JP2009103665A - 液体状態検知センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】電源部と発熱抵抗体との間の通電経路で万が一グランドショートが発生しても、発熱抵抗体への通電回路および発熱抵抗体に繋がるバッテリに負荷がかかることを防止することができる液体状態検知センサを提供する。
【解決手段】電源部220と発熱抵抗体114との間の通電経路上の測定点Aはマイクロコンピュータ160の入力ポートM2に接続され、測定点Aの電位が測定されている。万が一電源部220と発熱抵抗体114との間にてグランドショートが発生した場合、発熱抵抗体114への通電時に測定点Aの電位はグランド電位となる。この状態(グランド電位)が検知されると直ちにトランジスタ230がOFFに制御され、発熱抵抗体114への通電が停止される。これにより、上記通電経路上に配置された電子部品等に高電圧が印加されたり、バッテリに負荷がかかったりするのを防止できる。
【選択図】図2
【解決手段】電源部220と発熱抵抗体114との間の通電経路上の測定点Aはマイクロコンピュータ160の入力ポートM2に接続され、測定点Aの電位が測定されている。万が一電源部220と発熱抵抗体114との間にてグランドショートが発生した場合、発熱抵抗体114への通電時に測定点Aの電位はグランド電位となる。この状態(グランド電位)が検知されると直ちにトランジスタ230がOFFに制御され、発熱抵抗体114への通電が停止される。これにより、上記通電経路上に配置された電子部品等に高電圧が印加されたり、バッテリに負荷がかかったりするのを防止できる。
【選択図】図2
Description
本発明は、液体に含まれる特定成分の濃度などの液体の状態を検知する液体状態検知センサに関するものである。
ディーゼル自動車から排出される窒素酸化物(NOx)を無害なガスに還元する排ガス浄化装置にNOx選択還元触媒(SCR)を用いる場合があるが、その還元剤として尿素水溶液が用いられる。この還元反応を効率よく行うには、尿素濃度が32.5wt%の尿素水溶液を用いるとよいことが知られている。しかし、自動車に搭載される尿素水タンクに収容される尿素水溶液は、過酷な環境条件下で保管され、また経時変化などにより、その尿素濃度に変化を生ずる場合がある。また、尿素水タンクに誤って異種水溶液(例えば軽油)あるいは水が混入される可能性もある。こうしたことから、尿素水溶液の尿素濃度を管理できるように、尿素濃度を検知するための濃度センサ(液体状態検知センサ)が尿素水タンクに取り付けられ、濃度検知が行われている。
ところで、尿素水溶液の熱伝導率は、自身に含まれる尿素の濃度により差異が生ずることが知られており、温度に応じて抵抗値が変化する性質を有する発熱抵抗体を所定時間加熱した場合、発熱抵抗体の周囲における尿素水溶液の尿素の濃度によって発熱抵抗体の抵抗値変化の度合が異なってくる。つまり、尿素の濃度によって発熱抵抗体の放熱特性が変化するため、発熱抵抗体の抵抗値変化の度合が異なってくるのである。このことから、発熱抵抗体を一定時間加熱したときの発熱抵抗体の抵抗値変化の度合いを捉えれば、尿素水溶液に含まれる尿素の濃度を検知することができる(例えば、特許文献1参照。)。具体的に、特許文献1では、発熱抵抗体への通電開始後、電流値の安定する10msec後に初回の発熱抵抗体の電圧値を検出し、さらに700msec後に2回目の電圧値を検出し、両者の差分に基づく換算により尿素濃度の検出が行われている。
ところで、特許文献1に記載の液体状態検知センサでは、発熱抵抗体への通電を開始して初回の電圧値の検出が行われると、その電圧値に基づく換算により、尿素水溶液の初期の温度の検出が行われている。そして尿素水溶液の温度が凍結温度以下であれば発熱抵抗体の通電が停止され、再凍結に起因するヒータの故障からの保護が行われる。ここで発熱抵抗体への通電経路に異常が生じた場合、回路の構成上、検出される発熱抵抗体の電圧値が通常時とは異なった値を示すこととなる。例えば、発熱抵抗体の通電経路において、その上流側(バッテリ側)にてグランドとのショートが発生した場合(以下、このような状態を、「グランドショート」が発生した状態という。)、特許文献1の液体状態検知センサではそのことを検知できないが、発熱抵抗体の両端がグランド電位(つまり同電位)となるため、結果的に、尿素水溶液の温度が凍結温度以下と判定されて、発熱抵抗体への通電が停止される。
特開2007−114181号公報
しかしながら、上記のように発熱抵抗体への通電経路において発熱抵抗体よりも上流側で万が一グランドショートが発生した場合、本来なら発熱抵抗体に消費される電力が、バッテリと発熱抵抗体との間の通電経路上に配置される電子部品にかかることとなる。こうした場合、特許文献1に記載の液体状態検知センサでは、発熱抵抗体への通電開始から初回の電圧値検出までの10msecの間、通電が継続され、電子部品やバッテリ自身に比較的大きな負荷がかかった状態となってしまい、これら部品の故障を招く可能性があった。一方、これら故障の防止の観点から、このような通電経路上に配置する電子部品に耐性の高い部品を用いることが考えられるが、部品コストの高騰を招く虞があった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、電源部と発熱抵抗体との間の通電経路で万が一グランドショートが発生しても、発熱抵抗体への通電回路および発熱抵抗体に繋がるバッテリに負荷がかかることを防止することができる液体状態検知センサを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明の液体状態検知センサは、電源部とグランドとをつなぐ通電経路に配置された発熱抵抗体を所定時間通電したときの液体への前記発熱抵抗体の放熱特性に基づいて、前記発熱抵抗体の周囲における前記液体の状態を検知する液体状態検知センサにおいて、前記電源部と前記発熱抵抗体との間に接続されて、前記発熱抵抗体への通電のオンオフを切り替える切替手段と、当該切替手段と前記発熱抵抗体との接続点における電位を測定する電位測定手段と、前記切替手段によって前記発熱抵抗体への通電がオンとなったときに、前記電位測定手段から入力される前記発熱抵抗体の前記電源部側の電位の測定結果がグランド電位であった場合に、前記通電経路に異常が生じたと判定する異常判定手段とを備えている。
