JP2009110789A - 誘導加熱装置および誘導加熱方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る誘導加熱装置は、所定平面に沿って捲回された加熱コイルと、加熱コイルに高周波電流を供給する高周波電源と、金属片を加熱コイル上で移動させる移動手段とを備え、加熱コイルによる高周波磁場の磁束方向が、移動手段による金属片の移動方向とは実質的に異なることを特徴とするものである。
【選択図】図1
Description
図1〜図11を参照しながら、本発明に係る誘導加熱装置の実施の形態1について以下に説明する。図1、図2および図3はそれぞれ、実施の形態1に係る誘導加熱装置1を模式的に示す分解斜視図、垂直断面図、および平面図である。なお、本発明に係る誘導加熱装置は、上述のように、パチンコ玉やベアリング球などの球状金属片、コイン(硬貨)やメダルなどの円板状金属片、またはボルトやナットなど他の形状を有する金属片を加熱するものであるが、実施の形態1では、一例として金属球を加熱するための誘導加熱装置1について説明する。
また図2に示すように、円盤状トレイ10はこれを覆う天板13を有していてもよい。さらに円盤状トレイ10は、排出口15付近で周囲壁12に接続された排出壁16を有する。なお、円盤状トレイ10の上方には、金属球Sを円盤状トレイ10の挿入口14に供給する金属球ホッパ(供給部)17が取り付けられ(図2参照)、円盤状トレイ10の下方には、排出口15から排出された金属球Sを受容するための容器18が配設されている。
なお、平滑コンデンサ76はダイオードブリッジ75の出力を平滑してリプルの無い安定な直流電圧にする必要は必ずしもなく、加熱コイル50と共振コンデンサ74に十分な電流が供給できれば、交流電圧を全波整流しただけの電圧波形がハーフブリッジ回路73に供給されるような小さな静電容量であってもよい。またノイズ低減のためにインダクタンスなどからなるフィルタを適宜挿入してもよい。さらに、実施の形態では、誘導加熱装置の駆動回路としてハーフブリッジ回路について説明したが、フルブリッジ回路や、加熱コイルと共振コンデンサを並列に接続した並列共振回路など他の形態の共振回路を用いた駆動回路であってもよい。
図5から明らかなように、加熱コイル50のインダクタンスおよび抵抗値は、加熱コイル50上で支持される金属球Sの数に依存し、とりわけ加熱コイル50の抵抗値は金属球Sの数にほぼ比例する。このときの比例定数は、加熱コイル50の巻数や大きさ、金属球Sと加熱コイル50との間隔によって変化するが、比例傾向は同様である。したがって、制御部71は、加熱コイル50の両端の電圧と加熱コイル50に流れる電流とから加熱コイル50の抵抗値を求め、抵抗値と金属球Sの数の間の既知の関係式から金属球Sの数を正確に検出することができる。
金属球Sが円盤状トレイ10上に載置されていないときに、高周波電源70を制御して、ある所定の間隔、例えば1秒間隔あるいは4秒間隔などでハーフブリッジ73の出力段から電圧パルスを1パルスあるいは数パルス出力すると、高周波電流が加熱コイル50に流れ、加熱コイル50の両端に電圧が発生する。このときの電流と電圧を電流センサ80および電圧センサ81で検出し、制御部71で加熱コイル50のインピーダンスを求める。同様に、円盤状トレイ10上に載置されている金属球Sの数を増やして、インピーダンスの変化を求める。すなわち、円盤状トレイ10上に金属球Sが無い場合には、加熱コイル50両端の抵抗は小さく、インダクタンスも小さいため、ハーフブリッジ回路73から電圧パルスを出力すると、加熱コイル50には大きな電流が流れ、電圧および電流の共振周波数は高くなる。一方、円盤状トレイ10上に多数の金属球Sが載っている場合、電流は小さくなり、共振周波数も低くなる。従って、電流の大きさあるいは共振周波数の変化またはその両方を検出して演算することにより金属球Sの有無あるいは数を検出することができる。例えば、円盤状トレイ10上に金属球Sが無い場合、加熱コイル50および回転機30に電力を供給する必要が無いが、金属球Sが円盤状トレイ10上に載ったことを検出すると、加熱コイル50と回転機30に電力を供給し、また金属球Sが無くなると加熱コイル50と回転機30への電力供給を停止することで無駄な電力を省くことができる。
また、スイッチング素子78a、78bのオン時間とオフ時間の比率は1周期の中で制御してもよいが、例えば100周期中、10周期がオン時間50%、オフ時間50%、残りの90周期がオフ時間100%というように複数周期の中で制御してもよい。
