JP2009123336A - 強誘電体微細構造体及びその製造方法、並びに記録再生方式 - Google Patents

強誘電体微細構造体及びその製造方法、並びに記録再生方式 Download PDF

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Abstract

【課題】 データの超高密度記録等への応用が期待できる、強誘電体材料からなる微細構造体及びその製造方法、並びにその微細構造体に対し情報の記録と再生を行う方式を提供すること。
【解決手段】 下部電極1の上に、細孔3を有する細孔構造体2を形成し、細孔3の中に強誘電体材料を充填し、強誘電体材料の微細なドットを形成する。このドットは、例えば、直径が100nm以下、配列間隔が100nm以下の2次元の周期的なナノ構造を有し、各ナノドットが強誘電体特有の電荷の蓄積によるP-Eヒステリシス特性を示し、メモリとして用いることができる。細孔構造体2は、ブロックコポリマーのポリマー鎖の一部がドット状に凝集したミクロ相分離構造体のドット部分をエッチング除去して形成する。上記メモリへの書き込みと読み出しは、カンチレバー探針を上部電極とする電圧の印加と電位等の検出によって行う。
【選択図】 図4

Description

本発明は、データの超高密度記録等への応用が期待できる、強誘電体からなる微細構造体及びその製造方法、並びにその微細構造体に対し情報の記録と再生を行う方式に関するものである。
本発明は、強誘電体からなる微細構造体に関するものであるが、その大きさを特に限定するものではない。しかしながら、例えばナノサイズの、でき得るかぎり微細な構造体を作製することを1つの目標としており、また、近年、ナノサイズの構造体に関する関心が高まっていることから、ナノサイズの微細構造体を中心に技術的な背景を述べる。
なお、本明細書では、1nm以上、1μm未満程度の大きさを「ナノサイズ」と呼び、その特徴的な大きさがナノサイズであるものを呼ぶのに、接頭語「ナノ」を用いることにする。例えば、ナノ粒子とは、直径がナノサイズである粒子のことであり、ナノホールとは、孔径や深さがナノサイズである細孔のことであり、ナノ構造体とは、その構造体の特徴をなす構造の大きさがナノサイズである構造体のことである。
近年、CPU(Central Processing Unit)やネットワークの高速化により、情報機器で扱われるデータ量が急速に増大しており、それに伴いデータを格納するストレージデバイスの大容量化が求められている。具体的には、2005年から2010年までの間に、数百Gb/inch2〜1Tb/inch2の大容量ストレージデバイスが必要となる。このような高密度メモリを実現するためには、1ビット当たりのサイズが数nm〜数十nmの記憶ビットを規則正しく高密度に形成する、ナノサイズの加工技術が必要となる。
例えば、今後の進展が期待される電子機器のひとつとしてデジタル携帯端末があるが、大容量の動画情報等のデータファイルを収納するストレージを構成するには、大容量(10GB超)で、小型で、消費電力が少ないメモリデバイス、或いはストレージデバイスが期待される。
既存の技術では、500円硬貨サイズで500MB程度の容量を有するハードディスクが既に開発されており、前述のような用途に適用できる見込みがある。しかし、ハードディスクには消費電力が大きいというデメリットがあり、上記のハードディスクの消費電力は現状で1W以上である。このため、バッテリで駆動する場合には、ハードディスクの消費電力は大きな負担となり、ハードディスクを備えた携帯機器等を駆動できる時間が短くなるという問題が生じる。
また、消費電力が少ない、フラッシュメモリに代表される半導体不揮発性メモリは、集積化が進み、最近では各種携帯機器、特に携帯電話のメモリとして用いられている。しかしながら、現在、その記憶容量は、製品レベルで256Mbit〜1Gbitであり、今後の高集積化・多値化の進行にもよるが、現状では、前述の大容量ストレージを構成するには多数のチップの実装が必要となり、小型軽量であることが望まれるPDA(Personal Digital Assistant)機器へ適用するにはふさわしくない。また、今後の集積化の進展とその時期も考慮する必要があり、例えば、4Gbチップが商品化されるのは、2006〜2007年と予想されており、前述のストレージデバイスの大容量化に対応できない。
一方、近年、成膜技術の進歩に伴い、強誘電体薄膜を用いた不揮発性の強誘電体メモリ(Ferroelectric Random Access Memories:FeRAM)の開発が盛んに行われている。この強誘電体メモリは、強誘電体薄膜の誘電分極とその特徴である高速分極反転とを利用することにより、記憶情報の高速書き換えが可能である。また、電源を切ると書き込まれていた情報が消えてしまう従来のDRAM(Dynamic Random Access Memories)やSRAM(Static Random Access Memories)等の揮発性メモリとは異なり、電源を切っても書き込まれていた情報が消えないという利点を有する。
このメモリは、不揮発性であることに加えて、高速アクセスが可能で、小型で、低消費電力であるという特徴を有していることから、例えば、ファイルの記録やレジューム機能を有する各種電子機器、携帯用コンピュータや携帯電話、ゲーム機の主記憶装置としての利用、或いは音声や映像を記録するための記録メディアとしての利用が期待されている。
しかし、上述の強誘電体材料の高速分極反転を活かした強誘電体メモリ(FeRAM)の集積度は、将来向上する潜在的な可能性はあるものの、現時点ではDRAMやフラッシュメモリ等の集積度にはるかに及ばない。
以上のように、次世代PDA等に望まれるスペックを満たすようなストレージデバイスは存在していない。
次に、強誘電体メモリの集積度の向上に有用な、強誘電体材料の微細加工技術について検討してみる。近い将来に数百Gb/inch2〜1Tb/inch2の高密度メモリを実現するためには、1ビット当たり数nm〜数十nmの記憶ビットを規則正しく高密度にて形成する、いわゆるナノ加工技術が必要となる。
一般的な微細加工技術の方法としては、従来から半導体加工技術に用いられているフォトリソグラフィーをはじめとして、電子線リソグラフィーやX線リソグラフィーなどが挙げられる。光学的なリソグラフィーは、100nm程度の構造パターンを形成できるまで技術が進展しているものの、数nm〜数十nmのナノ構造パターンの形成に適用するのは困難である。従って、上記のような微細寸法の加工を行う方法として、現状では電子線リソグラフィーによる直接描画が最も一般的な方法である。
電子線直接描画によって強誘電体材料の微細ドットを作製した例としては、Alexeらの報告(Applied Physics Letters,75 (1999),p.1793-1795)が挙げられる。この報告では、強誘電体材料としてチタン酸ジルコン酸鉛PZT(Pb(TixZr1-x)O3)およびSBT(SrBi2Ta2O9)について、およそ100nmのドットを形成し、そのドメイン反転を確認している。同じく電子線直描により、岡村らは、150nmのBi4Ti3O12の微細構造を形成している(Integrated Ferroelectrics,18 (1997),311)。その他、Stanishevskyらは、収束イオンビーム(FIB)を用いて130nmのPZT微細ドットを作製している(J. Vac. Sci. Technol.,B16 (1998),3899)。
上記のような加工技術によって作製できる微細構造のサイズの限界は、電子線の解像度の限界によって決まるが、今のところ、100nm以下のサイズを実現することは難しい。100nm前後の微細ドットを1bit/1dotとした場合に得られる集積度は、磁気・光記録の面密度で考えるとおよそ数十Gbit/inch2となり、これは、半導体メモリのデザインルールを基本に考えると、およそ64MB〜1Gbに相当する。
今後は、記憶ビットとなるメモリ材料のナノ構造体を低コストで形成できるナノ構造体作製技術の開発がキーテクノロジーとなってくる。リソグラフィーは、今後の電子線リソグラフィーやX線リソグラフィーの技術の進展にもよるが、パターンが微細化するほど歩留まりが低下し、コストが高くなるという問題点がある。
