JP2009124996A - オートファジーの誘導方法、及び培養細胞への外来粒子導入方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】飢餓処理や従来の薬剤処理以外の方法で容易にオートファジーを誘導することができ、さらに、発生したオートファゴソームの位置の特定や追跡を容易に行うことができる方法、及び、径が比較的大きな粒子であっても、簡便な手法で培養細胞の内部に外来粒子を導入することを可能にする方法を提供する。
【解決手段】表面に親水性官能基を有する外来粒子を、培養細胞に取り込ませることによって、前記培養細胞内部において前記外来粒子の周囲にオートファジーを発生させる。また、外来粒子とトランスフェクション試薬とを培養細胞に作用させることによって、前記外来粒子を前記培養細胞に取り込ませる。
【選択図】図4
【解決手段】表面に親水性官能基を有する外来粒子を、培養細胞に取り込ませることによって、前記培養細胞内部において前記外来粒子の周囲にオートファジーを発生させる。また、外来粒子とトランスフェクション試薬とを培養細胞に作用させることによって、前記外来粒子を前記培養細胞に取り込ませる。
【選択図】図4
Description
本発明は、培養細胞でオートファジーを誘導する方法、及び外来粒子を培養細胞に導入する方法に関する。
生体の生命維持に不可欠な細胞内活動のひとつとして、オートファジー(自食作用)が知られている。これは細胞質成分をリソソームで分解するための分解機構であり、酵母から高等動植物に至るまでの真核細胞において非常によく保存されている機構である。オートファジーは非選択的なバルク分解として知られており、その進行にあたっては、まず隔離膜と呼ばれる偏平な膜区画が細胞質に出現しこれが湾曲しながら伸長し、当該隔離膜によって細胞質の一部やオルガネラが包み込まれてオートファゴソームが形成された後、オートファゴソームにリソソームが融合することによってオートリソソームが形成され、リソソームから流入した加水分解酵素が、オートファゴソームの内膜とその内容物を分解することにより達成されることが判明している。
オートファジーは、ある一定の割合で細胞質やオルガネラを消化することによって細胞の新陳代謝や栄養制御に貢献しているものと考えられており、特に細胞が飢餓状態に陥った時には栄養源を確保するために、オートファジーが顕著に亢進することが確認されている。また、オートファジーは細胞内浄化機能も有しており、細胞内に異常なタンパク質が蓄積するのを防止する役割も果たしている。さらに、近年、病原性細菌や、新たに発生するがん細胞等の、生体にとって有害な異物を排除する作用をも有していることが示されている。
非特許文献1では、オートファゴソームの外膜に存在するタンパク質LC3に蛍光標識がされるように遺伝子操作されたトランスジェニックマウスを利用し、マウスを絶食下に置くことによって、骨格筋をはじめとする多くの臓器で飢餓によるオートファジーが顕著に誘導されることが報告されている。
以上のように、オートファジーは生体にとって極めて重要な作用を果たしているが、その生理的意義やメカニズムの詳細が十分には判明しておらず、その解明が強く望まれている。
ところで、培養細胞に対しては、インジェクション法によってプラスチックビーズ等の微小な粒子をその内部に注入することが行われている。当該微小粒子として、例えば、表面に各種分子が結合した粒子を用いた場合には、細胞内での当該分子の挙動を調査することが可能になる。
Mizushimaら、J.Cell Biol.,2001,vol.152,pp.657−668
Mizushimaら、J.Cell Biol.,2001,vol.152,pp.657−668
オートファジーを実験室環境下で任意に発生させるには、培養細胞を栄養飢餓状態に置く方法、及び培養細胞を特定の薬品で処理する方法など極めて限られた方法しか知られておらず、オートファジーの各種機能やメカニズムを解明するにあたっては十分なものでなかった。また、これらの方法では、細胞内の様々な場所でランダムにオートファゴソームが形成され、また、そのオートファゴソームも細胞内部を移動することから、オートファジーが発生している細胞内位置を特定することが難しく、オートファジーの観察や追跡を行うことを困難なものにしていた。
したがって第一の本発明は、飢餓処理や従来の薬剤処理以外の方法で容易にオートファジーを誘導することができ、さらに、発生したオートファゴソームの位置の特定や追跡を容易に行うことができる、オートファジー誘導方法を提供することを目的とする。
また、インジェクション法で微小粒子を培養細胞に導入するには、使用するピペットの内径に応じて、細胞内に導入できる粒子の径に制限があり、せいぜい数十nm程度の微小な粒子しか導入することができなかった。この程度の径では、導入された粒子を細胞内部の観察時の目印として利用するには不十分であった。
したがって、第二の本発明は、径が比較的大きな粒子であっても、簡便な手法で培養細胞の内部に外来粒子を導入することを可能にする、培養細胞への外来粒子導入方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成によって前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち第一の本発明は、表面に親水性官能基を有する外来粒子を、培養細胞に取り込ませることによって、前記培養細胞内部において前記外来粒子の周囲にオートファジーを発生させることを特徴とする、オートファジー誘導方法に関する。
第一の本発明によれば、飢餓処理や従来の薬剤処理以外の方法で簡便にオートファジーを誘導することが可能になる。これによって、オートファジーの誘導が望まれる培養細胞に対して任意にオートファジーを誘導することができる全く新規の方法が提供される。
