JP2009103808A - 反射防止フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】透過特性として広い視野角を有し、かつ映り込みがなく、ギラツキの非常に少ないバランスの優れた反射防止フィルムを提供する。
【解決手段】透明フィルムと透明フィルム上に形成される反射防止層からなる反射防止フィルムであり、該反射防止フィルムの反射防止層側表面の平均波長(Sλa)が50〜300μmであり、中心面平均粗さ(SRa)が 下記式(1)で表される凹凸を有し、
0.1+0.00065×Sλa<SRa< 0.003×Sλa 式(1)
該凹凸が転写により形成されたことを特徴とする反射防止フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、反射防止フィルムに関するものである。
近年、薄型で大画面に用いられている液晶表示装置(LCD)やプラズマディスプレイパネル(PDP)など様々な画像表示装置においては、画面に外部から入射した光が反射することによって表示画像を見難くすることがある。特に、画像表示装置の大型化に伴い、上記問題を解決することがますます重要となってきており、様々な反射防止方法が提案・設置されている。
LCDにおいては表面に微細な凹凸を形成することによる反射防止が施されている。微細な凹凸による反射防止方法は、防眩処理とも呼ばれ、従来よりサンドブラスト加工、エンボス加工、微粒子を含有する塗膜の形成などが行なわれている。例えば、透過光の散乱特性が制御され、ギラツキ感が改良された防眩性ハードコートフィルムの製造方法として、透明プラスチック基材に活性エネルギー線硬化型樹脂を塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させ、活性エネルギー線硬化型樹脂層を形成したのち、該被膜に対してサンドブラスト加工またはエンボス加工のいずれかを施す方法が提案されている。(特許文献1)
また、透光性微粒子、透光性樹脂および透光性樹脂の良溶媒と貧溶媒からなる塗工液により防眩フィルムの防眩層を形成するにあたり、乾燥過程で貧溶媒の作用により透光性微粒子と透光性樹脂がゲル化し、良好な凹凸構造を形成する方法が開示されている。(特許文献2)
また、スチレンビーズなどの透明性微粒子を含んだ樹脂組成物を透明プラスチック基材に塗工することにより、透明性微粒子によって塗布膜に付与される凹凸の状態で塗膜の表面に良好な防眩層を形成する方法が開示されている。(特許文献3)
一方、PDPにおいては、反射防止処理としてLCDに用いられているような防眩処理を施した場合、上記の特許文献1、特許文献2、特許文献3に示されたいずれの方法でも、外光による映り込みは低いものの、本来映像として映したい透過映像そのものがぼやけてしまい、PDPの特徴である映像の美しさを損ねてしまうという問題があった。
LCDの技術が応用できないことは、PDPがLCDと異なり発光部から距離の離れた光学フィルターを用いていることも起因していると考えられる。
これらの課題の解決策として、従来PDPにおいては、その優れた透過映像を損なわずに反射像のみを低減させる方法として、低屈折率の薄膜(以下 反射防止膜と呼ぶ)による光の干渉を利用した反射防止方法により、外光の反射率を下げることが行われてきた。具体的には、単層の反射防止膜の場合、基板の屈折率がn、単層膜の屈折率がnでn>nである場合、反射率Rは極小値として(n−n/(n+nをとることを利用し、n=nとなるように単層膜の屈折率nを(n1/2に近づけて反射率を低減させるものである。現在、反射防止膜を有する光学部材として一般に市販されているものは、その可視光域における視感度反射率が2%前後のものが多い。このような反射防止膜用の低屈折率の材料としては種々あるが、塗布法によって反射防止膜を形成する材料としては、フッ素樹脂が一般的に知られている。(特許文献4)
反射防止膜を製膜する方法として、内部に空洞を有する中空シリカ等の中空微粒子を、アルコキシシランの加水分解重縮合物から得られる無機成分を含むバインダー中に分散させて反射防止膜を製膜する方法(特許文献5)が開示されている。
しかしながら、反射防止膜では外光や蛍光灯などの映り込んだものが鮮明であるために、表示したいものの視認性が十分ではなく、反射防止方法としては不十分なものであった。
特開平11−352899号公報 特開2000−338310号公報 特開平11−305010号公報 特開平04−355401号公報 特開2005−099778号公報
即ち、本発明の目的は、上記の問題点を解決し、PDPの特徴ある優れた透過映像を有すると共に、優れた反射防止特性を合わせ持ち、さらにギラツキの非常に少ないバランスの取れた反射防止フィルムを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を行ったところ、表面形状制御を微粒子を用いて単純に形成させるだけではすべての特性をバランスさせることが難しく、特性のトレードオフ関係になっていることが分かった。そしてそれらを打破すべく種々検討を行い、これら全ての特性を発揮できる表面形状を微粒子を用いずに特殊形状を形成することで可能であることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
(1)透明フィルムと透明フィルム上に形成される反射防止層からなる反射防止フィルムであり、該反射防止フィルムの反射防止層側表面の平均波長(Sλa)が50〜300μmであり、中心面平均粗さ(SRa)が 下記式(1)で表される凹凸を有し、
0.1+0.00065×Sλa<SRa< 0.003×Sλa 式(1)
該凹凸が転写により形成されたことを特徴とする反射防止フィルム。
(2)該凹凸が不規則な配列を有することを特徴とする上記(1)記載の反射防止フィルム。
(3)該凹凸の転写が、干渉露光による凹凸形状を元に転写されたことを特徴とする上記(1)記載の反射防止フィルム。
(4)該反射防止層がハードコート層と低屈折率層からなることを特徴とする上記(1)記載の反射防止フィルム。
である。
本発明によれば、様々な映像においてもギラツキがなく、コントラストと視野角にも優れた透過映像を表示できると共に、優れた反射防止特性を併せ持つフィルムを提供することができるため、LCD、PDP、有機ELなどの各種画像表示装置にも有用である。特にPDPにおいては前面板フィルタータイプにおいても優れた表示をすることができ、有用に用いられる。
本発明について、以下に具体的に説明する。
本発明に用いることが出来る透明フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、トリアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースアセテート系フィルム、延伸したポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ノルボルネン系フィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアリレート系フィルムなどである。透明フィルムは透過光の利用という観点から、ヘーズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。
本発明の反射防止フィルムは、反射防止機能を施したい面に粘着剤等を用いて表面に貼ることで反射防止機能を付与することができる。反射防止機能を付与したい面としてはガラスが最も多く、またポリカーボネートやアクリル樹脂にも用いることができる。光線透過率、光の利用効率の観点から、透明フィルムのうち屈折率が1.45以上1.69以下のもので、トリアセチルセルロースフィルム(以下TACフィルムと記載)やポリエチレンテレフタレートフィルム(以下PETフィルムと記載)などが好ましく用いられる。
TACフィルムやPETフィルムの厚さは、反射防止層の厚みの均一性、光学基材としての取扱性という観点から12μm以上が好ましい。TACフィルムやPETフィルムの厚さの好ましい上限は、光線透過率、光の利用効率の観点から200μmである。
本発明の透明フィルムとしては、紫外線吸収剤を含有したものを用いてもよい。PDP前面板フィルタの構成要素、特に色調補正層などに用いる色素の保護に好ましく用いることができる。紫外線吸収剤として420nm以下の短波長側を吸収する紫外線吸収剤を用いることができ、特に350〜400nmの紫外線吸収剤を用いることができる。
本発明の反射防止フィルムは、透明フィルムと透明フィルム上に形成される反射防止層からなる。反射防止層とは、透明フィルム上に表面に凹凸を有する層であり、光の干渉を利用した反射防止膜を有していてもよい。
反射防止層の構成としては、表面に凹凸を有するハードコートからなるもの、表面に凹凸を有するハードコート層の上にさらに低屈折率層を設けて反射率の低下させる層を設けたもの、表面の凹凸を有するハードコート層の上に高屈折率層と低屈折率層を順に設けたもの、表面に凹凸を有するハードコート層の上に多層の薄膜を設けて反射率を低下させる層を設けたものなどがある。また透明フィルム上に凹凸を有する樹脂層を設け、その上に凹凸の形状をほぼ保持したままハードコート層や多層の反射率低下層を設けてもよい。本発明の反射防止フィルムは、反射防止層側の最表面での形状に特徴をもつものである。
