JP2009108277A - ポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ホスゲンを用いることなく、安全なポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の製造方法を提供すること。
【解決手段】塩基性基を両末端に有するポリジエンの存在下に、カーバメート構造を有するアミノ酸誘導体を重合させるポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の製造方法に関し、更に詳しくは、ホスゲンを用いることなく、安全にポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体を製造する方法に関する。
ポリアミノ酸(A)とポリジエン(B)とから構成される、A−B−A型ポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体は、ポリアミノ酸ブロックが生体適合性に優れ、かつポリジエンブロックが破断伸び等の物理的性質を向上させることから、医療材料等に使用可能な樹脂として開示されている(例えば、特許文献1,2参照)。
A−B−A型ポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の製造方法の一例として、ポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の製造方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3においては、ポリイソプレンの両末端に、アミノ基を導入したポリイソプレン誘導体と、アミノ酸−N−カルボキシ無水物とを反応させ、ポリイソプレン誘導体の両アミノ末端をポリアミノ酸として伸張する製造方法が開示されている。この製造方法では、アミノ酸−N−カルボキシ無水物を合成する際に、開始剤として、有毒なホスゲンを必要とする。
特開平5−317403号公報 特開平7−80057号公報 国際公開第93/23453号パンフレット
ホスゲンは極めて毒性が高いため、環境問題、安全性の観点からその取り扱いには厳重な注意が必要である。そのため、従来のホスゲンを用いて合成したアミノ酸−N−カルボキシ無水物を使用した、ポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の製造方法は改良の余地がある。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、ホスゲンを使用せず安全にポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、ホスゲンを使用せずに合成可能な特定のカーバメート構造を有するアミノ酸誘導体を用いることにより、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、以下に示すポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の製造方法が提供される。
[1]塩基性基を両末端に有するポリジエンの存在下に、カーバメート構造を有するアミノ酸誘導体を重合させるポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の製造方法。
[2]前記アミノ酸誘導体が、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物である、[1]に記載のポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の製造方法。
Figure 2009108277
前記一般式(1)中、Rは水素原子又は電子吸引性基を示し、nは1〜5の整数を示す。なお、nが2以上の整数である場合には、複数のRは相互に同一であっても異なっていても良い。また、前記一般式(1)及び(2)中、Rは水素原子又は炭素数1以上の有機基を示す。
[3]前記一般式(1)及び(2)中、Rがエステル構造を有する基である[2]に記載のポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の製造方法。
[4]前記一般式(1)及び(2)中、Rが下記一般式(3)で表される基である[2]又は[3]に記載のポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の製造方法。
−R−COO−R (3)
前記一般式(3)中、Rはメチレン基又は炭素数2〜10のアルキレン基を示し、Rは炭素数6〜20の芳香環含有炭化水素基を示す。
[5]前記一般式(1)中、Rが電子吸引性基である[2]〜[4]のいずれかに記載のポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の製造方法。
[6]前記一般式(1)中、Rがパラ位のニトロ基又はハロゲン原子である[2]〜[5]のいずれかに記載のポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の製造方法。
本発明のポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の製造方法によれば、ホスゲンを使用せず安全にポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体を製造することができる。
以下、本発明の実施の最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
(I)ポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の製造方法
ポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体は、塩基性基を両末端に有するポリジエンを重合開始剤として用い、その存在下に、カーバメート構造を有するアミノ酸誘導体を重縮合させることで製造することができる。即ち、塩基性基を両末端に有するポリジエンと、カーバメート構造を有するアミノ酸誘導体とを混合し加熱すると、フェノール類又はN−ヒドロキシスクシンイミドと二酸化炭素を脱離して、アミド結合(ペプチド結合)を生成しながら、目的とするポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体が製造される。なお、カーバメート構造を有するアミノ酸誘導体としては、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物を用いることが好ましい。