本発明の方法により誘導されたオートファジーでは、図4で示すように、オートファゴソームを構成する隔離膜が、細胞内に導入された外来粒子を取り囲むように発生している。
外来粒子が例えばプラスチックスビーズや金属粒子等であると、これを細胞小器官と識別することが極めて容易になる。したがって、細胞内部を光学顕微鏡又は電子顕微鏡で観察する際には当該外来粒子を観察の基準点として走査することによって、オートファジーの発生位置を容易に特定することができる。また、当該外来粒子を目印にするとオートファジーの発生位置を見失うことが少なくなるので、特定のオートファゴソームの経時的な観察が容易になる。具体的には、単一のビーズの周囲で発生する一連のオートファジーを経時的に観察することができる。
以上によって、オートファジー現象の観察が容易となり、オートファジーの機能やメカニズムの解明に資するものと考えられる。特に栄養飢餓状態や従来の薬剤処理以外の要因によって誘導されるオートファジーの研究に適用できるものと考えられ、具体的には、生体細胞に細菌等が感染した際に起こる現象の解明や、それに対する効率的な対処方針の研究や探索が可能となる。また、細胞内におけるタンパク質凝集塊の蓄積等の条件によって発生するオートファジー現象の解明についても有効な手段を提供するものと考えられる。
第一の本発明の方法においては、前記外来粒子は、その表面に生体由来の分子が結合しているものであることが好ましい。この態様によれば、外来粒子の細胞内取り込みや、オートファジーの誘導をより容易に実施することができる。さらには、これらの生体由来分子の種類を種々変更し、それらとオートファジーとの関連性を調査することを通じて、医薬品や治療法の開発研究に寄与することができる。
前記方法においては、前記外来粒子を前記培養細胞に取り込ませるにあたって、外来粒子とともに、前記培養細胞にトランスフェクション試薬を作用させることが好ましい。この態様によれば、外来粒子の細胞内取り込みや、オートファジーの誘導をより容易に実施することができる。
前記方法においては、前記外来粒子は磁気を帯びた粒子であることが好ましい。この態様によれば、粒子の磁気を利用することによって細胞内成分から外来粒子を分離することが容易になるので、外来粒子の周囲に集合しているオートファジー関連タンパク質(オートファゴソームの膜を構成するタンパク質や、リソソームを構成するタンパク質)を、他の細胞内成分から分離し、回収することが可能になる。
第二の本発明は、外来粒子とトランスフェクション試薬とを培養細胞に作用させることによって、前記外来粒子を前記培養細胞に取り込ませることを特徴とする、培養細胞への外来粒子導入方法に関する。
第二の本発明によれば、特殊な機器を使用することなく極めて簡便な手法で、培養細胞の内部に外来粒子を導入することが可能になる。また、従来のインジェクション法と比較すると、径がより大きな粒子を導入することもできる。
培養細胞の内部を光学顕微鏡又は電子顕微鏡を用いて観察する際には、培養細胞に取り込まれた外来粒子を基準点とすることによって、常時流動し変化している細胞の内部であっても定点観察することが可能になる。
外来粒子の物性や、表面の性質あるいは結合物質を種々変更することによって、細胞内部におけるそれらの作用や、細胞がそれらに与える影響を調査することが可能になる。また、抗原抗体反応等の特異的な反応を利用して、細胞内の特定の成分を外来粒子の表面に集めることが可能になるので、前記特定の成分を容易に抽出することができるようになる。なお、細胞内成分と粒子の比重の違いや、例えば粒子が磁気を帯びている場合には磁気を利用して、細胞内成分との混合物から外来粒子を回収することは極めて容易である。
なお、前述のように培養細胞の内部に特定の外来粒子を導入すると、当該培養細胞にオートファジーを誘導することも可能である。
第二の本発明の方法においては、前記外来粒子は、粒径が500nm以上3μm以下のものであることが好ましい。このように粒径が大きな外来粒子は、インジェクション法など従来の方法では細胞内への導入が困難であったが、本発明の方法によると細胞内への導入が極めて容易になった。上記のように細胞内に取り込まれた外来粒子を基準点とする場合には、粒子がある程度の大きさのものであるとその観察が容易になる。
前記方法においては、前記細胞が非貪食細胞であることが好ましい。本発明の方法によれば、ファゴサイトーシスを行わない非貪食細胞であっても、その内部に、外来粒子を容易に取り込ませることができる。
前記方法においては、前記外来粒子は、その表面に親水性官能基を有するものであることが好ましい。この態様によると、トランスフェクション試薬との相互作用により、外来粒子を細胞内に取り込むことが容易になる。
前記方法においては、前記外来粒子は、その表面に生体由来の分子が結合されているものであることが好ましい。この態様によると、トランスフェクション試薬との相互作用により、外来粒子を細胞内に取り込むことが容易になる。また、これによって、前記分子と細胞との相互作用を調査することができる。
第一の本発明におけるオートファジー誘導方法によれば、飢餓処理や従来の薬剤処理以外の方法で容易にオートファジーを誘導することができ、さらに、発生したオートファゴソームの位置の特定や追跡を容易に行うことができる。
第二の本発明における培養細胞への外来粒子導入方法によれば、径が比較的大きな粒子であっても、簡便な手法で培養細胞の内部に外来粒子を導入することが可能になる。
まず第一の本発明について詳細に説明する。
第一の本発明では、オートファジーを誘導するために、表面に親水性官能基を有する外来粒子を、培養細胞に取り込ませることによって、前記培養細胞内部において前記外来粒子の周囲にオートファジーを発生させる。