本発明の反射防止フィルムの反射防止層側表面の形状は、触針式の表面形状測定器で測定することができる。例えば、株式会社小坂研究所の表面形状測定器「サーフコーダ ET4000」を用いて、1mm×1mm〜3mm×3mmの領域を測定することで、その表面形状を測定することができる。この際に生データは最小二乗法によってレベリングされたもので、カットオフを用いずに表面形状パラメータを算出させる。
ここで中心面平均粗さ(SRa)は、JIS B0601−1994、ISO 4287−1997、ASME−1995に記載されている2次元粗さパラメータの中心線平均粗さ(Ra)を、3次元に面として計算させたもので、
Figure 2009103808

Sm=Lx×Ly
粗さ曲面の中心面上に直交座標軸X、Y軸を置き中心面に直交する軸をZ軸とし、粗さ曲面を
f(x、y)、基準面の大きさLx、Lyとしたとき、上記の式で与えられる値である。
平均傾斜勾配SΔaは、ASME−1995に記載されている二次元の算術平均傾斜Δaを、3次元に面として計算させたもので、
Figure 2009103808
粗さ曲面の中心面上に直交座標軸X、Y軸を置き、中心面に直交する軸をZ軸とし、粗さ曲面を
f(x、y)、基準面の大きさをLx、Ly としたとき、上記の式で与えられる値である。
平均波長Sλaは、二次元の算術平均波長λaを、3次元に面として計算させたもので、
Figure 2009103808
で与えられる値である。
これらのSRa、SΔa、Sλaなどのパラメータは標準的なデータ処理であるため「サーフコーダ ET4000」の標準データ処理ソフトに組み込まれているため、自動的に算出、出力可能である。
本発明の反射防止フィルムの反射防止層側表面の形状は、その平均波長(Sλa)が50〜300μmであり、中心面平均粗さ(SRa)が 下記式(1)で表される凹凸を有ししている。
0.1+0.00065×Sλa<SRa< 0.003×Sλa 式(1)
平均波長(Sλa)が小さいと、反射した蛍光灯などの映りがクリアに見えやすくなり、また表面が白っぽくなるため好ましくない。平均波長(Sλa)が大きいとギラツキが大きくなるため好ましくない。これらの内60〜200μm、特に70〜150μmは平均波長として好ましく用いることができる。
本発明において、SλaとSRaとの関係は重要であり、SRaが(0.1+0.00065)μmよりも小さいと表面での外光や蛍光灯の映り込みが大きくなる。一方SRaが(0.003×Sλa)μmよりも大きいと映像を斜めから見た場合の像がぼやけてしまい、十分な視野角を維持することができなくなる。
本発明において、表面形状を成す凹凸は不規則な配列を有するのが好ましく用いられる。幾何学的に整列された凹凸の場合、その周期によっては画面にモアレが見られることがある。一つの指標として、表面形状の粒子解析手法を用いることが出来る。
例えば、山粒子解析で、スライスレベルをSRaμmに設定し、その切り口面積を100μmごとにクラス分けを行ったヒストグラムで評価すると、切り口面積の分布が幅として1000μm以上に渡って広がっているのが好ましい。単一分布だとモアレが見られる場合があり、好ましくない。分布が不均一であるため、その並び方も不均一に存在可能になる。
一方、シリカ微粒子などの微細粒子の凝集構造による凹凸形成においては、この分布が広く、また0〜100μmに多数の突起を有することが多い。このような微小面積の突起が多いと画面として白っぽくなり好ましくなく、またフィルムの透過特性の一つである角度依存性も低下する傾向がある。SRaでスライスした切り口面積0〜100μmの突起数が1mm×1mmの範囲で50個以下であるのが好ましく、特に30個以下であるのが好ましく用いられる。
本発明の反射防止フィルムの反射防止層は、ハードコート層を有するのが好ましい。ハードコート層を有することにより、反射防止フィルムの耐擦傷性が向上し、様々な用途に用いることが可能になる。ハードコート層の厚さや材料、硬化条件などを選択することにより、耐擦傷性を制御することができる。耐擦傷性の一つの指標として、鉛筆硬度試験を用いることができる。本発明の反射防止フィルムは、鉛筆硬度がHB以上、好ましくはH以上、さらには2H以上のものが最も好ましく用いることができる。ハードコート層の厚みとしては、0.5μm〜10μmのものを用いることができる。この内、1μm〜6μmのものは特に特性を発現しやすいためよく用いられる。
ハードコート層の材料は、熱硬化や紫外線硬化、電子線硬化が行えるハードコート材料であることが好ましい。尚、ハードコート材料は硬化方法に応じて、光重合開始剤や熱重合開始剤、添加剤、溶剤等を含んでいることが好ましい。ハードコート材料の代表的な例としては、メラミン系、アクリルラジカル系、アクリルシリコーン系、アルコキシシラン系が挙げられる。上記のハードコート材料のうち、アクリルラジカル系は多官能アクリレートモノマー、オリゴマー、及び/又は、多官能アクリレートモノマーを重合したものが好ましい。多官能アクリレートモノマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等が挙げられる。
多官能アクリレートオリゴマーとしては、ノボラック型やビスフェノール型エポキシ樹脂をアクリレート変性したエポキシアクリレート、ポリイソシアネートとポリオールを反応させて得られるウレタン化合物のアクリレート変性物であるウレタンアクリレート、ポリエステル樹脂をアクリレート変性したポリエステルアクリレート等が挙げられる。
アクリルシリコーン系では、シリコーン樹脂上にアクリル基を共有結合により結合させたものが好ましい。
また、アルコキシシラン系では、アルコキシシランを加水分解重縮合させることにより得られたシラノール基を有する縮合体を含んでいるものが好ましい。塗布後の熱硬化等により、シラノール基がシロキサン結合に変換されて硬化膜が得られる。
これらのハードコート材料は、単独で使用しても、複数を混合して使用しても構わない。屈折率の調整で複数のハードコート材料を混合することは好ましく行われる。この中でも製法の簡便さ、コスト、性能などからアクリルラジカル系が好ましく用いられ、多官能アクリレートオリゴマーがより好ましく用いられる。
ハードコート材料としては、市販のシリコーン系ハードコート、(メタ)アクリル系ハードコート、エポキシ系ハードコート、ウレタン系ハードコート、エポキシアクリレート系ハードコート、ウレタンアクリレート系ハードコートなど、公知のものを用いることができる。具体的には、信越化学工業株式会社製UV硬化型シリコーンハードコート剤X−12シリーズ、GE東芝シリコーン株式会社製UV硬化型シリコーンハードコート剤UVHCシリーズや熱硬化型シリコーンハードコート剤SHCシリーズ、株式会社日本ダクロシャムロック製熱硬化性シリコーンハードコート剤ソルガードNPシリーズ、日本合成化学工業株式会社製UV硬化型ハードコート剤紫光シリーズ、共栄社化学株式会社製UV硬化型ハードコート剤ライトプロコートシリーズ、日本化薬株式会社製UV硬化型ハードコート剤KAYANOVA FOPシリーズなどが好ましい。これらの市販のハードコート材料は、単独で使用しても、複数を混合して使用しても構わない。屈折率の調整で複数のハードコート材料を混合することは好ましく行われる。この他、多官能モノマーなどと重合開始剤を含む塗布液を塗布し、多官能モノマーなどを重合させることによっても形成できる。
ハードコート材料には、さらに添加物として重合開始剤を添加することが有効である。重合開始剤としては、熱ラジカル発生剤、光ラジカル発生剤、熱酸発生剤、光酸発生剤など公知のものを、ハードコート材料の重合性官能基や重合性モノマーの反応形態に合わせて選ぶことができる。熱/光ラジカル発生剤の具体例としては、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社より市販されているイルガキュア(登録商標)、ダロキュア(登録商標)と呼ばれるアセトフェノン系、ベンゾフェノン系、ホスフィンオキサイド系、チタノセン系の各重合開始剤、チオキサントン系重合開始剤、ジアゾ系重合開始剤、o−アシルオキシム系重合開始剤などが挙げられる。これらの中でもイルガキュア(登録商標)184等のベンゾフェノン系の重合開始剤が特に好ましい。また熱/光酸発生剤の具体例としては、三新化学工業株式会社より市販されているサンエイド(商標)SIシリーズ、和光純薬工業株式会社より市販されているWPIシリーズ、WPAGシリーズ、シグマアルドリッチジャパン株式会社より市販されているPAGsシリーズに代表される、スルホニウム系、ヨードニウム系、ジアゾメタン系の各重合開始剤などが挙げられる。
