JP2009106102A - 誘導電動機の制御装置 - Google Patents

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寿江 菊地
Hidehiko Sugimoto
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Abstract

【課題】一次抵抗が変動する場合においても、誘導電動機の内部の二次磁束と、制御装置内で算出される二次磁束との間の誤差を低減する。
【解決手段】軸ずれ補償器300は、励磁電流PI演算出力値P21とトルク電流PI演算出力値P22を成分とするベクトルの方向が一次電流ベクトルの方向に近づくように、一次周波数指令値P11を補償する一次周波数補償値P23を算出し、加算器63は、すべり周波数・一次周波数演算手段160にて算出された一次周波数指令値P11と、軸ずれ補償器300にて算出された一次周波数補償値P23とを加算することにより、一次周波数指令値P24を算出する。
【選択図】 図1

Description

本発明は誘導電動機の制御装置に関し、特に、ベクトル制御にて誘導電動機を加変速制御する方法に適用して好適なものである。
誘導電動機は極数と周波数によって定まる回転数がほぼ一定、構造が簡単で堅牢であり、保安性および耐環境性に優れ、コストパフォーマンスが高いことから、民生・産業機械の動力源として広く使用されている。そして、ファンやポンプなどの動力源では省エネルギー等の手段として可変速度の運転が活用され、可変速を行う制御方式として、V/F制御とベクトル制御が主に使用されている。ここで、V/F制御では、構成が簡単で調整も容易である一方で、オープンループ制御であるために、制御応答性が高くとれないなどの制約がある。これに対して、ベクトル制御では、すべり周波数制御に加えて電流位相を変化させることで、過渡的な負荷変動に対しても磁束を不変にすることができ、高速応答を得ることができる。
例えば、特許文献1には、軸ずれ補償技術を用いたすべり周波数形ベクトル制御による誘導電動機の制御装置が開示されている。
図10は、従来の軸ずれ補償技術を用いたすべり周波数形ベクトル制御による誘導電動機の制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図10において、誘導電動機40には、スイッチング動作によって直流を可変電圧可変周波数の交流に変換するインバータ10が接続され、誘導電動機40の回転軸には負荷45が接続され、インバータ10には、PWM(Pulse Width Modulation)方式にてインバータ10をスイッチング制御する制御装置5が接続されている。そして、誘導電動機40の入力側には、インバータ10から出力される交流の電圧を検出する電圧検出手段20、インバータ10から出力される交流の電流を検出する電流検出手段30が設けられ、負荷45側には、誘導電動機40の回転速度を検出する速度検出手段50が設けられている。
ここで、誘導電動機の制御装置5には、トルク電流指令値作成手段90、電流制御手段100、d−q/三相座標変換手段130、三相/d−q座標変換手段140、すべり周波数・一次周波数演算手段160、軸ずれ補償器150、加算器63、積分器170が設けられている。
なお、以下の説明では、励磁軸としてγ軸またはd軸と表記することもあり、トルク軸としてδ軸またはq軸と表記することもある。また、以下の説明では、励磁軸方向の値についてはγまたはdというサフィックスを付し、トルク軸方向の値についてはδまたはqというサフィックスを付し、1次側の値については1またはsというサフィックスを付し、2次側の値については2またはrというサフィックスを付した。
そして、トルク電流指令値作成手段90は、制御装置5に入力される励磁電流指令値P1とトルク指令値P2からトルク電流指令値P0を作成することができる。なお、励磁電流指令値P1をi* 1d、トルク指令値P2をT*、トルク電流指令値P0をi* 1qとすると、以下の(1)式にてトルク電流指令値P0を求めることができる。
* 1q=T*2/(pM2* 1d) ・・・(1)
ただし、
M:励磁インダクタンス
2:二次インダクタンス
p:極対数
である。
三相/d−q座標変換手段140は、積分器170から出力された位相角P14に基づいて、電流検出手段30にて検出された三相電流の検出値を変換することで、励磁電流検出値P5およびトルク電流検出値P6を算出するとともに、電圧検出手段20にて検出された三相電圧の検出値を変換することで、励磁軸電圧検出値P7およびトルク軸電圧検出値P8を算出することができる。
電流制御手段100は、三相/d−q座標変換手段140にて算出された励磁電流検出値P5およびトルク電流検出値P6と、励磁電流指令値P1およびトルク電流指令値P0との各偏差がゼロになるように、励磁軸電圧指令値P3およびトルク軸電圧指令値P4をそれぞれ算出することができる。
図11は、図10の電流制御手段の概略構成を示すブロック図である。
図11において、電流制御手段100には、励磁電流PI演算器101、励磁軸補償項演算器103、トルク電流PI演算器102、トルク軸補償項演算器104、減算器105〜107および加算器108が設けられている。
ここで、励磁電流PI演算器101の伝達関数は、Kid/s(σL1s+R1)で与えることができる。トルク電流PI演算器102の伝達関数は、Kiq/s(σL1s+R1)で与えることができる。励磁軸補償項演算器103の伝達関数は、ω1σL1で与えることができる。トルク軸補償項演算器104の伝達関数は、σL1+M2/L2で与えることができる。
