JP2009115295A - クラッチレリーズ軸受装置用玉軸受 - Google Patents

クラッチレリーズ軸受装置用玉軸受 Download PDF

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Abstract

【課題】高い密封性を具備しつつも、内圧の過剰な上昇に起因した各種不具合を可及的に防止し得るクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受を提供する。
【解決手段】内外輪11、13間に配設したシール部材16,17のうち、車両のリア側に位置する第2シール部材17のシール部17bは、弾性材料で軸方向に延在するように形成され、内輪11の外周面11aに対して、軸受内方側の一端で非接触であると共に軸受外方側の一端で接触している。このシール部17bは、固定部17aとシール部17bとを連結する基部17cに対し、軸受内方側の一端で連結されている。かかる形態とすることにより、軸受内圧が高まると、シール部17bが弾性変形し、シール部17bの軸受外方側の一端に設けた第1突出部17b1と内輪11の外周面11aとの接触関係が解消されて軸受内外が連通する。そして当該連通部分を介して軸受内外を空気が行き来することによって軸受内外の圧力差が瞬時に解消される。
【選択図】図3

Description

本発明は自動車をはじめとする車両のクラッチ装置に組み込まれるクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受に関する。
クラッチレリーズ軸受装置は、車両、特にマニュアルトランスミッション車(MT車)のエンジンとトランスミッションとの間に配設され、クラッチペダルの操作に伴ってトランスミッションのフロントカバーに沿って軸方向移動し、クラッチのON/OFFを切り替えるものである。
図4は、クラッチ装置に組み込まれるクラッチレリーズ軸受装置、より詳細には、いわゆるプルタイプのクラッチ装置に組み込まれる自動調心型クラッチレリーズ軸受装置およびその周辺機構の一例を示すものである。同図に示すクラッチレリーズ軸受装置Aは、トランスミッションのフロントカバー700に外挿された玉軸受100、スリーブ200、側板300およびカバー400で主要部が構成され、エンジン側の軸心とトランスミッション側の軸心との間にずれが生じた場合、玉軸受100がそのずれ量に応じて半径方向に移動することで、両軸心間の心ずれが自動的に調心可能となっている。このクラッチレリーズ軸受装置Aでは、クラッチペダル(図示省略)を踏み込んで側板300と係合するレリーズフォーク(図示省略)が揺動すると、玉軸受100を介してダイヤフラムスプリング600が図中矢印F方向に引っ張られ、これによりクラッチがOFFの状態となる。
玉軸受100は、図5(a)に拡大して示すように、内輪101および外輪103と、内外輪の軌道溝間に転動自在に組み込まれた複数のボール104と、ボール104を円周方向等間隔で保持する保持器105とを備える。図示例の内輪101には、軸方向に延在する円筒状の取付け部102が一体的に設けられ、玉軸受100は、内輪101の取付け部102の外径面に固定したウェッジカラー500を介してダイヤフラムスプリング600の内径部に連結される。
玉軸受100には、軸受内部に充填した潤滑材(例えばグリース)の外部漏洩、および軸受内部への摩耗粉、砂、泥、水等の異物浸入を防止する目的で、内外輪101,103間の両端開口部を密封するシール部材106、107が設けられるのが通例である。両シール部材106,107は、例えば、その内径端部が所定の半径方向隙間(ラビリンス隙間)を介して内輪101の外径面と対向するようにして、その外径端部が外輪103の内径面に固定される(非接触型シール;例えば、特許文献1を参照)。
特開平11−270583号公報
ところで、特に厳しい環境条件下での使用が想定される自動車、例えば四輪駆動車用のクラッチレリーズ軸受装置に組み込まれる玉軸受では、より高い密封性を要求されることから、シール部材106,107の双方を図5(b)に示すような接触型とする場合がある。同図に示す図中左側(車両のフロント側)のシール部材106を例にとって説明すると、当該シール部材106は、外輪103の内径面に圧入等の適宜の手段で固定される固定部106aと、軸方向に延在した略円筒状をなし、軸受内方側の一端で内輪101の外径面に接触したシール部106bと、半径方向に延在し、固定部106aとシール部106bの軸受外方側の一端とを連結する環状の基部106cとを有し、軸受内方側を開口させた断面略コの字形状とされる。