また、請求項2に係る発明の液体状態検知センサは、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記切替手段によって前記発熱抵抗体への通電がオンとなったときに、前記電位測定手段から入力される前記発熱抵抗体の前記電源部側の電位の測定結果がグランド電位であった場合に、前記発熱抵抗体への通電をオフとするように前記切替手段を制御する通電停止制御手段を備えている。
また、請求項3に係る発明の液体状態検知センサは、請求項1または2に記載の発明の構成に加え、前記異常判定手段は、前記切替手段によって前記発熱抵抗体への通電がオンとなったときに、前記電位測定手段から入力される前記発熱抵抗体の前記電源部側の電位の測定結果がグランド電位であった場合に、前記発熱抵抗体への通電経路に異常が生じたと仮に判定する仮異常判定手段と、当該仮異常判定手段によって、前記発熱抵抗体への通電経路に異常が生じたと仮に判定された回数が予め設定された異常決定回数に達した場合に、前記発熱抵抗体への通電経路に異常が生じたと決定する異常決定手段とを備えている。
また、請求項4に係る発明の液体状態検知センサは、電源部とグランドとをつなぐ通電経路に配置された発熱抵抗体を所定時間通電したときの液体への前記発熱抵抗体の放熱特性に基づいて、前記発熱抵抗体の周囲における前記液体の状態を検知する液体状態検知センサにおいて、前記電源部と前記発熱抵抗体との間に接続されて、前記発熱抵抗体への通電のオンオフを切り替える切替手段と、当該切替手段の両端に接続されて前記電源部と前記発熱抵抗体との通電経路を形成し、前記切替手段による前記発熱抵抗体への通電がオフとなった場合でも、前記発熱抵抗体へ微弱な通電状態を維持する通電維持手段と、前記切替手段と前記発熱抵抗体との接続点における電位を測定する電位測定手段と、前記切替手段によって前記発熱抵抗体への通電がオフとなったときに、前記電位測定手段から入力される前記発熱抵抗体の前記電源部側の電位の測定結果がグランド電位であった場合に、前記通電経路に異常が生じたと判定する異常判定手段とを備えている。
また、請求項5に係る発明の液体状態検知センサは、請求項4に記載の発明の構成に加え、前記異常判定手段は、前記切替手段によって前記発熱抵抗体への通電がオフとなったときに、前記電位測定手段から入力される前記発熱抵抗体の前記電源部側の電位の測定結果がグランド電位であった場合に、前記発熱抵抗体への通電経路に異常が生じたと仮に判定する仮異常判定手段と、当該仮異常判定手段によって、前記発熱抵抗体への通電経路に異常が生じたと仮に判定された回数が予め設定された異常決定回数に達した場合に、前記発熱抵抗体への通電経路に異常が生じたと決定する異常決定手段とを備えている。
請求項1に係る発明の液体状態検知センサでは、切替手段によって発熱抵抗体への通電がオンとなったときに、発熱抵抗体と電源部との間の電位を測定し、通電時の電位がグランド電位であった場合に、通電経路に異常が生じたと判定している。従って、万が一通電経路に異常が生じても、発熱抵抗体への通電を開始してから初回の電圧値の検出までの期間が経過するのを待たずして、その異常の発生を判定することができる。これにより、通電経路に上記異常が生じた場合にも、電源部や、発熱抵抗体に至るまでの通電回路に大きな電流負荷がかからないように、その後の処置(例えば切替手段をオフとするなど)を行うことができる。
なお、本発明の液体状態検知センサでは、発熱抵抗体に所定時間通電したときの液体に対する発熱抵抗体の放熱特性に基づいて液体の状態を検知するものであるが、発熱抵抗体の放熱特性をもとに状態検知される対象としては、液体中に含まれる特定成分の濃度検知や液体の種別検知などが挙げられる。
そして請求項2に係る発明のように、電源部と発熱抵抗体との間の通電経路に異常が生じたと判定された場合に、切替手段を制御して速やかに発熱抵抗体への通電をオフとすれば、電源部や発熱抵抗体に至るまでの通電回路に大きな負荷が継続してかからないように保護することができる。
ところで、発熱抵抗体と電源部との間の電位を測定するにあたって発熱抵抗体への通電を行う必要があるため、異常判定手段による異常発生の有無の判定は、発熱抵抗体への通電開始後、速やかに行われることが望ましいが、電位の測定が通電開始直後の電圧の不安定な時期に行われると、誤判定が生ずる虞がある。そこで請求項3に係る発明のように、一回の異常状態の判定を仮判定として複数回繰り返し、異常状態が仮に判定された回数に基づき異常状態の決定を行えば、異常状態の判定に対する信頼性を高め、誤判定を防止することができる。
また、請求項4に係る発明の液体状態検知センサでは、発熱抵抗体への通電がオフの状態でも、通電維持手段により発熱抵抗体と電源部との間で微弱な通電状態を維持することができる。これにより、発熱抵抗体への通電を行う前に、発熱抵抗体と電源部との間がグランド電位であるか否かを測定することができる。万が一、通電経路に異常が生じた場合、発熱抵抗体への通電を行わない等の処置を行えば、電源部や、発熱抵抗体に至るまでの通電回路に大きな電流負荷がかからないように保護することができる。
なお、本明細書でいう「微弱な通電状態」とは、発熱抵抗体を常温下の液体中に晒した上で、発熱抵抗体に対し1分間通電したときに、通電前の発熱抵抗体の抵抗値から1分間通電したときの抵抗値の変化が5%以内に収まる範囲の通電状態をいうものとする。
そして請求項5に係る発明のように、一回の異常状態の判定を仮判定として複数回繰り返し、異常状態が仮に判定された回数に基づき異常状態の決定を行えば、異常状態の判定に対する信頼性を高め、誤判定を防止することができる。
以下、本発明を具体化した液体状態検知センサの一実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、図1を参照し、第1の実施の形態として、液体状態検知センサ100を例にその構造について説明する。図1は、液体状態検知センサ100の一部を切り欠いてみた縦断面図である。なお、液体状態検知センサ100においてレベル検知部70(外筒電極10および内部電極20から構成されるコンデンサ)の長手方向を軸線O方向とし、液体性状検知部30が設けられる側を先端側、取付金具40が設けられる側を後端側とする。