そして、減算器105にて励磁電流指令値P1と励磁電流検出値P5との偏差がとられ、励磁電流PI演算器101に入力されるとともに、励磁電流検出値P5はトルク軸補償項演算器104に入力される。また、減算器106にてトルク電流指令値P0とトルク電流検出値P6との偏差がとられ、トルク電流PI演算器102に入力されるとともに、トルク電流検出値P6は励磁軸補償項演算器103に入力される。
そして、励磁電流PI演算器101は、励磁電流指令値P1と励磁電流検出値P5との偏差がゼロになるように励磁電流PI演算出力値P21を算出するとともに、トルク電流PI演算器102は、トルク電流指令値P0とトルク電流検出値P6との偏差がゼロになるようにトルク電流PI演算出力値P22を算出する。
なお、励磁電流PI演算出力値P21をv´1d、トルク電流PI演算出力値P22をv´1qとすると、励磁電流PI演算出力値v´1dおよびトルク電流PI演算出力値v´1qは、以下の(2)式および(3)式にてそれぞれ求めることができる(非特許文献1)。
v´1d=Kid/s(σL1+R1)(i* 1d−i1d) ・・・(2)
v´1q=Kiq/s(σL1+R1)(i* 1q−i1q) ・・・(3)
ただし、
id、Kiq:積分ゲイン
1:一次抵抗
σ=1−M2/L12:漏れ係数
1:一次インダクタンス
* 1d:d軸一次電流指令値
1d:d軸一次電流検出値
* 1q:q軸一次電流指令値
1q:q軸一次電流検出値
である。
そして、励磁電流検出値P5がトルク軸補償項演算器104に入力されると、他の軸へ干渉しないように直交する軸上で発生する磁束による誘起電圧に値に変換され、トルク電流PI演算出力値P22が同じ軸上の電流に対してのみ制御されるように、加算器108に出力される。そして、加算器108にてトルク電流PI演算出力値P22とトルク軸補償項演算器104の出力値が加算され、その加算結果がトルク軸電圧指令値P4として出力される。
また、トルク電流検出値P6が励磁軸補償項演算器103に入力されると、他の軸へ干渉しないように直交する軸上で発生する磁束による誘起電圧に値に変換され、励磁電流PI演算出力値P21が同じ軸上の電流に対してのみ制御されるように、減算器107に出力される。そして、減算器107にて励磁電流PI演算出力値P21から励磁軸補償項演算器103の出力値が減算され、その減算結果が励磁軸電圧指令値P3として出力される。
なお、励磁軸電圧指令値P3をv* 1d、トルク軸電圧指令値P4をv* 1qとすると、励磁軸電圧指令値v* 1dおよびトルク軸電圧指令値v* 1qは、以下の(4)式および(5)式にてそれぞれ求めることができる(非特許文献1)。
* 1d=v´1d−ω1σL11q ・・・(4)
* 1q=v´1q+ω1(σL11d+M/L2Φ2d) ・・・(5)
また、図10において、d−q/三相座標変換手段130は、積分器170から出力された位相角P14に基づいて、励磁軸電圧指令値P3およびトルク軸電圧指令値P4を三相の電圧指令に変換し、インバータ10に出力することができる。
すべり周波数・一次周波数演算手段160は、トルク電流検出値P6を励磁電流検出値P5で除した値を二次時定数の逆数に掛けることにより、誘導電動機40のすべり周波数を算出し、このすべり周波数と、速度検出手段50にて検出された回転速度検出値P10を加算することにより、一次周波数指令値P11を算出することができる。
なお、すべり周波数・一次周波数演算手段160は、すべり周波数をω* se、一次周波数指令値P11をω* 1とすると、以下の(6)式にてすべり周波数ω* se、一次周波数指令値ω* 1を算出することができる。
ω* se=R21q/(L21d)、ω* 1=ωre+ω* se ・・・(6)
ただし、
2:二次抵抗
である。
軸ずれ補償器150は、励磁電流検出値P5、トルク電流検出値P6および励磁軸電圧検出値P7に基づいて誘起電圧の励磁軸成分を算出し、誘導電動機40の二次磁束に基づく軸と、制御装置5内の励磁軸の角度に基づいて一次周波数補償値P12を算出することができる。
図12は、図10の軸ずれ補償器の概略構成を示すブロック図である。
図12において、軸ずれ補償器150には、誘導電圧演算回路151および位置ずれ量演算回路152が設けられている。
ここで、誘起電圧演算回路151には、励磁電流検出値P5、トルク電流検出値P6および励磁軸電圧検出値P7が入力され、励磁軸誘起電圧P51を出力することができる。なお、励磁軸誘起電圧P51をe2dとすると、励磁軸誘起電圧e2dは、以下の(7)式にて求めることができる。
2d=v1d−(R1+d/dtLσ)i1d+ω1Lσi1q ・・・(7)
ただし、
1d:電圧の励磁軸成分
ω1:一次周波数
Lσ:漏れインダクタンス
である。
また、位置ずれ量演算回路152には、一次周波数指令値P11および励磁軸誘起電圧P51が入力され、一次周波数補償値P12を出力することができる。なお、一次周波数補償値P12をΔω1とすると、一次周波数補償値Δω1は、以下の(8)式にて求めることができる。
Δω1=sgn(ω1 *)Kp{e2d+(1/TI)∫e2ddt} ・・・(8)
ただし、
ω1 *:一次周波数指令値
sgn(ω1 *):ω1 *の符号データ
p:比例ゲイン
I:積分時定数
である。
また、図10において、加算器63は、すべり周波数・一次周波数演算手段160から出力された一次周波数指令値P11と、軸ずれ補償器150にて算出された一次周波数補償値P12を加算することにより、一次周波数指令値P13を算出することができる。