そこでエネルギ変換効率を改善するためには、円盤状トレイ10の底板11を省略して、金属球Sが加熱コイル50の上に直接支持されるように構成することが好ましい。ただし、この場合、加熱コイル50は、絶縁被膜された導線を所定の平面に沿って捲回してなり、金属球Sとの摩擦により絶縁被膜が摩滅して絶縁破壊する可能性があるので、加熱コイル50の上に樹脂、ガラス、セラミックなどの絶縁材料からなるコーティングフィルム(図示せず)を配設することがより好ましい。
上述のように、エネルギ変換効率(σ)は、加熱コイル50と金属球Sの間の距離のみならず、金属球Sの数量、フェライトコアの配置方法、加熱コイル50を形成する導線の巻数の種類や巻き方によっても変化する。特に導線の種類はエネルギ変換効率(σ)に大きく影響し、絶縁された細い銅線を複数本拠り線にしたリッツ線を用いることにより、エネルギ変換効率を改善することができる。
そこで、円盤状トレイ10の上方にある金属球ホッパ17から金属球Sを供給する代わりに、図7に示すように、円盤状トレイ10の側面に設けた挿入口14から水平方向(図7の矢印55)に金属球Sを供給するように構成してもよい。
択一的には、図8に示すように、ゴムなどの弾性材料、絶縁材料、または金属材料からなる衝撃緩衝部19を円盤状トレイ10の挿入口14に設けて、金属球Sによる衝撃を緩衝するようにしてもよい。なお、金属材料を用いて衝撃緩衝部19を形成する場合は、その消費電力を小さくするためにアルミニウムや銅などの非磁性金属で形成することが好ましい。
このように、衝撃緩衝部19においては加熱コイル50と金属球Sの間の距離が大きくなるが、加熱コイル50のその他の領域では加熱コイル50と金属球Sの間の距離を極力小さく維持することにより、エネルギ変換効率(σ)を高く維持することができる。
通常の加熱コイル50は、図10(a)の半径方向の断面図に示すように、導線55を半径方向に並べて捲回することにより構成され、これに電流を流すと、矢印で示すように、加熱コイル50の中心部から、上方部、最外周部、および下方部を包囲するような閉ループ56の磁力線が形成され、この磁力線に直交する単位面積あたりの磁束(磁束密度、図10(b)に示すφ1,φ2)は、中心から遠ざかるにつれて小さくなる。すなわち磁束密度は、中心からの距離(半径)に反比例し、金属球Sで熱エネルギに変換される磁場エネルギは、磁束密度の2乗に比例すると考えられる。したがって、金属球Sの上昇温度(発熱量・消費電力)は、中心からの距離(半径)の2乗に反比例すると推定される。
図12を参照しながら、本発明に係る誘導加熱装置の実施の形態2について以下に説明する。実施の形態2の誘導加熱装置2は、回転機(移動手段)30以外は実施の形態1の誘導加熱装置1と同様の構成を有するので、円盤状トレイ10、加熱コイル50、および高周波電源70に関連する詳細な説明を省略する。なお図中、同一構成部品については同一の符号を用いて示す。
なお、螺旋ガイド部36は、図12では螺旋状に形成された壁として図示したが、中央開口部(挿入口)35から排出口15に至るまで金属球Sを案内するための螺旋状の通路を構成するものであれば任意のものを採用することができ、螺旋状の壁以外のものとして、たとえば円盤状トレイ10の底板11に形成された螺旋ガイド溝として構成することができる。
図13〜図14を参照しながら、本発明に係る誘導加熱装置の実施の形態3について以下に説明する。実施の形態3の誘導加熱装置3は、加熱コイル50以外は実施の形態1の誘導加熱装置1と同様の構成を有するので、円盤状トレイ10、回転機30、および高周波電源70に関連する詳細な説明を省略する。なお図中、同一構成部品については同一の符号を用いて示す。
図16を参照しながら、本発明に係る誘導加熱装置の実施の形態4について以下に説明する。実施の形態4の誘導加熱装置4は、高周波電源70を制御する制御部71以外は、実施の形態1の誘導加熱装置1と同様の構成を有するので、その他の構成部品に関連する詳細な説明を省略する。なお図中、同一構成部品については同一の符号を用いて示す。
実施の形態4に係る誘導加熱装置4は、金属球Sの移動に必要な回転駆動力をよりいっそう低減しようとするものであって、高周波磁場が解除されたオフ期間、すなわち隣接する金属球Sの間に引力が働かないときに、電気モータ31を駆動して、金属球Sを移動させるものである。こうして、電気モータ31の負荷(消費電力)をさらに抑制し、あるいは電気モータ31を小型化することができる。
なお、図16のタイムチャートでは、加熱コイル50および電気モータ31の1周期を100ミリ秒〜1秒としたが、任意の時間を1周期として設定してもよい。また加熱コイル50のオン期間の始期/終期と電気モータ31のオン期間の終期/始期が一致するように図示したが、加熱コイル50のオフ期間に電気モータ31が駆動される限り、これに限定されるものではなく、任意のタイミングで加熱コイル50と電気モータ31に電力供給してもよい。
