以下、本発明の実施形態に係る表示装置及びその駆動法、端末装置及び表示パネルについて、添付の図面を参照して具体的に説明する。まず、本発明の第1実施形態に係る表示装置及びその駆動法、端末装置及び表示パネルについて説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る表示装置を示す上面図であり、特に電気的な回路図と画像分離手段であるレンチキュラレンズとの関係を示す。図2は本実施形態に係る表示装置を示す断面図であり、図3は本実施形態に係る表示装置の画素を示す上面図であり、図4は本実施形態に係る端末装置を示す斜視図である。
本発明は、第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含む表示単位が複数配列され、前記各画素に表示データを供給するための配線と、M本(Mは1以上の整数)の前記配線毎に配置されこのM本の配線に対し表示データを順次切り替えて供給するスイッチング手段と、前記表示単位を構成する各画素から出射した光を相互に異なる方向に振り分ける光学手段と、を有し、同一視点用の画像を表示する前記画素から構成される各画素群において、前記スイッチング手段により供給される表示データの切替順序に偏りがないことを特徴とする。
ここで、M本の配線毎に配置されこのM本の配線に対し表示データを順次切り替えて供給するスイッチング手段とは、前述の背景技術の例ではブロック分割用TFTアレイが相当する。すなわち、本発明を換言すれば、レンチキュラレンズ等の画像分離用の光学手段を備え、複数の視点に異なる画像を表示可能な表示装置において、ブロック分割用のスイッチング手段により供給される表示データの切替順序が各視点用の画像を表示する画素群において偏りないことを意味する。
更に、各ブロックにおいて例えば1番目に表示データが供給される配線を1相目の配線と表現し、この1相目の配線より表示データが供給される画素を1相目の画素と表現すれば、各視点の画素群が特定の相の画素に偏ることなく構成されることを意味する。また、各相の配線に対するデータ供給動作を相展開動作と呼称すれば、相展開動作が各視点で偏りないとも表現することができる。
上述のように、相展開動作においては、相展開の順序に起因して各相に同じ映像情報を書き込んだ場合でも、輝度差が発生しブロック状のむらが発生することは知られている。これに対し、本発明者らは鋭意実験及び検討を重ねたところ、レンチキュラレンズ等の画像分離用の光学手段を有する表示装置にブロック分割駆動法を適用した場合に、従来のブロック状のむら以外の表示画質劣化が発生することを見出した。
ブロック分割駆動法においては、各ブロックにおけるデータ線により、表示に差異が発生する。これは各ブロックにおける各データ線の位置や、スイッチ順序などの違いに起因するものである。したがって、各視点を構成する画素群に相展開順序の偏りがある場合、視点により表示画質に変化が発生し、各視点で同等の画質を実現するのが困難になってしまう。この結果、観察者は表示画質が低下したものとして認識してしまう。
一例では、左眼用の画像を表示する画素と右眼用の画像を表示する画素とを有する2視点の表示装置を取り上げる。ここで、上述の各視点を構成する画素群とは、例えば左眼用の画像を表示する画素から構成する画素群が相当する。この表示装置において、例えば左眼用の画素群を1相目に相展開し、右眼用の画素群を2相目に相展開したとする。これは、各視点を構成する画素群に相展開順序の偏りが存在する場合である。このような構成では、観察者は左眼と右眼で異なる画質の画像を観察することになり、表示画質が低下したものとして認識してしまう。
この課題を解決するため、本発明では、各視点用の画素群において、相展開順序に偏りがないように構成する。
図6に示すように、本実施形態の表示装置1は、Nとして2個の視点用の画像をそれぞれ表示する2個の隣接する画素を含む表示単位S1及びS2、S3及びS1、S2及びS3がマトリクス状に複数配列されるとともに複数の走査線としてのゲート線G1,G2と複数のデータ線D11〜D23との各近接点付近に画素S1,…が配置されて成る画素マトリクス6と、表示データを出力する複数の映像信号線V1,V2と、これらの映像信号線V1,V2のそれぞれに対してMとして3本のデータ線D11〜D13,D21〜D23を順次切り替えて接続することにより表示データをデータ線D11…,を介して画素S1,…へ供給する配線スイッチング手段8と、表示単位S1〜S3を構成する各画素S1,…から出射した光を2個の視点用にそれぞれ異なる方向に振り分ける光学手段としてのレンチュキュラレンズ3とを備えたものである。そして、表示装置1は、同一の視点用の画像を表示する画素S1,…から構成される画素群としての右眼用画素4R内及び左眼用画素4L内で、各画素S1,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序を分散させる、切替順序分散手段として後述するN及びMの関係をもつ構成を備えたことを特徴とする。
従来は、右眼用画素4R内の各画素S1,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序は例えば全て1番目であり、左眼用画素4L内の各画素S1,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序は例えば全て2番目であった。そのため、右眼用画素4Rと左眼用画素4Lとで、切り替え順序に起因する表示上の差異が生じていた。そこで、本実施形態では、N及びMを適切な値とすることにより、右眼用画素4Rと左眼用画素4Lとで全体として切り替え順序を均等にすることにより、画質を向上させている。
なお、走査線は、画素スイッチがTFTであればゲート線と呼ばれるが、走査電極などと呼ばれることもある。データ線は、信号線、信号電極又はデータ電極などと呼ばれることもある。画素スイッチは、TFTに限らず、TFT(Thin Film Diode)やMIM(Metal Insulator Metal)などを用いてもよい。画素マトリクスは、画素スイッチを用いずに、単純マトリクスとしてもよい。画素は、液晶の他に、EL(Electroluminescence)やLED(Light Emitting DIode)などを用いてもよい。以下に、更に詳しく説明する。
図1及び図2に示すように、本第1実施形態に係る表示装置は、電気光学素子として液晶分子を利用した表示パネル2にレンチキュラレンズ3を具備した立体表示用の表示装置1である。レンチキュラレンズ3は、表示パネル2の表示面側、すなわち使用者側に配置されている。
表示パネル2は、各1個の左眼用画素4L及び右眼用画素4Rからなる表示単位としての画素対がマトリクス状に設けられた視点数2なる立体表示用の表示パネルである。なお、本実施形態においては、左眼用画素4L及び右眼用画素4Rを総称して画素4とも呼称する。レンチキュラレンズ3は多数のシリンドリカルレンズ3aが一次元配列したレンズアレイである。シリンドリカルレンズ3aはかまぼこ状の凸部を有する一次元レンズである。その延伸方向、すなわち長手方向は、表示面内において配列方向と直交する方向となっている。シリンドリカルレンズ3aは延伸方向にはレンズ効果を持たず、その直交方向である配列方向にのみレンズ効果を有する。これにより、レンチキュラレンズ3はシリンドリカルレンズ3aの配列方向にのみレンズ効果を有する一次元レンズアレイとなっている。そして、シリンドリカルレンズ3aの配列方向は、左眼用画素4L及び右眼用画素4Rが繰り返し配列される方向に設定されている。なおシリンドリカルレンズ3aは、前述の表示単位と対応して配置されている。
シリンドリカルレンズ3aは、前述のようにその延伸方向と直交する方向にのみレンズ効果を有する。そして、本実施形態においては、このレンズ効果を有する方向が、左眼用画素4L及び右眼用画素4Rが繰り返し配列される方向と一致している。この結果、シリンドリカルレンズ3aは、左眼用画素4Lの光と右眼用画素4Rの光を異なる方向に分離可能な光線分離手段として作用する。これにより、レンチキュラレンズ3は、各表示単位の左眼用画素4Lが表示する画像と、各表示単位の右眼用画素4Rが表示する画像を、異なる方向に分離することができる。すなわち、レンチキュラレンズ3は、画像分離手段、画像振分手段として作用する光学部材である。なお、シリンドリカルレンズ3aの焦点距離は、シリンドリカルレンズ3aの主点、すなわちレンズの頂点と、画素面、すなわち左眼用画素4L又は右眼用画素4Rが配置された面との間の距離に設定されている。
なお、本明細書においては、便宜上、以下のようにXYZ直交座標系を設定する。左眼用画素4L及び右眼用画素4Rが繰り返し配列される方向において、右眼用画素4Rから左眼用画素4Lに向かう方向を+X方向とし、その反対方向を−X方向とする。+X方向及び−X方向を総称してX軸方向という。また、シリンドリカルレンズ3aの長手方向をY軸方向とする。更に、X軸方向及びY軸方向の双方に直交する方向をZ軸方向とし、このZ軸方向のうち、左眼用画素4L又は右眼用画素4Rが配置された面からレンチキュラレンズ3に向かう方向を+Z方向とし、その反対方向を−Z方向とする。+Z方向は前方、すなわち、使用者に向かう方向であり、使用者は表示パネル2の+Z側の面を視認することになる。そして、+Y方向は、右手座標系が成立する方向とする。すなわち、人の右手の親指を+X方向、人差指を+Y方向に向けたとき、中指は+Z方向を向くようにする。
上述の如くXYZ直交座標系を設定すると、シリンドリカルレンズ3aの配列方向はX軸方向となり、左眼用の画像と右眼用の画像はX軸方向に沿って分離されることになる。また、左眼用画素4L及び右眼用画素4Rからなる表示単位がY軸方向に一列に配列される。X軸方向における画素対の配列周期はシリンドリカルレンズの配列周期と略等しくなっている。一つのシリンドリカルレンズ3aには、表示単位がY軸方向に配列した列が対応して配置されている。
表示パネル2においては、TFT基板2aと対向基板2bとが微小な間隙を設定して配置されており、この間隙に液晶層5LCが配置されている。TFT基板2aは表示パネル2の−Z方向側に配置され、対向基板2bは+Z方向側に配置されている。すなわち、対向基板2bの更に+Z方向側にレンチキュラレンズ3が配置されている。
表示パネル2は薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)を有するアクティブマトリクス型の表示パネルである。薄膜トランジスタは各画素に表示信号を伝送するための画素スイッチとして作用し、このスイッチを操作するのは、各スイッチのゲートに接続されたゲート線を流れるゲート信号である。本発明においては、TFT基板2aの内側の面、すなわち+Z方向側の面に、行方向、すなわちX軸方向に延伸する走査線としてのゲート線G1及びG2が配置されている。なおゲート線G1、G2を総称してゲート線Gとも呼称する。更に、TFT基板2aの同じ面には、列方向、すなわちY軸方向に延伸するデータ線D11乃至D23が配置されている。データ線D11乃至D23を総称してデータ線Dとも呼称する。データ線は薄膜トランジスタに表示信号を供給する役割を果たす。そして、ゲート線とデータ線の交点近傍に、画素(左眼用画素4L又は右眼用画素4R)が配置されている。これにより、複数個の画素がマトリクス状に配置されることになる。なお、各画素には薄膜トランジスタが配置される。そして、各画素は平行移動の状態にある。すなわち、各画素は平行移動した状態で配置されている。平行移動は、点対称移動や、線対称移動などせずに、単に中心位置を変更するだけである。
TFT基板2aの画素が形成された領域の外側には、ゲート線Gを駆動するためのゲートドライバ回路5Gや、データ線Dを駆動するためのデータドライバ回路5Dが配置されている。ゲートドライバ回路5Gは、ゲート線G1、G2を順次走査するための回路である。データドライバ回路5Dは、映像信号線駆動回路5Vと、ブロック分割駆動制御回路5B、スイッチASW1−1乃至ASW2−3により構成されている。なお、スイッチASW1−1乃至ASW2−3を総称してスイッチASWとも呼称する。スイッチASWはMOS型の薄膜トランジスタであり、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極が形成されている。
映像信号線駆動回路5Vの出力端子は、映像信号線V1乃至V2(以下、総称して映像信号線Vとも呼称する)に接続されている。すなわち、映像信号線駆動回路5Vは映像信号線Vに映像信号を供給するための回路である。そして、映像信号線V1は、配線スイッチとしてのスイッチASW1−1、ASW1−2、ASW1−3の入力端子、例えばソース電極に接続される。スイッチASW1−1の出力端子、例えばドレイン電極はデータ線D11に接続される。同様に、スイッチASW1−2の出力端子はデータ線D12に接続され、スイッチASW1−3の出力端子はデータ線D13に接続される。
以下同様に、映像信号線V2はスイッチASW2−1乃至2−3の入力端子に接続され、スイッチASW2−1の出力端子はデータ線D21に接続され、スイッチASW2−2の出力端子はデータ線D22に接続され、スイッチASW2−3の出力端子はデータ線D23に接続される。
ブロック分割駆動制御回路5Bの出力端子は、制御線SP1乃至SP3に接続される。そして、制御線SP1はスイッチASW1−1、ASW2−1の各ゲート電極に接続される。同様に、制御線SP2はスイッチASW1−2、ASW2−2の各ゲート電極に接続され、制御線SP3はスイッチASW1−3、ASW2−3の各ゲート電極に接続される。
上述のように、映像信号線V1は、スイッチASW1−1乃至ASW1−3を介して、データ線D11乃至D13に接続されることになる。この同一の映像信号線に接続されたデータ線の組をブロックと呼称する。そして、各ブロックの有するスイッチの数、又はこれらのスイッチを制御する制御線の数を相展開数と呼称する。本実施形態における相展開数は3であり、3相展開の例を示している。
前述のように、本実施形態における視点数は左右の2視点である。したがって、本実施形態は2視点3相展開の例を示したものであると言える。切替順序分散手段における視点数をN、相展開数をMとすれば、N=2、M=3であり、N<Mである。また、切替順序分散手段における視点数Nを相展開数Mで除した余りをNmodMと表記すると、本実施形態においてはNmodM=2であり、NmodM≠0が成立する。以上まとめると、本実施形態においては、切替順序分散手段における視点数N及び相展開数Mとの間にN<MかつNmodM≠0なる関係が成立している。
図1及び図3に示すように、画素4には画素電極4PIX、画素薄膜トランジスタ4TFTP、蓄積容量4CSが配置されている。画素薄膜トランジスタ4TFTPもMOS型の薄膜トランジスタであり、ソース電極又はドレイン電極の一方がデータ線Dに接続され、他方が画素電極4PIXと蓄積容量4CSの一方の電極に接続される。本発明においては、画素電極が接続された方の電極をソース電極、信号線に接続された方の電極をドレイン電極と呼称するものと定める。そして、画素薄膜トランジスタ4TFTPのゲート電極は、ゲート線Gに接続される。蓄積容量4CSの他方の電極には、共通電極4COMが接続されている。更に、対向基板の内側にも共通電極4COMが形成され、画素電極4PIXとの間で画素容量4CLCが形成される。なお、図3においては、各構成要素の大きさや縮尺は、図の視認性を確保するため、適宜変更して記載してある。また、画素4の構造は、左眼用画素4L及び右眼用画素4Rに対して共通である。
本実施形態におけるASWを構成する薄膜トランジスタ及び画素薄膜トランジスタ4TFTPは、ソース電極又はドレイン電極の電位よりもゲート電極の電位の方がハイレベルとなった場合に、ソース電極とドレイン電極との間が導通状態となるNMOS型の薄膜トランジスタである。なお、ソース電極又はドレイン電極の電位よりもゲート電極の電位の方がローレベルとなった場合には、ソース電極とドレイン電極との間は非導通状態となる。
