9のフローチャートは、逆火回避手段を気化筒回転数低減(S6a)および燃焼用空気供給量増加(S6b)とする場合の代表例である。
さらに、上記ロータリ気化バーナ装置の運転制御については、逆火検出手段の作動により燃焼中断し所定時間経過後に再度燃焼を開始する条件として、液体燃料供給量が所定量以下に限定すべく液体燃料供給量制御信号で規制し、所定の制御信号以上の燃焼量制御での逆火検出は直ちに異常報知するとともに燃料停止制御すべく信号を出力する制御処理を行う。
逆火は予混合ガス流速と燃焼速度のバランスが崩れて火炎がガス流を上流側へ伝播していくことで発生することから、基本的には、燃焼量の減少制御とともに発生する危険が生じてくる。よって、燃料供給量制御信号が所定値以下での運転時に逆火発生したときのみ、逆火対策を講じて再度燃焼を実施することにし、万一、所定燃焼量以上での逆火発生は重要な異常燃焼とし、即時停止制御をすることで信頼性の向上となる。
(液体燃料燃焼制御)
次に、液体燃料燃焼制御について説明する。
液体燃料を自己の燃焼熱でガス化して予混合火炎を形成して燃焼する方式のものでは、燃焼部への自己燃焼熱の受熱量や燃焼部からの放熱量で予混合ガス温度が異なる。特に、燃焼開始後、しばらくの間は、燃焼安定時に適正な空燃比になるように燃焼制御をしても、予混合ガス温度が安定時に比べて低くなり、燃焼速度は遅く、火炎はリフト状態になる。リフト状態では、同一燃焼用空気制御ファン回転数で空気供給しても、通風抵抗は適正火炎状態と比べて低く、空気過剰状態となる。その結果、燃焼部への自己燃焼熱の受熱量が予定より減少し、リフト燃焼のまま熱平衡してしまい、燃焼効率の低下や、時には外気のドラフトや温低下により失火に至ることもあった(例えば、特許第3550534号公報)。
このような問題を解決するために、自己の燃焼熱で供給液体燃料を加熱蒸発させその供給量に応じた空気を供給し、略一定の空燃比制御を行う燃焼制御装置において、燃焼開始から燃焼部材(炉体)温度を経時的に測定し、その温度の安定性に基づいて空燃比を修正制御する。
詳細に説明すると、図10の安定時予混合ガス温度特性図に示すように、適正燃焼制御ポイントで制御しても、燃焼開始直後の準安定時期はA点からの運転となる。燃料供給手段の経時変化や供給路の管路抵抗による実際の燃料流量低下、燃焼部の組立のバラツキによる燃焼空気流路の通風抵抗低下、出荷調整の誤差等から、常に適正な燃焼制御ポイントへ向けたA点からのガス化燃焼開始とはならず、例えば、B点からのガスか燃焼開始となることもある。
その場合、図11のリフト燃焼継続の場合の炉体温度変化事例に示すように、例えば、炉体温度の経時変化をみると、所定の燃料供給量になった後も、わずかな時間は温度上昇することもあるが、燃焼はリフト燃焼であることから、直ちに炉体温度が急低下する。そして、その後は数分ないし10分程度では適正な炉体温度にはならず、リフト燃焼状態で安定してしまう。そこで、この準安定時期の炉体温度変化を捉えて、空燃比を低減制御(決して空気不足運転ではないことを強調)して適正な燃焼を確保することができる。
具体的には、空燃比制御の代表的なフローチャートを図13に示すように、所定時間内に経時的に測定(S11)した温度情報から所定時間内の時間的変化率を算出(S12)し、その変化率が所定値以下であれば、空燃比を所定量低減(S13b,S14b)し、また、変化率が所定値以上であれば、空燃比を所定量増加(S13a、S14a)するべく制御する。空燃比の調節は、燃焼用空気供給手段に制御信号を送ることにより行い、または、別のフローチャートを図14に示すように、燃料供給手段の制御(S15a、S15b)により行う。
このような制御処理を構成することにより、立上がり燃料供給量安定後の燃焼部材(炉体)温度の経時変化を測定し、その変化率が所定値以下では空燃比を適正化するべく空燃比を低減制御することで、液体燃料燃焼制御の上記問題を解消して安定燃焼を確保することができる。
(燃焼診断)
次に、ロータリ気化バーナ装置の燃焼診断について説明する。
