JP2009097666A - 撓み軸継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】大型化を招くことなく許容伝達トルクを増大させた高容量の撓み軸継手を提供すること。
【解決手段】回転方向の力が入力される入力部材11、13、15と、回転方向の力を出力する出力部材12、14、16と、回転方向を周方向とする環状部18bを有し、入力部材11、13、15と出力部材12、14、16とが周方向に離間するよう交互に埋設された弾性体18と、周方向に隣り合う入力部材11、13、15および出力部材12、14、16の間で回転方向の力を伝達するよう弾性体18内に介装された抗張力部材21ないし26と、を備えた撓み軸継手において、抗張力部材21ないし26が、周方向に隣り合う入力部材11、13、15および出力部材12、14、16のそれぞれに係合する両端部21e、21fなどと、それよりも弾性体18の放射外方側に位置する中間部21g、21jなどと、を有することを特徴とする。
【選択図】図5

Description

本発明は、駆動軸と被駆動軸との間に介在し、駆動軸と被駆動軸とを変位可能に連結する撓み軸継手に関する。
一般に、駆動軸から被駆動軸に回転力を伝達するには、駆動軸と被駆動軸との間に継手が連結されている。特に、自動車などのトルク伝達系においては、軸同士の偏心や偏角を吸収するとともに、軸のねじり振動を抑制し、衝撃荷重を緩和するために可撓性のある撓み軸継手が使用されている。この撓み軸継手においては、一般に、駆動軸に係合するカラーと被駆動軸に係合するカラーとが周方向に交互に配置され、隣り合うカラー間が弾性コードで連結されることにより、軸同士の偏心などが吸収されるとともに回転力が伝達されるようになっている。
従来、この種の撓み軸継手として、例えば、隣り合うカラー間を連結する弾性コードの巻回形状をたすき掛けとしたもの、クリップでループ状に巻回した弾性コードの中間部を絞るように拘束したもの、巻回形状が楕円形状となっている従前のものよりも撓み軸継手の内方のセンタリング作業空間を広げるようにしたものなどが知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
実開平05−25028号公報 実開平05−45255号公報
しかしながら、前述のような従来の撓み軸継手にあっては、駆動軸側と被駆動軸側のカラー間での弾性コードによる回転力の伝達方向が、撓み軸継手の円周接線方向に対して、大きな角度を持つ構造となっていた。すなわち、カラーの接線と、カラー間を結ぶ線とがなす角をαとすると、なす角αが大きな角度を持つ構造となっていた。
そのため、弾性コードの許容引張応力(N/m)、線径(mm)、巻数(回)により決定される許容引張力T(N)をある程度確保しても、許容される伝達トルクNが小さくなってしまうという問題があった。すなわち、円周上に配置された前述のカラーの中心からの半径をR(mm)とし、伝達トルク(Nm)をNとすると、伝達トルクNは、
N=R×T×cosα
で表されるので、例えば、円周上に配置されたカラーの数が少ないため、そのなす角αが大きくなると、許容引張力T(N)がある程度確保できても、許容される伝達トルクNが小さくなってしまうという問題があった。
したがって、このような従来の撓み軸継手において、許容される伝達トルクNを増大させるには、弾性コードの線径や巻数を増やす必要から、撓み軸継手が大型になってしまうという問題があった。
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、大型化を招くことなく許容伝達トルクを増大させた高容量の撓み軸継手を提供することを目的とする。
本発明に係る撓み軸継手は、上記目的達成のため、(1)回転方向の力が入力される複数の入力部材と、回転方向の力を出力する複数の出力部材と、前記回転方向を周方向とする環状部を有し、前記入力部材と前記出力部材とが前記周方向に離間するよう交互に埋設された弾性体と、前記周方向に隣り合う前記入力部材および前記出力部材の間で前記回転方向の力を伝達するよう前記弾性体内に介装された伝達部材と、を備えた撓み軸継手において、前記抗張力部材が、前記周方向に隣り合う前記入力部材および前記出力部材のそれぞれに係合する両端部と、該両端部よりも前記弾性体の放射外方側に位置する中間部と、を有することを特徴とする。
この構成により、伝達部材の力の伝達方向が、入力部材に作用する回転方向の力の方向に近付くことになり、伝達部材の力の伝達方向と入力方向とのなす角が小さくなる。なす角が小さくなると、伝達部材の巻き数を増やしたり線径を大きくしたりすることなく、伝達部材の許容伝達力が増大し、入力部材から出力部材に伝達されうる回転方向の力、すなわち、許容伝達トルクが増大する。その結果、大型化を招くことなく許容伝達トルクを増大させた高容量の撓み軸継手が得られる。
上記(1)に記載の撓み軸継手においては、好ましくは、(2)前記伝達部材が、張力に抗して前記回転方向の力を伝達する抗張力部材で構成される。
この構成により、抗張力部材の引張方向が、入力部材へ回転方向の力が入力された際、入力方向に近付くことになり、抗張力部材の引張方向と前述の入力方向とのなす角が小さくなる。なす角が小さくなると、抗張力部材の巻き数を増やしたり線径を大きくしたりすることなく、抗張力部材の許容引張力が増大し、入力部材から出力部材に伝達されうる回転方向の力、すなわち、許容伝達トルクが増大する。その結果、大型化を招くことなく許容伝達トルクを増大させた高容量の撓み軸継手が得られる。
上記(2)に記載の撓み軸継手は、好ましくは、(3)前記弾性体内に支持され、前記抗張力部材の中間部を前記抗張力部材の両端部よりも前記弾性体の放射外方側の位置に拘束する拘束部材をさらに備える。
この構成により、抗張力部材の中間部の位置を安定させ、抗張力部材に作用する張力とその方向を安定させることができる。
上記(2)または(3)に記載の撓み軸継手において、(4)前記抗張力部材が、前記周方向に隣り合う前記入力部材および前記出力部材の間でループ状に巻き掛けられるとともに、前記周方向に隣り合う前記入力部材および前記出力部材の間に、前記弾性体の放射外方側に位置する外側抗張力部と該外側抗張力部より前記弾性体の放射内方側に位置する内側抗張力部とを形成し、前記外側抗張力部と前記内側抗張力部のうち少なくとも一方が、その両端部よりも前記弾性体の放射外方側に位置する中間部を有するよう構成するのが好ましい。