図4に示すように、本実施形態に係る端末装置は携帯電話9である。この携帯電話9には、前述の表示装置1が搭載されている。そして、表示装置1のX軸方向が携帯電話9の画面の横方向となり、表示装置1のY軸方向が携帯電話9の画面の縦方向となっている。
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る表示装置の動作について説明する。図5は、横軸に時間をとり、縦軸に各配線の電位をとって、本実施形態に係る表示装置の動作を示すタイミングチャートである。
はじめに図5を参照して、本実施形態に係る表示装置の駆動方法について説明する。まずゲートドライバ回路5Gがゲート線G1にハイレベルの電位を出力する。このとき、ゲート線G2はローレベルとなっている。図5に示すように、各ゲート線がハイレベルとなる期間が、1水平期間THである。1水平期間THは、各ゲート線に接続された1画素行に映像信号を書き込む期間となる。G1がハイレベルになった後に、ブロック分割制御回路5Bは制御線SP1のみをハイレベルとし、制御線SP2及びSP3はローレベルのままとする。制御線SP1がハイレベルとなる期間がTB1である。制御線SP1がハイレベルとなると、スイッチASW1−1及びASW2−1が導通状態となり、映像信号線V1がデータ線D11と導通され、映像信号線V2がデータ線D21と導通される。そして、映像信号線駆動回路5Vは映像信号線V1にゲート線G1とデータ線D11に接続された画素に書き込むべき信号を出力する。この信号は、映像信号線V1、スイッチASW1−1、データ線D11を通り、導通状態となっている画素トランジスタを通過して、ゲート線G1とデータ線D11に接続された画素の蓄積容量4CS及びが素容量4CLCに書き込まれる。同様に、映像信号線V2には、ゲート線G1とデータ線D21に接続された画素に書き込むべき信号が映像信号線駆動回路5Vより出力され、映像信号線V2、スイッチASW2−1、データ線D21を経由して、該当する画素に書き込まれる。
期間TB1が終了すると、制御線SP1はローレベルとなり、制御線SP2がハイレベルとなる。これにより、スイッチASW1−1及びASW2−1は非導通状態となり、スイッチASW1−2及びASW2−2が導通状態となる。そして、ゲート線G1とデータ線D12に接続された画素に対して、映像信号線V1、スイッチASW1−2、データ線D12を経由して、映像信号線駆動回路5Vの信号が書き込まれる。ゲート線G1とデータ線D22に接続された画素に対しても同様である。
そして、期間TB2が終了すると、制御線SP2はローレベルとなり、制御線SP3がハイレベルとなる。制御線SP1はローレベルのままである。これにより、スイッチASW1−3及びASW2−3が導通状態となる。そして、ゲート線G1とデータ線D13に接続された画素に対して、映像信号線V1、スイッチASW1−3、データ線D13を経由して、映像信号線駆動回路5Vの信号が書き込まれる。ゲート線G1とデータ線D23に接続された画素に対しても同様である。
なお、ゲート線G1とデータ線D11に接続された画素に映像信号線駆動回路5Vから出力された信号が書き込まれるのは、スイッチASW1−1が導通状態となる期間TB1においてである。しかし期間TB1終了後においても、ゲート線G1はハイレベルであるため、データ線D11に保持されている電位が、画素に供給され続けることになる。この状態は、ゲート線G1がローレベルになるまで、すなわち期間TB2及びTB3の間も持続する。これが3相展開の表示装置における1相目の書込動作である。
これに対し、例えば3相目の書込動作においては、ゲート線G1とデータ線D13に接続された画素に着目すると、期間TB3が終了するとすぐにゲート線G1がローレベルとなる。このため、電位の供給は期間TB3のみで終了することになる。このように、1相目、2相目、3相目の書込動作には、完全に等価とはなり得ない差異が存在する。
そして、ゲート線G1がローレベルとなると、1水平期間THが終了し、次のゲート線G2がハイレベルとなり、次の水平期間THが開始される。この水平期間、すなわちゲート線G2がハイレベルとなる水平期間における動作は、ゲート線G1がハイレベルとなる水平期間の動作と同様である。
本実施形態においては、上述のように、ゲートドライバ回路5Gがゲート線Gを順次走査し、ブロック分割制御回路5Bが各スイッチASWを制御し、映像信号線駆動回路5Vが該当する画素に書き込むべき信号を出力する。これにより、1画面分の画像が表示される。そして、この動作が繰り返し実行される。
上述のように、表示装置の駆動方法が決まると、各画素の相展開順序も決定される。一方で、各画素は、レンチキュラレンズ3を構成するシリンドリカルレンズ3aとの相対的な位置関係により、左眼用画素4L又は右眼用画素4Rに割り当てられる。本発明においては、この各画素の相展開順序と各視点への割り当ての関係が重要であるため、図6を使用してこの関係を説明する。
図6は、本実施形態に係る表示装置の画素において、左眼用画素及び右眼用画素の相展開順序を示す上面図である。図6に示すように、データ線D11及びD21に接続された画素は1相目に書込動作が実行されるため、「S1」と記載されている。同様に、データ線D12、D22に接続された画素は2相目に書込動作が実行されるので「S2」と記載され、データ線D13、D23に接続された画素は3相目に書込動作が実行されるので「S3」と記載されている。
一方で、シリンドリカルレンズ3aとの位置関係により、データ線D11、D13、D22に接続された画素は右眼用画素4Rに割り当てられる。そして、データ線D12、D21、D23に接続された画素は左眼用画素4Lに割り当てられる。通常の立体視状態においては、観察者の右眼は右眼用画素を視認し、左眼は左眼用画素を視認することになる。したがって、観察者の右眼は、1相目に相展開された画素の列、3相目に相展開された画素の列、2相目に相展開された画素の列が、この順にX軸方向に配列された状態を視認することになる。また、観察者の左眼は、2相目に相展開された画素の列、1相目に相展開された画素の列、3相目に相展開された画素の列が、この順にX軸方向に配列された状態を視認することになる。
図6において、配線スイッチング手段8は、データ線D11に供給された右視点(右眼)用画像信号を表示単位S1−S2のうち画素(S1)に、データ線21に供給された左視点(左眼)用画像信号を表示単位S3−S1のうち画素(S1)に振り分けている。また、配線スイッチング手段8は、データ線D12に供給された左視点(左眼)用画像信号を表示単位S1−S2のうち画素(S2)に、データ線22に供給された右視点(右眼)用画像信号を表示単位S2−S3のうち画素(S2)に振り分けている。また、配線スイッチング手段8は、データ線D13に供給された右視点(右眼)用画像信号を表示単位S3−S1のうち画素(S3)に、データ線23に供給された左視点(左眼)用画像信号を表示単位S2−S3のうち画素(S3)に振り分けている。
このように、本実施形態においては、表示装置が3相展開で駆動され、全ての左眼用画素に着目すると、1相目、2相目、3相目の各相に全て割り当てられている。右眼用画素でも同様である。すなわち、各視点用の画素群は、特定の相展開順序、すなわちスイッチ順に偏っていない。しかも、各視点用の画素群においては、各相が均等に割り振られている。また各視点間による差異もない。
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態によれば、ブロック駆動法における相展開動作と、レンチキュラレンズなどの画像分離手段の組合せに起因する表示画質の劣化を抑制することができる。その理由を以下に説明する。前述のように、相展開動作においては、各相の書込動作には差異が存在する。仮に、左眼用画素群などの各視点用画素群において、相展開順序に偏りが存在した場合、例えば左眼用画素群が1相目に書込される画素のみで構成され右眼用画素群が2相目に書込される画素のみで構成された場合には、各視点で同等の表示品質を実現するのが困難になる。この結果、観察者は表示画質が低下したものと認識してしまう。
本実施形態においては、各視点用画素群が特定の相展開順序に偏ることなく構成されている。これにより、各視点における表示を均一化することができ、表示画質の劣化を抑制することが可能となる。また、各視点における表示の均一化を実現する上では、各相が均等に割り振られていることが重要である。例えば、左眼用画素群が1相目及び2相目に書込される画素から構成され、右眼用画素群が2相目及び3相目に書込される画素から構成された場合では、各視点が異なる相で構成されるよりは改善されるものの、表示画質の劣化を完全に抑制するのは困難である。各視点に各相が均等に割り振られることが望ましい。
また、本実施形態においては、各視点用の画素群において、各相の画素が概ね均等に配分されており、かつ各視点間での差異もない。これにより、各視点の表示画質を完全に同等にすることができ、表示画質の劣化を防止することができる。
また、より具体的には、以下のように表現することもできる。すなわち、第N視点用(Nは2以上の整数)の画像を表示する画素を少なくとも含む複数の表示単位がマトリクス状に配列され、前記画素がデータ線とゲート線との近接点毎に設けられた表示パネルと、前記表示単位内において前記第1乃至第N視点用の画像を表示する画素を配列した第1の方向に沿って、前記各画素から出射した光を相互に異なる方向に振り分ける画像分離手段と、前記データ線をM本(Mは整数)毎にまとめ1乃至M番目の前記データ線に電圧供給を順次切り替えるM相の相展開回路と、を有し、視点数N及び相展開数MにN<MかつNmodM≠0なる関係が成立することになる。本実施形態は、特にN=2かつM=3の場合と考えることができる。これにより、表示画質の劣化を完全に防止することができる。
また、より具体的には、以下のように表現することもできる。すなわち、本発明の実施形態に係る表示装置は、2以上の走査線と2以上のデータ線とにそれぞれ接続された2以上の画素に画像信号を供給することにより、2以上の異なる方向に画像を表示する表示装置であって、2以上の視点にそれぞれ画像を表示するための隣接する画素を含む2以上の表示単位S1−S2,S2−S3,S3−S1・・・と、前記表示単位を構成する各画素が出射する光を2以上の異なる方向に振り分ける光学手段3と、前記表示単位を構成する2以上の画素にそれぞれ接続された前記2以上のデータ線に2以上の異なる方向に表示するための画像信号を出力する2以上の映像信号線V1,V2・・・と、前記2以上のデータ線と前記映像信号線との接続を制御するための1以上の制御線SP1,SP2・・・と、前記制御線に入力する制御信号に基づいて、前記2以上の方向に表示するための画像信号を前記2以上の表示単位の画素に振り分ける配線スイッチASW1−1,ASW2−1・・・とを含む配線スイッチング手段8とを有する構成であってもよいものである。
この場合、前記表示単位が、N(Nは2以上)個の視点用の画像をそれぞれ表示するN個の隣接する画素を含んで複数配列されるとともに複数の走査線と複数のデータ線との各近接点付近に前記画素が配置され、前記光学手段が、前記表示単位を構成する各画素から出射した光を前記N個の視点用にそれぞれ異なる方向に振り分けるものであり、前記配線スイッチが、前記映像信号線のそれぞれに対してM(Mは1以上の整数)本の前記データ線を順次切り替えて接続することにより前記表示データを当該データ線を介して前記画素へ供給するものであり、前記配線スイッチング手段が、同一の前記視点用の画像を表示する前記画素から構成される画素群内で各画素に対応する前記配線スイッチによる切り替え順序を割り振る構成であってもよい。
立体画像表示装置などの複数視点用表示装置は、複数の視点に表示するため、より多くの画素を有するのが望ましい。このような表示装置にブロック分割駆動法を適用すると、駆動回路の規模を削減することができ、低コスト化に非常に有利である。
ここで、本実施形態における立体画像表示装置の構成の一例と、レンチキュラレンズが画像振分手段として作用するための条件について詳述する。本実施形態においては、画像振分手段は、左眼用画素と右眼用画素が配列する第1の方向、すなわちX軸方向に沿って、各画素から出射した光を相互に異なる方向に振り分けなければならない。そこでまず、画像振分効果を最大限に発揮する場合について、図7を使用して説明する。
レンチキュラレンズ3の主点、すなわち頂点と画素との間の距離をHとし、レンチキュラレンズ3の屈折率をnとし、レンズピッチをLとする。また、左眼用画素4L又は右眼用画素4Rの各1個のピッチをPとする。このとき、各1個の左眼用画素4L及び右眼用画素4Rからなる表示画素の配列ピッチは2Pとなる。
また、レンチキュラレンズ3と観察者との間の距離を最適観察距離ODとし、この距離ODにおける画素の拡大投影像の周期、すなわち、レンズから距離ODだけ離れレンズと平行な仮想平面上における左眼用画素4L及び右眼用画素4Rの投影像の幅の周期を夫々eとする。更に、レンチキュラレンズ3の中央に位置するシリンドリカルレンズ3aの中心から、X軸方向におけるレンチキュラレンズ3の端に位置するシリンドリカルレンズ3aの中心までの距離をWLとし、反射型液晶表示パネル2の中心に位置する左眼用画素4Lと右眼用画素4Rからなる表示画素の中心と、X軸方向における表示パネル2の端に位置する表示画素の中心との間の距離をWPとする。更にまた、レンチキュラレンズ3の中央に位置するシリンドリカルレンズ3aにおける光の入射角及び出射角を夫々α及びβとし、X軸方向におけるレンチキュラレンズ3の端に位置するシリンドリカルレンズ3aにおける光の入射角及び出射角を夫々γ及びδとする。更にまた、距離WLと距離WPとの差をCとし、距離WPの領域に含まれる画素数を2m個とする。
シリンドリカルレンズ3aの配列ピッチLと画素の配列ピッチPとは相互に関係しているため、一方に合わせて他方を決めることになるが、通常、表示パネルに合わせてレンチキュラレンズを設計することが多いため、画素の配列ピッチPを定数として扱う。また、レンチキュラレンズ3aの材料を選択することにより、屈折率nが決定される。これに対して、レンズと観察者との間の観察距離OD、及び観察距離ODにおける画素拡大投影像の周期eは所望の値を設定する。これらの値を使用して、レンズの頂点と画素との間の距離H及びレンズピッチLを決定する。スネルの法則と幾何学的関係より、下記式<1>〜<6>が成立する。また、下記式<7>〜<9>が成立する。
n×sinα=sinβ ・・・<1>
OD×tanβ=e ・・・<2>
H×tanα=P ・・・<3>
n×sinγ=sinδ ・・・<4>
H×tanγ=C ・・・<5>
OD×tanδ=WL ・・・<6>
WP−WL=C ・・・<7>
WP=2×m×P ・・・<8>
WL=m×L ・・・<9>
前述のようにまず画像振分効果を最大限に発揮する場合について考えるが、これはレンチキュラレンズの頂点と画素との間の距離Hを、レンチキュラレンズの焦点距離fと等しく設定した場合である。これにより、下記式<10>が成立する。そして、レンズの曲率半径をrとすると、曲率半径rは下記式<11>により求まる。
f=H ・・・<10>
r=H×(n−1)/n ・・・<11>
上記のパラメータについてまとめると、画素の配列ピッチPは表示パネルにより決定される値であり、観察距離OD及び画素拡大投影像の周期eは表示装置の設定により決定される値である。屈折率nはレンズ等の材質により決定される。そして、これらから導出されるレンズの配列ピッチL、レンズと画素との距離Hは、各画素からの光が観察面に投影される位置を決定するためのパラメータとなる。画像振分効果を変更するパラメータは、レンズの曲率半径rである。すなわち、レンズと画素との距離Hが固定の場合には、レンズの曲率半径を理想状態から変更すると、左右の画素の像がぼやけて、明確に分離しなくなる。すなわち、分離が有効となる曲率半径の範囲を求めれば良い。
