JP2009099265A - 固体高分子形燃料電池用電極基材及びその製造方法、並びにこれを用いた固体高分子形燃料電池及びその運転方法 - Google Patents

固体高分子形燃料電池用電極基材及びその製造方法、並びにこれを用いた固体高分子形燃料電池及びその運転方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電極触媒層に含まれる触媒粒子の粒径増大及び固体高分子電解質膜の劣化を防止し、固体高分子形燃料電池を長寿命化すること。
【解決手段】電極基材を構成する導電性繊維の表面に触媒担持導電性粒子が撥水性樹脂を介して融着された融着部分と導電性繊維が露出した露出部分とを有し、融着部分が電極基材全体に斑状に分布していることを特徴とする固体高分子形燃料電池用電極基材である。
【選択図】図1

Description

この発明は、固体高分子形燃料電池用電極基材及びその製造方法、並びにこれを用いた固体高分子形燃料電池及びその運転方法に関する。
固体高分子形燃料電池は、固体高分子電解質膜の両面にアノード電極及びカソード電極を配置したものを、各電極と接する面にガス流路が設けられた一対のセパレータで挟持して構成される。アノード電極又はカソード電極は、一般的に、電極基材上にアノード触媒層又はカソード触媒層が形成された構成となっており、なかには、触媒層内での電極反応によって生成した水の移動を容易にするために、電極基材の撥水性が触媒層に接する側ほど高くなるようにしたものも提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
このように構成された固体高分子形燃料電池に燃料ガスと酸化剤ガスとを供給して運転すると、運転時間が経過するにしたがって、アノード触媒層の触媒粒子が燃料ガス中に含まれる微量の一酸化炭素により被毒され発電効率が低下するという問題があった。そこで、触媒粒子に吸着した一酸化炭素を効率良く除去する方法として、時間的に変動する量で酸素を燃料ガスに添加し、これをアノード電極に供給する運転方法が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
しかしながら、特許文献2に記載の運転方法では、燃料である水素の無駄な消費をある程度抑えることはできるものの、アノード触媒層の触媒粒子表面における酸素と水素との反応による大量の発熱は避けることができず、アノード触媒層が高温に曝されることになる。通常、アノード触媒層には触媒粒子の他にゲル状電解質が含まれているため、アノード触媒層が高温に曝されると、触媒粒子がゲル状電解質に溶出し再度固化(シンタリング)することにより触媒粒子の粒径が増大して表面積が減少し、発電効率が低下するという問題がある。更には、固体高分子電解質膜に近接して配置されるアノード触媒層で大量の発熱が起こることで、固体高分子電解質膜が劣化するという問題もある。
一方、数体積%の燃料ガスを添加した酸化剤ガスをカソード電極に供給することで、触媒粒子表面において上述したような発熱を起こし、凍結するような低温環境で固体高分子形燃料電池を速やかに始動する運転方法が提案されている(例えば、特許文献3を参照)。
しかしながら、特許文献3に記載の運転方法においても、特許文献2と同様に、触媒粒子の粒径増大により発電効率が低下したり、大量の発熱により固体高分子電解質膜が劣化したりするという問題がある。
このように、特許文献2及び3に記載の従来技術ではいずれも、アノード触媒層あるいはカソード触媒層において大量の熱が発生するため、触媒粒子の粒径増大や固体高分子電解質膜の劣化は回避できず、固体高分子形燃料電池の寿命を著しく短くしてしまうという課題があった。
特開2005−116338号公報 特開平11−40178号公報 特開2005−317442号公報
従って、本発明の目的は、電極触媒層に含まれる触媒粒子の粒径増大及び固体高分子電解質膜の劣化を防止し、固体高分子形燃料電池を長寿命化することにある。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、電極基材を構成する導電性繊維の表面に、導電性繊維が露出した露出部分と、触媒担持導電性粒子が撥水性樹脂粒子を介して融着され且つ電極基材全体に斑状に分布した融着部分とを形成した固体高分子形燃料電池用電極基材が上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明に係る固体高分子形燃料電池用電極基材は、電極基材を構成する導電性繊維の表面に触媒担持導電性粒子が撥水性樹脂粒子を介して融着された融着部分と導電性繊維が露出した露出部分とを有し、融着部分が電極基材全体に斑状に分布していることを特徴とするものである。
