JP2009115066A - ジェットポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】部品点数の増加を抑制し、かつ、製造コストの上昇を抑制することの可能なジェットポンプを提供する。
【解決手段】第1の流体を合流通路45に向けて噴射する噴射孔50と、合流通路45に接続され、かつ、合流通路45に噴射される第1の流体により吸引される第2の流体が通過する副通路43とを有するジェットポンプにおいて、噴射孔50を有するノズル49と、ノズル49が圧入されたプレート40とを有しており、プレート40の熱膨張率よりも、ノズル49の熱膨張率の方が高く構成されている。
【選択図】図1
【解決手段】第1の流体を合流通路45に向けて噴射する噴射孔50と、合流通路45に接続され、かつ、合流通路45に噴射される第1の流体により吸引される第2の流体が通過する副通路43とを有するジェットポンプにおいて、噴射孔50を有するノズル49と、ノズル49が圧入されたプレート40とを有しており、プレート40の熱膨張率よりも、ノズル49の熱膨張率の方が高く構成されている。
【選択図】図1
Description
この発明は、第1の流体を噴射孔から噴射させ、第1の流体により第2の流体を吸引して合流させるジェットポンプに関するものである。
従来から、高速で噴射される第1の流体の巻き込み作用によって、第2の流体の輸送をおこなうジェットポンプ(噴流ポンプ)が知られており、そのジェットポンプの一例が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載されたジェットポンプにおいては円筒形状のハウジングの内部に円筒形状のノズルが設けられている。このノズルには、通路面積が縮小するように先細テーパ部が設けられており、そのノズルの内部にニードルが挿入されている。このニードルは先端側に向かうほど断面積が縮小するようにテーパ形状に構成されている。このニードルと前記ノズルとの間に、第1の冷媒流路が形成されている。さらに、ニードルを軸方向に変位させるアクチュエータが設けられている。さらに、前記ハウジングと前記ノズルとの間に第2の冷媒通路が形成されている。なお、前記ハウジングには混合部が形成されている。そして、圧縮機から吐出された冷媒が、ノズル内の第1の冷媒通路を通過して噴射され、音速以上の速度で混合部に流入する。この混合部に流入した高速冷媒の巻き込み作用に伴うポンプ作用により、蒸発器内で蒸発した第2の冷媒が、第2の冷媒通路を経由して混合部内に吸引される。さらに、前記アクチュエータでニードルを軸方向に変位させると、ノズル出口の実質的な開度を可変制御することが可能である。具体的には、第1の冷媒の流量が多いときは第1の冷媒通路の断面積を拡大し、第2の冷媒の流量が少ない場合は、第1の冷媒通路の断面積を狭めることができるとされている。
しかしながら、特許文献1に記載されたジェットポンプにおいては、ニードルを軸方向に駆動させるアクチュエータを設けており、ジェットポンプの部品点数が多くなり、かつ、ジェットポンプの製造コストが上昇する虞があった。
この発明は上記事情を背景としてなされたものであり、部品点数の増加を抑制し、かつ、製造コストの上昇を抑制することの可能なジェットポンプを提供することを目的としている。
この発明における第1のジェットポンプは、第1の流体を合流通路に向けて噴射する噴射孔と、前記合流通路に接続され、かつ、合流通路に噴射される第1の流体により吸引される第2の流体が通過する副通路とを有するジェットポンプにおいて、前記噴射孔を有するノズルが設けられており、このノズルは、前記第1の流体の噴射方向に対して垂直な平面内における前記噴射孔の面積が、第1の温度である場合の面積よりも、第1の温度よりも低温の第2の温度である場合の面積の方が広くなるように、温度変化に対する形状特性を有している。
またこの発明における第2のジェットポンプは、第1の流体を合流通路に向けて噴射する噴射孔と、前記合流通路に接続され、かつ、合流通路に噴射される第1の流体により吸引される第2の流体が通過する副通路とを有するジェットポンプにおいて、前記噴射孔を有するノズルと、このノズルを取り付け孔に圧入した支持部材とが設けられており、前記支持部材の熱膨張率よりも、前記ノズルの熱膨張率の方が高く構成されている。
また、第2のジェットポンプは、前記ノズルは円柱形状に構成されており、そのノズルの中心線に沿った方向に前記噴射孔が貫通して設けられており、前記支持部材には円柱形状の取り付け孔が設けられており、前記ノズルの外周面が前記取り付け孔に圧入されて、そのノズルの周囲が前記支持部材により支持されていることが好ましい。
