以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る不正対策装置が組み込まれたパチンコ遊技機の電気制御系統のブロック図、図2は、主基板が行う処理のフローチャート、図3は、副基板が行う処理のフローチャート、図4は、主基板から副基板に対して送信されるコマンドの履歴を示すタイムチャート、図5は、主基板側カウンタ及び副基板側カウンタの各カウント値と加算用データの変化を示すタイミングチャート、図6は、主基板側テーブル及び副基板側テーブルの構成図をそれぞれ示す。
図1において、パチンコ遊技機は、遊技状態を制御する上で中心的役割を果たす主基板(主制御基板ともいう。)1を備え、主基板1は、CPU、ROM、RAMなどにより構成される。
主基板1は、電源基板2から電源の供給を受けて処理を実行する。主基板1において、電源の低下割合が所定レベルよりも小さい緩低下時には、CPUはバックアップ処理を正常に行うことができる。しかし、電源遮断時など、電源の低下割合が所定レベルよりも大きい急低下時には、CPUによるバックアップ処理は正常には行われない。
主基板1には、始動口スイッチ3、大入賞口ソレノイド4及び副基板5が接続される。副基板5は、例えば演出制御基板により構成され、副基板5には図柄表示装置6及び不正報知手段7が接続される。
始動口スイッチ3は、遊技盤上の始動入賞口(始動口)へ遊技球が入賞したときオンするスイッチである。始動口は1個又は複数個からなり、始動口スイッチ3は各々の始動口に1対1に対応して設けられる。
大入賞口ソレノイド4は、大当たり発生時に遊技盤上の大入賞口を所定回数だけ開放駆動し、開放状態の大入賞口に対して所定個数の遊技球の入賞を可能にし、遊技者に大量の遊技球の払出しを可能にするものである。
主基板1は、始動口スイッチ3がオンすると、乱数を取得し、取得した乱数が大当たり乱数値であった場合、副基板5に大当たりコマンドを送信する。乱数は、複数の数値例えば「0」から「255」まで順番に変化する256個の数値からなり、一巡するごとに、初期値乱数によって決定される初期値から順番に変化する。例えば、初期値乱数が「3」である場合、乱数は、「3」から「255」まで順番に変化した後、「0」、「1」、「2」と順に変化する。CPUがリセット処理を行った直後には、初期値乱数が「0」にリセットされているため、乱数は最初の一巡では「0」から「255」まで順番に変化する。
主基板1から大当たりコマンドを受信した副基板5は、図柄表示装置6において所定の図柄変動及び演出(リーチ演出など)を行った後、大当たりの発生を示す画像(通常、三列の図柄が全て揃った画像)を停止表示させ、さらに、大当たり中は大入賞口の開閉動作に合わせて大当たり演出を行う。
また、主基板1は、取得した乱数が大当たり乱数値であった場合、図柄表示装置6において上記のような大当たりの発生を示す画像が表示された後、大入賞口ソレノイド4に対し、上述したような大当たり中の動作つまり大入賞口を所定回数だけ開放駆動する動作をさせる。
主基板1は、カウンタ即ち主基板側カウンタ1aを備える。主基板側カウンタ1aは、所定事象の発生回数をカウントする。所定事象として、例えば、乱数を取得する条件である始動口スイッチ3からのオン信号が受信されたことを挙げることができる。また、所定事象の他の例として、乱数を取得したこと、遊技盤上のゲート又は普通入賞口に遊技球が入賞したこと、大当たり中に大入賞口が閉鎖したこと、図柄表示装置6において客待ちデモ表示が行われたことを挙げることができる。主基板側カウンタ1aのカウント値(主カウント値)は、後述する不正対策コマンドの送信後、「1」だけプラスして更新される。
また、主基板1は、テーブル即ち主基板側テーブル1bを備える。主基板側テーブル1bには、図6に示すように、主基板側カウンタ1aのカウント値(主カウント値)と1対1に対応する主基板側加算用データ(主基板側演算用データ)が書込まれている。
