JP2009101858A - 車両用操舵装置 - Google Patents

車両用操舵装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2009101858A
JP2009101858A JP2007275520A JP2007275520A JP2009101858A JP 2009101858 A JP2009101858 A JP 2009101858A JP 2007275520 A JP2007275520 A JP 2007275520A JP 2007275520 A JP2007275520 A JP 2007275520A JP 2009101858 A JP2009101858 A JP 2009101858A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steered
steering
vehicle
wheels
wheel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007275520A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5125403B2 (ja
Inventor
Sumio Sugita
澄雄 杉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2007275520A priority Critical patent/JP5125403B2/ja
Publication of JP2009101858A publication Critical patent/JP2009101858A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5125403B2 publication Critical patent/JP5125403B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Power Steering Mechanism (AREA)
  • Steering-Linkage Mechanisms And Four-Wheel Steering (AREA)
  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)

Abstract

【課題】左右の転舵輪を独立してスリップ角制御することができると共に、左右の一方の転舵アクチュエータに異常が発生した場合にフェイルセーフ動作を確保することができる車両用操舵装置を提供する。
【解決手段】運転者が操舵する操舵機構2と、該操舵機構2とは切り離されて転舵輪3FL,3FRを転舵する転舵機構4とを有し、前記転舵機構4は、左右の転舵輪に対して個別に転舵力を付与する転舵アクチュエータ43L,43Rを有する一対の転舵部と、該一対の転舵部間を連結する可動抵抗を与えながら可動可能な連結部材44とを少なくとも有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、運転者が操舵する操舵機構と、該操舵機構とは切り離されて転舵輪を転舵する転舵機構とを有する所謂ステアバイワイヤ構成を有する車両の操舵装置に関する。
この種の車両の操舵装置としては、例えば、格別の操舵モータを備える左右の前輪のキングピンを、夫々のナックルアームの先端を連結するリンク部材により連携させ、例えば、一方の操舵モータがフェイル状態となったとき、この操舵モータに対応する前輪が、リンク部材を介して伝えられる他方の操舵モータの回転により操舵される構成とした車両用操舵装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−170849号公報(第1頁、図1)
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来例にあっては、一方の操舵モータがフェイル状態となったとき、この操舵モータに対応する前輪が、リンク部材を介して他方の操舵モータの回転により操舵されるので、一方の操舵モータに異常が発生した場合でも他方の操舵モータにより異常となった操舵モータ側の転舵輪の転舵制御を継続することができるものであるが、左右の転舵輪のナックルの先端がリンク部材によって連結されているので、左右の操舵モータを個別に制御して転舵輪のスリップ角を独立して制御することはできないという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、左右の転舵輪を独立してスリップ角制御することができると共に、左右の一方の転舵アクチュエータに異常が発生した場合にフェイルセーフ動作を確保することができる車両用操舵装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1に係る車両用操舵装置は、運転者が操舵する操舵機構と、該操舵機構とは切り離されて転舵輪を転舵する転舵機構とを有し、前記転舵機構は、左右の転舵輪に対して個別に転舵力を付与する転舵アクチュエータを有する一対の転舵部と、該一対の転舵部間を連結する可動抵抗を与えながら可動可能で可動可能範囲が規制された連結部材とを少なくとも有することを特徴としている。
また、請求項2に係る車両用操舵装置は、運転者が操舵する操舵機構と、該操舵機構とは切り離されて転舵輪を転舵する転舵機構とを有し、前記転舵機構は、左右の転舵輪に対して個別に転舵力を付与する転舵アクチュエータを有する一対の転舵部と、該一対の転舵部間を連結する可動抵抗を与えながら可動可能で可動可能範囲が規制された連結部材とを少なくとも有し、さらに前記一対の転舵部の転舵アクチュエータを前記転舵輪に作用する横力に基づいて独立制御する転舵制御手段を備えていることを特徴としている。
さらに、請求項3に係る車両用操舵装置は、請求項2に係る発明において、前記転舵制御手段は、前記転舵輪に作用する横力を検出する横力検出手段と、前記転舵輪の車輪速を検出する車輪速検出手段と、前記横力検出手段で検出した横力と前記車輪速検出手段で検出した車輪速とに基づいて前記転舵輪のスリップ角を独立にフィードバック制御する転舵制御部とを備えていることを特徴としている。
さらにまた、請求項4に係る車両用操舵装置は、請求項3に係る発明において、前記横力検出手段及び車輪速検出手段は、前記車輪のハブに内蔵されていることを特徴としている。
なおさらに、請求項5に係る車両用操舵装置は、請求項1乃至4の何れか1つに係る発明において、前記連結部材は、可動抵抗を粘性及び摩擦の少なくとも一方で発生させるように構成されていることを特徴としている。
また、請求項6に係る車両用操舵装置は、請求項1乃至4の何れか1つに係る発明において、前記連結部材が軸方向に摺動抵抗を与えて伸縮可能なリレーロッドで構成されていることを特徴としている。
本発明によれば、転舵機構は、左右の転舵輪に対して個別に転舵力を付与する転舵アクチュエータを有する一対の転舵部と、該一対の転舵部間を連結する可動抵抗を与えながら可動可能で可動可能範囲が規制された連結部材とを少なくとも有するので、左右の転舵輪に対する転舵アクチュエータを個別にスリップ角制御することができると共に、一方の転舵アクチュエータに異常が発生した場合でも正常な転舵アクチュエータにより連結部材を介して異常が発生した転舵アクチュエータ側の転舵輪を転舵させることができるという効果が得られる。
また、左右の転舵部の転舵アクチュエータを転舵輪に作用する横力と転舵輪の車輪速度とに基づいて独立制御することにより、両転舵輪のスリップ角を、別途アクチュエータを用いることなく個別に制御することができ、燃費を向上させることができると共に、運動性能の向上を図ることができるという効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す概略構成図であって、図中、1はステアバイワイヤ式の車両用操舵装置であり、この車両用操舵装置1は、運転者が操舵する操舵機構2と、この操舵機構2から切り離されて左右の前輪でなる転舵輪3FL,3FRを転舵する転舵機構4とを備えている。
操舵機構2は、運転者が操舵するステアリングホイール21を装着したステアリングシャフト22と、このステアリングシャフト22に対して内蔵する電動モータ23によって操舵反力を発生させる操舵反力発生部24と備えている。
