JP2009103808A - 反射防止フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明フィルムと透明フィルム上に形成される反射防止層からなる反射防止フィルムであり、該反射防止フィルムの反射防止層側表面の平均波長(Sλa)が50〜300μmであり、中心面平均粗さ(SRa)が 下記式(1)で表される凹凸を有し、
0.1+0.00065×Sλa<SRa< 0.003×Sλa 式(1)
該凹凸が転写により形成されたことを特徴とする反射防止フィルム。
【選択図】なし
Description
LCDにおいては表面に微細な凹凸を形成することによる反射防止が施されている。微細な凹凸による反射防止方法は、防眩処理とも呼ばれ、従来よりサンドブラスト加工、エンボス加工、微粒子を含有する塗膜の形成などが行なわれている。例えば、透過光の散乱特性が制御され、ギラツキ感が改良された防眩性ハードコートフィルムの製造方法として、透明プラスチック基材に活性エネルギー線硬化型樹脂を塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させ、活性エネルギー線硬化型樹脂層を形成したのち、該被膜に対してサンドブラスト加工またはエンボス加工のいずれかを施す方法が提案されている。(特許文献1)
また、透光性微粒子、透光性樹脂および透光性樹脂の良溶媒と貧溶媒からなる塗工液により防眩フィルムの防眩層を形成するにあたり、乾燥過程で貧溶媒の作用により透光性微粒子と透光性樹脂がゲル化し、良好な凹凸構造を形成する方法が開示されている。(特許文献2)
一方、PDPにおいては、反射防止処理としてLCDに用いられているような防眩処理を施した場合、上記の特許文献1、特許文献2、特許文献3に示されたいずれの方法でも、外光による映り込みは低いものの、本来映像として映したい透過映像そのものがぼやけてしまい、PDPの特徴である映像の美しさを損ねてしまうという問題があった。
LCDの技術が応用できないことは、PDPがLCDと異なり発光部から距離の離れた光学フィルターを用いていることも起因していると考えられる。
これらの課題の解決策として、従来PDPにおいては、その優れた透過映像を損なわずに反射像のみを低減させる方法として、低屈折率の薄膜(以下 反射防止膜と呼ぶ)による光の干渉を利用した反射防止方法により、外光の反射率を下げることが行われてきた。具体的には、単層の反射防止膜の場合、基板の屈折率がns、単層膜の屈折率がnでns>nである場合、反射率Rは極小値として(ns−n2)2/(ns+n2)2をとることを利用し、n2=nsとなるように単層膜の屈折率nを(ns)1/2に近づけて反射率を低減させるものである。現在、反射防止膜を有する光学部材として一般に市販されているものは、その可視光域における視感度反射率が2%前後のものが多い。このような反射防止膜用の低屈折率の材料としては種々あるが、塗布法によって反射防止膜を形成する材料としては、フッ素樹脂が一般的に知られている。(特許文献4)
しかしながら、反射防止膜では外光や蛍光灯などの映り込んだものが鮮明であるために、表示したいものの視認性が十分ではなく、反射防止方法としては不十分なものであった。
即ち、本発明は、
(1)透明フィルムと透明フィルム上に形成される反射防止層からなる反射防止フィルムであり、該反射防止フィルムの反射防止層側表面の平均波長(Sλa)が50〜300μmであり、中心面平均粗さ(SRa)が 下記式(1)で表される凹凸を有し、
0.1+0.00065×Sλa<SRa< 0.003×Sλa 式(1)
該凹凸が転写により形成されたことを特徴とする反射防止フィルム。
(2)該凹凸が不規則な配列を有することを特徴とする上記(1)記載の反射防止フィルム。
(3)該凹凸の転写が、干渉露光による凹凸形状を元に転写されたことを特徴とする上記(1)記載の反射防止フィルム。
(4)該反射防止層がハードコート層と低屈折率層からなることを特徴とする上記(1)記載の反射防止フィルム。
である。
本発明に用いることが出来る透明フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、トリアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースアセテート系フィルム、延伸したポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ノルボルネン系フィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアリレート系フィルムなどである。透明フィルムは透過光の利用という観点から、ヘーズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。
TACフィルムやPETフィルムの厚さは、反射防止層の厚みの均一性、光学基材としての取扱性という観点から12μm以上が好ましい。TACフィルムやPETフィルムの厚さの好ましい上限は、光線透過率、光の利用効率の観点から200μmである。
本発明の反射防止フィルムは、透明フィルムと透明フィルム上に形成される反射防止層からなる。反射防止層とは、透明フィルム上に表面に凹凸を有する層であり、光の干渉を利用した反射防止膜を有していてもよい。