一方、上述のようなトップダウン的な微細加工技術に加えて、最近、原子や分子によって自発的に形成される規則的な微細構造を利用する、いわゆる、自己組織化によるボトムアップ的な方法によって、ナノサイズの微細構造を形成する試みがなされている。自己組織化によって形成されたナノ構造体は、そのまま用いてもよいし、形成されたナノ構造体をテンプレート(型枠)としてさらに他の材料をナノ加工してもよい。
そのような自己組織化によるナノ構造体の製造方法の1つとして、ナノサイズの細孔を有する構造体を、陽極酸化によって制御性よく作製する方法が挙げられる。例えば、金属アルミニウムを酸性電解質水溶液中で陽極酸化すると、ナノサイズの細孔を有する多孔質酸化膜を形成することができる。この陽極酸化によるアルミナの製造方法は古くから知られているが、最近になって、生成する細孔の配列の周期性を制御する試みがなされており、例えば、Masudaらによる報告(Applied Physics Letters,71 (1997),p.2770-2772)、或いはLiらによる報告(Advanced Materials,11 (1999),p.483-487)がある。
陽極酸化によって形成されるアルミナは、作製条件を最適化することにより、直径数十nm〜数百nmの微細な円柱状の細孔が、数十nm〜数百nmの間隔で平行に配列するという特異な幾何学的形状を示す特徴をもつ。この細孔の直径及び間隔は、陽極酸化時の電流と電圧を調節することによって、生成する多孔質酸化膜の厚さを制御することができ、また、陽極酸化の時間を調節することによって、細孔の深さを制御することができる。
例えば、後述の特許文献1において、導電性下地層の上に中間層と金属アルミニウム層とを積層して成膜した積層体を陽極酸化して、導電性下地層の上にアルミナのナノホール構造体を作製した例が開示されている。
この特許文献1では、導電性下地層として、銅、白金等の貴金属、それらの合金、あるいはグラファイトやシリコン等の半導体材料が用いられ、中間層としてTi、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、及びSiからなる群から選ばれた元素の単体或いは前記の群から選ばれた2種以上の元素を含む合金が用いられ、中間層が陽極酸化されて形成された中間酸化物層が、導電性下地層とアルミナ層との接合強度を高める働きがあることが報告されている。
また、後述の特許文献2には、特許文献1と同じ出願人によって、ペロブスカイト型酸化物の表面に形成した陽極酸化アルミナ層のナノホールにペロブスカイト型酸化物を充填して、ペロブスカイト型酸化物のナノ構造体を形成した例が開示されている。
自己組織化によるナノ構造体の製造方法の他の例として、化学的性質の異なる複数種のポリマー鎖が共有結合で連結されたブロックコポリマーを用いる方法がある。ブロックコポリマーからなる薄膜は、数十nm程度の周期を持つミクロ相分離構造と呼ばれる規則的な相分離構造を形成するため、メモリ材料の空間配置や配列の制御を行うテンプレート(型枠)として利用することができる。
通常のポリマーは、1種類のポリマー鎖からなる。例えば、2種類のポリマーが、それぞれ、化学的性質が異なり、互いに混ざり合わない2種類のポリマー鎖からなり、それらが混合状態から2相に相分離する場合、性質が異なる2種類のポリマー鎖は連結されていないから、それぞれ別々の相に移動して完全に2相に分離し、分子の大きさを超えた大きさの相分離構造(マクロ相分離構造)を形成する。マクロ相分離構造では、揺らぎの発生のスケールが1μm程度の大きさであるため、各相が形成する単位セルの大きさは1μm程度以上である。
これに対し、ブロックコポリマーでは、1つの分子鎖の中に互いに混ざり合わない複数種のポリマー鎖が、共有結合で連結されて存在する。このため、同種ポリマー鎖どうしは分子間で凝集して1つの相(ドメイン)を形成し、複数種のポリマー鎖がそれぞれ異なる相に分離した相分離構造を形成するものの、異種のポリマー鎖どうしが連結されているため、隣接する2種の相の(中心間の)距離が分子鎖の長さを超えて離れることはない。この結果、大きさがポリマー鎖の長さ(数nm〜数十nm)の2倍程度の微細な相(ドメイン)が多数、分子鎖の長さ(数nm〜100nm)の2倍程度の間隔(ピッチ)で周期的に配列する微視的な相分離構造(ミクロ相分離構造)が形成される。
ブロックコポリマーが形成する、ミクロ相分離構造は、微細な相(ドメイン)が多数、非常に規則的に配列した形態を示すため、ナノサイズの規則的な構造を容易に得ることができる。ドメインの大きさと間隔(ピッチ)は、各ポリマー鎖の長さと分子全体の分子鎖の長さとを調節することで制御することができる。
図5は、後述する例2に基づき形成されるミクロ相分離構造体を示す説明図である。ブロックコポリマーは、図5(a)に示すように、ポリスチレン(PS)鎖からなる無極性のポリマー鎖Aと、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)鎖からなる極性のあるポリマー鎖Bとが連結されたダイブロックコポリマーである。説明のため、ここではポリマー鎖B(PMMA鎖)の方がポリマー鎖A(PS鎖)より短いものとする。逆の場合は、ポリスチレン鎖とポリメタクリル酸メチル鎖とを置き換えて考えればよい。
このダイブロックコポリマーでは、無極性のポリマー鎖Aと極性のあるポリマー鎖Bとが混ざり合わないため、図5(b)に示すミクロ相分離構造が形成される。この際、ポリマー鎖Bの方がポリマー鎖Aより短いので、ポリマー鎖Bが凝集して形成される相(ドメイン)がドット状になり、ポリマー鎖Aが凝集して形成される相(ドメイン)はそのドットを取り囲む形状になる。
図5(c)は、全体の構造を示す概略平面図である。全体は、いわゆる多粒の状態であり(結晶の多結晶の状態に相当する。)、多数の粒状領域(グレイン)に分かれ、全体としての規則性はないが、1つの粒状領域(グレイン)内では、ポリマー鎖Bがつくるドット状ドメインは、例えば六方最密格子状に、規則正しく配列している。1つの粒状領域(グレイン)の大きさは、例えば縦に10個、横に10個、全体で100個程度のドメインがおさまる程度の大きさである。
こうしたブロックコポリマーのミクロ相分離構造体を利用して、多孔質微細構造体又はドット状微細構造体を作製した例が報告されている。
例えば、P. Manskyらは、Appl. Phys. Lett.,Vol.68 (1996), No.18, p.2586〜2588において、次のようなパターン形成方法を報告している。この方法においては、まず、ポリスチレン鎖とポリイソプレン鎖とからなるブロックコポリマーを用いて、ドット状に点在するポリイソプレン鎖凝集部分と、それを取り囲むように面状に広がるポリスチレン鎖凝集部分とからなるミクロ相分離膜を基板上に形成する。次いで、ドット状のポリイソプレン鎖凝集部分をオゾン酸化によって分解して除去することにより、多孔質膜を形成する。こうして得られた多孔質膜をマスクとして用いて基板をエッチングすることによって、ミクロ相分離構造を転写して多孔質パターンを基板に形成する。
また、M.Parkらは、Science, vol.276 (1997), p.1401〜1404において、ポリスチレンとポリイソプレンとのブロックコポリマーを用いたパターン形成方法を報告している。この方法においては、まず、基板上に、前述のブロックコポリマーからなるミクロ相分離膜を形成する。次いで、気相反応によりドット状に点在するポリイソプレン相に酸化オスミウムを導入して、エッチング耐性を向上させる。その後、酸化オスミウムが選択的にドープされたポリイソプレン相をマスクとして用いて、エッチングを行うことにより基板上にドット状パターンを転写する。
こうしたブロックコポリマーのミクロ相分離構造を利用した多孔質微細構造体又はドット状微細構造体の作製は、リソグラフィー技術と比較して簡便で低コストである。しかし、このような方法によって強誘電体微細構造体を作製した例は報告されていない。
前述したように、次世代PDA等に適用可能なストレージデバイスの登場が期待されるが、現状においては、望まれるスペックを満たすようなストレージデバイスは存在しておらず、新しい大容量ストレージを実現するような新技術が必要である。
本発明の目的は、上記のような実情に鑑み、データの超高密度記録等への応用が期待できる、強誘電体材料からなる微細構造体及びその製造方法、並びにその微細構造体に対し情報の記録と再生を行う方式を提供することにある。
