JP2009105565A - 仮想音像定位処理装置および仮想音像定位処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
ステレオヘッドフォンを用いる仮想音像定位処理において、水平方向での所定の音源方向における床面反射音を含む頭部伝達関数の測定結果を反映させて、頭外定位が可能な良好な仮想音像定位を得られるようにするとともに、ハードウェアおよびソフトウェアの処理を少なくして演算処理の負担を小さくし、コンパクトでコストの係らない仮想音像定位処理装置を提供する。
【解決手段】
信号処理部と、ステレオヘッドフォンと、制御部と、を備え、制御部が、水平方向での所定の音源方向における床面反射音を含む頭部伝達関数の測定結果に基づいて算出される一組のフィルタ係数、並びに、遅延タップ係数を、それぞれ、信号処理部の反射音合成処理部および頭外定位処理部の第1フィルタ回路、第2フィルタ回路、第3フィルタ回路、並びに、第1遅延回路、第2遅延回路に格納して仮想音像定位処理を行うように構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、リスナーの左右の両耳に近接させて配置する電気音響変換器をそれぞれ有するステレオヘッドフォンを用いて、左音声信号並びに右音声信号からなるステレオ音声信号を再生する音響再生装置に関し、特に、再生音像の頭内定位を防止して、頭外の任意の方向への仮想音像定位を実現する、仮想音像定位処理装置および仮想音像定位処理方法に関する。
ステレオヘッドフォンを用いる音響再生では、リスナーが定位を知覚する音像が、リスナーの頭部の中にあるように感じる頭内定位となる場合があり、リスナーは、スピーカーを使用した音場再生での音像定位、すなわち、頭外定位に比較して、頭内定位に違和感を覚える場合がある。そこで、ステレオヘッドフォンを用いて頭外定位を実現させる方法として、頭部伝達関数HRTF(Head Related Transfer Function、以下、頭部伝達関数という。)に基づく仮想音像定位処理を行ったステレオ音声信号を再生する、いわゆる、バーチャル処理を行うものがある。なお、ステレオヘッドフォンで再生する音声信号には、左音声信号並びに右音声信号からなるステレオ音声信号の他にも、単独のチャンネルのみを有するモノラル信号を左右チャンネルに均等に分配する場合と、2つを超える複数の独立した音声信号チャンネルをもつ、いわゆるマルチチャンネル音声信号を、左右チャンネルにダウンミックス処理(簡易な位相シフト処理等を含む。)を行う場合、あるいは、マルチチャンネル音声信号のそれぞれに仮想音像定位処理を行ってダウンミックス処理する場合、がある。
ステレオヘッドフォンを用いる仮想音像定位処理で頭外定位を実現するには、直接音成分のみならず、再現しようとする再生音場における反射音成分(例えば、試聴室等の床、天井、壁面からの反射音成分)を含む頭部伝達関数を利用するのが好ましい。インパルス応答としてみると、頭部伝達関数の直接音成分は約1.0〜約1.2msecで収束するのに対し、反射音成分は約10msecを超えるインパルス応答となる場合があるので、より好ましい頭外定位を実現する仮想音像定位処理を行うためには、インパルス応答を音声信号に畳み込む演算処理の負担が大きくなってしまうという問題がある。
また、ステレオヘッドフォンを用いる仮想音像定位処理では、演算に用いるダミーヘッド等で測定された頭部伝達関数と、リスナーの頭部形状による実際の頭部伝達関数には差異があり、この頭部伝達関数の個体差が影響して、良好な仮想定位を実現することが困難な場合がある。頭部の形状や寸法が異なると頭部伝達関数が異なるので、その結果、仮想音像の定位方向が違ってしまう、または、頭外定位せずに頭内定位にとどまってしまう、といった問題を生じる場合がある。そこで、従来のステレオヘッドフォンを用いる仮想音像定位処理では、何種類かの異なる頭部伝達関数を予め選択可能に設定し、リスナーが最も良いと感じる頭部伝達関数を選択するようにするものがあるが、予め記憶させておく頭部伝達関数が多くなると、仮想音像定位処理装置のメモリが大きくなり、コスト上昇を招くという問題がある。
従来には、使用時に耳に近接配置されるスピーカー用の音声信号処理方法を実現する装置であって、入力モノラル元信号から導出して、部屋の境界における反射または反響を含まず、かつ耳から離れた1以上の物体により散乱する元信号を表す1以上の信号を作り出し、導出された信号と入力信号を合成して合成信号を形成し、形成された合成信号をスピーカーに供給し、これによって聴取者が、入力モノラル元信号の音源は耳より離れて配置されていると知覚するようにするものがある(特許文献1)。特に、特許文献1の段落0070もしくは図13には、1つの信号波散乱フィルタをHRTF処理ブロックの入力ポートに直列に組み込み、効果的でないが処理負荷の点から経済的であるとした仮想音像定位の処理装置が記載されている。
また、従来には、音声信号に空間的広がりを与えるための音声処理システムであって、音声信号を入力するための入力手段と、頭部構成要素およびハイパスフィルタをかけられた後部構成要素を有するインパルス応答関数の少なくとも1つと音声信号とを畳み込むための、入力手段と接続された畳み込み手段とを有するシステムがある。(特許文献2)。
また、従来には、各系統及び左右各チャネルにつき、受聴者から各音源位置への所望の目標方位角の正弦関数及び余弦関数の組を用いた線形結合により、音響信号における音響伝達関数の各次数の主成分重み係数を推定する重み係数推定手段と、主成分重み係数とそれに共役な次数の主成分による線形結合によって音響伝達関数の振幅周波数特性を推定する振幅周波数特性推定手段と、振幅周波数特性を、時刻の関数で表現される振幅周波数特性の周波数依存性を保持した時間特性係数に変換する時間特性係数変換手段と、時間特性係数を入力音響信号に畳み込み演算を施す畳込演算手段と、演算結果の音響信号を左右各チャネルに出力する音響信号出力手段とを有する仮想音像定位装置がある(特許文献3)。
また、標準的寸法を有し、標準的寸法の耳介を支持する頭部から導出された1またはそれ以上の頭部伝達関数を修正して、各頭部伝達関数は、近位耳応答関数、遠位耳応答関数および両耳間時間遅延(ITD)を含み、修正HRTFとして、標準的寸法とは異なる頭部および/または耳寸法をもつ聴取者のために導出されたものを近似する頭部伝達関数に似せるようにして、提供しようとするものがある(特許文献4)。
特表2004−509544号公報 (第1図) 特表2004−506396号公報 (第1図) 特開平10−257598号公報 (第2図) 特開2001−16697号公報 (第2図)
しかしながら、従来のステレオヘッドフォンを用いる仮想音像定位処理では、より好ましい頭外定位を実現するには、インパルス応答を音声信号に畳み込む演算処理の負担が大きくなるという問題がある。上記の通り、特許文献1の段落0070もしくは図13に記載の仮想音像定位の処理装置では、処理負荷の点から経済的であっても頭外定位の効果に限界がある。つまり、1つの信号波散乱フィルタをHRTF処理ブロックの入力ポートに直列に組み込んだとしても、HRTF処理ブロックで用いる頭部伝達関数が、水平方向での所定の音源方向における床面反射音を含む場合に測定された結果を用いるのが好ましい信号波散乱フィルタと相関がなければ、良好な仮想音像定位が得られにくいという問題がある。
また、ステレオヘッドフォンを用いる仮想音像定位処理である限り、リスナーの頭部伝達関数の個体差に対応する、並びに、到来角度の異なる複数の音源に対応するには、予め記憶させておく頭部伝達関数を多くせざるを得なくなり、その結果、仮想音像定位処理装置のメモリが大きくなり、コスト上昇を招くという問題がある。記憶した頭部伝達関数に補正を施した頭部伝達関数を利用可能にするものであっても、仮想音像定位の効果を高めるために反射音成分を含む長大なインパルス応答を畳み込む方法では、ハードウェアおよびソフトウェアが大規模になる、という問題がある。すなわち、従来の方法では、仮想音像定位処理を行うハードウェアおよびソフトウェアの簡素化と、仮想音像定位の効果とを両立させるのが困難であるという問題がある。
