JP2009123921A - 波長選択フィルタ付き受光センサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る受光センサ1は、波長選択フィルタ20を透過してきた光の強度が受光素子10によって検知されるようになっており、受光素子10は第1の化合物半導体材料からなる受光層13を含み、波長選択フィルタ20は第2の化合物半導体材料からなる吸収層23を含み、波長選択フィルタ20のバンドギャップは、受光素子10のバンドギャップと同一であるか、または受光素子10のバンドギャップよりも大きいこと特徴とする。また、第1及び第2の化合物半導体材料は、AlxGayIn1-x-yNまたはZnxMgyCd1-x-yOであることが好ましい。
【選択図】図5
Description
図1(A)は、SiCを基板11としたショットキー型の受光素子で、基板11上に適当なバッファ層12を積層し、さらにその上に受光層13としてのu−AlGaNを積層し、電極14及び15を形成したものである(例えば、特許文献1参照)。
図1(B)は、SiCを基板11としたPN接合型の受光素子で、受光層13として、u−AlGaN/p−AlGaNを積層したものである。
また、図1(C)は、サファイアを基板11としたショットキー型の受光素子で、基板11上に適当なバッファ層等12、12’を積層し、さらにその上に受光層13としてのu−AlGaNを積層し、電極14及び15を形成したものである。
図2(A)に示すように、受光センサ1は、主に、金属製の筐体2、窓材3、及び端子4からなっている。受光素子10は、図2(B)に示すように、筐体2と窓材3とによって気密性が保たれた空洞部分に収容される。端子4は、受光センサ1の底面側に備えられ、受光素子10の電極14または15に接続される。窓材3は、サファイア、石英、ガラス等の透光性を有する部材で、この窓材3を透過した光が受光素子10によって検知される。
グラフ中の3つの曲線A〜Cは、受光層13に含まれるAlとGaの比率を変えて、バンドギャップを変化させた受光センサ1の光感度特性である。曲線Aは、AlとGaの比率をほぼ同程度として約280nmよりも短波長の光を検知できるようにした場合、曲線Cは、Alをほとんど含めないで約360nmよりも短波長の光を検知できるようにした場合の光感度特性である。
そこで、従来から、特定波長の光のみを検知したい場合は、分光器または干渉フィルタを併用することにより、不必要な短波長成分が遮断された光を受光素子1に照射し、検知するようにしている(例えば、特許文献2参照)。
また、用語「吸収端波長」とは、波長選択フィルタの透光率が最大となる波長のうち、最も短い波長を意味する(図4(B)の符号λa参照)。
図4(A)に示すように、受光素子は、所定の波長よりも短波長の光を検知することができる。感度端波長λsは、受光層のバンドギャップに応じて変化し、例えば、バンドギャップが大きくなると、感度端波長λsは短波長側にシフトする。また、傾斜部分Dの傾きは、受光層の膜厚によって変化し、受光層が厚くなるとD部の傾きは急峻となる。
波長選択フィルタは、所定の波長よりも短波長の光を吸収し、長波長の光を透過する。吸収端波長λaは、吸収層のバンドギャップに応じて変化し、例えば、バンドギャップが大きくなると、吸収端波長λaは短波長側にシフトする。また、傾斜部分Eの傾きは、吸収層の膜厚によって変化し、吸収層が厚くなるとE部の傾きは急峻となる。
特定波長のみの光の強度を検知したい場合は、受光層のバンドギャップと吸収層のバンドギャップを同一に設定する。この場合、感度端波長λsは吸収端波長λaよりもやや短波長側に位置することになる(図4(C)参照)。また、受光層と吸収層の膜厚を厚くし、D及びE部の傾きを急峻にすることにより、光感度特性の半値全幅Wをさらに狭くすることができる。
一方、吸収層のバンドギャップを受光層のバンドギャップよりも大きく設定し、吸収端波長λaを感度端波長λsよりも短波長側に設定することにより、半値全幅Wを広げ、一定範囲の波長の光の強度を検知することができる。
