JP2009122011A - 触知式バイブレーション時計 - Google Patents
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Abstract
【課題】視覚が制限された状況でも、時刻情報を簡単に知ることの出来る新規な時計を提供すること。
【解決手段】時計の1時〜12時の位置に配設された12個の触知突部14a〜lを選択的に加振させることとし、それら12個の触知突部14a〜lの「位置情報」と「振動情報」との組み合わせによって、時刻を触知可能とした。
【選択図】図1
【解決手段】時計の1時〜12時の位置に配設された12個の触知突部14a〜lを選択的に加振させることとし、それら12個の触知突部14a〜lの「位置情報」と「振動情報」との組み合わせによって、時刻を触知可能とした。
【選択図】図1
Description
本発明は、手指等による振動の触知操作で時刻を認識することが出来る触知式バイブレーション時計に係り、特に高度な慣れを要することなく時刻の触知を簡単に行うことが出来る、新規な構造の触知式バイブレーション時計に関するものである。
従来から、時刻を知るための時計は、12個の数字やポイントを表した時計板上で、該時計板の中央に設けた支軸回りに短針と長針が定速回動するようになっている。そして、それら長針と短針の指す位置を視覚で把握することにより、時刻を認識することが出来るようになっている。
ところで、そのような視覚認知式の時計が使用に適さない場合もあることが知られている。例えば、視覚障害者による使用が非常に困難であることは言うまでもなく、その他、会議等の最中に人知れず時刻を知りたい場合などでは、時計を覗き込む視線移動の動作が憚れる場合がある。
なお、視覚以外で時刻を認識することの出来る時計として、聴覚で時刻を認識可能としたものも提案されている。しかし、音を発して聴覚で把握可能とした時計は、人知れず時刻を知りたい場合に用いることが出来ないばかりか、視覚障害者においても、音を発することで周囲の注目を浴びることが懸念されるために使用を控えたい意識が大きく働くことは想像に難くない。
そこで、例えば特開昭62−5196号公報(特許文献1)や特開平8−226983号公報(特許文献2)には、振動体の振動によって時刻を触知させるようにした触知式のバイブレーション時計が提案されている。
しかしながら、これら引用文献1,2に開示された従来構造のバイブレーション時計では、一つの振動体の振動継続時間の長短の組み合わせ態様によって時刻を表すようになっていることから、まるでモールス信号を解読するように時刻の認識が難しいという問題があった。
そのために、特別な訓練や習熟を要することなく、誰でもが気軽に使用できるものでは決してなかったのであり、事実、国内及び国外の何れにおいても使用を見かけることが無いのが現状である。このことは、現状において視覚障害者に最も多く使用されている時計が、アナログ時計の短針と長針を直接に手指で触れることで時刻を触知する構造のものである事実からも理解されるところである。
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、高度な慣れを要することなく時刻の触知を簡単に行うことが出来る、新規な構造の触知式バイブレーション時計を提供することにある。
かかる課題を解決するために為された本発明の特徴とするところは、[請求項1]に記載のとおりである。即ち、[請求項1]記載の本発明は、「触覚により時刻情報を与える触知式バイブレーション時計」であって、(a)周方向で相互に離隔位置する12個の触知部が表面に設けられた時計基板と、(b)該時計基板に設けられた該12個の触知部をそれぞれ振動させる加振手段と、(c)時刻を計測する計時手段と、(d)該計時手段によって計測された時刻値に対応して前記加振手段を制御して前記12個の触知部を選択的に振動させる加振制御手段と、(e)外部からの操作を契機として前記加振制御手段を作動させることにより、前記計時手段によって計測された時刻値に対応して前記12個の触知部を選択的に振動させて時刻を触知可能とするスイッチ手段と、を含んで構成されている触知式バイブレーション時計を特徴とするものである。
このような本発明に従う構造とされた触知式バイブレーション時計においては、周知のアナログ時計の目盛に相当する12個の触知部を位置固定的に設けて、これら12個の触知部の位置情報と、これら12個の触知部の振動情報とを、互いに組み合わせて利用することによって、時刻を触知可能に表すようにしたことを基本的な構成とする。要するに、12個の触知部を選択的に振動させることで、アナログ時計の時刻表示に似た態様で、振動情報に基づく触知可能な時刻表示を、簡易に且つ認識容易に告知することを可能ならしめたのである。
本発明に従う構造とされた触知式バイブレーション時計は、健常者は勿論、視覚障害者においても利用可能である。特に視覚障害者も、その多くは、少なくとも過去において多少の視覚を有していた者が多いのであり、時計の視覚的な概念を持っていることが多い。それ故、健常者は勿論、視覚障害者にとっても、時計の12個の目盛は理解し易いものであり、この慣れ親しんだアナログ時計の目盛りを、敢えて利用することで、触覚による時刻の告知機能を、簡易な構造をもって且つ容易に認識できる態様をもって実現せしめ得たのである。
なお、12個の触知部は、触わることで12個が識別可能とされていると共に、12個の何れが振動しているかを識別できるものであれば良いのであり、構造として12個の触知部としての突起や凹所等が格別に独立形成されている必要はなく、一連に繋がった表面構造を有していても良い。例えば、時計基板の表面が、単一のゴム膜カバー等で覆われていても、かかるゴム膜カバーにおいて、12個の触知識別可能なポイントが付与されており、且つそれら12個のポイントの何れが振動しているかを識別可能とされていれば良い。