反射防止層の構成としては、表面に凹凸を有するハードコートからなるもの、表面に凹凸を有するハードコート層の上にさらに低屈折率層を設けて反射率の低下させる層を設けたもの、表面の凹凸を有するハードコート層の上に高屈折率層と低屈折率層を順に設けたもの、表面に凹凸を有するハードコート層の上に多層の薄膜を設けて反射率を低下させる層を設けたものなどがある。また透明フィルム上に凹凸を有する樹脂層を設け、その上に凹凸の形状をほぼ保持したままハードコート層や多層の反射率低下層を設けてもよい。本発明の反射防止フィルムは、反射防止層側の最表面での形状に特徴をもつものである。
ここで中心面平均粗さ(SRa)は、JIS B0601−1994、ISO 4287−1997、ASME−1995に記載されている2次元粗さパラメータの中心線平均粗さ(Ra)を、3次元に面として計算させたもので、
粗さ曲面の中心面上に直交座標軸X、Y軸を置き中心面に直交する軸をZ軸とし、粗さ曲面を
f(x、y)、基準面の大きさLx、Lyとしたとき、上記の式で与えられる値である。
平均傾斜勾配SΔaは、ASME−1995に記載されている二次元の算術平均傾斜Δaを、3次元に面として計算させたもので、
f(x、y)、基準面の大きさをLx、Ly としたとき、上記の式で与えられる値である。
平均波長Sλaは、二次元の算術平均波長λaを、3次元に面として計算させたもので、
これらのSRa、SΔa、Sλaなどのパラメータは標準的なデータ処理であるため「サーフコーダ ET4000」の標準データ処理ソフトに組み込まれているため、自動的に算出、出力可能である。
本発明の反射防止フィルムの反射防止層側表面の形状は、その平均波長(Sλa)が50〜300μmであり、中心面平均粗さ(SRa)が 下記式(1)で表される凹凸を有ししている。
0.1+0.00065×Sλa<SRa< 0.003×Sλa 式(1)
平均波長(Sλa)が小さいと、反射した蛍光灯などの映りがクリアに見えやすくなり、また表面が白っぽくなるため好ましくない。平均波長(Sλa)が大きいとギラツキが大きくなるため好ましくない。これらの内60〜200μm、特に70〜150μmは平均波長として好ましく用いることができる。
本発明において、SλaとSRaとの関係は重要であり、SRaが(0.1+0.00065)μmよりも小さいと表面での外光や蛍光灯の映り込みが大きくなる。一方SRaが(0.003×Sλa)μmよりも大きいと映像を斜めから見た場合の像がぼやけてしまい、十分な視野角を維持することができなくなる。
例えば、山粒子解析で、スライスレベルをSRaμmに設定し、その切り口面積を100μm2ごとにクラス分けを行ったヒストグラムで評価すると、切り口面積の分布が幅として1000μm2以上に渡って広がっているのが好ましい。単一分布だとモアレが見られる場合があり、好ましくない。分布が不均一であるため、その並び方も不均一に存在可能になる。
一方、シリカ微粒子などの微細粒子の凝集構造による凹凸形成においては、この分布が広く、また0〜100μm2に多数の突起を有することが多い。このような微小面積の突起が多いと画面として白っぽくなり好ましくなく、またフィルムの透過特性の一つである角度依存性も低下する傾向がある。SRaでスライスした切り口面積0〜100μm2の突起数が1mm×1mmの範囲で50個以下であるのが好ましく、特に30個以下であるのが好ましく用いられる。
アクリルシリコーン系では、シリコーン樹脂上にアクリル基を共有結合により結合させたものが好ましい。
また、アルコキシシラン系では、アルコキシシランを加水分解重縮合させることにより得られたシラノール基を有する縮合体を含んでいるものが好ましい。塗布後の熱硬化等により、シラノール基がシロキサン結合に変換されて硬化膜が得られる。
ハードコート材料としては、市販のシリコーン系ハードコート、(メタ)アクリル系ハードコート、エポキシ系ハードコート、ウレタン系ハードコート、エポキシアクリレート系ハードコート、ウレタンアクリレート系ハードコートなど、公知のものを用いることができる。具体的には、信越化学工業株式会社製UV硬化型シリコーンハードコート剤X−12シリーズ、GE東芝シリコーン株式会社製UV硬化型シリコーンハードコート剤UVHCシリーズや熱硬化型シリコーンハードコート剤SHCシリーズ、株式会社日本ダクロシャムロック製熱硬化性シリコーンハードコート剤ソルガードNPシリーズ、日本合成化学工業株式会社製UV硬化型ハードコート剤紫光シリーズ、共栄社化学株式会社製UV硬化型ハードコート剤ライトプロコートシリーズ、日本化薬株式会社製UV硬化型ハードコート剤KAYANOVA FOPシリーズなどが好ましい。これらの市販のハードコート材料は、単独で使用しても、複数を混合して使用しても構わない。屈折率の調整で複数のハードコート材料を混合することは好ましく行われる。この他、多官能モノマーなどと重合開始剤を含む塗布液を塗布し、多官能モノマーなどを重合させることによっても形成できる。
帯電防止機能をハードコート層に設けるのは好ましい対応の一つである。導電性微粒子と低屈折率の無機粒子を混合することにより帯電防止機能と屈折率の調整が可能であり、表面形状を損なわない範囲において用いることができる。鉛筆硬度もH以上とすることが可能である。