前記外来粒子とは、培養細胞に由来する細胞内粒子とは異なるものであり、一般には、定形又は不定形の固体粒子を指す。その材料や性状は特に限定されず、例えばプラスチック等の有機物、ガラス、金属等の無機物からなるものであってよい。また、珪素等を加えて強化したリポソームや、磁気を帯びた粒子、蛍光標識をされた粒子を使用することも可能である。
前記外来粒子の直径は、目的の培養細胞の大きさに応じて変動するが、例えば数十nm〜10μmであればよい。しかし小さすぎると、複数個の粒子が凝集しやすくなる傾向が生じ、それとともに、顕微鏡観察時の目印としては採用しにくくなるので、好ましくは500nm以上5μm以下の範囲であり、より好ましくは1μm以上3μm以下の範囲である。
前記外来粒子は、その表面に親水性官能基を有するものである。親水性官能基としては、例えば、アミノ基やカルボキシル基等が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な外来粒子としては、表面にカルボキシル基やアミノ基を有するポリスチレンビーズ等が挙げられる。このように外来粒子が表面に親水性官能基を有することによってオートファジー誘導が可能になることから、この外来粒子の親水性表面が、オートファジー誘導における何らかの過程に関与しているものと考えられる。
また、このような表面に親水性官能基を有する外来粒子としては、表面に生体由来分子が存在している外来粒子が好ましい。前記外来粒子の表面に存在している生体由来分子とは、生体中に存在するあらゆる分子を含むものであり、例えば、タンパク質、DNA、RNA、脂質、糖、アミノ酸、これらの組合せ等が挙げられるが、外来粒子の取り込みやオートファジーの誘導の容易さからタンパク質又はDNAが好ましい。特に、導入する培養細胞にとって異物と認識される生体由来分子が、オートファジー誘導のために好ましい。なお、生体由来分子とは、生体から直接分離した化合物のみを指すものではなく、生体中に元来含まれ得る化合物であれば化学的に合成された化合物であってもよい。
生体由来分子は、外来粒子の表面に化学的又は物理的に結合しているものが好ましい。具体的な態様としては、アビジン等のタンパク質を表面に直接結合させたプラスチックビーズ(具体的には、NeutrAvidin標識プラスチックビーズ、Invitrogen,F8777(1um,無色)等)等の、生体分子を直接共有結合させたビーズや、任意の生体由来分子とビオチンを結合させ、これをアビジン結合ビーズと反応させることによって作成した生体由来分子結合ビーズのほか、グルタチオン−GSTの組合せのような、タンパク質の精製において一般に使われているような相互作用を利用して生体分子を結合させたビーズ、あるいは、抗原抗体反応を利用して生体分子を結合させたビーズ等が挙げられる。
外来粒子に対する生体由来分子の結合量は、特に限定されないが、例えば、DNA含有ビーズの場合は、ビーズ1個に対して数pg程度の極めて少量のDNAが結合していればよい。
このような外来粒子を取り込ませる培養細胞の由来としては特に限定されず、ヒト、マウス等の動物細胞が挙げられる。例えば、市販のトランスフェクション試薬の説明書に言及がある培養細胞であれば本発明を適用することができることができると考えられる。本発明では非貪食細胞に対しても外来粒子の細胞内導入を容易に実施することができるため好ましい。具体的には、外来物質の取り込み活性がある程度高い細胞を使用することが好ましい。例えば、上皮様付着細胞であるHeLa細胞や、Mouse Embryonic Fibroblast(MEF)等は、再現性良く使用することができる。
外来粒子を培養細胞に取り込ませるにあたっては、例えば従来法のインジェクション法を用いることも考えられるが、培養細胞にトランスフェクション試薬を作用させる方法を用いることが好ましい。トランスフェクション試薬とは従来、外来のDNAやRNA、タンパク質などを培養細胞に導入することを目的に使用されているものであるが、本発明者らは、外来粒子の導入にあたっても、トランスフェクション試薬を使用できることを見出した。トランスフェクション試薬により外来粒子を導入するにあたっては、トランスフェクション試薬の種類と外来粒子表面の性質を適宜選択する。トランスフェクション試薬としては特に限定されないが、具体的な商品名としては、リポソーマル・トランスフェクション試薬であるDOTAP:N−[1−(2,3−Dioleoyloxy)propyl]−N,N,N−trimethylammonium methylsulfate、同じくリポソーマル・トランスフェクション試薬であるLipofectamine(登録商標)2000(invitrogen社)、非リポソーマル・トランスフェクション試薬であるEffectene(登録商標)(QIAGEN社)等が挙げられる。また、Lipofectamine(登録商標)Plusや、Oligofectamine、RNAiMAXなどといった、ペプチドあるいはRNAを細胞に導入する際に汎用されている試薬を用いた場合にも、オートファジーが誘導される。以上の中では、特にLipofectamine(登録商標)2000とEffecteneが好ましい。前記のEffecteneには、取り込み効率を改善する試薬としてenhancerと呼ばれる試薬が添付されているが、本発明によるオートファジーの誘導効率に対しては、前記enhancerの有無による影響は見られなかった。なお、リポソーマル・トランスフェクション試薬とは、DNA等の負電荷を持つ物質と混合した場合にリポソーム様の構造をとり、これによってDNA等の、細胞への取り込みを可能にするものとして知られている試薬をいい、一方、非リポソーマル・トランスフェクション試薬とは、上記のようなリポソーム様の構造ではない複合体の形態において細胞への取り込みを可能にする試薬のことをいう。