即ち、本発明は、電極に接して形成された細孔構造体の細孔内に強誘電体材料が存在して、微細なドットを形成している、強誘電体微細構造体であって、
ブロックコポリマーがドット状に凝集した部分と他の凝集部分とに相分離してなるミ クロ相分離構造体において、前記ドット状に凝集した部分の少なくとも一部を除去する ことによって、前記細孔構造体が形成されている、
強誘電体微細構造体に係わるものである。
電極に接して強誘電体材料の微細なドットを有する、強誘電体微細構造体を製造するには、電極に接して金属アルミニウム層を形成する工程と、前記金属アルミニウム層を陽極酸化して細孔構造体を形成する工程と、この細孔構造体の細孔に強誘電体材料を充填する工程とを行う、強誘電体微細構造体の第1の製造方法が考えられる。ここで、前記金属アルミニウム層を形成して陽極酸化する代わりに、アルミニウム−ハフニウム合金層、又はアルミニウム−ハフニウム合金層と金属アルミニウム層との積層体を形成して、これを陽極酸化してもよい。
本発明では、ブロックコポリマーがドット状に凝集した部分と他の凝集部分とに相分離してなるミクロ相分離構造体を電極に接して形成する工程と、前記ミクロ相分離構造体の前記ドット状に凝集した部分の少なくとも一部を除去して細孔構造体を形成する工程と、この細孔構造体の細孔に強誘電体材料を充填する工程とを行うことによって、強誘電体微細構造体を製造する。
本発明はまた、電極に接して絶縁層が形成され、ブロックコポリマーがドット状に凝集した部分と他の凝集部分とに相分離してなるミクロ相分離構造体が前記絶縁層に接して形成され、前記ミクロ相分離構造体の前記ドット状に凝集した部分の少なくとも一部を除去して第1の細孔構造体が形成され、この第1の細孔構造体をマスクとして前記絶縁層をエッチングして第2の細孔構造体が形成され、この第2の細孔構造体の細孔に強誘電体材料が充填されている、強誘電体微細構造体、及びその製造方法を提供するものである。
また、電極に接して強誘電体層が形成され、ブロックコポリマーがドット状に凝集した部分と他の凝集部分とに相分離してなるミクロ相分離構造体が前記強誘電体層に接して形成され、前記ミクロ相分離構造体の前記他の凝集部分を除去してブロックコポリマーのドット状構造体が形成され、このブロックコポリマーのドット状構造体をマスクとして前記強誘電体層をエッチングして強誘電体材料のドット状構造体が形成されている、強誘電体微細構造体、及びその製造方法も提供するものである。
また、本発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載した強誘電体微細構造体の個々の強誘電体ドットに対して、探針と前記電極との間に電圧を印加し、前記強誘電体ドットの自発分極の反転を誘起し、これを記録ビットとする、記録方式に係わり、また、前記探針を前記電極の対向電極として、前記強誘電体ドットの表面電位又は静電容量の変化を検出して、前記記録ビットを再生する、再生方式に係わるものである。
本発明の強誘電体微細構造体は、電極に接して強誘電体材料の微細なドットが形成された構造を有し、この強誘電体ドットは、強誘電体特有の電荷の蓄積による誘電率−電界強度ヒステリシス特性を示し、記憶情報の高速書き換えが可能で、消費電力の少ない不揮発性メモリとして利用可能である。前記ドットの直径が100nm以下、配列間隔が100nm以下の2次元ナノ構造を形成できれば、従来にない高密度・大容量のメモリ装置又はストレージデバイスを形成可能である。
上述した強誘電体微細構造体の製造方法では、電極に接して金属アルミニウム層を形成する工程と、前記金属アルミニウム層を陽極酸化する工程とを行うので、前記電極に接して前記陽極酸化アルミナからなる細孔構造体を確実に形成することができ、更に前記細孔構造体の細孔に強誘電体材料を充填する工程を行うので、例えば直径100nm以下のナノドットを有する前記強誘電体微細構造体を確実に作製することができる。ここで、前記金属アルミニウム層を形成してこれを陽極酸化する代わりに、アルミニウム−ハフニウム合金層、又はアルミニウム−ハフニウム合金層と金属アルミニウム層との積層体を形成して、これを陽極酸化してもよい。
本発明の強誘電体微細構造体及びその製造方法によれば、ブロックコポリマーがドット状に凝集した部分と他の凝集部分とに相分離してなるミクロ相分離構造体を電極に接して形成し、前記ミクロ相分離構造体の前記ドット状に凝集した部分の少なくとも一部を除去して細孔構造体を形成する工程とを行うので、前記電極に接して前記細孔構造体を確実に形成することができ、更に前記細孔構造体の細孔に強誘電体材料を充填するので、例えば直径100nm以下のナノドットを有する前記強誘電体微細構造体を確実に作製することができる。
本発明の別の強誘電体微細構造体及びその製造方法によれば、電極に接して絶縁層を形成し、ブロックコポリマーがドット状に凝集した部分と他の凝集部分とに相分離してなるミクロ相分離構造体を電極に接して形成し、前記ミクロ相分離構造体の前記ドット状に凝集した部分の少なくとも一部を除去して第1の細孔構造体を形成し、この第1の細孔構造体をマスクとして前記絶縁層をエッチングして第2の細孔構造体を形成するので、前記絶縁層上に前記第2の細孔構造体を確実に形成することができ、更に前記第2の細孔構造体の細孔に強誘電体材料を充填する工程を行うので、例えば直径100nm以下のナノドットを有する前記強誘電体微細構造体を確実に作製することができる。
本発明の更に別の強誘電体微細構造体及びその製造方法によれば、電極に接して強誘電体層を形成し、ブロックコポリマーがドット状に凝集した部分と他の凝集部分とに相分離してなるミクロ相分離構造体を前記強誘電体層上に形成し、前記ミクロ相分離構造体の前記他の凝集部分を除去してブロックコポリマーのドット状構造体を形成するので、前記強誘電体層上に前記ブロックコポリマーのドット状構造体を形成することができ、更に前記ドット状構造体をマスクとして前記強誘電体層をエッチングする工程を行うので、例えば直径100nm以下のナノドットを有する前記強誘電体微細構造体を確実に作製することができる。
本発明の強誘電体微細構造体の製造方法によれば、従来のリソグラフィーによる微細加工技術によっては作製できないサイズの強誘電体ナノドットを作製することができ、高価な設備を用いずに、能率よく、低コストで強誘電体微細構造体を作製することができる。
また、本発明の記録方式および再生方式によれば、前記強誘電体微細構造を更に手を加えることなくメモリとして利用することを可能にする方式であり、メモリの低コスト化を可能にする。
本発明の実施の形態を説明するための強誘電体微細構造体の構造を示す概略斜視図である。 同、強誘電体微細構造体の構造を示す概略断面図である。 同、強誘電体微細構造体の作製工程を示す概略断面図である。 本発明の実施例による強誘電体微細構造体の作製工程を示す概略断面図である。 同、ブロックコポリマーの構造(a)と、ミクロ相分離構造体(b、c)の構造を示す説明図である。 同、PMMA鎖凝集部の除去前後における、ブロックコポリマー表面のAFM観察像である。 本発明の他の実施例による強誘電体微細構造体の作製工程を示す概略断面図である。 本発明の更に他の実施例による強誘電体微細構造体の作製工程を示す概略断面図である。
本発明において、前記電極に接して形成された細孔構造体の細孔内に前記強誘電体材料が存在して、前記ドットを形成しているのがよい。
ここで、前記細孔構造体が、金属アルミニウム層が陽極酸化されて形成された細孔構造体、或いは、前記金属アルミニウム層の代わりに、アルミニウム−ハフニウム合金層、又は、アルミニウム−ハフニウム合金層と金属アルミニウム層との積層体が陽極酸化されて形成された細孔構造体であることが考えられる。
前記細孔構造体の前記細孔の少なくとも一部が拡幅加工されているのもよい。これにより、より複雑な構成を有する材料、例えば、電極と各種機能性材料との積層体等を拡幅された前記細孔内に埋め込み、より多機能な強誘電体微細構造体を形成することができる。この前記細孔の拡幅加工は、リン酸、シュウ酸、硫酸等の水溶液を用いたエッチングによって行うのがよい。