積分器170は、加算器63から出力された一次周波数指令値P13を積分することにより、位相角P14を算出することができる。
そして、励磁電流指令値P1およびトルク指令値P2はトルク電流指令値作成手段90に入力されるとともに、励磁電流指令値P1は電流制御手段100に入力される。そして、励磁電流指令値P1およびトルク指令値P2がトルク電流指令値作成手段90に入力されると、トルク電流指令値作成手段90は、(1)式の演算を行うことでトルク電流指令値P0を作成し、電流制御手段100に出力する。
また、電流検出手段30にて検出された三相電流の検出値は三相/d−q座標変換手段140に入力されるとともに、電圧検出手段20にて検出された三相電圧の検出値は三相/d−q座標変換手段140に入力され、積分器170にて算出された位相角P14は三相/d−q座標変換手段140およびd−q/三相座標変換手段130に入力される。そして、三相/d−q座標変換手段140は、積分器170から出力された位相角P14に基づいて、三相電流の検出値を励磁電流検出値P5およびトルク電流検出値P6に変換し、電流制御手段100、すべり周波数・一次周波数演算手段160および軸ずれ補償器150に出力するとともに、三相電圧の検出値を励磁軸電圧検出値P7およびトルク軸電圧検出値P8に変換し、軸ずれ補償器150に出力する。
そして、電流制御手段100は、励磁電流検出値P5およびトルク電流検出値P6を三相/d−q座標変換手段140から受け取り、トルク電流指令値P0をトルク電流指令値作成手段90から受け取り、励磁電流指令値P1を外部から受け取ると、(4)式および(5)式の演算を行うことにより、励磁軸電圧指令値P3およびトルク軸電圧指令値P4をそれぞれ算出し、d−q/三相座標変換手段130に出力する。
そして、d−q/三相座標変換手段130は、励磁軸電圧指令値P3およびトルク軸電圧指令値P4を電流制御手段100から受け取ると、積分器170から出力された位相角P14に基づいて、励磁軸電圧指令値P3およびトルク軸電圧指令値P4を三相の電圧指令に変換し、インバータ10に出力する。また、速度検出手段50にて検出された回転速度検出値P10はすべり周波数・一次周波数演算手段160に出力される。
そして、すべり周波数・一次周波数演算手段160は、励磁電流検出値P5およびトルク電流検出値P6を三相/d−q座標変換手段140から受け取り、回転速度検出値P10を速度検出手段50から受け取ると、(6)式の演算を行うことにより、一次周波数指令値P11を算出し、軸ずれ補償器150および加算器63に出力する。
そして、軸ずれ補償器150は、励磁電流検出値P5、トルク電流検出値P6、励磁軸電圧検出値P7を三相/d−q座標変換手段140から受け取るとともに、一次周波数指令値P11をすべり周波数・一次周波数演算手段160から受け取ると、(8)式の演算を行うことで一次周波数補償値P12を算出し、加算器63に出力する。
そして、加算器63は、一次周波数指令値P11をすべり周波数・一次周波数演算手段160から受け取るとともに、一次周波数補償値P12を軸ずれ補償器150から受け取ると、一次周波数指令値P11と一次周波数補償値P12とを加算することにより、一次周波数指令値P13を算出し、積分器170に出力する。そして、積分器170は、一次周波数指令値P13を加算器63から受け取ると、一次周波数指令値P13を積分することにより、位相角P14を算出し、三相/d−q座標変換手段140およびd−q/三相座標変換手段130に出力する。
これにより、軸ずれ補償器150にて一次周波数を補正することができ、制御装置5内の励磁軸の方向と誘導電動機40の磁束軸の方向とを一致させることが可能となることから、磁束演算を正確に行うことができ、指令値どおりのトルクを発生させることができる。
なお、図10の実施形態では、誘導電動機40の回転速度を検出するために速度検出手段50が設けられているが、速度検出手段50を設けることなく、速度センサレスベクトル制御に対しても、軸ずれ補償器150を適用する方法が知られている(非特許文献2)。
図13は、従来の軸ずれ補償技術を用いた速度センサレスベクトル制御による誘導電動機の制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図13において、制御装置6には、図10の速度検出手段50の代わりに、速度推定手段280が設けられている。そして、速度推定手段280には、すべり周波数・一次周波数演算手段160にて算出されたすべり周波数P61=ω* seが供給されるとともに、三相/d−q座標変換手段140からは励磁電流検出値P5、トルク電流検出値P6、励磁軸電圧検出値P7およびトルク軸電圧検出値P8が供給される。そして、速度推定手段280は、励磁電流検出値P5、トルク電流検出値P6、励磁軸電圧検出値P7およびトルク軸電圧検出値P8に基づいて速度推定値P62を算出し、すべり周波数・一次周波数演算手段160に供給する。
そして、すべり周波数・一次周波数演算手段160は、すべり周波数P61=ω* seと、速度推定手段280にて推定された速度推定値P62を加算することにより、一次周波数指令値P11を算出することができる。
図14は、図13の速度推定手段の概略構成を示すブロック図である。
図14において、速度推定手段280には、磁束オブザーバ281、減算器282および速度推定器283が設けられている。そして、磁束オブザーバ281には、励磁電流検出値P5、トルク電流検出値P6、励磁軸電圧検出値P7およびトルク軸電圧検出値P8が入力され、トルク軸二次磁束および励磁軸二次磁束を推定し、トルク電流推定値P63を出力する。そして、減算器282にてトルク電流推定値P63とトルク電流検出値P6との偏差が算出され、速度推定器283にてトルク電流推定値P63とトルク電流検出値P6との偏差がPI演算されることで、速度推定値P62が算出される。