本発明者らは、マクロピノサイトーシス阻害剤であるアミロライド(amiloride)等の存在下では外来粒子(1μmのNeutrAvidin(等電点が中性付近になるように改変されたストレプトアビジン)結合ビーズ)の導入効率が顕著に減少すること、すなわち、マクロピノサイトーシス阻害剤によって本発明による取り込みが有意に阻害されることを確認している。このことから、本発明による取り込みはマクロピノサイトーシス過程を経由するものと考えられる。
さらに、本発明者らは、本発明の処理に付した細胞断面を電子顕微鏡により複数観察することにより、培養細胞の細胞膜が外来粒子を取り込むようにして陥入している状態、細胞質内の小胞中に外来粒子が含まれている状態、及び、オートファジーに典型的な隔離膜によって外来粒子が包囲されている状態(図4)を確認している。
以上から、トランスフェクション試薬の使用によって外来粒子が培養細胞に取り込まれる過程については、以下のように考えられる。すなわち、培養細胞の細胞膜が外来粒子を取り込む形で突出又は陥入し、ネックを形成した後、細胞内部において、小胞として細胞膜から分離し(マクロピノサイトーシス)、その後、小胞を構成する膜が細胞内部において破裂することにより外来粒子が培養細胞の内部に露出することにより前記取り込みが行われる。トランスフェクション試薬の使用によって、マクロピノサイトーシスと、細胞内部での小胞の破裂とが達成されるものと考えられる。
培養細胞に取り込まれた生体由来分子含有外来粒子がオートファジーを誘導するメカニズムについては現在のところ明確でないが、外来粒子そのもの、あるいはその表面に存在する親水性官能基、あるいは導入処理時に用いられて粒子表面にまぶされたトランスフェクション試薬が培養細胞にとって異物と認識されることによってオートファジーの発生が誘引されていることが原因と考えられる。
本発明において外来粒子の添加量としては特に限定されず、誘導が期待されるオートファジーの発生量に応じて適宜設定すればよい。
また、トランスフェクション試薬の添加量としては従来知られているトランスフェクション試薬の使用量(DNA等を導入するための使用量)を参考に適宜決定すればよく、特に制限はない。市販品のトランスフェクション試薬を使用する場合にはメーカーが推奨する反応液量を参考に、本発明における添加量を設定すればよいが、使用する粒子の種類や、導入すべき粒子の量に応じて適宜変更することができる。特に粒子の量については、本発明で述べているプロトコルの10倍濃度や、10分の1濃度であってもよく、解析(観察)したい現象に応じて条件を設定することができる。粒子の数をカウントすることが目的の場合には少なめに導入すればよく、細胞にとって悪影響があり得る粒子を導入する場合にも少なめに導入することが好ましい。
トランスフェクション試薬により培養細胞に外来粒子を導入する際の条件としては特に限定されない。使用している培養細胞の生育に適した培地や温度を適用すればよい。培養細胞が生育している培地に対して、所定量の生体由来分子含有外来粒子、及び所定量のトランスフェクション試薬を添加すればよい。
この添加から1時間後に洗浄、及び培地交換をしてから30分程度が経過するとオートファジーの発生が観察され、数時間の単位で、オートファゴソームが外来粒子を取り囲んでいるのが観察される。時間の経過とともにこのオートファゴソームは細胞内部を自由に移動するが、その内部にある外来粒子を目印にすることによって、特定のオートファゴソームを追跡し続けることが非常に容易になる。
次に第二の本発明について詳細に説明を行う。
第二の本発明では、培養細胞に外来粒子を導入するために、外来粒子とトランスフェクション試薬とを培養細胞に作用させることによって、前記外来粒子を前記培養細胞に取り込ませる。
第二の本発明で用いる外来粒子は、第一の本発明で用いる外来粒子と同様であってもよいが、その表面に親水性官能基が存在することは必須ではない。しかしながら、その表面の性状が疎水性であるものについては取り込み過程以後の過程が進行しにくくなることから、親水性の表面を有する粒子を使用することが好ましい。例えば、粒子としてプラスチックビーズを使用する場合には、その表面がカルボキシル基やアミノ基等の親水性官能基を有するように処理されたものを使用することがオートファジー誘導には好ましい。
外来粒子の表面に生体由来分子を結合したものを用いることによって、その分子の細胞内挙動を確認することが可能となり、新たな医薬品や治療法の開発につながるものと期待される。
外来粒子の粒径は特に限定されないが、単一粒子の経時的な観察が容易であることから500nm以上のものが好ましい。このように大きな径の外来粒子は、従来のインジェクション法では細胞内への導入が極めて困難であった。本発明者らは、現在のところ、3μmまでの外来粒子について本発明による導入が可能であることを証明しているが、導入条件の最適化、あるいは培養細胞の種類に応じて、最大10μm程度までの径を有する外来粒子は導入することができるものと考えられる。
第二の本発明で用いるトランスフェクション試薬、培養細胞、及び導入時の条件等については第一の本発明について説明したものと同様である。
第二の方法による外来粒子導入には、多くの場合上述したオートファジーの発生が伴うものと推測されるが、例えば外来粒子の表面状態やトランスフェクション試薬の種類を調整したり、オートファジーの発生に必要な遺伝子をノックアウトした細胞を使用したり、オートファジーの発生を阻害する薬剤を培地に添加することによって、オートファジーは発生させずに、外来粒子の導入のみを行うことも可能であると考えられる。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