ガスバーナの火炎状態診断はフレームロッドで火炎の有無の診断をするものが主であるが、液体燃料を自己の燃焼熱でガス化して予混合火炎を形成して燃焼する方式のものでは、ガス化がスムーズに行われないで、不安定なガス化状態の場合には、フレームロッドの検出値には大きな差がないので、火炎は有りと診断してしまい、異常燃焼を迅速に捉えることができない。
そこで、ガス化した液体燃料と燃焼用空気を予混合し、燃焼する直前の混合ガス温度が、図15の燃焼量変化に対する予混合ガス適正温度事例(燃焼範囲0.5〜2.5L/Hクラスの事例)に示すように、ガス化状態を反映していることに着目し、ガス化不安定の初期症状として、図17の温度変化事例(燃焼量1.5L/hの場合)に示すように、数分周期の混合ガス温度変動を検出することにより、ガス化不安定の前駆状態診断が実現できる。
詳細な制御処理は、代表的制御フローチャートを図16に示すように、自己の燃焼熱で供給液体燃料を加熱蒸発させその供給量に応じた空気を供給し、略一定の空燃比制御を行う燃焼制御装置において、燃焼安定時に予混合ガス温度を経時的に測定(S21)し、その温度の安定性(S22、S25)に基づいて燃焼状態を診断し、燃焼異常と診断された場合には空燃比制御(S26a〜S26c、S27a〜S27c)をする。この空燃比制御の具体的な方法は、所定時間内に経時的に測定した温度情報を統計処理して所定時間内における温度変化幅が所定値以上(S27a)であれば燃焼異常と診断(S27b)して空燃比を制御し、空気過剰側へ燃料流量もしくは燃焼用空気量(S27c)を補正すべく信号を発する。また、必要により、燃焼異常と診断した場合は異常報知する。
混合ガス温度は、前述の図10に示すように、一定燃焼量下で空燃比の増加とともに低下するので、予混合ガス温度をあらかじめ求めた適正空燃比(バーナ形式によるが1.2前後が望ましい)での予混合ガス温度を基準に所定範囲になるように図16に示すような手順で空燃比を変更することで、常に適正な燃焼制御ができる。燃焼量変化に対する適正予混合ガス温度をあらかじめ算出することで燃焼量を可変しても適正燃焼制御を実現できる。
このように、上記制御処理を構成することにより、ガス化不安定状態のままで燃焼を継続すると失火や異常燃焼につながり危険であるが、事前に検出することで運転者等に報知でき、安全性向上になる。事例では変化幅が測定センサ設置位置にもよるが、6度以内では適正ガス化とされるが、それ以上では湯玉現象発生と判断される。
(着火ミス対応)
従来着火ミス検出時に通常燃料供給系への空気混入と判断し、自動もしくは手動で通常の点火条件で再度点火をし、異常があれば着火不良として報知しメンテナンスを求めていた。通常燃料供給系への空気混入による着火不良であれば、数回点火工程を繰返せば不具合を解消していたが、回転気化筒を有する気化バーナでは、点火燃料供給間隙部に埃やタール等燃料残渣が堆積してくると着火不良が頻発してくる。
そこで、自己の燃焼熱で供給液体燃料を加熱蒸発させる回転気化筒52を有し、供給燃料流量に応じて空気を供給し、略一定の空燃比制御を行う燃焼制御装置において、燃焼開始時に回転気化筒52の端部より気化筒外周へ飛散した液滴に点火栓で点火し拡散燃焼を発生させ回転気化筒52を加熱させ供給液体燃料を気化させ予混合火炎を生成させるものにおいて、立上り時に火炎検知手段により着火をしていない検出をした場合、燃料供給制御手段の燃焼開始燃料供給信号を供給流量を増大させるべく制御処理を構成する。
通常燃焼開始時の液体燃料供給量は可変幅の略中間の流量で立上げるものが殆どであるが、上記のように点火燃料供給間隙部の目詰まりが進行すると、回転気化筒から供給させる立上がり拡散燃焼に供給される噴霧液滴量は減少し、減少した分量の燃料はガス室に停留してしまうので、点火栓近傍の噴霧燃料濃度が低下して、引火しにくくなるか、さらには引火しても気化筒外周全域にわたり火炎が拡散せず着火不良となることから、噴霧液滴量の減少分を補うべく燃焼開始燃料供給信号を燃料増大の方向へ設定することで、上記不具合を解消して長期にわたりメンテナンスのいらない装置となる。
このような再開時の燃料流量増加制御により、穀物等乾燥装置においては、通常より低気温時や、冷害籾、少量吹き抜け乾燥による乾燥風量過多に起因するバーナ部周囲の乾燥用空気風速過多による着火不良に効果的である。なお、図18は着火ミス対応に関するフローチャートである。