シリカ微粒子として粒子内部に空洞を有する中空シリカ微粒子を用いることは、低屈折率層の屈折率を低くできるため好ましい。この空洞は、外殻によって包囲されているので、この空洞にバインダーが侵入することはない。そしてこの空洞が存在していることによって低屈折率化を図ることができるものであり、また空洞内へのバインダーの侵入が阻止されていることによって屈折率の増加を防止することができ、反射防止層の低屈折率化を実現できるものである。
中空シリカ微粒子の屈折率は、反射防止層の低屈折率化という観点から1.40以下であることが好ましい。屈折率が1.40より大きいと低屈折率化の効果が低い。好ましくは屈折率として1.10〜1.35のものが用いられる。
なお、2種類以上の粒子径のシリカ微粒子や中空シリカ微粒子を併用しても構わない。
バインダーとしては、単独でも複数を組み合わせてもよい。
好ましいバインダーとしては、以下のものが挙げられる。
(1)テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(i−プロポキシ)シラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジ(i−プロポキシ)シラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルエチルジ(i−プロポキシ)シラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、メチルプロピルジ(i−プロポキシ)シラン、メトキシシラン、エトキシシラン、メチルメトキシシラン、メチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチル(i−プロポキシ)シラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリエチル(i−プロポキシ)シラン、トリプロピルメトキシシラン、トリプロピルエトキシシラン、トリプロピル(i−プロポキシ)シラン、メチルジエチルメトキシシラン、メチルジエチルエトキシシラン、メチルジエチル(i−プロポキシ)シラン、メチルジプロピルメトキシシラン、メチルジプロピルエトキシシラン、メチルジプロピル(i−プロポキシ)シラン、エチルジメチルエトキシシラン、エチルジメチル(i−プロポキシ)シラン、エチルジプロピルメトキシシラン、エチルジプロピルエトキシシラン、エチルジプロピル(i−プロポキシ)シラン、プロピルジメチルメトキシシラン、プロピルジメチルエトキシシラン、プロピルジメチル(i−プロポキシ)シラン、プロピルジエチルメトキシシラン、プロピルジエチルエトキシシラン、プロピルジエチル(i−プロポキシ)シラン、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)プロパン、ヘキサメトキシジシロキサン、ヘキサエトキシジシロキサン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラキス(トリクロロアセトキシ)シラン、テトラキス(トリフルオロアセトキシ)シラン、トリアセトキシシラン、トリス(トリクロロアセトキシ)シラン、トリス(トリフルオロアセトキシ)シラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリス(トリクロロアセトキシ)シラン、メチルトリス(トリフルオロアセトキシ)シラン、メチルジアセトキシシラン、メチルビス(トリクロロアセトキシ)シラン、メチルビス(トリフルオロアセトキシ)シラン、ジメチルビス(トリクロロアセトキシ)シラン、ジメチルビス(トリフルオロアセトキシ)シラン、メチルアセトキシシラン、メチル(トリクロロアセトキシ)シラン、メチル(トリフルオロアセトキシ)シラン、ジメチルアセトキシシラン、ジメチル(トリクロロアセトキシ)シラン、ジメチル(トリフルオロアセトキシ)シラン、トリメチルアセトキシシラン、トリメチル(トリクロロアセトキシ)シラン、トリメチル(トリフルオロアセトキシ)シラン、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、テトラフルオロシラン、トリクロロシラン、トリブロモシラン、トリフルオロシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリブロモシラン、メチルトリフルオロシラン、メチルジクロロシラン、メチルジブロモシラン、メチルジフルオロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジブロモシラン、ジメチルジフルオロシラン、メチルクロロシラン、メチルブロモシラン、メチルフルオロシラン、ジメチルクロロシラン、ジメチルブロモシラン、ジメチルフルオロシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルブロモシラン、トリメチルフルオロシランなどの加水分解性シラン類。