第1の実施の形態の液体状態検知センサ100は、ディーゼル自動車の排気ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)の還元に使用される尿素水溶液の状態を検知するためのセンサである。具体的には、尿素水溶液のレベル(液位)、温度、およびその溶液に含まれる特定成分としての尿素の濃度を検知するものである。図1に示すように、液体状態検知センサ100は、円筒形状を有する外筒電極10、およびその外筒電極10の内部にて外筒電極10と同軸状に設けられた円筒状の内部電極20から構成されるレベル検知部70を有する。また、内部電極20の先端側に設けられた液体性状検知部30と、液体状態検知センサ100を尿素水タンク98(図2参照)に取り付けるための取付金具40とを備えている。
外筒電極10は金属材料からなり、軸線O方向に延びる長細い円筒形状を有する。外筒電極10の外周上にて周方向に等間隔となる3本の母線上には、各母線に沿ってそれぞれ複数の細幅のスリット15が断続的に開口されている。また、外筒電極10の先端部11において、上記スリット15が形成された各母線上には、後述する内部電極20との間に介在されるゴムブッシュ80の抜け防止のための開口部16がそれぞれ設けられている。さらに、外筒電極10の後端側の基端部12に近い位置で、スリット15が形成された各母線とは異なる母線上には、1つの空気抜孔19が形成されている。
外筒電極10の先端部11は、後述する液体性状検知部30のセラミックヒータ110の径方向周囲を、そのセラミックヒータ110を覆って保護するプロテクタ130ごと包囲するように、開口部16の位置よりさらに軸線O方向先端側に延長されている。そして外筒電極10の最先端部(図中最下部)は開口されている。
また、外筒電極10の基端部12は、金属製の取付金具40の先端に設けられた電極支持部41に、その外周に係合した状態で溶接されている。取付金具40は尿素水タンク98(図2参照)に液体状態検知センサ100を固定するための台座として機能し、取り付けボルトを挿通するための取り付け孔(図示外)が、電極支持部41の後端側で鍔状に設けられた鍔部42に開口されている。
取付金具40の鍔部42を挟んで電極支持部41の反対側には、鍔部42から直立する壁面に囲われ凹部状をなす収容部43が形成されている。収容部43には、後述する尿素水溶液99(図2参照)のレベル、温度、尿素濃度を検知するための回路や、図示外の外部回路(本実施の形態では、自動車のエンジン制御装置(ECU))との電気的な接続を行うための入出力回路等が搭載された回路基板60などが収容される。なお、この取付金具40は、回路基板60に対し、そのグランド電位をなす配線部(図示しない)と同電位となるように接続されているため、外筒電極10は取付金具40を介して接地されている。
回路基板60は、収容部43の内壁面の四隅より突出する基板載置部(図示外)上に載置されている。収容部43はカバー45に覆われ保護されており、そのカバー45は、鍔部42に固定されている。また、カバー45の側面にはコネクタ62が固定されており、コネクタ62の接続端子(図示外)と回路基板60上のパターン(後述する入出力回路部150)とが配線ケーブル61によって接続されている。このコネクタ62を介し、回路基板60とECUとの接続が行われる。
取付金具40の電極支持部41には収容部43内に貫通する孔46が開口されており、この孔46内に、内部電極20の基端部22が挿通されている。第1の実施の形態の内部電極20は軸線O方向に延びる長細い円筒形状をした金属材料からなる。この内部電極20の外周面上には、PTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂やエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などからなる絶縁性被膜23が形成されている。この内部電極20と外筒電極10との間で、尿素水溶液99(図2参照)のレベルに応じて静電容量が変化するコンデンサを形成してなるレベル検知部70が構成されている。
内部電極20の軸線O方向後端側の基端部22には、内部電極20を取付金具40に固定するためのパイプガイド55とインナーケース50が配置されている。パイプガイド55は内部電極20の基端部22の端縁寄りに接合された環状のガイド部材である。インナーケース50は内部電極20と外筒電極10とが確実に絶縁されるように内部電極20を位置決め支持する鍔付き筒状の樹脂製部材であり、先端側が取付金具40の電極支持部41の孔46に内挿されている。インナーケース50には径方向外側に向かって突出する鍔部51が形成されており、インナーケース50が電極支持部41に係合される際には、収容部43側から電極支持部41の孔46に挿通される。そして、鍔部51が収容部43内の底面に当接することで、インナーケース50が孔46内を通り抜けることが防止される。また、内部電極20は、収容部43側からインナーケース50の内側に挿通されるが、パイプガイド55が鍔部51に当接することで、インナーケース50からの脱落が防止される。
さらに、インナーケース50の外周と内周とには、それぞれ、Oリング53とOリング54とが設けられている。Oリング53は、インナーケース50の外周と取付金具40の孔46との間の隙間を密閉し、Oリング54は、インナーケース50の内周と内部電極20の基端部22の外周との間の隙間を密閉している。これにより、液体状態検知センサ100が尿素水タンク98(図2参照)に取り付けられた際に、尿素水タンク98の内部と外部とが収容部43を介して連通しないように、その水密性および気密性が保たれる。なお、取付金具40の鍔部42の先端側の面には図示外の板状のシール部材(例えばゴムパッキン)が装着され、液体状態検知センサ100を尿素水タンク98に取り付けた際に、鍔部42と尿素水タンク98との間の水密性および気密性が保たれるようになっている。
そして、内部電極20の取付金具40への組み付けの際には、2枚の押さえ板56,57によって、パイプガイド55がインナーケース50の鍔部51に対して押圧される。絶縁性の押さえ板56は、パイプガイド55との間に押さえ板57を挟み、パイプガイド55を押圧した状態で、ネジ58によって収容部43内に固定される。これにより、パイプガイド55に接合された内部電極20が電極支持部41に固定されることとなる。押さえ板56,57には中央に孔59が開口されており、内部電極20の電極引出線52と、後述するセラミックヒータ110との電気的な接続を行う2本のリード線90(図1では一方のリード線90のみを表示している)を内包する2芯のケーブル91とが挿通され、それぞれ回路基板60上のパターンに電気的に接続されている。回路基板60のグランド側の電極(図示外)は取付金具40に接続されており、取付金具40に溶接された外筒電極10がグランド側に電気的に接続される。
