JP2009127631A - 燃料チューブ - Google Patents
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Abstract
【課題】耐燃料透過性等、性能バランスに優れた燃料チューブを提供する。
【解決手段】燃料と接触する内層に、PA9T及びETFEを含有するポリマーアロイからなる第1の層(1)を形成し、その外側に直接接触するようにPA11やPA12からなる第2の層(2)を積層する。
【選択図】図1
【解決手段】燃料と接触する内層に、PA9T及びETFEを含有するポリマーアロイからなる第1の層(1)を形成し、その外側に直接接触するようにPA11やPA12からなる第2の層(2)を積層する。
【選択図】図1
Description
本発明は、燃料チューブに関し、特にアルコール混合ガソリンに好適な燃料チューブに関する。
この種の燃料チューブでは、耐燃料透過性や柔軟性、導電性、耐サワーガソリン性、経済性等、多くの性能を満たすことが要求されるため、その材料や構造について様々な検討が行われている。
特に近年、ガソリンに替えてアルコール混合ガソリンが用いられつつあり、従来より燃料チューブの材料として多用されていたポリアミド11やポリアミド12では、アルコール混合ガソリンに対する耐燃料透過性が不足することから、より耐燃料透過性に優れた燃料チューブが求められている。
しかしながら、単独の樹脂では、そのような耐燃料透過性を備えた実用性のある樹脂が見当たらないことから、フッ素樹脂であるETFE(エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体)や高バリヤ性樹脂であるEVOH(エチレン―ビニルアルコール共重合体)等、耐燃料透過性に優れた樹脂を積層して燃料チューブを形成することが検討されている(特許文献1〜3)。
例えば、特許文献1では、ポリアミド樹脂を、ポリアミドとETFEをブレンドした樹脂層で接着性の乏しいフッ素樹脂と接着して多層チューブを形成している。
特許文献2では、ゴム質の外層の内周面に、フッ素系熱可塑性樹脂とポリアミド系熱可塑性樹脂の混合粉体を塗布して加熱溶融することにより2層構造を形成している。
特許文献3では、ポリアミド11やポリアミド12の樹脂層に半芳香族ポリアミド系樹脂層を積層して燃料チューブを形成している。
特許第3166433号公報
特許第3166495号公報
特開2005−119017号公報
一般に、ETFE等の耐燃料透過性に優れた樹脂は比較的高額であるため、積層するにしても実用的なコストではその耐燃料透過性を十分に発揮させるのは難しい。
特に、特許文献1のように接着層を設けて異質な樹脂層を積層する場合には、経時的にその接着力が低下して剥離するおそれがあり、耐久性の面で難がある。
特許文献2は、その材料に柔軟性に優れたゴムを用いることで、組み付け作業性や衝突安全性の面で有利ではあるものの、内面に混合粉体を塗布する工程などが必要であり、生産性の面で難がある。
特許文献3で用いられている半芳香族ポリアミド系樹脂は、耐燃料透過性に優れてはいるが、結晶性の樹脂であるため、結晶化し易く、伸び難いという性質があり、組み付け作業性や衝突安全性に問題がある。例えば、これを積層形成した燃料チューブを加熱して曲げ加工すると結晶化がさらに進行し、層間剥離が発生したり、壊れ易くなって衝突安全性が低下する。
このように、いずれも一長一短があって扱い難いことから、目立つような欠点がない、性能バランスに優れた燃料チューブが要望されている。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、各種性能がバランス良く発揮され、特にアルコール混合ガソリンに好適な燃料チューブを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明では、半芳香族ポリアミド系樹脂と含フッ素エチレン性重合体とをアロイ化して積層した。
すなわち、内外に積層された複数の層を有する燃料チューブにおいて、上記複数の層として、半芳香族ポリアミド系樹脂及び含フッ素エチレン性重合体を含有するポリマーアロイからなる第1の層と、脂肪族ポリアミドからなる第2の層と、を備える構成とした。具体的には、上記第1の層における、半芳香族ポリアミド系樹脂(A)と含フッ素エチレン性重合体(B)との含有比率A:Bが、2:98重量部〜98:2重量部になるようにする。
この構成によれば、まず、比較的高コストな含フッ素エチレン性重合体の使用量を抑制することができ、経済性に優れる。そして、結晶性の半芳香族ポリアミド系樹脂にこの含フッ素エチレン性重合体をアロイ化することで、半芳香族ポリアミド系樹脂の伸び難いという欠点を改良することができ、第2の層の脂肪族ポリアミドとの間で良好な接着性を得ることができる。もちろん、耐燃料透過性にも優れ、目立った欠点もなく、燃料チューブ、特にアルコール混合ガソリンに好適に使用できる。
そして、上記第1の層で燃料と接触する内層を形成し、その内層の外側に直接接触するように上記第2の層を積層すればよい。燃料に直接接する内層に耐燃料透過性に優れた層を形成することで、その特性を効率よく発揮させることができ、外層への影響を抑制することができる。
具体的には、上記第2の層における脂肪族ポリアミドとしては、ポリアミド11又はポリアミド12を用いることができる。常用されている材料であり、適用が容易である。
また、上記第1の層における含フッ素エチレン性重合体としては、変性含フッ素エチレン性重合体、より具体的には、変性エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体を用いることができる。そして、その含フッ素エチレン性重合体は、カルボニル基、エポキシ基、無水マレイン酸基、グリシジル基及びカルボン酸ハライド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有するのが好ましい。
そうすれば、半芳香族ポリアミド系樹脂や脂肪族ポリアミドとの間で接着性が高まって、アロイ化の促進や層間接着力の強化を図ることができる。