DNAを結合させた直径3μmのポリスチレンビーズを準備し、これを、トランスフェクション試薬としてEffecteneを用いてHeLa細胞に導入した。その導入する際の条件は以下のとおりである。なお事前の準備として、前日に、35mmのガラスボトムディッシュに細胞を播種しておく。
1.ECバッファ10ulをマイクロチューブにとり、そこにビーズ懸濁液1ulを加える。1secボルテックスした後、室温で5min静置する。
2.1ulのEffectene試薬を加え、10secボルテックスする。室温で10min静置する。
3.90ulの培地を加え、ピペッティングにより懸濁する。
4.前述の35mmディッシュの培地を、前記3.で得られた培地に交換する。
5.室温で一定時間インキュベートした後、顕微鏡による観察を行う。
DNAを結合させた直径3μmのポリスチレンビーズを準備し、これを、トランスフェクション試薬としてEffecteneを用いてHeLa細胞に導入した。その導入する際の条件は以下のとおりである。なお事前の準備として、前日に、35mmのガラスボトムディッシュに細胞を播種しておく。
1.ECバッファ10ulをマイクロチューブにとり、そこにビーズ懸濁液1ulを加える。1secボルテックスした後、室温で5min静置する。
2.1ulのEffectene試薬を加え、10secボルテックスする。室温で10min静置する。
3.90ulの培地を加え、ピペッティングにより懸濁する。
4.前述の35mmディッシュの培地を、前記3.で得られた培地に交換する。
5.室温で一定時間インキュベートした後、顕微鏡による観察を行う。
図1では、3hインキュベートした後の細胞を観察した顕微鏡写真を示す。上の写真は、DNAをDAPIで染色して観察した蛍光像であり、中央の大きな塊が細胞核を示し、それに寄り添った小さな黒抜き円がDNAを結合させたビーズを示す。中央の写真は明視野像である。これより、ビーズが細胞膜の内側に存在し、細胞内部に取り込まれていることが分かる。下の写真は、前記の2枚の像を重ね合わせたものである。
なお、トランスフェクション試薬として、Effecteneの代わりにLipofectamine2000又はDOTAPを使用しても上記と同様の結果が得られた。ただし、導入時の条件はそれぞれ以下のとおりである。
(Lipofectamine2000を使用する場合)
1.tube Aに「DMEM5ul+ビーズ液1ul」を、tube Bに「DMEM5ul+Lipofectamine2000の1ul」をそれぞれ混ぜたものを用意する。
2.tube Bの中身をtube Aに加える。3secボルテックスした後、室温で15min静置する。
3.90ulの培地を加え、ピペッティングにより懸濁する。
4.室温で一定時間インキュベートした後、顕微鏡による観察を行う。
1.tube Aに「DMEM5ul+ビーズ液1ul」を、tube Bに「DMEM5ul+Lipofectamine2000の1ul」をそれぞれ混ぜたものを用意する。
2.tube Bの中身をtube Aに加える。3secボルテックスした後、室温で15min静置する。
3.90ulの培地を加え、ピペッティングにより懸濁する。
4.室温で一定時間インキュベートした後、顕微鏡による観察を行う。
(DOTAPを使用する場合)
1.tube Aに「HBS5ul+ビーズ液1ul」を、tube Bに「HBS5ul+DOTAPの1ul」をそれぞれ混ぜたものを用意する。
2.tube Bの中身をtube Aに加える。200ul用のチップで穏やかに5回ピペッティングした後、室温で15min静置する。
3.90ulの培地を加え、ピペッティングにより懸濁する。
4.室温で一定時間インキュベートした後、顕微鏡による観察を行う。
※HBS:20mM HEPES,pH7.4,150mM NaCl
参考例1
従来の飢餓処理によるオートファジー誘導を以下のようにして行った。
1.オートファゴソームの膜に存在するタンパク質LC3に、GFPで蛍光標識がされるように操作を行ったHeLa細胞を準備する。当該HeLa細胞をガラスボトムディッシュで生育させ、あらかじめ37℃に温めておいたハンクス平衡塩(HBSS、invitrogen社)で2回洗浄する。
2.HBSS中、37℃のインキュベーター内で1h静置して飢餓状態に置く。
3.4%PFAで10min固定する。その後、PBS(pH7.4)で洗浄し、蛍光顕微鏡による観察を行う。その写真を図2に示す。ドット状のシグナルがGFPの蛍光によるものであり、これによってオートファジーの発生部分が示される。この写真より、飢餓処理では細胞全体でランダムに、細かくオートファジーが誘導されることが分かる。
1.tube Aに「HBS5ul+ビーズ液1ul」を、tube Bに「HBS5ul+DOTAPの1ul」をそれぞれ混ぜたものを用意する。
2.tube Bの中身をtube Aに加える。200ul用のチップで穏やかに5回ピペッティングした後、室温で15min静置する。
3.90ulの培地を加え、ピペッティングにより懸濁する。
4.室温で一定時間インキュベートした後、顕微鏡による観察を行う。
※HBS:20mM HEPES,pH7.4,150mM NaCl
参考例1
従来の飢餓処理によるオートファジー誘導を以下のようにして行った。
1.オートファゴソームの膜に存在するタンパク質LC3に、GFPで蛍光標識がされるように操作を行ったHeLa細胞を準備する。当該HeLa細胞をガラスボトムディッシュで生育させ、あらかじめ37℃に温めておいたハンクス平衡塩(HBSS、invitrogen社)で2回洗浄する。
2.HBSS中、37℃のインキュベーター内で1h静置して飢餓状態に置く。
3.4%PFAで10min固定する。その後、PBS(pH7.4)で洗浄し、蛍光顕微鏡による観察を行う。その写真を図2に示す。ドット状のシグナルがGFPの蛍光によるものであり、これによってオートファジーの発生部分が示される。この写真より、飢餓処理では細胞全体でランダムに、細かくオートファジーが誘導されることが分かる。