まず、レンズの分離作用が存在するための、曲率半径範囲の最小値を算出する。図8に示すように、分離作用が存在するためには、レンズピッチLを底辺とし焦点距離fを高さとする三角形と、画素ピッチPを底辺としH−fを高さとする三角形とにおいて、相似の関係が成立すればよい。これより、下記式<12>が成立し、焦点距離の最小値fminを求めることができる。
fmin=H×L/(L+P) ・・・<12>
次に焦点距離から曲率半径を算出する。式<11>を使用して、曲率半径の最小値rminは、下記式<13>のように求めることができる。
rmin=H×L×(n−1)/(L+P)/n ・・・<13>
次に、最大値を算出する。図9に示すように、分離作用が存在するためには、レンズピッチLを底辺とし焦点距離fを高さとする三角形と、画素ピッチPを底辺としf−Hを高さとする三角形とにおいて、相似の関係が成立すればよい。
これより、下記式<14>が成立し、焦点距離の最大値fmaxを求めることができる。
fmax=H×L/(L−P) ・・・<14>
次に焦点距離から曲率半径を算出する。式<11>を使用して、曲率半径の最小値rmaxは、下記式<15>のように求めることができる。
rmax=H×L×(n−1)/(L−P)/n ・・・<15>
以上まとめると、レンズが画像振分効果を発揮するためには、レンズの曲率半径が式<13>及び式<15>により示される下記式<16>の範囲に存在する必要がある。
H×L×(n−1)/(L+P)/n ≦ r ≦ H×L×(n−1)/(L−P)/n ・・・<16>
なお上記においては、左眼用画素と右眼用画素とを有する2視点の立体画像表示装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、N視点方式の表示装置に対して同様に適用することができる。この場合には、前述の距離WPの定義において、距離WPの領域に含まれる画素数を、2m個からN×m個に変更すればよい。
なお上述の説明は、観察面に複数個の視点を設定し、その設定した各視点に向かって表示面の全ての表示単位から各視点用の画素の光が出射する方式のものである。この方式は、ある定めた視点に向かって、該当する視点の光を集めるため、集光方式とも呼称される。集光方式には、上述の2視点方式の立体表示装置や、更に視点数を増やした多視点方式の立体表示装置が分類される。図10に集光方式の概念図を示す。集光方式では観察者の眼に入射する光線を再現して表示する点が特徴的である。本発明は、このような集光方式に対して効果的に適用することができる。
更に、図11に示すように、空間像方式や空間像再生方式、空間像再現方式、空間像形成方式などと呼称される方式が提案されている。空間像方式は集光方式と異なり、特定の視点を設置しない。そして、空間の物体が発する光を再現するように表示する点が異なる。このような空間像方式には、インテグラルフォトグラフィ方式やインテグラルビデオグラフィ方式、インテグラルイメージング方式の立体表示装置が分類される。空間像方式においては、任意の場所に位置する観察者は、表示面全体で同一視点用の画素のみを視認することはない。しかしながら、同一視点用の画素が形成する所定の幅の領域が、複数種類存在することになる。この各領域においては、本発明は前述の集光方式と同様の効果を発揮できるため、空間像方式においても本発明を有効に適用することができる。
なお、本発明においては、「視点」を「使用者が注視する表示領域上のある点(viewing point)」という意味ではなく、「表示装置を視認する位置(observation position)」や、「使用者の眼が位置すべき点又は領域」という意味で使用している。
本実施形態においては、説明を簡略化するため、ゲート線の本数、データ線の本数は、説明に必要な数に限定した。本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の本質には影響を与えない。特に、本実施形態においては、データ線の配列方向であるX軸方向には、データ線6本分を最小単位として、周期的に繰り返し配置される。このデータ線の最小構成数6は、視点数N=2と相展開数M=3との積である。そして、周期的に繰り返し配置されるピッチは、画素ピッチをPとすると、N×M×Pとなる。相展開動作による影響を更に低減し、更なる高画質化を実現するためには、使用者がこの相展開の周期を視認できないようにすればよい。
ここで、相展開周期の視認性について詳述する。視認性は人間の視力、観察距離にも依存する。観察距離に関しては、立体ディスプレイでは立体視域が存在するため、その視域中における使用が前提となる。そこで、まず立体視域について説明する。
図12は、レンチキュラレンズ方式の表示装置において、最大観察距離を算出するための光学モデルを示す断面図である。表示パネルの任意の左眼用画素から出射した光は、レンチキュラレンズにより所定の領域に向けて偏向される。この領域が左眼領域71Lである。同様に、右眼用画素から出射した光は、右眼領域71Rに向けて偏向される。そして、使用者が左眼領域71Lに左眼55Lを位置させ、右眼領域71Rに右眼55Rを位置させると、左右の眼に異なる画像を入射させることができる。これらの画像が視差画像であれば、使用者は立体画像を視認することになる。
ただし、左眼領域71L及び右眼領域71Rの任意の位置に各々の眼を配置することはできない。これは、両眼間隔による制約が存在するからである。文献によると、人間の両眼間隔は概ね一定であり、一例では、成人男子の両眼間隔の平均値は65mm、標準偏差は±3.7mmであり、成人女子の両眼間隔の平均値は62mm、標準偏差は±3.6mmである(Neil A. Dodgson, "Variation and extreme of human interpupillary distance", Proc. SPIE vol.5291)。したがって、立体表示装置を設計する場合には、両眼間隔の値を62乃至65mmの範囲に設定することが適当であり、63mm程度の値が使用される。左眼領域及び右眼領域のサイズにこの両眼間隔の制約を加えて立体視域を算出する必要がある。
ここで、左眼領域及び右眼領域の幅について説明する。前述のように、最適観察距離ODにおける各画素の拡大投影像の周期をeとしているが、この値は両眼間隔と等しく設定するのが好ましい。周期eが両眼間隔より小さい場合には、周期eに制限され立体視域幅が小さくなってしまう。また、周期eが両眼間隔より大きい場合には、立体視域幅は周期eにより制限されないが、両眼間隔により制限される。しかも、斜め方向に発生するサイドローブを利用しての視認が困難になる。このため、周期eを大きくしても、立体視域幅が拡大することはない。以上の理由から、周期eは両眼間隔と等しく設定される。
すると、立体視域における最大観察距離は、表示パネルのX軸方向の端に位置する表示単位から出射した光の軌跡と、左眼領域又は右眼領域のX軸方向における中心線との交点となる。そこで、表示パネルのX軸方向の端に位置する表示単位において、この表示単位の中央から出射した光線に着目する。このとき、WLを底辺とし最適観察距離ODを高さとする三角形と、e/2を底辺としFD−ODを高さとする三角形に相似の関係が成立する。したがって、下記式<17>が成立し、これを整理すると、下記式<18>に示すように最大観察距離FDが得られる。
WL:OD=e/2:FD−OD ・・・<17>
FD=OD×(WL+e/2)/WL ・・・<18>
次に、最小観察距離を算出する。図13は、レンチキュラレンズ方式の表示装置において、最小観察距離を算出するための光学モデルを示す断面図である。立体視域における最小観察距離は、表示パネルのX軸方向の端から出射した光線の軌跡と、左眼領域又は右眼領域のX軸方向における中心線との交点となる。そこで、表示パネルのX軸方向の端に位置する表示単位において、この表示単位の図右端から出射した光線に着目する。このとき、WL+e/2を底辺とし最小観察距離NDを高さとする三角形と、e/2を底辺としOD−NDを高さとする三角形に相似の関係が成立する。したがって、下記式<19>が成立し、これを整理すると、下記式<20>に示すように最小観察距離NDが得られる。
e/2:OD−ND=WL+e/2:ND ・・・<19>
ND=OD×(WL+e/2)/(WL+e) ・・・<20>
以上により、立体視域71が算出された。これは、図12又は図13に示すように、ダイヤモンド状の四角形となる。そのX軸方向における幅は、画素の拡大投影像の周期eの半分である。Y軸方向における幅は、最大観察距離FDと最小観察距離NDとの差分となる。
相展開周期の視認性については、この立体視域に使用者が位置した際に、認識できないことが好ましい。例えば、立体視域において表示装置からの最遠端となる最大観察距離FDから視認できないことは必須であるし、最適観察距離ODから視認できない方が好ましい。更には、最小観察距離NDから視認できなければ完璧である。
そこで、次に相展開周期の視認性、すなわち視距離と相展開周期の関係について詳述する。使用者が遮光領域を視認できないようにするためには、遮光領域の幅を観察者の視力による分解能以下に設定する必要がある。図14に示すように、観察者の視力と識別可能な最小視角との関係は、下記式<21>により与えられる。
視力 = 1/視角(分) ・・・<20>
一般的に視力は1.0であり、上記式<21>から、視力1.0である観察者の最小視角は1分、すなわち1/60度と算出される。そしてこのとき、観察距離D(mm)における観察者の眼の分解能は、D×tan(1/60)(mm)となる。なお、tan中の角度単位は「度」であり、具体的な数値としては、tan(1/60)は0.00029である。したがって、相展開周期M×N×PをD×tan(1/60)(mm)より小さくすることにより、遮光領域の幅を眼の分解能よりも小さくでき、使用者による遮光領域の視認を防止できる。
以上まとめると、相展開周期M×N×Pは、FD×tan(1/60)より小さくする必要があり、FD×tan(1/60)より小さい方が好ましい。更には、ND×tan(1/60)より小さければ、立体視域の全ての場所において、相展開動作による影響を更に低減し、更なる高画質化を実現できる。
なお、上記の説明は、左右画像の分離性能を最大にしたレンズの場合について説明したが、分離性能を最大にしたピンホール状のバリアの場合にも、同様に適用することができる。そして、レンズの場合にはデフォーカス設定、すなわちレンズの焦点面を画素面からずらして配置した場合には、立体視域は上記よりも狭くなる。バリアの開口を大きくした場合でも同様である。ただし、このように立体視域を狭くした場合には、最適観察距離ODは変化せず、最大観察距離FDが小さくなって最適観察距離ODに近付き、最小観察距離NDが大きくなって最適観察距離ODに近付くことになる。したがって、分離性能が最大となる場合について算出した上記の条件は、分離性能を低下させた場合にも同様に適用できることになる。
本実施形態においては、薄膜トランジスタは、ソース電極又はドレイン電極の電位よりもゲート電極の電位の方がハイレベルとなった場合に、ソース電極とドレイン電極との間が導通状態となるものとして説明した。逆に、ソース電極又はドレイン電極の電位よりもゲート電極の電位の方がローレベルとなった場合に導通状態となるPMOS型の薄膜トランジスタを使用することもできる。
また、スイッチASWは薄膜トランジスタを用いてTFT基板上に形成されているものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、データドライバ回路全体がシリコンウェハ等の別基板上に集積回路として実現されていてもよい。
本実施形態におけるレンチキュラレンズは、レンズ面が使用者側の方向である+Z方向の面に配置された場合の構造について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、レンズ面が表示パネル側の方向である−Z方向の面に配置されていてもよい。この場合、レンズ−画素間距離を小さくすることができるため、高精細化への対応で有利である。
また、レンチキュラレンズの配列方向は、ゲート線の延伸方向と必ずしも平行である必要はなく、回転配置されていてもよい。そして、視点数Nは必ずしも整数である必要はない。本発明においては、各視点用の画素群が、特定の相展開順序、すなわちスイッチ順に偏らないことが本質であり、重要な点であるからである。また、レンチキュラレンズのような一次元の画像分離手段のみならず、フライアイレンズのような二次元の画像分離手段を適用した場合においても、各視点用画素の画素群が特定の相展開順序に偏らないようにすることで、高画質化が可能となる。
更にまた、前記表示単位は正方形の中に形成されていてもよい。なお、正方形の中に形成するとは、前記表示単位におけるX軸方向のピッチがY軸方向のピッチと同じであることを意味する。換言すれば、前記表示単位が繰り返し配列される方向において、そのピッチが、全て同じである。
更に、本実施形態における表示パネルは、電気光学素子として液晶分子を利用した液晶表示パネルであるものとして説明した。液晶表示パネルとしては、透過型液晶表示パネルだけでなく、反射型液晶表示パネル、半透過型液晶表示パネル、反射領域よりも透過領域の比率が大きい微反射型液晶表示パネル、透過領域よりも反射領域の比率が大きい微透過型液晶表示パネル等にも適用することができる。また、表示パネルの駆動方法は、TFT方式に好適に適用できる。TFT方式における薄膜トランジスタは、アモルファスシリコンや低温ポリシリコン、高温ポリシリコン、単結晶シリコンを使用したものだけでなく、ペンタセンなどの有機物や酸化亜鉛などの酸化金属、カーボンナノチューブを使用したものにも好適に適用できる。更に、前述のように、データドライバ回路全体をシリコンウェハ上の集積回路で実現した場合には、TFD(Thin Film Diode:薄膜ダイオード)方式等のアクティブマトリクス方式や、STN(Super Twisted Nematic liquid crystal)方式等のパッシブマトリクス方式にも適用することができる。また、本発明は薄膜トランジスタの構造には依存しない。ボトムゲート型やトップゲート型、スタガ型、逆スタガ型等を好適に使用することができる。更には、液晶方式以外の表示パネル、例えば有機エレクトロルミネッセンス表示パネル、プラズマ表示パネル、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)表示パネル、フィールドエミッション表示パネル、又はPALC(Plasma Address Liquid Crystal:プラズマ・アドレス液晶)に適用することもできる。
更にまた、本実施形態においては、端末装置として携帯電話を例示したが、本発明はこれに限定されず、PDA、パーソナルTV、ゲーム機、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ及びノート型パーソナルコンピュータ等の各種の携帯端末装置に適用することができる。また、携帯端末装置のみならず、キャッシュディスペンサ、自動販売機、モニタ及びテレビジョン受像機等の各種の固定型の端末装置に適用することもできる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図15は本発明の第2実施形態に係る表示装置を示す断面図である。前述の本発明の第1実施形態と比較して、本第2実施形態においては、画像振分手段として、レンチキュラレンズの代わりにパララックスバリアを使用している点が異なる。図12に示すように、本実施形態の表示装置11においては、スリット7aがX軸方向に多数配置したスリットアレイであるパララックスバリア7が配置されている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1実施形態と同様である。