ハードコート層は、光学的な特性を損なわない範囲において、帯電防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、レベリング剤、色素、金属塩、界面活性剤、離型剤など種々の添加物を含有させることも可能である。また、屈折率の調整や収縮率の調整、鉛筆硬度の調整など種々の目的に応じて添加物を含有させることができる。各種目的に応じて種々の添加物を用いることができるが、光学的な特性を損なわないように、微粒子や分子、イオンを用いることができる。微粒子の場合、1次粒子として粒径100nm以下のもの、特に50nm以下の金属酸化物微粒子、無機微粒子や樹脂微粒子を用いることができる。
帯電防止機能をハードコート層に設けるのは好ましい対応の一つである。導電性微粒子と低屈折率の無機粒子を混合することにより帯電防止機能と屈折率の調整が可能であり、表面形状を損なわない範囲において用いることができる。鉛筆硬度もH以上とすることが可能である。
帯電防止性を付与するための帯電防止剤としては、界面活性剤、イオン性ポリマーなどの公知の帯電防止剤や導電性微粒子などをバインダーに分散させたものが用いられる。導電性微粒子としては、例えばインジウム、亜鉛、スズ、モリブデン、アンチモン、ガリウムなどの酸化物あるいは複合酸化物微粒子、銅、銀、ニッケル、低融点合金(ハンダなど)の金属微粒子、金属を被覆したポリマー微粒子、各種のカーボンブラック、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマー粒子、金属繊維、炭素繊維など、公知のものを用いることができる。この中でも特にITO(スズ含有酸化インジウム)粒子、ATO(スズ含有酸化アンチモン)粒子、五酸化アンチモン粒子が、高い透明性と導電性を発現させることができるので好ましい。帯電防止性ハードコート層の表面抵抗率は、10Ω/□〜1018Ω/□が好ましく用いられる。
本発明の反射防止フィルムは、ハードコート層の上に低屈折率層が形成されているものが好ましく用いられる。低屈折率層が形成されていることによって、透過映像のコントラスト向上と、外光による反射像の反射率低下によって視認性をさらに向上させることができる。低屈折率層としては、ハードコート層よりも屈折率の低い層であり、好ましくは波長550nmでの屈折率が1.25〜1.45のものが好ましく用いられる。低屈折率層の屈折率は、入射角5度における最低反射率を2%以下となるよう含有させる微粒子の種類や量、バインダーの種類や量を制御することが好ましい態様である。低屈折率層の厚みとしては50nm〜250nmの範囲で用いられ、可視光領域での反射防止性能の観点から、通常、入射角5度における最低反射率波長を500〜750nmに有するように厚みを調整されたものが好ましい。
低屈折率層は、シリカ微粒子とバインダーを含有する構成が好ましく用いられる。シリカ微粒子としては、内部に空洞が有っても無くても構わない。分散性、得られる層の表面性、機械的強度の観点から、平均粒子径は200nm以下のものを用いるのが好ましい。平均粒子径が200nmを超えるとヘーズが大きくなり、表面の白ボケが発生する傾向がある。
シリカ微粒子として粒子内部に空洞を有する中空シリカ微粒子を用いることは、低屈折率層の屈折率を低くできるため好ましい。この空洞は、外殻によって包囲されているので、この空洞にバインダーが侵入することはない。そしてこの空洞が存在していることによって低屈折率化を図ることができるものであり、また空洞内へのバインダーの侵入が阻止されていることによって屈折率の増加を防止することができ、反射防止層の低屈折率化を実現できるものである。
中空シリカ微粒子の平均粒子径は、40〜200nmのものを用いることが好ましい。中空シリカ微粒子の粒子径が200nmより大きいと、空洞を包囲している外殻の厚さがほぼ一定の場合、屈折率が小さくなるものの、中空シリカ微粒子の強度が弱くなる傾向があり、また表面凹凸が大きくなりすぎることによって透過像がぼやけ、防眩性フィルム表面の白ボケが発生する傾向がある。中空シリカ微粒子が40nmより小さいと、強度は高くなるものの、屈折率を下げることが困難になる。屈折率に関しては粒子径の3乗に相関するため非常に大きな要因である。これらの観点から、特に好ましくは平均粒子径として60〜200nmのものが用いられる。
中空シリカ微粒子の屈折率は、反射防止層の低屈折率化という観点から1.40以下であることが好ましい。屈折率が1.40より大きいと低屈折率化の効果が低い。好ましくは屈折率として1.10〜1.35のものが用いられる。
なお、2種類以上の粒子径のシリカ微粒子や中空シリカ微粒子を併用しても構わない。
次に、低屈折率層に含有するバインダーについて説明する。
バインダーとしては、単独でも複数を組み合わせてもよい。
好ましいバインダーとしては、以下のものが挙げられる。
(1)テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(i−プロポキシ)シラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジ(i−プロポキシ)シラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルエチルジ(i−プロポキシ)シラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、メチルプロピルジ(i−プロポキシ)シラン、メトキシシラン、エトキシシラン、メチルメトキシシラン、メチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチル(i−プロポキシ)シラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリエチル(i−プロポキシ)シラン、トリプロピルメトキシシラン、トリプロピルエトキシシラン、トリプロピル(i−プロポキシ)シラン、メチルジエチルメトキシシラン、メチルジエチルエトキシシラン、メチルジエチル(i−プロポキシ)シラン、メチルジプロピルメトキシシラン、メチルジプロピルエトキシシラン、メチルジプロピル(i−プロポキシ)シラン、エチルジメチルエトキシシラン、エチルジメチル(i−プロポキシ)シラン、エチルジプロピルメトキシシラン、エチルジプロピルエトキシシラン、エチルジプロピル(i−プロポキシ)シラン、プロピルジメチルメトキシシラン、プロピルジメチルエトキシシラン、プロピルジメチル(i−プロポキシ)シラン、プロピルジエチルメトキシシラン、プロピルジエチルエトキシシラン、プロピルジエチル(i−プロポキシ)シラン、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)プロパン、ヘキサメトキシジシロキサン、ヘキサエトキシジシロキサン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラキス(トリクロロアセトキシ)シラン、テトラキス(トリフルオロアセトキシ)シラン、トリアセトキシシラン、トリス(トリクロロアセトキシ)シラン、トリス(トリフルオロアセトキシ)シラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリス(トリクロロアセトキシ)シラン、メチルトリス(トリフルオロアセトキシ)シラン、メチルジアセトキシシラン、メチルビス(トリクロロアセトキシ)シラン、メチルビス(トリフルオロアセトキシ)シラン、ジメチルビス(トリクロロアセトキシ)シラン、ジメチルビス(トリフルオロアセトキシ)シラン、メチルアセトキシシラン、メチル(トリクロロアセトキシ)シラン、メチル(トリフルオロアセトキシ)シラン、ジメチルアセトキシシラン、ジメチル(トリクロロアセトキシ)シラン、ジメチル(トリフルオロアセトキシ)シラン、トリメチルアセトキシシラン、トリメチル(トリクロロアセトキシ)シラン、トリメチル(トリフルオロアセトキシ)シラン、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、テトラフルオロシラン、トリクロロシラン、トリブロモシラン、トリフルオロシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリブロモシラン、メチルトリフルオロシラン、メチルジクロロシラン、メチルジブロモシラン、メチルジフルオロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジブロモシラン、ジメチルジフルオロシラン、メチルクロロシラン、メチルブロモシラン、メチルフルオロシラン、ジメチルクロロシラン、ジメチルブロモシラン、ジメチルフルオロシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルブロモシラン、トリメチルフルオロシランなどの加水分解性シラン類。