また、転舵機構4は、各転舵輪3FL,3FRのハブ31L,31Rに連結されたナックルアーム32L,32Rに一端が連結されたタイロッド41L,41Rと、これらタイロッド41L,41Rの他端に連結されたピットマンアーム42L,42Rと、これらピットマンアーム42L,42Rを揺動駆動する転舵アクチュエータとしてのピットマンアクチュエータ43L,43Rと、ピットマンアーム42L,42Rを連結する連結部材44とを備えている。ここで、タイロッド41L,41R、ピットマンアーム42L,42R、及びピットマンアクチュエータ43L,43Rで一対の転舵部が構成されている。
ピットマンアクチュエータ43L,43Rの夫々は、図2に示すように、車体側部材51に固定されたハウジング52と、このハウジング52内に組み込まれた遊星歯車式減速機構53と、ハウジング52の上端に配設されて出力軸54aが遊星歯車式減速機構53の入力側に連結された電動モータ54L,54Rとを備えており、遊星歯車式減速機構53の出力軸にピットマンアーム42L,42Rが連結されている。
遊星歯車式減速機構53は、通常の2KH型遊星減速機55と3K型遊星減速機56とを組み合わせることにより、コンパクトな構成で1/200程度の減速比で大きなトルクが出力されるように構成されている。具体的には、電動モータ54L,54Rの出力軸54aに連結された中心軸57を有し、この中心軸57の下端側に通常の2KH型遊星減速機55が配設され、上端側に3K型遊星減速機56が配設されている。
通常の2KH型遊星減速機55は、入力部となる中心軸57に連結されたサンギヤ61と、出力部となる第1ピニオンキャリア62によって支持され、サンギヤ61に噛合する第1ピニオンギヤ63と、この第1ピニオンギヤ63と噛合するハウジング52に固定された第1リングギヤ64とで構成されている。そして、中心軸57が回転すると、第1リングギヤ64がハウジング52に固定されているので、第1ピニオンギヤ63がサンギヤ61と第1リングギヤ64との歯数比に従って自転しながら公転して、第1ピニオンキャリア62から減速出力がえられる。
3K型遊星減速機56は、第1ピニオンキャリア62に連結されたサンギヤ71と、このサンギヤ71及び前述した第1リングギヤ64間に噛合する第2ピニオンギヤ72と、この第2ピニオンギヤ72に弾性キー73を介して一体に連結された第2ピニオンギヤ72より多くの歯数が設定された第3ピニオンギヤ74と、この第3ピニオンギヤ74を支持するピニオンキャリア75と、第3ピニオンギヤ74に噛合する回転自在な第2リングギヤ76と、この第2リングギヤ76に固定された出力軸77とで構成されている。ここで、出力軸77は、ハウジング52の上端部に転がり軸受78によって回転自在に支持された円筒部77aと、この円筒部77aの下端に一体に連結された一部がハウジング52より外方に突出された水平板部77bとで構成され、水平板部77bの下面が第2リングギヤ76にビス留めされていると共に、水平板部77bのハウジング52から突出した板部の上面にピットマンアーム42L,42Rがビス留めされている。
連結部材44は、一端が夫々ピットマンアーム42L,42Rの先端に回動可能に連結された連結ロッド81L,81Rと、これら連結ロッド81L,81Rを連結する伸縮可能で伸縮範囲が規制されたリレーロッド82とで構成されている。リレーロッド82は、連結ロッド81Rの他端に連結された外筒部83と、連結ロッド81Lの他端に連結されて外筒部83内に所定の摺動抵抗を持って摺動可能に配設された摺動軸部84とで構成されている。外筒部83は連結ロッド81R側の大径筒部83aと連結ロッド81L側の小径筒部83bとで構成されている。摺動軸部84は外筒部83の大径筒部83a内に係合する大径軸84aと、外筒部83の小径筒部83b内に所定の摩擦抵抗を持って摺接するように嵌合させた小径軸部84bとを有し、小径軸部84bが連結ロッド81Lに連結されている。ここで、外筒部83の小径筒部83bと摺動軸部84の小径軸部84bとの間の摺動抵抗は、図1に示すように、小径筒部83bと小径軸部84bとを嵌合させたり、両者の何れか一方にOリングを介挿したり、両者間に高粘度グリースを塗布したり、両者の何れか一方にバネ、ゴム等の弾性体を配設して他方の摺動面に圧接したりすることにより付与することができる。また、外筒部83に対する摺動軸部84の伸縮範囲は、左右の転舵輪3FL及び3FRの制御可能なスリップ角の差分を吸収可能な長さとなるように規制され、この伸縮範囲を規制するように外筒部83の大径部83aの軸方向長さと摺動軸部84の大径軸部84aの軸方向長さが設定されている。
また、各転舵輪3FL,3FRは、図3に示すように、ハブ31L,31Rがハブ本体31aとこのハブ本体31aから車両内方に延長する内筒部31bとで構成されている。そして、ハブ31L,31Rの内筒部31bと懸架装置を構成するナックル31cに取付けた外筒部31dとの間に軸方向の両端部側で夫々保持器31eで保持された転動体としてのボール31fを介在させて複列アンギュラ玉軸受構成とされている。
そして、転舵輪3FL,3FRに作用するアキシアル荷重即ち横力が横力センサ91によって検出されると共に、ハブ31L及び31Rの内筒部31bの回転速度即ち車輪速VwFL及びVwFRが車輪速センサ92によって検出される。
ここで、横力センサ91は、図4に示すように、車両に作用する車両外側のボール31fの公転速度Nを算出し、算出した公転速度Nから車両のアキシアル荷重即ち横力を算出するように構成されている。この横力センサ91は、保持器31eに形成した円周方向にN極及びS極を交互に形成した第1のエンコーダ91aと、この第1のエンコーダ91aに対向して外筒部31dに固定配置された接線方向に所定距離Dだけ離間し、円周方向に角度(中心角ピッチ)θだけ離間した一対の磁気センサ91b,91cと、これら磁気センサ91b及び91cで検出したパルス信号を信号処理すると共に、所定の演算処理を行って公転速度Nを算出し、算出した公転速度Nから車輪に作用する横力FyFL及びFyFRを算出する信号処理回路91dとを備えている。
信号処理回路91dは、磁気センサ91b及び91cから入力されるパルス信号の一方の立ち上がり時点から他方の立ち上がり時点までの遅延時間Tを検出し、検出した遅延時間Tと磁気センサ91b及び91c間の距離D又は角度θに基づいて下記(1)式又は(2)式の演算を行って公転速度Nを算出する。
N=(60/πT)×sin-1(D/2R) …………(1)
N=(30/π)×(θ/T) …………(2)
ここで、Rはエンコーダ91aの回転中心から磁気センサ91b及び91cの検出部が対向している部分までの回転半径である。
なお、距離Dと角度θとは下記(3)式の関係がある。
θ=2sin-1(D/2R) …………(3)
このように、ボール31fの公転速度Nを、磁気センサ91b及び91cのパルス信号間の遅延時間Tを算出することにより、算出するので、エンコーダ91aの磁気特性が変化する点即ちN極とS極との境界が磁気センサ91b及び91cを通過する毎に、公転速度Nを算出できる。上記境界は、エンコーダ91aの片側面に多数存在するので、各ボール31fの公転速度Nを略リアルタイムで求めることができる。また、エンコーダ91aの回転に拘らず、磁気センサ91b及び91c間の距離Dは変化することはないので、エンコーダ91aの製造誤差や組付け誤差に関係なく、公転速度Nを正確に検出することができる。
このように、信号処理回路91dで各ボール31fの公転速度Nを算出することにより、転舵輪3FL,3FRを構成するホイール35とナックル31cとの間に作用し、転がり軸受ユニットに加わるアキシアル荷重即ち横力を検出することができる。
すなわち、内筒部31b及び外筒部31dとボール31fとで複列アンギュラ玉軸受構成を有するので、これにアキシアル荷重を負荷すると、上記各ボール31fの接触角が変化する。例えば図3に矢印αで示すように、内向きのアキシアル荷重が加わると、外側(図3の左側)の列のボール31fの接触角が大きくなる。転がり軸受の分野で周知のように、アンギュラ型の玉軸受を構成するボール31fの公転速度は、これらをボール31fの接触角が変化すると変化する。具体的には、上記アキシアル荷重を支承する、上記外側の列に関しては、このアキシアル荷重が大きくなる程、上記各ボール31fの公転速度が速くなる。したがって、この公転速度の変化を測定することで上記転がり軸受ユニットに加わるアキシアル荷重を求めることができる。
例えば、図5は図3に示した構造を有する、背面組合せ型の複列転がり軸受ユニットに上記矢印α方向のアキシアル荷重を付加した場合における、このアキシアル荷重の大きさとボール31fの公転速度との関係を示している。