また、主基板1は、所定コマンド送信手段1cを備える。所定コマンド送信手段1cは、上記所定の事象が発生したとき、所定コマンドを副基板5に対して送信する。所定コマンドは後述する不正対策コマンドが副基板5に送信されるときに相前後して副基板5に送信されるコマンドであり、例えば、始動口への入賞を契機として図柄表示装置6において開始される図柄変動の変動パターンを指定する変動パターン指定コマンドを挙げることができる。また、他の例として、図柄表示装置6において開始される図柄変動の図柄を指定する図柄指定コマンドを挙げることができる。
また、主基板1は、不正対策コマンド作成送信手段1dを備える。不正対策コマンド作成送信手段1dは、上記所定事象が発生したとき、図6に示す主基板側テーブル1bから主基板側カウンタ1aのカウント値に対応する主基板側加算用データを読み出し、主基板側加算用データを上記所定コマンドのデータ部に加算して主基板側暗号化データを作成し、主基板側暗号化データをデータ部とする不正対策コマンドを副基板に送信する。
副基板5は、主基板1と同様、CPU、ROM、RAMなどにより構成される。
副基板5は、カウンタ即ち副基板側カウンタ5aを備える。副基板側カウンタ5aは、主基板1から送信されてくる不正対策コマンドの受信回数をカウントする。副基板側カウンタ5aのカウント値(副カウント値)は、後述する主基板側暗号化データと副基板側暗号化データとの照合後に、「1」だけプラスして更新される。
また、副基板5は、テーブル即ち副基板側テーブル5bを備える。副基板側テーブル5bには、図6に示すように、副基板側カウンタ5aのカウント値(副カウント値)に1対1に対応する副基板側加算用データ(副基板側演算用データ)であって主基板側加算用データと一致する副基板側加算用データが書込まれている。
副基板5は、主基板1から不正対策コマンドを受信したとき、この不正対策コマンドのデータ部が示す主基板側暗号化データと、副基板側暗号化データ、つまり副基板側テーブルから副基板側カウンタのカウント値に対応する副基板側加算用データを読み出し、副基板側加算用データを上記所定コマンドのデータ部に加算して作成した副基板側暗号化データ、との照合を行う。
副基板5は、上記照合の結果が「不一致」である場合、不正が行われたと判定し、不正報知手段7に不正検出信号を送信する。
不正報知手段7は、副基板5から不正検出信号を受信したとき、聴覚もしくは視覚によって不正が発生したことをホールの従業員に知らせることができるよう構成されており、例えば、ブザーやランプ、遊技球発射停止手段などで構成される。また、不正報知手段7は、ホールコンピュータにおいて不正が発生した旨を認識し得る手段によって構成してもよい。
次に、上記のように構成される不正対策装置の動作の一例を説明する。
(1)主基板1の動作(処理)
主基板1においては、図2に示すように、始動口スイッチ3からのオン信号に基づいて始動口に遊技球が入賞したか否かを判定する(ステップS1)。ここで、始動口への入賞が本発明にいう所定の事象に対応しており、始動口への入賞が有ったと判定されたとき、所定の事象が発生したことになる。
始動口への入賞が有ったと判定されると、所定コマンド例えば変動パターン指定コマンドを副基板5に送信する(ステップS2)。次に、始動口カウンタ(主基板側カウンタ1a)のカウント値(主カウント値)に対応する主基板側加算用データを図6図示の主基板側テーブル1bから読み出し(ステップS3)、この主基板側加算用データに上記所定コマンドのデータ部を加算して主基板側暗号化データを作成する(ステップS4)。次に、主基板側暗号化データをデータ部とする不正対策コマンドを副基板5に対して送信し(ステップS5)、次に、始動口カウンタ(主基板側カウンタ1a)のカウント値(主カウント値)を「1」だけプラスして更新する(ステップS6)。
したがって、主基板1においては、始動口への入賞を契機に、所定コマンドを副基板5に送信するとともに、主基板側カウンタ1aのカウント値(主カウント値)に対応する主基板側加算用データを所定コマンドのデータ部に加算して主基板側暗号化データを作成し、主基板側暗号化データをデータ部とする不正対策コマンドを副基板5に送信し、かつ、主基板側カウンタ1aのカウント値(主カウント値)を更新する処理が行われる。
(2)副基板5の動作(処理)