実施例2
参考例1で使用したものと同じGFP−LC3発現HeLa細胞に対して、直径1μmのNeutrAvidin標識プラスチックビーズを導入した。その際、トランスフェクション試薬として、実施例1と同様にしてEffecteneを使用した。
参考例1で使用したものと同じGFP−LC3発現HeLa細胞に対して、直径1μmのNeutrAvidin標識プラスチックビーズを導入した。その際、トランスフェクション試薬として、実施例1と同様にしてEffecteneを使用した。
図3では、導入後3時間が経過した時点での細胞を観察した蛍光顕微鏡写真を示す。写真中に白く明確な円がいくつか見られ、これらは、細胞中に取り込まれたビーズの周辺でオートファジーが進行していることを示している。図2と比較すると図3では発光部分がより明瞭である。
さらに、ビーズ導入後の細胞から、常法により電子顕微鏡写真用の試料を作成し、電子顕微鏡による観察を行った。図4はこうして得られた電子顕微鏡写真であり、細胞断面を示している。ここで、中央付近の全体的にグレイ色を帯びた大きな円が細胞内に導入されたビーズであり、当該ビーズを中心にして、オートファジー過程に典型的に見られる隔離膜が形成されている状態が示されている。この写真から分かるように、ビーズは他の細胞内小器官と比較して判別(検出)しすいため、オートファジーの発生位置を特定することが容易である。
実施例3
参考例1で使用したものと同じGFP−LC3発現HeLa細胞に対して、直径1μmのNeutrAvidin標識プラスチックビーズを導入した。その際、トランスフェクション試薬として、実施例1と同様にしてEffecteneを使用した。1h、2h、又は3hインキュベートした後、以下の判定法によりビーズの位置判定法を行い、細胞内のビーズの個数を数える。その後、蛍光顕微鏡で観察を行い、GFP−LC3陽性のビーズの個数を数える。
参考例1で使用したものと同じGFP−LC3発現HeLa細胞に対して、直径1μmのNeutrAvidin標識プラスチックビーズを導入した。その際、トランスフェクション試薬として、実施例1と同様にしてEffecteneを使用した。1h、2h、又は3hインキュベートした後、以下の判定法によりビーズの位置判定法を行い、細胞内のビーズの個数を数える。その後、蛍光顕微鏡で観察を行い、GFP−LC3陽性のビーズの個数を数える。
得られた結果を図5に示す。図5のグラフの横軸はインキュベーション時間(h)であり、縦軸は、細胞内のビーズの個数に対するGFP−LC3陽性のビーズの個数の割合(%)である。この結果より、時間の経過につれて、細胞内に取り込まれたビーズの周囲にオートファゴソーム関連タンパク質LC3が集合していくことが分かる。処理の開始後3時間が経過した時点で、細胞内のビーズのうちおよそ50%で、その周囲にオートファゴソーム関連タンパク質の存在が確認された。
(ビーズの位置判定法)
材料
・EZ−link Sulfo−NHS−LC−Biotin(PIERCE;21335):ただし、PBS(pH8.0、4℃)で100ug/mlに調製して用いる。
・Streptavidin−Alexa488(あるいは594など) conjugate(Invitrogen社)等の蛍光色素:ただし、1mg/ml程度の濃度で保存してあるものをPBS(pH7.4)で希釈して用いる。
・氷冷PBS(pH7.4)
・氷冷PBS(pH8.0)
方法
1.35mmのディッシュに播種してあるHeLa細胞に対し、ビーズ導入処理を行なう。
2.細胞を氷冷PBS(pH8.0)で2回(各2ml)洗浄する。
3.液体を完全に吸い取り、100ulの100ug/ml Sulfo−NHS−LC−Biotin/PBS(pH8.0)を加え、4℃で15分静置する。
4.細胞を氷冷PBS(pH7.4)で2回(各2ml)洗浄する。
5.液体を完全に吸い取り、10ug/ml Streptavidin−Alexa488を加え、4℃で10分静置する。
6.細胞を氷冷PBS(pH7.4)で1回(2ml)洗浄する。
7.4%PFA/PBS(pH7.4)で、室温で15分固定する。
8.PBS(pH7.4)で3回洗浄した後、蛍光顕微鏡下で観察を行なう。
(ビーズの位置判定法)
材料
・EZ−link Sulfo−NHS−LC−Biotin(PIERCE;21335):ただし、PBS(pH8.0、4℃)で100ug/mlに調製して用いる。
・Streptavidin−Alexa488(あるいは594など) conjugate(Invitrogen社)等の蛍光色素:ただし、1mg/ml程度の濃度で保存してあるものをPBS(pH7.4)で希釈して用いる。
・氷冷PBS(pH7.4)
・氷冷PBS(pH8.0)
方法
1.35mmのディッシュに播種してあるHeLa細胞に対し、ビーズ導入処理を行なう。
2.細胞を氷冷PBS(pH8.0)で2回(各2ml)洗浄する。
3.液体を完全に吸い取り、100ulの100ug/ml Sulfo−NHS−LC−Biotin/PBS(pH8.0)を加え、4℃で15分静置する。
4.細胞を氷冷PBS(pH7.4)で2回(各2ml)洗浄する。
5.液体を完全に吸い取り、10ug/ml Streptavidin−Alexa488を加え、4℃で10分静置する。
6.細胞を氷冷PBS(pH7.4)で1回(2ml)洗浄する。
7.4%PFA/PBS(pH7.4)で、室温で15分固定する。
8.PBS(pH7.4)で3回洗浄した後、蛍光顕微鏡下で観察を行なう。
実施例4
参考例1で使用したものと同じGFP−LC3発現HeLa細胞に対して、直径1μmのNeutrAvidin標識プラスチックビーズを導入した。その際、トランスフェクション試薬として、実施例1と同様にしてEffecteneを使用した。以下の実験方法により、ビーズ周囲へのリソソームマーカーLAMP−1の局在を調べた。