この図5の実線aがアキシアル荷重と外側(図3の左側)の列のボール31fの公転速度との関係を、破線bがアキシアル荷重と内側の列のボール31fの公転速度との関係を、夫々表している。なお、ラジアル荷重は一定とした。このような図5の特性曲線から明らかなように、アキシアル荷重を受ける側の列のボール31fに関しては、アキシアル荷重の大きさとこれら各ボール31fの公転速度Nとは略比例関係にある。したがって、これら各ボール31fの公転速度Nを測定することにより、図5の特性曲線を参照して、アキシアル荷重を算出することができる。ここで、図5の特性曲線は実験により求めるか、シミュレーションによって求めることができる。この図5の特性曲線を横力算出マップとして信号処理回路91dに記憶させておくことにより、公転速度Nから転舵輪3FL,3FRに作用する横力FyFL及びFyFRを算出することができる。また、上記構成を有する横力センサ91は後輪3RL及び3RRにも備えられており、後輪3RL及び3RRの横力FyRL及びFyRRを算出するようにしている。
また、車輪速センサ92は、ハブ31L,31Rの内筒部31bの車両内側端面に、上述した第1のエンコーダ91aと同様の第2のエンコーダ92aを設け、この第2のエンコーダ92aに対向させて1つの磁気センサ92bを設けることにより、この磁気センサ92bから出力される短時間当たりのパルス信号数を計数するか又は1つのパルス信号の立ち上がり時点から次のパルス信号の立ち上がり時点までの時間を計測することにより、車輪速VwFL及びVwFRを算出する。
そして、各車輪3FL〜3RRに設けた横力センサ91で検出した横力FyFL〜FyRRと車輪速センサ92で検出した車輪速VwFL及びVwFRが車両の制御系を統括する車両統合コントロールユニット100に入力されると共に、車両の他の走行状況を表すヨーレート、アクセル開度、ブレーキ踏込量、エンジン情報等も車両統合コントロールユニット100に入力され、この車両統合コントロールユニット100にステアバイワイヤコントロールユニット101が車載LAN等のネットワークを介して接続され、ステアバイワイヤコントロールユニット101で必要とする情報が車両統合コントロールユニット100から伝送される。
ステアバイワイヤコントロールユニット101は、図6に示すように、車両統合コントロールユニット100から読込んだ転舵輪3FL,3FRに作用する横力FyFLFyFRに基づいて反力アクチュエータ23を制御する反力制御部102と、車両統合コントロールユニット100から読込んだ前後4輪に作用する横力FyFL、FyFR、FyRL及びFyRRに基づいて簡易車両モデルに従ってヨーレート微分値γ′及び横加速度Gyを推定する車両挙動推定部103と、この車両挙動推定部103で推定したヨーレート微分値γ′と横加速度Gyと非駆動輪の車輪速VwFL及びVwFRに基づいて車体のスリップ角θを推定するスリップ角推定部104と、転舵輪3FL,3FRに作用する横力FyFL及びFyFRと車輪速VwFL及びVwFRとスリップ角θとに基づいて路面摩擦係数μを推定する路面摩擦係数推定部105と、反力アクチュエータ23による操舵角δを検出する操舵角センサ25から出力される操舵角δと路面摩擦係数推定部105から出力される路面摩擦係数μに基づいて所定の規範モデルに従って目標ヨーレート微分値γt′及び目標横加速度Gytでなる規範挙動目標値を出力する規範モデル106と、この規範モデル106から出力される規範挙動目標値と、スリップ角推定部104から出力されるスリップ角θと、路面摩擦係数推定部105から出力される路面摩擦係数μと、車両挙動推定部103から出力されるヨーレート微分値γ′及び横加速度Gyと車輪速VwFL及びVwFRとに基づいて安定化制御を行って転舵角指令値δtを加算器108L及び108Rに出力する安定化制御器107とを備えている。
ここで、反力制御部102では、車両統合コントロールユニット100から読込んだ転舵輪3FL及び3FRに作用する横力FyFL及びFyFRに基づいてステアリングホイール21に作用させる操舵反力を演算し、操舵反力に応じたトルク指令値を反力アクチュエータ23に出力して、この反力アクチュエータ23を制御するように構成されている。
また、車両挙動推定部103では、車両を簡易な4輪モデルと考え、車両に係る横力FyFL〜FyRRを表すと図7に示す簡易4輪モデルが考えられる。
このときの運動方程式は、
M・Gy=FyFL+FyFR+FyRL+FyRR …………(1)
I・γ′=FyFL×LFL+FyFR×LFR+FyRL×LRL+FyRR×LRR……(2)
ここで、Mは車体重量、Gyは横加速度、Iは車両慣性モーメント、γ′はヨーレート微分値である。
この(1)式から横加速度Gyは
Gy=(FyFL+FyFR+FyRL+FyRR)/M …………(3)
で算出され、ヨーレート微分値γ′は、
γ′={(LF(FyFL+FyFR)−LR(FyRL+FyRR)}/I……(4)
で算出される。ここで、LFは重心から前輪を結ぶ軸までの距離、LRは重心から後輪を結ぶ軸までの距離である。
したがって、各車輪の横力FyFL、FyFR、FyRL及びFyRRが分かると横加速度Gy及びヨーレート微分値γ′を算出することができ、このうちヨーレート微分値γ′は、直接計測することが困難であり、さらにこれら値は実際のサスペンションが装着された車両では、実ヨーレートや実横加速度よりも先に変化する。すなわち、車両の挙動が変化する前に挙動の変化を予測することができ、高度な制御が可能となることからヨーレート微分値及び横加速度の先読み値と称することができ、これらヨーレート微分値γ′及び横加速度Gyがスリップ角推定部104及び後述する安定化制御器107に出力される。
また、スリップ角推定部104は、車両挙動推定部103で算出されたヨーレート微分値γ′及び横加速度Gyに基づいて車体スリップ角θを算出する。
この車体スリップ角θの算出は、先ず、ヨーレート微分値γ′を下記(5)式に示すように積分してヨーレートγを算出すると共に、非駆動輪となる転舵輪3FL,3FRの車輪速VwFL及びVwFRの平均値を算出して車速V(=(VwFL+VwFR)/2))を算出する。
γ=∫{(LF(FyFL+FyFR)−LR(FyRL+FyRR)/I)}dt……(5)
ここで、ヨーレートγは上記(5)式に従って算出する場合に限らず、車両に設けたヨーレートセンサで検出したヨーレートを適用するようにしてもよい。
次いで、算出したヨーレートγ、車速V及と横加速度Gyとに基づいて下記(6)式の演算を行って車体スリップ角θを算出する。
θ=∫(Gy/V−γ)dt …………(6)
このようにして得られたスリップ角θは、積分時のドリフトにより値がズレで行くが、横力FyFL及びFyFRと路面摩擦係数μとスリップ角θとの関係を利用して補正を行うことが好ましい。
また、路面摩擦係数推定部105では、転舵輪3FL及び3FRの横力FyFL及びFyFRとスリップ角推定部104で推定したスリップ角θとに基づいて下記(7)式の演算を行って路面摩擦係数μを推定する。
μ={(FyFL+FyFR)/2}/(Kf×θ) …………(7)
ここで、Kfはタイヤの諸元から求めたコーナリングパワーの定数である。
さらに、規範モデル106では、入力される操舵角δに基づいて転舵角の基準となる規範挙動値を演算するが、路面摩擦係数推定部105から路面摩擦係数μが供給されることより、例えば、雪路、凍結路、降雨路等の低摩擦係数路面では大きなヨーレートを得ようとせず、車両のスピンを防止するために車体のスリップ角θを小さく保つことを規範とする等、規範モデル自体を路面状況に応じて変化させ、より安定な目標ヨーレート微分値γt′及び目標横加速度Gytでなる規範挙動値を算出する。
さらに、安定化制御器107では、規範モデル106から出力される目標ヨーレート微分値γt′及び目標横加速度Gytでなる規範挙動値と、車両挙動推定部103で推定された先読み値であるヨーレート微分値γ′及び横加速度Gyと、スリップ角推定部104で推定されたスリップ角θと、路面摩擦係数推定部105で推定された路面摩擦係数μとに基づいて転舵角指令値δtを算出し、算出した転舵角指令値δtを加算器108L及び108Rの一方の入力側に出力する。
この安定化制御器107では、規範モデル106の規範挙動値と実際の挙動が等しくなるように転舵角指令値δtを算出する制御器で、ヨーレート微分値γ′、横加速度Gyの先読み値が車両挙動推定部103から入力されることにより、車両の挙動が変化する前に挙動の変化情報が分かることから、従来の制御器に比べて大幅な安定性の向上が可能となる。
また、加算器108L及び108Rの他方の入力側には、アクティブトー角コントローラ109からトー角指令値として転舵輪3FL及び3FRのスリップ角θF及びθRが入力され、これら加算器108L及び108Rの出力が個別にモータ駆動回路110L及び110Rに供給され、これらモータ駆動回路110L及び110Rによって各ピットマンアクチュエータ43L及び43Rの電動モータ54L,54Rが駆動制御される。