この発明の第1のジェットポンプによれば、噴射孔から合流通路に向けて第1の流体が噴射され、その第1の流体の巻き込み作用によって第2の流体が吸引され、その第2の流体が副通路を経由して合流通路に流れ込む。そして、噴射孔が設けられたノズルは、第1の流体の噴射方向に対して垂直な平面内における噴射孔の面積は、第1の温度である場合の面積よりも、第1の温度よりも低温の第2の温度である場合の面積の方が広くなるように、温度に対する形状特性を備えている。このため、第1の温度である場合に、噴射孔から合流流路に噴射される第1の流体の流量よりも、第1の温度よりも低温な第2の温度である場合に、噴射孔から合流流路に噴射される第1の流体の流量の方が多くなる。このように、ノズルの温度変化に対する形状特性により、噴射孔の面積が変化して合流流路に供給される流体の流量が変化する。このため、第1の温度よりも温度が低い第2の温度である場合に、合流流路に供給される流体の流量を増加するにあたり、格別のアクチュエータを設けずに済む。したがって、ジェットポンプの部品点数の増加を抑制でき、かつ、ジェットポンプの製造コストの上昇を抑制できる。
この発明の第2のジェットポンプによれば、噴射孔から合流通路に向けて第1の流体が噴射され、その第1の流体の巻き込み作用によって第2の流体が吸引され、その第2の流体が副通路を経由して合流通路に流れ込む。そして、噴射孔が設けられたノズルの熱膨張率は、支持部材熱膨張率よりも高い。また、ノズルの周囲が支持部材により支持されている。そして、第1の温度では、ノズルが噴射孔の直径方向に膨張して、噴射孔の面積が狭められるが、支持部材は膨張しない。これに対して、第1の温度から第2の温度に低下した場合、ノズルが噴射孔の直径方向に収縮して、噴射孔の面積が拡大される。このため、第1の温度である場合に、噴射孔から合流流路に噴射される第1の流体の流量よりも、第1の温度よりも低温な第2の温度である場合に、噴射孔から合流流路に噴射される第1の流体の流量の方が多くなる。このように、ノズルおよび支持部材の熱膨張率の差により、噴射孔の面積が変化して合流流路に供給される流体の流量が変化する。このため、第1の温度よりも温度が低い第2の温度である場合に、合流流路に供給される流体の流量を増加するにあたり、格別のアクチュエータを設けずに済む。したがって、ジェットポンプの部品点数の増加を抑制でき、かつ、ジェットポンプの製造コストの上昇を抑制できる。
この発明において、合流通路および副通路は、流体が流れる経路であり、合流通路および吸入通路には、流路、ポート、バルブ内部の通路などが含まれる。この発明において、噴射孔とは第1の流体が通過する通路であり、合流通路よりも面積が狭い。ここでいう面積とは、流体の流れ方向と垂直な平面内における面積である。この発明において、噴射孔および吸入通路は、流体の供給元に接続され、合流通路は流体の供給先に接続される。この発明において、第1の流体および第2の流体は、いずれか一方が液体で他方が気体でもよく、両方とも液体でもよく、両方とも気体でもよい。特に、第1の流体は温度が低下することにともない、粘度が高まる特性を有する。また、第1の流体と第2の流体とが同一種類の液体でもよい。この発明において、第1の流体が噴射孔から噴射されると、作動流体の巻き込み作用により第2の流体が吸引されて、第1の流体および第2の流体が合流通路で合流する。
この発明における噴射孔はノズルに設けられており、第1の流体の噴射方向に対して垂直な平面内における噴射孔の断面形状は円形、四角形、六角形などのいずれでもよい。また、第1の流体の噴射方向に対して垂直な平面内で、噴射孔の面積が、第1の温度である場合の面積よりも、第1の温度よりも低温の第2の温度である場合の面積の方が広くなるように、ノズルが温度変化に対する形状特性を有している。ノズルにこのような形状特性を持たせる第1の手段としては、ノズルの熱膨張率とノズルを支持する支持部材との熱膨張率を異ならせることが挙げられる。具体的には、支持部材の熱膨張率よりも、ノズルの熱膨張率の方が高くなるように、支持部材を構成する材料(材質)と、ノズルを構成する材料(材質)とを選択する。
また、ノズルにこのような形状特性を持たせる第2の手段としては、ノズルとして、形状記憶特性を与えた形状記憶部材を用いることが挙げられる。すなわち、第1の温度である場合の噴射孔の面積よりも、第1の温度よりも低温の第2の温度である場合の噴射面積の方が広くなるように、温度変化に対する特性を備えた形状記憶部材を用いることが可能である。この形状記憶部材は、変態点(変態温度)で形状が変化して、噴射孔の面積が変化する。この形状記憶部材としては、形状記憶合金または形状記憶樹脂を用いることが可能である。なお、好ましい具体例によれば、ノズルは円柱形状に構成されており、このノズルの外周面が取り付け孔に圧入されて、そのノズルの周囲が前記支持部材により支持されている。したがって、噴射孔の面積が拡大・縮小方向にノズルが変形しやすくなり、合流流路における流量制御を、一層確実におこなうことができる。