(2)3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリアセトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリス(トリクロロアセトキシ)シラン、3−アクリロキシプロピルトリス(トリフルオロアセトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリス(トリクロロアセトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリス(トリフルオロアセトキシ)シラン、3−グリシドキシプロピルトリアセトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリス(トリクロロアセトキシ)シラン、3−グリシドキシプロピルトリス(トリフルオロアセトキシ)シラン、3−アクリロキシプロピルトリクロロシラン、3−アクリロキシプロピルトリブロモシラン、3−アクリロキシプロピルトリフルオロシラン、3−メタクリロキシプロピルトリクロロシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリブロモシラン、3−メタクリロキシプロピルトリフルオロシラン、3−グリシドキシプロピルトリクロロシラン、3−グリシドキシプロピルトリブロモシラン、3−グリシドキシプロピルトリフルオロシランなどの、同一分子内に重合性官能基およびシリカ粒子と共有結合を形成することが可能な官能基とを併せ持つ反応性シラン化合物。
(4)水ガラス、オルトケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸カリウム、オルトケイ酸リチウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、メタケイ酸リチウム、オルトケイ酸テトラメチルアンモニウム、オルトケイ酸テトラプロピルアンモニウム、メタケイ酸テトラメチルアンモニウム、メタケイ酸テトラプロピルアンモニウムなどのケイ酸塩を酸やイオン交換樹脂に接触させることにより得られる活性シリカ。
(5)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテル類、ポリアクリルアミド誘導体、ポリメタクリルアミド誘導体、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(N−アシルエチレンイミン)などのアミド類、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、ポリカプロラクトンなどのエステル類、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリ尿素類、ポリカーボネート類などの有機ポリマー。これら有機ポリマーの末端や主鎖中に、重合性官能基を有していてもよい。
(7)硬化性樹脂。一例を挙げると、(メタ)アクリル系UV硬化性樹脂、湿気硬化型シリコーン樹脂、熱硬化型シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ノボラック樹脂、シリコーンアクリレート樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂などが挙げられる。
バインダーは単独で用いても、複数を併用しても構わない。特に、(2)で列挙した同一分子内に重合性官能基およびシリカ粒子と共有結合を形成することが可能な官能基とを併せ持つ反応性シラン化合物や、(6)で列挙した重合性モノマーまたは(2)や(6)のフッ素置換体を併用することは、機械強度の向上に効果的である。
熱/光ラジカル発生剤の具体例としては、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社より市販されているイルガキュア(登録商標)、ダロキュア(登録商標)と呼ばれるアセトフェノン系、ベンゾフェノン系、ホスフィンオキサイド系、チタノセン系の各重合開始剤、チオキサントン系重合開始剤、ジアゾ系重合開始剤、o−アシルオキシム系重合開始剤などが挙げられる。これらの中でもイルガキュア(登録商標)907、イルガキュア(登録商標)369、イルガキュア(登録商標)379等の分子内にアミノ基および/またはモルホリノ基を有する重合開始剤が特に好ましい。また熱/光酸発生剤の具体例としては、三新化学工業株式会社より市販されているサンエイド(商標)SIシリーズ、和光純薬工業株式会社より市販されているWPIシリーズ、WPAGシリーズ、シグマアルドリッチジャパン株式会社より市販されているPAGsシリーズに代表される、スルホニウム系、ヨードニウム系、ジアゾメタン系の各重合開始剤などが挙げられる。
バインダー量は、低屈折率層の機械的強度、反射防止性能の観点から、シリカ微粒子と中空シリカ微粒子を合わせた重量を1とした場合に、重量比で0.5以上5.0以下が好ましい。
低屈折率層には、帯電防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、レベリング剤、色素、金属塩、界面活性剤、離型剤など種々の添加物を、本発明の趣旨を損なわない範囲で含有させることも可能である。
低屈折率層の厚みとしては、50〜300nmであるが、可視光領域での反射防止性能の観点から、通常、入射角5度における最低反射率波長を500〜750nmの範囲とするのが好ましい。低屈折率層の屈折率は、入射角5度における最低反射率を2%以下となるようにシリカ微粒子量、中空シリカ微粒子量、バインダー量を制御することが好ましい態様である。