その場合、上記第1の層における半芳香族ポリアミド系樹脂の分子末端のアミノ基(C)とカルボニル基(D)との比率C/Dは、51/49以上99/1以下にするのが好ましい。これにより、層間接着性が向上し、アロイ化をよりいっそう促進できるからである。
そして、この上記第1の層における半芳香族ポリアミド系樹脂は、ジアミン成分と芳香族ジカルボン酸成分とを重合してなり、上記ジアミン成分は、1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンから選ばれる少なくとも1種であるのが好ましく、上記ジアミン成分が、1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンで構成されていて、その1,9−ノナンジアミン(E)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン(F)との比率E/Fは、30/70以上90/10以下であるのが好ましい。そうすることで、耐燃料透過性を向上させることができる。
また、上記第1の層には、更に、アミノ基、カルボニル基、エポキシ基、無水マレイン酸基、グリシジル基及びカルボン酸ハライド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物、を配合するようにしてもよい。相溶化剤としての機能を発揮させることができ、アロイ化を促進させることができる。
その場合、上記第1の層における半芳香族ポリアミド系樹脂及び含フッ素エチレン性重合体の100重量部に対する上記化合物の配合比率は、1〜30重量部とするのが好ましい。
上記化合物としては、例えば、分子末端のアミノ基(G)とカルボニル基(H)との比率G/Hが、60/40以上99/1以下の半芳香族ポリアミド系樹脂や、例えば、カルボニル基、エポキシ基、無水マレイン酸基、グリシジル基及びカルボン酸ハライド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有するような、変性エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体を用いることができる。
上記第1の層には、更に、導電材料を含有させるとよい。静電気の蓄積による帯電を防止して、燃料の引火が阻止できる。
性能的には、上記第1の層と第2の層との間の接着力は、20N/cm以上とするのが好ましい。こうすることで、良好な耐久性を発揮させることができる。
特に、トルエンとイソオクタンとエタノールとが45:45:10の体積比率で混合された液を当該燃料チューブに封入して60℃の温度に20日間保持した後における、第1の層と第2の層との間の接着力を20N/cm以上とすれば、アルコール混合ガソリンに対しても良好な耐久性を発揮させることができる。
トルエンとイソオクタンとエタノールとが45:45:10の体積比率で混合された液を当該燃料チューブに封入して60℃の温度に20日間保持した後における、燃料透過速度が5g/m2/day以下であれば、アルコール混合ガソリンに対して良好な耐燃料透過性を発揮させることができる。
トルエンとイソオクタンとエタノールとが45:45:10の体積比率で混合された液を当該燃料チューブに封入して60℃の温度に20日間保持した後における、当該燃料チューブの表面電気抵抗率が、1×106Ω以下であれば、アルコール混合ガソリンに対して良好な帯電防止効果を得ることができる。
トルエンとイソオクタンとが50:50の体積比率で混合された混合液にラウロイルパーオキサイドを3重量%添加したLPO添加液を当該燃料チューブに封入して60℃の温度に14日間保持した後における、引張伸び低下率が25%以下であれば、燃料が酸化劣化しても伸び特性を損なうことなく、良好な組み付け作業性や衝突安全性を発揮させることができる。
以上説明したように、本発明によれば、耐燃料透過性や接着性等、要求される基本性能をバランス良く満たすことができ、しかも経済的で実用性の高い燃料チューブ、中でもアルコール混合ガソリンに好適な燃料チューブを提供することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1に、本発明の燃料チューブの最良の形態を示す。この燃料チューブは、燃料と接触する内層に半芳香族ポリアミド系樹脂及び含フッ素エチレン性重合体を含有するポリマーアロイからなる第1の層1を備え、その外側に直接接触するように脂肪族ポリアミドからなる第2の層2が、共押出により積層されている。特に車両の燃料供給系統に配設されて、ガソリンやアルコール混合ガソリンの移送用に用いられる。以下、その詳細について説明する。
(半芳香族ポリアミド系樹脂)
半芳香族ポリアミド系樹脂としては、全ジカルボン酸成分の60〜100モル%がテレフタル酸であるジカルボン酸成分と、全ジアミン成分の60〜100モル%が1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンから選ばれるジアミン成分とからなるポリアミド樹脂である(以下PA9Tと略記する場合がある)ことが好ましい。前記ジアミンは炭素数9の脂肪族ジアミンである。この構成により、当該燃料チューブの耐熱性、成形性、耐ガソリン透過性、耐薬品性、低吸水性、軽量性、機械的特性、成形加工性を高める上で有利になる。
半芳香族ポリアミド系樹脂としては、全ジカルボン酸成分の60〜100モル%がテレフタル酸であるジカルボン酸成分と、全ジアミン成分の60〜100モル%が1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンから選ばれるジアミン成分とからなるポリアミド樹脂である(以下PA9Tと略記する場合がある)ことが好ましい。前記ジアミンは炭素数9の脂肪族ジアミンである。この構成により、当該燃料チューブの耐熱性、成形性、耐ガソリン透過性、耐薬品性、低吸水性、軽量性、機械的特性、成形加工性を高める上で有利になる。
PA9Tのジカルボン酸成分としてはテレフタル酸が好ましく用いられる。その使用量は、ジカルボン酸成分全体に対して、60モル%以上であり、好ましくは75モル%以上、より好ましくは90モル%以上である。テレフタル酸成分が60モル%未満の場合には、得られる積層構造体の耐熱性、耐薬品性などの諸物性が低下するため好ましくない。
