図1は、紙もしくは紙をベースとした基材10上に本発明の画像形成手段の1方法であるインクジェット原理(液滴噴射原理)によってパターンを形成する例を示している。図1(A)は、このような基材10上に端子2、3が形成されている状態を示し、図の点線部1′は後述のような配線パターン1が生成される領域である。図1(B)は、電気的機能発現材料として例えば微細な導電性微粒子を含有する液体を、インクジェット原理(液滴噴射原理)によって、直接噴射付与、描画して、配線パターン1を形成した例である。
ここで、電気的機能発現材料を含有した液体を付与する手段として本発明では、例えばインクジェットの技術が適用される。以下にその具体的方法を説明する。
図2は、本発明のパターン配線基材、あるいは電子デバイスを形成する製造装置の一実施例を説明するための図で、図中、11は液体噴射ヘッドユニット(液体噴射ヘッド)、12はキャリッジ、13は基材保持台、14は配線基材や電子デバイス形成基材等の基材、あるいは電子デバイスを形成する基材、15は電気的機能発現材料を含有する液体の供給チューブ、16は信号供給ケーブル、17は液体噴射ヘッドコントロールボックス(液体タンク含む)、18はキャリッジ12のX方向スキャンモータ、19はキャリッジ12のY方向スキャンモータ、20はコンピュータ、21はコントロールボックス、22(22X1、22Y1、22X2、22Y2)は基材位置決め/保持手段である。この場合は、基材保持台13に置かれた基材14の前面を液体噴射ヘッド11がキャリッジ走査により移動し、電気的機能発現材料を含有する液体を噴射付与する例である。
図3は本発明のパターン配線基材の製造、あるいは電子デバイス形成に適用される液滴付与装置の構成を示す概略図で、図4は図3の液滴付与装置の液体噴射ヘッドユニットの腰部概略構成図ある。
図3の構成は図2の構成と異なり、基材14側を移動させて配線パターン、あるいは電子デバイスを基材に形成するものである。図3及び図4において、31は液体噴射ヘッドアライメント制御機構、32は検出光学系、33は液体噴射ヘッド、34は液体噴射ヘッドアライメント微動機構、36は画像識別機構、37はXY方向走査機構、38は位置検出機構、39は位置補正制御機構、40は液体噴射ヘッド駆動・制御機構、41は光軸、42は素子電極、43は液滴、44は液滴着弾位置である。
液体噴射ヘッドユニット11の液滴付与装置(液体噴射ヘッド33)としては、任意の液滴を定量吐出できるものであればいかなる機構でも良く、特に0.1pl〜数100pl程度の液滴を形成できるインクジェット原理の機構が望ましい。
インクジェット方式としては、たとえば米国特許第3683212号明細書に開示されている方式(Zoltan方式)、米国特許第3747120号明細書に開示されている方式(Stemme方式)、米国特許第3946398号明細書に開示されている方式(Kyser方式)のようにピエゾ振動素子に、電気的信号を印加し、この電気的信号をピエゾ振動素子の機械的振動に変え、該機械的振動に従って微細なノズルから液滴を吐出飛翔させるものがあり、通常、総称してドロップオンデマンド方式と呼ばれている。
他の方式として、米国特許第3596275号明細書、米国特許第3298030号明細書等に開示されている方式(Sweet方式)がある。これは連続振動発生法によって帯電量の制御された記録液体の小滴を発生させ、この発生された帯電量の制御された小滴を、一様の電界が掛けられている偏向電極間を飛翔させることで、記録部材上に記録を行うものであり、通常、連続流方式、あるいは荷電制御方式と呼ばれている。
さらに他の方式として、特公昭56−9429号公報に開示されている方式がある。これは液体中で気泡を発生せしめ、その気泡の作用力により微細なノズルから液滴を吐出飛翔させるものであり、サーマルインクジェット方式、あるいはバブルジェット(登録商標)方式と呼ばれている。
このように液滴を噴射する方式は、ドロップオンデマンド方式、連続流方式、サーマルインクジェット方式等あるが、必要に応じて適宜その方式を選べばよい。
本発明ではこのようなパターン配線基材、あるいは電子デバイスを形成する製造装置(図2)において、基材14はこの装置の基材位置決め/保持手段22によってその保持位置を調整して決められる。図2では簡略化しているが、基材位置決め/保持手段22は基材14の各辺に当接されるとともに、X方向およびそれに直交するY方向にサブミクロンオーダーで微調整できるようになっているとともに、噴射ヘッドコントロールボックス17、コンピュータ20、コントロールボックス21等と接続され、その位置決め情報および微調整変位情報等と、液滴付与の位置情報、タイミング等は、たえずフィードバックできるようになっている。
さらに本発明のパターン配線基材、あるいは電子デバイスを形成する製造装置では、X、Y方向の位置調整機構の他に図示しない(基材14の下に位置するために見えない)、回転位置調整機構を有している。これに関連して先に本発明のパターン配線基材、あるいは電子デバイス形成基材の形状および形成される電子デバイス群の配列等に関して説明する。
本発明のパターン配線基材、あるいは電子デバイス形成基材は、紙もしくは紙をベースとした基材が用いられる。また後述するが本発明では電気的機能発現材料を含有した液体をこの基材に付与してドットパターンを形成し、各種の電気的機能を発現するが、このようにして形成されるパターンは、基材の変形に追従できる。つまり、本発明のパターン配線シート、あるいは電子デバイス形成シートは紙もしくは紙をベースとした基材が用いられることにより軽量化が図られるのみならず可撓性も有するので、可搬性がよく、新規な需要が見込まれる。
ところでここで、本発明のパターン配線シート、あるいは電子デバイス、電子デバイスチップ、電子デバイスシート、電子デバイス形成シートについて、その定義をしておく。
本発明でいうパターン配線シートとは、紙もしくは紙をベースとした基材(シート)上に、電気回路パターンを形成したものであり、後述する手法で形成されるトランジスタ、抵抗、コンデンサ等の各種電子素子や表示デバイス素子等とそれらをつなぐ導線パターンよりなるもの、あるいはその導線パターンのみの場合もあり得る。
また、電子デバイスとは、上記トランジスタ、抵抗、コンデンサ等の各種電子素子や表示デバイス素子等をさす。さらにICあるいはLSIのようにこれらを集積化して1つのチップ状にしたものも電子デバイスあるいは電子デバイスチップと呼んでいる。
電子デバイスシート、電子デバイス形成シートとは、上記電子デバイス、電子デバイスチップを複数個形成してなり、後でチップ状に分離される、いわゆるチップを量産して多数個取りするためのシートである。
次に、本発明のパターン配線シート、あるいは電子デバイス形成シートを製作するための基材について説明する。本発明では基材として、紙もしくは紙をベースとした基材を使用する。このような基材を使用する利点は、軽量化、低コスト化である。また、インクジェット法によって簡単かつ大量に印刷形成できるので、安価なおもちゃ感覚で使用できる電子デバイスが実現する。また軽量で柔軟性があり曲げることのできる電子デバイスや電子回路シートが実現できる。
オーソドックスな紙の定義では"紙とは植物繊維を水中に懸濁させた後、水を漉して、薄く平らに絡み合わせたもの"であるが、要は草、木、竹等に代表される植物を分解して得られる繊維の集合体である。そして、洋紙・和紙を問わず紙の原料はセルロース繊維という特徴的な性質を有する素材であり、これを製紙技術という独特の手法で処理し薄層化することで紙が得られる。
ここで用いるセルロース繊維は、洋紙の場合、長さ1〜3mm、幅20〜40μm、厚さ3〜6μmの木材繊維で、一般の紙ではこれが10〜100本程度層状に重なって出来上がっている。このような構成をとることによって紙は極めて多孔性で、セルロース繊維の持つ高い親和性を持った平滑な材料という特質が得られる。和紙は同じセルロース繊維を用いた紙であるが、木材繊維と違って靭皮繊維と称する木材繊維より比較的細長い繊維(幅5〜20μm、長さ3〜7mm)で、分子構造的にもやや違った特徴を持っており、手抄きまたは機械抄き和紙とに区別される。図5に紙の表面のイメージ図を示す。図5において線はセルロース繊維を示しており、紙はこのようにセルロース繊維が重なり合ってなり、また各繊維が重なり合ってできる間隙が存在する。
紙の定義は前述の通りであるが、単にセルロース繊維が重なり合ってなる紙は、いわば原紙であり、実際に使用されるものは、不透明度、白色度、平滑度、透気度などを高めるために、これらの繊維の間に、タルク、クレー、炭酸カルシウム、二酸化チタンなど粒子径0.2〜10μm程度のてん料粒子を繊維間の間隙に充てんしたものである。
また紙の用途によっては、さらに紙表面に、カオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)、炭酸カルシウム(CaCO3)、サチンホワイト(3CaO・Al2O3・3CaSO4・31〜32H2O)などの粒子径が0.5〜1μm程度の粒子をラテックス、デンプンなどのバインダーとともに分散させた塗工液を塗布し、コート材を設けた塗工紙がある。
このほか紙の品種として、新聞巻取紙、非塗工印刷用紙(上級、中級、下級、薄葉の各印刷紙)、微塗工印刷用紙(微塗工上質紙、微塗工印刷紙)、塗工印刷用紙(アート紙、コート紙等)、情報用紙(複写原紙、感光用紙、フォーム紙、PPC用紙、感熱紙等)、包装用紙(クラフト紙、模造紙等)、衛生用紙(ティッシュペーパー、ちり紙、トイレットペーパー、タオル用紙等)、雑種紙(建材用原紙、積層板原紙、コンデンサーペーパー、ライスペーパー、グラシンペーパー等)、段ボール原紙(ライナー、中しん原紙等)等々色々ある。
ここで本発明に好適に適用される紙もしくは紙をベースとした基材に要求されることは、一定の機械的強度である。本発明の電子デバイスシートやパターン配線シートはその製作時は、2に示したような装置によって製作される。その際、基材はたとえ大きなものであっても基材保持台13に保持されているので、変形などによって支障が生じることはない。