この構成により、外側抗張力部と内側抗張力部のうち少なくとも一方がその両端部よりも弾性体の放射外方側に位置する中間部を有することで、抗張力部材の引張方向が入力部材へ回転方向の力が入力された方向に近付くことになり、許容伝達トルクを増大させることができる。
また、上記(2)ないし(4)に記載の撓み軸継手において、(5)前記入力部材および前記出力部材のそれぞれが、前記弾性体内で互いに平行に、かつ、同一円周上で前記周方向に等間隔に離間する複数の円筒状カラー部材で構成されてもよい。
この構成により、入力部材となる円筒状カラー部材にその一端側から回転方向の力を入力させ、出力部材となる円筒状カラー部材の他端側から回転方向の力を出力させることができるコンパクトな撓み軸継手となる。
また、上記(2)ないし(5)に記載の撓み軸継手において、(6)前記抗張力部材の両端部が、前記周方向に隣り合う前記入力部材および前記出力部材の間で、前記抗張力部材の両端部間を最短で結ぶ直線の方向よりも前記入力部材および前記出力部材が配置された円周の接線方向に近い方向に延在するよう構成してもよい。
この構成により、抗張力部材の張力の大きさと入出力される回転方向の力の大きさとがさほど相違ないものとなり、許容伝達トルクを増大させることができる。
また、上記(3)に記載の撓み軸継手は、好ましくは、(7)前記拘束部材が、前記弾性体より硬質の素材からなり、前記弾性体内に埋設されるよう構成される。
この構成により、抗張力部材の中間部の位置を確実に安定させ、抗張力部材に作用する張力とその方向を確実に安定させることができる。
また、上記(3)または(7)に記載の撓み軸継手において、(8)前記拘束部材が、前記抗張力部材の中間部に係合する湾曲面部を有するよう構成する。
この構成により、抗張力部材の中間部が拘束部材の湾曲面部で面接触により拘束されるので、抗張力部材の中間部が受ける拘束部材の拘束方向の応力が緩和され、抗張力部材の耐久性が向上する。
本発明によれば、伝達部材による力の伝達方向が、入力部材の回転方向の力の入力方向に近付くことになり、伝達部材の許容伝達力が増大し、入力部材から出力部材への許容伝達トルクが増大する。その結果、大型化を招くことなく許容伝達トルクを増大させた高容量の撓み軸継手を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る撓み軸継手を適用したの側面図である。図2は、本発明の第1の実施の形態に係る撓み軸継手をプロペラシャフトに装着した状態の斜視図であり、図3は、本発明の第1の実施の形態に係る撓み軸継手およびプロペラシャフトの分解斜視図であり、図4は、本発明の第1の実施の形態に係る撓み軸継手の軸線を通る面で切断した断面図である。
まず、構成について説明する。
図1ないし図3に示すように、本実施の形態の撓み軸継手10は、プロペラシャフト1を構成しており、プロペラシャフト1は、プロペラシャフト2と、プロペラシャフト2に撓み軸継手10を介して連結されたプロペラシャフト3と、プロペラシャフト3にユニバーサルジョイント4を介して連結されたプロペラシャフト5と、プロペラシャフト5に撓み軸継手10を介して連結されたプロペラシャフト6とを含んで構成されている。
図4に示すように、プロペラシャフト2、撓み軸継手10およびプロペラシャフト3は、ボルト1a、ナット1bおよびワッシャ1cにより締結されており、プロペラシャフト5、撓み軸継手10およびプロペラシャフト6も、ボルト1a、ナット1bおよびワッシャ1cにより締結されている。
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る撓み軸継手を示し、図5(a)は、図5(b)のA−A矢視断面を示す断面図、図5(b)は、図5(a)のB−B矢視断面を示す断面図である。
図5(a)、(b)に示すように、撓み軸継手10は、入力部材11、13、15と、出力部材12、14、16と、弾性体18と、抗張力部材21ないし26と、外側拘束部材21aないし26aと、内側拘束部材21bないし26bと、ボビン27とを含んで構成されている。
入力部材11は、金属またはプラスチックなどの高い機械的強度を有する円筒状カラー部材からなり、貫通孔11aを有しており、貫通孔11aには、ボルト1aが挿入されるようになっている。入力部材13、15も、入力部材11と同様に、円筒状カラー部材からなり、それぞれ貫通孔が設けられており、各貫通孔には、ボルト1aが挿入されるようになっている。入力部材11、13、15は、それぞれ弾性体18内で互いに平行に、かつ円周d上で周方向に等間隔に離間するとともに、図3に示すプロペラシャフト2のフランジ部2aに形成された貫通孔2b、2c、2dとそれぞれの軸線が一致するよう弾性体18内に埋設されるようになっている。
出力部材12は、入力部材11と同様に、金属またはプラスチックなどの高い機械的強度を有する円筒状カラー部材からなり、貫通孔12aを有しており、貫通孔12aには、ボルト1aが挿入されるようになっている。出力部材14、16も、出力部材12と同様に、円筒状カラー部材からなり、それぞれ貫通孔が設けられており、各貫通孔には、ボルト1aが挿入されるようになっている。出力部材12、14、16は、それぞれ弾性体18内で互いに平行に、かつ円周d上で周方向に等間隔に離間するとともに、入力部材11、13、15に対しても円周d上で周方向に等間隔に離間し、図3に示すプロペラシャフト3のフランジ部3aに形成された貫通孔3b、3c、3dとそれぞれの軸線が一致するよう弾性体18内に埋設されるようになっている。
弾性体18は、ゴムまたはエラストマーなどの弾性部材からなり、断面が六角形で所定の厚みを有する。弾性体18は、その軸方向に貫通し断面が六角形の貫通孔18aが形成されており、貫通孔18aにより回転方向を周方向とする環状部18bが形成されている。
抗張力部材21は、伸縮性があり、弾性体18の許容引張応力(N/m)より大きい許容引張応力(N/m)を有する線状の弾性コードを含んで構成されている。
抗張力部材21は、例えば、引張弾性を有するポリエステルなどからなる弾性コードを多層巻きしたもの、あるいは、巻回状態の弾性コードを、それより高い弾性係数を有する熱可塑性エラストマーで被覆してループ状に形成したものでもよい。
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る撓み軸継手の部分側面図である。