1.細胞にビーズを導入した後、0.75h、1h、2h、3h、又は4hインキュベートする。
2.4%PFAで室温15min固定する。
3.PBSで洗浄する。なお、本実施例ではpHが7.4のPBSを使用する。
4.2%BSA/PBSを用いて、室温で1hかけてブロッキングする。
5.1次抗体である抗LAMP−1抗体を、2%w/vになるようにBSAを溶かしたPBSで希釈した液の中で、4℃で一晩反応させる。
6.PBSで洗浄する。
7.二次抗体反応(ant−mosue IgG−Alexa594等)を室温で2h程度行う。
8.PBSで洗浄する。
9.蛍光顕微鏡で観察する。GFP−LC3陽性は緑色の蛍光シグナルとして、LAMP−1陽性は赤色の蛍光シグナルとして検出される。GFP−LC3が陽性のビーズを探して、そのビーズがLAMP−1陽性であるかどうかを調べる。なお、LAMP−1はリソソームの膜のマーカーとなる蛋白質であるから、これが共局在していると、オートファゴソームがオートリソソーム(内包物の分解が始まっている状態)になっていると判断することができる。オートファゴソームの内膜は分解されてしまうが、外膜は分解されない(リソソーム膜と融合する)ので、LC3のシグナルは完全には消失しない。
参考例1で使用したものと同じGFP−LC3発現HeLa細胞に対して、直径1μmのNeutrAvidin標識プラスチックビーズを導入した。その際、トランスフェクション試薬として、実施例1と同様にしてEffecteneを使用した。以下の実験方法により、ビーズ周囲へのリソソームマーカーLAMP−1の局在を調べた。
1.細胞にビーズを導入した後、0.75h、1h、2h、3h、又は4hインキュベートする。
2.4%PFAで室温15min固定する。
3.PBSで洗浄する。なお、本実施例ではpHが7.4のPBSを使用する。
4.2%BSA/PBSを用いて、室温で1hかけてブロッキングする。
5.1次抗体である抗LAMP−1抗体を、2%w/vになるようにBSAを溶かしたPBSで希釈した液の中で、4℃で一晩反応させる。
6.PBSで洗浄する。
7.二次抗体反応(ant−mosue IgG−Alexa594等)を室温で2h程度行う。
8.PBSで洗浄する。
9.蛍光顕微鏡で観察する。GFP−LC3陽性は緑色の蛍光シグナルとして、LAMP−1陽性は赤色の蛍光シグナルとして検出される。GFP−LC3が陽性のビーズを探して、そのビーズがLAMP−1陽性であるかどうかを調べる。なお、LAMP−1はリソソームの膜のマーカーとなる蛋白質であるから、これが共局在していると、オートファゴソームがオートリソソーム(内包物の分解が始まっている状態)になっていると判断することができる。オートファゴソームの内膜は分解されてしまうが、外膜は分解されない(リソソーム膜と融合する)ので、LC3のシグナルは完全には消失しない。
得られた結果を図6に示す。図6のグラフの横軸はインキュベーション時間(h)であり、縦軸は、GFP−LC3陽性のビーズの個数に対するLAMP−1陽性のビーズの個数の割合(%)である。この結果より、1時間のインキュベーションを経過すると、オートファゴソーム関連タンパク質の存在が確認されたビーズのうちおよそ70〜80%で、その周囲にリソソームが局在していることが分かる。このことから、ビーズを中心にしてオートファジーが誘導されていることが分かる。
実施例5
参考例1で使用したものと同じGFP−LC3発現HeLa細胞に対して、表面にアミノ基が存在するポリスチレンビーズ(直径3μm)を導入した。その際、トランスフェクション試薬として、実施例1と同様にしてEffecteneを使用した。導入後3時間が経過した時点での細胞を顕微鏡で観察することにより、細胞内部にビーズが取り込まれていることを確認した。また、ビーズ表面にオートファゴソーム形成のマーカーであるLC3の局在を確認した。
参考例1で使用したものと同じGFP−LC3発現HeLa細胞に対して、表面にアミノ基が存在するポリスチレンビーズ(直径3μm)を導入した。その際、トランスフェクション試薬として、実施例1と同様にしてEffecteneを使用した。導入後3時間が経過した時点での細胞を顕微鏡で観察することにより、細胞内部にビーズが取り込まれていることを確認した。また、ビーズ表面にオートファゴソーム形成のマーカーであるLC3の局在を確認した。
実施例6
参考例1で使用したものと同じGFP−LC3発現HeLa細胞に対して、表面が疎水性の磁気ビーズ(直径2.8μm)を導入した。その際、トランスフェクション試薬として、実施例1と同様にしてEffecteneを使用した。導入後3時間が経過した時点での細胞を顕微鏡で観察することにより、細胞内部にビーズが取り込まれていることを確認した。また、ビーズ表面にオートファゴソーム形成のマーカーであるLC3の局在を確認した。しかしながら、そのオートファジー誘導効率は実施例5と比較すると低かった。
参考例1で使用したものと同じGFP−LC3発現HeLa細胞に対して、表面が疎水性の磁気ビーズ(直径2.8μm)を導入した。その際、トランスフェクション試薬として、実施例1と同様にしてEffecteneを使用した。導入後3時間が経過した時点での細胞を顕微鏡で観察することにより、細胞内部にビーズが取り込まれていることを確認した。また、ビーズ表面にオートファゴソーム形成のマーカーであるLC3の局在を確認した。しかしながら、そのオートファジー誘導効率は実施例5と比較すると低かった。
実施例7