また、前記細孔構造体が、ブロックコポリマーがドット状に凝集した部分と他の凝集部分とに相分離してなるミクロ相分離構造体において、前記ドット状に凝集した部分の少なくとも一部を除去することによって形成された細孔構造体であるのがよい。ポリマーは容易に取り除くことができるので、最終的には前記強誘電体材料からなる前記ドットのみを残し、前記細孔構造体は除去したい場合等に特に好都合である。
また、前記ブロックコポリマーから形成された第1の細孔構造体をマスクとして用い、絶縁層の一部をドット状に除去することによって、第2の細孔構造体として前記細孔構造体を形成するのがよい。この場合、前記絶縁層は酸化シリコン等からなるのがよい。
また、前記ドット又は前記細孔の直径が5〜200nm、より望ましくは10〜150nm、更に望ましくは30〜100nmであるのがよい。直径が小さすぎると、前記細孔への前記強誘電体材料の充填が難しくなるなどの加工上の問題が生じ、また、前記強誘電体材料のメモリ機能などの機能が安定に発揮されなくなる不都合がある。直径が大きすぎると、前記強誘電体材料の前記ドットの面密度が減少して大容量のメモリ等を形成できなくなる。
また、前記細孔の配列が周期性を有するのがよい。メモリ等への応用を考えると、規則的に配置された前記細孔である方が、記録再生動作を行う上で好都合である。
本発明において、前記強誘電体材料が、無機酸化物又は有機高分子強誘電体材料であるのがよい。具体的には、PZT類Pb(TixZr1-x)O3、ビスマス層状強誘電体類SrBi2Ta29や(BixLa1-x)4Ti312、チタン酸バリウムBaTiO3、チタン酸鉛PbTiO3、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム等や、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデンと三フッ化エチレンの共重合体(PVDF/TrFE)、フッ化ビニリデンのオリゴマー等である。
また、前記細孔に前記強誘電体材料のナノ微粒子が充填されているのがよい。ナノ粒子であれば、例えば分散液の状態で前記細孔内に充填できるメリットがある一方、既に必要な機能を有する材料として導入でき、充填後の熱処理等が不要になり、基板等への負担が小さくなるメリットもある。また、ナノ粒子には、その大きさに起因する特殊な物性を示すものがあり、そのような特殊な物性を利用できるメリットもある。
前記探針としてカンチレバー探針電極を用いるのがよい。また、前記探針としてのカンチレバー探針電極を前記強誘電体ドットに対して接触又は非接触状態で相対移動させるのがよい。
次に、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態を理解するための強誘電体微細構造体の構造を示す概略斜視図である。この例では、金属材料や半導体材料からなる下部電極1の上に、微細な細孔を有する細孔構造体2が形成され、その細孔3の中に図示を省略した強誘電体材料が充填され、一つ一つの独立した強誘電体の微細なドットが形成されている。
この強誘電体の微細なドットは、例えば、直径が100nm以下、配列間隔が100nm以下の2次元の周期的なナノ構造を有し、各ナノドットが強誘電体特有の電荷の蓄積によるP−Eヒステリシス特性を示すことを特徴とする。
ここで、細孔構造体2が、金属アルミニウム層が陽極酸化されて形成された細孔構造体、或いは、金属アルミニウム層の代わりに、アルミニウム−ハフニウム合金層、又は、アルミニウム−ハフニウム合金層と金属アルミニウム層との積層体が陽極酸化されて形成された細孔構造体であるのがよい。この際、前記細孔構造体の前記細孔の少なくとも一部が拡幅加工されているのもよい。これにより、より複雑な構成を有する材料、例えば、電極と各種機能性材料との積層体等を拡幅された前記細孔内に埋め込み、より多機能な強誘電体微細構造体を形成することができる。この前記細孔の拡幅加工は、リン酸、シュウ酸、硫酸等の水溶液を用いたエッチングによって行うのがよい。
また、細孔構造体2が、ブロックコポリマーがドット状に凝集した部分と他の凝集部分とに相分離してなるミクロ相分離構造体において、ドット状に凝集した部分の少なくとも一部を除去することによって形成された細孔構造体であってもよい。
また、ブロックコポリマーから形成された第1の細孔構造体をマスクとして用い、絶縁層の一部をドット状に除去することによって、第2の細孔構造体として細孔構造体2を形成してもよい。この場合、絶縁層は酸化シリコン等からなるのがよい。
強誘電体材料は、無機酸化物又は有機高分子強誘電体材料であるのがよい。具体的には、PZT類Pb(TixZr1-x)O3、ビスマスBiの層状強誘電体類SrBi2Ta29や(BixLa1-x)4Ti312、チタン酸バリウムBaTiO3、チタン酸鉛PbTiO3、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム等や、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデンと三フッ化エチレンの共重合体(PVDF/TrFE)、フッ化ビニリデンのオリゴマー等である。
微細構造体2のナノサイズの細孔3の中に強誘電体を充填する方法としては、溶液を用いる方法、ガスあるいはミストを用いる方法、あるいはナノ微粒子を用いる方法等を適用することができる。
溶液を用いる場合では、陽極酸化アルミナやブロックコポリマーによるナノホール構造体を、一般的にスピンコート法による薄膜形成に用いられるゾル・ゲル溶液、もしくは、MOD(Metal Organic Decomposition)溶液に浸漬し、キャピラリー現象を利用してナノホール内に溶液を充填する。その後、熱処理によって結晶化を促し、所望の特性を有する強誘電体結晶を形成することが可能である。
ガスあるいはミストを用いる場合は、一般的な薄膜形成に用いられるCVD法(Chemical Vapor Deposition)の装置、あるいは、ミストCVD法の装置を用いて、ナノホール内にガスが侵入するように反応ガスの圧力等の成膜条件を調節する。これによって、ナノホール内に強誘電体結晶、もしくは、前駆体となるアモルファス酸化物を形成することが可能である。或いは、蒸着源に対してパルスレーザー光を照射して、蒸発又は昇華した蒸気を蒸着するPulsed Laser Deposition(PLD)法によって充填してもよい。
ナノ微粒子を充填する場合には、水熱合成法やミセル法によって予め形成した数nm〜数十nmの強誘電体微粒子を溶媒中に分散させた分散液を調整し、ナノホール構造体を有する基板を浸漬した後、徐々に引き上げることによって、ナノホール内への強誘電体微粒子の充填が可能である。充填後に熱処理を加えることにより、ナノホールに一体化した強誘電体結晶を形成することができる。
図2は、別の強誘電体微細構造体の構造を示す概略断面図である。この例では、金属材料や半導体材料からなる下部電極1の上に、一つ一つ独立した強誘電体の微細なドット4が形成されている。
この強誘電体の微細なドット4は、例えば、直径が100nm以下、配列間隔が100nm以下の2次元の周期的なナノ構造を有し、各ナノドットが強誘電体特有の電荷の蓄積によるP−Eヒステリシス特性を示すことを特徴とする。
図2に示した強誘電体微細構造体は、下部電極1の上に、微細な細孔を有する細孔構造体を形成し、その細孔の中に強誘電体材料を充填して強誘電体の微細なドット4を形成した後、この細孔構造体を除去することによって形成する。この細孔構造体は、ブロックコポリマーがドット状に凝集した部分と他の凝集部分とに相分離してなるミクロ相分離構造体において、ドット状に凝集した部分の少なくとも一部を除去することによって形成された細孔構造体であるのがよい。
或いは、下部電極1の上に強誘電体層を形成し、その上にドット状構造体を形成し、更にこのドット状構造体をマスクとして強誘電体層を選択的にエッチングすることによって形成する。このドット状構造体は、ブロックコポリマーがドット状に凝集した部分と他の凝集部分とに相分離してなるミクロ相分離構造体を強誘電体層の上に形成し、ミクロ相分離構造体の他の凝集部分を除去することによって形成された、ドット状構造体であるのがよい。