アクティブトー角コントローラ109は、図8に示すトー角制御処理を実行する。
このアクティブトー角制御は、所定時間(例えば10msec)毎のタイマ割込処理として実行され、先ず、ステップS1で、車載LANを介して車両統合コントロールユニット100から転舵輪3FL,3FRに作用する横力FyFL及びFyFRと車輪速VwFL及びVwFRとを読込み、次いで、ステップS2に移行して、読込んだ横力FyFL及びFyFRと車輪速VwFL及びVwFRとに基づいて仕事の次元を持つ以下に表される目的関数を最小化する演算を行って転舵輪3FL,3FRの転がり抵抗を最小化する左右の転舵輪3FL,3FRのスリップ角θL及びθRを算出する。
FyFL・θL・VwFL+FyR・θR・VwFR
次いで、ステップS3に移行して、算出したスリップ角θL及びθRを加算器108L及び108Rに出力してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
次に、上記実施形態の動作を説明する。
今、ステアリングホイール21が中立にあって、車両が良路を直進走行状態であるものとすると、この直進走行状態では、車両の各輪に作用する横力FyFL、FyFR、FyRL及びFyRRは略零であり、車両挙動推定部103で前記(3)式及び(4)式に従って算出される横加速度Gy及びヨーレート微分値γ′は共に略零となる。
このため、スリップ角推定部104で前記(5)式に従って算出されるヨーレートγも略零となって前記(6)式で算出される車体スリップ角θも略零となる。
また、路面摩擦係数推定部105で前記(7)式に従って算出される路面摩擦係数μも略零となるが、前回の旋回時に算出した路面摩擦係数μが維持される。
また、転舵輪3FL及び3FRに作用する横力FyFL及びFyFRが略零であるので、反力制御部102で出力されるトルク指令もステアリングホイール21が振れ回らない程度の小さい値となっており、これが反力アクチュエータ23に供給されることにより、この反力アクチュエータ23で、ステアリングホイール21の振れ回りを防止する程度の操舵反力が発生されて、ステアリングホイール21の振れ回りが抑制される。
このとき、ステアリングホイール21が中立位置にあるので、操舵角センサ25から出力される操舵角δも略零であり、規範モデル106で算出される、ヨーレート微分値の目標値、横加速度目標値等の規範挙動値も略零に設定され、安定化制御器107で車両挙動推定部103から入力されるヨーレート微分値γ′及び横加速度Gyを規範挙動値に一致させる転舵角が算出されるが、この転舵角も略零となる。
さらに、アクティブトー角コントローラ109で算出される転がり抵抗を最小とするスリップ角θF及びθRも略零となり、加算器108L及び108Rの出力値も略零となることからピットマンアクチュエータ43L及び43Rの電動モータ54L,54Rが転舵輪3FL及び3FRの転舵角が略零となるようにピットマンアーム42L及び42Rを制御することにより、転舵輪3FL及び3FRが直進走行状態の転舵角に制御される。
この直進走行状態から、ステアリングホイール21を左切り(又は右切り)操舵して旋回走行状態に移行する場合には、ステアリングホイール21の操舵に応じて操舵角δが規範モデル106に入力される。この規範モデル106で操舵角δ及び路面摩擦係数推定部105から入力される路面摩擦係数μに基づいて路面状態に応じた目標ヨーレート微分値γt′及び目標横加速度Gytでなる規範挙動値が算出され、これらが安定化制御器107に入力される。
このとき、車両挙動推定部103では、信号処理回路91dで算出した各車輪3FL〜3RRの横力FyFL〜FyRRが入力されているので、これら横力FyFL〜FyRRに基づいて先読み値となるヨーレート微分値γ′及び横加速度Gyが算出され、これらヨーレート微分値γ′及び横加速度Gyが安定化制御器107に入力される。
このため、安定化制御器107で、車両挙動推定部103で推定した先読み値となるヨーレート微分値γ′及び横加速度Gyが規範モデル106で算出した目標ヨーレート微分値γt′及び目標横加速度Gytと一致するように転舵角を算出し、この転舵角にスリップ角θを加算すると共に、路面摩擦係数推定部105で推定した路面摩擦係数μを加味して転舵角指令値δtを算出し、この転舵角指令値δtを加算器108L及び108Rに出力する。
一方、アクティブトー角コントローラ109では、転がり抵抗を最小化しつつコーナリング荷重が得られるように、左右の転舵輪3FL及び3FRのスリップ角分配を最適に行うために、転舵輪3FL及び3FRの横力FyFL及びFyFRと、車輪速VwFL及びVwFRと、スリップ角θL及びθRとで表される仕事の次元を持つ目的関数FyFL・θL・VwFL+FyR・θR・VwFRを最小化するスリップ角θL及びθRを算出し、算出したスリップ角θL及びθRを加算器108L及び108Rに出力する。このように、転舵輪3FL及び3FRの横力FyFL及びFyFRと車輪速VwFL及びVwFRとに基づいてスリップ角θL及びθRを算出することにより、転舵輪3FL及び3FRに路面から入力される反力に応じたスリップ角θL及びθRが算出される。
このため、加算器108L及び108Rで安定化制御器107から入力される転舵角指令値δtにアクティブトー角コントローラ109から入力されるスリップ角θL及びθRを加算してモータ駆動回路110L及び110Rに出力することにより、転がり抵抗を最小としつつ必要なコーナリング荷重が得られるように、ピットマンアクチュエータ43L及び43Rの電動モータ54L及び54Rを左右独立に制御し、左右のピットマンアーム42L及び42Rを独立して回動させる。
このとき、左右のピットマンアーム42L及び42Rが連結部材44によって連結され、この連結部材44の連結ロッド81L及び81Rがリレーロッド82によって所定の摺動抵抗を持って連結されており、軸方向に伸縮が可能であるので、左右のピットマンアーム42L及び42Rの独立した回動を許容することができると共に、リレーロッド82の軸方向の伸縮が所定の摺動抵抗を持っている。このため、左右の転舵輪3FL及び3FRに路面から作用する反力が異なり、互いに打ち消し合う方向の反力が発生したり、一方の転舵輪の反力が他方の転舵輪の反力よりかなり大きくなったりする場合があり、この場合の左右の電動モータ54L及び54Rで生じるエネルギロスは、モータトルクは電流に比例し、エネルギロスは電流の二乗に比例するので、通常の左右一体の転舵アクチュエータで生じるエネルギロスより大きくなる。
しかしながら、左右のピットマンアーム42L及び42Rがリレーロッド82で所定の摺動抵抗を持って連結されているので、左右のピットマンアーム42L及び42Rを回動させる力をある程度平均化することができ、転舵のエネルギロスを減少させることができる。
ここで、リレーロッド82の摺動抵抗は、左右のピットマンアクチュエータ43L及び43Rを激しく相対運動させる必要性はないので、相対運動に対する抵抗を適切に設定すれば、相対運動によるエネルギロスは小さく、左右独立制御の利点を生かすことができる。
一方、左右のピットマンアクチュエータ43L及び43Rの何れか一方例えばピットマンアクチュエータ43Rの制御系統に異常が発生した場合には、当該異常が発生したピットマンアクチュエータ43Rの制御を停止させるが、異常となったピットマンアクチュエータ43Rに対応するピットマンアーム42Rが連結部材44を介して正常なピットマンアクチュエータ43Lで駆動されているピットマンアーム42Lに連結されているので、正常なピットマンアクチュエータ43Lによって、異常となったピットマンアクチュエータ43Rに対応するピットマンアーム42Rを駆動することができ、リレーロッド82が相対運動にある程度抵抗を有するので、フェイル側の転舵輪3FRが振動することが少なくなり、安定した転舵が可能となる。このフェイル時にリレーロッド82へその摺動抵抗より大きな力が伝達されて外筒部83及び摺動軸部84が相対移動し、図1の摺動軸部84の小径軸部84bと連結ロッド81Lとの連結端面と外筒部83の端面との間の距離La又は外筒部83の小径部83b及び大径部83aの段部と摺動軸部84の小径軸部84b及び大径軸部84aの段部との間の距離Lbが零となった時点で外筒部83と摺動軸部84とが一体となって移動することになり、左右が通常操舵可能な程度に確実に連結される。
