JP2009127553A - バキュームポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】所望の真空度を達成した後にバキュームポンプの駆動損失を低減する。
【解決手段】略円筒形の内周面を有し吸気口と排気口が開口したポンプ室28がハウジング内に画成されている。ロータはポンプ室28に対して偏心して取り付けられる。ベーン16は、ロータに形成された溝の内部を摺動しつつ少なくとも一端がポンプ室28の内周面27に沿って回転運動するように取り付けられる。ベーン16の先端に取り付けられた摺接バー18は、ポンプ室28の内周面と摺接する。駆動ユニット60は、ベーンの内部に形成されたシリンダ66と、シリンダ内に配設され摺接バー18と連結されたピストン64と、ピストンを付勢するバネ70と、シリンダとポンプ室28とを導通する開口部68とを含む。駆動ユニット60は、ポンプ室の吸気側圧力が所定圧以下になると、バネ70の弾性力により摺接バー18をポンプ室の内周面27から離間させるように調整されている。
【選択図】図4
【解決手段】略円筒形の内周面を有し吸気口と排気口が開口したポンプ室28がハウジング内に画成されている。ロータはポンプ室28に対して偏心して取り付けられる。ベーン16は、ロータに形成された溝の内部を摺動しつつ少なくとも一端がポンプ室28の内周面27に沿って回転運動するように取り付けられる。ベーン16の先端に取り付けられた摺接バー18は、ポンプ室28の内周面と摺接する。駆動ユニット60は、ベーンの内部に形成されたシリンダ66と、シリンダ内に配設され摺接バー18と連結されたピストン64と、ピストンを付勢するバネ70と、シリンダとポンプ室28とを導通する開口部68とを含む。駆動ユニット60は、ポンプ室の吸気側圧力が所定圧以下になると、バネ70の弾性力により摺接バー18をポンプ室の内周面27から離間させるように調整されている。
【選択図】図4
Description
本発明は、駆動軸と一体的に回転するロータにベーンが取り付けられたベーン式のバキュームポンプに関する。
自動車などの車両においては、ブレーキブースタ等の負圧源としてベーン式バキュームポンプが搭載されているものがある。ベーン式バキュームポンプは、略短円柱形状をなすポンプ室内に偏心状態で配設されたロータに溝を設け、この溝に一枚または複数枚のベーンがロータ径方向に移動可能に挿入された構造を有している。ロータが回転すると、遠心力によりベーンが溝から突出し、ベーンがポンプ室内周面と摺接することにより、隣り合うポンプ室間の気密が維持される。これとともに、隣接する二つのベーンにより区画された閉塞空間の容積が増減することで、空気の吸入、圧縮、排出が行われ、ポンプ室内に負圧が発生する。
バキュームポンプでは、ベーンにより区画された空間を気密にする必要があることから、ポンプ室内面に対してベーンを常に摺動させる必要があり、摺動部分に抵抗が発生する。バキュームポンプをエンジンのカムシャフトで駆動する場合には、この摺動抵抗によりエンジントルクの損失が発生し、エンジンの燃費を悪化させる一要因ともなっている。
これを解決する技術として、特許文献1には、吐出圧に応動する作動装置をポンプケーシングに装備し、所定の吐出圧に達すると作動装置によりベーンをロータの外周面から引込めるように構成した容積型ロータリポンプが開示されている。特許文献2には、バキュームタンクの負圧を検出する圧力センサを設け、負圧が規定負圧に達すると、励磁コイルによってベーンをローター内部へと引き込むように構成したバキュームポンプの自動負荷制御装置が開示されている。