本発明によれば、電極基材全体に斑状に分布した融着部分に含まれる触媒粒子表面において酸素と水素および一酸化炭素とを優先的に反応させることができるので、電極触媒層に含まれる触媒粒子表面における発熱が抑制されると共に固体高分子電解質膜の熱劣化が防止され、固体高分子形燃料電池を長寿命化することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る固体高分子形燃料電池用電極基材を用いた固体高分子形燃料電池の断面模式図である。図1において、固体高分子形燃料電池は、固体高分子電解質膜1と、固体高分子電解質膜1の両面に配置されたアノード電極2及びカソード電極3と、これらを挟持する一対のセパレータ4,5とを備えている。実施の形態1では、アノード電極2が、固体高分子電解質膜1側に配置されたアノード電極触媒層6と、アノード電極触媒層6の外側に配置された固体高分子形燃料電池用電極基材7とから構成されている。一方、カソード電極3は、固体高分子電解質膜1側に配置されたカソード電極触媒層8と、カソード電極触媒層8の外側に配置されたカソード電極基材9とから構成されている。更に、アノード電極2側に配置されるセパレータ4には燃料ガス流路10が設けられており、この燃料ガス流路10を通じてアノード電極2に燃料ガス(例えば、水素)が供給されるように構成されている。一方、カソード電極3側に配置されるセパレータ5には酸化剤ガス流路11が設けられ、この酸化剤ガス流路11を通じてカソード電極3に酸化剤ガス(例えば、空気、酸素等)が供給されるように構成されている。また、アノード電極2及びカソード電極3の外周部分の固体高分子電解質膜1とセパレータ4,5との間には、燃料ガス又は酸化剤ガスが外部に漏れるのを防止するためのガスシール部12が設けられている。
図2は、アノード電極2における固体高分子形燃料電池用電極基材7の一部を拡大して示す模式図である。図2において、固体高分子形燃料電池用電極基材7を構成する導電性繊維13の表面には、導電性繊維13が露出した露出部分15と、導電性粒子16に触媒粒子17を担持してなる触媒担持導電性粒子18が撥水性樹脂粒子19を介して融着された融着部分14とが形成されている。融着部分14は撥水性を有しており、固体高分子形燃料電池用電極基材7全体に斑状(島状)に分布、即ち、露出部分15に囲まれた不連続な領域として分散して存在している。一方、露出部分15は、親水性を有しており、導電性繊維13の表面全体にわたって連続した領域として存在している。
このように構成された固体高分子形燃料電池では、固体高分子形燃料電池用電極基材7内で水が生じても、触媒粒子17は水で覆われ難いうえに、生成した水は導電性繊維13の露出部分15に付着して燃料ガスを加湿したり或いは導電性繊維13の露出部分15を伝わって燃料ガス流路10に排出されたりするので、触媒粒子17とガスとの接触面積が十分に確保される。
次に、上記のように構成された固体高分子形燃料電池の運転方法について説明する。まず、燃料ガス流路10を通じてアノード電極2に燃料ガスを供給すると共に、酸化剤ガス流路11を通じてカソード電極3に酸化剤ガスを供給して運転を開始する。アノード電極触媒層6では、H2→2H++2e-の反応が起きて水素イオン及び電子が生成される。生成した水素イオンは、固体高分子電解質膜1を介してカソード電極3側に移動し、電子は、外部回路を介してカソード電極3側に移動する。一方、カソード電極触媒層8では、1/2O2+2H++2e-→H2Oの反応が起きて水が生成される。これらの反応により、電池全体としては、H2+1/2O2→H2Oの反応が起き、電気エネルギーを外部に取り出すことができる。
都市ガス、灯油、メタノール等の燃料を改質して得られる燃料ガスには、通常、微量の一酸化炭素が含まれている。このような燃料ガスを用いて固体高分子形燃料電池を運転すると、運転時間が経過するにしたがい、融着部分14に存在する触媒粒子17の表面には一酸化炭素が吸着するので、酸素が添加された燃料ガスをアノード電極2に供給することにより、吸着した一酸化炭素を酸化除去することができる。つまり、実施の形態1の固体高分子形燃料電池では、燃料ガス中に含まれる一酸化炭素をアノード電極触媒層6の外側に配置された固体高分子形燃料電池用電極基材7で酸化除去することができるので、アノード電極触媒層6に導入される一酸化炭素濃度を大幅に低減することができる。
また、実施の形態1の固体高分子形燃料電池では、一酸化炭素の酸化除去に使われずに余剰となった酸素の大部分が、融着部分14に存在する触媒粒子17の表面において燃料ガス中の水素と反応することとなるので、アノード電極触媒層6に含まれる触媒粒子の表面における発熱が抑制され、触媒粒子の粒径がシンタリングにより増大するのを防止することができる。
さらに、実施の形態1の固体高分子形燃料電池では、各融着部分14で発生した熱が、導電性繊維13を伝わって気流中に放出されたりアノード電極2側に配置されたセパレータ4に伝達されたりするので、従来のアノード電極基材を用いた固体高分子形燃料電池と比べて、固体高分子電解質膜1の熱劣化を顕著に防止することができる。
さらに、実施の形態1における固体高分子形燃料電池用電極基材7には、ゲル状電解質を含有させる必要がないので、触媒粒子17が溶出したり、触媒粒子17の粒径がシンタリングにより増大したりする恐れがない。