また、それら12個の触知部を振動させる加振手段としては、振動を発生する公知の各種の部材や構造が採用可能である。具体的に例示すると、回転中心軸上に偏心マスを備えた小型の電気モータの他、電歪素子や磁歪素子等を採用することも可能である。
また、時刻を計時する計時手段としては、駆動機構として従来から公知の機械時計の構造を採用することも可能であるが、機械時計で計時された結果を、例えば特定歯車の回転数を電磁気的に計数すること等によって電気信号に変換して得られた時刻情報に基づいて加振制御手段による触知部の加振制御を実行する必要があることから、構造が複雑となり易い。そこで、好適には、計時手段としてクォーツ式の駆動機構を採用することが望ましい。クォーツ式の計時手段を採用すれば、振動パルスを電気的に計数することで、基準時刻からの経過時間をもって時刻情報を電気情報として得ることが容易となる。具体的には、例えばデジタル式の電気表示によって時刻表示を行うクォーツ時計の計時機構を採用することでも実現可能である。
また、加振制御手段は、計時手段によって得られた時刻値を触知可能なように、12個の触知部を、予め設定された時刻報知規則に従って振動させるものであって、具体的には、かかる規則に従って時刻値から触知部の加振命令信号を生成するプログラムを含んで構成されることにより、有利に実現され得る。より具体的な例示を、後述する好適な幾つかの態様および後述する実施形態において記載する。
また、12個の触知部の振動による時刻の報知を、例えば常時行ったり、所定時間毎に行ったりすることも考えられるが、それでは、電気エネルギーの消耗や、不必要な報知作動に伴う振動に起因する不快感などの問題が発生し、或いは所望の時に時刻報知作動を行うことができないという問題も発生し易い。そこで、本発明では、スイッチ手段を設けて、所望の時にだけ時刻の振動報知を行うようにしたのであり、それによって実用性の更なる向上が達成される。
なお、かかるスイッチ手段は、例えば押しボタンや切換スイッチなどの機械的なスイッチ機構の他、人体の接触に伴う回路上のインピーダンス変化でトランジスタ等の電気スイッチを切り換える公知のタッチセンサ等も好適に採用され得る。
また、本発明は、[請求項2]〜[請求項11]に記載の各態様も、好適に採用され得る。これら各請求項に記載の発明は、何れも、上述の[請求項1]に記載の発明と同様な作用・効果を奏することは勿論であり、それに加えて、以下に記載するように、各態様毎に更なる優位な作用・効果を発揮する。
[請求項2]に記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記12個の触知部が、大きさ及び形状の少なくとも一方を異ならせた複数種類から構成されている構造を有している。
本[請求項2]に記載の発明に従えば、12個の触知部を、触覚で識別することが容易となる。より好適には、少なくとも時計の12(又は0)時に相当する位置の触知部を識別出来るように、更に好適には時計の12(又は0)時と、3時と、6時と、9時との、計4箇所の触知部を他の触知部から識別できるように、かかる触知部の大きさ及び形状の少なくとも一方を他の触知部から異なるせるようにされる。具体的には、それらの触知部を他の触知部よりも大きくする態様や、他の触知部を円形外周形状とすると共に、それらの触知部を矩形外周形状とする等の態様が採用され得る。
[請求項3]に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記12個の触知部が、一つの中心点回りの周方向において等角度間隔で位置せしめられている構造を有している。
本[請求項3]に記載の発明に従えば、使用者が経験として認識している時計の文字板における1〜12の各ポイントと対応して12個の触知部を一層容易に認識することが可能となり、触知の容易性と認識精度の更なる向上が図られ得る。
[請求項4]に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の発明であって、前記加振制御手段において、前記計時手段によって計測された時刻値に対応して、前記触知部における振動の大きさ,継続時間,断続せしめられる振動の回数のうちの少なくとも一つが異ならされることにより、該時刻値に応じて異なる振動態様が生ぜしめられるようになっている構造を有している。
本[請求項4]に記載の発明に従えば、12個の触知部の振動態様を、その振動の大きさ,継続時間,断続せしめられる振動の回数の少なくとも一つの要素で調節設定することで、時刻の触知を短時間で判り易く行うことが可能となる。具体的に例示すると、例えば、(I)時刻情報のうちの「時」情報を表す振動の振幅を大きく、「分」情報を表す振動の振幅を小さくしたり、(II)時刻情報のうちの「時」情報を表す振動の継続時間を長く、「分」情報を表す振動の継続時間を短くしたり、(III)時刻情報のうちの「時」情報を表す振動の回数を一回に固定設定して、「分」情報を表す振動の回数を当該分値に相当する回数分だけ断続的に振動させたり、などが挙げられる。
なお、かかる(III)の例示態様において、「時」情報は、振動させる触知部を、「時」情報値に対応して選択することにより、触知認識させることが可能である。また、振動の大きさ,継続時間,断続せしめられる振動の回数を、相互に組み合わせてて時刻情報を触知可能とすることも出来る。具体的な態様例は、実施形態の記載に譲ることとして、それら振動態様を相互に組み合わせることによって、時刻情報を一層簡潔に且つ触知容易に報知することが可能となるのである。