強誘電体材料は、無機酸化物又は有機高分子強誘電体材料であるのがよい。具体的には、PZT類Pb(TixZr1-x)O3、ビスマス層状強誘電体類であるSrBi2Ta29や(BixLa1-x)4Ti312、チタン酸バリウムBaTiO3、チタン酸鉛PbTiO3、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム等や、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデンと三フッ化エチレンの共重合体(PVDF/TrFE)、フッ化ビニリデンのオリゴマー等である。
次に、本発明の好ましい実施例を図面参照下に詳細に説明する。
例1(陽極酸化アルミナによるナノホール構造体の形成と、そのナノホールへの液相法による強誘電体PZTの充填)
この例では、シリコン基板11の上に下部電極として形成した白金層14の上に金属アルミニウム層15を形成し、これを陽極酸化して陽極酸化アルミナ層16を形成し、アルミナ層16中のナノホール18に液相法によってPZTを充填して強誘電体ナノドット19を作製し、メモリ素子として書き込み動作と読み出し動作を行わせた例について説明する。
図3は、陽極酸化アルミナを細孔構造体として用いて、強誘電体ナノドット19を作製する工程を説明する概略断面図である。
<陽極酸化アルミナによるナノホール構造体の形成>
まず、シリコンSi基板11を熱酸化して、その表面に絶縁層として酸化シリコンSiO2層12を形成した。次に、そのシリコン基板(Si/SiO2)の上に、白金層14との密着性を高めるためにチタンTiもしくは酸化チタンTiO2層13を形成し、更にその上に白金層14を形成した。
次に、図3(b)に示すように、そのシリコン基板(Si/SiO2/Ti/Pt、またはSi/SiO2/TiO2/Pt)の上にアルミニウムAl層15をRF(Radio Frequency)スパッタリングにより形成した。このときアルミニウム層15の膜厚は約200nmとした。
次に、図3(c)に示すように、電解液として0.3Mのシュウ酸水溶液を用い、恒温槽によりシュウ酸水溶液を15℃に保ちながら、アルミニウム層15を陽極酸化して、図3(c)に示すように、陽極酸化アルミナ16からなるナノホール構造体を形成した。本実施例において、陽極酸化電圧はDC50Vとし、ナノホール17が成長して下部白金電極14に到達するまで陽極酸化を行った。ナノホール17が白金電極14に到達したことは、モニターしている電気分解の電流値がそれに伴って変化することで確認した。陽極酸化後、純水、及び2-プロパノール(イソプロピルアルコール)による洗浄を行った。
次に、図3(d)に示すように、上記の陽極酸化により形成されたナノホール17の孔径を拡大するために、5質量%リン酸溶液中に20分間浸漬し、孔径を約100nmとした。以上の酸化工程により、直径約100nm、深さ約200nmのナノホール18を有するナノホール構造体を作製した。
<液相法によるナノホール18への強誘電体材料の充填>
次に、図3(e)に示すように、強誘電体のゾルゲル溶液を用いて液相法によってナノホール18へPZT(Pb(TixZr1-x)O3)を充填した。本実施例においては、エタノールとアセチルアセトンとの混合溶媒に、Pb(TixZr1-x)O3の組成がx=0.7となるようにPbOとTiO2とZrO2とを分散させた市販のゾルゲル溶液を用いた。
前処理として、表面に陽極酸化アルミナ16が形成されたシリコン基板(Si/SiO2/Ti/Pt/Al2O3、またはSi/SiO2/TiO2/Pt/Al2O3)をエタノールに約10分間浸漬した。その後、シリコン基板を上記のゾルゲル溶液に室温にて約30分間浸漬した。このとき、表面張力とキャピラリー効果によりナノホール18の中にゾルゲル溶液が入り込む。ここで、アルミナナノホール18内でのゾルゲル溶液へのぬれ性がエタノールによる前処理によって向上しているため、ナノホール18内へのゾルゲル溶液の均一な塗布を実現できる。
続いて、ゾルゲル溶液からシリコン基板を取り出し、200℃のホットプレートによって約10分間加熱して溶媒を蒸発除去した後、更にファーネスアニール装置にて、酸素雰囲気下、700℃において1時間アニール処理してPZTの結晶化を促した。
このようにして得られたサンプルをX線回折により観察し、ナノホール18内に(001)に配向したPZT結晶が生成していることを確認した。
<自発分極を利用した記録ビットの書き込みと読み出し>
次に、得られた強誘電体PZTの個々のナノドット19に対し、SPM(Scanning Probe Microscope)を用いて、カンチレバー探針を上部電極として自発分極の反転を誘起しドメイン反転を行い、メモリ素子として書き込み動作と読み出し動作を行わせた。
SPMのカンチレバーを電源ソースの正極に接続し、PZTナノドット19の下部電極である白金層14を負極に接続した。所望のナノドット19の位置にSPM探針を接触させ、DC電圧+8Vまたは−8Vを3秒間印加した。この作業を所望のナノドット19に繰り返し施すことにより、各ナノドット19に自発分極を起させ、その強誘電体ドメインをプラスまたはマイナスに分極させることができた。このようにして、自発分極を利用した記録ビットの書き込み動作が行われる。
自発分極の反転により情報が記録された記録媒体に対し、ロックインアンプに接続したカンチレバー探針電極を移動させ、接触または非接触の状態で、その表面電位、または、静電容量の変化を探針電極の微小変位により検出し、強誘電体ナノドット19に書き込まれた信号の読み出しを行った。
例2(陽極酸化アルミナによるナノホール構造体の形成と、そのナノホールへの気相法による強誘電体SBTの充填)
この例では、例1と同様に、下部電極として形成した白金層の上に金属アルミニウム層を形成し、これを陽極酸化して陽極酸化アルミナ層を形成し、アルミナ層中のナノホールに強誘電体を充填するが、気相法である有機金属化学的気相成長法(MOCVD法)を用いて、SBT(SrBi2Ta2O9)を充填して強誘電体ナノドットを作製し、メモリ素子として書き込み動作と読み出し動作を行わせた例について説明する。
<陽極酸化アルミナによるナノホール構造体の形成>
まず、例1と同様の方法により、シリコン基板上に陽極酸化によるアルミナナノホール構造体を形成した。
<MOCVD法によるナノホールへの強誘電体材料の充填>
次に、アルミナナノホール構造体のナノホール18へMOCVD法により強誘電体材料SBTを充填した。その成膜条件は、
気化器温度:140℃
キャリヤガス(アルゴン)ガス流量:200cc
酸素ガス(酸化剤)流量:200cc
リアクタ内に配置された基板の温度:400℃、
リアクタ内部の圧力:1Torr
成長速度:約10nm/min
であった。
上記の条件で、2種の有機金属原料Sr[Ta2(OC25)6]2とBi(OtC49)3とを4:6の割合で供給することにより、所望のSBTの組成を実現する反応ガスをリアクタに送ることができ、SBT(SrBi2Ta2O9)のアモルファス薄膜を成長させることができた。
SBTの強誘電体特性を十分に引き出すためには、各元素の比率、すなわち組成比を精密に制御することが肝要である。ここでは、バイメタリックソースSr[Ta2(OC25)6]2を用いることでSr:Taを常に一定に保っているので、SrとTaとの組成比が成膜条件により大きく変動しない。一方、Bi源にBi(OtC49)3を用いた場合、膜中に導入されるBi量は各種成膜条件により制御することが可能である。
上述のようにして形成されたアモルファス薄膜を強誘電体膜SBTとするためには結晶化アニールを施す必要がある。典型的なアニール条件として700℃、酸素中で略1時間焼成し強誘電体膜SBTが得られた。
得られたサンプルをX線回折により観察したところ、SBTの多結晶が生成していることを確認した。
<自発分極を利用した記録ビットの書き込みと読み出し>
例1と同様の方法により、強誘電体ナノドットを記録ビットした書き込みと読み出しが可能であった。
例3(ブロックコポリマーによるナノホール構造体の形成と、そのナノホールへの気相法による強誘電体PZTの充填)
この例は本発明に基づく実施例であって、シリコン基板11の上の下部電極である白金層14の上にブロックコポリマー層21を形成し、ブロックコポリマーのミクロ相分離構造体22をエッチング処理してナノサイズの細孔23を形成し、このナノホール23に気相法であるPLD(Pulsed Laser Deposition)法によってPZTを充填して強誘電体ナノドット24を作製し、メモリ素子として書き込み動作と読み出し動作を行わせた例について説明する。