次に、内部電極20の先端部21に設けられた液体性状検知部30は、第1の実施の形態では尿素水溶液99(図2参照)の温度および含有される尿素の濃度の検出を行う液体性状検出素子としてのセラミックヒータ110を有する。セラミックヒータ110は、絶縁性セラミックからなる2枚の板材で、PtまたはWを主体とする発熱抵抗体114(図2参照)を挟んで埋設し、焼成したものである。このセラミックヒータ110は、内部電極20の先端部21に装着される絶縁性樹脂製のホルダ120に支持されている。ホルダ120は、外径が段違い状2段に構成された円筒形状を有し、小径となる先端側にて、発熱抵抗体114の埋設された側を露出した状態のセラミックヒータ110を、接着剤からなる固定部材125,126で固定している。そして大径側となる後端側が内部電極20の先端部21に装着されており、その内部電極20の外周面とホルダ120の内周面との間にシールリング140が介在され、内部電極20の内部の水密性および気密性が確保されている。また、セラミックヒータ110のホルダ120から露出された部分は、プロテクタ130によって周囲を覆われ保護されている。
ところで、ホルダ120の装着前に、セラミックヒータ110の中継端子119にはケーブル91の2本のリード線90の芯線がそれぞれ加締めまたは半田付けにより接合される。さらに絶縁性の保護部材95により、中継端子119とリード線90とが接合部位ごと覆われ保護される。そして、2つのリード線90は筒形状の内部電極20内を挿通され、上記回路基板60に接続されている。
次に、プロテクタ130は、有底円筒形状に形成された金属製の保護部材である。開口側がホルダ120の小径部分の外周に嵌合されている。また、プロテクタ130の外周上には液体流通孔(図示外)が開口されており、プロテクタ130の内外での尿素水溶液99(図2参照)の交換が行われる。そして、上記した液体性状検知部30は、内部電極20の先端部21にホルダ120を介し装着され、さらにゴムブッシュ80によって、外筒電極10内で弾性的に支持される。ゴムブッシュ80は円筒形状を有し、その外周面上に形成された突起部87が、外筒電極10の開口部16に係合されて固定される。また、ゴムブッシュ80の外周面と内周面とのそれぞれには、軸線O方向に沿った複数の溝(図示外)が溝設されている。液体状態検知センサ100が尿素水タンク98に取り付けられた際に、この溝を介し、ゴムブッシュ80の先端側に流入する尿素水溶液99と、後端側に流入する尿素水溶液99との液交換や、気泡抜きが行われる。
次に、図2を参照して、液体状態検知センサ100の電気的な構成について説明する。図2は、液体状態検知センサ100の電気的な構成を示す図である。図2に示すように、液体状態検知センサ100は液体収容容器としての尿素水タンク98に取り付けられ、一対の電極(外筒電極10および内部電極20)を備えたレベル検知部70と、発熱抵抗体114が埋設されたセラミックヒータ110を備えた液体性状検知部30とが、尿素水タンク98に収容された状態検知対象の液体としての尿素水溶液99に浸漬される。
液体状態検知センサ100の回路基板60上には、公知の構成のCPU170、ROM180、RAM190等を有するマイクロコンピュータ160が搭載されている。このマイクロコンピュータ160には、レベル検知部70の制御を行うレベル検知回路部200と、液体性状検知部30の制御を行う液体性状検知回路部210と、ECUとの通信を行う入出力回路部150とが接続されている。
入出力回路部150は、液体状態検知センサ100とECUとの間での信号の入出力を行うため、通信プロトコルの制御を行う。また、レベル検知回路部200は、マイクロコンピュータ160の指示に基づき、レベル検知部70の外筒電極10と内部電極20との間に交流電圧を印加し、レベル検知部70をなすコンデンサを流れた電流を電圧変換して、その電圧信号をマイクロコンピュータ160に出力する回路部である。
次に、液体性状検知回路部210は、マイクロコンピュータ160の指示に基づき、液体性状検知部30のセラミックヒータ110に定電流を流し、発熱抵抗体114の両端に発生する検出電圧をマイクロコンピュータ160に出力する回路部である。液体性状検知回路部210は、電源部220、トランジスタ230、リミッタ回路部240、レベルシフタ250、定電流回路部270、および差動増幅回路部280から構成される。
電源部220は、自動車のバッテリ(図示外)から供給される直流電源を昇圧または降圧し、通電のための電力を生成する回路部であり、出力ポートB1からは、例えば16Vの電圧(電力)が供給され、出力ポートB2からは、例えば5Vの電圧(電力)が供給される。電源部220の出力ポートB1はトランジスタ230のエミッタに接続されており、このトランジスタ230のベースはレベルシフタ250を介してマイクロコンピュータ160の出力ポートM1に接続され、コレクタはセラミックヒータ110の発熱抵抗体114の一端に接続されている。トランジスタ230は、マイクロコンピュータ160の出力ポートM1から出力されるローレベル信号またはハイレベル信号に応じてエミッタ−コレクタ間を流れる電流のON/OFFを制御するスイッチとして機能する。より具体的には、出力ポートM1からハイレベル信号(5V)が出力されると、レベルシフタ250により16Vの信号にシフトされた電位がトランジスタ230のベースに供給され、トランジスタ230はオフとなり、発熱抵抗体114に対する通電は行われない。一方、出力ポートM1からローレベル信号(0V)が出力されると、トランジスタ230のベースに0Vの電位が供給され、トランジスタ230はオンとなり、発熱抵抗体114が通電される。なお、トランジスタ230が、本発明における「切替手段」に相当する。
発熱抵抗体114の他端は、定電流回路部270を介して接地されている。定電流回路部270は、MOS−FET271、電流検出抵抗272、オペアンプ273および基準電源274から構成される。発熱抵抗体114の他端はMOS−FET271のドレインに接続され、MOS−FET271のソースには電流検出抵抗272の一端が接続されており、電流検出抵抗272の他端はグランドに接続されている。また、オペアンプ273の出力端子はMOS−FET271のゲートに接続され、このオペアンプ273の反転入力端子に電流検出抵抗272の一端が接続されており、さらに、非反転入力端子に基準となる電圧を発生する基準電源274を接続されている。この回路構成により、定電流回路部270では、オペアンプ273に基準となる電圧と電流検出抵抗272の一端の電圧とが入力され、両電圧の比較結果がオペアンプ273の出力としてMOS−FET271のゲートに入力され、ゲート電圧が調整されて発熱抵抗体114に定電流を流すようにフィードバック制御が行われる。