このように、上記実施形態によれば、左右のピットマンアーム42L及び42Rが軸方向の伸縮に所定の自由度を有する連結部材44で連結されているので、これらピットマンアーム42L及び42Rをピットマンアクチュエータ43L及び43Rで左右独立して制御することができる。しかも、ピットマンアクチュエータ43L及び43Rの何れか一方の制御系に異常が発生したフェイル時に、正常な他方のピットマンアクチュエータによってフェイル側のピットマンアームを、連結部材44を介して駆動することができる。
さらに、転舵輪3FL及び3FRの横力を内筒部31b及び外筒部31dとボール31fとで構成される複列アンギュラ玉軸受構成を有するハブ31L及び31Rに設けた横力センサ91で、車輪に作用する横力FyFL〜FyRRを直接検出し、検出した横力FyFL〜FyRRに基づいて左右のピットマンアクチュエータ43L及び43Rを独立してアクティブ制御することにより、転がり抵抗を最小化しつつ必要なコーナリング荷重を得ることができ、燃費向上効果が得られると共に、運動性能を向上させることができる。
しかも、車輪に作用する横力FyFL〜FyRRを直接検出し、検出した横力FyFL〜FyRRに基づいてタイヤのスリップ角θと路面摩擦係数μとを推定するので、これらスリップ角θ及び路面摩擦係数の推定を正確に行うことができる。
さらに、規範モデル106で算出した規範挙動と車両挙動推定部103で横力FyFL〜FyRRから算出した先読み値となるヨーレート微分値γ′と横加速度Gyとでなる実際の車両挙動とが等しくなるように安定化制御器107で転舵角指令値δtを算出することにより、車両挙動が変化する前に挙動の変化を予測することができ、高精度な転舵角制御を行うことができる。ここで、路面摩擦係数μを規範モデル106にもフィードバックしていることにより、例えば低摩擦係数路面では大きなヨーレートを得ようとせず、スピンを防ぐため車体のスリップ角θを小さく保つことを規範とするなど、規範モデル106も路面状況に応じて変化させることができ、より安定な規範挙動を算出することができる。
なお、上記実施形態においては、連結部材44を連結ロッド81L及び81Rとリレーロッド82とで構成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、オリフィスを用いたピストンを有する流体式ショックアブソーバのような摺動可能で摺動範囲が規制された連結部材を適用することもできる。
また、上記実施形態においては、アクティブトー角コントローラ109で、所定の目的関数を最小化するようなフィードバック制御を行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、単にスリップ角が左右で均等になるように制御するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態においては、操向機構がピットマンアーム形式である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図9に示すように、ピットマンアーム42L,42R及びピットマンアクチュエータ43L,43Rを省略し、これらに代えて、減速機を装着したギヤードモータ120L及び120Rを適用して転舵角を制御するようにしてもよい。
すなわち、ギヤードモータ120L及び120Rをその減速出力軸121L及び121Rが車幅方向で左右対称となり、且つ同心的となるように車体側部材に固定配置すると共に、減速出力軸121L及び121Rに夫々ねじ軸122L及び122Rを接続する。そして、これらねじ軸122L及び122Rに螺合するナット123L及び123Rにタイロッド41L及び41Rを回動可能に連結する。さらに、各ギヤードモータ120L及び120Rのロータに接続されたモータ出力軸124L及び124Rを減速出力軸121L及び121Rとは反対側から突出させ、これらモータ出力軸124L及び124Rの先端に互いに所定の摩擦抵抗で接触する連結円板125L及び125Rを取付け、これら連結円板125L及び125Rの接触抵抗によって、ギヤードモータ120L及び120Rを独立に制御可能で且つ一方のギヤードモータ120L(又は120R)が異常となったときに、正常な他方のギヤードモータ120R(又は120L)のモータ出力軸124R(又は124L)の回転力を連結円板125L及び125Rを介して異常となったギヤードモータ120L(又は120R)のモータ出力軸124L(又は124R)に伝達するようにしても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。この場合の連結円板125L及び125R間の接触抵抗は連結円板125L及び125R間の摩擦抵抗や両者間に高粘度グリースを使用したり、連結円板125L及び125Rの一方に設けたバネ、ゴム等の弾性体を他方に圧接させたり、さらには、連結円板125L及び125Rに代えて、一方のモータ出力軸124L(又は124R)に例えば円環状の流体室を形成し、この流体室内にオリフィスを有し他方のモータ出力軸124R(又は124L)に連結された仕切板を介挿してオリフィスによる流体抵抗を与えたりすることができる。この場合も連結円板125L及び125Rの相対回転を例えば一方に設けた係合孔に他方に設けた係合ピンを係合させたり、一方の外周面に設けた突起に他方の外周面に設けた係合ピンを係合させたりすることにより、左右の転舵輪3FL及び3FRのスリップ角の差分を吸収することが可能となるように連結円板125L及び125R間の回転範囲を規制する。
また、図10(a)〜(c)に示すように、連結円板125L及び125Rを接触させることなく近接対向させ、双方の連結円板125L及び125Rに半径方向に突出する突出部126L及び126Rを形成し、一方の突出部126Rに他方の突出部126Lの円周方向側面に係合する係合ピン127を形成して、モータ出力軸124L及び124Rの円周方向の1回転以内の自由回転を許容するように構成することもでき、この場合には、突出部126Lに係合ピン127が係合するまでの間は摩擦抵抗がないので、連結部材による左右平均効果による転舵アクチュエータとしてのギヤードモータ120L及び120Rのエネルギ低減効果を得ることはできないが、ギヤードモータ120L及び120Rのモータ電流で転舵輪3FL及び3FRの路面からの反力即ちセルフアライニングトルクを計測することができ、この計測したセルフアライニングトルクに基づいて左右のギヤードモータ120L及び120Rを独立制御することができ、転舵輪3FL及び3FRの横力を検出することなく転舵アクチュエータを独立制御することができる。
本発明のステアバイワイヤ式の車両操舵装置を示す概略構成図である。 ピットマンアクチュエータを示す減速機構を断面とした側面図である。 転舵輪のハブを示す拡大断面図である。 車輪の横力を検出する横力センサを示す概略構成図である。 転動体の公転速度とアキシアル荷重との関係を示す特性線図である。 ステアバイワイヤコントロールユニットを示すブロック図である。 簡易4輪モデルを示す説明図である。 アクティブトー角コントローラで実行するトー角制御処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の他の実施形態を示す平面図である。 図9の変形例を示す連結部材の説明図であって、(a)は連結円板を説明する縦断面図、(b)は一方の連結円板の正面図、(c)は他方の連結円板の正面図である。
符号の説明
1…車両用操舵装置、2…操舵機構、3FL,3FR…転舵輪(前輪)、3RL,3RR…後輪、4…転舵機構、21…ステアリングホイール、22…ステアリングシャフト、23…電動モータ、24…操舵反力発生部、31L,31R…ハブ、32L,32R…ナックルアーム、41L,41R…タイロッド、42L,42R…ピットマンアーム、43L,43R…ピットマンアクチュエータ、44…連結部材、51…車体側部材、52…ハウジング、53…遊星歯車式減速機構、54L,54R…電動モータ、81L,81R…連結ロッド、82…リレーロッド、83…外筒部、84…摺動軸部、91…横力センサ、92…車輪速センサ、100…車両統合コントロールユニット、101…ステアバイワイヤコントロールユニット、102…反力制御部、103…車両挙動推定部、104…スリップ角推定部、105…路面摩擦係数推定部、106…規範モデル、107…安定化制御器、108L,108R…加算器、109…アクティブトー角コントローラ、110L,110R…モータ駆動回路、120L,120R…ギヤードモータ、121L,121R…減速出力軸、122L,122R…ねじ軸、123L,123R…ナット、124L,124R…モータ出力軸、125L,125R…連結円板、126L,126R…突出部、127…係合ピン