しかしながら、かかるシール部材の形態では、温度上昇等に伴って内圧が高まると、シール部106bの内方側一端を内輪101の外径面に押し付ける方向の力が作用して、密封性が一層高まる。そのため、内圧が過剰に上昇し、軸受トルクの増大やグリース漏れ、ひいては軸受の損傷を招くおそれがある。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、高い密封性を具備しつつも、内圧の過剰な上昇に起因した上記の各種不具合を可及的に防止し得るクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受を提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明では、車両に搭載され、レリーズフォークの作動に伴い、トランスミッションのフロントカバーに沿って軸方向移動可能なクラッチレリーズ軸受装置用の玉軸受であって、内輪および外輪と、内輪と外輪との間を密封するシール部材とを備え、シール部材が、内輪の外径面又は外輪の内径面の何れか一方に固定される固定部と、他方の輪に接触するシール部と、半径方向に延在し、固定部とシール部とを連結する基部とを有するものにおいて、シール部材のシール部が軸受内外の圧力差によって弾性変形可能とされ、当該シール部の弾性変形により軸受内外が連通することを特徴とするクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受を提供する。
上記のように、本発明は、シール部材のシール部が軸受内外の圧力差によって弾性変形可能とされ、当該シール部の弾性変形により軸受内外が連通することを特徴とするものである。このようにすれば、軸受内外の圧力差がない状態(あるいは圧力差があったとしても無視できる程度に軽微な状態)では、シール部材のシール部が他方の輪に接触することによって、いわゆる接触型のシールが形成されるため、高い密封性が確保される。その一方、例えば温度上昇等によって内圧が高まって軸受内外で圧力差が生じると、シール部材のシール部が弾性変形することにより軸受内外が連通されて軸受内外を空気が行き来可能となるため、軸受内外の圧力差が瞬時に解消される。従って、高い密封性を具備しつつも、内圧の過剰な上昇に起因した各種不具合の発生を可及的に防止することができる。
ところで、シール部材は、上述したように、内外輪間の両端開口部に設けられるのが通例であり、上記本発明の構造は、車両のフロント側およびリア側に配設されるシール部材のうち、特にリア側に配設されるシール部材のシール部に採用するのが望ましい。シール部材の弾性変形時、すなわち軸受内外の連通時には、軸受外部への潤滑材漏洩も可能となるが、潤滑材漏洩によるクラッチ機能への悪影響はフロント側に比べリア側の方が軽微であるからである。もちろん、軸受内外の連通時にこのような事態が生じるおそれが低ければ、リア側ではなくフロント側のシール部材に設けることも、またリア側およびフロント側のシール部材に設けることも可能である。
軸受内外の圧力差により弾性変形可能なシール部の具体的構成として、これを弾性材料で軸方向に延在するように形成し、前記他方の輪に対し、軸受内方側の一端で非接触にすると共に軸受外方側の一端で接触させ、かつ軸受内方側の一端で基部に連結したものを挙げることができる。なお、ここでいう「軸受内方側」とは相対的に軸受の軸方向中央部に接近した側を、また「軸受外方側」とは相対的に軸受の軸方向中央部から軸方向に離隔した側を意味する。シール部を上記構成とすれば、当該シール部の軸受外方側の一端は、軸受内方側の一端を支点として拡開自在となる。そのため、温度上昇等に伴って内圧が高まり、シール部の軸受外方側の一端に前記他方の輪との接触関係を解消させる方向の力が作用すると前記他方の輪との接触関係が解消され(軸受内外が連通され)、軸受内外を空気が行き来して軸受内外の圧力差が瞬時に解消される。一方、軸受内外の圧力差がない状態では、シール部の軸受外方側の一端が前記他方の輪に接触して接触シールが形成されるため、高い密封性が変わらず確保される。
上記構成において、シール部の軸受内方側の一端と前記他方の輪との間にラビリンスシールを形成することもできる。このようにすれば、上記態様で軸受内外が連通した際、軸受内部への異物侵入、また軸受外部への潤滑材漏洩を当該ラビリンスシール部で可及的に防止することができるため、望ましい。
上記構成の玉軸受において、シール部を形成する弾性材料としては、ゴム材料、熱可塑性エラストマー、軟質のポリ塩化ビニル等を採用することが可能であるが、成形性やコスト等を考慮するとゴム材料が好適である。また、当該シール部は他方の輪と摺動接触することから、耐摩耗性を具備することが必要である。これらの要求を満足するゴム材料としては、例えば、ニトリルゴム(NBR)、ポリアクリルゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、フッ素ゴム(FKM)等を挙げることができ、費用対効果を考慮すると、特にニトリルゴムやポリアクリルゴムが好適である。なお、ここでいうニトリルゴムには、これの変性ゴム、例えば水素添加ニトリルゴム(HNBR)も含まれる。