参考例1で使用したものと同じGFP−LC3発現HeLa細胞に対して、表面にカルボキシル基が存在するポリスチレンビーズ(直径1μm)を導入した。その際、トランスフェクション試薬として、実施例1と同様にしてEffecteneを使用した。導入後3時間が経過した時点での細胞を顕微鏡で観察することにより、細胞内部にビーズが取り込まれていることを確認した。また、ビーズ表面にオートファゴソーム形成のマーカーであるLC3の局在を確認した。
参考例1で使用したものと同じGFP−LC3発現HeLa細胞に対して、表面にカルボキシル基が存在するポリスチレンビーズ(直径1μm)を導入した。その際、トランスフェクション試薬として、実施例1と同様にしてEffecteneを使用した。導入後3時間が経過した時点での細胞を顕微鏡で観察することにより、細胞内部にビーズが取り込まれていることを確認した。また、ビーズ表面にオートファゴソーム形成のマーカーであるLC3の局在を確認した。
実施例8
参考例1で使用したものと同じGFP−LC3発現HeLa細胞に対して、表面にアミノ基が存在するポリスチレンビーズ(直径1μm)を導入した。その際、トランスフェクション試薬として、実施例1と同様にしてEffecteneを使用した。導入後3時間が経過した時点での細胞を顕微鏡で観察することにより、細胞内部にビーズが取り込まれていることを確認した。また、ビーズ表面にオートファゴソーム形成のマーカーであるLC3の局在を確認した。
参考例1で使用したものと同じGFP−LC3発現HeLa細胞に対して、表面にアミノ基が存在するポリスチレンビーズ(直径1μm)を導入した。その際、トランスフェクション試薬として、実施例1と同様にしてEffecteneを使用した。導入後3時間が経過した時点での細胞を顕微鏡で観察することにより、細胞内部にビーズが取り込まれていることを確認した。また、ビーズ表面にオートファゴソーム形成のマーカーであるLC3の局在を確認した。
Claims (9)
- 表面に親水性官能基を有する外来粒子を、培養細胞に取り込ませることによって、前記培養細胞内部において前記外来粒子の周囲にオートファジーを発生させることを特徴とする、オートファジー誘導方法。
- 前記外来粒子は、その表面に生体由来の分子が結合しているものである請求項1記載の誘導方法。
- 前記外来粒子を前記培養細胞に取り込ませるにあたって、前記培養細胞にトランスフェクション試薬を作用させる請求項1又は2記載の誘導方法。
- 前記外来粒子は磁気を帯びた粒子である請求項1〜3のいずれかに記載の誘導方法。
- 外来粒子とトランスフェクション試薬とを培養細胞に作用させることによって、前記外来粒子を前記培養細胞に取り込ませることを特徴とする、培養細胞への外来粒子導入方法。
- 前記外来粒子は、粒径が500nm以上3μm以下のものである請求項5記載の導入方法。
- 前記細胞が非貪食細胞である請求項5又は6記載の導入方法。
- 前記外来粒子は、その表面に親水性官能基を有するものである請求項5〜7のいずれかに記載の導入方法。
- 前記外来粒子は、その表面に生体由来の分子が結合しているものである請求項5〜8のいずれかに記載の導入方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007303366A JP2009124996A (ja) | 2007-11-22 | 2007-11-22 | オートファジーの誘導方法、及び培養細胞への外来粒子導入方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2007303366A JP2009124996A (ja) | 2007-11-22 | 2007-11-22 | オートファジーの誘導方法、及び培養細胞への外来粒子導入方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=40816529
Family Applications (1)
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JP2007303366A Pending JP2009124996A (ja) | 2007-11-22 | 2007-11-22 | オートファジーの誘導方法、及び培養細胞への外来粒子導入方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009124996A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2013118842A1 (ja) * | 2012-02-09 | 2015-05-11 | 国立大学法人 東京医科歯科大学 | ベンゾチオフェン化合物、該化合物を有効成分とするオルタナティブオートファジー誘導剤及び抗癌剤、並びに抗癌活性を有する化合物をスクリーニングするための方法 |
WO2018199109A1 (ja) * | 2017-04-24 | 2018-11-01 | 学校法人産業医科大学 | 神経変性疾患治療剤 |
-
2007
- 2007-11-22 JP JP2007303366A patent/JP2009124996A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2013118842A1 (ja) * | 2012-02-09 | 2015-05-11 | 国立大学法人 東京医科歯科大学 | ベンゾチオフェン化合物、該化合物を有効成分とするオルタナティブオートファジー誘導剤及び抗癌剤、並びに抗癌活性を有する化合物をスクリーニングするための方法 |
WO2018199109A1 (ja) * | 2017-04-24 | 2018-11-01 | 学校法人産業医科大学 | 神経変性疾患治療剤 |
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