本実施例で使用される受光素子10は、図1(A)に示すショットキー型の受光素子であって、SiC基板11上に適当なバッファ層12を積層し、さらにその上に受光層13を積層したものである。受光層13は、膜厚が500nmのu−Al0.24Ga0.76Nである。
また、波長選択フィルタ20は、サファイアを基板11としたものであって、基板11上に適当なバッファ層等22、22’を積層し、さらにその上に吸収層23を形成したものである。吸収層23は、膜厚が500nmのu−Al0.24Ga0.76Nである。
すなわち、本実施例において、受光層13と吸収層23は同一の化合物半導体材料からなる。
本実施例では、受光層13と吸収層23が同一の化合物半導体材料からなり、バンドギャップが同一なので、感度端波長λsは吸収端波長λaよりもやや短波長側に位置する。したがって、受光センサ1の光感度特性のピーク波長は、感度端波長λsと吸収端波長λaの間の320nmとなる。また、半値全幅Wは約8nmで、所望の波長の光のみが高精度に選択され、強度が検知される。
本実施例で使用される受光素子10は、図1(C)に示すショットキー型の受光素子であって、サファイア基板11上に適当なバッファ層等12、12’を積層し、さらにその上に受光層13を積層したものである。受光層13は、膜厚が500nmのu−Al0.24Ga0.76Nである。
波長選択フィルタ20の構成は、実施例1に係る波長選択フィルタと同一である。
すなわち、本実施例において、受光素子10と波長選択フィルタ20は、基板材料、及び受光層13と吸収層23の化合物半導体材料がいずれも同一である。
本実施例に係る受光素子10の構成は、実施例2に係る受光素子と同一である。また、波長選択フィルタ20の構成は、実施例1、2に係る波長選択フィルタと同一である。
したがって、本実施例に係る受光センサ1は、相対的な特性変動が少ない受光素子10及び波長選択フィルタ20から構成されるので、実施例2に係る受光センサ1よりも、さらに、波長選択性の悪化、及び感度の低下を防ぐことができる。
本実施例で使用される受光素子10は、図1(A)に示すショットキー型の受光素子10であって、SiC基板11上に適当なバッファ層12を積層し、さらにその上に受光層13を積層したものである。受光層13は、膜厚が500nmのu−GaNである。
また、波長選択フィルタ20の構成は、実施例1〜3に係る波長選択フィルタと同一である。
すなわち、本実施例において、受光層13と吸収層23はバンドギャップが異なる別の化合物半導体材料である。
受光層13であるu−GaNは、吸収層23であるu−Al0.24Ga0.76Nよりもバンドギャップが小さいので、吸収端波長λaは感度端波長λsよりも短波長側に位置する。したがって、本実施例に係る受光センサ1では、約300〜370nmの波長の光が選択され、強度が検知される。半値全幅Wは約40nmである。
本実施例に係る受光素子10の構成は、実施例1に係る受光素子と同一である。また、波長選択フィルタ20の構成は、実施例1〜4に係る波長選択フィルタと同一である。
なお、波長選択フィルタ20は、表裏反転させて、吸収層23を受光素子10側に配置することもできる。
本実施例で使用される受光素子10は、図1(B)に示すPN接合型の受光素子10であって、SiC基板11上に適当なバッファ層12を積層し、さらにその上に受光層13を積層したものである。受光層13は、膜厚が950nmのu−AlGaN/p−AlGaNである。
また、波長選択フィルタ20の構成は、実施例1〜5に係る波長選択フィルタと同一である。
図11(A)に示す分析装置において、受光センサ1は、例えば、実施例1に係る受光センサ(図5(A)参照)で、波長320nm付近の光の強度を検知できるものである。光源Lは、例えばブラックライトで、少なくとも320nmの波長成分を含む光を受光センサ1側に向かって照射する。測定対象物Sは、ホルダーHによって光源Lと受光センサ1の間に保持される。測定対象物Sは、例えば、日焼け防止剤である。また、日焼け防止剤には、波長320nmの光を吸収するパラジメチルアミノ安息香酸オクチルが含まれる。