例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリアセトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリス(トリクロロアセトキシ)シラン、3−アクリロキシプロピルトリス(トリフルオロアセトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリス(トリクロロアセトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリス(トリフルオロアセトキシ)シラン、3−グリシドキシプロピルトリアセトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリス(トリクロロアセトキシ)シラン、3−グリシドキシプロピルトリス(トリフルオロアセトキシ)シラン、3−アクリロキシプロピルトリクロロシラン、3−アクリロキシプロピルトリブロモシラン、3−アクリロキシプロピルトリフルオロシラン、3−メタクリロキシプロピルトリクロロシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリブロモシラン、3−メタクリロキシプロピルトリフルオロシラン、3−グリシドキシプロピルトリクロロシラン、3−グリシドキシプロピルトリブロモシラン、3−グリシドキシプロピルトリフルオロシランなどの化合物、これらのアルキル基や水素基がフッ素に置換されたもの、およびこれらを反応させたものである。
シリカ微粒子や中空シリカ微粒子の表面は、1nm2あたり0.1〜100個OH基を有している場合が多く、反応性シラン化合物と処理するにおいて、シリカ微粒子や中空シリカ微粒子の表面の1/20以上のOH基対応分以上を反応性シラン化合物と反応させるのは好ましい態様であり、さらにフルオロアルキル(トリアルコキシ)シランと併用して処理するのも好ましい態様である。フルオロアルキル(トリアルコキシ)シランとの処理は、シリカ微粒子や中空シリカ微粒子と反応性シラン化合物存在下に行ってもよいし、それぞれ別々に行ってもよい。
CF3(CF2)xCH2CH2Si(OR)3
R:−CH3、−C2H5、−イロプロピル基 などのアルキル基
x:1〜10の整数
を用いることができる。フルオロアルキル(トリアルコキシ)シランとの処理は、シリカ微粒子や中空シリカ微粒子の表面の1/20以上のOH基対応分以上を反応させて結合させるのは好ましい態様である。これにより反射防止層の耐磨耗性をさらに向上させることができるとともに、表面の防汚性の向上、指紋の拭取り性を向上させることができる。
反応性シラン化合物とフルオロアルキル(トリアルコキシ)シランとをシリカ微粒子や中空シリカ微粒子と反応させる方法としては、シリカ微粒子や中空シリカ微粒子の分散液に反応性シラン化合物とフルオロアルキル(トリアルコキシ)シランとを混合し、これに触媒として、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸などの酸類、アンモニア、トリアルキルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、コリン、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドなどのアルカリ類、ジラウリン酸ジブチルスズなどのスズ化合物などを添加して、適度な温度と時間を調整することによって反応させることができる。また、反応性シラン化合物とフルオロアルキル(トリアルコキシ)シランとの合計モル数を表面OH基の総量とほぼ当量モルとすることにより、反応性シラン化合物とフルオロアルキル(トリアルコキシ)シランのシリカ微粒子や中空シリカ微粒子の表面での量比に対応させることができる。反応性シラン化合物とフルオロアルキル(トリアルコキシ)シランの割合としては、重量比で10:1〜1:10の範囲で好ましく用いられる。
本発明の反射防止フィルムのヘーズ値は、0.5〜5.0%である。0.5〜5.0%とすることにより、優れた透過特性を発揮する。この内特にヘーズ値として1.0〜3.0%は好ましく用いられる。このように反射防止フィルムとして非常に小さなヘーズ値を有するために透過する映像をクリアに表現できる。一方、ヘーズ値を1%未満にすることが困難であり、ヘーズ値0.5%未満のものを得るためには表面凹凸による反射特性を犠牲にしてしまうため、好ましくない。本発明の反射防止フィルムには微小粒子の凝集等による凹凸制御を行わないため、微粒子の凝集等による内部散乱を押さえることも可能であり、微粒子の凝集構造を利用した系に比較して透過特性に優れている。
本発明の反射防止フィルムは、JIS K−7105に規定されている像鮮明度に下記の特徴を有しているのが好ましい。透過鮮明度として、スガ試験機ICM−1Tの光学くしのうち、くし幅の狭いほうが鮮明度が低く、くし幅の広いほうが鮮明度が高くなる方が好ましい。光学くし幅として、2mm、1mm、0.5mm、0.25mm、0.125mmが用意されているが、この内反射防止フィルムに垂直に光を透過させたときの、くし幅0.5mmにおける鮮明度が50%以下であり、くし幅2mmにおける鮮明度が50%以上であるのが好ましい。特にくし幅0.5mmにおける鮮明度が40%以下のものは好ましく用いられる。PDPにおいて外光は前面フィルターを透過したのち、フィルターの裏面およびPDPモジュール表面で反射したのち、再度フィルターを透過して人の目に映る。そのため、透過特性も映り込みにおいて影響を与えることが分かった。そして、透過する映像のクリアさと映り込み防止のバランスさせることが好ましく、くし幅0.5mmにおける鮮明度が10〜40%、くし幅2mmにおける鮮明度が70〜95%のものが最も好ましく用いることができる。この特性は、反射防止フィルムの凹凸形状を制御することで制御することができる。表面の凹凸周期が大きい領域でのその周期と高さを制御することにより、光学くし幅の狭い領域を制御できる。一方、凹凸周期の小さな領域でくし幅の広い領域を制御できる。鮮明度はそれぞれの領域の周期および凹凸高さおよび頻度を制御することでその鮮明度を制御することができる。