テレフタル酸成分以外の他のジカルボン酸成分としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸などの脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、あるいはこれらの任意の混合物を挙げることができる。これらのうち芳香族ジカルボン酸が好ましく使用される。さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸を溶融成形が可能な範囲内で用いることもできる。
PA9Tのジアミン成分としては、1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンから選ばれるジアミンが好ましく用いられる。その使用量は、ジアミン成分全体に対して、60モル%以上であり、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上である。ジアミン成分として、上記の量の1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンから選ばれるジアミンを使用することにより、耐熱性、成形性、耐薬品性、低吸水性、軽量性、力学特性、成形加工性のいずれにも優れる積層型燃料チューブが得られる。1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比は、好ましくは30:70〜95:5、より好ましくは40:60〜90:10である。
他のジアミン成分としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミンなどの脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミンなどの脂環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テルなどの芳香族ジアミン、あるいはこれらの任意の混合物を挙げることができる。
(含フッ素エチレン性重合体)
含フッ素エチレン性重合体は、少なくとも1種の含フッ素エチレン性単量体から誘導される繰り返し単位を有するホモポリマー鎖又はコポリマー鎖を有するものであり、含フッ素エチレン性単量体のみを重合してなるか、又は、含フッ素エチレン性単量体とフッ素原子を有さないエチレン性単量体を重合してなるポリマー鎖であってよい。
含フッ素エチレン性重合体は、少なくとも1種の含フッ素エチレン性単量体から誘導される繰り返し単位を有するホモポリマー鎖又はコポリマー鎖を有するものであり、含フッ素エチレン性単量体のみを重合してなるか、又は、含フッ素エチレン性単量体とフッ素原子を有さないエチレン性単量体を重合してなるポリマー鎖であってよい。
上記含フッ素エチレン性単量体は、フッ素原子を有するオレフィン性不飽和単量体であり、具体的には、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニル、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブテン、式CH2=CX1(CF2)nX2(式中、X1はH又はF、X2はH、F又はCl、nは1〜10の整数である。)で示される単量体、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類などである。
上記フッ素原子を有さないエチレン性単量体は、耐熱性や耐薬品性などを低下させないためにも炭素数5以下のエチレン性単量体から選ばれることが好ましい。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどがあげられる。
(変性含フッ素エチレン性重合体)
含フッ素エチレン性重合体は、半芳香族ポリアミド系樹脂層との間のアロイ化の促進や脂肪族ポリアミドとの間の層間接着力を高める上で有利となることから、接着性の官能基を有する変性含フッ素エチレン性重合体であることが好ましい。
含フッ素エチレン性重合体は、半芳香族ポリアミド系樹脂層との間のアロイ化の促進や脂肪族ポリアミドとの間の層間接着力を高める上で有利となることから、接着性の官能基を有する変性含フッ素エチレン性重合体であることが好ましい。
接着性の官能基は、反応性や極性を有する基で、例えば、カルボキシル基や、1分子中の2つのカルボキシル基が脱水縮合した残基(以下、カルボン酸無水物残基という。)、エポキシ基、水酸基、イソシアネート基、エステル基、アミド基、アルデヒド基、アミノ基、加水分解性シリル基、シアノ基、炭素−炭素二重結合、スルホン酸基、エーテル基、グリシジル基及びカルボン酸ハライド基等が好ましいものとして挙げられる。なかでも、アミノ基やカルボニル基、エポキシ基、無水マレイン酸基、グリシジル基、カルボン酸ハライド基が好ましい。このような官能基は、含フッ素エチレン性単量体1分子中に異なる種類のものが2種類以上存在していても良く、また1分子中に2個以上存在していても良い。
(ポリマーアロイ)
ポリマーアロイは、半芳香族ポリアミド系樹脂及び含フッ素エチレン性重合体の各ポリマーを混合して形成したものであり、例えば、半芳香族ポリアミド系樹脂に対して接着性が付与された変性含フッ素エチレン性重合体の組合せによりアロイ化することができる。
ポリマーアロイは、半芳香族ポリアミド系樹脂及び含フッ素エチレン性重合体の各ポリマーを混合して形成したものであり、例えば、半芳香族ポリアミド系樹脂に対して接着性が付与された変性含フッ素エチレン性重合体の組合せによりアロイ化することができる。
半芳香族ポリアミド系樹脂は結晶性の樹脂であるため伸びが劣る欠点があるが、含フッ素エチレン性重合体をアロイ化することで、耐燃料透過性等の優れた性能を維持しながら、その結晶化度を下げて伸び性能を向上させることが可能になる。