特開昭55−1477号公報
実開平3−59491号公報
しかしながら、特許文献1では、ベーンの作動装置がハウジングの外部に設けられているため、構造が複雑になりまたポンプ全体が大きくなってしまうという問題がある。特許文献2では、圧力センサや励磁コイルといった追加要素と制御装置が必要になり、コストが増大する。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、所望の負圧が得られポンプ作動の必要性がなくなったときにベーンの摺動抵抗を低減する機械的手段をベーンの内部に設けたバキュームポンプを提供することにある。
本発明のある態様はバキュームポンプである。このバキュームポンプは、略円筒形の内周面を有し吸気口と排気口が開口したポンプ室を画成するハウジングと、前記ポンプ室に対して偏心して取り付けられたロータと、前記ロータに形成された溝の内部を摺動しつつ少なくとも一端が前記ポンプ室の内周面に沿って回転運動するように取り付けられたベーンと、前記ベーンに取り付けられ前記ポンプ室の内壁と摺接する摺接部材と、前記ベーンの内部に形成されたシリンダと、該シリンダ内に配設され前記摺接部材と連結されたピストンと、該ピストンを付勢する付勢部材と、前記シリンダと前記ポンプ室とを導通する開口部とからなり、前記ポンプ室の吸気側圧力が所定圧以下になると前記付勢部材の弾性力により前記摺接部材を前記ポンプ室の内壁から離間させるように構成された駆動手段と、を備える。
この態様によると、バキュームポンプの作動によりポンプ室内が予め設定された圧力にまで低下すると、付勢部材により摺接部材をポンプ室の内壁から離間させてクリアランスを拡大するようにした。これによって、摺接部材とポンプ室内壁との間で発生する摺動抵抗を低下させることができる。したがって、例えばバキュームポンプのロータが自動車のエンジンカムシャフトと連結されている場合には、所望の負圧を作り出した後のエンジントルクの損失を低減することができる。なお、ここでいうポンプ室の「内壁」には、ポンプ室の内周面と上下面の両方が含まれる。
前記摺接部材は前記ポンプ室の内周面と摺接する位置に設けられており、前記駆動手段は前記内周面と前記摺接部材とを離間させてもよい。これにより、摺接部材と内周面の間で発生する摺動抵抗を低減することができる。
前記摺接部材は前記ポンプ室の上下面のいずれか一方と摺接する位置に設けられており、前記駆動手段は前記上下面と前記摺接手段とを離間させてもよい。これにより、摺接部材とポンプ室上下面の間で発生する摺動抵抗を低減することができる。また、摺接部材の離間方向とベーンの回転によって摺接部材に作用する遠心力の方向とが直角になるため、ロータ回転数の増減が摺接部材の駆動に与える影響を考慮する必要がない。
前記ベーンに前記摺接部材と前記駆動手段の組合せが少なくとも二組設けられており、前記駆動手段の一方の開口部は前記ポンプ室の吸気側に導通し、他方の開口部は前記ポンプ室の排気側に導通するように構成されていてもよい。こうすると、ベーンが回転を続け吸気側と排気側とが入れ替わった場合でも、いずれかの駆動手段が作動して対応する側の摺接部材をポンプ室内壁から離間させることができる。
前記排気口からポンプ室外部へと通じる排気通路に、前記ポンプ室の排気側圧力の変化により駆動され前記排気通路を塞ぐ逆流防止手段がさらに設けられていてもよい。これにより、排気通路からポンプ室内部への空気の逆流を防止することができる。
本発明によれば、所望の負圧が得られポンプ作動の必要性がなくなったときにベーンの摺動抵抗を低減する機械的手段をベーンの内部に設けることができる。
実施の形態1.