図4は、ブロックコポリマーによる細孔構造体を用いて、強誘電体ナノドット24を作製する工程を説明する概略断面図である。
<ブロックコポリマーによるナノホール構造体の形成>
まず、例1と同様に、シリコン基板11を熱酸化して酸化シリコン層12を形成し、その上に、チタンもしくは酸化チタン層13を形成し、更にその上に下部電極となる白金層14を形成した。次に、ポリスチレン(PS)鎖とポリメタクリル酸メチル(PMMA)鎖とからなり、PMMA鎖の分率が約20体積%である、平均分子量約65000のブロックコポリマーをトルエンに溶解させ、溶液の濃度を1〜10質量%に調整し、この溶液を上述の基板上にスピンコート法により塗布して、図4(a)に示すように、ブロックコポリマー層21を形成した。この際、膜厚は、ブロックコポリマー溶液の濃度やスピンコートの回転数によって制御することができる。典型的には、溶液濃度を2質量%、回転数を3000rpmとして成膜すると、厚さ約200nmの高分子層21を形成することができる。
成膜後、210℃にて4時間の熱処理を加え、更に、135℃にて40時間の熱処理を施す。これらの熱処理により、図4(b)に示すように、30nmの直径を有するドット形状のPMMA鎖凝集部22bと、ポリスチレン鎖凝集部22aに相分離したミクロ相分離構造体22が生成した。これは、AFM(Atomic Force Microscope)位相イメージングにより確認できた。
次に、上記のミクロ相分離構造を有する高分子層22に波長150nm〜400nmの光源を用いて光照射し、続いて1M酢酸中で超音波処理を10分間行い、ドット形状のPMMA鎖凝集部22bをエッチング除去した。この結果、図4(c)に示すように、PMMA鎖凝集部22bと同サイズのナノホール23(直径30nm、間隔30〜40nm、深さ100nm)を有するナノホール構造体24を形成することができた。PMMA鎖凝集部22bのエッチング除去は、Jpn. J. Appl. Phys.,Vol.41 (2002), p.6112に記述されているように、テトラフルオロメタンCF4ガスによるドライエッチングによって行うこともできる。
<PLD法によるナノホールへの強誘電体の充填>
次に、ナノホール構造体24のナノホール23にPZT(Pb(TixZr1-x)O3)をPLD法によって気相充填した方法について説明する。
Pb組成が10%過剰であり、Pb(TixZr1-x)O3(x=0.7)の組成比を有するPZTを形成するための焼成ターゲット(蒸着源)に、出力200mJのYAGレーザー(波長1064nm)をパルス照射して、焼成ターゲットに対抗する位置に設置した基板(室温)上に、PZTの薄膜を堆積させ、強誘電体ナノドット25を形成した(図4(d))。膜厚は、ブロックコポリマーの膜厚100nmを越えない膜厚として70nmとした。
PLDによって成膜後、基板をトルエン溶液中に30分間浸漬することにより、ブロックコポリマーのポリスチレン鎖凝集部22aを溶解除去した。その結果、図4(e)に示すように、下部白金電極14の上に、強誘電体PZTの、直径30nm、ドット間隔30〜40nm、高さ70nmの円柱状ナノドット25のみからなる構造体を形成できた。
続いて、ファーネスアニール装置を用いて、酸素雰囲気下、700℃において1時間アニール処理してPZTの結晶化を促した。得られたサンプルをX線回折により検査し、(001)に配向したPZT結晶が生成していることを確認した。
例1と同様の方法により、強誘電体ナノドット25を記録ビットとした書き込みと読み出しとが可能であった。
図5は、前述したように、本実施例のブロックコポリマーによって形成されるミクロ相分離構造体22を示す説明図である。ブロックコポリマーは、図5(a)に示すように、ポリスチレン(PS)鎖からなる無極性のポリマー鎖Aと、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)鎖からなる極性のあるポリマー鎖Bとが連結されたダイブロックコポリマーである。
このダイブロックコポリマーでは、ポリマー鎖Bの方がポリマー鎖Aより短いので、ポリマー鎖Bが凝集して形成される相(ドメイン)がドット状になり、ポリマー鎖Aが凝集して形成される相(ドメイン)はそのドットを取り囲む形状になる。
図6は、PMMA鎖凝集部22bの除去前後における、ブロックコポリマー表面のAFM観察像である。PMMA鎖凝集部22bの除去前におけるAFM観察像(a)では、ドット状の白点としてPMMA鎖凝集部22bが観察された。また、狭い領域では、PMMA鎖凝集部22bが周期的な配列を形成していることがわかる。PMMA鎖凝集部22bの除去後におけるAFM観察像(b)では、ドット状の白点が完全に消失しており、PMMA鎖凝集部22bにナノホール23が形成されたことがわかる。
例4(ブロックコポリマーによるナノホール構造体の形成と、酸化シリコン層へのナノホール構造の転写と、酸化シリコン膜に転写されたナノホールへの強誘電体の充填)
この例は本発明の他の実施例であって、シリコン基板11の上の下部電極である白金層14の上に酸化シリコン層31とブロックコポリマー層32を積層して形成し、例3と同様にしてブロックコポリマー層32から第1のナノホール構造体35を形成し、これをマスクとして酸化シリコン層31にドライエッチングを施すことによって下部の酸化シリコン層31に第2のナノホール36を転写し、この第2のナノホール36の中に強誘電体材料を充填して強誘電体ナノドット38を作製し、メモリ素子として書き込み動作と読み出し動作を行わせた例について説明する。
図7は、本実施例によって、強誘電体ナノドット38を作製する工程を説明する概略断面図である。
<ブロックコポリマーによるナノホール構造体の形成>
まず、例1と同様に、シリコン基板11を熱酸化して酸化シリコン層12を形成し、その上に、チタンもしくは酸化チタン層13を形成し、更にその上に下部電極となる白金層14を形成した。更にその上に、酸化シリコン層31を約200nmの厚さに形成する。酸化シリコン層31の形成は、SiH4、Si2H6等を用いるCVD法、TEOS(Tetraethyl-ortho-silicate)を用いる有機金属CVD法、及びスピンオングラス(SOG)法等により作製する。
次に、例3と同様に、ポリスチレン鎖とポリメタクリル酸メチル鎖とからなり、PMMA鎖の分率が約20体積%である、平均分子量約65000のブロックコポリマーをトルエンに溶解させ、溶液の濃度を1〜10質量%に調整し、この溶液を上述の基板上にスピンコート法により塗布して、図7(a)に示すように、ブロックコポリマー層32を形成した。ブロックコポリマー層32の典型的な厚さは約200nmである。
成膜後、210℃にて4時間の熱処理を加え、更に、135℃にて40時間の熱処理を施す。これらの熱処理により、図7(b)に示すように、30nmの直径を有するドット形状のPMMA鎖凝集部33bと、ポリスチレン鎖凝集部33aに相分離したミクロ相分離構造体33が生成した。
次に、上記のミクロ相分離構造体33に波長150nm〜400nmの光源を用いて光照射し、続いて1M酢酸中で超音波処理を10分間行い、ドット形状を構成するPMMA鎖凝集部33bをエッチング除去した。この結果、図7(c)に示すように、PMMA鎖凝集部33bと同サイズのナノホール34(直径30nm、間隔30〜40nm、深さ100nm)を有する第1のナノホール構造体35を形成することができた。
<酸化シリコン層31へのナノホール構造の転写と、PLD法によるナノホールへの強誘電体の充填>
次に、第1のナノホール構造体35をマスクとして、図7(d)に示すように、その細孔構造を酸化シリコン層31に転写して第2のナノホール構造体37を形成した。エッチングガスとしてトリフルオロメタンCHF3(20sccm)を用い、RF出力200W、圧力15mTの条件下にて行った。エッチング時間は、酸化シリコン膜31の製法に関わる膜質に依存するが、およそ、数分で200nmの膜厚をすべてエッチング除去でき、下層の白金層14に到達した。
