JP2009102232A - サラシア属植物からの抽出物の用途 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】サラシア属植物の幹、根皮および葉からなる群から選択される少なくとも1種からの抽出物を含有する関節内の滑膜細胞の異常増殖抑制剤、当該抽出物を含有する関節内の炎症性細胞の湿潤抑制剤。該抽出物を含有した製剤または食品。
【選択図】なし
Description
RAは関節を構成する滑膜が異常増殖を起こし、リウマチ特有の病変組織である「パンヌス」を形成することが特徴である。パンヌスは滑膜の表面に絨毯状に広がって軟骨や骨に浸潤するとともに、コラゲナーゼなどのたんぱく質分解酵素や、IL−1β、IL−6、TNF−αなどの炎症性サイトカインを分泌することで、軟骨や骨を破壊する。
RAの治療法としては薬物治療が主であり、現在のところアスピリンやインドメタシンなどの非ステロイド抗炎症剤(NSAIDs)、メトトレキサートやリマチルなどの抗リウマチ剤(DMARDs)、さらに最近ではTNFα抑制薬、IL−6抑制薬などが使用さているが、これらは主に対症療法的手段であることから根本原因の治療には至らない。また、副作用の恐れがある。
一方、関節的にRAへの効果を標ぼうしている健康食品としてはキャッツクロー、グルコサミン、コンドロイチン硫酸が販売されている。しかしながら、キャッツクロー、グルコサミン、コンドロイチン硫酸の効果に対する正確な評価や、作用メカニズムについては明確となっていない。
このような現状を鑑み、関節リウマチに対し有効な発症抑制剤、あるいは症状悪化に対する抑制剤が望まれてきた。
サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)、サラシア・プリノイデス(Salacia prinoides)およびサラシア・オブロンガ(Salacia oblonga)は、ニシキギ科サラシア属の植物である。これらサラシア属はリウマチ、皮膚病、喘息に対して効果があるといわれ、インドやスリランカ等において、通常、煎じたり、油で抽出するなどして食用に供されている。
なかでもサラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)はコタラヒムブツとよばれ、スリランカやインドの伝統医学アーユルヴェーダにおいて天然薬物と利用されてきた。 (非特許文献1)。
1)サラシア属植物の幹、根皮および葉からなる群から選択される少なくとも1種からの抽出物を含有する関節内の滑膜細胞の異常増殖抑制剤。
2)サラシア属植物の幹、根皮および葉からなる群から選択される少なくとも1種からの抽出物を含有する関節内の炎症性細胞の湿潤抑制剤。
3)包装袋または包装容器に充填された、上記1)および/または2)に記載の抑制剤と乾燥剤を含有することを特徴とする粉末製剤または錠剤。
4)上記1)および/または2)に記載の抑制剤と酸化防止剤を含有することを特徴とする液剤。
5)上記1)および/または2)に記載の抑制剤と乾燥剤を含有することを特徴とするカプセル製剤。
6)サラシア属植物の幹、根皮および葉からなる群から選択される少なくとも1種からの抽出物の乾燥エキス末を内容組成物の0.01質量%以上添加したことを特徴とする抽出物含有食品。
前記抽出物の乾燥エキス末は、使用時において、そのまま、あるいは適当な溶媒に溶解して使用することができる。前記溶媒は、抽出時に用いることができる溶媒であって、調製後の薬剤または食品中に残留した場合に人体に悪影響を及ぼさないものであればよく、通常、好ましくは水、アルコール、含水アルコールを用いる。より好ましくは、熱水もしくはエタノールあるいは含水エタノールを用いる。前記含水アルコールのアルコール濃度は、30〜90%、好ましくは40〜70%の濃度のものを使用すればよい。乾燥方法は噴霧乾燥、凍結乾燥などが挙げられるが、これに限られるものではない。