つぎに、この発明におけるジェットポンプの具体例を図面に基づいて説明する。図2は、ジェットポンプを搭載した車両のパワートレーンの構成例を示す概念図である。図2に示す車両1においては、エンジン2と車輪3との間の動力伝達経路に、流体伝動装置4、ロックアップクラッチ5、前後進切換装置6、ベルト式無段変速機7などが設けられている。また、流体伝動装置4およびロックアップクラッチ5は、エンジン2と前後進切換装置6との間の動力伝達経路に設けられており、流体伝動装置4とロックアップクラッチ5とは相互に並列に配置されている。流体伝動装置4はポンプインペラ8およびタービンランナ9を有しており、前記エンジン2のクランクシャフト10にポンプインペラ8が動力伝達可能に接続され、インプットシャフト11にタービンランナ9が動力伝達可能に接続されている。この流体伝動装置4は、ポンプインペラ8とタービンランナ9との間で、流体の運動エネルギにより動力を伝達することの可能な伝動装置である。なお、流体伝動装置4として、トルク増幅機能を備えたトルクコンバータを用いることも可能である。ロックアップクラッチ5は、クランクシャフト10とインプットシャフト11との間で、摩擦力により動力を伝達する装置である。さらに、ロックアップクラッチ5の係合・解放が、油圧により制御されるように構成されている。具体的には、係合用油圧室(図示せず)および解放用油圧室(図示せず)が設けられている。
さらに、前後進切換装置6は、インプットシャフト11に対するプライマリシャフト12の回転方向を、正逆に切り換える装置である。この前後進切換装置6は、遊星歯車機構(図示せず)と、遊星歯車機構の回転要素同士の接続・遮断を制御するクラッチ(図示せず)と、遊星歯車機構の回転要素の回転・停止を制御するブレーキ(図示せず)とを有している。そして、この具体例では、クラッチやブレーキなどの摩擦係合装置の係合・解放が、油圧により制御されるように構成されている。具体的には、クラッチの係合・解放を制御するクラッチ用油圧室(図示せず)が設けられ、ブレーキの係合・解放を制御するブレーキ用油圧室(図示せず)が設けられている。前記ベルト式無段変速機7は、前後進切換装置6と車輪3との間の動力伝達経路に設けられている。ベルト式無段変速機7は、相互に平行に配置されたプライマリシャフト12およびセカンダリシャフト13を有している。このプライマリシャフト12にはプライマリプーリ14が設けられており、セカンダリシャフト13にはセカンダリプーリ15が設けられている。そして、プライマリプーリ14およびセカンダリプーリ15に、無端状のベルト16が巻き掛けられている。
この具体例では、プライマリプーリ14からベルト16に加えられる挟圧力、およびセカンダリプーリ15からベルト16に加えられる挟圧力を油圧により制御するように構成されている。すなわち、プライマリプーリ14からベルト16に加えられる挟圧力を制御するプライマリプーリ用油圧室(図示せず)が設けられ、セカンダリプーリ15からベルト16に加えられる挟圧力を制御するセカンダリプーリ用油圧室(図示せず)が設けられている。さらに、セカンダリシャフト13には、伝動装置17および終減速機18を介在させて車輪3が動力伝達可能に接続されている。前記伝動装置17は歯車伝動装置または巻き掛け伝動装置のいずれでもよい。上記の流体伝動装置4、ロックアップクラッチ5、前後進切換機構6、ベルト式無段変速機7、伝動装置17、終減速機18はいずれもケーシング19の内部に配置されている。
一方、車両1には油圧制御装置20が搭載されている。この油圧制御装置20は、ベルト式無段変速機7のプライマリプーリ用油圧室、セカンダリプーリ用油圧室、クラッチ用油圧室、ブレーキ用油圧室、流体伝動装置4の作動油室、ロックアップクラッチ5の係合用油圧室および解放用油圧室などに対して、圧油を供給する装置である。この油圧制御装置20の具体例を図3に基づいて説明する。まず、油圧制御装置20はオイルポンプ21を有している。オイルポンプ21はオイルパン22に貯留されたオイルを吸入して吐出する流体輸送装置である。オイルパン22は、ケーシング19の下部または内部に設けられている。また、オイルポンプ21は、動力源の動力により駆動される。この動力源は、エンジン2または電動モータ(図示せず)のいずれか一方でもよいし、両方でもよい。また、オイルポンプ21としては、回転式または往復動式のいずれでもよい。