Figure 2009108277
一般式(1)中、Rは水素原子又は電子吸引性基を示し、nは1〜5の整数を示す。なお、nが2以上の整数である場合には、複数のRは相互に同一であっても異なってい
ても良い。また、一般式(1)及び(2)中、Rは水素原子又は炭素数1以上の有機基を示す。
一般式(1)中、Rとして表される基は、水素原子又は電子吸引性基であり、電子吸引性基であることが好ましい。一般式(1)中、Rとして表される基が電子吸引性基であると、カーバメート構造上のカルボニル炭素の電子密度を低下させ、当該カルボニル炭素への求核攻撃を容易にする効果がある。このような電子吸引性基としては、例えば、ニトロ基、塩素原子等のハロゲン原子、置換されても良いパーフルオロアルキル基、置換されても良いパークロロアルキル基、エステル基、スルホン酸エステル基、アセチル基、シアノ基、ベンゾイル基等がある。これらの中でも、ニトロ基、ハロゲン原子、ハロゲン置換アルキル基、スルホン酸エステル基であることが好ましく、パラ位のニトロ基又はハロゲン原子であることが更に好ましい。一方で、一般式(1)中、Rとして表される基が水素原子であると、カーバメート構造上のカルボニル炭素への求核攻撃を容易にする効果はないが、取り扱い易さの面で優れている場合がある。
一般式(1)及び(2)中、Rとして表される基は、水素原子又は炭素数1以上の有機基であり、エステル構造を有する基であることが好ましく、下記一般式(3)で表される基であることが更に好ましい。
−R−COO−R (3)
一般式(3)中、Rはメチレン基又は炭素数2〜10のアルキレン基を示し、Rは炭素数6〜20の芳香環含有炭化水素基を示す。
一般式(3)中、Rとして表される基のうち、炭素数2〜10のアルキレン基としては、例えば、プロピレン基、ブチレン基等がある。また、一般式(3)中、Rとして表される基のうち、炭素数6〜20の芳香環含有炭化水素基としては、例えば、ベンジル基がある。
カーバメート構造を有するアミノ酸誘導体の重縮合反応は、適当な溶媒の存在下行うことができる。このような溶媒として、具体例には、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒;テトラヒドロフラン、シクロペンタンモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒等が挙げられる。これらの中でも、高い誘電率と水素結合能を有する溶媒は、重合を促進し、高い収率及び高い重合度を与えるため好ましい。より具体的には、アミド系溶媒及びスルホキシド系溶媒を用いることが好ましい。溶媒の使用量は、カーバメート構造を有するアミノ酸誘導体100質量部に対し、20質量部〜500質量部であることが好ましく、25質量部〜200質量部であることが更に好ましい。溶媒の使用量が20質量部未満であると、カーバメート構造を有するアミノ酸誘導体が十分に溶解しない場合がある。一方、溶媒の使用量が500質量部超であると、反応速度が著しく低下する場合がある。
カーバメート構造を有するアミノ酸誘導体の重縮合反応は、特に触媒を必要としないが、触媒が存在した場合、著しい反応速度の上昇及び反応温度の低下が可能となる。触媒としては、塩基性化合物を用いることができる。例えば、モレキュラーシーブ等のゼオライト類;炭化水素ナトリウム等の塩基性アルカリ金属塩類;トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等の3級アミン化合物;ピリジン等の芳香族アミン化合物;メチルピロリドン、ポリビニルピロリドン等のピロリドン化合物等を用いることができる。
カーバメート構造を有するアミノ酸誘導体の重縮合反応に触媒を用いない場合、反応温度は、50℃〜110℃であることが好ましく、55℃〜80℃であることが更に好ましい。また、反応時間は、3時間〜200時間であることが好ましく、12時間〜96時間であることが更に好ましく、24時間〜72時間であることが特に好ましい。一方、触媒を用いた場合、反応温度は10℃〜110℃であることが好ましく、30℃〜80℃であることが更に好ましく、50℃〜70℃であることが特に好ましい。また、反応時間は、3時間〜200時間であることが好ましく、5時間〜72時間であることが更に好ましく、10時間〜48時間であることが特に好ましい。触媒の存在下、反応温度が10℃未満であると、反応が十分に進行しない場合がある。一方、反応温度が110℃超であると、原料であるカーバメート構造を有するアミノ酸誘導体が分解する場合がある。また、反応時間が3時間未満であると、重合反応が十分に進行しない場合がある。一方、反応時間が200時間超であると、好ましくない2次的な反応が進行する場合がある。
ポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の重量平均分子量は、通常、5,000〜150,000であり、10,000〜50,000であることが好ましい。分子量分布(Mw/Mn)は、通常、1.0〜3.0であり、1.0〜1.6であることが好ましい。ポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の重量平均分子量は、反応温度等により、また、分子量分布は原料と溶媒の質量比、反応温度の段階的変化等により、容易に調整することができる。
(1)塩基性基を両末端に有するポリジエン
塩基性基を両末端に有するポリジエンは、共役ジエン化合物を重合して得たポリジエンの両末端に塩基性基を有しているものである。本発明においては、ポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の製造方法における重縮合反応の開始剤として用いられる。共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン等がある。これらの中でも、ポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の強度や柔軟性等の物理的性質が優れるという点でイソプレンを用いることが好ましい。共役ジエン化合物は1種単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、塩基性基としては、例えば、アミノ基、水酸基、チオール基等がある。これらの中でも、アミノ基が好ましい。