また、含フッ素エチレン性重合体に、相溶化剤として、上記のような接着性の官能基を有する化合物、例えば、分子末端のカルボニル基に対するアミノ基の比率を変えた変性半芳香族ポリアミド系樹脂や変性ETFEを比較的少量配合することによってもアロイ化できる。具体的には、半芳香族ポリアミド系樹脂及び含フッ素エチレン性重合体の100重量部に対し、相溶化剤としての化合物を1〜30重量部配合すればよい。一般に、変性材料は特殊で、未変性材料に比べてコストが高くつくため、未変性材料に相溶化剤として所定の化合物を利用することでコストメリットが得られる利点がある。
(導電材料)
静電気の蓄積による帯電防止のために、第1の層1に導電材料を含ませることができる。もちろん、第2の層2等にも含ませてもよい。
静電気の蓄積による帯電防止のために、第1の層1に導電材料を含ませることができる。もちろん、第2の層2等にも含ませてもよい。
導電材料としては、カ−ボンブラック、グラファイト等の粒状フィラーが好適に使用できる。アルミフレ−ク、ニッケルフレ−ク、ニッケルコ−トマイカ等のフレ−ク状フィラ−や、炭素繊維、炭素被覆セラミック繊維、カ−ボンウィスカ−、アルミ繊維や銅繊維や黄銅繊維やステンレス繊維といった金属繊維も好適に使用できる。これらの中では、カ−ボンブラック、特にケッチェンブラックが最も好適である。これら、導電性材料の種類や配合量は必要に応じて適宜選択すればよい。
(脂肪族ポリアミド)
脂肪族ポリアミドは、第1の層1に直接接触する第2の層2を形成する樹脂材料であり、第1の層1を形成する半芳香族ポリアミド系樹脂及び含フッ素エチレン性重合体のポリマーアロイとの間で良好な接着性を発揮する。具体的には、従来から多用されているポリアミド11やポリアミド12が好適に使用できる。また、かかる構成により、耐燃料透過性を高いレベルで実現しながら、機械的特性、耐候性、耐外傷性、難燃性などの点でも良好な性能を発揮できる。
脂肪族ポリアミドは、第1の層1に直接接触する第2の層2を形成する樹脂材料であり、第1の層1を形成する半芳香族ポリアミド系樹脂及び含フッ素エチレン性重合体のポリマーアロイとの間で良好な接着性を発揮する。具体的には、従来から多用されているポリアミド11やポリアミド12が好適に使用できる。また、かかる構成により、耐燃料透過性を高いレベルで実現しながら、機械的特性、耐候性、耐外傷性、難燃性などの点でも良好な性能を発揮できる。
(実施例及び比較例)
図2〜図4に本発明の実施例と比較例とを示す。図2及び図3は、本発明の実施例1〜12であり、図4は、それに対する比較例1〜4である。それぞれ、層構成と性能試験の結果を表にまとめて示してある。
図2〜図4に本発明の実施例と比較例とを示す。図2及び図3は、本発明の実施例1〜12であり、図4は、それに対する比較例1〜4である。それぞれ、層構成と性能試験の結果を表にまとめて示してある。
尚、各実施例は、次に示す層構成において、アロイ化した第1の層1(内層)と第2の層2(外層)とを共押出することによって図1に示す形態のチューブを形成し、試験用のチューブとした。試験に供したチューブの寸法は、いずれも内径:6mm、肉厚:1mm(内層:200μm、外層:800μm)である。
[実施例1]
内層は、半芳香族ポリアミド系樹脂としてPA9Tを使用し、含フッ素エチレン性重合体としてカルボニル基変性ETFEを使用した。
内層は、半芳香族ポリアミド系樹脂としてPA9Tを使用し、含フッ素エチレン性重合体としてカルボニル基変性ETFEを使用した。
PA9Tは、その分子末端のアミノ基とカルボニル基との比率(モル比)が、アミノ基:カルボニル基=55:45であり、ジアミン成分比率(モル比)が、1,9−ノナンジアミン:2−メチル−1,8−オクタンジアミン=60:40である。
そして、PA9Tとカルボニル基変性ETFEのアロイ化における配合比率(重量部)は、図表の各欄に括弧書きで表示したように、PA9T:カルボニル基変性ETFE=70:30である。
外層には、PA12(ポリアミド12)を使用した。
[実施例2]
内層のPA9Tとカルボニル基変性ETFEのアロイ化における配合比率(重量部)を、PA9T:カルボニル基変性ETFE=30:70とした。その他は、実施例1と同様に構成した。
内層のPA9Tとカルボニル基変性ETFEのアロイ化における配合比率(重量部)を、PA9T:カルボニル基変性ETFE=30:70とした。その他は、実施例1と同様に構成した。
[実施例3]
内層の含フッ素エチレン性重合体として無水マレイン酸変性ETFEを使用し、そのPA9Tとの配合比率を、PA9T:無水マレイン酸基変性ETFE=70:30とした。
内層の含フッ素エチレン性重合体として無水マレイン酸変性ETFEを使用し、そのPA9Tとの配合比率を、PA9T:無水マレイン酸基変性ETFE=70:30とした。
また、外層にはPA11(ポリアミド11)を使用した。その他は、実施例1と同様に構成した。
[実施例4]
内層の半芳香族ポリアミド系樹脂として、アミンrich−PA9Tを使用し、その他は実施例1と同様に構成した。
内層の半芳香族ポリアミド系樹脂として、アミンrich−PA9Tを使用し、その他は実施例1と同様に構成した。
アミンrich−PA9Tは、その分子末端のアミノ基とカルボニル基との比率(モル比)が、アミノ基:カルボニル基=70:30であり、アミノ基の比率を高く構成した以外は通常のPA9Tと同じである。
[実施例5]
内層は、半芳香族ポリアミド系樹脂としてPA9Tを使用し、含フッ素エチレン性重合体としてETFEを使用した。
内層は、半芳香族ポリアミド系樹脂としてPA9Tを使用し、含フッ素エチレン性重合体としてETFEを使用した。
そして、相溶化剤として上記アミンrich−PA9Tを添加してアロイ化を行った。そのアロイ化における配合比率(重量部)は、PA9T:ETFE:アミンrich−PA9T=70:30:5である。外層には、PA12を使用した。
[実施例6]
相溶化剤として、アミンrich−PA9Tに替えてカルボニル基変性ETFEを添加した以外は、実施例5と同じ構成とした。
相溶化剤として、アミンrich−PA9Tに替えてカルボニル基変性ETFEを添加した以外は、実施例5と同じ構成とした。
[実施例7]
各層構成成分に導電性を付与した以外は実施例6と同じ構成とした。
各層構成成分に導電性を付与した以外は実施例6と同じ構成とした。