副基板5においては、図3に示すように、主基板1からコマンドを受信したか否かを判定する(ステップS11)。
主基板1からコマンドを受信した場合、受信したコマンドが所定コマンドであるか否かを判定する(ステップS12)。
受信したコマンドが所定コマンドである場合、所定コマンドのデータ部を記憶して処理を終了する(ステップS13)。
一方、受信したコマンドが所定コマンドでない場合、次に、受信したコマンドが不正対策コマンドであるか否かを判定する(ステップS14)。
受信したコマンドが不正対策コマンドでない場合、受信したコマンドつまり所定コマンド及び不正対策コマンド以外のコマンドに従ってその他の処理を実行する。
一方、受信したコマンドが不正対策コマンドである場合、図6図示の副基板側テーブル5bから、副基板側カウンタ5aのカウント値(副カウント値)に対応する副基板側加算用データを読み出す(ステップS15)。次に、上記ステップS13で記憶した所定コマンドのデータ部に副基板側加算用データを加算して副基板側暗号化データを作成する(ステップS16)。次に、副基板側暗号化データと、受信した不正対策コマンドのデータ部である主基板側暗号化データとを照合し、主基板側暗号化データと副基板側暗号化データとが一致するか否かを判定する(ステップS17)。
主基板側暗号化データと副基板側暗号化データとが一致する場合、副基板側カウンタ5aのカウント値(副カウント値)を1だけプラスして更新し(ステップS18)、処理を終了する。
一方、主基板側暗号化データと副基板側暗号化データとが一致しない場合、不正報知手段7に不正検出信号を送信する(ステップS19)。不正検出信号を受信した不正報知手段7は、不正が行われたことを視覚や聴覚などによってホールの従業員に報知する。
(3)不正基板を用いた不正行為が行われる場合(図4、図5)
ホールの開店に伴い電源が投入されると、主基板1のCPUはリセット処理を行うとともに、主基板1から副基板5に対して電源投入指定コマンド「E400H」が送信され、この電源投入指定コマンド「E400H」に従い、副基板1のCPUはリセット処理を行う。これらのリセット処理により、主基板側カウンタ1a及び副基板側カウンタ5aの各カウント値は「0」になる。
次に、主基板1は、客待ち指定コマンド「E500H」を副基板5に送信する。客待ち指定コマンド「E500H」を受信した副基板5は、図柄表示装置6において客待ち用のデモ表示を行う。
その後、遊技が開始され、始動口に遊技球が最初に入賞すると、主基板1は、乱数を取得し、取得した乱数などに応じて遊技状態指定コマンド「EE00H」、図柄指定コマンド「E000H」及び変動パターン指定コマンド「E600H」をそれぞれ副基板5に送信する。
ここで、遊技状態指定コマンドは、大当たり後の遊技状態を通常遊技状態、確変遊技状態及び時短遊技状態のうちいずれの遊技状態にするのか指定するコマンドであり、遊技状態指定コマンド「EE00H」において、「EE」はコード部、「00H」はデータ部であり、データ部「00H」は、通常遊技状態であることを示している。
また、図柄指定コマンドは、図柄変動後の停止図柄を大当たり図柄、ハズレ図柄のうちのいずれの図柄にするかを指定するコマンドであり、図柄指定コマンド「E000H」において、「E0」はコード部、「00H」はデータ部であり、データ部「00H」は、ハズレ図柄を示している。
また、変動パターン指定コマンドは、本発明の所定コマンドに相当するコマンドである。変動パターン指定コマンドは、図柄の変動パターンの種類、例えば、リーチ演出をしないでハズレ図柄で変動停止させるパターン、リーチ演出をした後ハズレ図柄で変動停止させるパターン、リーチ演出をした後大当たり図柄で変動停止させるパターン、リーチ演出をした後さらにスーパーリーチ演出を行いハズレ図柄で変動停止させるパターン、リーチ演出をした後さらにスーパーリーチ演出を行い大当たり図柄で変動停止させるパターンなど、複数の変動パターンのうちからいずれか1つの変動パターンを指定するコマンドであり、変動パターン指定コマンド「E600H」において、「E6」はコード部、「00H」はデータ部であり、データ部「00H」は、リーチ演出をしないでハズレ図柄で変動停止させるパターン(12秒)を示している。