以上のように、本発明によれば、高い密封性を具備しつつも、内圧の過剰な上昇に起因した各種不具合を可及的に防止可能なクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受を提供することができる。またこれにより、クラッチ装置の機能低下および寿命低下が可及的に防止可能となる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る玉軸受を組み込んだクラッチレリーズ軸受装置、より詳細にはプルタイプのクラッチ装置に組み込まれるクラッチレリーズ軸受装置の全体構成を示す断面図である。同図に示すクラッチレリーズ軸受装置は、玉軸受10と、スリーブ20と、側板30と、カバー40と、弾性部材50とで主要部が構成され、各構成部材はトランスミッションのフロントカバー60に外挿されている。
スリーブ20は、玉軸受10の内径側に位置する円筒部22と、円筒部22の一端から外径側に延在するフランジ部24とを有する。本実施形態のスリーブ20は、鋼板製のフランジ部24をインサートして円筒部22が樹脂で射出成形された金属と樹脂のハイブリッド構造とされる。円筒部22は、その一端が外径側に屈曲しており、その屈曲端部26から外径側に延在するようにフランジ部24が設けられる。フランジ部24はリング状を呈し、段違いになった二つの平面部21,23を有する。なお、このスリーブ20は、その全体が鋼板からプレス成形されたものであっても良い。
側板30は鋼板製とされ、玉軸受10の外周を覆い、スリーブ20のフランジ部24の外径面と嵌合する円筒状の保持部32を有する。保持部32の一端には内径側に屈曲した第1鍔部34が形成され、保持部32の他端には外径側に屈曲した第2鍔部36が形成される。保持部32の半径方向に対向する円周方向の二箇所には、外径側に突出し、図示しないレリーズフォークと係合する係合部38が形成されている。
カバー40は鋼板でリング状に形成され、当該カバー40と側板30とを結合するための加締め部41を有する。加締め部41は、カバー40の外周縁部を側板30の第2鍔部36側に折り曲げることによって形成される。カバー40の半径方向略中央部には、スリーブ20のフランジ部24の側に突出したリング状の突出部42が形成される。
弾性部材50は、スリーブ20のフランジ部24の平面部23とカバー40の突起部42との間に介在して、両者を互いに離反する方向に弾性的に押圧する。このような機能を発揮する弾性部材50としては、例えばウェーブワッシャが挙げられる。
玉軸受10は、図2にも拡大して示すように、内輪11および外輪13と、内外輪の軌道溝間に転動自在に組み込まれた複数のボール14と、ボール14を円周方向等間隔で保持する保持器15と、ボール14の軸方向両側にそれぞれ設けられ、内輪11と外輪13との間のフロント側(図中左側)およびリア側(図中右側)開口部をシールする第1および第2シール部材16,17とで構成される。内輪11には、軸方向に延在する円筒状の取付け部12が一体的に設けられ、この玉軸受10は、内輪11の取付け部12の外径面に固定したウェッジカラー(図4を参照)を介してダイヤフラムスプリング(図4を参照)の内径部に連結される。玉軸受10の内部には、潤滑材としてのグリースが充填されている。本実施形態の外輪13は、ボール14の軌道溝が設けられた第1内周面13aと、第1内周面13aの一端側(図中左側)に位置し第1内周面13aよりも大径の第2内周面13bと、第1内周面13aと第2内周面13bとの間に介在する円弧面13cとを有する。円弧面13cは、第2内周面13bよりも半径方向外側に位置し、環状溝としての形態をなす。
車両のフロント側に位置する第1シール部材16は、芯金およびこれを被覆する弾性材料(ここではゴム材料)からなるいわゆる弾性体シールであり、その外径端部に固定部としての頭部16aを有する共に、その内径端部にシール部としての第1および第2リップ部16b、16cを有する。この第1シール部材16は、第1および第2リップ部16b,16cを内輪11の外周面11aに全周に亘って接触させるようにして、頭部16aが外輪13の円弧面13cに対して圧入固定される。これにより、内輪11の外径面と外輪13の内径面との間のフロント側開口部が密封され、この開口部を介してのグリース漏れや異物侵入が可及的に防止される。