図6に示すように、抗張力部材21は、入力部材11と出力部材12との間でループ状に巻き掛けられており、入力部材11が図示の矢印の回転方向、すなわち、時計回りの方向に回転する際、抗張力部材21と弾性体18の環状部18bとにより出力部材12を引っ張るようにして入力部材11に入力された回転方向の力を出力部材12に伝達するようになっている。
抗張力部材21は、弾性体18の放射外方側に位置する外側抗張力部21cと、弾性体18の放射内方側に位置する内側抗張力部21dとを有する。外側抗張力部21cには、その中間部21gが、端部21e、21fよりも弾性体18の放射外方側に位置するよう外側拘束部材21aに係合しており、外側拘束部材21aは外側抗張力部21cに張力が加わっても弾性体18の放射内方側に変位しないよう、外側抗張力部21cを拘束している。
内側抗張力部21dも、その中間部21jが、端部21h、21iよりも弾性体18の放射内方側に位置するよう内側拘束部材21bに係合しており、内側拘束部材21bは外側抗張力部21dに張力が加わっても弾性体18の放射内方側に変位しないよう、内側抗張力部21dを拘束している。
外側拘束部材21aは、入力部材11と出力部材12と同様、金属またはプラスチックなどの高い機械的強度を有し、弾性体18より硬質の素材からなり、円柱状に形成され、弾性体18内で入力部材11と出力部材12と平行になるよう弾性体18内に埋設されるようになっている。内側拘束部材21bも外側拘束部材21aと同様に形成され弾性体18内に埋設されるようになっている。
図5に示すように、入力部材13と出力部材14の間でループ状に巻き掛けられている抗張力部材23と、抗張力部材23を拘束する拘束部材23a、23b、および入力部材15と出力部材16の間でループ状に巻き掛けられている抗張力部材25と、抗張力部材25を拘束する外側拘束部材25a、内側拘束部材25bも、入力部材11と出力部材12の間でループ状に巻き掛けられている抗張力部材21と、抗張力部材21を拘束する外側拘束部材21a、内側拘束部材21bと同様に構成されている。
抗張力部材22は、入力部材11と出力部材14の間でループ状に巻き掛けられており、入力部材11が図示の矢印の回転方向と反対方向、すなわち、反時計回りの方向に回転する際、抗張力部材22と弾性体18の環状部18bとにより出力部材14を引っ張るようにして入力部材11に入力された回転方向と反対方向の力を出力部材14に伝達するようになっている。抗張力部材22には、抗張力部材21と同様に、外側拘束部材22a、内側拘束部材22bが形成されている。
また、入力部材13と出力部材16に巻き掛けられている抗張力部材24と、抗張力部材24を拘束する拘束部材24a、24b、および入力部材15と出力部材12に巻き掛けられている抗張力部材26と、抗張力部材26を拘束する外側拘束部材26a、内側拘束部材26bも、入力部材11と出力部材14に巻き掛けられている抗張力部材22と、抗張力部材22を拘束する外側拘束部材22a、内側拘束部材22bと同様に構成されている。
図4に示すように、ボビン27は、金属または高い機械的強度を有するプラスチックなどからなり、貫通孔27aを有する円筒体であって、軸方向の両端部および中間部に放射方向に突出した複数の環状のフランジ部27bを有する。貫通孔27aには、入力部材11、13、15、出力部材12、14、16がそれぞれ挿入されるようになっている。フランジ部27bで区切られた部分には、その中央部で抗張力部材21が巻き掛けられて保持されており、各端部で抗張力部材26が巻き掛けられて保持されている。
本実施の形態に係る撓み軸継手10は、プロペラシャフト2および3と、以下のように連結されている。すなわち、プロペラシャフト2のフランジ部2aに形成された貫通孔2b、2c、2dおよび入力部材11、13、15の各貫通孔に、ボルト1aが順に挿入されてナット1bおよびワッシャ1cによりそれぞれ締結され、プロペラシャフト2が撓み軸継手10に連結される。また、プロペラシャフト3のフランジ部3aに形成された貫通孔3b、3c、3dおよび出力部材12、14、16の各貫通孔に、ボルト1aが順に挿入されてナット1bおよびワッシャ1cによりそれぞれ締結され、プロペラシャフト3が撓み軸継手10に連結されている。プロペラシャフト2の回転方向の力は、ボルト1aを介して入力部材11、13、15に入力され、出力部材12、14、16を介してプロペラシャフト3に伝達されるようになっている。
次いで、撓み軸継手の製造方法について説明する。
撓み軸継手の製造方法は、特に制限はなく公知の製造方法により作製される。
図5に示すように、例えば、入力部材11、13、15、出力部材12、14、16を、円周d上に等間隔で互いに平行、かつ離間した配置になるよう、それぞれの端部を図示しない組立治具に固定し、ボビン27を入力部材11、13、15、出力部材12、14、16にそれぞれ装着する。
次いで、外側拘束部材21aと内側拘束部材21bとを入力部材11と出力部材12の中間部に配置されるよう組立治具に固定する。外側拘束部材22aないし26a、内側拘束部材21b〜26bも同様にして組立治具に固定する。
次いで、入力部材15に装着されたボビン27の組立治具の近傍側と、出力部材12に装着されたボビン27の組立治具の近傍側との間で抗張力部材26を複数回巻き掛ける。抗張力部材22、24も同様にしてそれぞれ巻き掛けられる。
続いて、入力部材11に装着されたボビン27の中間部分と、出力部材12に装着されたボビン27の中間部分との間で抗張力部材21を複数回巻き掛ける。抗張力部材23、25も同様にしてそれぞれ巻き掛けられる。
その後、入力部材15に装着されたボビン27の開放端部と、出力部材12に装着されたボビン27の開放端部との間で抗張力部材26を複数回巻き掛ける。抗張力部材22、24も同様にしてそれぞれ巻き掛けられる。
次いで、各構成要素が形成された組立治具を、成形型に組み込み、この成形型に、例えば、合成ゴムからなるゴム材料を充填する。続いて、圧力、加熱などの公知の条件で架橋反応を起こさせる加硫工程を経て、弾性体18を含む各構成要素が一体化された撓み軸継手が形成される。形成された撓み軸継手を成形型から離型させる。
次いで、撓み軸継手10の作用について説明する。
入力部材11にボルトB1を介して図6に示す矢印の回転方向、すなわち、時計回りの方向の力が入力されると、抗張力部材21の外側抗張力部21cの一方の端部21eおよび内側抗張力部21dの一方の端部21hに、矢印で示す引張力Fが作用する。回転方向の力は、抗張力部材21の外側抗張力部21c、内側抗張力部21dおよび弾性体18を介して出力部材12に伝達され、出力部材12からボルトBに伝達される。