Claims (6)

  1. 運転者が操舵する操舵機構と、該操舵機構とは切り離されて転舵輪を転舵する転舵機構とを有し、前記転舵機構は、左右の転舵輪に対して個別に転舵力を付与する転舵アクチュエータを有する一対の転舵部と、該一対の転舵部間を連結する可動抵抗を与えながら可動可能で可動可能範囲が規制された連結部材とを少なくとも有することを特徴とする車両用操舵装置。
  2. 運転者が操舵する操舵機構と、該操舵機構とは切り離されて転舵輪を転舵する転舵機構とを有し、前記転舵機構は、左右の転舵輪に対して個別に転舵力を付与する転舵アクチュエータを有する一対の転舵部と、該一対の転舵部間を連結する可動抵抗を与えながら可動可能で可動可能範囲が規制された連結部材とを少なくとも有し、さらに前記一対の転舵部の転舵アクチュエータを前記転舵輪に作用する横力に基づいて独立制御する転舵制御手段を備えていることを特徴とする車両用操舵装置。
  3. 前記転舵制御手段は、前記転舵輪に作用する横力を検出する横力検出手段と、前記転舵輪の車輪速を検出する車輪速検出手段と、前記横力検出手段で検出した横力と前記車輪速検出手段で検出した車輪速とに基づいて前記転舵輪のスリップ角を独立にフィードバック制御する転舵制御部とを備えていることを特徴とする請求項2に記載の車両用操舵装置。
  4. 前記横力検出手段及び車輪速検出手段は、前記車輪のハブに内蔵されていることを特徴とする請求項3に係る車両用操舵装置。
  5. 前記連結部材は、可動抵抗を粘性及び摩擦の少なくとも一方で発生させるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の車両用操舵装置。
  6. 前記連結部材は、軸方向に摺動抵抗を与えて伸縮可能なリレーロッドで構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の車両用操舵装置。
JP2007275520A 2007-10-23 2007-10-23 車両用操舵装置 Active JP5125403B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007275520A JP5125403B2 (ja) 2007-10-23 2007-10-23 車両用操舵装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007275520A JP5125403B2 (ja) 2007-10-23 2007-10-23 車両用操舵装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009101858A true JP2009101858A (ja) 2009-05-14
JP5125403B2 JP5125403B2 (ja) 2013-01-23