本発明の一実施形態は、自動車のエンジンカムシャフトによって駆動され、ブレーキブースタにより利用される負圧を作り出すバキュームポンプである。
本発明の一実施形態は、自動車のエンジンカムシャフトによって駆動され、ブレーキブースタにより利用される負圧を作り出すバキュームポンプである。
図1は、本実施形態のバキュームポンプ10の平面図であり、図2はバキュームポンプ10のA−A線断面図である。バキュームポンプ10は、一端が開放され他端に筒状部50を有する楕円筒形状のハウジング12を備える。ハウジング12の開放端は楕円形状のプレート40で塞がれており、これらによってポンプ室28が形成されている。なお、図1は、ハウジング開放端のプレート40を省略した状態を示している。
ポンプ室28の内部には、二つの円筒形凹部が内部に形成された円柱形のロータ14が、ハウジング12の中心に対して偏心された偏心軸35の周りに回転自在に収容されている。ロータ14には、ロータの中心を通るベーン溝15が形成されている。ベーン溝15には、略平板形状に形成されたベーン16が、ロータ14の径方向に進退するように摺動自在に嵌合されている。ベーン16の両端部には、ベーン16の短手方向の幅と略同じ長さを有する摺接バー18が取り付けられている。摺接バー18の片側は半円柱形状をなし、ハウジング12の楕円形状の内周面に摺接している。摺接バー18は、回転中にポンプ室内周面との接触が保たれるように、ベーン16の遠心力によってベーン16の長手方向へ延出可能に取り付けられる。また、ベーン16のプレート40側の側面およびハウジング底面側の側面も、プレート40およびハウジング底面と摺接した状態になっている。このようにして、ベーン16はポンプ室を吸気室28aと排気室28bの二室に区画している。なお、ベーン溝およびベーン溝に嵌合されるベーンの数は、二つ以上でもよい。
ハウジング12には、吸気口22および排気口26がポンプ室28にそれぞれ連通するように設けられている。排気口26のポンプ室内周面における位置は、ポンプ室28の内周面とロータ14の外周面とが最も接近する位置よりも、ロータ14の回転方向手前側に設定される。吸気口22にはエアーインレットパイプ20が接続されており、外部からポンプ室28内に空気が供給される。吸気口22内には、ポンプ室28からの空気の逆流を防止するためのチェックバルブ(図示せず)が設置されている。
ロータ14は、ハウジング12の底面に形成された筒状部50を貫通し、カップリング32を介してカムシャフト30と接続される。カムシャフト30内には、図示しない給油装置に接続されたオイル流路34が貫通している。
カムシャフト30が図示しないエンジンにより回転され、ロータ14が図1において時計方向に回転されると、ベーン16はベーン溝15に対して進退し、摺接バー18をハウジング12の内周面に対して摺接させながら回転移動する。このベーン16の移動に伴い吸気室28aおよび排気室28bが拡張または収縮されることによって、吸気口22から吸気室28a内に空気が吸入されると共に、排気口26から排気室28b内の空気が排出される。この動作を繰り返すことにより、ポンプ室内に負圧が作り出される。
ロータ14が回転すると、給油装置(図示せず)の圧力とベーン16の回転により発生する真空とによって、オイルインレットパイプ36を通って潤滑油がT字型流路38に流入する。ロータ14の回転によりT字型流路38がハウジング12の底面に形成された溝(図示せず)と一致すると、この溝を通して潤滑油がポンプ室28内に供給される。ポンプ室28に流入した潤滑油は、摺接バー18およびベーン16とポンプ室内壁との間を潤滑するとともに、吸気室28aと排気室28bの間の気密を維持する。ポンプ室28内に供給された潤滑油は空気に混入し、ベーン16の回転に伴って空気と共に排気口26から排出される。
排気口26のハウジング外部と連通する側には、金属製の薄板状の逆止弁46が設けられている。逆止弁46は、排気時には空気の圧力により開放する一方で、それ以外のときは座面と密接し、バキュームポンプ10が本来の性能を発揮できるようにする。
本実施形態のような自動車用のバキュームポンプでは、ロータがエンジンのカムシャフトで駆動されるので、たとえ負圧が所定の基準値に到達した後でもバキュームポンプが作動し続ける。そのため、摺接バーとポンプ室内壁との間で発生する摺動抵抗により、結果的にエンジントルクを損失している。このトルク損失は、エンジンの燃費を悪化させる一因となる。