[請求項5]に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一項に記載の発明であって、前記加振制御手段において、前記計時手段によって計測された時刻値のうちの時の値に対応する一つの前記触知部を振動させて時の表示振動をさせると共に、該計時手段によって計測された時刻値のうちの分の十桁値に対応する一つの前記触知部を振動させて分の表示振動をさせるようになっている構造を有している。
本[請求項5]に記載の発明に従えば、12個の触知部の位置情報を巧く利用して、時刻情報のうちの「時」の値と「分」の十桁値とを、より明瞭に報知することが可能となる。特に、本態様においては、12個の触知部の位置情報を利用したことで、例えば、時刻情報のうちの「時」の値と「分」の十桁値とを、何れも各一回の振動報知にて告知することも可能となる。具体的には、例えば3時13分を報知する場合に、時計文字板(時計基板)の3時の位置にある触知部を一回振動させることで「3時」の情報を報知すると共に、その後に時計文字板の10分の位置にある触知部(2時の位置にある触知部に等しい)を振動させることで「分」の十桁値が10であることを報知することが可能となるのである。なお、「分」の一桁値の情報報知は、好適には、請求項6の構成によって有利に報知され得る。勿論、「分」の一桁値の情報が不要である場合などは、それを報知する必要がない。
[請求項6]に記載の発明は、請求項5に記載の発明であって、前記加振制御手段において、前記計時手段によって計測された時刻値のうちの分の十桁値に対応する一つの前記触知部を、該計時手段によって計測された時刻値のうちの分の一桁値に対応する回数だけ断続させて振動させることにより、かかる時刻値のうちの分の一桁値を表示振動させるようになっている構造を有している。
本[請求項6]に記載の発明に従えば、12個の触知部の位置情報を巧く利用して、時刻情報のうちの「分」の十桁値と一桁値を、併せて一層効率的に振動報知することが可能となるのである。具体的には、例えば13分を報知する場合に、時計文字板(時計基板)の10分の位置にある触知部(2時の位置にある触知部に等しい)を3回、断続的に振動させる。これにより、使用者は、振動した触知部の位置から、「分」の十桁値が10であることを触知することが出来ると共に、その振動回数が3回であったことから、「分」の一桁値が3であることを触知することが出来るのであり、その結果、13分であることを認識できるのである。
[請求項7]に記載の発明は、請求項1乃至6の何れか一項に記載の発明において、前記スイッチ手段が、(f)外部からの操作を契機として前記加振制御手段を作動させることにより、前記計時手段によって計測された時刻値のうちの時の値に対応する一つの前記触知部を振動させて時の表示振動をさせる第一のスイッチ手段と、(g)外部からの操作を契機として前記加振制御手段を作動させることにより、前記計時手段によって計測された時刻値のうちの分の値に対応する一つの前記触知部を振動させて時の表示振動をさせる第二のスイッチ手段とを、含んで構成されている構造を有している。
本[請求項7]に記載の発明に従えば、時刻情報のうち、「時」情報値と「分」情報値を区別して、使用者が触知することが可能となる。従って、「時」情報値と「分」情報値を間違って認識してしまうことが防止されて、時刻を正確に認識し易くなる。また、「時」情報値と、「分」情報値とを、予め使用者が識別して触知することになるから、「時」情報値の報知振動態様と、「分」情報値の報知振動態様とを、振動自体の態様として異ならせる必要がなくなり、振動態様の制御を簡略化することも可能となる。例えば、5時40分を報知する場合には、使用者が第一のスイッチ手段を操作すると、時計文字板の5時の位置にある触知部を一回振動させることで「5時」の情報を報知する一方、使用者が第二のスイッチ手段を操作すると、時計文字板の40分の位置にある触知部(8時の位置にある触知部に等しい)を一回振動させることで「40分」の情報を報知することも可能となる。
[請求項8]に記載の発明は、請求項1乃至7の何れか一項に記載の発明において、前記時計基板が平坦な表面を有しており、該表面から突出する状態で前記12個の触知部がそれぞれ設けられている構造を有している。
本[請求項8]に記載の発明に従えば、触知部の位置を認識することが容易となると共に、かかる触知部の振動状態も認識することが容易となる。なお、触知部を含む時計基板の全体を覆うような適当なカバーを、開閉可能に設けることは、本請求項8に記載の発明に拘わらず、本発明の全ての請求項に記載の態様において採用可能である。
[請求項9]に記載の発明は、請求項1乃至8の何れか一項に記載の発明において、腕に巻き付けて装着することによって腕時計として用いることが出来る構造を有している。
本[請求項9]に記載の発明に従えば、触知式の腕時計が実現可能となる。尤も、本発明の他の請求項に記載の発明においては、本発明は腕時計に限定されるものでなく、掛け時計や置き時計などの各種の時計に適用され得る。
[請求項10]に記載の発明は、請求項1乃至9の何れか一項に記載の発明において、標準電波を受信する標準電波受信手段を備えていると共に、該標準電波受信手段で受信した時刻情報に基づいて前記計時手段における前記時刻値を補正する補正手段を備えている構造を有している。
本[請求項10]に記載の発明に従えば、特に視覚障害者においても正確な時刻設定を行うことが可能となり、本発明が目的の一つとする視覚障害者用途の適用性の更なる向上が達成され得る。
なお、標準電波受信手段と補正手段は、公知のものであって、掛け時計や置き時計に限らず、腕時計に関しても、多くのメーカーから市場に他種類が提供されている現状において、何れの公知技術も、そのまま本発明の計時手段と組み合わせて採用することが出来る。
[請求項11]に記載の発明は、請求項1乃至10の何れか一項に記載の発明において、視覚により時刻情報を与えるアナログ式及びデジタル式の少なくとも一方の表示装置を併せ備えている構造を有している。