ポリジエンの数平均分子量は1,000〜1,000,000であることが好ましく、3,000〜100,000であることが更に好ましい。ポリジエンの数平均分子量が1,000未満であると、得られるポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の破断伸び等の物理的性質が劣るという場合がある。一方、ポリジエンの数平均分子量が1,000,000超であると、得られるポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の生体適合性が劣るという場合がある。また、共役ジエン化合物としてイソプレンを用いた場合には、柔軟性の点から、イソプレン単位の結合の内、シス1,4結合とトランス1,4結合の合計の割合は20%以上であることが好ましく、30%以上であることが更に好ましい。
ポリジエンは、例えば、ラジカル重合反応、アニオン重合反応、カチオン重合反応等を行うことで合成することができる。これらの中でも、ポリジエンの両末端に塩基性基を導入する必要があるため、アニオン重合反応を行うことが好ましい。
アニオン重合反応の開始剤としては、例えば、1官能性アニオン重合反応開始剤や2官能性アニオン重合反応開始剤等がある。1官能性アニオン重合反応開始剤として、具体的には、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属;n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等のアルキル化アルカリ金属等を挙げることができる。2官能性アニオン重合反応開始剤は、例えば、以下のようにして合成することができる。ヘキサン、シクロヘキサン又はトルエン等の非極性溶媒中、ジビニルベンゼンやメチルビニルベンゼン等の官能基を2つ有する芳香族炭化水素化合物を、n−ブチルリチウムやsec−ブチルリチウム等のアルキルモノリチウムと反応させることで合成することができる。なお、2官能性アニオン重合反応開始剤の析出を防止する目的として、トリエチルアミン等のアミン類やエーテル類等の極性溶媒を添加することも好ましい。
塩基性基をポリジエンの両末端に導入する方法としては、例えば、ポリジエンの両末端に塩基性基以外の官能基を導入し、化学反応により導入した官能基を塩基性基に変換する方法や、重合反応時に塩基性基をポリジエンの両末端に導入する方法等がある。化学反応の際に起きる副反応の問題から、重合反応時に塩基性基をポリジエンの両末端に導入する方法を用いることが好ましい。
重合反応時に塩基性基をポリジエンの両末端に導入する方法としては、例えば、2官能性アニオン重合反応開始剤を用いて共役ジエン化合物を重合させた後、得られたポリジエンの両末端に塩基性基を導入する方法や、塩基性基を有する1官能性アニオン重合反応開始剤を用いて共役ジエン化合物を重合させて、一方の末端にのみ塩基性基を有するポリジエンを得た後、当該ポリジエン同士をカップリングさせる方法等がある。製造方法の簡便さから、2官能性アニオン重合反応開始剤を用いて共役ジエン化合物を重合させた後、得られたポリジエンの両末端に塩基性基を導入する方法が好ましい。
塩基性基として、アミノ基を導入する方法としては、例えば、ポリジエンの重合末端と、1級アミノ基又は3級アミノ基を有するアニオン反応性化合物とを反応させる方法がある。1級アミノ基を有するアニオン反応性化合物として、具体的には、3−ブロモプロピルアミン、3−クロロプロピルアミン、2−ブロモエチルアミン等が挙げられる。3級アミノ基を有するアニオン反応性化合物として、具体的には、2,2,5,5−テトラメチル−1−(3−ブロモプロピル)−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、2,2,5,5−テトラメチル−1−(3−クロロプロピル)−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン等が挙げられる。一般に、副反応の防止、収率等の観点から、3級アミノ基を有するアニオン反応性化合物を用いることが好ましい。なお、3級アミノ基を有するアニオン反応性化合物を用いた場合には、ポリジエンの重合末端に3級アミノ基を導入した後、脱保護を行って3級アミノ基を1級アミノ基とする必要がある。
ポリジエンの末端に導入した3級アミノ基を脱保護するには、周知の方法を用いれば良い。例えば、上記の3級アミノ基を有するアニオン反応性化合物を用いた際には、水又はアルコール類を添加することで脱保護を行うことができる。
(2)カーバメート構造を有するアミノ酸誘導体
カーバメート構造を有するアミノ酸誘導体は、通常、適当な溶媒の存在下、アミノ酸又はアミノ酸誘導体と、環状構造及び−COO−で表される2価の基を有する化合物(以下、「特定環状化合物」ともいう)から合成することができる。なお、特定環状化合物は、アミノ酸又はアミノ酸誘導体1molに対して、0.1mol〜10mol使用することが好ましく、0.5mol〜1.5mol使用することが更に好ましい。特定環状化合物の使用量が0.1mol未満であると、反応が十分に進行しない場合がある。一方、特定環状化合物の使用量が10mol超であると、精製時に反応系から余剰の特定環状化合物を分離することが困難になる場合がある。
溶媒として、具体例には、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒;テトラヒドロフラン、シクロペンタンモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒等が挙げられる。溶媒の使用量は、アミノ酸又はアミノ酸誘導体と特定環状化合物の合計量100質量部に対し、10質量部〜1,500質量部であることが好ましく、20質量部〜100質量部であることが更に好ましい。使用量が10質量部未満であると、特定環状化合物の溶解度が十分ではない場合がある。一方、使用量が1,500質量部超であると、反応が極めて遅くなる場合がある。
また、カーバメート構造を有するアミノ酸誘導体の合成反応は、大気下で実施することが可能である。しかし、使用する化合物又は生成物が大気中の水分により分解するものがあるため、アルゴン又は窒素等の不活性気体雰囲気下で実施することが望ましい。反応温度は10℃〜110℃であることが好ましく、20℃〜70℃であることが更に好ましく、30℃〜60℃であることが特に好ましい。反応温度が10℃未満であると、反応が極めて遅い場合がある。一方、反応温度が110℃超であると、カーバメート構造を有するアミノ酸誘導体の融解とともに急速な分解が生じる場合がある。また、反応時間は、1時間〜100時間であることが好ましく、10時間〜60時間であることが更に好ましく、20時間〜50時間であることが特に好ましい。反応時間が1時間未満であると、十分に反応が進行していない場合がある。一方、反応時間が100時間超であると、好ましくない2次的な反応が進行する場合がある。