本実施形態においては、パララックスバリアはフォトリソグラフィ技術を用いて容易に作製可能であるため、低コスト化が可能となる。これは、レンチキュラレンズが高さ方向の構造を有する三次元形状であるのに対して、パララックスバリアは平面的な二次元形状であることにも起因する。ただし、上述のように、レンチキュラレンズを使用した場合には、画像分離手段による光の損失が発生しない。したがって、明るい反射表示を実現する点ではレンチキュラレンズ方式の方が有利である。
ここで、パララックスバリアが画像振分手段としての作用するための条件について詳述する。まず、図16を使用して、パララックスバリア方式について説明する。
パララックスバリア7は、細い縦縞状の多数の開口、すなわち、スリット7aが形成されたバリア(遮光板)である。換言すれば、パララックスバリアは、振分方向となる第1の方向と直交する第2の方向に延びるスリットが、前記第1の方向に沿って複数本配列するように形成された光学部材である。左眼用画素4Lからパララックスバリア7に向けて出射した光は、スリット7aを透過すると、領域ELに向けて進行する光束となる。同様に、右眼用画素4Rからパララックスバリア7に向けて出射した光は、スリット7aを透過すると、領域ERに向けて進行する光束となる。このとき、観察者が左眼55Lを領域ELに位置させ、右眼55Rを領域ERに位置させた場合に、観察者は立体画像を認識することができる。
次に、表示パネルの前面にスリット状の開口部を有するパララックスバリアが配置された立体画像表示装置について、その各部のサイズを詳細に説明する。図16に示すように、パララックスバリア7のスリット7aの配列ピッチをLとし、パララックスバリア7と画素との距離をHとする。また、パララックスバリア7と観察者との間の距離を最適観察距離ODとする。更に、パララックスバリア7の中央に位置するスリット7aの中心から、X軸方向におけるパララックスバリア7の端に位置するスリット7aの中心までの距離をWLとする。パララックスバリア7自体は遮光板であるためスリット7a以外に入射した光は透過しないが、バリア層を支持する基板を設けることとし、この基板の屈折率をnと定義する。仮に支持基板が存在しない場合には、屈折率nを空気の屈折率である1にすればよい。このように定義すると、スリット7aから出射する光は、バリア層を支持する基板から出射する際に、スネルの法則に従って屈折する。そこで、パララックスバリア7の中央に位置するスリット7aにおける光の入射角及び出射角を夫々α及びβとし、X軸方向におけるパララックスバリア7の端に位置するスリット7aにおける光の入射角及び出射角を夫々γ及びδとする。更に、スリット7aの開口幅をS1とする。スリット7aの配列ピッチLと画素の配列ピッチPとは相互に関係しているため、一方に合わせて他方を決めることになるが、通常、表示パネルに合わせてパララックスバリアを設計することが多いため、画素の配列ピッチPを定数として扱う。また、バリア層の支持基板の材料を選択することにより、屈折率nが決定される。これに対して、パララックスバリアと観察者との間の観察距離OD、及び観察距離ODにおける画素拡大投影像の周期eは所望の値を設定する。これらの値を使用して、バリアと画素との間の距離H及びバリアピッチLを決定する。スネルの法則と幾何学的関係より、下記式<22>〜<27>が成立する。また、下記式<28>〜<30>が成立する。
n×sinα=sinβ ・・・<22>
OD×tanβ=e ・・・<23>
H×tanα=P ・・・<24>
n×sinγ=sinδ ・・・<25>
H×tanγ=C ・・・<26>
OD×tanδ=WL ・・・<27>
WP−WL=C ・・・<28>
WP=2×m×P ・・・<29>
WL=m×L ・・・<30>
なお上記においては、左眼用画素と右眼用画素とを有する2視点の立体画像表示装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、N視点方式の表示装置に対して同様に適用することができる。この場合には、前述の距離WPの定義において、距離WPの領域に含まれる画素数を、2m個からN×m個に変更すればよい。
上記のパラメータについてまとめると、画素の配列ピッチPは表示パネルにより決定される値であり、観察距離OD及び画素拡大投影像の周期eは表示装置の設定により決定される値である。屈折率nは支持基板等の材質により決定される。そして、これらから導出されるスリットの配列ピッチL、パララックスバリアと画素との距離Hは、各画素からの光が観察面に投影される位置を決定するためのパラメータとなる。画像振分効果を変更するパラメータは、スリットの開口幅S1である。すなわち、バリアと画素との距離Hが固定の場合、スリットの開口幅S1が小さい程、左右の画素の像は明確に分離される。ピンホールカメラと同様の原理である。そして、開口幅S1が大きくなると、左右の画素の像がぼやけて、明確に分離しなくなる。
パララックスバリアにおいて分離が有効になるスリット幅の範囲は、レンズ方式よりも直感的に算出することができる。図17に示すように、左眼用画素4Lと右眼用画素4Rの境界から出射した光は、スリット7aを通過する際にその開口幅である幅S1に狭められる。そして、距離OD進行して観察面に到達するが、分離作用が存在するためには、この観察面における幅がe以下でなければならない。この幅より広がった場合には、左右画素の投影周期よりも大きくなるため、分離されないことになる。このときのスリット7aの開口幅S1は、スリットピッチLの半分である。すなわち、パララックスバリアにおいて分離が有効になるスリット幅の範囲は、スリットピッチの1/2以下である。
本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1実施形態と同様である。
次に、本発明の第1比較例について説明する。図18は本発明の第1比較例に係る表示装置において、左眼用画素及び右眼用画素の相展開順序を示す上面図である。前述の本発明の第1実施形態と比較して、本第1比較例においては、相展開数が2である点が異なる。なお、視点数は左右の2視点である。すなわち、相展開数Mと視点数Nとの間に、M=Nなる関係が成立する場合である。
図18に示すように、本第1比較例の表示装置111においては、シリンドリカルレンズ3aとの位置関係により、データ線D11、D21に接続された画素は右眼用画素4Rに割り当てられる。そして、データ線D12、D22に接続された画素は左眼用画素4Lに割り当てられる。したがって、観察者の右眼は、1相目に相展開された画素群を視認することになる。また、観察者の左眼は、2相目に相展開された画素群を視認することになる。前述のように、相展開動作においては各相の書込動作に差異が存在する。したがって、本比較例のように、左眼用画素群などの各視点用画素群において、相展開順序に偏りが発生すると、各視点における表示品質を同等にするのが困難になる。この結果、観察者は表示画質が低下したものと認識してしまう。本比較例のような構成は、好ましいとは言えない。
本比較例を発展させると、2視点2相展開(N=2かつM=2)だけでなく、それよりも視点数、相展開数が多い場合にも、同様の理論が成立することが分かる。すなわち、3視点3相展開(N=3かつM=3)、4視点4相展開(N=4かつM=4)、5視点5相展開(N=5かつM=5)など、視点数Nと相展開数Mとの間にN=Mの関係が成立する場合が好ましくない。N≠Mなる関係が成立するのが望ましいことになる。またこれは、NmodM≠0が成立する一形態と考えることもできるし、MmodN≠0が成立する一形態と考えることもできる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図19は本発明の第3実施形態に係る表示装置において、第1視点用画素乃至第3視点用画素の相展開順序を示す上面図である。前述の本発明の第1実施形態と比較して、本第3実施形態においては、視点数Nが3であり、相展開数Mが2であることを特徴とする。すなわち、前述の本発明の第1実施形態はN<MかつNmodM≠0なる関係が成立する場合であったが、本第3実施形態はN>MかつNmodM≠0なる関係が成立する場合の一例である。
図19に示すように、本第3実施形態の表示装置12においては、シリンドリカルレンズ3aとの位置関係により、データ線D11、D22に接続された画素は第1視点用画素4Fに割り当てられる。そして、データ線D12、D31に接続された画素は第2視点用画素4Sに割り当てられる。また、データ線D21、D32に接続された画素は第3視点用画素4Tに割り当てられる。これにより、第1視点用画素4Fの画素群は、1相目に相展開された画素の列と、2相目に相展開された画素の列から構成されることになる。また、第2視点用画素4Sの画素群、第3視点用画素4Tの画素群も、第1視点用画素4Fの画素群と同様である。このように、各視点用の画素群は、特定の相展開順序、すなわちスイッチ順序に偏っていない。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1実施形態と同様である。
具体的に説明すると、図19において、配線スイッチング手段8は、データ線D11に供給された4F視点用画像信号を表示単位S1−S2のうち画素(S1)に、データ線21に供給された4T視点用画像信号を表示単位S1−S2のうち画素(S1)に、データ線31に供給された4S視点用画像信号を表示単位S1−S2のうち画素(S1)に振り分けている。また、配線スイッチング手段8は、データ線D12に供給された4S視点用画像信号を表示単位S1−S2のうち画素(S2)に、データ線22に供給された4F視点用画像信号を表示単位S1−S2のうち画素(S2)に、データ線32に供給された4T視点用画像信号を表示単位S1−S2のうち画素(S2)に振り分けている。
本実施形態のように、視点数が2よりも多い多視点型の立体画像表示装置においては、観察者の眼の位置に応じて、幾つかのシチュエーションが考えられる。例えば、観察者の右眼が第1視点用画素4Fの画素群を視認し、左眼が第2視点用画素4Sの画素群を視認する場合である。このとき、観察者の各眼は、夫々相展開順序に偏りのない表示を視認することができる。これにより、各視点の表示画質を同等にでき、表示品質の向上が可能となる。それ以外のシチュエーション、例えば右眼が第2視点用画素4Sの画素群を視認し、左眼が第3視点用画素4Tの画素群を視認した場合や、右眼が第1視点用画素4Fの画素群を視認し、左眼が第3視点用画素4Tの画素群を視認した場合でも同様である。
本実施形態においては、特にN>MかつNmodM≠0なる関係が成立する場合の一例として、3視点2相展開について取り上げた。本構成により、特に多視点の場合に、表示画質の向上が可能となる。特に視点数が増加すると、画素数も増加する傾向にあるため、本発明をより好適に適用することができる。本第3実施形態における上記以外の効果は、前述の第1実施形態と同様である。
次に、本発明の第2比較例について説明する。図20は本発明の第2比較例に係る表示装置において、第1視点用画素乃至第4視点用画素の相展開順序を示す上面図である。前述の本発明の第3実施形態と比較して、本第2比較例においては、視点数が4である点が異なる。すなわち、視点数Nと相展開数Mとの間に、N>MかつNmodM=0なる関係が成立する場合である。
図20に示すように、本第2比較例の表示装置112においては、シリンドリカルレンズ3aとの位置関係により、データ線D11に接続された画素は第1視点用画素4Fに割り当てられ、データ線D12に接続された画素は第2視点用画素4Sに割り当てられ、データ線D21に接続された画素は第3視点用画素4Tに割り当てられ、データ線D22に接続された画素は第4視点用画素4Oに割り当てられる。すなわち、第1視点用画素4Fからなる画素群、及び第3視点用画素4Tからなる画素群は、夫々1相目に相展開された画素の集合である。また、第2視点用画素4Sからなる画素群、及び第4視点用画素4Oからなる画素群は、夫々2相目に相展開された画素の集合である。
本比較例においては、各視点用の画素群において、相展開順序に偏りが発生する。これにより、各視点における表示品質を同等にするのが困難になるため、本比較例のような構成は好ましいとは言えない。
本比較例を発展させると、4視点2相展開(N=4かつM=2)だけでなく、それよりも視点数、相展開数が多い場合にも、同様の理論が成立することが分かる。すなわち、6視点2相展開(N=6かつM=2)、8視点2相展開(N=8かつM=2)、10視点2相展開(N=10かつM=2)など、視点数Nと相展開数Mとの間にN>MかつNmodM=0の関係が成立する場合が好ましくない。また同様に、相展開数Mが3以上の場合でも、6視点3相展開(N=6かつM=3)、9視点3相展開(N=9かつM=3)など、やはりN>MかつNmodM=0の関係が成立する場合が好ましくないことがわかる。Mが4以上においても同様である。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図21は本発明の第4実施形態に係る表示装置において、左眼用画素及び右眼用画素の相展開順序を示す上面図である。前述の本発明の第1実施形態と比較して、本第4実施形態においては、相展開数Mが5であることを特徴とする。視点数は左右の2視点で同じである。すなわち、前述の本発明の第1実施形態はN<MかつNmodM≠0なる関係が成立する場合の一例として、N=2かつM=3の場合について説明したが、本第4実施形態はN=2かつM=5の場合である。
図21に示すように、本第4実施形態の表示装置13においては、シリンドリカルレンズ3aとの位置関係により、データ線D11に接続された画素、データ線D13に接続された画素、データ線D15に接続された画素は右眼用画素4Rに割り当てられる。また、データ線D12に接続された画素、データ線D14に接続された画素は左眼用画素4Lに割り当てられる。更に、データ線D21に接続された画素も左眼用画素4Lに割り当てられる。映像信号線V2に接続されるデータ線は、D21のみしか図示していないが、この周期性をもって繰り返し配置される。したがって、データ線D23に接続された画素、データ線D25に接続された画素も左眼用画素4Lに割り当てられる。そして、データ線D22に接続された画素、データ線D24に接続された画素は右用画素4Rに割り当てられる。
本実施形態においては、2視点5相展開の場合であるので、以上のデータ線10本分を基本単位として扱うことができる。すなわち、右眼用画素群を構成する画素に接続されたデータ線は、D11、D13、D15、D22、D24であり、左眼用画素群を構成する画素に接続されたデータ線は、D12、D14、D21、D23、D25である。そして、このデータ線10本分の基本単位を周期的に繰り返し配置することで、より多くの画素を配置することができる。
図21において、配線スイッチング手段8は、データ線D11に供給された4R視点(右眼)用画像信号を表示単位S1−S2のうち画素(S1)に、データ線21に供給された4L視点用画像信号を表示単位S1−S2のうち画素(S1)に振り分けている。また、配線スイッチング手段8は、データ線D12に供給された4L視点用画像信号を表示単位S1−S2のうち画素(S2)に、データ線13に供給された4R視点(右眼)用画像信号を表示単位S3−S4のうち画素(S3)に、データ線14に供給された4L視点(左眼)用画像信号を表示単位S3−S4のうち画素(S4)に、データ線15に供給された4L視点(左眼)用画像信号を表示単位S5−S1のうち画素(SS1)に、振り分けている。