本[請求項11]に記載の発明に従えば、視覚健常者において、視覚による時刻情報の認識と、触覚による時刻情報の認識とを、状況等に応じて使い分けることが出来て、一層の使用性向上が図られ得る。また、視覚障害者においても、視覚障害者用時計であるということが外観から識別できないことによる主観的な負担軽減効果が図られ得る。勿論、本発明の何れの請求項に記載の発明に係る触知式バイブレーション時計も、視覚健常者と視覚障害者が、何れも使用可能であることは言うまでもない。
なお、アナログ式の表示装置を設ける場合には、触知のために設けられた12個の触知部を時間表示マーク(時計文字)として利用して、時刻を指す短針と長針を付すことが好適である。
前記[課題を解決するための手段]の欄における[請求項1]に係る発明についての記載からも明らかなように、本発明に従う構造とされた触知式バイブレーション時計においては、使用者が一般に経験として慣れ親み或いは把握している時計の12個の目盛を採用して、それら12個の時計目盛(時計文字)の位置情報を利用しつつ、振動に基づく触覚による時刻の告知機能を実現したことから、簡単な振動態様で時刻情報を報知することが出来るのである。
それ故、12個の時計目盛(時計文字)の位置情報と振動情報とを組み合わせて時刻を報知させる、本発明に従う構造とされた触知式バイブレーション時計は、使用者が容易に且つ速やかに正しい時刻情報を得ることが出来ると共に、振動制御を含む構造の簡略化も容易であって製造更に実用化も容易に行うことが出来るという効果を奏する。
以下、本発明の具体的な実施形態を記載する。尤も、本発明の具体的な態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
先ず、図1及び2には、本発明の一実施形態である触知式バイブレーション時計10の全体外観が示されている。本実施形態の触知式バイブレーション時計10は、中空の筐体構造のハウジング12を備えており、このハウジング12の表面に突出するようにして、合計12個の触知部としての触知突部14が設けられている。そして、これら12個の触知突部14の振動態様によって、時刻を報知するようになっている。即ち、使用者は、12個の触知突部14を手指で触れて、かかる触知突部14の振動状態を認識することによって、その触知突部14の振動情報から時刻を触覚で認識することが出来るようになっているのである。
より詳細には、ハウジング12は、上ハウジング部材16と下ハウジング部材18からなる分割構造である。上下ハウジング部材16,18は、互いに略同じ矩形の有底箱形状とされている。これら上下ハウジング部材16,18が、各開口側で互いに突き合わされて組み合わされることにより、密閉構造の中空矩形筐体構造のハウジング12を構成している。なお、上下ハウジング部材16,18は、合成樹脂や金属等の硬質材で形成されることが望ましい。必要に応じて、組み合わせ部間にシール材が付与される。
また、本実施形態では、ハウジング12の長手方向の一方の端部において幅方向に延びる細長の貫通孔20が形成されており、この貫通孔20が、上下ハウジング部材16,18を厚さ方向に貫通している。更に、ハウジング12の長手方向の他方の端部には、係止金具22が装着されている。この係止金具22は、全体として略コ字形の把手形状を有しており、その両端部分がハウジング12の幅方向両側面に対してピンで回動可能に固定されている。
而して、ハウジング12には、これら貫通孔20や係止金具22に対して、チェーンやストラップ、バンド等が、任意に装着可能とされている。そして、例えば、図3に示されているように、チェーン24を装着することによってネックレス式の時計や懐中時計等として利用したり、図4に示されているように、バンド26を装着することによって腕時計として使用したりすることが出来るようになっている。
さらに、ハウジング12には、時計の機能と、それによって計測された時刻の情報を12個の触知突部の振動で報知する報知の機能とを、発揮するための電気的及び機械的装置が組み込まれている。
より具体的には、先ず、ハウジング12の上ハウジング部材16には、12個の透孔28a〜lが設けられており、これらの各透孔28a〜lを通じて、各一つずつの触知突部14a〜lが外方に向かって突出せしめられている。特に本実施形態では、上ハウジング部材16の略中央に設定された一つの中心点(図示せず)のまわりで周方向に等角度間隔で延びる12本の経線上に位置するように、12個の触知突部14a〜lが配設されている。これにより、周知の時計における1〜12の目盛りを、12個の触知突部14a〜lが表していることを認識し易くされている。また、本実施形態では、上記中心点まわりの一つの円周上に12個の触知突部14a〜lが配設されており、時計の目盛りを一層認識し易くされている。
なお、これら12個の触知突部14a〜lは、各別に独立して形成されたものであっても良いが、例えば円環や板形状等の薄肉のベース部に対して12個の触知突部14a〜lが一体的に突出形成された一体成形品によって構成することも可能である。そして、各触知突部14a〜lは、上ハウジング部材16の内面から各透孔28a〜lに挿し通されて突出する状態で組み付けられることとなる。その際、各触知突部14a〜lは、上述の如く基端側においてベース部で相互に連結一体化された構造であれば、上ハウジング部材16の各透孔28a〜lから抜け出さない。各触知突部14a〜lが個別に独立構造とされている場合には、各透孔28a〜lからの抜け出しを防止するために、例えば基端側を各透孔28a〜lよりも大きくした形状等が採用される。