図17を参照しながら、本発明に係る誘導加熱装置の実施の形態5について以下に説明する。実施の形態5の誘導加熱装置5は、円盤状トレイ10以外は、実施の形態1の誘導加熱装置1と同様の構成を有するので、その他の構成部品に関連する詳細な説明を省略する。なお図中、同一構成部品については同一の符号を用いて示す。
図18〜図19を参照しながら、本発明に係る誘導加熱装置の実施の形態6について以下に説明する。図18は、実施の形態6による誘導加熱装置6を模式的に示す分解斜視図である。なお、本発明に係る誘導加熱装置は、上述のように、パチンコ玉やベアリング球などの球状金属片、コイン(硬貨)やメダルなどの円板状金属片、またはボルトやナットなど他の形状を有する金属片を加熱するものであるが、実施の形態6では、一例として金属球Sを加熱するための誘導加熱装置について説明する。なお図中、同一構成部品については同一の符号を用いて示す。
また、実施の形態1と同様、加熱コイル50と電気モータ31を駆動するタイミング(オン期間)をずらして、加熱コイル50のオフ期間に電気モータ31を駆動して、電気モータ31の負荷を低減するように構成してもよい。
図20を参照しながら、本発明に係る誘導加熱装置の実施の形態7について以下に説明する。図20は、実施の形態7による誘導加熱装置を模式的に示す正面断面図である。なお、本発明に係る誘導加熱装置7は、上述のように、パチンコ玉やベアリング球などの球状金属片、コイン(硬貨)やメダルなどの円板状金属片、またはボルトやナットなど他の形状を有する金属片を加熱するものであるが、実施の形態7では、一例として金属円板を加熱するための誘導加熱装置について説明する。なお図中、同一構成部品については同一の符号を用いて示す。
択一的には、傾斜ガイド部104の始端108および終端107において、加熱コイル50の側部領域に配置し、金属円板Dが1つずつ落下するように傾斜ガイド部104を構成してもよい。こうして、側部領域における磁束方向が金属円板Dの落下方向に対して直交するようにして、金属円板Dの落下(移動)が妨害されて、金属円板Dが傾斜ガイド部104上で詰まらないようにすることができる。
図21を参照しながら、本発明に係る誘導加熱装置の実施の形態8について以下に説明する。図21は、実施の形態8の誘導加熱装置を模式的に示す斜視図である。なお、本発明に係る誘導加熱装置は、これまでの実施の形態と同様、任意の形状を有する金属片を加熱することができるが、実施の形態8では、一例として金属球を加熱するための誘導加熱装置について説明する。なお図中、同一構成部品については同一の符号を用いて示す。
なお、実施の形態8は、これまでの実施の形態と同様、金属球Sの代わりに金属円板Dを用いる場合にも有用である。この場合、金属円板Dの主面を支持板101または加熱コイル50に対して平行に配向することが好ましい。
Claims (23)
- 所定平面に沿って捲回された加熱コイルと、
前記加熱コイルに高周波電流を供給する高周波電源と、
金属片を前記加熱コイル上で移動させる移動手段とを備え、
前記加熱コイルによる高周波磁場の磁束方向が、前記移動手段による金属片の移動方向とは実質的に異なることを特徴とする誘導加熱装置。 - 加熱コイルに隣接して配置された、金属片を支持するための円盤状トレイを備え、
前記加熱コイルは、前記円盤状トレイの半径方向の磁束を有する高周波磁場を形成し、
前記金属片は、前記円盤状トレイ上で支持されて実質的に円周方向に移動する間、前記加熱コイルによる高周波磁場により誘導加熱されることを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱装置。 - 移動手段は、円盤状トレイの半径方向に延びる少なくとも1つの回転壁を円周方向に回転させる回転駆動部を有することを特徴とする請求項2に記載の誘導加熱装置。
- 移動手段は、円盤状トレイの中心軸の周りに螺旋状に形成された螺旋ガイド部を円周方向に回転させる回転駆動部を有することを特徴とする請求項2に記載の誘導加熱装置。
- 円盤状トレイの上方に配置された、金属片を該円盤状トレイに投入する供給部を備え、
前記円盤状トレイは、供給部の直下において衝撃緩衝部を有することを特徴とする請求項2に記載の誘導加熱装置。 - 円盤状トレイは、金属片を挿入する挿入口と、該金属片を排出する排出口とを有し、さらに、前記挿入口および前記排出口の一方または両方において、非磁性材料からなる磁場遮蔽部を有することを特徴とする請求項2に記載の誘導加熱装置。