さらに、発熱抵抗体114の両端には、差動増幅回路部280が接続されている。差動増幅回路部280は、発熱抵抗体114の一端に現れる電位Pinと他端に現れる電位Poutとの差分を検出電圧としてA/D変換し、マイクロコンピュータ160の入力ポートM3に対して出力する。
また、トランジスタ230と発熱抵抗体114との間における電位を検出するため、両者間に設けられた測定点Aに、マイクロコンピュータ160の入力ポートM2が接続されており、この測定点Aと入力ポートM2との間にはリミッタ回路部240が介在されている。リミッタ回路部240は、マイクロコンピュータ160の入力ポートM2に測定点Aにおける電位を入力する回路部であり、その際の出力電位がマイクロコンピュータ160の入力上限電位を超えないように、出力ポートB2の電位を用いて調整する保護回路として機能する。なお、測定点Aが、本発明における「接続点」に相当し、入力ポートM2に入力される電位を測定するマイクロコンピュータ160が、本発明における「電位測定手段」に相当する。
ここで、発熱抵抗体114による尿素水溶液99の状態の検知原理について簡単に説明する。発熱抵抗体114への通電開始後間もない時間内では、発熱抵抗体の発熱がまだ大きくなされていないため、発熱抵抗体自身の温度は、自身の周囲に存在する尿素水液体の温度とほぼ同一である。そして時間の経過と共に、発熱抵抗体114自身の温度は連続的に上昇していく。従って、通電開始から短期間における発熱抵抗体114の抵抗値変化と周囲に存在する尿素水溶液99の温度との相関関係を予め確認しておくことにより、尿素水溶液99の温度を測定することが可能である。また、尿素水溶液99は、その濃度(溶液中の尿素濃度)に応じて熱伝導率に違いが生ずることが知られている。つまり、発熱抵抗体114の温度上昇率(放熱特性)は、尿素水溶液99の熱伝導率、すなわち濃度に応じて異なってくる。このことから、発熱抵抗体114を一定時間加熱したときの、発熱抵抗体114の抵抗値変化の度合いに基づき、尿素水溶液99の尿素濃度を得ることができる。
このような原理に基づいて、液体状態検知センサ100では、発熱抵抗体114への通電開始直後(詳細には、通電開始後10ms経過後)に差動増幅回路部280により検出される検出電圧値V1をもとに、尿素水溶液99の温度の測定をマイクロコンピュータ160にて行う。さらに、この液体状態検知センサ100では、発熱抵抗体114に通電を開始してから700msといった通電時間経過後に、差動増幅回路部280により検出される検出電圧値V2と、発熱抵抗体114への通電開始直後に検出された上記検出電圧値V1との差分値をマイクロコンピュータ160にて演算し、この差分値をもとに尿素濃度の測定を行う。
このように、発熱抵抗体114を用いて尿素水溶液99の尿素濃度および温度の測定を行うには、発熱抵抗体114に比較的大きな電圧を印加する必要がある。ここで、電源部220から発熱抵抗体114への通電経路において万が一ショートが発生してグランド電位となった場合(グランドショートが発生した場合)、その通電経路上の電子部品や電源部220のバッテリに大きな負荷がかかる虞がある。そこで第1の実施の形態の液体状態検知センサ100では、この通電経路上に設けた測定点Aの電位を測定し、グランドショートの発生を検出したら直ちに通電を停止して通電経路上の電子部品の保護を行う通電制御を行っている。この制御は、尿素水溶液99の温度および濃度を検出するための性状検知プログラムの実行に従って行われる。性状検知プログラムは、液体状態検知センサ100の制御を行うメインプログラム(図示外)からコールされるサブルーチンのうちの1つであり、マイクロコンピュータ160のCPU170によって実行される。
以下、性状検知プログラムについて説明を行うが、これに先立ち、性状検知プログラムにおいて使用される変数やフラグ、カウンタについて、図3,図4を参照して説明する。図3は、マイクロコンピュータ160のROM180の記憶エリアの構成を示す概念図である。図4は、マイクロコンピュータ160のRAM190の記憶エリアの構成を示す概念図である。
性状検知プログラムで使用される電圧正常値および異常判定回数は、図3に示す、マイクロコンピュータ160のROM180に設けられた電圧正常値記憶エリア181、異常判定回数記憶エリア182にそれぞれ記憶される。電圧正常値は、入力ポートM2に入力される測定点Aの電位が、グランドショート発生時の電位であるか否かを判定するためのしきい値として用いられる電圧値である。一般的にはリミッタ回路部240にて制限される上限の電位(電源部220の出力ポートB2の電位)とグランド電位(例えば0V)との中間値が用いられ、第1の実施の形態においては、例えば2.5Vが設定されている。異常判定回数は、グランドショートが発生したと検知した回数によって、グランドショートが実際に発生したか否かを判定する際のしきい値として用いられる回数(例えば5回)である。ROM180には、他にも、各種の制御プログラムやそれらで用いられる初期値等が記憶されている。
また、性状検知プログラムで使用される異常状態フラグ、判定時間タイマ、および異常発生回数カウンタは、図4に示す、マイクロコンピュータ160のRAM190に設けられた異常状態フラグ記憶エリア191、判定時間タイマ記憶エリア192、および異常発生回数カウンタ記憶エリア193に、それぞれ記憶される。異常状態フラグは、性状検知プログラムの実行によってグランドショートの発生が検知され異常状態にあると判定された場合に立てられるフラグであり、初期状態では0となっている。判定時間タイマは、通電開始直後の電圧が不安定な時期に測定点Aの電位が測定された場合に、グランドショートが発生したと誤検知(誤判定)されることがないように、異常状態の有無の判定を行うまでの待ち時間を計測するためのタイマである。異常発生回数カウンタは、グランドショートの発生を検知した回数を数えるためのカウンタである。RAM190には、他にも、各種の制御プログラムで用いられるフラグ、カウンタ、変数等が記憶されている。
次に、性状検知プログラムについて、図2〜図5を参照して説明する。図5は、液体状態検知センサ100のメインプログラム(図示外)からコールされる性状検知プログラムのフローチャートである。なお、フローチャートの各ステップについては「S」と略記する。