次の例では、運転開始時の燃料制御経過を図19に示すように、少なくとも立ち上がり時の拡散燃焼の初期燃料供給量を、その後に発生する予混合燃焼の初期燃料供給量よりも増加させるべく供給制御手段の燃焼開始燃料供給信号を制御する一連の処理を構成する。
上記流量制御は、燃焼開始時の拡散燃焼時の着火が確実になり、その後直ちに予混合燃焼に入る前には燃料流量を減少させるので、拡散燃焼を維持しつつ、拡散燃焼期に過剰な燃料を供給することがないので、未燃焼燃料がガス室や燃焼筒外周に停留することがないので、極めてスムーズな気化予混合燃焼へと移行できる。すなわち、初期の確実な点火をする燃料流量のままで気化予混合燃焼期を迎えると、全体としては青炎の燃焼炎に停留した未燃焼燃料がかなりの時間赤炎の燃焼炎を局部的に発生し、場合によっては液体のままバーナより飛散し火災の危険を孕むという難点を解決することができる。
このような初発燃料流量の一時的増大化制御により、穀物等乾燥装置においては、通常より低気温時や、冷害籾、少量吹き抜け乾燥による乾燥風量過多に起因するバーナ部周囲の乾燥用空気風速過多による着火不良に効果的である。
また、従来は、目標温度にすべく気化予混合燃焼安定を待って所定時間後に燃料流量を変更制御していたので、ガス室に停留した未燃の液体燃料が消滅するまで制御できなかった。
そこで、別の例では、点火開始燃料供給信号から拡散燃焼期に燃料流量を減少すべく信号を減少設定量を燃焼装置の目標温度と外気温度との差より変更することにより、前記による着火の確実性もさることながら、未燃の液体燃料が消滅するまでの時間が早くなるので、バーナ炉体温度上昇もスムーズなことから、気化安定期の燃料流量を目標温度と外気温度の差(加温量)に応じて変更設定すべく、点火開始燃料供給信号からの減少量を決定することで目標温度到達時間の短縮化が図れる。
(点火診断)
次に点火診断について説明する。
温水生成装置や暖房機あるいは穀粒等の乾燥装置において利用されるロータリー気化バーナにおいては、その燃焼形式から、比較的高出力の熱源であるところから、屋外のような種々の粒度の塵埃に曝される環境下で長期にわたり使用される。バーナ内部に比較的細かい粒度の塵埃が堆積し、特に気化筒内壁には熱により液体燃料のタール折出分と混ざって固着し点火燃料のスムーズな霧化飛散が阻害され点火ミスや点火遅れによる未燃液体燃料のバーナからの飛散による火災の危険性を生じる。また、点火しても気化筒内壁の堆積固着分による気化熱伝導不足から気化促進阻害となり適正な燃焼が維持されない。
詳細には、燃焼運転開始時の駆動タイミングチャートおよび、運転開始時のフレームロッド出力変化図を、それぞれ図20、図21に示すように、通常気化筒内壁に塵埃堆積がない場合には点火遅れ時間Tは1sec以内であるが、塵埃の堆積が発生していくと時間Tは増大し、点火するまでに燃料の供給がなされ、しかも堆積物への含浸や堆積物先端からの燃焼空気流への液滴飛散により、所定燃料流量より低い流量で点火栓に霧化供給される。したがって、点火栓での火花近傍の霧化燃料濃度は低くなりスムーズな発火は行われず遅れて発火することになる。また、その堆積程度如何では、発火に至るまでにかなりの時間を要し、バーナ前方に未燃液体燃料が飛散し、停留し火災の危険性を生じる。
そこで、燃焼室内に設けられたモータ懸架の回転気化筒から燃焼室内に液体燃料を回転飛散させ燃焼室内に設けられた点火栓により噴霧拡散燃焼を発生させ、その燃焼熱により気化筒を加熱して液体燃料を気化させ、燃料供給量と燃焼空気供給量を同調制御し予混合気化燃焼に移行させるものにおいて、点火診断の代表的実施制御フローチャートを図22に示すように、燃料供給開始(S41a、S41b)からフレームロッド出力(S42a〜S42c)が立上がるまでの時間(S43a)を検知し、その検知時間(S44a、S44b)に応じて点火状態(S45a〜S45c)を診断する。また、検出時間が所定値以上では、次回の点火時供給燃料流量を増加するべく制御処理を構成する。
このように、点火燃料供給開始からフレームロッド出力が立上がるまでの時間を検知することで気化筒内壁異常の進行を評価することができ、点火初期火炎発生防止となる。
