JP2009097859A - 撹拌容器の製造方法および撹拌容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】振動発生部材一体型の撹拌容器を、簡便にかつ安価に製造することのできる製造方法と、この製造方法によって得られる撹拌容器とを提供する。
【解決手段】振動を発生する振動発生部材(圧電素子)19が容器に一体に設けられてなり、容器内に保持した液体を振動発生部材19が発生する振動によって撹拌する撹拌容器1の製造方法である。振動発生部材19の少なくとも一部を、エアロゾルデポジション法で容器に直接的に形成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、撹拌装置や分析装置で使用される撹拌容器の製造方法と、この製造方法で得られる撹拌容器に関する。
従来、撹拌装置や分析装置で使用される撹拌容器として、振動を発生する部材(振動発生部材)を容器に一体に設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1の撹拌容器は、振動発生部材として、音波発生部材を容器に一体に形成したものである。
ところで、このように振動発生部材を一体に設けた撹拌容器の製造方法としては、容器とは別に振動発生部材を製造し、得られた振動発生部材を容器に貼り付けることで、振動発生部材一体型の撹拌容器とするのが一般的である。例えば、前記特許文献1に開示された撹拌容器では、その製造方法として、振動発生部材をエポキシ樹脂などで容器に貼り付けて一体化する方法が、開示されている。
また、振動発生部材を容器に直接形成し、撹拌容器を製造する方法も知られている。このような製造方法では、スパッタリング法やイオンプレーティング法に代表される真空成膜法が、一般的に用いられている。
特開2006−90791号公報
しかしながら、前記したように振動発生部材をエポキシ樹脂などの接着剤で接着し、容器に一体化する方法では、振動発生部材で発生させた振動がエポキシ樹脂などの接着層で減衰し、振動の伝達効率が低下してしまう。その結果、得られた撹拌容器では、撹拌効率が低下してしまう。
また、振動発生部材を真空成膜法で容器に直接形成する方法では、成膜室を高真空にするために長時間を要することから、生産性が悪く、さらに、材料の使用効率、基材の制限、成膜レートなどの問題もあり、撹拌容器を安価に製造するのが困難であった。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたもので、振動発生部材一体型の撹拌容器を、簡便にかつ安価に製造することのできる製造方法と、この製造方法によって得られる撹拌容器とを提供することを目的としている。
前記目的を達成するため本発明の撹拌容器の製造方法は、振動を発生する振動発生部材が容器に一体に設けられてなり、前記容器内に保持した液体を前記振動発生部材が発生する振動によって撹拌する撹拌容器の製造方法であって、
前記振動発生部材の少なくとも一部を、エアロゾルデポジション法で容器に直接的に形成することを特徴としている。
ここで、本発明において直接的とは、エアロゾルデポジション法で形成する前記「一部」となる構成要素が、振動発生部材の構成要素以外のもの、例えば接着層を介在させることなく、容器に直接形成されているか、あるいは振動発生部材における前記「一部」以外の他の構成要素を介して容器に形成されていることをいう。
この撹拌容器の製造方法によれば、振動発生部材の少なくとも一部をエアロゾルデポジション法で容器に直接的に形成するので、接着層等を介在させることなく、振動発生部材を容器に直接形成してこれを容器に一体化させることが可能になる。したがって、振動発生部材で発生させた振動が接着層で減衰してしまう不都合が回避される。また、エアロゾルデポジション法で振動発生部材の少なくとも一部を形成するので、このエアロゾルデポジション法で形成する部分に関しては、従来のような高真空にするための時間が不要となって生産性が向上し、さらに、振動発生部材についての材料の選択自由度も高まる。
また、前記撹拌容器の製造方法においては、振動発生部材が電極と圧電体膜とを有してなり、これら電極と圧電体膜とのうちの少なくとも一方を、エアロゾルデポジション法で容器に直接的に形成するのが好ましい。