塗布溶液の塗布は、ディッピング、スピンコーター、ナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、グラビアロールコーター、スライドコーター、カーテンコーター、スプレイコーター、ダイコーター、キャップコーターなどの公知の方法を用いて実施することができる。これらのうち、連続塗布が可能なナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、グラビアロールコーター、スライドコーター、カーテンコーター、スプレイコーター、ダイコーターおよびキャップコーターが好ましく用いられる。
上記分散媒の具体例として水、炭素数1〜6の一価アルコール、炭素数1〜6の二価アルコール、グリセリンなどのアルコール類の他、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジ(n−プロピル)エーテル、ジイソプロピルエーテル、ジグライム、1、4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのアルカノールエーテル類、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトン、アセト酢酸エチルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチル(n−ブチル)ケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、アセチルアセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、アセトニトリル、プロピオニトリル、n−ブチロニトリル、イソブチロニトリルなどのニトリル類、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホランなどが好適に用いられる。
上記分散液をハードコート層に塗布するにあたり、塗布性能および基材との接着力を高めるために、公知のレベリング剤や結合助剤(カップリング剤)を添加することも有効である。
低屈折率層を製造する方法は、塗布組成物を用いて塗布する際は、シリカ微粒子など無機粒子の含有量、塗布液の濃度、バインダーおよび添加物の種類およびそれらの濃度、塗布方法、塗布条件などを制御することによって製造することができる。
塗布組成物の塗布は、ディッピング、スピンコーター、ナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、グラビアロールコーター、スライドコーター、カーテンコーター、スプレイコーター、ダイコーター、キャップコーターなどの公知の方法を用いて実施することができる。これらのうち、連続塗布が可能なナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、グラビアロールコーター、スライドコーター、カーテンコーター、スプレイコーター、ダイコーターおよびキャップコーターが好ましく用いられる。
本発明の反射防止フィルムは、粘着剤を用いて表示装置表面のガラスなどに貼り付けることによって表示装置の反射防止機能を付与することができる。この粘着剤としてはPDPの場合、光学用のアクリル系粘着剤に、ネオン色カットの色素、近赤外線カットの色素、紫外線カットの色素、色調調整用の色素などを含有させることができる。
被覆層の膜厚は、通常、50nm以下、好ましくは10nm以下である。被覆層は単層または複数層で構成されていてもよい。防汚効果を発現させるために、上記の中でも、フッ素樹脂、湿気硬化型シリコーン樹脂および熱硬化型シリコーン樹脂が好ましい。
以下、本発明を一層明確にするために実施例を挙げて説明する。
射角5度における最低反射率および最低反射率波長;
ガラス板(NHテクノグラス社製NA35、0.70mmt、TFT用)にアクリル系光学用粘着剤を用いて反射防止フィルム(透明フィルム側)を貼り、ガラス板の裏面の反射光をカットするため、裏面を紙やすりで荒した後に黒色インクで塗りつぶした。その後、分光光度計UV−2450/MPC2200型5°絶対反射率測定装置(島津製作所株式会社製)を用いて、波長300nm〜800nmの範囲の反射率スペクトルを0.5nm間隔で測定し、最も低い反射率を最低反射率とし、その時の波長を最低反射率波長とした。
中心面平均粗さ(SRa)、平均波長(Sλa);