また、検出時間が所定値以上の場合に次の点火時供給燃料流量を増加するべく制御処理を構成することにより、点火の確実性を上げるためにある程度の気化筒の汚れも見込んで使用開始時の点火初期燃料流量を高く設定していたものを、適正な流量に設定でき、かつ気化筒内部汚れも認知でき点検清掃の必要性を報知できる。
(火炎監視制御)
次に、通常の燃焼制御工程における火炎監視制御について説明する。
従来フレームロッドによる火炎監視は、燃焼量の可変による炎電流の変化や経時変化によるロッド表面変化からくる電気抵抗値上昇による炎電流の低下から、燃料切れ対応では燃料切れセンサの設置、火炎の気化室内への逆火異常燃焼は別途温度センサ筒を設置して現実的には個々に対応しており、コスト高となっていた。
そこで、燃焼部で自己の燃焼熱により供給液体燃料を加熱気化させるとともに燃料供給量に応じた燃焼用空気量を供給し、略一定の空燃比制御を行う燃焼装置において、火炎検知手段にフレームロッドを用い、火炎にロッド先端部を挿入し炎電流を経時的に検知し、その検知情報により燃焼状態を診断・制御するものであって、炎電流の変化率を検知情報とする。
ここで炎電流について詳細に説明すると、燃焼状態別の炎電流パターン説明図を図23に示すように、失火状態前の正常燃焼火炎では、D0レベルの安定した炎電流であるが、通常の失火では導通性を有する火炎が消滅するので炎電流は、単調に失火判定基準DL以下と減少する。しかし、燃料切れ寸前では、配管中に気泡を巻き込んで通常より過大な燃料供給量で異常燃焼となり、従来の失火検出レベルとなるには、かなりの時間異常燃焼が継続し、異常加熱や火災の危険性をはらむ。ゆえに、燃料切れ寸前の炎電流が急勾配で上昇することをその変化率で定量的に捉えることで、異常加熱や火災の危険性を抑制できる。そればかりか、燃料切れ状態で通常の失火検出までいって停止した場合、燃料供給系に空気が充填され、次回の燃焼時に空気を除去するのに手間がかかるが、事前に停止できることで大きい効果を持つ。また、気化バーナでは気化室内に予混合ガスが充填されており、火炎が逆火して気化室内で異常燃焼することがある。
この場合、図示のように炎電流は、単調に低減するが、最終的には、気化室内から未燃焼ガスが流出して、気化室内での異常燃焼に加え、正規の火炎位置でも一部燃焼する状況が発生し、バーナ部材を焼損することがあり、通常の失火検出方式では緊急停止できなのでサーモスタットや温度センサを別途用意し非常停止していた。しかし、炎電流が急勾配で低下することをその変化率で捉え、かつ所定時間後の炎電流が失火判定基準DL以上であることから診断できるので、極めて迅速に逆火検出できしかも別途異なるセンサを設ける必要もなくコスト低減にもなる。
上記炎電流に基づく具体的な制御処理は、図24の代表的実施制御フローチャート1における通常の燃焼制御処理(S50)として、その代表的実施制御フローチャートを図25に示すように、まず、タイマーON処理(S51a)からフレームロッド出力変化率G演算処理(S51b)までの処理ステップによって炎電流の変化率を算出する。この場合、フレームロッド出力検出、A/D変換、デジタル値記憶の各処理ステップは、実際には短時間に積算し平均化してノイズ除去をしていくことが望ましい。
次いで、上記のようにして得られた炎電流の変化率に応じて(S52a、S52b)、炎電流の変化率が所定値以内では正常燃焼と判定(S54〜)し、変化率が正の所定値以上では燃料切れ寸前燃焼と判定し診断表示するとともに燃料供給を中断(S53、S53a〜)し、また、変化率が負の所定値以下では異常燃焼と判定(S55〜)し、所定時間経過後の炎電流が所定値以下では失火診断表示(S55a)し、所定時間経過後の炎電流が所定値以上を保持した場合は逆火診断表示(S55b)し、何れの場合にも燃料供給を中断(S53a〜)する。
このように、火炎の詳細情報をリアルタイムで検知すべく、炎電流を絶対値でみるのでなく、その変化率でとらえることで、従来誤検知防止のため、充分高い炎電流による着火検出と充分低位の炎電流0レベルの失火のみにフレームロッドを活用できていなかったが、変化率で監視することで、ロッドの経時的劣化にも耐える燃料切れ対応や逆火異常燃焼対応を低コストで実現することができる。