そこで、本実施形態では、負圧が所定の基準値に到達しバキュームポンプを作動させる必要がなくなったときに、摺動抵抗が発生しているベーン端部の摺接バーとハウジング内壁との間の摩擦を減らし、トルク損失を低減する機構を採用している。
そこで、本実施形態では、負圧が所定の基準値に到達しバキュームポンプを作動させる必要がなくなったときに、摺動抵抗が発生しているベーン端部の摺接バーとハウジング内壁との間の摩擦を減らし、トルク損失を低減する機構を採用している。
以下、図3および図4を参照して、このような摩擦低減機構を説明する。
図3は、図1のベーン16をE方向から観察した側面図であり、図4は、図3のB−B断面を拡大して示す。ベーン16の両端にはベーン幅と略同じ長さの摺接バー18が取り付けられている。ベーン16の内部には、所望の負圧が達成されたときに摺接バー18をポンプ室内周面から離間させるための駆動ユニット60が形成されている。駆動ユニット60は、ベーン16の内部に形成され長手方向に延びるシリンダ66と、シリンダ66の内部に配設されシリンダ軸に沿って摺動可能であるピストン64と、ピストン64と摺接バー18とを連結するコラム62と、シリンダ66とポンプ室28内とを導通する開口部68とを含む。コラム62の一端はピストン64に接合され、他端は摺接バー18とT字形をなして接合される。開口部68は、吸気室28a側を向くように設けられる。この開口部68により、ピストン64の右側のシリンダ内部は吸気室28aと同じ圧力になる。ピストン64の左側のシリンダ内部には、バネ70などの付勢手段が圧縮された状態で配置される。摺接バー18の半球部とポンプ室の内周面27との間には若干のクリアランスCが存在するが、このクリアランスCは潤滑油によりシールされる。
図3は、図1のベーン16をE方向から観察した側面図であり、図4は、図3のB−B断面を拡大して示す。ベーン16の両端にはベーン幅と略同じ長さの摺接バー18が取り付けられている。ベーン16の内部には、所望の負圧が達成されたときに摺接バー18をポンプ室内周面から離間させるための駆動ユニット60が形成されている。駆動ユニット60は、ベーン16の内部に形成され長手方向に延びるシリンダ66と、シリンダ66の内部に配設されシリンダ軸に沿って摺動可能であるピストン64と、ピストン64と摺接バー18とを連結するコラム62と、シリンダ66とポンプ室28内とを導通する開口部68とを含む。コラム62の一端はピストン64に接合され、他端は摺接バー18とT字形をなして接合される。開口部68は、吸気室28a側を向くように設けられる。この開口部68により、ピストン64の右側のシリンダ内部は吸気室28aと同じ圧力になる。ピストン64の左側のシリンダ内部には、バネ70などの付勢手段が圧縮された状態で配置される。摺接バー18の半球部とポンプ室の内周面27との間には若干のクリアランスCが存在するが、このクリアランスCは潤滑油によりシールされる。
以下、駆動ユニット60の動作について説明する。バキュームポンプ10が作動すると、吸気室28aの気圧が次第に低下してくる。吸気室28aに導通する開口部68を通してシリンダ66内の気圧も低下する。吸気室28aが所望の気圧まで低下すると、バネ70により生じる図中右向きの弾性力によって、ピストン64が右側すなわちベーン16の中心側に押し込まれる。これにより、ピストン64に連結されている摺接バー18も右側に移動し、摺接バー18と内周面27との間のクリアランスCが拡大する。その結果、摺接バーと内周面の間の摺動抵抗が低下し、エンジントルク損失も軽減される。
上述の動作を実現するために、駆動ユニット60におけるバネ70のバネ係数やピストン64の底面積は、以下に述べる条件を満たすように予め設定しておく必要がある。
吸気室28aの気圧が所定の基準圧まで低下していない間は、ベーン16の回転により摺接バー18に働く遠心力Fは、ピストン64の左右の圧力差により生じる力Gとバネ70の弾性力Kの和(G+K)に打ち勝って、摺接バー18を内周面に摺接させる。吸気室28aの気圧が低下すると、ピストン64の圧力差により生じる右向きの力Gが大きくなり、吸気室28aの気圧が基準圧になるとF=(G+K)となる。吸気室28aの気圧がさらに低下すると、F<G+Kとなり、ピストン64が右側に移動する。この結果、摺接バー18がベーン16の中心側に引き込まれ、ベーン16とポンプ室内周面27とのクリアランスが拡大し、摺動抵抗が低下する。