(2)3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリアセトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリス(トリクロロアセトキシ)シラン、3−アクリロキシプロピルトリス(トリフルオロアセトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリス(トリクロロアセトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリス(トリフルオロアセトキシ)シラン、3−グリシドキシプロピルトリアセトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリス(トリクロロアセトキシ)シラン、3−グリシドキシプロピルトリス(トリフルオロアセトキシ)シラン、3−アクリロキシプロピルトリクロロシラン、3−アクリロキシプロピルトリブロモシラン、3−アクリロキシプロピルトリフルオロシラン、3−メタクリロキシプロピルトリクロロシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリブロモシラン、3−メタクリロキシプロピルトリフルオロシラン、3−グリシドキシプロピルトリクロロシラン、3−グリシドキシプロピルトリブロモシラン、3−グリシドキシプロピルトリフルオロシランなどの、同一分子内に重合性官能基およびシリカ粒子と共有結合を形成することが可能な官能基とを併せ持つ反応性シラン化合物。
(3)ケイ酸、トリメチルシラノール、トリフェニルシラノール、ジメチルシランジオール、ジフェニルシランジオール、シラノール末端ポリジメチルシロキサン、シラノール末端ポリジフェニルシロキサン、シラノール末端ポリメチルフェニルシロキサン、シラノール末端ポリメチルラダーシロキサン、シラノール末端ポリフェニルラダーシロキサン、オクタヒドロキシオクタシルセスキオキサンなどの、シラノール基を含有するケイ素化合物。
(4)水ガラス、オルトケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸カリウム、オルトケイ酸リチウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、メタケイ酸リチウム、オルトケイ酸テトラメチルアンモニウム、オルトケイ酸テトラプロピルアンモニウム、メタケイ酸テトラメチルアンモニウム、メタケイ酸テトラプロピルアンモニウムなどのケイ酸塩を酸やイオン交換樹脂に接触させることにより得られる活性シリカ。
(5)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテル類、ポリアクリルアミド誘導体、ポリメタクリルアミド誘導体、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(N−アシルエチレンイミン)などのアミド類、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、ポリカプロラクトンなどのエステル類、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリ尿素類、ポリカーボネート類などの有機ポリマー。これら有機ポリマーの末端や主鎖中に、重合性官能基を有していてもよい。
(6)アルキル(メタ)アクリレート、アルキレンビス(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどのアクリル系モノマーを重合したもの。アルキレンビスグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジエポキシドなどの重合性モノマー。ここで(メタ)アクリレートとはアクリレートとメタクリレートの両方を指す。これらの重合物である。
(7)硬化性樹脂。一例を挙げると、(メタ)アクリル系UV硬化性樹脂、湿気硬化型シリコーン樹脂、熱硬化型シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ノボラック樹脂、シリコーンアクリレート樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂などが挙げられる。
(8)上記(1)〜(7)のアルキル基や水素基はフッ素に置換されたものを用いることができる。フッ素に置換されたものは屈折率が小さく、光学的性能に優れている。しかしながら単独では機械的に弱い場合もあるため、無機の微粒子と混合して用いることができる。
バインダーは単独で用いても、複数を併用しても構わない。特に、(2)で列挙した同一分子内に重合性官能基およびシリカ粒子と共有結合を形成することが可能な官能基とを併せ持つ反応性シラン化合物や、(6)で列挙した重合性モノマーまたは(2)や(6)のフッ素置換体を併用することは、機械強度の向上に効果的である。
重合性モノマーの種類は、反応の形態、速度などに応じて適宜選択される。重合性モノマーまたは官能基を有するものを用いる場合には、さらに添加物として重合開始剤を添加することが有効である。重合開始剤としては、熱ラジカル発生剤、光ラジカル発生剤、熱酸発生剤、光酸発生剤など公知のものを、上記の重合性官能基や重合性モノマーの反応形態に合わせて選ぶことができる。
熱/光ラジカル発生剤の具体例としては、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社より市販されているイルガキュア(登録商標)、ダロキュア(登録商標)と呼ばれるアセトフェノン系、ベンゾフェノン系、ホスフィンオキサイド系、チタノセン系の各重合開始剤、チオキサントン系重合開始剤、ジアゾ系重合開始剤、o−アシルオキシム系重合開始剤などが挙げられる。これらの中でもイルガキュア(登録商標)907、イルガキュア(登録商標)369、イルガキュア(登録商標)379等の分子内にアミノ基および/またはモルホリノ基を有する重合開始剤が特に好ましい。また熱/光酸発生剤の具体例としては、三新化学工業株式会社より市販されているサンエイド(商標)SIシリーズ、和光純薬工業株式会社より市販されているWPIシリーズ、WPAGシリーズ、シグマアルドリッチジャパン株式会社より市販されているPAGsシリーズに代表される、スルホニウム系、ヨードニウム系、ジアゾメタン系の各重合開始剤などが挙げられる。
(1)や(2)で表されるシラン類は、部分加水分解・脱水縮合させて用いるのが好ましい。部分加水分解・脱水縮合反応は、加水分解性シランを水と反応させることによって行うが、触媒として、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸などの酸類、アンモニア、トリアルキルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、コリン、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドなどのアルカリ類、ジラウリン酸ジブチルスズなどのスズ化合物などを用いてもよい。その場合、シリカ微粒子や中空シリカ微粒子の存在下で加水分解・脱水縮合反応を行なっても構わない。
バインダー量は、低屈折率層の機械的強度、反射防止性能の観点から、シリカ微粒子と中空シリカ微粒子を合わせた重量を1とした場合に、重量比で0.5以上5.0以下が好ましい。
バインダーそのものの屈折率は、1.3〜1.55のものを用いるのが好ましい。比較的低い屈折率のものを用いることによって、非常に屈折率の低い反射防止層を得ることができる。
低屈折率層には、帯電防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、レベリング剤、色素、金属塩、界面活性剤、離型剤など種々の添加物を、本発明の趣旨を損なわない範囲で含有させることも可能である。
低屈折率層の厚みとしては、50〜300nmであるが、可視光領域での反射防止性能の観点から、通常、入射角5度における最低反射率波長を500〜750nmの範囲とするのが好ましい。低屈折率層の屈折率は、入射角5度における最低反射率を2%以下となるようにシリカ微粒子量、中空シリカ微粒子量、バインダー量を制御することが好ましい態様である。
本発明において、シリカ微粒子や中空シリカ微粒子の表面は反応性シラン化合物で処理されているのが好ましい。反応性シラン化合物とは、同一分子内に重合性官能基およびシリカ粒子と共有結合を形成することが可能な官能基とを併せ持つ化合物であり、この化合物で処理されていることによって、シリカ微粒子や中空シリカ微粒子の表面と反応性シラン化合物が共有結合するとともに、バインダーとの反応が生じるために、シリカ微粒子や中空シリカ微粒子とバインダーとの密着力を向上させることができる。またシリカ微粒子や中空シリカ微粒子の表面滑り性も向上できるため、鉛筆硬度の高い反射防止フィルムとすることができる。前記重合性官能基としては、特に限定されることなく、ビニル基、アクリル基、メタクリル基などの不飽和二重結合やエポキシ基、水酸基などが挙げられ、これらを複数有していても構わない。