[実施例8]
内層の半芳香族ポリアミド系樹脂としてアミンpoor−PA9Tを使用した以外は実施例1と同じ構成とした。
内層の半芳香族ポリアミド系樹脂としてアミンpoor−PA9Tを使用した以外は実施例1と同じ構成とした。
アミンpoor−PA9Tは、その分子末端のアミノ基とカルボニル基との比率(モル比)が、アミノ基:カルボニル基=30:70であり、アミノ基の比率を低く構成した以外は通常のPA9Tと同じである。
[実施例9]
内層の半芳香族ポリアミド系樹脂としてPA9T’を使用した以外は実施例1と同じ構成とした。
内層の半芳香族ポリアミド系樹脂としてPA9T’を使用した以外は実施例1と同じ構成とした。
PA9T’は、ジアミン成分比率(モル比)が、1,9−ノナンジアミン:2−メチル−1,8−オクタンジアミン=20:80であり、1,9−ノナンジアミンの比率を低くした以外は通常のPA9Tと同じである。
[実施例10]
相溶化剤として、アミンrich−PA9Tの替わりに上記アミンpoor−PA9Tを添加した以外は、実施例5と同じ構成とした。
相溶化剤として、アミンrich−PA9Tの替わりに上記アミンpoor−PA9Tを添加した以外は、実施例5と同じ構成とした。
[実施例11]
相溶化剤として、導電性カルボニル基変性ETFEの替わりに、カルボニル基変性ETFEを添加し、その配合割合を0.5重量部に減らした以外は、実施例7と同じ構成とした。
相溶化剤として、導電性カルボニル基変性ETFEの替わりに、カルボニル基変性ETFEを添加し、その配合割合を0.5重量部に減らした以外は、実施例7と同じ構成とした。
[実施例12]
カルボニル基変性ETFEの配合割合を25重量部に増やした以外は、実施例11と同じ構成とした。
カルボニル基変性ETFEの配合割合を25重量部に増やした以外は、実施例11と同じ構成とした。
[比較例1]
PA12の単層構造のチューブとした。その肉厚は、図表中に括弧書きで示したように1mmである。
PA12の単層構造のチューブとした。その肉厚は、図表中に括弧書きで示したように1mmである。
[比較例2]
内層を導電性カルボニル基変性ETFE(肉厚200μm)とし、外層をPA12(肉厚800μm)とした。
内層を導電性カルボニル基変性ETFE(肉厚200μm)とし、外層をPA12(肉厚800μm)とした。
[比較例3]
導電性を付与したPA12で最内層を形成し、その外側へ順に変性ポリオレフィン層、EVOH層、PA11層を形成し、4層構造のチューブを構成した。各層の肉厚は最内層から順に、100μm、50μm、250μm、600μmである。
導電性を付与したPA12で最内層を形成し、その外側へ順に変性ポリオレフィン層、EVOH層、PA11層を形成し、4層構造のチューブを構成した。各層の肉厚は最内層から順に、100μm、50μm、250μm、600μmである。
[比較例4]
導電性を付与したPA9Tで最内層を形成し、その外側へ順にカルボニル基変性ETFE層、PA12層を形成し、3層構造のチューブを構成した。各層の肉厚は最内層から順に、100μm、100μm、800μmである。
導電性を付与したPA9Tで最内層を形成し、その外側へ順にカルボニル基変性ETFE層、PA12層を形成し、3層構造のチューブを構成した。各層の肉厚は最内層から順に、100μm、100μm、800μmである。
(性能評価)
上記実施例及び比較例について以下に述べる各項目について評価した(図1〜図3参照)。
上記実施例及び比較例について以下に述べる各項目について評価した(図1〜図3参照)。
[初期引張破断伸び]
各試験用のチューブからダンベル試験片を採取し、テンシロン万能試験機を用いて、50mm/minの引張速度にて引張試験を実施し、破断したときの伸び(%)を測定した。尚、ダンベル試験片は、ASTM D638 TYPE−V(標線間:8mm)に従って調整した。
各試験用のチューブからダンベル試験片を採取し、テンシロン万能試験機を用いて、50mm/minの引張速度にて引張試験を実施し、破断したときの伸び(%)を測定した。尚、ダンベル試験片は、ASTM D638 TYPE−V(標線間:8mm)に従って調整した。
初期引張破断伸びは、チューブ本来の伸び性能を評価するものであり、200%以上であるのが好ましい。
[初期接着力]
単層チューブの比較例1を除く各試験用のチュ−ブを半割りにし、テンシロン万能試験機を用いて、30mm/minの引張速度にて180°剥離試験を実施した。剥離強度を読み取り、剥離断面長さ(幅)で除した値を初期層間接着力とした。尚、比較例3は、第3層と第4層との間、比較例4は、第2層と第3層との間について実施した。
単層チューブの比較例1を除く各試験用のチュ−ブを半割りにし、テンシロン万能試験機を用いて、30mm/minの引張速度にて180°剥離試験を実施した。剥離強度を読み取り、剥離断面長さ(幅)で除した値を初期層間接着力とした。尚、比較例3は、第3層と第4層との間、比較例4は、第2層と第3層との間について実施した。
初期接着力は、チューブ本来の層間接着性能を評価するものであり、20N/cmよりも大きいことが好ましく、30N/cmよりも大きいとより好ましい。
[燃料封入後の接着力]
FuelC(イソオクタン:トルエン=50:50体積比)とエタノ−ルとを90:10の体積比で混合してアルコ−ル混合ガソリン(CE10)を調整した。
FuelC(イソオクタン:トルエン=50:50体積比)とエタノ−ルとを90:10の体積比で混合してアルコ−ル混合ガソリン(CE10)を調整した。
燃料封入後の接着力は、初期接着力と同様に、単層チューブの比較例1を除く各試験用のチューブ内部に、CE10を封入して60℃の温度に20日間保持した後、上記初期接着力試験と同じ方法で接着力を求めた。
この性能評価は、アルコ−ル混合ガソリンの実用下での層間接着性能を評価するものであり、初期接着力と同様に、20N/cmよりも大きいことが好ましく、30N/cmよりも大きいとより好ましい。
[初期表面抵抗率]
各試験用のチューブに電極を差し込み、定電流を流したときの表面抵抗率を測定した。尚、図表中、−が表示されているものは、最内層が導電性を有していないため、測定をしていないものである。