ここで、図13の軸ずれ補償器150によって、誘導電動機40の二次磁束と制御装置6の磁束の励磁軸が一致させられると、トルク軸二次磁束がゼロになる。この状態では、磁束オブザーバ281の安定性が保証され、速度推定値P62が実速度に収束されていることが保証されている平衡点近傍の状態に保つことができる。このため、磁束オブザーバ281が安定に保たれ、トルク精度を向上させることができる。
特開2000−333500号公報 杉本・小山・玉井「ACサーボシステムの理論と設計」,総合電子出版社(1990) H.Sugimoto:"One Improving Measures of Stability in Regeneration Operation of Speed Sensorless Vector Control Induction Motor System Using Adaptive Observer of Secondary Magnetic Flux",in Proc.IPEC−Tokyo,2000,pp.1069−1074
しかしながら、従来の軸ずれ補償器150では、(7)式に示すように、励磁軸誘起電圧e2dを計算するために、一次抵抗R1の値が用いられている。このため、温度変化によって一次抵抗R1の値が変化すると、制御装置5の内部に設定されている一次抵抗R1の値と真値との間で誤差が生じ、一次抵抗R1の値の誤差に比例して軸ずれが発生するという問題があった。
すなわち、一次抵抗R1の真値から一次抵抗R1の設定値を引いた値をΔR1、真の励磁軸誘起電圧をe2dとすると、図10の制御装置5で実際に算出される励磁軸誘起電圧e´2dは、以下の(9)式のように表される。
e´2d=v1d−((R1−ΔR1)+d/dtLσ)i1d+ω1Lσi1q =e2d+ΔR11d ・・・(9)
そして、図12の位置ずれ量演算回路152は、励磁軸誘起電圧e´2dが定常的にゼロになるように一次周波数補償値P12を出力するため、真の励磁軸誘起電圧をe2dはゼロにはならず、−ΔR11dという値になり、一次抵抗R1の値の誤差に比例して軸ずれが発生するようになる。
そこで、本発明の目的は、一次抵抗が変動する場合においても、誘導電動機の内部の二次磁束と、制御装置内で算出される二次磁束との間の誤差を低減することが可能な誘導電動機の制御装置を提供することである。
上述した課題を解決するために、請求項1記載の誘導電動機の制御装置によれば、誘導電動機の一次電流の検出値を一次周波数に同期した座標系で誘導電動機内部の磁束に平行な成分である励磁電流検出値と、前記励磁軸に直交する成分であるトルク電流検出値にそれぞれ分離する第1の座標変換手段と、前記第1の座標変換手段にて分離された前記励磁電流検出値が励磁電流指令値に近づくように比例・積分演算された励磁電流PI演算出力値にトルク軸上で発生する磁束による誘起電圧成分を加えることで励磁軸電圧指令値を算出するとともに、前記第1の座標変換手段にて分離された前記トルク電流検出値がトルク電流指令値に近づくように比例・積分演算されたトルク電流PI演算出力値に励磁軸上で発生する磁束による誘起電圧成分を加えることでトルク電圧指令値を算出する電流制御手段と、前記電流制御手段にて算出された励磁軸電圧指令値およびトルク軸電圧指令値を、前記誘導電動機に与えられる電圧を生成させる電圧指令に変換する第2の座標変換手段と、前記第1の座標変換手段にて分離された励磁電流検出値とトルク電流検出値に基づいてすべり周波数を算出するとともに、前記すべり周波数および前記誘導電動機の回転速度の検出値または推定値に基づいて一次周波数を算出するすべり周波数・一次周波数演算手段と、前記座標系において励磁電流PI演算出力値とトルク電流PI演算出力値を成分とするベクトルの方向が一次電流ベクトルの方向に近づくように、前記一次周波数を補償する一次周波数補償値を算出する軸ずれ補償器とを備えることを特徴とする。
また、請求項2記載の誘導電動機の制御装置によれば、前記軸ずれ補償器は、前記座標系において励磁電流PI演算出力値とトルク電流PI演算出力値を成分とするベクトルと一次電流ベクトルとの外積を算出する外積算出手段と、前記外積がゼロになるように比例・積分演算するPI演算器とを備えることを特徴とする。
また、請求項3記載の誘導電動機の制御装置によれば、前記誘導電動機に入力される電圧を検出する電圧検出手段を備え、前記軸ずれ補償器は、前記座標系において励磁電流PI演算出力値から励磁軸電圧指令値と励磁軸電圧検出値との差分を引いた値およびトルク電流PI演算出力値からトルク軸電圧指令値とトルク軸電圧検出値との差分を引いた値を成分とするベクトルと、一次電流ベクトルとの外積を算出する外積算出手段と、前記外積がゼロになるように比例・積分演算するPI演算器とを備えることを特徴とする。
また、請求項4記載の誘導電動機の制御装置によれば、前記軸ずれ補償器は、前記外積算出手段にて算出された外積から前記一次周波数よりも遅れて変動する成分を二次抵抗の変動として抽出する二次抵抗変動抽出手段と、前記二次抵抗変動抽出手段にて抽出された成分がゼロになるように比例・積分演算することで、前記すべり周波数の演算に用いられる二次抵抗値を補償する二次抵抗補償値を算出する二次抵抗補償用PI演算器とを備えることを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、一次電流ベクトルを基準として一次周波数を補償することにより、一次抵抗が変動する場合においても、誘導電動機の内部の二次磁束と、制御装置内で算出される二次磁束との間の誤差を低減することが可能となり、指令値どおりのトルクを発生させることができる。