このオイルポンプ21は吸入口23および吐出口24を有しており、その吸入口23とオイルパン22とが油路25により接続されている。吐出口24には油路26が接続されており、その油路26は、高圧オイル必要部27に接続されている。この高圧オイル必要部27には、プライマリプーリ用油圧室、セカンダリプーリ用油圧室、ブレーキ用油圧室、クラッチ用油圧室、係合用油圧室、解放用油圧室、作動油用油圧室などが含まれる。一方、油路26の油圧を制御する圧力制御弁28が設けられている。圧力制御弁28は入力ポート29およびドレーンポート30を有しており、入力ポート29が油路26に接続され、ドレーンポート30には油路31が接続されている。圧力制御弁28は、油路26の圧油を油路31に排出する流量を制御することにより、油路26の油圧を制御する構成を有している。このため、油路31の油圧は油路26の油圧以下であり、その油路31はジェットポンプ32に接続されている。
このジェットポンプ32は第1のポート33および第2のポート34および第3のポート35を有している。第1のポート33は前記油路31に接続され、第2のポート34は油路25に接続され、第3のポート35は、油路36を介して低圧オイル必要部37に接続されている。この低圧オイル必要部37は、高圧オイル必要部27よりも低圧のオイルを使用する部位であり、低圧オイル必要部37としては、エンジン2から車輪3に至る動力伝達経路に配置され、かつ、圧油による潤滑・冷却が必要な部位が挙げられる。この低圧オイル必要部37としては、例えば、前後進切換機構6を構成するギヤ同士の噛み合い部分、クラッチやブレーキなどの摺動部分、ベルト式無段変速機7のベルト16とプーリとの接触部分、プライマリプーリ14およびセカンダリプーリ15を支持する軸受の摺動部分などがある。
つぎに、ジェットポンプ32の具体的な構成を、図1および図4に基づいて説明する。図1は、車両1の高さ方向における縦断面図、図4は、図1のプレート40の面方向に沿った断面図である。このジェットポンプ32は、油圧制御装置20の一部を構成するものである。図1において、油圧制御装置20はバルブボデーアッパー38およびバルブボデーロア39を有している。また、バルブボデーアッパー38およびバルブボデーロア39は、金属材料、例えばアルミニウム合金、アルミニウムなどにより構成されている。さらに、バルブボデーアッパー38とバルブボデーロア39との間にプレート40が介在され、かつ、バルブボデーアッパー38とバルブボデーロア39とがボルト(図示せず)などにより締め付け固定されている。このプレート40は金属材料、例えば鉄により構成されている。また、車両1の高さ方向において、バルブボデーアッパー38がバルブボデーロア39の上側に配置されている。
さらに、前記バルブボデーロア39には供給油路41が設けられ、プレート40には取り付け孔42が設けられている。この供給油路41は第1のポート33に接続されており、供給油路41は取り付け孔42に接続されている。この取り付け孔42は、図4に示すように平面形状が円形に構成されている。また、前記バルブボデーロア39には吸入油路43が設けられ、プレート40には吸入油路44が設けられている。この吸入油路43は、第2のポート34および吸入油路44に接続されている。この吸入油路43,44は、図4に示すように平面形状が半円形状、もしくはC字形状に構成されている。具体的には、バルブボデーロア39では、供給油路41を取り囲むように吸入油路43が配置され、プレート40では、取り付け孔42を取り囲むように吸入油路44が配置されている。
一方、前記バルブボデーアッパー38には合流油路45が形成されており、この合流油路45は前記第3のポート35を経由して低圧オイル必要部37に接続されている。この合流油路45は、プレート40から離れることにともない内径が縮小された縮径部46と、縮径部46に連続され、かつ、内径がほぼ一定に構成されたスロート部47と、スロート部47に連続され、かつ、プレート40から離れることにともない内径が拡大された拡径部(デフューザ部)48とを有している。つまり、圧油の流れ方向で、縮径部46と拡径部48との間にスロート部47が配置されている。縮径部46は、プレート40の取り付け孔42に接続されている。さらに、プレート40の取り付け孔42には円筒形状のノズル49が配置されている。このノズル49の外周面がプレート40に圧入されて固定されている。ノズル49には噴射孔50が設けられており、噴射孔50の中心線に沿った方向のノズル49の長さは、プレート40の厚さと同一に構成されている。また、噴射孔50の内径は供給油路41の内径よりも小さく構成されており、噴射孔50の平面形状は円形に構成されている。このように設計されたノズル49の熱膨張率は、プレート40の熱膨張率よりも高い材料、例えば、アルミニウム、樹脂などにより構成されている。ここで、熱膨張率は、具体的には体積膨張率の意味で用いている。