このようにすれば、振動発生部材として必要な電極または圧電体膜をエアロゾルデポジション法で形成するので、これら電極または圧電体膜を効率的に、かつ安価に形成することが可能になる。
また、前記撹拌容器の製造方法においては、前記電極と圧電体膜とのうちの少なくとも圧電体膜を、エアロゾルデポジション法で容器に直接的に形成するのが好ましい。
このようにすれば、真空成膜法で形成する場合に比べ、比較的低温の結晶化処理を行うことで良好な圧電特性を有する圧電体膜を形成することが可能になる。
なお、この撹拌容器の製造方法においては、前記電極として、櫛型電極と該櫛型電極に接続するアンテナ電極とを、エアロゾルデポジション法で形成された前記圧電体膜上に形成するのが好ましい。
このようにすれば、容器上に直接形成した圧電体膜上に、櫛型電極とアンテナ電極とを有する表面弾性波素子を製造することができ、したがって振動発生部材としての表面弾性波素子を、容器に直接形成してこれを容器に一体化させることができる。
また、前記撹拌容器の製造方法においては、前記電極と圧電体膜との両方を、エアロゾルデポジション法で容器に直接的に形成するのが好ましい。
このようにすれば、電極と圧電体膜との両方をエアロゾルデポジション法で形成するので、これら各形成工程を連続した工程として処理することができ、したがって生産性をより向上することができる。
なお、この撹拌容器の製造方法においては、前記容器にエアロゾルデポジション法で下部電極を形成する工程と、前記下部電極上にエアロゾルデポジション法で圧電体膜を形成する工程と、前記圧電体膜上にエアロゾルデポジション法で上部電極を形成する工程と、を有するのが好ましい。
このようにすれば、下部電極と圧電体膜と上部電極とが積層されてなる簡易な構成の圧電体素子を、振動発生部材として容器に直接形成し、これを容器に一体化させることができる。
また、本発明の撹拌容器は、振動を発生する振動発生部材が容器に一体に設けられてなり、前記容器内に保持した液体を前記振動発生部材が発生する振動によって撹拌する撹拌容器であって、前記製造方法のいずれかによって製造されたことを特徴としている。
この撹拌容器によれば、振動発生部材で発生した振動が接着層で減衰してしまう不都合が回避され、また、生産性が向上し、振動発生部材についての材料の選択自由度も高められたものとなる。
本発明の撹拌容器の製造方法にあっては、接着層等を介在させることなく、振動発生部材を容器に直接形成してこれを容器に一体化させるようにしたので、振動発生部材で発生させた振動が接着層で減衰してしまう不都合を回避し、容器内の液体に高い効率で振動を伝え、これによって良好に撹拌することができる撹拌容器を製造することができる。また、エアロゾルデポジション法で形成する部分に関して、その生産性を向上し、さらに材料の選択自由度も高めているので、撹拌容器を従来に比べ簡便にかつ安価に製造することができる。
本発明の撹拌容器にあっては、前記製造方法で製造されているので、良好な撹拌性能を有し、さらに、生産性が良く安価なものとなる。
以下、本発明を詳しく説明する。
まず、本発明の撹拌容器について説明する。図1は、本発明の撹拌容器の第1実施形態を示す図であり、図1中符号1は、後述する本発明の製造方法によって製造されてなる撹拌容器である。この撹拌容器1は、パイレックス(登録商標)ガラス等の耐熱ガラスによって形成された、透明で有底四角筒状の容器1aと、この容器1aに一体に形成された圧電素子とからなるものである。
図2は、撹拌容器1の底面部の概略構成図、図3は、図2のA−A線に沿った要部拡大断面図である。図2、図3に示すように圧電素子19は、容器1aの底面18(底板の外面)に形成されたもので、本発明において振動を発生する振動発生部材となるものである。この圧電素子19は、前記底面18上に直接形成された略T字状の下部電極20と、この下部電極20の一端部、すなわち前記底面18の中央部に位置する端部20a上に形成された圧電体膜21と、この圧電体膜21の大半部を覆って形成された略T字状の上部電極22とからなるものである。