各試験用のチューブに電極を差し込み、定電流を流したときの表面抵抗率を測定した。尚、図表中、−が表示されているものは、最内層が導電性を有していないため、測定をしていないものである。
初期表面抵抗率は、チューブ本来の導電性能を評価するものであり、1×106Ω以下であることが好ましい。
[燃料封入後の表面抵抗率]
燃料封入後の表面抵抗率は、燃料封入後の接着力と同様に、各試験用のチューブ内部にCE10を封入して60℃の温度に20日間保持した後、上記初期表面抵抗率と同じ方法で表面抵抗率を求めた。
燃料封入後の表面抵抗率は、燃料封入後の接着力と同様に、各試験用のチューブ内部にCE10を封入して60℃の温度に20日間保持した後、上記初期表面抵抗率と同じ方法で表面抵抗率を求めた。
この性能試験は、アルコ−ル混合ガソリンの実用下での導電性能を評価するものであり、1×106Ω以下であることが好ましい。
[燃料透過速度]
各試験用のチュ−ブにCE10を封入して全体の重量を測定し、次いで60℃のオ−ブンに入れ、一日毎に重量変化(a)を測定した。一方、CE10を封入していないチューブの重量変化(b)についても同様に測定した。この測定を20日間続けて、(a)−(b)により、一日あたりの燃料の重量変化を求め、チュ−ブ内表面積で除して燃料透過速度(g/m2/day)とした。
各試験用のチュ−ブにCE10を封入して全体の重量を測定し、次いで60℃のオ−ブンに入れ、一日毎に重量変化(a)を測定した。一方、CE10を封入していないチューブの重量変化(b)についても同様に測定した。この測定を20日間続けて、(a)−(b)により、一日あたりの燃料の重量変化を求め、チュ−ブ内表面積で除して燃料透過速度(g/m2/day)とした。
燃料透過速度は、耐燃料透過性を評価するものであり、5g/m2/day以下が好ましく、2g/m2/day以下がより好ましい。
[耐サワーガソリン性]
先のFuelC100重量部にLPO(ラウロイルパーオキサイド)3重量部を添加して疑似劣化燃料を調整した。この疑似劣化燃料を各試験用のチューブに封入し、60℃の温度に14日間保持した。その間、封入した疑似劣化燃料は24時間毎に交換した。その後、初期引張破断伸び試験と同じ方法で引張破断伸びを測定した。
先のFuelC100重量部にLPO(ラウロイルパーオキサイド)3重量部を添加して疑似劣化燃料を調整した。この疑似劣化燃料を各試験用のチューブに封入し、60℃の温度に14日間保持した。その間、封入した疑似劣化燃料は24時間毎に交換した。その後、初期引張破断伸び試験と同じ方法で引張破断伸びを測定した。
この性能試験は、実用下での伸び性能を評価するものであり、その引張伸び低下率((初期引張破断伸び−本試験の引張破断伸び)/初期引張破断伸び)が25%以下となるのが好ましい。
[コスト]
最内層に変性含フッ素エチレン性重合体を単独で用いたチューブと比較した。△はほぼ同等のコストを表し、○は安価であり、×は高価であることを示している。
最内層に変性含フッ素エチレン性重合体を単独で用いたチューブと比較した。△はほぼ同等のコストを表し、○は安価であり、×は高価であることを示している。
(性能評価結果)
図4に示すように、比較例については、いずれも一長一短が認められた。すなわち、PA12単体からなる比較例1では、燃料透過速度が格段に大きく、耐燃料透過性が著しく劣っていた。比較例2は、基本的なチューブ性能については良好な結果が得られたものの、内層に導電性カルボニル変性ETFEの単層を形成した分コストが高くつき、このままでは実現が難しいという課題が認められた。比較例3は、耐サワーガソリン性、燃料封入後の接着力及び表面抵抗率が劣り、比較例4は、内層にPA9Tの単層を形成したため、初期引張破断伸び、サワーガソリン性が劣っていた。
図4に示すように、比較例については、いずれも一長一短が認められた。すなわち、PA12単体からなる比較例1では、燃料透過速度が格段に大きく、耐燃料透過性が著しく劣っていた。比較例2は、基本的なチューブ性能については良好な結果が得られたものの、内層に導電性カルボニル変性ETFEの単層を形成した分コストが高くつき、このままでは実現が難しいという課題が認められた。比較例3は、耐サワーガソリン性、燃料封入後の接着力及び表面抵抗率が劣り、比較例4は、内層にPA9Tの単層を形成したため、初期引張破断伸び、サワーガソリン性が劣っていた。
一方、本発明の燃料チューブでは、特にそのような問題はなく、全体的にバランスのとれた性能を認められた。
まず、初期引張破断伸びに関しては、全ての実施例1〜12において200%以上の伸びが得られ、PA9T単体で内層を形成したものに比べて伸び性能が改良されていた(比較例4参照)。同様に、耐サワーガソリン性についても、200%以上の伸びが得られ、引張伸び低下率も25%を下回る良好な結果が得られた。
接着力についても、初期及び燃料封入後でいずれも20N/cm以上の値となり、良好な結果が得られた。
導電性を付与した実施例7、11、12では、初期及び燃料封入後で表面抵抗率に変化がほとんど認められず、1×106Ω以下の良好な結果が得られた。
耐燃料透過性については、いずれも1g/m2/dayとなり、アルコール混合ガソリンに対しても良好な結果が得られた。
コストも実用上許容し得る範囲で提供可能と推測され、経済的な不利も解消できると思われる。
(各実施例の比較)
次に各実施例の性能評価結果の比較によって、好ましい構成条件について検討した。
次に各実施例の性能評価結果の比較によって、好ましい構成条件について検討した。
[内層の構成]
PA9T(A)と変性ETFE(B)の含有比率A:Bについては、実施例1、2を比較すると、その含有比率による性能への影響は認められないことから、少なくとも両者が配合されるように含有比率を2:98重量部〜98:2重量部にすることができる。但し、変性ETFEはPA9Tに比べてコストが高く、アロイ化でPA9Tの伸び性能も改良されることから、好ましくは含有比率を55:45重量部〜95:5重量部、より好ましくは55:45重量部〜70:30重量部とし、PA9T主体で配合するとよい。また、実施例1、3の結果からすると、変性EFTEに導入する官能基の種類も、接着性を有するものであれば同様の性能が得られるものと考える。