また、主基板1は、副基板5に対し不正対策コマンド「D613H」を送信する。この不正対策コマンド「D613H」において、「D6」はコード部、「13H」はデータ部かつ主基板側暗号化データである。主基板側暗号化データ「13H」は、この時点での主基板側カウンタ1aのカウント値(主カウント値)が「0」であるため、図6図示の主基板側テーブル1bから、主カウント値「0」に対応する主基板側加算用データ「13H」が読み出され、この主基板側加算用データ「13H」に、変動パターン指定コマンド「E600H」のデータ部「00H」を加算して得た合計値「13H」に相当する。
主基板1は、不正対策コマンド「D613H」を副基板5に送信した後、図5に示すように、主基板側カウンタ1aのカウント値「0」を「1」だけプラスし「1」に更新する。
遊技状態指定コマンド「EE00H」、図柄指定コマンド「E000H」、変動パターン指定コマンド「E600H」及び遊技機不正対策コマンド(不正対策コマンド)「D613H」を受信した副基板5は、これらのコマンドに従って図柄表示装置6において図柄変動を開始させる。また、副基板5は、この時点での副基板側カウンタ5bのカウント値(副カウント値)が「0」であるため、図6図示の副基板側テーブル5bから副カウント値「0」に対応する副基板側加算用データ「13H」を読み出し、この副基板側加算用データ「13H」に、受信した変動パターン指定コマンド「E600H」のデータ部「00H」を加算し、その合計値である「13H」を副基板側暗号化データとし、この副基板側暗号化データ「13H」と、受信した不正対策コマンド「D613H」の主基板側暗号化データ「13H」との照合を行う。この照合結果は「一致」であることから、副基板5は不正報知手段7を作動しない。
副基板5は、上記照合を行った後、図5に示すように、副基板側カウンタ5aのカウント値「0」を「1」だけプラスし「1」に更新する。
図柄表示装置6において上記のように図柄変動が開始され、その図柄変動中に始動口に新たに3個の遊技球が連続して入賞すると、主基板1は、図柄変動中に第1回目の入賞があったとき保留球数指定コマンド「E101H」を副基板5に送信し、第2回目の入賞があったとき保留球数指定コマンド「E102H」を副基板5に送信し、第3回目の入賞があったとき保留球数指定コマンド「E103H」を副基板5に送信する。これらの保留球数指定コマンド「E101H」、E102H」、「E103H」において、「E1」はコード部、「01H」、「02H」、「03H」はデータ部であり、データ部「01H」は、保留球数が1であることを、データ部「02H」は、保留球数が2であることを、データ部「03H」は、保留球数が3であることをそれぞれ示している。保留球数指定コマンド「E101H」、E102H」、「E103H」を受信した副基板5は、保留球数表示ランプを1つずつ順に点灯させ、3つの保留球数表示ランプを点灯状態にする。
また、主基板1は、上記図柄変動中、第1回目、第2回目及び第3回目の入賞があるたびに乱数を取得する。
その後、図柄表示装置6において図柄変動が停止し図柄が確定すると、主基板1は、図柄確定指定コマンド「E300H」を副基板5に送信する。ここで、図柄確定指定コマンドは、図柄変動状態を終了させ、確定表示に切替えるコマンドであり、図柄確定指定コマンド「E300H」において、「E3」はコード部、「00H」はデータ部であり、データ部「00H」は、通常の図柄確定を示している。
そして、上記のような図柄変動中の第1回目の入賞に基づく図柄変動が開始されると、主基板1は、この第1回目の入賞があったときに取得した乱数などに応じて、遊技状態指定コマンド「EE00H」、図柄指定コマンド「E000H」、変動パターン指定コマンド「E602H」及び保留球数指定コマンド「E102H」を副基板5に送信する。ここで、変動パターン指定コマンド「E602H」のデータ部「02H」は、リーチ演出をしないでハズレ図柄でハズレ図柄を変動停止させるパターン(4秒)を示している。また、保留球数指定コマンド「E102H」のデータ部「02H」は、図柄変動中の第1回目の入賞に基づく図柄変動が開始されたことにより、「3」から「1」を減算した結果である「2」を示している。