このとき、引張力Fと同様の引張力Tが外側抗張力部21cの他方の端部21fおよび内側抗張力部21dの他方の端部21iに作用する。回転中心である点Pを中心とし、端部21eおよび端部21fを通る半径Rの円周上の端部21fに接する接線をSとすると、この引張力Tは、端部21fと中間部21gとを結ぶ直線方向に作用するとともに、端部21iと中間部21jとを結ぶ直線方向にも作用する。このとき、端部21fと中間部21gとを結ぶ直線と接線Sとがなす角はαで表される。
他方、端部21fと端部21eとを結ぶ直線と接線Sとがなす角はβで表される。
ここで、外側抗張力部21cが受け持つ伝達トルクをNとすると、Nは次式(1)で表される。
N=R×T×cosα (1)
また、従来技術における撓み軸継手のように、端部21fと端部21eとを結ぶ線上に外側抗張力部を有する抗張力部材においては、この外側抗張力部が受け持つ伝達トルクをN´とし、端部21fに作用する引張力をT´とすると、N´は次式(2)で表される。
N´=R×T´×cosβ (2)
本実施の形態に係る撓み軸継手10においては、円周d上に等間隔に入力部材11、13、15と出力部材12、14、16が配置されているので、入力部材11と出力部材12との角度間隔は60°となっており、なす角βは30°となる。
他方、なす角αは、外側拘束部材21aにより外側抗張力部21cが放射外方に位置するようにしたので、ほぼ10°になっている。
ここで、本実施の形態に係る撓み軸継手10の伝達トルクNと、従来の撓み軸継手の伝達トルクN´とを比較すると、T´がTと等しいとした場合に、N/N´は、cos10°が0.98であり、cos30°が、0.87であることから、約1.13となる。すなわち、本実施の形態に係る撓み軸継手10の伝達トルクNは、同じ引張力Tの下では、従来の撓み軸継手の伝達トルクN´に対して、約13%向上していることが分かる。このように、なす角αが小さくなるほど、伝達トルクNは、従来の撓み軸継手と比較して増大する。
本実施の形態に係る撓み軸継手10においては、外側抗張力部21cと同様に、内側抗張力部21dにおける伝達トルクも増大する。また、抗張力部材22ないし26においても、抗張力部材21と同様に、抗張力部材22ないし26における伝達トルクも増大する。
このように、本実施の形態に係る撓み軸継手10においては、回転方向の力が入力される入力部材11、13、15と、回転方向の力を出力する出力部材12、14、16と、回転方向を周方向とする環状部18bを有し、入力部材11、13、15と出力部材12、14、16とが周方向に離間するよう交互に埋設された弾性体18と、周方向に隣り合う入力部材11、13、15および出力部材12、14、16の間で回転方向の力を伝達するよう弾性体18内に埋設された抗張力部材21ないし26とを備え、抗張力部材21ないし26が、周方向に隣り合う入力部材11、13、15および出力部材12、14、16のそれぞれに係合する両端部21e、21fなどと、両端部21e、21fなどよりも弾性体18の放射外方側に位置する中間部21g、21jなどとを有するよう構成される。さらに、抗張力部材21ないし26は、外側拘束部材21aないし26aおよび内側拘束部材21bないし26bによりその中間部21g、21jなどが、弾性体18の放射外方側に位置するよう拘束される。
この場合、抗張力部材21ないし26の各引張方向が、入力部材11、13、15への回転方向の力の入力方向(直線方向)に近付くことになり、抗張力部材21ないし26の引張方向と前述の入力方向とのなす角αが小さくなる。
したがって、抗張力部材21ないし26の巻き数を増やしたり線径を大きくしたりすることなく、抗張力部材21ないし26の許容引張力が増大し、入力部材11、13、15から出力部材12、14、16に伝達されうる回転方向の力、すなわち、許容伝達トルクNが増大する。その結果、大型化を招くことなく許容伝達トルクNを増大させた高容量の撓み軸継手が得られる。
なお、本実施の形態に係る撓み軸継手10おいては、本発明に係る撓み軸継手の伝達部材を抗張力部材21ないし26として説明したが、他の伝達部材、例えば、圧縮力に抗して回転方向の力を伝達する抗圧縮部材で構成し、他の構成要素を撓み軸継手10と同様に構成してもよい。
この場合、抗圧縮部材の力の圧縮方向が、入力部材へ回転方向の力の入力方向に近付くことになり、抗圧縮部材の力の圧縮方向と入力方向とのなす角が小さくなる。したがって、抗圧縮部材の数を増やしたり線径を大きくしたりすることなく、抗圧縮部材の許容圧縮力が増大し、入力部材から出力部材に伝達されうる回転方向の力、すなわち、許容伝達トルクが増大する。その結果、大型化を招くことなく許容伝達トルクを増大させた高容量の撓み軸継手が得られる。
さらに、本実施の形態に係る撓み軸継手10おいては、本発明に係る撓み軸継手の伝達部材を弾性体の放射外方側の位置に拘束する拘束部材を、弾性体18より硬質の素材からなり、円柱状のもので構成した場合について説明したが、他の拘束部材、例えば、弾性体18と同質の材料で弾性体18と一体的に構成してもよい。
また、本実施の形態に係る撓み軸継手10おいては、本発明に係る撓み軸継手の拘束部材を外側抗張力部21cを拘束する外側拘束部材21aと、内側抗張力部21dを拘束する内側拘束部材21bとの双方で構成した場合について説明したが、本発明に係る撓み軸継手の拘束部材を外側抗張力部21cを拘束する外側拘束部材21aと内側抗張力部21dを拘束する内側拘束部材21bとのうちいずれか一方で構成してもよい。
また、本実施の形態に係る撓み軸継手10においては、プロペラシャフト2、撓み軸継手10およびプロペラシャフト3が、ボルト1a、ナット1bおよびワッシャ1cにより締結される場合について説明したが、本発明に係る撓み軸継手においては、プロペラシャフトと撓み軸継手とを他の締結手段により締結してもよい。例えば、プロペラシャフト側にボルトに代えて、ねじが形成されたスタッドを設け、これらのスタッドを入力部材および出力部材に挿入し、このプロペラシャフトと撓み軸継手とをナットおよびワッシャにより締結するようにしてもよい。
(第2の実施の形態)
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る撓み軸継手を示し、図7(a)は、C−C矢視断面を示す断面図であり、図7(b)は、図7(a)のD−D矢視断面を示す断面図であり、図8は、本発明の第2の実施の形態に係る撓み軸継手の部分側面図である。