以下、本発明の実施形態に係る誘導電動機の制御装置について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る誘導電動機の制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図1において、誘導電動機の制御装置1には、トルク電流指令値作成手段90、電流制御手段100、d−q/三相座標変換手段130、三相/d−q座標変換手段140、すべり周波数・一次周波数演算手段160、軸ずれ補償器300、加算器63、積分器170が設けられている。
ここで、三相/d−q座標変換手段140は、誘導電動機40に与えられる三相電圧と三相電流の検出値を一次周波数に同期した座標系で二次磁束に平行な成分である励磁電流検出値P5と、励磁軸に直交する成分であるトルク電流検出値P6にそれぞれ分離することができる。
電流制御手段100は、三相/d−q座標変換手段140にて分離された励磁電流検出値P5が励磁電流指令値P1に近づくように比例・積分演算された励磁電流PI演算出力値P21にトルク軸上で発生する磁束による誘起電圧成分を加えることで励磁軸電圧指令値P3を算出するとともに、三相/d−q座標変換手段140にて分離されたトルク電流検出値P6がトルク電流指令値P0に近づくように比例・積分演算されたトルク電流PI演算出力値P22に励磁軸上で発生する磁束による誘起電圧成分を加えることでトルク電圧指令値P4を算出することができる。
d−q/三相座標変換手段130は、電流制御手段100にて算出された励磁軸電圧指令値P3およびトルク軸電圧指令値P4を三相の電圧指令に変換し、インバータ10に出力することができる。
すべり周波数・一次周波数演算手段160は、三相/d−q座標変換手段140にて分離された励磁電流検出値P5とトルク電流検出値P6に基づいてすべり周波数を算出するとともに、すべり周波数および速度検出手段50にて検出された回転速度検出値P10に基づいて一次周波数指令値P11を算出することができる。
軸ずれ補償器300は、励磁電流PI演算出力値P21とトルク電流PI演算出力値P22を成分とするベクトルの方向が一次電流ベクトルの方向に近づくように、一次周波数指令値P11を補償する一次周波数補償値P23を算出することができる。
図2は、図1の軸ずれ補償器の概略構成を示すブロック図である。
図2において、軸ずれ補償器300には、図11のトルク電流PI演算器102にて算出されたトルク電流PI演算出力値P22および三相/d−q座標変換手段140にて算出された励磁電流検出値P5を乗算する乗算器301、励磁電流PI演算器101にて算出された励磁電流PI演算出力値P21および三相/d−q座標変換手段140にて算出されたトルク電流検出値P6を乗算する乗算器302、乗算器301からの出力と乗算器302からの出力の偏差ΔQを算出する減算器303、減算器303にて算出された偏差ΔQがゼロになるように比例・積分演算するPI演算器304が設けられている。
そして、トルク電流PI演算出力値P22および励磁電流検出値P5は乗算器301にて乗算され、減算器303に入力されるとともに、励磁電流PI演算出力値P21およびトルク電流検出値P6は乗算器302にて乗算され、減算器303に入力される。そして、乗算器301からの出力と乗算器302からの出力の偏差ΔQが減算器303にて算出され、その偏差ΔQがゼロになるようにPI演算器304にて比例・積分演算されることで、一次周波数補償値P23が算出され、加算器63に出力される。
なお、乗算器301からの出力と乗算器302からの出力の偏差ΔQは、以下の(10)式で表すことができる。
ΔQ=v´1q1d−v´1d1q ・・・(10)
そして、加算器63は、すべり周波数・一次周波数演算手段160にて算出された一次周波数指令値P11と、軸ずれ補償器300にて算出された一次周波数補償値P23とを加算することにより、一次周波数指令値P24を算出し、積分器170および電流制御手段100に出力する。そして、積分器170は、一次周波数指令値P24を加算器63から受け取ると、一次周波数指令値P24を積分することにより、位相角P25を算出し、三相/d−q座標変換手段140およびd−q/三相座標変換手段130に出力する。
これにより、一次電流ベクトルを基準として一次周波数補償値P23を算出することが可能となり、一次抵抗が変動する場合においても、誘導電動機の内部の二次磁束と、制御装置内で算出される二次磁束との間の誤差を低減することが可能となることから、指令値どおりのトルクを発生させることができる。
図3は、定常状態での一次電圧ベクトルを示す図である。
図3において、軸ずれが発生していない時の誘起電圧と、(4)式および(5)式に示される非干渉制御での励磁電流PI演算出力値P21およびトルク電流PI演算出力値P22に加えられる誘起電圧は等しくなる。このため、励磁電流PI演算出力値P21およびトルク電流PI演算出力値P22を成分とするベクトルと、一次抵抗による電圧降下のベクトルは方向が等しくなる。
図4は、軸ずれが発生している時の定常状態での一次電圧ベクトルを示す図である。
図4において、軸ずれが発生している場合、誘起電圧と、(4)式および(5)式に示される非干渉制御での励磁電流PI演算出力値P21およびトルク電流PI演算出力値P22に加えられる誘起電圧は等しくならない。このため、励磁電流PI演算出力値P21およびトルク電流PI演算出力値P22を成分とするベクトルと、一次抵抗による電圧降下のベクトルは方向が等しくならず、位相差が発生する。