吸気室28aの気圧が所定の基準圧まで低下していない間は、ベーン16の回転により摺接バー18に働く遠心力Fは、ピストン64の左右の圧力差により生じる力Gとバネ70の弾性力Kの和(G+K)に打ち勝って、摺接バー18を内周面に摺接させる。吸気室28aの気圧が低下すると、ピストン64の圧力差により生じる右向きの力Gが大きくなり、吸気室28aの気圧が基準圧になるとF=(G+K)となる。吸気室28aの気圧がさらに低下すると、F<G+Kとなり、ピストン64が右側に移動する。この結果、摺接バー18がベーン16の中心側に引き込まれ、ベーン16とポンプ室内周面27とのクリアランスが拡大し、摺動抵抗が低下する。
摺接バー18に作用する遠心力Fの大きさは、ロータ14またはベーン16の回転数に応じて異なる。したがって、エンジン(図示せず)が最も高頻度で駆動される回転数を基準として駆動ユニット60を設計するといった配慮が必要になる。
以上説明したように、本実施形態によれば、バキュームポンプの作動によって吸気室内の負圧が所定の基準値に達し、バキュームポンプを作動させる必要がなくなったときに、ベーン先端の摺接バーをポンプ内周面から離間する方向に移動する駆動ユニットをベーンの内部に設けるようにした。これにより、摺接面における摺動抵抗が低下するため、エンジントルクの損失を低減することができる。
図3には示していないが、駆動ユニット60はベーン右端の摺接バー18に対しても設置することができる。この場合、右側の駆動ユニットの開口部68は排気室28bに導通するようにしておくことが好ましい。このようにすると、ベーンが回転を続け吸気側と排気側とが入れ替わった場合でも、左右いずれかの駆動ユニットが作動してその側の摺接バーを内周面から離間させることができる。しかしながら、ベーン両側の駆動ユニットの開口部を同一側に開口するようにしてもよい。この場合、ロータが約半回転する間は摺接バーと内周面とのクリアランスが拡大するが、さらに半回転する間はクリアランスが広がらないことになる。
実施の形態2.
実施の形態1では、摺接バーの移動方向がベーンの回転による遠心力の作用する方向と同一方向にあるため、駆動ユニットの調整がやや複雑なものとなる。また、ロータ回転数が設計値より小さい場合には、吸気室の圧力が基準値に到達する前に摺接バーと内周面とのクリアランスが拡大したり、ロータ回転数が設計値より大きい場合には、遠心力がより強く作用して摺接バーを内周面から離間させられなくなったりするという問題がある。
そこで、実施の形態2では、ロータ回転数の変化の影響を受けずにベーンとポンプ室内壁との摺動抵抗を低減させる機構について説明する。
実施の形態1では、摺接バーの移動方向がベーンの回転による遠心力の作用する方向と同一方向にあるため、駆動ユニットの調整がやや複雑なものとなる。また、ロータ回転数が設計値より小さい場合には、吸気室の圧力が基準値に到達する前に摺接バーと内周面とのクリアランスが拡大したり、ロータ回転数が設計値より大きい場合には、遠心力がより強く作用して摺接バーを内周面から離間させられなくなったりするという問題がある。
そこで、実施の形態2では、ロータ回転数の変化の影響を受けずにベーンとポンプ室内壁との摺動抵抗を低減させる機構について説明する。
図5は、実施の形態2に係るベーン76の側面図であり、図6は、図5のD−D断面を拡大して示す。図3と同様に、ベーン76の両端にベーン幅と略同じ長さの摺接バー18が取り付けられている。これらに加え、ベーン76の長辺側に凹形の切り込みが形成され、この切り込み部分に断面長方形状の摺接バー78がはめ込まれている。摺接バー78は、プレート40の下面に摺接する。別の実施例として、ベーン76の長辺部分の全体を摺接バー78としてもよい。
実施の形態1と同様の構成を有する駆動ユニット80がベーン76の内部に形成されている。すなわち、駆動ユニット80は、ベーン76の内部に形成され短手方向に延びるシリンダ86と、シリンダ86の内部に配設されシリンダ軸に沿って摺動可能なピストン84と、ピストン84と摺接バー78とを連結するコラム82と、シリンダ86と吸気室28aとを導通させる開口部88と、わずかに伸張された状態でピストン84の上側に収容されたバネ90とを含む。