PA9T(A)と変性ETFE(B)の含有比率A:Bについては、実施例1、2を比較すると、その含有比率による性能への影響は認められないことから、少なくとも両者が配合されるように含有比率を2:98重量部〜98:2重量部にすることができる。但し、変性ETFEはPA9Tに比べてコストが高く、アロイ化でPA9Tの伸び性能も改良されることから、好ましくは含有比率を55:45重量部〜95:5重量部、より好ましくは55:45重量部〜70:30重量部とし、PA9T主体で配合するとよい。また、実施例1、3の結果からすると、変性EFTEに導入する官能基の種類も、接着性を有するものであれば同様の性能が得られるものと考える。
[外層の構成]
外層をそれぞれPA12とPA11で構成した実施例1、3を比較すると、その性能に大きな違いは認められないことから、少なくともPA11、PA12であれば外層として好適に使用できる。
外層をそれぞれPA12とPA11で構成した実施例1、3を比較すると、その性能に大きな違いは認められないことから、少なくともPA11、PA12であれば外層として好適に使用できる。
[半芳香族ポリアミド系樹脂の分子末端官能基]
変性ETFEとアロイ化するPA9Tの分子末端のアミノ基(C)とカルボニル基(D)の比率C/Dに関し、実施例1(比率:55/45)と実施例8(比率:30/70)とを比較すると、この比率の小さい実施例8では、接着力が相対的に弱くなっていることから、該比率は大きい方が好ましく、具体的には、51/49以上99/1以下にするのが好ましい。これは、アミノ基が変性ETFEの官能基と反応してアロイ化が促進されているのと同時に、外層のPA12との接着性が発現しているためと考えられる。
変性ETFEとアロイ化するPA9Tの分子末端のアミノ基(C)とカルボニル基(D)の比率C/Dに関し、実施例1(比率:55/45)と実施例8(比率:30/70)とを比較すると、この比率の小さい実施例8では、接着力が相対的に弱くなっていることから、該比率は大きい方が好ましく、具体的には、51/49以上99/1以下にするのが好ましい。これは、アミノ基が変性ETFEの官能基と反応してアロイ化が促進されているのと同時に、外層のPA12との接着性が発現しているためと考えられる。
[半芳香族ポリアミド系樹脂のジアミン成分]
変性含フッ素エチレン性重合体とアロイ化するPA9Tの1,9−ノナンジアミン(E)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン(F)の比率E/Fに関し、実施例1(比率:60/40)と実施例9(比率:20/80)とを比較すると、この比率の小さい実施例9では、燃料透過速度が大きくなっていることから、該比率は大きい方が好ましく、具体的には、30/70以上90/10以下にするのが好ましい。
変性含フッ素エチレン性重合体とアロイ化するPA9Tの1,9−ノナンジアミン(E)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン(F)の比率E/Fに関し、実施例1(比率:60/40)と実施例9(比率:20/80)とを比較すると、この比率の小さい実施例9では、燃料透過速度が大きくなっていることから、該比率は大きい方が好ましく、具体的には、30/70以上90/10以下にするのが好ましい。
[相溶化剤]
アロイ化するために、PA9TとETFEに添加する変性PA9Tの分子末端のアミノ基(G)とカルボニル基(H)の比率G/Hに関し、実施例5と実施例10とを比較すると、この比率が小さい実施例10では相溶化の効果が小さくなって、引張破断伸び接着力が低下する傾向が認められた。従って、この結果からすると、この比率G/Hは、60/40以上99/1以下にするのが好ましい。
アロイ化するために、PA9TとETFEに添加する変性PA9Tの分子末端のアミノ基(G)とカルボニル基(H)の比率G/Hに関し、実施例5と実施例10とを比較すると、この比率が小さい実施例10では相溶化の効果が小さくなって、引張破断伸び接着力が低下する傾向が認められた。従って、この結果からすると、この比率G/Hは、60/40以上99/1以下にするのが好ましい。
この相溶化剤の添加量に関し、導電性を付与したPA9T及びETFEに変性ETFEを添加した実施例7、11、12を比較すると、添加量が増えるに従い、相溶化効果も大きくなって引張破断伸びや接着力が大きくなるが、導電性が低下する傾向が認められた。従って、この結果及び材料コストを考慮すると、相溶化剤としての配合比率は、PA9T及びETFEの100重量部に対し1〜30重量部とするのが好ましい。
以上、説明したように、半芳香族ポリアミド系樹脂及び含フッ素エチレン性重合体を含有するポリマーアロイ層を設けた本発明によれば、性能バランスのよい燃料チューブを得ることができる。
車両や機械等の燃料系統の他、化学製品の製造設備等にも利用できる。
1 第1の層
2 第2の層
2 第2の層
Claims (21)
- 内外に積層された複数の層を有する燃料チューブにおいて、
上記複数の層として、
半芳香族ポリアミド系樹脂及び含フッ素エチレン性重合体を含有するポリマーアロイからなる第1の層と、
脂肪族ポリアミドからなる第2の層と、
を備えていることを特徴とする、燃料チューブ。 - 請求項1に記載の燃料チューブにおいて、
上記第1の層における、半芳香族ポリアミド系樹脂Aと含フッ素エチレン性重合体Bとの含有比率A:Bが、2:98重量部〜98:2重量部であることを特徴とする、燃料チューブ。 - 請求項1又は2に記載の燃料チューブにおいて、
上記第1の層が、燃料と接触する内層を形成しており、その内層の外側に直接接触するように上記第2の層が積層されていることを特徴とする、燃料チューブ。 - 請求項1〜3のいずれか1つに記載の燃料チューブにおいて、
上記第2の層における脂肪族ポリアミドとして、ポリアミド11又はポリアミド12を用いることを特徴とする、燃料チューブ。 - 請求項1〜4のいずれか1つに記載の燃料チューブにおいて、
上記第1の層における含フッ素エチレン性重合体として、変性含フッ素エチレン性重合体を用いることを特徴とする、燃料チューブ。 - 請求項5に記載の燃料チューブにおいて、