液体状態検知センサ100のメインプログラム(図示外)では、第1の実施の形態の性状検知プログラムやレベル検知のためのプログラム等を含む複数のサブルーチンを実行する時期や条件の管理を行っており、図5に示す、性状検知プログラムは、メインプログラムからコールされることにより実行される。性状検知プログラムがコールされると、まず、異常状態フラグの値が参照される(S11)。以前の性状検知プログラムの実行により既にグランドショートの発生が検知されて異常が生じたと判断されている場合には、異常状態フラグが1となっており(S11:YES)、尿素水溶液99の温度や濃度の測定を行うことなくメインプログラムに戻る。性状検知プログラムの初回実行時には異常状態フラグが0となっているので(S11:NO)、マイクロコンピュータ160の出力ポートM1からハイレベル信号が出力されてトランジスタ230がオンとされ、発熱抵抗体114への通電が開始される(S12)。また、判定時間タイマが始動され、通電開始からの経過時間の計測が行われる(S13)。
測定点Aの電位はリミッタ回路部240を介して入力ポートM2に入力されており、次のS15では、入力ポートM2にかかる電圧が、電圧正常値記憶エリア181の電圧正常値よりも大きいか否かの判定が行われる。通常状態(グランドショートが発生していない状態)では測定点Aの電位は電源部220の出力ポートB1の電位(例えば16V)となり、リミッタ回路部240の通過によって、出力ポートB2の電位(例えば5V)に制限されて、入力ポートM2に入力される。従って、測定点Aの電位(測定電圧)は電圧正常値(例えば2.5V)よりも大きくなり、グランドショートは発生しておらず正常な状態にあると判断される(S15:YES)。
この場合には、判定時間の計測が不要となるため判定時間タイマが停止される(S19)。そして、上記した原理に基づいて尿素水溶液99の尿素濃度や温度を測定するプログラム(図示外)が実行されて、尿素水溶液99の尿素濃度や温度の測定が行われる(S21)。尿素水溶液99の尿素濃度や温度の測定が終われば、マイクロコンピュータ160の出力ポートM1からハイレベル信号が出力されてトランジスタ230がオフとされ、発熱抵抗体114への通電が停止される(S22)。さらに異常発生回数カウンタ記憶エリア193に0が記憶されて異常発生回数がクリアされ(S23)、メインプログラムに戻る。
一方、S15において、測定点Aの電位(測定電圧)が電圧正常値以下であった場合(S15:NO)、グランドショートが発生している虞がある。もっとも、通電開始直後の電圧が不安定な時期に測定点Aの電位が測定されたことによる誤検知の虞もあるため、判定時間タイマが参照されて通電開始から判定時間(例えば2msec)が経過したか確認され、経過していなければS15に戻り(S16:NO)。S15,S16が繰り返される。判定時間の経過前に測定点Aの電位(測定電圧)が電圧正常値より大きくなれば、グランドショートは発生しておらず正常な状態にあったものとして、上記したS19以降の処理が行われて尿素水溶液99の尿素濃度や温度の測定が行われる。
しかし、判定時間が経過しても測定電圧が電圧正常値以下であれば(S15:NO,S16:YES)、グランドショートが発生していると判断されて、トランジスタ230をオフするために出力ポートM1からハイレベル信号を出力することによって、直ちに発熱抵抗体114への通電が停止される(S25)。また、判定時間の計測が終了したため判定時間タイマも停止される(S26)。そして異常発生回数の更新が行われ、異常発生回数カウンタが1加算される(S27)。なお、S15において測定電圧が電圧正常値以下であると判定(S15:NO)した結果、S25において発熱抵抗体114への通電を停止するCPU170が、本発明における「通電停止制御手段」に相当する。
次に、一回のグランドショートの発生の検知(判定)でグランドショートの発生を断定しないように、異常発生回数と異常判定回数との比較が行われる(S29)。異常発生回数が異常判定回数未満であるうちはそのまま性状検知プログラムを終了し(S29:NO)、メインプログラムへ戻る。次回以降の性状検知プログラムの実行時に、同様にグランドショートの発生が検知されると、今回同様に異常発生回数が加算されていく。その過程において測定電圧が電圧正常値より大きくなり、グランドショートの発生が否定された場合には(S15:YES)、上記したように異常発生回数はクリアされる(S23)。
そして異常発生回数が異常判定回数以上となると(S29:YES)、グランドショートが発生したと断定(決定)され、異常状態フラグを1にしてメインプログラムに戻る(S30)。次回以降、性状検知プログラムがコールされても、異常状態フラグが1となっているので(S11:YES)、発熱抵抗体114への通電が行われることなくメインプログラムに戻る。なお、S15において測定電圧が電圧正常値以下であると判定(S15:NO)した結果、最終的に、S30において発熱抵抗体114への通電経路に異常が生じたとするCPU170が、本発明における「異常判定手段」に相当する。詳細には、S15において測定電圧が電圧正常値以下であると判定(S15:NO)するCPU170が、本発明における「仮異常判定手段」に相当し、その結果、S27でインクリメントされる異常発生回数が、異常判定回数に達したときに(S29:YES)、S30において発熱抵抗体114への通電経路に異常が生じたとするCPU170が、本発明における「異常決定手段」に相当する。
このように、性状検知プログラムでは、尿素水溶液99の尿素濃度や温度の測定を行うために通電を行う発熱抵抗体114への通電経路においてグランドショートの発生を検知すると、直ちに通電を停止し、その通電経路上に設けられた電子部品等に高電圧が印加されたり、バッテリに負荷がかかったりするのを防止することができる。そしてグランドショート発生の一度の検知(判定)ではグランドショートが発生したと断定せず、複数回(異常判定回数として定められた回数)連続して検知した場合にグランドショートが発生したと断定(決定)することで、検知結果(判定結果)に対する信頼性を高め、誤検知(誤判定)を防止することができる。なお、このときのグランドショートの発生の一回の判定における通電時間は非常に短く、グランドショートの発生を断定するまでの複数回の通電は断続的な通電となるため、通電経路上に設けられた電子部品等やバッテリにかかる負荷は小さい。