また、主基板1は、副基板5に対し不正対策コマンド「D669H」を送信する。この不正対策コマンド「D669H」のデータ部つまり主基板側暗号化データ「69H」は、この時点での主基板側カウンタ1aのカウント値(主カウント値)が「1」であるため、図6図示の主基板側テーブル1bから、主カウント値「1」に対応する主基板側加算用データ「67H」が読み出され、この主基板側加算用データ「67H」に、変動パターン指定コマンド「E602H」のデータ部「02H」を加算して得た合計値「69H」に相当する。
主基板1は、不正対策コマンド「D669H」を副基板5に送信した後、図5に示すように、主基板側カウンタ1aのカウント値「1」を「1」だけプラスし「2」に更新する。
遊技状態指定コマンド「EE00H」、図柄指定コマンド「E000H」、変動パターン指定コマンド「E602H」、保留球数指定コマンド「E102H」及び遊技機不正対策コマンド(不正対策コマンド)「D669H」を受信した副基板5は、これらのコマンドに従って図柄表示装置6において図柄変動を開始させる。また、副基板5は、この時点での副基板側カウンタ5bのカウント値(副カウント値)が「1」であるため、図6図示の副基板側テーブル5bから副カウント値「1」に対応する副基板側加算用データ「67H」を読み出し、この副基板側加算用データ「67H」に、受信した変動パターン指定コマンド「E602H」のデータ部「02H」を加算し、その合計値である「69H」を副基板側暗号化データとし、この副基板側暗号化データ「69H」と、受信した不正対策コマンド「D669H」の主基板側暗号化データ「69H」との照合を行う。この照合結果は「一致」であることから、副基板5は不正報知手段7を作動しない。
副基板5は、上記照合を行った後、図5に示すように、副基板側カウンタ5aのカウント値「1」を「1」だけプラスし「2」に更新する。
その後、図柄表示装置6において図柄変動が停止し図柄が確定すると、主基板1は、図柄確定指定コマンド「E300H」を副基板5に送信する。
そして、上記のような図柄変動中の第2回目の入賞に基づく図柄変動が開始されると、主基板1は、この第2回目の入賞があったときに取得した乱数などに応じて、遊技状態指定コマンド「EE00H」、図柄指定コマンド「E000H」、変動パターン指定コマンド「E601H」及び保留球数指定コマンド「E101H」を副基板5に送信する。ここで、変動パターン指定コマンド「E601H」のデータ部「01H」は、リーチ演出をしないでハズレ図柄を変動停止させるパターン(8秒)を示している。また、保留球数指定コマンド「E101H」のデータ部「01H」は、図柄変動中の第2回目の入賞に基づく図柄変動が開始されたことにより、「2」から「1」を減算した結果である「1」を示している。
また、主基板1は、副基板5に対し不正対策コマンド「D646H」を送信する。この不正対策コマンド「D646H」のデータ部つまり主基板側暗号化データ「46H」は、この時点での主基板側カウンタ1aのカウント値(主カウント値)が「2」であるため、図6図示の主基板側テーブル1bから、主カウント値「2」に対応する主基板側加算用データ「45H」が読み出され、この主基板側加算用データ「45H」に、変動パターン指定コマンド「E601H」のデータ部「01H」を加算して得た合計値「46H」に相当する。
主基板1は、不正対策コマンド「D646H」を副基板5に送信した後、図5に示すように、主基板側カウンタ1aのカウント値「2」を「1」だけプラスし「3」に更新する。
遊技状態指定コマンド「EE00H」、図柄指定コマンド「E000H」、変動パターン指定コマンド「E601H」、保留球数指定コマンド「E101H」及び遊技機不正対策コマンド(不正対策コマンド)「D646H」を受信した副基板5は、これらのコマンドに従って図柄表示装置6において図柄変動を開始させる。また、副基板5は、この時点での副基板側カウンタ5bのカウント値(副カウント値)が「2」であるため、図6図示の副基板側テーブル5bから副カウント値「2」に対応する副基板側加算用データ「45H」を読み出し、この副基板側加算用データ「45H」に、受信した変動パターン指定コマンド「E601H」のデータ部「01H」を加算し、その合計値である「46H」を副基板側暗号化データとし、この副基板側暗号化データ「46H」と、受信した不正対策コマンド「D646H」の主基板側暗号化データ「46H」との照合を行う。この照合結果は「一致」であることから、副基板5は不正報知手段7を作動しない。