続いて、上記のようにして酸化シリコン層31に形成した第2のナノホール36に、例3と同様にPLD法によって強誘電体を充填して、強誘電体ナノドット38を形成した。即ち、Pb組成が10%過剰であり、Pb(TixZr1-x)O3(x=0.7)の組成比を有するPZTを形成するための焼成ターゲットに、出力200mJのYAGレーザー(波長1064nm)をパルス照射して、焼成ターゲットに対抗する位置に設置した基板(室温)上に、図7(e)に示すように、PZTの薄膜を堆積させた。膜厚は、ブロックコポリマーの膜厚100nmを越えない膜厚として70nmとした。
続いて、ファーネスアニール装置にて、酸素雰囲気下、700℃において1時間アニール処理してPZTの結晶化を促した。
得られたサンプルをX線回折により評価したところ、(001)に配向したPZT結晶が生成していることを確認した。
例1と同様の方法により、強誘電体ナノドットを記録ビットとした書き込みと読み出しとが可能であった。
例5(強誘電体薄膜上へのブロックコポリマーによるナノホールのテンプレートの形成とこれをマスクとした強誘電体膜のエッチングによる強誘電体ナノドットの形成)
この例は本発明の他の実施例であって、シリコン基板11の上の下部電極である白金層14の上に強誘電体SBT層41とブロックコポリマー層42を積層して形成し、ブロックコポリマー層42から第1のナノドット構造体45を形成し、これをマスクとして強誘電体SBT層41を選択的にドライエッチングして、強誘電体のナノドット46を作製し、メモリ素子として書き込み動作と読み出し動作を行わせた例について説明する。
図8は、本実施例によって、強誘電体ナノドット46を作製する工程を説明する概略断面図である。
まず、例1と同様に、図8(a)に示すように、シリコン基板11を熱酸化して酸化シリコン層12を形成し、その上に、チタンもしくは酸化チタン層13を形成し、更にその上に下部電極となる白金層14を形成した。更にその上に、SBT層41を約200nmの厚さに形成した。
SBT層41の形成は、MOCVD法、PLD法、スピンコート法等により行うことができる。ここでは、上記の例と同様にして、MOCVD法によって成膜した。即ち、気化器温度を140℃、キャリヤガス(アルゴン)流量を200cc、酸化剤として用いる酸素の流量を200ccとして、2種の有機金属原料Sr[Ta2(OC25)6]2とBi(OtC49)3とを4:6の割合で供給し、所望のSBTの組成を実現する反応ガスをリアクタに送った。
リアクタ内に配置された基板の温度を400℃、リアクタ内部の圧力を1Torrとし、反応ガスを導入するとSBTのアモルファス薄膜を成長させることができる。成長速度は約10nm/minであった。
バイメタリックソースSr[Ta2(OC25)6]2を用いたのでSr:Taは常に一定に保たれ、成膜条件により大きく変動しない。一方、Bi源にBi(OtC49)3を用いた場合、膜中に導入されるBi量は各種成膜条件により制御することが可能である。
上述のようにして形成されたアモルファス薄膜を、典型的なアニール条件として700℃、酸素中で略1時間焼成し、強誘電体膜SBTを得た。得られたサンプルをX線回折により評価したところ、(106)に配向したSBT結晶が生成していることを確認した。
<ブロックコポリマーによる第1のナノドット構造体の形成>
次に上記の強誘電体SBT層41の上に、ブロックコポリマー層42を形成した。ポリスチレン鎖とポリメタクリル酸メチル鎖とからなり、PMMA鎖の分率が約80体積%である、平均分子量約65000のブロックコポリマーをトルエンに溶解させ、溶液の濃度を1〜10質量%に調整し、この溶液を上述の基板上にスピンコート法により塗布して、図8(a)に示すように、ブロックコポリマー層42を形成した。この際、膜厚は、ブロックコポリマー溶液の濃度やスピンコートの回転数によって制御することができる。典型的には、溶液濃度を2wt%、回転数を3000rpmとして成膜すると、厚さ約200nmの高分子膜を形成することができる。
成膜後、210℃にて4時間の熱処理を加え、更に、135℃にて40時間の熱処理を施す。これらの熱処理により、図8(b)に示すように、40nmの直径を有するドット形状のポリスチレン鎖凝集部43aと、それを取り囲むように集合したPMMA鎖凝集部43bからなるミクロ相分離構造体43が生成した。これは、AFM位相イメージングにより確認できた。
ミクロ相分離構造体43では、PMMA鎖の体積分率がポリスチレン鎖の体積分率より大きいため、ポリスチレン鎖凝集部43aがドット形状の集合を形成し、PMMA鎖凝集部43bがこれを取り囲む構造になっている。これは、実施例3および4で形成したミクロ相分離構造体におけるポリスチレン鎖凝集部43aとPMMA鎖凝集部43bとの関係と逆になっている。このため、次の工程でPMMA鎖凝集部43bを除去すると、例3および4で得られたナノホール構造体とネガとポジの関係になるナノドット構造体が得られる。
次に、上記のミクロ相分離構造体43に波長150nm〜400nmの光源を用いて光照射し、続いて1M酢酸中で超音波処理を10分間行い、PMMA凝集部43bをエッチング除去した。この結果、図8(c)に示すように、ドット形状のポリスチレン鎖凝集部43aだけが残り、多数の第1のドット44(直径40nm、間隔40〜50nm、高さ100nm)が少なくとも部分的には規則的に配列した第1のナノドット構造体45を形成することができた。PMMA部のエッチング除去は、Jpn. J. Appl. Phys.,Vol.41(2002), p.6112に記述されているように、CF4ガスによるドライエッチングによって行うこともできる。
<第1のナノドット構造体45をマスクとする強誘電体SBT層41のエッチング>
次に、第1のナノドット構造体45をマスクとして下層の強誘電体SBT層41をドライエッチングして、図8(d)に示すように、マスクした部分以外のSBT層41をエッチング除去し、ドット形状のSBT層を強誘電体ナノドット46として形成し、第2のナノドットを形成した。
続いて、ファーネスアニール装置にて、酸素雰囲気下、700℃において1時間アニール処理してドライエッチングによるSBTの結晶性の劣化を回復した。
例1と同様の方法により、図8(e)に示すように、強誘電体ナノドット46を記録ビットとした書き込みと読み出しとが可能であった。
例6(陽極酸化アルミナ・ナノホール構造体のナノホールへの、強誘電体ナノ微粒子の充填による、強誘電体BaTiO3ナノドットの作製)
この例では、例1と同様に、下部電極として形成した白金層の上に金属アルミニウム層を形成し、これを陽極酸化して陽極酸化アルミナ層を形成し、アルミナ層中のナノホールに強誘電体を充填するが、ここでは強誘電体材料のナノ微粒子を充填して強誘電体ナノドットを作製し、メモリ素子として書き込み動作と読み出し動作を行わせた例について説明する。
<陽極酸化アルミナによるナノホール構造体の形成>
例1と同様の方法により、シリコン基板上に陽極酸化によるアルミナナノホール構造体を形成した。
まず、シリコン基板を熱酸化して、その表面に絶縁層として酸化シリコン層を形成し、その上に白金層との密着性を高めるためにチタンもしくは酸化チタン層を形成し、その上に白金層を形成した。次に、そのシリコン基板の上にアルミニウム層をRFスパッタリングにより形成した。このときアルミニウム層の膜厚は約200nmとした。
次に、電解液として0.3Mのシュウ酸水溶液を用い、恒温槽によりシュウ酸水溶液を15℃に保ちながら、アルミニウム層15を陽極酸化して、図3(c)に示すように、陽極酸化アルミナ16からなるナノホール構造体を形成した。この例において、陽極酸化電圧はDC50Vとし、ナノホール17が成長して下部白金電極14に到達するまで陽極酸化を行った。ナノホール17が下部白金電極14に到達したことは、モニターしている電気分解の電流値がそれに伴って変化することによって確認した。陽極酸化後、純水、及び2-プロパノール(イソプロピルアルコール)による洗浄を行った。
次に、上記の陽極酸化により形成されたナノホールの孔径を拡大するために、5質量%リン酸溶液中に20分間浸漬し、孔径を約100nmとした。以上の酸化工程により、直径約100nm、深さ約200nmのナノホールを有するナノホール構造体を作製した。
<ナノホールへの強誘電体材料の充填>
次に、ナノホールテンプレートへの強誘電体BaTiO微粒子充填方法について説明する。
親水部と疎水部とを持ち、その親水部が超微粒子の表面へ配向することで、超微粒子を凝集させることなく有機溶媒中へ分散させることができる界面活性剤と、有機溶媒と、バリウムチタンダブルアルコキシド(例えば、BaTi(OOCC7H15)[OCH(CH3)2]5)との混合溶液を100℃にセットした。