同一分子内に重合性官能基と共有結合を形成することが可能な官能基とを併せ持つ反応性シラン化合物としては、反射防止層のバインダーとしても用いることができる(2)記載のもの、またはこれらのアルキル基や水素基がフッ素に置換されたものを用いることができる。具体的には以下のようなものが挙げられる。
例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリアセトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリス(トリクロロアセトキシ)シラン、3−アクリロキシプロピルトリス(トリフルオロアセトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリス(トリクロロアセトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリス(トリフルオロアセトキシ)シラン、3−グリシドキシプロピルトリアセトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリス(トリクロロアセトキシ)シラン、3−グリシドキシプロピルトリス(トリフルオロアセトキシ)シラン、3−アクリロキシプロピルトリクロロシラン、3−アクリロキシプロピルトリブロモシラン、3−アクリロキシプロピルトリフルオロシラン、3−メタクリロキシプロピルトリクロロシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリブロモシラン、3−メタクリロキシプロピルトリフルオロシラン、3−グリシドキシプロピルトリクロロシラン、3−グリシドキシプロピルトリブロモシラン、3−グリシドキシプロピルトリフルオロシランなどの化合物、これらのアルキル基や水素基がフッ素に置換されたもの、およびこれらを反応させたものである。
シリカ微粒子や中空シリカ微粒子の表面を反応性シラン化合物で処理する方法としては、反応性シラン化合物のシリカ粒子と共有結合をつくる官能基を、部分加水分解・脱水縮合させて用いるのが好ましい。部分加水分解・脱水縮合反応は、加水分解性シランを水と反応させることによって行うが、触媒として、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸などの酸類、アンモニア、トリアルキルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、コリン、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドなどのアルカリ類、ジラウリン酸ジブチルスズなどのスズ化合物などを用いてもよい。
シリカ微粒子や中空シリカ微粒子の表面は、1nmあたり0.1〜100個OH基を有している場合が多く、反応性シラン化合物と処理するにおいて、シリカ微粒子や中空シリカ微粒子の表面の1/20以上のOH基対応分以上を反応性シラン化合物と反応させるのは好ましい態様であり、さらにフルオロアルキル(トリアルコキシ)シランと併用して処理するのも好ましい態様である。フルオロアルキル(トリアルコキシ)シランとの処理は、シリカ微粒子や中空シリカ微粒子と反応性シラン化合物存在下に行ってもよいし、それぞれ別々に行ってもよい。
フルオロアルキル(トリアルコキシ)シランとしては、例えば、
CF(CF)xCHCHSi(OR)
R:−CH、−C、−イロプロピル基 などのアルキル基
x:1〜10の整数
を用いることができる。フルオロアルキル(トリアルコキシ)シランとの処理は、シリカ微粒子や中空シリカ微粒子の表面の1/20以上のOH基対応分以上を反応させて結合させるのは好ましい態様である。これにより反射防止層の耐磨耗性をさらに向上させることができるとともに、表面の防汚性の向上、指紋の拭取り性を向上させることができる。
フルオロアルキル(トリアルコキシ)シランのシリカ微粒子や中空シリカ微粒子との反応性の観点から、R:−CHが好ましく、xは3〜7が好ましく用いられる。
反応性シラン化合物とフルオロアルキル(トリアルコキシ)シランとをシリカ微粒子や中空シリカ微粒子と反応させる方法としては、シリカ微粒子や中空シリカ微粒子の分散液に反応性シラン化合物とフルオロアルキル(トリアルコキシ)シランとを混合し、これに触媒として、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸などの酸類、アンモニア、トリアルキルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、コリン、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドなどのアルカリ類、ジラウリン酸ジブチルスズなどのスズ化合物などを添加して、適度な温度と時間を調整することによって反応させることができる。また、反応性シラン化合物とフルオロアルキル(トリアルコキシ)シランとの合計モル数を表面OH基の総量とほぼ当量モルとすることにより、反応性シラン化合物とフルオロアルキル(トリアルコキシ)シランのシリカ微粒子や中空シリカ微粒子の表面での量比に対応させることができる。反応性シラン化合物とフルオロアルキル(トリアルコキシ)シランの割合としては、重量比で10:1〜1:10の範囲で好ましく用いられる。
本発明の反射防止フィルムは、反射防止層がハードコート層と高屈折率層と低屈折率層からなる構成をとることができる。この場合の構成としては、透明フィルム/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層の構成をとることができる。高屈折率層とは550nmでの屈折率が低屈折率層よりも高い屈折率を有する層であり、その屈折率差が0.10以上、特に0.2以上あるものが好ましく用いられる。高屈折率層に帯電防止機能を付与することもできる。高屈折率層としては、例えば、チタン、ジルコニウム、亜鉛、アンチモン、インジウム、スズ、セリウム、タンタル、イットリウム、ハフニウム、アルミニウム、マグネシウムなどの金属からなる酸化物または複合酸化物など公知の無機微粒子を、バインダーに分散させたものが用いられる。高屈折率層を設ける場合は、50nm〜250nmの厚さに設定するのが好ましく用いられる。高屈折率層を設けることにより、最低反射率を低く抑えることができる。
本発明の反射防止フィルムムの層構成として、透明フィルム/帯電防止層/ハードコート層/低屈折率層の構成は好ましい態様の一つである。帯電防止層は、ハードコート層にその機能を付与するか、または透明フィルムとハードコート層の間に帯電防止層を設ける層構成が好ましく用いられる。帯電防止層は、界面活性剤、イオン性ポリマーなどの公知の帯電防止剤や導電性微粒子などをバインダーに分散させたものが用いられる。導電性微粒子としては、例えばインジウム、亜鉛、スズ、モリブデン、アンチモン、ガリウムなどの酸化物あるいは複合酸化物微粒子、銅、銀、ニッケル、低融点合金(ハンダなど)の金属微粒子、金属を被覆したポリマー微粒子、各種のカーボンブラック、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマー粒子、金属繊維、炭素繊維など、公知のものを用いることができる。この中でも特にITO(スズ含有酸化インジウム)粒子、ATO(スズ含有酸化アンチモン)粒子、五酸化アンチモン粒子が、高い透明性と導電性を発現させることができるので好ましい。
本発明の反射防止フィルムの表面抵抗は、表面抵抗率は10Ω/□〜1018Ω/□であることが好ましい。表面抵抗率を下げることによって塵の付着等を押さえることができ、ディスプレイなどに組み込む場合の収率を向上させることができる。このような表面抵抗はこれまでに記載した帯電防止機能を構成する層に持たせることによって達成することができる。
本発明の反射防止フィルムのヘーズ値は、0.5〜5.0%である。0.5〜5.0%とすることにより、優れた透過特性を発揮する。この内特にヘーズ値として1.0〜3.0%は好ましく用いられる。このように反射防止フィルムとして非常に小さなヘーズ値を有するために透過する映像をクリアに表現できる。一方、ヘーズ値を1%未満にすることが困難であり、ヘーズ値0.5%未満のものを得るためには表面凹凸による反射特性を犠牲にしてしまうため、好ましくない。本発明の反射防止フィルムには微小粒子の凝集等による凹凸制御を行わないため、微粒子の凝集等による内部散乱を押さえることも可能であり、微粒子の凝集構造を利用した系に比較して透過特性に優れている。
本発明の反射防止フィルムの全光線透過率は88%以上が好ましい。そのうち90%以上がより好ましく用いられる。88%未満の場合は透過像がぼやける傾向があるため好ましくない。さらに、透過映像の輝度が低下してしまうため好ましくない。