このように、各視点用画素の画素群は、1相目乃至5相目に相展開された画素から構成されることになる。すなわち、各視点用の画素群は、特定の相展開順序に偏っていない。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1実施形態と同様である。
本実施形態においては、特にN<MかつNmodM≠0なる関係が成立する場合の一般例として、2視点5相展開について取り上げた。本構成により、特に視点数Nよりも相展開数Mが多い場合に、表示画質の向上が可能となる。更に、相展開数Mを多くすることで、回路規模を低減でき、低コスト化が可能となる。
なお、本実施形態を発展させると、2視点5相展開(N=2かつM=5)だけでなく、それよりも相展開数が多い場合についても、同様の理論が成立する。すなわち、2視点7相展開(N=2かつM=7)、2視点9相展開(N=2かつM=9)などである。また、3視点以上の視点数においても、同様に扱うことができる。このように、本実施形態においては、特にMmodN≠0が成立する場合に好適に適用できる。本第4実施形態における上記以外の効果は、前述の第1実施形態と同様である。
上記の説明では、2視点4相展開(N=2かつM=4)や2視点6相展開(N=2かつM=6)など、MmodN=0が成立する場合は除外して取り上げた。これは、MmodN=0の成立時が他と異なり特殊なケースとなるからである。そこで次に、MmodN=0が成立する形態、すなわち本発明の第5実施形態について説明する。
図22は本発明の第5実施形態に係る表示装置において、左眼用画素及び右眼用画素の相展開順序を示す上面図である。前述の本発明の第4実施形態と比較して、本第5実施形態においては、相展開数が4であることを特徴とする。視点数は左右の2視点で同じである。すなわち、本実施形態においては、NmodM≠0かつMmodN=0が成立する場合である。
図22に示すように、本第5実施形態の表示装置14においては、シリンドリカルレンズ3aとの位置関係により、データ線D11に接続された画素、データ線D13に接続された画素は右眼用画素4Rに割り当てられる。また、データ線D12に接続された画素、データ線D14に接続された画素は左眼用画素4Lに割り当てられる。本実施形態においては、相展開数Mが視点数Nの倍数となるように構成されているため、この映像信号線V1における相展開動作が、映像信号線V2以降においても同様に繰り返される。
このように、本実施形態においては、左眼用画素の画素群は、1相目と3相目に相展開された画素から構成されることになる。そして、右眼用画素の画素群は、2相目と4相目に相展開された画素から構成されることになる。すなわち、各視点用の画素群は、全くの偏りがない状態ではないが、特定の相展開順序のみに偏っている状態とも言えない。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第4実施形態と同様である。
本実施形態においては、各視点用画素の画素群において、相展開順序の偏りを低減することができる。前述の第4実施形態は完全に偏りをなくした状態であり、この第4実施形態の方がより好ましいのは言うまでもない。しかし、本第5実施形態のように、各視点用画素の画素群を複数の相展開順序を用いて構成するだけでも、偏りを低減することができる。これにより、異なる相展開順序を使用して悪影響を低減することができるため、表示画質の向上は可能である。すなわち、本構成の表示装置において、条件NmodM≠0は必須であるが、条件MmodN≠0は必須とは言えず、実現する方がより好ましいと言える。なお、2視点4相展開以外のN、Mの組合せについても、同様に適用することができる。また、上述の説明は、M>Nの場合についてであるが、N>Mの場合には常にMmodN≠0が成立する。したがって、M、Nの大小によらず、MmodN≠0が成立するのが望ましい、と言える。本第5実施形態における上記以外の効果は、前述の第4実施形態と同様である。
次に、本発明の第6実施形態について説明する。図23に示すように、本実施形態の表示装置15は、Nとして2個の視点用の画像をそれぞれ表示する2個の隣接する画素を含む表示単位S1及びS1,…がマトリクス状に複数配列されるとともにゲート線G1,G2とデータ線D11〜D41との各近接点付近に画素S1,…が配置されて成る画素マトリクス6と、表示データを出力する映像信号線V1〜V4と、これらの映像信号線V1〜V4のそれぞれに対してMとして1本のデータ線D11〜D41を同時に接続することにより表示データをデータ線D11,…を介して画素S1,…へ供給する配線スイッチング手段8と、表示単位S1,…を構成する各画素S1,…から出射した光を2個の視点用にそれぞれX軸方向に振り分けるレンチュキュラレンズ3と、データ線D11〜D41から表示データを各画素S1,…に伝達する複数の画素スイッチとしてのTFT(符号省略)とを備えたものである。ゲート線G1,G2はこれらのTFTを制御する機能を有しX軸方向に沿って延伸され、X軸方向に沿って表示単位の画素S1,…が2個ずつ及びデータ線D11,…が一本ずつそれぞれ配列されている。そして、M=1の構成としたときの切替順序分散手段を兼ねる配線スイッチング手段8は、同一の視点用の画像を表示する画素S1,…から構成される画素群としての右眼用画素4R内及び左眼用画素4L内で、各画素S1,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序を分散させる。
従来は、右眼用画素4R内の各画素S1,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序は例えば全て1番目であり、左眼用画素4L内の各画素S1,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序は例えば全て2番目であった。そのため、右眼用画素4Rと左眼用画素4Lとで、切り替え順序に起因する表示上の差異が生じていた。そこで、本実施形態では、M=1とすることにより、右眼用画素4Rと左眼用画素4Lとで全体として切り替え順序を均等にすることにより、画質を向上させている。以下に詳しく説明する。
図23は本発明の第6実施形態に係る表示装置において、左眼用画素及び右眼用画素の相展開順序を示す上面図である。前述の本発明の第1実施形態と比較して、本第6実施形態においては、相展開数Mが1であることを特徴とする。視点数Nは左右の2視点で同じである。すなわち、本実施形態はNmodM=0が成立した上で高画質化が可能な点が、上述実施形態とは大きく異なる。換言すれば、本実施形態はNmodM=0が成立する、というよりも、M=1の特殊な場合であると言える。M=1の場合には、必ずNmodM=0が成立するからである。
図23に示すように、本第6実施形態の表示装置15においては、M=1の1相展開の構成となっている。これにより、右眼用画素4Rが接続されたデータ線だけでなく、左眼用画素4Lが接続されたデータ線も全て、1相目に相展開動作される。これはすなわち、各視点用画素の画素群が、特定の相展開順序に偏ることなく、全て均等に構成されることを意味する。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1実施形態と同様である。
本実施形態においては、M=1とすることにより、各視点の相展開順序を同様にすることができ、高画質化が可能となる。本実施形態においては、データ線数分の出力を有する映像信号線駆動回路必要になるものの、複雑な相展開処理が不要となるため、特に画素数の規模が小さな表示装置に対して、好適に適用することができる。また、本実施形態は1相展開のみの構成であるが、相展開用のスイッチを設けることにより、データ線に供給する信号のタイミングをより適正に調節することができる。この結果、例えばデータ線延伸方向における隣接画素の影響を低減し、表示品質をより高めることが可能となる。本第6実施形態における上記以外の効果は、前述の第1実施形態と同様である。
ここで、上述の本発明の第1乃至第6実施形態について、相展開数Mと視点数Nの関係をまとめておく。本発明のエッセンスは、各視点用画素群を比較した際に、相展開順序に差異、すなわち偏りがないように構成することである。仮に偏りがある場合でも、単一の相で構成せず、複数相にて構成することにより、相展開に起因する悪影響を低減することができる。特に、画像分離手段の画像分離方向が相展開方向、すなわちデータ線の配列する方向に沿っている場合には、M=1では視点数Nによらず常に高画質化が可能となる。そして、M>1の場合には、N、Mの大小によらず、NmodM≠0が成立する必要がある。そして、N、Mの大小によらず、MmodN≠0が成立するのが好ましい。
次に、本発明の第7実施形態について説明する。図24に示すように、本実施形態の表示装置16は、Nとして2個の視点用の画像をそれぞれ表示する2個の隣接する画素を含む表示単位S1及びS1,…がマトリクス状に複数配列されるとともにゲート線G1,G2とデータ線D11〜D22との各近接点付近に画素S1,…が配置されて成る画素マトリクス6と、表示データを出力する映像信号線V1,V2と、映像信号線V1,V2のそれぞれに対してMとして2本のデータ線D11,…を順次切り替えて接続することにより表示データをデータ線D11,…を介して画素S1,…へ供給する配線スイッチング手段8と、表示単位S1,…を構成する各画素S1,…から出射した光を2個の視点用にそれぞれX軸方向に振り分けるレンチュキュラレンズ3と、データ線D11〜D22から表示データを各画素S1,…に伝達する複数のTFT(符号省略)とを備えたものである。ゲート線G1,G2はこれらのTFTを制御する機能を有しY軸方向に沿って延伸され、Y軸方向に沿ってデータ線D11,…が一本ずつ配列され、X軸方向に沿って表示単位の画素S1,…が2個ずつ配列されている。そして、切替順序分散手段を兼ねるレンチュキュラレンズ3は、同一の視点用の画像を表示する画素S1,…から構成される画素群としての右眼用画素4R内及び左眼用画素4L内で、各画素S1,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序を分散させる。
具体的に説明すると、図23において、配線スイッチング手段8は、データ線D11に供給された4R視点(右眼)用画像信号を表示単位S1−S1のうち画素(左側のS1)に、データ線21に供給された4L視点(左眼)用画像信号を表示単位S1−S1のうち画素(右側のS1)に、データ線D31に供給された4R視点(右眼)用画像信号を表示単位S1−S1のうち画素(右側のS2)に、データ線41に供給された4L視点(左眼)用画像信号を表示単位S1−S1のうち画素(左側のS1)に、振り分けている。
従来は、右眼用画素4R内の各画素S1,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序は例えば全て1番目であり、左眼用画素4L内の各画素S1,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序は例えば全て2番目であった。そのため、右眼用画素4Rと左眼用画素4Lとで、切り替え順序に起因する表示上の差異が生じていた。そこで、本実施形態では、データ線D11〜D22の配列方向とレンチュキュラレンズ3の光振分方向とを直交させ、右眼用画素4Rと左眼用画素4Lとで全体として切り替え順序を均等にすることにより、画質を向上させている。以下に詳しく説明する。
図24は本発明の第7実施形態に係る表示装置において、左眼用画素及び右眼用画素の相展開順序を示す上面図である。前述の本発明の第1実施形態又は第1比較例に対して、本第7実施形態においては、表示パネルの配置方向が異なる。なお、画像分離手段としてのレンチキュラレンズの配置は同じである。本構成の表示パネルにおいては、相展開動作を実行しても、同相、すなわち同じタイミングで書込動作される画素が配列する方向が存在する。この同相画素の配列方向と、一次元レンズの画像分離方向が一致するように構成した点が特徴である。
すなわち、図24に示すように、本第7実施形態の表示装置16においては、前述の第1比較例と同様にM=2の2相展開の表示パネルが使用されている。ただし、前述の第1比較例とは異なり、表示パネルが表示面内で90度回転して配置されている。この結果、データ線はY軸方向に配列し、X軸方向に延伸している。これにより、同相の画素は、X軸方向に配列している。すなわち、1相目に相展開動作された画素は、X軸方向に並んで配置されている。2相目に相展開された画素も同様である。これに対し、レンチキュラレンズはその画像分離方向がX軸方向に沿って配置されている。すなわち、レンチキュラレンズを構成するシリンドリカルレンズの延伸方向はY軸方向である。シリンドリカルレンズは、X軸方向に沿って複数個配列されている。
本実施形態においては、相展開動作が同相である画素の配列方向が、画像分離手段の画像分離方向と一致するように構成してある。これにより、画像分離動作と相展開動作が独立した構造とすることができ、画像分離動作が相展開動作の影響を受けないようにすることができる。この結果、両動作が互いに干渉するのを防止でき、高画質化が可能となる。このときでも、本発明のエッセンスである、各視点用画素群の相展開順序に偏りがない構成は成立している。なお、図24に示すように、TFT駆動方式の表示パネルにおいては、データ線の配列方向を画像分離手段の画像分離方向と一致させている、と表現することもできる。
なお、本実施形態においては、相展開動作が同相である画素の配列方向はX軸方向のみである。これに対し、相展開動作が同相とはならない画素の配列方向は、このX軸方向以外の方向である。したがって、前述実施形態は、画像分離手段の画像分離方向が、この同相画素の配列方向以外に配置された場合であると考えることもできる。換言すれば前述実施形態は、画像分離方向が必ずしも同相画素の配列方向と直交配置される必要はない。同相画素の配列方向と異なるように、例えば回転配置されていてもよい。
本第7実施形態における上記以外の効果は、前述の第1実施形態と同様である。
次に、本発明の第8実施形態について説明する。図26に示すように、本実施形態の表示装置17は、Nとして2個の視点用の画像をそれぞれ表示する2個の隣接する画素を含む表示単位S1及びS1,…がマトリクス状に複数配列されるとともにゲート線G1〜G5とデータ線D11〜D41との各近接点付近に画素S1,…が配置されて成る画素マトリクス6と、表示データを出力する映像信号線V1〜V4と、映像信号線V1〜V4のそれぞれに対してMとして2本のデータ線D11,…を順次切り替えて接続することにより表示データをデータ線D11,…を介して画素S1,…へ供給する配線スイッチング手段8と、表示単位S1,…を構成する各画素S1,…から出射した光を2個の視点用にそれぞれX軸方向に振り分けるレンチュキュラレンズ3と、データ線D11〜D41から表示データを各画素S1,…に伝達する複数のTFT(符号省略)とを備えたものである。ゲート線G1〜G5はこれらのTFTを制御する機能を有しX軸方向に沿って延伸され、X軸方向に沿ってデータ線D11,…が一本ずつ配列され、X軸方向に沿って表示単位の画素S1,…が2個ずつ配列されている。そして、切替順序分散手段は、ゲート線G1〜G5のいずれかの隣接する二本例えばゲート線G1,G2に挟まれた一列の各画素S1,…がゲート線G1にTFTを介して接続する画素S1,…とゲート線G2にTFTを介して接続する画素S1,…と交互に分けられ、かつ、データ線D11〜D41のいずれかの隣接する二本例えばデータ線D11,D12に挟まれた一列の各画素S1,S2,…がデータ線D11にTFTを介して接続する画素S1,…とデータ線D12にTFTを介して接続する画素S2,…とに交互に分けられた構成である。
この切替順序分散手段の構成は、同一の視点用の画像を表示する画素S1,S2,…から構成される画素群としての右眼用画素41R内及び左眼用画素41L内で、各画素S1,S2,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序を分散させる。