また、実施の形態1の固体高分子形燃料電池を、一酸化炭素を含まない燃料ガス、例えば、純水素を用いて運転する場合であっても、酸素が添加された燃料ガスをアノード電極2に供給することで、アノード電極2を加湿加温する効果が得られる。また、純水素に含まれる微量の不純物を酸化分解することができ、アノード電極2の劣化を防止できるという効果もある。
なお、燃料ガス中への酸素の添加は、空気(純酸素でもよい)を間欠的又は連続的に添加することにより行うことができるが、水素ガスの無駄な消費を抑えるという点で間欠的に行うことが好ましい。また、酸素の添加の時期は、燃料ガスを供給して運転を開始した後でもよいし、運転を開始すると同時であってもよい。酸素の添加量としては、例えば、燃料ガスに空気を10秒毎に2秒間添加する場合で、燃料ガスに対する酸素の濃度が0.5体積%〜4体積%となる範囲であればよい。
次に、固体高分子形燃料電池を構成する材料について説明する。
実施の形態1で用いる固体高分子形燃料電池用電極基材7は、導電性繊維13からなる電極基材を触媒担持導電性粒子18及び撥水性樹脂粒子19の水分散液(ディスパージョン)中に浸漬した後、撥水性樹脂の融点以上の温度で焼成することにより製造することができる。焼成温度は、用いる撥水性樹脂の種類によって異なるが、例えば、撥水性樹脂としてポリテトラフルオロエチレンを用いた場合、300℃〜420℃の範囲が好ましい。
このようにして得られる固体高分子形燃料電池用電極基材7の融着部分14は、触媒担持導電性粒子18が撥水性樹脂粒子19と絡まって導電性繊維13上に融着して形成されているため、多孔質体のような形態となっている。水に対する接触角が同じ値でも、より小さな気孔ほど水の排斥力は大きいから、固体高分子形燃料電池用電極基材7の融着部分14は、親水性である触媒担持導電性粒子18が部分的に存在するにも関わらず、極めて高い撥水性を発現している。
つまり、上記した製造方法によると、触媒担持導電性粒子18を含み且つ極めて高い撥水性を有する融着部分14を導電性繊維13上に斑状に分布させた固体高分子形燃料電池用電極基材7を低コストで得ることがきる。
電極基材としては、導電性を有する親水性繊維からなるものであればよいが、導電性を有し且つ熱伝導性の良好なものであれば、融着部分14で発生した熱を効率よく気流中に放出したりセパレータ4に伝達することができる。また、電極基材は、図2に示されるように、導電性繊維13同士を結着させるために使用したバインダーが焼結されてなる水かき部20を有するものであってもよい。電極基材の具体例としては、カーボンペーパー(例えば、東レ(株)製のTGP−H−060、TGP−H−90、TGP−H−120)、カーボンクロス(例えば、日本カーボン(株)製のGF−20−P7)、カーボンフェルト等を挙げることができる。電極基材を構成する導電性繊維13の繊維径は、6μm〜8μmであることが好ましい。また、電極基材の厚さは、100μm〜400μmであることが好ましい。
触媒担持導電性粒子18としては、導電性粒子16に触媒粒子17が担持されているものであればよく、例えば、白金粒子をカーボン粒子に担持させたもの、白金と貴金属類(ルテニウム、ロジウム、イリジウム等)との合金粒子をカーボン粒子に担持させたもの、白金と卑金属(バナジウム、クロム、コバルト、ニッケル、鉄等)との合金粒子をカーボン粒子に担持させたもの等が挙げられる。これらの中でも、白金担持カーボン粒子が、一酸化炭素の吸着能に優れるので好ましい。導電性粒子16の平均粒径は、0.01μm〜0.5μmであることが好ましい。触媒粒子17の平均粒径は、3nm〜10nmであることが好ましい。また、触媒粒子17の担持量は、触媒担持導電性粒子18に対して1質量%〜50質量%の範囲であることが好ましい。
撥水性樹脂粒子19としては、撥水性を有する樹脂からなるものであればよく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素系樹脂が挙げられる。撥水性樹脂粒子19の平均粒径は、0.1μm〜0.5μmであることが好ましい。
浸漬に用いる水分散液(ディスパージョン)は、融着部分14を固体高分子形燃料電池用電極基材7全体に斑状により均一に分布させる観点から、増粘剤を添加してエマルジョン化したものであることが好ましい。ただし、エマルジョン化する際には、水分散液を冷却するなどして撥水性樹脂粒子19が繊維化しないようにすることが重要である。増粘剤としては、触媒担持導電性粒子18及び撥水性樹脂粒子19とすぐには混ざり難く、弱い混合ではエマルジョン化することのできるものを公知の水溶性ポリマーの中から適宜選択すればよく、具体的には、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(NaCMC)、カルボキシメチルセルロースアンモニウム塩、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(メタ)アクリル酸塩等が挙げられる。エマルジョン化した水分散液の好ましい組成は、触媒担持導電性粒子18が2質量%〜50質量%、撥水性樹脂粒子19が1質量%〜10質量%及び増粘剤が0.01質量%〜1質量%である。