(失火検知対応制御)
次に、失火検知対応制御について説明する。
従来失火検出時には所定の準備をして再度点火をし、異常がなければそのまま継続燃焼をしていたが、その際に再起動時の燃料供給量は点火時の所定量にしていたので、所望の熱量に制御されるまでには高熱量の出力状態が継続し、本来の目的にそぐわないことがあった。また、本来の目的からみて不適切でならば安全を考えて失火判定し異常停止処理をしていた。
そこで、燃焼継続時間が所定時間以上であれば、そのときの失火主原因は、外乱風や軽微な配管系残存空気、あるいは電気的な瞬時の燃料供給系房道等であり、再度燃焼しても問題はないことに着目し、失火前燃料供給量で燃料を供給したまま、直ちに点火手段を再動作させることで、バーナ部が充分高温の間に燃料供給されていることから、ガス化状態で再点火動作ができ、少量の燃料供給量であっても直ちに安定した火炎が形成される。
具体的には、代表的制御フローチャートを図26に示すように、自己の燃焼熱で供給液体燃料を加熱蒸発させその供給量に応じた空気量を供給し、略一定の空燃比制御を行う燃焼装置において、燃焼開始からの継続時間を測定(S61)し、その時間が所定値以上で火炎検知手段が失火検出をした場合(S62,S63)、燃料供給制御手段の燃料供給信号を失火検出時のまま継続して燃料を供給するとともに、直ちに点火手段を再動作(S64)させて、火炎検知手段の検出結果を待つ制御処理を構成する。
このように、燃焼継続時間が所定時間よりも短時間の時期に失火検出となった場合には、空燃比のバランス不良や配管系の残存空気量過多、または燃料切れなど、再度点火しても復旧の確率が低く所定の失火処理をすることで信頼性の高い燃焼運転ができる。
(集塵機制御)
次に、液体燃料燃焼装置の集塵機制御について説明する。
室内暖房機と室内電気集塵機を1台に集約したものはすでにあるが屋外使用の高出力液体燃焼装置においては、機械的集塵(エアフィルタ)のみでは除塵能力に限界があり、燃焼装置内特に燃料が気化する気化室内壁に微細な塵埃が停留し、長期にわたり良好な気化を行えず燃焼不良が発生することがあった。
そこで、電気集塵部構成を図27に示すように、燃焼用空気供給路内に電気集塵手段としての数kVの直流電圧を印加する電極対を設け、供給空気量に同調し印加電圧を変更することで、燃焼量が可変になり供給空気量が変化してもそれに同調して除塵量も可変になることから、燃焼装置内の塵埃の停留低減に、殊に微細な塵埃の停留を低減し長期にわたり安定した気化燃焼を実現できる。
具体的な集塵機制御処理は、代表的制御フローチャートを図28に示すように、気化室で自己の燃焼熱により液体供給燃料を加熱気化させ、燃料供給量に応じた燃焼用空気量を供給し、略一定の空燃比制御を行う燃焼制御装置において、燃焼用空気供給路に電気集塵手段を設け、前記空燃比制御による供給空気量に同調して電気集塵手段を制御する。この場合において、燃焼空気供給路内に配置した電気集塵手段下手側に投光部と受光部を有する塵埃量検出手段を設け、電気集塵手段を動作運転中に塵埃量検出手段の検出値が所定値1以上のとき、電気集塵手段の異常判定(S71〜S73)をする。
上記集塵機制御により、特にロータリガス化バーナでは、機械式除塵手段では除去しきれない微細な塵埃が、気化筒の点火燃料供給部位に停留して点火不良を発生して長期にわたり安定した運転ができない場合があったが、本提案で絶大なる効果を発揮する。
また、上記集塵機制御処理において、燃焼空気供給路内に投光部と受光部を有する塵埃量検出手段を設け燃焼装置の燃焼空気供給ファンが作動し、かつ電気集塵手段が不作動時の塵埃量検出手段の検出値が所定値2以上のとき、電気集塵手段を作動させ、検出値が所定値3以下のとき、電気集塵手段を不作動状態に維持するべく集塵制御処理を構成する。
燃焼装置の使用環境はさまざまであり、燃焼用空気の塵埃量もさまざまであるので、その塵埃量を検出し、電気集塵手段の作動の必要性を自動診断することで電気集塵手段のメンテナンスフリー期間を延長することができる。