従来は、右眼用画素41R内の各画素S1,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序は例えば全て1番目であり、左眼用画素41L内の各画素S1,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序は例えば全て2番目であった。そのため、右眼用画素41Rと左眼用画素41Lとで、切り替え順序に起因する表示上の差異が生じていた。そこで、本実施形態では、Y軸方向の一列の各画素S1,…を異なるデータ線D11,…に接続し、X軸方向の一列の各画素S1,…を異なるゲート線G1,…に接続して、右眼用画素41Rと左眼用画素41Lとで全体として切り替え順序を均等にすることにより、画質を向上させている。以下に詳しく説明する。
図25は本発明の第8実施形態に係る表示装置の画素を示す上面図であり、図26は本実施形態に係る表示装置において、左眼用画素及び右眼用画素の相展開順序を示す上面図である。前述の第1比較例に対して、本第8実施形態においては、表示パネルの画素の構造が異なる点が特徴である。視点数及び相展開数は夫々2であっても、本実施形態の画素構造を用いることにより、高画質化が可能となる。すなわち、前述実施形態の画素構成では不適であった視点数と相展開数の組合せを適用することができ、条件の緩和が可能となる。
図25に示すように、本第8実施形態における画素41の構造上の特徴は、ゲート線Gの延伸方向(X軸方向)と略直交する方向(例えばY軸方向)に配置された二つの画素41の薄膜トランジスタ41(すなわちスイッチング手段)が、これらの二つの画素41の間に配置されたゲート線により制御される点にある。そして、これらの二つの画素41は、互いに隣接するデータ線Dより、画素に書込むべき信号が供給される。換言すれば、共通のゲート線Gを挟んで配置された隣接画素41は、異なるデータ線Dより信号が供給される。なお、図25はゲート線Gの延伸方向に略直交して配置された二つの隣接画素を示している。
そして、図26に示すように、シリンドリカルレンズ3aはY軸方向に延伸し、X軸方向に配列している。すなわち、画像分離手段の画像分離作用を持たない方向、すなわちシリンドリカルレンズの延伸方向が、共通のゲート線を挟んで配置された隣接画素の配列方向と一致している。換言すれば、共通のゲート線を挟み異なるデータ線に接続された隣接画素が同一視点用の画素群を構成している。これが、本第8実施形態における画素構造の第1の特徴である。
この第1の特徴により、異なる相展開順序で書込される画素を、画像分離手段が画像分離作用を持たない方向に配置することができる。例えば、ゲート線G3とデータ線D11に接続された画素と、ゲート線G3とデータ線D12に接続された画素において、ゲート線G3を挟んで配置され、かつゲート線G3を共通のゲート線とする隣接画素対に着目する。この隣接画素対では、ゲート線G3及びデータ線D11に接続された画素は、ゲート線G3の−Y方向側に配置され、1相目に相展開される。また、ゲート線G3及びデータ線D12に接続された画素は、ゲート線G3の+Y方向側に配置され、2相目に相展開される。そして、シリンドリカルレンズ3aとの位置関係により、この隣接画素対は、共に右眼用画素として作用する。すなわち、右眼用画素の画素群には、1相目に相展開される画素と、2相目に相展開される画素から構成されることになる。
このようにして、各視点用画素の画素群を複数の相展開順序の画素を用いて構成することが可能となる。この結果、各視点用画素の画素群において、相展開順序の偏りを低減することができる。すなわち、各視点用画素の画素群を複数の相展開順序を用いて構成することができるため、相展開順序の偏りを低減することができ、画質の向上が可能になる。
また、図26に示すように、ゲート線の延伸方向に隣接する画素列においては、互いに異なるゲート線を共通のゲート線とし、各々共通のゲート線を挟んで配置された隣接画素は、異なるデータ線より信号が供給される。換言すれば、共通のゲート線を挟んで配置された隣接画素対においては、夫々共通のゲート線が異なる隣接画素対が、画像分離手段の画像分離方向に隣接して配置されている。具体的には、ゲート線G3とデータ線D11に接続された画素と、ゲート線G3とデータ線D12に接続された画素とから構成される隣接画素対に着目する。これらの二つの画素は、ゲート線G3を挟んで配置され、かつゲート線G3を共通のゲート線としている。そして、この画素対に対して、画像分離手段の画像分離方向である+X方向に隣接する画素対においては、ゲート線G3と異なるゲート線、特にゲート線G3と隣接するゲート線を共通ゲート線としている。これは、例えば、ゲート線G2であり、ゲート線G4である。ゲート線G2を共通のゲート線とする隣接画素対は、データ線D12に接続された画素と、データ線D21に接続された画素から構成される。同様に、ゲート線G4を共通のゲート線とする隣接画素対は、データ線D12に接続された画素と、データ線D21に接続された画素から構成される。このように、ゲート線の延伸方向に隣接する画素列においては、互いに異なるゲート線を共通のゲート線としている点が、本第8実施形態における画素構造の第2の特徴である。
この第2の特徴に対して2相展開を組み合わせた場合、画像分離手段の画像分離方向に沿って、相展開動作が同相である画素を配列することができる。これにより、画像分離動作から相展開動作を独立させることができ、両動作が互いに干渉するのを防止できるため、高画質化が可能となる。
本実施形態は、視点数N=2、相展開数N=2の構成である。前述の第1比較例においては、2視点2相展開は好ましくない例として記載していた。これは、前述の第1比較例においては、ゲート線とデータ線の交点近傍に配置された画素が、平行移動した状態で配置されており、この画素配置と2視点2相展開を組み合わせていたからである。この場合には、画像分離手段の画像分離作用を持たない方向に対して、同相展開の画素が配列されてしまう。
これに対し、本実施形態においては、2視点2相展開という点では同じであるが、共通のゲート線を挟んで配置された隣接画素は、異なるデータ線より信号が供給される点が異なる。本構成により、画像分離手段の画像分離作用を持たない方向に異なる相展開順序の画素を配置することが可能となる。換言すれば、画像分離作用がない方向に相展開動作を分散させることができる。すなわち、データ線の延伸方向に、相展開順序の異なる画素を配置できる点が画期的である。
すなわち、本実施形態の画素構造によれば、少なくともNmodM≠0が成立する必要はない。N=2かつM=2の場合においても、高画質化が可能だからである。なお、視点数Nを増やした場合でも、同様に高画質化が可能なのは明らかである。これは、相展開数Mが2であると、データ線延伸方向に配列する画素の列が異なる相展開順序の画素により構成されるためである。すなわち、相展開数Mが2である場合には、視点数Nに依存せず、高画質化が可能となる。
また、本実施形態においては、前述の第1比較例に対して、画素配列を変更することにより、前述の第7実施形態と同等の相展開配置を実現していることにもなる。
図25に示すように、本実施形態において、共通のゲート線を挟んで配置された隣接画素対においては、各々の画素に回転対称、すなわち点対称の関係が成立していてもよい。このときの回転角は、180度であることが好ましい。これにより、隣接画素対を同様の画素で構成することが可能となり、設計工数を削減して低コスト化が可能となる。また、形状が異なる画素を使用すると、各々の画素において液晶配向などに起因する表示品質を確認する必要が発生するが、同様の画素を使用し回転対称に配置することで、表示品質の確認、若しくは品質向上も容易となる。
更に、図25に示すように、ゲート線の延伸方向と直交する方向に対して、各データ線が屈曲して配置されていてもよい。また、隣接するデータ線では、この屈曲の方向が反対であってもよい。これにより、各画素の形状を略台形とすることができる。そして、上述の本実施形態の特徴に従って配置すると、図26に示すように、ハニカム状に画素を配置することができる。ハニカムは蜂の巣であり、蜂が居住空間を高密度に形成する結果である。すなわち、ハニカム全体における空間の割合が高いため、軽量な構造部材としても多用される。また、空間の割合が高いということは、表示パネルに適用した場合、高い開口率が実現できることを意味する。すなわち、画素を高密度に配置した場合でも、高開口率化が可能となり、明るい表示が実現できる。
更に、各映像信号線を走査線延伸方向と略直交する方向から傾斜させ、各画素の接続された走査線側を上底とした略台形状とすることが好ましい。これにより、略台形状の開口領域をより大きくでき高開口率化が可能となるだけでなく、表示に利用する領域の高さを任意位置で一定にでき、映像信号線の影を除去した高画質表示が可能となる。更には、画像分離方向(図中X軸方向)と直交する方向に延伸する配線を屈曲させることができ、配線等に起因する非表示領域が画像分離手段により拡大されるのを防止することができる。これにより、高画質化が可能となる。また、隣接画素対は左右、すなわちゲート線の配列方向を軸として線対称に反転して配置されていてもよい。また反転配置された画素と、反転配置されない画素が存在してもよい。
本第8実施形態における上記以外の効果は、前述の第1実施形態と同様である。
次に、本発明の第9実施形態について説明する。図27は本発明の第9実施形態に係る表示装置において、左眼用画素及び右眼用画素の相展開順序を示す上面図である。前述の本発明の第8実施形態と比較して、本第9実施形態においては、相展開数Mが1であることを特徴とする。視点数Nは左右の2視点で同じである。本実施形態は、前述の第8実施形態に対して、前述の第6実施形態を適用した場合であるとも言える。
図27に示すように、本第9実施形態の表示装置18においては、M=1の1相展開の構成となっている。これにより、右眼用画素4Rが接続されたデータ線だけでなく、左眼用画素4Lが接続されたデータ線も全て、1相目に相展開動作される。これはすなわち、各視点用画素の画素群が、特定の相展開順序に偏ることなく、全て均等に構成されることを意味する。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第8実施形態と同様である。
本実施形態においては、M=1とすることにより、各視点の相展開順序を同様にすることができ、高画質化が可能となる。すなわち、本実施形態の画素構造においては、相展開数Mが1であると、視点数Nに依存せず高画質化が可能となる。本第9実施形態における上記以外の効果は、前述の第8実施形態と同様である。
次に、本発明の第10実施形態について説明する。図28は本発明の第10実施形態に係る表示装置において、左眼用画素及び右眼用画素の相展開順序を示す上面図である。前述の本発明の第8実施形態と比較して、本第10実施形態においては、相展開数Mが3であることを特徴とする。視点数Nは左右の2視点で同じである。すなわち、本実施形態においては、M=3かつNmodM≠0なる関係が成立する場合を検討する。
図28に示すように、本第10実施形態における表示装置19においては、右眼用画素41Rからなる画素群は、1相目乃至3相目に相展開される画素より構成される。左眼用画素41Lからなる画素群も同様である。このように、各視点用の画素群は、特定の相展開順序、すなわちスイッチ順序に偏っていない。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第8実施形態と同様である。
本実施形態においては、2視点3相展開でも高画質化が可能となる。そして、3相展開を前提に視点数を変えた場合、4視点や5視点、7視点、8視点など、NmodM≠0が成立する場合には問題ないことがわかる。ただし、3視点や6視点など、NmodM=0が成立する場合には注意が必要である。この点においては、次実施形態において詳述する。更に、NmodM≠0が成立する場合においては、4相以上の相展開数においても、同様に適用することができる。
なお、本実施形態における相展開周期の視認性については、前述の第1実施形態と同様に扱うことができる。本第10実施形態における上記以外の効果は、前述の第8実施形態と同様である。
次に、本発明の第11実施形態について説明する。図29は本発明の第11実施形態に係る表示装置において、第1視点用画素乃至第3視点用画素の相展開順序を示す上面図である。前述の本発明の第10実施形態と比較して、本第11実施形態においては、3相展開かつ3視点であることを特徴とする。すなわち、本実施形態においては、M=3かつNmodM=0が成立する場合を検討する。
図29に示すように、本第11実施形態における表示装置10においては、第1視点用画素41Fの画素群は1相目と2相目に相展開された画素から構成されることになる。また、第2視点用画素41Sの画素群は2相目と3相目に相展開された画素から構成され、第3視点用画素41Tの画素群は3相目と1相目に相展開された画素から構成される。
このように、本実施形態においては、各視点用の画素群は、全くの偏りがない状態ではないが、特定の相展開順序のみに偏っている状態でもない。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第10実施形態と同様である。
本実施形態においては、各視点用画素の画素群において、相展開順序の偏りを完全ではないものの、低減することができる。すなわち、各視点用画素の画素群を複数の相展開順序を用いて構成することにより、異なる相展開順序を使用して悪影響を低減することができるため、表示画質の向上は可能である。本実施形態はM=3かつN=3の場合であるが、視点数Nが6、9、12などNmodM=0が成立する場合においても同様である。すなわち、本実施形態に記載の画素構造においては、条件NmodM≠0は必須ではなく、前述の第10実施形態のように成立するのが好ましい。本第11実施形態における上記以外の効果は、前述の第10実施形態と同様である。
次に、本発明の第12実施形態について説明する。図30は本発明の第12実施形態に係る表示装置において、左眼用画素及び右眼用画素の相展開順序を示す上面図である。前述の本発明の第11実施形態と比較して、本第12実施形態においては、4相展開かつ2視点であることを特徴とする。これは、相展開数が視点数で割り切れる場合でもある。相展開数Mが大きくなると、視点数Nで割り切れる場合が発生する。特異なケースである。
図30に示すように、本第12実施形態における表示装置101においては、右眼用画素41Rの画素群は1相目乃至4相目に相展開された画素から構成される。また左眼用画素41Lの画素群においても同様である。このように、各視点用の画素群は、特定の相展開順序、すなわちスイッチ順序に偏っていない。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第11実施形態と同様である。
本実施形態においては、本実施形態に記載の画素構造を適用することにより、相展開数Mが視点数Nで割り切れる場合、すなわちMmodN=0が成立する場合においても、高画質化が可能である。これは、更に大きな相展開数においても、同様に成立する。本第12実施形態における上記以外の効果は、前述の第11実施形態と同様である。
次に、本発明の第13実施形態について説明する。図31は本発明の第13実施形態に係る表示装置において、第1視点用画素乃至第4視点用画素の相展開順序を示す上面図である。前述の本発明の第11実施形態と比較して、本第13実施形態においては、4相展開かつ4視点であることを特徴とする。前述の第11実施形態においては、3視点3相展開で画質向上が可能であることを示したが、本実施形態では4相展開以上の場合についても同様であることを示す。