固体高分子形燃料電池用電極基材7において融着部分14が占める面積の比率は、水の排水性を向上させる点から、導電性繊維13の総表面積の5%〜80%の範囲とすることが好ましく、10%〜70%であることが更に好ましい。融着部分14が占める面積の比率は、触媒粒子17の担持量、水分散液中の触媒担持導電性粒子18の濃度、撥水性樹脂粒子19の濃度、増粘剤の濃度及び溶媒の濃度を変えることによって制御可能であり、当業者であれば自由に設計することが可能である。
また、固体高分子形燃料電池用電極基材7をアノード電極2及びカソード電極3両方の電極基材として用いる場合、カソード電極3に用いる電極基材において融着部分14が占める面積の比率は、アノード電極2に用いる電極基材において融着部分14が占める面積の比率よりも10%以上高いことが望ましい。このような構成とすることで、カソード電極3側で生成した水がアノード電極2側にも排出されるようになり、カソード電極3に用いた電極基材でのガス拡散性を向上させることができる。
実施の形態1で用いる固体高分子電解質膜1、アノード電極触媒層6、カソード電極触媒層8、カソード電極基材9及びセパレータ4,5としては、固体高分子形燃料電池において一般的に用いられる材料で構成すればよい。
具体的には、固体高分子電解質膜1としては、水素イオンを伝導するポリマーであればよく、例えば、ナフィオン(登録商標)に代表されるような水素イオン交換基を有するフッ素系ポリマーが挙げられる。アノード電極触媒層6及びカソード電極触媒層8としては、固体高分子形燃料電池用電極基材7で例示したのと同様の触媒担持導電性粒子、高分子電解質溶液及び溶媒を含む電極触媒ペーストを乾燥して得られるものが挙げられる。カソード電極基材9としては、固体高分子形燃料電池用電極基材7で例示した電極基材と同様のものを用いることができるが、カソード電極3側で生成した水が排出されやすいように、撥水処理したものであることが好ましい。セパレータ4,5としては、導電性を有し且つガス流路を形成可能なものであればよく、例えば、カーボンからなるもの、ステンレス等の金属からなるもの、カーボンと樹脂との混合物からなるもの等が挙げられる。
本実施の形態1では、極めて高い撥水性を有する融着部分14が電極基材全体に斑状に分布した固体高分子形燃料電池用電極基材7をアノード電極2の電極基材として用いたので、融着部分14に含まれる触媒粒子17は水で覆われることがなく、触媒粒子17表面において酸素と一酸化炭素及び水素の少なくとも一方とを効率よく反応させることができる。そのため、本実施の形態1によれば、アノード電極触媒層6に含まれる触媒粒子表面における発熱が抑制されると共に固体高分子電解質膜の熱劣化が防止され、固体高分子形燃料電池を長寿命化することができる。
実施の形態2.
図3は、実施の形態2に係る固体高分子形燃料電池用電極基材を用いた固体高分子形燃料電池の断面模式図である。図3において、実施の形態2に係る固体高分子形燃料電池は、固体高分子形燃料電池用電極基材7をアノード電極2の電極基材として用いる代わりに、カソード電極3の電極基材として用い、且つアノード電極2の電極基材としてアノード電極基材21を用いたこと以外の構成は実施の形態1と同じであるため説明は省略する。
図4は、カソード電極3における固体高分子形燃料電池用電極基材7の一部を拡大して示す模式図である。図4に示されるように、実施の形態2では、実施の形態1(固体高分子形燃料電池用電極基材7をアノード電極2の電極基材として用いる場合)と比べて、融着部分14が占める面積の比率を高くすることが望ましい。つまり、固体高分子形燃料電池用電極基材7の撥水性を高めることで、カソード電極3側で生成した水が効率良く排出され、セル電圧を高く保つことができるためである。具体的には、実施の形態2における固体高分子形燃料電池用電極基材7において融着部分14が占める面積の比率は、導電性繊維13の総表面積の10%〜90%の範囲とすることが好ましく、20%〜80%であることが更に好ましい。融着部分14が占める面積の比率は、触媒粒子17の担持量、水分散液中の触媒担持導電性粒子18の濃度、撥水性樹脂粒子19の濃度、増粘剤の濃度及び溶媒の濃度を変えることによって制御可能であり、当業者であれば自由に設計することが可能である。
このように構成された固体高分子形燃料電池では、固体高分子形燃料電池用電極基材7内で水が生じても、触媒粒子17は水で覆われ難いうえに、生成した水は導電性繊維13の露出部分15に付着して酸化剤ガスを加湿したり或いは導電性繊維13の露出部分15を伝わって酸化剤ガス流路11に排出されたりするので、触媒粒子17とガスとの接触面積が十分に確保される。
次に、上記のように構成された固体高分子形燃料電池の運転方法について説明する。燃料ガス流路10を通じてアノード電極2に燃料ガスを供給すると共に、酸化剤ガス流路11を通じてカソード電極3に酸化剤ガスを供給する通常の運転方法は、実施の形態1と同じであるため説明は省略する。