次に液体状態検知センサの第2の実施の形態について、液体状態検知センサ300を例に、図6,図7を参照して説明する。図6は、液体状態検知センサ300の電気的な構成を示す図である。図7は、液体状態検知センサ300のメインプログラム(図示外)からコールされる性状検知プログラムのフローチャートである。
なお、第2の実施の形態の液体状態検知センサ300と第1の実施の形態の液体状態検知センサ100との違いは、回路基板360上に設けた性状検知回路部310における電気的な構成の一部と、性状検知プログラムの一部のステップのみであり、機械的な構造については同一である。従って、以下では、液体状態検知センサ300の機械的な構造についての説明を省略する。また、電気的な構成および動作の異なる部分については説明を行うが、同一の部分については同一の符号やステップ番号を付し、その説明について省略または簡略化する。
図6に示す、第2の実施の形態の液体状態検知センサ300と、図2に示した第1の実施の形態の液体状態検知センサ100との電気的な構成の違いは、回路基板360上に設けた性状検知回路部310において、トランジスタ230のエミッターコレクタ間をバイパスするモニタ抵抗290を設けた点である。この構成により、第2の実施の形態では、発熱抵抗体114への通電(この場合、発熱のための通電を意味する。)を行わないようにトランジスタ230がOFFに制御されている場合でも、このモニタ抵抗290を介して発熱抵抗体114に微弱な電流が流される。つまり、グランドショートが発生していない状態では、常に、測定点Aにおける電位がグランド電位より高い電位となっている。なお、消費電力低減のため、モニタ抵抗290の抵抗値は比較的大きな値に設定されている。なお、モニタ抵抗290が、本発明における「通電維持手段」に相当する。
次に、第2の実施の形態の性状検知プログラムについて説明する。液体状態検知センサ300では、グランドショートが発生した場合にのみ、測定点Aにおける電位がグランド電位となる。このことを利用して、第2の実施の形態の性状検知プログラムでは、発熱抵抗体114に発熱のための通電が行われる前に、測定点Aにおける電位がグランド電位でないことの確認を行っている。
図7に示す、性状検知プログラムはメインプログラム(図示外)からのコールによって実行され、異常状態でなければ(S11:NO)、判定時間タイマが始動される(S13)。次に測定点Aの電位(測定電圧)が電圧通常値と比較される(S15)。第2の実施の形態において、測定電圧は、発熱抵抗体114への発熱のための通電を行う前の状態、すなわちトランジスタ230がOFFに制御された状態における測定点Aの電位であり、上記のように消費電力低減のため、非常に低い電位となっている(例えば0.5V)。従って電圧正常値も低い値に設定されている(例えば0.25V)。マイクロコンピュータ160の入力ポートM2に入力された電位がこの電圧正常値よりも大きければ、グランドショートは発生しておらず正常な状態にあると判断される(S15:YES)。
この場合には、尿素水溶液99の尿素濃度や温度の測定が行われるため、判定時間タイマが停止された後(S19)、出力ポートM1からローレベル信号が出力されてトランジスタ230がオンとされ、発熱抵抗体114への通電が開始される(S20)。そして上記の原理に基づいて尿素水溶液99の尿素濃度や温度を測定するプログラム(図示外)が実行されて、尿素水溶液99の尿素濃度や温度の測定が行われたら(S21)、発熱抵抗体114への通電が停止される(S22)。さらに異常発生回数がクリアされて(S23)、メインプログラムに戻る。
一方、S15において、測定点Aの電位(測定電圧)が電圧正常値以下であった場合(S15:NO)、誤検知の防止のため、判定時間(例えば100msec)が経過するまでS15に戻り(S16:NO)。S15,S16が繰り返される。判定時間の経過前に測定点Aの電位(測定電圧)が電圧正常値より大きくなれば、グランドショートは発生しておらず正常な状態にあったものとして、上記したS19以降の処理が行われて尿素水溶液99の尿素濃度や温度の測定が行われる。
しかし、判定時間が経過しても測定電圧が電圧正常値以下であれば(S15:NO,S16:YES)、グランドショートが発生していると判断される。第2の実施の形態では発熱抵抗体114への発熱のための通電が行われる前にグランドショートの検知が行われるため、そのまま、判定時間タイマの停止(S26)、異常発生回数の更新が行われる(S27)。そして、異常発生回数が異常判定回数を上回るまで、第1の実施の形態と同様に、繰り返しグランドショートの発生の確認が繰り返されて(S11,S13,S15:NO,S16:YES,S26,S27,S29:NO)、上回ったら(S29:YES)、グランドショートが発生の断定(決定)とともに異常状態フラグを1にしてメインプログラムに戻る(S30)。次回以降、性状検知プログラムがコールされても、異常状態フラグが1となっているので(S11:YES)、発熱抵抗体114への発熱のための通電が行われることなくメインプログラムに戻る。
このように、第2の実施の形態の性状検知プログラムでは、発熱抵抗体114への通電経路においてグランドショートの発生が検知されない場合に限り、尿素水溶液99の尿素濃度や温度の測定に必要な発熱のための通電が行われる。従ってグランドショートが発生した場合には通電が行われないため、その通電経路上に設けられた電子部品等に高電圧が印加されたり、バッテリに負荷がかかったりするのを防止することができる。そしてグランドショート発生の1度の検知ではグランドショートが発生したと断定せず、複数回(異常判定回数として定められた回数)連続して検知した場合にグランドショートが発生したと断定(決定)することで、検知結果(判定結果)に対する信頼性を高め、誤検知(誤判定)を防止することができる。
なお、本発明は各種の変形が可能なことはいうまでもない。例えば、リミッタ回路部240は、測定点Aにおける電位がマイクロコンピュータ160の入力ポートM2に入力されるにあたってリミッタ制御を行ったが、このリミッタ回路部240に代えて、測定点Aの電位をA/D変換し、測定結果をデータとして入力ポートM2に対し出力する回路を設けてもよい。あるいは、測定点Aの電位がグランド電位であるか否かを検出し、グランド電位であればローレベル信号を、そうでなければハイレベル信号を、マイクロコンピュータ160の入力ポートM2に対し出力する回路を設けてもよい。