厚さ5mm以上のオプティカルフラット(ガラス製)上にフィルムを貼り、株式会社小坂研究所の表面形状測定器「サーフコーダ ET4000」を用いて、1mm×1mm〜3mm×3mmの領域を測定した。測定エリアの選択はSλaが200μmを超える場合は3mm×3mmで測定し、それ以外は1mm×1mmのエリアで評価した。X軸の送り速度は0.2mm/s、Yピッチ10μmとし、生データは最小二乗法によってレベリングされたもので、カットオフを用いずに表面形状パラメータを算出させた。用いたソフトはET4000の標準ソフト「3次元表面粗さ解析プログラム TDA−22」を用いてSRa、Sλaを算出させた。
上記(3)中心面平均粗さ(SRa)で測定したデータを用い、標準の「3次元表面粗さ解析プログラムTDA−22」を用いて山粒子解析を行った。山粒子解析では、スライスレベルをSRaμmに設定し、その切り口面積を100μm2ごとにクラス分けを行ったヒストグラムで評価した。
(5)鉛筆硬度;JIS S6006に規定される試験用鉛筆を用いて、JIS K5400に規定される鉛筆硬度の評価方法に従い、500g荷重における鉛筆硬度を評価した。
(6)全光線透過率およびヘーズの測定;日本電色工業株式会社製濁度計(曇り度計)NDH2000を用いて、JIS K7361−1に規定される方法にて測定した。
(7)表面抵抗率の測定;測定装置として東亜ディーケーケー社製超絶縁計SM−8210、電極としては平板試料用電極SME−8311を用い、JIS K6911に規定される方法によって表面抵抗率を測定した。(20℃、65RH%)
◎・・・透過像が完全に鮮明に見える
○・・・透過像が鮮明であるが、真正面から見たときに比べてややボケる
△・・・透過像がぼける
×・・・透過像がぼやけて不鮮明
(9)PDPギラツキ評価;透過像評価と同様に反射防止フィルムを設置し、信号発生器によってグリーン単一色での輝度斑によるギラツキを目視にて判定した。
◎・・・ギラツキがほとんど見られない。
○・・・ギラツキが少し確認できる。
△・・・ギラツキが確認できるが、通常の映像では気にならない。
×・・・ギラツキがひどく、通常の映像でも明確に見えてしまうレベル。
(10)PDP反射特性評価;前面フィルターを有するPDP表示装置の前面板フィルターに、外面側の表面に反射防止フィルムを光学用アクリル系粘着剤を用いて貼り付けた。反射防止フィルムが形成されている側に蛍光灯の光を直接反射させ、映り込んだ蛍光灯の像のイメージを以下の判定基準により目視にて判定した。
◎・・・蛍光灯の像のイメージがぼやける。
○・・・蛍光灯の像のイメージが少しぼやける。またはぼやけているが像が明るく見える。
△・・・蛍光灯の像のイメージがやや鮮明であるが、周りの景色の映りこみはほとんどない。
×・・・蛍光灯の像のイメージが明確に認識できる。
(ハードコート層塗工液HC−A)
A−DPH(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、新中村化学社製)75重量部とUV硬化型ハードコート塗料HIC−G(共栄社化学株式会社製、UV硬化樹脂)25重量部を、メチルエチルケトン50重量部とメチルイソブチルケトン50重量部の混合溶液に溶解した。その溶液に開始剤として「イルガキュア(商標登録) 184」を3重量部加えて溶解した。
A−DPH(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、新中村化学社製)75重量部とUV硬化型ハードコート塗料HIC−G(共栄社化学株式会社製、UV硬化樹脂)25重量部を、メチルエチルケトン50重量部とメチルイソブチルケトン50重量部の混合溶液に溶解した。その溶液に開始剤として「イルガキュア(商標登録) 184」を3重量部加えて溶解した。IPA−ST−ZL(日産化学工業株式会社製、SiO2、粒径70〜100nm、30wt%のイソプロパノール(以下IPAと記載)分散液)を20重量部混合し、これに、ナトリウムメトキシドの0.28mol%溶液を22重量部攪拌しながら滴下した。その後1時間攪拌してハードコート層塗工液HC−Bを調製した。
中空シリカ微粒子として触媒化成工業株式会社製、平均粒径60nm、屈折率1.30、固形分20wt%のイソプロパノール(以後IPAと記載する)分散液を用いた。この中空シリカ/IPA分散液100重量部に対し、フッ素系低屈折材料(JSR株式会社製、オプスターTU2085、固形分10.5wt%)50重量部を加えた。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/t−ブタノール=25/75(重量比)283重量部で希釈し、固形分3wt%の低屈折率層塗工液L−Aを調製した。
ITO微粒子のエタノール分散液(触媒化成工業社製「ELECOM V−2506」固形分20.5wt%)20重量部に対して、ジペンタエリスリトールヘキサメタアクリレート1重量部、ITOの分散助剤(燐酸エステル系)0.1重量部、開始剤として「イルガキュア(商標登録) 184」を0.1重量部用い、これらをエタノール溶媒中で混合・分散させて、固形分濃度4wt%の帯電防止層塗工液H−Aを調整した。
特表2004−508585号報に記載に順じて、型A〜Dの5種類のものを準備した。これらは簡易的に評価するためにロール形状とせずに1辺が約10cmの正方形板状のニッケル金属を型とした。型A〜Fは、レーザー光源、対物レンズ、感光材などそれぞれの種類や距離を変化させて5種類のものを作製した。特にA〜C、Fは感光材への露光時間をC,Dに比較しておよそ1/2〜1/20短くして凹凸の高さの低いものを作製した。作製した型A〜Fの凹凸面に、離型処理としてフッ素系表面処理剤(住友スリーエム社製「ノベックEGC−1720」フッ素系処理剤濃度約0.1wt%)を塗工した後、120℃で3分乾燥させたものを用いた。塗工厚みとしては乾燥後の厚みが約5nmになるように調整した。