本発明は、上記の従来技術が有する問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ステレオヘッドフォンを用いる仮想音像定位処理において、水平方向での所定の音源方向における床面反射音を含む頭部伝達関数の測定結果を反映させて、頭外定位が可能な良好な仮想音像定位を得られるようにするとともに、ハードウェアおよびソフトウェアの処理を少なくして演算処理の負担を小さくし、コンパクトでコストの係らない仮想音像定位処理装置を提供することにある。
本発明の仮想音像定位処理装置は、仮想音像定位処理を施した左音声信号並びに右音声信号からなるステレオ音声信号を出力する信号処理部と、ステレオ音声信号を再生するステレオヘッドフォンと、信号処理部を制御する制御部と、を備える仮想音像定位処理装置であって、信号処理部が、一の入力音声信号に反射音成分を合成する反射音合成処理部と、反射音合成処理部からの出力にフィルタ処理を行って左音声信号並びに右音声信号をそれぞれ出力する頭外定位処理部と、を含み、反射音合成処理部が、分岐した一方の入力音声信号を入力とする第1加算回路と、分岐した他方の入力音声信号を遅延処理する第1遅延回路と、遅延させた入力音声信号にフィルタ処理を行い第1加算回路に入力する第1フィルタ回路と、を有し、頭外定位処理部が、分岐した一方の反射音合成処理部からの出力を入力としてステレオ音声信号の一方を出力する第2フィルタ回路と、分岐した他方の反射音合成処理部からの出力を遅延処理する第2遅延回路と、第2遅延回路の出力をフィルタ処理してステレオ音声信号の他方を出力する第3フィルタ回路と、を有し、制御部が、信号処理部のフィルタ処理並びに遅延処理に用いる係数を保持する記憶部を有し、制御部が、水平方向での所定の音源方向における床面反射音を含む頭部伝達関数の測定結果に基づいて算出される一組のフィルタ係数h1、h2、h3、並びに、遅延タップ係数d1、d2を、それぞれ、第1フィルタ回路、第2フィルタ回路、第3フィルタ回路、並びに、第1遅延回路、第2遅延回路に格納し、信号処理部の反射音合成処理部および頭外定位処理部が、仮想音像定位処理を行う。
好ましくは、本発明の仮想音像定位処理装置は、制御部の記憶部が、複数の音源方向に対応する複数の組のフィルタ係数、並びに、遅延タップ係数を保持するとともに、信号処理部が、複数の入力音声信号に対応する複数の反射音合成処理部および頭外定位処理部と、複数の頭外定位処理部の一方の出力を加算してステレオ音声信号の一方を出力する第2加算回路と、複数の頭外定位処理部の他方の出力を加算してステレオ音声信号の他方を出力する第3加算回路と、を備え、複数の入力音声信号をそれぞれ複数の音源方向へ仮想音像定位させる仮想音像定位処理を行う。
さらに好ましくは、仮想音像定位処理装置は、フィルタ係数、並びに、遅延タップ係数が、水平方向での所定の音源方向における床面反射音を含む頭部伝達関数の左右一組のインパルス応答の全体データと、左右一組のインパルス応答に前側ウィンドウを用いた直接音データと、左右一組のインパルス応答に後側ウィンドウを用いた床面反射音データと、に分離したデータと、に基づいて算出した係数であり、遅延タップ係数d1が、インパルス応答の全体データに含まれる直接音と床面反射音との到来時間差から算出された遅延タップ係数であり、遅延タップ係数d2が、直接音データに含まれる近接耳側到来音と遠隔耳側到来音との到来時間差から算出された遅延タップ係数であり、フィルタ係数h2が、直接音データから算出された近接耳側の頭部伝達関数を表すFIRフィルタ係数であり、フィルタ係数h3が、直接音データから遅延タップ係数d2を除した遠隔耳側の頭部伝達関数を表すFIRフィルタ係数であり、フィルタ係数h1が、床面反射音データから遅延タップ係数d1およびフィルタ係数h2を除した床面反射音の伝達特性を表すFIRフィルタ係数である。
また、好ましくは、仮想音像定位処理装置は、制御部の記憶部が、直接音と床面反射音との到来時間差を表す遅延タップ係数d1が1.2msec以上2.0msec以下の時間に相当する範囲となる場合に、音源方向に対応する一組のフィルタ係数h1、h2、h3、並びに、他の遅延タップ係数d2を保持する。
また、好ましくは、仮想音像定位処理装置は、制御回路が、フィルタ係数、並びに、遅延タップ係数の変更を操作する操作回路を有し、制御回路が、一組のフィルタ係数h1、h2、h3、並びに、遅延タップ係数d1、d2を、それぞれ、第1フィルタ回路、第2フィルタ回路、第3フィルタ回路、並びに、第1遅延回路、第2遅延回路に格納し、かつ、操作回路からの変更指示がある場合に、ゲインを変更したフィルタ係数h3a、並びに、タップ数を変更した遅延タップ係数d2aを格納することにより、ステレオ音声信号の他方の出力を変更する。
さらに好ましくは、仮想音像定位処理装置は、制御回路が、操作回路からの変更指示がある場合に、一組のフィルタ係数並びに遅延タップ係数に関連づけてフィルタ係数h3aを演算したゲイン係数g3a、並びに、タップ数を変更した遅延タップ係数d2aを記憶部に記憶するとともに、操作回路から記録した変更指示を呼び出す場合に、記憶していた一組のフィルタ係数および遅延タップ係数と、ゲイン係数g3aと、タップ数を変更した遅延タップ係数d2aと、をそれぞれ呼び出し、反射音合成処理部および頭外定位処理部に格納するフィルタ係数を演算して求める係数演算処理部をさらに備える。
さらに好ましくは、仮想音像定位処理装置は、頭外定位処理部が、第2フィルタ回路、第2遅延回路、および、第3フィルタ回路に代えて、2つの反射音合成処理部の出力の和信号を生成する入力加算回路ならびに差信号を生成する入力減算回路と、和信号をフィルタ処理する和信号フィルタと、差信号をフィルタ処理する差信号フィルタと、和信号フィルタと差信号フィルタの出力を加算する出力加算回路と、和信号フィルタと差信号フィルタの出力を減算する出力減算回路と、を有し、制御回路の係数演算処理部が、一組のフィルタ係数h1、h2、h3、並びに、遅延タップ係数d1、d2に基づいて、和信号フィルタ係数hsum、および、差信号フィルタ係数hdifを演算して和信号フィルタと差信号フィルタとに格納し、制御回路の係数演算処理部が、操作回路からの変更指示がある場合に、記憶していた一組のフィルタ係数および遅延タップ係数と、ゲイン係数g3aと、タップ数を変更した遅延タップ係数d2aと、に基づいて、和信号フィルタ係数hsum、および、差信号フィルタ係数hdifを演算する。
また、本発明の仮想音像定位処理方法は、仮想音像定位処理を施した左音声信号並びに右音声信号からなるステレオ音声信号を、ステレオヘッドフォンで再生する仮想音像定位処理方法であって、仮想音像定位処理に用いる係数として、水平方向での所定の音源方向における床面反射音を含む頭部伝達関数の測定結果に基づいて算出される一組のフィルタ係数h1、h2、h3、並びに、遅延タップ係数d1、d2を、それぞれ、第1フィルタ回路、第2フィルタ回路、第3フィルタ回路、並びに、第1遅延回路、第2遅延回路に格納する処理と、一の入力音声信号に反射音成分を合成する反射音合成処理と、反射音合成処理した出力信号にフィルタ処理を行って左音声信号並びに右音声信号をそれぞれ出力する頭外定位処理と、を含み、反射音合成処理は、分岐した一方の入力音声信号を第1加算回路への入力とし、分岐した他方の入力音声信号を第1遅延回路で遅延処理し、遅延させた入力音声信号に第1フィルタ回路でフィルタ処理を行い第1加算回路に入力する処理を含み、頭外定位処理は、分岐した一方の反射音合成処理した出力を第2フィルタ回路への入力としてステレオ音声信号の一方を出力し、分岐した他方の反射音合成処理からの出力を第2遅延回路で遅延処理し、第2遅延回路の出力を第3フィルタ回路でフィルタ処理してステレオ音声信号の他方を出力する処理を含む。
以下、本発明の作用について説明する。
本発明の仮想音像定位処理装置、および、仮想音像定位処理方法は、ステレオ音声信号を再生するステレオヘッドフォンで頭外定位を実現するものである。仮想音像定位処理装置は、仮想音像定位処理を施したステレオ音声信号を出力する信号処理部と、信号処理部を制御する制御部と、を備える。このうち信号処理部は、反射音合成処理部および頭外定位処理部を含み、複数の音源方向に対応するステレオ音声信号、もしくは、マルチチャンネル音声信号のそれぞれに対して、水平方向での所定の音源方向における床面反射音を含む頭部伝達関数の測定結果に基づいて算出される一組のフィルタ係数を用いて、それぞれ仮想音像定位処理を行う。また、制御部は、信号処理部のフィルタ処理並びに遅延処理に用いる係数を保持する記憶部を有しており、フィルタ係数および遅延タップ係数を、それぞれ信号処理部のフィルタ回路ならびに遅延回路に格納することで、仮想音像定位処理が実現される。