図7(a)においては、説明の便宜上、入力部材11および出力部材12間の抗張力部材31と、外側拘束部材31aおよび内側拘束部材31bのみを示し、他の入力部材および出力部材間の構成を図示していない。
なお、第2の実施の形態に係る撓み軸継手20においては、第1の実施の形態の弾性体18および弾性体18に埋設された拘束部材の配置が異なっているが、他の構成は同様に構成されている。したがって、同一の構成については、図1から図6に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
まず、第2の実施の形態に係る撓み軸継手20の構成について説明する。
図7に示すように、撓み軸継手20は、入力部材11、13、15と、出力部材12、14、16と、弾性体38と、抗張力部材31および他の複数の抗張力部材と、外側拘束部材31aおよび他の複数の外側拘束部材と、内側拘束部材31bおよび他の複数の内側拘束部材と、ボビン27とを含んで構成されている。
弾性体38は、第1の実施の形態の弾性体18と同様に、ゴムまたはエラストマーなどの弾性部材からなり、断面が12角形で所定の厚みを有する。弾性体38は、その軸方向に貫通し断面が12角形の貫通孔38aが形成されており、貫通孔38aにより回転方向を周方向とする環状部38bが形成されている。
抗張力部材31は、第1の実施の形態の抗張力部材21と同様に、伸縮性があり、弾性体38の許容引張応力(N/m)より大きい許容引張応力(N/m)を有する線状の弾性コードを含んで構成されている。
図8に示すように、抗張力部材31は、入力部材11と出力部材12との間でループ状に巻き掛けられており、入力部材11が図示の矢印の回転方向、すなわち、時計回りの方向に回転する際、抗張力部材31と弾性体38の環状部38bとにより出力部材12を引っ張るようにして入力部材11に入力された回転方向の力を出力部材12に伝達するようになっている。
抗張力部材31は、弾性体38の放射外方側に位置する外側抗張力部31cと、弾性体38の放射内方側に位置する内側抗張力部31dとを有する。外側抗張力部31cには、その中間部31gが、端部31e、31fよりも弾性体38の放射外方側に位置するよう外側拘束部材31aに係合しており、外側拘束部材31aは外側抗張力部31cに張力が加わっても弾性体38の放射内方側に変位しないよう、外側抗張力部31cを拘束している。
内側抗張力部31dも、その中間部31jが、端部31h、31iよりも弾性体38の放射内方側に位置するよう内側拘束部材31bに係合しており、内側拘束部材31bは内側抗張力部31dに張力が加わっても弾性体38の放射内方側に変位しないよう、内側抗張力部31dを拘束している。
外側拘束部材31aは、第1の実施の形態と同様に、金属またはプラスチックなどの高い機械的強度を有し、弾性体38より硬質の素材からなり、円柱状に形成され、弾性体38内で入力部材11と出力部材12と平行になるよう弾性体38内に埋設されるようになっている。内側拘束部材31bも外側拘束部材31aと同様に形成され弾性体38内に埋設されるようになっている。
入力部材13と出力部材14の間でループ状に巻き掛けられている抗張力部材と、この抗張力部材を拘束する外側拘束部材、内側拘束部材、および入力部材15と出力部材16の間でループ状に巻き掛けられている抗張力部材と、この抗張力部材を拘束する外側拘束部材、内側拘束部材も、入力部材11と出力部材12の間でループ状に巻き掛けられている抗張力部材31と、抗張力部材31を拘束する外側拘束部材31a、内側拘束部材31bと同様に構成されている。
また、入力部材11と出力部材14の間でループ状に巻き掛けられている抗張力部材と、この抗張力部材を拘束する外側拘束部材、内側拘束部材、入力部材13と出力部材16に巻き掛けられている抗張力部材と、この抗張力部材を拘束する外側拘束部材、内側拘束部材、および入力部材15と出力部材12に巻き掛けられている抗張力部材と、この抗張力部材を拘束する外側拘束部材、内側拘束部材も、入力部材11と出力部材12の間でループ状に巻き掛けられている抗張力部材31と、抗張力部材31を拘束する外側拘束部材31a、内側拘束部材31bと同様に構成されている。
次いで、撓み軸継手20の作用について説明する。
入力部材11にボルトB1を介して図8に示す矢印の回転方向、すなわち、時計回りの方向の力が入力されると、抗張力部材31の外側抗張力部31cの一方の端部31eおよび内側抗張力部31dの一方の端部31hに、矢印で示す引張力Fが作用する。回転方向の力は、抗張力部材31の外側抗張力部31c、内側抗張力部31dおよび弾性体38を介して出力部材12に伝達され、出力部材12からボルトBに伝達される。
このとき、引張力Fと同様の引張力Tが外側抗張力部31cの他方の端部31fおよび内側抗張力部31dの他方の端部31iに作用する。回転中心である点Pを中心とし、端部31eおよび端部31fを通る半径Rの円周上の端部31fに接する接線をSとすると、この引張力Tは、端部31fと中間部31gとを結ぶ直線方向に作用するとともに、端部31iと中間部31jとを結ぶ直線方向にも作用する。
端部31fと中間部31gとを結ぶ直線と接線Sとがなす角はαで表される。他方、端部31fと端部31eとを結ぶ直線と接線Sとがなす角はβで表される。
ここで、外側抗張力部31cが受け持つ伝達トルクをNとすると、Nは前述の式(1)で表される。
また、従来技術における撓み軸継手のように、端部31fと端部31eとを結ぶ線上に外側抗張力部を有する抗張力部材においては、この外側抗張力部が受け持つ伝達トルクをN´とし、端部31fに作用する引張力をT´とすると、N´は前述の式(2)で表される。
本実施の形態に係る撓み軸継手20においては、第1の実施の形態同様に、円周d上に等間隔に入力部材11、13、15と出力部材12、14、16が配置されているので、入力部材11と出力部材12とのなす角は60°となっており、なす角βは30°となる。
他方、なす角αは、弾性体38の外形が12角形で形成されているので、外側拘束部材31aにより外側抗張力部31cが、第1の実施の形態における位置よりもさらに放射外方に位置することができ、第1の実施の形態における10°よりも小さい2°ないし3°になっている。