ここで、一次抵抗による電圧降下のベクトルは一次電流ベクトルと方向が同じであるため、励磁電流PI演算出力値P21およびトルク電流PI演算出力値P22を成分とするベクトルと、一次電流ベクトルとの外積をとり、この値がゼロになるように制御することで、一次抵抗の変動の影響を受けることなく、軸ずれのない状態を保つことができる。
図5は、本発明の第2実施形態に係る誘導電動機の制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図5において、誘導電動機の制御装置2には、図1の誘導電動機の制御装置1のすべり周波数・一次周波数演算手段160および軸ずれ補償器300の代わりに、すべり周波数・一次周波数演算手段161および軸ずれ補償器400が設けられている。
ここで、軸ずれ補償器300は、(10)式の偏差ΔQから一次周波数よりも遅れて変動する成分を二次抵抗の変動として抽出し、その成分がゼロになるように比例・積分演算することで、すべり周波数の演算に用いられる二次抵抗値が補償された二次抵抗設定値P31を算出することができる。
すべり周波数・一次周波数演算手段161は、軸ずれ補償器400にて算出された二次抵抗設定値P31を用いてすべり周波数を算出するとともに、そのすべり周波数および速度検出手段50にて検出された回転速度検出値P10に基づいて一次周波数指令値P32を算出することができる。
図6は、図5の軸ずれ補償器の概略構成を示すブロック図である。
図6において、軸ずれ補償器400には、図11のトルク電流PI演算器102にて算出されたトルク電流PI演算出力値P22および三相/d−q座標変換手段140にて算出された励磁電流検出値P5を乗算する乗算器401、励磁電流PI演算器101にて算出された励磁電流PI演算出力値P21および三相/d−q座標変換手段140にて算出されたトルク電流検出値P6を乗算する乗算器402、乗算器401からの出力と乗算器402からの出力の偏差ΔQを算出する減算器403、減算器403にて算出された偏差ΔQから一次周波数よりも遅れて変動する成分を二次抵抗の変動として抽出するローパスフィルタ404、ローパスフィルタ404にて抽出された成分がゼロになるように比例・積分演算し、すべり周波数の演算に用いられる二次抵抗値を補償する二次抵抗補償値P35を出力する二次抵抗補償用PI演算器405、すべり周波数の演算に用いられる二次抵抗値P34に二次抵抗補償値P35を加算することで、二次抵抗設定値P31を算出する加算器406が設けられている。
そして、トルク電流PI演算出力値P22および励磁電流検出値P5は乗算器401にて乗算され、減算器403に入力されるとともに、励磁電流PI演算出力値P21およびトルク電流検出値P6は乗算器402にて乗算され、減算器403に入力される。そして、乗算器401からの出力と乗算器402からの出力の偏差ΔQが減算器403にて算出され、二次抵抗の変動に対応した成分が偏差ΔQからローパスフィルタ404にて抽出され、二次抵抗補償用PI演算器405に出力される。そして、ローパスフィルタ404にて抽出された成分がゼロになるように二次抵抗補償用PI演算器405にて比例・積分演算されることで、二次抵抗補償値P35が算出され、加算器406に出力される。そして、加算器406は、すべり周波数の演算に用いられる二次抵抗値P34に二次抵抗補償値P35を加算すること、二次抵抗設定値P31を算出し、すべり周波数・一次周波数演算手段161に出力する。
そして、すべり周波数・一次周波数演算手段161は、軸ずれ補償器400にて算出された二次抵抗設定値P31を用いてすべり周波数を算出するとともに、そのすべり周波数および速度検出手段50にて検出された回転速度検出値P10に基づいて一次周波数指令値P32を算出し、積分器170および電流制御手段100に出力する。
すなわち、(6)式における二次抵抗R2の値として軸ずれ補償器400にて算出された二次抵抗設定値P31を用いることで、すべり周波数ω* seを算出し、このすべり周波数ω* seを用いることで、一次周波数指令値ω* 1を算出することができる。
そして、積分器170は、一次周波数指令値P32(=ω* 1)をすべり周波数・一次周波数演算手段161から受け取ると、一次周波数指令値P32を積分することにより、位相角P33を算出し、三相/d−q座標変換手段140およびd−q/三相座標変換手段130に出力する。
ここで、すべり周波数形ベクトル制御では、二次抵抗R2の変動によりトルク制御精度が悪化することが、以下の文献で指摘されている。
“金原・道木・大熊「オブザーバを用いた誘導電動機のベクトル制御における抵抗変動時のトルク制御精度」パワーエレクトロニクス研究会第138回定例研究会 JSPE−26−22−2000”
トルク制御精度の悪化の原因は、二次抵抗R2の変動により、ベクトル制御に必要なすべり周波数ω* seが、(6)式で表されている値から変動するためである。図1の軸ずれ補償器300では、定常状態で軸ずれがないように制御することができるが、過渡状態では、(10)式の偏差ΔQに磁束の微分値を含むようになる。二次抵抗R2の変動は比較的時間がかかるため、(10)式の偏差ΔQを時定数の長いローパスフィルタ404に通すことにより、二次抵抗R2の変動に起因する軸ずれを検出することができる。この結果、図1の軸ずれ補償器300では、一次周波数指令値ω* 1の補償を行っていたのに対し、図5の軸ずれ補償器400では、すべり周波数ω* seの補償を行うことができ、二次抵抗R2の変動に起因する軸ずれを補償することができる。