また、本実施形態では、12個の触知突部14a〜lのうち、時計の12時の位置に配される一つの触知突部14aが、他の触知突部よりも大きな円形ボタン形状とされている。また、時計の3時と6時と9時の位置に配される3つの触知突部14dと14gと14jが、他の触知突部と異なる細長ボタン形状とされている。その他の触知突部14b,14c,14e,14f,14h,14i,14k,14lは、何れも、上記触知突部14aより小さな円形ボタン形状とされている。このように触知突部14a〜lの大きさや形状が相互に異ならされていることで、時計の各目盛位置を把握し易くされて、時計の12時の位置やその他の各位置を正しく触知し易くされている。
さらに、図5に概略構造の分解斜視図が示されているように、ハウジング12の内部には、12個の触知突部14a〜lの背後に位置して広がる状態で加振ディスク28が配設されている。また、下ハウジング部材18の底部には、作動電源としてのボタン電池30,30が収容されている。なお、下ハウジング部材18の底部中央に開口窓32を形成すると共に、この開口窓32を開閉可能に覆蓋する蓋部材34を組み付けることにより、上下ハウジング16,18を分解せずとも蓋部材34を開いて電池30,30の交換を行うことが出来るようにすることが望ましい。
更にまた、下ハウジング部材18には、回路基板36が収容配置されている。この回路基板36は、溶着やボルト,ビス,或いは上下ハウジング部材16,18間での挟持等によって、ハウジング12に対して固定されている。そして、この回路基板36上に、後述する各種電子部品が実装されて所定の電気回路が構成されている。
本実施形態では、かかる回路基板36の中央部分にマイクロステップモータ38が実装されて固定支持されており、このマイクロステップモータ38の回動軸に対して、上述の加振ディスク28が固定されている。かかる加振ディスク28は、薄肉の円板形状を有しており、その外径寸法は、上ハウジング部材16に設けられた12個の透孔28a〜lをハウジング内部から全て覆い得る大きさとされている。が固定されている。そして、加振ディスク28の中心に対して直交する状態で、マイクロステップモータ38の回動軸が固着されている。これにより、加振ディスク28が、マイクロステップモータ38を介して回路基板36で支持されており、マイクロステップモータ38によって中心軸回りに回動可能に且つ任意の回動位置で位置決め可能とされている。
また、加振ディスク28には、外周縁部近くに小型振動モータ40が固定されている。この小型振動モータ40は、通電によって振動するものであり、その上端面の大きさが、12個の触知突部14a〜lに対して選択的に一つだけ接触するように、それら触知突部14a〜lの配設間隔よりも小さくされている。これにより、加振ディスク28の回動位置を、マイクロステップモータ38で調節し、触知突部14a〜lの何れか一つの内方端面に小型振動モータ40の上端面を当接させた状態で、小型振動モータ40を振動作動させることにより、この小型振動モータ40に当接した一つの触知突部14a〜lを選択的に加振させることが出来るようになっている。
なお、加振ディスク28の回動に際して、小型振動モータ40が触知突部14a〜lに干渉して加振ディスク28の回動が阻害されないように、小型振動モータ40の高さを充分に小さくすることが望ましく、例えば、加振ディスク28を貫通して回路基板36側に向かって突出する状態で小型振動モータ40を加振ディスク28に固定支持せしめることも可能である。
また、加振ディスク28の回動作動を安定して実現するために、例えば、加振ディスク28を回動軸方向に変位させるアクチュエータとして、電磁式(ソレノイド等)や機械式(ねじ式)等のスラストアクチュエータを採用することも可能である。このようなスラストアクチュエータを採用すれば、小型振動モータ40へ通電されて加振ディスク28が回動する場合には、加振ディスク28が上ハウジング部材16の底壁から離れて回路基板36側に位置する一方、加振ディスク28が回動位置固定されて小型振動モータ40が振動作動せしめられる場合には、加振ディスク28が上ハウジング部材16の底壁側に位置して触知突部14a〜lの何れかに当接状態とされるように、加振ディスク28の軸方向位置を変更設定することが可能となる。
さらに、回路基板36においては、ボタン電池30の電力によって作動せしめられて、時刻を計測すると共に、外部からの操作信号の入力によってかかる時刻情報に対応した態様でマイクロステップモータ38や小型振動モータ40を作動させて、時刻情報を振動によって報知するための、各種電気素子等からなる電気回路が構成されている。
すなわち、図6に構成ブロック図が示されているように、回路基板36には、計時手段として、水晶振動子42とコントローラ44を含んで構成された公知のクォーツ時計ユニット46が装備されている。加えて、本実施形態では、原子時計に基づいて計時された時刻情報をもった標準電波を受信するアンテナと、かかる受信信号を増幅して時刻情報を取得するAMレシーバ素子48を含んで構成された標準電波受信ユニット50が装備されている。そして、この標準電波受信ユニット50によって適当な間隔で受信された時刻情報に基づいて、クォーツ時計ユニット46で計時されている時刻情報を自動的に補正するようになっている。
そして、回路基板36には、ROMおよびRAMを備えたマイクロコンピュータ52が実装されており、このマイクロコンピュータ52において、ROMに記憶されたプログラムに従い、RAMに記憶された情報を利用して、前述のクォーツ時計ユニット46や標準電波受信ユニット50による時刻の計測を実行させると共に、外部からの操作信号の入力の有無を判断して、かかる操作信号の入力を契機として、前述のマイクロステップモータ38や小型振動モータ40の作動を制御することにより、前述の12個の触知突部14a〜lの加振を制御して、時刻の報知を実行するようになっている。なお、マイクロステップモータ38においては、給電ドライバ51による回動位置信号の計数や記憶等が行われることにより、加振ディスク28の回動位置ひいては小型振動モータ40の位置が把握されて、マイクロコンピュータ52で制御されるようになっている。