ここで、本実施の形態に係る撓み軸継手20の伝達トルクNと、従来技術における撓み軸継手の伝達トルクN´とを比較すると、T´がTと等しいとした場合に、N/N´は、cos3°が0.998であり、cos30°が0.87であることから、約1.147となる。このことは、本実施の形態に係る撓み軸継手20の伝達トルクNが、同じ引張力Tの下では、従来技術における撓み軸継手の伝達トルクN´に対して、約14.7%向上していることが分かる。このように、弾性体38の外形を12角形とすることにより、外側拘束部材31a、内側拘束部材31bをより放射外方側に配置して、なす角αをより小さくすることができる。
本実施の形態に係る撓み軸継手20においては、外側抗張力部31cと同様に、内側抗張力部31dにおける伝達トルクも増大する。また、他の抗張力部材においても、抗張力部材31と同様に、抗張力部材における伝達トルクも、第1の実施の形態よりもさらに増大する。
このように、本実施の形態に係る撓み軸継手20においては、回転方向の力が入力される入力部材11、13、15と、回転方向の力を出力する出力部材12、14、16と、回転方向を周方向とする環状部38bを有し、入力部材11、13、15と出力部材12、14、16とが周方向に離間するよう交互に埋設された弾性体38と、周方向に隣り合う入力部材11、13、15および出力部材12、14、16の間で回転方向の力を伝達するよう弾性体38内に埋設された抗張力部材31および他の抗張力部材とを備え、抗張力部材31および他の抗張力部材が、周方向に隣り合う入力部材11、13、15および出力部材12、14、16のそれぞれに係合する両端部31e、31fと、両端部31e、31fよりも弾性体38の放射外方側に位置する中間部31gなどとを有するよう構成され、外側拘束部材31aで外側抗張力部41nの中間部31gなどが、第1の実施の形態よりもさらに放射外方側に位置するよう拘束されている。
この場合、抗張力部材31および他の抗張力部材の各引張方向が、入力部材11、13、15へ回転方向の力が入力された際、入力方向に近付くことになり、抗張力部材31および他の抗張力部材の引張方向と前述の入力方向とのなす角αが小さくなる。
したがって、抗張力部材31および他の抗張力部材の巻き数を増やしたり線径を大きくしたりすることなく、抗張力部材31および他の抗張力部材の許容引張力が増大し、入力部材11、13、15から出力部材12、14、16に伝達されうる回転方向の力、すなわち、許容伝達トルクNがより増大する。その結果、大型化を招くことなく許容伝達トルクNを増大させた高容量の撓み軸継手が得られる。
以上説明したように、本発明に係る撓み軸継手は、大型化を招くことなく許容伝達トルクを増大させた高容量の撓み軸継手を提供することができるという効果を奏し、車両だけでなく、工作機器、計測機器などの産業機器に適用される撓み軸継手全般に有用である。
(第3の実施の形態)
図9は、本発明の第3の実施の形態に係る撓み軸継手を示し、図9(a)は、E−E矢視断面を示す断面図であり、図9(b)は、図9(a)のF−F矢視断面を示す断面図であり、図10は、本発明の第3の実施の形態に係る撓み軸継手の部分側面図である。図9(a)においては、説明の便宜上、入力部材11および出力部材12間の抗張力部材41と、外側拘束部材41a、41bおよび内側拘束部材41c、41dのみを示し、他の入力部材および出力部材間の構成を図示していない。
なお、第3の実施の形態に係る撓み軸継手30においては、第1の実施の形態の弾性体18に埋設された拘束部材の個数および配置が異なっているが、他の構成は同様に構成されている。したがって、同一の構成については、図1から図6に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
まず、第3の実施の形態に係る撓み軸継手30の構成について説明する。
図9に示すように、撓み軸継手30は、入力部材11、13、15と、出力部材12、14、16と、弾性体48と、抗張力部材41および他の複数の抗張力部材と、外側拘束部材41a、41bおよび他の複数の外側拘束部材と、内側拘束部材41c、41dおよび他の複数の内側拘束部材と、ボビン27とを含んで構成されている。
弾性体48は、第1の実施の形態の弾性体48と同様に、ゴムまたはエラストマーなどの弾性部材からなり、断面が六角形で所定の厚みを有する。弾性体48は、その軸方向に貫通し断面が六角形の貫通孔48aが形成されており、貫通孔48aにより回転方向を周方向とする環状部48bが形成されている。
抗張力部材41は、第1の実施の形態の抗張力部材21と同様に、伸縮性があり、弾性体48の許容引張応力(N/m)より大きい許容引張応力(N/m)を有する線状の弾性コードを含んで構成されている。
図10に示すように、抗張力部材41は、入力部材11と出力部材12との間でループ状に巻き掛けられており、入力部材11が図示の矢印の回転方向、すなわち、時計回りの方向に回転する際、抗張力部材41と弾性体48の環状部48bとにより出力部材12を引っ張るようにして入力部材11に入力された回転方向の力を出力部材12に伝達するようになっている。
抗張力部材41は、弾性体48の放射外方側に位置する外側抗張力部41nと、弾性体48の放射内方側に位置する内側抗張力部41mを有する。外側抗張力部41nは、その中間部41gが、端部41e、41fよりも弾性体48の放射外方側に位置するよう外側拘束部材41a、41bに係合しており、外側拘束部材41a、41bは外側抗張力部41nに張力が加わっても弾性体48の放射内方側に変位しないよう、外側抗張力部41nを拘束している。
内側抗張力部41mも、その中間部41jが、端部41h、41iよりも弾性体48の放射内方側に位置するよう内側拘束部材41c、41dに係合しており、内側拘束部材41c、41dは内側抗張力部41mに張力が加わっても弾性体48の放射内方側に変位しないよう、内側抗張力部41mを拘束している。
外側拘束部材41a、41bは、第1の実施の形態と同様に、金属またはプラスチックなどの高い機械的強度を有し、弾性体48より硬質の素材からなり、円柱状に形成され、弾性体48内で入力部材11と出力部材12と平行になるよう弾性体48内に埋設されるようになっている。内側拘束部材41c、41dも外側拘束部材41a、41bと同様に形成され弾性体48内に埋設されるようになっている。
入力部材13と出力部材14の間でループ状に巻き掛けられている抗張力部材と、この抗張力部材を拘束する外側拘束部材、内側拘束部材、および入力部材15と出力部材16の間でループ状に巻き掛けられている抗張力部材と、この抗張力部材を拘束する外側拘束部材、内側拘束部材も、入力部材11と出力部材12の間でループ状に巻き掛けられている抗張力部材41と、抗張力部材41を拘束する外側拘束部材41a、41b、内側拘束部材41c、41dと同様に構成されている。