ここで、圧電素子19は、図3に示すように下部電極20と圧電体膜21と上部電極22とが積層され、したがって圧電体膜21が下部電極20と上部電極22との間に挟み込まれてなる素子部19aを有して構成されており、この素子部19aが、振動を発生する振動発生部材として機能する部分となっている。なお、このような素子部19aを含む圧電素子19においては、前記したように上部電極22と下部電極20とは直接接触しないように形成されている。すなわち、下部電極20と上部電極22とは、図2に示したように平面視した状態で、前記底面18の中央部においてのみ、つまり圧電体膜21の形成位置においてのみ、該圧電体膜21を介して重なっており、その他の箇所では直接接触しないようになっている。
このような構成の圧電素子19において圧電体膜21は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなっている。また、下部電極20、上部電極22は、いずれも白金(Pt)によって形成されている。なお、圧電体膜21の材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)に限定されることなく、他の圧電材料を用いることもできる。また、下部電極20や上部電極22についても、電極としての機能を満たせば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)や、これら元素を含む物質など、どのような導電材料を用いることもできる。
次に、このような構成の撹拌容器1の製造方法について説明するが、これに先立ち、本発明に係るエアロゾルデポジション法による成膜装置について説明する。図4は、エアロゾルデポジション法による成膜装置の一例の概略構成を示す図である。この成膜装置はエアロゾルデポジション法によって成膜をなす成膜室4を有し、この成膜室4内には、前記容器1aを保持する基板ホルダ3が、成膜位置を制御するためのXYZθ制御ユニット2に接続された状態で設置されている。なお、本例では、ガラス製の前記容器1aを、その底面18が下方に向くようにして、基板ホルダ3に複数個まとめて保持させている。また、成膜室4は、バルブ14を介して真空ポンプ15に接続されている。
また、この成膜装置にはガラス瓶等からなるエアロゾル化室5が設けられている。このエアロゾル化室5は、中にエアロゾルデポジション法で成膜する材料の微粒子6を入れたもので、パイプ9を介して分級装置7に接続され、さらに分級装置7からはパイプ16を介して成膜室4内のノズル8に接続されている。また、このエアロゾル化室5には、高圧ガスボンベ10がバルブ12を介してパイプ11で接続されている。
高圧ガスボンベ10は、バルブ13を介して分級装置7にも、パイプ11を介して直接接続されている。高圧ガスボンベ10に充填される高圧ガスとしては、Heガスが好適に用いられるが、特にこれに制限されることなく、成膜する構成要素の品質を満たすことができれば、どのようなガスを選択し用いてもよい。また、バルブ12、バルブ13には図示しない制御装置が接続されており、この制御装置によって高圧ガスボンベ10から流出するHeガスの圧を、制御することができるようになっている。さらに、エアロゾル化室5に流入するガス圧と分級装置7に直接流入するガス圧との圧力差を制御し、これによって前記微粒子6を含むガス流中の、微粒子6の濃度も制御できるようになっている。
次に、このような成膜装置を用いた、本発明に係る撹拌容器の製造方法について説明する。
(第1実施形態)
まず、本発明の撹拌容器の製造方法の、第1実施形態を説明する。この第1実施形態は、特に図2、図3に示した圧電素子19における圧電体膜21を、前記成膜装置を用いてエアロゾルデポジション法で形成する方法である。
この第1実施形態では、まず、一般的なスパッタ装置により、パイレックス(登録商標)ガラス製の容器1aの底面18に、厚さ0.3μmの白金膜をスパッタリング法で成膜し、略T字状の下部電極20を形成する。ここで、この下部電極20の形成にあたっては、マスクを用いて図2に示した略T字状に成膜・形成してもよく、また、底面18の全面に成膜した後、これを公知のレジスト技術、リソグラフィー技術、エッチング技術を用いてパターニングし、略T字状に形成してもよい。