図31に示すように、本第13実施形態における表示装置102においては、第1視点用画素41Fの画素群は1相目と2相目に相展開された画素から構成され、第2視点用画素41Sの画素群は2相目と3相目に相展開された画素から構成され、第3視点用画素41Tの画素群は3相目と4相目に相展開された画素から構成され。第4視点用画素41Fの画素群は4相目と1相目に相展開された画素から構成される。
このように、本実施形態においては、各視点用の画素群は、全くの偏りがない状態ではないが、特定の相展開順序のみに偏っている状態でもない。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第11実施形態と同様である。
本実施形態においては、各視点用画素の画素群において、相展開順序の偏りを完全ではないものの、低減することができる。すなわち、各視点用画素の画素群を複数の相展開順序を用いて構成することにより、異なる相展開順序を使用して悪影響を低減することができるため、表示画質の向上は可能である。本実施形態はM=4かつN=4の場合であるが、視点数Nが8、12、16などNmodM=0が成立する場合においても同様である。また、相展開数Mが5以上の場合においても、表示画質の向上が可能となる。本第13実施形態における上記以外の効果は、前述の第11実施形態と同様である。
ここで、上述の本発明の第8乃至第13実施形態についてまとめる。これら実施形態においては、共通のゲート線を挟んで配置した隣接画素対に異なるデータ線より信号を供給することで、相展開動作をデータ線延伸方向にも分散させることができる。これにより、相展開数Mが2以下の場合には、視点数Nに依存せず、高画質化が可能となる。また、相展開数Mが3以上の場合においても、視点数Nに依存せず、高画質化が可能となるが、NmodM≠0が成立するのが好ましい。
次に、本発明の第14実施形態について説明する。図32に示すように、本実施形態の表示装置104は、Nとして2個の視点用の画像をそれぞれ表示する2個の隣接する画素を含む表示単位S1及びS2,…がマトリクス状に複数配列されるとともにゲート線G1,G2とデータ線D11〜D22との各近接点付近に画素S1,…が配置されて成る画素マトリクス6と、表示データを出力する映像信号線V1,V2と、映像信号線V1,V2のそれぞれに対してMとして2本のデータ線D11,…を順次切り替えて接続することにより表示データをデータ線D11,…を介して画素S1,…へ供給する配線スイッチング手段8と、表示単位S1及びS2を構成する各画素S1,…から出射した光を2個の視点用にそれぞれX軸方向に振り分けるレンチュキュラレンズ3と、データ線D11〜D22から表示データを各画素S1,…に伝達する複数のTFT(符号省略)とを備えたものである。ゲート線G1,G2はこれらのTFTを制御する機能を有しX軸方向に沿って延伸され、X軸方向に沿ってデータ線D11,…が一本ずつ配列され、X軸方向に沿って表示単位の画素S1,S2が2個ずつ配列されている。そして、切替順序分散手段は、データ線D11〜D22のいずれかの隣接する二本例えばデータ線D11,D12に挟まれた一列の各画素S1,S2,…がデータ線D11にTFTを介して接続する画素S1,…とデータ線D12にTFTを介して接続する画素S2,…とに交互に分けられた構成である。
この切替順序分散手段の構成は、同一の視点用の画像を表示する画素S1,S2,…から構成される画素群としての右眼用画素4R内及び左眼用画素4L内で、各画素S1,S2,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序を分散させる。
従来は、右眼用画素4R内の各画素S1,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序は例えば全て1番目であり、左眼用画素4L内の各画素S2,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序は例えば全て2番目であった。そのため、右眼用画素4Rと左眼用画素4Lとで、切り替え順序に起因する表示上の差異が生じていた。そこで、本実施形態では、Y軸方向の一列の各画素S1,…を異なるデータ線D11,…に接続して、右眼用画素4Rと左眼用画素4Lとで全体として切り替え順序を均等にすることにより、画質を向上させている。以下に詳しく説明する。
図32は本発明の第14実施形態に係る表示装置において、左眼用画素及び右眼用画素の相展開順序を示す上面図である。本第14実施形態においては、前述の本発明の第8実施形態における一部の特徴、すなわちゲート線の配列方向に配置された画素が、隣接し異なるデータ線に接続されるという特徴のみを抽出し、かつ前述の第1比較例に適用した形態となっている。すなわち、ゲート線を挟んで配置された画素は、これらの画素間に配置されたゲート線を共通のゲート線とはしない。また、ゲート線の延伸方向に対しては、同様の画素配置を有する画素列が多数配置されている。
すなわち、図32に示すように、ゲート線G1とデータ線D11に接続された画素に対し、そのゲート線配列方向側、例えば−Y方向側には、ゲート線G2とデータ線D12に接続された画素が配置されている。ゲート線G1とデータ線D11に接続された画素は1相目に相展開されるが、ゲート線G2とデータ線D12に接続された画素は2相目に相展開される。すなわち、異なる相展開順序の画素が、ゲート線の配列方向に配置されている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1実施形態と同様である。
本実施形態においては、異なる相展開順序で書込される画素を、画像分離手段が画像分離作用を持たない方向に配置することができる。この結果、各視点用画素の画素群を複数の相展開順序の画素を用いて構成することができ、相展開順序の偏りを低減することができる。
このように、画像分離作用がない方向に相展開動作を分散させるためには、ゲート線の配列方向に配置された画素が異なるデータ線に接続されればよいことが分かる。
なお、本実施形態においては、ゲート線の配列方向に対し、異なるデータ線に接続された画素が交互に配置されているが、本実施形態はこれに限定されず、複数画素毎に異なるデータ線に接続されていてもよい。更には、ゲート線の延伸方向に対して、異なる画素配置を有する画素列が配置されていてもよい。本第14実施形態における上記以外の効果は、前述の第1実施形態と同様である。
次に、本発明の第15実施形態について説明する。図33に示すように、本実施形態の表示装置105は、Nとして2個の視点用の画像をそれぞれ表示する2個の隣接する画素を含む表示単位S1及びS1,…がマトリクス状に複数配列されるとともにゲート線G1,G2とデータ線D11〜D22との各近接点付近に画素S1,…が配置されて成る画素マトリクス6と、表示データを出力する映像信号線V1,V2と、映像信号線V1,V2のそれぞれに対してMとして2本のデータ線D11,…を順次切り替えて接続することにより表示データをデータ線D11,…を介して画素S1,…へ供給する配線スイッチング手段8と、表示単位S1,…を構成する各画素S1,…から出射した光を2個の視点用にそれぞれ±(X+Y)軸方向に振り分けるレンチュキュラレンズ3と、データ線D11〜D22から表示データを各画素S1,…に伝達する複数のTFT(符号省略)とを備えたものである。ゲート線G1,G2はこれらのTFTを制御する機能を有しX軸方向に沿って延伸され、X軸方向に沿ってデータ線D11,…が一本ずつ配列され、Y軸方向に沿って表示単位の画素S1,…が2個ずつ配列されている。そして、切替順序分散手段を兼ねるレンチュキュラレンズ3は、同一の視点用の画像を表示する画素S1,…から構成される画素群としての右眼用画素4R内及び左眼用画素4L内で、各画素S1,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序を分散させる。
従来は、右眼用画素4R内の各画素S1,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序は例えば全て1番目であり、左眼用画素4L内の各画素S1,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序は例えば全て2番目であった。そのため、右眼用画素4Rと左眼用画素4Lとで、切り替え順序に起因する表示上の差異が生じていた。そこで、本実施形態では、データ線D11〜D22の配列方向とレンチュキュラレンズ3の光振分方向とを斜交させ、右眼用画素4Rと左眼用画素4Lとで全体として切り替え順序を均等にすることにより、画質を向上させている。以下に詳しく説明する。
図33は本発明の第15実施形態に係る表示装置において、左眼用画素及び右眼用画素の相展開順序を示す上面図である。本第15実施形態は、前述の本発明の第1実施形態に記載の回転配置、すなわちシリンドリカルレンズの配列方向をゲート線の延伸方向から回転して配置した場合である。特に、前述の第1比較例に記載の2相展開と組み合わせた形態となっている。
すなわち、図33に示すように、ゲート線G1とデータ線D11に接続される画素は1相目に相展開され、ゲート線G2とデータ線D12に接続される画素は2相目に相展開され、これらの二つの画素は左眼用画素4Lからなる画素群に含まれる。また、ゲート線G1とデータ線D12に接続される画素は2相目に相展開され、ゲート線G2とデータ線D21に接続される画素は2相目に相展開され、これらの二つの画素は右眼用画素4Rからなる画素群に含まれる。このようにして、本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1実施形態と同様である。
本実施形態においては、一次元の画像分離手段における画像分離方向をゲート線又はデータ線の延伸方向から回転させて配置することにより、各視点用の画素群に対して相展開順序の偏りを低減することができ、高画質化が可能となる。
なお、本実施形態は左右の2視点の場合について記載したが、更に多視点の場合に適用することも可能である。多視点化により相展開順序の偏りが生じる場合には、前述の第14実施形態と組み合わせるのが、非常に有効である。本第15実施形態における上記以外の効果は、前述の第1実施形態と同様である。
次に、本発明の第16実施形態について説明する。図34は本実施形態に係る端末装置を示す斜視図であり、図35は本実施形態に係る表示装置において、第1視点用画素及び第2視点用画素の相展開順序を示す上面図である。
図34及び図35に示すように、本実施形態における表示装置103は、端末装置としての携帯電話91に組み込まれている。そして、本実施形態は、前述の第1実施形態と比較して、レンチキュラレンズ3を構成するシリンドリカルレンズ3aの長手方向、すなわちY軸方向が画像表示装置の横方向、すなわち、画像の水平方向であり、シリンドリカルレンズ3aの配列方向、すなわちX軸方向が縦方向、すなわち、画像の垂直方向である点が異なっている。
また、図35に示すように、表示装置103には、各1つの第1視点用画素4F及び第2視点用画素4Sからなる画素対が複数個、マトリクス状に配列されている。そして、1つの画素対における第1視点用画素4F及び第2視点用画素4Sの配列方向は、シリンドリカルレンズ3aの配列方向となるX軸方向であり、画面の縦方向(垂直方向)である。また、各画素4F及び4Sの構造は、前述の第1実施形態と同様である。更にまた、視点数や相展開数、相展開動作もまた、前述の第1実施形態と同様である。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1実施形態と同様である。
次に、本実施形態に係る表示装置の動作について説明するが、基本的な動作は前述の第1実施形態と同様であり、表示する画像が異なる。表示装置103の第1視点用画素4Fが第1視点用の画像を表示し、第2視点用画素4Sが第2視点用の画像を表示する。第1視点用の画像及び第2視点用の画像は、相互に視差がある立体画像ではなく、平面画像である。また、両画像は相互に独立した画像であってもよいが、相互に関連する情報を示す画像であってもよい。
本実施形態においては、観察者が携帯電話91の角度を変えるだけで、第1視点用の画像又は第2視点用の画像を選択して観察できるという利点がある。特に、第1視点用の画像と第2視点用の画像との間に関連性がある場合には、観察角度を変えるという簡単な手法で夫々の画像を切り換えて交互に観察できるため、利便性が大幅に向上する。なお、第1視点用の画像と第2視点用の画像とを横方向に配列した場合には、観察位置によっては、右眼と左眼とで異なる画像を観察する場合がある。この場合、観察者は混乱し、各視点の画像を認識できなくなる。これに対して、本実施形態に示すように、複数視点用の画像を縦方向に配列した場合には、観察者は各視点用の画像を必ず両眼で観察できるため、これらの画像を容易に認識できる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1実施形態と同様である。なお、本実施形態は、前述の第2乃至第13実施形態のいずれか実施形態と組み合わせることもできる。
次に、本発明の第17実施形態について説明する。図36に示すように、本実施形態の表示装置106は、Nとして2個の視点用の画像をそれぞれ表示する2個の隣接する画素を含む表示単位S1及びS1,…がマトリクス状に複数配列されるとともにゲート線G1,G2とデータ線D11〜D22との各近接点付近に画素S1,…が配置されて成る画素マトリクス6と、表示データを出力する映像信号線V1,V2と、映像信号線V1,V2のそれぞれに対してデータ線D11,…を同時にMとして2本ずつ順次切り替えて接続することにより表示データをデータ線D11,…を介して画素S1,…へ供給する配線スイッチング手段8と、表示単位S1及びS1,…を構成する各画素S1,…から出射した光を2個の視点用にそれぞれX軸方向に振り分けるレンチュキュラレンズ3と、データ線D11〜D22から表示データを各画素S1,…に伝達する複数のTFT(符号省略)とを備えたものである。ゲート線G1,G2はこれらのTFTを制御する機能を有しX軸方向に沿って延伸され、X軸方向に沿ってデータ線D11,…が一本ずつ配列され、X軸方向に沿って表示単位の画素S1及びS1、…が2個ずつ配列されている。そして、切替順序分散手段を兼ねる配線スイッチング手段8は、同一の視点用の画像を表示する画素S1,S2,…から構成される画素群としての右眼用画素4R内及び左眼用画素4L内で、各画素S1,S2,…に対応するデータ線D11,…の切り替え順序を分散させる。
従来は、右眼用画素4R内の各画素S1,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序は例えば全て1番目であり、左眼用画素4L内の各画素S2,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序は例えば全て2番目であった。そのため、右眼用画素4Rと左眼用画素4Lとで、切り替え順序に起因する表示上の差異が生じていた。そこで、本実施形態では、2個の隣接する画素を含む各表示単位S1及びS1,…に対してデータ線D11,…を同時に2本ずつ順次切り替えて接続して、右眼用画素4Rと左眼用画素4Lとで全体として切り替え順序を均等にすることにより、画質を向上させている。その他の構成、作用及び効果は、前述の各実施形態と同様である。