副基板5は、上記照合を行った後、図5に示すように、副基板側カウンタ5aのカウント値「2」を「1」だけプラスし「3」に更新する。
その後、図柄表示装置6において図柄変動が停止し図柄が確定すると、主基板1は、図柄確定指定コマンド「E300H」を副基板5に送信する。
そして、上記のような図柄変動中の第3回目の入賞に基づく図柄変動が開始されると、主基板1は、この第3回目の入賞があったときに取得した乱数などに応じて、遊技状態指定コマンド「EE00H」、図柄指定コマンド「E000H」、変動パターン指定コマンド「E610H」及び保留球数指定コマンド「E100H」を副基板5に送信する。ここで、変動パターン指定コマンド「E610H」のデータ部「10H」は、リーチ演出をしないでハズレ図柄で変動停止させるパターンを示している。また、保留球数指定コマンド「E100H」のデータ部「00H」は、図柄変動中の第2回目の入賞に基づく図柄変動が開始されたことにより、「1」から「1」を減算した結果である「0」を示している。
また、主基板1は、副基板5に対し不正対策コマンド「D62AH」を送信する。この不正対策コマンド「D62AH」のデータ部つまり主基板側暗号化データ「2AH」は、この時点での主基板側カウンタ1aのカウント値(主カウント値)が「3」であるため、図6図示の主基板側テーブル1bから、主カウント値「3」に対応する主基板側加算用データ「1AH」が読み出され、この主基板側加算用データ「1AH」に、変動パターン指定コマンド「E610H」のデータ部「10H」を加算して得た合計値「2AH」に相当する。
主基板1は、不正対策コマンド「D646H」を副基板5に送信した後、図5に示すように、主基板側カウンタ1aのカウント値「3」を「1」だけプラスし「4」に更新する。
遊技状態指定コマンド「EE00H」、図柄指定コマンド「E000H」、変動パターン指定コマンド「E610H」、保留球数指定コマンド「E100H」及び遊技機不正対策コマンド(不正対策コマンド)「D62AH」を受信した副基板5は、これらのコマンドに従って図柄表示装置6において図柄変動を開始させる。また、副基板5は、この時点での副基板側カウンタ5bのカウント値(副カウント値)が「3」であるため、図6図示の副基板側テーブル5bから副カウント値「3」に対応する副基板側加算用データ「1AH」を読み出し、この副基板側加算用データ「1AH」に、受信した変動パターン指定コマンド「E610H」のデータ部「10H」を加算し、その合計値である「2AH」を副基板側暗号化データとし、この副基板側暗号化データ「2AH」と、受信した不正対策コマンド「D62AH」の主基板側暗号化データ「2AH」との照合を行う。この照合結果は「一致」であることから、副基板5は不正報知手段7を作動しない。
副基板5は、上記照合を行った後、図5に示すように、副基板側カウンタ5aのカウント値「3」を「1」だけプラスし「4」に更新する。
その後、不正基板を用い、電源を急低下させた後、電源ラインを正常化させると、主基板1のCPUはリセット処理を行い、図5に示すように、主基板側カウンタ1aのカウント値は「0」にリセットされるが、主基板1から副基板5に対して電源投入指定コマンド「E400H」が送信されないため、副基板5のCPUはリセット処理を行わない。このため、副基板側カウンタ5aのカウント値は、図5に示すように「4」に維持される。また、主基板1のCPUのリセット処理により、初期値乱数は「0」にリセットされ、乱数は、「0」から例えば「255」まで周期的かつ順番に変化する。
次に、主基板1は、客待ち指定コマンド「E500H」を副基板5に送信する。客待ち指定コマンド「E500H」を受信した副基板5は、図柄表示装置6において客待ち用のデモ表示を行う。