具体的には、反射音合成処理部は、分岐した一方の入力音声信号を入力とする第1加算回路と、分岐した他方の入力音声信号を遅延処理する第1遅延回路と、遅延させた入力音声信号にフィルタ処理を行い第1加算回路に入力する第1フィルタ回路と、を有する。また、頭外定位処理部は、分岐した一方の反射音合成処理部からの出力を入力としてステレオ音声信号の一方を出力する第2フィルタ回路と、分岐した他方の反射音合成処理部からの出力を遅延処理する第2遅延回路と、第2遅延回路の出力をフィルタ処理してステレオ音声信号の他方を出力する第3フィルタ回路と、を有する。そして、制御部は、水平方向での所定の音源方向における床面反射音を含む頭部伝達関数の測定結果に基づいて算出される一組のフィルタ係数h1、h2、h3、並びに、遅延タップ係数d1、d2を、それぞれ、第1フィルタ回路、第2フィルタ回路、第3フィルタ回路、並びに、第1遅延回路、第2遅延回路に格納する。
ここで、本発明の仮想音像定位処理装置で用いられるフィルタ係数、並びに、遅延タップ係数は、水平方向での所定の音源方向における床面反射音を含む頭部伝達関数の左右一組のインパルス応答の全体データと、左右一組のインパルス応答に前側ウィンドウを用いた直接音データと、左右一組のインパルス応答に後側ウィンドウを用いた床面反射音データと、に分離したデータと、に基づいて算出した係数であるので、直接音成分と初期反射音成分とを反映して、良好な頭外定位を実現することができる。具体的には、遅延タップ係数d1が、インパルス応答の全体データに含まれる直接音と床面反射音との到来時間差から算出された遅延タップ係数であり、遅延タップ係数d2が、直接音データに含まれる近接耳側到来音と遠隔耳側到来音との到来時間差から算出された遅延タップ係数であり、フィルタ係数h2が、直接音データから算出された近接耳側の頭部伝達関数を表すFIRフィルタ係数であり、フィルタ係数h3が、直接音データから遅延タップ係数d2を除した遠隔耳側の頭部伝達関数を表すFIRフィルタ係数であり、フィルタ係数h1が、床面反射音データから遅延タップ係数d1およびフィルタ係数h2を除した床面反射音の伝達特性を表すFIRフィルタ係数である。
したがって、本発明の仮想音像定位処理装置では、直接音データと床面反射音データとに分離したデータに基づいているので、仮想音像定位処理のハードウェアおよびソフトウェアをコンパクトにすることができるとともに、反射音合成処理部および頭外定位処理部で用いるフィルタ係数ならびに遅延タップ係数が相関を有するようになるので、その結果、良好な仮想音像定位、すなわち、ヘッドフォンを用いた頭外定位感を得ることができる。特に、直接音と床面反射音との到来時間差を表す遅延タップ係数d1が1.2msec以上2.0msec以下の時間に相当する範囲となる場合には、直接音データと床面反射音データとが明確に分離される条件で測定した頭部伝達関数に基づくものになるので、記憶部に音源方向に対応する一組のフィルタ係数h1、h2、h3、並びに、他の遅延タップ係数d2を保持させることで、仮想音像定位処理装置の各FIRフィルタのタップ数を短くしても、良好な頭外定位感を確保することができる。
また、本発明の仮想音像定位処理装置では、リスナーの頭部伝達関数の個体差への対応にあたって、操作回路からの変更指示がある場合には、頭外定位処理部の第3フィルタ回路にゲインを変更したフィルタ係数h3aを、並びに、第2遅延回路にタップ数を変更した遅延タップ係数d2aを格納することにより、フィルタ係数を記憶するメモリを削減した仮想音像定位処理を実現している。制御回路が操作回路から記録した変更指示を呼び出す場合には、フィルタ係数を演算して求める係数演算処理部をさらに備えているので、予め記憶させておくべき頭部伝達関数に基づくフィルタ係数ならびに遅延タップ係数の記憶容量が限定されている場合であっても、リスナーが任意にゲイン係数と遅延タップ係数とを調整でき、コンパクトな仮想音像定位処理であっても、様々な頭部伝達関数を有するリスナーへも対応が可能になる。特に、2つの水平方向での音源方向が左右対称で等しい条件である場合は、和信号フィルタおよび差信号フィルタを用いるシャフラー型フィルタによって、頭外定位処理を行うことができる。したがって、本発明の仮想音像定位処理装置、ならびに、仮想音像定位処理方法では、仮想音像定位処理を行うハードウェアおよびソフトウェアの簡素化と、仮想音像定位の効果とを両立させることができる。
本発明の仮想音像定位処理装置は、ヘッドフォンを用いて頭外定位を得るにあたって、水平方向での所定の音源方向における床面反射音を含む頭部伝達関数の測定結果を反映させ、仮想音像定位処理を行うハードウェアおよびソフトウェアをコンパクトでコストの係らないものにするとともに、良好な仮想音像定位の効果を実現させることができる。
本発明の仮想音像定位処理装置は、ステレオヘッドフォンで頭外定位が可能な良好な仮想音像定位を得られるようにするとともに、ハードウェアおよびソフトウェアの処理を少なくして演算処理の負担を小さくし、コンパクトでコストの係らない仮想音像定位処理装置を提供するという目的を、仮想音像定位処理装置が、信号処理部と、ステレオヘッドフォンと、制御部と、を備え、制御部が、水平方向での所定の音源方向における床面反射音を含む頭部伝達関数の測定結果に基づいて算出される一組のフィルタ係数h1、h2、h3、並びに、遅延タップ係数d1、d2を、それぞれ、信号処理部の反射音合成処理部および頭外定位処理部の第1フィルタ回路、第2フィルタ回路、第3フィルタ回路、並びに、第1遅延回路、第2遅延回路に格納して仮想音像定位処理を行うように構成することにより、実現した。
以下、本発明の好ましい実施形態による仮想音像定位処理装置について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
図1は、本発明の好ましい実施形態による仮想音像定位処理装置1について説明する図である。仮想音像定位処理装置1は、後述するDSP10等を含む定位処理装置2と、ヘッドフォン3とからなり、定位処理装置2には(図示しない)他のDVDプレーヤー等のソース機器からモノラル、ステレオ、もしくは、マルチチャンネル音声信号が供給される。図1の場合には、デジタルモノラル信号が入力端子20を介してDSP10に供給されており、仮想定位処理されたステレオ信号が、DAC(デジタルアナログコンバータ)21および22と、AMP(増幅回路)23および24と、出力端子25および26と、をそれぞれ介してヘッドフォン3に出力されている。この仮想音像定位処理装置1を利用するリスナー4は、ステレオ信号を再生するヘッドフォン3を頭部に装着すると、ヘッドフォン3の左右のスピーカー31および32がリスナー4の左右の両耳41および42に密着して配置されることになる。その結果、リスナー4は、リスナー4の頭外であって水平方向での所定の音源方向θkに、音像が定位したように知覚することができる。
図1の定位処理装置2は、デジタル信号処理によって仮想音像定位処理を行う信号処理部を構成するDSP(Digital Signal Processor)10を含む。マイコン5は、DSP10に接続しており、プログラムおよびフィルタ係数をダウンロードしてDSP10を制御する。マイコン5は、演算処理を行うCPU6の他に、プログラムおよびフィルタ係数を記憶しておくメモリ7を含んでいる。また、マイコン5は、後述する操作回路8に接続しており、仮想音像定位処理に伴う操作で伝えられたコマンド情報に基づいて、定位処理装置2の全体を制御する。なお、図1の定位処理装置2では、説明に不要な他のチャンネルの音声信号処理経路や、入力信号のデコーダー、電源、等は、省略されている。
DSP10は、仮想音像定位処理を行う信号処理部として、反射音合成処理部11と、頭外定位処理部12と、を内部に構成する。反射音合成処理部11は、分岐した一方の入力音声信号を第1加算回路13に入力し、分岐した他方の入力音声信号を第1遅延回路14で遅延タップ係数d1分だけ遅延処理する。第1遅延回路14の出力は、フィルタ係数h1を格納されたFIRフィルタである第1フィルタ回路15へ入力され、第1フィルタ回路15の出力は、第1加算回路13に入力される。そして、第1加算回路13の出力が、反射音合成処理部11の出力とされる。なお、後述するように、反射音合成処理部11での信号処理は、直接音に対して遅延してリスナーへ到達する床面反射音を反映しており、フィルタ係数h1は、水平方向での所定の音源方向θkに音源が位置する場合に、床面反射音を含む頭部伝達関数の測定結果に基づいて算出されるフィルタ係数である。