このようにして合成したカーバメート構造を有するアミノ酸誘導体としては、「(I)ポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の製造方法」にて記載の、一般式(1)又は(2)で表される化合物であることが好ましい。より具体的には、N−(フェノキシカルボニル)−γ−ベンジル−L−グルタメート、N−(フェノキシカルボニル)−β−ベンジル−L−アスパルテート、N−(フェノキシカルボニル)−L−ロイシン、N−(フェノキシカルボニル)−L−フェニルアラニン、N−(フェノキシカルボニル)−L−プロリン、N−(フェノキシカルボニル)−O−ベンジル−L−チロシン、N−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−γ−ベンジル−L−グルタメート、N−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−β−ベンジル−L−アスパルテート、N−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−L−ロイシン、N−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−L−フェニルアラニン、N−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−L−プロリン、N−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−O−ベンジル−L−チロシン等が挙げられる。
(2−1)アミノ酸又はアミノ酸誘導体
アミノ酸及びアミノ酸誘導体としては、天然及び非天然由来のアミノ酸類が挙げられる。具体的には、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、グルタミン酸−γ−ベンジル、グルタミン酸−γ−メチル、ε−カルボベンゾキシ−リジン、β−ベンジルアスパラギン酸等の天然アミノ酸及びその活性水素置換アミノ酸;前述の天然アミノ酸のD−異性体である非天然アミノ酸等が挙げられる。ポリアミノ酸ブロックがα−へリックス構造をとることは、ポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体が生体適合性に優れる場合があるため好ましい。そのため、アミノ酸又はアミノ酸誘導体として、L−グルタミン酸−γ−ベンジル、L−グルタミン酸−γ−メチル、ε−カルボベンゾキシ−L−リジン、L−アラニン、L−ロイシン、L−イソロイシン等を用いることが好ましい。
アミノ酸及びアミノ酸誘導体が複数個のカルボキシル基又はアミノ基を有する場合には、反応に関与するカルボキシル基又はアミノ基以外を保護することが好ましい。保護方法は周知の方法で良く、カルボキシル基を保護する際には、メチル基、エチル基、ベンジル基、tert−ブチル基等でエステル化する方法等がある。アミノ基を保護する際には、カルボベンジルオキシ基、tert−ブトキシカルボニル基、ベンゾイル基、アセチル基等で保護する方法がある。
(2−2)特定環状化合物
特定環状化合物として、具体的には、下記一般式(3)若しくは(4)で表される化合物、又は式(5)で表される化合物を用いることが好ましい。
Figure 2009108277
Figure 2009108277
一般式(3)中、Xは塩素原子等のハロゲン原子、Rは水素原子又は電子吸引性基を示し、nは1〜5の整数を示す。一般式(3)中のR、nは一般式(1)中のR、nと同一である。なお、nが2以上の整数である場合には、複数のRは相互に同一であっても異なっていても良い。
一般式(4)中、R及びRは水素原子又は電子吸引性基を示し、a、bは1〜5の整数を示し、a、bは相互に同一であっても異なっていても良い。なお、a及びbが2以上の整数である場合には、複数のR及びRは相互に同一であっても異なっていても良い。
一般式(3)中、Rとして表される基、及び一般式(4)中、R、Rとして表される基が電子吸引性基であることは、カーバメート構造上のカルボニル炭素の電子密度を低下させ、当該カルボニル炭素への求核攻撃を容易にする効果がある。このような電子吸引性基として、例えば、ニトロ基、塩素原子等のハロゲン原子、置換されても良いパーフルオロアルキル基、置換されても良いパークロロアルキル基、エステル基、スルホン酸エステル基、アセチル基、シアノ基、ベンゾイル基等がある。これらの中でも、ニトロ基、ハロゲン原子、ハロゲン置換アルキル基、スルホン酸エステル基であることが好ましく、パラ位のニトロ基又はハロゲン原子であることが更に好ましい。一方で、一般式(3)中、Rとして表される基、及び一般式(4)中、R、Rとして表される基が全て水素原子の場合、カーバメート構造上のカルボニル炭素への求核攻撃を容易にする効果はないが、取り扱い易さの面で優れている場合がある。
一般式(3)で表される化合物として、具体的には、フェノキシカルボニルクロライド、4−ニトロフェノキシカルボニルクロライド、2,4−ジニトロフェノキシカルボニルクロライド、4−ニトロフェノキシカルボニルブロマイド、ペンタフルオロフェノキシカルボニルクロライド等が挙げられる。
一般式(4)で表される化合物として、具体例には、ビス(ペンタフルオロフェニル)カーボネートが挙げられる。
(II)ポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の成膜
ポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体を成膜する方法は特に限定されるものではなく、例えば、溶液流延法がある。このような溶液流延法による成膜で、ポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体を調製するのに用いられる溶媒は、ポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体を溶解するものであれば特に限定されるものではないが、ポリジエン類の良溶媒であり、ポリアミノ酸ブロックにα−へリックス構造をとらせやすい溶媒を用いることが好ましい。このような溶媒としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ベンゼン、トリフルオロエタノール、ジメチルホルムアミド等がある。