しかしながらこのシートを個々の電子デバイスチップあるいはパターン配線ユニットとして実際に色々な場面で使用する場合、変形しては困る場合が多々ある。少なくともそのチップ自体に外力が加わらない状態において、変形するようなものは安定して使用することができない。
より具体的には、自重を支えきれない(自重で変形する)ようなチップは、実用上問題である。例えば、ティッシュペーパーやハンカチーフのような布のように自重によってそれ自体の形状を維持できないような剛性のない材料は本発明に使用する基材としてはふさわしくない。
一方で、自重によって多少の撓みは生じるものの、その撓みが、できあがった電子デバイスチップやパターン配線ユニットの電気的性能を維持できる範囲内の撓みであれば、それは許容できる範囲内であり、本発明に使用することができる。
ここで電気的性能を維持できる範囲内の撓みについて補足する。例えば、ストレインゲ
ージ(抵抗歪みゲージ)として知られているセンサーデバイスが存在するが、これは、その歪み(本発明でいう撓みと考えてよい)によって電気抵抗が変化するという原理を利用した歪み検出センサーである。この場合は、歪み(本発明でいう撓みと考えてよい)によって電気抵抗が変化するという原理をうまく利用しているものであるが、本発明においてはこのように歪み(本発明でいう撓みと考えてよい)によって電気抵抗が変化するというところまでの撓みは許容することができない。すなわちそこまで撓むほど剛性のない基材は、それを使用してできあがった電子デバイスチップやパターン配線ユニットの電気的性能が変化してしまうので、本発明でいうところのデバイス機能を維持できる、あるいはパターン配線機能を維持できるとはいえないものである。
このような本発明の基材に要求される剛性の可否を判断するひとつの目安として、例えば紙の密度がある。
表1に密度の異なる各種の紙を準備し、後述の方法によって10mm×10mm〜50mm×50mmの大きさの電子デバイスチップを、各紙のサンプルでその範囲の大きさで10個ずつランダムに製作し、実使用可否を調べた結果を示す。
サンプルNo.8、9のものは、機械的強度が弱く、撓みやすく、電子デバイスとしての実用的な強度がなかった。一方、それ以外のサンプルは、充分強度があり、電子デバイスとしての実用的であった。No.7は変形(撓み)はするものの電子デバイスとしての性能に問題は生じなかった。
つまり、本発明に使用できる基材は、ふつうに取り扱うことのできる必要最小限の実用的な強度を得るには、使用する紙の密度を0.40g/cm3以上にしなければならないことがわかった。なお、ここでいっている密度とは、製紙業界で一般に適用している密度のことであり、秤量(1m2あたりの重さ(グラム数))を厚さで除して算出したものである(いわゆる物理学でいうところの密度とは厳密には同じではない)。
上記検討結果は、10mm×10mm〜50mm×50mmの大きさの電子デバイスチップの場合、使用する紙の密度を0.40g/cm3以上にしなければならないことを示しているが、より大きな例えば1000mm×1000mmといった紙を使用した場合には、この結果が適用できるかどうかは不明である。しかしながらその場合は、紙の密度並びにサイズを適宜選び、最終的には、電子デバイスあるいはパターン配線ユニット、シートの電気的性能も評価しながら実使用の可否(撓んでも性能が維持できているかどうか)を決めればよい。
ところで、上記説明のように本発明の基材に要求される剛性は、基材である紙の強度によって維持できるが、後述するような電子デバイスチップやパターン配線ユニットの電気的機能発現材料を直接付与した面もしくはその裏面に設けた保護部材によってもその強度を高くすることができる。すなわち、基材である紙と保護部材の相互作用によって全体の剛性を高めるのもよい方法である。この場合、後述する保護部材は、単なる電子デバイスチップの保護のみならず、機械的強度の増強にも役立ち、大変都合がよい。
また後述するように、この機械的強度の増強も担った保護部材の形成は、本発明で説明している液体噴射の原理によって樹脂含有溶液を基材表面(デバイス形成面)あるいは基材裏面全面に噴射付与する、もしくは選択的に必要な部分のみに噴射付与すればよい。このような樹脂材料は、付与後、乾燥、固化することによって、基材の剛性向上に大いに威力を発揮する。
次に本発明の基材である紙についてもう少し補足する。前述のように紙の表面は、セルロース繊維が重なり合って形成されており、セルロース繊維の太さ、それらが重なりあってできる間隙、さらには上記のような塗工紙の場合には、塗工物質(コート材)の粒子の大きさ等に依存して、微視的に見ると凹凸形状となっている。このような微視的凹凸形状は、本発明のように電気的機能発現材料を含有した液体を付与してドットパターンを形成し、良好な性能のパターン配線シート、あるいは電子デバイス形成シートを製作する場合に妨げになる因子の1つである。
しかしながらこのコート材をうまく利用することにより、セルロース繊維の太さ、それらが重なりあってできる間隙に起因する紙の繊維の凹凸を低減、あるいは消すことも可能であり、これについては後述する。
本発明は後述するように、このような紙もしくは紙をベースとした基材上に電気的機能発現材料を直接付与することによって、パターン配線シートや電子デバイスシートを形成するものである。完成したパターン配線シートや電子デバイスシートはその使用環境によっては、基材裏面(パターンが形成されていない面)に水分が付着し、この水分が表のパターン面にまで浸透してきて、パターン配線や電子デバイスを破損せしめることがある。
そこで本発明においては、仮に裏面にこのような水分が付着しても、表のパターン面にまで水分が浸透してこないようにするために、基材に工夫を凝らしている。例えば裏面側に、水分を浸透しないような耐水性部材として樹脂フィルムをラミネートしたような基材を使用するのがよい。
このような樹脂ラミネートは、あらかじめそのようなラミネート済みの基材を使用して後述するような方法で各種のパターン形成を行い、パターン配線シートや電子デバイスシート形成してもよいし、このようなパターン形成を終えた後に後から裏面側にラミネートを行ってもよい。
ラミネート樹脂の材料としては、例えば塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂など適宜使用できるが、ポリオレフィン系のポリプロピレン樹脂は、環境に優しい高分子材料樹脂として知られており、好ましい材料のひとつである。
なお、上記説明は裏面にこのように樹脂をラミネートする例であるが、基材である紙の製造工程において、紙の内部にこのような樹脂フィルムを1層挿入したような複合紙を製造し、それを基材として用いて本発明のパターン配線シートや電子デバイスシートを形成するのも良い方法である。
さらに他の例としては、本発明で説明している液体噴射の原理によって樹脂含有溶液を基材裏面全面に噴射付与して、裏面側に樹脂層を設けるようにしてもよい。なお、必ずしも液体噴射の原理である必要はなく、ローラコーティングのような手法によって、樹脂層を形成してもよいのはいうまでもない。
このような基材構成とすることにより、本発明によって形成されるパターン配線シートや電子デバイスシート簡単な原理、構造による新規な紙もしくは紙をベースとしながらも、水に強いパターン配線シート、電子デバイスシートとすることができる。
液滴43の材料には、電気的機能発現材料として例えば微細な導電性微粒子を含有した液体が使用される。Au、Pt、Ag、Cu、Ni、Cr、Rh、Pd、Zn、Co、Mo、Ru、W、Os、Ir、Fe、Mn、Ge、Sn、Ga、In等の金属微粒子を含有した液体が好適に使用される。あるいはこれらの金属の酸化物微粒子も好適に使用される。
特に、Au、Ag、Cuのような金属微粒子を用いると、電気抵抗が低く、かつ腐食に強い微細回路パターンを形成することができる。
本発明では、後述するように各種素子を形成するものであり、それに応じて導電性材料を含む液体も、同一形状のパターンを形成した際に、抵抗値が高い/低いという少なくとも2つの値が得られるように、2種類の導電性材料を含む液体を用意している。
このように2種類あるいはそれ以上の種類の抵抗値を得るためには、使用する導電性材料を変えればよいが、導電性材料粉末と絶縁性材料粉末とを混合したり、低抵抗導電性材料粉末と高抵抗導電性材料粉末とを混合したり、またその混合比率を変えることによっても得られる。
例えば、それぞれの組み合わせとして、Ni−Cr、Cr−SiO、Cr−MgF、Au−SiO2、Au−MgF、Pt−Ta2O5、Au−Ta2O5等を挙げることができる。またその溶媒としては、PGMEA、シクロヘキサン、カルビトールアセテート等が挙げられる。湿潤剤またはバインダーとして、グリセリン、ジエチレングリコール、エチレングリコール等を必要に応じて加え、噴射ヘッドによる液滴形成、噴射が最適になるように調整される。
本発明において、このような微細な導電性微粒子を含有した液体は、水性系液体と油性系液体がある。
このような微細な導電性微粒子を、水を主体とする分散媒に分散せしめてなる水性系液体は、例えば、次のような方法で調整することができる。
すなわち、塩化金酸や硝酸銀のような金属イオンソース水液体に水溶性の重合体を溶解させ、撹拌しながらジメチルアミノエタノールのようなアルカノールアミンを添加する。数10秒〜数分で金属イオンが還元され、平均粒径0.5μm(500nm)以下の金属微粒子が析出する。塩素イオンや硝酸イオンを限外ろ過などの方法で除去した後、濃縮・乾燥することにより濃厚な導電性微粒子含有液体が得られる。この導電性微粒子含有液体は、水やアルコール系溶媒、テトラエトキシシランやトリエトキシシランのようなゾルゲルプロセス用バインダーに安定に溶解・混合することが可能である。
微細な導電性微粒子を油を主体とする分散媒に分散せしめてなる油性系液体は、例えば、次のような方法で調整することができる。
すなわち、油溶解性のポリマーをアセトンのような水混和性有機溶媒に溶解させ、この液体を金属イオンソース水液体と混合する。混合物は不均一系であるが、これを撹拌しながらアルカノールアミンを添加すると金属微粒子は重合体中に分散した形で油相側に析出してくる。これを濃縮・乾燥させると水性系と同様の濃厚な導電性微粒子含有液体が得られる。この導電性微粒子含有液体は、芳香族系、ケトン系、エステル系などの溶媒やポリエステル、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂等に安定に溶解・混合することが可能である。