また、頭外定位処理部12は、分岐した一方の反射音合成処理部11からの出力を入力する第2フィルタ回路16と、分岐した他方の反射音合成処理部11からの出力を遅延処理する第2遅延回路17と、第2遅延回路13の出力を入力とする第3フィルタ回路18と、を有する。第2フィルタ回路16は、フィルタ係数h2を格納されたFIRフィルタであり、その出力は、ステレオ音声信号の一方として、リスナー4の正面から見て音源方向θkに近い側耳(図1の場合には、左耳41)へ密着して配置されるヘッドフォン3のスピーカー31へ出力される。また、第3フィルタ回路18は、フィルタ係数h3を格納されたFIRフィルタであり、その出力は、ステレオ音声信号の他方として、リスナーの正面から見て音源方向θkに遠い側耳(図1の場合には、右耳42)へ密着して配置されるヘッドフォン3のスピーカー32へ出力される。また、第2遅延回路17は、入力された信号を遅延タップ係数d2分だけ遅延処理する。なお、後述するように、頭外定位処理部12での信号処理は、水平方向での所定の音源方向θkに音源が位置する場合に、近接耳側へと遠隔耳側への直接音の到来時間差を含む頭部伝達関数を反映しており、フィルタ係数h2は近接耳側の頭部伝達関数に、フィルタ係数h3は遠隔耳側の頭部伝達関数に、基づいて算出されるフィルタ係数である。また、遅延タップ係数d2は、近接耳側到来音と遠隔耳側到来音との到来時間差に基づいている。
メモリ7には、複数の水平方向での所定の音源方向θkに対応した一組のフィルタ係数、並びに、遅延タップ係数が、複数予め記憶されている。例えば、音源方向θkは、少なくともリスナーの正面方向0°と、ステレオ再生時のスピーカー配置に相当する±30°と、サラウンド再生時のサラウンドスピーカー配置に相当する±90°と、を含み、係数タップ長とメモリ容量とを勘案して、±180°の範囲で5°間隔程度で任意に選択可能であることが好ましい。これらの予め記憶されている一組のフィルタ係数、並びに、遅延タップ係数は、以下に説明する好ましい条件を満足する状態で測定されたダミーヘッドを用いた頭部伝達関数の測定結果に基づいて算出されたものである。なお、図1では、リスナー4から見て左側の方向を音源方向θkの正(+)の角度とした場合であるが、絶対値θkが同じ右側の負(−)の角度に音像を定位させる場合には、頭外定位処理部12からヘッドフォン3の左右のスピーカー31および32に出力する信号を入れ替えればよい。
なお、一組のフィルタ係数、並びに、遅延タップ係数やリスナー毎の最適データを記憶するメモリ7は、マイコン5の内部メモリ、あるいは、マイコン5がアクセスできる外部メモリに限定されず、フィルタ係数を演算するDSP10の内部メモリであるか、あるいは、DSP10が直接アクセスできるメモリであればよい。
図2は、音源方向θkの頭部伝達関数を測定する方法を説明する概略図である。本発明の仮想音像定位処理方法では、床面Fを有する測定音場にダミーヘッド50ならびに音源用スピーカー60を配置し、所定の条件を満たす場合の頭部伝達関数を利用する。図2(a)は、頭部伝達関数の測定状態を説明する側面図であり、図2(b)はその平面図であり、図2(c)は測定された頭部伝達関数HnθkおよびHfθkを説明する図である。
正面方向を0°とするダミーヘッド50において、頭部伝達関数Hnθkは、音源用スピーカー60が水平方向での音源方向θkに配置された場合の近接耳側の頭部伝達関数を表し、頭部伝達関数Hfθkは、遠隔耳側の頭部伝達関数を表す。具体的には、ダミーヘッド50の正面から左側にθkオフセットして水平距離L0だけ離れて配置された音源用スピーカー60が有る場合に、頭部伝達関数Hnθkは、ダミーヘッド50の近接耳側である左耳51の外耳道入口に配置されたマイクで測定した周波数特性を、音源用スピーカー60の周波数特性で基準化した伝達関数に基づくインパルス応答である。同様に、頭部伝達関数Hfθkは、ダミーヘッド50の遠隔耳側である右耳52の外耳道入口に配置されたマイクで測定した周波数特性を、音源用スピーカー60の周波数特性で基準化した伝達関数に基づくインパルス応答である。
頭部伝達関数HnθkおよびHfθkには、それぞれ直接音Sdと、初期反射音である床面反射音Srとが現れる。床面Fからのダミーヘッド50の耳の高さLLと、床面Fからの音源用スピーカー60の高さLSとがほぼ一致する場合には、音源用スピーカー60からダミーヘッド50へ直接音Sdが伝搬する距離Ldは、水平距離L0とほぼ変わらなくなる。一方で、音源用スピーカー60から床面Fで反射してダミーヘッド50へ到来する床面反射音Srは、直接音Sdが伝搬する距離Ldよりも長い距離Lrを伝搬し、伝搬時間差Tdθkを生じさせる。床面反射音Srは、図2(a)に点線で図示する鏡像音源用スピーカー60’から放射されているように想定でき、距離Lrは、ダミーヘッド50と、床面Fと、音源用スピーカー60との配置関係から、容易に算出することができる。
具体的には、例えば、ダミーヘッド50の耳の高さLLおよび音源用スピーカー60の高さLSを約1.0mとし、水平距離L0を約4.5mとすれば、直接音Sdが伝搬する距離Ldは4.5mであり、床面反射音Srが伝搬する距離Lrは約4.92mとなる。直接音Sdと床面反射音Srの伝搬距離差は約0.42mになり、音波の音速を340m/secとすると、伝搬時間差Tdθkは約1.25msecになる。このように、水平距離L0を約3〜6mとする範囲で、ダミーヘッド50と、床面Fと、音源用スピーカー60との配置関係を適切に設定することにより、直接音Sdと床面反射音Srとの到来時間差Tdθkが1.2msec以上2.0msec以下の時間に相当する範囲となるように、測定条件を整えることができる。水平距離L0が約3〜6mの範囲では、直接音Sdの音波波面が球面波状から平面波状になって水平仰角がほぼ0°の方向から到来するのに対し、床面反射音Srは床面Fから仰角を有して伝搬してくるようになるので、ダミーヘッド50で測定される頭部伝達関数が、測定音場およびダミーヘッド50の肩部等での反射・回折を正確に反映したものに改善されるという利点がある。
なお、上記の測定音場において、側壁面や天井といった反射波が生じ得る床面F以外の構造物は、床面Fに比較して遠く設定されている。これらの他の反射面からの反射波は、直接音より少なくとも約3.0msec以上遅れて到来するように、つまり、少なくとも反射波が伝搬する距離が約1m以上余計に長くなるように配置されている。具体的には、水平距離L0が約3〜6mの範囲で、床面Fとの距離に比較して、側壁面や天井が遠く離れた位置にあるような大きな部屋で測定する、もしくは、側壁面や天井が遠くなる部屋の中央付近で測定するのが好ましい。したがって、床面反射音Sr以外の反射音は、頭部伝達関数の測定結果に出現することがないので、頭部伝達関数HnθkおよびHfθkのインパルス応答の全体データIaは、直接音Sdと床面反射音Srのみを含んでいる。
図3は、測定された頭部伝達関数から、フィルタ係数および遅延タップ係数を算出する方法を説明する図である。図3(a)は、インパルス応答の全体データIaから、直接音データIdおよび床面反射音データIrを分離する様子を説明する図であり、図3(b)は、算出するフィルタ係数および遅延タップ係数を説明する図である。直接音Sdのみの頭部伝達関数のインパルス応答は、約1.0〜1.2msecで収束するのに加えて、直接音Sdおよび床面反射音Srは、到来時間差Tdθkが1.2msec以上2.0msec以下の時間に相当する範囲となるように測定条件を整えられている。したがって、直接音Sdを反映する直接音データIdと、床面反射音Srを反映する床面反射音データIrとは、インパルス応答の全体データIaをウィンドウ処理することによって明確に分離される。