なお、本実施形態においては、外部からの操作信号が、タッチセンサを用いて入力されるようになっている。詳細には、ハウジング12の外面の適当な場所、本実施形態では上ハウジング部材16の中央部分に対して、表面から覆うようにしてタッチパネル54が重ね合わされて固着されている。このタッチパネル54は、タッチセンサユニット56に導通されている。タッチセンサユニット56は、人体の手指等が触れることによって電気回路をONするものであり、例えば、タッチパネル54に人体が接触した場合には、導電体である人体によって静電容量が変化することに基づき、同調回路におけるインピーダンスの変化を利用して電圧変化に変換し、この電圧変化によってトランジスタを用いたスイッチをON/OFFする等の電気回路によって実現される。尤も、かかるタッチセンサユニット56は、公知のものであって、ICとして市販されているものを採用することも可能である。
また、上述の各電気ユニット46,50,56やマイクロコンピュータ52の他、電動装置としてのモータ38,40等には、何れもボタン電池30から給電されるようになっている。
続いて、上述のマイクロコンピュータ52における時刻報知作動の具体的態様を、図7に示された説明図を参照しつつ説明する。
先ず、ステップS1において、時刻報知指示の外部操作入力があったか否かを判定する。具体的には、タッチパネル54に人の手指が触れたか否かを判定し、人の手指が触れた場合には、続くステップS2において、クォーツ時計ユニット46から時刻信号を読み出す。そして、この読み出した時刻信号の値に応じて、ステップS3以下の報知作動を行うこととなるが、説明を判り易くするために、ここでは具体的な時刻を仮定して以下の説明を行うこととする。具体的には、ステップS2でクォーツ時計ユニット46から読み出した時刻信号が7時12分であったと仮定する。
また、図7の説明図に示されているように、12個の触知突部14a〜lには、時計の1時〜12時に対応する数字が各々割り当てられて、マイクロコンピュータ52に記憶されている。かかる状況下、ステップS3において、マイクロコンピュータ52の演算処理により、「時」の値である7に対応した一つの触知突部14hを選択すると共に、この触知突部14hの背後に小型振動モータ40が位置せしめられるように、マイクロステップモータ38により加振ディスク28を回動させて位置決めする。
その後、ステップS4において、小型振動モータ40に対して所定時間t1の通電駆動を行う。これにより、「時」の値である7に対応した一つの触知突部14hだけをt1の時間に亘って振動させる。なお、かかる振動時間t1の値は、任意に設定可能であるが、何れの触知突部が振動しているかを探し出すのに充分な時間であって、且つ不必要に長くない時間、例えば1〜3秒の間の適当な時間に設定される。
次に、ステップS5に進み、ステップS2でクォーツ時計ユニット46から読み出した時刻信号の「分」の値に対応した一つの触知突部を選択し、その背後に小型振動モータ40が位置せしめられるように、マイクロステップモータ38により加振ディスク28を回動させて位置決めする。具体的には、時刻情報が7時12分であった場合には、「分」の十桁値である「10」の値を示す時計目盛位置にある一つの触知突部14bを選択し、この触知突部14bの背後に小型振動モータ40を位置せしめる。なお、マイクロコンピュータ52での演算処理としては、読み出した時刻信号の「分」の値を「5」で除した回答値の整数値に対応する数字が割り当てられた触知突部を選択することによって、「分」値に対応する触知突部が決定される。即ち、読み出した時刻情報が12分であったとすると、12/5=2.4となるから、「2」の数字が割り当てられた触知突部14bが選択されることとなる。
その後、ステップS6において、小型振動モータ40に対して、ステップS2でクォーツ時計ユニット46から読み出した時刻信号の「分」の値に対応した時間態様で、通電駆動を行う。具体的には、本実施形態では、「分」の十桁値である10に対応した一つの触知突部14bだけを、所定時間t2に亘って振動させたあと、「分」の一桁値である2に対応した回数だけ、各所定時間t3ずつ断続的に振動させる。なお、かかる振動時間t2やt3の値は、任意に設定可能であるが、t1は何れの触知突部が振動しているかを探し出すのに充分な時間であって、且つ不必要に長くない時間、例えば1〜3秒の間の適当な時間に設定されると共に、t2は、t1と識別可能で且つ触知できる程度で不必要に長くない時間、例えば0.1〜2秒の間の適当な時間に設定される。
要するに、かかるステップS6で触知突部14bが加振されることにより、振動した触知突部14bの位置情報から「分」値の十桁が10であることを認識することが出来ると共に、かかる振動の後に続く断続的な振動の回数(本実施形態では2)の情報から「分」値の一桁が2であることを認識することが出来る。その結果、総合的な情報として、時刻情報の「分」値が12分であることを知ることが出来るのである。
而して、ステップS4及びS6での触知突部14h,14bを加振することによって時刻情報を報知したあと、続くステップS7でリターンし、ステップS1に戻って、待機状態とされる。
上述の如くして報知される時刻情報の認識について、その理解に正確を期すために、図8において、使用者の操作及び認識作業を左欄に記載すると共に、触知式バイブレーション時計10の作動を右欄に記載して、それら両者の相互関係を表しておくこととする。なお、図8において、左右の欄に記載された操作や作動は、上から下に向かって同一時間軸上で進行することを示している。
かかる図8に示されているように、使用者がステップU1において、視覚に障害がある状態下で時刻を知りたいと思ったら、ステップU2で触知式バイブレーション時計10のタッチパネル54に指を触れる。