Family

ID=40704086

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007275520A Active JP5125403B2 (ja) 2007-10-23 2007-10-23 車両用操舵装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5125403B2 (ja)

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011001904A1 (ja) * 2009-07-02 2011-01-06 Ntn株式会社 ステアバイワイヤ式操舵装置
JP2011011630A (ja) * 2009-07-02 2011-01-20 Ntn Corp ステアバイワイヤ式操舵装置
JP2011011631A (ja) * 2009-07-02 2011-01-20 Ntn Corp ステアバイワイヤ式操舵装置
JP2011084178A (ja) * 2009-10-16 2011-04-28 Ntn Corp ステアバイワイヤ式操舵装置
JP2011126350A (ja) * 2009-12-16 2011-06-30 Ntn Corp ステアバイワイヤ式操舵装置
JP2011131777A (ja) * 2009-12-25 2011-07-07 Nsk Ltd フォークリフト用ステアリング装置
JP2014201302A (ja) * 2013-04-02 2014-10-27 元浩 岡田 省燃費操舵装置
JP2014213690A (ja) * 2013-04-24 2014-11-17 日産自動車株式会社 車両
CN105253191A (zh) * 2015-11-11 2016-01-20 吉林大学 一种基于新型电机的汽车前轮独立转向系统
CN105253196A (zh) * 2015-11-11 2016-01-20 吉林大学 一种基于新型电机的电动汽车四轮独立转向系统
CN106080754A (zh) * 2016-07-07 2016-11-09 吉林大学 针对单侧电机故障的线控独立转向操纵装置及其操纵方法
CN106114614A (zh) * 2016-08-26 2016-11-16 吉林大学 一种可控液压锁止式左右轮独立转向机构
JP2019127133A (ja) * 2018-01-24 2019-08-01 本田技研工業株式会社 転舵機構及び車両
KR102132770B1 (ko) * 2019-02-11 2020-07-13 주식회사 만도 스티어 바이 와이어식 조향장치
WO2020246599A1 (ja) * 2019-06-07 2020-12-10 株式会社ジェイテクト ステアリングシステム
RU2749924C1 (ru) * 2020-03-30 2021-06-21 Тойота Дзидося Кабусики Кайся Система рулевого управления транспортного средства
EP4328115A1 (en) * 2022-08-04 2024-02-28 O.M.C.I. - Officine Metalmeccaniche Costruzioni Industriali - Societa' Per Azioni Steering assembly for self-propelled works vehicles