- 円盤状トレイは、金属片を排出する排出口において、前記円盤状トレイに対して固定された位置に半径方向とは異なる方向に延びる排出壁を有することを特徴とする請求項2に記載の誘導加熱装置。
- 円盤状トレイは、半径方向に延びる複数のスリットを有することを特徴とする請求項2に記載の誘導加熱装置。
- 加熱コイルは、円盤状トレイに沿ってその中心軸の周りに捲回された互いに独立した複数のコイル部からなることを特徴とする請求項2に記載の誘導加熱装置。
- 加熱コイルは、円盤状トレイに沿ってその中心軸の周りに捲回された導線からなり、
半径方向において隣接する前記導線の間隔が、半径方向の外側より内側の方が広いことを特徴とする請求項2に記載の誘導加熱装置。 - 高周波電源が加熱コイルに高周波電流を供給する加熱期間と、移動手段が金属片を前記加熱コイル上で移動させる移動期間とが異なるように、前記高周波電源および前記移動手段を制御する制御部を有することを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱装置。
- 加熱コイル上の金属片の数量を検出して、前記加熱コイルに供給される高周波電流、または前記金属片を前記加熱コイル上で移動させる移動速度を制御する制御部を有することを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱装置。
- 制御部は、加熱コイルに供給される高周波電流および該加熱コイルの両端に印加される電圧の一方または両方を検出することにより、前記加熱コイル上の金属片の数量を検出することを特徴とする請求項12に記載の誘導加熱装置。
- 加熱コイルに隣接して配置された、金属片を支持する矩形状トレイを備え、
前記加熱コイルは、前記矩形状トレイの長手方向に対して直交する磁束を有する高周波磁場を形成し、
前記金属片は、前記矩形状トレイ上で支持されて長手方向に移動する間、前記加熱コイルによる高周波磁場により誘導加熱されることを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱装置。 - 移動手段は、一対の回転駆動可能なローラと、これに掛け渡された無端状ベルトと、該無端状ベルト上に配設された少なくとも1つの押出壁とを有する並進駆動部を有することを特徴とする請求項14に記載の誘導加熱装置。
- 矩形状トレイは、金属片を挿入する挿入口と、該金属片を排出する排出口とを有し、さらに、前記挿入口および前記排出口の少なくとも一方において、非磁性材料からなる磁場遮蔽部を有することを特徴とする請求項14に記載の誘導加熱装置。
- 移動手段は、水平方向に対して傾斜した支持面上で金属片を支持して重力により長手方向に移動させる矩形状トレイであることを特徴とする請求項14に記載の誘導加熱装置。
- 移動手段は、加熱コイルに隣接して配置された、実質的に鉛直方向に延びる支持板と、鉛直方向に対して傾斜して前記支持板に配設された少なくとも1つの傾斜ガイド部とを有し、
前記加熱コイルは、前記支持板に沿った実質的に鉛直方向の磁束を有する高周波磁場を形成し、
金属片は、重力により前記傾斜ガイド部に沿って移動する間、前記加熱コイルによる高周波磁場により誘導加熱されることを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱装置。 - 移動手段は、始端および終端を有する少なくとも2つの傾斜ガイド部を有し、
前記傾斜ガイド部は、一方の傾斜ガイド部の終端で落下した金属片が他方の傾斜ガイド部の始端で受容されるように構成され、
加熱コイルは、傾斜ガイド部の始端および終端において、実質的に水平方向の磁束を有する高周波磁場を形成することを特徴とする請求項18に記載の誘導加熱装置。 - 移動手段は、一対の回転駆動可能なローラと、これに支持された無端状ベルトと、該無端状ベルト上に配設された複数の水平ガイド部とを有し、
加熱コイルは、前記複数の水平ガイド部に対向するように配設され、
前記ローラおよび前記無端状ベルトが回転することにより、前記水平ガイド部上で支持された金属片を移動させることを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱装置。 - 遊技機で用いられる遊技機用金属片を水洗するステップと、
誘導加熱により乾燥するステップとを有することを特徴とする遊技機用金属片の誘導加熱方法。 - 遊戯機用金属片を誘導加熱するステップを有することを特徴とする請求項21に記載の誘導加熱方法。
- 請求項1〜20のいずれか一に記載の誘導加熱装置を用いて、遊戯機用金属片を誘導加熱することを特徴とする誘導加熱方法。
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