すなわち、直接音データIdは、インパルス応答Iaに前側ウィンドウWdを掛け合わせて算出されるものであり、床面反射音データIrは、インパルス応答Iaに前側ウィンドウWdよりも到来時間差Tdθkだけ遅れたところから始まる後側ウィンドウWrを掛け合わせて算出されるものである。前側ウィンドウWdおよび後側ウィンドウWrは、図示するような略矩形であって前後非対称な任意の時間窓関数であればよく、他にも方形窓、ハニング窓、ハミング窓、等であれば良い。前側ウィンドウWdの窓長は、直接音Sdの収束時間に合わせて、約1.0〜1.2msecの時間に相当するものになるのが好ましい。また、後側ウィンドウWrは、前側ウィンドウWdの直後から立ち上がるものであっても良く、その窓長は、反射音Srの収束時間に合わせて任意に選択するのが好ましい。
前述の通り、水平方向での所定の音源方向θkに音源が位置する場合に、頭部伝達関数HnθkおよびHfθkのインパルス応答の全体データIaは、直接音Sdと床面反射音Srとを含んでいるので、到来時間差Tdθkは、全体データIaから算出される。音声信号、ならびに、DSP10で実行する処理プログラムのサンプリング周波数sfに対応して、遅延タップ係数d1は一意に算出される。つまり、反射音合成処理部11の第1遅延回路14で用いる遅延タップ係数d1は、インパルス応答の全体データIaに含まれる直接音Sdと床面反射音Srとの到来時間差Tdθkから算出される遅延タップ係数である。
次に、全体データIaから分離された左右一組の直接音データIdから、頭外定位処理部12の第2遅延回路17、第2フィルタ回路16、第3フィルタ回路18のそれぞれに用いる遅延タップ係数d2、および、フィルタ係数h2、h3を算出する。左右一組の直接音データIdのうち、近接耳側の頭部伝達関数Hnθkからフィルタ係数h2が算出される。つまり、頭部伝達関数Hnθkの直接音データIdにあたるインパルス応答係数は、そのままFIRフィルタの係数として利用できるので、第2フィルタ回路16のフィルタ係数h2は、容易に算出される。一方、遅延タップ係数d2およびフィルタ係数h3は、遠隔耳側の頭部伝達関数Hfθkから分離された直接音データIdを利用して算出される。音源方向θkから到来してダミーヘッド50の頭部を回折する音波は、音源方向θkに近い近接耳51に比べて、遠隔耳52に遅れて到達するので、遠隔耳側の頭部伝達関数Hfθkのインパルス応答は、近接耳側の頭部伝達関数Hnθkに対して遅延する性質を有している。したがって、左右一組の直接音データIdから近接耳側到来音Snと遠隔耳側到来音Sfとの到来時間差IATDθkを算出し、サンプリング周波数sfに対応して遅延タップ係数d2を算出する。また、フィルタ係数h3は、遠隔耳側の頭部伝達関数Hfθkの直接音データIdから遅延タップ係数d2を除して求めることができる。つまり、遅延タップ係数d2の分だけ遅れたところからのインパルス応答係数を利用することで、第3フィルタ回路18のフィルタ係数h2も容易に算出される。
さらに、全体データIaから分離された左右一組の床面反射音データIrから、反射音合成処理部11の第1フィルタ回路15に用いるフィルタ係数h1を算出する。フィルタ係数h1は、床面反射音データIrから、遅延タップ係数d1と、フィルタ係数h2とを除した床面反射音Srの伝達特性Hrθkを表すFIRフィルタ係数であり、床面Fにおける吸音率および反射率を加味した床面反射音Srの特性を表している。フィルタ係数h1の算出にあたっては、近接耳側の頭部伝達関数Hnθkを、左右両耳の特性の代表にして使用することができる。このようにフィルタ係数h1は、水平方向での所定の音源方向θkに音源が位置する場合に、直接音Sdと床面反射音Srとの到来時間差Tdθkを意味する遅延タップ係数d1と、近接耳側の頭部伝達関数Hnθkに基づくフィルタ係数h2によって基準化することで、フィルタ係数h1は、より短いタップ数のFIRフィルタ係数にすることができる。
本実施例の仮想音像定位処理装置1は、上記の条件および方法にしたがって測定した音源方向θkの頭部伝達関数に基づいて、仮想定位処理を行う。つまり、仮想音像定位処理装置1は、直接音Sdおよび床面反射音Srが明確に分離できる測定条件で得られた上記の測定データに基づいて、コンパクトな信号処理方法を実現しているので、それに応じたフィルタ係数、ならびに、遅延タップ係数を保持している。具体的には、仮想音像定位処理装置1のメモリ7は、直接音Sdと床面反射音Srとの到来時間差を表す遅延タップ係数d1が1.2msec以上2.0msec以下の時間に相当する範囲となる場合(例えば、サンプリング周波数が48kHzである場合には、遅延タップ係数d1は、57〜96タップである。)に、音源方向に対応する一組のフィルタ係数h1、h2、h3、並びに、他の遅延タップ係数d2を保持している。
DSP10に接続するマイコン5は、上記の信号処理を実現するプログラムをダウンロードし、メモリ7に記憶されている一組のフィルタ係数および遅延タップ係数が、DSP10に形成されるフィルタ回路、並びに、遅延回路にそれぞれ格納される。仮想音像定位処理装置1では、反射音合成処理部11および頭外定位処理部12で用いるフィルタ係数ならびに遅延タップ係数が、上記の条件および方法にしたがって測定した音源方向θkの頭部伝達関数に基づいて相関を有するものになっているので、その結果、良好な仮想音像定位、すなわち、ヘッドフォン3を用いた頭外定位感を得ることができる。
また、マイコン5は、定位処理装置2に設けられてリスナーが操作する複数のボタン、若しくは、定位処理装置2から分離するリモートコントローラー、等を含む操作回路8に接続しているので、リスナー4が操作回路8を操作してさらに良好な頭外定位感を得ようとする場合には、操作回路8から伝えられたコマンド情報に基づいてフィルタ係数および遅延タップ係数を変更する制御を行う。つまり、仮想音像定位処理装置1では、リスナー4の頭部伝達関数の個体差への対応にあたって、操作回路8からの変更指示がある場合には、頭外定位処理部12の第3フィルタ回路18にゲインを変更したフィルタ係数h3aを、並びに、第2遅延回路にタップ数を変更した遅延タップ係数d2aを格納する。マイコン5は、係数演算処理を行って、変更したフィルタ係数h3aおよび遅延タップ係数d2aを得る。例えば、フィルタ係数h3aは、FIRフィルタの係数であるフィルタ係数h3に約0.5〜1.5の範囲のゲイン係数g3aを掛け合わせて得られるものであり、変更した遅延タップ係数d2aは、基準となる遅延タップ係数d2を約±20%の範囲で変更して得られるものである。もちろん、変更する範囲は上記の範囲に限定されるものではない。
すなわち、マイコン5は、フィルタ係数h3a、並びに、遅延タップ係数d2aを係数演算処理部で容易に算出できるので、リスナー4毎にこれらをフィルタ回路、並びに、遅延回路にそれぞれ格納することにより、リスナー4の個体差に対応した仮想音像定位処理を実現することができ、その結果、フィルタ係数、並びに、遅延タップ係数を記憶するメモリ7を削減した仮想音像定位処理をも実現している。リスナーの個体差に対応したゲイン係数g3a、並びに、遅延タップ係数d2aが設定される場合には、メモリ7にこれらを記憶すれば良い。マイコン5が、操作回路8から記憶した変更指示を呼び出すようなコマンド情報を得た場合には、記憶させていたゲイン係数g3a、並びに、遅延タップ係数d2aを使用して、フィルタ係数を演算して求める係数演算処理を行うことができる。メモリ7の容量が限られていて、予め記憶させておくべき頭部伝達関数に基づくフィルタ係数ならびに遅延タップ係数の記憶容量が限定されている場合であっても、リスナー4が任意にゲイン係数g3aと遅延タップ係数d2aとを調整して記憶できるので、仮想音像定位処理装置1では、コンパクトな仮想音像定位処理であっても、様々な頭部伝達関数を有するリスナーへも対応が可能になる。
なお、上記の仮想音像定位処理装置1の定位処理装置2は、ヘッドフォン3に内蔵されていても良い。すなわち、ステレオヘッドフォンを用いて上記の仮想音像定位処理方法を実現するものであれば、例えば、複数のDSPを組み合わせる他のハードウェアによって実現しても良い。
図4は、仮想音像定位処理装置1の他の好ましい実施例である定位処理装置2を説明する図であり、定位処理装置2は、左チャンネル信号Lおよび右チャンネル信号Rを含むステレオ入力信号に対応して、実施例1での仮想音像定位処理を、実質的に2チャンネル分含んでいる。すなわち、定位処理装置2は、入力端子20Lおよび20Rを備えており、それぞれのステレオ入力信号を仮想音像定位処理して、水平方向での所定の音源方向±θkにステレオ音源がそれぞれ頭外定位するように、出力端子25Lおよび25Rからヘッドフォン3に出力することができる。したがって、実施例1での説明と重複する部分については、説明および図示を省略する。