次に、本発明の第18実施形態について説明する。図37に示すように、本実施形態の表示装置107は、Nとして2個の視点用の画像をそれぞれ表示する2個の隣接する画素を含む表示単位S1及びS2,…がマトリクス状に複数配列されるとともにゲート線G1,G2とデータ線D11〜D22との各近接点付近に画素S1,…が配置されて成る画素マトリクス6と、表示データを出力する映像信号線V1,V2と、映像信号線V1,V2のそれぞれに対してMとして2本のデータ線D11,…を順次切り替えて接続することにより表示データをデータ線D11,…を介して画素S1,…へ供給する配線スイッチング手段8と、表示単位S1及びS2,…を構成する各画素S1,…から出射した光を2個の視点用にそれぞれX軸方向に振り分けるレンチュキュラレンズ3と、データ線D11〜D22から表示データを各画素S1,…に伝達する複数のTFT(符号省略)とを備えたものである。ゲート線G1,G2はこれらのTFTを制御する機能を有しX軸方向に沿って延伸され、X軸方向に沿ってデータ線D11,…が一本ずつ配列され、X軸方向に沿って表示単位の画素S1及びS2、…が2個ずつ配列されている。そして、切替順序分散手段を兼ねる配線スイッチング手段8は、映像信号線V1,V2のそれぞれに対して2本のデータ線D11,…を切り替える順序が少なくとも一部の隣接する表示単位S1及びS2と表示単位S2及びS1とで異なる。つまり、表示単位S1及びS2におけるデータ線D11,D12の切替順序は左のデータ線D11→右のデータ線D12であり、逆に、表示単位S2及びS1におけるデータ線D21,D22の切替順序は右のデータ線D22→左のデータ線D21である。これにより、同一の視点用の画像を表示する画素S1,S2,…から構成される画素群としての右眼用画素4R内及び左眼用画素4L内で、各画素S1,S2,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序を分散させる。
従来は、右眼用画素4R内の各画素S1,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序は例えば全て1番目であり、左眼用画素4L内の各画素S2,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序は例えば全て2番目であった。そのため、右眼用画素4Rと左眼用画素4Lとで、切り替え順序に起因する表示上の差異が生じていた。そこで、本実施形態では、2個の隣接する画素を含む各表示単位S1及びS2,…に対して各データ線D11,…を切り替える順序を異ならせて、右眼用画素4Rと左眼用画素4Lとで全体として切り替え順序を均等にすることにより、画質を向上させている。その他の構成、作用及び効果は、前述の各実施形態と同様である。
次に、本発明の第19実施形態について説明する。図38に示すように、本実施形態の表示装置108は、Nとして2個の視点用の画像をそれぞれ表示する2個の隣接する画素を含む表示単位S1及びS2,…がマトリクス状に複数配列されるとともにゲート線G1,G2とデータ線D11〜D22との各近接点付近に画素S1,…が配置されて成る画素マトリクス6と、表示データを出力する映像信号線V1,V2と、映像信号線V1,V2のそれぞれに対してMとして2本のデータ線D11,…を順次切り替えて接続することにより表示データをデータ線D11,…を介して画素S1,…へ供給する配線スイッチング手段8と、表示単位S1及びS2,…を構成する各画素S1,…から出射した光を2個の視点用にそれぞれX軸方向に振り分けるレンチュキュラレンズ3と、データ線D11〜D22から表示データを各画素S1,…に伝達する複数のTFT(符号省略)とを備えたものである。ゲート線G1,G2はこれらのTFTを制御する機能を有しX軸方向に沿って延伸され、X軸方向に沿ってデータ線D11,…が一本ずつ配列され、X軸方向に沿って表示単位の画素S1及びS2、…が2個ずつ配列されている。そして、切替順序分散手段を兼ねるレンチュキュラレンズ3は、Y軸方向に沿って一列に配列された少なくとも一部の隣接する画素S1,S1同士で、光の振分方向が異なる。例えば、一番左の列では、上から左眼用、右眼用となっている。レンチュキュラレンズ3のシリンドリカルレンズ3aは、隣接する画素S1,…同士で逆の光振分方向となる構造である。これにより、同一の視点用の画像を表示する画素S1,S2,…から構成される画素群としての右眼用画素4R内及び左眼用画素4L内で、各画素S1,S2,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序を分散させる。
従来は、右眼用画素4R内の各画素S1,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序は例えば全て1番目であり、左眼用画素4L内の各画素S2,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序は例えば全て2番目であった。そのため、右眼用画素4Rと左眼用画素4Lとで、切り替え順序に起因する表示上の差異が生じていた。そこで、本実施形態では、隣接する画素S1,…同士で光振分方向を異ならせて、右眼用画素4Rと左眼用画素4Lとで全体として切り替え順序を均等にすることにより、画質を向上させている。その他の構成、作用及び効果は、前述の各実施形態と同様である。
次に、本発明の第20実施形態について説明する。図39に示すように、本実施形態の表示装置の駆動方法は、次の表示装置109を駆動する方法である。表示装置109は、Nとして2個の視点用の画像をそれぞれ表示する2個の隣接する画素を含む表示単位S1及びS2,…がマトリクス状に複数配列されるとともにゲート線G1,G2とデータ線D11〜D22との各近接点付近に画素S1,…が配置されて成る画素マトリクス6と、表示データを出力する映像信号線V1,V2と、映像信号線V1,V2のそれぞれに対してMとして2本のデータ線D11,…を順次切り替えて接続することにより表示データをデータ線D11,…を介して画素S1,…へ供給する配線スイッチング手段8と、表示単位S1及びS2,…を構成する各画素S1,…から出射した光を2個の視点用にそれぞれX軸方向に振り分けるレンチュキュラレンズ3と、データ線D11〜D22から表示データを各画素S1,…に伝達する複数のTFT(符号省略)とを備えたものである。ゲート線G1,G2はこれらのTFTを制御する機能を有しX軸方向に沿って延伸され、X軸方向に沿ってデータ線D11,…が一本ずつ配列され、X軸方向に沿って表示単位の画素S1及びS2、…が2個ずつ配列されている。そして、本実施形態の駆動方法は、配線スイッチング手段8が、2本のデータ線D11,…をある順序で切り替えた後に、2本のデータ線D11,…をその順序と異なる他の順序で切り替える。例えば、データ線D11→データ線D12の順序で切り替えた後に、逆に、データ線D12→データ線D11の順序で切り替える。このような動作は、例えば1ビットの選択信号で動作するデマルチプレクサで実現できる。これにより、同一の視点用の画像を表示する画素S1,S2,…から構成される画素群としての右眼用画素4R内及び左眼用画素4L内で、各画素S1,S2,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序を分散させる。
従来は、右眼用画素4R内の各画素S1,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序は例えば全て1番目であり、左眼用画素4L内の各画素S2,…に対応する配線スイッチング手段8による切り替え順序は例えば全て2番目であった。そのため、右眼用画素4Rと左眼用画素4Lとで、切り替え順序に起因する表示上の差異が生じていた。そこで、本実施形態では、2本のデータ線D11,…を切り替える順序を経時的に異ならせて、右眼用画素4Rと左眼用画素4Lとで全体として切り替え順序を均等にすることにより、画質を向上させている。その他の構成、作用及び効果は、前述の各実施形態と同様である。
次に、本発明の第21実施形態について説明する。図40は本発明の第21実施形態に係る表示装置において、左眼用画素及び右眼用画素の相展開順序を示す上面図である。図40(A)は例えば、偶数フレーム表示時の相展開動作を示し、図40(B)は奇数フレーム表示時の相展開動作を示す。前述の第1比較例と比較して、本実施形態においては、相展開数が2であり視点数が左右の2である点は同様であるものの、相展開の動作が時間的に異なる状態に変更されることにより、相展開動作に偏りが発生しないように構成されている点が特徴である。
図40(A)に示すように、本第21実施形態の表示装置110においては、偶数フレーム表示時には、シリンドリカルレンズ3aとの位置関係により、データ線D11、D21に接続された画素は右眼用画素4Rに割り当てられる。そして、データ線D12、D22に接続された画素は左眼用画素4Lに割り当てられる。したがって、観察者の右眼は、1相目に相展開された画素群を視認することになる。また、観察者の左眼は、2相目に相展開された画素群を視認することになる。次に、図40(B)に示すように、奇数フレーム表示時には、データ線D11、D21に接続された画素は左眼用画素4Lに割り当てられる。そして、データ線D12、D22に接続された画素は右眼用画素4Rに割り当てられる。したがって、観察者の左眼は、1相目に相展開された画素群を視認することになる。また、観察者の右眼は、2相目に相展開された画素群を視認することになる。
本実施形態においては、相展開順序の偏りを時間的に平均化して、各相の書込動作の差異に起因する影響を低減することができ、画質の向上が可能となる。また、本実施形態においては、視点数が左右の2である2眼式の場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、フィールドシーケンシャル方式、即ち空間の異なる方向に対して時間的に分割して異なる映像を表示する方式に対して、同様に適用することができる。その他の構成、作用及び効果は、前述の各実施形態と同様である。
なお、前述の第1乃至第21実施形態においては、携帯電話等に搭載され、1人の観察者の左右の眼に相互に視差がある画像を供給して立体画像を表示するか、1人の観察者に複数種類の画像を同時に供給する表示装置の例を示したが、本発明に係る表示装置はこれに限定されず、大型の表示パネルを備え、複数の観察者に相互に異なる複数の画像を供給するものであってもよい。更に、上述の各実施形態は各々単独で実施してもよいが、適宜組み合わせて実施することも可能である。なお、各実施形態において同じ名称の構成要素に同じ符号を付してあっても、図示するように実施形態毎に構成が異なる場合もある。
以上、上記各実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。また、本発明には、上記各実施形態の構成の一部又は全部を相互に適宜組み合わせたものも含まれる。
本発明の他の実施形態に係る表示装置は、第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含む表示単位が複数配列され、前記各画素に表示データを供給するための配線と、M本(Mは1以上の整数)の前記配線毎に配置されこのM本の配線に対し表示データを順次切り替えて供給するスイッチング手段と、前記表示単位を構成する各画素から出射した光を相互に異なる方向に振り分ける光学手段と、を有し、同一視点用の画像を表示する前記画素から構成される各画素群において、前記スイッチング手段により供給される表示データの切替順序に偏りがない構成としてもよいものである。
前記Mは2以上であることが望ましく、前記スイッチング手段の複数順序の切替動作により前記各画素群に表示データが供給されることが望ましい。前記各画素群において、前記切替順序の割合が均等であることが望ましい。またMは1であってもよい。
また、前記各画素に表示データを供給するためのデータ線と、前記各画素に前記データ線からの表示データを伝達する画素スイッチと、この画素スイッチを制御するためのゲート線とを有し、前記各画素は前記ゲート線と前記データ線との近接点付近に平行移動の関係で配置され、前記光学手段の振分方向に沿って前記データ線が延伸する構成であってもよい。
また、前記各画素に表示データを供給するためのデータ線と、前記各画素に前記データ線からの表示データを伝達する画素スイッチと、この画素スイッチを制御するためのゲート線とを有し、前記各画素は前記ゲート線と前記データ線との近接点付近に平行移動の関係で配置され、前記光学手段の振分方向に沿って前記ゲート線が延伸し、前記表示単位の視点数をNとし、前記スイッチング手段のスイッチ順序の数をMとするとき、M>1かつNmodM≠0が成立する構成であってもよい。
また、前記各画素に表示データを供給するためのデータ線と、前記各画素に前記データ線からの表示データを伝達する画素スイッチと、この画素スイッチを制御するためのゲート線とを有し、前記各画素は前記ゲート線と前記データ線との近接点付近に平行移動の関係で配置され、前記光学手段の振分方向に沿って前記ゲート線が延伸し、前記表示単位の視点数をNとし、前記スイッチング手段のスイッチ順序の数をMとするとき、M=1が成立する構成であってもよい。
また、前記各画素に表示データを供給するためのデータ線と、前記各画素に前記データ線からの表示データを伝達する画素スイッチと、この画素スイッチを制御するためのゲート線とを有し、前記ゲート線の配列方向に配置された画素は、隣接し異なるデータ線に接続される構成であってもよい。
また、前記各画素に表示データを供給するためのデータ線と、前記各画素に前記データ線からの表示データを伝達する画素スイッチと、この画素スイッチを制御するためのゲート線とを有し、前記ゲート線を挟み配置された隣接画素対が、この画素間のゲート線により制御され、かつ隣接し異なるデータ線に接続される構成であってもよい。
また、前記ゲート線の延伸方向に隣接する前記隣接画素対は、夫々隣接し異なるゲート線に接続される構成であってもよい。また、前記光学手段の振分方向に沿って前記ゲート線が延伸する構成であってもよい。また、前記表示単位の視点数をNとし、前記スイッチング手段のスイッチ順序の数をMとするとき、M≧3かつNmodM≠0が成立する構成であってもよい。
また、前記各画素に表示データを供給するためのデータ線と、前記各画素に前記データ線からの表示データを伝達する画素スイッチと、この画素スイッチを制御するためのゲート線とを有し、前記ゲート線の延伸方向又は前記データ線の延伸方向と、前記光学手段の振分方向とが異なる構成であってもよい。
また、前述した表示装置を有する携帯端末として構築してもよい。また、携帯電話、個人用情報端末、パーソナルテレビジョン、ゲーム機、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ビデオプレーヤ、ノート型パーソナルコンピュータ、キャッシュディスペンサ又は自動販売機に適用してもよい。
また、本発明の他の実施形態では、各画素に表示データを供給するためのデータ線と、前記各画素に前記データ線からの表示データを伝達する画素スイッチと、この画素スイッチを制御するためのゲート線と、前記データ線に供給する表示データを制御するためのスイッチング手段と、を有し、前記ゲート線を挟み配置された隣接画素対が、この画素間のゲート線により制御される表示パネルとして構築してもよいものである。
また、前記隣接画素対を構成する画素は、隣接し異なるデータ線に接続される構成としてもよい。また、前記ゲート線の延伸方向に隣接する前記隣接画素対は、夫々隣接し異なるゲート線に接続される構成としてもよい。
また、本発明の他の実施形態に係る表示装置の駆動方法は、第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含む表示単位が複数配列され、前記各画素に表示データを供給するための配線と、この配線に供給する表示データを制御するためのスイッチング手段と、前記各画素から出射した光を相互に異なる方向に振り分ける光学手段と、を有し、同一視点用の画像を表示する前記画素から構成される画素群において、この各画素群が前記スイッチング手段のスイッチ順序に偏りなく駆動する構成として構築してもよい。