図7は、本発明の第3実施形態に係る誘導電動機の制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図7において、誘導電動機の制御装置3には、図1の誘導電動機の制御装置1の軸ずれ補償器300の代わりに、軸ずれ補償器500が設けられている。
ここで、軸ずれ補償器500は、励磁電流PI演算出力値P21から励磁軸電圧指令値P3と励磁軸電圧検出値P7との差分を引いた値と、トルク電流PI演算出力値P22からトルク軸電圧指令値P4とトルク軸電圧検出値P8との差分を引いた値を成分とするベクトルの方向が一次電流ベクトルの方向に近づくように、一次周波数指令値P11を補償する一次周波数補償値P41を算出することができる。
図8は、図7の軸ずれ補償器の概略構成を示すブロック図である。
図8において、軸ずれ補償器400には、図7の電流制御手段100にて算出されたトルク軸電圧指令値P4と三相/d−q座標変換手段140にて算出されたトルク軸電圧検出値P8との差分を算出する減算器501、電流制御手段100にて算出された励磁軸電圧指令値P3と三相/d−q座標変換手段140にて算出された励磁軸電圧検出値P7との差分を算出する減算器502、図11のトルク電流PI演算器102にて算出されたトルク電流PI演算出力値P22と減算器501の出力との差分を算出する減算器503、励磁電流PI演算器101にて算出された励磁電流PI演算出力値P21と減算器502の出力との差分を算出する減算器504、減算器503の出力および三相/d−q座標変換手段140にて算出された励磁電流検出値P5を乗算する乗算器505、減算器504の出力および三相/d−q座標変換手段140にて算出されたトルク電流検出値P6を乗算する乗算器506、乗算器505からの出力と乗算器506からの出力の偏差ΔQを算出する減算器507、減算器507にて算出された偏差ΔQがゼロになるように比例・積分演算するPI演算器508が設けられている。
そして、トルク軸電圧指令値P4とトルク軸電圧検出値P8との差分が減算器501にて算出され、減算器503に入力されるとともに、励磁軸電圧指令値P3と励磁軸電圧検出値P7との差分が減算器502にて算出され、減算器504に入力される。そして、トルク電流PI演算出力値P22と減算器503の出力との差分が減算器503にて算出され、乗算器505に入力されるとともに、励磁電流PI演算出力値P21と減算器502の出力との差分が減算器506にて算出され、乗算器506に入力される。
そして、減算器503の出力および励磁電流検出値P5は乗算器505にて乗算され、減算器507に入力されるとともに、減算器504の出力およびトルク電流検出値P6は乗算器506にて乗算され、減算器507に入力される。そして、乗算器505からの出力と乗算器506からの出力の偏差ΔQが減算器507にて算出され、その偏差ΔQがゼロになるようにPI演算器508にて比例・積分演算されることで、一次周波数補償値P41が算出され、加算器63に出力される。
なお、乗算器505からの出力と乗算器506からの出力の偏差ΔQは、以下の(11)式および(12)式で表すことができる。
v´´1q=v´1d−(v* 1d−v1d)、v´´1d=v´1q−(v* 1q−v1q
・・・(11)
ΔQ=v´´1q1d−v´´1d1q ・・・(12)
そして、加算器63は、すべり周波数・一次周波数演算手段160にて算出された一次周波数指令値P11と、軸ずれ補償器500にて算出された一次周波数補償値P41とを加算することにより、一次周波数指令値P42を算出し、積分器170および電流制御手段100に出力する。そして、積分器170は、一次周波数指令値P42を加算器63から受け取ると、一次周波数指令値P42を積分することにより、位相角P43を算出し、三相/d−q座標変換手段140およびd−q/三相座標変換手段130に出力する。
ここで、実際のインバータ10では、デッドタイムや半導体素子の電圧降下などの影響により、励磁軸電圧指令値P3およびトルク軸電圧指令値P4と、励磁軸電圧検出値P7およびトルク軸電圧検出値P8との間には差がある。所定の電流を流すため、励磁電流PI演算出力値v´1dおよびトルク電流PI演算出力値v´1qには、デッドタイムや半導体素子の電圧降下などの影響による誤差が含まれている。
このため、(12)式の偏差ΔQがゼロになるようにPI演算器508にて比例・積分演算された一次周波数補償値P41を求めることにより、デッドタイムや半導体素子の電圧降下などの影響による誤差を除去することができ、インバータ10の出力電圧が低い状況においても、指令値どおりのトルクを発生させることができる。
図9は、本発明の第4実施形態に係る誘導電動機の制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図9において、誘導電動機の制御装置4には、図7の速度検出手段50の代わりに、速度推定手段600が設けられている。
そして、速度推定手段600には、すべり周波数・一次周波数演算手段160にて算出されたすべり周波数P71が供給されるとともに、三相/d−q座標変換手段140からは励磁電流検出値P5、トルク電流検出値P6、励磁軸電圧検出値P7およびトルク軸電圧検出値P8が供給される。そして、速度推定手段60は、励磁電流検出値P5、トルク電流検出値P6、励磁軸電圧検出値P7およびトルク軸電圧検出値P8に基づいて速度推定値P72を算出し、すべり周波数・一次周波数演算手段160に供給する。