次に、この下部電極20を形成した容器1aを、図4に示した成膜室4内に設置する。本例では、下部電極20を形成した容器1aを、その底面18が下方に向くようにして、基板ホルダ3に4個まとめて保持させる。また、エアロゾル化室5内には、圧電体膜21の材料となる微粒子として、粒径4μm以下で平均粒径2μmのチタン酸ジルコン酸鉛からなる圧電セラミックス微粒子6を入れておく。
続いて、成膜室4内を真空ポンプ15によって数Torr(数百Pa)以下に減圧する。このように、成膜室4を高真空にすることなく、数Torr以下に減圧するだけであるので、高真空にする場合のように長時間を要することなく、この処理を比較的短時間で終了させることができる。
そして、このように成膜室4を減圧した状態で、高圧ガスボンベ10から前記エアロゾル化室5内にHeガスを流入させ、このエアロゾル化室5内にて、チタン酸ジルコン酸鉛からなる圧電セラミックス微粒子6をHeガスで撹拌・混合し、エアロゾル化する。そして、このエアロゾル化した圧電セラミックス微粒子6を、成膜室4とエアロゾル化室5との圧力差によるHeガスの流れによって成膜室4に移送する。これにより、エアロゾル化した圧電セラミックス微粒子6を含むガス流は、開口サイズ1mm×0.2mmのノズル8を通って加速され、マスク17を通って容器1aに噴射され、前記下部電極20上に衝突させられる。
このとき、ノズル8から噴射された圧電セラミックス微粒子6が、下部電極20の前記端部20a上における、1.5mm×2mmの範囲に衝突するように、XYZθ制御ユニット2によって基板ホルダ3を制御する。これにより、容器1aの底面18に形成された下部電極20の端部20aの表面に、厚さ30μmの圧電体膜21を、1.5mm×2mmの大きさに形成する。そして、形成した圧電体膜21については、必要に応じて加熱による結晶化処理を行い、より良好な圧電特性を付与する。
なお、エアロゾル化室5と成膜室4との間に分級装置7を設けたことにより、粒径2μmを越える圧電セラミックス微粒子6は成膜室4に移送されないようになっている。したがって、容器1aに噴射される圧電セラミックス微粒子6は、粒径が2μm以下に制御されている。これは、噴射する圧電セラミックス微粒子6が2μmを越えて大きくなると、得られる圧電体膜21の緻密性や平滑性が低下してしまうためである。ただし、特にこれらの品質が得られる撹拌容器1の撹拌特性に大きく影響しない場合には、この分級装置7を用いることなく、したがって粒径が2μmを越える圧電セラミックス微粒子6も、容器1aに噴射するようにしてもよい。また、予め圧電セラミックス微粒子6の粒径を十分に分級し制御して使用する場合にも、分級装置7を用いた場合と同様の効果が得られることから、分級装置7を用いなくてもよい。
また、圧電セラミックス微粒子6を成膜室4とエアロゾル化室5との圧力差によって加速し噴射しているが、その速度を制御するため、図示しない制御装置によってバルブ12、バルブ13の開度を調整し、圧力差を制御している。本実施形態では、圧電セラミックス微粒子6を含むガス流の容器1aに対する噴射速度を、特に100m/秒以上300m/秒以下に制御している。なお、この噴射速度は、10m/秒以上1000m/秒以下の範囲内において、得られる圧電体膜21の要求される品質レベルに応じて任意に選択することができる。この噴射速度は、遅すぎると得られる圧電体膜21の密度が十分に大きくならず、また、速すぎると容器1aの温度が必要以上に上昇したり、得られる圧電体膜21が破壊したりするなどの不都合を生じることから、前記したように噴射速度を、10m/秒以上1000m/秒以下にするのが好ましい。
このようにしてエアロゾルデポジション法で圧電体膜21を形成したら、容器1aを成膜室4から取り出し、スパッタ装置に入れる。そして、下部電極20を形成したときと同様にスパッタリング法を用いて、0.3μmの白金膜を形成し、略T字状の上部電極22を形成する。これにより、下部電極20、圧電体膜21、上部電極22からなる圧電素子19が容器1aの底面18に形成される。
その後、形成した圧電素子19に加熱処理と分極処理とを施し、圧電素子19に振動発生部材としての良好な特性を付加する。加熱処理としては、例えば550℃で30分間保持することで行う。また、分極処理としては、上部電極22と下部電極20との間に例えば250Vで30分間電圧を印加することで行う。