すると、触知式バイブレーション時計10で、ステップT1において、タッチセンサユニット56が時刻報知指令として操作信号を検出(図7のステップS1を実行)し、時刻報知作動を開始する。そして、ステップT2において、時刻情報の読み出し作動(図7のステップS2)を実行する。次に、ステップT3において、読み出した時刻情報のうちの「時」の値に対応する一つの触知突部14の加振作動(図7のステップS3〜4)を実行する。
これにより、使用者は、ステップU3において、上記一つの触知突部14の加振作動を手指の触覚で認識することにより、かかる触知突部14の位置情報に基づいて、時刻のうちの「時」の値を認識することが出来る。
次に、触知式バイブレーション時計10は、ステップT4において、読み出した時刻情報のうちの「分」の十桁値に対応する更に一つの触知突部14に対して、「分」の一桁値に対応する断続態様での加振作動(図7のステップS5〜6)を実行する。
これにより、使用者は、ステップU4において、上記更に一つの触知突部14の加振作動を手指の触覚で認識することにより、かかる触知突部14の位置情報と断続的な振動情報とに基づいて、時刻のうちの「分」の値を認識することが出来る。
その後、使用者は、ステップU5において、触知式バイブレーション時計10への手指の接触を止めて時刻情報の触知を終了する。かかる状態下、触知式バイブレーション時計10は、ステップT5において、時刻の報知作動を終了し、時刻計測を継続しつつ、使用者による次の報知作動開始指示を待ち続ける待機状態に入る。
上述の如き構造とされた本実施形態の触知式バイブレーション時計10においては、使用者が触れて振動を認識することによって時刻情報を取得することが出来る。それ故、視覚が妨害されている状況や視覚に障害がある状況などにおいても、容易に時刻を知ることが可能である。
特に、時計の文字目盛に見立てて、時計の文字目盛りに相当する位置に配設された12個の触知突部14a〜lの位置情報を振動情報と組み合わせて、使用者への時刻情報の報知手段として利用したことにより、時刻情報を、使用者に対して、簡潔に且つ速やかに触知可能な情報伝達態様にて報知することが可能となったのであり、以て、時計としての使用を極めて容易となし得たのである。
このような特徴を備え、効果を発揮する触知式バイブレーション時計10は、さまざまな状況において優位に使用され得る。具体的に例示してみると、例えば、図9に示されているように、非常に暗い映画館の中においても、視覚に頼ることなく時刻を容易に認識することが可能となる。同様に、暗い夜道や遮光したセミナ等の会場などにおいても時刻認識のために利用可能である。また、視覚認識が利用可能な状況下でも、例えば、図10に示されているように、社内会議等の時計を見ることが憚れる状況においても、机の下においた腕に装着した触知式バイブレーション時計10を用いることによって、他人に気付かれずに時刻を認識することが出来る。更にまた、図11に示されているように、時計を見ることによって良好な雰囲気が壊れる危惧があるような状況でも、相手に知られることなくテーブル下の死角を利用して触知式バイブレーション時計10により時刻情報を知ることが可能となり、それにより、時刻に対する安心感をもって相手に接することも出来る。
ところで、本発明は上述の具体的な例示や記載によって限定的に解釈されるものでない。具体的に例示すると、前記実施形態においては、触知突部14を加振するために一つの小型振動モータ40が採用されており、この一つの小型振動モータ40を加振ディスク28で周方向の全周に亘って移動させることで、12個の触知突部14a〜lを選択的に加振するようになっていたが、例えば2つ等の複数の小型振動モータ40を採用して、それらを選択的に加振制御させることにより、加振ディスク28の回動角度を1/2或いはそれ以下に抑えることも可能である。
或いは、小型振動モータ40に代えて、電歪素子を採用して、交番電流を印加することで加振力を得ることも可能である。特に、電歪素子等は、振動モータに比して小型軽量で機械的運動部材を有していないことからコンパクト化だけでなく信頼性の向上や構造の簡略化も図られ得る。
また、12個の触知突部14a〜lに対応する12個の加振手段を採用することも可能であり、それにより、加振ディスク28やマイクロステップモータ38等の機械的な回転運動部材を設ける必要もなくなる。加振ディスク28の回転作動に代えて何れの加振手段への給電を行うかを制御すれば良いこととなり、機械的な回転運動部材の省略によって小型化と耐久性および信頼性の向上等が図られ得る。
また、振動による時刻情報の報知態様も、実施形態のものに限定されない。具体的に例示すると、例えば図7に示された報知態様において、ステップS5を省略することも可能である。その場合には、はじめの時間t2の振動回数で、1回なら10分台,2回なら20分台,3回なら30分台,4回なら40分台,5回なら50分台であることを報知できる。このような報知態様によれば、「時」の値を報知するために振動させる触知突部14を変更せずに、そのまま当該触知突部14の振動にて「分」情報まで報知することが出来る。その結果、「時」値に対応した位置で初めに振動する一つの触知突部14を見つければ、そのままその一つの触知突部14だけを触れていれば良いことになり、使用者の操作が簡便となる。しかも、「時」の報知後に「分」の報知を行うに際しての加振ディスク28の回転作動も不要となって、報知時間の短縮化が図られ得ると共に、加振ディスク28やマイクロステップモータ38等の耐久性の向上も図られ得る。