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003112651A (ja) * 2001-10-05 2003-04-15 Nissan Motor Co Ltd 操舵装置
JP2003529483A (ja) * 2000-03-27 2003-10-07 コンティネンタル・テーベス・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・オッフェネ・ハンデルスゲゼルシヤフト 車両操舵装置及び車両操舵装置用車軸操舵モジュール
JP2006151074A (ja) * 2004-11-26 2006-06-15 Hitachi Ltd パワーステアリング装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003529483A (ja) * 2000-03-27 2003-10-07 コンティネンタル・テーベス・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・オッフェネ・ハンデルスゲゼルシヤフト 車両操舵装置及び車両操舵装置用車軸操舵モジュール
JP2003112651A (ja) * 2001-10-05 2003-04-15 Nissan Motor Co Ltd 操舵装置
JP2006151074A (ja) * 2004-11-26 2006-06-15 Hitachi Ltd パワーステアリング装置

Cited By (26)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011001904A1 (ja) * 2009-07-02 2011-01-06 Ntn株式会社 ステアバイワイヤ式操舵装置
JP2011011630A (ja) * 2009-07-02 2011-01-20 Ntn Corp ステアバイワイヤ式操舵装置
JP2011011631A (ja) * 2009-07-02 2011-01-20 Ntn Corp ステアバイワイヤ式操舵装置
CN102470888A (zh) * 2009-07-02 2012-05-23 Ntn株式会社 线控转向式掌舵装置
US8240422B2 (en) 2009-07-02 2012-08-14 Ntn Corporation Steer-by-wire type steering device
CN102470888B (zh) * 2009-07-02 2013-11-20 Ntn株式会社 线控转向式掌舵装置
JP2011084178A (ja) * 2009-10-16 2011-04-28 Ntn Corp ステアバイワイヤ式操舵装置
JP2011126350A (ja) * 2009-12-16 2011-06-30 Ntn Corp ステアバイワイヤ式操舵装置
JP2011131777A (ja) * 2009-12-25 2011-07-07 Nsk Ltd フォークリフト用ステアリング装置
JP2014201302A (ja) * 2013-04-02 2014-10-27 元浩 岡田 省燃費操舵装置
JP2014213690A (ja) * 2013-04-24 2014-11-17 日産自動車株式会社 車両
CN105253196A (zh) * 2015-11-11 2016-01-20 吉林大学 一种基于新型电机的电动汽车四轮独立转向系统
CN105253191A (zh) * 2015-11-11 2016-01-20 吉林大学 一种基于新型电机的汽车前轮独立转向系统
CN106080754A (zh) * 2016-07-07 2016-11-09 吉林大学 针对单侧电机故障的线控独立转向操纵装置及其操纵方法
CN106080754B (zh) * 2016-07-07 2018-03-13 吉林大学 针对单侧电机故障的线控独立转向操纵装置及其操纵方法
CN106114614A (zh) * 2016-08-26 2016-11-16 吉林大学 一种可控液压锁止式左右轮独立转向机构
US9988079B2 (en) 2016-08-26 2018-06-05 Jilin University Independent steering mechanism of controllable hydraulic locking type for left and right wheels
US10822032B2 (en) 2018-01-24 2020-11-03 Honda Motor Co., Ltd. Turning mechanism and vehicle
JP2019127133A (ja) * 2018-01-24 2019-08-01 本田技研工業株式会社 転舵機構及び車両
KR102132770B1 (ko) * 2019-02-11 2020-07-13 주식회사 만도 스티어 바이 와이어식 조향장치
WO2020246599A1 (ja) * 2019-06-07 2020-12-10 株式会社ジェイテクト ステアリングシステム
JP2020199825A (ja) * 2019-06-07 2020-12-17 株式会社ジェイテクト ステアリングシステム
JP7283238B2 (ja) 2019-06-07 2023-05-30 株式会社ジェイテクト ステアリングシステム
RU2749924C1 (ru) * 2020-03-30 2021-06-21 Тойота Дзидося Кабусики Кайся Система рулевого управления транспортного средства
EP3889005A1 (en) 2020-03-30 2021-10-06 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Vehicle steering system
EP4328115A1 (en) * 2022-08-04 2024-02-28 O.M.C.I. - Officine Metalmeccaniche Costruzioni Industriali - Societa' Per Azioni Steering assembly for self-propelled works vehicles

Also Published As

Publication number Publication date
JP5125403B2 (ja) 2013-01-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5125403B2 (ja) 車両用操舵装置
JP6476235B2 (ja) 三輪自動車のための操舵および制御システム
EP3770040B1 (en) Steering system and vehicle equipped with same
US8783390B2 (en) Vehicle drive apparatus
CN108137095B (zh) 用于可倾斜式车辆的转向装置
US7565937B2 (en) Electric vehicle
US9956891B2 (en) Electric vehicle
JP4871103B2 (ja) 車両の運動制御装置
EP3778354A1 (en) Steering system and vehicle equipped with same
JPWO2018073913A1 (ja) ステアリングトルク推定装置
RU2749924C1 (ru) Система рулевого управления транспортного средства
Wang et al. Modeling and simulation studies on differential drive assisted steering for EV with four-wheel-independent-drive
JP4736402B2 (ja) モータ組み込みサスペンション装置およびそれを備えた電動車両
Mikle et al. Torque vectoring for an electric all-wheel drive vehicle
JP5082656B2 (ja) 車両の旋回挙動制御方法および装置
JP2009101857A (ja) 車両用操舵装置
JP6900877B2 (ja) ステアバイワイヤシステム
WO2019181663A1 (ja) ステアリングシステムおよびそれを備えた車両
JP5326562B2 (ja) 旋回挙動検出装置、旋回挙動検出方法、及びヨーレート推定方法
JP2006182050A (ja) 4輪独立駆動車の制駆動力制御装置
JP3971224B2 (ja) 車両のヨー運動制御装置
JP2007106274A (ja) 車両用舵角制御装置
JP2007050804A (ja) スタビリティコントロール装置
Saito et al. Steer-by-Wire System for Micro Electric Vehicle

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20090130

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100907

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20101022

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20101022

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20111216

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120528

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120605

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120718

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121002

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121015

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5125403

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151109

Year of fee payment: 3