溶液流延法においては、一般に、ガラスや金属等の板上に、ポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体溶液を流延して、高圧環境下等で溶媒を留去する。流延の際に、溶液濃度は、0.1質量%〜5質量%である。溶液濃度が5質量%超であると、均一な厚さで成膜することが困難だったり、操作性が悪くなったりする場合がある。一方、溶液濃度が0.1質量%未満であると、十分な厚さの膜を得るのが困難になる場合がある。また、溶媒の除去方法は特に限定されないが、通常、室温で溶媒を揮散させた後、減圧下で十分に乾燥する。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、各種物性値の測定方法、及び諸特性の評価方法を以下に示す。
[1,4結合含有率、1,2結合含有率、3,4結合含有率、数平均分子量(g/mol)、及び変性率(%)]:500MHz核磁気共鳴スペクトル分析装置(商品名「ECX−500」、日本電子社製)を使用し、乾燥したアミノ基を両末端に有するポリジエン100mgを重クロロホルム0.75mLに溶解して得た測定用資料を分析することにより測定した。
[分子量分布(Mw/Mn)]:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)(カラム:商品名「HLC−8120」、東ソー・ファインケム社製)を使用し、40℃の温度条件下、テトラヒドロフランを溶媒として使用し、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した。測定したMwとMnの値から、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
[引張強度(MPa)及び伸び(%)]:クロロホルム100部にポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体3部を溶解して得た溶液をガラス板上に流延した後、室温でクロロホルムを揮散させ、減圧下で十分に乾燥させることで、厚さ約30μmのフィルムを得た。得られたフィルムを用いてJIS K−7113−1981に準じて引張試験を行い、測定した。
[赤外スペクトル測定]:堀場製作所社製の「FT−720」を用いて測定した。
[元素分析]:J−サイエンスラボ社製の「JM10」を用いて測定した。
(合成例1)
300mlのガラス製反応容器に、1,3−ビス(ジフェニルエテニル)ベンゼン3.0gと脱水したシクロヘキサン−ヘプタン混合溶液100mLを加え、sec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液(1.3mol/L)18.5mLを添加した。3時間攪拌して、アニオン重合反応開始剤溶液を調製した。
500mLの耐圧ガラス製反応容器に、脱水したシクロヘキサン−ヘプタン混合溶液285mLとテトラヒドロフラン9.12mLを加え、調製したアニオン重合反応開始剤溶液を0.1ml加えて溶媒中の微量の水分を除去した後、更に調製したアニオン重合反応開始剤溶液を51.7mL加えた。反応溶液が赤褐色になった後、脱水したイソプレン36.0gを加え、50℃で30分振蕩し重合させた。この反応溶液に、N−(トリメチルシリル)ベンズアルジミン2.0gを加え、更に75℃以上で3時間振蕩させてポリイソプレンの両末端に保護化アミノ基を導入した。脱気したメタノール2mLを添加したところ、反応液は暗赤色から緑色へと変化したため、系中の不活性化を確認することができた。反応後の上澄み液を濃縮し、シクロヘキサンとメタノールを用いて再沈殿操作を数回行った後、濃塩酸を用いてpH1とし、室温下で3時間攪拌することによりポリイソプレンの両末端上の保護化アミノ基の脱シリル化反応を行った。その後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和し、シクロヘキサンとメタノールを用いて再沈殿操作を数回繰り返して精製した。減圧下溶媒を留去し、更に60℃で十分に乾燥することで、アミノ基を両末端に有するポリイソプレン(ポリイソプレン(1))29.2gを得た。
ポリイソプレン(1)の分子量分布は、1.45であった。また、核磁気共鳴スペクトル分析による、数平均分子量は9,200g/molであり、127個のイソプレン単位から成るものであることが判明した。なお、平均すると変性率(アミノ基導入率)は86%であった。また、ポリイソプレンブロックでのイソプレン同士の結合含有率は1,4結合含有率が34%、1,2結合含有率が6%、3,4結合含有率が60%であった。
(合成例2)
シクロヘキサン−ヘプタン混合溶液219mL、調製したアニオン重合反応開始剤溶液118.1mL、及びN−(トリメチルシリル)ベンズアルジミン4.56gを加えたこと以外は合成例1と同様に実験操作を行い、アミノ基を両末端に有するポリイソプレン(ポリイソプレン(2))32.7gを得た。
ポリイソプレン(2)の分子量分布は、1.65であった。また、核磁気共鳴スペクトル分析による、数平均分子量は4,600g/molであり、534個のイソプレン単位から成るものであることが判明した。なお、平均すると変性率(アミノ基導入率)は91%であった。また、ポリイソプレンブロックでのイソプレン同士の結合は、1,4結合含有率が32%、1,2結合含有率が7%、3,4結合含有率が61%であった。
(合成例3)
シクロヘキサン−ヘプタン混合溶液130mL、調製したアニオン重合反応開始剤溶液206.6mL、及びN−(トリメチルシリル)ベンズアルジミン7.98gを加えたこと以外は合成例1と同様に実験操作を行い、アミノ基を両末端に有するポリイソプレン(ポリイソプレン(3))20.2gを得た。
ポリイソプレン(3)の分子量分布は、1.62であった。また、核磁気共鳴スペクトル分析による、数平均分子量は2,900g/molであり、42個のイソプレン単位から成るものであることが判明した。なお、平均すると変性率(アミノ基導入率)は93%であった。また、ポリイソプレンブロックでのイソプレン同士の結合は、1,4結合含有率が34%、1,2結合含有率が7%、3,4結合含有率が59%であった。
(合成例4)
イソプレンの代わりにブタジエン36.0gを添加したこと以外は合成例1と同様に実験操作を行い、アミノ基を両末端に有するポリブタジエン(ポリブタジエン)30.8gを得た。