図4(a)の定位処理装置2は、左右のチャンネル毎に独立した反射音合成処理部11Lおよび11Rを備え、また、頭外定位処理部12Lおよび12Rの出力を加算する加算回路19Lおよび加算回路19Rを、さらに備えている。加算回路19Lは、頭外定位処理部12Lの近接耳側の出力と頭外定位処理部12Rの遠隔耳側の出力とを加算し、加算回路19Rは、頭外定位処理部12Lの遠隔耳側の出力と頭外定位処理部12Rの近接耳側の出力とを加算する。加算回路19Lおよび加算回路19Rの出力は、それぞれDSP10が構成する信号処理部の左チャンネル出力および右チャンネル出力として、DAC21Lおよび21Rと、AMP23Lおよび23Rと、をそれぞれ介して出力端子25Lおよび25Rに出力されている。したがって、左チャンネル信号Lが水平方向でのリスナー4にとって左側(+)θkの角度の方向に頭外定位し、右チャンネル信号Rが水平方向でのリスナー4にとって右側(−)θkの角度の方向に頭外定位する。
なお、図4(a)の定位処理装置2では、反射音合成処理部11Lおよび11Rと、頭外定位処理部12Lおよび12Rと、においては、それぞれのフィルタ回路、並びに、遅延回路に格納するフィルタ係数および遅延タップ係数を、左右チャンネルにおいて共通で使用することができる。頭外定位処理部12Lおよび12Rにおいて、第2フィルタ回路のFIRフィルタのタップ数をN2、第3フィルタ回路のFIRフィルタのタップ数をN3、とそれぞれすると、頭外定位処理の全体としては、2×(N2+N3)回の積和演算が必要になる。
次に、図4(b)の定位処理装置2について説明する。図4(a)および図4(b)の定位処理装置2の相違点は、前者では、頭外定位処理部12Lと頭外定位処理部12Rとが別々に設けられてラティス型フィルタを構成しているのに対し、後者では、シャフラー型フィルタとして一体化された頭外定位処理部12LRを備える点である。仮想音像定位させる所定の音源方向±θkが、正面方向を0°度とするリスナー4にとって左右対称な配置であるので、2つのラティス型フィルタである頭外定位処理部12Lおよび12Rは、一つのシャフラー型フィルタである頭外定位処理部12LRに簡単化できる。シャフラー型フィルタを採用すると、積和演算の回数を削減してコンパクトな仮想音像定位処理が可能になる利点がある。
頭外定位処理部12LRは、反射音合成処理部11Lの出力と、反射音合成処理部11Rの出力との和信号を生成する入力加算回路12a1と、反射音合成処理部11Lの出力から反射音合成処理部11Rの出力を減算した差信号を生成する入力減算回路12a2と、を備える。入力加算回路12a1の出力信号は、後述する和信号フィルタ12sumに入力され、入力減算回路12a2の出力信号は、後述する差信号フィルタ12difに入力される。和信号フィルタ12sumの出力信号は、分岐された一方が加算回路19Lに入力され、分岐された他方が加算回路19Rに入力される。また、差信号フィルタ12difの出力信号は、分岐された一方が加算回路19Lに入力され、分岐された他方が、さらに位相反転されて加算回路19Rに入力される。つまり、加算回路19Lは、頭外定位処理部12LRの出力加算回路として機能し、加算回路19Rは、頭外定位処理部12LRの出力減算回路として機能する。
和信号フィルタ12sum、および、差信号フィルタ12difは、頭外定位処理部12での第2フィルタ回路のフィルタ係数h2と、第2遅延回路の第2遅延タップ係数d2と、第3フィルタ回路のフィルタ係数h3と、から、マイコン5が係数演算処理して求めたフィルタ係数を、それぞれ格納して頭外定位処理を行う。和信号フィルタ12sumのフィルタ係数hsumは、フィルタ係数h2と、第2遅延タップ係数d2だけ零(0)を前に挿入したフィルタ係数h3とを加算して、これに0.5を乗算して得ることができる。一方、差信号フィルタ12difのフィルタ係数hdifは、フィルタ係数h2から、第2遅延タップ係数d2だけ零(0)を前に挿入したフィルタ係数h3を減算して、これに0.5を乗算して得ることができる。第2遅延タップ係数d2は、両耳間時間差に相当するタップ数であるので、フィルタ係数hsumならびにhdifのFIRフィルタのタップ数をLとすると、d2<N2の場合にL=(N2+N3−d2)<(N2+N3)、d2=N2の場合にL=(N2+N3)、そしてd2>N2の場合にL=(d2+N3)>(N2+N3)、となる。このシャフラー型フィルタでの1サンプル周期での積和算回数は2×L回となるので、d2<N2の場合は、ラティス型フィルタの場合より、積和算回数を削減することができる。
両耳でのインパルス応答には、その開始から0.7〜1.0msecの間にその主たる成分要素が含まれているので、サンプリング周波数を48kHzとすると、前記N2およびN3は、少なくとも32〜48程度を必要とするのに対し、両耳間時間差はそれが最も大きくなる90°方向(真横方向)音源の場合で0.6〜0.7msec(29〜34タップ)、30°方向の音源(通常のステレオ試聴形態に相当)の場合は0.25〜0.3msec(12〜14タップ)である。したがって、ほとんどの場合において第2遅延タップ係数d2の方が、第2フィルタ回路のFIRフィルタのタップ数N2より短い(d2<N2)ので、図4(a)に示すラティス型フィルタの場合よりも、図4(b)に示すシャフラー型フィルタの場合の方が、積和算回数を削減したコンパクトな仮想音像定位処理が可能になる。
図4(b)の定位処理装置2の場合に、リスナー4の頭部伝達関数の個体差への対応にあたって、操作回路8からの変更指示がある場合には、マイコン5の係数演算処理部が、記憶していた一組のフィルタ係数h1、h2、h3、および、遅延タップ係数d1、d2と、ゲイン係数g3aと、タップ数を変更した遅延タップ係数d2aと、に基づいて、新たな和信号フィルタ係数hsum、および、差信号フィルタ係数hdifを演算する。そして、演算された信号フィルタ係数hsum、および、差信号フィルタ係数hdifが、和信号フィルタ12sum、および、差信号フィルタ12difに格納されて、仮想音像定位処理が行われる。リスナー4毎に最適データを記憶する場合には、先の実施例と同様に、ゲイン係数g3aと、タップ数を変更した遅延タップ係数d2aと、を記憶しておくだけでよい。したがって、予め記憶させておくべき頭部伝達関数に基づくフィルタ係数ならびに遅延タップ係数の記憶容量が限定されているコンパクトな仮想音像定位処理装置1の場合であっても、リスナー4が任意にゲイン係数と遅延タップ係数とを調整でき、様々な頭部伝達関数を有するリスナーへも対応が可能になる。
リスナー4の頭部伝達関数の個体差への対応にあたって、ゲイン係数g3aと、タップ数を変更した遅延タップ係数d2aと、を調整する方法を説明する。まず最初に、正面からθkの水平角を持つ方向に定位すべき予めメモリ7に記憶してある基準の頭部伝達関数に基づくフィルタ係数ならびに遅延タップ係数を、信号処理部のそれぞれのフィルタ回路および遅延回路に格納する。次に、テスト信号(スピーチもしくは楽音が好ましい)を使用して、ヘッドフォン3から仮想定位処理したステレオ信号を再生し、リスナー4に提供する。リスナー4が正面からθkの角度の方向に頭外定位しているかどうかを知覚するとともに、操作回路8を操作するので、操作回路8に接続するマイコン5は、ゲイン係数g3aと、タップ数を変更した遅延タップ係数d2aと、操作回路8からのコマンド情報に基づいて調整して、新たな和信号フィルタ係数hsum、および、差信号フィルタ係数hdifを演算し、再び信号処理部のそれぞれのフィルタ回路および遅延回路に格納する。その結果、調整した係数に基づいてリスナー4に仮想定位処理したステレオ信号を出力し、ヘッドフォン3を介してテスト音声を提供することができる。