さらに、上記集塵機制御処理において、電気集塵手段が不作動時の塵埃量検出手段の検出値の検出値に応じて電気集塵手段の印加電圧を変更する制御処理を構成することにより、燃料供給量の如何を問わず常に塵埃のない燃焼空気を供給することで長期にわたり良好なガス化燃焼が可能となる。
一般に電気集塵部については、コロナ放電による塵埃耐電化作用をするイオン化電極部と、その下流で帯電した塵埃を吸着捕獲する集塵電極部で構成されるのが通常である。イオン化電極部は、コロナ放電しやすいように突起を有するものやニードル状のものが用いられ、10kV程度の直流電圧が印加される。コロナ放電により空気分子は多量のイオンを生成して、マイナスイオン化電極部に吸着され中和し、プラスイオンは直ちに塵埃に帯電する。そして、集塵部ではコロナ放電が生じない程度の数kVの直流電圧が印加されることで、集塵部の電界に流入した帯電した塵埃はクーロン力により負極に吸着される。よって、電気集塵手段によって除塵された空気が燃焼装置に流入して気化室内で塵埃の停留を発生させず、気化燃料と混合され気化室内壁の伝熱性を維持しつつ適正燃焼する。
しかし、近年の液体燃焼装置はその用途適応性拡大のため燃焼量が数倍可変制御され、燃焼用空気もそれに応じて同調制御される。したがって、燃焼量に応じて集塵部通過する単位時間当たりの塵埃量は変化するので、一定の集塵能力では本目的を達成できない。そこで、少なくても集塵部の印加減圧を燃焼量に応じて可変する、すなわち集塵部を通過する空気量が多い場合には、集塵部印加電圧を上げてコロナ放電の生じない範囲で電界強度を高くすることで単位時間当たりの集塵量を増加できる。結果として燃焼装置に流入する空気の単位流量当たりの塵埃量を略一定にすることで、特に、農業用乾燥装置の燃焼装置等のような劣悪な塵埃環境で使用される場合においては、絶大の効果を発揮する。
詳細には、液体燃料が2.0〜6.0L/Hまで可変する実施例のロータリガス化バーナの場合の事例として、電気集塵部印加電圧制御事例を図29に示すように、具体的制御信号としては、燃料供給信号でも、それに追従する燃焼空気供給量制御信号である燃焼空気供給ファン回転数制御信号でも良い。燃料供給量の増加につれて、単位時間当たりの制御量を増加すべく、少なくとも集塵部印加電圧を増加させるべく制御する。
図示したものは理想的な比例制御の場合であるが、集塵電極の構成にもよるが、特に上記ロータリガス化バーナは、燃焼可変範囲が略6倍程度の広い範囲の燃焼を実現できるが、燃焼用空気もそれにつれて増大し、空気流速の増加とともに吸着した塵埃が電極から離反し燃焼装置に流入することもある。したがって、燃料供給量の増加に伴い、よりクーロン力を増強すべく、また、集塵部印加電圧増加によるコロナ放電によるイオン風の影響も考慮し燃料供給量の1.5ないし2乗で印加電圧を昇圧してもよい。
(穀粒乾燥機)
次に、以上に述べた構成の燃焼装置を搭載した穀粒乾燥機の構成例について説明する。
穀物乾燥機は、縦断側面図および部分破断表示による正面図をそれぞれ図30,図12に示すように、機枠1により塔型に構成され、上から順に貯留タンク2、乾燥室3、集穀室4を形成している。
乾燥室3内には、通気性網体5a,5aを左右に対向させて傾斜状の穀物流下通路5,5を形成し、左右一対の穀物流下通路5,5を正面視V字型に形成している。各穀物流下通路5,5の上位側は更にV字型を形成するように左右の穀物流下通路5,5の内側を断面菱形の空間部とし、この空間部を熱風室6に形成している。なお、菱形断面の空間形成体のうち下半部は通気網体により構成し、V字型の上半部は非通気性の板材により構成している。
穀物流下通路5,5下端の左右合流部下方には繰出バルブ7を設けている。この繰出バルブ7は断面円形の筒体に構成されていて、正回転及び逆回転に伴って外周の一部に形成した導入口部から穀物を受入れて、正逆回転に従って下方の集穀室4に落下させる構成である。
乾燥室3内側の菱型空間部に形成した熱風室6内には、多角形の筒状に構成されていて乾燥室3正面側壁から後面側壁に亘る長さに形成された遠赤外線放射体10を配置し、機壁前面及び後面に夫々着脱自在に固着している。この遠赤外線放射体10の断面形状は、前記菱型空間部の断面形状に相似して対応するように上部の逆V字形状と下部のV字形状とを短い垂直部で連結する略6角形状に構成されていて、下部側にはスリット状の開口12を形成している。この下部側開口12は前後にわたって形成されている。