導電性微粒子含有液体の分散媒中における導電性微粒子の濃度は、最大80重量%とすることが可能であるが、用途に応じて適宜稀釈して使用する。
通常、導電性微粒子含有液体における導電性微粒子の含有量は2〜50重量%、界面活性剤および樹脂の含有量は0.3〜30重量%、粘度は3〜30センチポイズ、表面張力は20〜60dyn/cmの範囲内とすることが、噴射ヘッドによる液滴形成、噴射が最適に行われるために適切な値である。
また有機系の材料として、ドーピング等で導電率を向上させた導電性ポリマー、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体など)なども好適に利用でき、各種電極などの配線パターンを形成するのに好適に利用できる。
いずれの材料においても、本発明は液体中の揮発成分を揮発させ、固形分を基材上に残留させた液滴によるドットの組み合わせによるパターンを形成し、先に形成されている電極パターンなどと電気的導通を図り、パターン配線あるいは電子デバイス形成を行うものである。この固形物がそれぞれのパターンあるいはデバイスの機能を発生させるものであり、溶媒(揮発成分)はインクジェット原理で液滴を噴射付与するための手段(vehicle)である。
液滴43の材料として他には、たとえば、Si、Ge等のIV−B族半導体結晶、CuC
l等のI−VII族化合物半導体、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe等のII−VI族化合物半導体、GaAs、InP、InAs等のIII−V族化合物半導体、またはそれらの複合材料等のナノ粒子を含有した液体があげられる。
本発明において対象となる微粒子、ナノ粒子としては、通常、粒径が0.0001〜0.2μm(0.1〜200nm)、好ましくは0.0001〜0.05μm(0.1〜50nm)の微粒子があげられるが、より厳密には、液体製造上の微粒子分散安定性や、噴射時の目詰まり発生、さらにはパターン形成される基材の表面粗さなども考慮して決められる。
なお、本発明の目的を損なわない範囲で、これらナノ粒子の表面を化学的あるいは物理的に修飾しても良く、また界面活性剤や分散安定剤や酸化防止剤などの添加剤を加えても良い。このようなナノ粒子はコロイド化学的な手法、例えば逆ミセル法(Lianos, P. et al., Chem. Phys. Lett., 125, 299 (1986))やホットソープ法(Peng. X. et al., J. Am. Chem. Soc., 119, 7019 (1997))によって合成することができる。
本発明に好適に使用できるナノ粒子含有液体は、上記ナノ粒子を連続相が水相であり分散相が油相であるエマルション(O/Wエマルション)に分散させた分散液である。
上記水相は水を主体とするが、水に水溶性有機溶剤を添加して用いてもよい。水溶性有機溶剤としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(#200、#400)、グリセリン、前記グリコール類のアルキルエーテル類、N−メチルピロリドン、1、3−ジメチルイミダゾリノン、チオジグリコール、2−ピロリドン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。水性分散媒体中の水溶性有機溶剤の使用量は、通常30重量%以下が好ましく、さらには20重量%とするのがより好ましい。
分散液中のナノ粒子の含有量は、所望の膜(層)構造または粒子配列構造及び膜(層)厚により異なるが分散液の全重量に対し、通常0.01〜15重量%の範囲で用いられるが、0.05〜10重量%の範囲とするのがより好ましい。ナノ粒子の含有量が少な過ぎるとデバイス機能を充分に発現することが出来なくなる可能性があり、逆に多過ぎるとインクジェット原理で液滴を噴射する際の吐出安定性が損なわれる。
また本発明に好適に使用され、インクジェット原理で噴射されるナノ粒子含有液体は、分散液中に、界面活性剤、及びナノ粒子の分散用溶媒を共存させるのが好ましい。界面活性剤としては、例えばアニオン系界面活性剤(ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩など)、ノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなど)があげられ、これらを単独または二種以上混合して用いることができる。
界面活性剤の量は液体の全重量に対し、通常、0.1〜30重量%の範囲で用いられるが、5〜20重量%の範囲とするのがより好ましい。界面活性剤がこの範囲よりも少な過ぎると水性分散体中で油水分離が生じ、液滴噴射付与による均一なパターンのコーティングができない場合がある。逆にこの範囲より多過ぎると水性分散媒体の粘度が高くなりすぎる傾向がある。
ナノ粒子の分散用溶媒としては、通常トルエン、ヘキサン、ピリジン、クロロホルムなどの液体であり、揮発性であることが望ましい。分散用溶媒の量は通常、0.1〜20重量%程度の範囲で用いられるが、1〜10重量%の範囲がより好ましい。分散用溶媒がこの範囲よりも少な過ぎると水性媒体中に含有させることのできる超微粒子の量が少なくなる。逆にこの範囲より多過ぎると水性分散媒体中で油水分離が生じる場合がある。
さらに、分散液中に有機化合物を溶解させておくこともできる。このような有機化合物としては、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、チオフェノール、フォトクロミック化合物(スピロピラン、フルギド等)、電荷移動型錯体、電子受容性化合物等があげられ、常温で固体であるものが好ましい。この場合、分散液中の前記有機化合物の量は、ナノ粒子の重量に対し、1/10000以上、好ましくは1/1000〜10倍程度である。
なお本発明の目的を損なわない範囲で、懸濁液に界面活性剤や分散安定剤や酸化防止剤などの添加剤、またはポリマー、塗布・乾燥過程でゲル化する材料などのバインダーを加えても良い。
このようなナノ粒子含有液体をインクジェット原理によって基材上に液滴付与し、乾燥させて電子回路のパターン配線形成、あるいは電子デバイス形成を行う。本発明においては、たとえば、先ず大気圧中において、−20〜120℃、好ましくは0〜80℃程度で1時間以上、好ましくは3時間以上風乾し、その後必要に応じて減圧乾燥を行っても良い。この際の減圧度は1×105Pa以下であればよいが、好ましくは1×104Pa以下程度であり、温度は通常−20〜110℃、好ましくは0〜70℃である。また、減圧時間は1〜24時間程度である。
上記の方法により得られるナノ粒子薄膜の厚さは特に限定されるものではないが、通常、ナノ粒子の直径〜1mm、好ましくはナノ粒子の直径〜100μm程度である。また、ナノ粒子薄膜内において、ナノ粒子はある程度以上の密度で存在するのが好ましい。その意味からナノ粒子の集合体における個々のナノ粒子間の平均粒子間距離は、通常粒子直径の10倍以内の範囲であり、さらには粒子直径の2倍以内の範囲であることが好ましい。この平均粒子間距離が大き過ぎるとナノ粒子は集団的機能を示さなくなる。
液滴43の材料として他には、有機半導体材料含有溶液が挙げられる。例えば有機半導体材料として、π共役系材料が用いられ、例えばポリピロール、ポリ(N−置換ピロール)、ポリ(3−置換ピロール)、ポリ(3,4−二置換ピロール)などのポリピロール類、ポリチオフェン、ポリ(3−置換チオフェン)、ポリ(3,4−二置換チオフェン)、ポリベンゾチオフェンなどのポリチオフェン類、ポリイソチアナフテンなどのポリイソチアナフテン類、ポリチェニレンビニレンなどのポリチェニレンビニレン類、ポリ(p−フェニレンビニレン)などのポリ(p−フェニレンビニレン)類、ポリアニリン、ポリ(N−置換アニリン)、ポリ(3−置換アニリン)、ポリ(2,3−置換アニリン)などのポリアニリン類、ポリアセチレンなどのポリアセチレン類、ポリジアセチレンなどのポリジアセチレン類、ポリアズレンなどのポリアズレン類、ポリピレンなどのポリピレン類、ポリカルバゾール、ポリ(N−置換カルバゾール)などのポリカルバゾール類、ポリセレノフェンなどのポリセレノフェン類、ポリフラン、ポリベンゾフランなどのポリフラン類、ポリ(p−フェニレン)などのポリ(p−フェニレン)類、ポリインドールなどのポリインドール類、ポリピリダジンなどのポリピリダジン類、ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、ジベンゾペンタセン、テトラベンゾペンタセン、ピレン、ジベンゾピレン、クリセン、ペリレン、コロネン、テリレン、オバレン、クオテリレン、サーカムアントラセンなどのポリアセン類およびポリアセン類の炭素の一部をN、S、Oなどの原子、カルボニル基などの官能基に置換した誘導体(トリフェノジオキサジン、トリフェノジチアジン、ヘキサセン−6,15−キノンなど)、ポリビニルカルバゾール、ポリフェニレンスルフィド、ポリビニレンスルフィドなどのポリマーを用いることができる。
また、これらのポリマーと同じ繰返し単位を有する例えばチオフェン6量体であるα−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、スチリルベンゼン誘導体などのオリゴマーも好適に用いることができる。
さらに銅フタロシアニンやフッ素置換銅フタロシアニンなどの金属フタロシアニン類、ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、N,N'−ビス(4−トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミドとともに、N,N'−ビス(1H,1H−ペルフルオロオクチル)、N,N'−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)及びN,N'−ジオクチルナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体、ナフタレン2,3,6,7テトラカルボン酸ジイミドなどのナフタレンテトラカルボン酸ジイミド類、及びアントラセン2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミドなどのアントラセンテトラカルボン酸ジイミド類などの縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、C60、C70、C76、C78、C84等フラーレン類、SWNTなどのカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類などの色素などがあげられる。