実施の形態2の固体高分子形燃料電池において、水素が添加された酸化剤ガスをカソード電極3に供給して運転する場合、融着部分14に存在する触媒粒子17の表面において酸素と水素とが反応し、発熱を伴って水を生じる。つまり、実施の形態2の固体高分子形燃料電池では、酸素と酸化剤ガスに添加した水素との発熱を伴う反応が、カソード電極触媒層8の外側に配置された固体高分子形燃料電池用電極基材7の融着部分14に存在する触媒粒子17の表面において起きるので、カソード電極触媒層8に含まれる触媒粒子の粒径の増大や固体高分子電解質膜1の熱劣化を防止しつつ、カソード電極3を加温加湿することができる。この運転方法は、低温環境で固体高分子形燃料電池を始動させる場合に特に有効であるが、始動時以外の運転中や休止中においても、酸化剤ガスに含まれる不純物を吸着除去することができ、カソード電極3の劣化を防止できるという効果が得られる。
さらに、実施の形態2の固体高分子形燃料電池では、固体高分子形燃料電池用電極基材7全体に斑状に分布した融着部分14において発熱を伴う反応が起きるので、電池全体を均一に加温することができる。
また、実施の形態2における固体高分子形燃料電池用電極基材7には、ゲル状電解質を含有させる必要がないので、触媒粒子17が溶出したり、触媒粒子17の粒径がシンタリングにより増大したりする恐れがない。
なお、酸化剤ガス中への水素の添加は、間欠的に行ってもよいし、連続的に行ってもよい。また、水素の添加量としては、始動時の温度にも依るが、例えば、酸化剤ガス中の酸素に対する水素の濃度が0.5体積%〜10体積%となる範囲であればよい。
固体高分子形燃料電池を構成する固体高分子電解質膜1、アノード電極触媒層6、カソード電極触媒層8及びセパレータ4,5は実施の形態1で説明したものと同様のものを用いることができる。また、アノード電極基材21としては、実施の形態1のカソード電極基材9と同様のものを用いることができる。
本実施の形態2では、極めて高い撥水性を有する融着部分14が電極基材全体に斑状に分布した固体高分子形燃料電池用電極基材7をカソード電極3の電極基材として用いたので、水素が添加された酸化剤ガスをカソード電極3に供給して運転しても、カソード電極触媒層8に含まれる触媒粒子の粒径の増大や固体高分子電解質膜1の熱劣化を防止しつつ、カソード電極3を加温加湿することができる。そのため、本実施の形態2によれば、アノード電極触媒層6に含まれる触媒粒子表面における発熱が抑制されると共に固体高分子電解質膜の熱劣化が防止され、固体高分子形燃料電池を長寿命化することができる。
なお、本実施の形態2は、純水素を燃料ガスとして使用し、零下での始動を求められる燃料電池自動車の用途において特に望ましい構成である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
(固体高分子形燃料電池用電極基材の製造)
平均粒径3nmの白金微粒子を20質量%の比率で担持させた多孔質なカーボン微粒子10gを脱イオン水157mlに分散させ、超音波で一次粒子(0.5μm程度)にまで分散したものを、さらにプラネタリーミキサーで500rpmの回転速度で10分間攪拌した。次いで、ダイキン工業(株)製のポリフロン(登録商標)D−1(平均粒径0.3μm程度のPTFE粒子を約60質量%含み、界面活性剤でエマルジョン化された水溶液)13mlを加え、容器の周りを氷で冷却してPTFE粒子が繊維化しないように注意しながら、プラネタリーミキサーで500rpmの回転速度で5分間攪拌し、白金担持カーボン粒子とPTFE粒子との混合ペーストを調製した。
粉末状のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(NaCMC)を水に溶解して、プラネタリーミキサーで1000rpmの回転速度で5分間攪拌し、NaCMCを2質量%含む透明な増粘剤ペーストを調製した。
上記で調製した白金担持カーボン粒子とPTFE粒子との混合ペースト180gに増粘剤ペースト20gを添加し、容器の周りを氷で冷却してPTFE粒子が繊維化しないように注意しながら、プラネタリーミキサーで200rpmの回転速度で2分間攪拌してエマルジョン化し、電極基材用ペーストを調製した。
電極基材用ペーストの組成は、白金担持カーボン粒子5質量%、PTFE4質量%及びNaCMC0.2質量%であった。
上記で調製した電極基材用ペーストをガラス製のシャーレに深さ10mmほどまで注ぎ、これに東レ(株)製のTGP−H−90(厚さ270μmのカーボンペーパー)を10枚浸漬させた。次いで、カーボンペーパーを1枚ずつ引き上げ、これをステンレス製のカーボンペーパー立てに立てて並べて余分な電極基材用ペーストを落下させた後、高温乾燥器に入れて空気雰囲気下400℃で10分間加熱した後、カーボンペーパーを取り出した。
続いて、カーボンペーパーをガラス製のシャーレの中に置いて上に重しを載せ、脱イオン水を加えて超音波洗浄に3分間かけた後80℃で乾燥し、実施例1の固体高分子形燃料電池用電極基材を得た。なお、カーボン繊維上に融着されなかった白金担持カーボン粒子は、超音波洗浄によって除去されるので、これを回収して再利用することができる。