或いは、図7に示された報知態様において、ステップS6における最初の「分」値の十桁値を表す振動t2を省略することも可能である。蓋し、この振動t2は、振動する触知突部14が何れであるかを報知する点においても有効であるが、仮にこの振動t2がなく、t3のみであったとしても、「分」値の情報を報知することが可能である。即ち、「12」分の分情報を報知するために、一つの触知突部14bをt3+t3の2回、断続的に振動させることにより、それを触知した使用者は、触知突部14bの位置情報から時刻情報のうちの「分」の十桁値が10であることを認識することが出来る。そして、かかる触知突部14bが2回断続的に振動したことを触知することで、「分」の一桁値が2であることを認識することが出来る。それらの結果、時刻情報の「分」の値が12分であることを認識できるのである。
また、タッチパネルを二つ独立して設けておいて、一方のタッチパネルに触れた場合には、上述の如き「時」と「分」の情報を順次に振動で報知するが、他方のタッチパネルに触れた場合には、「時」の情報は報知せずに、最初から「分」の情報だけを報知するようにしても良い。このような態様においては、「時」の情報はだいたい把握して使用者が判っており、急いで「分」の情報だけを知りたい場合において、かかる「分」の値だけを一層速やかに報知することが可能となる。
加えて、本発明の時計では、月日の演算ユニットを装備させ、当該月日の情報も、上述のごとき時刻情報と同様に、12個の触知突部14の選択的な振動態様において報知させることも可能である。特に、月情報は、時間と同様に1〜12の何れかであることから、12個の触知突部14の位置情報を利用して簡便に報知することが可能となる。また、日情報も、31日までであるから、時計の12時,2時,4時,6時の各位置にある触知突部14a,14c,14e,14gだけを利用して、「分」の値の報知と同じ態様で、位置情報と振動情報の両方を利用して簡便に報知することが可能である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
10:触知式バイブレーション時計、12:ハウジング、14:触知突部、28:加振ディスク、30:ボタン電池、36:回路基板、38:マイクロステップモータ、40:小型振動モータ、46:クォーツ時計ユニット、50:標準電波受信ユニット、52:マイクロコンピュータ、54:タッチパネル、56:タッチセンサユニット
Claims (11)
- 触覚により時刻情報を与える触知式バイブレーション時計であって、
周方向で相互に離隔位置する12個の触知部が表面に設けられた時計基板と、
該時計基板に設けられた該12個の触知部をそれぞれ振動させる加振手段と、
時刻を計測する計時手段と、
該計時手段によって計測された時刻値に対応して前記加振手段を制御して前記12個の触知部を選択的に振動させる加振制御手段と、
外部からの操作を契機として前記加振制御手段を作動させることにより、前記計時手段によって計測された時刻値に対応して前記12個の触知部を選択的に振動させて時刻を触知可能とするスイッチ手段と
を、含んで構成されていることを特徴とする触知式バイブレーション時計。 - 前記12個の触知部が、大きさ及び形状の少なくとも一方を異ならせた複数種類から構成されている請求項1に記載の触知式バイブレーション時計。
- 前記12個の触知部が、一つの中心点回りの周方向において等角度間隔で位置せしめられている請求項1又は2に記載の触知式バイブレーション時計。
- 前記加振制御手段において、前記計時手段によって計測された時刻値に対応して、前記触知部における振動の大きさ,継続時間,断続せしめられる振動の回数のうちの少なくとも一つが異ならされることにより、該時刻値に応じて異なる振動態様が生ぜしめられるようになっている請求項1乃至3の何れか一項に記載の触知式バイブレーション時計。
- 前記加振制御手段において、
前記計時手段によって計測された時刻値のうちの時の値に対応する一つの前記触知部を振動させて時の表示振動をさせると共に、該計時手段によって計測された時刻値のうちの分の十桁値に対応する一つの前記触知部を振動させて分の表示振動をさせるようになっている請求項1乃至4の何れか一項に記載の触知式バイブレーション時計。 - 前記加振制御手段において、
前記計時手段によって計測された時刻値のうちの分の十桁値に対応する一つの前記触知部を、該計時手段によって計測された時刻値のうちの分の一桁値に対応する回数だけ断続させて振動させることにより、かかる時刻値のうちの分の一桁値を表示振動させるようになっている請求項5に記載の触知式バイブレーション時計。 - 前記スイッチ手段が、
外部からの操作を契機として前記加振制御手段を作動させることにより、前記計時手段によって計測された時刻値のうちの時の値に対応する一つの前記触知部を振動させて時の表示振動をさせる第一のスイッチ手段と、
外部からの操作を契機として前記加振制御手段を作動させることにより、前記計時手段によって計測された時刻値のうちの分の値に対応する一つの前記触知部を振動させて時の表示振動をさせる第二のスイッチ手段と
を、含んで構成されている請求項1乃至6の何れか一項に記載の触知式バイブレーション時計。 - 前記時計基板が平坦な表面を有しており、該表面から突出する状態で前記12個の触知部がそれぞれ設けられている請求項1乃至7の何れか一項に記載の触知式バイブレーション時計。
- 腕に巻き付けて装着することによって腕時計として用いることが出来る請求項1乃至8の何れか一項に記載の触知式バイブレーション時計。
- 標準電波を受信する標準電波受信手段を備えていると共に、該標準電波受信手段で受信した時刻情報に基づいて前記計時手段における前記時刻値を補正する補正手段を備えている請求項1乃至9の何れか一項に記載の触知式バイブレーション時計。
- 視覚により時刻情報を与えるアナログ式及びデジタル式の少なくとも一方の表示装置を併せ備えている請求項1乃至10の何れか一項に記載の触知式バイブレーション時計。
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