バキュームポンプ10が作動すると、吸気室28aの気圧が次第に低下してくる。吸気室28aに導通する開口部88を通してシリンダ86内の気圧も低下する。吸気室28aが所望の気圧まで低下すると、ピストン84の上下圧力差により生じる力に対してバネ90の弾性力が上回り、ピストン84を図中下方に押し下げる。これにより、ピストン84に連結されている摺接バー78とプレート40の下面との間のクリアランスCが拡大する。その結果、摺接バーとプレート下面の間の摺動抵抗が低下し、エンジントルク損失も軽減される。
実施の形態2では、摺接バー78の移動方向と、ベーン76の回転による遠心力が作用する方向とが異なるため、ピストン84の動作について遠心力を考慮する必要がない。つまり、吸気室28aの気圧が所定の基準圧まで低下していない間は、バネの弾性力による上向きの力Kが、ピストン84の上下の圧力差により生じる力Gを上回り、吸気室28aの気圧が基準圧を下回るとK<Gとなりピストン84を押し下げるように、バネ係数やピストンの直径等を定めればよい。したがって、実施の形態1に比べて駆動ユニットの設計が簡単になる。
実施の形態2でも、ベーン76の両側に摺接バー78とこれを駆動する駆動ユニット80とを設け、開口部88がベーン76のそれぞれ反対側に導通するように構成してもよい。
また、実施の形態1および2に係る摺接バーと駆動ユニットを両方ともベーンに設置してもよい。こうすると、いずれかの実施の形態に係る摺接バーと駆動ユニットを単独で用いる場合よりも、摺動抵抗の発生箇所を減らせるため、トルク損失をさらに軽減できる。
また、実施の形態1および2に係る摺接バーと駆動ユニットを両方ともベーンに設置してもよい。こうすると、いずれかの実施の形態に係る摺接バーと駆動ユニットを単独で用いる場合よりも、摺動抵抗の発生箇所を減らせるため、トルク損失をさらに軽減できる。
ベーン76の下側の長辺、すなわちポンプ室の底面と接する部分に摺接バー78を設け、これを駆動ユニットにより底面から離間させるように構成してもよい。さらに、ベーンの上下長辺の両方に摺接バーと駆動ユニットを設置してもよい。
ところで、バキュームポンプはエンジンのカムシャフトとともに回転し続けているため、ポンプ室内の圧力が次第に低下していくと、排出口から空気が逆流するようになる。これを防止するために、通常排出口には板状の逆止弁46が設けられている。このような逆止弁の代わりに、実施の形態1または2と同様の構造を排出口に設けてもよい。
図7は、排出口の変形例を示す図である。ポンプ室の底面に空けられた排気口26から略垂直方向に延びるシリンダ98がハウジング12に形成され、その途中から排気通路94が分岐している。したがって、シリンダ98と排気通路94とはT字形に交差している。シリンダ98の排気通路94より右側には、ピストン92とバネ96等の付勢手段が収容される。
排気室28bの圧力が低下すると、ピストン92の両側の気圧差により生じる力をバネ96の弾性力が上回り、ピストン92を図中の左方(白矢印方向)へと押し込む。ピストン92が排気通路94よりも左側に移動することで、排気通路94と排気室28bとの連通が妨げられ、排気通路94からの逆流を防ぐことができる。
なお、シリンダ98は静止部分に設けられているため、ロータ回転数の変化を考慮する必要はない。
排気室28bの圧力が低下すると、ピストン92の両側の気圧差により生じる力をバネ96の弾性力が上回り、ピストン92を図中の左方(白矢印方向)へと押し込む。ピストン92が排気通路94よりも左側に移動することで、排気通路94と排気室28bとの連通が妨げられ、排気通路94からの逆流を防ぐことができる。
なお、シリンダ98は静止部分に設けられているため、ロータ回転数の変化を考慮する必要はない。
以上、本発明をいくつかの実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態はあくまで例示であり、実施の形態どうしの任意の組合せ、実施の形態の各構成要素の組合せなどの変形例もまた、本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能である。各図に示す構成は、一例を説明するためのもので、同様な機能を達成できる構成であれば、適宜変更可能である。