上記変性含フッ素エチレン性重合体として、変性エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体を用いることを特徴とする、燃料チューブ。 - 請求項5又は請求項6に記載の燃料チューブにおいて、
上記変性含フッ素エチレン性重合体が、カルボニル基、エポキシ基、無水マレイン酸基、グリシジル基及びカルボン酸ハライド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有することを特徴とする、燃料チューブ。 - 請求項1〜7のいずれか1つに記載の燃料チューブにおいて、
上記第1の層における半芳香族ポリアミド系樹脂の分子末端のアミノ基Cとカルボニル基Dとの比率C/Dが、51/49以上99/1以下であることを特徴とする、燃料チューブ。 - 請求項1〜8のいずれか1つに記載の燃料チューブにおいて、
上記第1の層における半芳香族ポリアミド系樹脂は、ジアミン成分と芳香族ジカルボン酸成分とを重合してなり、
上記ジアミン成分は、1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、燃料チューブ。 - 請求項9に記載の燃料チューブにおいて、
上記ジアミン成分は、1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンで構成されており、
その1,9−ノナンジアミンEと2−メチル−1,8−オクタンジアミンFとの比率E/Fが、30/70以上90/10以下であることを特徴とする、燃料チューブ。 - 請求項1〜10のいずれか1つに記載の燃料チューブにおいて、
上記第1の層に、更に、
アミノ基、カルボニル基、エポキシ基、無水マレイン酸基、グリシジル基及びカルボン酸ハライド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物、が配合されていることを特徴とする、燃料チューブ。 - 請求項11に記載の燃料チューブにおいて、
上記第1の層における半芳香族ポリアミド系樹脂及び含フッ素エチレン性重合体の100重量部に対する上記化合物の配合比率が、1〜30重量部であることを特徴とする、燃料チューブ。 - 請求項11又は請求項12に記載の燃料チューブにおいて、
上記化合物として、分子末端のアミノ基Gとカルボニル基Hとの比率G/Hが、60/40以上99/1以下の半芳香族ポリアミド系樹脂が用いられていることを特徴とする、燃料チューブ。 - 請求項11又は請求項12に記載の燃料チューブにおいて、
上記化合物として、変性エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体が用いられていることを特徴とする、燃料チューブ。 - 請求項14に記載の燃料チューブにおいて、
上記化合物としての変性エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体が、カルボニル基、エポキシ基、無水マレイン酸基、グリシジル基及びカルボン酸ハライド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有することを特徴とする、燃料チューブ。 - 請求項1〜請求項15のいずれか1つに記載の燃料チューブにおいて、
上記第1の層が、更に、導電材料を含有していることを特徴とする、燃料チューブ。 - 請求項1〜請求項16のいずれか1つに記載の燃料チューブにおいて、
上記第1の層と第2の層との間の接着力が、20N/cm以上であることを特徴とする、燃料チューブ。 - 請求項1〜17のいずれか1つに記載の燃料チューブにおいて、
トルエンとイソオクタンとエタノールとが45:45:10の体積比率で混合された液を当該燃料チューブに封入して60℃の温度に20日間保持した後における、第1の層と第2の層との間の接着力が20N/cm以上であることを特徴とする、燃料チューブ。 - 請求項1〜18のいずれか1つに記載の燃料チューブにおいて、
トルエンとイソオクタンとエタノールとが45:45:10の体積比率で混合された液を当該燃料チューブに封入して60℃の温度に20日間保持した後における、燃料透過速度が5g/m2/day以下であることを特徴とする、燃料チューブ。 - 請求項1〜19のいずれか1つに記載の燃料チューブにおいて、
トルエンとイソオクタンとエタノールとが45:45:10の体積比率で混合された液を当該燃料チューブに封入して60℃の温度に20日間保持した後における、当該燃料チューブの表面電気抵抗率が、1×106Ω以下であることを特徴とする、燃料チューブ。 - 請求項1〜20のいずれか1つに記載の燃料チューブにおいて、
トルエンとイソオクタンとが50:50の体積比率で混合された混合液にラウロイルパーオキサイドを3重量%添加したLPO添加液を当該燃料チューブに封入して60℃の温度に14日間保持した後における、引張伸び低下率が25%以下であることを特徴とする、燃料チューブ。
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Cited By (3)
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CN102261525A (zh) * | 2011-04-20 | 2011-11-30 | 上海亚大汽车塑料制品有限公司 | 双阻隔尼龙管路 |
CN103476577A (zh) * | 2011-04-14 | 2013-12-25 | 阿克马法国公司 | 包括特定共聚酰胺的层和阻挡层的多层结构体 |
CN103712001A (zh) * | 2013-11-27 | 2014-04-09 | 天津鹏翎胶管股份有限公司 | 汽车用高阻隔尼龙管路及制备方法 |
-
2007
- 2007-11-19 JP JP2007299529A patent/JP2009127631A/ja active Pending
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