本発明の反射防止フィルムは、JIS K−7105に規定されている像鮮明度に下記の特徴を有しているのが好ましい。透過鮮明度として、スガ試験機ICM−1Tの光学くしのうち、くし幅の狭いほうが鮮明度が低く、くし幅の広いほうが鮮明度が高くなる方が好ましい。光学くし幅として、2mm、1mm、0.5mm、0.25mm、0.125mmが用意されているが、この内反射防止フィルムに垂直に光を透過させたときの、くし幅0.5mmにおける鮮明度が50%以下であり、くし幅2mmにおける鮮明度が50%以上であるのが好ましい。特にくし幅0.5mmにおける鮮明度が40%以下のものは好ましく用いられる。PDPにおいて外光は前面フィルターを透過したのち、フィルターの裏面およびPDPモジュール表面で反射したのち、再度フィルターを透過して人の目に映る。そのため、透過特性も映り込みにおいて影響を与えることが分かった。そして、透過する映像のクリアさと映り込み防止のバランスさせることが好ましく、くし幅0.5mmにおける鮮明度が10〜40%、くし幅2mmにおける鮮明度が70〜95%のものが最も好ましく用いることができる。この特性は、反射防止フィルムの凹凸形状を制御することで制御することができる。表面の凹凸周期が大きい領域でのその周期と高さを制御することにより、光学くし幅の狭い領域を制御できる。一方、凹凸周期の小さな領域でくし幅の広い領域を制御できる。鮮明度はそれぞれの領域の周期および凹凸高さおよび頻度を制御することでその鮮明度を制御することができる。
本発明において、反射防止フィルムの反射防止層側表面の凹凸は、転写により形成されたことを特徴とする。転写による凹凸の形成とは、凹凸形状を有する型からその形状をフィルムに写し取ることをいう。凹凸形状を有する型としては、ロール形状のもの、板状のもの、フィルム状の連続形態など様々な形態のものを用いることができ、特にシームレスのロール状のものおよびフィルム状のものが好ましく用いられる。その材質としては、金属、ガラス、セラミック、樹脂など様々なものを用いることができる。これらは転写する方法によって種々選択される。型への凹凸形状の形成は、精密機械加工によるもの、精密レーザー加工によるもの、電子線加工(EB描画)によるもの、光露光によるもの、干渉露光によるものなど様々な方法を用いることができる。これらは直接型に凹凸を付与してもよく、また、別の材料に凹凸を付与したのちに凹凸を数回転写することによって最終的に型に凹凸を付与してもよい。1回の転写により凹凸の形状は保持され、その保持率は65%以上特に90%以上であることが好ましい。ここで保持率とは、凹凸の高さの再現率をいう。型の凹凸形状は転写による保持率を考慮に入れ、反射防止フィルムの好ましい凹凸を形成できるように凹凸を形成、調整される。
本発明において、反射防止フィルムの反射防止層側表面の凹凸が、不規則な配列を有することが好ましく、その場合、転写に用いる型の凹凸も不規則な配列を有する。この不規則な凹凸は、種々の方法で得ることができ、干渉露光によるものがもっとも好ましく用いられる。干渉露光による凹凸の不規則性が、ディスプレイとしたときのモアレの発生がなく、さらに干渉露光による凹凸制御したフィルムは、PDPにおいて透過光のクリアさを広い視野角で実現でき、かつ、外光や蛍光灯の映り込みが少なく、単一色でのぎらつきがほとんどないものを得ることができる。これは通常の微粒子による凹凸制御ではなしえない形状分布の違いがあるものと推測される。精密加工等によってもこのような形状を成形することは可能である。しかしながら不規則な形状を精密加工等で行うためにはその加工のプログラムをインプットするのに工夫を要する。その場合、干渉露光による形状を模写する方法、30μm〜300μmのランダムな粒子の混合物を配列させるように加工する方法などを用いることができ、特に300μmを超える長周期の凹凸成分がより少なくなるように凹凸を形成することが好ましく用いられる。
干渉露光による凹凸形成とは、ディフューザーに光を当てた面の各点で拡散したコヒーレント光が不規則な位相関係で干渉し合うことによって不規則な輝度斑(スペックル)が生じ、これを感光材に露光、現像することによって凹凸を形成させることをいう。例えば公表特許公報 特表2004−508585号には干渉露光によるシームレスのマスターを作製する方法が記載されている。凹凸は光源、対物レンズ、ディフューザー、遮光調整窓、感光材などそれぞれの種類や距離を調整することによってピッチや高さを調整することができる。また露光時間などの条件を調整することによっても凹凸の高さを調整することができる。
転写による凹凸の形成方法としては、凹凸形状を有する型に樹脂をコートしたのちに硬化または半硬化させてから型から剥離させて形状を樹脂に写し取る方法、透明フィルムの上に樹脂をコートした後に型と合わせてそのまま硬化または半硬化させてから型から剥離させて形状を樹脂に写し取る方法、樹脂に加熱された型を押し付けてその圧力により凹凸を写す方法など様々な方法を用いることができる。硬化方法としては用いる樹脂により、熱による硬化、電子線や紫外線による硬化手段を行うことができる。なお、半硬化状態で型と剥離させた場合は、剥離後さらに硬化させることができる。この際の硬化手段は、半硬化手段と異なる手法を用いることもできる。型から凹凸の形状が写し取られた樹脂を剥離させるとき、型から樹脂を欠損なく剥離させるために離型剤を樹脂に添加することができ、また型の表面にフッ素系の化合物を塗工して薄膜を形成させることによって離型しやすくする方法などを行うことができる。凹凸の転写方法については、たとえば公表特許公報 特表2001−511725号、公開特許公報 特開2005−10231号、特開2005−10230号などに記載されている方法を用いることができる。
例えば、透明フィルムの上にハードコート層を塗工する場合、ハードコート材料に必要に応じて離型剤や添加物を添加した組成物を、必要に応じて溶媒を用いた塗工溶液として透明フィルムへ塗布成膜する。溶媒としては、ハードコート材の塗工溶液粘度を調整するため各種溶媒を用いてもよく、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル等のエステル類、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類の溶媒、好ましくはトルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびブタノール等を用いることができる。ハードコート材を透明フィルムに塗工後、溶媒を用いた場合は50〜150℃に加熱して溶媒を除き、凹凸形状を有するロール状の型と合わせ、熱または紫外線をあてて樹脂を硬化または半硬化させることができる。
加熱する場合は凹凸形状を有するロールそのものを予め加熱されたものを用いることができる。ロール温度とフィルムの接触時間の制御などにより硬化状態を制御することができる。紫外線を照射する場合は凹凸形状を有するロールにフィルムが巻かれた状態で、透明フィルム側から紫外線を照射することによって硬化または半硬化させることができる。硬化または半硬化した樹脂を型から剥離させ、凹凸形状を有するハードコート層を形成することができる。ここで半硬化の場合は、さらに熱または紫外線を照射してさらに硬化させることができる。
塗布溶液の塗布は、ディッピング、スピンコーター、ナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、グラビアロールコーター、スライドコーター、カーテンコーター、スプレイコーター、ダイコーター、キャップコーターなどの公知の方法を用いて実施することができる。これらのうち、連続塗布が可能なナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、グラビアロールコーター、スライドコーター、カーテンコーター、スプレイコーター、ダイコーターおよびキャップコーターが好ましく用いられる。
凹凸形状を有するハードコート層の上に低屈折率層を形成させる方法としては、蒸着方法、スパッタ方法、プラズマCVD方法、溶液を塗工する方法などを用いることができる。溶液を塗工する方法としては、例えばシリカ微粒子、バインダーおよび添加物等を適当な分散媒に分散した状態でハードコート層に塗布、硬化することにより得ることができる。用いる分散媒は、実質的にシリカ微粒子、バインダー、添加物等が安定に分散していれば限定されない。
上記分散媒の具体例として水、炭素数1〜6の一価アルコール、炭素数1〜6の二価アルコール、グリセリンなどのアルコール類の他、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジ(n−プロピル)エーテル、ジイソプロピルエーテル、ジグライム、1、4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのアルカノールエーテル類、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトン、アセト酢酸エチルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチル(n−ブチル)ケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、アセチルアセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、アセトニトリル、プロピオニトリル、n−ブチロニトリル、イソブチロニトリルなどのニトリル類、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホランなどが好適に用いられる。