これにより、本発明の撹拌容器1が得られる。
このようにして得られた本実施形態に係る撹拌容器1の、撹拌性能に関する評価を行った。
撹拌容器1の、下部電極20と上部電極22との間に電圧を印加したところ、圧電体膜21が良好に振動した。
次に、電圧印加を停止して圧電体膜21の振動を止め、その状態で撹拌容器1に透明の液体を入れ、さらにこの液体とは比重が異なる着色した液体も入れた。続いて、圧電素子19に電圧を印加し、圧電体膜21を振動させて撹拌容器1内を撹拌した。
そして、撹拌が完了するまでの時間を測定したところ、振動発生部材を接着によって容器の底面に貼り付けた従来の撹拌容器に比べ、本実施形態に係る撹拌容器1は、撹拌完了までの時間が、30%以上短縮していることが分かった。
したがって、本実施形態の製造方法によれば、撹拌効率が高い良好な撹拌容器1を製造できることが確認された。また、この製造方法にあっては、圧電体膜21をエアロゾルデポジション法で形成するので、真空成膜法で形成する場合に比べて比較的低温の結晶化処理を行うことで、良好な圧電特性を有する圧電体膜21を形成することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の撹拌容器の製造方法の、第2実施形態を説明する。この第2実施形態が第1実施形態と主に異なるところは、圧電体膜21だけでなく下部電極20および上部電極22も、前記成膜装置を用いてエアロゾルデポジション法で形成する点である。なお、その他については、基本的には第1実施形態と同様にしている。
この第2実施形態では、まず、パイレックス(登録商標)ガラス製の容器1aを、図4に示した成膜室4内に設置する。本例でも、容器1aを、その底面18が下方に向くようにして、基板ホルダ3に4個まとめて保持させる。また、エアロゾル化室5内には、下部電極22の原料として、粒径0.7μm以上2μm以下に選別した白金微粒子6を入れておく。
続いて、成膜室4内を真空ポンプ15によって、数Torr(数百Pa)以下に減圧する。この場合にも、成膜室4を数Torr以下に減圧するだけであるので、高真空にする場合のように長時間を要することなく、比較的短時間でこの処理を終了させることができる。
そして、このように成膜室4を減圧した状態で、高圧ガスボンベ10から前記エアロゾル化室5内にHeガスを流入させ、このエアロゾル化室5内にて、白金微粒子6をHeガスで撹拌・混合し、エアロゾル化する。そして、このエアロゾル化した白金微粒子6を、成膜室4とエアロゾル化室5との圧力差によるHeガスの流れによって成膜室4に移送する。これにより、エアロゾル化した白金微粒子6を含むガス流は、開口サイズ2mm×0.3mmのノズル8を通って加速され、マスク17を通って容器1aに噴射され、容器1aの底面18上に衝突させられる。
このとき、ノズル8から噴射された白金微粒子6が、底面18上に厚さ0.3μmに成膜されるように、XYZθ制御ユニット2によって基板ホルダ3を制御する。これにより、容器1aの底面18に、厚さ0.3μmの略T字状の下部電極20を形成する。なお、白金微粒子6を成膜室4とエアロゾル化室5との圧力差によって加速し噴射しているが、その速度を制御するため、図示しない制御装置によってバルブ12、バルブ13の開度を調整し、圧力差を制御している。本実施形態では、白金微粒子6を含むガス流の容器1aに対する相対速度を、特に100m/秒以上300m/秒以下に制御する。
次いで、第1実施形態と同様にして、前記の下部電極20上に圧電体膜21を形成する。さらに、圧電体膜21の形成後、下部電極20の形成と同様の方法により、上部電極22も形成する。これにより、圧電素子19を形成する。
なお、本実施形態では、図4に示した成膜装置に予め下部電極形成用、圧電体膜形成用、上部電極形成用の三つのエアロゾル化室5を用意しておき、これら三つのエアロゾル化室5を切り替えて使用することで、同じ成膜装置により、下部電極20の形成から圧電体膜21の形成、上部電極22の形成を、連続して行う。
そして、このようにして作製した圧電素子19についても、第1実施形態と同様に、加熱処理と分極処理とを行う。その他については、第1実施形態と同様にして行う。