受光センサ1は、波長320nmの光の強度を検知できるものなので、320nmの波長成分は、波長選択フィルタ20を透過して受光素子10に照射される。そして、パラジメチルアミノ安息香酸オクチルによって全部、または一部が吸収された波長320nmの光は、受光素子10によって強度が検知される。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではない。
受光層13及び吸収層23の化合物半導体材料として、さらに、SiC、サファイア、SiO2、Ga2O3、ダイヤモンド等のバンドギャップのシフトが比較的困難な材料を使用することもできる。ただし、この場合は検知したい波長を自在に変更することは困難となる。
また、実施例1〜4、6では、窓材3としてサファイアを使用したが、石英、ガラス等の透光性を有する他の材料に置き換えることができる。
また、受光素子10と波長選択フィルタ20は、別々の部材とする必要はない。例えば、図12(B)に示すように、受光素子10上に吸収層23をエピ成長によって積層しても、上記各実施例と同様の効果を得ることができる。
2 筐体
3 窓材
4 端子
10 受光素子
11 基板
12 バッファ層
13 受光層
14 電極
15 電極
20 波長選択フィルタ
21 基板
22 バッファ層
23 受光層
L 光源
H ホルダー
S 測定対象物
Claims (8)
- 波長選択フィルタを透過してきた光の強度が受光素子によって検知されるようになっている受光センサであって、
前記受光素子は第1の化合物半導体材料からなる受光層を含み、前記波長選択フィルタは第2の化合物半導体材料からなる吸収層を含み、
前記第2の化合物半導体材料のバンドギャップが、前記第1の化合物半導体材料のバンドギャップと実質同一であることを特徴とする受光センサ。 - 波長選択フィルタを透過してきた光の強度が受光素子によって検知されるようになっている受光センサであって、
前記受光素子は第1の化合物半導体材料からなる受光層を含み、前記波長選択フィルタは第2の化合物半導体材料からなる吸収層を含み、
前記第2の化合物半導体材料のバンドギャップが、前記第1の化合物半導体材料のバンドギャップよりも大きいことを特徴とする受光センサ。 - 前記第1及び第2の化合物半導体材料は、それぞれ、AlxGayIn1-x-yN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1)またはZnxMgyCd1-x-yO(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1)のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の受光センサ。
- 前記第1及び第2の化合物半導体材料が同一であることを特徴とする請求項1または2に記載の受光センサ。
- 前記受光層の膜厚に対する前記吸収層の膜厚の比が0.2〜10.0であることを特徴とする請求項1または2に記載の受光センサ。
- 前記波長選択フィルタは、サファイア、石英、ガラスの群から選択された基板の表面に前記第2の化合物半導体材料を積層したものであることを特徴とする請求項1または2に記載の受光センサ。
- 前記基板の裏面がすりガラス状に加工されていることを特徴とする請求項6に記載の受光センサ。
- 測定対象物に含まれる特定成分の多寡を検知するための分析装置であって、
請求項1〜7のいずれかに記載された、波長選択フィルタ及び受光素子からなる受光センサと、
前記受光センサが検知し得る波長を含む光を、前記波長選択フィルタ側から前記受光素子に向かって照射する光源と、
前記光源と前記波長選択フィルタの間、または前記波長選択フィルタと前記受光素子の間に前記測定物を保持するホルダーと、
を備え、
前記受光センサが検知し得る光の波長が、前記特定成分によって吸収される光の波長を含むように設定され、前記特定成分によって吸収されなかった光の強度が前記受光センサによって検知されることを特徴とする分析装置。
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2007
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