このようにしてテスト音声を繰り返しリスナー4に提供して、ゲイン係数g3aおよび遅延タップ係数d2aの調整を進め、最も好ましい頭外定位感を得られる場合には、そのリスナー4の最適データとしてこれらの係数をメモリ7に記憶する。したがって、複数のリスナーがその仮想音像定位処理装置1を使用する場合であっても、マイコン5は、記憶させた特定のリスナー向けに調整したゲイン係数g3aおよび遅延タップ係数d2aを、メモリ7から読みだして係数演算処理を行うので、いずれのリスナーにとっても、良好な頭外定位感を得ることができる仮想音像定位処理装置1を、簡素なハードウェアおよびソフトウェアで実現できる。
図5は、仮想音像定位処理装置1のさらに他の好ましい実施例である定位処理装置2を説明する図であり、定位処理装置2は、前方左チャンネル信号Lおよび前方右チャンネル信号Rと、前方中央チャンネル信号Cと、サラウンド左チャンネル信号LSおよびサラウンド右チャンネル信号RSと、を含むマルチチャンネルサラウンド入力信号に対応している。すなわち、定位処理装置2は、入力端子20Lおよび20Rに加えて、入力端子20Cと、入力端子20LSおよび20RSとを備えており、それぞれの入力信号を仮想音像定位処理して、水平方向での所定の音源方向にそれぞれ頭外定位するように、出力端子25Lおよび25Rからヘッドフォン3に出力することができる。なお、実施例1および2での説明と重複する部分については、説明および図示を省略する。
具体的には、前方左チャンネル信号Lおよび前方右チャンネル信号Rは、水平方向での音源方向±θk1に仮想定位される。θk1の絶対値は、5°〜45°の範囲から選択され、好ましくは10°〜30°である。前方左チャンネル信号Lおよび前方右チャンネル信号Rについての仮想定位処理は、前述の実施例2の場合と同様であり、加算回路19Lおよび加算回路19Rの出力は、それぞれ加算回路19LOおよび加算回路19ROに入力される。なお、加算回路19LOおよび加算回路19ROの出力は、それぞれDSP10が構成する信号処理部の左チャンネル出力および右チャンネル出力として、DAC21Lおよび21Rと、AMP23Lおよび23Rと、をそれぞれ介して出力端子25Lおよび25Rに出力される。その結果、前方左チャンネル信号Lの音像が、水平方向でのリスナー4にとって左側(+)θk1の角度の方向に頭外定位し、前方右チャンネル信号Rの音像が、水平方向でのリスナー4にとって右側(−)θk1の角度の方向に頭外定位する。
また、前方中央チャンネル信号Cは、水平方向での正面である音源方向±0°に仮想定位される。前方中央チャンネル信号Cは、反射音合成処理部11Cを経て頭外定位処理部12Cに入力され、頭外定位処理部12Cの出力は二つに分岐されて、それぞれ加算回路19LOおよび加算回路19ROに入力される。反射音合成処理部11Cでの信号処理は、正面方向での直接音と遅延してくる床面反射音との関係を反映して、前方中央チャンネル信号Cに、遅延タップ係数d10だけ遅延してフィルタ係数h10を畳み込まれた信号を加算する。また、頭外定位処理部12Cでの信号処理は、正面方向の頭外定位処理であるので、正面方向の頭部伝達関数を反映させるフィルタ係数h20をフィルタ回路で畳み込み、左右の出力信号に均等に分配する。したがって、前方中央チャンネル信号Cの音像は、フィルタ反射音合成処理部11Cおよび頭外定位処理部12Cでの仮想定位処理により、正面方向から到来する直接音成分と初期反射音成分とを反映して、正面方向に頭外定位する。
なお、前方中央チャンネル信号Cについては、上記の反射音合成処理部11Cおよび頭外定位処理部12Cを用いて水平方向での正面方向に頭外定位させる場合の他、前述の前方左チャンネル信号Lおよび前方右チャンネル信号Rに対する仮想定位処理を利用してもよい。すなわち、前方中央チャンネル信号Cを、それぞれ前方左チャンネル信号Lおよび前方右チャンネル信号Rに等しく分配して混合し、これらの前方左チャンネル信号Lおよび前方右チャンネル信号Rを、仮想定位処理すればよい。前方左チャンネル信号Lおよび前方右チャンネル信号Rにファントムセンター信号成分として含められていれば、前方中央チャンネル信号Cの音像が、水平方向でのリスナー4にとって左右±θk1の角度の中間である正面方向(±0°)に頭外定位する。
また、サラウンド左チャンネル信号LSおよびサラウンド右チャンネル信号RSは、水平方向での音源方向±θk2に仮想定位される。θk2の絶対値は、75°〜150°の範囲から選択され、好ましくは90°〜120°である。サラウンド左チャンネル信号LSおよびサラウンド右チャンネル信号RSについての仮想定位処理については、頭外定位する方向、ならびに、フィルタ処理ならびに遅延処理に用いる係数が異なる他は、前述の実施例2の場合と同様であるので、説明を省略する。加算回路19LSおよび加算回路19RSの出力は、それぞれ加算回路19LOおよび加算回路19ROに入力される。その結果、サラウンド左チャンネル信号LSの音像が、水平方向でのリスナー4にとって左側(+)θk2の角度の方向に頭外定位し、サラウンド右チャンネル信号RSの音像が、水平方向でのリスナー4にとって右側(−)θk2の角度の方向に頭外定位する。
したがって、本実施例の仮想音像定位処理装置1のヘッドフォン3を装着したリスナー4には、床面反射音の到来方向を反映したサラウンド音場が頭外定位して再現される。台詞が含まれる前方中央チャンネル信号の音像が前方に頭外定位し、前方左右のチャンネル信号による前方音場が前方に頭外定位し、サラウンド左右のチャンネル信号によるサラウンド音場が側方もしくは後方に頭外定位するので、ヘッドフォン3でのステレオ音声再生にもかかわらず、良好な仮想音像定位を得られる。
なお、上記の仮想音像定位処理装置1の定位処理装置2は、5チャンネルのマルチチャンネルサラウンド信号の場合であるが、さらに、サラウンド左後方チャンネル信号LSB、および、サラウンド右後方チャンネル信号RSBを加える7チャンネルのマルチチャンネルサラウンド信号の場合であってもよい。サラウンド左後方チャンネル信号LSB、および、サラウンド右後方チャンネル信号RSBは、対応する仮想定位を実現する信号処理部を備えることで、水平方向での音源方向±θk3(θk3の絶対値は、150°〜180°の範囲から選択される)に仮想定位される。また、低音信号LFEが、加算されるものであってもよい。
また、図5の仮想音像定位処理装置1の定位処理装置2では、頭外定位処理部12Lおよび12Rと、頭外定位処理部12LSおよび12RSと、を、先の実施例2におけるラティス型フィルタで構成しているが、これらをそれぞれシャフラー型フィルタで構成しても良い。良好な頭外定位感を得ることができる仮想音像定位処理装置を、簡素なハードウェアおよびソフトウェアで実現できる。
また、本実施例の仮想音像定位処理装置1の定位処理装置2は、マルチチャンネルサラウンド信号の各チャンネル信号を、それぞれの入力端子20C〜20RSに受けて動作するものでもよい。また、定位処理装置2は、(図示しない)マルチチャンネル音声増幅装置に内蔵されていても良い。DSP10が実現する信号処理部での信号処理は、上記いずれかの実施例に示した場合に限定されるものではない。DSP10がマルチチャンネルサラウンド信号のデコード回路を含む場合には、よりコンパクトな仮想定位処理が実現される。
本発明の仮想音像定位処理装置は、ヘッドフォンによる再生に限定されるものではない。リスナーの両耳に極めて近接して配置する左右のスピーカーを備えているヘッドレストを含み、近接耳側への伝達関数に比べて遠隔耳側への伝達関数が極めて小さく、再生条件がヘッドフォンとほぼ等価とみなせるような音響再生システムにも適する。
本発明の好ましい実施形態による仮想音像定位処理装置1について説明する図である。(実施例1) 本発明の音源方向θkの頭部伝達関数を測定する方法を説明する概略図である。(実施例1) 本発明の測定された頭部伝達関数から、フィルタ係数および遅延タップ係数を算出する方法を説明する図である。(実施例1) 本発明の仮想音像定位処理装置1の他の好ましい実施例である定位処理装置2を説明する図である。(実施例2) 本発明の仮想音像定位処理装置1の他の好ましい実施例である定位処理装置2を説明する図である。(実施例3)
符号の説明
1 仮想音像定位処理装置
2 定位処理装置
3 ヘッドフォン
31 左スピーカー
32 右スピーカー
4 リスナー
5 マイコン
6 CPU
7 メモリ
8 操作回路
10 DSP
11 反射音合成処理部
12 頭外定位処理回路
13 第1加算回路
14 第1遅延回路
15 第1フィルタ回路
16 第2フィルタ回路
17 第2遅延回路
18 第3フィルタ回路