これにより、本発明の撹拌容器1が得られる。
このようにして得られた本実施形態に係る撹拌容器1の、撹拌性能に関する評価を第1実施形態と同様にして行ったところ、本実施形態に係る撹拌容器1は、従来のものに比べ撹拌完了までの時間が短いことが分かった。したがって、本実施形態の製造方法によれば、撹拌効率が高い良好な撹拌容器1を製造できることが確認された。
また、本実施形態によれば、下部電極20および上部電極22もエアロゾルデポジション法にて形成するため、高真空が必要なスパッタリングなどの成膜工程がなくなり、さらに効率的に撹拌容器1を製造することができる。また、下部電極20、圧電体膜21、上部電極22の全てを同じエアロゾルデポジション法で形成するため、成膜装置が簡便化するばかりでなく、短時間で所望の撹拌容器1を形成することができ、したがって生産性をより一層向上することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の撹拌容器の製造方法の、第3実施形態を説明するが、これに先立ち、第3実施形態の製造方法で製造する撹拌容器23について、図5を参照して説明する。
図5は、撹拌容器23の底面部の概念図である。なお、底面部以外の構成は、図1に示した撹拌容器1と同様である。この撹拌容器23は、先の実施形態と同様に、容器1aの底面24に振動発生部材としての表面弾性波素子28を形成したものである。
すなわち、本実施形態に係る撹拌容器23には、パイレックス(登録商標)ガラス製の容器1aの底面24のほぼ全体に、酸化亜鉛からなる圧電体膜25が形成されている。そして、この圧電体膜25上に、櫛型電極(IDT)26と、この櫛型電極26に接続するアンテナ電極27とが形成されている。これにより、容器1aの底面(撹拌容器23の底面)24には、振動発生部材としての表面弾性波素子28が直接形成されたものとなっている。
このような構成の撹拌容器23の製造方法においても、図4に示したエアロゾルデポジション法による成膜装置を用いる。
この製造方法では、まず、パイレックス(登録商標)ガラス製の容器1aを、図4に示した成膜室4内に設置する。本例では、容器1aを、その底面24が下方に向くようにして、基板ホルダ3に6個まとめて保持させる。また、エアロゾル化室5内には、圧電体膜25の材料として、粒径が0.7μm以上1.5μm以下になるように予め分級された酸化亜鉛微粒子6を入れておく。
続いて、成膜室4内を真空ポンプ15によって、数Torr(数百Pa)以下に減圧する。この場合にも、成膜室4を数Torr以下に減圧するだけであるので、高真空にする場合のように長時間を要することなく、比較的短時間でこの処理を終了させることができる。
そして、このように成膜室4を減圧した状態で、高圧ガスボンベ10から前記エアロゾル化室5内にHeガスを流入させ、このエアロゾル化室5内にて、酸化亜鉛微粒子6をHeガスで撹拌・混合し、エアロゾル化する。次いで、このエアロゾル化した酸化亜鉛微粒子6を、成膜室4とエアロゾル化室5との圧力差によるHeガスの流れによって成膜室4に移送する。これにより、エアロゾル化した酸化亜鉛微粒子6を含むガス流は、開口サイズ2mm×0.3mmのノズル8を通って加速され、マスク17を通って容器1aに噴射され、容器1aの底面24上に衝突させられる。
このとき、ノズル8から噴射された酸化亜鉛微粒子6が、底面全体に所望の厚さで成膜されるように、XYZθ制御ユニット2によって基板ホルダ3を制御する。これにより、容器1aの底面24のほぼ全体に圧電体膜25を形成する。そして、形成した圧電体膜25については、必要に応じて加熱による結晶化処理を行い、より良好な圧電特性を付与する。
その後、第2実施形態における下部電極20や上部電極22の形成方法と同様にして、櫛型電極26とアンテナ電極27とを形成し、表面弾性波素子28を形成する。なお、これら櫛型電極26、アンテナ電極27を形成する際には、それぞれが所望の形状となるように、基板ホルダ3をXYZθ制御ユニット2によって厳密に制御する。また、圧電体膜25や櫛型電極26、アンテナ電極27の形成以外については、第2実施形態と同様にして行う。