前記遠赤外線放射体10の入口側には、乾燥機正面に配置するバーナ31からの熱風を受け入れる構成である。即ち、例えば気化型バーナ31を中心部に配置したバーナ風胴14を機体前側壁に取り付け、このバーナ風胴14と遠赤外線放射体10の入口部とを連通している。
上記バーナ風胴14に導入される外気は、バーナ31に気化型バーナの二次空気供給の役割を果たしながら上記のように熱風室6に入って熱風温度の上昇を抑制する機能を備えるものである。なお、気化型バーナ31は、燃焼盤56の中央部に回転気化筒52を備え、気化筒52の内側に設ける燃料ノズル(図示せず)からの噴出燃料は燃焼火炎を受けて加熱する気化筒52によって気化され燃焼盤56から噴出しながら燃焼を継続する構成である。また筒状ケース26内には送風ファン(図示せず)を備え一次空気を供給できる構成としている。
機体の背面側には、吸引ファン15を設け、この吸引ファン15の起風によって、菱形空間である熱風室6から穀物流下通路5,5を経て、穀物流下通路5,5の外側に形成される排風室16,16に向けて通風するように構成している。
集穀室4にはその中央に移送螺旋を備えた下部搬送装置25を設け、繰出バルブ7から繰り出した穀粒を下部搬送装置25で受けて例えば機体の正面側に移送する。機体の正面側には昇降機17を設け、内部にバケット17a,17a…を備え、下部搬送装置25からの穀粒を掬い上げて上部天井に設ける上部搬送装置21の始端部に揚穀するように構成している。移送螺旋を備えた上部搬送装置21の終端側の天井中央部には垂下軸22を設け、この垂下軸22に回転拡散板23を取り付けている。
また、バーナ風胴14の正面にはコントローラ操作盤(不図示)を備えている。この操作盤には張込スイッチ、通風スイッチ、乾燥スイッチ、排出スイッチ、停止スイッチ等を備え、これらのスイッチ群により各種の運転モードに切り替えると共に運転停止を司る。また、緊急スイッチを設け、この緊急スイッチを操作すると、機体運転部の全体を略同時に停止することができる。
これらのスイッチの他に、張込量を設定する張込量設定スイッチ、最終仕上げ水分値を設定する水分設定スイッチ、及び、乾燥設定スイッチ(籾乾燥の場合には乾燥速度を速い・普通・遅いに設定し、また、他の穀粒乾燥の場合には、例えば小麦・大麦等の品種に関連付けて予め設定した乾燥速度に設定する)を備えている。更に、乾燥仕上がりを水分値によらないで処理時間により乾燥する等のためのタイマ増・減スイッチを備えている。
水分検出手段は一粒式の水分計27を採用し、所定時間毎に所定粒数単位で水分値を測定し、所定回数の検出結果を平均処理して水分値を算出し、前記操作盤の表示部に検出熱風温度等と交代的に表示する構成である。制御部は併せて一粒水分値から水分のバラツキを判定したり、未熟粒の多少を判定できる構成とし、これらをLEDにより表示している。
制御部には、操作盤のスイッチから乾燥情報等を入力するほか、各種センサから検出情報が入力され、前記気化型バーナ31の燃料供給量を制御したり、穀粒の移送系手段を運転制御するように構成している。
次に、上記構成の穀粒乾燥機の作用動作について説明する。
張込ホッパ(図示省略)に投入された穀粒は、張込スイッチをONすることにより駆動される昇降機17、上部搬送装置21等を経由して貯留タンク2に張り込まれる。穀粒の張込が完了すると、乾燥作業に移行するが、前段階で水分設定スイッチ及び乾燥設定スイッチにより穀粒種類の設定や希望の乾燥仕上げ水分値を設定する。
前記の設定操作の終了後に乾燥スイッチをONすると、昇降機17、上・下搬送装置25,31、繰出バルブ7等の駆動が開始されると共に、バーナ31も駆動されて熱風が乾燥室3の菱形空間である熱風室6の入口部に向けて供給される。
ここで、バーナの火炎は吸引ファン15の回転により熱風化され、適宜に導入される外気と混合されながら遠赤外線放射体10内に流入し、遠赤外線放射体10を加熱しつつ上部及び下部に形成されているスリット状開口12を経て遠赤外線放射体10の外に流出する。その際に遠赤外線放射体10の加熱により遠赤外線放射体10の表面から遠赤外線が放射されて、この熱放射及び前記熱風は共に流下通路5,5を流下中の穀粒に作用し、遠赤外線による輻射熱と熱風により穀粒内部での水分移行が促進され、熱風による水分除去作用に伴って効率的な乾燥作用が行なわれる。