つぎに、油圧制御装置20およびジェットポンプ32の作用を説明する。オイルポンプ21が駆動されると、オイルパン22のオイルが吸入され、かつ、油路26に吐出される。油路26に吐出された圧油は、高圧オイル必要部27に供給される。油路26の油圧は圧力制御弁28により制御される。圧力制御弁28のドレーンポート30から吐出された圧油は、ジェットポンプ32の供給油路41に供給される。ここで、噴射孔50の内径は、供給油路41の内径よりも小さいため、圧油が噴射孔50を通過する過程で流速が上昇し、圧油が高圧で合流油路45に噴射される。すると、合流油路45に噴射された圧油に乱流が発生し、渦巻き作用により、オイルパン22のオイルが油路25および吸入油路43を経由して合流油路45に吸引される。このようにして、合流油路45で合流された圧油が、前記油路36を経由して低圧オイル必要部37に供給される。その結果、低圧オイル必要部37が、オイルにより潤滑および冷却される。
つぎに、ジェットポンプが設けられた環境、具体的には外気温の変化が生じた場合に、低圧オイル必要部37に対するオイルの供給作用を説明する。この具体例では、ノズル49の熱膨張率は、プレート40の熱膨張率よりも高い。また、ノズル49の外周面が、プレート40の取り付け孔42に圧入されている。このため、外気温が上昇するとプレート40が膨張する以前にノズル49が膨張する。すると、ノズル49はプレート40に圧入されているため、外径が拡大する方向には膨張できず、噴射孔50が小さくなるように半径方向に膨張する特性を示す。これに対して、ノズル49が膨張している温度から、外気温が低下すると逆の現象によりノズル49が収縮する。なお、プレート40は膨張も収縮もしない。すなわち、噴射孔50が大きくなるように半径方向に収縮する。このように、外気温が変化した場合、予め定められた温度よりも外気温が低い場合の方が、外気温が高い場合に比べて、図4に示す平面内で噴射孔50の面積が拡大される。つまり、外気温が低い場合の方が、外気温が高い場合に比べて、オイルの流通面積が拡大される。したがって、外気温が低下してオイルの粘度が高まった場合において、噴射孔50を通過する圧油の流量が低下することを抑制できる。このため、吸入油路43を通過して合流油路45に吸引されるオイル量が減少することを抑制できる。このように、低圧オイル必要部37に供給される圧油の流量が低下することを抑制できる。以上のように、この具体例では、ジェットポンプ32のオイル吐出性能が、外気温が高温である場合に比べて低温時に低下することを抑制できる。
また、この具体例では、ノズル49およびプレート40の機械的特性、すなわち温度変化に対する形状特性を利用して、圧油の供給不足を回避することができる。このため、温度を検知して信号を出力するセンサ、信号を処理する電子制御装置、電子制御装置から出力させる制御信号により駆動され、かつ、噴射孔50の面積を制御するアクチュエータなどの制御機構を格別に設けずに済む。したがって、ジェットポンプ32の部品点数の増加を抑制でき、かつ、ジェットポンプ32の製造コストの上昇を抑制できる。また、センサ、電子制御装置、アクチュエータを設けずに済むため省スペース化が可能である。さらに、アクチュエータ(モータ、ソレノイドなど)を設けずに済むため、動作不良および故障が生じることもなく、ジェットポンプ32の機能に対する信頼性が向上する。なお、外気温ではなく油温が変化した場合も同様の作用効果を得られる。またこの具体例において、第1の温度(高温)と第2の温度(低温)とは、温度同士の相対的関係(高低関係)を意味するものであり、具体的な温度や温度差を意味するものではない。
この具体例において、ノズル49として、温度変化により形状が変化する形状記憶部材を用いることも可能である。この場合、変態温度以下における噴射孔の面積の方が、変態温度以上における噴射孔の面積よりも広くなるように、ノズル49に形状記憶特性を与えておけばよい。形状記憶部材としては、形状記憶合金、形状記憶樹脂を用いることができる。形状記憶合金としては、Ni−Ti合金、またはCu−Zn−Al合金を用いることが可能である。形状記憶樹脂としては、ポリイソプレン系樹脂、またはスチレンブタジエン共重合体を用いることができる。このように、ノズル49を形状記憶部材で構成する場合、プレート40の材質および機械的特性は問われない。なお、上記具体例では、プレート40にノズル49が圧入されているが、バルブボデーアッパー38またはバルブボデーロア39のいずれか一方に、ノズル49を圧入する凹部を設け、その凹部にノズルを圧入すれば、プレート40を用いずに済む。この場合、ノズル49の熱膨張率は、バルブボデーアッパー38またはバルブボデーロア39の熱膨張率よりも高く構成される。