その後、不正基板から主基板1に対して、始動口への入賞を契機として取得する乱数が大当たり乱数値となるタイミングに合わせて擬似の遊技球通過信号が送信されると、主基板1は、乱数を取得し、遊技状態指定コマンド「EE00H」、図柄指定コマンド「E001H」、変動パターン指定コマンド「E677H」を副基板5に送信し、副基板5は図柄表示装置6において図柄変動を開始させる。ここで、変動パターン指定コマンド「E677H」のデータ部「77H」は、リーチ演出をして大当たり図柄で変動停止させるパターンを示している。
また、主基板1は、副基板5に対し不正対策コマンド「D68AH」を送信する。この不正対策コマンド「D68AH」のデータ部つまり主基板側暗号化データ「8AH」は、この時点での主基板側カウンタ1aのカウント値(主カウント値)が「0」であるため、図6図示の主基板側テーブル1bから、主カウント値「0」に対応する主基板側加算用データ「13H」が読み出され、この主基板側加算用データ「13H」に、変動パターン指定コマンド「E677H」のデータ部「77H」を加算して得た合計値「8AH」に相当する。
主基板1は、不正対策コマンド「D68AH」を副基板5に送信した後、図5に示すように、主基板側カウンタ1aのカウント値「0」を「1」だけプラスし「1」に更新する。
遊技状態指定コマンド「EE00H」、図柄指定コマンド「E001H」、変動パターン指定コマンド「E677H」及び遊技機不正対策コマンド(不正対策コマンド)「D68AH」を受信した副基板5は、これらのコマンドに従って図柄表示装置6において図柄変動を開始させる。また、副基板5は、この時点での副基板側カウンタ5bのカウント値(副カウント値)が「4」であるため、図6図示の副基板側テーブル5bから副カウント値「4」に対応する副基板側加算用データ「02H」を読み出し、この副基板側加算用データ「02H」に、受信した変動パターン指定コマンド「E677H」のデータ部「77H」を加算し、その合計値である「79H」を副基板側暗号化データとし、この副基板側暗号化データ「79H」と、受信した不正対策コマンド「D68AH」の主基板側暗号化データ「8AH」との照合を行う。この照合結果は「不一致」であることから、副基板5は不正報知手段7を作動し、不正行為が報知される。
副基板5は、上記照合を行った後、図5に示すように、副基板側カウンタ5aのカウント値「4」を「1」だけプラスし「5」に更新する。
その後、主基板1は副基板5に図柄確定指定コマンド「E300H」を送信する。
以上説明したように、本実施形態に係る不正対策装置は、主基板1と副基板5と不正報知手段7とを備える遊技機の不正対策装置であって、主基板1は、始動口への入賞(所定事象)の発生回数をカウントする主基板側カウンタ1aと、主基板側カウンタ1aのカウント値に1対1に対応する主基板側加算用データ(主基板側演算用データ)が書込まれた主基板側テーブル1bと、所定事象の発生に対応して副基板5に変動パターン指定コマンド(所定コマンド)を送信する所定コマンド送信手段1cと、所定事象の発生に対応して副基板5に不正対策コマンドを送信する不正対策コマンド作成送信手段1dとを備え、所定事象が発生したとき、所定コマンド送信手段1cにより所定コマンドを副基板5に送信するとともに、不正対策コマンド作成送信手段1dにより、主基板側テーブル1bから主基板側カウンタ1aのカウント値に対応する主基板側加算用データを読み出し、主基板側加算用データを所定コマンドのデータ部に加算して、換言すると、主基板側演算用データと所定コマンドのデータ部とに基づく演算により、主基板側暗号化データを作成し、主基板側暗号化データをデータ部とする不正対策コマンドを副基板5に送信するよう構成され、副基板5は、主基板1から送信されてくる不正対策コマンドの受信回数をカウントする副基板側カウンタ5aと、副基板側カウンタ5aのカウント値に1対1に対応する副基板側加算用データ(副基板側演算用データ)であって主基板側加算用データと一致する副基板側加算用データが書込まれた副基板側テーブル5bとを備え、主基板1から所定コマンド及び不正対策コマンドが送信されてきたとき、副基板側テーブル5bから副基板側カウンタ5aのカウント値に対応する副基板側加算用データを読み出し、副基板側加算用データを所定コマンドのデータ部に加算して、換言すると、副基板側演算用データと所定コマンドのデータ部とに基づく演算により、副基板側暗号化データを作成し、副基板側暗号化データと不正対策コマンドのデータ部である主基板側暗号化データとの照合を行い、副基板側暗号化データと主基板側暗号化データとが一致しなかったとき、不正報知手段7を作動するよう構成される。