そして、すべり周波数・一次周波数演算手段160は、すべり周波数P71と、速度推定手段600にて推定された速度推定値P72を加算することにより、一次周波数指令値P11を算出することができる。
ここで、誘導電動機の制御装置4において、図13の軸ずれ補償器150の代わりに、図7の軸ずれ補償器500を用いることにより、一次抵抗の変動による誤差を除去することができ、指令値どおりのトルクを発生させることができる。
なお、図9の実施形態では、図7の軸ずれ補償器500を速度センサレスベクトル制御に適用する方法について説明したが、図1の軸ずれ補償器300を速度センサレスベクトル制御に適用してもよいし、図5のすべり周波数・一次周波数演算手段161および軸ずれ補償器400を速度センサレスベクトル制御に適用してもよい。
本発明の第1実施形態に係る誘導電動機の制御装置の概略構成を示すブロック図である。 図1の軸ずれ補償器の概略構成を示すブロック図である。 定常状態での一次電圧ベクトルを示す図である。 軸ずれが発生している時の定常状態での一次電圧ベクトルを示す図である。 本発明の第2実施形態に係る誘導電動機の制御装置の概略構成を示すブロック図である。 図5の軸ずれ補償器の概略構成を示すブロック図である。 本発明の第3実施形態に係る誘導電動機の制御装置の概略構成を示すブロック図である。 図7の軸ずれ補償器の概略構成を示すブロック図である。 本発明の第4実施形態に係る誘導電動機の制御装置の概略構成を示すブロック図である。 従来の誘導電動機の制御装置の概略構成を示すブロック図である。 図10の電流制御手段の概略構成を示すブロック図である。 図10の軸ずれ補償器の概略構成を示すブロック図である。 従来の誘導電動機の制御装置の概略構成のその他の例を示すブロック図である。 図13の速度推定手段の概略構成を示すブロック図である。
符号の説明
1〜4 誘導電動機の制御装置
10 インバータ
20 電圧検出手段
30 電流検出手段
40 誘導電動機
45 負荷
50 速度検出手段
63、406 加算器
95 トルク電流指令値作成手段
100 電流制御手段
130 d−q/三相座標変換手段
140 三相/d−q座標変換手段
160、161 すべり周波数・一次周波数演算手段
170 積分器
300、400、500 軸ずれ補償器
301、302、401、402、505、506 乗算器
303、403、501〜504、507 減算器
304、508 PI演算器
404 ローパスフィルタ
405 二次抵抗補償用PI演算器
600 速度推定手段

Claims (4)

  1. 誘導電動機の一次電流の検出値を一次周波数に同期した座標系で誘導電動機内部の磁束に平行な成分である励磁電流検出値と、前記励磁軸に直交する成分であるトルク電流検出値にそれぞれ分離する第1の座標変換手段と、
    前記第1の座標変換手段にて分離された前記励磁電流検出値が励磁電流指令値に近づくように比例・積分演算された励磁電流PI演算出力値にトルク軸上で発生する磁束による誘起電圧成分を加えることで励磁軸電圧指令値を算出するとともに、前記第1の座標変換手段にて分離された前記トルク電流検出値がトルク電流指令値に近づくように比例・積分演算されたトルク電流PI演算出力値に励磁軸上で発生する磁束による誘起電圧成分を加えることでトルク電圧指令値を算出する電流制御手段と、
    前記電流制御手段にて算出された励磁軸電圧指令値およびトルク軸電圧指令値を、前記誘導電動機に与えられる電圧を生成させる電圧指令に変換する第2の座標変換手段と、
    前記第1の座標変換手段にて分離された励磁電流検出値とトルク電流検出値に基づいてすべり周波数を算出するとともに、前記すべり周波数および前記誘導電動機の回転速度の検出値または推定値に基づいて一次周波数を算出するすべり周波数・一次周波数演算手段と、
    前記座標系において励磁電流PI演算出力値とトルク電流PI演算出力値を成分とするベクトルの方向が一次電流ベクトルの方向に近づくように、前記一次周波数を補償する一次周波数補償値を算出する軸ずれ補償器とを備えることを特徴とする誘導電動機の制御装置。
  2. 前記軸ずれ補償器は、
    前記座標系において励磁電流PI演算出力値とトルク電流PI演算出力値を成分とするベクトルと一次電流ベクトルとの外積を算出する外積算出手段と、
    前記外積がゼロになるように比例・積分演算するPI演算器とを備えることを特徴とする請求項1記載の誘導電動機の制御装置。
  3. 前記誘導電動機に入力される電圧を検出する電圧検出手段を備え、
    前記軸ずれ補償器は、
    前記座標系において励磁電流PI演算出力値から励磁軸電圧指令値と励磁軸電圧検出値との差分を引いた値およびトルク電流PI演算出力値からトルク軸電圧指令値とトルク軸電圧検出値との差分を引いた値を成分とするベクトルと、一次電流ベクトルとの外積を算出する外積算出手段と、
    前記外積がゼロになるように比例・積分演算するPI演算器とを備えることを特徴とする請求項1記載の誘導電動機の制御装置。
  4. 前記軸ずれ補償器は、
    前記外積算出手段にて算出された外積から前記一次周波数よりも遅れて変動する成分を二次抵抗の変動として抽出する二次抵抗変動抽出手段と、
    前記二次抵抗変動抽出手段にて抽出された成分がゼロになるように比例・積分演算することで、前記すべり周波数の演算に用いられる二次抵抗値を補償する二次抵抗補償値を算出する二次抵抗補償用PI演算器とを備えることを特徴とする請求項2または3記載の誘導電動機の制御装置。
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