19L、19R 加算回路
20 入力端子
21、22 DAC(デジタルアナログコンバータ)
23、24 AMP(増幅器)
25、26 出力端子
50 ダミーヘッド
60 音源用スピーカー

Claims (8)

  1. 仮想音像定位処理を施した左音声信号並びに右音声信号からなるステレオ音声信号を出力する信号処理部と、該ステレオ音声信号を再生するステレオヘッドフォンと、該信号処理部を制御する制御部と、を備える仮想音像定位処理装置であって、
    該信号処理部が、一の入力音声信号に反射音成分を合成する反射音合成処理部と、該反射音合成処理部からの出力にフィルタ処理を行って該左音声信号並びに該右音声信号をそれぞれ出力する頭外定位処理部と、を含み、
    該反射音合成処理部が、分岐した一方の該入力音声信号を入力とする第1加算回路と、分岐した他方の該入力音声信号を遅延処理する第1遅延回路と、該遅延させた入力音声信号にフィルタ処理を行い該第1加算回路に入力する第1フィルタ回路と、を有し、
    該頭外定位処理部が、分岐した一方の該反射音合成処理部からの出力を入力として該ステレオ音声信号の一方を出力する第2フィルタ回路と、分岐した他方の該反射音合成処理部からの出力を遅延処理する第2遅延回路と、該第2遅延回路の出力をフィルタ処理して該ステレオ音声信号の他方を出力する第3フィルタ回路と、を有し、
    該制御部が、該信号処理部の該フィルタ処理並びに該遅延処理に用いる係数を保持する記憶部を有し、
    該制御部が、水平方向での所定の音源方向における床面反射音を含む頭部伝達関数の測定結果に基づいて算出される一組のフィルタ係数h1、h2、h3、並びに、遅延タップ係数d1、d2を、それぞれ、該第1フィルタ回路、該第2フィルタ回路、該第3フィルタ回路、並びに、該第1遅延回路、該第2遅延回路に格納し、
    該信号処理部の該反射音合成処理部および該頭外定位処理部が、仮想音像定位処理を行う、
    仮想音像定位処理装置。
  2. 前記制御部の前記記憶部が、複数の前記音源方向に対応する複数の組の前記フィルタ係数、並びに、前記遅延タップ係数を保持するとともに、
    前記信号処理部が、複数の前記入力音声信号に対応する複数の前記反射音合成処理部および前記頭外定位処理部と、該複数の頭外定位処理部の一方の出力を加算して前記ステレオ音声信号の一方を出力する第2加算回路と、該複数の頭外定位処理部の他方の出力を加算して該ステレオ音声信号の他方を出力する第3加算回路と、を備え、該複数の入力音声信号をそれぞれ複数の該音源方向へ仮想音像定位させる仮想音像定位処理を行う、
    請求項1に記載の仮想音像定位処理装置。
  3. 前記フィルタ係数、並びに、前記遅延タップ係数が、水平方向での所定の音源方向における床面反射音を含む前記頭部伝達関数の左右一組のインパルス応答の全体データと、該左右一組のインパルス応答に前側ウィンドウを用いた直接音データと、該左右一組のインパルス応答に後側ウィンドウを用いた床面反射音データと、に分離したデータと、に基づいて算出した係数であり、
    前記遅延タップ係数d1が、該インパルス応答の全体データに含まれる前記直接音と該床面反射音との到来時間差から算出された遅延タップ係数であり、
    前記遅延タップ係数d2が、該直接音データに含まれる近接耳側到来音と遠隔耳側到来音との到来時間差から算出された遅延タップ係数であり、
    前記フィルタ係数h2が、該直接音データから算出された近接耳側の頭部伝達関数を表すFIRフィルタ係数であり、
    前記フィルタ係数h3が、該直接音データから該遅延タップ係数d2を除した遠隔耳側の頭部伝達関数を表すFIRフィルタ係数であり、
    前記フィルタ係数h1が、該床面反射音データから該遅延タップ係数d1および該フィルタ係数h2を除した該床面反射音の伝達特性を表すFIRフィルタ係数である、
    請求項2に記載の仮想音像定位処理装置。
  4. 前記制御部の前記記憶部が、前記直接音と前記床面反射音との到来時間差を表す前記遅延タップ係数d1が1.2msec以上2.0msec以下の時間に相当する範囲となる場合に、前記音源方向に対応する一組の前記フィルタ係数h1、h2、h3、並びに、他の該遅延タップ係数d2を保持する、
    請求項3に記載の仮想音像定位処理装置。
  5. 前記制御回路が、前記フィルタ係数、並びに、前記遅延タップ係数の変更を操作する操作回路を有し、
    該制御回路が、前記一組のフィルタ係数h1、h2、h3、並びに、前記遅延タップ係数d1、d2を、それぞれ、前記第1フィルタ回路、前記第2フィルタ回路、前記第3フィルタ回路、並びに、前記第1遅延回路、前記第2遅延回路に格納し、
    かつ、該操作回路からの変更指示がある場合に、ゲインを変更したフィルタ係数h3a、並びに、タップ数を変更した遅延タップ係数d2aを格納する、
    請求項3または4に記載の仮想音像定位処理装置。
  6. 前記制御回路が、前記操作回路からの変更指示がある場合に、前記一組のフィルタ係数並びに前記遅延タップ係数に関連づけて前記フィルタ係数h3aを演算したゲイン係数g3a、並びに、タップ数を変更した遅延タップ係数d2aを記憶部に記憶するとともに、
    該操作回路から記録した変更指示を呼び出す場合に、記憶していた該一組のフィルタ係数および前記遅延タップ係数と、前記ゲイン係数g3aと、タップ数を変更した前記遅延タップ係数d2aと、をそれぞれ呼び出し、前記反射音合成処理部および前記頭外定位処理部に格納するフィルタ係数を演算して求める係数演算処理部をさらに備える、
    請求項3から5のいずれかに記載の仮想音像定位処理装置。
  7. 前記頭外定位処理部が、前記第2フィルタ回路、前記第2遅延回路、および、前記第3フィルタ回路に代えて、2つの前記反射音合成処理部の出力の和信号を生成する入力加算回路ならびに差信号を生成する入力減算回路と、該和信号をフィルタ処理する和信号フィルタと、該差信号をフィルタ処理する差信号フィルタと、該和信号フィルタと該差信号フィルタの出力を加算する出力加算回路と、該和信号フィルタと該差信号フィルタの出力を減算する出力減算回路と、を有し、
    該制御回路の前記係数演算処理部が、一組のフィルタ係数h1、h2、h3、並びに、遅延タップ係数d1、d2に基づいて、和信号フィルタ係数hsum、および、差信号フィルタ係数hdifを演算して該和信号フィルタと該差信号フィルタとに格納し、
    該制御回路の該係数演算処理部が、前記操作回路からの変更指示がある場合に、記憶していた該一組のフィルタ係数および前記遅延タップ係数と、前記ゲイン係数g3aと、タップ数を変更した前記遅延タップ係数d2aと、に基づいて、該和信号フィルタ係数hsum、および、差信号フィルタ係数hdifを演算する、
    請求項6に記載の仮想音像定位処理装置。
  8. 仮想音像定位処理を施した左音声信号並びに右音声信号からなるステレオ音声信号を、ステレオヘッドフォンで再生する仮想音像定位処理方法であって、
    該仮想音像定位処理に用いる係数として、水平方向での所定の音源方向における床面反射音を含む頭部伝達関数の測定結果に基づいて算出される一組のフィルタ係数h1、h2、h3、並びに、遅延タップ係数d1、d2を、それぞれ、第1フィルタ回路、第2フィルタ回路、第3フィルタ回路、並びに、第1遅延回路、第2遅延回路に格納する処理と、
    一の入力音声信号に反射音成分を合成する反射音合成処理と、該反射音合成処理した出力信号にフィルタ処理を行って該左音声信号並びに該右音声信号をそれぞれ出力する頭外定位処理と、を含み、
    該反射音合成処理は、分岐した一方の該入力音声信号を第1加算回路への入力とし、分岐した他方の該入力音声信号を該第1遅延回路で遅延処理し、該遅延させた入力音声信号に該第1フィルタ回路でフィルタ処理を行い該第1加算回路に入力する処理を含み、
    該頭外定位処理は、分岐した一方の該反射音合成処理した出力を第2フィルタ回路への入力として該ステレオ音声信号の一方を出力し、分岐した他方の該反射音合成処理からの出力を該第2遅延回路で遅延処理し、該第2遅延回路の出力を該第3フィルタ回路でフィルタ処理して該ステレオ音声信号の他方を出力する処理を含む、
    仮想音像定位処理方法。
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