これらのπ共役系材料のうちでも、チオフェン、ビニレン、チェニレンビニレン、フェニレンビニレン、p−フェニレン、これらの置換体またはこれらの2種以上を繰返し単位とし、かつ該繰返し単位の数nが4〜10であるオリゴマーもしくは該繰返し単位の数nが20以上であるポリマー、ペンタセンなどの縮合多環芳香族化合物、フラーレン類、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、金属フタロシアニンよりなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
また、その他の有機半導体材料としては、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体、などの有機分子錯体も用いることができる。さらにポリシラン、ポリゲルマンなどのσ共役系ポリマーも用いることができる。
本発明に好適に利用できる1例として、下記一般式で示される繰り返し単位を有する重合体を主成分とする有機半導体材料について、その合成法とともにより詳細に説明する。
一般式(1)
例えば下記一般式(2)で表わされるカルボニル化合物
一般式(2)
[一般式(2)中、A1、A2はそれぞれ置換または無置換の単環または多環式のアリレン基またはヘテロアリレン基を表わす。R1は水素、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基を表わす。Vは−O−、−S−、−NR2−(R2は置換または無置換の単環または多環式のアリレン基、もしくは置換または無置換の単環または多環式のヘテロアリレン基を表わす)を表わし、nは≧0を表わす]、及び下記一般式(3)で表わされるリン化合物
一般式(3)
[一般式(3)中、A3、A4はそれぞれ置換または無置換の単環または多環式のアリレン基またはヘテロアリレン基を表わす。R3は水素、置換または無置換のアルキルまたはアリールまたはヘテロアリール基を表わす。Wは−O−、−S−、−NR4−(R4は置換または無置換の単環または多環式のアリレン基、もしくは置換または無置換の単環または多環式のヘテロアリレン基を表わす。mは≧0を表わす。XはPO(OR5)2(R5は低級アルキル基)またはP(R6)3+Y―(R6は置換または無置換のアリール基、もしくは置換または無置換のアルキル基を表わし、Yはハロゲン原子を表わす)を表わす)を反応させ、炭素−炭素二重結合を含有する下記一般式(4)
一般式(4)
の繰り返し単位をもつ重合体が製造される。
以下に更に詳細に説明する。
好適に用いられる塩基化合物は、非水系溶媒に均一に溶解していれば一般に知られている塩基性化合物が全て含まれるが、ホスホネートカルボアニオンの形成能を考慮に入れると、塩基性度の点から金属アルコシド、金属ヒドリド、有機リチウム化合物等が好ましく、例えばカリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、リチウムt−ブトキシド、カリウム2−メチル−2−ブトキシド、ナトリウム2−メチル−2−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カリウムメトキシド、水素化ナトリウム、水素化カリウム、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム、リチウムナフチリド、リチウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド等を挙げることができる。
塩基を溶解する溶媒としては、使用する塩基と安定な溶液を形成する溶媒を選択しなければならないが、その他の要因として塩基の溶解度が高いものがよく、また反応系で生成する高分子量体の反応溶媒に対する溶解性を損ねないものがよく、さらに生成する高分子量体が良好に溶解する溶媒がよく、用いる塩基と製造する高分子量体の特性に応じて、一般に知られているアルコール系、エーテル系、アミン系、炭化水素系溶媒等から任意に選択することができる。
塩基とそれを均一に溶解する溶媒の組み合わせとしては、例えばナトリウムメトキシドのメタノール溶液、ナトリウムエトキシドのエタノール溶液、カリウムt−ブトキシドの2−プロパノール溶液、カリウムt−ブトキシドの2−メチル−2−プロパノール溶液、カリウムt−ブトキシドのテトラヒドロフラン溶液、カリウムt−ブトキシドのジオキサン溶液、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液、メチルリチウムのエーテル溶液、リチウムt−ブトキシドのテトラヒドロフラン溶液、リチウムジイソプロピルアミドのシクロヘキサン溶液、カリウムビストリメチルシリルアミドのトルエン溶液等をはじめとして、種々の組み合わせの溶液が挙げられ、幾つかの溶液は市販品として容易に入手することができる。温和な反応条件、取り扱いの容易さの観点から好ましくは金属アルコキシド系の溶液が用いられ、生成する重合体の溶解性、取り扱いの容易さ、反応の効率性、生成する重合体の溶解性等の観点からより好ましくは金属t−ブトキシドのエーテル系が用いられ、さらに好ましくはカリウムt−ブトキシドのテトラヒドロフラン溶液が用いられる。
リン化合物およびアルデヒド化合物が化学量論的に等しく存在する溶液と、その2倍モル量以上の塩基を含む前述の塩基溶液を混合させることにより重合反応は容易に進行し、狭い分子量分布に好ましく制御された高分子量の重合体を簡便に得ることができる。通常、塩基の量はリン化合物の重合活性点に対して同量使用するだけでよいが、さらに過剰量用いても支障ない。
上記重合反応はリン化合物およびアルデヒド化合物の溶液に塩基溶液を添加してもよく、塩基溶液にリン化合物およびアルデヒド化合物の溶液を加えてもよく、同じに反応系に加えてもよく、添加の順序に制約はない。
上記重合反応における重合時間は、用いられるモノマーの反応性、または望まれる重合体の分子量等に応じて適宜設定すればよいが、0.2時間〜30時間が好適である。また、重合体の末端を封止するための封止剤を、反応途中または反応後に添加することも可能であり、反応開始時に添加しておくことも可能である。
上記重合反応における反応温度は特に制御する必要なく室温において良好に重合反応が進行するが、反応効率をより上げるために加熱したり、またはより温和な条件に冷却することも可能である。
以下に実施例を挙げて更に具体的に説明するが、本発明に好適に利用できる有機半導体材料はその要旨を越えない限り、この実施例によって制限されるものではない。
各種の測定は下記の方法によった。重合体の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)の測定は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)により行い、UV吸収及び示差屈折率を用いて、単分散ポリスチレンを標準としてポリスチレン換算で行った。
(材料合成実施例)
100ml四つ口フラスコに、以下の化学式(5)に示す
化学式(5)
ジアルデヒドを0.852g(2.70mmol)、及び以下の化学式(6)に示す
化学式(6)
ジホスホネートを1.525g(2.70mmol)を入れ、窒素置換してテトラヒドフラン75mlを加えた。この溶液にカリウムt−ブトキシドの1.0moldm−3テトラヒドロフラン溶液6.75ml(6.75mmol)を滴下し、室温で20時間撹拌した後、ベンジルホスホネート及びベンズアルデヒドを順次加え、さらに2時間30分撹拌した。酢酸およそ1mlを加えて反応を終了し、溶液を水洗した。溶媒を減圧留去し、残渣をテトラヒドロフラン15ml及びメタノール80mlを用いて再沈澱による精製を行い、以下の化学式(7)に示す重合体を1.07g得た。
化学式(7)
得られた重合体の分子量及び分子量分布を測定したところ、収率:73%、重量平均分子量(Mw):104000、数平均分子量(Mn):36000、分子量分布(Mw/Mn):2.89、重合体:63であった。
液滴43のさらに他の例としては、絶縁性材料の微粒子含有液体が用いられる。絶縁性材料としては、SiO2やAl2O3、誘電体であるSrTiO3、BaTiO3、Pb(Zr,Ti)O3等が考えられる。溶媒としてはPGMEA、シクロヘキサン、カルビトールアセテート等が挙げられる。湿潤剤またはバインダーとして、グリセリン、ジエチレングリコール、エチレングリコール等を必要に応じて加えてもよい。
また絶縁性材料を含む液体として、半導体等に多用される層間絶縁膜のシリコンガラスの前駆物質である、ポリシラザン(例えば東燃製)、有機SOG材料、シリカガラス形成材料等が挙げられる。また絶縁体材料を含む金属アルコキシドを用いても良い。これらの場合には液滴付与後の加熱や化学反応などによって絶縁体パターンを形成することができる。
次に本発明に好適に適用される液体噴射ヘッドについて、図6、図7を用いて説明する。この例は7ノズルの例である。
この液体噴射ヘッドは、液体47が導入される流路45内にエネルギー作用部としてピエゾ素子46を設けたものである。ピエゾ素子46にパルス状の信号電圧を印加して図6(A)に示すようにピエゾ素子46を機械的に歪ませると、流路45の容積が減少すると共に圧力波が発生し、その圧力波によってノズル48から液滴43が吐出する。図6(B)はピエゾ素子46の歪がなくなって流路45の容積が増大した状態である。