得られた固体高分子形燃料電池用電極基材の表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、図2に示したように、白金担持カーボン粒子とPTFE粒子とからなる混合物が電極基材全体に斑状に分布していることが確認された。さらに、2万倍を超える倍率にまで拡大して観察したところ、白金担持カーボン粒子は、溶融したPTFE粒子によってカーボン繊維上に結着されていることが確認された。また、固体高分子形燃料電池用電極基材の融着部分以外のカーボン繊維の表面は平滑であり、白金担持カーボン粒子やPTFE粒子の融着はほとんど見られなかった。これは、電極基材用ペーストを構成する白金担持カーボン粒子とPTFE粒子とが絡まって固体高分子形燃料電池用電極基材全体に分布(分散)したためと推定される。また、走査型電子顕微鏡写真の解析から、固体高分子形燃料電池用電極基材において融着部分が占める面積の比率は22%と計算された。
なお、実施例1では、電極基材として東レ(株)製のTGP−H−90を用いたが、他のカーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等を用いた場合にも同様に融着部分を形成することができる。例えば、日本カーボン(株)製のGF−20−P7(カーボンクロス)、東レ(株)製のTGP−H−120(厚さ約360μmのカーボンペーパー)やTGP−H−060(厚さ約180μmのカーボンペーパー)を用いてもよい。
(触媒層ペーストの製造)
白金ルテニウム合金触媒を50質量%の比率で担持させたカーボン粒子と、アルコールに5重量%の固体高分子電解質膜を溶解させたゲル状の固体高分子電解質溶液であるナフィオン(登録商標)液(アルドリッチ製)を等量加えてアノード電極触媒層ペーストを調製した。
白金触媒を50質量%の比率で担持させたカーボン粒子と、アルコールに5重量%の固体高分子電解質膜を溶解させたゲル状の固体高分子電解質溶液であるナフィオン(登録商標)液(アルドリッチ製)を等量加えてカソード電極触媒層ペーストを調製した。
(単セルの製造)
実施例1の固体高分子形燃料電池用電極基材上にスクリーン印刷によってアノード触媒層ペーストを塗布した後、乾燥させ、アノード電極を得た。一方、カソード電極基材(東レ製、商品名TGP−H−90)上にスクリーン印刷によってカソード触媒層ペーストを塗布した後、乾燥させ、カソード電極を得た。厚さ50μmの固体高分子電解質膜(旭化成製、商品名アシプレックス)をアノード電極及びカソード電極の触媒層が形成された面で挟んで、電極・膜接合体(MEA)とし、これを燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路がサーペンタイン流路として形成されたカーボンセパレータで挟み、25cm2級の単セルを作製した。
(運転評価試験)
セル温度は75℃、加湿温度はカソード電極及びアノード電極ともに70℃の条件とし、上記で得られた単セルの燃料ガス流路を介して燃料ガスをアノード電極に供給するとともに、酸化剤ガス流路を介して酸化剤ガスをカソード電極に供給して3000時間連続運転試験を実施した。燃料ガスとしては、水素約80体積%、二酸化炭素約20体積%及び一酸化炭素100ppmからなるもの、酸化剤ガスとしては空気を用いた。また、一酸化炭素を酸化するために、燃料ガスに対して2体積%未満になる程度の濃度の空気を10秒ごとに2秒間添加した。
対比のために、アノード電極に従来のアノード電極基材を用いた以外は実施例1と同様にして単セルを作製し(以下、比較例1とする)、上記運転評価試験と同様の条件で連続運転評価試験を実施した。ここで、従来のアノード電極基材としては、東レ(株)製のTGP−H−90を、水で希釈したテフロンディスパージョン(ダイキン工業製、ポリフロン(登録商標)D−1)に浸漬した後、空気中400℃で熱処理したものを用いた。
試験の結果、実施例1の単セルでは、セル電圧の低下率が1000時間あたり2mVであるのに対し、比較例1の単セルでは、セル電圧の低下率が1000時間あたり10mVであり、実施例1の固体高分子形燃料電池用電極基材を用いることで、寿命が大幅に改善されることを確認できた。
また、単セルを分解し、アノード電極触媒層に含まれる白金ルテニウム合金粒子の平均粒径をX線回折の半値幅を用いて測定したところ、実施例1では平均粒径が5nmの拡大にとどまっているのに対し、比較例1では平均粒径が10nmにまで拡大しており、実施例1の固体高分子形燃料電池用電極基材を用いることで、アノード電極触媒層に含まれる触媒粒子の粒径の増大が抑制されることを確認できた。また、実施例1の固体高分子形燃料電池用電極基材の融着部分に含まれる白金粒子の粒径が増大していないこともX線回折での回折ピークの半値幅から確認した。
以上のように、実施例1の単セルでは、酸素と水素又は一酸化炭素との発熱を伴う反応が融着部分で優先的に起こるため、アノード電極触媒層に含まれる白金ルテニウム合金粒子の表面で発熱を伴う反応が起こりにくくなり、白金ルテニウム合金粒子の粒径の増大が抑制されることが分かる。