本実施形態の不正対策装置によると、不正基板により主基板1の電源が急低下し、その後電源ラインの正常化が不正に行われたとき、主基板1のCPUのリセット処理により主基板側カウンタ1aのカウント値はリセットされて「0」になり、その後、不正基板が、上記所定事象と同等の偽の事象を発生させたとき、所定コマンド送信手段1cにより所定コマンドが副基板5に送信されるとともに、不正対策コマンド作成送信手段1dにより、「0」のカウント値に対応する加算用データつまり主基板側加算用データが主基板側テーブル1bから読み出され、主基板側加算用データに所定コマンドのデータ部が加算されて主基板側暗号化データが作成され、主基板側暗号化データをデータ部とする不正対策コマンドが副基板5に送信される。
一方、副基板5において、副基板側カウンタ5aは、不正基板による不正行為が行われる直前までの不正対策コマンドの受信回数をカウントしており、この副基板側カウンタ5aのカウント値は、不正基板による不正行為の開始によってはクリアされない。このため、副基板5は、電源ライン正常化後に主基板1から送信されてくる主基板側暗号化データと副基板側暗号化データとを照合する際、主基板側暗号化データの基となる主基板側カウンタ1aのカウント値が「0」であるのに対し、副基板側暗号化データの基となる副基板側カウンタ5aのカウント値が、副基板側カウンタ5aのリセット直後を除いて「0」以外の値であるため、両者は一致しないと判断するようになり、この判断結果から不正報知手段7が作動し、不正行為が報知されるようになる。
したがって、本実施形態の不正対策装置によると、高確率で不正行為を報知することが可能になる。
ここで、主基板側照合用データと副基板側照合用データとの照合を行う代わりに、主基板側カウンタ1aのカウント値と副基板側カウンタ5aのカウント値との照合を行うようにしても不正行為を高確率で報知することができるが、本実施形態によると、カウント値をさらに加算用データに変換し、さらに、加算用データに所定コマンドのデータ部を加算して暗号化データを作成し、暗号化データの照合を行うようにしたことにより、より一層不正行為が困難になる。また、異なる遊技機ごとに加算用データ(演算用データ)を変更することにより、機種別に異なる判定を行うことができるため、より一層不正行為を行うことが困難となる。
また、所定事象は複数の事象からなり、主基板側カウンタ1aと副基板側カウンタ5aは、複数の事象の各々の事象に1対1に対応して設けられ、副基板5は、少なくとも1つの事象に対応する照合により、副基板側暗号化データと主基板側暗号化データとが一致しなかったとき、不正報知手段7を作動するよう構成すると、偶然に、いずれか1つの事象に対応する副基板側カウンタ5aが「0」にリセットされた後に不正行為が行われたことにより照合の結果が「一致」となり、この事象については不正行為の報知が行われなくなるような場合であっても、他の事象に対応する副基板側カウンタ5aは「0」にリセットされていない場合が多いため、この他の事象についての照合結果は「不一致」となり、不正行為の報知が行われる確率が高くなる。したがって、より一層高確率で不正行為を報知することが可能になる。
なお、所定の事象としては、上述したように、乱数を取得する条件である始動口スイッチ3からのオン信号が受信されたことの他に、乱数を取得したこと、遊技盤上のゲート又は普通入賞口に遊技球が入賞したこと、大当たり中に大入賞口が閉鎖したこと、図柄表示装置6において客待ちデモ表示が行われたことなどであってもよい。また、演算用データは、加算用データに限定されず、減算用データ、乗算用データなどであってもよい。