このような噴射ヘッドで、液滴を噴射させた場合、図8、図9に示したような形状となる。すなわち、このような電気機械変換素子(ピエゾ素子)の機械的変位による作用力で液体を噴射させた場合、飛翔時の液体は、前記基材面に付着する直前にほぼ丸い滴形状である(図8)、もしくは飛翔方向に伸びた柱状であってもその長さは長くてもその直径の3倍以内の長さの柱状とすることができる(図9)。
これは通常、このような電気機械変換素子(ピエゾ素子)の機械的変位による作用力で液体を噴射させるという原理によって液滴を噴射させた場合、この原理の持つ特性としていつもほぼこのような形状の液滴が得られる。以下にその理由を述べる。
一般にこのような電気機械変換素子(ピエゾ素子)の機械的変位による作用力で液体を噴射させるという原理によって液滴を噴射させた場合、電気機械変換素子によって液体に与える衝撃力の時間微分した値の大小によってこの形状は決まるわけであるが、この原理の噴射ヘッドの場合、液体がノズルから飛び出す時の条件と、このような丸い液滴あるいは細長い形状であったとしても最大でもその直径の3倍以内の長さの柱状となって噴射、飛翔する条件がほぼ一致している。
すなわち、このような原理で液滴を噴射させた場合、飛翔時の液滴の形状は、ほぼこのような丸い液滴あるいは細長い形状であったとしても最大でもその直径の3倍以内の長さの柱状である。そしてそのときの状態というのは、飛翔液滴が外乱によって揺らぐことなく安定して飛翔する状態である。またそのときの飛翔スピードは、5m/s〜12m/sである。
本発明においては、このような液体噴射ヘッドを使用して、電気的機能発現材料含有液体を噴射して、電子回路のパターン配線あるいは電子デバイスを形成する場合、この条件(この飛翔時の形状)としているが、仮にそのような条件から外れる場合(通常ほとんどそのようなことはないが)においては、電気的機能発現材料含有液体あるいはそれと同等の流体物性(粘度、表面張力)を持つ液体と、同等の液体噴射ヘッドとを使用して噴射させ、その飛翔形状を顕微鏡下で観察しながら噴射ヘッドの電気機械変換素子への駆動信号を調整(その形状となるように立ち上がり波形を急峻に)して、その駆動信号の調整結果に基づいた駆動信号を、本発明の電子部品製造装置の噴射ヘッドの電気機械変換素子へ入力することにより、所望の安定した飛翔形状が得られるようにしている。
次に本発明に好適に適用される液体噴射ヘッドの他の例について、図10を用いて説明する。この例はサーマル方式(バブル方式)の液体噴射ヘッドの例であり、前述のピエゾ素子による電気−機械変換作用によって液滴噴射を行うのではなく、液体中に短時間(1〜10μs)に加えられた高熱(300〜500℃)で瞬時に発生する膜沸騰気泡の成長作用力を液滴噴射の原動力とするものである。
ここで示した液体噴射ヘッドは、液体が流れる流路短部から液滴が噴射するタイプのものであり、エッジシューター型と呼ばれるものである。
ここでは、液体噴射ヘッドのノズル数を4個とした例を示している。この液体噴射ヘッドは、発熱体基材66と蓋基材67とを接合させることにより形成されており、発熱体基材66は、シリコン基材68上にウエハプロセスによって個別電極69と共通電極70とエネルギー作用部である発熱体71とを形成することによって構成されている。
一方前記蓋基材67には、機能性材料を含有する液体が導入される流路を形成するための溝74と、流路に導入される前記液体を収容する共通液室を形成するための凹部領域75とが形成されており、これらの発熱体基材66と蓋基材67とを図10に示すように接合させることにより、前記流路及び前記共通液室が形成される。なお、発熱体基材66と蓋基材67とを接合させた状態においては、前記流路の底面部に前記発熱体71が位置し、流路の端部にはこれらの流路に導入された液体の一部を液滴として吐出させるための前記ノズル65が形成されている。なおここでは、ノズル形状は矩形であるが、これは丸形状であってもよい。
さらにより噴射安定性を考慮して、端面(ノズル65の領域)に、別途ノズルプレートを設け、所望のノズル径、ノズル形状(たとえば丸形状)としてもよい。その場合のノズルプレートとしては、たとえばNiなどが用いられ、エレクトロフォーミング等の手法によって高精度な物が形成できる。あるいは、樹脂フィルム(基材)にエキシマレーザー加工によってノズル孔を穿孔したものを用いるのも良い方法である。
なお前記蓋基材67には、供給手段(図示せず)によって前記供給液室内に液体を供給するための液体流入口76が形成されている。
このような液体噴射ヘッドで、本発明に使用する電気的機能発現材料含有液体を噴射させた場合、図11に示したような形状となる。すなわち、このような液体中に配された発熱体が発する熱によって瞬時に発生させた気泡の成長作用力で液体を噴射させた場合、飛翔時の液体は、飛翔方向に伸びた細長柱状であってその直径の5倍以上の長さの柱状形状とすることができる(図11)。
これは通常、このような液体中に配された発熱体が発する熱によって瞬時に発生させた気泡(膜沸騰気泡)の成長作用力で液体を噴射させた場合、この原理の持つ特性としていつもほぼこのような飛翔液体の形状が得られる。以下にその理由を述べる。
一般にこのような液体中に配された発熱体が発する熱によって瞬時に発生させた気泡(膜沸騰気泡)の成長作用力で液体を噴射させるという原理によって液体を噴射させた場合、前述のような電気機械変換素子を利用する液体噴射ヘッドとは比較にならないくらいその噴射圧力が高く、図11で示したような液柱が細長く伸び、後方に微小なサテライト滴を引きずるような飛翔形態をとる。またそのときの飛翔スピードは、8m/s〜18m/sというように大変高速である。それゆえ、後方に微小なサテライト滴を引きずるような飛翔形態であって、それらも高速で飛翔して、基材面に先行する細長柱状の液体とほぼ同じ位置に着弾するので、電子回路のパターン形成上は何ら支障はない。
本発明においては、このような噴射ヘッドを使用して、電気的機能発現材料含有液体を噴射して、電子回路のパターン配線あるいは電子デバイスを形成する場合、この条件(飛翔方向に伸びた細長柱状であってその直径の5倍以上の長さの柱状形状)としているが、仮にそのような条件から外れる場合(通常ほとんどそのようなことはないが)においては、電気的機能発現材料含有液体あるいはそれと同等の流体物性(粘度、表面張力)を持つ液体と、同等の液体噴射ヘッドとを使用して噴射させ、その飛翔形状を顕微鏡下で観察しながら液体噴射ヘッドの発熱体への駆動信号を調整(その形状となるようにパルス電圧、あるいはパルス幅を少し増やす、つまり駆動エネルギーを増やす)して、その駆動信号の調整結果に基づいた駆動信号を、本発明の電子部品製造装置の液体噴射ヘッドの発熱体へ入力することにより、所望の安定した飛翔形状が得られるようにしている。
前述のピエゾ素子による電気−機械変換作用によって液滴噴射を行う方式にしろ、サーマル方式(バブル方式)にしろ、本発明においては、特に0.1pl〜数100pl程度の液滴を形成するために、液体噴射ヘッドのノズルは、Φ3μm〜Φ100μmの範囲のものが用いられる。
ライン幅が5μm程度の精細なパターン、ドット径がΦ5μm程度の微小ドットパターンを形成するためには、Φ3μm〜Φ5μmのノズル径が選ばれ、ライン幅が20μm程度のパターン、ドット径がΦ20μm程度のドットパターンを形成するためには、Φ10μm〜Φ25μmのノズル径が選ばれる。また、ある領域を全面的に被覆するだけでよい場合には、Φ30μm〜Φ100μmの大きなノズル径を選択すればよい。なおノズル形状が丸ではなく、他の形状(例えば矩形、台形等)である場合には、面積換算で同じ大きさになるようにしたものを選択する。
本発明では1〜複数の液滴により1つの電子デバイスを形成する、あるいは、複数滴によって、電子デバイスなどを形成するパターンをドットを重ね打ちしたり接触させたりして形成する。よって、このようなマルチノズル型の液体噴射ヘッドを用いると大変効率的に電子デバイスを形成することができる。なおこの例では4ノズルの液体噴射ヘッドを示しているが、必ずしも4ノズルに限定されるものではなく、ノズル数が多ければ多いほど電子デバイスの形成が効率的になることは言うまでもない。ただし、単純に多くすればよいということではなく、多くすれば液体噴射ヘッドも高価になり、また噴射ノズルの目詰まりによる確率も高くなるので、それらも考慮し装置全体のバランス(装置コストと電子デバイスの製作効率のバランス)を考えて決められる。
図12はこのようにして製作されたマルチノズル型の液体噴射ヘッドをノズル側から見た図を示している。本発明では、このようなマルチノズル型の液体噴射ヘッドを図13に示すように、噴射する液体ごとに設け、キャリッジ搭載される。図14はその斜視図である。
図13、図14にはそれぞれのマルチノズル型の液体噴射ヘッドをA、B、C、Dと符号をつけているが、それぞれ各液体噴射ヘッドA、B、C、Dはノズル部分が各液体噴射ヘッドごとに離間して構成されるとともに各液体噴射ヘッドごとに異なる種類の電気的機能発現材料含有液体を噴射することができる。
例えばA、B2つの液体噴射ヘッドには、それぞれ低抵抗と高抵抗の2種類の導電性材料を含む液体を詰め、Cの液体噴射ヘッドには、半導体材料を含む液体、Dの液体噴射ヘッドには、絶縁材料を含む液体を詰め、それぞれ独自に噴射できるようにしている。
つまり本発明の電子デバイスあるいは電子回路を製作するための製造装置は、基本的にはこのような4種類の液体を独自に噴射できるようにした4個の噴射ヘッドを、あるいはそれらを図13、図14のようにユニット化したヘッドユニットを具備するものである。このように少なくとも4種類の液体を独自に噴射できるようにしておけば、次に説明するような各種素子の製作、あるいはそれら素子の組み合わせた電子回路、さらにはIC、LSIを模倣したような集積回路の製作を行うことができる。
なお、必ずしも4個の液体噴射ヘッドあるいは4種類の液体噴射に限定されるものではなく、4個の液体噴射ヘッドを用意しておく、あるいは4種類の液体噴射を行うようにしておけば、基本的な電子回路形成がほぼ可能であるということであって、5個あるいは6個又はそれ以上の数の液体噴射ヘッドを有していてもよい。例えば、上記4種類の液体に加えて、5番目、6番目、7番目の液体として以下に示すような赤、緑、青に発光するような有機EL材料を含む液体を噴射するような液体噴射ヘッドを適宜用意してもよい。