(帯電防止層の形成)
透明フィルムとして、東レ株式会社製の光学用PETフィルムU46(厚み100μm)を用い、これに「帯電防止層塗工液H−A」をバーコーターを用いて塗工したのち、60℃で2分乾燥後、、フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製UV露光装置(Hバルブ)を用いて、照度2600mW/cm2、光量500mJ/cm2で硬化させて帯電防止層とした。帯電防止層の厚さは約150nmだった。
得られたフィルムをバーコーターを用いて乾燥後の厚みがおよそ5μmになるように「ハードコート層塗工液HC−A」を塗工した。バーコーターで塗工後の膜を80℃で3分乾燥させ、凹凸形成させる前の状態にした。
乾燥を行ったハードコート層側と型Aとを空気が入らないように張り合わせ、ローラーで軽くPETフィルム表面をならした。その後、PET側からフュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製UV露光装置(Hバルブ)を用いて、照度2600mW/cm2、光量750mJ/cm2のUVを照射して硬化させた。ハードコート層と型Aとをゆっくりと剥離させ、PETフィルムと帯電防止層の上に凹凸の転写したハードコート層が得ることができた。このフィルムをさらにハードコート層側から上記同様のUV装置を用いて、UVを500mJ/cm2照射して硬化を促進させた。
得られた反射防止フィルム(PETフィルム/帯電防止層/凹凸を有するハードコート層)を「各種測定方法」に記載した方法で評価し、その結果を表1に要約した。
用いた型Aについて反射防止フィルムと同様にして表面形状を測定したところ、転写率は96%であり、反射防止フィルムの凹凸の方が僅かに小さくなっていたものの、型とほぼ同様の形状であることが分かった。
(低屈折率層の形成)
実施例1で得られたフィルムに「低屈折率層塗工液L−A」をバーコーターを用いて塗工した。その後、120℃で1分乾燥させた後、フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製UV露光装置(Hバルブ)を用いて、酸素濃度100ppm以下、照度2600mW/cm2、光量1500mJ/cm2で硬化させておよそ50〜150nmの厚みの低屈折率層を形成し、PETフィルム/帯電防止層/凹凸を有するハードコート層/低屈折率層からなる反射防止フィルムを得た。
得られた反射防止フィルムを「各種測定方法」に記載した方法で評価した。この評価方法による結果を表1に要約した。
ET4000を用いた1mm×1mmの形状測定において、表面形状は、実施例1と実施例2において大きな有意差は見られなかった。
帯電防止層およびハードコート層の乾燥まで実施例1と同様に行ったのち、ハードコート層への凹凸の転写に用いる型を種々変えて転写を行った。転写の方法は実施例1と同様に行った。その後低屈折率層の形成は、実施例2と同様に行い、種々の反射防止フィルムを得た。
得られた反射防止フィルムは実施例2と同様の評価をし、これらの結果を表1に要約した。
PETフィルム上に帯電防止層を実施例1と同様にして形成させた。その後、バーコーターを用いて乾燥後の厚みがおよそ5μmになるように「ハードコート層塗工液HC−B」を塗工した。バーコーターで塗工後の膜を80℃で3分乾燥させ、ハードコート層側からフュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製UV露光装置(Hバルブ)を用いて、照度2600mW/cm2、光量750mJ/cm2のUVを照射した。得られたフィルムは微細なシリカの凝集による凹凸を表面に有していた。
このハードコート層の上に実施例2と同様にして低屈折率層を塗工して、PETフィルム/帯電防止層/凹凸を有するハードコート層/低屈折率からなる反射防止フィルムを得た。
得られた反射防止フィルムは実施例2と同様の評価を行い、これらの結果を表1に要約した。
また得られたフィルムの断面を電子顕微鏡で観察したところ、シリカ微粒子の凝集が見られ、凝集による突起の形成が認められた。また比較例3で得られたフィルムの反射防止層側の表面のEDXによるSiの面分布を測定したところ、表面形状とよく対応していることが分かった。
Claims (4)
- 透明フィルムと透明フィルム上に形成される反射防止層からなる反射防止フィルムであり、該反射防止フィルムの反射防止層側表面の平均波長(Sλa)が50〜300μmであり、中心面平均粗さ(SRa)が 下記式(1)で表される凹凸を有し、
0.1+0.00065×Sλa<SRa< 0.003×Sλa 式(1)
該凹凸が転写により形成されたことを特徴とする反射防止フィルム。 - 該凹凸が不規則な配列を有することを特徴とする請求項1記載の反射防止フィルム。
- 該凹凸の転写が、干渉露光による凹凸形状を元に転写されたことを特徴とする請求項1記載の反射防止フィルム。
- 該反射防止層がハードコート層と低屈折率層からなることを特徴とする請求項1記載の反射防止フィルム。
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