穀物流下通路5,5の前後に亘って遠赤外線の放射と熱風による乾燥作用がなされ、穀物流下通路5,5を通過した熱風は排風室16,16を経て排風される。乾燥室3で乾燥された穀粒は、集穀室4の下部搬送装置25、昇降機17、上部移送螺旋21を経由して再び貯留タンク2に戻されて調質作用を受ける。このような行程を繰り返し、所定の水分値に達すると乾燥が終了するものである。
部分縦断を伴うロータリ気化バーナ装置の側面図 バーナ装置の制御ブロック図 気化筒モータ制御手段の実施例 液体燃料供給量制御(a)、空燃比制御(b)、燃焼用空気供給量制御(c)の各特性線図 燃料供給量に対する気化筒回転数の実施例 図5の気化筒回転数特性 気化筒回転数低減制御を適用した代表的なフローチャート 逆火回避手段を燃焼用空気供給量増加を適用した代表的なフローチャート 図7および図8の逆火回避手段を適用した代表的なフローチャート 安定時予混合ガス温度特性図 リフト燃焼継続の場合の炉体温度変化事例 図30の穀物乾燥機の部分破断表示による正面図 空燃比制御の代表的なフローチャート 空燃比制御の他の代表的なフローチャート 予混合ガス適正温度事例 代表的制御フローチャート 温度変化事例(燃焼量1.5L/hの場合) 着火ミス自動制御の代表的制御のフローチャート 運転開始時の燃料制御経過 燃焼運転開始時の駆動タイミングチャート 運転開始時のフレームロッド出力変化図 点火診断の代表的実施制御フローチャート 燃焼状態別の炎電流パターン説明図 炎電流に基づく制御の代表的実施制御フローチャート1 炎電流に基づく制御の代表的実施制御フローチャート2 失火検知対応制御の代表的制御フローチャート 電気集塵部の構成 集塵機制御の代表的制御フローチャート 電気集塵部印加電圧制御事例 穀物乾燥機の縦断側面図
符号の説明
31 ロータリ気化バーナ装置
47 送風筒体
48 燃焼筒
49 バーナモータ
51 オイル拡散体
52 回転気化筒
54 燃焼空気供給ファン
56 燃焼盤
60 フレームロッド
61 バーナ温度センサ(逆火検出手段)
62 炉体温度検出手段
63 予混合ガス温度検出手段
C 制御部
M 混合室
P 燃料ポンプ(燃料供給手段)

Claims (2)

  1. 燃焼室内に設けられたモータ懸架の回転気化筒(52)と、その燃焼火炎が燃焼室から気化筒(52)内に逆火し異常燃焼したことで気化筒(52)内部もしくはそれによる燃焼部材の異常高温を検出する逆火検出手段(61)を備えるロータリ気化バーナ装置において、
    上記回転気化筒(52)を懸架したモータ(49)の回転数を変更するモータ制御手段(C)を設け、上記逆火検出手段の作動により燃焼を中断すべく燃料供給手段(P)を瞬時に停止し、所定時間後に再度、燃焼開始するとともに、上記モータ制御手段(C)により、回転気化筒(52)の回転数を変更して所定回転数低減制御することを特徴とするロータリ気化バーナ装置。
  2. 燃焼室内に設けられたモータ懸架の回転気化筒(52)と、その燃焼火炎が燃焼室から気化筒(52)内に逆火し異常燃焼したことで気化筒(52)内部もしくはそれによる燃焼部材の異常高温を検出する逆火検出手段(61)を備えるロータリ気化バーナ装置において、
    上記回転気化筒(52)内に供給する液体燃料供給量に応じて燃焼用空気供給量を変更制御するファン(54)の回転数を変更するファンモータ制御手段(C)を設け、上記逆火検出手段(61)の作動により燃焼を中断すべく燃料供給手段(P)を瞬時に停止し、所定時間後に再度、燃焼開始するとともに、上記ファンモータ回転数制御手段により、ファン(54)の回転数を変更して所定回転数増加制御することを特徴とするロータリ気化バーナ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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