車両のリア側に位置する第2シール部材17は、軸方向に延在する略円筒状に形成された固定部17aおよびシール部17bと、半径方向に延在し、固定部17aの軸受内方側の一端とシール部17bの軸受内方側の一端とを連結する基部17cとを備える。シール部17bの軸方向両端部には、図3にも示すように、半径方向内側に突出した第1および第2突出部17b1、17b2がそれぞれ設けられており、外方側の第1突出部17b1は、内方側の第2突出部17b2に比べ、その突出量が相対的に大きくなっている。この第2シール部材17は、第1シール部材16と同様に、芯金およびこれを被覆する弾性材料(ここではゴム材料)からなる弾性体シールであり、固定部17aおよび基部17cは金属とゴムのハイブリッド構造とされる一方、シール部17bはその全体がゴム製とされる。
この第2シール部材17は、外輪13の第1内周面13aに固定部17aを圧入することによって内輪11と外輪13との間に固定され、両輪11,13間に固定された状態で、シール部17bの第1突出部17b1は内輪11の外周面11aに全周に亘って接触し、シール部17bの第2突出部17b2は内輪11の外周面11aと所定の半径方向隙間(ラビリンス隙間)を介して対向する。このようにして、シール部17bの第1突出部17b1と内輪11の外周面11aとで接触シールS1が形成され、また、シール部17bの第2突出部17b2と内輪11の外周面11aとの間にラビリンスシールS2が形成される。これにより、内輪11の外径面と外輪13の内径面との間のリア側開口部が密封され、この開口部を介してのグリース漏れや異物侵入が可及的に防止される。
なお、第1および第2シール部材16,17のゴム製部分(リップ部16b,16cやシール部17b等)は公知の各種ゴム材料を用いて形成することが可能であるが、上述のとおり、第1および第2シール部材16,17のゴム製部分が接触型シールを構成することから、ゴム材料としては耐摩耗性に富むものを選択使用するのが望ましく、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(HNBR)、ポリアクリルゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、フッ素ゴム(FKM)等が好適で、本実施形態では費用対効果を考慮してニトリルゴムを使用している。なお、必要とされる耐摩耗性を満足するのであれば、第1シール部材16のリップ部16b,16cや第2シール部材17のシール部17b等は、熱可塑性エラストマーやポリ塩化ビニル(PVC)で形成することも可能である。
次に、軸受運転時(クラッチ装置の作動時)、特に摩擦熱等によって軸受の内部温度が上昇した際の第2シール部材17の挙動について説明する。上述のように、第2シール部材17のシール部17bは、ゴム材料で略円筒状に形成されると共に、軸受内方側の一端で基部17cに連結されることから、その軸受外方側の一端は、内方側一端を支点として拡開自在である。また、シール部17bの内方側一端は、内輪11の外周面11aと非接触であるため、温度上昇等によって内圧が高まると、シール部17bの外方側一端には、内輪11の外周面11aとの接触関係を解消させる方向の力が作用する。従って、内圧が高まると、シール部17bは図3中に点線で示す態様で弾性変形し、シール部17bの第1突出部17b1と内輪11の外周面11aとの接触関係が解消される。このように両者の接触関係が解消されると、軸受内外が連通され、この連通部分を介して空気が軸受内外を行き来するため、軸受内外の圧力差が瞬時に解消される。かかる圧力差が解消されるとシール部17bの外方側一端は内径側に変位し、シール部17bの第1突出部17b1が内輪11の外周面11aに接触して接触シールS1が形成される。これにより、両輪11,13間のリア側開口部は再度密封される。なお、上述のとおり、本実施形態では、シール部17bの第2突出部17b2と内輪11の外周面11aとの間にラビリンスシールS2を形成したので、軸受内外が連通状態になった際の外部からの異物侵入は可及的に防止される。
以上に示すように、本発明によれば、軸受内外での圧力差がない、もしくは圧力差があったとしても軽微な状態では、両シール部材16,17が接触型シールで構成されているため、高い密封性が確保され、内外輪11,13間の開口部を介してのグリース漏れや異物侵入が効果的に防止される。一方、連続運転による内部温度上昇等に起因して内圧が相対的に大きくなった場合(軸受内外で圧力差が生じた場合)でも、上記態様で軸受内外の圧力差が瞬時に解消されるため、内圧の過剰な上昇に起因したシール部材の吸着(軸受トルクの増大)やグリース漏れを可及的に防止することができる。
特に本実施形態のように、車両のリア側に位置する第2シール部材17のシール部17bの弾性変形によって軸受内外を連通可能とすれば、軸受内外が連通した際に若干のグリース漏れが生じたとしても、クラッチ機能への悪影響が軽微なため、好適である。もちろん、軸受内外の連通時に生じるグリース漏れに起因したクラッチ機能への悪影響がほとんど無視できる程度の軽微なものであれば、第2シール部材17に替えて第1シール部材16を上述の形態(軸受外方側を開口させた断面略コの字形状)とすることも、また両シール部材16,17を上述した形態とすることも可能である。