実施の形態ではベーンが一枚のバキュームポンプを例示したが、複数枚のベーンを有するバキュームポンプに対しても本発明を適用できる。例えば、ロータに三枚のベーンが120度間隔で設けられた三枚ベーンのバキュームポンプであれば、ポンプ室内周面と摺接する各ベーン先端の摺接バーを駆動する駆動ユニットか、または各ベーンとポンプ室上下面との摺接部に配置された摺接バーを駆動する駆動ユニットを、各ベーンに対して設けることができる。
実施の形態では、ベーンの長手方向両端に配置された摺接バーを駆動するためにベーンの両側に駆動ユニットを設けることを述べたが、駆動ユニットを片側だけに設けていずれか一端の摺接バーのみを駆動するようにしてもよい。この場合、シリンダの開口部が排気室側に開口している場合には摺接バーがポンプ室内周面から離間しないが、少なくともロータが約半回転する間に発生するトルク損失を軽減することができる。
10 バキュームポンプ、 12 ハウジング、 14 ロータ、 15 ベーン溝、 16 ベーン、 18 摺接バー、 20 エアーインレットパイプ、 22 吸気口、 26 排気口、 28 ポンプ室、 28a 吸気室、 28b 排気室、 46 逆止弁、 50 筒状部、 62、82 コラム、 64、84、92 ピストン、 66、86、98 シリンダ、 68、88 開口部、 70、90、96 バネ、 78 摺接バー、 94 排気通路。
Claims (5)
- 略円筒形の内周面を有し吸気口と排気口が開口したポンプ室を画成するハウジングと、
前記ポンプ室に対して偏心して取り付けられたロータと、
前記ロータに形成された溝の内部を摺動しつつ少なくとも一端が前記ポンプ室の内周面に沿って回転運動するように取り付けられたベーンと、
前記ベーンに取り付けられ前記ポンプ室の内壁と摺接する摺接部材と、
前記ベーンの内部に形成されたシリンダと、該シリンダ内に配設され前記摺接部材と連結されたピストンと、該ピストンを付勢する付勢部材と、前記シリンダと前記ポンプ室とを導通する開口部とからなり、前記ポンプ室の吸気側圧力が所定圧以下になると前記付勢部材の弾性力により前記摺接部材を前記ポンプ室の内壁から離間させるように構成された駆動手段と、
を備えることを特徴とするバキュームポンプ。 - 前記摺接部材は前記ポンプ室の内周面と摺接する位置に設けられており、前記駆動手段は前記内周面と前記摺接部材とを離間させることを特徴とする請求項1に記載のバキュームポンプ。
- 前記摺接部材は前記ポンプ室の上下面のいずれか一方と摺接する位置に設けられており、前記駆動手段は前記上下面と前記摺接部材とを離間させることを特徴とする請求項1に記載のバキュームポンプ。
- 前記ベーンに前記摺接部材と前記駆動手段の組合せが少なくとも二組設けられており、
前記駆動手段の一方の開口部は前記ポンプ室の吸気側に導通し、他方の開口部は前記ポンプ室の排気側に導通するように構成されていることを特徴とする請求項2または3に記載のバキュームポンプ。 - 前記排気口からポンプ室外部へと通じる排気通路に、前記ポンプ室の排気側圧力の変化により駆動され前記排気通路を塞ぐ逆流防止手段がさらに設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のバキュームポンプ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP4596339B1 (ja) * | 2010-05-27 | 2010-12-08 | 末則 辻本 | 容積型流体機械 |
CN102536822A (zh) * | 2012-02-14 | 2012-07-04 | 无锡市双灵电器厂 | 滚柱滑片真空泵 |
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-
2007
- 2007-11-26 JP JP2007304696A patent/JP2009127553A/ja active Pending
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