ポリブタジエンの分子量分布は、1.15であった。また、核磁気共鳴スペクトル分析による、数平均分子量は9,200g/molであり、684個のブタジエン単位から成るものであることが判明した。なお、平均すると変性率(アミノ基導入率)は90%であった。また、ポリブタジエンブロックでのブタジエン同士の結合は、1,4結合含有率が37%、1,2結合含有率が63%であった。
Figure 2009108277
(実施例1)
窒素雰囲気下、ジムロート冷却器を装着した300mLのナスフラスコにγ−ベンジル−L−グルタメート23.73g(100mmol)、クロロギ酸4−ニトロフェニル20.16g(100mmol)、及び酢酸エチル200mLを加え、45℃で24時間加熱撹拌した。24時間後、反応溶液を1Lの分液ロートに移し、蒸留水と飽和食塩水でそれぞれ3回ずつ洗浄し、有機層を分取して無水硫酸マグネシウムを加え1時間脱水した。1時間後、濾紙を用いて硫酸マグネシウムを濾過し、得られた濾液から減圧下溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル/n−ヘキサン(2/5 (v/v))で再結晶した。得られた結晶を室温にて真空乾燥し、N−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−L−グルタミン酸−γ−ベンジルを14.1g得た。
合成例1で得たポリイソプレン(1)920mgの、ジメチルアセトアミド1部とシクロヘキサン1部の混合溶液10g中に、N−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−L−グルタミン酸−γ−ベンジル4025mgを加え、60℃で8時間重合させた。この混合溶液を、メタノール1L中に加えて沈殿物を生じさせ、室温、3,500rpm、10分の条件化で遠心分離を行うことにより粗生成物を得た。この粗生成物を室温、減圧下で十分に乾燥させた後、再度ジクロロメタンに溶解し、ヘキサン1L中に加えて再沈殿を行った。室温、3,500rpm、10分の条件化で遠心分離を行うことにより生成物を取り出し、室温、減圧下で十分に乾燥させることで、ポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレンブロック共重合体2.0gを得た。
得られたポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレンブロック共重合体を用いて元素分析、赤外スペクトル測定、及び引張強度試験を行った。元素分析値によれば、このポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレンブロック共重合体中のポリ(L−グルタミン酸−γ−ベンジル)とポリイソプレンの質量比は79.4/20.6であった。また、赤外スペクトル分析により、このポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレンブロック共重合体中のポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)ブロックがα−へリックス構造をとっていることが確認された。引張強度試験の結果については表3に示す。
(実施例2)
合成例2で得たポリイソプレン(2)460mgを用いて、実施例1と同様に実験操作を行い、ポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレンブロック共重合体1.87gを得た。
得られたポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレンブロック共重合体を用いて元素分析、赤外スペクトル測定、及び引張強度試験を行った。元素分析値によれば、このポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレンブロック共重合体中のポリ(L−グルタミン酸−γ−ベンジル)とポリイソプレンの質量比は88.4/11.6であった。また、赤外スペクトル分析により、このポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレンブロック共重合体中のポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)ブロックがα−へリックス構造をとっていることが確認された。引張強度試験の結果については表3に示す。
(実施例3)
合成例3で得たポリイソプレン(3)290mgを用いて、実施例1と同様に実験操作を行い、ポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレンブロック共重合体2.3gを得た。
得られたポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレンブロック共重合体を用いて元素分析、赤外スペクトル測定、及び引張強度試験を行った。元素分析値によれば、このポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレンブロック共重合体中のポリ(L−グルタミン酸−γ−ベンジル)とポリイソプレンの質量比は90.2/9.8であった。また、赤外スペクトル分析により、このポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレンブロック共重合体中のポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)ブロックがα−へリックス構造をとっていることが確認された。引張強度試験の結果については表3に示す。
(実施例4)
合成例4で得たポリブタジエン920mgを用いて、実施例1と同様に実験操作を行い、ポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリブタジエンブロック共重合体2.13gを得た。
得られたポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリブタジエンブロック共重合体を用いて元素分析、赤外スペクトル測定、及び引張強度試験を行った。元素分析値によれば、このポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリブタジエンブロック共重合体中のポリ(L−グルタミン酸−γ−ベンジル)とポリブタジエンの質量比は83.4/16.6であった。また、赤外スペクトル分析により、このポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリブタジエンブロック共重合体中のポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)ブロックがα−へリックス構造をとっていることが確認された。引張強度試験の結果については表3に示す。