本発明において、粉末製剤、錠剤または液剤とするための製剤化、カプセル製剤とするためのカプセル内包物の顆粒化、カプセル化、カプセル素材等は公知手段や公知素材が適用できる。
本発明のカプセル製剤は、硬カプセル、軟カプセル、シームレスカプセルマイクロカプセル、などの形態であってもよく、カプセル皮膜が、豚皮ゼラチン、豚骨ゼラチン、魚ゼラチン又は天然親水性ポリマーから選択される少なくとも一種又は二種以上によって構成されていることを特徴とする。豚皮ゼラチン、魚ゼラチンのカプセル被膜が特に好ましい。
これらのカプセル皮膜は周知慣用の方法で製することができる。ここで、豚皮ゼラチン、豚骨ゼラチン、魚ゼラチン又は天然親水性ポリマーで構成されているとは、カプセル皮膜全体重量に対して、豚皮ゼラチン、豚骨ゼラチン、魚ゼラチン又は天然親水性ポリマーの総量が30重量%以上、好ましくは40重量%以上、より好ましくは50重量%以上、特に好ましくは60重量%以上であるものを意味する。
また、上記組成物は酸化防止の観点で空気との接触を避けるために包装袋または包装容器に充填することが好ましい。
特に、飲用物は容器詰飲料とする。容器詰飲料の外観は長時間にわたって保存すると色調の変化が大きく、商品としては不適切なものとなる。飲料は徐々に着色が進み、時間が経つにつれて、色調が変化する。
色調の保持のために、アスコルビン酸若しくはアスコルビン酸ナトリウムのような酸化防止剤を添加することで、より一層の効果を発揮することができる。酸化防止剤の配合量は、内容組成物の0.03〜1.2重量%程度、好ましくは0.04〜1.0重量%程度、より好ましくは0.05〜0.8重量%程度である。
(1)被験飼料の調製
コタラヒムブツの葉(Kothala himbutu leabes,KTL)はスリランカにおいて2006年に採取されたものを使用した。採取後、自然乾燥し、粉砕により粉末化した。KTLの熱水抽出物の調製は、KTL粉末12gに純水1.5Lを加えて加熱抽出し、さらに1Lになるまで加熱した。抽出液は放冷後、3500rpmで20分間遠心分離した。上清をさらに1回遠心分離し、得られた上清を凍結乾燥し、粉末として用いた。
(2)関節リウマチモデルマウスの作成
Specidic pathogen−freeDBA/1マウス5週齢オスを用い、基礎飼料(AIN−93G組成準拠)で1週間の予備飼育を行った。マウスは(1)ノーマル(N)群、(2)コントロール(CAIA)群、(3)KTL群の3つに分けた。
1週間の予備飼育後、N群とCAIA群には基礎飼料を、KTL群には基礎飼料にKTLを1質量%添加、混合した飼料を投与した。実験飼育期間中の飼料とイオン交換水は自由摂取とした。動物は室温23±1℃、相対湿度50%、12時間明暗サイクル(明期7:00−19:00)に調節された部屋で飼育した。実験動物の取り扱いについては「実験動物の飼育及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」(2006年4月28日環境省告示第88号)、及び城西大学生命科学研究センターの「実験動物に関するガイドライン」を遵守した。
本実験では関節リウマチモデルマウスとして、Chondrex社の関節炎惹起用モノクロナール抗体カクテルを使用したコラーゲン関節炎(CAIA)マウスを作成し、用いた。CAIAマウスの作成のため、実験飼料の投与から1週間後、CAIA群とKTL群に抗体カクテル(2mg/mouse)を2日連続で1回ずつ腹腔内に投与した。2回目の投与の翌日にリポポリサッカライド(LPS)を腹腔内注射し、関節における炎症を惹起させ、その後2週間実験飼料を投与した。なお、N群には試薬の代わりに滅菌生理食塩水を投与した。