また、入力部材11と出力部材14の間でループ状に巻き掛けられている抗張力部材と、この抗張力部材を拘束する外側拘束部材、内側拘束部材、入力部材13と出力部材16に巻き掛けられている抗張力部材と、この抗張力部材を拘束する外側拘束部材、内側拘束部材、および入力部材15と出力部材12に巻き掛けられている抗張力部材と、この抗張力部材を拘束する外側拘束部材、内側拘束部材も、入力部材11と出力部材12の間でループ状に巻き掛けられている抗張力部材41と、抗張力部材41を拘束する外側拘束部材41a、41b、内側拘束部材41c、41dと同様に構成されている。
次いで、撓み軸継手30の作用について説明する。
入力部材11にボルトB1を介して図10に示す矢印の回転方向、すなわち、時計回りの方向の力が入力されると、抗張力部材41の外側抗張力部41nの一方の端部41eおよび内側抗張力部41mの一方の端部41hに、矢印で示す引張力Fが作用する。回転方向の力は、抗張力部材41の外側抗張力部41n、内側抗張力部41mおよび弾性体48を介して出力部材12に伝達され、出力部材12からボルトBに伝達される。
このとき、引張力Fと同様の引張力Tが外側抗張力部41nの他方の端部41fおよび内側抗張力部41mの他方の端部41iに作用する。回転中心である点Pを中心とし、端部41eおよび端部41fを通る半径Rの円周上の端部41fに接する接線をSとすると、この引張力Tは、端部41fと中間部41gとを結ぶ直線方向に作用するとともに、端部41iと中間部41jとを結ぶ直線方向にも作用する。
端部41fと端部41eとを結ぶ直線と接線Sとがなす角は、αで表される。他方、端部41fと端部41eとを結ぶ直線と接線Sとがなす角はβで表される。
ここで、外側抗張力部41nが受け持つ伝達トルクをNとすると、Nは前述の式(1)で表される。
また、従来技術における撓み軸継手のように、端部41fと端部41eとを結ぶ線上に外側抗張力部を有する抗張力部材においては、この外側抗張力部が受け持つ伝達トルクをN´とし、端部41fに作用する引張力をT´とすると、N´は前述の式(2)で表される。
本実施の形態に係る撓み軸継手30においては、第1の実施の形態同様に、円周d上に等間隔に入力部材11、13、15と出力部材12、14、16が配置されているので、入力部材11と出力部材12とのなす角は60°となっており、なす角βは30°となる。
他方、なす角αは、外側拘束部材41a、41bで外側抗張力部41nを拘束しているので、外側拘束部材41a、41bにより、第1の実施の形態におけるなす角αよりもさらに小さくすることができ、第1の実施の形態における10°よりも小さい0°にすることができる。
ここで、本実施の形態に係る撓み軸継手30の伝達トルクNと、従来技術における撓み軸継手の伝達トルクN´とを比較すると、T´がTと等しいとした場合に、N/N´は、cos0°が1.0であり、cos30°が0.87であることから、約1.15となる。このことは、本実施の形態に係る撓み軸継手30の伝達トルクNが、同じ引張力Tの下では、従来技術における撓み軸継手の伝達トルクN´に対して、約15%向上していることが分かる。このように、外側拘束部材41a、41bで外側抗張力部41nを拘束することにより、なす角αをより小さくすることができる。
本実施の形態に係る撓み軸継手30においては、外側抗張力部41nと同様に、内側抗張力部41mにおける伝達トルクも増大する。また、他の抗張力部材においても、抗張力部材41と同様に、抗張力部材における伝達トルクも、第1の実施の形態よりもさらに増大する。
このように、本実施の形態に係る撓み軸継手30においては、回転方向の力が入力される入力部材11、13、15と、回転方向の力を出力する出力部材12、14、16と、回転方向を周方向とする環状部48bを有し、入力部材11、13、15と出力部材12、14、16とが周方向に離間するよう交互に埋設された弾性体48と、周方向に隣り合う入力部材11、13、15および出力部材12、14、16の間で回転方向の力を伝達するよう弾性体48内に埋設された抗張力部材41および他の抗張力部材とを備え、抗張力部材41および他の抗張力部材が、周方向に隣り合う入力部材11、13、15および出力部材12、14、16のそれぞれに係合する両端部と、両端部よりも弾性体48の放射外方側に位置する中間部とを有するよう構成され、外側拘束部材41a、41bで外側抗張力部41nの中間部が拘束されている。
この場合、抗張力部材41および他の抗張力部材の各引張方向が、入力部材11、13、15へ回転方向の力が入力された際、入力方向に近付くことになり、抗張力部材31および他の抗張力部材の引張方向と前述の入力方向とのなす角αがより小さくなる。なす角αが小さくなると、抗張力部材41および他の抗張力部材の巻き数を増やしたり線径を大きくしたりすることなく、抗張力部材41および他の抗張力部材の許容引張力が増大し、入力部材11、13、15から出力部材12、14、16に伝達されうる回転方向の力、すなわち、許容伝達トルクNがより増大する。その結果、大型化を招くことなく許容伝達トルクNを増大させた高容量の撓み軸継手が得られる。
次いで、本第3の実施の形態に係る撓み軸継手30の変形例について説明する。
図11は、本発明の第3の実施の形態に係る撓み軸継手の変形例の部分側面図であり、図11(a)は、抗張力部材に拘束部材を3箇所配置したものを示し、図11(b)は、抗張力部材に湾曲面部を有する拘束部材を2箇所配置したものを示す。
本第3の実施の形態に係る撓み軸継手30においては、入力部材11と出力部材12との間の抗張力部材41を、外側抗張力部41nに対して、外側拘束部材41a、41bにより拘束し、内側抗張力部41mに対して、内側拘束部材41c、41dにより拘束した場合について説明したが、他の構成により抗張力部材41を拘束してもよい。例えば、図11(a)に示すように、外側抗張力部41nに対して、外側拘束部材41a、41bにより拘束し、内側抗張力部41mに対して、内側拘束部材41cのみで拘束するようにしてもよく、図示しないが、外側抗張力部41nに対して、その中間部を一個の外側拘束部材のみにより拘束し、内側抗張力部41mに対して、二個の内側拘束部材により拘束してもよい。
また、図11(a)に示すように、外側抗張力部41nに対して、その中間部に係合し、弾性体48の放射外方に湾曲した湾曲面部を有する外側拘束部材41pにより拘束し、内側抗張力部41mに対して、略コの字状に形成された一個の内側拘束部材41kにより拘束するようにしてもよい。