有機EL発光材料を含有した溶液例として、例えばRGB(赤、緑、青)3色用として、以下のような溶液組成例が挙げられる。
溶媒・・・・ドデシルベンゼン/ジクロロベンゼン(1/1、体積比)
赤・・・・・・ポリフルオレン/ペリレン染料(98/2、重量比)
緑・・・・・・ポリフルオレン/クマリン染料(98.5/1.5、重量比)
青・・・・・・ポリフルオレン
他に、例えばポリフェニレンビニレン系(ポリパラフェニリレンビニレン系誘導体)、ポリフェニレン系誘導体、その他、ベンゼン誘導体に可溶な低分子系有機EL材料、高分子系有機EL材料、ポリビニルカルバゾール等の材料を用いることができる。有機EL材料の具体例としては、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。
次に各種素子の具体的形成例を説明する。最初に抵抗器の形成方法について図15〜図17に基づいて説明する。
抵抗材料としては、導電性粉末と絶縁性粉末との混合、Ni−Cr、Cr−SiO、Cr−MgF、Au−SiO2、AuMgF、PtTa2O5、AuTa2O5Ta2、Cr3Si、TaSi2等が挙げられ、その溶媒としては、PGMEA、シクロヘキサン、カルビトールアセテート等が挙げられる。湿潤剤またはバインダーとして、グリセリン、ジエチレングリコール、エチレングリコール等を必要に応じて加えてもよい。また絶縁性材料を含む液体として、ポリシラザンや絶縁体材料を含む金属アルコキシドを用いても良い。この場合には加熱や化学反応などによって絶縁体材料を形成することができる。抵抗材料は形成したい抵抗器の抵抗値に応じて決める。
図15〜図17において(a)は回路素子の中心線で切断した製造工程断面図を示し、(b)は平面図を示す。
図15は抵抗膜形成工程を示す。まず液体噴射ヘッド26を図15の(a)、(b)に示すように移動させる。そして当該ヘッド26から抵抗材料を含む液体16を吐出させ、電気的抵抗を与えるための抵抗膜106を形成する。
固化処理として、物理的、物理化学的、化学的処理を抵抗膜106形成前のパターン形成面100、あるいは抵抗膜106上に施せばよい。例えば熱風の吹き付け、レーザ照射、ランプ照射による加熱・乾燥処理、化学物質の投与による化学変化処理、液体16のパターン形成面100への付着の程度を制御する一定の表面改質処理等により付着した液体中の揮発成分を揮発させ、固形分を基板上に残留させることによってパターンを固化、形成したり、あるいは液体16の付着を促進したりする。
なお抵抗膜106の幅、高さおよび長さについては形成したい抵抗器の抵抗値に応じて決める。抵抗器の抵抗値は長さに比例し断面積に反比例するからである。なおこの抵抗膜106は目標となる抵抗値よりも大きな抵抗値となるように高さや幅を設定しておくことが好ましい。後に抵抗膜106の高さや幅を増加させて抵抗値を適正値に下げることができるからである。
図16および図17は導電膜形成工程を示す。抵抗膜106が固化したら、液体噴射ヘッド22を図16および図17に示すように移動させ、導電性材料を含む液体12を吐出して、抵抗膜106の両端に導電膜102を形成する。液体12およびその固化処理については前述と同様の手法を用いる。
上記の工程により電気回路として抵抗器124をパターン形成面100に形成することができる。なお後に抵抗器124の抵抗値を微調整したい場合には抵抗膜106にさらに液体13を吐出して抵抗膜106の厚みを厚くしたり幅を大きくしたりすれば、抵抗値を適正値にまで下げることができる。
次にコンデンサの形成方法について図18〜図20に基づいて説明する。各図において(a)は回路素子の中心線で切断した製造工程断面図を示し、(b)は平面図を示す。
図18は絶縁膜形成工程を示す。まず液体噴射ヘッド21を図18の(a)に示すように絶縁膜を形成する領域に移動させ、液体噴射ヘッド21からパターン形成材料として絶縁性材料を含む液体11を吐出させる。絶縁性材料としては、SiO2やAl2O3、誘電体であるSrTiO3、BaTiO3、Pb(Zr,Ti)O3等が使用できる。溶媒としてはPGMEA、シクロヘキサン、カルビトールアセテート等が挙げられる。湿潤剤またはバインダーとして、グリセリン、ジエチレングリコール、エチレングリコール等を必要に応じて加えてもよい。また絶縁性材料を含む液体11として、ポリシラザンや絶縁体材料を含む金属アルコキシドを用いても良い。この場合には加熱や化学反応などによって絶縁体材料を形成することができる。
吐出された液体11はパターン形成面100に着弾する。着弾した液体11は数μm〜数10μm程度の径を有する。
液体噴射ヘッド21を図18の(b)のように動かして液体11を連続してパターン形成領域に沿って吐出すれば、巨視的には矩形の絶縁膜パターンを形成できる。絶縁膜101の幅、長さおよび絶縁性材料の誘電率は形成したいコンデンサの容量に応じて定める。コンデンサの容量は対向電極の面積、間隙および誘電率により定まるからである。膜の厚みを厚くする場合には一旦固化した膜上にさらに同一の液体を吐出し固化させるというように積層構造に製造すればよい。固化処理は前述の抵抗器形成方法で説明した手法が適用できる。
液体が絶縁性材料を含む場合には、固化させ形成された膜が緻密な膜となっていなくても電気的な悪影響がないので、溶媒成分を蒸発させるだけでよい。ただし膜を強固にするために加熱処理をすることは望ましい。また化学的反応により絶縁膜を固化させる場合には、分散系の破壊をもたらすような薬品で処理することも可能である。
例えば、液体11がスチレン−アクリル樹脂により分散した有機顔料を主成分とする場合には、反応液として硝酸マグネシウム水溶液を吐出する。また液体11がエポキシ樹脂を主成分とする場合には、反応液としてアミン類を吐出する。一つのパターンを形成するたびに固化処理を行うことが好ましい。なぜなら固化していない液体に重ねて他のパターン形成材料を含んだ液体を吐出すると、材料が混ざるため所望の電気的特性が得られないからである。
なおパターン形成材料として絶縁性材料の代わりに誘電性材料を使用してもよい。誘電性材料を電極間に充填させればコンデンサの容量を増加させることができるからである。また複数の材料により複数の絶縁膜を平行して形成してもよい。コンデンサの多層構造に類した機能を持たせることができるからである。
また電極の間隙が少ない場合には、後に吐出される導電性材料を含んだ液体12に対してこの絶縁膜が非親和性を示すような絶縁性材料を選択することが好ましい。形成される絶縁膜が液体12をはじくので、電極が短絡する危険が少なくなるからである。
図19および図20は導電膜形成工程を示す。絶縁膜101が固化したら、液体噴射ヘッド22を図19の(a)および図20の(a)に示すように導電膜を形成する領域に移動させる。次いで図19の(b)や図20の(b)の矢印のように液体噴射ヘッド22を動かしてパターン形成材料として導電性材料を含む液体12を吐出させる。これによりコンデンサの電極となる導電膜102が形成される。
パターン形成材料の導電性材料としては、RuO2、IrO2、OsO2、MoO2、ReO2、WO2、YBa2Cu3O7−x、Pt、Au、Ag、In、In−Ga合金、Ga、半田等が使用できる。溶媒としてはブチルカルビトールアセテート、3−ジメチル−2−イミタゾリジン、BMA等が使用できる。
導電性材料を含む液体12としては、In−Ga、In、半田等の低融点金属を加熱等によって溶融させた状態で用いてもよい。
導電膜のパターンは、図18〜図20のような形の他、種々の形状に変更可能である。例えば各導電膜や絶縁膜を鋸歯状や凹凸形状に形成して対向する電極が噛み合うように形成すればさらにコンデンサの容量を増加させることができる。コンデンサの容量を大きくするために絶縁膜101の高さや導電膜102の対向面の高さを高く形成し電極面積を大きくしてもよい。
次いで所望の電気的特性を得るために導電膜の固化処理を行う。固化処理については前述と同様の手法を用いる。
液体12がパターン形成材料として金属等の導電性材料の微粒子を含んでいる場合、図21の(a)、(b)に示すように、液体噴射ヘッド22から吐出される液体12bには溶媒中に微粒子が散在している。この液体から溶媒を蒸発させただけではパターン形成材料が連続せず導電性が確保できない場合がある。その場合は、図22に示すように、固化装置6等により導電性材料の融点以上に加熱するのも宵方法である。この処理により溶媒が蒸発する他、パターン形成材料が溶解し微粒子が互いに連結し一体化する。液体12がパターン形成材料を溶解したものである場合も加熱処理で溶媒を蒸発させることにより、導電性材料を析出させる。パターン形成材料が融点以上に熱せられた金属等の材料である場合、パターン形成面を融点より低い温度に維持することによって導電性材料を固化させてもよい。
次にコイルの形成方法について図23〜図25に基づいて説明する。各図において(a)は回路素子の中心線で切断した製造工程断面図を示し、(b)は平面図を示す。
図23は導電膜形成工程を示す。まず液体噴射ヘッド22を図23の(a)、(b)に示すように移動させながら導電性材料を含む液体12を吐出させ、コイルの引き出し線に相当する導電膜102を形成する。液体12およびその固化処理については前述と同様である。なおパターン形成面100上に予め磁性材料を塗布したり渦状の導電膜102の間に磁性材料を塗布したりすれば、コイルのインダクタンスを増加させることができる。
図24は絶縁膜形成工程を示す。液体噴射ヘッド21を図24の(a)に示すように移動させ絶縁性材料を含む液体11を吐出させ、図24の(b)のように導電膜102の先端を残して絶縁膜101を形成する。この図のように大きく絶縁膜を設けず図23で形成する導電膜と図25で形成する導電膜との交差部分にのみ絶縁膜を設けるものでもよい。液体11およびその固化処理については前述と同様である。
図25は渦状導電膜形成工程を示す。液体噴射ヘッド22から導電性材料を含む液体12を吐出させながら図25の(a)に示すように螺旋状に移動させ、渦状の導電膜102を形成する。この渦状の導電膜102は図25の(b)に示すように中心が図23で形成した導電膜102に接触している。渦巻き状のどの部分も先に形成した導電膜に接触しない。渦の巻き数や導電膜102の幅は製造したいコイルのインダクタンス値に応じて定める。液体12およびその固化処理については前述と同様である。