実験飼料の投与中は、マウス足部における炎症の程度を把握するため、足部の3箇所(くるぶし、甲、かかと)のサイズを1日おきにマイクロキャリパーで測定した。また、Miyazawaらの方法(Rheumatol int,26(8),717−725,2006)に従い、同時に関節炎の状況を、手と足のそれぞれにつき0−4の5段階(最大16)で、目視によりスコア化し、評価した。飼育終了後、腹部大静脈より採血を行った。また、足の指関節から凍結組織切片を作成し、ヘマトキシリン・エオシン(HE)、及びトルイジンブルー(TB)の染色を行った。
組織切片を−30℃のアセトンで5分間固定後、4℃のマイヤー・ヘマトキシリン溶液に浸し、15分間染色した。染色後、超純水にて10分間3回洗浄した。洗浄後、エオシン・Y溶液に浸し、2分間染色した。染色後、0.01M PBSにて10分間3回洗浄した。TB染色は−30℃のアセトンで5分間固定後、トルイジンブルー溶液に浸し、20分間染色した。染色後、超純水にて10分間2回洗浄した。染色した組織切片は、光学顕微鏡OLYMPAS IX51 PIXCERA Penguin 600CLを用いて検鏡し、画像編集ソフトPIXCERA view finder3.0を用いて、染色標本画像の記録を行った。また、HE染色の組織画像から、炎症性細胞の数(Inflammation)と炎症性細胞の骨と軟骨への侵入度(Bone&cartilage infiltration)をHondaらの方法(J ExpMed,203(2),325−35,2006)に基づき0−3の4段階で判断し、スコア化した。さらに軟骨組織が特異的に染色されるTB染色の組織画像から、関節の破壊度をHE染色と同様にHondaらの方法に従い、0−3の4段階でスコア化した。
また、炎症性細胞の数と炎症性細胞の骨と軟骨への侵入度のスコアはCAIA群と比較してKTL群では炎症や炎症性細胞の浸潤が抑制されていた(図2)。
TB染色では関節組織で軟骨・骨組織の破壊がCAIA群と比較してKTL群で明らかな減少が認められた(図3)。
また関節破壊度のスコアをCAIA群と比較したところ、KTL群では軟骨組織の関節組織で軟骨・骨組織の破壊が有意に抑制されていた(図4)。軟骨・骨組織の滑膜細胞の異常増殖が抑制されることにより軟骨・骨組織の破壊が抑制されている。
(実施例2)
得られた混合物から押し出し造粒法により顆粒を作成し、乾燥後に打錠機を用いてチュアブル錠を得た。
更に、KTL抽出物の別の応用例として栄養ドリンクの処方例を表2に示す。
表2に記載の各成分を順番に蒸留水800mlに全て溶解し、充分混合した後に更に蒸留水を加えて全量を1000mlとした。0.2μmの除菌フィルターでろ過した後、50mlずつ褐色ビンに無菌充填することで、KTL抽出物を10mg/ml含有する栄養ドリンクを調製した。
Claims (6)
- サラシア属植物の幹、根皮および葉からなる群から選択される少なくとも1種からの抽出物を含有する関節内の滑膜細胞の異常増殖抑制剤。
- サラシア属植物の幹、根皮および葉からなる群から選択される少なくとも1種からの抽出物を含有する関節内の炎症性細胞の湿潤抑制剤。
- 包装袋または包装容器に充填された、請求項1および/または請求項2に記載の抑制剤と乾燥剤を含有することを特徴とする粉末製剤または錠剤。
- 請求項1および/または請求項2に記載の抑制剤と酸化防止剤を含有することを特徴とする液剤。
- 請求項1および/または請求項2に記載の抑制剤と乾燥剤を含有することを特徴とするカプセル製剤。
- サラシア属植物の幹、根皮および葉からなる群から選択される少なくとも1種からの抽出物の乾燥エキス末を内容組成物の0.01質量%以上添加したことを特徴とする抽出物含有食品。
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