なお、本第1ないし第3の実施の形態に係る撓み軸継手10、20、30においては、入力部材および出力部材を弾性体の同一円周上に6箇所等間隔に離間して配置した場合について説明したが、本発明に係る撓み軸継手においては、入力部材および出力部材を他の員数で構成してもよい。例えば、4箇所、8箇所ないし20箇所などの2の倍数で構成してもよい。
以上説明したように、本発明に係る撓み軸継手は、大型化することなく、許容伝達トルクを増大させることができるという効果を奏し、車両だけでなく、工作機器、計測機器などの産業機器に適用される撓み軸継手全般に有用である。
本発明の第1の実施の形態に係る撓み軸継手を適用したプロペラシャフトの側面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る撓み軸継手をプロペラシャフトに装着した状態の斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係る撓み軸継手およびプロペラシャフトの分解斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係る撓み軸継手の軸線を通る面で切断した断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る撓み軸継手を示し、図5(a)は、図5(b)のA−A矢視断面を示す断面図であり、図5(b)は、図5(a)のB−B矢視断面を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る撓み軸継手の部分側面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る撓み軸継手を示し、図7(a)は、図7(b)のC−C矢視断面を示す断面図であり、図7(b)は、図7(a)のD−D矢視断面を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る撓み軸継手の部分側面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る撓み軸継手を示し、図9(a)は、図9(b)のE−E矢視断面を示す断面図であり、図9(b)は、図9(a)のF−F矢視断面を示す断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る撓み軸継手の部分側面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る撓み軸継手の変形例の部分側面図であり、図11(a)は、抗張力部材に拘束部材を3箇所配置したものを示し、図11(b)は、抗張力部材に湾曲面部を有する拘束部材を2箇所配置したものを示す。
符号の説明
10、20、30 撓み軸継手
11、13、15 入力部材
11a、12a 貫通孔
12、14、16 出力部材
18、38、48 弾性体
18a、38a、48a 貫通孔
18b、38b、48b 環状部
21、22、23、24、25、26、31、41 抗張力部材
21a、22a、23a、24a、25a、26a、31a、41a、41b、41p 外側拘束部材
21b、22b、23b、24b、25b、26b、31b、41c、41d 内側拘束部材
21c、31c、41n、41p 外側抗張力部
21d、31d、41m、41k 内側抗張力部
21e、21f、21h、21i、31e、31f、31h、31i、41e、41f、41h、41i 端部
21g、21j、31g、31j、41g、41j 中間部

Claims (8)

  1. 回転方向の力が入力される複数の入力部材と、
    回転方向の力を出力する複数の出力部材と、
    前記回転方向を周方向とする環状部を有し、前記入力部材と前記出力部材とが前記周方向に離間するよう交互に埋設された弾性体と、
    前記周方向に隣り合う前記入力部材および前記出力部材の間で前記回転方向の力を伝達するよう前記弾性体内に介装された伝達部材と、を備えた撓み軸継手において、
    前記伝達部材が、前記周方向に隣り合う前記入力部材および前記出力部材のそれぞれに係合する両端部と、該両端部よりも前記弾性体の放射外方側に位置する中間部と、を有することを特徴とする撓み軸継手。
  2. 前記伝達部材が、張力に抗して前記回転方向の力を伝達する抗張力部材からなることを特徴とする請求項1に記載の撓み軸継手。
  3. 前記弾性体内に支持され、前記抗張力部材の中間部を前記抗張力部材の両端部よりも前記弾性体の放射外方側の位置に拘束する拘束部材をさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の撓み軸継手。
  4. 前記抗張力部材が、前記周方向に隣り合う前記入力部材および前記出力部材の間でループ状に巻き掛けられるとともに、前記周方向に隣り合う前記入力部材および前記出力部材の間に、前記弾性体の放射外方側に位置する外側抗張力部と該外側抗張力部より前記弾性体の放射内方側に位置する内側抗張力部とを形成し、
    前記外側抗張力部と前記内側抗張力部のうち少なくとも一方が、その両端部よりも前記弾性体の放射外方側に位置する中間部を有していることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の撓み軸継手。
  5. 前記入力部材および前記出力部材のそれぞれが、前記弾性体内で互いに平行に、かつ、同一円周上で前記周方向に等間隔に離間する複数の円筒状カラー部材で構成されていることを特徴とする請求項2ないし請求項4のうちいずれか1の請求項に記載の撓み軸継手。
  6. 前記抗張力部材の両端部が、前記周方向に隣り合う前記入力部材および前記出力部材の間で、前記抗張力部材の両端部間を最短で結ぶ直線の方向よりも前記入力部材および前記出力部材が配置された円周の接線方向に近い方向に延在していることを特徴とする請求項2ないし請求項5のうちいずれか1の請求項に記載の撓み軸継手。
  7. 前記拘束部材が、前記弾性体より硬質の素材からなり、前記弾性体内に埋設されていることを特徴とする請求項3に記載の撓み軸継手。
  8. 前記拘束部材が、前記抗張力部材の中間部に係合する湾曲面部を有していることを特徴とする請求項3または請求項7に記載の撓み軸継手。
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