上記の混合溶液に過酸化水素水を加え、1〜100時間、100〜300℃に保持することで、表面が界面活性剤で覆われ、有機溶媒中での分散性に優れた、平均粒子径5〜50nmのチタン酸バリウム超微粒子が得られた。溶媒を交換する処置を行い、ヘキサン溶液中にチタン酸バリウム粒子を分散させた。
この溶液を、陽極酸化アルミナ上に浸漬またはスピンコートした後、100℃で溶媒を蒸発させる工程を繰り返し行い、陽極酸化アルミナのナノホールにチタン酸バリウムナノ粒子が充填されたナノホール構造体を得た。このナノホール構造体は、酸素中、400〜800℃で熱処理することにより強誘電体特性が向上する。
超微粒子は、BaTiO3に限らず、有機金属材料を選択することで誘電体材料SrTiO3、強誘電体材料PbTiO3、Pb(Zr,Ti)O3、Bi3.75La0.25Ti312、あるいはSrBi2Ta29等のナノ構造体も得られる。
得られたサンプルをX線回折により評価したところ、BaTiO3が生成していることを確認した。
例1と同様の方法により強誘電体ナノドットを記録ビットとした書き込み・読み出しが可能である。
以上述べてきたように、本発明に基づく例によれば、ブロックコポリマーをナノホール構造体テンプレートとして用いて、その細孔中にSBT、PZT、PVDF/TrFE等の強誘電体材料を充填することにより、直径100nm以下の強誘電体ナノドットを作製することができる(これは陽極酸化アルミナを用いる場合も同様)。
また、ブロックコポリマー(あるいは陽極酸化アルミナ)をナノホール構造体テンプレートとして用いて、そのナノホール構造を酸化シリコン膜等に転写し、形成されたナノホールにSBT、PZT、PVDF/TrFE等の強誘電体材料を充填することにより、直径100nm以下の強誘電体ナノドットを作製することができる。
また、ブロックコポリマーのナノドット構造体テンプレートをエッチングマスクとして用いて、マスク部以外の強誘電体層をエッチング除去することにより、直径100nm以下の強誘電体ナノドットを作製することができる。
上述の強誘電体ナノドットは、超LSI製造で用いられるリゾグラフィー技術・微細加工技術を用いること無しに、また、それらの微細化限界を超えて微小な構造体を作製することができる。さらに、強誘電体の有する分極特性を利用したメモリデバイスへ展開し、従来にない高密度・大容量のストレージデバイスの構築に利用することができる。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
本発明は、強誘電体の有する分極特性を利用したメモリデバイスへ展開し、従来にない高密度・大容量のストレージデバイスの構築に利用することができる。
1…下部電極、2…細孔構造体、3…微細な細孔、4…強誘電体の微細なドット、
11…シリコン基板、12…酸化シリコン層、13…チタンもしくは酸化チタン層、
14…白金層、15…アルミニウム層、16…陽極酸化アルミナ、
17…陽極酸化によるナノホール、18…エッチングで拡幅されたナノホール、
19…強誘電体ナノドット、21…ブロックコポリマー層、22…ミクロ相分離構造体、
22a…ポリスチレン鎖凝集部、22b…PMMA鎖凝集部、
23…PMMA鎖凝集部に形成されたナノホール、24…ナノホール構造体、
25…強誘電体ナノドット、31…酸化シリコン層、32…ブロックコポリマー層、
33…ミクロ相分離構造体、33a…ポリスチレン鎖凝集部、
33b…PMMA鎖凝集部、34…PMMA鎖凝集部に形成されたナノホール、
35…第1のナノホール構造体、36…転写されたナノホール、
37…酸化シリコンからなる第2のナノホール構造体、38…強誘電体ナノドット、
41…強誘電体SBT層、42…ブロックコポリマー層、43…ミクロ相分離構造体、
43a…ポリスチレンポリスチレン鎖凝集部、43b…PMMA鎖凝集部、
44…第1のナノドット、45…第1のナノドット構造体、46…強誘電体ナノドット
特開2003−25298号公報(第2−5頁、図1−3) 特開2001−278700号公報(第4−7頁、図3および4)

Claims (14)

  1. 電極に接して形成された細孔構造体の細孔内に強誘電体材料が存在して、微細なドットを形成している、強誘電体微細構造体であって、
    ブロックコポリマーがドット状に凝集した部分と他の凝集部分とに相分離してなるミ クロ相分離構造体において、前記ドット状に凝集した部分の少なくとも一部を除去する ことによって、前記細孔構造体が形成されている、
    強誘電体微細構造体。
  2. 前記ドット又は細孔の直径が5〜200nmである、請求項1に記載した強誘電体微細構造体。
  3. 前記細孔の配列が周期性を有する、請求項1に記載した強誘電体微細構造体。
  4. 前記強誘電体材料が、無機酸化物又は有機高分子強誘電体材料である、請求項1に記載した強誘電体微細構造体。
  5. 前記細孔に前記強誘電体材料のナノ微粒子が充填されている、請求項1に記載した強誘電体微細構造体。
  6. 電極に接して絶縁層が形成され、ブロックコポリマーがドット状に凝集した部分と他の凝集部分とに相分離してなるミクロ層分離構造体が前記絶縁層に接して形成され、前記ミクロ相分子構造体の前記ドット状に行住した部分の少なくとも一部を除去して第1の細孔構造体が形成され、この第1の細孔構造体をマスクとして前記絶縁層をエッチングして第2の細孔構造体が形成され、この第2の細孔構造体の細孔に強誘電体材料が充填されている、強誘電体微細構造体。
  7. 電極に接して強誘電体層が形成され、ブロックコポリマーがドット状に凝集した部分と他の凝集部分に相分離してなるミクロ相分離構造体が前記強誘電体層に接して形成され、前記ミクロ相分離構造体の前記他の凝集部分を除去してブロックコポリマーのドット状構造体が形成され、このブロックコポリマーのドット状構造体をマスクとして前記強誘電体層をエッチングして強誘電体材料のドット状構造体が形成されている、強誘電体微細構造体。
  8. ブロックコポリマーがドット状に凝集した部分と他の凝集部分とに相分離してなるミクロ相分離構造体を電極に接して形成する工程と、前記ミクロ相分離構造体の前記ドット状に凝集した部分の少なくとも一部を除去して細孔構造体を形成する工程と、この細孔構造体の細孔に強誘電体材料を充填する工程とを行う、強誘電体微細構造体の製造方法。
  9. 電極に接して絶縁層を形成する工程と、ブロックコポリマーがドット状に凝集した部分と他の凝集部分とに相分離してなるミクロ相分離構造体を前記絶縁層に接して形成する工程と、前記ミクロ相分離構造体の前記ドット状に凝集した部分の少なくとも一部を除去して第1の細孔構造体を形成する工程と、この第1の細孔構造体をマスクとして前記絶縁層をエッチングして第2の細孔構造体を形成する工程と、この第2の細孔構造体の細孔に強誘電体材料を充填する工程とを行う、強誘電体微細構造体の製造方法。
  10. 電極に接して強誘電体層を形成する工程と、ブロックコポリマーがドット状に凝集した部分と他の凝集部分に相分離してなるミクロ相分離構造体を前記強誘電体層に接して形成する工程と、前記ミクロ相分離構造体の前記他の凝集部分を除去してブロックコポリマーのドット状構造体を形成する工程と、このブロックコポリマーのドット状構造体をマスクとして前記強誘電体層をエッチングして強誘電体材料のドット状構造体を形成する工程とを行う、強誘電体微細構造体の製造方法。
  11. 請求項1〜7のいずれか1項に記載した強誘電体微細構造体の個々の強誘電体ドットに対して、探針と前記電極との間に電圧を印加し、前記強誘電体ドットの自発分極の反転を起こし、これを記録ビットとする、記録方式。
  12. 前記探針としてカンチレバー探針電極を用いる、請求項11に記載した記録方式。
  13. 請求項11に記載した強誘電体ドットに対して、前記探針によってその表面電位又は静電容量の変化を検出して、前記記録ビットを再生する、再生方式。
  14. 前記探針としてのカンチレバー探針電極を前記強誘電体ドットに対して接触又は非接触状態で相対移動させる、請求項11又は13に記載した方式。
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