<実施例2>
(固体高分子形燃料電池用電極基材の製造)
平均粒径3nmの白金微粒子を20質量%の比率で担持させた多孔質なカーボン微粒子10gを脱イオン水144mlに分散させ、超音波で一次粒子(0.5μm程度)にまで分散したものを、さらにプラネタリーミキサーで500rpmの回転速度で10分間攪拌した。次いで、ダイキン工業(株)製のポリフロン(登録商標)D−1(平均粒径0.3μm程度のPTFE粒子を約60質量%含み、界面活性剤でエマルジョン化された水溶液)26mlを加え、容器の周りを氷で冷却してPTFE粒子が繊維化しないように注意しながら、プラネタリーミキサーで500rpmの回転速度で5分間攪拌し、白金担持カーボン粒子とPTFE粒子との混合ペーストを調製した。
上記で調製した白金担持カーボン粒子とPTFE粒子との混合ペースト180gに、実施例1で用いたものと同様の増粘剤ペースト20gを添加し、容器の周りを氷で冷却してPTFE粒子が繊維化しないように注意しながら、プラネタリーミキサーで200rpmの回転速度で2分間攪拌してエマルジョン化し、電極基材用ペーストを調製した。
電極基材用ペーストの組成は、白金担持カーボン粒子5質量%、PTFE8質量%及びNaCMC0.2質量%であった。
上記で調製した電極基材用ペーストを用いて、実施例1と同様にして固体高分子形燃料電池用電極基材を得た。得られた固体高分子形燃料電池用電極基材の表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、図4に示したように、白金担持カーボン粒子とPTFE粒子とを含む混合物が電極基材全体に斑状に分布していることが確認された。さらに、2万倍を超える倍率にまで拡大して観察したところ、白金担持カーボン粒子は、溶融したPTFE粒子によってカーボン繊維上に結着されていることが確認された。また、固体高分子形燃料電池用電極基材の融着部分以外のカーボン繊維の表面は平滑であり、白金担持カーボン粒子やPTFE粒子の融着はほとんど見られなかった。これは、電極基材用ペーストを構成する白金担持カーボン粒子とPTFE粒子とが絡まって固体高分子形燃料電池用電極基材全体に分布(分散)したためと推定される。また、走査型電子顕微鏡写真の解析から、固体高分子形燃料電池用電極基材において融着部分が占める面積の比率は41%と計算された。
(触媒層ペーストの製造)
白金触媒を50質量%の比率で担持させたカーボン粒子と、アルコールに5重量%の固体高分子電解質膜を溶解させたゲル状の固体高分子電解質溶液であるナフィオン(登録商標)液(デュポン製)を混合してカソード電極触媒層ペーストを調製した。
白金ルテニウム合金触媒を50質量%の比率で担持させたカーボン粒子と、アルコールに5重量%の固体高分子電解質膜を溶解させたゲル状の固体高分子電解質溶液であるナフィオン(登録商標)液(デュポン製)を混合してアノード電極触媒層ペーストを調製した。
(単セルの製造)
実施例2の固体高分子形燃料電池用電極基材上にスクリーン印刷によってカソード触媒層ペーストを塗布した後、乾燥させ、カソード電極を得た。一方、アノード電極基材(東レ製、商品名TGP−H−90)上にスクリーン印刷によってアノード触媒層ペーストを塗布した後、乾燥させ、アノード電極を得た。厚さ50μmの固体高分子電解質膜(旭化成製、商品名アシプレックス)をアノード電極及びカソード電極の触媒層が形成された面で挟んで、電極・膜接合体(MEA)とし、これを燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路がサーペンタイン流路として形成されたカーボンセパレータで挟み、25cm2級の単セルを作製した。
(運転評価試験)
セル温度は75℃、加湿温度はカソード電極及びアノード電極ともに70℃の条件とし、上記で得られた単セルの燃料ガス流路を介して燃料ガスをアノード電極に供給するとともに、酸化剤ガス流路を介して酸化剤ガスをカソード電極に供給し、1日1回の始動停止を繰り返す運転試験を3ヶ月に亘って実施した。燃料ガスとしては、水素80体積%及び二酸化炭素20体積%からなるもの、酸化剤ガスとしては空気を用いた。また、始動時には、酸化剤ガス及び燃料ガスともに加湿を行わず、酸化剤ガスである空気に対して3体積%の水素を添加して、急激に昇温加湿した。
対比のために、カソード電極に従来のカソード電極基材を用いた以外は実施例2と同様にして単セルを作製し(以下、比較例2とする)、上記運転評価試験と同様の条件で1日1回の始動停止を繰り返す運転試験を3ヶ月に亘って実施した。ここで、従来のカソード電極基材としては、東レ(株)製のTGP−H−90を、水で希釈したテフロンディスパージョン(ダイキン工業製、ポリフロン(登録商標)D−1)に浸漬した後、空気中400℃で熱処理したものを用いた。