より好ましい分散媒は、炭素数1〜6の一価アルコール類、およびエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのアルカノールエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチル(n−ブチル)ケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、アセチルアセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類である。
これらの分散媒は、本発明の目的を損なわない限り、混合したり、他の任意の溶媒または添加物を混合してもよい。
上記分散液をハードコート層に塗布するにあたり、塗布性能および基材との接着力を高めるために、公知のレベリング剤や結合助剤(カップリング剤)を添加することも有効である。
低屈折率層を製造する方法は、塗布組成物を用いて塗布する際は、シリカ微粒子など無機粒子の含有量、塗布液の濃度、バインダーおよび添加物の種類およびそれらの濃度、塗布方法、塗布条件などを制御することによって製造することができる。
塗布液の濃度は、例えば、中空シリカ微粒子の固形分重量を100重量部とした場合、反応性シラン化合物として0.1〜20重量部、フルオロアルキル(トリアルコキシ)シランを0.1〜20重量部、バインダー成分として50〜500重量部の範囲に調整することは好ましい態様である。
塗布組成物の塗布は、ディッピング、スピンコーター、ナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、グラビアロールコーター、スライドコーター、カーテンコーター、スプレイコーター、ダイコーター、キャップコーターなどの公知の方法を用いて実施することができる。これらのうち、連続塗布が可能なナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、グラビアロールコーター、スライドコーター、カーテンコーター、スプレイコーター、ダイコーターおよびキャップコーターが好ましく用いられる。
上記の塗布組成物を塗布した後は、分散媒を揮発させたり、反応性シラン化合物やバインダー成分を縮合、架橋させるために加熱を行うのが有効である。加熱温度と時間は透明フィルムの耐熱性によって決定される。例えば、加熱温度は50℃〜200℃、時間は1秒〜1時間の間から選ばれ、好ましくは80℃〜150℃、5秒間〜3分間の範囲である。また上記バインダーが放射線硬化性を有する場合は、紫外線、電子線などを公知の方法によって照射する。
本発明の反射防止フィルムは、粘着剤を用いて表示装置表面のガラスなどに貼り付けることによって表示装置の反射防止機能を付与することができる。この粘着剤としてはPDPの場合、光学用のアクリル系粘着剤に、ネオン色カットの色素、近赤外線カットの色素、紫外線カットの色素、色調調整用の色素などを含有させることができる。
本発明の反射防止フィルムは、表面に滑り性や防汚性などを付与するために、最表面に被覆層を設けてもよい。被覆層は、例えばフッ素樹脂、湿気硬化型シリコーン樹脂、熱硬化型シリコーン樹脂、2酸化ケイ素、(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル系UV硬化性樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ノボラック樹脂、シリコーンアクリレート樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂など、公知の任意の材料で形成される。
被覆層の膜厚は、通常、50nm以下、好ましくは10nm以下である。被覆層は単層または複数層で構成されていてもよい。防汚効果を発現させるために、上記の中でも、フッ素樹脂、湿気硬化型シリコーン樹脂および熱硬化型シリコーン樹脂が好ましい。
本発明の反射防止フィルムは、特にPDPの光学フィルター最表面に好ましく用いることが出来るが、その他、例えば、有機/無機ELディスプレイ、TVブラウン管、ノートパソコン、電子手帳、タッチパネル、液晶テレビ、液晶ディスプレイ、車載用テレビ、液晶ビデオ、プロジェクションテレビ、プラズマアドレス液晶ディスプレイ、電解放出型ディスプレイ、発光ダイオードディスプレイ、光ファイバー、光ディスク等の電子情報機器分野;照明グローブ、蛍光灯、鏡、時計等の家庭用品分野;ショーケース、額、半導体リソグラフィー、コピー機器等の業務用分野;液晶ゲーム機器、パチンコ台ガラス、ゲーム機等の娯楽分野などにおいて、映り込みの防止の向上を必要としている非常に広範な用途に用いることができる。
以下、本発明を一層明確にするために実施例を挙げて説明する。
[各種測定方法]
射角5度における最低反射率および最低反射率波長;
ガラス板(NHテクノグラス社製NA35、0.70mmt、TFT用)にアクリル系光学用粘着剤を用いて反射防止フィルム(透明フィルム側)を貼り、ガラス板の裏面の反射光をカットするため、裏面を紙やすりで荒した後に黒色インクで塗りつぶした。その後、分光光度計UV−2450/MPC2200型5°絶対反射率測定装置(島津製作所株式会社製)を用いて、波長300nm〜800nmの範囲の反射率スペクトルを0.5nm間隔で測定し、最も低い反射率を最低反射率とし、その時の波長を最低反射率波長とした。
透過像鮮明度;スガ試験機株式会社製写像性測定器ICM−1Tを用い、反射防止フィルムに垂直に光が透過するようにセッティングし、ICM−1Tの光学くしのうち、2mm、1mm、0.5mm、0.25mmの4種類の光学くしにおける透過像鮮明度を測定した。
中心面平均粗さ(SRa)、平均波長(Sλa);
厚さ5mm以上のオプティカルフラット(ガラス製)上にフィルムを貼り、株式会社小坂研究所の表面形状測定器「サーフコーダ ET4000」を用いて、1mm×1mm〜3mm×3mmの領域を測定した。測定エリアの選択はSλaが200μmを超える場合は3mm×3mmで測定し、それ以外は1mm×1mmのエリアで評価した。X軸の送り速度は0.2mm/s、Yピッチ10μmとし、生データは最小二乗法によってレベリングされたもので、カットオフを用いずに表面形状パラメータを算出させた。用いたソフトはET4000の標準ソフト「3次元表面粗さ解析プログラム TDA−22」を用いてSRa、Sλaを算出させた。
(4)山粒子解析
上記(3)中心面平均粗さ(SRa)で測定したデータを用い、標準の「3次元表面粗さ解析プログラムTDA−22」を用いて山粒子解析を行った。山粒子解析では、スライスレベルをSRaμmに設定し、その切り口面積を100μmごとにクラス分けを行ったヒストグラムで評価した。
(5)鉛筆硬度;JIS S6006に規定される試験用鉛筆を用いて、JIS K5400に規定される鉛筆硬度の評価方法に従い、500g荷重における鉛筆硬度を評価した。
(6)全光線透過率およびヘーズの測定;日本電色工業株式会社製濁度計(曇り度計)NDH2000を用いて、JIS K7361−1に規定される方法にて測定した。
(7)表面抵抗率の測定;測定装置として東亜ディーケーケー社製超絶縁計SM−8210、電極としては平板試料用電極SME−8311を用い、JIS K6911に規定される方法によって表面抵抗率を測定した。(20℃、65RH%)
(8)PDP透過像評価;前面フィルターを有するPDP表示装置の前面板フィルターに、外側の表面に反射防止フィルムを光学用アクリル系粘着剤を用いて貼り付けた。そしてPDP表示装置へ画像を表示し、透過像を55°斜めから観察して以下の判定基準により目視にて判定した。
◎・・・透過像が完全に鮮明に見える
○・・・透過像が鮮明であるが、真正面から見たときに比べてややボケる
△・・・透過像がぼける
×・・・透過像がぼやけて不鮮明
(9)PDPギラツキ評価;透過像評価と同様に反射防止フィルムを設置し、信号発生器によってグリーン単一色での輝度斑によるギラツキを目視にて判定した。
◎・・・ギラツキがほとんど見られない。
○・・・ギラツキが少し確認できる。
△・・・ギラツキが確認できるが、通常の映像では気にならない。
×・・・ギラツキがひどく、通常の映像でも明確に見えてしまうレベル。
(10)PDP反射特性評価;前面フィルターを有するPDP表示装置の前面板フィルターに、外面側の表面に反射防止フィルムを光学用アクリル系粘着剤を用いて貼り付けた。反射防止フィルムが形成されている側に蛍光灯の光を直接反射させ、映り込んだ蛍光灯の像のイメージを以下の判定基準により目視にて判定した。
◎・・・蛍光灯の像のイメージがぼやける。
○・・・蛍光灯の像のイメージが少しぼやける。またはぼやけているが像が明るく見える。
△・・・蛍光灯の像のイメージがやや鮮明であるが、周りの景色の映りこみはほとんどない。