以上では、第2シール部材17に円筒状の固定部17aを設け、この固定部17aを外輪13の平滑な第1内周面13aに圧入した形態としているが、第1シール部材16の固定態様と同様に、外輪13のトランスミッション側開口部に円弧面(環状溝)を設け、当該環状溝に第2シール部材17の外径端部を圧入するようにしても良い。また、シール部材16,17の外輪13に対する固定手段は圧入に限定されるわけではなく、接着、溶着等を採用しても良い。
また、以上では、シール部材の外径端部に固定部を設け、この固定部を外輪13の内径面に固定すると共に、シール部材の内径端部にシール部を設け、このシール部を内輪11の外径面に接触させた玉軸受について説明を行ったが、かかる構成とは逆に、シール部材の内径端部に固定部を設け、この固定部を内輪11の外径面に固定すると共に、シール部材の外径端部にシール部を設け、このシール部を外輪の内径面に接触させた構成を採用することも可能である。
以上では、いわゆるプルタイプのクラッチ装置に組み込まれるクラッチレリーズ軸受装置用の玉軸受に本発明の構成を適用した場合について説明を行ったが、本発明はいわゆるプッシュタイプのクラッチ装置に組み込まれるクラッチレリーズ軸受装置用の玉軸受にも好適に適用可能である。なお、プッシュタイプのクラッチ装置に組み込まれるクラッチレリーズ装置用の玉軸受は、例えば内輪11が、エンジン側(図2で言えば左側)一端に半径方向外側に延びる鍔部を一体又は別体に有するものである。このタイプのクラッチ装置では、前記鍔部をダイヤフラムスプリングに接触させることによって、クラッチのON/OFFが切り替えられる(図示は省略)。
以上、本発明について説明を行ったが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内の全ての変更を含む。
本発明に係る玉軸受を組み込んだクラッチレリーズ軸受装置の全体構成を示す断面図である。 図1に示す玉軸受の拡大断面図である。 図2の要部拡大断面図である。 クラッチレリーズ軸受装置の周辺装置を示す断面図である。 従来のクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受を概念的に示す拡大断面図であり、(a)図はシール構造として非接触シールを採用したもの、(b)図はシール構造として接触シールを採用したものの一例である。
符号の説明
10 (クラッチレリーズ軸受装置用)玉軸受
11 内輪
13 外輪
14 ボール
16 第1シール部材
17 第2シール部材
17a 固定部
17b シール部
17c 基部

Claims (6)

  1. 車両に搭載され、レリーズフォークの作動に伴い、トランスミッションのフロントカバーに沿って軸方向移動可能なクラッチレリーズ軸受装置用の玉軸受であって、内輪および外輪と、内輪と外輪との間を密封するシール部材とを備え、シール部材が、内輪の外径面又は外輪の内径面の何れか一方に固定される固定部と、他方の輪に接触するシール部と、半径方向に延在し、固定部とシール部とを連結する基部とを有するものにおいて、
    シール部材のシール部が軸受内外の圧力差によって弾性変形可能とされ、当該シール部の弾性変形により軸受内外が連通することを特徴とするクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受。
  2. 車両のリア側に配設されたシール部材が、前記弾性変形可能なシール部を有する請求項1記載のクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受。
  3. 前記弾性変形可能なシール部は、弾性材料で軸方向に延在するように形成され、前記他方の輪に対し、軸受内方側の一端で非接触であると共に軸受外方側の一端で接触し、かつ軸受内方側の一端で前記基部に連結されたものである請求項1又は2記載のクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受。
  4. 前記弾性変形可能なシール部の軸受内方側の一端と前記他方の輪との間にラビリンスシールを形成した請求項3記載のクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受。
  5. 前記弾性材料が、ニトリルゴムである請求項3記載のクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受。
  6. 前記弾性材料が、ポリアクリルゴムである請求項3記載のクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受。
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