試験の結果、実施例2の単セルでは、セル電圧の低下率が1000時間あたり5mVであるのに対し、比較例2の単セルでは、セル電圧の低下率が1000時間あたり20mVであり、実施例1の固体高分子形燃料電池用電極基材を用いることで、寿命が大幅に改善されることを確認できた。
また、単セルを分解し、カソード電極触媒層に含まれる白金粒子の平均粒径をX線回折の半値幅を用いて測定したところ、実施例2では平均粒径が5nmにとどまっているのに対し、比較例2では平均粒径が8nmにまで拡大しており、実施例2の固体高分子形燃料電池用電極基材を用いることで、カソード電極触媒層に含まれる触媒粒子の粒径の増大が抑制されることを確認できた。また、実施例2の固体高分子形燃料電池用電極基材の融着部分に含まれる白金粒子の粒径が増大していないこともX線回折での回折ピークの半値幅から確認した。さらに、実施例2では固体高分子電解質膜中に白金粒子の存在は確認できなかったが、比較例2では、固体高分子電解質膜中に白金粒子の存在が確認され、これはカソード電極触媒層中の白金粒子が溶出したものと考えられる。
以上のように、実施例2の単セルでは、酸素と水素との発熱を伴う反応が融着部分で優先的に起こるため、カソード電極触媒層に含まれる白金粒子の表面で発熱を伴う反応が起こりにくくなり、白金粒子の粒径の増大や白金粒子の溶出が抑制されることが分かる。
実施の形態1の固体高分子形燃料電池用電極基材をアノード電極基材に用いた固体高分子形燃料電池の断面図である。 実施の形態1の固体高分子形燃料電池用電極基材の融着部分の拡大図である。 実施の形態2の固体高分子形燃料電池用電極基材をカソード電極基材に用いた固体高分子形燃料電池の断面図である。 実施の形態2の固体高分子形燃料電池用電極基材の融着部分の拡大図である。
符号の説明
1 固体高分子電解質膜、2 アノード電極、3 カソード電極、4,5 セパレータ、6 アノード電極触媒層、7 固体高分子形燃料電池用電極基材、8 カソード電極触媒層、9 カソード電極基材、10 燃料ガス流路、11 酸化剤ガス流路、12 ガスシール部、13 導電性繊維、14 融着部分、15 露出部分、16 導電性粒子、17 触媒粒子、18 触媒担持導電性粒子、19 撥水性樹脂粒子、20 水かき部、21 アノード電極基材。

Claims (6)

  1. 電極基材を構成する導電性繊維の表面に触媒担持導電性粒子が撥水性樹脂を介して融着された融着部分と導電性繊維が露出した露出部分とを有し、融着部分が電極基材全体に斑状に分布していることを特徴とする固体高分子形燃料電池用電極基材。
  2. 触媒担持導電性粒子及び撥水性樹脂粒子の水分散液中に電極基材を浸漬した後、撥水性樹脂の融点以上の温度で焼成することを特徴とする請求項1に記載の固体高分子形燃料電池用電極基材の製造方法。
  3. 固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜の両面に配置した一対の電極とを備え、電極の少なくとも一方が、固体高分子電解質膜側に配置された電極触媒層と、電極触媒層の外側に配置された請求項1に記載の固体高分子形燃料電池用電極基材とからなることを特徴とする固体高分子形燃料電池。
  4. 固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜の両面に配置した一対の電極とを備え、電極の少なくとも一方が、固体高分子電解質膜側に配置された電極触媒層と、電極触媒層の外側に配置された請求項1に記載の固体高分子形燃料電池用電極基材とからなる固体高分子形燃料電池の運転方法であって、固体高分子形燃料電池用電極基材中の触媒表面において酸素と一酸化炭素及び水素の少なくとも一方とを反応させることを特徴とする固体高分子形燃料電池の運転方法。
  5. 固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜の両面に配置したアノード電極及びカソード電極とを備え、アノード電極が、固体高分子電解質膜側に配置された電極触媒層と、電極触媒層の外側に配置された請求項1に記載の固体高分子形燃料電池用電極基材とからなる固体高分子形燃料電池の運転方法であって、燃料ガスに含まれる一酸化炭素を固体高分子形燃料電池用電極基材中の触媒に吸着させ、これを燃料ガスに添加された酸素で酸化除去することにより、電極触媒層に導入される一酸化炭素濃度を低減することを特徴とする固体高分子形燃料電池の運転方法。
  6. 固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜の両面に配置したアノード電極及びカソード電極とを備え、カソード電極が、固体高分子電解質膜側に配置された電極触媒層と、電極触媒層の外側に配置された請求項1に記載の固体高分子形燃料電池用電極基材とからなる固体高分子形燃料電池の運転方法であって、水素が添加された酸化剤ガスをカソード電極に供給して固体高分子形燃料電池用電極基材内で水を生じさせることにより、カソード電極を加湿すると共に加温することを特徴とする固体高分子形燃料電池の運転方法。
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