これにより、本発明の撹拌容器23が得られる。
このようにして得られた本実施形態に係る撹拌容器23の、撹拌性能に関する評価を第1実施形態と同様にして行ったところ、本実施形態に係る撹拌容器23も、従来のものに比べ撹拌完了までの時間が短いことが分かった。したがって、本実施形態の製造方法によれば、撹拌効率が高い良好な撹拌容器23を製造できることが確認された。
また、本実施形態によれば、容器1a上に直接形成した圧電体膜25上に、櫛型電極26とアンテナ電極27とを有する表面弾性波素子28を製造することができ、したがって振動発生部材としての表面弾性波素子28を、容器1aに直接形成してこれを容器に一体化させることができる。よって、より撹拌効率が高い撹拌容器23を形成することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、前記第3実施形態においては、櫛型電極26とアンテナ電極27をエアロゾルデポジション法で形成するのに代えて、第1実施形態における下部電極20や上部電極22の形成と同様に、スパッタリング法で行ってもよい。
また、エアロゾルデポジション法による成膜装置についても、図4に示した装置に限定されることなく、エアロゾルデポジション法による成膜が行えれば他の構成の装置を用いることもできる。
さらに、本発明の撹拌容器となる容器1aについても、有底四角筒状のものに限定されることなく、種々の形状の容器が用いられ、また、その材質についても、ガラス以外の金属やセラミックス、合成樹脂など、種々のものが使用可能である。
また、容器に対する振動発生部材の形成箇所についても、底面以外に、側面などに形成してもよい。
本発明に係る撹拌容器の斜視図である。 図1に示した撹拌容器の底面部の概略構成図である。 撹拌容器の底面部の拡大側断面図であって、図2のA−A線矢視断面拡大図である。 本発明に係るエアロゾルデポジション法による成膜装置である。 本発明に係る撹拌容器の底面部の概略構成図である。
符号の説明
1、23…撹拌容器、1a…容器、19…圧電素子(振動発生部材)、19a…素子部、20…下部電極、21…圧電体膜、22…上部電極、25…圧電体膜、26…櫛型電極、27…アンテナ電極、28…表面弾性波素子(振動発生部材)

Claims (7)

  1. 振動を発生する振動発生部材が容器に一体に設けられてなり、前記容器内に保持した液体を前記振動発生部材が発生する振動によって撹拌する撹拌容器の製造方法であって、
    前記振動発生部材の少なくとも一部を、エアロゾルデポジション法で容器に直接的に形成することを特徴とする撹拌容器の製造方法。
  2. 前記振動発生部材が電極と圧電体膜とを有してなり、これら電極と圧電体膜とのうちの少なくとも一方を、エアロゾルデポジション法で容器に直接的に形成することを特徴とする請求項1記載の撹拌容器の製造方法。
  3. 前記電極と圧電体膜とのうちの少なくとも圧電体膜を、エアロゾルデポジション法で容器に直接的に形成することを特徴とする請求項2記載の撹拌容器の製造方法。
  4. 前記電極として、櫛型電極と該櫛型電極に接続するアンテナ電極とを、エアロゾルデポジション法で形成された前記圧電体膜上に形成することを特徴とする請求項3記載の撹拌容器の製造方法。
  5. 前記電極と圧電体膜との両方を、エアロゾルデポジション法で容器に直接的に形成することを特徴とする請求項3記載の撹拌容器の製造方法。
  6. 前記容器にエアロゾルデポジション法で下部電極を形成する工程と、
    前記下部電極上にエアロゾルデポジション法で圧電体膜を形成する工程と、
    前記圧電体膜上にエアロゾルデポジション法で上部電極を形成する工程と、を有することを特徴とする請求項5記載の撹拌容器の製造方法。
  7. 振動を発生する振動発生部材が容器に一体に設けられてなり、前記容器内に保持した液体を前記振動発生部材が発生する振動によって撹拌する撹拌容器であって、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の撹拌容器の製造方法で製造されたことを特徴とする撹拌容器。
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