また、液体状態検知センサ100,300は、レベル検知部70を有さないタイプのセンサであってもよい。また、上記の実施形態の液体状態検知センサ100,300では、尿素水溶液99の温度検知と尿素の濃度検知とを行ったが、尿素水溶液99の温度検知を行わないものであってもよい。さらに、尿素の濃度検知に代えて、液体の種別検知を行うようにしてもよい。また、検知対象の液体として用いた尿素水溶液99は一例に過ぎず、他の液体であってもよい。また、MOS−FET271の代わりにNPN型のトランジスタや他のスイッチング素子を用いてもよい。
また、異常状態が複数回連続して発生した場合に初めてグランドショートが発生したと断定(決定)したが、異常状態の累積的な発生回数に基づいて、グランドショートの発生を断定(決定)してもよい。
また、定電流回路部270の高速フィードバック制御を行って、発熱抵抗体114に流す定電流の安定化を図るために、マイクロコンピュータ160の出力ポートM1からのローレベル信号/ハイレベル信号を、定電流回路部270に供給するようにしてもよい。具体的には、図2に示すように、マイクロコンピュータ160の出力ポートM1と、定電流回路部270のオペアンプ273の反転入力端子とを、適宜の回路素子を介して結線すればよい(分岐点C,D間を1点鎖線Eで示すように接続する回路を設ければよい。)。
99 尿素水溶液
100 液体状態検知センサ
114 発熱抵抗体
170 CPU
220 電源部
230 トランジスタ
290 モニタ抵抗
300 液体状態検知センサ
A 測定点
M2 入力ポート
100 液体状態検知センサ
114 発熱抵抗体
170 CPU
220 電源部
230 トランジスタ
290 モニタ抵抗
300 液体状態検知センサ
A 測定点
M2 入力ポート
Claims (5)
- 電源部とグランドとをつなぐ通電経路に配置された発熱抵抗体を所定時間通電したときの液体への前記発熱抵抗体の放熱特性に基づいて、前記発熱抵抗体の周囲における前記液体の状態を検知する液体状態検知センサにおいて、
前記電源部と前記発熱抵抗体との間に接続されて、前記発熱抵抗体への通電のオンオフを切り替える切替手段と、
当該切替手段と前記発熱抵抗体との接続点における電位を測定する電位測定手段と、
前記切替手段によって前記発熱抵抗体への通電がオンとなったときに、前記電位測定手段から入力される前記発熱抵抗体の前記電源部側の電位の測定結果がグランド電位であった場合に、前記通電経路に異常が生じたと判定する異常判定手段と
を備えたことを特徴とする液体状態検知センサ。 - 前記切替手段によって前記発熱抵抗体への通電がオンとなったときに、前記電位測定手段から入力される前記発熱抵抗体の前記電源部側の電位の測定結果がグランド電位であった場合に、前記発熱抵抗体への通電をオフとするように前記切替手段を制御する通電停止制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の液体状態検知センサ。
- 前記異常判定手段は、
前記切替手段によって前記発熱抵抗体への通電がオンとなったときに、前記電位測定手段から入力される前記発熱抵抗体の前記電源部側の電位の測定結果がグランド電位であった場合に、前記発熱抵抗体への通電経路に異常が生じたと仮に判定する仮異常判定手段と、
当該仮異常判定手段によって、前記発熱抵抗体への通電経路に異常が生じたと仮に判定された回数が予め設定された異常決定回数に達した場合に、前記発熱抵抗体への通電経路に異常が生じたと決定する異常決定手段と
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の液体状態検知センサ。 - 電源部とグランドとをつなぐ通電経路に配置された発熱抵抗体を所定時間通電したときの液体への前記発熱抵抗体の放熱特性に基づいて、前記発熱抵抗体の周囲における前記液体の状態を検知する液体状態検知センサにおいて、
前記電源部と前記発熱抵抗体との間に接続されて、前記発熱抵抗体への通電のオンオフを切り替える切替手段と、
当該切替手段の両端に接続されて前記電源部と前記発熱抵抗体との通電経路を形成し、前記切替手段による前記発熱抵抗体への通電がオフとなった場合でも、前記発熱抵抗体へ微弱な通電状態を維持する通電維持手段と、
前記切替手段と前記発熱抵抗体との接続点における電位を測定する電位測定手段と、
前記切替手段によって前記発熱抵抗体への通電がオフとなったときに、前記電位測定手段から入力される前記発熱抵抗体の前記電源部側の電位の測定結果がグランド電位であった場合に、前記通電経路に異常が生じたと判定する異常判定手段と
を備えたことを特徴とする液体状態検知センサ。 - 前記異常判定手段は、
前記切替手段によって前記発熱抵抗体への通電がオフとなったときに、前記電位測定手段から入力される前記発熱抵抗体の前記電源部側の電位の測定結果がグランド電位であった場合に、前記発熱抵抗体への通電経路に異常が生じたと仮に判定する仮異常判定手段と、
当該仮異常判定手段によって、前記発熱抵抗体への通電経路に異常が生じたと仮に判定された回数が予め設定された異常決定回数に達した場合に、前記発熱抵抗体への通電経路に異常が生じたと決定する異常決定手段と
を備えたことを特徴とする請求項4に記載の液体状態検知センサ。
Priority Applications (1)
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JP2007278206A JP2009103665A (ja) | 2007-10-25 | 2007-10-25 | 液体状態検知センサ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2007278206A JP2009103665A (ja) | 2007-10-25 | 2007-10-25 | 液体状態検知センサ |
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JP2007278206A Pending JP2009103665A (ja) | 2007-10-25 | 2007-10-25 | 液体状態検知センサ |
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- 2007-10-25 JP JP2007278206A patent/JP2009103665A/ja active Pending
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