×・・・蛍光灯の像のイメージが明確に認識できる。
[塗工液の調整]
(ハードコート層塗工液HC−A)
A−DPH(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、新中村化学社製)75重量部とUV硬化型ハードコート塗料HIC−G(共栄社化学株式会社製、UV硬化樹脂)25重量部を、メチルエチルケトン50重量部とメチルイソブチルケトン50重量部の混合溶液に溶解した。その溶液に開始剤として「イルガキュア(商標登録) 184」を3重量部加えて溶解した。
(ハードコート層塗工液HC−B)
A−DPH(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、新中村化学社製)75重量部とUV硬化型ハードコート塗料HIC−G(共栄社化学株式会社製、UV硬化樹脂)25重量部を、メチルエチルケトン50重量部とメチルイソブチルケトン50重量部の混合溶液に溶解した。その溶液に開始剤として「イルガキュア(商標登録) 184」を3重量部加えて溶解した。IPA−ST−ZL(日産化学工業株式会社製、SiO、粒径70〜100nm、30wt%のイソプロパノール(以下IPAと記載)分散液)を20重量部混合し、これに、ナトリウムメトキシドの0.28mol%溶液を22重量部攪拌しながら滴下した。その後1時間攪拌してハードコート層塗工液HC−Bを調製した。
(低屈折率層塗工液L−A)
中空シリカ微粒子として触媒化成工業株式会社製、平均粒径60nm、屈折率1.30、固形分20wt%のイソプロパノール(以後IPAと記載する)分散液を用いた。この中空シリカ/IPA分散液100重量部に対し、フッ素系低屈折材料(JSR株式会社製、オプスターTU2085、固形分10.5wt%)50重量部を加えた。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/t−ブタノール=25/75(重量比)283重量部で希釈し、固形分3wt%の低屈折率層塗工液L−Aを調製した。
(帯電防止層塗工液H−A)
ITO微粒子のエタノール分散液(触媒化成工業社製「ELECOM V−2506」固形分20.5wt%)20重量部に対して、ジペンタエリスリトールヘキサメタアクリレート1重量部、ITOの分散助剤(燐酸エステル系)0.1重量部、開始剤として「イルガキュア(商標登録) 184」を0.1重量部用い、これらをエタノール溶媒中で混合・分散させて、固形分濃度4wt%の帯電防止層塗工液H−Aを調整した。
[型の調整]
特表2004−508585号報に記載に順じて、型A〜Dの5種類のものを準備した。これらは簡易的に評価するためにロール形状とせずに1辺が約10cmの正方形板状のニッケル金属を型とした。型A〜Fは、レーザー光源、対物レンズ、感光材などそれぞれの種類や距離を変化させて5種類のものを作製した。特にA〜C、Fは感光材への露光時間をC,Dに比較しておよそ1/2〜1/20短くして凹凸の高さの低いものを作製した。作製した型A〜Fの凹凸面に、離型処理としてフッ素系表面処理剤(住友スリーエム社製「ノベックEGC−1720」フッ素系処理剤濃度約0.1wt%)を塗工した後、120℃で3分乾燥させたものを用いた。塗工厚みとしては乾燥後の厚みが約5nmになるように調整した。
[実施例1]
(帯電防止層の形成)
透明フィルムとして、東レ株式会社製の光学用PETフィルムU46(厚み100μm)を用い、これに「帯電防止層塗工液H−A」をバーコーターを用いて塗工したのち、60℃で2分乾燥後、、フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製UV露光装置(Hバルブ)を用いて、照度2600mW/cm、光量500mJ/cmで硬化させて帯電防止層とした。帯電防止層の厚さは約150nmだった。
(ハードコート層の準備)
得られたフィルムをバーコーターを用いて乾燥後の厚みがおよそ5μmになるように「ハードコート層塗工液HC−A」を塗工した。バーコーターで塗工後の膜を80℃で3分乾燥させ、凹凸形成させる前の状態にした。
(ハードコート層への凹凸の転写)
乾燥を行ったハードコート層側と型Aとを空気が入らないように張り合わせ、ローラーで軽くPETフィルム表面をならした。その後、PET側からフュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製UV露光装置(Hバルブ)を用いて、照度2600mW/cm、光量750mJ/cmのUVを照射して硬化させた。ハードコート層と型Aとをゆっくりと剥離させ、PETフィルムと帯電防止層の上に凹凸の転写したハードコート層が得ることができた。このフィルムをさらにハードコート層側から上記同様のUV装置を用いて、UVを500mJ/cm照射して硬化を促進させた。
(反射防止フィルムの評価)
得られた反射防止フィルム(PETフィルム/帯電防止層/凹凸を有するハードコート層)を「各種測定方法」に記載した方法で評価し、その結果を表1に要約した。
用いた型Aについて反射防止フィルムと同様にして表面形状を測定したところ、転写率は96%であり、反射防止フィルムの凹凸の方が僅かに小さくなっていたものの、型とほぼ同様の形状であることが分かった。
[実施例2]
(低屈折率層の形成)
実施例1で得られたフィルムに「低屈折率層塗工液L−A」をバーコーターを用いて塗工した。その後、120℃で1分乾燥させた後、フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製UV露光装置(Hバルブ)を用いて、酸素濃度100ppm以下、照度2600mW/cm、光量1500mJ/cmで硬化させておよそ50〜150nmの厚みの低屈折率層を形成し、PETフィルム/帯電防止層/凹凸を有するハードコート層/低屈折率層からなる反射防止フィルムを得た。
(反射防止フィルムの評価)
得られた反射防止フィルムを「各種測定方法」に記載した方法で評価した。この評価方法による結果を表1に要約した。
ET4000を用いた1mm×1mmの形状測定において、表面形状は、実施例1と実施例2において大きな有意差は見られなかった。
[実施例3〜4、比較例1〜3]
帯電防止層およびハードコート層の乾燥まで実施例1と同様に行ったのち、ハードコート層への凹凸の転写に用いる型を種々変えて転写を行った。転写の方法は実施例1と同様に行った。その後低屈折率層の形成は、実施例2と同様に行い、種々の反射防止フィルムを得た。
得られた反射防止フィルムは実施例2と同様の評価をし、これらの結果を表1に要約した。
[比較例4]
PETフィルム上に帯電防止層を実施例1と同様にして形成させた。その後、バーコーターを用いて乾燥後の厚みがおよそ5μmになるように「ハードコート層塗工液HC−B」を塗工した。バーコーターで塗工後の膜を80℃で3分乾燥させ、ハードコート層側からフュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製UV露光装置(Hバルブ)を用いて、照度2600mW/cm、光量750mJ/cmのUVを照射した。得られたフィルムは微細なシリカの凝集による凹凸を表面に有していた。
このハードコート層の上に実施例2と同様にして低屈折率層を塗工して、PETフィルム/帯電防止層/凹凸を有するハードコート層/低屈折率からなる反射防止フィルムを得た。
得られた反射防止フィルムは実施例2と同様の評価を行い、これらの結果を表1に要約した。
また得られたフィルムの断面を電子顕微鏡で観察したところ、シリカ微粒子の凝集が見られ、凝集による突起の形成が認められた。また比較例3で得られたフィルムの反射防止層側の表面のEDXによるSiの面分布を測定したところ、表面形状とよく対応していることが分かった。
Figure 2009103808
本発明の反射防止フィルムは、透過特性として広い視野角を有し、かつ映り込みがほとんどなく、ギラツキの非常に少ないバランスの優れたフィルムであり、各種ディスプレイの表面に反射防止フィルムとしての利用が期待される。特にPDPの反射防止フィルムとしての特性も優れており利用が期待される。

Claims (4)

  1. 透明フィルムと透明フィルム上に形成される反射防止層からなる反射防止フィルムであり、該反射防止フィルムの反射防止層側表面の平均波長(Sλa)が50〜300μmであり、中心面平均粗さ(SRa)が 下記式(1)で表される凹凸を有し、
    0.1+0.00065×Sλa<SRa< 0.003×Sλa 式(1)
    該凹凸が転写により形成されたことを特徴とする反射防止フィルム。
  2. 該凹凸が不規則な配列を有することを特徴とする請求項1記載の反射防止フィルム。
  3. 該凹凸の転写が、干渉露光による凹凸形状を元に転写されたことを特徴とする請求項1記載の反射防止フィルム。
  4. 該反射防止層がハードコート層と低屈折率層からなることを特徴とする請求項1記載の反射防止フィルム。
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