上記の工程により電気回路としてコイル123をパターン形成面100に形成することができる。なお後にコイル123のインダクタンスを増加させたい場合には渦状の端部からさらに渦状の導電膜102を伸ばせばよい。またインダクタンスを現象させた場合には既に形成した渦状の導電膜102の途中から引き出し線を付加すればよい。
次に有機薄膜トランジスタ素子の例を説明する。前述のような有機半導体材料含有溶液を用いて、本発明では例えば、図26、図27に示したような有機薄膜トランジスタ素子を形成することができる。有機薄膜トランジスタ素子構成としては、紙をベースとした基材上に有機半導体層に接したソース電極とドレイン電極を有し、その上にゲート絶縁層を介してゲート電極を有するトップゲート型と、基材上にまずゲート電極を有し、ゲート絶縁層を介して有機半導体層で連結されたソース電極とドレイン電極を有するボトムゲート型に大別されるが、具体的な素子の層構成例(1素子の断面図)は図26、図27のようになる。
図26はトップゲート型の層構成例を示し、紙をベースとした基材10上に有機半導体層8を有し、さらに有機半導体層8に電気的接続する第1の電極としてのソース電極4及び第2の電極としてのドレイン電極5を有し、この一対の電極間に設けられるとともに、さらにこの電極間にあって、上記有機半導体層8が設けられた領域上に、ゲート絶縁層6を介して第3の電極としてのゲート電極7を有するものである。そして、ソース電極4及びドレイン電極5の間に電圧を印加し、さらにゲート電極7に電圧を印加、制御するようにしている。
図27はボトムゲート型の層構成例を示し、紙をベースとした基材10上にゲート電極7としての電極層、ゲート絶縁層6、有機半導体層8をこの順序で形成し、さらに有機半導体層8に電気的に導通するソース電極4及びドレイン電極5よりなる一対の電極層を形成し、さらに有機半導体層8の領域を素子保護層9により封止構造としたものである。そして、ソース電極4及びドレイン電極5の間に電圧を印加し、さらにゲート電極7に電圧を印加、制御するようにしている。
図28はこのボトムゲート型有機トランジスタ素子を形成する際のパターン形成の順序を説明する平面図である。(a)〜(f)により簡単にそのパターン形成順序を説明する。
(a)は、基材10を示しておりこの基材10上にゲート電極7を形成するための導電性材料含有液体を液体噴射ヘッドによってドットパターンが打ち込まれる。そのドットパターンは適宜組み合わされて(b)に示すような矩形形状(帯状)のゲート電極7となる。
このあと同様に各種液体によるパターン形成が行われるが、各種液体を噴射付与する前に先に形成されたパターンは、前述のような手法によって乾燥、固化処理を行う。
(c)はゲート絶縁層6を形成したものであり、その上に(d)に示すような有機半導体層8を形成する。次に(e)に示すようにこの有機半導体層8に導通するようにソース電極4及びドレイン電極5を形成して、一応トランジスタ素子は完成するが、(f)に示すように、全面に絶縁材料によって素子保護層9を設けることが望ましい。なお(f)の断面AAは、図27に対応している。
以上、電子回路を構成する各種素子の説明をしたが、ここで本発明の更なる特徴について説明する。有機トランジスタ素子形成を説明した図28より明らかなように、本発明で形成される各種電子デバイス、あるいはそれら電子デバイスを組み合わせた電子回路等において、各種パターンは、基材(基板)上におけるパターンの被覆面積が異なっている。
換言すると、一般に半導体などの特殊な機能を発する部分のパターンは小さく、それに通電するための電極パターンは、他の部分と電気的接続を行う関係上、半導体などの特殊な機能を発する部分のように単にスポット的に機能する領域よりも大きいパターン、つまりパターンの被覆面積が大となるように形成される。
他の例では、ここでは形成方法を挙げなかったが、電子デバイスとして有機EL発光素子などもその発光部分の有機ELパターンはデバイス全体からみると発光するというスポット的な機能であるため、そのパターン領域は小さくてよく、それよりもやはりそれに通電する電極部分のパターンの被覆面積の方が大である。
さらに被覆部分のパターン面積が大きいのは絶縁層である。図28(c)等で明白なように、ゲート絶縁層6はデバイスの電極端子の引き出し部分を除いてほぼ全面を被覆するように形成される。(f)の保護層9の場合も同様であり、この場合も絶縁材料によってデバイスのほぼ全面を被覆するように形成される。
すなわちこれらの例からわかるように、このような電子デバイスあるいは電子回路の構成上、先に形成した電極パターン(下に形成したパターン)などをそのパターンの上に後から絶縁層などによって覆うように形成する場合、効率よく形成したほうがよい。通常後から大きなパターンで先のパターン(下に形成したパターン)を覆うため、単純に考えれば後から形成するパターンの場合のほうがパターン形成に時間が多くかかる。
本発明では、このように後から形成するパターンが大きく時間がかかることに鑑み、そのパターンを形成するための液体噴射ヘッドの液体の噴射能力が大となるようにしている。ここで噴射能力とは、パターン形成時間の速さを意味する。いいかえるならば、単位時間あたりの液体の噴射量が、後のパターン形成を行う液体噴射ヘッドの方が大となるようにして、大きなパターンであってもそれほど時間をかけることなく形成できるようにしている。
1例をあげると、図28等のように先に導電性材料を含有する液体によって電極パターンを形成し、その後、その電極パターンをほぼ全面的に覆うように絶縁材料を含む液体を噴射して絶縁体のパターンを形成する場合が挙げられる。
また、先に形成するパターンとしては、上記電極パターンの他に、有機トランジスタ素子形成のための半導体材料によるパターンであったり、有機EL発光素子形成のための有機EL材料によるパターンであったりする場合もあり、この場合も後の大きいパターンとして絶縁体のパターンを形成する場合が多いが、本発明は必ずしもこのような例に限定されるものではない。
あくまでも、このような電子デバイスや電子回路の構成上、先に形成したパターンよりそのパターンの上に後から形成するパターンが大きい場合に、先と後のパターン形成に使用する液体を噴射する液体噴射ヘッドの単位時間あたりの液体の噴射量を、後のパターン形成に使用する方が大となるようにして噴射することが本発明のポイントであって、特定の材料に限定されるものではない。
本発明においては、先のパターンよりも大きな被覆面積となる後から形成するパターンを効率よく形成したり、また効率よく被覆したりすることができるように、基材(基板)上に形成される1個のドット径を比較した場合、後から形成、被覆するパターンのドット径が、先に形成される(下に形成される)パターンのドット径より大きく形成できるような液体噴射ヘッド上の工夫をしている。
具体的には、ノズルサイズを大きくしている。例えば、半導体材料を含む溶液を噴射する液体噴射ヘッドのノズル径はΦ20μmとし、絶縁材料を含む液体を噴射する液体噴射ヘッドのノズル径はΦ30μmとするといった具合である。
他の手段としては、例えばピエゾ素子のような電気機械変換素子を利用する液体噴射ヘッドの場合には、ピエゾ素子に入力するエネルギーを絶縁材料を含む液体を噴射する液体噴射ヘッドの場合には他の液体を噴射する液体噴射ヘッドの場合よりも大きくし、ピエゾ素子の変位量を大きくし、噴射液滴の量を多くして、大きなドット径を得るようにする。この場合、絶縁材料を含む液体を噴射する液体噴射ヘッドのノズルサイズを他の液体を噴射する液体噴射ヘッドのノズルサイズと同じにしておいても、ピエゾ素子の変位量を変えるだけで、絶縁材料を含む液体のドット径を大きくすることができるが、前述のようにノズルサイズを大きくした液体噴射ヘッドとこのピエゾ素子の変位量を大きくする技術を組み合わせると、より大きなドット径を得ることができて都合がよい。
このような工夫の他に、パターンの被覆領域が大きくなる場合には、溶液の噴射量をふやす工夫も必要である。噴射量をふやす工夫の例は前述のように、ノズルサイズを大きくしたり、ピエゾ素子の変位量を大きくする技術であるが、以下に他の例を説明する。
例えば、絶縁材料を含む液体を噴射する液体噴射ヘッドユニットの単位時間あたりの噴射量を他の液体を噴射する液体噴射ヘッドユニットのそれより大とする。より具体的には、液体噴射ヘッドの1ノズルから噴射される液滴の形成頻度を高くすればよい。例えば、導電性材料を含む液体や半導体材料を含む液体などを噴射する液体噴射ヘッドの駆動周波数(=液滴形成頻度)を5kHz〜10kHzとし、絶縁材料を含む液体を噴射する液体噴射ヘッドの駆動周波数(=液滴形成頻度)を10kHz〜20kHzとするようにしている。ここで1kHzといった場合、1個のノズルから1秒間に1000滴噴射することを意味する。
このような工夫の他に、後から形成するパターン形成のための液体を噴射する液体噴射ヘッドユニットの総ノズル数を、先に形成するパターン形成のための液体を噴射する液体噴射ヘッドの総ノズル数よりも多くして、後から形成するパターン形成のための液体噴射ヘッドユニットの単位時間あたりの噴射量が多くなるようにしてもよい。例えば、後から形成するパターン形成のための液体として絶縁材料を含む液体を噴射する液体噴射ヘッドのノズル数を128個、先に形成するパターン形成のための液体として低抵抗の導電性材料を含む液体を噴射する液体噴射ヘッドのノズル数を32個とする。なおこの数は一例であって、これに限定されるものではない。
また、後から形成するパターン形成のための液体を噴射する液体噴射ヘッドユニットの液体噴射ヘッドの数を、先に形成するパターン形成のための液体を噴射する液体噴射ヘッドの数より多くしてもよい。例えば、後から形成するパターン形成のための液体を噴射する液体噴射ヘッドとして、絶縁材料を含む液体を噴射する液体噴射ヘッドを2個準備し、先に形成するパターン形成のための液体を噴射する液体を噴射する液体噴射ヘッドとして低抵抗の導電性材料を含む液体を噴射する液体噴射ヘッドを1個とすればよい。