また、車両1の高さ方向に配置されたブロック(バルブボデーアッパーおよびバルブボデーロア)の間にノズルが配置されているが、水平方向に配置された2つのブロックの間に、ノズルを配置することも可能である。さらに、上記の具体例では、エンジン2から車輪3に至る経路にベルト式無段変速機7が設けられているが、このほかの無段変速機、例えば、トロイダル型無段変速機が設けられた車両にも適用可能である。この場合、ディスクとパワーローラとの接触部分が低圧オイル必要部に相当する。また、変速機として、有段変速機を有する車両にもこの発明を適用可能である。有段変速機としては、遊星歯車式変速機、選択歯車式変速機、常時噛み合い式変速機などのいずれでもよい。このように、有段変速機を用いる場合、その変速機を構成する歯車同士の噛み合い部分が、低圧オイル必要部に相当する。
ここで、具体例の構成と、この発明の構成との対応関係を説明すると、オイルが、この発明における第1の流体および第2の流体に相当し、合流油路45が、この発明における合流通路に相当し、吸入油路43が、この発明における副通路に相当し、プレート40が、この発明における支持部材に相当する。
32…ジェットポンプ、 40…プレート、 41…供給油路、 42…取り付け孔、 43…吸入油路、 45…合流通路、 49…ノズル、 50…噴射孔。
Claims (3)
- 第1の流体を合流通路に向けて噴射する噴射孔と、前記合流通路に接続され、かつ、合流通路に噴射される第1の流体により吸引される第2の流体が通過する副通路とを有するジェットポンプにおいて、
前記噴射孔を有するノズルが設けられており、このノズルは、前記第1の流体の噴射方向に対して垂直な平面内における前記噴射孔の面積が、第1の温度である場合の面積よりも、第1の温度よりも低温の第2の温度である場合の面積の方が広くなるように、温度変化に対する形状特性を有していることを特徴とするジェットポンプ。 - 第1の流体を合流通路に向けて噴射する噴射孔と、前記合流通路に接続され、かつ、合流通路に噴射される第1の流体により吸引される第2の流体が通過する副通路とを有するジェットポンプにおいて、
前記噴射孔を有するノズルと、このノズルを取り付け孔に圧入した支持部材とが設けられており、前記支持部材の熱膨張率よりも、前記ノズルの熱膨張率の方が高く構成されていることを特徴とするジェットポンプ。 - 前記ノズルは円柱形状に構成されており、そのノズルの中心線に沿った方向に前記噴射孔が貫通して設けられており、前記支持部材には円柱形状の取り付け孔が設けられており、前記ノズルの外周面が前記取り付け孔に圧入されて、そのノズルの周囲が前記支持部材により支持されていることを特徴とする請求項2に記載のジェットポンプ。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8556038B2 (en) | 2009-03-11 | 2013-10-15 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Lubricating device |
CN110594390A (zh) * | 2019-09-25 | 2019-12-20 | 西安法士特汽车传动有限公司 | 一种变速器抽油装置及使用方法 |
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2007
- 2007-11-09 JP JP2007292477A patent/JP2009115066A/ja active Pending
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US8556038B2 (en) | 2009-03-11 | 2013-10-15 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Lubricating device |
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CN110594390B (zh) * | 2019-09-25 | 2023-09-08 | 西安法士特汽车传动有限公司 | 一种变速器抽油装置及使用方法 |
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