(実施例5)
窒素雰囲気下、ジムロート冷却器を装着した300mLのナスフラスコにγ−ベンジル−L−グルタメート23.73g(100mmol)とテトラヒドロフラン100mLを加えた。更に、ビス(ペンタフルオロフェニル)カーボネート39.4g(100mmol)を加え、60℃で40時間加熱撹拌した。40時間後、溶媒を減圧下留去し、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、N−(ペンタフルオロフェノキシカルボニル)−L−グルタミン酸−γ−ベンジルを20.1g得た。
N−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−L−グルタミン酸−γ−ベンジル4025mgの代わりにN−(ペンタフルオロフェノキシカルボニル)−L−グルタミン酸−γ−ベンジルを2965mg用いたこと以外は実施例1と同様に実験操作を行い、ポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレンブロック共重合体1.49gを得た。
得られたポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレンブロック共重合体を用いて元素分析、赤外スペクトル測定、及び引張強度試験を行った。元素分析値によれば、このポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレンブロック共重合体中のポリ(L−グルタミン酸−γ−ベンジル)とポリイソプレンの質量比は76.2/23.8であった。また、赤外スペクトル分析により、このポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレンブロック共重合体中のポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)ブロックがα−へリックス構造をとっていることが確認された。引張強度試験の結果については表3に示す。
(実施例6)
窒素雰囲気下、ジムロート冷却器を装着した300mLのナスフラスコにγ−ベンジル−L−グルタメート23.73g(100mmol)とテトラヒドロフラン1000mLを加えた。更に、ビス(サクシンイミジル)カーボネート25.6g(100mmol)を添加し、60℃で2時間加熱撹拌した。2時間後、溶媒を減圧下留去し、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、N−(サクシンイミジノキシカルボニル)−γ−ベンジル−L−グルタメートを34.1g得た。
N−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−L−グルタミン酸−γ−ベンジル4025mgの代わりにN−(サクシンイミジノキシカルボニル)−γ−ベンジル−L−グルタメートを3785mg用いたこと以外は実施例1と同様に実験操作を行い、ポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレンブロック共重合体1.52gを得た。
得られたポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレンブロック共重合体を用いて元素分析、赤外スペクトル測定、及び引張強度試験を行った。元素分析値によれば、このポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレンブロック共重合体中のポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)とポリイソプレンの質量比は75.8/24.2であった。また、赤外スペクトル分析により、このポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレンブロック共重合体中のポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)ブロックがα−へリックス構造をとっていることが確認された。引張強度試験の結果については表3に示す。
(実施例7)
γ−ベンジル−L−グルタメート23.73g(100mmol)の代わりにL−フェニルアラニン16.53g(100mmol)を用いたこと以外は実施例1と同様に実験操作を行い、N−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−L−フェニルアラニン15.9gを得た。
N−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−L−グルタミン酸−γ−ベンジル4025mgの代わりにN−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−L−フェニルアラニンを3305mg用いたこと以外は実施例1と同様に実験操作を行い、ポリ(L−フェニルアラニン)−ポリイソプレンブロック共重合体1.62gを得た。
得られたポリ(L−フェニルアラニン)−ポリイソプレンブロック共重合体を用いて元素分析、赤外スペクトル測定、及び引張強度試験を行った。元素分析値によれば、このポリ−L−フェニルアラニン−ポリイソプレンブロック共重合体中のポリ(L−フェニルアラニン)とポリイソプレンの質量比は85.0/15.0であった。また、赤外スペクトル分析により、このポリ(L−フェニルアラニン)−ポリイソプレンブロック共重合体中のポリ(L−フェニルアラニン)ブロックがα−へリックス構造をとっていることが確認された。引張強度試験の結果については表3に示す。
(実施例8)
窒素雰囲気下、ジムロートを装着した300mLのナスフラスコに、β−ベンジル−L−アスパルテート22.33g(100mmol)、クロロギ酸4−ニトロフェニル20.16g(100mmol)及び酢酸エチル200mLを加え、45℃で24時間加熱攪拌した。24時間後、反応溶液を1Lの分液ロートに移し、蒸留水と飽和食塩水でそれぞれ3回ずつ洗浄した。有機層を分取して無水硫酸マグネシウムを加え、1時間脱水した。1時間後、濾紙を用いて硫酸マグネシウムを濾過し、得られた濾液から減圧下で溶媒を留去した。残渣をクロロホルムに溶解し、カラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/アセトン 9/1 (v/v))にて精製することでN−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−β−ベンジル−L−アスパルテート10.8gを得た。