以上の説明から明らかなように本発明においては、噴射する液体の消費量が液体の種類によって異なる。そのため、液体噴射ヘッドに液体を供給する手段としての収容容器の収容量もそれに対応して変えることが望ましい。
図29はその1例である。図中A、B、C、Dはボックス形状で示したが、それぞれ図13、図14に対応した液体噴射ヘッドA、B、C、Dである。そして、Aの液体噴射ヘッドからは低抵抗の導電性材料を含む液体を、Bの液体噴射ヘッドからは高抵抗の導電性材料を含む液体を、Cの液体噴射ヘッドからは半導体材料を含む液体を、Dの液体噴射ヘッドからは絶縁材料を含む液体を噴射できるようにしている。
23は液体の収容容器であり、噴射ヘッドA、B、C、Dに対応して、23Aは低抵抗の導電性材料を含む液体を、23Bは高抵抗の導電性材料を含む液体を、23Cは半導体材料を含む液体を、23Dは絶縁材料を含む液体を収容し、それぞれ各噴射ヘッドに液体を供給する。
つまりこの場合は、Dの液体噴射ヘッドから噴射する液体によって形成されるパターンが、他のA、B、Cの液体噴射ヘッドから噴射する液体によって形成されるパターン(先に形成されるパターン)を後から大きなパターンで覆うために、その液体の消費量が多いということに鑑み,23Dの収容量を多くしているのである。
本発明では各種電子デバイスあるいは電子回路形成時に絶縁層で被覆する領域の面積が大であり、絶縁材料を含む液体の消費量も他の液体に比べて大である。そこでそれに対応して、絶縁材料を含む液体の収容容器23Dの収容量も図29に示すように他の液体のそれより大としている。なお次に収容量が大きいのは、電極などを形成するために使用する低抵抗の導電性材料を含む液体を収容する収容容器23Aである。
いうまでもないがこの例は1例であって、本発明はここに挙げた材料の収容容器の大小関係に限定されるものではなく、あくまでも先に形成するためのパターンの材料と後から形成される大きなパターンの材料とで、その収容容量を、後から形成される大きなパターンの材料のそれを大とするという点が発明のポイントである。
本発明によれば、上述したような溶液組成物を図2、図3等に示した電子デバイスあるいは電子回路の製造装置により、紙をベースとした基材上に液滴吐出により供給した後、基材を吐出時温度より高温で処理して膜化、形成される電子デバイス形成法が提供される。この手法によれば、単独のデバイスのみならず、IC、LSIのようなパターンを積層、集積化したデバイスも容易に形成できる。
なお、図2、図3の電子デバイスあるいは電子回路の製造装置においては基材の搬送についての説明を省略したが、基材搬送手段として、ローラ搬送あるいはベルト搬送という従来より知られている手段によって簡単に実現できる。
この手段の応用例として、基材をローラ搬送あるいはベルト搬送によって行う場合、いったん片面に電子デバイスあるいはパターン配線等の電子回路を形成した後、基材を反転させて、裏面にも電子デバイスあるいはパターン配線等の電子回路を形成することが可能となる。基材の反転あるいはその位置決めなどは、いわゆるインクジェットプリンター等で行われている両面印刷の技術をそのまま応用することができる。
このように基材の両面に電子デバイスあるいはパターン配線を形成することにより、より多機能、あるいはメモリー機能を有する電子部品の場合、より容量の大きいメモリー部品、さらにはより複雑な電子部品を製造することが可能となる。あるいは表裏に形成することにより、基材(チップ)サイズを小さくすることも可能である。
また表裏で異なる機能の電子デバイスを形成し、ハイブリッド型の電子部品とすることも可能である。例えばRFID(Radio Frequency-Identification:電波認識)方式のデバイスにおいては、メモリー、通信回路あるいは小型アンテナなどを組み合わせた構成となっているが、表面にメモリーを形成し、裏面に通信回路と小型アンテナを形成するといった構成にすることも可能である。
ここで、本発明の他の目的は、簡単な原理、構造によって電子デバイスあるいは電子回路を製造するための新規な電子デバイスあるいは電子回路の製造装置を提供することにある。
さらに他の目的は、このような製造装置によって製作される新規な電子デバイス基板を提供することにある。
また他の目的もまた、このような製造装置によって製作される新規な電子デバイス基板を提供することにある。
さらに他の目的は、このような製造装置によって製作される新規な紙をベースとした電子デバイス基板を提供することにある。
また他の目的は、このような製造装置によって製作される新規な電子回路基板を提供することにある。
さらに他の目的もまた、このような製造装置によって製作される新規な電子回路基板を提供することにある。
また他の目的は、このような製造装置によって製作される新規な紙をベースとした電子回路基板を提供することにある。
さらに他の目的は、このような新規な製造装置によって製作される新規な電子デバイスあるいは電子回路が、効率よく製作できるようにすることにある。
また他の目的は、このように効率よく製作できるようにするための噴射ヘッドの構成を提案することにある。
さらに他の目的は、このように効率よく製作できるようにするための噴射ヘッドの他の構成を提案することにある。
また他の目的は、このような製造装置によって製作される新規な電子デバイスあるいは電子回路を効率よく製作できるようにするためのさらに他の構成を提案することにある。
さらに他の目的は、このように効率よく製作できるようにするために必要な構成を提案することにある。
請求項2の発明によれば、基板上に機能性材料を含む液体の液滴をインクジェット法で噴射付与し、該液体中の揮発成分を揮発させ、固形分を前記基板上に残留させることによってパターンを形成してなる電子デバイスあるいは電子回路の製造装置において、複数個の噴射ヘッドを有するとともに、該複数個の噴射ヘッドのそれぞれに異なる液体を噴射させるようにした電子デバイスあるいは電子回路の製造装置であって、該電子デバイスあるいは電子回路の構成上、先に形成したパターンよりそのパターンの上に後から形成するパターンが大きい場合の、先と後のパターン形成に使用する液体を噴射する噴射ヘッドの単位時間あたりの液体の噴射量を、後のパターン形成に使用する方が大となるような噴射ヘッドの構造としたので、簡単な原理、構造によって電子デバイスあるいは電子回路を製造するための新規な電子デバイスあるいは電子回路の製造装置を提案できた。
請求項3の発明によれば、このような製造装置によって製作される新規な電子デバイス基板において、基板上に機能性材料を含む液体の液滴をインクジェット法で噴射付与し、該液体中の揮発成分を揮発させ、固形分を前記基板上に残留させた前記液滴によるドットの組み合わせによって所望のパターンを形成してなる電子デバイス基板において、前記所望のパターンは、異なる機能を有する複数種類の液体によって形成される複数種類のパターンの組み合わせであり、前記電子デバイスの構成上、先に形成したパターンよりそのパターンの上に後から形成するパターンが大きい場合、後のドット径が、先のドット径より大であるようにしたので、下のパターンを上から効果的に被覆した新規な構成の電子デバイス基板を実現できた。
請求項4の発明によれば、このような電子デバイス基板において、前記後から形成するパターン形成に使用する液体は、絶縁材料を含む液体であるようにしたので、請求項3の発明と同様、新規な構成の電子デバイス基板を実現できた。
請求項5の発明によれば、このような電子デバイス基板において、前記基板は、紙であるようにしたので、紙をベースとした軽量で新規な構成の電子デバイス基板を実現できた。
請求項6の発明によれば、このような製造装置によって製作される新規な電子回路基板において、基板上に機能性材料を含む液体の液滴をインクジェット法で噴射付与し、該液体中の揮発成分を揮発させ、固形分を前記基板上に残留させた前記液滴によるドットの組み合わせによって所望のパターンを形成してなる電子回路基板において、前記所望のパターンは、異なる機能を有する複数種類の液体によって形成される複数種類のパターンの組み合わせであり、前記電子回路の構成上、先に形成したパターンよりそのパターンの上に後から形成するパターンが大きい場合、後のドット径が、先のドット径より大であるようにしたので、下のパターンを上から効果的に被覆した新規な構成の電子回路基板を実現できた。
請求項7の発明によれば、このような電子回路基板において、前記後から形成するパターン形成に使用する液体は、絶縁材料を含む液体であるようにしたので、請求項6の発明と同様、新規な構成の電子回路基板を実現できた。
請求項8の発明によれば、このような電子回路基板において、前記基板は、紙であるようにしたので、紙をベースとした軽量で新規な構成の電子回路基板を実現できた。
請求項9の発明によれば、このような製造装置において、前記構造は噴射ヘッドを構成するノズルサイズを大としたので、噴射ヘッドを簡単な構造にするだけで、最も多くのパターン被覆領域が必要とされるパターンを効率よく形成できるようになった。
請求項10の発明によれば、このような製造装置において、前記構造は噴射ヘッドの総ノズル数を多くしたので、噴射ヘッドを簡単に変更するだけで、最も多くのパターン被覆領域が必要とされるパターンを効率よく形成できるようになった。
請求項11の発明によれば、このような製造装置において、前記構造は噴射ヘッドの数を多くしたので、噴射ヘッドユニット構成を少し変更するだけで、最も多くのパターン被覆領域が必要とされるパターンを効率よく形成できるようになった。
請求項12の発明によれば、このような製造装置において、前記後から形成するパターン形成に使用する液体は、絶縁材料を含む液体であるようにしたので、新規な電子デバイスあるいは電子回路を効率よく製作できるようになった。
請求項13の発明によれば、このような製造装置において、前記絶縁材料を含む液体を収容する容器の収容量を他の液体のそれより大としたので、最も多くのパターン被覆領域が必要とされる絶縁材料の消費不足を生じることなく、絶縁材料によるによるパターンを効率よく形成できるようになった。
なお、上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更実施が可能である。