N−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−L−グルタミン酸−γ−ベンジル4025mgの代わりにN−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−β−ベンジル−L−アスパルテートを3885mg用いたこと以外は実施例1と同様に実験操作を行い、ポリ(β−ベンジル−L−アスパルテート)−ポリイソプレンブロック共重合体1.71gを得た。
得られたポリ(β−ベンジル−L−アスパルテート)−ポリイソプレンブロック共重合体を用いて元素分析、赤外スペクトル測定、及び引張強度試験を行った。元素分析値によれば、このポリ(β−ベンジル−L−アスパルテート)−ポリイソプレンブロック共重合体中のポリ(β−ベンジル−L−アスパルテート)とポリイソプレンの質量比は80.3/19.7であった。また、赤外スペクトル分析により、このポリ(β−ベンジル−L−アスパルテート)−ポリイソプレンブロック共重合体のポリ(β−ベンジル−L−アスパルテート)ブロックがα−へリックス構造をとっていることが確認された。引張強度試験の結果については表3に示す。
(実施例9)
窒素雰囲気下、ジムロート冷却器を装着した300mLのナスフラスコにL−イソロイシン13.13g(100mmol)とテトラヒドロフラン1000mLを加えた。更に、ビス(4−ニトロフェニル)カーボネート30.4g(100mmol)を添加し、60℃で20時間加熱撹拌した。20時間後、溶媒を留去し、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、N−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−L−イソロイシン8.3gを得た。
N−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−L−グルタミン酸−γ−ベンジル4025mgの代わりにN−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−L−イソロイシンを2965mg用いたこと以外は実施例1と同様に実験操作を行い、ポリ(L−イソロイシン)−ポリイソプレンブロック共重合体1.54gを得た。
得られたポリ(L−イソロイシン)−ポリイソプレンブロック共重合体を用いて元素分析、赤外スペクトル測定、及び引張強度試験を行った。元素分析値によれば、このポリ(L−イソロイシン)−ポリイソプレンブロック共重合体中のポリ(L−イソロイシン)とポリイソプレンの質量比は88.1/11.9であった。また、赤外スペクトル分析により、このポリ(L−イソロイシン)−ポリイソプレンブロック共重合体中のポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)ブロックがα−へリックス構造をとっていることが確認された。引張強度試験の結果については表3に示す。
Figure 2009108277
Figure 2009108277
表3に示すように、ホスゲンを用いることなく合成したカーバメート構造を有するアミノ酸誘導体を用いても、目的とするポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体が中程度から良好な収率で得られることがわかる。
本発明は、ホスゲンを用いることなく、安全にポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体を製造することができ、このようにして得られるポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体は、その性質から医療材料等に使用可能な樹脂として利用が期待できる。

Claims (6)

  1. 塩基性基を両末端に有するポリジエンの存在下に、
    カーバメート構造を有するアミノ酸誘導体を重合させるポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の製造方法。
  2. 前記アミノ酸誘導体が、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物である、請求項1に記載のポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の製造方法。
    Figure 2009108277
    (前記一般式(1)中、Rは水素原子又は電子吸引性基を示し、nは1〜5の整数を示す。なお、nが2以上の整数である場合には、複数のRは相互に同一であっても異なっていても良い。また、前記一般式(1)及び(2)中、Rは水素原子又は炭素数1以上の有機基を示す。)
  3. 前記一般式(1)及び(2)中、Rがエステル構造を有する基である請求項2に記載のポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の製造方法。
  4. 前記一般式(1)及び(2)中、Rが下記一般式(3)で表される基である請求項2又は3に記載のポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の製造方法。
    −R−COO−R (3)
    (前記一般式(3)中、Rはメチレン基又は炭素数2〜10のアルキレン基を示し、Rは炭素数6〜20の芳香環含有炭化水素基を示す。)
  5. 前記一般式(1)中、Rが電子吸引性基である請求項2〜4のいずれか一項に記載のポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の製造方法。
  6. 前記一般式(1)中、Rがパラ位のニトロ基又はハロゲン原子である請求項2〜5のいずれか一項に記載のポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の製造方法。
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